JP2014509743A - 可変有効長を有するイオン移動度分離装置 - Google Patents

可変有効長を有するイオン移動度分離装置 Download PDF

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Abstract

【解決手段】開示されるイオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計は、内側シリンダ(2)と外側シリンダ(1)とを備える。内側シリンダ(2)と外側シリンダ(1)とは、イオンを透過させる環状容積(3)を規定する。内側シリンダ(2)の表面上及び/又は外側シリンダ(1)の表面上に、1つ以上の渦巻状電極a〜fが配置される。第1のデバイスは、イオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第1の端部からイオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第2の端部にイオンを移動させるように作用するDC電場及び/又は擬似電位力を保持するように構成及び適合される。第2のデバイスは、1つ以上の過渡DC電圧を1つ以上の渦巻状電極に印加して、イオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第1の端部の方向にイオンを移動させるように構成及び適合される。正味の効果は、イオン移動度分離装置の有効経路長を増大させることである。
【選択図】図3

Description

他の出願の相互参照
本出願は、2011年4月19日に出願された米国仮特許出願No. 61/476,850及び2011年3月14日に出願された英国特許出願No.1104238.9に基づく優先権を主張するものであり、前記出願の内容は、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、質量分析の分野に関し、詳しくは、イオン移動度分光分析に関する。
イオン移動度分光分析(IMS:Ion Mobility Spectrometry)は、バッファガスの存在下でイオンに弱い電場をかけることにより、自身のイオン移動度に従ってイオン種を分離する、確立した分析手法である。周知のイオン移動度分光計は、ガスが充填された直線状のチューブを備える。静的で均一な軸方向電場が、チューブの長さに沿って維持される。イオンは、電場により1つの方向に軸方向の力を受けるとともに、バッファガスとの衝突により他の方向に有効な力を受ける。
このようなシステムのイオン移動度分解能Rを式1で表わすことができる。
Figure 2014509743
ここで、Lはチューブの長さ(m)、Eは、電場(V/m)、Kはボルツマン定数、Tはバッファガスの温度(K)、Kは移動度(M2-1-1)、qはイオン上の電荷である。
イオン移動度分解能Rを向上させるために、ドリフトチューブの長さを増大させてもよいし、電場を増大させてもよい。ただし、式1に示す関係は、バッファガスの数密度に対する電場の比が所定値未満となるほぼ低電場限界未満でのみ保持される。この値を超えない範囲で電場を増大させるためには、同じ倍数で圧力を増大させる必要がある。このようなアプローチは、いずれも、最終的に到達可能なIMS分解能に実際的な制限がある。
経路長を増大させることなくIMS分解能を増大させる別のアプローチが、Alexander LobodaによるJ. Am Soc Mass Spectrom. 2006年、17巻、第5号、691〜699ページ「衝突セル及び飛行時間型質量分析計(Collision Cell and Time of Flight Mass Spectrometer)」に記載されている。この方法では、バッファガスを電場と反対の方向に流す。ガス流とDC電場との組み合わせにより、イオンをセル内に長く留まることができ、バッファガスとより多く衝突することが可能になる。この結果、移動度装置の物理的な長さを増大させることなく、移動度分解能が大幅に向上する。このアプローチでは、IMS分解能を低下させる可能性のある乱流の影響を避けるために、IMSセルにおけるガス流動力学の設計を注意深く検討する必要がある。
質量分析計及び質量分析の方法の向上が求められている。
本発明の一つの態様は、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離する装置であって、
前記装置は、使用時にイオンが閉じ込められるイオンチャンネルを生成するように構成及び適合され、
イオンは、イオンチャンネルの軸に沿って又はイオンチャンネルに沿って、第1の端部の方向に、1つ以上の物理化学特性に従って分離され、
前記装置は、さらに、イオンチャンネルの軸又はイオンチャンネルを第1の端部から離すように構成及び適合される。
好適な実施形態において、イオンチャンネルの軸及び/又はイオンチャンネルは、非線形である。たとえば、イオンチャンネルの軸及び/又はイオンチャンネルは、螺旋形、渦巻状、又は曲線状でもよい。
あるいは、イオンチャンネルの軸及び/又はイオンチャンネルは、線形でもよい。
好適な実施形態において、第1の端部は、出口を備えるとともに、イオンが前記装置に入る際に最初に通過する第2の端部に対向する。すなわち、イオンは、イオン入口からイオン出口に向かって、装置内を移動する。あるいは、第1の端部は、イオンが前記装置に入る際に最初に通過する入口を備えるものでもよい。後者の実施形態では、特定イオンの速度よりも速くイオンチャンネルを動かすことによって、イオンが装置から出てくる又は出る方向を逆転させることができる。
イオンチャンネルの軸又はイオンチャンネルを出口から離すことによる効果は、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させる際の経路の有効経路長を増大させることである。
イオンチャンネルは、DC電位の井戸を備えることが望ましい。
望ましくは、イオンチャンネルは、(i)第1のDC電圧の傾き、第1のDC電位、第1の静電障壁、第1のDC電位障壁又は第1の疑似電位と、(ii)第2の可動DC電位障壁、第2の可動静電障壁、第2の可動DC電位障壁又は第2の可動擬似電位障壁との間に形成される。
イオンは、DC電圧、DC電位又は静電電位によって、第1の平面又は第1の方向に、イオンチャンネル内で閉じ込められることが望ましい。
イオンは、RF電圧、RF電位又は疑似電位によって、第2の平面又は第2の方向に、前記イオンチャンネル内で閉じ込められることが望ましく、第2の平面又は第2の方向は、第1の平面又は第1の方向に略直交する。
前記装置は、望ましくは、第1のデバイスであって、前記1つ以上の物理化学特性によって実質的に決まる速度で、第1の方向に、又は、前記イオンチャンネルの軸に沿って若しくは前記イオンチャンネルに沿って、前記1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される第1のデバイスを備える。
第1のデバイスは、望ましくは、前記装置の少なくとも一部に沿って、又は、イオンチャンネルの軸に沿って若しくはイオンチャンネルに沿って、第1の静電電位若しくは力、第1のDC電位若しくは力、又は第1の疑似電位若しくは力を印加又は維持することによって、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される。
第1のデバイスは、望ましくは、前記装置の少なくとも一部に沿って、又は、イオンチャンネルの軸に沿って若しくはイオンチャンネルに沿って、第1の静電電位若しくは力、第1のDC電位若しくは力、又は第1の疑似電位若しくは力を印加又は維持することによって、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される。
第1のデバイスは、
(i)前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%にわたって、又は、イオンチャンネルの軸に沿って若しくはイオンチャンネルに沿って、第1のDC電圧の傾き、第1のDC電位又は第1のDC電場を維持する、及び/又は、
(ii)前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、又は、イオンチャンネルの軸に沿って若しくはイオンチャンネルに沿って、第1の静電電位又は力を印加する、及び/又は、
(iii)1つ以上の第1の過渡DC電圧又は電位を複数の電極に印加することによって、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、又は、イオンチャンネルの軸に沿って若しくはイオンチャンネルに沿って、イオンを移動させる、及び/又は、
(iv)3つ以上の位相を有する第1のRF電圧を複数の電極に印加するものであって、異なる電極がRF電圧の異なる位相に接続され、第1のRF電圧が、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、又は、イオンチャンネルの軸に沿って若しくはイオンチャンネルに沿って、イオンを移動させる、及び/又は、
(v)第1の疑似電位又は力を印加するものであって、複数の電極に印加されるRF電圧の振幅及び/又は周波数は、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、又は、イオンチャンネルの軸に沿って若しくはイオンチャンネルに沿って、変化する、増大する、又は、減少する、
ように構成及び適合されることが望ましい。
前記装置は、望ましくは、さらに、第2のデバイスであって、1つ以上の物理化学特性と実質的に独立な速度で、第2の方向にイオンを駆動するように構成及び適合される第2のデバイスを備える。
第2のデバイスは、前記装置の少なくとも一部に沿って、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁を印加する又は維持することによって、第2の方向にイオンを駆動するように構成及び適合されることが望ましい。
第1の静電電位若しくは力、第1のDC電位若しくは力、又は第1の疑似電位若しくは力は、望ましくは、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は第2の可動疑似電位障壁よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい。
第2のデバイスは、
(i)前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、第2の可動静電電位障壁を印加する、及び/又は、
(ii)1つ以上の第2の過渡DC電圧又は電位を複数の電極に印加することによって、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、イオンを移動させる、及び/又は、
(iii)3つ以上の位相を有する第2のRF電圧を複数の電極に印加するものであって、異なる電極がRF電圧の異なる位相に接続され、第2のRF電圧が、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、イオンを移動させる、及び/又は、
(iv)第2の可動疑似電位障壁を印加するものであって、複数の電極に印加されるRF電圧の振幅及び/又は周波数は、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、変化する、増大する、又は、減少する、
ように構成及び適合されることが望ましい。
一実施形態において、
(i)第1の静電電位又は力は、第2の可動静電電位障壁よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい、及び/又は、
(ii)第1のDC電位又は第1のDC電場は、第2の可動DC電位障壁よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい、及び/又は、
(iii)第1の過渡DC電圧又は電位は、第2の過渡DC電圧又は電位よりも実質的に大きな、実質的に等しい、又は、実質的に小さな振幅を有する、及び/又は、
(iv)第1のRF電圧は、第2のRF電圧よりも実質的に大きな、実質的に等しい、又は、実質的に小さな振幅を有する、及び/又は、
(v)第1の疑似電位又は力は、第2の疑似電位障壁よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい。
第1のデバイスは、望ましくは、第1の速度又は第1の速度成分で第1の方向にイオンを駆動する又は移動させるように構成及び適合され、
第2のデバイスは、望ましくは、第2の速度又は第2の速度成分で第2の方向にイオンを駆動する又は移動させるように構成及び適合されるものであって、
第1の速度又は第1の速度成分は、第2の速度又は第2の速度成分よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい。
第1の静電電位若しくは力、第1のDC電位若しくは力、又は、第1の疑似電位若しくは力は、
(i)特定の時点において、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
(ii)第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
ゼロではない成分を有することが望ましい。
一実施形態において、第1のデバイスは、第1の方向に第1の速度又は力でイオンを駆動し、
第2のデバイスは、第2の方向に第2の速度又は力でイオンを駆動するものであって、
(i)第1の方向は、第2の方向に対して、傾斜している、又は、オフセットしている、及び/又は、
(ii)第1の方向は、の第2の方向と同じ方向ではない、及び/又は、
(iii)第1の方向は、第2の方向と反対方向ではない、及び/又は、
(iv)第1の速度又は力は、第2の方向に略直交する方向にゼロではない速度又は力の成分を有する。
第1のデバイスは、望ましくは、第1の速度又は力でイオンを駆動し、
第2のデバイスは、第2の速度又は力でイオンを駆動するものであって、
第1の速度又は力及び/又は第2の速度又は力は、時間及び/又は位置により変動する。
好適な実施形態において、物理化学特性は、イオン移動度を含む。前記装置は、イオン移動度分光計又はイオン移動度分離装置を備えることが望ましい。
物理化学特性は、示差イオン移動度を含むものでもよい。前記装置は、示差イオン移動度分光計又は電界非対称イオン移動度分光計(FAIMS:Field Asymmetric Ion Mobility Spectrometer)を備えるものでもよい。
また、物理化学特性は、質量又は質量電荷比を含むものでもよい。前記装置は、質量分析器又は質量電荷比分析器を備えるものでもよい。
一実施形態において、前記装置は、内側シリンダと外側シリンダとを備え、
内側シリンダと外側シリンダとは、使用時にイオンを透過させる環状容積を規定し、
1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極が、内側シリンダの表面上、及び/又は、外側シリンダの表面上に配置される。
第1のデバイスは、前記装置の第1の端部から前記装置の第2の端部にイオンを移動させるように作用するDC電場及び/又は疑似電位力を維持するように構成及び適合されることが望ましく、
第2のデバイスは、1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極に1つ以上の過渡DC電圧を印加することによって、前記装置の第1の端部の方向にイオンを移動させるように構成及び適合されることが望ましい。
内側シリンダ及び/又は外側シリンダは、円形、楕円形、非円形、矩形又は不規則な形状の断面を有することが望ましい。
1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極のピッチは、前記装置の長さに沿って、一定である、増大する、減少する、又は、変化することが望ましい。
一実施形態において、前記装置は、さらに、1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極にRF電圧を印加することによって、環状容積内で半径方向にイオンを閉じ込めるデバイスを備える。
前記装置は、さらに、外側シリンダと内側シリンダとの間の環状容積にバッファガスを供給するように構成及び適合されるデバイスを備えることが望ましい。
内側シリンダ及び/又は外側シリンダは、非導電体又は誘電体を備えるものでもよい。
前記装置は、さらに、1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極に対して内側シリンダ及び/又は外側シリンダの反対側に設けられる1つ以上の補助電極を備えるものでもよい。
1つ以上の補助電極にRF電圧が印加されるものでもよい。
動作モードにおいて、前記装置を通る渦巻状又は螺旋形経路に沿ってイオンを移動させることが望ましい。
環状容積を介して、及び/又は、内側シリンダの開口部及び/又は外側シリンダの開口部を介して、前記装置に入るように、イオンが配列されることが望ましい。
イオンは、自身のイオン移動度に従って、又は、電場の強さに応じた自身のイオン移動度の変化率に従って、時間的に分離されることが望ましい。
一実施形態において、前記装置は、さらに、
複数のセグメント化された平面電極と、
第2のデバイスであって、セグメント化された平面電極にDC電圧を印加することによって、1つ以上の対角又は傾斜DC電圧障壁を前記装置の長さの少なくとも一部に沿って移動させるように構成及び適合される第2のデバイスと、を備える。
一実施形態において、前記装置は、さらに、複数の内側環状電極と複数の外側環状電極と、を備え、
内側環状電極と外側環状電極とは、使用時にイオンを透過させる環状容積を規定し、
複数の内側環状電極及び/又は複数の外側環状電極は、半径方向にセグメント化されて、複数のセグメント化された電極となる。
前記装置を通過するイオンの経路長を増大させるという正味の効果が得られるように、第1のデバイス及び第2のデバイスをほぼ同時に作動させることが望ましい。
本発明の一つの態様は、上記した装置を備える質量分析計である。
本発明の一つの態様は、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離する方法であって、
イオンを閉じ込めるイオンチャンネルであって、イオンチャンネルの軸に沿って又はイオンチャンネルに沿って、第1の端部の方向に、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させるイオンチャンネルを生成する工程と、
第1の端部からイオンチャンネルの軸又はイオンチャンネルを離す工程と、を備える。
本発明の一つの態様は、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離する装置であって、
複数の電極と、
第1のデバイスであって、1つ以上の物理化学特性によって実質的に決まる速度で、第1の方向に、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される第1のデバイスと、
第2のデバイスであって、1つ以上の物理化学特性と実質的に独立な速度で、第2の方向にイオンを駆動するように構成及び適合される第2のデバイスと、を備える。
本発明の一つの態様は、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離する方法であって、
1つ以上の物理化学特性によって実質的に決まる速度で、第1の方向に、1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させる工程と、
1つ以上の物理化学特性と実質的に独立な速度で、第2の方向にイオンを駆動する工程と、を備える。
イオンの経路長を増大させるという正味の効果が得られるように、第2の方向にイオンを駆動するのとほぼ同時に、1つ以上の物理化学特性に従って第1の方向にイオンを分離させることが望ましい。
本発明の一つの態様は、イオン移動度分離装置であって、
第1のデバイスであって、第1の静電電位若しくは場、第1のDC電位若しくは場、又は、第1の疑似電位又は場を第1の方向に印加又は維持することによって、第1の方向に自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される第1のデバイスと、
第2のデバイスであって、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁を用いて、イオンを駆動することによって、第2の方向にイオンを駆動するように構成及び適合される第2のデバイスと、を備え、
(i)特定の時点において、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
(ii)第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させる。
第1のデバイスは、望ましくは、第1の速度成分で第1の方向にイオンを駆動する又は移動させるように構成及び適合され、
第2のデバイスは、望ましくは、第2の速度成分で第2の方向にイオンを駆動する又は移動させるように構成及び適合されるものであって、
第1の速度成分は、第2の速度成分よりも実質的に大きい。
第1の静電電位若しくは力、第1のDC電位若しくは力、又は、第1の疑似電位又は力は、
(i)特定の時点において、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
(ii)第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
ゼロではない成分を有することが望ましい。
本発明の一つの態様は、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離する方法であって、
第1の静電電位若しくは場、第1のDC電位若しくは場、又は、第1の疑似電位又は場を第1の方向に印加又は維持することによって、第1の方向に自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させる工程と、
第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁を用いて、イオンを駆動することによって、第2の方向にイオンを駆動する工程と、を備え、
(i)特定の時点において、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
(ii)第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させる。
前記方法は、望ましくは、さらに、
第1の速度成分で第1の方向にイオンを駆動する又は移動させる工程と、
同時に、第2の速度成分で第2の方向にイオンを駆動する又は移動させる工程と、を備え、
第1の速度成分は、第2の速度成分よりも実質的に大きい。
第1の静電電位若しくは力、第1のDC電位若しくは力、又は、第1の疑似電位又は力は、
(i)特定の時点において、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
(ii)第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
ゼロではない成分を有することが望ましい。
本発明の一つの態様は、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離するイオン移動度分離装置であって、
DC電位によってイオンを閉じ込めるDCイオンチャンネルを生成するように構成及び適合されるデバイスであって、イオンチャンネルの軸に沿って又はイオンチャンネルに沿って、前記イオン移動度分離装置の出口の方向に、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させるデバイスと、
出口からイオンチャンネルの軸又はイオンチャンネルを離すことによって、前記イオン移動度分離装置の有効経路長を増大させるように構成及び適合されるデバイスと、を備える。
本発明の一つの態様は、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離する方法であって、
DC電位によってイオンを閉じ込めるDCイオンチャンネルを生成する工程であって、イオンチャンネルの軸に沿って又はイオンチャンネルに沿って、イオン移動度分離装置の出口の方向に、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させる工程と、
出口からイオンチャンネルの軸又は前記イオンチャンネルを離すことによって、イオン移動度分離装置の有効経路長を増大させる工程と、を備える。
本発明の一つの態様は、イオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計であって、
内側シリンダと外側シリンダであって、使用時にイオンを透過させる環状容積を規定する内側シリンダと外側シリンダと、
内側シリンダの表面上、及び/又は、外側シリンダの表面上に配置される1つ以上の渦巻状電極と、
前記イオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第1の端部から前記イオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第2の端部にイオンを移動させるように作用するDC電場及び/又は疑似電位力を維持するように構成及び適合される第1のデバイスと、
1つ以上の渦巻状電極に1つ以上の過渡DC電圧を印加することによって、前記イオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第1の端部の方向にイオンを移動させるように構成及び適合される第2のデバイスと、を備える。
本発明の一つの態様は、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離する方法であって、
内側シリンダと外側シリンダであって、使用時にイオンを透過させる環状容積を規定する内側シリンダと外側シリンダとを準備する工程と、
内側シリンダの表面上、及び/又は、外側シリンダの表面上に配置される1つ以上の渦巻状電極を準備する工程と、
イオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第1の端部からイオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第2の端部にイオンを移動させるように作用するDC電場及び/又は疑似電位力を維持する工程と、
1つ以上の渦巻状電極に1つ以上の過渡DC電圧を印加することによって、イオン移動度分離装置又はイオン移動度分光計の第1の端部の方向にイオンを移動させる工程と、を備える。
本発明の一つの態様は、イオンを分離する方法であって、
高周波イオンガイドにイオンを供給する工程と、
異なる特性を備えるイオンが分離されるように、1つの方向にイオンを駆動する工程と、
異なる特性を備えるイオンが事実上分離されないように、イオンの特性と事実上無関係に逆の方向にイオンを駆動する工程と、を備える。
好適な実施形態において、駆動力は静電力である。
好適な実施形態において、2つの対向する駆動力成分は、互いに略直交することが望ましい。
好適な実施形態において、駆動力の少なくとも1つは、時間に応じて又は位置に応じて変動することが望ましい。
好適な実施形態において、分離は、バッファガスにおけるイオン移動度に関係することが望ましい。
別の実施形態において、分離は、イオンの質量電荷比に関係するものでもよい。
一実施形態において、質量分析計は、さらに、
(a)(i)エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization: ESI)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(Atmospheric Pressure Photo Ionization: APPI)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(Atmospheric Pressure Chemical Ionization: APCI)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization: MALDI)イオン源、(v)レーザー脱離イオン化(Laser Desorption Ionization: LDI)イオン源、(vi)大気圧イオン化(Atmospheric Pressure Ionization: API)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(Desorption Ionization on Silicon: DIOS)イオン源、(viii)電子衝撃(Electron Impact: EI)イオン源、(ix)化学イオン化(Chemical Ionization: CI)イオン源、(x)電界イオン化(Field Ionization: FI)イオン源、(xi)電界脱離(Field Desorption: FD)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma: ICP)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(Fast Atom Bombardment: FAB)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(Liquid Secondary Ion Mass Spectrometry: LSIMS)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(Desorption Electrospray Ionization: DESI)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Atmospheric Pressure Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)イオン源、(xviii)サーモスプレーイオン源、(xix)大気サンプリンググロー放電イオン化(Atmospheric Sampling Glow Discharge Ionization: ASGDI)イオン源及び(xx)グロー放電(Glow Discharge: GD)イオン源からなる群から選択される1つ以上のイオン源、及び/又は、
(b)1つ以上の連続又はパルスイオン源、及び/又は、
(c)1つ以上のイオンガイド、及び/又は、
(d)1つ以上のイオン移動度分離装置及び/又は1つ以上の電界非対称イオン移動度分光計(Field Asymmetric Ion Mobility Spectrometer)、及び/又は、
(e)1つ以上のイオントラップ又は1つ以上のイオン捕捉領域、及び/又は、
(f)(i)衝突誘起解離(Collisional Induced Dissociation: CID)フラグメンテーション装置、(ii)表面誘起解離(Surface Induced Dissociation: SID)フラグメンテーション装置、(iii)電子移動解離(Electron Transfer Dissociation: ETD)フラグメンテーション装置、(iv)電子捕獲解離(Electron Capture Dissociation: ECD)フラグメンテーション装置、(v)電子衝突(Electron Collision)又は電子衝撃解離(Electron Impact Dissociation)フラグメンテーション装置、(vi)光誘起解離(Photo Induced Dissociation: PID)フラグメンテーション装置、(vii)レーザー誘起解離(Laser Induced Dissociation)フラグメンテーション装置、(viii)赤外線誘起解離装置、(ix)紫外線誘起解離装置、(x)ノズル・スキマー・インターフェース・フラグメンテーション装置、(xi)インソースフラグメンテーション装置、(xii)インソース衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation)フラグメンテーション装置、(xiii)熱源又は温度源フラグメンテーション装置、(xiv)電場誘起フラグメンテーション装置、(xv)磁場誘起フラグメンテーション装置、(xvi)酵素消化又は酵素分解フラグメンテーション装置、(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーション装置、(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーション装置、(xix)イオン−原子反応フラグメンテーション装置、(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーション装置、(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーション装置、(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーション装置、(xxiii)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオン(生成イオン)を形成するイオン−イオン反応装置、(xxiv)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応装置、(xxv)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応装置、(xxvi)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置、(xxvii)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応装置、(xxviii)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応装置、及び(xxix)電子イオン化解離(Electron Ionization Dissociation: EID)フラグメンテーション装置、からなる群から選択される衝突、フラグメンテーション又は反応セル、及び/又は、
(g)(i)四重極質量分析器、(ii)2次元又はリニア四重極質量分析器、(iii)ポール(Paul)トラップ型又は3次元四重極質量分析器、(iv)ペニング(Penning)トラップ型質量分析器、(v)イオントラップ型質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(Ion Cyclotron Resonance: ICR)質量分析器(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance: FTICR)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ型質量分析器、(x)フーリエ変換(Fourier Transform)静電又はオービトラップ型質量分析器、(xi)フーリエ変換(Fourier Transform)質量分析器、(xii)飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、及び(xiv)線形加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、からなる群から選択される質量分析器、及び/又は、
(h)1つ以上のエネルギー分析器又は静電エネルギー分析器、及び/又は、
(i)1つ以上のイオン検出器、及び/又は、
(j)(i)四重極マスフィルタ、(ii)2次元又はリニア四重極イオントラップ、(iii)ポール(Paul)又は3次元四重極イオントラップ、(iv)ペニング(Penning)イオントラップ、(v)イオントラップ、(vi)磁気セクタ型マスフィルタ、(vii)飛行時間型(Time of Flight: TOF)マスフィルタ、及び(viii)ウィーン(Wien)フィルタ、からなる群から選択される1つ以上のマスフィルタ、及び/又は、
(k)イオンをパルス状にする装置又はイオンゲート、及び/又は、
(l)、実質的に連続的なイオンビームをパルスイオンビームに変換する装置、を備えるものでもよい。
質量分析計は、さらに、
(i)C型トラップと、外側たる形電極及び同軸の内側紡錘形電極を備えるオービトラップ型(RTM)質量分析器と、を備え、第1の動作モードにおいて、イオンは、前記C型トラップに送られ、次に、前記オービトラップ型(RTM)質量分析器に注入され、第2の動作モードにおいて、イオンは、前記C型トラップに、次に、衝突セル又は電子移動解離(Electron Transfer Dissociation)装置に送られて、少なくとも一部のイオンがフラグメント(断片)イオンにフラグメント化(断片化)され、前記フラグメントイオンは、前記C型トラップに送られた後、オービトラップ型(RTM)質量分析器に注入される、及び/又は、
(ii)使用時にイオンを透過させる開口部を各々有する1つ以上の電極を備える積層リング型イオンガイドを備え、前記電極間の間隔がイオン通路の長さ方向に沿って増大し、前記イオンガイドの上流部分に配置される電極の開口部が第1の直径を有する一方で、前記イオンガイドの下流部分に配置される電極の開口部が前記第1の直径よりも小径の第2の直径を有し、使用時に、連続する電極に、逆相のAC又はRF電圧を印加する、のいずれかを備えるものでもよい。
好適な実施形態に従うイオン移動度分光計は、使用時にイオンを透過させる開口部を各々有する1つ以上の電極を備えるものでもよい。1つ以上の過渡DC電圧若しくは電位又は1つ以上のDC電圧又は電位波形を、イオン移動度分光計が備える電極に印加して、イオン移動度分光計の長さ方向に沿ってイオンを移動させることが望ましい。
好適な実施形態において、1つ以上の過渡DC電圧若しくは電位又は1つ以上のDC電圧又は電位波形は、(i)電位の山又は障壁、(ii)電位の井戸、(iii)複数の電位の山又は障壁、(iv)複数の電位の井戸、(v)電位の山又は障壁と電位の井戸との組み合わせ、又は、(vi)複数の電位の山又は障壁と複数の電位の井戸との組み合わせを形成する。
1つ以上の過渡DC電圧又は電位波形は、反復波形又は方形波を備えることが望ましい。
RF電圧は、イオン移動度分光計の電極に印加されることが望ましく、(i)50V未満のピークトゥピーク、(ii)50〜100Vのピークトゥピーク、(iii)100〜150Vのピークトゥピーク、(iv)150〜200Vのピークトゥピーク、(v)200〜250Vのピークトゥピーク、(vi)250〜300Vのピークトゥピーク、(vii)300〜350Vのピークトゥピーク、(viii)350〜400Vのピークトゥピーク、(ix)400〜450Vのピークトゥピーク、(x)450〜500Vのピークトゥピーク、(xi)500〜550Vのピークトゥピーク、(xxii)550〜600Vのピークトゥピーク、(xxiii)600〜650Vのピークトゥピーク、(xxiv)650〜700Vのピークトゥピーク、(xxv)700〜750Vのピークトゥピーク、(xxvi)750〜800Vのピークトゥピーク、(xxvii)800〜850Vのピークトゥピーク、(xxviii)850〜900Vのピークトゥピーク、(xxix)900〜950Vのピークトゥピーク、(xxx)950〜1000Vのピークトゥピーク、及び(xxxi)1000Vより大きなピークトゥピークからなる群から選択される振幅を有することが望ましい。
RF電圧は、(i)100kHz未満、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、及び(xxv)10.0MHzより大きな値からなる群から選択される周波数を有することが望ましい。
イオン移動度分光計は、(i)0.001mbarより大きな値、(ii)0.01mbarより大きな値、(iii)0.1mbarより大きな値、(iv)1mbarより大きな値、(v)10mbarより大きな値、(vi)100mbarより大きな値、(vii)0.001〜0.01mbar、(viii)0.01〜0.1mbar、(ix)0.1〜1mbar、(x)1〜10mbar、及び(xi)10〜100mbarからなる群から選択される圧力に保持されることが望ましい。
以下、例示を目的として、本発明のさまざまな実施形態を添付の図面を参照して詳述する。
好適な実施形態に従うイオン移動度分離装置を示す図。 好適な実施形態を示す説明図。 好適な実施形態を示す説明図。 装置内部で形成される単一の螺旋形DC障壁を示す図。 好適な実施形態の詳細を示す図。 (x,y)平面における好適な実施形態を示す図。 本発明の原理を示す図。 SIMIONシミュレーションから得られた結果を示す図。 従来技術との比較を示す図。 開示される装置におけるイオンの動きを単純化したモデルを示す図。 装置内におけるイオン分離を説明する解析モデルから得られた結果を示す図。 移動度値に対する分解能の変化を示すグラフ。 装置内におけるイオン分離を説明する解析モデルから得られた結果を示す図。 移動度値に対する分解能の変化を示すグラフ。 本発明の別の実施形態を示す平面図。 本発明の別の実施形態を示す側面図。 本発明の別の実施形態を示す平面図。 本発明の別の実施形態を示す端面図。 本発明の別の実施形態を示す平面図。 本発明の別の実施形態を示す平面図。
本発明の好適な実施形態を図1を参照して説明する。ただし、登園のことながら、本発明は、イオン移動度分光計に限定されるものではなく、図1に示す環状形状に代わる様々な他の形状も、本発明の範囲内である。
本発明の一実施形態において、図1に示すように、イオン移動度分離装置は、2つの同心円シリンダを備える。このシリンダには、使用時にイオンを透過させる環状容積を規定する外側シリンダ1と内側シリンダ2とが含まれる。同心円シリンダは、非導電体で形成されることが望ましい。イオン移動度分析装置は、望ましくは、イオン移動度分離装置にイオンを入れる入口側端部3と、イオン移動度分離装置からイオンを出す出口側端部4とを備える。
2つの同心円シリンダ1と2との間の環状容積に、ヘリウムや窒素等のバッファガス又はドリフトガスに供給されることが望ましい。たとえば、環状容積内のドリフトガスの圧力を0.5トール〜5トールに設定するものでもよい。
特定の実施形態において、図2Aに示すように、渦巻状の導電体を内側シリンダ2の外側に取り付けるようにしてもよい。また、図2Bに示すように、渦巻状の導電体を外側シリンダ1の内側表面に取り付けてもよい。内側渦巻材と外側渦巻材は、装置の長さにわたって、内側渦巻材が外側渦巻材の経路をたどるように、配置されることが望ましい。一例として、図2Aに示すようにy軸に対する導電ストリップの角度θが20度であり、内側シリンダ2の直径が20mmであれば、ストリップは、22.87mmごとに、シリンダの周りを完全に一巻きする。シリンダの長さが100mmの場合には、線材はシリンダの周りを4.37巻きする。導電経路の全体の長さは、約292mmになる。外側シリンダ1の直径が30mmであれば、外側シリンダ1と内側シリンダ2との間に半径方向の幅が5mmの環状空間が形成される。
図3に、z,y方向において各々相補的な渦巻状導電ストリップを備える内側シリンダ2と外側シリンダ1とを示す。導電ストリップの電位を上昇させて、環状容積に沿って螺旋形DC電位障壁を形成するように、第1のDC電源5が備えられる。形成されるDC電位障壁を、図3の内側渦巻状経路と外側渦巻状経路との間の網掛け部として示す。
導電ストリップは抵抗を有するものでもよく、ストリップの全抵抗が50〜500Ω程度でもよい。これにより、第2のDC電源6を用いて、導電ストリップの一端から他端に電位勾配をかけることができる。
図4に示す実施例において、外側シリンダ1は、6つの渦巻を形成する6つの等間隔の導電抵抗ストリップa、b、c、d、e、fを備える。内側シリンダの直径が20mmで角度θが20度の例では、ストリップ幅が0.5mmでストリップ間の間隔が1mmの場合に、内側シリンダ2のストリップ数は合計で15になる。
動作時に、DC電位を6つの導電ストリップすべてに印加して、イオン移動度分離装置の入口側端部3からイオン移動度分離装置の出口側端部4にイオンを移動させるように作用するDC電場を事実上生成するように、第2のDC電源6を配置するようにしてもよい。ただし、第1のDC電源5は、いずれの時点においても、渦巻状導電ストリップのうちの1つにのみ印加されることが望ましい。
内側シリンダ2上の相補的導電ストリップに同じ電位をかけることが望ましい。
好適な実施形態において、RF周波数で振動するAC電圧を導電ストリップに印加することによって、環状容積3内で半径方向にイオンを閉じ込めるようにしてもよい。隣接するストリップ間のRF電圧は、180度位相がずれていることが望ましい。
図5に、x,y方向における外側シリンダ1と内側シリンダ2を示し、内側シリンダ2と外側シリンダ1とに閉じ込めRFと渦巻状DC障壁を印加する様子を説明する。
内側シリンダ2と外側シリンダ1は、いずれも、各シリンダの内側及び外側に導電ストリップを備える誘電体から形成されるものでもよい。たとえば、フレキシブルPCB構造を用いてもよい。
図5に、内側シリンダ2の外側及び外側シリンダ1の内側に配置されるDC電極a、b、c、d、e、fを示す。
また、図5に、電極a、b、c、d、e、fと平行であって、かつ、誘電体シリンダの反対側に配置される補助導電ストリップも示す。補助ストリップは、装置の長さに沿って、電極a、b、c、d、e、fの各々に関して説明したものと同じ渦巻状をたどることが望ましい。隣接する電極に反対の位相のRFが供給されるように、RF周波数で振動するAC電位を補助電極に供給するようにしてもよい。AC電位は、誘電体を介してDC電極上の容量結合することが望ましく、この結果、環状容積内に半径方向のRF閉じ込め場が生じる。AC電圧は、たとえば、振幅が400Vのピークトゥピークで、周波数が1MHzであってもよい。
動作時に、イオン移動度分離装置の入口3を通って、時刻T1において、イオン移動度分離装置内にイオンがパルス状に入射されることが望ましい。時刻T1において、図4及び図5に示すストリップfに印加される電位は、他の5つの渦巻状ストリップの電位よりも高くなっていて、事実上イオンを通過させない障壁を形成することが望ましい。導電ストリップfから離れた領域でイオン移動度分離装置に入り、イオン移動度分離装置内への最初の通過が妨げられないように、イオンを配列させることが望ましい。
第1のDC電圧源5により各ストリップにわたって印加される電位勾配は、ストリップfに印加される電位により形成されるDC障壁の経路に従う渦巻状経路でイオン移動度分離装置内を下方に進むようにイオンを動かすことが望ましい。
イオンを分離させる場の成分は、DC障壁に直交することが望ましい。
バッファガスを通過するイオンは、渦巻状DC勾配により渦巻状経路で駆動されて、自身のイオン移動度に従って分離されることが望ましい。
次の時刻T2(T2>T1)で、装置内でイオンが下方に移動すると、望ましくは、ストリップfへのDC電圧の印加が止まり、図4に示すストリップeにのみDC電圧が印加される。したがって、時刻T2で、望ましくは、ストリップeのDC電位が、他の導電ストリップよりも上昇する。次の時刻T3(T3>T2)で、望ましくは、DC電位障壁が導電ストリップdにのみ切り替わる。次の時刻T4で、DC電位は、ストリップcにのみ印加される。次の時刻T5で、DCは、望ましくはストリップbにのみ印加される。次の時刻T6で、DCは、望ましくはストリップaにのみ印加される。最後に、時刻T7(T7>T6>T5>T4>T3>T2>T1)で、DCは、望ましくはストリップfにのみ印加される。分析の間中、このパターンが繰り返されることが望ましい。
DC電圧をこのようにストリップa、b、c、d、e、fに印加することにより、各導電ストリップに印加されるDC電位勾配によってイオンがドリフトガスを通過する際に装置を通るイオンの動きを妨害するように作用する螺旋形進行DC経路又は螺旋形回転DC経路が形成される。イオンは、螺旋形DC進行波により望ましくは装置の入口の方向に戻され、同時に、DC勾配の印加によって装置の出口側に移動する際に螺旋形傾斜波面を滑り落ちる。
螺旋形進行波の速度又はDC電場の強さを調節することにより、装置内におけるイオンの滞留時間を延ばすことができる。螺旋形進行波が存在しない場合に予測される期間よりも長い期間、装置の出口の方向に作用するDC場をイオンが受ける。このように滞留時間が長いということは、比例してより長いイオン移動度分離装置をイオンが通過することと等価であり、したがって、同じくらいの物理長を有する従来のイオン移動度分離装置に比べて、イオン移動度分離力が向上する。
上述した装置の動作原理を概念化を助けるために、螺旋形進行DC障壁を延ばして、平面上に存在する線形障壁を形成するような単純モデルを想定するようにしてもよい。図6に、このようなモデル内部における単一のイオン種を示す。斜線T1は、時刻T1において存在する、イオンが通過できないDC障壁を示す。この図において、障壁は、平面を横切り、障壁の高さは、見る人に向かって鉛直方向に伸長する。この障壁は、イオン検出器の平面又は装置Dの出口に対して角度θで傾斜している。長さLは、入口平面Sから出口平面Dまでの装置の長さを規定する。入口から出口平面側にイオンを移動させるように、装置の長さLにわたって、電場Eが存在する。このモデルでは、昇圧されるバッファガス内にイオンが存在し、イオンの動きは、イオン移動度Kにより支配される。
時刻T1において、DC障壁の傾斜端部に沿った方向に分解されたDC電場Eの力成分により、この方向にイオンを移動させることが望ましい。T1におけるDC障壁が変化しなければ、イオンは、電場Eにおいて距離L移動した後に、装置Dの出口に最終的に到達する。イオンが入口から出口まで移動する時間(DTs)は、イオンの移動度により左右され、以下の式で表わされる。
Figure 2014509743
ただし、図6において、イオンは、時刻T2まで、装置内を距離d1移動することができる。この例では、d1=L/4である。
時刻T2において、DC障壁は、望ましくは、装置の入口側に向かって上方に動き、T2に表示される位置まで移動する。イオンは、障壁と垂直な方向に、この障壁の面上を移動することが望ましい。いずれの移動度値を有するイオンも、ほぼ同じ量だけ移動することが望ましい。図示するように、イオンは、装置の入口の方向に移動した後、位置T2に示す障壁に沿って再び下方に移動し始める。望ましくは、イオンは、時刻T3まで、電場Eの影響下で、距離d2(ここで、d2=d1)移動することができる。時刻T3において、障壁が再び移動し、イオンは入口側に押し戻される。障壁が再び移動する時刻T4まで、イオンは、距離d3(ここで、d1=d2=d3)移動することができる。次に、時刻T5で再び障壁が移動するまで、イオンは、距離d4(ここで、d1=d2=d3=d4)移動することができる。次に、時刻T6で再び障壁が移動するまで、イオンは、距離d5(ここで、d1=d2=d3=d4=d5)移動することができる。最後に、イオンが装置から出る位置まで、イオンは、距離d6(ここで、d1=d2=d3=d4=d5=d6)移動することができる。
電場E(Lt)内でイオンが移動した全距離は、以下の式で示される。
Figure 2014509743
これを、傾斜障壁が移動しない場合に同じ電場内でイオンが移動するであろう距離Lと比較する。
Figure 2014509743
すなわち、移動度分離装置の絶対的長さLを、より長い仮想長さLtに延ばすことができる。ドリフト長さが延びた量は、イオン移動度の関数である。
移動度分離力の観点からこの手法の性能を検討するために、図6に記載した理論的モデルと同様なモデルを、SIMION(RTM)イオン光学シミュレーションソフトウェアを用いて、構築した。
このモデルで用いたパラメータは、ドリフト領域の長さLが100mm、DC障壁の高さが100V、出口平面に対するDC障壁の角度θ=20度、窒素の圧力(剛体球モデル)Pが0.5トール、波面に垂直な障壁の速度が40m/s、駆動場Eが4V/mmであった。
4つのイオンの軌跡をモデル化した。これらイオンは、すべて、1価で、質量電荷比は500であったが、異なる移動度値を有していた。イオン#1は、K=0.173M2-1-2で断面積は200Å、イオン#2は、K=0.139M2-1-2で断面積は250Å、イオン#3は、K=0.126M2-1-2で断面積は275Å、イオン#4は、K=0.115M2-1-2で断面積は300Åであった。
各移動度値を有する1000個のイオンからなるイオン群をモデル化して、各イオン種に対する平均ドリフト時間及びドリフト時間の標準偏差を記録した。
図7に、このモデルに関するSIMION(RTM)から得られた結果を示す。ピークを、シミュレーション出力から測定された平均及び標準偏差を有するガウスピークで表わす。
図8に、図7に示すモデル化した例と同じ圧力、長さ及び電場において、標準IMSドリフトチューブで分離される同じイオン群の理論的IMSスペクトルを示す。
好適な実施形態に従う手法を用いる場合に、IMS分離力に明らかに大幅な向上がみられる。これは、予想されるように、すべてのイオン種に対してドリフト時間の増大を伴う。
また、図7と図8とを比較することにより、高移動度イオンに対するドリフト時間の差は、低移動度イオンに対するドリフト時間の差よりも小さいことがわかる。これは、このようなイオンに対するドリフト時間の増大が移動度に左右されることを示す。
ドリフト時間はイオンの移動度に直線的に依存するわけではないため、移動度分解能Rを以下の式から直接算出することはできない。
Figure 2014509743
装置の分解能に関する式を作成するためには、螺旋形進行波内におけるイオンの動きを説明する解析方程式が必要となる。
図9に、好適な実施形態の原理を説明するさらに簡略化した図を示す。長さLのドリフトチューブ8に電場Eをかけることによって、速度Vでチューブ8に沿ってバッファガス内をイオンを通過させる。
Figure 2014509743
検出器9をドリフトチューブ8の一端に配置した後一定の速度Vdでドリフトチューブの出口から離していくことにより、イオンが移動するチューブの全長Ltotを事実上増大させる。電場Eは、検出器9までのイオンの移動の間中一定であると仮定する。
後退していく検出器9にイオンが到達する時間ttotは以下の式で表わされる。
Figure 2014509743
ドリフトセル内に導入されたイオンパケットが時間と共に広がる度合いは、バッファガス内における拡散により支配される。
イオンパケットの幅の経時変化の標準偏差σLは以下の式で表わされる。
Figure 2014509743
ここで、kはボルツマン定数、Tはケルビン温度、tはドリフト時間、qはイオン上の電荷を示す。
システムにおける時間に関する標準偏差σtは、式7で示すイオンの相対速度で式8を除算することにより得られる。
Figure 2014509743
時間Δtにおける移動度ピークのFWHM(半値全幅)は以下の式で表わされる。
Figure 2014509743
上述したSIMION(RTM)モデルから得られた結果を比較するためには、追加の因子を加えて、非正規角度θで検出器9に到達したイオンを表わす必要がある。係数Fにより、観測されるFWHMピークを低減する効果がある。ここで、F=sinθである。
図10に、図7及び図8に示したものと同じイオンであるイオン#1、イオン#2、イオン#3及びイオン#4に対してこのアプローチを適用した結果を示す。
このモデルでは、ドリフト領域Lを100mm、検出器の速度Vdを29m/s、駆動場Eを4V/mmとしてモデル化した。
このモデルは、図7に示すSIMION(RTM)シミュレーションから得られた結果と非常によく一致し、解析近似が非常によいことがわかる。
このモデルを用いて、移動度分解能に関する式を誘導するために、式2を以下のように書き換えることができる。
Figure 2014509743
式7及び式8を式9に代入して値を求めることにより、所定の検出器速度に対する装置の移動度分解能Rに関する式が得られる。検出器速度は、好適な実施形態における螺旋形DC障壁の回転速度と同様のものである。
Figure 2014509743
図11にK値に対する移動度分解能Rのプロットを示す。実線10は、上述したSIMION(RTM)シミュレーション及び解析モデルにおいて用いられた条件下の装置における理論的分解能を示す。
点線11は、同じ長さLの標準的なDCドリフトチューブを同じ圧力と同じ場Eで動作させた場合に得られる分解能を示す。標準的なドリフトチューブに関して算出した移動度分解能は13であった。好適な実施形態において、この移動度の全範囲にわたり、3〜5の間の分解能の増大が得られる。標準的なドリフトチューブを用いて同じ圧力と同じ場でこのような分解能を達成するためには、ドリフトチューブの長さを0.9〜2.5mの範囲とする必要があり、これは非現実的である。
印加される場においてイオンが移動する総有効距離がイオン移動度に依存するため、移動度分解能は、イオンの移動度に依存する。
上述した実施形態において、螺旋形DC障壁に沿って作用するDC場によりイオンは装置の出口の方向に駆動され、DC障壁の掃引又は回転により装置の出口の方向に戻される。イオンは、最終的にDC場による移動方向に排出され、検出される。ただし、反対方向に、すなわち、螺旋形DC障壁を移動又は回転させることによるイオンの移動方向にイオンが排出されるようにイオンを駆動することによっても、IMS分離を向上させることができる。
図12は、図7に記載したモデルに対するSIMION(RTM)イオン光学シミュレーションにより得られた結果を示す。ただし、障壁の移動速度は、40m/sから94m/sに増大させた。イオン到達時間を、波面の方向に装置からイオンが排出される時間として記録する。
4つのモデル化したイオン種が装置から出る順序は、より高い移動度を有するイオンよりも比較的低いイオン移動度を有するイオンの方が先に装置から出ることにより逆になる。
図13に、図10に記載したものと同様の解析アプローチを用いて算出した移動度Kに対する移動度分解能Rのプロットを示す。ただし、このモデルでは、検出器は装置への入口に配置されて、DC場で分離される際にイオンを「捕捉する」。同じ条件下で標準的なドリフトチューブを用いた場合の分解能を点線11に示す。この標準的なドリフトチューブの分解能は13である。
ここで留意するべきは、IMS分離の間、DC場の振幅を、その値の全範囲にわたって傾斜状に又は段階的に変化させることができる、及び/又は、螺旋形DC移動障壁の速度を、その値の全範囲にわたって傾斜状に又は段階的に変化させることができる、ことである。この動作モードでは、装置の分解能を特定の移動度範囲に対して最大にすることができる。
別の動作モードにおいて、装置の一端に(又は装置の長さ方向に沿ったいずれかの位置に)追加のDC障壁又はRF障壁を配置して、イオンが装置内に入った後にこの位置を通って出る又は移動することができないようにしてもよい。DC場の大きさ及び対向する螺旋形移動DCの速度を調節することにより、すべてのイオンを装置の端まで駆動させて、装置内の特定の位置で効果的に捕捉することができる。出口障壁と螺旋形移動DCの組み合わせによって、又は、出口障壁と螺旋形DCの長さ方向に沿って作用するDC場とによって、イオンを捕捉するようにしてもよい。
DC場の振幅を傾斜状に又は段階的に変化させることにより、又は、螺旋形移動DC障壁の速度を傾斜状に又は段階的に変化させることにより、又は、その両方の組み合わせにより、イオンを捕捉した後でイオンをスキャンアウトすることができる。この動作モードでは、装置の分解能を広い移動度範囲に対して最大にすることができる。
装置内における駆動力を変化させることにより、異なる移動度範囲のイオンを配列させて、必要に応じて同時に装置の異なる端部から排出させることが可能になる。
好適な実施形態では環状容積の一端でイオンは装置内に入るが、外側シリンダを通る別のイオン入口を介して装置の長さ方向に沿った任意の位置で環状容積に入るようにイオンを配列させるようにしてもよい。
また、別の動作モードにおいて、IMS分離しないイオンガイドとして装置を動作させてもよい。この動作モードでは、螺旋形DC障壁に沿ってイオンを移動させるように作用するDC場を実質上ゼロに設定して、螺旋形移動DCを用いてイオンが装置内を通過するようにしてもよい。螺旋形移動又は回転DCを用いて、連続イオンビーム、不連続イオンビーム又はパルスイオンビームを伝送するようにしてもよい。
広い範囲のバッファガス圧力にわたって、RFイオンガイドとして装置を動作させてもよい。上述したように螺旋形移動DCの速度を調節することにより、装置を通るイオンの通過時間を正確に制御することができる。
高圧バッファガス下で、螺旋形移動DC障壁は、事実上移動度分離をすることなく、連続イオンビーム又は不連続イオンビームを輸送することができる。静的な軸方向のDC駆動力を用いた場合には、このような輸送は不可能である。
高圧バッファガス下で、螺旋形移動DC障壁は、事実上移動度分離をすることなく、また、イオンビームを分割することなく、連続イオンビーム又は不連続イオンビームを輸送することができる。従来のDC進行波ガスセルを用いた場合には、一般的に、このような輸送は不可能である。
連続イオンビームを用いる場合には、高移動度カットオフフィルタ又は低移動度カットオフフィルタとして装置を利用することができる。たとえば、DC場に対向する螺旋形移動DC障壁の速度を調節することによって、所定の移動度値よりも高いイオン移動度を有するイオンのみを装置から排出させるようにしてもよい。これより低いイオン移動度のイオンは、装置の出口の方向に駆動されない、又は、出口の方向に戻される。
好適な実施形態は円筒形の形状であるが、平面形状や他の形状を用いる他の実施形態も本発明の範囲内である。
図14Aに、平面形状の他の実施形態のx,y平面における平面図を示す。この実施形態は図6に示すものと同様のものである。水平平面電極を複数の電極セグメントにセグメント化する。イオンは、入口3で装置内に入り、電場Eにより水平対角DC障壁14に沿って駆動される。対角DC障壁14の位置を、矢印15に示す方向に時間と共に掃引させる。異なる移動度のイオンが、装置の長さWに沿った異なる位置で排出される。
図14Bに、x,z平面における装置の側面図を示す。セグメント化された電極の上側アレイ及び下側アレイとにRF電圧を印加することにより、イオンは、望ましくは、疑似電位井戸により電極アレイ内に鉛直方向に閉じ込められる。
この場合、好適な実施形態ほどコンパクトな設計にはならないが、所定の長さLに対して達成される移動度分解能は、電場Eと長さLの標準的なドリフトチューブとを用いた場合に達成可能な移動度分解能よりも著しく高い。
x,y方向における他の平面形状の実施形態を、図15Aに示す。図15Aは、平面図である。イオンは、入口3で入り、電場Eにより対角DC障壁14に沿って駆動される。DC障壁は、装置の長さLに対して不連続であり、イオンが装置内を通過する際にx軸の方向にイオンを反転させることができる。複数のDC障壁の位置を、矢印15に示す方向に、時間と共に掃引させる。
図15Bに、x,z方向における装置の端面図を示す。セグメント化された電極の上側アレイと下側アレイとにRF電圧を供給することによって、疑似電位井戸が形成され、イオンはz(鉛直)方向に閉じ込められる。また、電極15にDC電圧を供給することによって、イオンはx方向に閉じ込められる。
図14及び図15に示す実施形態において、さまざまな方法で、z方向及びx方向にイオンを閉じ込めることができる。
図16に、x,y方向において平面形状を有する他の実施形態の平面図を示す。この場合には、イオンは、入口3で入り、螺旋形の中心に向かって半径方向に作用する電場Eによって、平面状螺旋形DC障壁に沿って駆動される。螺旋形DC障壁の位置は、矢印16で示される方向に中心点の周りに螺旋形が回転するように、時間と共に移動する。図16に示す螺旋形は、DC電位障壁の位置を示す。
イオンは、最終的に中心点17で装置から出る。この実施形態において、イオンを螺旋形の中心で注入して、螺旋形DC障壁の回転速度を増大させることにより、又は、電場Eを十分に低減することにより、イオンを螺旋形の外側に向かって駆動させることができる。
ここで、留意すべきは、動作の原理を変えることなく、放射状電場の方向と螺旋形の回転方向の両方を反転させることが可能なことである。
図14及び図15の実施形態において、RF電極アレイを用いて、x,z(鉛直方向)平面にイオンを閉じ込めるようにしてもよい。
図14、図15及び図15に記載した実施形態において、DC障壁の動きの速度を変化させることにより、又は、静電場を傾斜状に変化させることにより、イオンが電場内に滞留する総時間、すなわち装置の分解能を、移動度依存的に調節することができる。
図16の実施形態と同様に、図17に別の実施形態を示す。この実施形態では、装置は、イオン捕捉特性を持つものとして作用する。イオンは入口3で装置内に入り、装置の中心に向かって半径方向に作用する静電場Eと矢印16で示す方向への螺旋形DC電位障壁の回転によりイオンに印加される力との組み合わせによって、イオンは部分螺旋形障壁に沿って矢印18に示す方向に駆動される。この場合、螺旋形DC電位障壁の回転速度は、螺旋形の外側に向かってイオンが駆動されるように、選択される。イオンは、螺旋形の端19に到達すると、螺旋形の一端19と螺旋形の他端20近傍の位置との間で、電場Eにより駆動される。その後、イオンは、螺旋形を回る同じ経路をたどって、位置19に戻る。イオンは、螺旋形障壁の端部で有効に捕捉され、中心点17を軸に分解されて分離される。イオンは固有の経路を取らないため、移動度が低いイオンは、より低い相対速度で装置の周りを移動する移動度がより高いイオンに、最終的に追いつく。たとえば、障壁の一部を位置20で取り除いてイオンの中心への落下を可能にすることにより、又は、装置の中心に向かって半径方向に作用する場Eを消失させることにより、装置からイオンを排出させることができる。後者の場合、イオンは、矢印21で示す方向に排出される。この実施形態において、イオン移動度の逆順に装置から排出されるように、イオンを配列させてもよい。
上記した実施形態を様々に変形することが可能である。
たとえば、DC障壁を変化させる時間と位置とを適用するような変形が可能である。たとえば、装置の異なる要素上で突然電位が出現及び消失するように一連の離散段階的に電位を印加するのではなく、平滑連続関数を用いて、DC電位の振幅を印加した後、これを除去するようにしてもよい。これにより、イオンに印加される進行波間のより円滑な移行が可能になる。
上述した好適な実施形態では、移動DC障壁を形成する電位を1回に1つの導電ストリップだけに印加するものとして説明した。しかし、隣接する導電ストリップ群に同時に電位を印加することが都合がよい場合もある。進行波の大きさと形状に影響を与える他の実施形態も可能である。
好適な実施形態に記載した方法と別の方向でRF閉じ込め電圧を印加するようにしてもよい。たとえば、内側シリンダと外側シリンダ上の相補的な螺旋形の間にRF閉じ込め電位を印加して、内側シリンダ上の導電ストリップに、外側シリンダ上のストリップに供給されるRF電位と180度位相のずれたRF電位が供給されるようにしてもよい。内側シリンダ上のすべてのストリップが同じ位相になるように配置し、また、外側シリンダ上のすべてのストリップが同じ位相になるように配置してもよい。
あるいは、内側シリンダ上の螺旋形が外側シリンダ上の相補的な螺旋形と逆の位相になるように、RF閉じ込め電位を印加するようにしてもよい。ただし、内側シリンダ上と外側シリンダ上で隣接する螺旋形が逆位相のRFとなるようにしてもよい。
他のスキーマによりRF閉じ込めを可能にするようにしてもよい。
装置の形状は、円形断面には限定されず、楕円形、矩形、又は不規則な断面形状でもよい。
図1に示す内側部材は、外側部材と同心円上になくてもよい。
図2で角度θで示した螺旋形移動障壁のピッチを、装置の長さ方向に沿って変化させるようにしてもよい。これは、事実上、装置に沿った位置で螺旋形移動障壁により装置を通過するイオンの速度を変化させることになる。
螺旋形移動DCに対向する駆動力は、DC場ではなく、疑似電位力等の質量に依存する力でもよい。装置の長さ方向に沿って距離に応じて印加されるRF電圧の振幅を次第に増大させることにより、又は、内側シリンダと外側シリンダの間の間隔を入口側端部から出口側端部にかけて減少させることにより、疑似電位駆動力を形成するようにしてもよい。
この場合、分離は、イオンの移動度と質量電荷比の両方に関係する。
好適な実施形態に関して説明したものと異なる方法で必要な場を生成するように装置を構成することができる。たとえば、内側シリンダ及び外側シリンダを、隣接するリング上のRFが逆相になるような同心円状RFリングスタックとしてもよい。これらのリング自身が半径方向にセグメント化される場合には、適当な静的時間変動DC電位がセグメントに印加されて、必要な場が形成されるようにしてもよい。
このような構成を用いることにより、より従来のものに近いDC進行波を装置に印加することが可能になる。螺旋形移動DCと対向するDC進行波との組み合わせを用いることにより、WO2008/071967に記載されるように、移動度分離又は質量分離を向上させることができる。
さらに、複数にセグメント化されたリングスタックを用いて、各セグメントに印加されるRFの振幅を時間とともに変化させることにより、螺旋形移動疑似電位障壁を形成することができる。
2つ以上の螺旋形移動DC障壁を同時に装置の長さ方向にわたってかけて、2つ以上の固有の経路を形成して、イオンを装置内で下方に移動させるようにしてもよい。
別の実施形態において、この装置を、円筒形の示差イオン移動度装置(DIMS:differential ion mobility device)として用いるようにしてもよい。この実施形態において、RF閉じ込め電位は非対称でもよく、又、内側シリンダと外側シリンダとの間のRF閉じ込め電極に追加の非対称波形を印加するようにしてもよい。この実施形態では、内側シリンダと外側シリンダ上の相補的な螺旋形の間にRF閉じ込め電位が印加されて、内側シリンダ上の導電ストリップに、外側シリンダ上のストリップに供給されるRF電位と180度位相のずれたRF電位が供給される。内側シリンダ上のすべてのストリップが同じ位相であり、また、外側シリンダ上のすべてのストリップが同じ位相である。
この結果、イオンの示差イオン移動度に応じて、内側シリンダと外側シリンダとの間で、半径方向にイオンを分散させることができる。
特定の示差イオン移動度帯域内のイオンのみが、装置内に閉じ込められる一方、他のイオンは、内側シリンダと外側シリンダの電極で失われる。外側シリンダと内側シリンダとの間に追加のDC電圧(補償電圧)を印加することにより、異なる示差移動度を有するイオンが装置内を通って移動するように配列させることができる。
示差イオン移動度分離の間に、DC場を持たない螺旋形進行波によってイオンが装置内を通過する場合には、イオンは半径方向にのみ分離される。イオンは、連続ビームとして、又は、イオンパルス若しくはパケットとして、この装置内に導入されるものでもよい。
DC場を用いて、又は、DC場と対向する螺旋形進行波との組み合わせを用いて、装置内でイオンを通過させる場合には、イオンは、自身の示差移動度に従って半径方向に、また、イオン移動度に従って螺旋形の長さに沿って、分離される。
また、装置の上流側又は下流側に配置される他の分離装置(たとえば、イオン移動度分離装置又は質量分離装置)又はフィルタと連結させて、装置を用いることもできる。
第2のIMS分離装置が開示される装置の上流側に配置される場合には、第1の装置の出力を螺旋形DC進行波の速度又はDC場の強さの変化に同期させることにより、広い範囲の移動度にわたってIMS分解能を最適化することができる。
開示される実施形態を互いに連動させて用いることにより、又は、連続した複数の装置として用いることにより、イオンを1つの装置から別の装置に移動させることができる。たとえば、図6に示すような平面螺旋形状で構成される複数の装置を互いに積層させるようにしてもよい。所定の一連の条件下で、一番上の螺旋内のイオンが、螺旋の中心17に向かって駆動されるものでもよい。次に、DC場により、たとえば、第1の装置のすぐ下に配置される他の螺旋形装置の入口に向かってイオンが移動し、第2の螺旋形を下向きに移動しつつイオンが分離されるようにしてもよい。第2の装置への入口が第2の装置の螺旋の中心にある場合には、場の方向及び螺旋障壁の方向又は回転が逆になる。図16に示す例では、場Eは、螺旋形の中心から外側に向かって半径方向に作用する。このように複数の装置を積層することにより、装置内における移動度値の分解能及び範囲を増大させることができる。
開示した装置を用いて、陽イオンと陰イオンの両方を同時に分析することができる。装置の一端部において陽イオンを導入させるとともに、装置の反対端部において陰イオンを導入させる場合には、これらのイオンは、反対方向に移動し、反対側の端部で装置から排出される。移動DC障壁の性質により、陰イオンと比較して、陽イオンは、固有の経路で装置内を通る。この特徴を利用して、陽イオンと陰イオンの両方を装置に入力して、DC障壁を消失させる又は低減させることにより、相互作用時間を制御することができる。このようにして、電子移動解離ETD(electron transfer dissocination)、水素重水素交換HDX(hydrogen deuterium exchange)又は電荷減少等のイオン−イオン相互作用が可能になる。
上述した移動DC障壁の実施形態を用いて、装置の両端において反対方向に回転する又は移動する障壁によって装置の中心に向かってイオンが移動するようにイオンを配列させることにより、陽イオンと陰イオンを両方とも捕捉することができる。
以上、本発明をその好適な実施形態を参照して詳述したが、当業者には自明のことであるが、特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない範囲において、形態や詳細において、種々の変形や変更が可能である。

Claims (59)

  1. 1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離する装置であって、
    前記装置は、使用時にイオンが閉じ込められるイオンチャンネルを生成するように構成及び適合され、
    前記イオンは、前記イオンチャンネルの軸に沿って又は前記イオンチャンネルに沿って、第1の端部の方向に、前記1つ以上の物理化学特性に従って、分離され、
    前記装置は、さらに、前記イオンチャンネルの軸又は前記イオンチャンネルを前記第1の端部から離すように構成及び適合される、装置。
  2. 請求項1に記載の装置であって、
    前記イオンチャンネルの軸及び/又は前記イオンチャンネルは、非線形である、装置。
  3. 請求項1又は2に記載の装置であって、
    前記イオンチャンネルの軸及び/又は前記イオンチャンネルは、螺旋形、渦巻状、又は曲線状である、装置。
  4. 請求項1に記載の装置であって、
    前記イオンチャンネルの軸及び/又は前記イオンチャンネルは、線形である、装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記第1の端部は、出口を備えるとともに、イオンが前記装置に入る際に最初に通過する第2の端部に対向する、装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記第1の端部は、イオンが前記装置に入る際に最初に通過する入口を備える、装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記イオンチャンネルの軸又は前記イオンチャンネルを前記第1の端部から離すことによる効果は、前記1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させる際の経路の有効経路長を増大させることである、装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記イオンチャンネルは、DC電位の井戸を備える、装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記イオンチャンネルは、(i)第1のDC電圧の傾き、第1のDC電位、第1の静電障壁、第1のDC電位障壁又は第1の疑似電位と、(ii)第2の可動DC電位障壁、第2の可動静電障壁、第2の可動DC電位障壁又は第2の可動擬似電位障壁との間に形成される、装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置であって、
    イオンは、DC電圧、DC電位又は静電電位によって、第1の平面又は第1の方向に、前記イオンチャンネル内で閉じ込められる、装置。
  11. 請求項10に記載の装置であって、
    イオンは、RF電圧、RF電位又は疑似電位によって、第2の平面又は第2の方向に、前記イオンチャンネル内で閉じ込められ、
    前記第2の平面又は第2の方向は、前記第1の平面又は第1の方向に略直交する、装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置であって、
    第1のデバイスであって、前記1つ以上の物理化学特性によって実質的に決まる速度で、第1の方向に、又は、前記イオンチャンネルの軸に沿って若しくは前記イオンチャンネルに沿って、前記1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される第1のデバイスを備える、装置。
  13. 請求項12に記載の装置であって、
    前記第1のデバイスは、前記装置の少なくとも一部に沿って、又は、前記イオンチャンネルの軸に沿って若しくは前記イオンチャンネルに沿って、第1の静電電位若しくは力、第1のDC電位若しくは力、又は第1の疑似電位若しくは力を印加又は維持することによって、前記1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される、装置。
  14. 請求項12又は13に記載の装置であって、
    前記第1のデバイスは、
    (i)前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%にわたって、又は、前記イオンチャンネルの軸に沿って若しくは前記イオンチャンネルに沿って、第1のDC電圧の傾き、第1のDC電位又は第1のDC電場を維持する、及び/又は、
    (ii)前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、又は、前記イオンチャンネルの軸に沿って若しくは前記イオンチャンネルに沿って、第1の静電電位又は力を印加する、及び/又は、
    (iii)1つ以上の第1の過渡DC電圧又は電位を複数の電極に印加することによって、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、又は、前記イオンチャンネルの軸に沿って若しくは前記イオンチャンネルに沿って、イオンを移動させる、及び/又は、
    (iv)3つ以上の位相を有する第1のRF電圧を複数の電極に印加するものであって、異なる電極が前記RF電圧の異なる位相に接続され、前記第1のRF電圧が、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、又は、前記イオンチャンネルの軸に沿って若しくは前記イオンチャンネルに沿って、イオンを移動させる、及び/又は、
    (v)第1の疑似電位又は力を印加するものであって、複数の電極に印加されるRF電圧の振幅及び/又は周波数は、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、又は、前記イオンチャンネルの軸に沿って若しくは前記イオンチャンネルに沿って、変化する、増大する、又は、減少する、
    ように構成及び適合される、装置。
  15. 請求項12、13又は14のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
    第2のデバイスであって、前記1つ以上の物理化学特性と実質的に独立な速度で、第2の方向に前記イオンを駆動するように構成及び適合される第2のデバイスを備える、装置。
  16. 請求項15に記載の装置であって、
    前記第2のデバイスは、前記装置の少なくとも一部に沿って、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁を印加する又は維持することによって、前記第2の方向に前記イオンを駆動するように構成及び適合される、装置。
  17. 請求項15又は16に記載の装置であって、
    前記第1の静電電位若しくは力、前記第1のDC電位若しくは力、又は前記第1の疑似電位若しくは力は、前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は前記第2の可動疑似電位障壁よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい、装置。
  18. 請求項15、16又は17のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記第2のデバイスは、
    (i)前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、第2の可動静電電位障壁を印加する、及び/又は、
    (ii)1つ以上の第2の過渡DC電圧又は電位を複数の電極に印加することによって、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、イオンを移動させる、及び/又は、
    (iii)3つ以上の位相を有する第2のRF電圧を複数の電極に印加するものであって、異なる電極が前記RF電圧の異なる位相に接続され、前記第2のRF電圧が、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、イオンを移動させる、及び/又は、
    (iv)第2の可動疑似電位障壁を印加するものであって、複数の電極に印加されるRF電圧の振幅及び/又は周波数は、前記装置の軸長の少なくとも一部又は少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%に沿って、変化する、増大する、又は、減少する、
    ように構成及び適合される、装置。
  19. 請求項18に記載の装置であって、
    (i)前記第1の静電電位又は力は、前記第2の可動静電電位障壁よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい、及び/又は、
    (ii)前記第1のDC電位又は前記第1のDC電場は、前記第2の可動DC電位障壁よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい、及び/又は、
    (iii)前記第1の過渡DC電圧又は電位は、前記第2の過渡DC電圧又は電位よりも実質的に大きな、実質的に等しい、又は、実質的に小さな振幅を有する、及び/又は、
    (iv)前記第1のRF電圧は、前記第2のRF電圧よりも実質的に大きな、実質的に等しい、又は、実質的に小さな振幅を有する、及び/又は、
    (v)前記第1の疑似電位又は力は、前記第2の疑似電位障壁よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい、装置。
  20. 請求項15〜19のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記第1のデバイスは、第1の速度又は第1の速度成分で前記第1の方向にイオンを駆動する又は移動させるように構成及び適合され、
    前記第2のデバイスは、第2の速度又は第2の速度成分で前記第2の方向にイオンを駆動する又は移動させるように構成及び適合されるものであって、
    前記第1の速度又は第1の速度成分は、前記第2の速度又は第2の速度成分よりも実質的に大きい、実質的に等しい、又は、実質的に小さい、装置。
  21. 請求項16〜20のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記第1の静電電位若しくは力、前記第1のDC電位若しくは力、又は、前記第1の疑似電位若しくは力は、
    (i)特定の時点において、前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
    (ii)前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
    ゼロではない成分を有する、装置。
  22. 請求項15〜21のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記第1のデバイスは、前記第1の方向に第1の速度又は力でイオンを駆動し、
    前記第2のデバイスは、前記第2の方向に第2の速度又は力でイオンを駆動するものであって、
    (i)前記第1の方向は、前記第2の方向に対して、傾斜している、又は、オフセットしている、及び/又は、
    (ii)前記第1の方向は、前記の第2の方向と同じ方向ではない、及び/又は、
    (iii)前記第1の方向は、前記第2の方向と反対方向ではない、及び/又は、
    (iv)前記第1の速度又は力は、前記第2の方向に略直交する方向にゼロではない速度又は力の成分を有する、装置。
  23. 請求項15〜22のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記第1のデバイスは、第1の速度又は力でイオンを駆動し、
    前記第2のデバイスは、第2の速度又は力でイオンを駆動するものであって、
    前記第1の速度又は力及び/又は前記第2の速度又は力は、時間及び/又は位置により変動する、装置。
  24. 請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記物理化学特性は、イオン移動度を含む、装置。
  25. 請求項24に記載の装置であって、
    イオン移動度分光計又はイオン移動度分離装置を備える、装置。
  26. 請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記物理化学特性は、示差イオン移動度を含む、装置。
  27. 請求項26に記載の装置であって、
    示差イオン移動度分光計又は電界非対称イオン移動度分光計(FAIMS:Field Asymmetric Ion Mobility Spectrometer)を備える、装置。
  28. 請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記物理化学特性は、質量又は質量電荷比を含む、装置。
  29. 請求項28に記載の装置であって、
    質量分析器又は質量電荷比分析器を備える、装置。
  30. 請求項1〜29のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記装置は、内側シリンダと外側シリンダとを備え、
    前記内側シリンダと前記外側シリンダとは、使用時にイオンを透過させる環状容積を規定し、
    1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極が、前記内側シリンダの表面上、及び/又は、前記外側シリンダの表面上に配置される、装置。
  31. 請求項30に記載の装置であって、
    第1のデバイスは、前記装置の第1の端部から前記装置の第2の端部にイオンを移動させるように作用するDC電場及び/又は疑似電位力を維持するように構成及び適合され、
    第2のデバイスは、前記1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極に1つ以上の過渡DC電圧を印加することによって、前記装置の前記第1の端部の方向にイオンを移動させるように構成及び適合される、装置。
  32. 請求項30又は31に記載の装置であって、
    前記内側シリンダ及び/又は前記外側シリンダは、円形、楕円形、非円形、矩形又は不規則な形状の断面を有する、装置。
  33. 請求項30、31又は32のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極のピッチは、前記装置の長さに沿って、一定である、増大する、減少する、又は、変化する、装置。
  34. 請求項30〜33のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
    前記1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極にRF電圧を印加することによって、前記環状容積内で半径方向にイオンを閉じ込めるデバイスを備える、装置。
  35. 請求項30〜34のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
    前記外側シリンダと前記内側シリンダとの間の前記環状容積にバッファガスを供給するように構成及び適合されるデバイスを備える、装置。
  36. 請求項30〜35のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記内側シリンダ及び/又は前記外側シリンダは、非導電体又は誘電体を備える、装置。
  37. 請求項30〜36のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
    前記1つ以上の渦巻状又は螺旋形電極に対して前記内側シリンダ及び/又は前記外側シリンダの反対側に設けられる1つ以上の補助電極を備える、装置。
  38. 請求項37に記載の装置であって、
    前記1つ以上の補助電極にRF電圧が印加される、装置。
  39. 請求項30〜38のいずれか一項に記載の装置であって、
    動作モードにおいて、前記装置を通る渦巻状又は螺旋形経路に沿ってイオンを移動させる、装置。
  40. 請求項30〜39のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記環状容積を介して、及び/又は、前記内側シリンダの開口部及び/又は前記外側シリンダの開口部を介して、前記装置に入るように、イオンが配列される、装置。
  41. 請求項30〜40のいずれか一項に記載の装置であって、
    イオンは、自身のイオン移動度に従って、又は、電場の強さに応じた自身のイオン移動度の変化率に従って、時間的に分離される、装置。
  42. 請求項1〜29のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
    複数のセグメント化された平面電極と、
    第2のデバイスであって、前記セグメント化された平面電極にDC電圧を印加することによって、1つ以上の対角又は傾斜DC電圧障壁を前記装置の長さの少なくとも一部に沿って移動させるように構成及び適合される第2のデバイスと、を備える装置。
  43. 請求項1〜29のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
    複数の内側環状電極と複数の外側環状電極と、を備え、
    前記内側環状電極と前記外側環状電極とは、使用時にイオンを透過させる環状容積を規定し、
    前記複数の内側環状電極及び/又は前記複数の外側環状電極は半径方向にセグメント化されて、複数のセグメント化された電極となる、装置。
  44. 請求項15〜43のいずれか一項に記載の装置であって、
    前記装置を通過するイオンの経路長を増大させるという正味の効果が得られるように、前記第1のデバイス及び前記第2のデバイスをほぼ同時に作動させる、装置。
  45. 質量分析計であって、
    請求項1〜44のいずれか一項に記載の装置を備える、質量分析計。
  46. 1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離する方法であって、
    イオンを閉じ込めるイオンチャンネルであって、前記イオンチャンネルの軸に沿って又は前記イオンチャンネルに沿って、第1の端部の方向に、前記1つ以上の物理化学特性に従って前記イオンを分離させるイオンチャンネルを生成する工程と、
    前記第1の端部から前記イオンチャンネルの軸又は前記イオンチャンネルを離す工程と、を備える方法。
  47. 1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離する装置であって、
    複数の電極と、
    第1のデバイスであって、前記1つ以上の物理化学特性によって実質的に決まる速度で、第1の方向に、前記1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される第1のデバイスと、
    第2のデバイスであって、前記1つ以上の物理化学特性と実質的に独立な速度で、第2の方向に前記イオンを駆動するように構成及び適合される第2のデバイスと、を備える装置。
  48. 1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離する方法であって、
    前記1つ以上の物理化学特性によって実質的に決まる速度で、第1の方向に、前記1つ以上の物理化学特性に従ってイオンを分離させる工程と、
    前記1つ以上の物理化学特性と実質的に独立な速度で、第2の方向に前記イオンを駆動する工程と、を備える方法。
  49. 請求項48に記載の方法であって、
    イオンの経路長を増大させるという正味の効果が得られるように、前記第2の方向にイオンを駆動するのとほぼ同時に、前記1つ以上の物理化学特性に従って前記第1の方向にイオンを分離させる、方法。
  50. イオン移動度分離装置であって、
    第1のデバイスであって、第1の静電電位若しくは場、第1のDC電位若しくは場、又は、第1の疑似電位又は場を第1の方向に印加又は維持することによって、前記第1の方向に自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させるように構成及び適合される第1のデバイスと、
    第2のデバイスであって、第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁を用いて、前記イオンを駆動することによって、第2の方向に前記イオンを駆動するように構成及び適合される第2のデバイスと、を備え、
    (i)特定の時点において、前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
    (ii)前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
    自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させる、イオン移動度分離装置。
  51. 請求項50に記載のイオン移動度分離装置であって、
    前記第1のデバイスは、第1の速度成分で前記第1の方向にイオンを駆動する又は移動させるように構成及び適合され、
    前記第2のデバイスは、第2の速度成分で前記第2の方向にイオンを駆動する又は移動させるように構成及び適合されるものであって、
    前記第1の速度成分は、前記第2の速度成分よりも実質的に大きい、イオン移動度分離装置。
  52. 請求項50又は51に記載のイオン移動度分離装置であって、
    前記第1の静電電位若しくは力、前記第1のDC電位若しくは力、又は、前記第1の疑似電位又は力は、
    (i)特定の時点において、前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
    (ii)前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
    ゼロではない成分を有する、イオン移動度分離装置。
  53. 自身のイオン移動度に従ってイオンを分離する方法であって、
    第1の静電電位若しくは場、第1のDC電位若しくは場、又は、第1の疑似電位又は場を第1の方向に印加又は維持することによって、前記第1の方向に自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させる工程と、
    第2の可動静電電位障壁、第2の可動DC電位障壁、又は、第2の可動疑似電位障壁を用いて、前記イオンを駆動することによって、第2の方向に前記イオンを駆動する工程と、を備え、
    (i)特定の時点において、前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
    (ii)前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
    自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させる、イオンを分離する方法。
  54. 請求項53に記載のイオンを分離する方法であって、さらに、
    第1の速度成分で前記第1の方向に前記イオンを駆動する又は移動させる工程と、
    同時に、第2の速度成分で前記第2の方向に前記イオンを駆動する又は移動させる工程と、を備え、
    前記第1の速度成分は、前記第2の速度成分よりも実質的に大きい、イオンを分離する方法。
  55. 請求項53又は54に記載のイオンを分離する方法であって、
    前記第1の静電電位若しくは力、前記第1のDC電位若しくは力、又は、前記第1の疑似電位又は力は、
    (i)特定の時点において、前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁にほぼ平行な方向に、及び/又は、
    (ii)前記第2の可動静電電位障壁、前記第2の可動DC電位障壁、又は、前記第2の可動疑似電位障壁の動きの方向に略直交する方向に、
    ゼロではない成分を有する、イオンを分離する方法。
  56. 自身のイオン移動度に従ってイオンを分離するイオン移動度分離装置であって、
    DC電位によってイオンを閉じ込めるDCイオンチャンネルを生成するように構成及び適合されるデバイスであって、前記イオンチャンネルの軸に沿って又は前記イオンチャンネルに沿って、前記イオン移動度分離装置の出口の方向に、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させるデバイスと、
    前記出口から前記イオンチャンネルの軸又は前記イオンチャンネルを離すことによって、前記イオン移動度分離装置の有効経路長を増大させるように構成及び適合されるデバイスと、を備えるイオン移動度分離装置。
  57. 請求項56に記載のイオン移動度分離装置であって、
    前記イオンチャンネルの軸及び/又は前記イオンチャンネルは、非線形、螺旋形、渦巻状、又は曲線状である、イオン移動度分離装置。
  58. 自身のイオン移動度に従ってイオンを分離する方法であって、
    DC電位によってイオンを閉じ込めるDCイオンチャンネルを生成する工程であって、前記イオンチャンネルの軸に沿って又は前記イオンチャンネルに沿って、前記イオン移動度分離装置の出口の方向に、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離させる工程と、
    前記出口から前記イオンチャンネルの軸又は前記イオンチャンネルを離すことによって、前記イオン移動度分離装置の有効経路長を増大させる工程と、を備える、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離する方法。
  59. 請求項58に記載の自身のイオン移動度に従ってイオンを分離する方法であって、
    前記イオンチャンネルの軸及び/又は前記イオンチャンネルは、非線形、螺旋形、渦巻状、又は曲線状である、自身のイオン移動度に従ってイオンを分離する方法。
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