JP2014506856A - 分散型マイクロ推進機を使用する飛行制御 - Google Patents

分散型マイクロ推進機を使用する飛行制御 Download PDF

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Abstract

少なくとも1つの操縦翼面に形成された複数の推力生成装置を使用して乗り物の移動を制御する方法及び装置が示されている。推力を生成するため操縦翼面を通りガスを推進するように構成された複数の推力生成装置への電力供給は、操縦翼面の物理的な変位が発生するように制御される。この物理的な変位は、複数の推力生成装置への電力供給に従い、乗り物の移動を制御する。

Description

(相互参照)
本願は、2009年9月3日付けで出願された米国仮特許出願第61/239,446号、2009年11月27日付けで出願された米国仮特許出願第61/264,778号、2010年1月19日付けで出願された米国仮特許出願第61/296,198号、2011年3月2日付けで出願された米国仮特許出願第61/448,621号、および2010年9月3日付けで出願されたPCT国際出願第US2010/002428号を参照するものであり、これらの開示内容は参考にここに一体のものとして統合される。本願は、2011年3月2日付けで出願された米国仮特許出願第61/448,621号に基づく優先権を主張するものである。
(技術分野)
本願明細書は、流体、例えばガスの移動をもたらす方法及び装置に関し、これは、推進システム、真空形成、ガス圧縮、及びその他の使用に適用してもよい。
ガスの作用に関するデバイスが広く利用されている。最も初期の飛行機エンジンは、ピストン駆動式プロペラであった。こうしたエンジンは、ピストンエンジンをプロペラに連結することにより駆動するものであった。その簡便性により、ジェットエンジンが発明されるまで、ピストンエンジンは一般に普及した。ターボジェットエンジンは、タービンを燃料燃焼システムに連結するという原理に基づいて作動するものである。タービンが回転すると、空気混合燃料が圧縮され、これか燃焼すると、推進力およびトルクが発生し、タービンが回転する。初期のターボジェットエンジンは、エンジンから排出される排出ガスにより推進力を生むものであった。ターボジェットエンジンの最新の変形例として、ターボプロップエンジンおよびターボファンエンジンがあり、これらのエンジンは、排気ガスによる得られたトルクを用いてプロペラまたはファンを駆動するとともに、空気混合燃料を圧縮するものである。ロケットエンジンは、おそらくは最も古い機械式の推進システムの1つであり、開発以来あまり変わっていない。ロケットエンジンは、酸化剤混合燃料が内部充填(内部供給)されたチューブまたはコーンを有する。この酸化剤混合燃料が燃焼するときの膨張ガスにより推進力が得られる。すべての既存の推進システムの中で最も高い燃焼推進比が得られるロケットエンジンは、出力推進力の大きさを容易に変更することができない。またロケットエンジンの回転を駆動または停止する機能を追加しようとすると、その設計はきわめて複雑なものになる。
2つの物質間の吸引力は、5つのタイプ、すなわち機械的、化学的、分散的、静電気的、拡散的なものに分類される。現時点においては、これらの5つのタイプのうち、静電気的吸引力および特定形式の機械的吸引力のみが容易に可逆的プロセスである。真空を用いて、物質の表面を吸引して、これを持ち上げることができる。しかし、こうしたデバイスは、一般に、減圧して物質表面に真空を引く装置(メカニズム)を必要とする。真空形成システムは、通常、真空ポンプ、制御バルブ、空気フィルタ、真空ゲージ、真腔リザーブタンク、および電源を有する。ただし、吸引力を得るために真空を用いる利点は、形跡が残らない(残留物がない)点にある。通常、他のタイプの吸引力は、吸引した形跡を残し、これは好ましくない場合が多い。
また一般に、上述した従来式の推進システムは、ガスを圧縮するために用いることができる。ピストンまたはダイアフラムと同様、理想気体の法則に則って、ガスを圧縮することが可能である。現在あるデバイスは、加圧容器とは別体のポンプ装置を必要とする。
温度差により、表面上にガスフローを形成できることは古くから知られていた。1873年、ウィリアム・クルックス卿(Sir William Crookes)は、熱および光の放射エネルギを測定するためのラジオメータ(放射計)を開発した。現在、クルックスのラジオメータは、しばしば博物館の売店にてノベルティ商品として販売されている。それは、4つの羽根からなり、それぞれの羽根の一方の表面を黒く、他方の表面を白くしたものである。これらの羽根はロータ(回転子)に固定され、摩擦力がきわめて小さいため、回転することができる。この仕掛けは、透明ガラス球の中に収容され、ガラス球内の空気は、完全ではないが、ほとんど取り除かれている。光が羽根に当たると、黒色表面があたかも光によって押されているかのように、羽根車が回転する。
クルックスは、当初、放射光が黒色表面に圧力を加えたために回転すると説明した。彼の論文は、ジェイムズ・クラーク・マクスウェル(James Clerk Maxwell)により引用され、彼の電磁気理論に合致するようだとの説明を受け入れた。しかし、羽根の黒色表面に当たる光は吸収され、白色表面に当たる光は反射する。とすると、白色表面が黒色表面より2倍の放射圧力を受けることなり、クルックスの当初の説明が正しければ、ラジオメータは反対方向に回転することになる。その後、他の不正確な説明が提唱されたが、現在でも主張されている。ある提案によれば、ガラス球内のガスが白色表面より黒色表面においてより強く加熱されるというものであった。羽根の黒色表面を押しているのは、より高温のガスの圧力であると提唱された。ただし、マクスウェルのより詳細な分析により、電磁気学的効果による純然たる力は形成されず、安定した気流が羽根の周りに形成されることが証明された。現在なお、広く主張されている別の不正確な説明は、黒色表面上の高温分子がより素早く運動して、羽根を押すというものである。
クルックスのラジオメータの動きに関する正確な説明は、オズボーン・レイノルズが1879年初頭に王立学会に提出した論文に記述されている。彼は、「熱遷移」と称するプレートの対向表面の温度差に起因して、ガスのフローが多孔質プレートを貫通する点を説明した。均一な圧力を有するガスは、冷たい方から暖かい方へ多孔質プレートを貫通する。プレートが移動できない場合、平衡状態に達し、いずれか一方の表面上の圧力比は、絶対温度の平方根の比に等しい。レイノルズの論文は、クルックスのラジオメータについても説明した。ラジオメータの羽根の端部を考慮されたい。より暖かい表面の端部は、冷たい端部より大きな力を与え、ガス分子に対して斜めに衝突する。この効果により、端部表面における温度勾配の間でガスが移動することになる。羽根は、暖められたガスから遠ざかる方向に移動し、このときガスは羽根の端部周囲を反対方向に通過する。マクスウェルは、レイノルズの論文を引用しつつ、「温度格差に起因する熱平衡状態にある希薄なガスの応力について」と題する、彼自身の論文を書いて問いただした。レイノルズの功績を認めつつ、批判するマクスウェルの論文は、レイノルズの論文の発表前の1879年終わりに、王立学会の哲学議事録(the Philosophical Transactions of the Royal Society)で公開された。フィリップ・ギブス著の「物理学と相関性についてのFAQ」(2006年)(math.ucr.edu/home/baez/physics/General/LightMill/light-mill.html. )を参照されたい。
熱により表面上を移動するガスフローに関して、19世紀から始まるレイノルズおよびマクスウェルによる議論にも拘わらず、高温表面および低温表面の相互作用に起因するガスの運動に関する可能性は、未だ完全には理解されていない。クルックスのラジオメータの動きには、(圧力が大気圧よりはるかに低い)希薄なガスを必要とし、部分的には、厚みおよび多孔質プレートの無作為に配置された孔に起因して、多孔質プレートを貫通するガスフローは利用可能な推進力を形成しない。
本願明細書は、複数の推力生成装置を使用する乗り物の移動を制御する装置及び方法として具体化されてもよい。1つの例示的な方法は、推力を生成するために操縦翼面を通りガスを推進するように構成された、操縦翼面に形成される複数の推力生成装置への電力供給を制御すること、及び、乗り物の移動を制御するため複数の推力生成装置への電力供給に従って操縦翼面の物理的な変位を発生することを含んでいる。
1つの例示的な装置は、推力を生成するため操縦翼面を通りガスを推進するように構成され、乗り物の操縦翼面に形成された複数の推力生成装置と、少なくとも複数の推力生成装置へ電力を供給する電源と、乗り物の移動を制御するために複数の推力生成装置への電力供給に従い複数の推力生成装置が操縦翼面の物理的な変位を発生するように、複数の推力生成装置への電源による電力の供給を制御する制御装置と、を含んでいる。
本願明細書は、また、航空機の移動を制御する飛行制御システムとして具体化されてもよい。1つの例示的なシステムは、推力を生成するためガスを推進するように構成され、航空機の少なくとも1つの操縦翼面に埋め込まれた複数の推力生成装置と、少なくとも複数の推力生成装置へ電力の供給を行う電源と、航空機の飛行経路を決定し、かつ決定した飛行経路に沿って航空機の移動を制御するため複数の推力生成装置への電力供給に従い複数の推力生成装置が少なくとも1つの操縦翼面の物理的な変位を発生するように、複数の推力生成装置への電源による電力の供給を制御する制御装置と、を含んでいる。
乗り物の表面に埋め込まれた多数の熱遷移デバイスを使用する乗り物の移動を制御する別の例示的な方法は、熱遷移デバイスのそれぞれのものを通るガスの流れを発生するために熱遷移デバイスのそれぞれのものの第1層及び第2層間で熱の偏りを発生すること、並びに、熱遷移デバイスのそれぞれのものを通るガスの流れを使用して乗り物の移動を制御することを含んでいる。
ヒートポンプを示す。これは、ペルチェ板、熱電子放出により駆動される板、または他の任意の好適な手段であってもよい。 図1のヒートポンプの周囲のガスフローパターンを示す。 平行な高温壁および平行な低温壁を有する正方形の箱の中に閉じ込められたガスを示す。 鋸歯形状を有するナノ分子固体電気力学的スラスタ(NMSET)の積層体に加わる合力を示す。 鋸歯形状を有するNMSET積層体の周囲のガス粒子速度を示す。 熱トンネル効果による改善されたペルチェ効果を示す。 放物線形状を有するNMSET積層体を示す。 図7のNMSET積層体の周囲のガスフローパターン、およびそのガスの運動量空間を示す。 三角形状を有するNMSET積層体を示す。 三角形状を有するNMSET積層体の周囲のガスの運動量空間を示す。 鋸歯形状を有するNMSET積層体を示す。 鋸歯形状を有するNMSET積層体の周囲のガスの運動量空間を示す。 NMSETの断面図であって、固体ヒートポンプの内部構造を示す。これらのヒートポンプは、ペルチェ効果、熱電子放出または他の任意の好適な手段により駆動できる。 図13のNMSETの斜視図であって、固体ヒートポンプの内部構造を示す。 NMSETの斜視図であって、固体ヒートポンプの外部構造を示す。 図15のNMSETの断面図であって、固体ヒートポンプの外部構造を示す。 NMSETの斜視図であって、非固体ヒートポンプの外部構造を示す。 段差構造(staged arrangement)を有するNMSETの断面図を示す。 直線形状を有するNMSETを示す。 NMSETの1つの例示的な製造方法を示す。 NMSETの別の例示的な製造方法を示す。 熱遷移デバイスを示す側面断面図である。 熱遷移デバイスの動作を示す側面断面図である。 熱遷移デバイスを示す側面断面図であって、1つの延長層および複数の傾斜壁を示す。 図24に示す熱遷移デバイスの上面断面図である。 熱遷移デバイスの側面断面図であって、1つの延長層、およびウェットエッチングまたはドライエッチングされた壁部を示す。 図26に示す熱遷移デバイスの上面断面図である。 熱遷移デバイスの側面断面図であって、2つの延長層および傾斜壁を示す。 一実施形態に係る熱遷移デバイスの初期の製造工程における断面図である。 図29に示す熱遷移デバイスの次の製造工程における断面図である。 図30に示す熱遷移デバイスの次の製造工程における断面図である。 図31に示す熱遷移デバイスのさらに次の製造工程における断面図である。 熱遷移デバイスの断面図であって、構造内で形成される島状部を示す。 本開示内容に係る制御システムの一実施形態の上面図である。 図34に示す制御システムの上面図であって、一連の接続経路への電力供給動作を示す。 図34に示す制御システムの上面図であって、1つの電源ラインの故障の影響を示す。 本開示内容に係る耐故障性機能を備えた制御システムの一実施形態の上面図である。 制御システムの別の実施形態の上面図であって、複数の分散型スラスタからなるより大きいアレイを制御するように設計された、図34のものより大きい制御システムを示す。 制御システムの別の好適な実施形態の上面図であって、複数の分散型スラスタからなるより大きいアレイを制御するように設計された、図38のものより大きい制御システムを示す。 本開示内容の別の実施形態の上面図であって、制御システムが標的領域を駆動したときの第1および第2の作動領域(affected area)を示す。 図40aに示す実施形態の断面図であって、交差電源ラインがデバイスの加熱側に配置されている。 図40aに示す実施形態の別の断面図であって、交差電源ラインがデバイスの両側に配置されている。 本開示内容に係る、電気絶縁材および/または断熱材を含む別の実施形態の上面図を示す。 図41aに示す実施形態の断面図であって、交差電源ラインがデバイスの加熱側に配置されている。 複数の分散型スラスタからなるアレイの格子構造を示す上面図であって、この分散型スラスタは、制御システムが利用する1つの電源ラインおよび複数の支流ラインを含む。 図42aの上方に配置された中間絶縁層の上面図である。 図42bの上方に配置された制御システムが利用する1つの電源ラインおよび複数の支流ラインからなる格子構造の上面図であって、1つの電源ラインの交差点において複数の標的点が形成される。 温度勾配を形成するための概略図である。 温度勾配を形成するための概略図である。 温度勾配を有するデバイス内での温度の有効な増減を示すグラフである。 本開示内容に係る水平行および垂直列に配列された複数のスラスタ領域の上面断面図である。 複数のスラスタ領域の上面断面図であって、スラスタ領域を駆動した際の隣接する領域の加熱効果を示す。 本開示内容に係る複数の温度勾配デバイスのうちの温度勾配デバイスの駆動シーケンスを示す。 従来のクワッドローターの斜視図を示す。 分散型マイクロ推進機を有する装置の平面図を示す。 図50の装置の側面図を示す。 分散型マイクロ推進機を有する乗り物の平面図を示す。 図52の乗り物の側面図を示す。 分散型マイクロ推進機を有するさらなる乗り物の平面図である。 図54のさらなる乗り物の側面図である。 分散型マイクロ推進機を有するさらなる乗り物の平面図である。 図56のさらなる乗り物の正面図である。 垂直上昇を増強する分散型マイクロ推進機及び前方への推力を提供するための複数のエンジンを有する別の乗り物の平面図である。 図58の別の乗り物の側面図である。 マイクロ推進機を使用する例示的な制御方法のフローチャートである。 マイクロ推進機を使用する別の例示的な制御方法のフローチャートである。
添付の請求項で規定される本発明の方法、デバイスおよびシステムについて、例示的な実施形態によって以下で説明することになるが、本発明はこれに限定されない。添付の図面と以下の説明において、本開示内容の1つ以上の実施形態の詳細について説明している。他の特徴、目的および利点は、説明、図面および請求項から明らかになるであろう。
[総論]
好ましい実施形態で、分散型スラスタの一例は、本明細書で説明するナノ分子固体電気力学的スラスタ(Nano Molecular Solid-state Electrodynamic Thrusters:NMSET)と呼ぶことができるデバイスである。NMSETの動作の基礎は、NMSETを利用する態様に応じて、推進、接着、圧縮および冷却といった複数の分野にNMSETを応用することを可能とする。好ましい実施形態で、NMSETおよび関連する分散型スラスタデバイスは、調整可能な流速を用いて、軽量かつコンパクトで、エネルギ効果的なガス圧力差を作り出す。
[推進]
幾つかの実施形態で、NMSETのような分散型スラスタは、ガス推進の分野で下記の複数の改良点の1つ以上を提供できる。
1.改良した弾性:従来のガス推進システム内の任意の領域に対する損傷は、システム全体の故障につながる可能性があった。分散型スラスタは、向上した冗長性(redundancy)とロバスト性を提供する。
2.軽量:電気駆動される分散型スラスタは太陽電池薄膜を利用でき、その場合燃料負荷がなくなる。さらに、分散型スラスタシステム内の各スラスタは局所的なガス圧力差を作り出すので、このようなガス推進システムの構造的完全性を維持するために、この局所的な影響により、同じガスフロー体積を生成する非分散型ガス推進システムで通常必要とされるであろうものより小さいか、または軽い装置が必要となることがある。
3.スケーラビリティ:従来のガス推進システムを容易に拡大縮小する(scale)ことはできない。小型の航空機に最適なターボジェットは、大型の航空機に最適なターボジェットを縮小したものではない。分散型スラスタは、拡大縮小が容易である。なぜなら、スケーリングは、個々のスラスタ寸法をほぼそのままにして、まずスラスタの量を変化させるからである。
4.応答時間:より小型の推進力生成デバイスは、より高速で取り込み(spool up)と送り出し(spool down)を行う。分散型スラスタガス推進システムから得られる推進力は、ニーズの変化に応じて容易に調節できる。
5.電力非依存性(power independence):従来の推進システムの多くは、動作するために特定のタイプまたはクラスの燃料を必要とする一方で、例えばNMSETのような分散型スラスタの幾つかの実施形態は、電気が作る温度差源のみを必要とする。
6.グリーン推進:分散型スラスタの幾つかの実施形態、例えばNMSETの幾つかの実施形態は、動作に電気入力を必要とし、化石燃料を必要としない。それゆえ、必要とされる電流を生成する無公害の方法を使用する場合には、通常の動作中に汚染排気ガス(例えば、一酸化炭素、窒素酸化物等)は生成されない。
[接着]
幾つかの実施形態で、例えばNMSETのような分散型スラスタは、吸引を通じて面に接着する軽量の機械的接着材として使用できる。接着を解消する(reverse)ために必要である唯一のステップは、幾つかの実施形態においてシステムに加わる電力をカットすることであるので、当該プロセスは可逆的とすることができる。このようなシステムの使用は、当該システムが、接着されて平坦性や導電性を有するような材料を必要とせず、また残渣を残さない点で、静電接着を上回る利点を提供できる。他の機械的な接着プロセスと比較すると、このようなシステムの使用は、接着面の前処理を必要としないであろう。
[ガス圧縮]
例えばNMSETのような分散型スラスタは、表面を流れるガスフローを駆動するように配列できるので、加圧型容器のすべてまたは一部がガス圧縮を提供するように機能してもよい。したがって、幾つかの配列では、分離したポンプ容器(containment)と加圧型容器は必要とされないことがある。さらに、一般に、このようなシステムの動作は短い距離にわたって生じるので、幾つかの実施形態では、複数段の分散型スラスタを積層することにより、充分にコンパクトな圧縮機として当該システムを使用できる。従来のガス推進システムは、典型的にセンチメートルの長さスケール、ときにはメートルの長さスケールで動作する。このように、従来の推進システムを積層することは、複雑で高価となる傾向がある。対照的に、分散型スラスタは、より小さいスケール、例えばマイクロメートルで動作するように包装できる。さらに、このようなシステムの汎用性は、高圧ポンプや標準の大気ポンプ(atmospheric pump)として、あるいは充分な数の段を用いて高真空ポンプとして機能するように、当該システムを容易に構成できることを意味する。
[NMSETデザイン]
一態様および実施形態で、NMSETおよび本明細書で説明する、関連する幾つかのデバイスは、システムに接触しているガス中でのエントロピーを低下させることにより機能すると考えることができる。このようなデバイスは、必要に応じて、システムの非効率性を通じて失われたエネルギに加えて、例えば熱エネルギをガスに追加できる。別の態様および実施形態で、NMSETおよび関連する幾つかのデバイスの形状は、ガスフローの向きと使用の利便性に影響を与えうる。さらに、NMSETおよび関連する幾つかのデバイスの実施形態は、スケールパラメータの併用、有利な分子反射特性、形状、設計、効率性の大幅な増加を与えるエレメントの構造と配列、および/またはより高い周囲圧力で動作し、かつ/またはより大きい流速を作り出す能力により、従来の熱遷移デバイス(thermal transpiration)等と区別できる。好ましい実施形態で、最小限の熱力学的損失である特定の方向で強いガスフローを作り出すことができ、かつ/または、より大きい周囲圧力で動作でき、かつ/または、より大きい流速を作り出すことができる、これらおよび他のパラメータの説明と併せて、NMSETの種々の例示的な実施形態について、本明細書で説明している。
NMSETによるガス中のエントロピーの低下は、ガスの運動量空間k内の変換Aで表すことができる。一組の好適な基底(base)が運動量空間kについて選択されると、Aを行列で表すことができる。変換された運動量空間Akの期待値がゼロでない場合、NMSETは、運動量保存則により、期待値の反対方向で全運動量(net momentum)を受ける。
NMSETの形状は、より効果的に機能するように最適化できる。NMSETの形状は、変換行列Aに影響を与える。単位行列Iに本質的に等しい行列Aを生成する形状は、全運動量のバイアスを作らない(すなわち、変換された運動量空間Akがゼロ以外の期待値を持たないようにする)。正しくは、ガスの渦が生じてもよい。Aのより大きい固有値を生じさせる形状は、より効果的な機能、例えば、特定の方向に移動するガス粒子がより大きい運動量を運搬するという機能を示す傾向がある。
一例として、図1に示すように、ガス中のヒートポンプ100を考える。ヒートポンプ100は、上部層101と下部層102とを備える。簡単にするために、下部層102から上部層101の方向を向くy軸で、デカルト座標系を規定する。温度差は、層の間のペルチェ素子(図示せず)や、上部層101がガスより低温で下部層102がガスより高温となるような任意の好適な手段により確立される。簡単にするために、ヒートポンプ100は、100%のカルノーサイクル効率性を有すると仮定できる。しかし、他の効率性も考えられる。この場合、ヒートポンプ100は、真の熱をガスまで伝達させないことになる。ヒートポンプ100によるガス運動量空間kへの変換は、エルミート行列Aにより表現できる。ガス粒子(分子または原子)が下部層102と衝突する場合、衝突が非断熱的であると仮定すると、ガス粒子は跳ね返って衝突前より高速となる。ガス粒子が上部層101と衝突する場合、衝突が非断熱的であると仮定すると、ガス粒子は上部層101で跳ね返って衝突前より低速となる。ヒートポンプ100は、y方向に合力(net forces)を感知する。換言すると、下部層102は高温となって下部層102より下のガスの圧力を増加させる一方で、上部層101は低温となって上部層101より上のガスの圧力を減少させる。圧力差により、ヒートポンプ100にy方向の力が加わる。ガスの運動量空間kの変換に関して、上部層101から跳ね返ったガス粒子は、下部層102から跳ね返ったガス粒子より小さい運動量を持って離れるので、変換された運動量空間Akは、−y方向で優先的に歪み、すなわち変換された運動量空間Akの期待値pはゼロでなく、向きは−y方向である。閉じた系(すなわち、他の物体との相互作用がない)をガスとヒートポンプ100が構成すると仮定すると、ヒートポンプ100は、運動量−pを得て、閉じた系の全運動量が保存される。
図1中のヒートポンプ100の形状が方向性の力(direction force)を発生させるが、それは以下の理由のために特定の状況では実用的でない。
1.ヒートポンプ100が大きい場合、ヒートポンプ100のy方向に沿った並進運動により、ガスは強制的にヒートポンプの縁を一周して流れる。
2.熱の大部分は、ガスの対流を通じてヒートポンプ100の表面から伝達される。
3.表面近くのガスは、断熱効果を有する。図2に示すように、ヒートポンプ100とガスとの間の運動量の移動は、板の縁の近傍を除いて効果的でない。
4.ヒートポンプ100の表面積は、その凸包(convex hull)の表面積である。
これらの問題はすべて、非常に少量のガスが任意の直接的な表面接触を有するという1つの核心問題に関する。したがって、より複雑な形状が有利な場合がある。本明細書では、3つの異なる形状を用いた例示的な実施形態について説明する。
[動作原理]
NMSETまたは関連するデバイスの多くの異なる形状が可能であるが、NMSETの動作原理は同一のままである。いずれかの特定の理論に限定されることは望まないが、動作は、エネルギを使用して、幾つかのデバイス表面でのエントロピーを低下させ、低下したエントロピーを表面に接触するガスに伝達する。デバイスは、ガス温度を上昇させることにより、必要に応じてガスにエネルギを提供できる。それゆえ、NMSETの機能は3つの領域に分割できる。すなわち、デバイス表面でエントロピーを低下させる手段と、低下したエントロピーをガスに伝達する手段と、ヒートポンプのカルノーサイクルの非効率性以外の方法によってガスの温度を上昇させるオプションの手段とである。
[温度差]
NMSETまたは関連するデバイスが動作するためには、材料層の間の温度差、より正確には対向する2つの面の温度差が一般に必要とされる。本明細書で説明する好ましい実施形態では、固体電気力学的メカニズム、すなわちNMSETの「SE」において、温度差を確立できる。しかし、本明細書で説明するデバイスと方法は、電子デバイスや純粋な固体デバイスに限定されない。例えば、流体冷却剤、発熱化学反応または他の化学的熱源を使用して、燃焼からの熱伝導により温度差を確立してもよい。以下で説明するように、単純な抵抗加熱、ペルチェ効果、熱電子放出(thermoionic emission)、熱トンネル効果による改善された(thermo-tunneling enhanced)ペルチェ効果、または他の任意の好適な手段により温度差を確立してもよい。二物体間に温度差を確立する手段は、2つの特性により現象学的に説明できる。すなわち、エントロピーの減少(二物体間での熱伝達)と非断熱性(環境と二物体との間での全熱伝達)である。
一実施形態では、温度差を確立するためにペルチェ効果を使用できる。ペルチェ効果は、2つの接合部で接合されかつペルチェ係数が異なる2つの材料から構成されたループを印加電流が流れる際に発生する。電流の方向に応じて、一方の接合部から他方の接合部に熱が流れ、これにより接合部間に温度差が確立される。ペルチェ効果は、以下のように理解できる。すなわち、材料内での電荷キャリアの熱容量は、当該材料内で単位電荷キャリア当たりに運搬される熱量であるペルチェ係数Пにより特徴付けられる。ペルチェ係数ПAの材料Aとペルチェ係数ПBの材料Bとの接合部を電流Iが流れる場合、電荷キャリアが単位時間に接合部に運搬する熱量は、I×(ПA−ПB)である。
理想的なペルチェ効果は、局所的にエントロピーを減少させ、かつ断熱的である。ジュール熱および/またはカルノーサイクルの非効率性を無視できると仮定すると、ペルチェ効果では、一接合部から他の接合部に熱伝達されるが、2つの材料のループ内には熱が加わらない。このエントロピーの減少は、NMSETおよび関連するデバイスの積層可能性(stackability)において利点を提供できる。結果として、ペルチェ効果は、幾つかの実施形態に特によく適する。
この実施形態では、2つの表面間の電流を電源が駆動する。電子および/または正孔のような電荷キャリアは、電流内を流れる際に熱を運搬し、これにより、2つの表面間には更なる温度差が作成される。温度差が確立されると、エントロピーは減少する。
フォノンの流れは、ペルチェ効果により確立された温度差を減少させる。フォノンが自由に流れることができる場合(すなわち、無限の熱伝導率またはゼロ熱容量)、それらの流れは、ペルチェ効果により確立された温度差を相殺することになる。ペルチェ効果の効率性は、電気抵抗と熱コンダクタンスを減少させることにより増加させることができる。
熱コンダクタンスを減少させる1つの方法は、電流経路に狭い真空ギャップを設けることである。フォノンは真空ギャップを容易には通過できないが、電荷キャリアは真空ギャップに対して交差する(across)電圧の下で通過できる。これは、熱トンネル効果による改善されたペルチェ効果(または熱トンネル冷却(thermotunnel cooling))と呼ばれる。図6は、熱トンネル効果による改善されたペルチェ効果の略図を示す。電荷キャリア601は、真空ギャップ602を通り抜けることができる。
一般に、熱トンネル効果による改善されたペルチェ効果は、真空ギャップ近傍での電荷キャリアの挙動を制限し、トンネル確率を増加させる可能性がある表面形状と材料を選択して増強されない限り、高温または高電圧でのみ重要となる。例えば、好適な表面コーティングと構造は、電荷キャリアの低エネルギ状態でなく、真空ギャップ近傍での電荷キャリアの高エネルギ状態のみを可能とするフィルタとして機能することができる。
別の実施形態では、電界増強された熱電子放出により温度差を作成および維持できる。熱電子放出は、ポテンシャルエネルギ障壁を越えた電荷キャリアの、熱により誘導された流れである。電荷キャリアは、電子またはイオン(すなわち、熱電子)であってもよい。簡単な近似で、ポテンシャルエネルギ障壁は、その高さよりも小さい熱エネルギを有するキャリアを抑制し、その高さよりも高い熱エネルギを有するキャリアが溢れ出る(flow over)ようにするという点で、ダムのように動作する。溢れ出たキャリアがポテンシャルエネルギ障壁を通過するときに、熱が一緒に運び出される。ポテンシャルエネルギ障壁の後方に残ったキャリアは、再熱運動化(re-thermalize)(エネルギにおける再分配)してより低い温度へ至る。無視できない少量のキャリアが、ポテンシャルエネルギ障壁を超えるのに充分大きい熱エネルギを有するように、通常、熱電子放出には摂氏数百度の動作温度が必要となる。ポテンシャルエネルギ障壁の高さを低下させると共に、必要とされる動作温度を低下させることにより、電界が熱電子放出を支援できる。
また、NMSETまたは関連するデバイスにおける温度差は、抵抗加熱(以下で説明する)を使用することにより、および/または好適な化学処理により確立できる。デバイスの全体温度を上昇させず温度差を維持するために、例えば大気に対して曝露されたヒートシンクのような幾つかの冷却手段を設けることができる。どのような冷却手段を使用しても、デバイスの高温側表面が低温側表面と同程度に効果的に冷却(例えば断熱により達成可能な)されなければ、温度差はより顕著となる。
[力の生成]
一態様で、全推進力の生成は、確立された温度差からガスへの減少したエントロピーの伝達であると考えることができる。理論に縛られることは望まないが、断熱処理として、ガス中で動作する単一のデバイスについて考える。この例では、ペルチェ効果等の好適な手段により、高温層(hot layer)と低温層(cold layer)との間の温度差を確立できる。簡単にするために、ガスとデバイスとの間で正味の熱は伝達されないと仮定する。ガス粒子は、高温層と低温層に等確率で衝突することになり、ガス粒子とこれらの層との相互作用は、高温層と低温層の表面近傍で、ガスの局所的な運動量空間に影響を与えることになる。ガスと表面が異なる温度を有する場合、高温層と低温層の表面に充分に近接したガスの局所的な運動量空間は、ゼロでない期待値を有する。また、どのガス粒子も表面を貫通しないと仮定すると、ガス粒子は入斜運動量と異なる運動量を持って表面から跳ね返り、表面法線に沿って運動量空間を歪ませる。歪みの大きさは表面とガスとの間の温度差に直接に関係する。
ランダム状の配列で(すなわち、種々の表面位置での表面法線は、ランダムな方向を向く)、ガスの局所的な運動量空間の期待値の加重和はほぼゼロであり、それは結果として全推進力をほぼ生じさせない。しかし、最適化された形状のNMSETでは、ガスの局所的な運動量空間の期待値の加重和をゼロでない値とすることができ、それは全推進力につながる。
ゼロでない全推進力を有する配列の簡単な例を前述の通り図1に示す。巨視的な対流ガスフローと渦の形成が、エントロピーを増加させると共に有効な仕事量を制限するので、この形状はあまり効果的でない。例示的な対流ガスフロー120,130を図2に示す。周囲温度のガス110は、低温層101に向かって流れ、冷却される。冷却されたガスフロー120は、低温層101から離れてヒートポンプ100の縁周りを流れる。加熱されたガス130は、高温層102から離れて流れる。
説明を簡単にするために、ニュートンの第2法則と気体運動論の観点からシステムについて考えることが有効であろう。図1と2のヒートポンプ100の周囲で、層101と102の温度によってガスの温度がひとくくりにされる(bracketed)と仮定すると、層102と衝突したガス粒子は、衝突前より大きい運動量を持って層102から離れる。同様に、層101と衝突したガス粒子は、衝突前より小さい運動量を持って層101から離れる。ガス圧力はガス粒子の運動量に直接に関連するので、層102近傍のガスは、層101近傍のガスより高い圧力を有する。この圧力バイアスは、ヒートポンプ100全体をy方向に押す。
別の実施形態で、ヒートポンプ100は、層101と層102との間に少なくとも1つのスルーホールを有することができる。ガスは、ガスのより大きい加熱速度を可能とするホールを通り、層101から層102に向けて自発的に流れる。このような優先的な(preferential) ガスフローを熱遷移と呼ぶ。層101近傍のガスが温度Tc、圧力Pcであり、層102近傍のガスが温度Th、圧力Phであると仮定し、以下の式が満たされると、熱遷移により、ガスがホールを通って層101から層102に流れる。
Figure 2014506856
効率性を向上させるために、ガスフロー内に従来の制限が存在する場合について理解することが有効である。クヌーセン数が現れる辺りの長さスケールでは、ガスフローの対流の説明は機能しない(break down)。結果として、幾つかの態様で、ガスの平均自由行程は、NMSETの有利な形状を決定する際の有効なパラメータとなる。
例えば、10nmの平均自由行程を有する特定の圧力のガスを考える。図3に示すように、このようなガスの雲が、20nm×20nmの2次元の正方形の箱の中に閉じ込められた場合、ガス粒子は、10nmの移動範囲内で、近似的に、それが箱の壁と衝突する可能性があるのと同じように、別のガス粒子と衝突する可能性があるだろう。箱の壁が加熱される場合、小さい箱は大きい箱よりも速く中のガスと熱力学的平衡に達することになる。これは、小さい箱中のガス粒子は、壁と衝突して熱交換する多くの機会を持つからである。一般に、ガスでの衝突の多くがガス粒子と表面との衝突である場合、平均自由時間(ガス粒子が平均自由行程を移動する時間)内に熱力学的平衡を近似的に達成できる。
このため、幾つかの実施形態では、NMSETおよび関連するデバイスの個々の特徴の特性スケールは、ナノスケール、すなわちNMSETの「NM」であってもよい。しかし、本明細書で説明した方法とデバイスは、ナノスケールの実施形態に限定されないことを理解する必要がある。平均自由行程パラメータは、幾つかの実施形態と使用において、より大きいスケールの特徴を利用できるように、ガス密度に依存する。さらに、本明細書で説明しているように、複数のNMSETおよび関連するデバイスエレメントは、大きい表面にわたる動作を提供するように組み合わせることができる。例えば、図15,16,17に示すように、NMSETのような分散型スラスタを、有利にはアレイ内またはアレイの配列(array)内に配置して、大きい表面間にわたって、方向性を有するガスの移動を提供できる。また、例えばNMSETのような分散型スラスタは、例えば図18Aから18Dに示すように、1段以上で配置して、より大きい圧力差が達成されるようにすることができる。図18Aは、多段の分散型スラスタ、例えばNMSETの配列1800のアレイの断面図を示す。各段の配列1800は、図18Bから18Dで拡大して図示したNMSET1840,1850,1860のような分散型スラスタからなるアレイを含む同心半球状の段1810,1820,1830から構成される。各段での個々の分散型スラスタの開口部1845,1855,1865は、動作中に各前段で受けるだろう周囲圧力の減少に従って、最適な大きさと厚さが大きくなる。
[表面相互作用]
表面間の相互作用は、運動量空間変換行列Aに影響を与えうる。ガス粒子を介して近接表面が容易にフォノンを交換できる場合、これらの表面でのエントロピーは、渦の成長を通じてフォノンを容易に交換できない表面よりも高速で、局所的に増加することになる。一般に、これがシステムの効率性を低下させることになる。
フォノン交換を減少させることができる1つの方法は、複数の表面間で、任意の共有のベースを制限または削除することである。例えば、図3の箱300内のガス粒子について考える。箱300は、互いに平行な2つの平面状の高温壁302と、互いに平行な2つの平面状の低温壁301とを含む。箱300の大きさがその中のガス粒子の平均自由行程と同等であり、壁301と302が完全に鏡面反射性を有する場合、ガス粒子は、独立して、低温壁301および高温壁302と熱平衡に達することができる。これは、壁の表面法線が、2つの低温壁301の間のみまたは2つの高温壁302の間のみで共有され、低温壁301と高温壁302との間では共有されていないからである。結果として、ガス粒子は高温壁302と低温壁301との間で、運動量を少ししか、あるいはまったく交換できない。これは、ガス粒子間に衝突が生じないと仮定すると、ガス粒子と低温壁301との間の相互作用はx方向の運動量のみに影響を与え、y方向の運動量に影響を与えず、ガス粒子と高温壁302との間の相互作用はy方向の運動量のみに影響を与え、x方向の運動量には影響を与えないからであり、また、x方向の運動量はy方向の運動量と直交するという事実があるからである。ガス粒子と壁との間で熱平衡に到達した後、ガス粒子はx方向よりy方向に高速で移動する。
実施上の問題として、表面は通常、完全には鏡面反射性を有しない。しかし、鏡面反射性の表面特性は幾つかの材料で非常に強く存在し、隅部(corner)で対流フローが減少しうる角度が存在する。一般にこの効果はクヌーセン数が大きい場合に観察され、これは、NMSETおよび関連するデバイスについて、特にナノスケールの実施形態で好ましい条件である。デンマーク人の物理学者のマルティンクヌーセン(1871−1949)の名を取って名付けられたクヌーセン数(Kn)は、代表的な物理学的長さスケールに対する分子の平均自由行程の比として定義された無次元数である。本明細書で説明しているNMSETまたは関連するデバイスでの代表的な物理学的長さスケールは、デバイスの開口径の大きさの次数であると解釈される。すなわち、代表的な物理学的スケール長さは、例えば、ナノメートルで開口を測定する場合はナノメートルであり、マイクロメートルで開口を測定する場合はマイクロメートルである。本明細書で開示した、デバイスを使用する好ましい方法では、クヌーセン数は、好ましくは0.1より大きく、または1より大きく、または10より大きい。
[NMSETおよび関連するデバイスの最適化方法]
(モデリング)
特定の形状を有するNMSETの性能は、最適化のためのモンテカルロ法によりシミュレートできる。具体的には、任意の所定形状を有するNMSETまたは関連するデバイスについてのシミュレーションが、デバイス周辺でランダムな初期位置と初期運動量を有するガス粒子のグループから開始する。短い時間間隔の後、既知の物理法則、例えば温度や圧力、化学的同一性、デバイスの形状、デバイス表面とガス粒子との間の相互作用等のパラメータを使用して、これら粒子の位置と運動量を初期位置と初期運動量から計算する。シミュレーションは、選択された反復回数繰り返され、シミュレーションの結果が分析される。デバイスの形状は、シミュレーション結果を用いて最適化できる。好ましい実施形態では、シミュレーション分析の結果を用いてデバイスを構成する。
好ましい実施形態では、シミュレーションを下記の表で表すことができる。
Figure 2014506856
反復回数(k)を経て摂動モデルMを展開する。最初に、Mを初期化して、ソリューションの知識を示さない空集合とする。次に、探索パラメータにより有限の探索空間Pから任意の要素が内部で生成されるようなループを開始し、先に学習した知識Mを使用してPに摂動を与える(perturb)。実施に当たっての詳細(implementation detail)として具体的なアルゴリズムを使用し、摂動を与える。
グリッドコンピューティング環境で実行する場合、理想的には全ノード間でMが同一である必要がある。しかしこれは、本質的に確率的である処理の性質に起因して、必ずしも必要ではない。実際にモンテカルロシミュレーションを実行するEVOLVE_MODELのステップは、全体の中で断然計算コストが高く、Mを同期させるために多くの時間を割く。
具体的なパラメータは、環境に依存する。ユーザが指定できるパラメータは、以下のものを含む。
1.COやHOのような、最大3原子を含む幾つかの実施形態での分子ダイアグラム。
2.構成分子についての部分的な濃度。
3.ガス全体の初期温度と初期圧力。
定常シミュレーションでは、すべての軸で周期的境界を用いたモンテカルロシミュレーションを実行できる。ただし、y軸では、周期的境界に遭遇する粒子は、温度と圧力の設定に従って確率的に温度自動調整化され(thermostatted)、周囲条件がシミュレートされる。x軸では、粒子速度を変更せず、同一デバイスのアセンブリの周期的な集合体(ensemble)を当該方向に沿ってシミュレートする。シミュレーションは、計算の複雑性を減少させるために二次元で実行してもよい。モデル化されたデバイスが円筒対称性を有する場合には、三次元シミュレーションが同様の結果を与える必要がある。一般に、シミュレータは本明細書に示した周期性を使用する必要はなく、境界をまったく特定化しなくてもよいことに留意されたい。境界は、計算上の利便性として規定されるのみである。
好ましい実施形態で、可能なデバイスの形状は、デバイスをその下で使用することになるような条件と、それを構成することになる材料の既知の表面反射特性とを考慮して評価できる。NMSETおよび関連するデバイスの製造において、幾何学的パラメータは、実際に形状を使用する前にシミュレーションの結果を分析することにより最適化できる。
[例示的な形状]
以下、形状の異なる4つの実施形態について特に説明する。これら4つの形状を、直線形状、放物線形状、三角形状および鋸歯形状と呼ぶ。本明細書で説明するNMSETおよび関連するデバイスの形状は大きく変化することがあり、これらの例は、システムの効率性に対する或る設計上の選択の影響を説明するための図面としてのみ解釈するべきであることに留意する必要がある。
(直線形状)
図19は、直線形状を有するNMSETまたは関連するデバイス1900の一実施形態を示す。この実施形態で、デバイス1900は、高温層1902と低温層1901とを備える。用語「高温層」(hot layer)と低温層(cold layer)は、これらの層の間に温度差があることを意味しており、NMSETまたは関連するデバイスが浸漬しているガスより「高温層」が必ず高温であること、あるいは当該ガスより「低温層」が必ず低温であることを意味するのではない。少なくとも1つの直線形状を有するスルーホール1910がデバイス1900の全層を貫通して延び、好ましくは各層の組について同一の断面形状と大きさを有する。直線形状を有するスルーホール1910は、円状、スリット状およびくし状といった任意の断面形状を有することができる。
好ましくは、直線形状を有するスルーホール1910の全長1910L(すなわち、一方の入口から他方の入口までの距離)は、デバイス1900が浸漬しているガスの平均自由行程の最大10倍、最大5倍または最大2倍である。標準の大気圧における空気の平均自由行程は、約55nmである。より高度では、空気の平均自由行程は増加する。大気中での利用の場合、全長1910Lは、好ましくは1500nm以下であり、用途に応じて、より好ましくは550nm以下、275nm以下または110nm以下である。高温層1902と低温層1901との間の温度差は、好ましくは最低0.5℃、より好ましくは最低30℃、より好ましくは最低50℃、最も好ましくは最低100℃である。
高温層1902と低温層1901は、それらの間の断熱用のギャップにより分離できる。当該ギャップは、好ましくは真空ギャップであり、かつ/または断熱材を含む。一例で、ギャップは、二酸化ケイ素等の良好な断熱材からなる複数の薄い柱状物(pillar)を含む。
デバイス1900は、好ましくは平方センチメートル当たり少なくとも10個の直線状スルーホールを有する。平方センチメートル当たりのデバイス1900のすべての直線状スルーホールの全周囲長は、好ましくは少なくとも2センチメートルである。
(放物線形状)
図7は、放物線形状を有するNMSETまたは関連するデバイス700の一実施形態を示す。この実施形態では、高温層702と低温層701とが交互に積層される。図面で、各高温層702と低温層701は、直線状のスルーホールを有する。すべてのホールは整列している(aligned)。各高温層702でのホールは、すぐ上の低温層701でのホールと同じ大きさを有し、すぐ下の低温層701でのホールよりも小さい。各低温層701は、直接に隣接した高温層702よりも低温で、各高温層702は直接に隣接した低温層701よりも高温である。各高温層702の、−y方向に表面法線を有する表面702aが露出する。すべてのホールは、まとめて放物線表面の輪郭を有するノズルを形成する。この形状は、高温層と低温層との間の共有のベースを最小化する。しかし、NMSETまたは関連するデバイスは、ガスのエネルギを充分に増加させなくてもよいので、ホールの直径を増加させることにより、ガス圧力が縁部で降下することがある。これは、下側の開口付近で強い渦を作り出し、全体の効率性を低下させる可能性がある。放物線形状を有するNMSETは、断熱または定圧とすることが可能だが、これら両方とすることはできない。放物線形状を有するNMSETまたは関連するデバイス内でのガスフローの近似を図8に示している。ガスの運動量空間は、運動量の期待値が−y方向を向くように歪んでいる。
放物線形状は、NMSETまたは関連するデバイスにおいて有効であるが、ガス圧力の降下が、下側の開口の大きさの上限を制限する。一般に、移動するガスが内部で体積変化を受けるような任意の断熱デバイスは、その効率性の点に影響を受けることになる。
放物線形状を有するデバイスでの温度差が非断熱手段により確立される(すなわち、デバイスがガスの全体温度を上昇させる)場合、放物線形状を有するNMSETは、ガスに加えられた熱量が渦の形成を妨げるのに充分である限り、その効率性の点で、体積の変化を受けるガスに影響を受けないであろう。しかし、このようなデバイスは、その効率性の点で、高い全体エントロピーに影響を受ける。すなわち、ガスの運動量空間の固有ベクトルは、ガスが膨張せざるをえない場合ほどには遠く離れていないが、通常、小規模で熱を供給することは、それを運び去るよりも容易である。
(三角形状)
図9に詳細に示した三角形状は、断熱フローのための放物線形状の部分的な最適化である。この場合、ガスは充分に膨張して大規模な渦生成を引き起こす過程を経ることがないようになっている。さらに、開口部は大きさを変更させないので、このような三角形配列は容易に積層できる。
図10に示すように、この三角形状の運動量空間には、より効果的にバイアスが加わる。放物線構造と同様に、露出した高温表面と低温表面は、好ましくは角度90°で交わる。しかし、中心のギャップを横切り、表面の間を前後して粒子が熱を運搬する場合、非効率性の源が生じる。
図9は、三角形状のNMSETまたは関連するデバイスの積層体(stack)900を示す。積層体900内の各デバイスは、等しい厚さの高温層902と低温層901とを備える。低温層901と高温層902との間の温度差は、ペルチェ効果またはヒートポンプ等の他の任意の好適な手段により確立できる。各デバイスは、スルーホール903を有する。各スルーホール903は、各入口に約45°の面取り部(chamfer)(9031と9032)を有する。面取り部9031と9032の面は、構造的考察のために鋭角を修正することを含まないで、例えば低温層901と高温層902の厚さの1.40倍から1.42倍である。スルーホール903は、積層体900内のすべての層で整列している。一般に、積層体900内のデバイスでの高温層902の温度は、積層体の片側から反対側に向けて単調増加しない。一般に、積層体900内のデバイスでの低温層901の温度は、積層体の片側から反対側に向けて単調減少しない。好ましくは、各低温層901は直接に隣接した高温層902よりも低温で、各高温層902は直接に隣接した低温層901よりも高温である。工学的理由のために、三角構造の高温表面と低温表面は先端(fine point)に達しなくてもよい。
(鋸歯形状)
図11は、鋸歯形状を有するNMSETまたは関連するデバイスの積層体1100を示す。積層体1100内の各デバイスは、厚さthを有する高温層1102と厚さtcを有する低温層1101とを備える。低温層1101と高温層1102との間の温度差は、ペルチェ効果またはヒートポンプ等の他の任意の好適な手段により確立できる。各デバイスは、スルーホール1103を有する。図示したデバイスで、各スルーホール1103は、低温層1101側の入口で面取り部11031を有し、高温層1102側の入口で面取り部11032を有する。面取り部11031とスルーホール1103の中心軸との間の角度はθ1であり、面取り部11032とスルーホール1103の中心軸との間の角度はθ2である。θ1とθ2の合計は、好ましくは75°から105°であり、より好ましくは85°から95°であり、さらに好ましくは88°から92°である。tcのthに対する比は、θ1のコタンジェントのθ2のコタンジェントに対する比にほぼ等しい。θ2は、好ましくは70°から85°である。
本明細書で説明した面取り角度の関係は、好ましい制限であって、厳しい境界ではない。一般に、完全に鏡面反射性の分子反射特性を示す材料の場合、面取り角度の関係を若干緩和できる。完全には鏡面反射性の分子反射特性を示さない材料の場合、関係は厳しいであろう。面取り形状は、好ましくは共有のベースを最小化するように配列される。したがって、鏡面反射的に反射する面取り部表面の表面法線は、好ましくは直交する。直交から離れると、効率性の点で、ペナルティがコサイン関数として発生することがある。工学的理由のために、鋸歯構造の高温表面と低温表面は、先端に達する必要はない。
図示したデバイスで、積層体1100中のすべての層で、スルーホール1103は整列している。積層体1100中の各デバイスでの高温層1102の温度は、積層体1100の片側から反対側に単調増加しない。積層体1100中の各デバイスでの低温層1101の温度は、積層体1100の片側から反対側に単調増加しない。各低温層1101は、直接に隣接した高温層1102より低温で、各高温層1102は、直接に隣接した低温層1101よりも高温である。
図11に示す鋸歯形状は、すべての高温層1102が好ましくはほぼ同じ方向に配向している(すなわち、θ2は好ましくはほぼ90°である)という点で、三角形状を上回る改良点を提供する。これは、スルーホール1103に対して交差する高温層1102と低温層1101との間の直接的な相互作用を減少させ、全体の効率性を向上させる。
さらに、高温層1102は低温層1101よりも露出表面の面積が小さく、低温層1101は好ましくはスルーホール1103の中心軸に対して三角形状より浅い角度に配向しているので、鋸歯形状は三角形状より効果的にガス中のエントロピーを減少させる(これにより、より大きい仕事をさせる)ことができる。図12に示すように、当該鋸歯形状の運動量空間には、三角形状の運動量空間より効果的にバイアスが加えられる。
三角形の構成では、断面の反対側でのデバイスのスライス(slice)は、分離角度が90度であることから、y軸で1/√2の大きさを有する。これは、エントロピー減少の効率性を制限する。なぜなら、エントロピーの幾らかは、直接的な表面間の相互作用において中性化される(neutralized)ことになるからである。
しかし、鋸歯の構成では、高温層1102は、隣接した低温層1101とベース(basis)を共有しないだけでなく、スルーホール1103に対して交差する高温層および低温層とほとんどベースを共有しない。組み合わされたこの特性により、鋸歯形状は三角形状よりも有効となる。
NMSETまたは関連するデバイスが電力供給された後(すなわち、温度差が確立される)、低温層から跳ね返るガス粒子は、低下した合成速度を有する。一方、高温層から跳ね返るガス粒子は、より大きい合成速度を有する。図4は、積層体1100の層(鋸歯形状)が受ける合力を示す。安定状態では、対応する積層体1100上方の低圧領域と積層体1100下方の高圧領域を順に生成する入口側の開口部(図4の上側の開口部)で、低圧が生成される。ガス粒子の衝突により生じる積層体1100のガス粒子速度を図5に示す。
[温度差を確立する手段]
(内部ペルチェ)
一実施形態によれば、デバイス形状における各エレメントは、粒子誘導デバイスとして、また、エントロピー減少装置(reducer)として機能する。ペルチェ素子では、加熱プレートと冷却プレートは、ペルチェ係数が異なる材料から作られる。電流は、加熱プレートと冷却プレートとの間を流れるようになっている。この電流の流れは、ペルチェ熱を運搬し、デバイスを動作させるのに必要となる温度差を確立させる。幾つかの実施形態では、圧電スペーサをデバイスエレメント間に配置して、それらの間の分離ギャップを維持できる。
内部ペルチェ構造を有する一実施形態に係るNMSETまたは関連するデバイスの断面を、図13と14に詳細に示している。すべての高温層1302が接続されている。すべての低温層1301が接続されている。低温層と高温層との間に介在するペルチェ素子を通して電流が流れ、温度差が確立される。層が薄いほど、大きい電流が必要となる。
内部ペルチェ構造を有するNMSETまたは関連するデバイスは、デバイスの小型化を容易にする。図14に示したような単一の積層体は、推進力を生成するのに充分に機能的とすることができる。さらに、内部ヒートポンプを有するNMSETまたは関連するデバイスは、最大粒度を重視するマイクロ電気機械システム(MEMS)での使用に適している。
(電界増強された熱電子放出)
別の実施形態では、電界増強された熱電子放出により、温度差を生成できる。図19に示すように、電界は、低温層1901から熱放出された複数の電荷キャリアが低温層1901から高温層1902に熱を運搬するように、層1901と層1902との間に確立できる。
(外部ペルチェ)
別の実施形態では、NMSETまたは関連するデバイスに対して外部に存在するペルチェ素子のようなヒートポンプにより、温度差を生成できる。図15と16に詳細に示すように、この市松模様状(checker board fashion)に配列されたペルチェ素子(図示せず)は、界面層1510と1520を介して、NMSETまたは関連するデバイスの積層体1500に熱的に結合される。
外部ペルチェ素子を有するデバイスは、温度差の生成に使用する材料からガスフローの生成に使用する材料が分離されるという利益を有する。工学的な観点から、ヒートポンプに適した材料が微細構造に適さないことがあり、またはその逆もあるので、これが好ましいであろう。なお、外部ヒートポンプは、より大きく、より効果的に作ることができ、充分な温度差を確立するために、より小さい電流を必要とする場合がある。
圧電スペーサは、層の間で使用できる。NMSETでの使用に適した材料は、好ましくは熱膨張と熱収縮に機械的に耐えるのに充分に強く、かつ/または、好ましくは非常に小さい膨張係数を有する。それ以外の場合、層中のホールは位置ずれして、効率性が低下する可能性がある。
(外部非ペルチェ)
さらに別の実施形態によれば、任意の好適な熱源および/またはヒートシンクにより、温度差を確立できる。熱源は、例えば、電界増強熱電子放出、抵抗加熱器、化学反応、燃焼、および/または明るい光の直接照明、または、他の形態の放射線であってもよい。このような実施形態の図を図17に示す。示した実施形態で、加熱表面1702は、抵抗加熱材料、または放射加熱を効果的に受けることができる材料とすることができる。外部の非ペルチェヒートポンプは、ペルチェ素子のような内蔵式のヒートポンプを必要としないので便利である。幾つかの用途では、まず放射線を電気に変化するのでなく、加熱表面を例えば太陽等の放射線源の方向へ向け、さらにペルチェ素子を駆動させることは便利であろう。あるいは、NMSETまたは関連するデバイスの高温層と熱をやりとりする熱吸収表面の方向へ放射線源を向けてもよい。しかし、外部の非ペルチェヒートポンプでは、NMSETまたは関連するデバイスが確実に過熱されないように注意することが好ましい。
図17に示す毛細管1750は、ヒートシンクを与える例示的な機構である。しかし、ヒートシンクを簡単に一連のベーン、または他の任意の好適なヒートシンクとすることもできる。あるいは、図17における外部の非ペルチェヒートポンプは、毛細管1750を通じて熱源を提供するように構成できる。熱源は、発熱化学反応であって、好ましくは大きすぎる圧力を生成しないものとすることができる。
[材料]
NMSETおよび関連するデバイスは、広範囲の材料で構成できる。種々の態様において、材料の特性は、好ましい形状と組み合わせて利用できる。
ガス分子の鏡面反射は、NMSETまたは関連するデバイスのガス露出表面、例えば流動ガスと接触する加熱表面と冷却表面を形成する材料の好ましい特性である。鏡面反射は、鏡のように光を、あるいはこの場合はガス粒子を表面から反射するものである。鏡面反射面の上に単一の入射角で入射するガス粒子は、表面で反射されて単一の出射角度となる。入射ガス粒子と表面とが同一の温度を有する場合、表面法線に対して入射角度と出射角度とは同一である。つまり、入射角は反射角に等しい。鏡面反射を規定する第2の特性は、入射方向と、法線方向と、反射方向とが同一平面上にあることである。入射ガス粒子と表面とが同一の温度でなく、非断熱(すなわち、ガス粒子と表面との間の熱交換がある)である場合、反射角は、表面とガス粒子との間で伝達される熱の関数である。
材料の鏡面性の度合いは、位相空間の単位体積当たりのガス粒子の反射状態の確率密度関数として定義された(例えば、Cercignani−Lampisカーネルのような)反射カーネルにより表すことができる。反射カーネルの詳細について、論文("Numerical Analysis of Gas-Surface Scattering Effect on Thermal Transpiration in the Free Molecular Regime", Vacuum, Vol. 82, Page 20-29, 2009)と、その中で引用された文献に開示されているが、それらすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
また、個々の高温層と低温層は、例えば剛性を与える手段である構造材料と、例えば温度差生成手段と熱を伝達し合う手段である熱伝導性材料と、例えば好ましい反射カーネル特性を付与する手段である原子反射材料(atomic reflection material)とを含みうる1つ以上の構造エレメントから構築できる。幾つかの実施形態で、個々の高温層と低温層は、そのような材料の層状の複合材料で構築されてもよい。
このように、材料の選択と組成は広く可変的である。幾つかの実施形態で、NMSETまたは関連するデバイスの構造に好適な材料は、チタン、シリコン、鋼鉄、および/または鉄を含むことができる。チタンは軽量で、かつ六角形の結晶構造を有する。チタンの界面は、結晶歪み(crystalline warping)なく直角で作成でき、それゆえ応力限界は存在しない。チタンの材料コストは高い。シリコンは安価で、特性や機械加工用処理が充分に理解されている。シリコンの結晶構造はダイアモンド立方晶である。鋼鉄は、チタンよりも安価で、立方晶構造を有し、ガスの侵入に対して高い耐性を有する。鉄は、鋼鉄よりも安価で、NMSETおよび関連するデバイスでの利用に適するような結晶形状を有する。
[NMSETまたは関連するデバイスを製造する例示的な方法]
図20に示す一実施形態によれば、NMSETまたは関連するデバイスを製造する方法は、以下の工程を含む。
(a)例えばアモルファスシリコン、結晶シリコン、セラミックのような好適な基板2001を設ける工程。基板2001は好ましくは500ミクロンから1500ミクロンの厚さを有する。しかし、これより薄い基板または厚い基板も可能である。
(b)主として犠牲層であり、好ましくは電気絶縁体、例えば二酸化ケイ素等である第1層2002を堆積させる工程。第1層2002は、好ましくは200nmから50ミクロンの厚さを有する。しかし、これより薄い層または厚い層も可能である。さらに、基板のウインドウ2001aの面積に応じて、この層が調整可能な応力レベルを有することは好都合である。例えば、1cmの基板ウインドウ2001aの場合、SiOxNyを用いた60MPaの引っ張り強度での結果が成功であった。
(c)フォトリソグラフィと第1層2002のエッチングにより、第1層から、例えば帯状(strip)、正方形、円等任意の好適な形状の分離した島状部のパターンを形成する工程。
(d)分離した島状部の上に第2層2003を堆積させる工程。第2層2003は、例えばAl、Nb、Znのような導電体であり、好ましくは5nmから200nmの厚さを有するところ、他の厚さも考えられる。
(e)第2層2003の上に第3層2004を堆積させる工程。第3層2004は、例えば二酸化ケイ素や層2002で使用されるものと同じ材料のような電気絶縁体であり、好ましくは第1層と同じ厚さを有するが、他の厚さも考えられる。
(f)第1層2002が露出するまで第3層2004と第2層2003を部分的に除去する工程。
(g)第4層2005を堆積させる工程。第4層2005は、例えば二酸化ケイ素等、好ましくは第2層2003と同じ材料の電気絶縁体であり、好ましくは3nmから15nmの厚さを有するところ、被覆(coverage)にギャップが少ししか、あるいは全く存在しない限り、より薄い方が好ましい。
(h)第5層2006を堆積させる工程。第5層は、例えばPt、Ni、Cuのような導電体であり、好ましくは5nmから200nmの厚さを有するところ、他の厚さも考えられる。
(i)第6層2007を堆積させる工程。当該層は、基板の裏面での作業を行いつつ前面を保護するために形成する。当該層は、例えば、熱剥離テープ(thermal release tape)を用いて第5層2006に貼付されたワックス、フォトレジストまたは二酸化ケイ素基板から作成できる。第6層2007は、好ましくは500nmから1500nmの厚さを有するところ、他の厚さも考えられる。
(j)フォトリソグラフィと基板2001のエッチングにより、第1層2002の少なくとも1つの分離した島状部が内側に露出するように、基板2001中にスルーホール2001aを形成する工程。スルーホール2001aは、例えば六角形、正方形および円のような任意の好適な形状を有し、かつ、例えば六角格子、正方格子および極格子(polar grid) のような任意の好適なパターンで配列する。
(k)上側の第4層2005の一部が露出するまでエッチングすることにより、露出した状態の分離した島状部を除去する工程。
(l)上側の第5層2006の一部が露出するまでエッチングすることにより、第4層2005の露出部分を除去する工程。
(m)エッチングにより、第5層2006の露出部分を除去する工程。
(n)第2層2003と第5層2006が第4層2005から2nmから5nmだけ張り出すように横方向エッチングすることにより、第4層2005を部分的に除去する工程。
(o)熱剥離、溶解またはエッチングにより、第6層2007を完全に除去する工程。
好ましくは、第2層2003と第5層2006は、仕事関数が少なくとも0.1eV、少なくとも1eV、少なくとも2eV、少なくとも3eV異なる。
図21に示す別の実施形態によれば、NMSETまたは関連するデバイスを製造する方法は、以下の工程を含む。
(a)例えばアモルファスシリコン、結晶シリコン、セラミックのような好適な基板2101を設ける工程。基板2101は好ましくは500ミクロンから1500ミクロンの厚さを有する。しかし、これより薄い基板または厚い基板も可能である。
(b)主として犠牲層であり、好ましくは電気絶縁体、例えば二酸化ケイ素等である第1層2102を堆積させる工程。第1層2102は、好ましくは50nmから1000nmの厚さを有する。しかし、これより薄い層または厚い層も可能である。さらに、基板のウインドウ2101aの面積に応じて、この層が調整可能な応力レベルを有することは好都合である。例えば、1cmの基板ウインドウ2101aの場合、SiOxNyを用いた60MPaの引っ張り強度での結果が成功であった。
(c)第1層2102の上に第2層2103を堆積させる工程。第2層2103は、例えばAl、Nb、Znのような導電体であり、好ましくは5nmから150nmの厚さを有するところ、他の厚さも考えられる。
(d)第2層2103の上に第3層2104を堆積させる工程。第3層2104は、例えば二酸化ケイ素のような電気絶縁体であり、好ましくは5nmから100nmの厚さを有するところ、他の厚さも考えられ、好ましくは第1層2102と同じ厚さを有する。
(e)第3層2104の上に第4層2105を堆積させる工程。第4層2105は、例えばPt、Ni、Cuのような導電体で、好ましくは5nmから150nmの厚さを有するところ、他の厚さも考えられる。
(f)フォトリソグラフィとエッチングにより、第2層2103、第3層2104および第4層2105を貫通するホールを形成する工程。ホールは、例えば複数の帯状、正方形、円のような任意の好適な形状を有する。
(g)第2層2103と第4層2105が第3層2104から張り出すように横方向エッチングすることにより、第3層2104を部分的に除去する工程。
(h)フォトリソグラフィと基板2101のエッチングにより、基板2101にスルーホール2101aを形成する工程。これにより、第2層2103、第3層2104および第4層2105を貫通する少なくとも1つのホールが、1つのスルーホール2101aと重なり合うようにする。スルーホール2101aは、例えば六角形、正方形および円のような任意の好適な形状を有する。スルーホール2101は、例えば六角格子、正方格子および極格子のような任意の好適なパターンで配列される。
(i)スルーホール2101a内に露出した第1層2102の一部を除去する工程。
好ましくは、第2層2103と第4層2105は、仕事関数が少なくとも0.1eV、少なくとも1eV、少なくとも2eV、少なくとも3eV異なる。
[例示的な真空層を有する熱遷移デバイス]
いくぶん冗長であるが、図22は、全体を2204で示す、NMSETまたは関連するデバイスのような熱遷移デバイスを示す側面断面図である。熱遷移デバイスは、低温側膜2202と高温側膜2201とを含み、その間に断熱材2200が設けられている。断熱材2200は、真空で形成できる。真空は、例えばベンチュリ効果により達成できる。熱遷移デバイス2204は、低温側膜2202、断熱材2200および高温側膜2201によって画定される厚さ2203を含む。
図23は、全体を2309で示す、熱遷移デバイスの動作を示す側面断面図である。デバイス2309は、高温層2301と低温層2302とを含み、その間に断熱材2300が設けられている。デバイス2309内には、前述のようにして開口部2308が形成されている。熱遷移デバイス2309は、低温層2302、断熱材2300および高温層2301によって画定される厚さ2303を含む。断熱材2300は、例えばベンチュリ効果によって達成可能な真空で形成できる。
半径2305で示す平均自由行程(他の粒子に衝突する前に移動した平均距離)を有する低温ガス粒子2304は、開口部2308に入り、またはそのエッジに到達し、さらに他の粒子と衝突し、エネルギを交換する。半径2307で示す平均自由行程を有する高温ガス粒子2306は、高温層2301と衝突し、プロセスにおいてエネルギを取得して正の運動量による力(momentum force)を与える。低温ガス粒子2304は、高温ガス粒子2306の温度を低下させ、高温ガス粒子2306は衝突して高温層2301へ戻り、これによりエネルギを取得して、正の運動量の力と増加した圧力を高温層2301に与える。
図24と25は、全体を2414で示す熱遷移デバイスを示す側面断面図と上面断面図であって、複数の傾斜壁を有する1つの延長層(extended wall)を示す。デバイス2414は、高温層2401と低温層2402とを含み、その間に断熱材2400が設けられている。断熱材2400は、例えばベンチュリ効果によって達成可能な真空で形成できる。デバイス2414の全厚さは、参照符号2403で示され、低温層2402、断熱材2400および高温層2401によって画定される。
デバイス2414内には、前述のようにして、開口部2408が設けられ、高温層2401に傾斜壁2415が形成されている。開口部2408および/またはそのエッジは、高温表面2409、低温表面2410、一般的に熱遷移が生じる活性領域2411、および支持領域2412の画定に役立つ。図24に示すように、高温表面2409の角度2413は90度未満であり、傾斜壁2415を形成する。
図24と25は、傾斜壁を有する延長層を高温層2401として示すが、当業者ならば、許容される代替として、低温層2402を、傾斜壁を有する延長層として実装可能であると理解するであろう。
図26と27は、それぞれ、全体を2615で示す熱遷移デバイスの側面断面図と上面断面図であって、ウェットエッチングまたはドライエッチングされた壁部を有する1つの延長層を示す。デバイス2615は、高温層2601と低温層2602とを含み、その間に断熱材2600が設けられている。断熱材2600は、例えばベンチュリ効果によって達成可能な真空で形成できる。デバイス2615の全厚さは、参照符号2603で示され、低温層2602、断熱材2600および高温層2601によって画定される。
デバイス2615内には、前述のようにして、開口部2608が設けられ、高温層2601内に、一般的に放物線形状を有するウェットエッチング壁またはドライエッチング壁2614が形成される。開口部2608および/またはそのエッジは、高温表面2609、低温表面2610、一般的に熱遷移が生じる活性領域2611、支持領域2612およびウェットエッチングまたはドライエッチングされた表面2614の画定に役立つ。
参照符号2605は、低温ガス粒子2604の平均自由行程の半径を示す。参照符号2607は、高温ガス粒子2606の平均自由行程の半径(他の粒子に衝突する前に移動した平均距離)を示す。低温ガス粒子2604は、開口部2608に入り、またはそのエッジに到達し、さらに他の粒子と衝突し、エネルギを交換する。高温ガス粒子2606は、高温層2601と、その外縁またはウェットエッチングされた表面で衝突し、プロセスにおいてエネルギを取得して、正の運動量の力と増加した圧力を高温層2601に与える。
図26と27は、ウェットエッチング壁を有する延長層を高温層2601として示すが、当業者ならば、許容される代替として、低温層2602を傾斜壁を有する延長層として実装可能であると理解するであろう。
図28は、全体を2816で示す熱遷移デバイスの側面断面図であって、複数の傾斜壁を有する2つの延長層を示す。デバイス2816は、高温層2801と低温層2802とを含み、その間に断熱材2800が設けられている。断熱材2800は、例えばベンチュリ効果によって達成可能な真空で形成できる。デバイス2816は、低温層2802、断熱材2800および高温層2801によって画定される全厚さ2803を有する。
デバイス2816内には開口部2808が設けられ、前述のようにして、高温層2801と低温層2802にそれぞれ傾斜壁2817と2818が形成される。開口部2808および/またはそのエッジは、高温表面2809、低温表面2810、一般的に熱遷移が生じる活性領域2811、高温層2801のための支持領域2812、および低温層2802のための支持領域2815の画定に役立つ。図28に示すように、高温表面2809と低温表面2810の両方が90度未満であり、傾斜壁2818と2817をそれぞれ形成する。高温表面2809の角度2819と低温表面2810の角度2819を、ほぼ同一の角度で図28に示しているが、高温表面2809と低温表面2810は、許容される代替として、実施形態において異なる角度で傾斜してもよい。
理想的な熱遷移デバイスでは、大気中で動作するよう設計される活性領域の厚さは、500nm未満である必要がある。最適化のために、高温表面と低温表面との間の厚さは、100nm以下である必要がある。このように小さい厚さは、デバイスを非常に壊れ易くし、動作を困難にする。例えば、デバイスの層または膜をより厚くして、デバイスの安定性や強度に必要な厚さを付与する場合、その全体厚さは、上記の理想的な厚さを超えた値まで増加することになる。
図29は、熱遷移デバイスの一実施形態の当初の構造の断面図であり、本開示内容に従って一般的に示しているところ、デバイスの臨界領域での厚さを理想的な厚さ範囲内に維持しつつ、熱遷移デバイスの厚さをより大きくして、耐久性と強度を向上させることができる。
図29に示すように、デバイスの構造は以下の通りである。まず、シリコン基板層2916が設けられている。基板2916の上に、例えば約40nmのアルミニウムの第1金属層2917が堆積する。堆積プロセスは、蒸着であってもよいし、例えばスパッタリング、有機金属気相成長等のような他の方法を使用してもよい。したがって、第1金属層2917は、蒸着した40nmのアルミニウムであってもよい。
第1金属層2917の上に、誘電体層2918が堆積する。誘電体層2918は低応力である必要があり、プラスチックや無機の非導電性膜材料で形成されてもよい。膜(すなわち誘電体層2918)は、特に、低応力(例えば60MPa)である、プラズマ増強化学気相成長した厚さ2ミクロンの酸窒化物であってもよい。他の厚さも考えられる。
誘電体層2918の上に接着促進層(adhesion promoter)層2919を堆積させ、誘電体に対する接着を促進し、かつ/または強化されたマスク層として機能するようにしてもよい。このような材料は、例えばHMDSの化学的単層(chemical monolayer)、有機レジストの薄膜、または金属、特に6nmのクロムであってもよい。接着促進層2919は、薄膜とエッチング方法またはエッチング薬剤との特定の組み合わせに応じて必要でない場合がある。
従来から知られているようにして、約1.3ミクロンのSPR−3012のマスク2920を使用し、例えば非マスク領域2921の部分でデバイスをエッチングする。当業者に知られているように、接着促進層2919の上にフォトレジスト層またはマスク2920を堆積させることにより、エッチングを達成できる。このようなフォトレジストは、好ましくはShipley SPR−3012である。しかし、他のフォトレジストを利用してもよい。次に、従来のマスクを用いてフォトレジスト層2920を露光し、非マスク領域2921を成長させてもよい。露光は、例えば好適な波長の光を使用して実施できる。当業者に知られているように、接触型リソグラフィ(contact lithography)を使用してもよい。一度露光すると、非マスク領域2921を形成するという目的に適した溶液中で、フォトレジスト層2920を成長させてもよい。この溶液は、例えば、SPR−3012に対して約60秒間用いる、0.26Mの水酸化テトラメチルアンモニウムであってもよい。
図30に示すように、デバイスを非マスク領域2921(図29参照)の部分でエッチングして、エッチング領域3022を形成する。エッチング領域3022は、接着促進層2919と誘電体層2918を第1金属層2917の一部が露出するまでエッチングすることにより形成される。次に、フォトレジスト層2920(図29参照)を除去する。接着促進層2919は、例えばTransene社のクロムエッチングのようなウェットエッチングを使用して、シリコン基板2916が露出するまでエッチングできる。例えば第1金属層2917をエッチングしないであろう薬剤を用いて、誘電体層2918をエッチングしてもよい。アルミニウムの上の酸窒化物の場合、Transene社の含水酸溶液Silox Vapox IIを使用できる。他の湿式薬剤を使用してもよいし、ドライプラズマエッチングを使用してもよい。
図31は、図29から30に示す熱遷移デバイスの更なるエッチングを示す側面断面図である。参照符号2916はシリコン基板であり、参照符号2917は第1金属層であり、参照符号2918は誘電体層であり、参照符号2919は接着促進層である。図31で、デバイス、すなわちエッチング領域3022(図30参照)はさらにエッチングされてエッチング領域3122とアンダーカット領域3123を与える。エッチング領域3122を形成するために、第1金属層2917がエッチングされ、次に基板2916の一部をエッチングする。アンダーカット領域3123を形成する1つの方法は、第1金属層2917の下側を等方的にエッチングすることである。
第1金属層2917は、ウェットエッチングまたはドライエッチングのいずれかによってエッチングできる。例えばアルミニウムの場合、低圧で塩素とアルゴンを用いる反応性イオンエッチャ内でのアルミニウムエッチングを使用して、第1金属層2917をエッチングできる。40nmのアルミニウムについてのエッチングの例は、50sccmのBCl3、20ccmのCl2、10mTorr、300WのRF電力である。
薬剤が第1金属層2917、誘電体層2918または第2金属層2919をエッチングしない限り、ウェットエッチングまたは気相エッチングを使用して基板2916をエッチングできる。アルミニウムと酸窒化物を有するシリコン基板の場合、例えばガスXeF2を用いてシリコンをエッチングしてもよい。基板2916を処理してホウ素を除去してもよい。この処理の1つの例示的な方法は、35sccmのCF4、20mTorr、300WのRf電力という条件下、反応性イオンプラズマベースでフッ素を使用することである。
図32は、図29から31に示す熱遷移デバイスの更なる形成を示す断面図である。二酸化ケイ素または他の電気絶縁体の薄層3224がデバイスの上に設けられる。二酸化ケイ素層3224は、例えば約2nmから約10nmの厚さとすることができる。特に第1金属層2917近くでのカバレッジでギャップが少ししかないか全くない限りにおいて、一般的に薄い方が優れている。二酸化ケイ素の層3224は、トンネル厚さを制御するために設けられている。層3224は、蒸着または他の既知の技術によって付加できる。他の材料と同様に、例えば、スパッタリング、プラズマ増強化学気相成長、原子層堆積等の他の方法を使用してもよい。二酸化ケイ素層3224の上に、第2金属層3225を設ける。第2金属層3225は、ニッケルや銅のような金属の層でもよく、約40nmの厚さであってもよい。第2金属層3225は、蒸着によって形成してもよく、例えばスパッタリングやイオンアシスト蒸着のような他の方法を使用してもよい。
次に、基板2916をキャリア基板(図示せず)に、当該キャリアに面する薄膜積層体を用いて実装する。実装材料は、Revalphaの熱剥離テープのような両面テープであってもよい。しかし、例えばワックスやフォトレジストのような他のテープまたは材料を使用してもよい。
次に、残りのシリコン基板2916を、例えばXeF2気相エッチングによって除去する。基板2916のエッチング部分に形成された二酸化ケイ素層3224と第2金属層3225のごく一部は、基板2916と一緒に除去される。また、第1金属層2917と第2金属層3225をエッチングしない限りにおいて、湿式薬剤を用いて基板2916を除去できる。図33に示すように、残るのは、第1金属層2917、誘電体層2918、接着促進層2919、熱トンネル層3224および第2金属層3225によって形成された島状部3127である。次に、デバイスを超音波処理してニッケル塊(plug)を除去する。例えばRevalphaの熱剥離テープの場合、デバイスの除去に役立つように、充分な温度のホットプレートの上にキャリア基板を配置できる。
[分散型マイクロスラスタのための耐故障性制御システム]
分散型マイクロスラスタを用いて、特定の方向におよび/または所望の速さで、物体を駆動推進するためには、制御システムが必要となる。制御システムは、分散型マイクロスラスタまたは複数の分散型マイクロスラスタに対して、選択的に出力を起動し、および/または出力レベルを調整することにより、所望の方向の所望の推進力を得ることができる。
本発明に係る制御システムによれば、分散型マイクロスラスタの駆動を制御するための制御システムは、出力分配配線からなる少なくとも1つの冗長化2次元ネットワークにより供給される、格子上に配置された構成要素として構成してもよい(各構成要素は1つまたはそれ以上のスラスタを含むものである。)。分配ネットワークは、水平方向の行および垂直方向の列を構成する複数のスラスタに接続された水平ラインおよび垂直ラインまたは水平配線および垂直配線からなる複数のループとして構成されるものである。
本発明の実施形態に係る制御システムによれば、水平ラインおよび垂直ラインのそれぞれは、4つの位置で出合い、交差するものであるが、別の接続形態は、冗長性(重複性)、ループ数、およびアドレス精度のバランスを考慮して設計してもよい。さらに別の接続形態は、交差位置の数が異なるものであってもよい。
格子内の構成要素、すなわち複数の構成要素のそれぞれに、少なくとも1つの電源を提供するようにしてもよい。1つの構成要素が複数のスラスタを含むものであってもよい。電源の一方の端子が水平ラインに接続され、電源の他方の端子が垂直ラインに接続される。このように電源の端子を適当な行ラインおよび列ラインに接続することにより、1つの構成要素または一群の構成要素にアドレスすることを可能にするものである。
NMSET等の分散型スラスタの一般的な動作において、電気回路を用いて、分散型スラスタに熱量を加え、または調節することにより、分散型スラスタを駆動する。電気回路は、水平ラインおよび垂直ラインからなるループにより構成される。所与のループの両方の端子は同電位を有するように駆動される。これは、(たとえばアレイ表面に対するダメージに起因する)所与のループにおける任意の位置での単一の断線が、カスケード接続の機能損失を最小限に抑えるということを意味する。電気回路による加熱および冷却は、ペルチェスラブ(ペルチェ板)を用いたペルチェ効果により駆動されるヒートポンプ方式で実現してもよい。この具体例では、分散型スラスタのいずれか一方の表面に配線し、後述する抵抗式の実施形態では、高温側のみに配線する。さらに別の実施形態に係る分散型スラスタでは、分散型スラスタに電力供給する別の方法を用いることができる。
図34は、本発明の制御ユニットを用いた、分散型スラスタ3402のアレイ3401のための1つの実施形態に係る制御システム3400の平面図である。図34から分かるように、アレイ3401において、複数の分散型スラスタ3402が互いに平行な水平行および垂直列で格子状に配置されている。
少なくとも1つの電源3406は、水平行および垂直列のそれぞれにより分散型スラスタに接続された複数の第1の電源ライン3404および複数の第2の電源ライン3405を用いて、選択された分散型スラスタ3402に電力を供給する。1つの第1の電源ライン3404が1つの第2の電源ライン3405に沿って選択されたとき、電気回路が形成され、少なくとも1つの分散型スラスタがエネルギを推進力に変換するように駆動する。制御ユニット3403は、所望のスラスタまたは所望の一群のスラスタのために選択された電源ライン3404,3405の電圧印加および/または電力レベルを制御する。
本発明に係る制御システムで採用されているように、電源3406は電池であり、制御ユニット3403は中央演算ユニットであってもよい。さらにスラスタは、複数のスラスタデバイスを含むものであってもよい。
NMSETデバイスは、ガスを推し出すことができる装置であって、積層体を構成する少なくとも1つの第1および第2の層と、高温層およびこれより低温である低温層を形成するために第1および第2の層を加熱および/または冷却する手段と、積層体を貫通する少なくとも1つの貫通孔とを備えるものであってもよい。各高温層の表面は貫通孔内で露出し、各低温層の表面は貫通孔の内面において露出し、貫通孔の活性領域全体の長さは、上述したように、装置周囲にあるガスの平均自由行程の10倍未満であり、1500nm以下である。
所与のNMSETデバイスにおいて、少なくとも1つの貫通孔は、直線形状、鋸歯形状、三角形形状、放物線形状、または上述したようなNMSETデバイスに有用であると判断される任意の形状を有するものであってもよい。
図35は、分散型スラスタの隣接領域3506を駆動するために、隣接領域で交差する電源ライン3504,3505を図示するものである。制御ユニット3503は、電源ライン3504,3505に電源供給することにより、分散型スラスタの隣接領域3506を駆動する
図36は、電源ライン3605の開回路の故障状態(不具合)を示すものである。図36に示すように、電源ライン3605は、複数のポイント3608付近の領域に隣接する垂直列のスラスタに関連するものである。電源ライン3605に開回路3607があるため、複数のポイント3608の周りの領域に隣接するスラスタが、この故障状態に起因して作動することができない。
1つの実施形態に係る制御システムにおいて、電源ラインに不具合が生じた場合に、冗長性を実現し、システム障害を回避するために、図37に示すように、冗長経路接続が設けられている。電源ライン3701は水平行のスラスタに接続され、別の電源ライン3702は垂直列のスラスタに接続されている。すなわち電源ライン3705上の不具合(開回路)3707が生じた場合に備えて、冗長経路がポイント3706に設けられている。冗長性は電源ライン3705,3704により提供され、制御ユニット3700は、電源ライン3707の第1の接続ポイントから第2の接続ポイントに電気回路の経路を変更するか、または電源ラインを内部で迂回させて、ポイント3706付近のスラスタを駆動する。別の実施形態に係る制御システムにおいて、図37に示すように、任意の電源ラインのうちの1つに故障状態(不具合)を検出するために、故障検出デバイス3708が提供される。故障検出デバイス3708は、電源3703および制御ユニット3700に接続され、故障状態が存在する電源ラインを補償し、経路変更し、通知し、および/または置換することにより、適当な電源ラインの駆動を制御するものである。
キャパシタバンク電圧検出技術を用いて、故障状態(不具合)を検出する。単一パルスで完全に放電させないようにキャパシタバンクを設計し、電力パルスが1つのスラスタ要素または一群のスラスタ要素に出力された前後における帯電電圧を測定することにより、1つのスラスタ要素または一群のスラスタ要素が消費する電力を特定し、その電力と予定される電圧とを比較することができる。測定された電圧降下が、予定される電圧より実質的に小さいときには開回路の兆候があり、電圧降下が実質的に大きい場合には、短絡回路の兆候がある。
埋め込み式電流検出素子を用いて、故障状態を検出してもよい。アレイに流れる瞬間的な電流を測定するために、シャント抵抗を電力配線ラインに直列に接続してもよい。通常、電流が小さい場合、いくつかのセルが開回路状態である。電流が過剰に大きいとき、短絡回路が存在する。この方法の主たる問題点は、電源とスラスタとの間の直列抵抗が僅かに(ゼロではなく)増大する点にある。
この方法の実用的な利点は、パルス出力後のキャパシタ電圧を検出する際、十分に迅速に(おそらくは数MHzレベルのサンプリング速度で)、短絡回路に対してリアルタイムで応答するようにシステムを設計することにより、多大なエネルギが供給されてアーク放電により隣接するスラスタに甚大な被害を与え、急激に放電した電源を過熱させるパルス出力を中断できる点にある。このシステムは、連続使用モードで作動する分散型スラスタに応用することができる。
上記任意の方法または当業者により理解される別の方法により、分散型スラスタの一部が故障していると検出されると、推進力の喪失、および/またはカスケード接続の不具合を最小限に抑えるために、矯正処理を施す必要がある。
設計段階において、バルス出力式分散型スラスタのタイミング解析を実行する場合、任意のスラスタ領域(スラスタ部分)において連続してパルス出力する際の冷却時間を最小必要時間より長くすることに留意すべきである。このように設計した場合、損傷したスラスタ、すなわちスラスタ領域を推進シーケンスから除外し、非損傷の残りのスラスタを、デューティサイクルを少し増大させて駆動することにより、全体的な推進力を維持することができる。
デューティサイクルを増大させることにより、システムに対する損傷の最大限度のみを補償することができる。この最大限度を超えると、利用可能な推進力が低減することは避けられない。すなわち、スラスタアレイの制御システムは、平衡レベルを維持するために、対応する対向パネルの推進力が多少低減したことにより、航空機または分散型スラスタを用いた他の用途の一方の推進能力の損失を補償するように設計することができる。
図38は、例示的な制御システムの別の実施形態の平面図であり、特に、より大型の分散型スラスタ、および/またはあまり精緻に制御できない用途において有用なものである。この実施形態は、より精緻な制御が必要される通常の場合に比して、電源ラインおよび/または制御ラインを少なくし、必要なコンピュータの機能を低いものとすることができる点において有用である。例示的な制御システムは、(破線で示し、電源供給ラインの交差点における複数の個別のスラスタを含む)一群の分散型スラスタ3803,3804,3805,3806を駆動するために用いられる電源ライン3801,3802および/またはサブ電源ラインを示すものである。たとえば制御ユニット3800は、電源供給ライン3803を電源供給ライン3801の1つの適当な電源ライン、および電源供給ライン3802の1つの適当な電源ラインに接続して、相当するサブ電源ライン3810、および対応するスラスタ、すなわち一群のスラスタ3803,3804,3805,3806に、またはその付近に電流を供給するものである。さらに制御ユニット3800は、スラスタ領域3803およびスラスタ領域3805,3804,または3806を同時に、順次に、または所望のパターンで駆動して、電源供給ライン3801,3802およびサブ電源ライン3810に電流を供給し、これらの電源ラインおよびサブ電源ラインの交差ポイントにおける追加的なマイクロプロセッサに電流を供給し、デジタル信号を用いて、これらのマイクロプロセッサと通信することにより、所望の効果が得られるように設計することができる。
図39は、図38に示すものと同様のさらなる実施形態を示す平面図である。図39は、図示のような格子状の態様を有する電源供給ライン3901,3902および複数のサブ電源ライン3910を示す。制御ユニット3900は、電源3911を電源供給ライン3901のうちの1つの適当な電源供給ラインおよび電源供給ライン3902のうちの1つの適当な電源供給ラインに接続して、相当するスラスタまたは一群のスラスタ3903の付近に電流を供給するものである。さらに図38で説明したように、制御ユニット3900は、任意の分散型スラスタ3903,3904,3905,3906,3907,3908,3909のグループ全体に、またはこれらを個別に駆動することができる。
図40a,40b,40cは、図34に示す制御システムの実施形態の拡大図を示すものである。電源ライン4001,4002を用いてスラスタ領域をアドレス選択し、このスラスタ領域がアドレス選択ポイント4003の周囲の温度勾配4006に作用するものである。アドレス選択ポイント4003の周囲の複数のスラスタ領域がアドレス選択され、電源ライン4001,4002を介して電流が供給され、アドレス選択ポイント4003が加熱され、エリア4004が第1に加熱され、エリア4005が第2に加熱される。
1つのアドレス選択ポイントが加熱され、隣接するポイントが加熱されることは好ましくない場合があり、図41a,41bに図示された別の例示的な実施形態は、ヒートバリア(熱遮断部)4117を有する。ヒートバリアは、導電性パッド、絶縁物、間隙(ギャップ)、または当業者により認識される他の任意のヒートバリアであってもよい。ヒートバリア4117は、導電性領域の熱伝導性および熱遮断性を変える効果を有する。ヒートバリア4117は、電源ライン4105,4104の接合部4106に隣接するスラスタ領域4108の周囲の境界部として図示されているが、異なる所望する効果に応じて、ヒートバリア4117を構成してもよい。電源ライン4105,4104に電源供給することにより、接合部4106に隣接するスラスタ領域4108は駆動され、ヒートバリア4117は、クロスハッチング4119で示すボックス領域の外側スラスタ領域が意図せず駆動することを防止する。
図42a,42b,42cは、制御システムの別の実施形態に係る電源ラインまたは導電構造体を示すものである。図42aは、スラスタ領域を駆動するために用いられる導電性ラインの上層格子構造体4202を示し、電源供給ライン4200は、電源に接続され、複数のブランチライン(支流ライン)4201は複数のスラスタ領域の近傍に配置されるように設計される。
図42bは、絶縁体4202および抵抗体を示す最適化された中間層、または図42aに示す格子構造体と、図42aのブランチライン4201がスラスタ領域4203で交差する別の格子構造体との間で用いられる温度勾配形成デバイスまたはスラスタ領域4203を駆動する他の手段を図示するものである。
図42cは、図42aおよび図42bを組み合わせた図であり、図42aの上層が図42bの中間層の上方に配置されている。図42cは、単一の電源ラインポイントから複数の標的ポイントを制御するために、抵抗体4203すなわち温度勾配形成デバイス、またはスラスタ領域を駆動する手段、および制御システムの1つの実施形態で示す絶縁体4202により構成された耐熱性温度接合部上に積層された電源供給ライン4200およびブランチライン4201を図示するものである。
[抵抗性温度勾配形成の具体例]
上述した[動作原理]および[温度差]と題した章を参考にしながら説明する。図43は、温度勾配を形成するために用いられる本願明細書に係るデバイスの概略図である。この章において、ヒートポンプまたは温度勾配形成デバイスは、これに限定するものではないが、NMSETデバイスを駆動するものであってもよい。このデバイスは、上側表面4302および下側表面4305を有し、導電性材料からなる、より低温の低温層4301を有する。より高温の高温層4304の上側表面4306は、低温層4301の下側表面4305にきわめて隣接させるか、直接的に、または実施形態によるが、熱的および/または電気的に絶縁された中間層を介して、低温層4301の下側表面4305に接合されるものである。
電源4307の一方の端子は、低温層4301の上側表面4302に接続され、電源4307の他方の端子は、スイッチ4308の一方の端子に接続されている。スイッチ4308の他方の端子は、高温層4304の下側表面4303に接続されている。高温層4304は、電流が流れたときに抵抗熱またはジュール熱により加熱される抵抗材料からなる層を含む複数の副層(sub-layers)から構成される構造体である。副層に関する実施形態において、1つの層は、温度勾配が形成される位置付近に配置される、絶縁材料からなる薄膜であってもよいし、温度勾配が形成される位置に配置される、より迅速に加熱するように構成された金属膜であってもよい。
低温層4301は、動作位置においてジュール熱にあまり影響を受けない材料で構成してもよい。抵抗性のジュール熱特性は、材料や、(たとえば熱が発生する位置において高温層が対向する位置における低温層より薄く形成して、高温層内の電子密度が高いために、低温層より多量のジュール熱が生じるように支援する)構成、その他特定の実施形態に依存するが、一方の層において他方の層より多量の熱を発生させ、もしくは迅速に加熱させ、またはこれらの特性を組み合わせる要素の選択によって変更することができる。たとえば高温層を薄膜の表面配線で構成してもよく、すなわち高温層は、NMSET構造体または一群のNMSET構造体等の加熱する必要がある位置における高温層の断面をより狭くするか、またはより小さくして構成してもよい。その結果、こうした位置における電荷キャリア密度/抵抗を増大させ、より多量のジュール熱を発生させる。低温層は、キャリア密度を低減するために、より膜厚で、より低い抵抗率を有する材料からなり、(たとえば高温層の全体表面を覆うように)より面積の大きくしてもよい。どのようなメカニズムであれ、一方の層に電流が流れるとジュール熱が発生し、他方の層に電流が流れないと、少なくとも一方の層で発生するのと同程度のジュール熱は発生しない。
一方の層から他方の層に電流を流すメカニズムは、量子トンネル効果等の任意の適当な方法またはメカニズムを利用することができる。半導体の導電性は、低温層がP型半導体で、高温層がN型半導体であるときPN接合を構成し、これらの対向する表面上に電極を形成し、トランジスタがアドレスラインに接続され、読み出し/書き込みラインやメモリデバイスのアドレスラインと同様、一方の表面上で隣接する電極を加熱し、スイッチは、アドレス選択可能なメモリサイトまたはメモリピクセルの構造とほとんど同じような構造体を有するが、
メモリサイトまたはメモリピクセルの構造体が温度的に加熱する電極、または温度勾配デバイスまたはこうしたデバイスのクラスタに選択的にアドレス選択可能な任意の他のタイプの構造体と置き換えられる。
択一的または追加的には、高温層は、同一層内で入力表面および出力表面を有し、一方の表面から他方の表面に電流が流れ、高温層を抵抗式に加熱することができる。この実施形態は、選択された複数の部位で発熱させ、高温層が導電性材料で完全に覆われていない場合には、選択された複数の部位より部位で発熱させるが、導電性ラインを有し、このとき導電性ラインが一群のNMSET構造体等の選択部位で発熱させることができる特性を有する。すなわち、この導電性ラインは、電流を供給すると選択的に加熱されるように、加熱されない断面積は十分に大きいが、選択された部位は小さい断面積を有する。
図43の実施形態において、電流が上層4301の上側表面4302から下側表面4304に流れる。図43に示すように、スイッチ4308が開回路状態にある。すなわち上層4301と下層4304との間に電流は流れない。したがって、表面4302と表面4303との間の温度勾配または温度差は生じない。
図44は、スイッチが閉回路状態にある場合を示すものである。すなわち、電源4407からの電流が層4401および層4402に流れる。電流が流れると、層4402がその抵抗特性に起因して発熱し始め、層4401も同様に加熱する。層4402が加熱されると、上側表面4403および下側表面4404の間に温度勾配4405が形成される。スイッチ4406が開回路状態にすると、もはや層4401および層4402の間に電流は流れない。すなわち、上側表面4403および下側表面4404の間の温度差がやがてゼロになるように、温度勾配4405は消滅する。
図45は、スイッチ4406を閉じて、電流を流したときの表面4404の温度上昇をプロットしたものである。x軸に沿って時間、y軸に沿って温度をプロットしている。図45に示す表面4404の温度は、プロット曲線4501で示すように急激に増大し、平衡温度に達している。その後、図44のスイッチ4406を開いて、電流を流さないようにすると、温度は下降し始める。
スイッチ4406を閉じたときの表面4403の温度は、層4402からの熱が層4401を介して表面4403に伝導するものであるので、そのプロット曲線4502で示すように、プロット曲線4501と同様に推移するが、遅延パターン4507を示す。表面4403の温度は、図44のスイッチ4406を開いた後も若干上昇し続け、平衡温度4505に達する。図45の符号4506は、スイッチ4406が閉じている時間を示す。スイッチ4406が閉じている時間4506が、平行温度4504に達するまでに必要な時間を超えると、温度勾配4503がなくなるまで、表面4403の温度が上昇し続ける。
すなわち、表面4404の温度4504と表面4403の温度4505との間の温度勾配は、ある所定の時刻において、図45の温度勾配4503で図示されている。
図45に示すように、層4301,4304への電流を流すことを止めた後、表面4403および表面4404の温度が、その周囲の雰囲気温度に戻るのに有限な時間がかかる。隣接する温度勾配デバイスが近接して配置されている場合、余熱により問題が生じることがある。
図46は、別の例示的な実施形態に係る水平行および垂直列に配置された温度勾配デバイス4603により操作される複数の分散型スラスタデバイスの平面断面図である。電流が、マトリックス(行列)形式で、電源から各デバイスに複数の電源ライン4601,4602を介して供給される。制御ユニットは、プロセッサ、とりわけプログラム可能なプロセッサで構成してもよく、このプロセッサは、活性領域における制御電子回路に関して上記説明したように、電源ラインが読み込み/書き込みのアドレス選択ラインのように作動して、活性部位に隣接する制御電気回路を制御するか、または単に、水平および垂直電源ラインに電流を供給して交差ポイントで十分な電流を流し、温度勾配を形成するときに、特定の部位を選択的に作動させるものである。電気エネルギ源は、実施態様に応じて、電池や、その他任意の電源、AC電源またはDC電源で構成されるものであってもよい。また、上述の[耐故障性制御システム]と題した章をここで参照する。
再び、図46を参照すると、第1の温度勾配デバイス4603が完全に冷却される前に、1つの隣接する温度勾配デバイス4603が作動すると、新たに作動するデバイスの温度勾配は、予定した温度勾配とはならない可能性がある。用途にもよるが、これは最適なものではありえない。こうした状態が図47に図示されるが(たとえば図40a,図40b,図40cに類似のものである。)、このとき温度勾配デバイス4703は電源ライン4704,4705により駆動される。図47に示すように、発生した熱は、第1のエリア4701を加熱し、続いて第2のエリア4702を加熱する。加熱されたエリアは、他の隣接する温度勾配デバイスにも拡大し、これらのデバイスを駆動したときに、適正な温度勾配が形成されない可能性がある。この潜在的な問題は、温度勾配デバイスの選択的な駆動により緩和または解消することができる。
たとえば、図46に示す制御ユニット4600は、所定時間前に隣接した駆動された温度勾配デバイスの駆動を回避するものである。そうすることにより、以前に駆動された温度勾配デバイスを十分に冷却することができ、または少なくとも許容可能な温度まで冷却することができるため、余熱により隣接する温度勾配デバイスの動作を阻害することがなくなる。さらに温度勾配デバイスは、読み出し/アドレス選択ラインを介して、温度勾配デバイスを個別に、または一群の温度勾配デバイスを選択的にアドレス選択することができるので、デジタルディスプレイ上の画素またはメモリアレイのメモリ部位をアドレス選択し、制御することができる。
図48は、この実施形態に係る複数の温度勾配デバイスからなるアレイの各温度勾配デバイスの駆動シーケンスの実施形態を示すものである。参照符号4801は、図46に示す複数の温度勾配デバイスからなるアレイのうちの1つの温度勾配デバイスを示すものである。参照符号4802は、これに隣接する1つの温度勾配デバイスまたは隣接する1つの温度勾配デバイスアレイを示すものである。このパターンは、参照符号4803〜4816で示され、全体で16個の温度勾配デバイスもしくは図示の温度勾配デバイスアレイ、または当然により適当なものとして最良の実施形態に係るNMSETデバイスで示されている。
図48を用いて、当業者ならば容易に理解されるが、最近過去に駆動された隣接する温度勾配デバイスによる熱干渉を防止または低減するように、個々の温度勾配デバイスまたは一軍の温度勾配デバイスの駆動シーケンスを決定することができる。最近過去に駆動された隣接する温度勾配デバイスを十分に冷却させるために十分な時間を経過させるためである。たとえば温度勾配デバイスの対(4801,4809)、対(4803,4811)、対(4805,4813)、対(4807,4815)、対(4801,4809)ごとに順次駆動して、最近過去に駆動された隣接する温度勾配デバイスに対して実質的な熱干渉が生じないようにすることができる。当業者ならば図48から他の駆動シーケンスを認識することができる。
図示のように、開示された実施形態は、温度勾配を形成し、維持するための数多くの用途を有し得る。特に、これに限定するものではないが、温度勾配構造体は、分散型スラスタを駆動するヒートポンプであってもよく、本明細書で開示された数多くの態様および変形例に係るNMSETにより駆動される、より特別の分散型スラスタであってもよい。
NMSETを使用した飛行制御
図49は、従来のクワッドローター4950の斜視図を示している。
図49を参照して、クワッドローター4950は、4つの水平に配置したローター4905〜4908によって上昇されかつ推進される航空機である。クワッドローター4950は、共通の乗り物コンパートメント4900、4台のエンジン4901〜4904、及び4つのローター4905〜4908を含む。クワッドローター4950のローター4905〜4908は、固定ピッチのブレードを使用し、ブレードが回転するとき、そのローターピッチは変わらない。クワッドローター4950の制御は、各ローター4905〜4908によって発生する推力及びトルクを変更するために各ローター4905〜4908の相対速度を変えることにより達成可能である。
各ローター4905〜4908は、推力及びその回転中心周りのトルクの両方を、並びに飛行方向と反対の抵抗力を発生する。ローター4905及びローター4907が右回りに回転しローター4906及びローター4908が左回りに回転する状態で、ローター4905〜4908(例えばローターのすべて)が共通の角速度で回る場合には、正味の空気力学トルク、及びそれによるヨー軸周りの角加速度はゼロ(例えば正確にゼロ)である。したがって、従来のヘリコプターのヨー・安定化ローターは、クワッドローター4950において除去されてもよい。しかしながら、ヨーイングは、空気力学トルクのバランスを不釣り合いにすることにより(例えば反回転ブレードペア間の累積推力コマンドをオフセットすることにより)意図的あるいは気づかずに引き起こされるかもしれない。
ピッチ及びロールの各軸周りのクワッドローター4950の角加速度は、ヨー軸に影響を与えることなく別々に生成することができる。同じ方向に回転するローター4905:4907あるいは4906:4908の各組のブレードは、ロールもしくはピッチのどちらかの一軸を制御する。ローター4907あるいは4908の推力を減らしながら(例えば同時に減らしながら)ローター4905あるいは4906の推力を増すことは、ヨーイング安定用のトルクバランスを維持可能であり、ロールもしくはピッチ軸の周りの正味のトルクを誘導可能である。固定ローターブレードは、ヘリコプターよりもより正確により速くクワッドローター4950を(例えば任意の方向に)操作するのに使用することができる。しかしながらクワッドローターの設計は、ヘリコプターよりもわずかにより正確で速い反応であるだけで、ローター4905〜4908の1つに対するコストを回収しないかもしれない。
ある例示的な実施形態では、航空機用の飛行制御システムは、マイクロスラスタ(micro-thrusters:マイクロ推進機)のアレイ(例えば多数のアレイ)、例えばマイクロ推進機のしきい値数を超えるもの(例えば10〜10のマイクロ推進機の範囲)を含んでもよく、かつ航空機の1つ以上の表面(例えば操縦翼面)に配置されてもよいアレイを使用してもよい。マイクロ推進機は、航空機を上昇あるいは下降させる推力を発生してもよく、あるいは飛行経路を迅速に変更するために推力操作を提供してもよい。
ある例示的な実施形態では、マイクロ推進機の少なくとも1つの領域は機械的に動かされてもよく、即ち、マイクロ推進機に対応する領域への電力は、その領域の動きに関連する航空機における力もしくは抗力の違い、つまりマイクロ推進器への電力の変化が所望の方向(例えば希望の飛行経路における)へ航空機を移動させるかもしれないように、変更されてもよい。
図50及び図51は、分散型マイクロ推進機5000を有するデバイス5050の平面図及び側面図を示す。
図50及び図51を参照して、デバイス5050は、複数のマイクロ推進機(例えばNMSET)5000、本体5002、及び支持構造5001を含んでもよい。
複数のマイクロ推進機5000は、支持構造5001を介してデバイス5050の本体5002に連結(例えば、接続)されてもよい。
ある例示的な実施形態では、複数のマイクロ推進機5000は、デバイス5050に力を発生するために、ガス(例えば大気ガスあるいは他の環境ガス)が複数のマイクロ推進機5000によってマイクロ推進機本体5010を通り推進されてもよいように、マイクロ推進機本体5010に埋め込まれた一もしくは複数のアレイを形成してもよい。複数のマイクロ推進機5000が本体5002の方へガスを推進するとき、第1方向の力がデバイス5050に作用してもよく、また、複数のマイクロ推進機5000が本体5002から遠ざかる方へガスを推進するとき、第2方向(例えば第1方向に反対)における力がデバイス5050に作用してもよい。マイクロ推進機本体5010に対応した平面の配向に頼って、複数のマイクロ推進機5000がデバイス5050へ任意の方向に力を提供してもよい。
支持構造5001は、デバイス5050の本体からマイクロ推進機本体5010と間隔をあけるために複数の支持体5020を含んでもよく、その結果、マイクロ推進機本体5010とデバイス5050の本体5002との間の隙間が一定となるかもしれない。
支持体は、固定され柱形状のように示され、推進されたガスの流れに影響せずもしくは推進されたガスの流れに無視可能な影響のみを有するものでもよいが、デバイス5050の任意方向における移動あるいは回転を可能にするように、支持体あるいはそのような他の構造は、可動であってもよく、あるいはデバイス5050の周囲で推進されたガス流への変更を可能にするものでもよいことが考えられる。
マイクロ推進機本体5010は、円形断面として示されているが、任意の形状のマイクロ推進機本体5010が可能であると考えられる。
マイクロ推進機本体5010は、本体5002よりも大きなものとして示されているが、マイクロ推進機本体5010は、本体5002に対していずれのサイズであってもよく、例えば、デバイス5050に特定の力を発生するように大きさを決めてもよいと考えられる。
ある例示的な実施形態では、デバイス5050は、次のものを含んでもよい:
(1)特に航空機あるいはヘリコプターのような空上の乗り物;
(2)特に自動車、トラック、バンあるいはオートバイのような地上の乗り物;及び/又は
(3)特にカートあるいはフォークリフトのような他の可動式輸送装置。
ある例示的な実施形態では、デバイスは玩具及びゲーム用の推進システムとして使用されてもよい。
本体5002は、発電または格納システム5025及び/又はパワー制御システム5030を含んでもよい。このパワー制御システム5030は、様々な領域によって生産された推力を変更してマイクロ推進機5000の動作条件を変更するために、複数のマイクロ推進機(例えばNMSET)5000への電力供給を制御してもよい。例えば、マイクロ推進機5000のアレイが、ある領域のマイクロ推進機5000によって生産された推力を調節することによって、任意の方向(例えばすべての次元において)にデバイスあるいは乗り物5050を操作してもよい。マイクロ推進機本体5010の一端5040でデバイス5050の方へガスを推進し、かつ、同時にマイクロ推進機本体5010の対向端5045でデバイス5050から離してガスを推進することによって、デバイス5060は、軸5070の周りに回転するかもしれない。別の例として、マイクロ推進機本体5010の分散した数のあるいは全てのマイクロ推進機5000用のデバイス5050の方へガスを推進することによって、デバイス5050は、ガスの流れの反対方向に移動するかもしれない。
ある例示的な実施形態では、マイクロ推進機本体は、例えば航空機のような乗り物の操縦翼面でもよいし、例えば、特にアルミニウム及び/又は炭素繊維の軽量の材料で作製されてもよい。その操縦翼面は、NMSETで作製されてもよい。
図52及び図53は、分散型マイクロ推進機を有する乗り物5150の平面図及び側面図を示す。
図51及び図52を参照して、乗り物(例えば航空機)5250は、本体5200、翼5201、5202、水平安定板5203、5204、及び、垂直安定板5205を含んでもよい。マイクロ推進機(例えばNMSET)は、1つ以上の翼5201、5202、水平安定板5203、5204、及び/又は垂直安定板5205に設けられ(例えば、埋め込まれる)、(1)飛行経路に沿った移動及び方向制御の両方のためにマイクロ推進機を使用して乗り物5250を移動可能(例えば従来のエンジンなしで)にしてもよい。
翼5201、5202、水平安定板5203、5204、及び、垂直安定板5205は、操縦翼面を覆い(例えば、接続されるがそれから分離されて)、あるいは操縦翼面と一体化して(例えばそこに埋め込まれた)マイクロ推進機を含み操縦翼面を形成してもよく、そのマイクロ推進機は、例えば推進力(propulsion)及び/又は上昇力を発生して飛行経路への調整を提供するために、ガス(例えば、操縦翼面を囲む空気)を管理(direct)あるいは推進してもよい。
例えば、翼5201、5202上のマイクロ推進機は、推進力、上昇力、及び/又は推力操作を発生するために使用されてもよい。すなわち、各翼5201、5202の上側を取り巻くガスは、推進力及び上昇力の両方を発生するために、マイクロ推進機の1つ以上の領域によって下方へ及び各翼5201、5202の後方へ推進されてもよい。各翼5201、5202の上に発生された推力は、ロール(例えば長手方向軸5160に沿った回転)を制御されるかもしれない乗り物5250における差分(differential)の力(上昇力)を発生するように制御されてもよい。
それぞれの翼5201、5202は、各翼5201、5202の後端であるいはその近くで、各翼5201、5202の上側を取り囲む空気を、推進力及び上昇力の両方を生成する方向に、放出させる構造を含んでもよいことが考えられる。そのような構造は、推進されたガスの推力偏向を提供する案内穴を含んでもよい。
別の例として、水平安定板5203、5204におけるマイクロ推進機は、推力操作を発生してもよい。すなわち、各水平安定板5203、5204の上側を取り巻くガスは、マイクロ推進機の1つ以上の領域によって上向きの推力操作を発生する下方へ推進されてもよく、あるいは、各水平安定板5203、5204の下側を取り巻くガスは、マイクロ推進機の1つ以上の領域によって下方への推力操作を発生する上向きへ推進されてもよい。各水平安定板5203、5204の上に生成された推力は、ピッチ(例えば横軸5170に沿った回転)を制御するかもしれない、乗り物5250の横軸周りの力を生成するように制御されてもよい。
3番目の例として、垂直安定板5205におけるマイクロ推進機は、別の推力操作を発生するために使用されてもよい。すなわち、垂直安定板5205の一側面を取り巻くガスは、マイクロ推進機の1つ以上の領域によって推力操作を発生する他方側面に推進されてもよい。推力は、推進されているガスへの反力として一方の方向にあるかもしれない。垂直安定板5205によって発生された推力は、ヨーイング(例えば垂直軸5180に沿った回転)を制御してもよい、乗り物5250の垂直軸周りの力を生成するように制御されてもよい。
ある例示的な実施形態において、操縦桿もしくは操縦ホイール(図示せず)が第1ロール方向に移動されるとき、例えば、制御装置5260は、第2翼5202と比べて第1翼5201における上昇力の差分を発生して第2翼5202と比べて第1翼5201における上昇力を減じるように、翼5201、5202のマイクロ推進機へ電力供給することを電源5270に引き起こす制御信号を生成してもよい。第1ロール方向に操縦桿を移動することは、第2翼5202に対して第1翼5201の降下を引き起こし(例えば制御)、航空機5250を右回りに回転させ左へ向くのを開始させる。操縦桿を中央にすることは、上昇力の差分を停止してもよく、バンク角を維持してもよい。真っ直ぐな飛行を行うためバンク角をゼロに戻すように上昇力における反対の差分が生じるまで、航空機5250は旋回を維持するかもしれない。操縦桿もしくは操縦ホイールが反対のロール方向である第2方向に移動されるとき、例えば、制御装置5260は、第2翼5202と比べて第1翼5201において上昇力の差分を発生して第2翼5202と比べて第1翼5201において上昇力を増すように、マイクロ推進機へ電力供給することを電源5270に引き起こす制御信号を生成してもよい。第2ロール方向に操縦桿を移動することは、第2翼5202に対して第1翼5201の上昇を引き起こし(例えば制御)てもよく、航空機5250を左回りに回転させ右へ向くのを開始させる。操縦桿を中央にすることは、上昇力の差分を停止してもよく、バンク角を維持してもよい。真っ直ぐな飛行を行うためバンク角をゼロに戻すように上昇力における反対の差分が生じるまで、航空機5250は旋回を維持するかもしれない。
ある例示的な実施形態において、操縦桿もしくは操縦ホイールが第1ピッチ方向に移動されるとき、例えば、制御装置5260は、上昇力を増すため水平安定板5203、5204のマイクロ推進機へ電力供給することを電源5270に引き起こす制御信号を生成してもよい。第1ピッチ方向に操縦桿を移動させることは、翼5201、5202に比して水平安定板5203、5204を上昇させる(例えば制御)かもしれず、航空機を下方へピッチさせる。操縦桿もしくは操縦ホイールが反対方向の第2方向に移動されるとき、例えば、制御装置5260は、上昇力を減少するため水平安定板5203、5204のマイクロ推進機へ電力供給することを電源5270に引き起こす制御信号を生成してもよい。操縦桿を第2ピッチ方向に移動させることは、翼5201、5202に比して水平安定板5203、5204を下降させ(例えば制御)てもよく、航空機を上向きにピッチさせる。操縦桿を中央にすることは、ピッチの変化を停止するかもしれない。
ある例示的な実施形態において、第1制御ペダル(図示せず)が移動されるとき、制御装置5260は、第1方向における推力を増加もしくは起こすため、垂直安定板5205のマイクロ推進機へ電力供給することを電源5270に引き起こし、及び、垂直軸における反対方向である第2方向に乗り物5250を移動させ(例えば制御)、反対方向の第2方向において航空機のノーズにヨーイングをもたらすことを垂直安定板5205に引き起こしてもよい制御信号を生成してもよい。第2制御ペダル(図示せず)が移動されるとき、制御装置5260は、第2方向における推力を増加もしくは起こすため、垂直安定板5205のマイクロ推進機へ電力供給することを電源5270に引き起こし、及び、第1方向に乗り物5250を移動させ(例えば制御)てもよく、第1方向において航空機のノーズにヨーイングをもたらすことを垂直安定板5205に引き起こす制御信号を生成してもよい。制御ペダルを中央にすることは、ヨーイングを停止させるかもしれない。第1及び第2のペダルは、一方が押される(例えば、押し下げられる)とき、他方のペダルが相反方法にて移動するように構成されてもよい。
操縦桿もしくは操縦ホイール、及び制御ペダルを用いて、乗り物の制御動作について記述するが、乗り物の操縦翼面に関して推力を制御するために制御信号が生成されてもよい限り、乗り物を操作するために任意の入力装置が使用されてもよい。
共通のやり方で全操縦翼面に電力供給することに基づいて、乗り物の制御動作を記述しているが、例えば、より小さい旋回半径で乗り物の能力を改善し操作するために、各操縦翼面の領域が異なって電力供給されてもよいことが考えられる。
図54及び図55は、分散型マイクロ推進機を有する乗り物5450の平面図及び側面図を示す。
図54及び図55を参照して、乗り物5450は、本体5400、翼5401、5402、水平安定板5403、及びヒンジユニット5404を含んでもよい。マイクロ推進機(例えばNMSET)は、飛行経路に沿った移動及び方向制御の両方にマイクロ推進機を使用して乗り物545を移動可能(例えば従来のエンジンなしで)にするように、1つ以上の翼5401、5402、及び/又は水平安定板5403に設けられ(例えば、埋め込まれる)てもよい。
翼5401、5402、及び水平安定板5403は、操縦翼面を覆い(例えば、そこに接続されるがそれから分離されて)、あるいは操縦翼面と一体化した(例えばそこに埋め込まれた)マイクロ推進機を含み、操縦翼面を形成してもよく、そのマイクロ推進機は、例えば推進力及び/又は上昇力を発生して飛行経路への調整を提供するためにガス(例えば、操縦翼面を囲む空気)を管理あるいは推進してもよい。
翼5401、5402におけるマイクロ推進機は、推進力、上昇力、及び/又は推力操作を発生するために使用されてもよい。例えば、各翼5401、5402の上側を取り巻くガスは、推進力及び上昇力の両方を発生するために、マイクロ推進機の1つ以上の領域によって下方へ及び各翼5401、5402の後方へ推進されてもよい。1つ以上の翼5401、5402に関連したヒンジユニット5404は、ロール(例えば長手方向軸5160に沿った回転)を制御するため、長手方向軸5160の方向において1つ以上の翼5401、5402を回転させるように制御されてもよい。
水平安定板5403におけるマイクロ推進機は、推力操作を発生してもよい。すなわち、水平安定板5403の上側を取り巻くガスは、上向きの推力操作を発生するように、マイクロ推進機の1つ以上の領域によって下方へ推進されてもよく、あるいは、水平安定板5403の下側を取り巻くガスは、下方への推力操作を発生するように、マイクロ推進機の1つ以上の領域によって上向きに推進されてもよい。水平安定板5203によって発生された推力は、ピッチ(例えば横軸5170に沿った回転)を制御するかもしれない、乗り物5450の横軸5170周りの力を生成するために制御されてもよい。
水平安定板5403におけるマイクロ推進機は、別の推力操作を発生してもよい。すなわち、水平安定板5403の一方側を取り巻くガスは、垂直軸方向において正味の力を発生するように、水平安定板5203の表面を横切る流れにおける差異によって案内されるかもしれない。正味の力は、水平安定板5403の各側面5420の第2領域5412に対する、水平安定板5403の各側面5420の第1領域5410におけるマイクロ推進機から推進されたガス流における勾配に起因するかもしれない。垂直安定板5405によって発生された推力は、ヨーイング(例えば垂直軸5180に沿った回転)を制御するかもしれない、乗り物5450の垂直軸5180周りの力を生成するために制御されてもよい。
ある例示的な実施形態では、操縦桿もしくは操縦ホイール(図示せず)が第1ロール方向に移動されるとき、例えば、制御装置5460は、翼5401及び/又は翼5402の1つ以上のヒンジユニット5404を作動させて(例えば、移動又は回転させる)ロールを発生させることを電源5470に引き起こす制御信号を生成してもよい。第1回転方向に操縦桿を移動させることは、第2翼5402に対して下へ第1翼5401を回転させ(例えば制御)、乗り物(例えば航空機5450)を右回りに回転させ左へ向くのを開始させるかもしれない。操縦桿を中央にすることは、バンク角を維持するかもしれない。真っ直ぐな飛行を生じさせるためにバンク角をゼロに戻すように反対の制御操作が生じるまで、乗り物5450(例えば航空機)は旋回を維持するかもしれない。操縦桿もしくは操縦ホイールが反対方向の第2方向に移動されるとき、例えば、制御装置5460は、翼5401及び/又は翼5402の1つ以上のヒンジユニット5404を作動させて(例えば、移動又は回転させる)、反対方向においてローリングを発生させることを電源5470に引き起こしてもよい制御信号を生成してもよい。反対のロール方向である第2方向に操縦桿を移動することは、第2翼5402に対して上へ第1翼5401を回転させ(例えば制御)、航空機5450を左回りに回転させ右へ向くのを開始させるかもしれない。操縦桿を中央にすることは、バンク角を維持するかもしれない。真っ直ぐな飛行を生じさせるためにバンク角をゼロに戻すように反対の制御操作が生じるまで、航空機5450は旋回を維持するかもしれない。
ある例示的な実施形態において、操縦桿(あるいは操縦ホイール)が第1ピッチ方向に移動されるとき、例えば、制御装置5460は、ピッチの変更を発生させるため、水平安定板5403の1つ以上のヒンジユニット5404を作動させる(例えば、移動あるいは回転させる)ことを電源5470に引き起こす制御信号を生成してもよい。第1ピッチ方向に操縦桿を移動することは、翼5401、5402に対して水平安定板5403を回転(例えば制御)させ、航空機を下方へピッチさせるかもしれない。操縦桿(あるいは操縦ホイール)が反対方向の第2方向に移動されるとき、例えば、制御装置5260は、反対方向にピッチの変更を発生させるため、水平安定板5403の1つ以上のヒンジユニット5404を作動させる(例えば、移動あるいは回転させる)ことを電源5470に引き起こす制御信号を生成してもよい。第1ピッチ方向に操縦桿を移動することは、翼5401、5402に対して水平安定板5403を回転(例えば制御)させ、航空機を上方へピッチさせるかもしれない。操縦桿を中央にすることは、ピッチの変更を止めるかもしれない。
ある例示的な実施形態において、第1制御ペダル(図示せず)が移動されるとき、制御装置5460は、水平安定板5403の面における横軸方向5170において水平安定板5403の表面を横切って流れ勾配を生成するため、水平安定板5403のマイクロ推進機へ電力を供給させることを電源5470に引き起こし航空機のノーズを第1方向にヨーイング可能にする制御信号を生成してもよい。第2制御ペダル(図示せず)が移動されるとき、制御装置5460は、水平安定板5403の面における反対の横軸方向5170において水平安定板5403の表面を横切って流れ勾配を生成するため、水平安定板5403のマイクロ推進機へ電力を供給させることを電源5470に引き起こし航空機のノーズを反対方向の第2方向にヨーイング可能にする制御信号を生成してもよい。制御ペダルを中央にすることは、ヨーイングを止めるかもしれない。第1及び第2のペダルは、一方が押される(例えば、押し下げられる)とき、他方のペダルが相反方法にて移動するように構成されてもよい。
ある例示的な実施形態では、乗り物5450は、とりわけアルミニウム及び/又は炭素繊維のような軽量の材料から構築されてもよく、また、操縦翼面は、NMSETエレメントで作製されてもよい。複数の操縦翼面は、ヒンジユニット5404(例えばヒンジとアクチュエーター)によって乗り物5450に接続されてもよい、分散型マイクロ推進機5401〜5403で作製されてもよい。
ある例示的な実施形態では、乗り物5450は、任意の次元において乗り物を操作するため、ある操縦翼面及び/又は全操縦翼面のマイクロ推進機の領域によって生成された推力を変更するパワー及び制御システムを含んでもよい。単一の電源が記述されているが、乗り物5450は、より大きなレベルの制御操作を提供するために操縦翼面に接続されたヒンジを作動するため第2電源(例えばパワー及び制御システム)を含んでもよい。
ある例示的な実施形態では、ヒンジは、チタンまたはアルミニウムのような軽金属で作製されてもよく、また、アクチュエーターは、とりわけ油圧、磁気あるいはケーブル駆動であってもよい。
乗り物の制御動作が操縦桿もしくは操縦ホイール及び制御ペダルを用いて記述されているが、乗り物の操縦翼面に関連した推力及び/又はヒンジユニット回転(例えば角度)を制御するように制御信号が発生されてもよい限り、乗り物を操作するためにいずれの入力装置が使用されてもよい。
図56及び図57は、分散型マイクロ推進機を有する乗り物5650の平面図及び側面図を示す。
図56及び図57を参照して、乗り物5650は、本体5600、及び翼5605、5602を含んでもよい。飛行経路に沿った移動及び方向制御の両方にマイクロ推進機を使用して乗り物5650を移動(例えば従来のエンジンなしで)可能にするため、マイクロ推進機(例えばNMSET)が翼5601、5602に設けられ(例えば、埋め込まれ)てもよい。
翼5601、5602は、操縦翼面を覆い(例えば、そこに接続されるがそれから分離されて)、あるいは操縦翼面と一体化した(例えばそこに埋め込まれた)マイクロ推進機を含んでもよく、そのマイクロ推進機は例えば推進力及び/又は上昇力を発生して飛行経路への調整を提供するためにガス(例えば、操縦翼面を囲む空気)を管理あるいは推進してもよい。
翼5601、5602におけるマイクロ推進機は、推進力、上昇力及び/又は推力操作を発生するように領域によって制御されるかもしれない。例えば、各翼5601、5602の上側を取り巻くガスは、推進力及び/又は上昇力を発生するためにマイクロ推進機の1つ以上の領域によって下方へ、及び/又は各翼5601、5602の後方へ推進されてもよい。翼5601、5602の異なる領域が、各領域に関連した異なる推力ベクトルにてそれぞれ異なる方向に作動するマイクロ推進機を有するように、翼5601、5602は、曲がった形状とともに乗り物5650の本体5600から突出してもよい。翼5601、5602の各領域に関する推力を変えることによって、横軸、垂直軸、及び/又は長手方向軸5160,5170,5180における合成力ベクトルは、飛行経路を維持又は調整するために調整することができる。
ある例示的な実施形態では、操縦翼面は柔軟であってもよく、また、乗り物5650は、より大きなレベルの制御操作を提供するため、柔軟な操縦翼面をアクチュエーター・ユニット5620を使用して作動させるため電源5610(例えばパワー及び制御システム)を含んでもよい。例えば、そのアクチュエーターは、翼の曲率を増、減してもよく、これは横軸、垂直軸、及び/又は長手方向軸5160,5170,5180における合成力ベクトルにおいて対応した変化を起こし、飛行経路を維持あるいは調整するかもしれない。
ある例示的な実施形態では、乗り物5650は、とりわけアルミニウム及び/又は炭素繊維のような軽量の材料から構築されてもよく、また、操縦翼面は、NMSETエレメントで作製されてもよい。
ある例示的な実施形態では、乗り物5650は、操縦翼面のマイクロ推進機の領域によって生成された推力を変更するパワー及び制御システムを含んでもよい。単一の電源が記述されているが、乗り物5650は、作動ユニット用の電力を供給する第2あるいはさらなる電源(例えばパワー及び制御システム)を含んでもよい。
図58及び図59は、分散型マイクロ推進機を有する乗り物5850の平面図及び側面図を示す。
図58及び図59を参照して、乗り物5850は、本体5800、翼5801、5802、水平安定板5803、5804、垂直安定板5805、及び、エンジン5806、5807を含んでもよい。飛行経路及び方向制御に沿った移動用のマイクロ推進機によって増強されたエンジン5806、5807を使用して乗り物5850を移動可能にするために、マイクロ推進機(例えばNMSET)は、1つ以上の翼5801、5802、水平安定板5803、5804、及び/又は垂直安定板5805に設けられ(例えば、埋め込まれ)てもよい。例えば、エンジンが乗り物5850に関する上昇力及び推進力を提供し、例えば離着陸距離を低減するためにマイクロ推進機によって増強されるかもしれないという点を除いて、乗り物5850の操作は、乗り物5250の操作に似ている。エンジン5806、5807は、マイクロ推進機からの増強のため、同じ大きさの従来の乗り物よりも小さく製造されるかもしれない。複数の操縦翼面5801〜5805は、操縦翼面を曲げて上昇力、推進力、及び/又は飛行制御の調整を達成するそれらの形状を変更するように、対応の一連の作動ユニット5811〜5815を有する柔軟な操縦翼面であってもよい。
ある例示的な実施形態では、作動ユニットは、それらの形を変更して上昇力、推進力、及び/又は飛行制御の調整を達成するために、操縦翼面を曲げる1以上の組のアクチュエーターであってもよい。他の例示的な実施形態では、荷重(load)は、同じ効果を提供するために操縦翼面構造内でシフトされてもよい。
乗り物5850は、柔軟な操縦翼面で示されているが、固い表面も可能であると考えられる。そのような場合、作動ユニット5811〜5815は除去されてもよい。
制御装置5830は、作動ユニット5811〜5815及びマイクロ推進機へ電力を供給するため、1つ以上の電源5835を制御してもよい。
ある例示的な実施形態では、乗り物5850は、とりわけアルミニウム及び/又は炭素繊維のような軽量の材料から構築されてもよく、また、操縦翼面は、NMSETエレメントで作製されてもよい。
ある例示的な実施形態では、乗り物5650は、それぞれの操縦翼面のマイクロ推進機の領域によって生成された推力を変更するパワー及び制御システムを含んでもよい。単一の電源が記述されているが、乗り物5850は、作動ユニット用の電力を供給するため、さらなる電源(例えばパワー及び制御システム)を含んでもよい。推進システム5806、5807は、ジェットエンジン、ターボプロップあるいは通常のプロペラエンジンになりえる。
ナセルの内側にエンジンを有する双発機が示されているが、例えば、乗り物の後部部分にエンジンを含む、他のエンジン構成が可能である。
図60は、マイクロ推進機を使用した、例示的な制御方法6000を説明するフローチャートである。
図60を参照し、方法6000は、少なくとも1つの操縦翼面に形成された複数の推力生成装置を使用して乗り物の移動を制御してもよい。ブロック6010では、制御装置は、ガスを推進して推力を生成するように構成した複数の推力生成装置への電力供給を制御してもよい。ブロック6020では、少なくとも1つの操縦翼面の複数の推力生成装置は、乗り物の移動を制御するために複数の推力生成装置への電力供給に従って物理的な変位を発生してもよい。
ある例示的な実施形態では、所望の経路に乗り物を移動させるため、第1操縦翼面に形成された第1推力生成装置及び第2操縦翼面に形成された第2推力生成装置への電力供給が制御されるように、少なくとも1つの操縦翼面は、第1操縦翼面及び第2操縦翼面を含んでもよい。
ある例示的な実施形態では、操縦翼面は、乗り物と一体的に形成されてもよい。ある例示的な実施形態では、NMSETエレメントは、操縦翼面に一体に形成されてもよく、あるいは操縦翼面へ埋め込まれてもよい。ある例示的な実施形態では、複数の推力生成装置は、複数の推力生成装置の電源オンに応答して、少なくとも1つの操縦翼面を通してガスを推進してもよい。ある例示的な実施形態では、複数の操縦翼面は、複数の軸のそれぞれのもの(複数可)に沿って乗り物を操作するように制御されてもよい。例えば、複数の推力生成装置への電力供給の制御は、各操縦翼面の物理的な変位を個々に制御するために、それぞれ異なる操縦翼面に関連する推力生成装置を別々に制御することを含んでもよい。別の例として、乗り物は、第1操縦翼面に形成された第1推力生成装置、及びさらなる操縦翼面に形成されたさらなる推力生成装置への電力供給を制御することによって3つの軸に沿って操作されてもよい。
図61は、熱遷移デバイスを使用した例示的な制御方法6100を説明するフローチャートである。
図61を参照して、方法6100は、乗り物の表面に埋め込まれた熱遷移デバイスのアレイを使用して乗り物の移動を制御してもよい。それぞれの熱遷移デバイスの各々は、少なくとも第1層及び第2層を含んでもよく、また、それぞれの熱遷移デバイスを通ってガス流を可能にするように構成したスルーホールを形成してもよい。ブロック6110では、熱遷移デバイスのそれぞれのものを通るガス流を発生するために、熱の偏りが熱遷移デバイスのそれぞれのものの少なくとも第1層と第2層との間に発生してもよい。ブロック6120では、乗り物の移動は、熱遷移デバイスのそれぞれのものを通るガス流を使用して制御される。
ここに記述されるように、例えば、発明は、ソフトウェアにおいて(例えば、プラグインあるいはスタンドアロンのソフトウェア)、メモリにソフトウェアを含む装置において(例えば、コンピュータシステム、マイクロプロセッサに基づいた電化製品、等)、あるいはマイクロ推進機及び作動ユニット用の制御スキームを実行するように構成した非一時的なコンピュータ可読な格納媒体において(例えば、とりわけ自己内蔵型のシリコンデバイス、ソリッド・ステート・メモリ、光ディスク、あるいは磁気ディスク)、具体化されるかもしれない。
一方、マイクロ推進機、それに関連する装置及び方法は、具体的な実施形態を参照して詳細に記述されているが、添付の請求範囲における権利範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行なうことができること、及び等価物の使用は、当業者に明白であろう。
ここに記述されるように、例えば、発明は、ソフトウェアにおいて(例えば、プラグインあるいはスタンドアロンのソフトウェア)、メモリにソフトウェアを含む装置において(例えば、コンピュータシステム、マイクロプロセッサに基づいた電化製品、等)、あるいは制御スキームを実行するように構成した非一時的なコンピュータ可読な格納媒体において(例えば、とりわけ自己内蔵型のシリコンデバイス、ソリッド・ステート・メモリ、光ディスク、あるいは磁気ディスク)、具体化されるかもしれない。
上述の明細書は、実施例のみの目的で提供された例とともに本発明の原理を教示しているが、添付の請求範囲における権利範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正が形式的及び詳細に行うことができ、それらの十分な幅を与えることになる等価物が使用されることは、この明細書を読むことから当業者によって理解されるであろう。

Claims (25)

  1. 複数の推力生成装置を使用して乗り物の移動を制御する方法であって、
    少なくとも1つの操縦翼面に形成され、推力を生成するために操縦翼面を通りガスを推進するように構成した複数の推力生成装置への電力供給を制御すること、
    乗り物の移動を制御するため、複数の推力生成装置への電力供給に従って少なくとも1つの操縦翼面の物理的な変位を発生すること、
    を備えた方法。
  2. 上記少なくとも1つの操縦翼面は、複数の操縦翼面を含み、
    複数の推力生成装置への電力供給の制御は、乗り物が所望の経路で移動するように、第1操縦翼面に形成した第1推力生成装置、及び第2操縦翼面に形成した第2推力生成装置への電力供給を制御することを含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 複数の推力生成装置としてNMSETエレメントを使用して少なくとも1つの操縦翼面を形成することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも1つの操縦翼面の形成は、乗り物に上記操縦翼面を一体に形成することを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 少なくとも1つの操縦翼面の形成は、少なくとも1つの操縦翼面にNMSETエレメントを一体化することを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 少なくとも1つの操縦翼面の物理的な変位の発生は、複数の推力生成装置の電源オンに反応して、複数の推力生成装置によって少なくとも1つの操縦翼面を通りガスを推進することを含んでいる、請求項1に記載の方法。
  7. 複数の軸のそれぞれの一もしくは複数のものに沿って乗り物を操作するために複数の操縦翼面を制御することをさらに備える、請求項2に記載の方法。
  8. 複数の推力生成装置への電力供給の制御は、各操縦翼面の物理的な変位を個々に制御するためにそれぞれ異なる操縦翼面に関連した推力生成装置を別々に制御することを含む、請求項2に記載の方法。
  9. 第1操縦翼面に形成された第1推力生成装置、及びさらなる操縦翼面に形成されたさらなる推力生成装置への電力供給の制御によって3つの軸に沿って乗り物を操作することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
  10. 推力を生産するため操縦翼面を通りガスを推進するように構成され、乗り物の少なくとも1つの操縦翼面に形成された複数の推力生成装置と、
    少なくとも複数の推力生成装置への電力供給用の電源と、
    乗り物の移動を制御するため、複数の推力生成装置への電力供給に従い複数の推力生成装置が少なくとも1つの操縦翼面の物理的な変位を発生するように、複数の推力生成装置への電源による電力供給を制御する制御装置と、
    を備えた、乗り物の移動制御装置。
  11. 複数の推力生成装置は、NMSETエレメントで作製される、請求項10に記載の移動制御装置。
  12. NMSETエレメントは、少なくとも1つの操縦翼面へ統合される、請求項11に記載の移動制御装置。
  13. 少なくとも1つの操縦翼面は柔軟性がある、請求項12に記載の移動制御装置。
  14. 複数の推力生成装置は、複数の推力生成装置の電源オンに応答して少なくとも1つの操縦翼面を通りガスを推進することによって、少なくとも1つの操縦翼面の物理的な変位を発生する、請求項10に記載の移動制御装置。
  15. 少なくとも1つの操縦翼面は、複数の操縦翼面を含み、
    制御装置は、乗り物が所望の経路で移動するように、第1操縦翼面に形成された第1推力生成装置、及び第2操縦翼面に形成された第2推力生成装置への電力供給を制御する、請求項14に記載の移動制御装置。
  16. 制御装置は、複数の軸のそれぞれの一もしくは複数に沿って乗り物を操作するため複数の操縦翼面の変位を制御する、請求項14に記載の移動制御装置。
  17. 制御装置は、各操縦翼面の物理的な変位を個々に制御するためにそれぞれ異なる操縦翼面に関連した推力生成装置を別々に制御する、請求項14に記載の移動制御装置。
  18. 制御装置は、3つの軸に沿って乗り物を操作するため、第1操縦翼面に形成された第1推力生成装置、及びさらなる操縦翼面に形成されたさらなる推力生成装置への電力供給を制御する、請求項14に記載の移動制御装置。
  19. 複数の操縦翼面は、複数の軸のそれぞれの一もしくは複数に沿って乗り物を制御する、請求項14に記載の移動制御装置。
  20. 少なくとも1つの操縦翼面は、乗り物に一体化して形成される、請求項14に記載の移動制御装置。
  21. 少なくとも1つの操縦翼面は、ヒンジ機構によって乗り物に連結するように構成する、請求項14に記載の移動制御装置。
  22. 複数の推力生成装置を使用して乗り物の移動を制御する方法を実行するプロセッサでの実行用の非一時的なコンピュータ記憶媒体であって、上記方法は、
    推力を生成するため操縦翼面を通りガスを推進するように構成され少なくとも1つの操縦翼面に形成された複数の推力生成装置への電力供給を制御すること、
    乗り物の移動を制御するため複数の推力生成装置への電力供給に従って少なくとも1つの操縦翼面の物理的な変位を発生すること、
    を備えた、記憶媒体。
  23. 推力を生成するためガスを推進するように構成され、航空機の少なくとも1つの操縦翼面に埋め込まれた複数の推力生成装置と、
    少なくとも複数の推力生成装置へ電力を供給する電源と、
    航空機の飛行経路を決定し、かつ、決定した飛行経路に沿った航空機の移動を制御するために複数の推力生成装置への電力供給に従い複数の推力生成装置が少なくとも1つの操縦翼面の物理的な変位を発生するように、複数の推力生成装置への電源による電力供給を制御する制御装置と、
    を備えた、航空機の移動制御用飛行制御システム。
  24. 乗り物の表面に埋め込まれた多数の熱遷移デバイスを使用して乗り物の移動を制御する方法であって、それぞれの熱遷移デバイスは、少なくとも第1層及び第2層を備え、かつそれぞれの熱遷移デバイスを通るガス流を可能にするように構成したスルーホールを形成した、上記方法は、
    熱遷移デバイスのそれぞれのものを通りガス流を発生するため熱遷移デバイスのそれぞれのものの少なくとも第1層及び第2層間に熱の偏りを発生すること、
    熱遷移デバイスのそれぞれのものを通るガス流を使用して乗り物の移動を制御すること、
    を備えた方法。
  25. 乗り物の表面に埋め込まれた複数の熱遷移デバイスであって、それぞれの熱遷移デバイスの各々は、少なくとも第1層及び第2層を含み、かつそれぞれの熱遷移デバイスを通るガス流を可能にするように構成したスルーホールを形成する、熱遷移デバイスを備え、
    熱遷移デバイスのそれぞれのものの第1層及び第2層は、熱遷移デバイスのそれぞれのものを通るガス流を発生するためそれらの間に熱の偏りを発生し、熱遷移デバイスのそれぞれのものを通るガス流を使用して乗り物の移動を制御する、
    乗り物の移動を制御する装置。
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