JP2014511677A - 鑑別困難な良性甲状腺病変と悪性甲状腺病変との識別法 - Google Patents

鑑別困難な良性甲状腺病変と悪性甲状腺病変との識別法 Download PDF

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Abstract

本出願は、鑑別困難(indeterminate)な細針吸引甲状腺試料におけるマイクロRNA発現の分析のための方法、および、これらの試料の悪性状態または良性状態の判断に関するそのような方法の予測的価値を記載する。したがって、本発明の1つの局面は、診断が鑑別困難である被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定する方法である。

Description

本出願は、2011年3月22日に提出された米国仮特許出願第61/466,395号、および2012年2月13日に提出された米国仮特許出願第61/598,172号の出願日の恩典を主張し、それらの内容はその全体が参照により明確に組み入れられる。
背景
甲状腺結節は非常に一般的にみられる。甲状腺結節を判定するための判断基準は、小結節の細針吸引とそれに伴う細胞病理学的評価であり、これにより、症例の70%では良性病変または悪性病変との診断が得られる。しかし、症例の30%では、細胞病理学は、これらの「鑑別困難(indeterminate)」病変の状態を判断するには十分ではないと考えられる。さらに、細針吸引(FNA)に関して鑑別困難な甲状腺病変は、症例の約25%において悪性腫瘍を保有している。甲状腺半切除術または甲状腺全摘出術が、確定診断のために慣例的に提唱されている。しかし、明確な診断が下されていない場合に、そのような甲状腺切除術が適切であるか否かは不明である。
癌では、マイクロRNAが腫瘍抑制遺伝子および癌遺伝子の両方として機能しうる。また、マイクロRNAは癌の診断のためにも用いられている。例えば、Wiemer EA. The role of microRNAs in cancer: no small matter. Eur J Cancer 43:1529-44 (2007)(非特許文献1);Nikiforova et al. Endocr Pathol 20:85-91 (2009)(非特許文献2);He et al. Proc Natl Acad Sci U S A 102:19075-80 (2005)(非特許文献3);Pallante et al. Endocr Relat Cancer 17:F91-104 (2010)(非特許文献4);Sheu et al. Br J Cancer 102:376-82 (2010)(非特許文献5);Chen et al. Mod Pathol 21:1139-46 (2008)(非特許文献6);Nikiforova et al. J Clin Endocrinol Metab 93:1600-8 (2008)(非特許文献7);Pallante et al. Endocr Relat Cancer 13:497-508 (2006)(非特許文献8);Visone et al. Endocr Relat Cancer 14:791-8 (2007)(非特許文献9);Weber et al. J Clin Endocrinol Metab 91:3584-91 (2006)(非特許文献10)を参照。
しかし、マイクロRNAには多くの異なるタイプが存在する。研究者らは、どのマーカーのセットが甲状腺病変をその悪性度に関して正確に病期判定しうるかを発見しようと試みてきたが、成功には至らなかった。加えて、以前の研究では、細胞学的分析によって鑑別困難と定められた甲状腺病変に対して、悪性/良性状態を正しく割り当てることができていない。
Wiemer EA. The role of microRNAs in cancer: no small matter. Eur J Cancer 43:1529-44 (2007) Nikiforova et al. Endocr Pathol 20:85-91 (2009) He et al. Proc Natl Acad Sci U S A 102:19075-80 (2005) Pallante et al. Endocr Relat Cancer 17:F91-104 (2010) Sheu et al. Br J Cancer 102:376-82 (2010) Chen et al. Mod Pathol 21:1139-46 (2008) Nikiforova et al. J Clin Endocrinol Metab 93:1600-8 (2008) Pallante et al. Endocr Relat Cancer 13:497-508 (2006) Visone et al. Endocr Relat Cancer 14:791-8 (2007) Weber et al. J Clin Endocrinol Metab 91:3584-91 (2006)
概要
本出願は、鑑別困難な細針吸引試料におけるマイクロRNA発現の分析のための方法、および、これらの試料の悪性状態または良性状態の判断に関するそのような方法の予測的価値について記載する。
したがって、本発明の1つの局面は、診断が鑑別困難である被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定する方法であって、以下の段階:(a)発現レベルの被験データセットを得るために、被験甲状腺組織試料における以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階;(b)該発現レベルの被験データセットを悪性甲状腺データセットとおよび良性甲状腺データセットと比較する段階;(c)該悪性甲状腺データセット内または該良性甲状腺データセット内に該発現レベルの被験データセットが統計的に有意に存在するか否かを判断して、それによって該被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定する段階、のうちの1つまたは複数を含み、該悪性甲状腺データセットが、悪性甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;かつ、該良性甲状腺データセットが、良性の、健康なかつ/または非癌性の甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合である、方法である。本試験のいくつかの態様において、被験データセット、悪性データセットおよび良性データセットは、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルである。
本発明の別の局面は、被験甲状腺組織試料を判定するための悪性/良性判別過程を構築するための方法であって、以下の段階:(a)悪性甲状腺癌を有する患者由来の組織試料における定量化されたmiRNA発現レベルの「悪性」データセットを得る段階;(b)良性甲状腺癌を有する患者由来の組織試料における定量化されたmiRNA発現レベルの「良性」データセットを得る段階;および(c)良性/悪性予測器(predictor)が、該悪性データセットおよび該良性データセットを含む入力を受け取り、かつ、該悪性データセットと該良性データセットを識別する多次元マップを生成する、該良性/悪性予測器を訓練する段階、のうちの1つまたは複数を含む、方法である。本方法はまた、少なくとも1つの新たに定量化されたmiRNA発現レベルに関するデータが悪性データセットまたは良性データセットに追加されるように、段階(a)〜(c)を複数回の繰り返しにわたって反復することを含む、別の段階(d)も含みうる。この方法はまた、被験甲状腺組織試料が悪性であるかまたは良性であるかを予測するために、被験甲状腺組織試料の定量化されたmiRNA発現レベルを含む試験結果データを悪性データセットおよび良性データセットと比較することを含む、別の段階(e)も含みうる。悪性データセット、良性データセット、および被験甲状腺組織試料の試験結果データにおける、定量化されたmiRNA発現レベルは、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの発現レベルであってよい。いくつかの態様において、悪性データセット、良性データセットおよび被験甲状腺組織試料の試験結果データにおける、定量化されたmiRNA発現レベルは、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの発現レベルであってよい。
被験甲状腺組織試料は、対象に存在する甲状腺組織または甲状腺結節の試料であってよい。被験甲状腺組織試料は、診断が鑑別困難なものであってよい。例えば、被験甲状腺試料は、例えば細胞病理学的または組織学的手順によって評価され、かつ、診断が鑑別困難な(すなわち、確定的に良性でもなく確定的に悪性でもない)ものであると同定された、甲状腺組織試料であってよい。いくつかの態様において、被験甲状腺組織試料は細針吸引試料である。
本発明はまた、プロセッサーと、該プロセッサーに連結されかつ1つまたは複数のプログラムをコードするメモリーとを備え、該1つまたは複数のプログラムが、該プロセッサーに本発明の方法のいずれかを実行させる、システムも提供する。
本発明は、プロセッサーと、プロセッサーに接続されたメモリーとを有するコンピューターとともに用いるためのコンピュータープログラム製品をさらに提供し、該コンピュータープログラム製品は、該コンピュータープログラム機構がコードされているコンピューター可読記憶媒体を備え、該コンピュータープログラム機構は、コンピューターのメモリーにロードされることができ、かつ、該コンピューターに本発明の方法のいずれかを実行させることができる。
図1Aおよび1Bは、発現レベルのヒートマップ表示を用いて、各miRNAについて誘導群(図1A)および検証群(図1B)に関する正規化-ΔCTを示している。一般に、左側の色の薄い領域(元は赤色)はmiRNA発現レベルがより高いことを表し、右側の色の薄い領域(元は緑色)は一般にmiRNA発現レベルがより低いことを表す。色の濃い領域は、miRNA発現のレベルが、より中程度であることを指し示している。ヒートマップの上のバーは、病態によるかまたは本明細書に記載の予測方法の使用による判断で、試料が悪性(濃淡がより濃い)であるかまたは良性(濃淡がより薄い)であるかを指し示している。 本明細書に記載の方法および悪性/良性判別基準を用いて被験甲状腺組織試料を判定するためのシステムの一例の概略図である。
発明の詳細な説明
本発明は、被験甲状腺組織試料が悪性であるかまたは良性であるかを評価するための方法に関する。いくつかの態様においては、選択したマイクロRNAの発現レベルを定量化し、定量化された発現レベルのデータを、悪性甲状腺癌を有する患者の被験甲状腺組織試料から得られ定量化されたマイクロRNA発現レベルの悪性データセット、および/または悪性甲状腺癌を有しない患者の甲状腺組織試料から得られ定量化されたマイクロRNA発現レベルの良性データセットと対比して評価する。いくつかの態様においては、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの発現レベルを、同じマイクロRNAの発現レベルの悪性および/または良性データセットに対して評価する。他の態様においては、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの発現レベルを、同じマイクロRNAの発現レベルの悪性および/または良性データセットに対して評価する。アルゴリズム、プロセッサーおよび/またはコンピューターを使用して、そのような評価を容易にすることができる。
甲状腺組織試料
いくつかの態様においては、試験のために患者から組織試料を得る。そのような組織試料は一般に「被験試料」と称される。本明細書で用いる場合、「被験試料を得ること」には、患者から組織の試料を取り出すこと、患者から組織の試料を受け取ること、医師から患者の組織試料を受け取ること、郵便配達を介して患者の組織試料を受け取ること、および/または貯蔵機器(例えば、冷蔵機もしくは冷凍機)もしくは施設から患者の組織試料を受け取ることが含まれる。したがって、被験試料を得ることには、患者からの直接的な被験試料の取り出しまたは受け取りが含まれうるが、被験試料を得ることには、医療従事者からの、貯蔵機器/施設からの、医療施設より搬送された後の郵便配達サービスからの、およびこれらの任意の組み合わせからの、被験試料の間接的な受け取りも含まれうる。このため、被験試料は、1つの場所に由来してもよく、かつ、それが受け取られかつ試験される別の場所に、搬送されてもよい。これらの活動または活動の組み合わせはいずれも「被験試料を得ること」を含む。
被験甲状腺組織試料、良性甲状腺組織試料および悪性甲状腺組織試料は、利用可能な任意の手順を用いて、患者から収集することができる。例えば、細針吸引または太針生検(coarse needle biopsy)によって甲状腺組織試料を収集することができる。一般に、被験甲状腺組織試料のマイクロRNA発現レベルは、マイクロRNA発現レベルの良性および悪性データセットの基礎材料(basis)として用いられる良性および悪性の甲状腺組織試料に類似した様式で収集される。
いくつかの態様においては、甲状腺組織試料を細針吸引によって収集する。本明細書で用いる場合、「細針吸引」は、細い針、例えば、25ゲージの針によって、個別の甲状腺細胞を有する少数のクラスターを取り出すことを含む。いくつかの甲状腺結節を試料採取および/または収集することができる。いくつかの態様において、複数の甲状腺結節を試料採取する場合には、異なる小結節からの組織を別々に分析する。サイズが最近増大した甲状腺結節は、特に関心対象となると考えられる。細針吸引手順は、細胞病理医による試料細胞の検査および判定(例えば、顕微鏡および/または組織学的手順を用いる)を含みうる。
細針吸引(細胞病理医による試料細胞の顕微鏡検査および判定を含みうる)は、典型的には、症例のおよそ70〜80%において被験甲状腺組織試料の確定的分類を結果的にもたらし、試料の残りの20〜30%は鑑別困難と特徴づけられる(Cooper et al., Management guidelines for patients with thyroid nodules and differentiated thyroid cancer, Thyroid 16:109-42 (2006);Wang and Crapo, The epidemiology of thyroid disease and implications for screening. Endocrinol Metab Clin North Am 26:189-218 (1997))。
このため、細針吸引生検は誤った診断につながる恐れがある。約3パーセントの確率で、生検結果が良性であるが、小結節が実際には癌である場合がある。この過誤は偽陰性結果と呼ばれ、通常、針が癌に直に挿入されていないという事実に起因する。針が小結節を外したか、または針によって良性の小結節領域で試料採取されたかのいずれも、小結節が癌性とはならない。小結節が極めて小さい場合には、針がそれを全く外す可能性がある。その一方で、小結節が大きくなるほど、小結節の一部のみが癌性である可能性があることから、この試料採取の誤りの確率は高くなる。熟練した医師がこれらの生検を実施するほど、小結節を外すか、またはすべての領域を試料採取しなかったというリスクが小さくなる。しかし、これらのリスクが完全になくなることは決してない。
太針生検は、比較的太い針を用いて小結節から甲状腺組織のコアを取り出すことを含む。個々の細胞に関する情報を提供することに加えて、本方法は、細胞間の連結の構築パターンも提供する。あらゆるタイプの小結節に対して実施しうる細針吸引手順とは異なり、太針生検を首尾良く実施するためには、小結節が少なくとも3/4インチでなければならない。いくつかの研究で、太針生検を受けた者は、この種の生検を受けていない者よりも、外科手術が推奨される可能性が低いことが示されている。
一般に、太針生検は実施するのがより困難であり、この手順に熟練した医師は少数である。小結節が頸部の非常に低い場所にあるか、または患者が肥満である場合には、この生検を実施することは技術的観点から困難と考えられる。加えて、針が大きいため、出血のリスク、または気管へのもしくは声帯を制御する神経への傷害のリスクがある(通常は1%未満)。
本明細書に記載した実験は、より簡単で、侵入度がより低い細針吸引手順を試料の収集のために用いた場合に、被験甲状腺組織試料が良性または悪性と正確に同定されることを実証している。
マイクロRNA
マイクロRNA(miRNA)は、長さ19〜23ヌクレオチドの、非コード性の短い一本鎖RNAセグメントである。成熟miRNAはmRNA標的の3'非翻訳領域との配列特異的な相互作用を介して動作し、それによって翻訳の抑制およびmRNA分解を引き起こす(Bartel, Cell 136:215-33 (2009))。
マイクロRNAは、腫瘍抑制遺伝子および癌遺伝子の両方として機能することが示されており、癌分類および予後予測のためにも有用な可能性がある(Wiemer, Eur J Cancer 43:1529-44 (2007))。マイクロRNAは多くの種類のヒト癌で調節不全の状態にあることが報告されている(Gao et al. Endocr J 57:81-86 2010;Menon and Khan J Clin Pathol 62:978-85 (2009);およびNikiforova et al. Endocr Pathol 20:85-91 (2009))。また、He et al, Proc Natl Acad Sci U S A 102:19075-80 (2005);Pallante et al. Endocr Relat Cancer 17:F91-104 (2010);およびSheu et al. Br J Cancer 102:376-82 (2010)も参照されたい。
本明細書に記載した実験は、細針吸引によって試料採取された鑑別困難な甲状腺病変における6種のmiRNAの発現パターンを明らかにしており、かつ、良性甲状腺組織試料と悪性甲状腺組織試料とを鑑別するための手段も提示している。事実、本明細書に記載の方法は、鑑別困難な良性甲状腺病変と鑑別困難な悪性甲状腺病変とを鑑別するのに特にかつ驚くほど有効である。
いくつかの態様においては、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-21 RNA、mir-181a RNA、および/またはmir-146b RNAの発現レベルを、同じマイクロRNAの発現レベルの悪性および/または良性データセットに対して評価する。他の態様においては、鑑別困難な良性甲状腺病変と鑑別困難な悪性甲状腺病変とを鑑別する精度が、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21RNAの発現レベルを、同じマイクロRNAの発現レベルの悪性および/または良性データセットに対して評価することによって改善する。
マイクロRNAの発現レベルは、選択したマイクロRNAと結合するプローブおよび/またはプライマーを用いる、本明細書に記載の手順を含む、当技術分野において利用可能な手順によって評価することができる。そのようなプローブおよびプライマーは、選択したマイクロRNA配列に対して相補的および/または相同であってよい。
さまざまなマイクロRNAの配列が、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)のデータベースから利用可能である(例えば、ncbi.nlm.nih.govのウェブサイトを参照)。例えば、mir-328マイクロRNA(ヒト(Homo sapiens))の核酸配列は、アクセッション番号NR_029887.1(GI:262206326)として利用可能であり、以下にSEQ ID NO:1として転載する。
Figure 2014511677
そのRNA形態では、mir-328は以下の配列(SEQ ID NO:2)を有する。
Figure 2014511677
mir-328は、5'および3'末端からのヌクレオチドの除去によるプロセシングを受けて、ヌクレオチド47〜69の範囲にわたるより短い成熟mir-328マイクロRNA配列が残り、それは以下の配列(SEQ ID NO:3)を有する。
Figure 2014511677
mir-222マイクロRNA(ヒト)の核酸配列はアクセッション番号NR_029636.1(GI:262206346)として利用可能であり、以下にSEQ ID NO:4として転載する。
Figure 2014511677
そのRNA形態では、mir-222は以下の配列(SEQ ID NO:5)を有する。
Figure 2014511677
mir-222は、5'および3'末端からのヌクレオチドの除去によるプロセシングを受けて、ヌクレオチド69〜89の範囲にわたるより短い成熟mir-222マイクロRNA配列が残り、それは以下の配列(SEQ ID NO:6)を有する。
Figure 2014511677
mir-197マイクロRNA(ヒト)の核酸配列はアクセッション番号NR_029583.1(GI:262206094)として利用可能であり、以下にSEQ ID NO:7として転載する。
Figure 2014511677
そのRNA形態では、mir-197は以下の配列(SEQ ID NO:8)を有する。
Figure 2014511677
mir-197は、5'および3'末端からのヌクレオチドの除去によるプロセシングを受けて、ヌクレオチド48〜69の範囲にわたるより短い成熟mir-197マイクロRNA配列が残り、それは以下の配列(SEQ ID NO:9)を有する。
Figure 2014511677
mir-21マイクロRNA(ヒト)の核酸配列はアクセッション番号NR_029493.1(GI:262205659)として利用可能であり、以下にSEQ ID NO:10として転載する。
Figure 2014511677
そのRNA形態では、mir-21は以下の配列(SEQ ID NO:11)を有する。
Figure 2014511677
mir-21は、5'および3'末端からのヌクレオチドの除去によるプロセシングを受けて、ヌクレオチド8〜29の範囲にわたるより短い成熟mir-21マイクロRNA配列が残り、それは以下の配列(SEQ ID NO:12)を有する。
Figure 2014511677
mir-181aマイクロRNA(ヒト)の核酸配列はアクセッション番号NR_029626.1(GI:262206301)として利用可能であり、以下にSEQ ID NO:13として転載する。
Figure 2014511677
そのRNA形態では、mir-181aは以下の配列(SEQ ID NO:14)を有する。
Figure 2014511677
mir-181aは、5'および3'末端からのヌクレオチドの除去によるプロセシングを受けて、ヌクレオチド24〜46の範囲にわたるより短い成熟mir-21マイクロRNA配列が残り、それは以下の配列(SEQ ID NO:15)を有する。
Figure 2014511677
mir-146bマイクロRNA(ヒト)の核酸配列はアクセッション番号NR_030169.1(GI:262205193)として利用可能であり、以下にSEQ ID NO:16として転載する。
Figure 2014511677
そのRNA形態では、mir-146bは以下の配列(SEQ ID NO:17)を有する。
Figure 2014511677
mir-146bは、5'および3'末端からのヌクレオチドの除去によるプロセシングを受けて、ヌクレオチド9〜30の範囲にわたるより短い成熟mir-21マイクロRNA配列が残り、それは以下の配列(SEQ ID NO:18)を有する。
Figure 2014511677
いくつかの態様においては、以下のマイクロRNA配列の発現を、検出および/または定量化した。
Figure 2014511677
しかし、本明細書に記載の方法には、前記のマイクロRNAの任意のものの発現レベルの定量化が含まれる。
RNAの検出および定量化のためのアッセイ法
RNA発現レベルを検出および測定するための、当業者に公知の任意の方法を、本明細書に記載の方法に従って用いることができる。そのような手法の非限定的な例には、マイクロアレイ分析、ノーザンブロット法、ヌクレアーゼ保護アッセイ法、RNAフィンガープリント法、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、Qβレプリカーゼ、等温増幅法、鎖置換増幅、転写に基づく増幅システム、定量的核酸増幅アッセイ法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ法)、逆転写/核酸増幅の併用、ヌクレアーゼ保護(SIヌクレアーゼまたはRNアーゼ保護アッセイ法)、遺伝子発現連続分析(SAGE)、次世代シークエンシング、遺伝子発現マイクロアレイ、ならびに他の方法が含まれる。
ポリヌクレオチドマイクロアレイを用いて、いくつかのマイクロRNAのいずれかが発現されるか否かを同時に測定することができる。一般に、マイクロアレイは、良性/悪性腫瘍に関する、特定の疾患または病状に関する、および特に、疾患または病状の遺伝子型または表現型上の特徴の特定の組み合わせ(すなわち、特定の患者サブセットに関する予後予測のための情報を与えるもの)を有する個体に関する判断のための情報を与える複数のマイクロRNAに対するプローブを含む。
標準的なノーザンブロットアッセイ法を用いて、当業者に公知の従来のノーザンハイブリダイゼーション手法に従って、RNA転写物のサイズ、および試料中のmRNAの相対量を確認することができる。ノーザンブロット法では、変性条件下でのアガロースゲル中での電気泳動によってRNA試料をサイズ別にまず分離する。続いてRNAを、メンブレンに転写させ、架橋させ、かつ、標識プローブとハイブリダイズさせる。ランダムプライミングを行ったか、ニックトランスレーションを行ったか、またはPCRで生成させたDNAプローブ、インビトロで転写させたRNAプローブ、および、オリゴヌクレオチドを含む、非同位体標識プローブまたは高比放射能の放射性標識プローブを用いることができる。さらに、部分的な相同性しかない配列(例えば、異なる種由来のマイクロRNA、または、エクソンを含む可能性があるゲノムDNA断片)をプローブとして用いることもできる。標識プローブは、標識cDNA、完全長の一本鎖標識RNAもしくはDNA、またはそのRNAもしくはDNA配列の標識断片であってよい。
そのようなRNAまたはDNA(またはそれによる断片)は、例えば、それが少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個または少なくとも16個の連続したヌクレオチドの長さである場合には、プローブとして役立てることができる。いくつかの態様において、プローブは、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個または約22個の連続したヌクレオチドの長さである。さらなる態様において、プローブは、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも50個または少なくとも70個の連続したヌクレオチドの長さであってよい。プライマーおよび/またはプローブは、約80個未満、約70個未満、約60個未満、約50個未満、約45個未満、約40個未満、約39個未満、約38個未満、約37個未満、約36個未満、約35個未満、約34個未満、約33個未満、約32個未満、約31個未満または約30個未満の連続したヌクレオチドの長さであってもよい。
プローブは、当業者に公知のさまざまな方法のいずれかによって標識することができる。これらの試験のために最も一般的に使用される標識には、放射性元素、酵素、紫外光を照射すると蛍光を発する化学物質などがある。数多くの蛍光性材料は、公知であり、かつ、標識として用いることができる。これらには、フルオレセイン、ローダミン、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルーおよびルシファーイエローが非限定的に含まれる。放射性標識は、現在利用可能な計数手順の任意のものによって検出することができる。同位体の非限定的な例には、3H、14C、32P、35S、36Ci、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I、および186Reが含まれる。
酵素標識も同様に有用であり、かつ、現在用いられている比色分析法、分光分析法、蛍光分光分析法、電流測定法または気体定量法のいずれかによって検出することができる。酵素は、カルボジイミド類、ジイソシアナート類、グルタルアルデヒドなどのような架橋性分子との反応によって、選択された粒子と結合体化させる。当業者に公知の任意の酵素を利用することができる。そのような酵素の例には、ペルオキシダーゼ、β-D-グルクロニダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼ、およびアルカリホスファターゼが非限定的に含まれる。米国特許第3,654,090号、同第3,850,752号および同第4,016,043号を、代替的な標識材料および方法に関するそれらの開示の例として参照されたい。
リボヌクレアーゼ保護アッセイ法およびS1ヌクレアーゼアッセイ法などのヌクレアーゼ保護アッセイ法を用いて、特定のマイクロRNAを検出および定量化することができる。ヌクレアーゼ保護アッセイ法では、アンチセンスプローブ(放射性標識または非同位体などで標識)を、溶液中でRNA試料とハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの後に、ハイブリダイズしなかった一本鎖のプローブおよびRNAをヌクレアーゼによって分解させる。アクリルアミドゲルを用いて、残った保護された断片を分離する。典型的には、溶液ハイブリダイゼーションは、メンブレンを用いるハイブリダイゼーションよりも効率が高く、かつ、それは、ブロットハイブリダイゼーションでは20〜30μgが最大であるのに対して、最大で100μgの試料RNAに対応することができる。
リボヌクレアーゼ保護アッセイ法ではRNAプローブを使用する。S1ヌクレアーゼを含むアッセイ法で用いうるのは、オリゴヌクレオチドおよび他の一本鎖DNAプローブのみである。一本鎖のアンチセンスプローブは、典型的には、プローブ:標的ハイブリッドのヌクレアーゼによる切断を防ぐために、標的RNAに対して完全に相同でなければならない。
例えば、Velculescu et al., 1995, Science 270:484-7;Carulli, et al., 1998, Journal of Cellular Biochemistry Supplements 30/31:286-96に記載されている遺伝子発現連続分析(SAGE)を、細胞試料中のRNA存在量を決定するために用いることもできる。
定量的逆転写酵素PCR(qRT-PCR)を用いて、マイクロRNA遺伝子の発現プロファイルを決定することもできる(例えば、米国特許出願公開第2005/0048542A1号を参照)。RT-PCRによる遺伝子発現プロファイリングにおける最初の段階は、RNAテンプレートのcDNAへの逆転写と、それに続くPCR反応におけるその指数的増幅である。最も一般的に用いられる逆転写酵素には、トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV-RT)およびモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MLV-RT)の2つがある。逆転写の段階は、典型的には、発現プロファイリングの状況および目標に応じて、特異的プライマー、ランダムヘキサマーまたはオリゴ-dTプライマーを用いてプライミングされる。例えば、抽出されたRNAを、GeneAmp RNA PCRキット(Perkin Elmer, Calif., USA)を製造者の指示に従って用いて逆転写させることができる。続いて、導き出されたcDNAを、その後のPCR反応におけるテンプレートとして用いることができる。
PCRの段階には種々の耐熱性DNA依存性DNAポリメラーゼを用いうるが、一般的に使用されるポリメラーゼには、5'-3'ヌクレアーゼ活性を有するが3'-5'プルーフリーディングエンドヌクレアーゼ活性は有しないTaq DNAポリメラーゼが含まれる。TaqMan(登録商標)PCRでは、典型的には、TaqまたはTthポリメラーゼ5'-ヌクレアーゼ活性を用いて、その標的アンプリコンに結合したハイブリダイゼーションプローブを加水分解するが、類似のまたは同等な5'ヌクレアーゼ活性を有する任意の酵素を用いることができる。2種のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCR反応に典型的なアンプリコンを生成させる。第3のオリゴヌクレオチドまたはプローブは、2つのPCRプライマーの間に位置するヌクレオチド配列を検出するように設計される。このプローブは、Taq DNAポリメラーゼ酵素による伸長を受けず、レポーター蛍光色素およびクエンチャー蛍光色素によって標識されている。レポーター色素からの任意のレーザー誘起発光は、2つの色素がプローブ上にある時に近接して位置する場合にはクエンチング色素によってクエンチングされる。増幅反応の間に、TaqDNAポリメラーゼ酵素はプローブをテンプレート依存的な様式で切断する。その結果生じたプローブ断片は溶液中で解離し、かつ、放出されたレポーター色素からのシグナルは第2のフルオロフォアのクエンチング作用を免れる。新たな分子が合成されるたびにレポーター色素の1つの分子が遊離し、クエンチングを受けないレポーター色素の検出により、データの定量的解釈のための基礎材料が供給される。
TaqMan(登録商標)RT-PCRは、例えば、ABI PRISM 7700(商標). Sequence Detection System(商標)(Perkin-Elmer-Applied Biosystems, Foster City, Calif., USA)またはLightcycler(Roche Molecular Biochemicals, Manheim, Germany)などの市販の装置を用いて実施することができる。1つの態様では、5'ヌクレアーゼ処理を、ABI PRISM 7700(商標)Sequence Detection System(商標)などのリアルタイム定量的PCR装置で実行する。このシステムは、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラおよびコンピューターからなる。このシステムは、装置を動作させるため、およびデータを分析するためのソフトウェアを備える。
いくつかの態様において、定量的RT-PCRアッセイ法のデータはCt値として提示され、これはΔCt閾値とも称される。ΔCt(サイクル閾値)は、蛍光性シグナルが検出可能閾値を超えるために必要なサイクル数として定義される。ΔCtは、RNAの量がバックグラウンドレベルを上回る時点の目安である。Ct閾値レベルは、試料中の標的核酸の量に反比例する(すなわち、Ct閾値が低いほど、試料中の標的核酸の量は多い)。蛍光値をすべてのサイクル中に記録するが、それは増幅反応においてその箇所で増幅された産物の量を表す。蛍光シグナルが統計的に有意であると最初に記録された時の箇所が閾値サイクル(ΔCt)である。
誤差および試料間変動の影響を最小限に抑えるために、RT-PCRは通常、内部標準を用いて実施される。理想的な内部標準は、異なる組織間で一定のレベルで発現され、かつ、実験処置によって影響されない。遺伝子発現のパターンを正規化するために最もよく用いられるRNAは、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド-3-リン酸-デヒドロゲナーゼ(GAPDH)およびβ-アクチンのmRNAである。
RT-PCR手法のより最近の種類の1つにはリアルタイム定量的PCRがあり、これは二重標識された蛍光発生プローブ(すなわち、TaqMan(登録商標)プローブ)によってPCR産物の蓄積を測定する。リアルタイムPCRは、正規化のために各標的配列に対する内部競合物を用いる定量的競合PCRと、試料中に含まれる正規化遺伝子、またはRT-PCR用のハウスキーピング遺伝子を用いる定量的比較PCRとの両方に適合性がある。それ以上の詳細については、例えば、Held et al, Genome Research 6:986-994 (1996)を参照されたい。
被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定する方法
本明細書で述べたとおり、本発明は、被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定する方法を含む。そのような方法は、
a.少なくとも1つの被験試料発現レベルを得るために、被験甲状腺組織試料における以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAのうちの少なくとも1つの定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階;
b.該少なくとも1つの被験試料発現レベルを悪性甲状腺データセットとおよび良性甲状腺データセットと比較する段階;
c.該悪性甲状腺データセット内または該良性甲状腺データセット内に該少なくとも1つの被験試料発現レベルが統計的に有意に存在するか否かを判断して、それによって該被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定する段階
を含むことができ、該悪性甲状腺データセットは、悪性甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;かつ、該良性甲状腺データセットは、良性の、健康なかつ/または非癌性の甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合である。
いくつかの態様においては、以下の4種のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAについて発現レベルを定量化する。これらの4種のmiRNAはすべて、細胞周期制御または細胞増殖にある程度関与すると考えられる。マイクロRNA-222は、G1-S期の細胞周期進行を阻害して細胞増殖のチェックポイントとしての役を果たすp27kip1(サイクリン依存性キナーゼ阻害因子)を調節することが示されている(Visone et al., Endocr Relat Cancer 14:791-798 (2007))(18)。マイクロRNA 197および328は、細胞増殖およびアポトーシスに関与する種々の遺伝子を標的とすると考えられる(Weber et al., J Clin Endocrinol Metab 91:3584-91 (2006))。マイクロRNA 21は、重要な細胞周期チェックポイント調節因子をコードするmRNAを標的とすると考えられ、また、RAS突然変異を保有する甲状腺腫瘍および肺腫瘍では上方制御されると考えられる(Frezzetti et al., Oncogene (2010);Jazdzewski et al., J Clin Endocrinol Metab (2010))。
本明細書で用いる場合、「悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否かを判断すること」という句は、いくつかの態様において、被験データセット発現レベルの実際の測定、すなわち、患者由来の被験甲状腺組織試料におけるmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの発現レベルを定量化し、続いて悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内にそれらの被験データセット発現レベルが有意に(例えば、統計的に有意に)存在するか否かを判定することを含む。他の態様において、「悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否かを判断すること」という句は、別の人または実体にそのような測定を行うように指示することによって被験データセット発現レベルの測定値を得て、続いて悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内にそれらの被験データセット発現レベルが有意に(例えば、統計的に有意に)存在するか否かを判定することを含む。さらなる態様において、悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否かを判断すること」という句は、別の人または実体にそのような測定を行うように指示することによって被験データセット発現レベルの測定値を得て、それらの被験データセット発現レベルが悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に有意に(例えば、統計的に有意に)存在するかを他の人または実体に判定してもらうことを含む。他の(第2の)人または実体は、続いて、判断および/または判定を要請した人または実体に報告する。このように、判断の段階は、1人の人もしくは1つの実体によって直接実施されてもよいか;または代替的に、判断の段階は、第1の人または実体の要請を受けて活動する第2の人もしくは実体によって間接的に実施されてもよい。第1の人または実体は、悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に被験データセット発現レベルが有意に(例えば、統計的に有意に)存在するか否かを判定することができる。または、第1の人または実体は、悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に被験データセット発現レベルが有意に(例えば、統計的に有意に)存在するか否かを判定するために、第2の人または実体に指示することもできる。
本明細書に記載した実験は、本発明者らの方法が、細針吸引によって得られた鑑別困難な良性病変と鑑別困難な悪性病変とを特異度86%で正確に鑑別することを実証している。ハースル細胞新生物をデータセットから除外したところ、特異度は95%に向上した。
細胞に関する当業者は、利用可能な細胞学的、細胞病理学的および/または組織学的手順によって、ハースル細胞新生物を容易に認識することができる。例えば、ハースル細胞新生物の細胞学的特徴には、ハースル細胞が優位(通常は75%超)である細胞過多、リンパ球が少数であるかまたは全くないこと、および、膠質が乏しいかまたは存在しないことが含まれる。ハースル細胞は典型的には大型で多角形の形状であり、細胞境界は不明瞭である。それらはヘマトキシリン・エオシン染色で、大きな多形性の多染性核、顕著な核小体、および濃い桃色の微粒子状の細胞質を有する。
mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 miRNAの一団を用いる本明細書に記載の方法は、鑑別困難な細針吸引甲状腺病変の悪性病態に対する感度が本質的に100%である。したがって、本明細書に記載の手順によって悪性腫瘍が予想される場合には、甲状腺全摘出術を推奨するのが妥当であると考えられる。その上、本明細書に記載の方法は、鑑別困難な病変の良性病態に対する予測度も95%である(ハースル細胞病変を除外した場合)。偽陰性結果のリスクが低いこと(鑑別困難な病変に対して約5%に過ぎない)を考慮すると、固有のリスクおよび費用を伴う診断用甲状腺半切除術を、患者において大半の場合に避けることができる。その代わりに、医師は病変のモニタリング、または後日のさらなる試験を推奨することができる。
以前には、細針吸引試料の20〜30%は鑑別困難と特徴づけられ、かつ、そのような「鑑別困難な」患者の多くは、必要ではない可能性のある外科手術を受けることになった。
要約すると、本発明者らは、鑑別困難な悪性FNA甲状腺病変と鑑別困難な良性FNA甲状腺病変とを鑑別することに関して感度が100%でありかつ特異度が86%である、4種のmiRNA(miR-222、328、197および21)を用いる予測方法を開発した。ハースル細胞新生物を分析から除外したところ、このモデルの特異度は95%に、全体的精度は97%に向上し、悪性病変に対する感度は100%に保たれた。
毎日の診療に4種〜6種のmiRNAの一団を用いる本明細書に記載の方法の使用は、実際的かつ実行可能であり、かつ、miRNA発現レベルを定量化して本明細書に記載したとおりの統計分析を分類のために用いることによって容易かつ迅速なやり方で実施することができる。例えば、そのような方法のいずれかに基づく良性/悪性予測器を、悪性および良性患者のマイクロRNA発現レベルを訓練データセットとして用いて構築することができる。そのような良性/悪性予測器は、続いて、患者から得られた甲状腺被験組織試料におけるさまざまなマイクロRNAの発現レベルに基づいて、患者が悪性または良性の甲状腺癌を有するか否かを判断するために用いることができる。
例えば、以下の表Aは、悪性(M)および良性(B)と確定された甲状腺組織を有する患者由来の組織試料におけるさまざまなマイクロRNAの発現に関するΔCt閾値の値を示している。これらの値は、統計分析および統計的訓練の目的に、それぞれ悪性データセットおよび良性データセットとして役立てることができる。
(表A)例示的な悪性データセットおよび良性データセット
Figure 2014511677
人工的ニューラルネットワーク
いくつかの態様においては、良性/悪性予測器にニューラルネットワークを用いる。ニューラルネットワークは、マイクロRNA発現レベルの1つまたは複数のデータセットから構築することができる。ニューラルネットワークは2段階の回帰モデルまたは分類モデルであってよい。ニューラルネットワークは、3つまたはそれ以上の変数の多次元分析を容易にするアルゴリズムであってよい。ニューラルネットワークは、入力ユニットの層(およびバイアス)に重みの層が接続されて出力ユニットの層に至るものを含む層構造を有しうる。回帰の場合、出力ユニットの層は典型的には1つの出力ユニットのみを含む。しかし、ニューラルネットワークは複数の定量的応答を途切れのない様式で取り扱うことができる。
多層ニューラルネットワークには、入力ユニット(入力層)、隠れユニット(隠れ層)および出力ユニット(出力層)がある。その上、入力ユニット以外の各ユニットに接続された単一のバイアスユニットも存在する。ニューラルネットワークは、Duda et al., 2001, Pattern Classification, Second Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York;およびHastie et al., 2001, The Elements of Statistical Learning, Springer-Verlag, New Yorkに記載されている。
ニューラルネットワークの使用のための基本的アプローチは、未訓練データセットで開始し、例えば、訓練用患者からのマイクロRNA発現レベルにおける訓練パターンをネットを通して入力層およびパスシグナルに提示し、かつ、出力層において、出力、例えば(訓練用)患者の悪性腫瘍/良性状態を判断するための基準を決定することである。続いて、これらの出力を標的値と比較する。いずれの差も誤差に対応する。この誤差または基準関数は、重みの何らかのスカラー関数であり、ネットワーク出力が所望の出力と一致する場合に最小化される。このため、この誤差の尺度が減少するように重みを調整する。回帰の場合、この誤差は誤差平方和でありうる。分類の場合、この誤差は平方誤差またはクロスエントロピー(偏差)のいずれかでありうる。例えば、Hastie et al., 2001, The Elements of Statistical Learning, Springer-Verlag, New Yorkを参照。
一般的に用いられる3つの訓練プロトコールは、確率的、バッチ、およびオンラインである。確率的訓練では、訓練セットからパターンをランダムに選択して、ネットワークの重みを各パターン提示のたびに更新する。確率的逆伝播法などの勾配降下法によって訓練された多層非線形ネットワークは、ネットワークトポロジーによって規定されるモデルにおける重み値の最尤推定を行う。バッチ訓練では、学習を行う前に、すべてのパターンをネットワークに提示する。典型的には、バッチ訓練では、いくつかのパスを訓練データによって作成する。オンライン訓練では、各パターンを1回ずつ、1回のみネットに提示する。
いくつかの態様においては、重みの出発値について考慮する。重みがゼロに近い場合には、ニューラルネットワークの隠れ層に一般的に用いられるシグモイドの有効部分(例えば、Hastie et al., 2001, The Elements of Statistical Learning, Springer-Verlag, New Yorkを参照)は大まかに線形であり、それ故、ニューラルネットワークはおよそ線形的なモデルに収まる。いくつかの態様において、重みの出発値はゼロに近いランダムな値であるように選ばれる。それ故、モデルは、ほぼ線形から始まり、重みが増すにつれて非線形となる。必要であれば、個々のユニットを諸方向に局在させて、非線形性を導入する。正確にゼロの重みを用いると、ゼロ導関数および完全対称性が導かれ、アルゴリズムは決して動かない。代替的に、より大きな重みで出発すると、解が不十分となることが多い。
入力のスケーリングは最下層での重みの有効なスケーリングを決定づけるため、これは最終解の品質に対して大きな影響を及ぼしうる。したがって、いくつかの態様においては、最初にすべての発現値を、平均値がゼロで標準偏差が1となるように標準化する。これにより、すべての入力が正則化過程において確実に同等に処理され、ランダムな出発重みに対して意味のある範囲を選択することが可能になる。標準化入力では、範囲[-0.7、+0.7]にわたってランダムで均一な重みづけを行うことが典型的である。
隠れ層を有するネットワークの使用において頻発する問題は、ネットワークに用いる隠れユニットの最適な数である。ネットワークの入力および出力の数は、解決しようとする問題によって決まる。本発明において、所与のニューラルネットワークに関する入力の数は、データセット中のマイクロRNAマーカーの数であってよい。ニューラルネットワークに関する出力状態の数は、典型的には1つのみであると考えられる。しかし、いくつかの態様においては、2つだけの状態ではなくそれを上回る状態がネットワークによって規定されうるように複数の出力を用いる。ニューラルネットワークにあまりにも多くの隠れユニットを用いる場合にはネットワークの自由度が大きくなりすぎると考えられ、かつ、あまりにも長く訓練する場合にはネットワークがデータに過剰に適合する恐れがある。隠れユニットがあまりに少ない場合には訓練セットは学習することができない。しかし、一般的に言えば、隠れユニットが多すぎる方が少なすぎるよりもよい。隠れユニットがあまりにも少ないと、モデルはデータに非線形性を獲得するのに十分な柔軟性を有しない可能性がある。隠れユニットがあまりにも多い場合には、以下に述べるとおりに適切な正則化または枝刈りを用いると、余分な重みをゼロに向けて縮小させることができる。典型的な態様において、隠れユニットの数は4〜100の範囲のどれかであり、その数は入力の数および訓練ケースの数とともに増加する。
用いる隠れユニットの数を決定するための一般的なアプローチの1つは、正則化アプローチを適用することである。正則化アプローチでは、新たな基準関数が、古典的な訓練誤差だけでなく識別器(classifier)の複雑度にも応じて構築される。具体的には、新たな基準関数は高度に複雑なモデルにペナルティを与える。この基準における最小の検索は、訓練セット上の誤差と、訓練セット上の誤差に、解:
Figure 2014511677
の拘束条件または望ましい特性を表す正則化項を加えたものとのバランスをとることである。
パラメーターλは、いくらか強めに正則化を課すように調整される。言い換えると、λの値が大きいほど、重みはゼロに向けて縮小する傾向がある。典型的には、λの推定には検証セットによる交差検証が用いられる。この検証セットは訓練集団のランダムなサブセットを取りのけておくことによって得られうる。また、他の形態のペナルティ、例えば重み除去ペナルティを用いることもできる(例えば、Hastie et al., 2001, The Elements of Statistical Learning, Springer- Verlag, New Yorkを参照)。
用いる隠れユニットの数を決定するための別のアプローチは、最小限必要な重みを除去すること、すなわち枝切りを行うことである。1つのアプローチでは、最小の大きさの重みを除去する(ゼロに設定する)。そのような大きさに基づく枝切りは、機能はしうるが最適ではない。時には、わずかな大きさの重みが学習および訓練データにとって重要なことがある。いくつかの態様においては、大きさに基づく枝切りアプローチを用いるのではなく、Wald統計値をコンピューターで計算する。Wald統計値における基本的な考えは、モデルにおける隠れユニット(重み)の重要性を推定するためにこれらを用いうるということである。続いて、重要性が最小である隠れユニットを(これらの入力および出力の重みをゼロに設定することにより)除去する。これに関連したアルゴリズムには、最適脳損傷(Optimal Brain Damage)(OBD)アルゴリズムおよび最適脳外科手術医(Optimal Brain Surgeon)(OBS)アルゴリズムの2つがあり、これらは、訓練誤差が重みにどの程度依存するかを二次近似値を用いて予測し、訓練誤差の最小の増加をもたらす重みを除去する。
最適脳損傷および最適脳外科手術医は、重みwで極小誤差となるようにネットワークを訓練し、続いて訓練誤差の最小の増加をもたらす重みを枝切りするという共通の基本的アプローチを有する。全重みベクトルδwの変化に対して予想される誤差の関数増大は、
Figure 2014511677
であり、式中、
Figure 2014511677
は、ヘッセ行列である。本発明者らは誤差の極小にあるので、第1項は消去され;第3項およびより高次の項は無視される。1つの重みを削除するという拘束条件下でこの関数を最小化するための一般解は、
Figure 2014511677
である。
ここで、uqは重み空間においてq番目の方向に沿った単位ベクトルであり、Lqは、重みqの顕著度(saliency)に対する近似値、つまり、重みqが枝切りされかつ他の重みがδwを更新した場合の、訓練誤差の増大である。これらの方程式は、
Figure 2014511677
の逆数を必要とする。この逆行列を算出するための1つの方法は、小さな値、
Figure 2014511677
で開始することであり、式中、αは、小さなパラメーター、つまり、事実上は重み定数である。次に、行列を、
Figure 2014511677
に従って各パターンで更新するが、式中、添字は提示されるパターンに対応し、amはmとともに減少する。全訓練セットを提示した後に、ヘッセ行列の逆行列がH-1=Hn -1によって与えられる。アルゴリズムの形では、最適脳外科手術医法は、
Figure 2014511677
である。
第3行目における逆ヘッセ行列の算出は、特に対角行列にとっては簡単であるので、最適脳損傷法の方がコンピューター計算上はより簡単である。上記のアルゴリズムは、θであるように初期化された基準を誤差が上回った時点で終了する。別のアプローチでは、重みの除去が原因でJ(w)の変化が何らかの基準値を上回った時点で、第6行目を終了するように変更する。
いくつかの態様においては、EasyNN-Plusバージョン4.0gソフトウェアパッケージ(Neural Planner Software Inc.)に見られる、10個のニューロン(10個の隠れユニット)の1つの隠れ層を含む逆伝播ニューラルネットワーク(例えば、Abdi, 1994, "A neural network primer," J. Biol System. 2, 247-283を参照)を用いる。1つの具体例では、EasyNN-Plusプログラム内のパラメーター値を以下の通りに設定する:学習速度0.05、およびモメンタム0.2。EasyNN-Plusバージョン4.0gソフトウェアパッケージを用いるいくつかの態様においては、それぞれ20,000回の学習サイクルを含む独立のシード試行(independently-seeded trial)を20回実施することによって、「外れ値」試料を同定する。
サポートベクトルマシン
本発明のいくつかの態様においては、サポートベクトルマシン(SVM)を用いて、本発明に記載のマーカー遺伝子の発現プロファイルを用いて対象を分類する。SVMの一般的な説明は、例えば、Cristianini and Shawe-Taylor, 2000, An Introduction to Support Vector Machines, Cambridge University Press, Cambridge, Boser et al., 1992, "A training algorithm for optimal margin classifiers, in Proceedings of the 5th Annual ACM Workshop on Computational Learning Theory, ACM Press, Pittsburgh, Pa., pp. 142-152;Vapnik, 1998, Statistical Learning Theory, Wiley, New York;Duda, Pattern Classification, Second Edition, 2001, John Wiley & Sons, Inc.;Hastie, 2001, The Elements of Statistical Learning, Springer, New York;およびFurey et al., 2000, Bioinformatics 16, 906-914にあり、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に明確に組み入れられる。生物学的用途へのSVMの応用は、Jaakkola et al., Proceedings of the 7th International Conference on Intelligent Systems or Molecular Biology, AAAI Press, Menlo Park, Calif. (1999);Brown et al, Proc. Natl. Acad. Sci. 97(l):262-67 (2000);Zien et al, Bioinformatics, 16(9):799-807 (2000);Furey et al, Bioinformatics, 16(10):906-914 (2000)に記載されている。
1つのアプローチでは、SVMを用いる場合に、遺伝子発現データを平均値ゼロおよび単位分散となるように標準化して、訓練集団のメンバーを訓練セットと試験セットにランダムに分ける。例えば、1つの態様においては、訓練集団のメンバーの3分の2を訓練セットに入れ、訓練集団のメンバーの3分の1を被験セットに入れる。選択したマイクロRNAのセットに関する発現値を用いてSVMを訓練する。続いて、訓練したSVMが被験セット中のメンバーを正しく分類する能力を判断する。いくつかの態様においては、このコンピューター計算を、選択したマイクロRNAの所与の組み合わせに対して数回実施する。コンピューター計算の各繰り返しにおいて、訓練集団のメンバーを訓練セットおよび被験セットにランダムに割り当てる。続いて、分子マーカーの組み合わせの品質を、SVMコンピューター計算のそのような各繰り返しの平均として求める。
サポートベクトルマシンは、バイナリー標識した訓練データの所与のセットを高次元特徴空間にマッピングし、最大マージンの超平面によって2つのクラスのデータを分離する。一般に、この超平面は入力空間における非線形決定境界に相当する。
Figure 2014511677
を入力ベクトルとし、yε{-1,+1}を標識とし、φ:R0→Fを入力空間から特徴空間へのマッピングとする。続いて、SVM学習アルゴリズムは、量
Figure 2014511677
が最大であるような超平面(w,b)を見いだし、式中、ベクトルwはFと同じ次元を有し、bは実数であり、γはマージンと呼ばれる。対応する決定関数は、その場合、
Figure 2014511677
である。
この最小は、
Figure 2014511677
である場合に生じ、
式中、
Figure 2014511677
を条件として、{αi}は、
Figure 2014511677
を最大化する正の実数である。
決定関数は、
Figure 2014511677
として同等に表すことができる。
この方程式から、訓練ポイント
Figure 2014511677
に伴うαiは、そのポイントが最終的な決定関数に組み込まれる強度を表すことが見てとれる。この代替的な表示の顕著な性質は、これらのポイントのサブセットのみが非ゼロのαiを伴うと考えられることである。これらのポイントは、サポートベクトルと呼ばれ、分離を行う超空間の最も近くに位置するポイントである。αベクトルのまばらさにより、コンピューター計算上および学習理論上のいくつかの帰結がもたらされる。重要なこととして注目されるのは、学習アルゴリズムも決定関数も、特徴空間におけるポイントの写像
Figure 2014511677
を明示的に表すために必要でないことであり、これはこの両者がそのような写像の内積φ(Xi),φ(Xj)のみを用いているためである。それ故に、関数
Figure 2014511677
が与えられる場合には、マッピングを明示的に実施しなくとも、特徴空間における最大マージンの超空間を学習して用いることが可能と考えられる。連続したそれぞれの正定関数
Figure 2014511677
に対して、すべての
Figure 2014511677
に対して
Figure 2014511677
であるようなマッピングφが存在する(マーセルの定理)。
関数
Figure 2014511677
はカーネル関数と呼ばれる。カーネル関数を用いると、その空間の次元による悪影響を受けることなく、サポートベクトルマシンを非線形高次元特徴空間で効率的に動作させることができる。事実、無限次元の特徴空間で作動させることが可能である。さらに、マーセルの定理により、φおよびFを知らなくても、特徴空間において学習することが可能である。行列
Figure 2014511677
はカーネル行列と呼ばれる。なお、この学習アルゴリズムは大域最適性のみを有する2次最適化問題であることに留意されたい。極小の不在が、ニューラルネットワークなどの標準的なパターン認識手法との大きな違いである。中程度の標本サイズの場合、最適化問題は単純な傾斜降下手法によって解決しうる。ノイズの存在下では、上記の標準的な最大マージンアルゴリズムは過剰適合を受ける恐れがあるため、より洗練された手法を用いるべきである。この問題は、最大マージンアルゴリズムは常に完全に一致する仮定を見いだし、学習誤差を許容しないことから生じる。しかし、時には、より優れた予測力のために、ある程度の訓練精度を代償にすることが必要なこともある。訓練誤差を許容する必要性により、ソフトマージンおよびマージン分布識別器が開発されるに至った。これらの手法の1つでは、決定フェーズで標準的なカーネル関数を用い続けながら、以下の通りのカーネル行列:
Figure 2014511677
を代用することができる。λを調節することによって訓練誤差を制御することができ、λを適切に選択することで初見のポイントを誤分類するリスクを減少させられることを立証することが可能である。
全体的な訓練誤差を制御する代わりに偽陽性と偽陰性との間のトレードオフを制御したい場合には、Kを以下の通りに修正することが可能である:
Figure 2014511677
。式中、Dは、正例および負例に対応する位置でその項目がd+またはd-のいずれかである対角行列である。この手法は、クラスのサイズに依存する様式でαiのサイズを制御して、dがより小さいクラスにはより大きいαiに対するバイアスを導入することと等価であることを立証することができる。これはひいては非対称的マージンにも相当する。すなわち、dがより小さいクラスは決定境界からさらに隔たって保たれると考えられる。場合によっては、2つのクラスの極度の不均衡さにノイズの存在が伴うことにより、少数クラスからのポイントが誤標識されたポイントと間違えられやすくなる状況が生み出される。少数クラスにおける訓練誤差に対して強いバイアスを加えることにより、そのような誤差に対する保護が提供され、正例サポートベクトルをSVMに作らせることができる。すなわち、
Figure 2014511677
および
Figure 2014511677
を選択することにより、2つのクラスの相対的重要性をそれぞれの基数に基づいて自動的に調整するための発見的方法が提供される。この手法は、感度と特異度との間のトレードオフを有効に制御する。
本明細書に記載された方法に線形カーネルを用いることができる。2つのマーカープロファイル
Figure 2014511677
の間の類似性は、内積
Figure 2014511677
であってよい。1つの態様において、カーネルは、
Figure 2014511677
である。
別の態様においては、次数dのカーネル
Figure 2014511677
が用いられ、式中、dは2またはそれ以上の整数であってよい(例えば、2、3、4、5、...)。
さらに別の態様においては、ガウスカーネル
Figure 2014511677
を用いることができ、式中、σはガウスの幅である。
さらなる態様において、カーネル関数は、以下に示す動径基底カーネル関数:
Figure 2014511677
であってよく、式中、γ>0であり、かつ、xiおよびxjは、病変を記述する発現値を含むベクトルである。γパラメーターはRBF関数の形状を指定する。訓練誤差の許容と厳格な分類マージンの強制との間のトレードオフを制御するコストパラメーターを使用することができる。コストパラメーターは、ある程度の誤分類を許容するソフトマージンを効果的に作成し、したがって、より一般化しうる識別器が可能となる。
例えば、約0.1〜4.0の範囲にわたる動径基底カーネル(γ)を使用することができる。いくつかの態様においては、約20〜約150のコストパラメーターを使用することができる。他の態様において、動径基底カーネルγ変数は、約0.2から約3.0まで、または約0.3から約2.0まで、または約0.35から約1.0まで、または約0.4から約0.8まで、または約0.45から約0.6までの範囲にわたる。さらなる態様において、コストパラメーター変数は、約25から約140まで、または約30から約120まで、または約40から約100まで、または約45から約90まで、または約50から約80まで、または約55から約75まで、または約60から約70まで、または約61から約68まで、または約62から約67まで、または約63から約66まで、または約63から約65までの範囲にわたる。本明細書で例証されているとおり、動径基底カーネルγ変数が約0.5でコスト変数が約64であるサポートベクトルマシンアルゴリズムにより、悪性病変と良性病変とを判別する、4種のマイクロRNAに関するΔCT閾値の組み合わせがもたらされた。
コンピューターシステム
本発明はまた、プロセッサーと、プロセッサーに連結されかつ1つまたは複数のプログラムをコードするメモリーとを備えるシステムも提供し、該1つまたは複数のプログラムがプロセッサーに上記の方法を実行させる。例えば、図2を参照。
本発明はまた、プロセッサーとプロセッサーに接続されたメモリーとを有するコンピューターとともに用いるためのコンピュータープログラム製品をさらに提供し、該コンピュータープログラム製品は、コンピュータープログラム機構がコードされているコンピューター可読記憶媒体を備え、該コンピュータープログラム機構は、該コンピューターの該メモリーにロードされて、該コンピューターに上記の方法を実行させることができる。
例えば、図2は、本明細書に記載の方法を実施するためのシステムを図解しており、そのようなシステムは、(i)多変量悪性データセットと多変量良性データセットとを記憶する、メモリーデバイス、ならびに(ii)悪性甲状腺病変と良性甲状腺病変とを判別する1つまたは複数の判別値を算出することができ、かつ、定量化された被験組織試料miRNA発現レベルを判定して該被験組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判断することができる、プロセッサーデバイスを備えうる。
本システムは、メモリーデバイスおよびプロセッサーの両方を備えうる。
他の態様において、メモリーデバイスはプロセッサーと別々であってもよい。例えば、メモリーデバイスは、プロセッサーとプロセッサーに接続されたメモリーとを有するコンピューターとともに用いるためのコンピュータープログラム製品であってよい。コンピュータープログラム製品は、コンピュータープログラム機構がコードされているコンピューター可読記憶媒体を備えることができ、該コンピュータープログラム機構は、コンピューターのメモリーにロードされて、該コンピューターに本発明の方法のいずれかを実行させることができる。コンピュータープログラム製品は多変量悪性データセットおよび多変量良性データセットを備えうる。
治療法
本明細書に記載の方法は、甲状腺癌患者が外科手術または化学療法などの治療による利益を受けるか否かを判断するために用いることができる。例えば、本発明の1つの局面は、患者由来の被験組織試料が悪性細胞または良性細胞を有するか否かを判断することによって、甲状腺癌患者を外科手術または化学療法によって治療すべきか否かを判断するための方法である。患者の被験組織試料が悪性癌細胞を有する場合には、患者は、甲状腺組織の除去のための外科手術を受けてよい、かつ/または化学療法を受けてよいと考えられる。
患者が化学療法による利益を受ける可能性が高い者であると判断された場合には、適した化学療法レジメンをその患者に処方することができる。化学療法は、任意の放射性薬物、トポイソメラーゼ阻害薬、DNA結合剤、代謝拮抗剤、電離放射線、またはそのような公知のDNA傷害因子のうちの2つもしくはそれ以上の組み合わせを非限定的に含む、当技術分野において公知の抗癌薬のうちのいずれか1つまたはそれらの組み合わせを用いて実施することができる。いくつかの態様において、抗癌剤は放射性ヨウ素である。
本発明とともに用いうるトポイソメラーゼ阻害薬は、例えば、トポイソメラーゼI(Topo I)阻害薬、トポイソメラーゼII(Topo II)阻害薬、またはトポイソメラーゼIおよびIIの二重阻害薬であってよい。topo I阻害薬は、以下の化合物クラスのいずれかからであってよい:カンプトテシン類似体(例えば、カレニテシン、アミノカンプトテシン、ラルトテカン、トポテカン、イリノテカン、BAY 56-3722、ルビテカン、GI14721、メシル酸エキサテカン)、レベッカマイシン類似体、PNU 166148、レベッカマイシン、TAS-103、カンプトテシン(例えば、ポリグルタミン酸カンプトテシン、カンプトテシンナトリウム)、イントプリシン、エクチナサイジン743、J-107088、ピベンジモール。好ましいtopo I阻害薬の例には、カンプトテシン、トポテカン(ヒカプタミン)、イリノテカン(塩酸イリノテカン)、ベロテカン、またはそれらの類似体もしくは誘導体が非限定的に含まれる。
本発明とともに用いうるtopo II阻害薬は、例えば、以下の化合物クラスのいずれかからであってよい:アントラサイクリン系抗生物質(例えば、カルビシン、ピラルビシン、クエン酸ダウノルビシンリポソーム、ダウノマイシン、4-ヨード-4-ドキシドキソルビシン(4-iodo-4-doxydoxorubicin)、ドキソルビシン、n,n-ジベンジルダウノマイシン、モルホリノドキソルビシン、アクラシノマイシン系抗生物質、デュボリマイシン、メノガリル、ノガラマイシン、ゾルビシン、エピルビシン、マルセロマイシン、デトルビシン、アンナマイシン、7-シアノキノカルシロール(7-cyanoquinocarcinol)、デオキシドキソルビシン、イダルビシン、GPX-100、MEN-10755、バルルビシン、KRN5500)、エピポドフィロトキシン化合物(例えば、ポドフィリン、テニポシド、エトポシド、GL331、2-エチルヒドラジド)、アントラキノン化合物(例えば、アメタントロン、ビサントレン、ミトキサントロン、アントラキノン)、シプロフロキサシン、アクリジンカルボキサミド、アモナファイド、アントラピラゾール系抗生物質(例えば、テロキサントロン、セドキサントロン三塩酸、ピロキサントロン、アントラピラゾール、ロソキサントロン)、TAS-103、フォストリエシン、ラゾキサン、XK469R、XK469、クロロキノキサリンスルホンアミド、メルバロン、イントプリシン、エルサミトルシン、CI-921、ピラゾロアクリジン、エリプチニウム、アムサクリン。好ましいtopo II阻害薬の例には、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、リン酸エトポシド(エトポフォス(etopofos))、テニポシド、ソブゾキサン、またはそれらの類似体もしくは誘導体が非限定的に含まれる。
本発明とともに用いうるDNA結合剤には、DNA溝結合剤、例えばDNA副溝結合剤;DNA架橋剤;インターカレート剤;およびDNA付加物形成剤が非限定的に含まれる。DNA副溝結合剤は、アントラサイクリン系抗生物質、マイトマイシン系抗生物質(例えば、ポルフィロマイシン、KW-2149、マイトマイシンB、マイトマイシンA、マイトマイシンC)、クロモマイシンA3、カルゼルシン、アクチノマイシン系抗生物質(例えば、カクチノマイシン、ダクチノマイシン、アクチノマイシンF1)、ブロスタリシン、エキノマイシン、ビゼレシン、デュオカルマイシン系抗生物質(例えば、KW 2189)、アドゼレシン、オリボマイシン系抗生物質、プリカマイシン、ジノスタチン、ジスタマイシン、MS-247、エクチナサイジン743、アムサクリン、アントラマイシンおよびピベンジモール、またはそれらの類似体もしくは誘導体であってよい。DNA架橋剤には、抗腫瘍アルキル化剤、メトキサレン、マイトマイシン系抗生物質、ソラレンが非限定的に含まれる。抗腫瘍アルキル化剤は、ニトロソ尿素化合物(例えば、システムスチン、タウロムスチン、セムスチン、PCNU、ストレプトゾシン、SarCNU、CGP-6809、カルムスチン、フォテムスチン、メチルニトロソ尿素、ニムスチン、ラニムスチン、エチルニトロソ尿素、ロムスチン、クロロゾトシン)、マスタード剤(例えば、ナイトロジェンマスタード化合物、例えば、スピロムスチン、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、2,2,2-トリクロロトリエチルアミン、プレドニムスチン、ノベンビシン、フェナメット、グルフォスファミド、ペプチケミオ、イホスファミド、デホスファミド、ナイトロジェンマスタード、フェネステリン、マンノムスチン、シクロフォスファミド、メルファラン、ペルホスファミド、塩酸メクロレタミンオキシド、ウラシルマスタード、ベストラブシル、DHEAマスタード、タリムスチン、マホスファミド、アニリンマスタード、クロマファジンなど;スルファマスタード化合物、例えば硫化ビスクロロエチルなど;マスタードプロドラッグ、例えばTLK286およびZD2767など)、エチレンイミン化合物(例えば、マイトマイシン系抗生物質、エチレンイミン、ウレデパ、チオテパ、ジアジクオン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ペンタメチルメラミン、アルトレタミン、カルジノフィリン、トリアジコン、メツレデパ、ベンゾデパ、カルボコン)、アルキルスルホン酸化合物(例えば、ジメチルブスルファン、Yoshi-864、インプロスルファン、ピポスルファン、トレオスルファン、ブスルファン、ヘプスルファム)、エポキシド化合物(例えば、アナキシロン、ミトラクトール、ジアンヒドロガラクチトール、テロキシロン)、多種多様なアルキル化剤(例えば、イポメアノール、カルゼルシン、メチレンジメタンスルホネート、ミトブロニトール、ビセレシン、アドゼレシン、ピペラジンジオン、VNP40101M、アサレイ(asaley)、6-ヒドロキシメチルアシルフルベン、EO9、エトグルシド、エクチナサイジン743、ピポブロマン)、白金化合物(例えば、ZD0473、リポソーム-シスプラチン類似体、サトラプラチン、BBR 3464、スピロプラチン、オルマプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ロバプラチン、ゼニプラチン、イプロプラチン)、トリアゼン化合物(例えば、イミダゾールマスタード、CB 10-277、ミトゾロミド、テモゾロミド、プロカルバジン、ダカルバジン)、ピコリン化合物(例えば、ペンクロメジン)、またはそれらの類似体もしくは誘導体であってよい。好ましいアルキル化剤の例には、シスプラチン、ジブロモズルシトール、フォテムスチン、イホスファミド(イフォスアミド(ifosfamid))、ラニムスチン(ラノムスチン)、ネダプラチン(ラトプラチン)、ベンダムスチン(塩酸ベンダムスチン)、エプタプラチン、テモゾロミド(メタゾラストン)、カルボプラチン、アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン)、プレドニムスチン、オキサリプラチン(オキサラ白金(oxalaplatinum))、カルムスチン、チオテパ、ロイスルホン(leusulfon)(ブスルファン)、ロバプラチン、シクロフォスファミド、ビスルファン、メルファランおよびクロラムブシル、またはそれらの類似体もしくは誘導体が非限定的に含まれる。
インターカレート剤は、アントラキノン化合物、ブレオマイシン系抗生物質、レベッカマイシン類似体、アクリジン、アクリジンカルボキサミド、アモナファイド、レベッカマイシン、アントラピラゾール系抗生物質、エキノマイシン、ソラレン、LU 79553、BW A773U、メシル酸クリスナトール、ベンゾ(a)ピレン-7,8-ジオール-9,10-エポキシド、アコダゾール、エリプチニウム、ピクサントロン、またはそれらの類似体もしくは誘導体などであってよい。
DNA付加物形成剤には、エンジイン系抗腫瘍抗生物質(例えば、ダイネミシンA、エスペラミシンAl、ジノスタチン、ダイネマイシン、カリチアマイシンγ1I)、白金化合物、カルムスチン、タモキシフェン(例えば、4-ヒドロキシ-タモキシフェン)、ソラレン、ピラジンジアゾヒドロキシド、ベンゾ(a)ピレン-7,8-ジオール-9,10-エポキシド、またはそれらの類似体もしくは誘導体が非限定的に含まれる。
代謝拮抗剤には、シトシン、アラビノシド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、メルカプトプリン、ゲムシタビン、およびメトトレキサート(MTX)が非限定的に含まれる。
キット
本発明の別の局面は、被験組織試料の悪性/良性状態を判断するための1つまたは複数のキットである。本発明のキットは、選択したマイクロRNA中の少なくとも15、20、25、30、40、50個のヌクレオチドの、または13〜50個の任意の数のヌクレオチドの配列とそれぞれが特異的に結合しうる、1つまたは複数のプローブおよび/またはプライマーを含む。プローブはアレイの一部であってもよい。または、プローブまたはプライマーを別々に、および/または個別にパッケージ化してもよい。いくつかの態様において、プローブまたはプライマーは検出可能に標識されていてよい。
キットを用いて検出しようとするマイクロRNAは、mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAであってよい。いくつかの態様において、キットを用いて検出しようとするマイクロRNAは、mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAであってよい。
追加の試薬をキットに含めることもできる。例えば、キットが、被験組織試料におけるマイクロRNAの発現レベルを決定するための試薬を含んでもよい。そのような試薬には、マイクロRNAを単離するため、貯蔵するため、および検出するための試薬が含まれうる。例えば、キットは、核酸増幅のため、および/またはマイクロRNAの逆転写のための試薬および酵素を含みうる。キットはまた、RNAを安定化する溶液、RNAを精製するための溶液、緩衝剤、または被験組織試料におけるマイクロRNAの発現レベルを得るのに用いうる他の試薬といった試薬を含んでもよい。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸などのような、さまざまな抗菌剤および抗真菌剤を含めることによって確実にすることができる。また、RNA用の溶媒、還元剤(例えば、β-メルカプトエタノール)、RNAを安定化する試薬(例えば、リボヌクレアーゼを阻害するため、組織を破壊するため、RNAを沈殿させるための試薬など)といった作用物質を含めることが望ましいこともある。
さらなる態様において、キットは、コンピューターシステムおよび本明細書に記載の方法とともに用いるためのコンピュータープログラム製品を含みうる。コンピュータープログラム機構は、コンピュータープログラム製品に組み込むことができる。コンピュータープログラム製品は、例えば、コンピュータープログラム機構がコードされたデバイスであってよく、該コンピュータープログラム機構は、コンピューターのメモリーにロードされて、該コンピューターに、被験甲状腺組織試料の悪性/良性状態を判定するための方法の少なくとも1つの段階を実行させることができる。例えば、デバイスは、コンピューター可読記憶媒体、フラッシュメモリー、コンパクトディスク(CD)、デジタル多機能ディスク、デジタルビデオディスク、または、コンピュータープログラムと記憶装置とを明白に備える製造物であってよい。いくつかの態様において、コンピュータープログラム製品はコンピューター可読記憶媒体であってよい。そのようなキットにおいて、コンピュータープログラム機構は、被験組織試料におけるマイクロRNA発現レベルがキットの試薬を用いて得られる、被験組織試料の悪性/良性状態を判断するための命令を備えることができる。
他の態様において、キットは、中央処理装置と、該中央処理装置に連結されたメモリーとを有する、コンピューターなどのシステムを含みうる(例えば、図2を参照)。メモリーは被験組織試料の悪性/良性状態を判断するための命令を記憶することができ、プロセッサーはマイクロRNA発現レベルを評価することができる。メモリーはまた、被験組織試料中において検出されたマイクロRNA発現レベルとの比較のための悪性データセットおよび良性データセットも記憶することができる。
キットはまた、化学療法薬または抗癌剤、例えば、本明細書に記載された化学療法薬または抗癌剤のいずれかも含みうる。
本実施例は、定量化されたmiRNA発現レベルを用いて、以前に他の手順によって鑑別困難な状態であると判断された甲状腺試料を含む甲状腺被験組織試料に良性状態か悪性状態かを正確に割り当てうることを示す。
材料および方法
6種のmiRNA(mir-222、mir-181、mir-146b、mir-328、mir-197、およびmir-21)の差次的な発現を、29個の鑑別困難なエクスビボ細針吸引試料でまず測定し、予測モデル(誘導群)の開発のために用いた。続いて、先を見越して収集した72個の鑑別困難な細針吸引試料(検証群)の独立セットに対して、このモデルを検証した。
誘導群
Weill Cornell Medical Collegeの施設内審査委員会(Institutional Review Board)(IRB)による承認を得た後に、臨床標本を研究用に用いることに関して、患者から書面によるインフォームドコンセントを取った。鑑別困難な病変を有していて、外科手術を受けた患者181人が特定された。その中から、最終的な組織病理が悪性であった14個の鑑別困難な細針吸引病変を同定し、腫瘍バンクに入れた。最終的な組織病理が良性であったさらに15個の鑑別困難な病変を、悪性群とのマッチングのためにランダムに選択した。誘導セットにおける良性病変(52%)および悪性病変(48%)の数は、良性病変および悪性病変を認識させるのに統計モデルを、同等に訓練するために同等に保った。誘導セット用に用いた細針吸引標本はすべて、甲状腺切除術を実施した後のエクスビボ甲状腺組織試料から採取した(表1および2)。
(表1)誘導群および検証群の人口学的背景および病理学的特性
Figure 2014511677
* NCI甲状腺細針吸引の州科学会議スキーム(The NCI Thyroid Fine-Needle-Aspiration State of the Science Conference Scheme)による分類。
# 最終的病態
CPTC:古典的な型の甲状腺乳頭癌
FVPTC:濾胞型の甲状腺乳頭癌
FTC:濾胞性甲状腺癌
FA:濾胞性腺腫
(表2)29個のエクスビボ標本のFNAおよび最終診断(誘導群)
Figure 2014511677
Figure 2014511677
Figure 2014511677
* NCI甲状腺細針吸引の州科学会議スキームによる分類。
実施した外科手術:TT=甲状腺全摘出術、HT=甲状腺半切除術、CT=残存甲状腺全摘出。
# 最終診断:PTC:古典的な型の甲状腺乳頭癌、FVPTC:濾胞型の甲状腺乳頭癌、FTC:濾胞性甲状腺癌、FA:濾胞性腺腫。
^ 甲状腺炎‐あり:橋本甲状腺炎およびグレーブス甲状腺炎のいずれの基準にも該当しない慢性リンパ球性甲状腺炎、なし:甲状腺炎が存在しない。
細針吸引試料採取およびデータ収集
甲状腺切除術を実施した後に、25ゲージの針を甲状腺結節内に挿入し、2〜3回の穿刺を用いて細胞学標本を収集した上で、続いてそれをRLT-lysis Buffer、RNA later solution(Qiagen Inc., Valencia, CA, USA)またはTrizol(Invitrogen, Carlsbad, CA)中に懸濁させた。Qiagen製のRLT Lysis Bufferを最も高い頻度で用いた。続いて標本を液体窒素中で急速凍結させ、-80℃で貯蔵した。外科手術の前に細胞病理医がすべての細針吸引試料を精査し、内分泌科病理医がすべての外科手術標本を精査した。細胞学的に明確であった症例のみを本試験に含めた。最終診断、FNA診断、年齢、性別、腫瘍のサイズおよび位置、FNA位置、外科手術手技、甲状腺外への拡大、血管リンパ浸潤ならびにリンパ節転移は、各患者試料について記録され、かつ、腫瘍バンクのデータシートに記入された。
マイクロRNAの選択、抽出、逆転写およびリアルタイムPCR
初期試験により、正常甲状腺組織または濾胞性腺腫(FA)と、以下の古典的な型の甲状腺乳頭癌(CPTC)、濾胞型の甲状腺乳頭癌(FVPTC)および濾胞性甲状腺癌(FTC)との間で差次的に発現されていたマイクロRNAを選択した。最終的に6種のmiRNAを以降の分析のために選択した:mir-328、mir-222、mir-197、mir-181a、mir-146bおよびmir-21。
プライマーを用いて、以下のマイクロRNA配列を検出して定量化した。
Figure 2014511677
細針吸引標本におけるmir-328、mir-222、mir-197、mir-181a、mir-146bおよびmir-21の発現レベルを、リアルタイムPCRを用いて決定した。マイクロRNAは、MirVana Kit(Ambion Inc.)、mirPremier Kit(Sigma Aldrich, St Louis MO)またはmicroRNA Purification Kit(Norgen Biotek Corp, Canada)を用いる標準的なプロトコールに従って抽出しかつcDNAに逆転写した。マイクロRNA収穫物の量および完全性は、NanoDrop(商標)(NanoDrop Technologies, Willmington, DE)ならびにBioanalyzer 2100およびRNA 6000 Nano/Pico LabChip(登録商標)(Agilent Technologies, Palo Alto, CA)を用いて評価した。この方法により、2〜184ng/μlのRNA濃度が得られた。逆転写は、各マイクロRNA(TaqMan MicroRNA遺伝子発現アレイキット、Applied Biosystems, Inc)について、15μlの逆転写反応物に対して10ngのRNAを用い;続いて各20μlのPCR反応物に対して1.33μlのcDNAを用いて実施した。
TaqMan MicroRNA遺伝子発現アッセイキット(Applied Biosystems, Foster City, CA、品番:4427975;アッセイID:001093、002276、000543、000543、000543)を用い、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アッセイ法を用いてmiRNAレベルを測定した。RT-PCRは、ABI PRISM 7000 Sequence Detection Systemを用いて実施した。各サイクルが標準的なプロトコールに従って95℃ 15秒間および60℃ 1分間からなる、合計45サイクルの増幅を実施した。対照増幅をすべての試料で3通りずつ実施した。RNU6Bをハウスキーピング遺伝子(対照)として用い、ΔCt値を記録してデータ分析のために用いた。
統計分析および誘導群のモデルの開発
6種のmiRNAの発現プロファイルに基づいて、鑑別困難な甲状腺FNA病変における良性状態と悪性状態とを予測しうる統計モデルを構築するために、いくつかの方法について評価した。これらの方法は、回帰ツリー、ロジスティック回帰、線形判別分析(LDA)、二次判別分析(QDA)、および種々のカーネル関数を用いるサポートベクトルマシン(SVM)であった(Duda R. Pattern Classification. 2nd Edition ed: Willey-Interscience (2000);Venables W. Modern Applied Statistics with S (Statistics and Computing): Springer (2010))。サポートベクトルマシン(SVM)は、2クラスまたは多クラスのパターン認識用に非常に適している(Weston and Watkins, Proceedings of the Seventh European Symposium On Artificial Neural Networks (1999);Vapnik, The Nature of Statistical Learning Theory (Springer, New York, 1995);Vapnik, Statistical Learning Theory, Wiley, New York (1998);Burges, Data Mining and Knowledge Discovery, 2(2):955-974, (1998))。
病変を多次元空間におけるデータポイントとして表し、かつ、いくつかのmiRNAの発現レベルを線形様式または非線形様式で組み合わせることによって、これらのアプローチは、悪性病変と良性病変とを最も良く分離する決定面(decision surface)を見つけ出す。
サポートベクトルマシンは、超平面と最も近いデータポイントとの間の距離(マージンとも呼ばれる)が最大になるような超平面を同定する。超平面からちょうどマージン距離だけ隔たっているデータポイントは「サポートベクトル」と呼ばれる。多くの場合には、分離を行う超平面は存在しないため、いくつかのデータポイントはそのマージンの誤った側に存在することになる。そのような柔軟性が許容される程度は、コストパラメーターC>0によって制御される。さらに、病変を記述する変数のセットを、非線形関数を用いて元の変数をより高次元にマッピングすることによって拡張することもできる。そのようなマッピングはカーネル関数を用いて得られる。一般的に用いられるカーネル関数の1つは、以下に示す動径基底関数カーネル:
Figure 2014511677
であり、式中、γ>0であり、かつ、xiおよびxjは病変を記述する発現値を含むベクトルである。
γパラメーターは動径基底カーネル関数の形状を指定する。コストパラメーターは、訓練誤差の許容と厳格な分類マージンの強制との間のトレードオフを制御する。本質的には、コストパラメーターは、ある程度の誤分類を許容するソフトマージンを効果的に作成し、したあがって、より一般化しうる識別器が可能となる。γパラメーターおよびコストパラメーターはいずれも、交差検証を用いて得られた。
サポートベクトルマシンおよび本明細書で用いた他のアプローチのより広範囲な説明は、以前に記載されている(Duda R. Pattern Classification. 2nd Edition ed: Willey-Interscience (2000);Venables W. Modern Applied Statistics with S (Statistics and Computing): Springer (2010))。
これらの方法および特定のパラメーター選択(例えば、SVM用の)を用いることにより、29個の試料すべてを用いてモデルを訓練し、6種のmiRNAの変数サブセットを用いた。これらのモデルのそれぞれの予測精度を、リーブ・ワン・アウト(leave-one-out)交差検証法を用いて推定した(Duda R. Pattern Classification. 2nd Edition ed: Willey-Interscience (2000);Venables W. Modern Applied Statistics with S (Statistics and Computing): Springer (2010))。特徴選択は、6種のmiRNAを用いる変数減少(backward elimination)手順および変数増加(forward addition)手順の両方を用いて実施した。SVMカーネル関数(線形、動径基底)およびパラメーター値も交差検証を用いて探索および選択した。統計手順はすべて、R統計分析言語およびソフトウェアを用いて実行した。e1071、MASSおよびrpart Rサードパーティーライブラリーを、それぞれSVM、LDAおよび回帰ツリーのために用いた。
検証群
モデルの選択の後に、72個の連続した標本を、標準的な超音波ガイド下経皮的細針吸引手法を用いてインビボ様式で先を見越して収集した。手短に述べると、25ゲージの針を用いて1〜2回通過させたものを得、細胞学的塗抹標本を作製した。続いて、臨床的細針吸引物および外科手術前の細針吸引物の両方からの試料を、細胞学的塗抹標本を作製した後の針の中の残留材料から得た。小結節はすべて鑑別困難な病変であり、患者が外科手術を受けに行かなければならない場合を除き、他の選択基準は適用しなかった。患者は全員、甲状腺機能が正常であり、チロキシンによる術前治療を必要とした者はいなかった。検証群は、最終的病態が悪性であった22個の鑑別困難な病変(30.5%)、および最終的病態が良性であった50個の鑑別困難な病変(69.5%)からなった(表1および3)。良性試料と悪性試料とのこの比は、鑑別困難なFNA病変に関して文献中で報告されている比、すなわち悪性病態が20〜30%、良性病態が70〜80%であるという比に一致した(Gharib, Endocr Pract 2004;10:31-9 (2004);Hegedus, N Engl J Med 2004;351:1764-71 (2004);Layfield et al. Cytopathology 21:75-85 (2010);Nikiforov et al, J Clin Endocrinol Metab 94:2092-8 (2009);Xing et al, J Clin Oncol 27:2977-82 (2009))。
16個の鑑別困難なFNA試料がJohns Hopkins Hospitalから得られたが、そのうち3個は最終的病態が悪性であり、13個は良性であった。33個の試料が外科医院で得られ、39個のFNA試料は手術室で外科的切開の前に得られた。試料はすべて、超音波ガイドを用いて同一の条件下で得られた。細胞学的塗抹標本は、外科手術前の試料すべてについて、十分な試料を確保するように生検時に調製した。外科手術前の細胞学試料はすべて1人の細胞病理医によって盲検様式で精査され、すべてが事前の外部取扱所FNAと同一な特徴を持つ鑑別困難な病変であることが実証された。1人の内分泌科病理医がすべての標本の組織病理を精査した。検証のためにインビボで収集した72個のFNA試料はいずれも、モデルの選択または訓練には用いなかった。
(表3)72個のインビボ標本(検証群)のFNAおよび最終診断
Figure 2014511677
Figure 2014511677
Figure 2014511677
Figure 2014511677
* NCI甲状腺細針吸引の州科学会議スキームによる分類。
外科手術の種類:TT=甲状腺全摘出術、HT=甲状腺半切除術、CT=残存甲状腺全摘出。
# 最終診断:CPTC:古典的な型の甲状腺乳頭癌、FVPTC:濾胞型の甲状腺乳頭癌、FTC:濾胞性甲状腺癌、FA:濾胞性腺腫;^ 甲状腺炎‐あり:橋本甲状腺炎およびグレーブス甲状腺炎のいずれの基準にも該当しない慢性リンパ球性甲状腺炎、なし:甲状腺炎が存在しない。
結果
合計101個の鑑別困難な甲状腺FNA試料を本研究に含めたが、うち29個は誘導群におけるエクスビボ試料であり、72個は検証群におけるインビボ試料である(表1〜3)。
統計モデルは誘導群における細針吸引試料の良性状態と悪性状態とを正確に予測する
甲状腺癌において差次的な発現が同定された6種のmiRNAの発現レベルを、誘導群からの29個の試料において、上記の通りにRT-PCRを用いて測定した。発現の尺度としてΔCTを用い、RNU6Bをハウスキーピング参照遺伝子として用いた。正規化-ΔCTは図1に示されている(ヒートマップ表示を用いた、各miRNAについての誘導群(A)および検証群(B)に関する正規化-ΔCT)。さらに、誘導群における試料について、各miRNAに関する平均ΔCT値を表Aに示している。
ノンパラメトリックウィルコクソン順位和検定を用いて、本発明者らは、4種のmiRNAが悪性病変と良性病変との間で差次的に発現されることを見いだした。これらにはmiR-222(p<0.005)、miR-21(p<0.03)、miR-181a(p<0.04)およびmiR-146b(p<0.03)が含まれた。mir-197(p=0.3)およびmir-328(p=0.6)のマイクロRNA発現レベルには統計的な有意差がなかった。
FNAによる鑑別困難な甲状腺病変の良性状態と悪性状態とを予測する最大精度を達成するためにmiRNA発現値をいかにして用いるべきかを調べるために、本発明者らは、単純な線形アプローチ(ロジスティック回帰)からより複雑な非線形アプローチ(非線形カーネル関数を用いるサポートベクトルマシン)までの範囲にわたるいくつかの統計的方法を用いて、予測モデルを開発した。予測成績を交差検証を用いて評価した。用いたそれぞれの統計方法について、本発明者らは、6種のmiRNAすべての代わりにサブセットmiRNAを用いた場合に予測成績が改善するか否かを判断した。
これらの分析の結果を表4に示している。
(表4)エクスビボFNA試料(誘導群)における統計モデルおよびそれらの予測成績
Figure 2014511677
* 線形判別分析、^サポートベクトルマシン、二次判別分析。
表4において、γパラメーターはRBF関数の形状を指定し、一方、コストパラメーターは訓練誤差の許容と厳格な分類マージンの強制との間のトレードオフを制御する。コストパラメーターは、ある程度の誤分類を許容するソフトマージンを効果的に作成し、したがって、より一般化しうる識別器が可能となる。どちらのパラメーターも交差検証を用いて得られる。
回帰ツリー法により容易に解釈しうる結果が提供されたが、これはそれが悪性病変と良性病変とを最もよく判別するΔCT閾値の組み合わせを同定するためである。miRNA発現値の非線形的な組み合わせを用いる方法によって予測成績が改善されるか否かを判断するために、本発明者らは、二次判別分析(QDA)、および動径基底カーネルを用いるサポートベクトルマシン(SVM-RBF)を評価した。本発明者らは、選択した両方のアプローチがいずれもmiRNAの同じサブセット(miR-328、miR-222、miR-197、およびmiR-21)を選択したことと、両方のアプローチとが、精度85〜86%、感度86〜87%および特異度85〜86%という同様で改善された成績を有したことを見いだした。しかし、SVM-RBFの方が訓練セットに対する成績が優れていた(精度100%、これに対してQDAでは93%)。このため、本発明者らはSVM-RBFを最良の予測モデルとして選択した。
独立したインビボ細針吸引試料セットを用いたモデル検証
本発明者らは続いて、72個の鑑別困難なインビボ甲状腺病変の独立セットに対して、選択された4種のmiRNAを用いる最良の予測モデル(SVM-RBF)の成績を先を見越して検証することを目指した。最終的な組織病理では22個の病変が悪性であり、50個が良性であった。正規化-ΔCTを図1に示している(ヒートマップ表示を用いた、各miRNAについての誘導群(A)および検証群(B)に関する正規化-ΔCT)。さらに、検証群についてすべての試料および各miRNAに関する平均ΔCT値を表5に示している。4種のmiRNAすべてに関する-ΔCTに対して適用した場合、あらかじめ訓練したSVM-RBFモデルは、インビボ細針吸引試料72個中65個を正しく分類し、癌の診断に関する感度は100%で特異度は86%であり、全体的精度は90%であった。モデルによる予測が誤っていた7個の病変のうち5個は、細針吸引試料採取でハースル細胞新生物との診断であった。3個は膨大細胞性の特徴を有する過形成性小結節であり、2個は最終的な病理検査で膨大細胞性の特徴を有していた濾胞性腺腫であった。13個のハースル細胞新生物をすべて除外したところ、本発明者らのモデルの予測成績は劇的に改善し、FNAによる鑑別困難な悪性病変と良性病変との識別に関する感度は100%、特異度は95%、全体的精度は97%となった。
(表5)検証群における平均ΔCtと両側t検定のp値
Figure 2014511677
このように、4種のmiRNA(miR-222、328、197、21)を用いて、29個のFNA試料上の鑑別困難な甲状腺病変を良性と悪性とに鑑別する方法を開発した。この方法を72個の鑑別困難な病変の独立した群で検証したところ、鑑別困難な細針吸引病変試料の悪性のものを100%、良性のものを86%、正確に同定した。
以下の手順および結果は、本発明者らが、鑑別困難な良性甲状腺病変と鑑別困難な悪性甲状腺病変とを鑑別する予測モデルを作成したことを実証している。29個のFNA試料をそのような開発のために用い、予測モデルを72個の鑑別困難な病変の独立した群で検証したところ、それは鑑別困難な悪性FNA病変の100%および良性FNA病変の86%を正確に同定した。4種のmiRNA(miR-222、328、197、21)が、鑑別困難な悪性甲状腺病変のマーカーであることが同定された。
分析用に最も適切なmiRNAを選択する過程で、前記の結果から、miRNA 146bおよびmiRNA 181aは、鑑別困難な甲状腺病変の悪性/良性状態の判定には有用ではなかったことを指し示された。miR-222、328、197および21のマイクロRNAの一団を用いた場合に、鑑別困難なFNA病変の中に存在する最も悪性の病態が正しく特徴づけられた:CPTCおよびFVPTCに対してはmir-222、FTCにはmir-328およびmir-197、ならびにFVPTCおよびFTCに対してはmir-21。
このように、FNAによる鑑別困難な良性病変と鑑別困難な悪性病変とを鑑別する特異度が86%という高い精度のモデルが開発された。ハースル細胞新生物を除外した場合には特異度は95%に向上した。特定の理論にも結論にも拘束されることは望まないが、ハースル細胞病変は、異なるmiRNA発現プロファイルを有する別個の実体である可能性がある。
これらのデータは、選択したmiRNAの一団(miR-222、328、197、21)が鑑別困難なFNA病変の悪性病態に対する感度が100%であることを指し示している。したがって、悪性腫瘍が予想されたならば甲状腺全摘出術を推奨することが妥当であると考えられる。その上、本発明者らのモデルは、鑑別困難な病変の良性病態に対する予測度も、ハースル細胞病変を除外した場合には95%であった。鑑別困難なFNA病変に関して偽陰性結果のリスクは5%に過ぎなかったため、本明細書に記載の予測モデルによって同定された良性病変を有する患者では、固有のリスクおよび費用を伴う診断用甲状腺半切除術を避けることができると考えられる。
本研究は、鑑別困難な甲状腺FNA病変のmiRNA分析に関して、これまでに報告された中で最大のものである。要約すると、鑑別困難な悪性FNA甲状腺病変と鑑別困難な良性FNA甲状腺病変とを識別する感度が100%で特異度が86%である、4種のmiRNA(miR-222、328、197および21)を用いる予測モデルを開発した。ハースル細胞新生物を分析から除外したところ、本発明者らのモデルの特異度は95%に、全体的精度は97%に向上し、悪性病変に対する感度は100%に保たれた。
参照文献
Figure 2014511677
Figure 2014511677
Figure 2014511677
本明細書で参照または言及したすべての特許および刊行物は、本発明が属する分野の当業者の技術レベルを指し示すものであり、そのように参照した特許または刊行物はそれぞれ、それらの全体が個別に参照により組み入れられる場合、またはそれらの全体が本明細書に記載される場合と同程度に、参照により本明細書に明確に組み入れられる。本出願人らは、そのような言及された任意の特許または刊行物からの任意およびすべての材料および情報を本明細書に物理的に組み入れる権利を保有する。
本明細書に記載された具体的な方法および組成物は、好ましい態様の代表であって例示的なものであり、本発明の範囲を限定するとことは意図していない。その他の目的、局面および態様は、本明細書を考察すれば当業者には想起されると考えられ、特許請求の範囲に規定された本発明の趣旨の範囲に含まれる。本明細書に開示した本発明に対して、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、さまざまな置き換えおよび変更を加えうることは、当業者には容易に明らかであると考えられる。
本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に必須であると具体的には開示されていない任意の1つもしくは複数の要素、または1つもしくは複数の制限が存在しなくても、適切に実施することができる。本明細書に例示的に記載された方法および工程は、異なる工程順序で適切に実施することができ、それらは本明細書または特許請求の範囲において示された工程の順序に必ずしも限定されない。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」には、文脈が明白に他のことを指している場合を除き、複数のものへの言及を含む。したがって、例えば、「1つの抗体」または「1つの核酸」または「1つのポリペプチド」への言及は、複数のそのような抗体、核酸またはポリペプチド(例えば、抗体、核酸もしくはポリペプチドの溶液、または抗体、核酸またはポリペプチドの一連の調製物)を含み、その他も同様である。本文書において、「または」という用語は非排他的であることを指すために用いられ、このため、「AまたはB」は、別に指示する場合を除き、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、ならびに「AおよびB」を含む。
いかなる状況においても、本特許は、本明細書に具体的に開示された特定の例もしくは態様に限定されると解釈されてはならない。いかなる状況においても、本特許は、そのような記述が詳細であり、かつ本出願人らによる応答文書において明示的に認められた認定もしくは留保を伴わない限り、特許商標局の任意の審査官もしくは任意の他の役員もしくは職員によって作成された任意の記述によって制限されないと解釈できる。
使用してきた用語および表現は説明のためであって限定するために使用されたものではなく、本明細書に図示かつ記載した特徴もしくはその部分の任意の同等物を排除するためにそのような用語および表現を使用することを意図したものではなく、さまざまな変更が、請求される本発明の範囲内において可能であると認識している。したがって、本発明を好ましい態様および任意的な特徴によって具体的に開示してきたが、本明細書に開示された概念の変更および変形は当業者であれば公使しうると考えられ、そのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲および本発明の明細提示によって規定される本発明の範囲内に含まれると見なされることは理解されよう。
本発明を、本明細書中に幅広くかつ一般的に記載してきた。包括的な開示の範囲内にある、より狭い種属及び亜属集団も、同じく本発明の一部を構成する。これは、除外された物質が本明細書中に具体的に説明されているか否かにかかわらず、属から任意の主題を取り除く但し書きまたは消極的な限定を有する本発明の包括的記載を含む。加えて、本発明の特徴または局面がマーカッシュグループの表現で説明されている場合には、当業者には、本発明がマーカッシュグループの任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループによっても説明されることが理解されよう。
要約は、技術的開示の性質および骨子を読み手が手早く確認することを可能にするために、米国特許法1.72(b)項(37 C.F.R. § 1.72(b))に準拠して提供される。要約は、それが、特許請求の範囲の趣旨および意味を解釈するためにも、それらを限定するためにも用いられないという理解の下で提出されている。
本発明の以下の提示は、本発明のいくつかの要素を記載することを意図している。
発明の提示:
1.患者を治療する方法であって、
a.被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定するために、悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否かを判断する段階;
b.該被験甲状腺組織試料が悪性であると判定または判断された場合に、該患者を治療する段階
を含み、
該発現レベルの被験データセットが、該患者由来の被験甲状腺組織試料におけるmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;
該悪性甲状腺データセットが、悪性甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;かつ
該良性甲状腺データセットが、良性の、健康な、かつ/または非癌性の甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合である、方法。
2.患者の不要な治療を避ける方法であって、
a.被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定するために、悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否かを判断する段階;
b.該被験甲状腺組織試料が良性であると判定または判断された場合に、該患者の不要な治療を避ける段階
を含み、
該発現レベルの被験データセットが、該患者由来の被験甲状腺組織試料におけるmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;
該悪性甲状腺データセットが、悪性甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;かつ
該良性甲状腺データセットが、良性の、健康な、かつ/または非癌性の甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合である、方法。
3.前記被験甲状腺組織試料が細針吸引によって得られる、提示1または2記載の方法。
4.前記被験甲状腺組織試料を細針吸引によって得る段階をさらに含む、提示1〜3のいずれか記載の方法。
5.前記被験甲状腺組織試料が、鑑別困難な甲状腺病変組織試料である、提示1〜4のいずれか記載の方法。
6.前記悪性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、提示1〜5のいずれか記載の方法。
7.前記良性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、提示1〜6のいずれか記載の方法。
8.前記発現レベルの被験データセットを生成するために、前記被験甲状腺組織試料におけるmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階をさらに含む、提示1〜7のいずれか記載の方法。
9.前記被験甲状腺組織試料における定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階が、マイクロRNA発現レベルの量を測定するための、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、遺伝子発現連続分析(SAGE)、次世代シークエンシング、遺伝子発現マイクロアレイ、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはそれらの組み合わせを含む、提示8記載の方法。
10.前記悪性甲状腺データセット内または前記良性甲状腺データセット内に前記発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否か判断する段階が、予測アルゴリズムの使用を含む、提示1〜9のいずれか記載の方法。
11.前記予測アルゴリズムがサポートベクトルマシンである、提示10記載の方法。
12.悪性である疑いのある被験甲状腺組織試料を判定するための悪性/良性判別基準を構築するための方法であって、
(a)良性/悪性予測器が、悪性データセットおよび良性データセットを含む入力を受け取り、かつ、該予測器が、該悪性データセットを該良性データセットと識別する多次元マップを生成する、該良性/悪性予測器を訓練する段階;
(i)該悪性データセットが、悪性甲状腺癌を有する患者の甲状腺組織試料から得られ定量化されたマイクロRNA発現レベルのデータセットであり;
(ii)該良性データセットが、悪性甲状腺癌を有しない患者の甲状腺組織試料から得られ定量化されたマイクロRNA発現レベルのデータセットであり;
(b)任意で、少なくとも1つの新たに定量化されたマイクロRNA発現レベルに関するデータが該悪性データセットまたは該良性データセットに追加されるように、段階(a)を複数回の繰り返しにわたって反復して、それによって悪性/良性判別基準を構築する段階
を含む、方法。
13.前記良性データセットが、良性甲状腺癌を有する患者の甲状腺組織試料由来の定量化されたマイクロRNA発現レベルのデータセットである、提示12記載の方法。
14.良性/悪性予測器を訓練する段階がアルゴリズムの使用を含む、提示12または13記載の方法。
15.予測アルゴリズムが、悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に少なくとも1つの被験試料発現レベルが統計的に有意に存在するか否かを判断することで前記被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定するための多次元評価を含むアルゴリズムである、提示14記載の方法。
16.前記アルゴリズムがサポートベクトルマシンである、提示14または15記載の方法。
17.被験甲状腺組織試料が悪性であるかまたは良性であるかを判断するために、患者由来の該被験甲状腺組織試料から得られ定量化されたマイクロRNA発現レベルを含む試験結果データを前記悪性データセットおよび前記良性データセットと比較する段階(c)をさらに含む、提示12〜16のいずれか記載の方法。
18.前記被験甲状腺組織試料が、鑑別困難な甲状腺病変組織を含む、提示17記載の方法。
19.前記悪性データセット、前記良性データセット、および/または前記試験結果データにおける前記定量化されたマイクロRNA発現レベルが、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの発現レベルである、提示12〜18のいずれか記載の方法。
20.前記悪性データセット、前記良性データセット、および/または前記試験結果データにおける定量化されたマイクロRNA発現レベルが、以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの発現レベルである、提示12〜19のいずれか記載の方法。
21.悪性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、提示12〜20のいずれか記載の方法。
22.良性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、提示12〜21のいずれか記載の方法。
23.前記悪性データセット、前記良性データセット、および/または前記試験結果データにおける前記定量化されたマイクロRNA発現レベルが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、遺伝子発現連続分析(SAGE)、次世代シークエンシング、遺伝子発現マイクロアレイ、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはそれらの組み合わせを含む手順によって決定される、提示12〜22のいずれか記載の方法。
24.被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定する方法であって、
a.少なくとも1つの被験試料発現レベルを得るために、該被験甲状腺組織試料における以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAのうちの少なくとも1つに関する定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階;
b.該少なくとも1つの被験試料発現レベルを悪性甲状腺データセットとおよび良性甲状腺データセットと比較する段階;
c.該悪性甲状腺データセット内または該良性甲状腺データセット内に該少なくとも1つの被験試料発現レベルが統計的に有意に存在するか否かを判断して、それによって該被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定する段階
を含み、
該悪性甲状腺データセットが、悪性甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;かつ
該良性甲状腺データセットが、良性の、健康な、かつ/または非癌性の甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合である、方法。
25.前記被験甲状腺組織試料が細針吸引によって得られる、提示24記載の方法。
26.前記被験甲状腺組織試料を細針吸引によって得る段階をさらに含む、提示24または25記載の方法。
27.前記被験甲状腺組織試料が、鑑別困難な甲状腺病変組織試料である、提示24〜26のいずれか記載の方法。
28.前記悪性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、提示24〜27のいずれか記載の方法。
29.前記良性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、提示24〜28のいずれか記載の方法。
30.前記組織試料における少なくとも1つの前記マイクロRNAの定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階が、該マイクロRNA発現レベルの量を測定するための、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、遺伝子発現連続分析(SAGE)、次世代シークエンシング、遺伝子発現マイクロアレイ、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはそれらの組み合わせを含む、提示24〜29のいずれか記載の方法。
31.段階(b)および(c)がプロセッサーまたはコンピューターによって実施される、提示24〜30のいずれか記載の方法。
32.前記悪性甲状腺データセット内または前記良性甲状腺データセット内に前記少なくとも1つの被験試料発現レベルが有意に存在するか否か判断する段階が、予測アルゴリズムの使用を含む、提示24〜31のいずれか記載の方法。
33.前記予測アルゴリズムが、前記悪性甲状腺データセット内または前記良性甲状腺データセット内に前記少なくとも1つの被験試料発現レベルが統計的に有意に存在するか否かを判断することで前記被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定するための多次元評価を含むアルゴリズムである、提示32記載の方法。
34.前記予測アルゴリズムがサポートベクトルマシンである、提示32または33記載の方法。
35.以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAのうちの少なくとも2つに関する定量化された発現レベルを得るかまたは決定する、提示24〜34のいずれか記載の方法。
36.以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAのうちの少なくとも3つに関する定量化された発現レベルを得るかまたは決定する、提示24〜35のいずれか記載の方法。
37.以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、mir-181a RNA、mir-146b RNA、および/またはmir-21 RNAのうちの少なくとも4つに関する定量化された発現レベルを得るかまたは決定する、提示24〜36のいずれか記載の方法。
38.mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルを得るかまたは決定する、提示24〜37のいずれか記載の方法。
39.被験甲状腺組織試料が悪性であると判定された患者を治療する段階をさらに含む、提示24〜38のいずれか記載の方法。
40.治療する段階が、悪性組織を除去するための外科手術を実施すること、または、抗癌剤を投与することを含む、提示39記載の方法。
41.プロセッサーと、該プロセッサーに連結されかつ1つまたは複数のプログラムをコードするメモリーとを備え、該1つまたは複数のプログラムが、該プロセッサーに提示1〜40のいずれか記載の方法の少なくとも1つの段階を実行させる、コンピューターシステム。
42.コンピュータープログラム機構がコードされているデバイスを備えた、コンピュータープログラム製品であって、該コンピュータープログラム機構が、コンピューターのメモリーにロードされて、該コンピューターに提示1〜40のいずれか一項記載の方法の少なくとも1つの段階を実行させることができる、コンピュータープログラム製品。
43.前記デバイスが、コンピューター可読記憶媒体、フラッシュメモリー、コンパクトディスク(CD)、デジタル多機能ディスク、デジタルビデオディスク、または、コンピュータープログラムと記憶装置とを明白に備える製造物である、提示42記載の製品。

Claims (25)

  1. a.発現レベルの被験データセットを得るために、被験甲状腺組織試料における以下のマイクロRNA:mir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階;
    b.該発現レベルの被験データセットを悪性甲状腺データセットとおよび良性甲状腺データセットと比較する段階;
    c.該悪性甲状腺データセット内または該良性甲状腺データセット内に該発現レベルの被験データセットが統計的に有意に存在するか否かを判断する段階
    を含み、
    該悪性甲状腺データセットが、悪性甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;かつ
    該良性甲状腺データセットが、良性の、健康な、かつ/または非癌性の甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合である、方法。
  2. 前記被験甲状腺組織試料が細針吸引によって得られる、請求項1記載の方法。
  3. 前記被験甲状腺組織試料を細針吸引によって得る段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  4. 前記被験甲状腺組織試料が、鑑別困難な(indeterminate)甲状腺病変組織試料である、請求項1記載の方法。
  5. 前記悪性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、請求項1記載の方法。
  6. 前記良性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、請求項1記載の方法。
  7. 前記組織試料における少なくとも1つの前記マイクロRNAの定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階が、該マイクロRNA発現レベルの量を測定するための、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、遺伝子発現連続分析(SAGE)、次世代シークエンシング、遺伝子発現マイクロアレイ、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
  8. 段階(b)および(c)がプロセッサーまたはコンピューターによって実施される、請求項1記載の方法。
  9. 前記悪性甲状腺データセット内または前記良性甲状腺データセット内に前記発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否か判断する段階が、予測アルゴリズムの使用を含む、請求項1記載の方法。
  10. 前記予測アルゴリズムがサポートベクトルマシンである、請求項9記載の方法。
  11. 外科手術を実施することによってまたは抗癌剤を投与することによって、被験甲状腺組織試料が悪性であると判定された患者を治療する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  12. 患者を治療する方法であって、
    a.被験甲状腺組織試料が良性であるかまたは悪性であるかを判定するために、悪性甲状腺データセット内または良性甲状腺データセット内に発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否かを判断する段階;
    b.該被験甲状腺組織試料が悪性である場合に、該患者を治療する段階
    を含み、
    該発現レベルの被験データセットが、該患者由来の被験甲状腺組織試料におけるmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;
    該悪性甲状腺データセットが、悪性甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合であり;かつ
    該良性甲状腺データセットが、良性の、健康な、かつ/または非癌性の甲状腺組織試料由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルの集合である、方法。
  13. 前記被験甲状腺組織試料が細針吸引によって得られる、請求項12記載の方法。
  14. 前記被験甲状腺組織試料を細針吸引によって得る段階をさらに含む、請求項12記載の方法。
  15. 前記被験甲状腺組織試料が、鑑別困難な甲状腺病変組織試料である、請求項12記載の方法。
  16. 前記悪性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、請求項12記載の方法。
  17. 前記良性甲状腺データセットが、ハースル細胞病変由来のmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、および/またはmir-21 RNAの定量化された発現レベルを含まない、請求項12記載の方法。
  18. 前記発現レベルの被験データセットを生成するために、前記被験甲状腺組織試料におけるmir-328 RNA、mir-222 RNA、mir-197 RNA、およびmir-21 RNAの定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階をさらに含む、請求項12記載の方法。
  19. 前記被験甲状腺組織試料における定量化された発現レベルを得るかまたは決定する段階が、マイクロRNA発現レベルの量を測定するための、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、遺伝子発現連続分析(SAGE)、次世代シークエンシング、遺伝子発現マイクロアレイ、ノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション、またはそれらの組み合わせを含む、請求項18記載の方法。
  20. 段階(b)および(c)がプロセッサーまたはコンピューターによって実施される、請求項1記載の方法。
  21. 前記悪性甲状腺データセット内または前記良性甲状腺データセット内に前記発現レベルの被験データセットが有意に存在するか否か判断する段階が、予測アルゴリズムの使用を含む、請求項12記載の方法。
  22. 前記予測アルゴリズムがサポートベクトルマシンである、請求項21記載の方法。
  23. プロセッサーと、該プロセッサーに連結されかつ1つまたは複数のプログラムをコードするメモリーとを備え、該1つまたは複数のプログラムが、該プロセッサーに請求項1〜22のいずれか一項記載の方法の少なくとも1つの段階を実行させる、コンピューターシステム。
  24. コンピュータープログラム機構がコードされているデバイスを備えた、コンピュータープログラム製品であって、該コンピュータープログラム機構が、コンピューターのメモリーにロードされて、該コンピューターに請求項1〜22のいずれか一項記載の方法の少なくとも1つの段階を実行させることができる、コンピュータープログラム製品。
  25. 前記デバイスが、コンピューター可読記憶媒体、フラッシュメモリー、コンパクトディスク(CD)、デジタル多機能ディスク、デジタルビデオディスク、または、コンピュータープログラムと記憶装置とを明白に備える製造物である、請求項24記載の製品。
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