JP2014502503A - 多孔質担体を含む滅菌インジケータと方法 - Google Patents

多孔質担体を含む滅菌インジケータと方法 Download PDF

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Abstract

独自の多孔質担体を含む滅菌インジケータあって、活性が微生物の残存と相関する活性酵素の活性を測定することによって滅菌手順の有効性を試験するために有用なインジケータ。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2010年12月22日に出願された米国仮特許出願第61/426,276号に関する利益を請求する。
滅菌インジケータ(また、生物学的インジケータと呼ばれる)は、病院内で外科用器具を滅菌するために使用されるものなどの滅菌するマシンが適切に機能して、滅菌手順中に滅菌チャンバ内に存在する微生物を殺菌しているかを判定するための手段を提供する。
滅菌インジケータは、滅菌手順の有効性を試験するための正確で精密な手段を提供するものとして当該技術分野において認知されている。従来の滅菌インジケータは、自然の汚染物の近くに通常存在する大抵の生物よりも滅菌処理に何倍も耐性のある、滅菌インジケータ内に収容される試験微生物の残存を監視することによって滅菌手順の有効性を計測する。滅菌インジケータは、滅菌サイクルに曝露されてから、残存している試験微生物の増殖を促進する条件下でインキュベートされる。滅菌サイクルが失敗すると、滅菌インジケータは、生物学的試料が残存したことを表示する検出可能なシグナルを発生させる。検出可能なシグナルは、通常、色彩の変更又は発光若しくは蛍光シグナルの発射のような表示である。
よく知られた型の滅菌インジケータのうちの1つは、滅菌手順の有効性を試験するために滅菌に非常に耐性のある細菌又は菌類からの芽胞を利用する。典型的な滅菌インジケータは、圧縮性のプラスチック材料で作製される外側容器(例えば、チューブ、スリーブ、又はアンプル)と、ガラスのような易破壊性の材料で作製される封止された内側容器(例えば、チューブ、スリーブ、又はアンプル)と、を有する。外側容器上の細菌不浸透性でガス透過性の被覆は、滅菌剤が滅菌手順中に外側容器に入ることを可能にする。担体の部品上の生きた芽胞は、外側容器及び内側容器の壁部の間に位置する。内側容器は、生きた芽胞の増殖を刺激する増殖培地を収容する。滅菌手順中に、滅菌剤は、キャップを介して外側容器に入り、担体内で芽胞に接触する。滅菌手順後に、内側容器は、外側容器を圧縮することによって粉砕され、増殖培地を放出して担体内で芽胞と接触させる。インジケータは、その後、芽胞増殖を刺激する条件下でインキュベートされる。滅菌手順が無効である場合は、残存している芽胞は成長して増殖培地中のpHインジケータの色彩を変更させ、滅菌サイクルが微生物の試験個体群を殺菌することができず、滅菌器装填内に存在する汚染性微生物を殺菌することができなかった可能性があることを表示する。芽胞の増殖に頼る滅菌インジケータは正確であるが、遅く、通常、最終結果を提供するために1〜7日を要する。
芽胞増殖のみを測定する滅菌インジケータとは対照的に、酵素インジケータは、しばしば数時間のうちに急速な応答を提供する。そのようなインジケータは、活性が滅菌手順中の汚染性微生物の破壊と相関する酵素の活性を測定することによって滅菌手順の有効性を測定する。インジケータは、圧縮性の外側容器と、易破壊性の内側容器と、細菌不浸透性であるがガス透過性であるキャップと、を有する。活性酵素は、外側及び内側容器の壁部の間に位置する担体に含侵され、活性酵素と反応する基質は、封止された内側容器内に収容される。滅菌手順中、滅菌剤は、外側容器に入り、担体内で活性酵素に接触する。滅菌手順後、内側のバイアル瓶は、粉砕されて、酵素ストリップは、基質へ曝露されてインキュベートされる。滅菌手順が適切に機能すると、酵素は、手順中に不活性化され、インキュベート後の検出可能な変更はなくなる。しかし、滅菌手順が無効である場合、酵素は不活性化されず、検出可能な生成物を形成するように基質と反応する。酵素−基質生成物は、例えば、色彩の変更又は蛍光若しくは発光シグナルとして検出可能である。
二重急速読出インジケータは、滅菌手順への曝露後の酵素活性及び芽胞増殖の両方を測定することによって滅菌手順の有効性を試験する滅菌インジケータである。酵素方式は、滅菌サイクルの有効性を急速に表示するが、これは、その後、時間のより長い周期に渡る芽胞成長の測定によって確認される。二重急速読出インジケータでは、インジケータの芽胞成長部で利用される生きた芽胞は、また、アッセイの酵素活性部のための活性酵素の源として機能することもできる。急速酵素試験は、芽胞と関連付けられている酵素の活性を測定し、芽胞自身は、その後、滅菌手順で残存したいずれかの芽胞の成長を助長するようにインキュベートされる。3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な3M ATTEST 1291及び1292急速読出生物学的インジケータは、インジケータ内でゲオバチルスステロサーモフィラス(正式にはバチルスステロサーモフィラスとして既知)の芽胞に関連付けられている酵素の活性及び芽胞自体の残存の両方を測定することによって、滅菌サイクルの有効性を試験する二重急速読出インジケータである。
本開示は、滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータ及び使用の方法に関する。本開示の滅菌インジケータは、芽胞増殖を試験するインジケータ(本明細書では芽胞成長インジケータと呼ばれる)、酵素活性を測定して急速応答を提供するインジケータ(本明細書では酵素系インジケータと呼ばれる)、又は滅菌手順への曝露後の酵素活性及び芽胞増殖の両方を測定することによって滅菌手順の有効性を試験するインジケータ(また、本明細書では酵素系インジケータ、より具体的には、酵素系/芽胞成長インジケータと呼ばれる)になり得る。
1つの実施形態では、本開示は、インジケータが滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、多孔質担体内に分布する生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する、生物学的材料と、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための手段(例えば、1つ以上のコンポーネンツ)と、を含む、滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータを提供する。
これは、(生物学的材料が芽胞を含み、検出可能な表示がpH表示である)芽胞成長インジケータになり得る。あるいは、(生物学的材料が活性酵素の源を含み、検出可能な表示が検出可能な蛍光、発光、及び/又は色素生成表示を含む)酵素系インジケータになり得る。酵素系インジケータは、(生物学的材料が芽胞成長試験のためにも好適な活性酵素の源を含み、検出可能な表示が検出可能な蛍光、発光、及び/又はpH表示に伴う色素生成表示を含む)二重酵素系/芽胞成長インジケータになり得る。
別の実施形態では、本開示は、インジケータが滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化されない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成するための手段と、を含む、滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータを提供する。
別の実施形態では、本開示は、滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータであって、滅菌手順中に滅菌剤が外側容器へ入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する外側容器と、外側容器内に収容され、外側容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化されない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、内側容器が滅菌手順で使用される滅菌剤に不浸透性であり、酵素基質を含み、酵素基質が活性酵素と反応することを可能にするように破壊されて、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成することができるように適合される、外側容器内の易破壊性の内側容器と、を含むインジケータを提供する。
別の実施形態では、本開示は、インジケータが滅菌手順中に過酸化水素滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する外側容器と、外側容器内に収容され、外側容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化されない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、内側容器が滅菌手順で使用される過酸化水素滅菌剤に不浸透性であり、酵素基質を含み、酵素基質が活性酵素と反応することを可能にするように破壊されて、過酸化水素滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成することができるように適合される、検出可能な表示が8時間以下以内に形成される、外側容器内の易破壊性の内側容器と、を含む、過酸化水素滅菌手順の有効性を試験するための急速読出過酸化水素滅菌インジケータを提供する。
本開示は、また、使用方法を提供する。1つの実施形態では、本開示は、滅菌手順の有効性を試験するための方法であって、本明細書に記載されるように、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、多孔質担体内に分布する生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する生物学的材料と、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成し、生物学的材料を含む滅菌インジケータを滅菌手順に供し、滅菌に続いて、滅菌インジケータを検出可能な表示が存在するか、不在かを判定するための展開手順に供し、検出可能な表示の存在を滅菌手順の失敗と、及び検出可能な表示の不在を滅菌手順の成功と相関させるための手段と、を含む、滅菌インジケータを準備することを含む方法を提供する。
例示の芽胞成長滅菌インジケータを使用して、滅菌手順の有効性を試験するための方法は、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能とする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、多孔質担体内に分布する芽胞を含む生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する生物学的材料と、を含む、滅菌インジケータを準備することと、生物学的材料を含む滅菌インジケータを滅菌手順に供することと、滅菌に続いて、pHインジケータを含む増殖培地と生物学的材料を組み合わせて、芽胞増殖を刺激する条件下で生物学的材料及び増殖培地の混合物をインキュベートすることと、検出可能なpHシグナルを有する残存している芽胞が生物学的材料内で存在するか、不在かを判定することと、検出可能なシグナルの存在を滅菌手順の失敗と、及び検出可能なシグナルの不在を滅菌手順の成功と、相関させることと、を含む。
例示の酵素系滅菌インジケータを使用して、滅菌手順の有効性を試験するための方法は、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化される、活性酵素の源を含む生物学的材料と、滅菌手順の失敗の際に、活性酵素と反応して、検出可能なシグナルを有する酵素変性された生成物を形成する酵素基質と、を含む、滅菌インジケータを準備することと、活性酵素の源を滅菌手順に供することと、酵素と基質とを合わせて酵素変性された生成物を形成することと、検出可能なシグナルを有する酵素変性された生成物が存在するか、不在かを判定することと、検出可能なシグナルの存在を滅菌手順の失敗と、及び検出可能なシグナルの不在を滅菌手順の成功と、相関させることと、を含む。特に好ましい実施形態では、滅菌インジケータは、二重急速読出インジケータであり、活性酵素の源は、酵素活性試験のための活性酵素の源及び芽胞成長試験のための試験微生物の両方として機能する微生物の芽胞を含む。
本開示は、多孔質担体を有し、本明細書に記載される滅菌インジケータを作製する方法を提供する。1つの実施形態では、方法は、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器を準備することと、多孔質担体(例えば、シート形状で不織布材料を準備し、三次元構造体を形成するようにシートを配合すること)を準備することと、容器の容積の少なくとも5%を占めるに十分な量で多孔質担体を容器の中へ配置することと、多孔質担体内の生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化される、滅菌手順の有効性を監視するために一般に使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する生物学的材料を多孔質担体内に分布するように配置することと、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供することと、容器内の滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための手段(つまり、1つ以上のコンポーネンツ)を必要に応じて配置することと、滅菌インジケータを形成する構成で容器、多孔質担体、生物学的材料、及び他の選択的コンポーネンツ(検出可能な表示、障壁等を形成するためのコンポーネンツ)を組み立てることと、を含む。
本明細書では、「多孔質」担体は、滅菌剤が滅菌の標準の条件下で(そのような条件は、特定の滅菌手順によって定義される)多孔質担体を通過し得ることを意味する。「三次元」多孔質担体は、中に位置する容器(例えば、2つの容器装置の外側容器)の容積の少なくとも5%を占めるものである。本明細書では、「多孔質担体」及び「三次元多孔質担体」は、互換的に使用される。
本明細書で、多孔質担体「内に分布する」は、生物学的材料が多孔質担体の容積の少なくとも一部を通して(つまり、表面上だけでなく)均一又は不均一に分布することができることを意味する。「内に分布する」は、多孔質担体の全容積の至る所に分布する(及び至る所に均一に分布する)ことを含む。
本明細書で、「生物学的材料」は、少なくとも1つの試験微生物の残存に相関し、検出可能なシグナルの形成に貢献する多孔質担体内に分布する部材を指す。つまり、生物学的材料は、有効な滅菌手順の結果として不活性化され(例えば、殺菌され)、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する。生物学的材料は、活性酵素の源として機能する芽胞又は他の微生物となり得る。活性酵素の源は、また、単離された酵素になり得る。
本明細書で、「試験微生物」は、ゲオバチルスステロサーモフィラスのように滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される微生物を指す。
本明細書で、多孔質担体が作製される部材の文脈で、用語「親水性」はゼロの接触角を有することを意味する(つまり、水によって濡れる)。この疎水性材料は、無機、有機、又はこれらの組み合わせであり得る。
本明細書で、多孔質担体が作製される材料の文脈で、用語「疎水性」は、E.Sharfrin et al.,The Journal of Physical Chemistry,64(5):519〜524(1960)に記載されるように、ノンゼロの接触角によって測定可能な水の撃退を意味する。この疎水性材料は、無機、有機、又はこれらの組み合わせであり得る。
「含む」なる用語及びその変化形は、これらの用語が説明文及び「特許請求の範囲」において用いられている場合に限定的な意味を有するものではない。
「好ましい」及び「好ましくは」なる語は、特定の状況下で、特定の効果をもたらし得る本開示の実施形態のことを指す。しかしながら、同じ又は他の状況下においては他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1以上の好ましい実施形態の説明は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を除外することを目的としたものではない。
本明細書で使用するところの「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1以上の」は、互換可能に使用される。
本明細書で使用するところの用語「又は」は、内容が明確に他を指示しない限り、概ね、「及び/又は」を含む普通の意で利用される。用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくはすべて、又は列挙された要素のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを意味する(例えば、病気を予防及び/又は処置することは、病気を予防し、処置し、又は更に処置及び予防することの両方を意味する)。
すべての数字は、本明細書では、用語「約」及び好ましくは用語「ちょうど(exactly)」によって修正されることを想定している。本明細書で測定された量に関して使用されるところの用語「約」は、測定をし、測定の対象物及び使用された測定装置の精度と同等の水準の注意を行使した当事者によって期待される測定された量における変動を指す。終点による数値範囲の詳細説明は、範囲内に包摂されるすべての数字を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。本明細書に引用するすべての部は、下記の実施例セクション中のものを含め、特に指示がない限り重量による。
本開示の上記の「課題を解決するための手段」は本開示の開示される各実施形態又はすべての実施を説明しようとするものではない。以下の説明は、実例となる実施形態をより詳細に例示するものである。本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの場合において記載される一覧はあくまで代表的な群として与えられるものであって、排他的な羅列として解釈されるべきものではない。
本開示の滅菌インジケータの好ましい実施形態の分解図。 図1に示す装置の断面図。 本開示の滅菌インジケータの代替の好ましい実施形態の分解図。 図3に示す装置の断面図。 本開示の三次元多孔質担体を作製し、多孔質担体内に分布するように生物学的材料(例えば、芽胞)を多孔質担体に付加するための例示の方法の流れ図。 多孔質担体内に分布する芽胞を有する三次元多孔質担体の分解図。 本開示の滅菌インジケータの代替の好ましい実施形態の分解図。 図6に示す装置の斜視図。
滅菌インジケータが独自の多孔質担体を含む、滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータが提供される。この多孔質担体は、生物学的材料(例えば、活性酵素の源)が多孔質担体内に分布することを可能にする。
概ね、本明細書では、滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータは、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器(例えば、チューブ、スリーブ、又はアンプル)と、容器内に収容される多孔質担体と、多孔質担体内に分布する生物学的材料であって、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する生物学的材料と、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための手段と、を含む。本明細書に記載される多孔質担体が中に配置され得る滅菌インジケータの実施例は、米国特許第5,486,459号(Burnhamら)(本開示の多孔質担体は、図7に示す支持体ディスク15の代わりに使用され得る)又は米国特許第6,897,059号(Foltzら)(本開示の多孔質担体は、担体ストリップの代わりに使用され得る)に記載されたものが挙げられる。
本開示の滅菌インジケータは、滅菌手順への曝露後に、芽胞増殖のみ、酵素活性のみ、又は酵素活性と芽胞増殖との両方を測定し得る。好ましい滅菌インジケータは、活性が試験微生物の残存に相関する活性酵素の活性を測定する。
多孔質担体内に分布する生物学的材料は、試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化される(例えば、殺菌される)ように選択されるが、生物学的材料は、試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化されない。つまり、生物学的材料は、有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する。
酵素系滅菌インジケータに対して、生物学的材料は、活性酵素の源であり、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化されない、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する酵素活性を有する酵素であるのが好ましい。
芽胞成長インジケータで有用な生物学的材料は、芽胞又は植物状態の細菌又は菌類である。酵素系滅菌インジケータに対して、生物学的材料は、(1)適切な微生物に由来する精製、単離された酵素、(2)酵素が自生又は遺伝子工学によって付加された微生物、又は(3)酵素が芽胞形成又は増殖中に付加された微生物である場合がある活性酵素の源を含む。本開示の滅菌インジケータでは、生物学的材料(酵素、微生物、又は芽胞であっても)は、試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、生物学的材料が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化され得ないように選択される。
生物学的材料のための多孔質担体は、疎水性又は親水性である材料で作製され得る。そのような材料は、無機、有機、又はこれらの組み合わせであり得る。疎水性材料を含む(又はそれから調整された)多孔質担体は、いずれのインジケータにも使用され得るが、親水性材料を含む(又はそれから調整された)多孔質担体は、過酸化水素の蒸気相を使用する滅菌手順を監視するために使用されるのが好ましい。好適な疎水性材料の例には、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン、これらのポリマーのうちの1つ以上を含有する(例えば、他の疎水性ポリマーとの)ポリマー配合物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適な親水性材料の例には、ガラス、レーヨン、セルロース、これらのポリマーのうちの1つ以上を含有する(例えば、他の親水性ポリマーとの)ポリマー配合物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
本開示の滅菌インジケータは、蒸気、過酸化水素蒸気相(過酸化水素プラズマを含んでも含まなくてもよい)、エチレンオキシドガス、乾燥した熱、プロピレンオキシドガス、メチルブロマイド、二酸化塩素、ホルムアルデヒド及び過酢酸(単独又は別の材料の蒸気相と)、オゾン、及びこれらの組み合わせを使用する滅菌手順を含む、1つ以上の型の滅菌手順の有効性を監視するために好適に使用され得る。例えば、本開示の滅菌インジケータは、例えば、米国特許第4,643,876号(Jacobsら)及び米国特許第4,756,882号(Jacobsら)に記載される手順を含む、当該技術分野において既知の任意の過酸化水素プラズマ滅菌手順の有効性を監視するために使用され得る。滅菌インジケータは、酸化滅菌剤を使用する蒸気相滅菌手順の有効性を監視するために使用され得るのが好ましい。滅菌インジケータは、過酸化水素蒸気相滅菌手順の有効性を監視するために使用され得るのがより好ましい。
水性過酸化水素(H)は、滅菌剤として長い使用の歴史を有し、蒸気相過酸化水素(VPHP)滅菌のコンセプトは過去10年以内に開発された。この処理は、病院で滅菌サイクルの有効性を評価及び確認するために呼掛け生物として通常使用される細菌由来の内生胞子形成細菌を含む広範囲の微生物を殺菌する、低温の滅菌処理である。過酸化水素の主要な利点は、短い曝露サイクル時間(数分)である。更に、過酸化水素滅菌処理終了時には、空気及び水のみがチャンバ内に残る。これらの利点にも拘わらず、過酸化水素滅菌処理監視のための内蔵型急速読出滅菌インジケータは、現在、市場で入手できない。有意にも、本明細書に記載される滅菌インジケータの新規な特徴は、急速読出過酸化水素滅菌インジケータの開発の可能性を与える。
本開示の滅菌インジケータでは、生物学的材料(例えば、活性酵素の源)は、多孔質担体内(好ましくは、均一に全容積の至る所に)に分布する。本開示の滅菌インジケータは、生物学的材料(例えば、活性酵素の源)が多孔質担体内に分布することを可能にする、独自の三次元多孔質構成の多孔質担体が使用される。この文脈で、三次元多孔質担体「内に分布する」は、生物学的材料(例えば、活性酵素の源)が、三次元多孔質担体の容積の少なくとも一部の至る所に(ちょうど表面に対向するように)均一又は不均一に分布することを意味する。生物学的材料は、より良好な結果のために、三次元多孔質担体の全容積の至る所に分布する(より好ましくは、均一に分布する)のが好ましい。これは、例えば、三次元多孔質構成を形成するようにシート材料を(例えば、実験室の配合機で)配合し、配合前、配合中、又は配合後に生物学的材料(例えば、活性酵素の源)を組み合わせることによって達成することが可能である。
本明細書に記載される多孔質担体は、有意にも、滅菌インジケータに使用される従来の担体より容積が大きい。これは、多孔質担体材料が従来の担体よりも大きい三次元空間を占め、故に三次元多孔質担体と呼ばれることを意味する。比較して、紙で作製され、例えば、米国特許第6,897,059号(Foltzら)で開示されるフラット担体ストリップは、二次元担体と見なされる。典型的には、本明細書に記載される三次元多孔質担体は、中に位置する容器(例えば、2つの容器の装置の外側容器)の容積の少なくとも5%を占める。一定の実施形態では、三次元多孔質担体は、中に位置する容器(例えば、2つの容器の装置の外側容器)の容積の少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%を占める。典型的には、三次元多孔質担体は、中に位置する容器(例えば、2つの容器の装置の外側容器)の容積の50%以下、又は40%以下、又は30%以下を占める。
典型的には、従来の二次元及び/又は非多孔質担体に配置される生物学的材料の量と比較すると、同量の生物学的材料が本開示の多孔質担体内に分布する。これは、生物学的材料(例えば、芽胞)のよりむらのない分布をもたらし、それによって滅菌剤がより徹底して多孔質担体の中へ透過することを可能にし、従来の担体でより高密度に詰められ、密集した生物学的材料と比較すると、生物学的材料とのより均一な接触を有することができる。したがって、本明細書に記載される多孔質担体は、次の利点、より早い非活性化(例えば、殺菌)、より高い再現性、より高い確度、及びより鋭い終点、のうちの1つ以上を提供し得る。より少ない多孔質及び/又は従来の二次元担体では、生物学的材料は凝集塊を形成し得、滅菌剤が凝集塊の中心に透過することを妨げ得る。結果として、鋭い終点がない場合があり、滅菌失敗の誤った表示に至り得る。したがって、多孔質担体として使用される材料の物理的形状(例えば、容積が大きい三次元構成)は、蒸気相滅菌処理の速さ及び確度を改良する能力を有する。これは、過酸化水素蒸気処理で特に有用である。
一定の実施形態では、三次元多孔質担体は、5%を超える、10%を超える、15%を超える、20%を超える、25%を超える、30%を超える、又は35%を超えるソリディティを(実施例セクションに定義されるように)有する。一定の実施形態では、三次元多孔質担体は、50%以下、45%以下、40%以下のソリディティを有する。
一定の実施形態では、三次元多孔質担体の材料の有効繊維直径は(実施例セクションに定義されるように)10マイクロメートルを超え、15マイクロメートルを超え、20マイクロメートルを超え、25マイクロメートルを超え、30マイクロメートルを超え、35マイクロメートルを超え、40マイクロメートルを超え、45マイクロメートルを超え、又は50マイクロメートルを超える。一定の実施形態では、三次元多孔質担体の材料の有効繊維直径は、100マイクロメートル以下、90マイクロメートル以下、又は80マイクロメートル以下である。
多孔質担体は、多様な仕方で調整され得る。1つの例示の方法では、実施例セクションでより詳細に記載され、図5aに例示されるように、不織布シート材料は、より容積の大きい構造(例えば、綿の玉のそれに類似の三次元構造体)を得るように実験室の配合機で配合することによって三次元構造体に(工程1で)転換される。あるいは、調整する不織布材料のための標準的技術を使用して、刻まれ、溶解吹込みされ、又は調整され得る。この多孔質担体は、その後、配合機から取り除かれ(工程2)、容器(例えば、図1及び2に示す外側容器)の中に配置され(工程3)、所望の生物学的材料(例えば、芽胞)が多孔質担体に適用される(工程4)。容器は、その後、多孔質担体内に分布する生物学的材料(滅菌剤の流れを示す矢印で図5bに示されるように)を提供するために、生物学的材料(例えば、58℃で16時間(一晩中)インキュベートされる)に応じて所望なように、(例えば、単に圧搾することによって)混錬に、そして更なる処理(工程5)に供される。滅菌インジケータは、当該技術分野においてよく知られているように、その後、障壁、例えば、酵素基質又は生物学培地を収容する内側のアンプル、及び穿孔キャップのようなコンポーネンツを使用することによって組立てられ得る(工程6)。
したがって、本開示は、多孔質担体を有し、本明細書に記載される滅菌インジケータを作製する方法を提供する。1つの実施形態では、方法は、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器を準備することと、(例えば、シート形状で不織布材料を準備し、三次元構造体を形成するようにシートを配合する)多孔質担体を準備することと、容器の容積の少なくとも5%を占めるために十分な量で多孔質担体を容器の中へ配置することと、多孔質担体内の生物学的材料(例えば、芽胞)であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために一般に使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する生物学的材料を多孔質担体内に分布するように配置することと、容器内での滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための手段(つまり、1つ以上のコンポーネンツ)を必要に応じて配置することと、滅菌インジケータ(例えば、穿孔キャップを使用するように、滅菌インジケータの形成を完了する他の工程を含む)を形成する構成で容器、多孔質担体、生物学的材料、及び他の選択的コンポーネンツ(検出可能な表示、障壁等を形成するためのコンポーネンツ)を組立てることと、を含む。
本開示の滅菌インジケータは、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための手段を含む。例えば、本開示の滅菌インジケータは、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する(例えば、活性酵素との酵素基質の反応から生成された)酵素変性された生成物を形成するための手段を含み得る。これは、典型的には、酵素活性試験と呼ばれる。この滅菌手順の失敗の検出可能な表示は、検出可能な蛍光、発光、及び/又は色素生成表示を含むことが好ましい。これらの表示は、急速読出滅菌インジケータ内での素早い酵素応答のために使用されることが好ましい。この文脈で、「急速読出」は、検出可能なシグナルが24時間未満で、好ましくは8時間以下以内に展開されることを意味する。
本開示の滅菌インジケータの一定の実施形態(例えば、芽胞増殖のみに基づく二重読み出し滅菌インジケータ及び生物学的インジケータ)では、滅菌手順の失敗の検出可能な表示は、検出可能なpH表示を含む。pH表示の使用は、典型的には24時間後、及びしばしば7日後の増殖芽胞の際に生じる。二重読出滅菌インジケータでは、これは、急速読出の信頼性を検証するためのメカニズムを提供する。概ね、pHインジケータは、ブロモクレゾールパープルのような酸形成の識別のために好適なものである。これは、蛍光、発光、及び/又は色素生成表示から得られた読出しの安定性及び/又は信頼性の根拠を提供し、素早い酵素応答のために使用される。これは、芽胞成長試験と呼ばれる。
(例えば、芽胞成長インジケータで)芽胞成長が評価されるそのような実施形態では、滅菌手順後に、芽胞が増殖培地(例えば、ダイズカゼイン消化物が必要に応じてpHインジケータ)と接触する。例えば、増殖培地を収容する内側容器は、外側容器を圧縮することによって粉砕され、増殖培地を放出して外側容器内の多孔質担体内で芽胞と接触させる。インジケータは、その後、芽胞増殖を刺激する条件下でインキュベートされる。滅菌手順が無効である場合、残存している芽胞は、成長して増殖培地中のpHインジケータに(例えば、芽胞を増殖させることから形成される酸性副生成物の結果として)色彩を変更させる。これは、滅菌サイクルが微生物の試験個体群を殺菌することができなかったことと、滅菌器装填内に存在する汚染性微生物を殺菌することができなかった可能性があることと、を示す。芽胞の増殖に頼る生物学的インジケータは正確であるが、遅く、通常、最終結果を提供するために1〜7日を要する。
以上に議論された滅菌インジケータを作製する方法の一定の実施形態では、容器内の滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための1つ以上のコンポーネンツを配置する工程は、生きた芽胞の増殖を刺激する増殖培地及びpHインジケータを含む内側容器を配置することを含む。
以上に議論された滅菌インジケータを作製する方法の一定の実施形態では、容器内の滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための1つ以上のコンポーネンツを配置する工程は、活性酵素と反応して、検出可能な酵素−基質生成物を形成する酵素基質を含む内側容器を配置することを含む。
一定の実施形態では、滅菌インジケータは、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、多孔質担体内に分布する生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために一般に使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する生物学的材料と、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための手段と、を含む。
一定の実施形態では、滅菌インジケータは、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化しない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成するための手段と、を含む。
一定の実施形態では、滅菌インジケータは、また、滅菌手順で使用される滅菌剤に不浸透性である外側容器内に易破壊性の内側容器(例えば、チューブ、スリーブ、又はアンプル)を含む。芽胞成長のみに基づくインジケータのために、この内側容器は、生きた芽胞の増殖を刺激する増殖培地を含む。滅菌手順後に、内側容器は、増殖培地と芽胞との間で接触を可能とするために破壊され得るように適合される。酵素系インジケータのために、この内側容器は、酵素基質が活性酵素と反応することを可能にするように破壊されて、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成することができるように適合される、基質を含む。そのような実施形態では、好ましくは、外側容器は、圧縮性であり、内側容器は、外側容器を圧縮することによって破壊されるように適合される。あるいは、外側容器は、圧縮性であっても、なくてもよく、内側容器は、尖った先端を有する部品(例えば、スリーブ)に対して内側容器を圧縮するようにキャップを押下げることによって破壊されて、内側容器が尖った先端の中に押されると壊れ得るように適合される。
本開示の例示の滅菌インジケータは、図1及び2に示される。滅菌インジケータ10は、滅菌サイクルが完了する後までシステムの様々なコンポーネンツを互いから分離する入れ子の容器を含む。滅菌インジケータ10は、(当業者によって理解されるような他の型の容器が使用され得るが、ここにはチューブ又はアンプル形状で示される)外側容器12と、(当業者によって理解されるような他の型の封止された容器が使用され得るが、ここには封止されたチューブ又はアンプル形状で示される)封止された内側容器18と、ベントされたキャップ26と、を含む。外側容器12は、圧縮性プラスチックで作製されるのが好ましい。内側容器18は、ガラス又はいくつかの他の脆い材料で作製される。閉鎖部材22は、好ましくは、外側容器12の開放端部14上に嵌合する細菌不浸透性でガス透過性の障壁である。多孔質担体16は、生物学的材料(例えば、活性酵素の源)を含み、内側容器18と外側容器12との間に配置される。酵素系滅菌インジケータのために、内側容器18は、多孔質担体16内で活性酵素と反応する酵素基質を収容し、滅菌手順が無効である場合に検出可能なシグナルを生成する。芽胞成長滅菌インジケータのために、内側容器18は、滅菌手順が無効である場合に検出可能なシグナルを生成する生物学的材料(例えば、芽胞)のための増殖培地を収容する。
図3及び4は、滅菌インジケータ30が容器の閉鎖端部付近の外側容器12内に位置する多孔質担体36を含む代替の実施形態を示し、障壁38は、多孔質担体36と内側容器18との間に位置する。図1及び2の実施形態に記載されるように、酵素系滅菌インジケータのために、内側容器18は、多孔質担体36内で活性酵素と反応する酵素基質を収容し、滅菌手順が無効である場合に検出可能なシグナルを生成する。芽胞成長滅菌インジケータのために、内側容器18は、滅菌手順が無効である場合に検出可能なシグナルを生成する生物学的材料(例えば、芽胞)のための増殖培地を含む。
あるいは、一定の実施形態では、本明細書に記載される多孔質担体36は、有利なことには、障壁38がなくとも使用され得る。例えば、疎水性材料を含む多孔質担体は、担体及び障壁の両方として機能し得る。
障壁38は、内側容器18から多孔質担体36を分離するように機能する。障壁38は、好ましくは、酵素変性された生成物が、例えば、多孔質担体の周りに集中して、障壁の反対面にある容器の区域の中へ急速に拡散しないように、疎水性材料から作製される。インジケータの下部で酵素変性された生成物のより高い濃度を維持することは、例えば、発光又は色付きであっても、酵素変性された生成物が、多孔質担体36が内側容器18の全内容物と反応した場合よりも短い周期後に検出されることを可能にする。障壁38を組込む好ましい装置は、約10分以内で滅菌効果に関する信頼できる情報を提供する。
障壁38と共に図3及び4に示される構成は、しばしば、過酸化水素蒸気滅菌手順で使用される。障壁は、好ましくは、200g/平方メートルの重量を有し、商業上、3M Company(St.Paul,MN)から「THINSULATE 200−BブランドのThermal Insulation」として入手可能な、ポリプロピレン吹込み超極細繊維材料のディスクである。しかしながら、更に、多孔質担体が本明細書に記載されるように疎水性材料である場合、障壁は、過酸化水素滅菌手順においてさえも必要とされない。また、インジケータが過酸化水素手順(図1及び2又は図3及び4に示される実施形態を使用するかどうか)を監視するために使用される場合、閉鎖部材22は、好ましくは、商業上、E.I.du Pont de NeMours及びCo.(Wilmington,DE)から入手可能なTYVEK高密度ポリエチレン繊維材料のような高密度繊維材料から作製される。
再び図1及び2を参照すると、典型的な滅菌手順中に、滅菌剤は、キャップ26上のベント28を通って外側容器12の中に入り、多孔質担体16内の生物学的材料(例えば、活性酵素の源)と接触するが、封止された内側容器18内の内容物(例えば、基質溶液及び/又は増殖培地)と接触しない。滅菌サイクル後に、外側容器12の面は、圧縮され、内側容器18を壊して、内側容器18の内容物と多孔質担体16内の生物学的材料とを互いに接触させる。滅菌インジケータは、その後、検出可能な表示を形成するように、残っているいずれの生物学的材料(例えば、活性酵素又は生きた芽胞)にも十分な期間の間インキュベートされる。例えば、生物学的材料が活性酵素である場合、インキュベートは、発光、蛍光、又は色彩変更のように、検出可能なシグナルを生成する酵素変性された生成物を形成するように、それが基質と反応するために十分な時間の間、生じて、滅菌手順が無効である場合があることを表示する。
本開示の滅菌インジケータ10の好ましい実施形態では、多孔質担体16内の生物学的材料は、活性酵素の源である。好ましくは、活性酵素の源は、細菌由来又は菌類の芽胞のような生きた微生物である。最も好ましい実施形態では、芽胞は、活性酵素の源であり、滅菌インジケータ10は、酵素活性及び芽胞成長の両方を測定することによって滅菌手順の有効性を監視する二重急速読出インジケータである。この実施形態では、内側容器18は、芽胞増殖培地及び酵素基質を収容する。滅菌サイクルが完了した後、内側容器18は破壊され、多孔質担体16は内容物に曝露されてインキュベートされる。酵素試験は数時間以内に可視の結果を生成し、生きた微生物の増殖試験は7日以内にこれらの結果を確認する。
酵素インジケータの操作の根底にある理論は、酵素の不活性化がインジケータ内の試験微生物の死と相関するということである。滅菌インジケータ内で使用するために選択された酵素は、少なくとも、汚染物質として存在しがちな微生物と同程度に滅菌手順に耐性があり、好ましくは、そのような微生物よりも耐性がなければならない。酵素は、汚染性微生物を殺菌することができない滅菌サイクル後に検出可能な酵素−基質生成物を形成するに十分に活性なままであるべきであるが、汚染性微生物を殺菌する滅菌サイクルによって不活性化される。
上記のように、活性酵素の源は、(1)適切な微生物由来の精製され、単離された酵素、(2)酵素が自生又は遺伝子工学によって付加された微生物、又は(3)酵素が微生物、例えば、芽胞と合体している、芽胞形成中に芽胞に付加された酵素と合体し、又は関連付けられるように酵素が芽胞形成又は増殖中に付加された微生物、であってもよい。
本開示の滅菌インジケータで使用するための好適な酵素は、米国特許第5,252,484号(Matnerら)及び米国特許第5,073,488(Matnerら)に記載される。好適な酵素は、ゲオバチルスステロサーモフィラス及びバチルスアトロファエウス(以前はバチルスズブチルスとして既知)のような芽胞形成微生物由来の酵素を含む。本開示の滅菌インジケータにおいて有用な芽胞形成微生物からの酵素としては、芽胞形成微生物由来のベータ−D−グルコシダーゼ、アルファ−D−グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ブチラートエステラーゼ、カプリレートエステラーゼリパーゼ、ミリステートリパーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、バリンアミノペプチダーゼ、キモトリプシン、ホスホヒドロラーゼ、アルファ−D−ガラクトシダーゼ、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、チロシンアミノペプチダーゼ、フェニルアラニンアミノペプチダーゼ、ベータ−D−グルクロニダーゼ、アルファ−L−アラビノフラノシダーゼ、N−アセチル−B−グルコサミニダーゼ、ベータ−D−セロビオシダーゼ、アラニンアミノペプチダーゼ、プロリンアミノペプチダーゼ、及び脂肪酸エステラーゼが挙げられる。
微生物が活性酵素の源として使用される場合、本開示の方法は、滅菌サイクルの完了後に水性栄養素培地で生存可能なままである、いずれの微生物もインキュベートする工程を含んでもよい。この工程を含めることは、従来技術によって滅菌条件がインジケータ内のすべての微生物を殺菌するために十分であったかを確認し、滅菌条件が滅菌器内のすべての項目を滅菌するために十分であったことを示す。微生物の増殖が酵素試験の結果を確認するために従来のやり方で使用される場合、微生物は、滅菌条件を監視するために、従来使用されるものであるべきである。これらの従来使用される微生物は、概ね、自然の汚染物で遭遇するほとんどの生物よりも利用される滅菌処理に数倍耐性がある。
これら好ましい微生物は、活性酵素の源として、又は芽胞成長インジケータにおいて有用な生物学的材料として利用されてもよく、芽胞又は植物状態の細菌又は菌類である。細菌由来の芽胞は、微生物の生命の最も耐性のある形態として認識されている。それは、装置、化学物質、及び工程の滅菌効果を判定するためのすべての試験において選択する生命形態である。特に好ましい酵素の源としては、バチルス、クロストリジウム、ニューロスポラ、及びカンジダ種の微生物が挙げられる。バチルス及びクロストリジウム種からの芽胞は、飽和蒸気、乾燥熱、ガンマ照射、及びエチレンオキシドを利用する滅菌処理を監視するために最もよく使用される。
滅菌条件を監視するために通常使用される、特に好ましい微生物としては、ゲオバチルスステロサーモフィラス及びバチルスアトロファエウスが挙げられる。ゲオバチルスステロサーモフィラスは、滅菌条件下で滅菌を監視するために特に有用である。酵素ベータ−D−グルコシダーゼは、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から「ATCC 7953」として商業上、入手可能なものなど、ゲオバチルスステロサーモフィラスの芽胞内で同定された。バチルスアトロファエウスは、特に、ガス及び乾燥熱滅菌の条件を監視するために有用である。酵素ベータ−D−グルコシダーゼは、(例えば、American Type Culture Collectionから「ATCC 9372」として商業上、入手可能な)バチルスアトロファエウスの中で発見された。
二重急速読出インジケータが使用されるところでは、これらの微生物は、急速酵素試験の活性酵素の源及び芽胞成長試験のための試験微生物の両方として機能することも可能である。ゲオバチルスステロサーモフィラスは、水蒸気及び過酸化水素プラズマ滅菌手順の両方を監視するために特に好ましい。バチルスアトロファエウスは、エチレンオキシド滅菌手順を監視するために特に好ましく、過酸化水素プラズマ滅菌手順を監視するために使用されてもよい。
あるいは、単離された酵素が利用され、又は酵素の源として使用される微生物が自然の汚染物質よりも滅菌に耐性がない場合、滅菌条件を監視するために通常使用される別の微生物が酵素の源と共に滅菌サイクルに曝露され得る。更に、そのような場合、本開示の方法は、滅菌効果を確認するために、滅菌サイクル後に残っているいずれの生存可能な微生物も水性栄養素培地でインキュベートする工程を含んでもよい。
本開示は、主として単一の酵素及び/又は微生物種の観点から本明細書に記載されているが、複数の酵素及び/又は微生物種の使用もまた参照するものと理解されるべきである。例えば、単一の無菌製インジケータは、3つの型の単離された酵素(3つの型の微生物由来であってもよい)を収容してもよく、1つの酵素は、熱に耐性があり、第2の酵素は、ガス状滅菌培地に耐性があり、第3の酵素は、放射、例えば、ガンマ及びベータ照射に耐性がある。同様に、単一の無菌性インジケータは、3つの種の微生物を収容し、1つの種は、熱に耐性があり、第2の種は、ガス状滅菌培地に耐性があり、第3の種は、放射に耐性がある。
本開示の滅菌インジケータで使用するために好適な酵素基質は、米国特許第5,252,484(Matnerら)及び米国特許第5,073,488(Matnerら)に記載される。検出可能な生成物を形成するように酵素と反応し、本開示の滅菌インジケータで使用するために好適である、色素生成及び蛍光発生性基質は、当該技術分野において周知である。(M.Roth,Methods of Biochemical Analysis,Vol.17,D.Block,Ed.,Interscience Publishers,New York,1969,p.89、S.Udenfriend,Fluorescence Assay in Biology and Medicine,Academic Press,New York,1962,p.312、D.J.R.Lawrence,Fluorescence Techniques for the Enzymologist,Methods in Enzymology,Vol.4,S.P.Colowick and N.O.Kaplan,Eds.,Academic Press,New York,1957,p.174)。これらの基質は、視覚的に検出可能なシグナルを生成させるやり方に基づいて2つの群に分類することが可能である。第1の群の基質は、自身が色素生成又は蛍光剤である酵素変性された生成物を形成するように酵素と反応する。第2の群の基質は、色彩又は蛍光シグナルを生成するように付加的化合物と更に反応しなければならない、酵素変性された生成物を形成する。
本開示は、また、使用の方法を提供する。広くは、本開示は、滅菌手順の有効性を試験するための方法であって、本明細書に記載されるように滅菌インジケータを準備することと、滅菌手順に生物学的材料を含む滅菌インジケータを供することと、滅菌に続いて、滅菌インジケータを検出可能な表示が存在するか、不在かを判定するための展開手順に供することと、検出可能な表示の存在を滅菌手順の失敗と、そして検出可能な表示の不在を滅菌手順の成功と相関させることと、を含む、方法を提供する。
例示の芽胞成長滅菌インジケータを使用して、滅菌手順の有効性を試験するための方法は、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、多孔質担体内に分布する芽胞を含む生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために一般に使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する生物学的材料と、を含む、滅菌インジケータを準備することと、滅菌手順に生物学的材料を含む滅菌インジケータを供することと、滅菌に続いて、pHインジケータを含む増殖培地と生物学的材料を組み合わせて、芽胞増殖を刺激する条件下で生物学的材料及び増殖培地の混合物をインキュベートすることと、検出可能なpHシグナルを有する残存している芽胞が生物学的材料内で存在するか、不在かを判定することと、検出可能なシグナルの存在を滅菌手順の失敗と、及び検出可能なシグナルの不在を滅菌手順の成功と、相関させることと、を含む。
例示の酵素系滅菌インジケータを使用して、滅菌手順の有効性を試験するための方法は、滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化しない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、活性酵素と反応して、検出可能なシグナルを有する酵素変性された生成物を生成する酵素基質と、を含む、滅菌インジケータを準備することと、活性酵素の源を滅菌手順に供することと、酵素と基質とを合わせて酵素変性された生成物を形成することと、検出可能なシグナルを有する酵素変性された生成物が存在するか、不在かを判定することと、検出可能なシグナルの存在を滅菌手順の失敗と、及び検出可能なシグナルの不在を滅菌手順の成功と、相関させることと、を含む。
特に好ましい実施形態では、滅菌インジケータは、二重急速読出インジケータであり、活性酵素の源は、酵素活性試験のための活性酵素の源及び芽胞成長試験のための試験微生物の両方として機能する微生物の芽胞を含む。好適な微生物としては、ゲオバチルスステロサーモフィラス及びバチルスアトロファエウスが挙げられる。最も好ましい実施形態では、ゲオバチルスステロサーモフィラス芽胞がインジケータに使用される。
生物学的材料が芽胞を含む例示の使用での図1及び2を参照すると、滅菌インジケータ10は、滅菌チャンバ内に配置され、過酸化水素蒸気滅菌手順に曝露される。滅菌剤は、ベント28及び閉鎖部材22を介してインジケータ10の中に入り、多孔質担体16内に位置する芽胞と接触する。手順が完了した後、インジケータ10は、滅菌チャンバから取り除され、外側容器12の側面は圧縮され、多孔質担体16内の芽胞に接触することが可能なように脆い内側容器18を壊してpHインジケータを含む増殖培地を放出する。滅菌インジケータ10は、その後、増殖してpHインジケータ内の色彩変更を引起すようにインジケータ内に残っている、いずれの残存している芽胞にも十分な期間中インキュベートされ、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する。滅菌手順が有効であり、すべての芽胞が不活性化された場合、その後、インキュベートの際に色彩の変更は生成されない。
生物学的材料が活性酵素の源を含む例示の使用での図1及び2を参照すると、滅菌インジケータ10は、滅菌チャンバ内に配置され、過酸化水素蒸気滅菌手順に曝露される。滅菌剤は、ベント28及び閉鎖部材22を介してインジケータ10の中に入り、多孔質担体16内に位置する活性酵素の源と接触する。手順が完了した後、インジケータ10は、滅菌チャンバから取り除かれ、外側容器12の側面は圧縮され、多孔質担体16内の活性酵素の源に接触することが可能なように脆い内側容器18を壊して酵素基質を放出する。滅菌インジケータ10は、その後、基質と反応し、酵素変性された生成物を形成するようにインジケータ内に残っているいずれの活性酵素にも十分な期間中インキュベートされ、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する。酵素変性された生成物は、蛍光、発光、又は色彩変更として検出可能にしてもよい。滅菌手順が有効であり、すべての活性酵素が不活性化された場合、検出可能なシグナルは、インキュベートの際に生成されない。
一定の状況では、滅菌インジケータ(例えば、生物学的材料の担体、容器の壁部)の1つ以上のコンポーネンツは、残留酸化滅菌剤を保持してもよい。これは、オゾン及び過酢酸のような他の蒸気滅菌剤と同様に過酸化水素蒸気についても発生し得る。例えば、一定の担体材料、特に、ゼロの接触角(つまり、ガラス繊維及びセルロース系材料のように親水性である)を有するそれらは、残留酸化滅菌剤、特に、過酸化水素を保持し得る。この文脈で、「残留」は、小さい数の芽胞残存物の増殖を阻害する、保持される滅菌剤の量を意味する。典型的には、これは、マイクログラムの担体毎に保持される10マイクログラムを超える滅菌剤を意味する。一定の状況では、残留滅菌剤の量は、ミリリットルの増殖培地毎で40マイクログラムを超える滅菌剤になり得る。比較として、担体材料が90°を超える接触角を有する場合、それは疎水性であり、概ね、マイクログラムの担体毎に保持される10マイクログラム以下の滅菌剤がある。したがって、滅菌インジケータの1つ以上のコンポーネンツと関連付けられている、残留酸化滅菌剤を中和することは、中和剤(例えば、溶解及び/又は中に浮遊させた中和剤を含有する溶液)を滅菌インジケータの1つ以上のコンポーネンツ(例えば、生物学的材料の担体、容器の壁部)と接触させることを含む。
そのような滅菌インジケータでは、1つ以上の中和剤は、(米国特許第5,552,320号(Smith)に定義されるように)酵素ではなく、金属触媒ではなく、滅菌インジケータ内に配置される。本開示の中和剤は、米国特許仮出願第61/426,291号に記載されており、全体として参照することにより本明細書に組み入れられる。中和剤は、残留滅菌剤、例えば、過酸化水素と反応して、その効果を中和する物質(例えば、化学化合物)であり、酵素ではなく、金属触媒でもない。酵素中和剤は、典型的には、高い温度では好適ではなく、したがって所望ではない。
中和剤の好適な例としては、メチオニン、L−システイン、D−エチオニン、S−メチル−L−システイン、S−ベンジル−L−システイン、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオニン(glutathionine)、L−シスタチオニン、N−アセチル−L−システイン、カルボキシメチルシステイン、D,L−ホモシステイン、D,L−ホモシステイン−チオラクトン、ナトリウムチオグリコール酸、重亜硫酸ナトリウム、及びチオジプロピオン酸のような物質を含有する硫黄、並びにイソアスコルビン酸、フェリシアン化カリウム、塩化第一鉄、及びピルビン酸ナトリウムのような物質を含有するノン−硫黄が挙げられる。そのような中和剤の様々な組み合わせが使用され得る。好ましい中和剤としては、メチオニン、L−システイン、D−エチオニン、S−メチル−L−システイン、S−ベンジル−L−システイン、チオ硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸、イソアスコルビン酸、フェリシアン化カリウム、ピルビン酸ナトリウム、ナトリウムチオグリコール酸、塩化第一鉄、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
1つ以上のそのような中和剤は、プロセスの滅菌ステージ中に滅菌剤の直接の作用から保護されている限り、滅菌インジケータ内の様々な位置に配置され得る。例えば、1つ以上の中和剤は、点眼器内(米国特許第5,486,459号(Burnhamら)に示されるような)、又は内側容器(例えば、アンプル)内(米国特許第6,897,059号(Foltzら)及び本明細書に示されるような)に位置し得える。好ましくは、1つ以上の中和剤は、プロセスの滅菌ステージ中に滅菌剤から隔離されるが、その後、プロセスの展開ステージ中(つまり、検出可能な表示の形成中)に残留滅菌剤とも接触することが可能となる。好ましくは、1つ以上の中和剤は、内側容器(例えば、アンプル)内に位置させることによって滅菌処理から隔離される。
本開示の別の例示の滅菌インジケータが図6〜7に示される。生物学的滅菌インジケータ200は、ハウジング202を含み、内蔵型の生物学的滅菌インジケータを提供するように一緒に連結される第1部分204(例えば、中空のチューブ)及び第2部分206(例えば、キャップ)を収容する。キャップは、およそ長さ21mm×直径14mmの概寸法を有する成形ポリプロピレンであってもよい。第1部分204(中空のチューブ)は、長さ約52mm、トップの直径12mmの概寸法を有し、図10〜11に示される形状を有する、成形ポリカーボネートであってもよい。第1部分204(例えば、中空のチューブ)の全容積は、およそ3mLである。
ハウジング202は、第1部分204の壁部208及び/又は第2部分206の壁部210のような少なくとも1つの液体不浸透性の壁部によって画定され得る。一部品の単一ハウジング202が利用されてもよく、第1及び第2部分204及び206は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、他の形状、寸法、又は相対的構造を採り得る。ハウジング202(例えば、壁部208及び210)のために好適な材料としては、ガラス、金属(例えば、箔)、ポリマー(例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレン(PPE)、ポリテン(polythyene)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリメチルメタクリレート(PMMA又はアクリル)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリブチレンテレフタレート(PBT))、セラミック、磁器、又はこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
ハウジング202の第2部分(キャップ)206は、6つの口又は開口部207を含んでもよく、ハウジング202の内側(例えば、収容容器203)とアンビエンスとの間の流体連通を提供する。障壁としての役割を果たす濾紙材料(図示せず)は、口207上の滅菌剤経路内に位置付けられ、感圧性接着剤に支持された紙ラベルで適所に保持される。濾紙材料は、蒸気滅菌器(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)のために現在入手可能な3M ATTEST 1291急速読出生物学的インジケータのキャップに存在する同じ材料である。
生物学的滅菌インジケータ200は、更に、液体増殖培地222を収容する脆い容器220を含む。脆い容器220は、ボロシリケートガラスで作製され、芽胞増殖培地を収容する。培地は、pHインジケータのブロモクレゾールパープルを含有する変性されたトリプチケースソイブロス(TSB)及び蛍光酵素基質の4−メチルウンベリフェリル−アルファ−D−グルコシドからなる。アンプルは、およそ長さ40mm×直径約4mmであり、およそ500μLの培地液体を保持した。好適な液体増殖培地222の実施例は、蒸気滅菌器のための3M ATTEST 1292急速読出生物学的インジケータとして3M Companyから現在入手可能な生成物で使用される培地である。
液体培地容器220は、インサート230によって生物学的滅菌インジケータ200内の適所に保持されてもよい。インサート(また、ブレーカとも呼ばれる)230は、容器220を適所に保持することと、容器220の制御された破損を容易にすることの両方に機能する。制御された破損は、第2部分(キャップ)206が液体培地容器220を壊すように下に押される、BIの活性化工程中に発生する。インサート230は、長さ22mm×幅9mmのおよその寸法を有する成形ポリカーボネート構造であってもよい。
第2部分206は、活性化後に生物学的滅菌インジケータ200を閉じ、又は封止する(例えば、気密的に封止する)ための第1部分204の開上端部で、第1部分204の第1の端部201に接触するように位置付けられた封止を有する。
生物学的滅菌インジケータ200は、更に、第1部分204との流体連通に位置付けられたG.ステロサーモフィラス芽胞(ATCC 7953)300のような好適な滅菌剤耐性のある芽胞を含む。芽胞300は、芽胞担体116上に配置される。
ハウジング202は、(特に、少なくとも部分的に第1のチャンバ209を画定する)下部214と、(少なくとも部分的に第2のチャンバ211を画定する)上部216と、を含み、第1のチャンバ209と第2のチャンバ211との間に流体連通を提供する開口部217が形成される、内側の部分壁部又は出っ張り218によって部分的に分離される。第2のチャンバ211は、芽胞担体116を収納するように適合される。第1のチャンバ209は、特に、活性化前に脆い容器220を収納するように適合される。壁部218は、ハウジング202の長手方向Dについて、ノンゼロ及び非直角で角度を付けられるか、又は傾斜する。
第2のチャンバ211は、また、「芽胞増殖チャンバ」又は「検出チャンバ」と呼ばれ得、滅菌処理の効果を判定するように芽胞の生存能力について調べる容積を有する。
液体培地容器220は、第1のチャンバ209内のインサート230によって適所に位置付けられ、保持される。芽胞300は、芽胞担体116上に位置付けられ、滅菌中に第2のチャンバ211内及びアンビエンスとの流体連通内に収納される。滅菌剤は、滅菌中、(例えば、第1のチャンバ109を介して)第2のチャンバ211の中に移動する。滅菌サイクル後、BIは、容器220が断裂され、液体222がハウジング202の内部に放出されると、意図的に活性化され、液体培地222は、(例えば、第1のチャンバ209から)第2のチャンバ211の中へ移動する。
第1のチャンバ209は、約2800マイクロリットルの容積を有する(すべての内部のコンポーネンツは空)。壁部218の直ぐ上部の第1のチャンバ209の断面積は、およそ50mmである。第2のチャンバ211は、約210マイクロリットルの容積を有する。壁部218の直ぐ下部の第2のチャンバ211の断面積は、およそ20mmである。
ハウジング202は、ハウジング202の断面積が、概ね、第1部分204の第1の端部201からハウジング202の閉鎖端部205へ長手方向Dに沿って減少するように、テーパ形状(例えば、テーパ形状部分246を参照)である。
本開示の滅菌インジケータのいずれも、試験パックの一部として使用されてもよい。本開示の1つの実施形態では、本開示の非呼掛け試験パックは、滅菌インジケータのみの抵抗以上に滅菌手順への付加的抵抗を提供しない。非呼掛け試験パックは、滅菌手順中、単一の位置に滅菌インジケータを確実に保持する点で、試験パックなしのインジケータの使用以上の利点を提供する。したがって、非呼掛け試験パックは、典型的には小さく、転がり回る傾向にある滅菌インジケータが滅菌手順中の材料の充填で置換されて、置き間違われるときに発生する問題を緩和する。代替の試験パックは、ルーメン呼掛け試験パックと呼ばれ、定義される断面積及び長さを有するルーメン内に配置されると、インジケータが経験する抵抗に等価である、滅菌インジケータに対する付加的抵抗を提供する。ルーメン呼掛け試験パックは、滅菌手順がチューブ状器具の内部深くに位置する場合がある微生物を殺菌する際に有効であるかどうかを判定する正確な方法を提供する。例示の非呼掛け及びルーメン呼掛け滅菌試験パックは、米国特許第6,897,059号(Foltzら)に記載される。
本開示の運用は、以下の詳細な実施形態及び実施例に関連して、更に記載される。これらの実施形態及び実施例は、種々の具体的なかつ好ましい実施形態及び技術を更に例示するために提供するものである。しかしながら、本開示の範囲内で多くの変更及び修正がなされてもよいことが理解されるべきである。
発明の例示の実施形態
1.滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータであって、
滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、
容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、
多孔質担体内に分布する生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する、生物学的材料と、
滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための手段と、を含む、滅菌インジケータ。
2.滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータであって、
滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、
容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、
活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化しない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、
滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成するための手段と、を含む、滅菌インジケータ。
3.滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータであって、
滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する外側容器と、
外側容器内に収容され、外側容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、
活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化しない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、
内側容器が
滅菌手順で使用される滅菌剤に不浸透性であり、
酵素基質を含み、
酵素基質が活性酵素と反応することを可能にするように破壊されて、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成することができるように適合される、外側容器内の易破壊性の内側容器。
4.過酸化水素滅菌手順の有効性を試験するための急速読出過酸化水素滅菌インジケータであって、
滅菌手順中に過酸化水素滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する外側容器と、
外側容器内に収容され、外側容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、
活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化しない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、
内側容器が、
滅菌手順で使用される過酸化水素滅菌剤に不浸透性であり、
酵素基質を含み、
過酸化水素滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成するために、酵素基質が活性酵素と反応することを可能にするように、破壊されるように適合され、検出可能な表示が8時間以下以内に形成される、外側容器内の易破壊性の内側容器と、を含む、インジケータ。
5.生物学的材料が多孔質担体の全容積を通して均一に分布する、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
6.多孔質担体が容器の容積の50%以下を占める、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
7.多孔質担体が5%を超えるソリディティを有する、実施形態1〜6のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
8.多孔質担体が10マイクロメートルを超える有効繊維直径を有する、実施形態1〜7のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
9.多孔質担体が疎水性材料を含む、実施形態1〜8のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
10.疎水性部材がポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン、これらのポリマーのうちの1つ以上を含有する配合物、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態9に記載の滅菌インジケータ。
11.多孔質担体が親水性材料を含む、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
12.親水性材料がガラス、レーヨン、セルロース、これらのポリマーのうちの1つ以上を含有する配合物、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態11に記載の滅菌インジケータ。
13.滅菌手順の失敗の検出可能な表示が検出可能な蛍光、発光、及び/又は色素生成表示を含む、実施形態1〜12のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
14.滅菌手順の失敗の検出可能な表示が、検出可能なpH表示を含む、実施形態1〜13のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
15.生物学的材料が微生物を含む、実施形態1〜14のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
16.生物学的材料が単離された酵素を含む、実施形態1〜14のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
17.生物学的材料が芽胞を含み、検出可能な表示がpH表示を含む、実施形態1に依存し、芽胞成長インジケータである、実施形態1及び実施形態5〜11に記載の滅菌インジケータ。
18.生物学的材料が活性酵素の源を含み、検出可能な表示が検出可能な蛍光、発光、及び/又は色素生成表示を含む、実施形態1に依存し、酵素系インジケータである、実施形態1及び実施形態5〜11に記載の滅菌インジケータ。
19.生物学的材料が芽胞成長試験のためにも好適である活性酵素の源を含み、検出可能な表示が検出可能な蛍光、発光、及び/又はpH表示に続く色素生成表示を含む、二重酵素系/芽胞成長インジケータである、実施形態18に記載の滅菌インジケータ。
20.滅菌剤が酸化滅菌剤である、実施形態1〜19のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
21.残留酸化滅菌剤を中和するために有効な量でインジケータ内に配置される中和剤を更に含み、中和剤が酵素ではなく、金属触媒ではない、実施形態1〜20のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
22.中和剤が硫黄含有化合物である、実施形態21に記載の滅菌インジケータ。
23.硫黄含有化合物がメチオニン、L−システイン、D−エチオニン、S−メチル−L−システイン、S−ベンジル−L−システイン、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオニン、L−シスタチオニン、N−アセチル−L−システイン、カルボキシメチルシステイン、D,L−ホモシステイン、D,L−ホモシステイン−チオラクトン、チオジプロピオン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態22に記載の滅菌インジケータ。
24.中和剤が非硫黄含有化合物である、実施形態21に記載の滅菌インジケータ。
25.非硫黄含有化合物がイソアスコルビン酸、フェリシアン化カリウム、ピルビン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態24に記載の滅菌インジケータ。
26.中和剤が滅菌中に滅菌剤から隔離される、実施形態21〜25のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
27.滅菌手順の有効性を試験するための方法であって、
滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、
容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、
多孔質担体内に分布する生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する、生物学的材料と、を含む、滅菌インジケータを準備することと、
滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成し、
生物学的材料を含む滅菌インジケータを滅菌手順に供し、
滅菌に続いて、検出可能な表示が存在するか、不在かを判定するための展開手順に滅菌インジケータを供し、
検出可能な表示の存在を滅菌手順の失敗と、及び検出可能な表示の不在を滅菌手順の成功と、相関させるための手段と、を含む、方法。
28.滅菌手順の有効性を試験するための方法であって、
滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、
容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、
多孔質担体内に分布する芽胞を含む生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する、生物学的材料と、を含む、滅菌インジケータを準備することと、
生物学的材料を含む滅菌インジケータを滅菌手順に供することと、
滅菌に続いて、pHインジケータを含む増殖培地と生物学的材料を組み合わせて、芽胞増殖を刺激する条件下で生物学的材料及び増殖培地の混合物をインキュベートすることと、
検出可能なpHシグナルを有する残存している芽胞が生物学的材料内で存在するか、不在かを判定することと、
検出可能なシグナルの存在を滅菌手順の失敗と、及び検出可能なシグナルの不在を滅菌手順の成功と、相関させることと、を含む、方法。
29.滅菌手順の有効性を試験するための方法であって、
滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、
容器内に収容され、容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、
活性酵素の源が多孔質担体内に分布し、活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する酵素活性を有し、活性酵素の源が試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化されるが、活性酵素の源が試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化しない、活性酵素の源を含む生物学的材料と、
滅菌手順の失敗の際に、活性酵素と反応して、検出可能なシグナルを有する酵素変性された生成物を生成する酵素基質と、を含む、滅菌インジケータを準備することと、
活性酵素の源を滅菌手順に供することと、
酵素と基質とを合わせて酵素変性された生成物を形成することと、
検出可能なシグナルを有する酵素変性された生成物が存在するか、不在かを判定することと、
検出可能なシグナルの存在を滅菌手順の失敗と、及び検出可能なシグナルの不在を滅菌手順の成功と、相関させることと、を含む、方法。
30.滅菌インジケータが二重急速読出インジケータであり、活性酵素の源が酵素活性試験のための活性酵素の源及び芽胞成長試験のための試験微生物の両方として機能する、微生物の芽胞を含む、実施形態29に記載の方法。
31.滅菌剤が酸化滅菌剤である、実施形態27〜30のいずれか一項に記載の方法。
32.滅菌手順が過酸化水素蒸気を使用する、実施形態27〜30のいずれか一項に記載の方法。
33.
中和剤が酵素でなく、金属触媒でない、滅菌インジケータ内で残留酸化滅菌剤を中和するために有効な量の中和剤を提供することと、
滅菌手順に活性酵素の源を供した後、多孔質担体及び中和剤を有する生物学的材料に接触することと、を更に含む、実施形態27〜32のいずれか一項に記載の方法。
34.滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータを作製する方法であって、
滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器を準備することと、
多孔質担体を準備することと、
容器の容積の少なくとも5%を占めるのに十分な量で多孔質担体を容器の中に配置することと、
多孔質担体内の生物学的材料であって、生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する生物学的材料を多孔質担体内に分布するように配置することと、
容器内の滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための1つ以上のコンポーネンツを配置することと、を含む、方法。
35.容器内の滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための1つ以上のコンポーネンツを配置することが、生きた芽胞の増殖及びpHインジケータを刺激する増殖培地を含む内側容器を配置することを含む、実施形態34に記載の方法。
36.容器内の滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための1つ以上のコンポーネンツを配置することが、活性酵素と反応して、検出可能な酵素−基質生成物を形成する酵素基質を含む内側容器を配置することを含む、実施形態34に記載の方法。
37.多孔質担体を準備することが、シート形状で不織布材料を準備し、三次元構造体を形成するようにシートを配合することを含む、実施形態34〜実施形態36に記載の方法。
本発明の目的及び利点を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量、並びに他の諸条件及び詳細によって、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。
材料及び方法
芽胞調整
すべての実施例で使用されるゲオバチルスステロサーモフィラス(ATCC 7953)芽胞は、TSA寒天平板培地で生成された。芽胞は、収穫され、ペレットは、4℃の脱イオン化HOで3回洗浄された。芽胞懸濁液を8000毎分回転数(rpm)で15分(min)間遠心分離し、きれいなクロップの容積は、無菌の脱イオン化HOを付加することによって800ミリリットル(mL)に至った。芽胞懸濁液の透過率の百分率が測定及び記録された(λ=625ナノメートル(nm))。
芽胞担体材料
14個の異なる芽胞担体材料が試験された。これらの芽胞担体材料は、すべて不織布サンプルであった。すべての不織布材料は、化学的性質及び/又は加工プロセスで異なっていた。
Figure 2014502503
3D多孔質担体を得るための芽胞担体材料の処理
過酸化水素浸透及び除去を容易にするために、それぞれの不織布サンプルは、三次元(3D)多孔質担体を得るように実験室の配合機(Waring Commercial,CN)で配合された。約1.6立方センチメートル(cm)の三次元多孔質担体がポリプロピレンスリーブ(直径=0.8cm)の底面部を満たすために使用された。すべての不織布サンプルを三次元多孔質担体材料に変態させるプロセスは、図5aに例示される。
芽胞コーティングプロセス及び生物学的インジケータの組立て
ゲオバチルスステロサーモフィラス芽胞懸濁液の72%の透過率を得るために希釈された。コーティングプロセスを改良するために、360マイクロリットル(μL)の30倍に希釈された芽胞懸濁液が三次元多孔質担体1.6cmに適用された。スリーブは、液体吸着効果を改良し、滑らかな芽胞コーティングを可能とするように圧搾された。配合された3D多孔質担体材料内に分布するコーティングされた芽胞を収容するスリーブは、58℃で16時間(一晩中)インキュベートされた。生物学的インジケータは、以上にリストされた芽胞コーティングされた多孔質担体が、紙芽胞ストリップの代わりに使用されたことを除き、3M ATTEST 1292生物学的インジケータ(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)のコンポーネンツを使用することによって組立てられた。1292培地アンプル、障壁、及び穿孔のキャップのような他のコンポーネンツが、また、使用された。
(実施例1)
疎水性接触角測定
不織布シート材料の疎水性は、水接触角測定によって判定された。接触角は、水によるシート形状の芽胞担体材料の濡れの定量的度量である。それは、液体、ガス及び固体が交差する三相境界での液体によって形成される角度として幾何学的に定義される。180°の接触角は、完全に疎水性の表面を表す。0°に近い接触角は、親水性の表面を表す。10〜20マイクロリットル(μL)量の液滴(sessile water droplet)が、それぞれの非配合不織布シート材料に適用された。不織布シート材料の疎水性は、水接触角の測定値によって判定された(表2)。接触角の結果に基づいて、担体材料は、2つの群に分類された。担体材料の第1の群は、ゼロに等しい接触角を有する親水性として特徴付けられた(Paper−591、CRANEGLAS、SX−314及びHEF140−114)。第2の群は、接触角30°以上を有する疎水性であった(CEREX PBN、TO505、SOFTEX、40AA0、SB3396018、UHF−50、DOODLE DUSTER、SRF2732A−1、UNILAYER、UNIPRO 125)。
Figure 2014502503
(実施例2)
担体材料判定の有効繊維直径(EFD)及びソリディティ(%)
圧力低下(ΔP)が、差圧流量計(TSI Inc.(St.Paul MN)から入手可能)を使用して、分毎15リットルの体積測定の空気流量で測定された。それぞれのΔP測定値のために、担体材料サンプル(それぞれの材料は上記のように処理/配合されている)の所与の坪量は、高さ4mmの材料のプラグを形成するように、7mmの内径を有するプラスチックチューブの中にパックされた。プラスチックチューブの1つの端部は、大気圧に対して、そしてもう1つの端部は、担体材料のプラグを介して一定の体積測定の空気流量を確立するために使用される真空ポンプに対して開いていた。差圧流量計は、プラスチックチューブを真空ポンプに接続する経路に存在した。大きな開口部を有するスクリム層は、ΔPの測定中にチューブ内に担体材料を保持するために、ポンプに接続されたプラスチックチューブの端部に蓋をするように使用された。2乗されたメートル毎グラムの坪量(g/m)、パーセント(%)でのソリディティ、及び有効繊維直径(EFD)は、C.N.Davies,「The Separation of Airborne Dust and Particles,」Institution of Mechanical Engineers,London,Proceedings 1B,1952に明記されるように測定及び計算された。結果を表3に示す。有効繊維直径及びソリディティの両方は、比較のために坪量へ正規化された。親水性材料は、16〜41μmで含まれる正規化された有効繊維直径を示したが、疎水性担体についてのEFDは、33〜53μmであった。正規化されたソリディティの値は、親水性担体については16〜33%、疎水性材料については27〜36%であった。
Figure 2014502503
(実施例3)
残留過酸化水素の測定
この手順は、担体ストリップ材料によって保持される残留Hの量を判定するために実行された。この手順は、Thermo ScientificからのPEROXOQUANT定量的過酸化物アッセイキット番号23280を使用する。このアッセイは、キシレノールオレンジの存在下での第一鉄(Fe2+)の第二鉄イオン(Fe3+)への酸化に基づいて、Hを検出する。この複合物は、560ナノメートル(nm)で最高吸光度を有する紫色の生成物をもたらす。10ミリモル(mM)のHの原液の濃度は、0.25、0.2、0.15、0.1、0.05、及び0.001mMのHを得るように希釈された。基準曲線は、全アッセイ値域上で線状ではなく、基準点を得るために二次又は最適な曲線を使用することが推奨される。5つのフラット担体ストリップが実験で使用された(4つのサンプルと1つの制御)。ストリップをきれいなチューブへ移動させた後、1.5mLを付加する。ストリップは、溶液を試験する前に、45分〜1時間水に浸された。キュベットでのサンプルと加工試薬との間の滞在時間は、決定的である。担体材料が滅菌中にHをどれだけよく吸収するかにより、サンプル溶液の希釈係数は、吸光度の1単位未満のターゲットを得るために、増やしたり、減らしたりしなければならない。これは、材料に存在するHの量を判定する際に最大限の正確度を保証する。
PEROXOQUANT定量的過酸化物アッセイキット法によって得られたデータは、表4に表される。これらのデータは、担体の疎水性に基づいて2つのカテゴリに分類される。親水性材料は、13〜273マイクログラム(μg)のH保持を表したが、疎水性担体は、0.03〜16.09μgのHを保持した。残留過酸化水素の量は、逆に、接触角測定によって評価される担体疎水性に相関する。
Figure 2014502503
(実施例4)
過酸化水素回復試験
本実施例は、芽胞成長で異なる親水性及び疎水性担体によって保持される残留過酸化水素の効果を比較する。3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な3M ATTEST 1292生物学的インジケータは、芽胞ストリップが14個の異なる処理をされた(配合された)多孔質芽胞担体材料と交換されるように変性された(表1)。変性された3M ATTEST 1292生物学的インジケータは、存在する芽胞個体群を殺菌するために蒸気滅菌された。蒸気滅菌されたBIは、その後、STERRAD 100S過酸化水素/プラズマ滅菌サイクルの後方及び底面のシェルフで曝露された。過酸化水素/プラズマ滅菌後直ぐに、およそ1×10、1×10、又は1×10のゲオバチルスステロサーモフィラス芽胞を含有する芽胞懸濁液が、それぞれのBIの担体材料上にピペットで掛けられた。担体材料毎に3つのBIがそれぞれの芽胞懸濁液を用いて試験された。それに続いて、増殖培地のアンプルは、それぞれのBIで粉砕され、すべてのBIは、60℃(+/−2℃)でインキュベートされた。24時間のインキュベート後、それぞれのBIは、増殖の表示(つまり、培地中のpHインジケータを紫から黄色にするpH変更)について観察された。
BI性能の残留過酸化水素の効果は、表5に示される。結果は、それぞれの濃度について試験された3つのBIのうちの正のBI増殖の数として表現される。データは、2つの群に分類され得る。第1の群は、すべて親水性である担体材料を含有し、この担体材料群は、コーティングされないBIがHに曝露された後、増殖を示さない(CRANEGLAS、SX−314、HEF140−114、及びPaper−591)。観察された増殖阻害は、残留過酸化水素の存在ゆえである可能性がある。第2の担体材料群は、疎水性材料を含んだ。これらの材料は、過酸化水素への曝露後、芽胞増殖を阻害しなかった(CEREX PBN、TO505、SOFTEX、40AA0、SB3396018、UHF−50、SRF2732A−1、UNILAYER、UNIPRO 125)。データは、H保持と担体材料の親水性との間には関係があることを示唆する。表5に表される疎水性、残留過酸化水素、及びBI性能データは、広くは、疎水性材料が芽胞担体に使用された場合、芽胞増殖の阻害がなかったことを示す。
Figure 2014502503
(実施例5)
生物学的インジケータ性能試験−増殖読出(24時間)
本実施例は、異なる親水性及び疎水性担体の性能を比較する。透過率72%を得るために、ゲオバチルスステロサーモフィラス芽胞懸濁液(3×10芽胞/mL)が希釈された。コーティングプロセスを改良するために、360マイクロリットル(μL)の30倍に希釈された芽胞懸濁液が、三次元多孔質担体の約1.6cmをコーティングするために使用された。配合された3D多孔質担体材料内に分布するコーティングされた芽胞を含有するスリーブは、58℃で16時間(一晩中)インキュベートされた。以上にリストされた芽胞コーティングされた多孔質担体が、紙芽胞ストリップの代わりに使用されたことを除き、3M ATTEST 1292生物学的インジケータ(3M Company of St.Paul,MNから入手可能)のコンポーネンツを使用することによって組立てられた。1292培地アンプルのような他のコンポーネンツ及び穿孔のキャップが、また、使用された。
すべての生物学的インジケータ(BI)は、100GMP STERRAD容器(Advanced Sterilization Products,CA)を使用して試験された。BI(生物学的インジケータ)サンプルは、100GMP STERRAD容器の後方及び底面のシェルフで試験された。これらのBIは、10秒〜8分(半分のサイクル)、過酸化水素蒸気に曝露された。59%のHの1.8mLの容積が、試験されたそれぞれのサイクルのために隔膜を介してSTERRAD容器チャンバ内に入射された。実施例4に記載されるように、生物学的インジケータアンプルは、活性化され(粉砕され)、BIは、その後、インキュベートされて、24時間の増殖読出しについて観察された。
STERRAD容器で異なった回数曝露されたH BIから得られるデータは、表6に表される。結果は、それぞれのサイクルについて試験された5つのBIのうちの正のBI増殖の数として表現される。親水性担体材料上でコーティングされる芽胞は、変化する過酸化水素曝露に矛盾する応答を表示した。親水性材料(CRANEGLAS、SX−314及びHEF140−114)は、1つ以上の型のサイクル又は異常な傾向(分留サイクル前に殺菌する)(Paper−591)を含む。
Figure 2014502503
(実施例6)
増殖読出の信頼性
BI増殖読出信頼性からのデータは、表7に表される。この試験は、日々の読出信頼性を調査するために実行された。これらのデータは、担体材料の疎水性に関係なく、1日目〜7日目までの信頼性のある増殖応答を示す。
Figure 2014502503
(実施例7)
相関蛍光/増殖
8時間蛍光と24時間増殖読出との間の相関は、表8に表される。これらの結果は、10個のうちの8個の疎水性多孔質担体材料が、蛍光と増殖との間の100%の相関を表示したことを示す。対照的に、多孔質親水性型の材料の中では、4個のうちの2個の担体のみが100%相関した。
Figure 2014502503
(実施例8)
残留過酸化水素芽胞回復法の改善
サンプルのそれぞれの型のコーティングされていない(芽胞なし)三次元多孔質担体の約1.6cmが、BI構成で組立てられた。コーティングされていないBIは、すべて、100GMP STERRAD容器を使用して、8分間、過酸化水素蒸気に曝露された。過酸化水素蒸気への曝露後、BIは分解され、担体材料は、その後、BI毎に10、10、及び10の芽胞を得るために、異なる希釈係数を使用してコーティングされた。芽胞回復能力を試験するために、1グラム毎リットル(g/L)のチオ硫酸ナトリウム(Na)50μLがそれぞれのBIに付加された。BIは組立てられ、砕かれて、8時間蛍光及び24時間増殖読出のためインキュベートされた。
この実験は、「中和剤」(チオ硫酸ナトリウム)を使用する残留過酸化水素の改善を示した。1グラム/Lのチオ硫酸ナトリウム50μLの付加後、すべての担体材料からのすべてのBIは、疎水性に関係なく、正の増殖である。表9の結果は、それぞれの濃度について試験された3つのBIのうちの正のBI増殖の数として表現される。結果は、特定された条件で使用されたチオ硫酸ナトリウムが良好な芽胞回復剤であることを示す。これらの結果は、親水性担体材料が過酸化水素滅菌のために設計されたBI内で使用される場合、チオ硫酸ナトリウムのような回復剤が残留過酸化水素を取り除くために使用されるべきことを示唆した。疎水性担体は、残留Hを除去、又はその量を著しく低減することを促進する。
Figure 2014502503
(実施例9)
担体材料の空間的形状及びBI性能への効果
過酸化水素保持及びBI性能への担体の疎水性効果をより良く理解するために、湿潤剤(SILWET 77;Union Carbide Corporation(Danbury,CT))が、表面特性を変更するように使用された。2個の疎水性材料(T0505及びUNIPRO 125)が選択され、親水性にされた。T0505及びUNIPRO 125担体の両方が2D(二次元又はシート形状)及び3D(三次元多孔質形状)で試験された。BIが組立てられ、3つの異なる曝露時間で試験された(表10)。曝露時間が増大する場合に減少する芽胞抵抗が、3D多孔質形状の両方の疎水性担体が湿潤剤によって処置されない場合のみに、観察される。これは、疎水性及び担体構成がBI性能において役割を果たすことを示す。
Figure 2014502503
(実施例10)
担体材料の空間的形状及び残留過酸化水素の効果
表11は、親水性担体が2D又は3D形状で、及び中和剤のチオ硫酸ナトリウム有り又は無しで使用される場合のBI性能データを表す。データは、中和剤がBIに付加されると、より多くの正の増殖が検出されることを示す。
Figure 2014502503
(実施例11)
蒸気滅菌の適用
芽胞クロップ濃度は、67%の透過率を得るように調整された。10%のソルビトールがコーティング溶液に付加された。芽胞は、表12に示される、選択された多孔質材料上にコーティングされ、インキュベートされた。その後、生物学的インジケータは、これらの芽胞コーティングされた多孔質材料を使用して、上の芽胞コーティングプロセス及び生物学的インジケータの組立セクションに記載されるように組立てられた。各サンプルについて、サイクル毎に4個のBIが、121℃重力で7、11、及び15分間、蒸気に曝露された。BIは、蒸気BIER容器(Joslyn Model No.SB−001 sterilizer,Joslyn Sterilizer Corporation(Farmington,NY))内で試験された。BIは、活性化され(砕かれ)、3時間蛍光読出及び24時間増殖読出のためにインキュベートされた。
BIは、3M Co.から入手可能な290 AutoReaderを使用して、商業上入手可能な1292蒸気急速読出生物学的インジケータのような条件で試験された。表12は、HEF140−114、T0505、及びUnilayerが使用される場合に曝露時間が増大するときの減少する芽胞抵抗を示し、本発明が滅菌剤としての蒸気と一緒に使用され得ることを実証する。
Figure 2014502503
(実施例12)
エチレンオキシド滅菌への適用
芽胞クロップ濃度は、15%の透過率を得るように調整された。7%のソルビトールがコーティング溶液に付加された。芽胞は、上の芽胞コーティングセクションに記載されるようにコーティングされ、インキュベートされて、組立てられた。それぞれのサンプルについて、サイクル毎に4個のBIが、Oxyfumeサイクルを使用して、17、24、及び30分間、エチレンオキシドガスに曝露された。BIは、エチレンオキシドBIER容器(Joslyn Model No.EB−001 sterilizer,Joslyn Sterilizer Corporation(Farmington,NY))内で試験された。BIは、砕かれて、4時間蛍光及び24時間増殖読出のためにインキュベートされた。
BIは、商業上入手可能な1294エチレンオキシド急速読生物学的インジケータのような同様の条件で試験された。表13は、HEF140−114、T0505、及びUnilayerが使用される場合に曝露時間が増大するときの減少する芽胞抵抗を示し、本発明が滅菌剤としてのEOと使用され得ることを実証する。
Figure 2014502503
(実施例13)
代替の生物学的インジケータのバイアル瓶形状
いくつかの生物学的滅菌インジケータ(BI)が、以上の詳述で提供された説明に従い、また図6〜7にしめされるように、小さい形状の生物学的インジケータのバイアル瓶で調整された。実施例13で使用されるBIの詳細は、以下に提供される。
芽胞調整
ゲオバチルスステロサーモフィラス芽胞は、上記の同じやり方で生成され、調整された。
芽胞担体材料
UNILAYERポリプロピレン不織布材料は、上記のように「3D」芽胞担体材料を得るように加工された(実験室の配合機で配合された)。この芽胞担体材料の約1.6cmは、生物学的インジケータのバイアル瓶ハウジング202の下部214の第2のチャンバ211を満たすために使用された。
芽胞コーティングプロセス
ゲオバチルスステロサーモフィラス芽胞懸濁液の異なる百分率の透過率(8%、20%及び45%T)を得るために、芽胞懸濁液の原液の希釈がなされた。コーティングプロセスを改善するために、10倍に希釈された芽胞懸濁液120マイクロリットル(μL)が三次元のUNILAYERポリプロピレン不織布多孔質芽胞担体の約1.6cmに適用された。芽胞コーティングされた芽胞担体材料を含有するスリーブは、58℃で16時間(一晩中)インキュベートされた。
小さい容積形状の生物学的インジケータ組立て
小さい容積形状の生物学的インジケータ(図6〜7)は、まず芽胞コーティングされた担体材料を挿入し、その後、インサート(ブレーカ)、増殖培地のアンプル、及びキャップを挿入することによって組立てられた。アンプル培地は、現在入手可能な3M ATTEST 1292生物学的インジケータの増殖培地を使用して、配合された。
過酸化水素のSTERRAD容器BI曝露
多孔質担体材料のすべての小さい容積形状の生物学的インジケータ(図6〜7)は、STERRAD NX容器(Advanced Sterilization Products(California,USA))を使用して、試験された。小さい容積形状の生物学的インジケータ(図6〜7)のサンプルは、過酸化水素チャンバ写像で実行された以前の実験に基づいて、STERRAD NX容器の中間及び底面のシェルフで、試験された。20個のBIが2分〜7分(半分のサイクル)、過酸化水素蒸気へ曝露された。59%のH、1.8mLが、試験されたそれぞれのサイクルについて、隔膜を介して容器チャンバの中に入射された。生物学的インジケータアンプルは、砕かれ、BIは、その後、8時間蛍光及び24時間増殖読出のためにインキュベートされた。
小さい形状のBIバイアル瓶での結果
小さい容積形状の生物学的インジケータ(図6〜7)内蔵型の多孔質ポリプロピレン芽胞担体にコーティングされた異なる芽胞個体群が試験された。表14、15及び16は、8%、20%及び45%の透過率での小さい容積形状のBI性能を表す。表は、それぞれのサイクル毎に試験された4個のBIのうちの正のBI蛍光又は増殖の数を提示する。BIは、30秒〜7分で変化する過酸化水素への曝露(半分のサイクル)の異なったサイクルで試験された。これらのデータは、3つの型のサイクル(残存、分留及び殺菌サイクル)を示す。
Figure 2014502503
45%の透過率でコーティングされたBIは、30秒での残存、1〜2分での分留、及び59%の過酸化水素への7分の曝露での殺菌を示す。
Figure 2014502503
20%の透過率でコーティングされたBIは、2〜3分間の分留及び59%の過酸化水素への4分間の曝露後の滅菌を示す。
Figure 2014502503
8%の透過率でコーティングされたBIは、2分での残存、3分での分留、及び59%の過酸化水素への4分間の曝露後の殺菌を示す。
光の増殖への相関&増殖読出信頼性(ROR)
8時間蛍光と7日間増殖読出との間には、全体として良好な相関があった。加えて、1日目での正のBI増殖の数は、それぞれの芽胞個体群について、2日目、3日目、4日目及び7日目の正の増殖の数と良好な相関を示した。これは良好な増殖の「読出信頼性」(ROR)を示した。
蛍光を正に変化させる時間
蛍光を正に変化させる時間に関するデータは、45%T、20%T、及び8%Tの芽胞個体群について、それぞれ、表17、18及び19に要約される。蛍光を正に変化させる時間は、30分〜4時間で変動する。
Figure 2014502503
Figure 2014502503
Figure 2014502503
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示内容を、あたかもそれぞれが個々に援用されたのと同様にしてそれらの全容を援用するものである。本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく本開示に対する様々な改変及び変更が可能であることは当業者には明らかであろう。本開示は本明細書に記載される説明的実施形態及び実施例によって不要に限定されるものではない点、更にこうした実施例及び実施形態はあくまで一例として示されるものであって本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである点は理解されるはずである。

Claims (20)

  1. 滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータであって、
    前記滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する容器と、
    前記容器内に収容され、前記容器の容積の少なくとも5%を占める多孔質担体と、
    前記多孔質担体内に分布する生物学的材料であって、前記生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する、生物学的材料と、
    滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための手段と、を含む、滅菌インジケータ。
  2. 前記生物学的材料が活性酵素の源を含み、前記活性酵素が滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する酵素活性を有し、前記活性酵素の前記源が前記試験微生物に致死性である滅菌手順によって不活性化され、前記活性酵素の前記源が前記試験微生物に亜致死性である滅菌手順によって不活性化されず、前記検出可能な表示を形成する前記手段が酵素変性された生成物を形成するための手段を含む、請求項1に記載の滅菌インジケータ。
  3. 前記容器が外側容器を画定し、前記検出可能な表示を形成するための前記手段が前記外側容器内に易破壊性の内側容器を備え、前記内側容器が、
    前記滅菌手順で使用される前記滅菌剤に不浸透性であり、
    酵素基質を含み、
    前記酵素基質が前記活性酵素と反応することを可能にするように破壊されて、滅菌手順の失敗の検出可能な表示を提供する酵素変性された生成物を形成することができるように適合される、請求項2に記載の滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータ。
  4. 前記多孔質担体が前記容器の容積の50%以下を占める、請求項1〜3のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
  5. 前記多孔質担体が5%を超えるソリディティを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
  6. 前記多孔質担体が、10マイクロメートルを超える有効繊維直径を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
  7. 前記多孔質担体が疎水性材料を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
  8. 前記多孔質担体が親水性材料を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
  9. 前記生物学的材料が微生物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
  10. 前記生物学的材料が単離された酵素を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
  11. 残留酸化滅菌剤を中和するために有効な量で前記インジケータ内に配置される中和剤を更に含み、前記中和剤が酵素でなく、金属触媒でない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の滅菌インジケータ。
  12. 前記中和剤が滅菌中に前記滅菌剤から隔離される、請求項11に記載の滅菌インジケータ。
  13. 滅菌手順の有効性を試験するための方法であって、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載の滅菌インジケータを準備することと、
    生物学的材料を含む前記滅菌インジケータを滅菌手順に供することと、
    滅菌に続いて、検出可能な表示が存在するか、不在かを判定するための展開手順に前記滅菌インジケータを供することと、
    前記検出可能な表示の前記存在を前記滅菌手順の失敗と、及び前記検出可能な表示の前記不在を前記滅菌手順の成功と、相関させることと、を含む、方法。
  14. 前記滅菌インジケータを前記展開手順に供することが、前記生物学的材料とpHインジケータを含む増殖培地とを含む混合物を形成することと、芽胞増殖を刺激する条件下で前記混合物をインキュベートすることと、を含み、前記検出可能な表示が検出可能なpHシグナルを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記生物学的材料が活性酵素の源を含み、
    前記活性酵素が、滅菌手順の有効性を監視するために通常使用される少なくとも1つの試験微生物の残存と相関する酵素活性を有し、
    前記活性酵素の前記源が、前記試験微生物に致死性の滅菌手順によって不活性化され、
    前記活性酵素の前記源が、前記試験微生物に亜致死性の滅菌手順によって不活性化されず、
    前記検出可能な表示を形成する前記手段が、滅菌手順の失敗の際に、前記活性酵素と反応して、検出可能なシグナルを有する酵素変性された生成物を形成する酵素基質を含み、
    前記滅菌インジケータを前記展開手順に供することが、前記酵素と前記基質とを合わせて酵素変性された生成物を形成することを含み、
    前記検出可能な表示が前記酵素変性された生成物を含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記滅菌インジケータが二重急速読出インジケータであり、活性酵素の前記源が、酵素活性試験のための活性酵素の前記源及び前記芽胞成長試験のための前記試験微生物の両方として機能する微生物の芽胞を含む、請求項14に記載の方法。
  17. 前記滅菌剤が酸化滅菌剤である、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記滅菌手順が過酸化水素蒸気を使用する、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
  19. 滅菌手順の有効性を試験するための滅菌インジケータを作製する方法であって、
    前記滅菌手順中に滅菌剤が中に入ることを可能にする少なくとも1つの開口部を有する前記容器を準備することと、
    多孔質担体を準備することと、
    前記容器の容積の少なくとも5%を占めるために十分な量で前記容器の中へ前記多孔質担体を配置することと、
    前記多孔質担体内の生物学的材料であって、前記生物学的材料が有効な滅菌手順の結果として不活性化され、無効な滅菌手順の結果として検出可能な表示を提供する、滅菌手順の有効性を監視するために一般に使用される少なくとも1つの試験微生物の残存に相関する前記生物学的材料を前記多孔質担体内に分布するように配置することと、
    前記容器の中で滅菌手順の失敗の検出可能な表示を形成するための1つ以上のコンポーネンツを必要に応じて配置することと、
    滅菌インジケータを形成する構成で前記容器、多孔質担体、生物学的材料、及び選択的コンポーネンツを組み立てることと、を含む、方法。
  20. 多孔質担体を準備することが、シート形状で不織布材料を準備することと、三次元構造体を形成するように前記シートを配合することと、を含む、請求項19に記載の方法。
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