JP2014239678A - 組換え微生物 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属の取込み能を向上させた、組換え微生物を提供する。
【解決手段】金属取込み遺伝子、及び該金属取込み遺伝子がコードするタンパク質により菌体内に取込まれる金属に対して結合能を有するタンパク質をコードする金属結合遺伝子、を宿主微生物に導入した、組換え微生物、並びに前記組換え微生物を用いた金属を回収又は除去するための微生物バイオリアクター、金属の回収方法、金属の除去方法、金属含有溶液又は金属含有土壌の処理方法、及びタンパク質の作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、組換え微生物に関する。
石油精製プロセスに用いられる触媒、防腐剤の有効成分、工業用オイルの添加剤、電気・電子機器、医療分野で用いられる抗菌剤には、Co(銅)、Ni(ニッケル)、V(バナジウム)、Fe(鉄)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Mn(マンガン)、Ag(銀)、Au(金)等の単体金属、又はこれらの金属の酸化物若しくは硫化物が広く用いられている。これらの金属の中には希少価値の高いものも含まれている。
一方で、工業用廃水、生活用廃水には、重金属又は重金属化合物が高濃度で含まれる場合がある。このような廃水によって土壌や水質が汚染された場合、単体金属又は金属化合物を除去する必要がある。
このような理由から、金属又は金属化合物を効率的に回収する方法が求められている。
従来、単体金属又は金属化合物の回収方法としては、化学的に単体金属又は金属化合物を回収する方法が一般的であった。例えばモリブデン酸などの金属又は金属化合物の化学的な回収方法が提案されている。しかし、単体金属又は金属化合物の化学的な回収方法は多くのエネルギーが必要であり、環境に対する負荷が大きい。そのため、エネルギーの消費が少なく、環境に対する負荷が少ない、単体金属又は金属化合物の回収方法が求められている。
エネルギーの消費が少なく、環境に対する負荷が少ない単体金属又は金属化合物の回収方法として、微生物を用いた回収方法が近年注目されている。例えば、単体金属又は金属化合物を捕捉するタンパク質をコードする遺伝子を導入した微生物を用いて単体金属又は金属化合物を回収する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜9参照)。さらに、非特許文献1及び2には、モリブデン酸を吸着するタンパク質を酵母の細胞の表層に呈示させ、細胞の表層でモリブデン酸を吸着させる方法が記載されている。
特開2000−210083号公報 特開2001−275683号公報 特開2003−284556号公報 特開2004−357566号公報 特開2007−136442号公報 特開2010−41975号公報 特表平6−506503号公報 特開2008−131929号公報 特開2009−178145号公報
T.NISHITANI,et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,2010,vol.86,p.641-648 K.KURODA,et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,2012,vol.96,p.153-159
本発明は、単体金属又は金属化合物(以下、これらをまとめて単に「金属」ということがある)の取込み能を向上させた、組換え微生物の提供を課題とする。
また、本発明は、優れた金属取込み能を有し、かつ金属が高濃度で存在しても生育可能な、組換え微生物の提供を課題とする。
また、本発明は、効率的な金属の回収又は除去が可能な、金属を回収又は除去するための微生物バイオリアクターの提供を課題とする。
また、本発明は、環境に対する負荷が低く、効率的な金属の除去が可能な、金属の除去方法の提供を課題とする。
また、本発明は、環境に対する負荷が低く、効率的な金属の回収又は除去が可能な、金属含有溶液又は金属含有土壌の処理方法の提供を課題とする。
また、本発明は、金属を補酵素とするタンパク質の効率的な作製が可能な、タンパク質の作製方法の提供を課題とする。
微生物の菌体内に金属を効率的に取り込ませるために、金属取込み遺伝子を強制的に発現させることで、この遺伝子がコードするタンパク質の作用により金属の菌体内への取込み能は向上する。しかし、菌体内に取込まれる金属によってはその毒性により、微生物の増殖能が低下する場合がある。
そこで、金属の菌体内への取込み能を向上させるとともに、高濃度で金属が存在する環境下でも増殖が可能な組換え微生物について鋭意検討を行った。その結果、金属取込み遺伝子に加えて、金属結合遺伝子を強制的に発現させることで、菌体内に取込まれた金属と、金属結合遺伝子がコードするタンパク質との結合により、菌体内に取込まれた金属を無毒化し、高濃度で金属が存在する環境下でも増殖が可能であることを見出した。そして、これらの遺伝子を導入した組換え微生物が、金属の回収や除去、金属を補酵素とするタンパク質の作製などに好適であることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成するに至った。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
(1)金属取込み遺伝子、及び
該金属取込み遺伝子がコードするタンパク質により菌体内に取込まれる金属に対して結合能を有するタンパク質をコードする金属結合遺伝子、
を宿主微生物に導入した、組換え微生物。
(2)前記金属が遷移金属単体又は遷移金属化合物である、前記(1)項に記載の組換え微生物。
(3)前記金属がモリブデン単体又はモリブデン化合物である、前記(1)又は(2)項に記載の組換え微生物。
(4)前記モリブデン化合物がモリブデン酸又はその塩である、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(5)前記金属取込み遺伝子が、大腸菌由来のmodA遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子、大腸菌由来のmodB遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子、大腸菌由来のmodC遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子、及び大腸菌由来のmodF遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子から構成される遺伝子である、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(6)前記modA遺伝子が下記DNA(a)又は(b)からなる遺伝子である、前記(5)項に記載の組換え微生物。
(a)配列番号1の塩基配列のうち2874〜3647番目の塩基配列からなるDNA
(b)前記(a)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModAをコードするDNA
(7)前記modB遺伝子が下記DNA(c)又は(d)からなる遺伝子である、前記(5)又は(6)項に記載の組換え微生物。
(c)配列番号1の塩基配列のうち3647〜4336番目の塩基配列からなるDNA
(d)前記(c)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModBをコードするDNA
(8)前記modC遺伝子が下記DNA(e)又は(f)からなる遺伝子である、前記(5)〜(7)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(e)配列番号1の塩基配列のうち4339〜5397番目の塩基配列からなるDNA
(f)前記(e)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModCをコードするDNA
(9)前記modF遺伝子が下記DNA(g)又は(h)からなる遺伝子である、前記(5)〜(8)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(g)配列番号1の塩基配列のうち101〜1573番目の塩基配列からなるDNA
(h)前記(g)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModFをコードするDNA
(10)前記金属取込み遺伝子が、前記組換え微生物の細胞内で自己複製可能なプラスミドに組み込まれている、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(11)前記金属取込み遺伝子の上流に、前記組換え微生物において機能を有する転写開始制御領域及び/又は翻訳開始制御領域を有する、前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(12)前記金属結合遺伝子が、大腸菌由来のmodE遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子から構成される遺伝子である、前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(13)前記modE遺伝子が下記DNA(i)又は(j)からなる遺伝子である、前記(12)項に記載の組換え微生物。
(i)配列番号1の塩基配列のうち1641〜2429番目の塩基配列からなるDNA
(j)前記(i)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModEをコードするDNA
(14)前記金属結合遺伝子が、前記組換え微生物の細胞内で自己複製可能なプラスミドに組み込まれている、前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(15)前記金属結合遺伝子の上流に、前記組換え微生物において機能を有する転写開始制御領域及び/又は翻訳開始制御領域を有する、前記(1)〜(14)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(16)前記宿主微生物が大腸菌である、前記(1)〜(15)のいずれか1項に記載の組換え微生物。
(17)前記(1)〜(16)のいずれか1項に記載の組換え微生物が固定化されている、金属を回収又は除去するための微生物バイオリアクター。
(18)前記(1)〜(16)のいずれか1項に記載の組換え微生物と金属含有媒体とを接触させ、前記媒体に含まれる金属を前記組換え微生物の菌体内に取込み、菌体内に取込まれた金属を回収する、金属の回収方法。
(19)前記(1)〜(16)のいずれか1項に記載の組換え微生物と金属含有媒体とを接触させ、前記媒体から金属を除去する、金属の除去方法。
(20)前記(1)〜(16)のいずれか1項に記載の組換え微生物と金属を含有する溶液又は土壌とを接触させ、前記溶液又は土壌から金属を除去又は回収する、金属含有溶液又は金属含有土壌の処理方法。
(21)金属を補酵素とするタンパク質をコードする遺伝子を前記(1)〜(16)のいずれか1項に記載の組換え微生物に導入し、金属を含有する培地で前記組換え微生物を培養し、前記タンパク質を発現させる、タンパク質の作製方法。
本発明の組換え微生物は、優れた金属の取込み能を有する。
また、本発明の組換え微生物は、優れた金属の取込み能を有し、かつ金属が高濃度で存在しても生育可能である。
また、本発明の微生物バイオリアクターは、効率的に金属の回収又は除去が可能である。
また、本発明の金属の除去方法は、環境に対する負荷が低く、効率的に金属の除去が可能である。
また、本発明の金属含有溶液又は金属含有土壌の処理方法は、環境に対する負荷が低く、効率的に金属の回収又は除去が可能である。
また、本発明のタンパク質の作製方法は、金属を補酵素とするタンパク質を効率的に作製することが可能である。
金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子のクローニング工程の1例を説明するための、プラスミド構築フローを示す図である。 実施例の製造例2で作成した形質転換体(BW25113/pBAD33、BW25113/pMAY2、及びBW25113/pMAY26)のモリブデン酸ナトリウムに対する感受性を示す図である。 図3(A)は、実施例の製造例2で作成した形質転換体(BW25113/pBAD33及びBW25113/pMAY26)の塩化マンガンに対する感受性を示す図である。図3(B)は、実施例の製造例2で作成した形質転換体(BW25113/pBAD33、BW25113/pMAY26)の塩化ニッケルに対する感受性を示す図である。図3(C)は、実施例の製造例2で作成した形質転換体(BW25113/pBAD33及びBW25113/pMAY26)の塩化コバルトに対する感受性を示す図である。図3(D)は、実施例の製造例2で作成した形質転換体(BW25113/pBAD33及びBW25113/pMAY26)の塩化クロムに対する感受性を示す図である。 図4(A)は、モリブデン酸ナトリウムを含むLB液体培地を用いて実施例の製造例4で作成した形質転換体BW25113/pTrc99A-pBAD33を培養したときの、吸光度の経時変化を示す図である。図4(B)は、モリブデン酸ナトリウムを含むLB液体培地を用いて実施例の製造例4で作成した形質転換体BW25113/pTRME01-pBAD33を培養したときの、吸光度の経時変化を示す図である。図4(C)は、モリブデン酸ナトリウムを含むLB液体培地を用いて実施例の製造例4で作成した形質転換体BW25113/pTrc99A-pMAY26を培養したときの、吸光度の経時変化を示す図である。図4(D)は、モリブデン酸ナトリウムを含むLB液体培地を用いて実施例の製造例4で作成した形質転換体BW25113/pTRME01-pMAY26を培養したときの、吸光度の経時変化を示す図である。 図5(A)は金属取込み遺伝子のクローニング工程の1例を説明するためのプラスミド構築フローを示す図であり、図5(B)は金属結合遺伝子のクローニング工程の1例を説明するためのプラスミド構築フローを示す図である。 塩化マンガンを含むLB液体培地を用いて実施例の製造例6で作成した形質転換体(BW25113/pQE80L及びBW25113/pQEMH03)を培養したときの、各形質転換体に含まれるマンガン量を示す図である。 塩化マンガンを含むLB液体培地を用いて実施例の製造例8で作成した形質転換体(JW5830/pBAD33及びJW5830/pBAMR02)を培養したときの、各形質転換体に含まれるマンガン量を示す図である。
本発明に係る組換え微生物は、金属取込み遺伝子と、該金属取込み遺伝子がコードするタンパク質により菌体内に取込まれる金属に対して結合能を有するタンパク質をコードする金属結合遺伝子、を宿主微生物に導入した、組換え微生物である。
宿主微生物に金属取込み遺伝子を導入し当該遺伝子を強制的に発現させることで、組換え微生物の金属の取込み能(金属に対する組換え微生物の感受性)は向上する。しかし、菌体内に取込まれた金属が蓄積すると、金属の毒性により組換え微生物の生育が困難となる場合がある。そこでこのような場合、金属取込み遺伝子の他に、該金属取込み遺伝子がコードするタンパク質により菌体内に取込まれる金属に対して結合能を有するタンパク質をコードする金属結合遺伝子を導入し、これらの遺伝子を強制的に発現させると、菌体内に取込まれた金属と金属結合タンパク質遺伝子がコードするタンパク質(以下、「金属結合タンパク質」ともいう)とが結合することで金属を無毒化し、金属が高濃度で存在する環境下でも組換え微生物の生育が可能となる。
本明細書において「金属取込み遺伝子」とは、微生物の菌体内に金属を取込む機能を有するタンパク質をコードする遺伝子をいう。また、「金属結合遺伝子」とは、菌体内に存在する金属(好ましくは前記金属取込み遺伝子により菌体内に取込まれる金属)に対する結合能を有するタンパク質をコードする遺伝子をいう。
また、本明細書において「金属」とは、単体金属及び金属化合物を包含する。前記単体金属としては特に制限はないが、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、金などの遷移金属、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ヒ素などの半金属が挙げられる。これらのうち、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、金などの遷移金属が好ましく、モリブデン、マンガン、銅、銀、又は金がより好ましく、モリブデンがさらに好ましい。また、金属化合物としては、前記単体金属の酸化物、硫化物、オキソアニオン又はその塩などが挙げられる。
本発明で用いる金属取込み遺伝子と金属結合遺伝子に特に制限はない。
前記金属がモリブデン単体又はモリブデン化合物の場合、前記金属取込み遺伝子は、大腸菌由来のmodA遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「modA遺伝子」ともいう)、大腸菌由来のmodB遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「modB遺伝子」ともいう)、大腸菌由来のmodC遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「modC遺伝子」ともいう)、及び大腸菌由来のmodF遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「modF遺伝子」ともいう)から構成される遺伝子であることが好ましい。また、前記金属結合遺伝子は、大腸菌由来のmodE遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「modE遺伝子」ともいう)であることが好ましい。
前記金属がマンガン又はマンガン化合物の場合、前記金属取込み遺伝子は大腸菌由来のmntH遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「mntH遺伝子」ともいう)であることが好ましい。また、前記金属結合遺伝子は、大腸菌由来のmntR遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「mntR遺伝子」ともいう)であることが好ましい。
前記金属が銅若しくは銅化合物、銀若しくは銀化合物、又は金若しくは金化合物の場合、前記金属取込み遺伝子は大腸菌由来のcopA遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「copA遺伝子」ともいう)であることが好ましい。また、前記金属結合遺伝子は、大腸菌由来のcueR遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子(以下、単に「cueR遺伝子」ともいう)であることが好ましい。
本明細書において、遺伝子の名称は、米国国立生物工学情報センター(The National Center for Biotechnology Information)により公開されている大腸菌ゲノムのデータベースに基づき記載している(URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nucleotide/参照)。
以下、本発明で好ましく用いることができる金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子について説明する。
本明細書における「modA遺伝子」、「modB遺伝子」、「modC遺伝子」及び「modF遺伝子」は、それぞれタンパク質ModA、ModB、ModC及びModFをコードする遺伝子である(Maupin-Furlow JA,et al.,J.Bacteriol.,1995,vol.177(17),p.4851-4856;Grunden AM,et al.,J.Bacteriol.,1996,vol.178(3),p.735-744参照)。これらのタンパク質が協働して、モリブデンをオキソアニオン又はその塩の形態で大腸菌の菌体内に取込む機能(モリブデン酸を大腸菌の菌体内に取込む機能)を有することが知られている(Maupin-Furlow JA,et al.,J.Bacteriol.,1995,vol.177,No.17,p.4851-4856;Grunden AM,et al.,J.Bacteriol.,1996,vol.178(3),p.735-744;Hemschemeier S,et al.,J.Bacteriol.,1991,vol.173(20),p.6499-6506など参照)。
また、本明細書における「modE遺伝子」は、タンパク質ModEをコードする遺伝子であり、原核生物に広く保存されている(Hemschemeier S,et al.,J.Bacteriol.,1991,vol.173(20),p.6499-6506;Studholme DJ,et al.,BMC Microbiol.,2003,vol.3,p.24参照)。ModEは、菌体内のモリブデン酸に対する結合能を有する(BMC Microbiol.,vol.3,No.24,2003;Hall DR,et al.,EMBO J.,1999,vol.18(6),p.1435-46;Schuttelkopf AW,et al.,J.Mol.Biol.,2003,vol.326(3),p.761-7など参照)。
modA遺伝子、modB遺伝子、modC遺伝子、modF遺伝子及びmodE遺伝子の全塩基配列、並びにこれらの遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸等は、米国国立生物工学情報センター(The National Center for Biotechnology Information)により公開されている大腸菌ゲノムのデータベース(URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nucleotide)などに記載されており、本発明はこれらを参考にすることができる。
modA遺伝子、modB遺伝子、modC遺伝子、modF遺伝子及びmodE遺伝子の塩基配列の1例を、配列番号1の塩基配列に基づいて説明する。なお、配列番号1に記載の塩基配列は、大腸菌K-12株のmodA遺伝子、modB遺伝子、modC遺伝子、modF遺伝子及びmodE遺伝子領域を含むゲノムDNAの塩基配列を示している。
modA遺伝子領域の塩基配列は、配列番号1の塩基配列のうち2874〜3647番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるmodA遺伝子は、配列番号1の塩基配列のうち2874〜3647番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、2874〜3647番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつModAをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodA遺伝子に含まれる。また、配列番号1に示す塩基配列のうち2874〜3647番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつModAをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodA遺伝子に含まれる。さらに、配列番号1に示す塩基配列のうち2874〜3647番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜155個、好ましくは1〜77個、より好ましくは1〜39個、さらに好ましくは1〜31個、よりさらに好ましくは1〜23個、特に好ましくは1〜15個、最も好ましくは1〜8個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつModAをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodA遺伝子に含まれる。
modB遺伝子領域の塩基配列は、配列番号1の塩基配列のうち3647〜4336番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるmodB遺伝子は、配列番号1の塩基配列のうち3647〜4336番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、3647〜4336番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつModBをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodB遺伝子に含まれる。また、配列番号1に示す塩基配列のうち3647〜4336番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつModBをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodB遺伝子に含まれる。さらに、配列番号1に示す塩基配列のうち3647〜4336番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜138個、好ましくは1〜69個、より好ましくは1〜34個、さらに好ましくは1〜27個、よりさらに好ましくは1〜20個、特に好ましくは1〜13個、最も好ましくは1〜7個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつModBをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodB遺伝子に含まれる。
modC遺伝子領域の塩基配列は、配列番号1の塩基配列のうち4339〜5397番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるmodC遺伝子は、配列番号1の塩基配列のうち4339〜5397番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、4339〜5397番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつModCをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodC遺伝子に含まれる。また、配列番号1に示す塩基配列のうち4339〜5397番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつModCをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodC遺伝子に含まれる。さらに、配列番号1に示す塩基配列のうち4339〜5397番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜212個、好ましくは1〜106個、より好ましくは1〜53個、さらに好ましくは1〜42個、よりさらに好ましくは1〜32個、特に好ましくは1〜21個、最も好ましくは1〜11個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつModCをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodC遺伝子に含まれる。
modF遺伝子領域の塩基配列は、配列番号1の塩基配列のうち101〜1573番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるmodF遺伝子は、配列番号1の塩基配列のうち101〜1573番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、101〜1573番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつModFをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodF遺伝子に含まれる。また、配列番号1に示す塩基配列のうち101〜1573番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつModFをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodF遺伝子に含まれる。さらに、配列番号1に示す塩基配列のうち101〜1573番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜295個、好ましくは1〜147個、より好ましくは1〜74個、さらに好ましくは1〜59個、よりさらに好ましくは1〜44個、特に好ましくは1〜29個、最も好ましくは1〜15個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつModFをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodF遺伝子に含まれる。
modE遺伝子領域の塩基配列は、配列番号1の塩基配列のうち1641〜2429番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるmodE遺伝子は、配列番号1の塩基配列のうち1641〜2429番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、1641〜2429番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつModEをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodE遺伝子に含まれる。また、配列番号1に示す塩基配列のうち1641〜2429番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつModEをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodE遺伝子に含まれる。さらに、配列番号1に示す塩基配列のうち1641〜2429番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜158個、好ましくは1〜79個、より好ましくは1〜39個、さらに好ましくは1〜32個、よりさらに好ましくは1〜24個、特に好ましくは1〜16個、最も好ましくは1〜8個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつModEをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmodE遺伝子に含まれる。
本明細書における「mntH遺伝子」は、タンパク質MntHをコードする遺伝子である。大腸菌の菌株からmntH遺伝子を欠失させると、細胞内にマンガンを取り込む能力が消失し、細胞内に取込まれるマンガンの量が減少することが知られている(Makui H,et al.,Mol.Microbiol.,2000,vol.35(5),p.1065-1078など参照)。
また、本明細書における「mntR遺伝子」は、タンパク質MntRをコードする遺伝子である。MntRはマンガンに対する結合能を有し、その結合能がマンガンイオンの濃度に依存することが知られている(Patzer SI,et al.,J.Bacteriol.,2001,vol.183(16),p.4806-4813;Tanaka T,et al.,Proteins,2009,vol.77(3),p.741-746など参照)。
mntH遺伝子及びmntR遺伝子の全塩基配列、並びにこれらの遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸等は、米国国立生物工学情報センター(The National Center for Biotechnology Information)により公開されている大腸菌ゲノムのデータベース(URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nucleotide)などに記載されており、本発明はこれらを参考にすることができる。
mntH遺伝子及びmntR遺伝子の塩基配列の1例を、配列番号8及び10の塩基配列に基づいて説明する。なお、配列番号8及び10に記載の塩基配列はそれぞれ、大腸菌K株MG1655由来のmntH遺伝子及びmntR遺伝子領域を含むゲノムDNAの塩基配列を示している。
mntH遺伝子領域の塩基配列は、配列番号8の塩基配列のうち101〜1339番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるmntH遺伝子は、配列番号8の塩基配列のうち101〜1339番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、101〜1339番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつMntHをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmntH遺伝子に含まれる。また、配列番号8に示す塩基配列のうち101〜1339番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつMntHをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmntH遺伝子に含まれる。さらに、配列番号8に示す塩基配列のうち101〜1339番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜248個、好ましくは1〜124個、より好ましくは1〜62個、さらに好ましくは1〜50個、よりさらに好ましくは1〜37個、特に好ましくは1〜25個、最も好ましくは1〜12個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつMntHをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmntH遺伝子に含まれる。なお、MntHのアミノ酸配列を表9に示す。
mntR遺伝子領域の塩基配列は、配列番号10の塩基配列のうち101〜568番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるmntR遺伝子は、配列番号10の塩基配列のうち101〜568番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、101〜568番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつMntRをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmntR遺伝子に含まれる。また、配列番号10に示す塩基配列のうち101〜568番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、最も好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつMntRをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmntR遺伝子に含まれる。さらに、配列番号10に示す塩基配列のうち101〜568番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜94個、好ましくは1〜47個、より好ましくは1〜23個、さらに好ましくは1〜19個、よりさらに好ましくは1〜14個、特に好ましくは1〜9個、最も好ましくは1〜5個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつMntRをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるmntR遺伝子に含まれる。なお、MntRのアミノ酸配列を表11に示す。
本明細書における「copA遺伝子」は、タンパク質CopAをコードする遺伝子であり、銅を大腸菌の菌体内に取込む機能を有することが知られている。また、本明細書における「cueR遺伝子」は、タンパク質CueRをコードする遺伝子であり、銅に対する結合能を有することが知られている。
copA遺伝子及びcueR遺伝子の全塩基配列、並びにこれらの遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸等は、米国国立生物工学情報センター(The National Center for Biotechnology Information)により公開されている大腸菌ゲノムのデータベース(URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nucleotide)などに記載されており、本発明はこれらを参考にすることができる。
copA遺伝子及びcueR遺伝子の塩基配列の1例を、配列番号16及び18の塩基配列に基づいて説明する。なお、配列番号16及び18に記載の塩基配列はそれぞれ、大腸菌K株MG1655由来のcopA遺伝子及びcueR遺伝子領域を含むゲノムDNAの塩基配列を示している。
copA遺伝子領域の塩基配列は、配列番号16の塩基配列のうち101〜2605番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるcopA遺伝子は、配列番号16の塩基配列のうち101〜2605番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、101〜2605番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつCopAをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるcopA遺伝子に含まれる。また、配列番号16に示す塩基配列のうち101〜2605番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、最も好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつCopAをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるcopA遺伝子に含まれる。さらに、配列番号16に示す塩基配列のうち101〜2605番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜501個、好ましくは1〜251個、より好ましくは1〜125個、さらに好ましくは1〜100個、よりさらに好ましくは1〜75個、特に好ましくは1〜50個、最も好ましくは1〜25個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつCopAをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるcopA遺伝子に含まれる。なお、CopAのアミノ酸配列を表17に示す。
cueR遺伝子領域の塩基配列は、配列番号18の塩基配列のうち101〜508番目の塩基配列に相当する。したがって、本発明で好ましく用いられるcueR遺伝子は、配列番号18の塩基配列のうち101〜508番目の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子が含まれる。また、101〜508番目の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつCueRをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるcueR遺伝子に含まれる。また、配列番号18に示す塩基配列のうち101〜508番目の塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、よりさらに好ましくは97%以上、最も好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつCueRをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるcueR遺伝子に含まれる。さらに、配列番号18に示す塩基配列のうち101〜508番目の塩基配列に対して1〜数個、好ましくは1〜82個、好ましくは1〜41個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜16個、よりさらに好ましくは1〜12個、特に好ましくは1〜8個、最も好ましくは1〜4個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されており、かつCueRをコードするDNAからなる遺伝子も、本発明で好ましく用いられるcueR遺伝子に含まれる。なお、CueRのアミノ酸配列を表19に示す。
本明細書において、「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning-A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook,David W.Russell.,Cold Spring Harbor Laboratory Press]記載の方法が挙げられる。例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(以下、「SDS」ともいう)、5×デンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
また、本明細書において、塩基配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science,1985,227,p.1435)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
宿主微生物に導入する金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子は上述したような大腸菌由来の遺伝子に限定されず、大腸菌以外の原核生物(例えば、古細菌、真正細菌など)由来の金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子であってもよい。金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子を有する微生物としては、大腸菌の他に、Methanococcus属、Corynebacterium属、Rhodococcus属、Synechococcus属などの光合成細菌、Bacillus属、Methylobacterium属、Desulfovibrio属などの硫酸還元細菌等を挙げることができ、これら微生物から金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子を常法に従って単離・同定することができる。
本発明に係る組換え微生物は、前記金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子を宿主微生物に導入することで作製される。ここで、本発明に用いられる宿主微生物は特に限定されないが、大腸菌、Methanococcus属細菌、Rhodococcus属細菌、Synechococcus属細菌、Bacillus属細菌等が挙げられ、中でも大腸菌が好ましい。さらに、選択される宿主微生物は、野生型の菌種の他、野生型の菌種に対して特定の変異を導入した変異株を使用することができる。
また、選択される宿主微生物は、本来的に微生物の菌体内に金属を取込む機能及び/又は菌体内に存在する金属に対する結合能を有している微生物であってもよいし、本来的に微生物の菌体内に金属を取込む機能及び菌体内に存在する金属に対する結合能のいずれをも有していない微生物であってもよい。すなわち、金属取込み遺伝子及び/又は金属結合遺伝子を染色体(ゲノム)上に有し、菌体内に金属を取込む機能及び/又は菌体内に存在する金属に対する結合能を有する微生物、金属取込み遺伝子及び/又は金属結合遺伝子を染色体上に有しているが微生物の菌体内に金属を取込む機能及び菌体内に存在する金属に対する結合能のいずれをも有していない微生物、金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子のいずれをも有していない微生物の何れでもよい。菌体内に金属を取込む機能及び/又は菌体内に存在する金属に対する結合能を有している微生物に前記金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子を導入した場合には、菌体内に金属を取込む機能及び/又は菌体内に存在する金属に対する結合能を強化・付与することになる。一方で、菌体内に金属を取込む機能及び菌体内に存在する金属に対する結合能のいずれを有しない微生物に前記金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子を導入した場合には、菌体内に金属を取込む機能及び菌体内に存在する金属に対する結合能を付与することとなる。
前記金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子を宿主微生物に導入する際は、前記遺伝子を組み込んだ通常のプラスミド(ベクター)を使用することができる。プラスミドは、宿主微生物の種類に応じて適宜選択することができる。大腸菌を宿主微生物とする場合、pBAD33系、pTrc99A系、pBR322系(ColE1型)、pUC系(改変ColE1型)、pQE系、p15A系、pSC101系、F因子、R因子、広宿主域プラスミド等を挙げることができる。選択されるプラスミドは、宿主細胞内で自己複製可能なプラスミドであることが好ましい。また、発現ベクターを用いた形質転換には、通常の手法、例えばプロトプラスト法[例えば、Chamg,S.,Cohen,SH.:Mol.Gen.Genet.,168,pp.111-115(1979)参照]やコンピテントセル法[例えば、Young,FE.,Spizizen,J.:J. Bacteriol.,86,pp.392-400(1963)参照]を適用することができる。
本発明に係る組換え微生物は、前記金属取込み遺伝子、前記金属結合遺伝子の上流に、前記組換え微生物において機能を有する転写開始制御領域及び/又は翻訳開始制御領域を有することが好ましい。このような構成とすることにより、金属取込み遺伝子及び金属結合遺伝子を強制的に発現させることが可能となり、菌体内に金属を取込む機能及び菌体内に存在する金属に対する結合能を強化することができる。なお、本明細書において、遺伝子の「上流」とは、翻訳開始点からの位置ではなく、対象として捉えている遺伝子又は領域の5'側に続く領域を示す。
前記転写開始制御領域及び/又は翻訳開始制御領域(以下、単に「制御領域」ともいう。)としては特に制限はないが、下流に存在する遺伝子を構成的に発現させ当該遺伝子の発現を宿主細胞内において高めることができるものであることがより好ましい。このような制御領域としては、アラビノース誘導型プロモーター(ara)、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(以下、単に「IPTG」ともいう)誘導型プロモーター(trclacなど)、テトラサイクリン誘導型プロモーター(tet)、低温誘導型プロモーター(csp)、ラムノース誘導型プロモーター(rha)等を挙げることができる。
本発明に係る組換え微生物の作製方法について、モリブデン酸取込み遺伝子とモリブデン酸結合遺伝子を宿主微生物に導入する組換え微生物の作製方法を1例として、図1を参照して説明する。しかし、本発明はこれに制限するものではない。
modABC遺伝子をゲノム上に有する大腸菌のゲノムDNAを鋳型とし、modABC遺伝子領域を含むDNA領域をポリメラーゼ連鎖反応(以下、単に「PCR」ともいう)により増幅させる。増幅されたDNA断片をフェノール抽出とエタノール沈殿によって精製し、リガーゼ反応によりpBAD33ベクターと連結し、アラビノース誘導型プロモーターの下流に、modA遺伝子、modB遺伝子及びmodC遺伝子がこの順で連結されているmodABC遺伝子を導入したpMAY2プラスミドを作製する。次に、modF遺伝子をゲノム上に有する大腸菌のゲノムDNAを鋳型とし、modF遺伝子領域を含むDNA断片をPCRにより増幅させる。増幅されたDNA断片をフェノール抽出とエタノール沈殿によって精製し、リガーゼ反応によりpMAY2プラスミドと連結し、アラビノース誘導型プロモーターの下流に、modF遺伝子、modA遺伝子、modB遺伝子及びmodC遺伝子がこの順で連結されているmodABCF遺伝子を導入したpMAY26プラスミドを作製する。
これとは別に、modE遺伝子をゲノム上に有する大腸菌のゲノムDNAを鋳型とし、modE遺伝子領域を含むDNA断片をPCRにより増幅させる。増幅されたDNA断片をフェノール抽出とエタノール沈殿によって精製し、リガーゼ反応によりpTrc99Aベクターと連結し、IPTG誘導型プロモーターの下流にmodE遺伝子を導入したpTRME01プラスミドを作製する。
このようにして得られたpMAY26プラスミド及びpTRME01プラスミドを用いて宿主微生物を形質転換することで、本発明に係る組換え微生物を得ることができる。
微生物の菌体内に金属を取込む機能の評価は、後述の実施例でも示すように、微生物の菌体を破砕して菌体を除去し、菌体を除去した培養液について呈色反応試験や吸光度の測定を行うことで、菌体内に存在した金属を化学的に定量することができる。あるいは、菌体内に取込まれる金属が毒性を有する場合、金属が菌体内に蓄積されると微生物の増殖・生育が困難となるので、微生物の培養液の濁度(菌体濃度)を測定する方法により行うこともできる。
また、菌体内に存在する金属(好ましくは前記金属取込み遺伝子により菌体内に取込まれる金属)に対する結合能の評価は、毒性を有する金属とタンパク質が結合することで金属が無毒化する場合、菌体濃度を測定する方法により行うことができる。
本発明に係る組換え微生物を適当な担体に固定化することで、本発明に係る微生物バイオリアクター(例えば、金属を回収又は除去するためのカラム、金属の回収又は除去剤)を提供することができる。本発明で用いる担体に特に制限はないが、水又は特定の溶媒に対して不溶性の物質が挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリアクリルアミド、ポリビニルフォルマール樹脂多孔質体、シリコンフォーム、セルロース多孔質体等の発泡体又は樹脂が挙げられる。なお、本明細書において「固定化」とは、組換え微生物が遊離の状態ではなく、担体に結合若しくは付着した状態、又は担体内部に取り込まれた状態をいう。
本発明に係る組換え微生物と金属含有媒体とを接触させ、前記媒体に含まれる金属を前記組換え微生物の菌体内に取込み、菌体内に取込まれた金属を回収することで、金属を回収することが可能となる。また、本発明に係る組換え微生物と金属含有媒体とを接触させ、前記媒体から金属を除去することで、金属を除去することが可能となる。
例えば、環境中にはモリブデンが微量に存在し、そのほとんどはモリブデンのオキソアニオン(MoO4 2-、モリブデン酸)として、淡水では平均70μg/L、海水では平均40μg/Lの濃度で存在する。そこで、modABCF遺伝子とmodE遺伝子を導入した宿主微生物と、モリブデン酸を含む適当な媒体とを接触させ、これらの遺伝子を発現させることで、媒体中のモリブデン酸を菌体内に取込み、媒体からのモリブデン酸の効率的な除去が可能となる。また、菌体を分離及び破砕することで、モリブデン酸の回収も可能となる。
また、金や銀の大腸菌の菌体内への取込みに関して、大腸菌の菌体内への銅輸送システムが銅結合タンパク質により遺伝子発現レベルで制御されることが報告されている(Stoyanov JV,et al.,J.Biol.Chem.,2003,vol.278(3),p.1407-1410;Stoyanov JV,et al.,FEBS Lett.,2003,vol.546(2-3),p.391-394参照)。すなわち、銅取込み遺伝子と銅結合遺伝子を宿主微生物に導入して得られた組換え微生物は、銅だけではなく、金や銀などの回収にも有用である。
さらには、本発明に係る組換え微生物と、金属を含有する溶液又は土壌とを接触させ、前記溶液又は土壌から金属を除去又は回収することが可能となる。
例えば、modABCF遺伝子とmodE遺伝子を導入した宿主微生物と、モリブデン酸を高濃度で含有する溶液又は土壌とを接触させ、これらの遺伝子を発現させることで菌体内にモリブデン酸が効率的に取込まれ、結果としてモリブデン酸で汚染された水質又は土壌の浄化が可能となる。
また、本発明に係る組換え微生物は、遺伝子組み換え技術を利用した、金属を補酵素とするタンパク質の作製方法に好適に用いることができる。
タンパク質は極めて重要な生体高分子である。そして、タンパク質のうち、金属補因子を必要とするものが少なくない。またタンパク質のうち、酵素は低エネルギーで高い反応特異性をもつ触媒として広く利用されている。多くの酵素の触媒反応には金属などの補酵素がタンパク質分子内で正しく配位される必要があり、遺伝子組み換え技術を利用してこのような酵素を効率的に発現させることは困難である。
一方、本発明に係る組換え微生物は金属の取込み能を有し、かつ金属が高濃度で存在しても生育可能である。したがって、金属を補酵素とするタンパク質生産のための宿主微生物として用いた場合、菌体内に取込まれた金属が、補酵素として目的のタンパク質と結合するため、金属を補酵素とする機能性酵素を効率的に作製することが可能となる。また、
本発明の作製方法により得られるタンパク質の例としては、亜鉛を金属補因子とする金属プロテアーゼ、鉄(ヘム)とマンガンを金属補因子とするカタラーゼ、鉄−モリブデンを金属補因子とするニトロゲナーゼ、が挙げられる。しかし、本発明はこれらに制限するものではない。
本発明に係る組換え微生物を用いて金属を補酵素とするタンパク質を作製する際には、本発明に係る組換え微生物に目的のタンパク質をコードする遺伝子を導入し、所望の金属を含有する適切な培地において当該組換え微生物を培養し、目的のタンパク質を回収する。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(製造例1)大腸菌由来の金属取込み遺伝子発現プラスミドの作製
大腸菌W3110株のゲノムDNAを鋳型とし、modABC-p-SacIプライマー(5'-GTCGTGAGCTCGTCGCCTACATAACGTTAC-3'、配列番号2)とmodABC-p-XbaIプライマー(5'-GCCCATCTAGATTATAGCCACCTGATTTAA-3'、配列番号3)を用いて、modABC遺伝子領域(翻訳装置リボソーム認識配列を含む)を含むDNA領域をPCRにより増幅させた。目的のDNA断片(約2kbp)の増幅の確認は、アガロースゲル電気泳動により行った。増幅されたDNA断片をフェノール抽出とエタノール沈殿によって精製し、SacIとXbaIで制限酵素処理した。そして、制限酵素処理産物と、SacIとXbaIで制限酵素処理したpBAD33ベクターとをリガーゼ反応により連結し、アラビノース誘導型プロモーター(ara)の下流にmodABC遺伝子を導入したpMAY2プラスミドを作製した(図1参照)。
次に、大腸菌W3110株のゲノムDNAを鋳型とし、modF-p-XbaIプライマー(5'-GAAACTCTAGACCCTGTCAGTAATCGCTGC-3'、配列番号4)とmodF-p-HindIIIプライマー(5'-GGGTGAAGCTTCCGCCTCCGGCAAGGTCAG-3'、配列番号5)を用いて、modF遺伝子領域(翻訳装置リボソーム認識配列を含む)を含むDNA断片をPCRにより増幅させた。目的のDNA領域(約1.5kbp)の増幅の確認は、アガロースゲル電気泳動により行った。増幅されたDNA断片をフェノール抽出とエタノール沈殿によって精製し、XbaIとHindIIIで制限酵素処理した。そして、制限酵素処理産物と、XbaIとHindIIIで制限酵素処理したpMAY2プラスミドとをリガーゼ反応により連結し、アラビノース誘導型プロモーターの下流にmodABCF遺伝子を導入したpMAY26プラスミドを作製した(図1参照)。
(製造例2)金属取込み遺伝子発現プラスミドを用いた形質転換体の作製
pBAD33ベクター、pMAY2プラスミド、及びpMAY26プラスミドをそれぞれ大腸菌K-12株BW25113に導入し、形質転換体(BW25113/pBAD33、BW25113/pMAY2、及びBW25113/pMAY26)を得た。LB液体培地(1%[w/v]ポリペプトン、0.5%[w/v]イーストエキストラクト、0.5%[w/v]NaCl)で各形質転換体を37℃で一晩振とう培養した。
(試験例1)金属に対する感受性の測定
クロラムフェニコール(100μg/mL)及びアラビノース(0.2%)を添加したLB液体培地に、終濃度が0M、0.1M、0.2M、0.4M、0.8M、1.0Mとなるようにモリブデン酸ナトリウムを加え、製造例2において一晩培養した各形質転換体の培養液1/100容量を植菌した。37℃で振とう培養し、16時間後の定常期における吸光度(OD600nm)を測定した。その結果を図2に示す。
図2に示した濁度(菌体濃度)から細胞増殖を検討した。
形質転換体BW25113/pBAD33(基準株)については、添加するモリブデン酸ナトリウム濃度に依存して細胞増殖が抑制され、0.8M以上のモリブデン酸ナトリウムを含む培地では全く生育しなかった。また、modABC遺伝子のみを導入した形質転換体BW25113/pMAY2については、基準株BW25113/pBAD33と同様、添加するモリブデン酸ナトリウム濃度に依存して細胞増殖が抑制され、0.8M以上のモリブデン酸ナトリウムを含む培地では全く生育できなかった。
一方、modABC遺伝子とmodF遺伝子を導入した形質転換体BW25113/pMAY26については、BW25113/pBAD33及びBW25113/pMAY2と比較して、モリブデン酸ナトリウム濃度が0.4Mでの濁度が大きく低下しており、モリブデン酸ナトリウムに対する感受性が高いことがわかる。
大腸菌のモリブデン酸又はその塩の取込み能が向上し、モリブデン酸ナトリウムが過剰に大腸菌の菌体内に取り込まれて蓄積すると、モリブデン酸ナトリウムの毒性により大腸菌の細胞増殖(生育)が抑制される。したがって、図2に示す結果は、宿主にmodABC遺伝子とmodF遺伝子を導入して高発現させることで宿主のモリブデン酸取込み能が向上し、モリブデン酸に対する感受性が向上することを示している。
つぎに、マンガン、ニッケル、コバルト及びクロムの塩化物に対する形質転換体BW25113/pBAD33(基準株)及びBW25113/pMAY26の感受性について検討した。
クロラムフェニコール(100μg/mL)及びアラビノース(0.2%)を添加したLB液体培地に各種金属塩化物(塩化マンガンの終濃度:0mM、10mM、20mM、40mM、80mM、160mM;塩化ニッケルの終濃度:0mM、0.2mM、0.4mM、0.8mM、1.6mM、3.2mM;塩化コバルトの終濃度:0mM、0.1mM、0.2mM、0.4mM、0.8mM、1.6mM;塩化クロムの終濃度:0mM、0.5mM、1.0mM、2.0mM、4.0mM、8.0mM)を加え、製造例2において一晩培養した形質転換体の培養液1/100容量を植菌した。そして37℃で振とう培養し、16時間後の定常期における吸光度(OD600nm)を測定した。その結果を図3に示す。
図3に示した濁度(菌体濃度)から細胞増殖を検討した。
形質転換体BW25113/pBAD33(基準株)については、添加するマンガン、ニッケル、コバルト、クロムの塩化物の濃度に依存して増殖が抑制された。一方、modABC遺伝子とmodF遺伝子を導入した形質転換体BW25113/pMAY26についても、形質転換体BW25113/pBAD33(基準株)と同様の感受性を示した。
つまり、形質転換体BW25113/pMAY26の金属取り込み能はモリブデンに対してのみ機能し、マンガン、ニッケル、コバルト及びクロムに対しては機能しないことが明らかとなった。
これらの結果は、特定の金属の取込み遺伝子を宿主微生物に導入し高発現させることで、特定の金属の取込み能が向上し特定の金属に対する感受性が向上することを示している。さらに、特定の金属の取込み能が向上した形質転換体は、菌体内に金属が蓄積することで細胞増殖が抑制されることを示している。
(製造例3)大腸菌由来の金属結合遺伝子発現プラスミドの作製
大腸菌W3110株のゲノムDNAを鋳型とし、ModE-B-Fプライマー(5'-AAGACTTTTGCCAGGACGGATCCATGCAGGCCG-3'、配列番号6)とModE-TQB-Rプライマー(5'-CAAATTGTCAAAGCTTTTAGCACAGCGTGGCGATA-3'、配列番号7)を用いて、modE遺伝子領域を含むDNA断片をPCRにより増幅させた。目的のDNA領域(約0.5kbp)の増幅の確認は、アガロースゲル電気泳動により行った。増幅されたDNA断片をフェノール抽出とエタノール沈殿によって精製し、BamHIとHindIIIで制限酵素処理した。そして、制限酵素処理産物と、BamHIとHindIIIで制限酵素処理したpTrc99Aベクターとをリガーゼ反応により連結し、IPTG誘導型プロモーター(trc)の下流にmodE遺伝子を導入したpTRME01プラスミドを作製した(図1参照)。
(製造例4)金属結合遺伝子発現プラスミドを用いた形質転換体の作製
pTrc99Aベクター及びpTRME01プラスミドをそれぞれ、製造例2で作製した形質転換体BW25113/pBAD33及びBW25113/pMAY26に導入し、形質転換体(BW25113/pTrc99A-pBAD33、BW25113/pTRME01-pBAD33、BW25113/pTrc99A-pMAY26、BW25113/pTRME01-pMAY26)を得た。LB液体培地で各形質転換体を37℃で一晩振とう培養した。
(試験例2)金属に対する感受性の測定
クロラムフェニコール(100μg/mL)、アンピシリン(100μg/mL)、アラビノース(0.2%)及びIPTG(1.0mM)を添加したLB液体培地に、終濃度が0M、0.1M、0.2M、0.4M、0.8M、1.0Mとなるようにモリブデン酸ナトリウムを加え、製造例4において一晩培養した形質転換体の培養液1/100容量を植菌した。37℃で振とう培養し、経時的に吸光度(OD600nm)を測定し、それぞれの増殖曲線を作成した。
その結果を図4に示す。なお、図4(A)は形質転換体BW25113/pTrc99A-pBAD33を培養したときの吸光度の経時変化を示す図である。図4(B)は形質転換体BW25113/pTRME01-pBAD33を培養したときの吸光度の経時変化を示す図である。図4(C)は形質転換体BW25113/pTrc99A-pMAY26を培養したときの吸光度の経時変化を示す図である。図4(D)は形質転換体BW25113/pTRME01-pMAY26を培養したときの吸光度の経時変化を示す図である。
図4(A)に示すように、形質転換体BW25113/pTrc99A-pBAD33(基準株)については、0.1M以下のモリブデン酸ナトリウムを含む培地で細胞増殖が確認されたが、0.2Mのモリブデン酸ナトリウムを含む培地で細胞増殖の抑制が確認された。さらに、添加するモリブデン酸濃度に依存して細胞増殖が抑制され、0.8M以上のモリブデン酸ナトリウムを含む培地では全く生育できなかった。
図4(B)に示すように、modE遺伝子のみを導入した形質転換体BW25113/pTRME01-pBAD33については、基準株BW25113/pTrc99A-pBAD33と同様、添加するモリブデン酸ナトリウム濃度に依存して細胞増殖が抑制され、0.8M以上のモリブデン酸ナトリウムを含む培地では全く生育できなかった。
図4(C)に示すように、modABC遺伝子とmodF遺伝子のみを導入した形質転換体BW25113/pTrc99A-pMAY26については、0.4Mのモリブデン酸ナトリウムを含む培地では増殖可能であるものの、基準株BW25113/pTrc99A-pBAD33と比較して各種モリブデン酸濃度における細胞増殖が極めて強く抑制された。
これに対し、modABC遺伝子、modF遺伝子及びmodE遺伝子を導入した形質転換体BW25113/pTRME01-pMAY26は、他の形質転換体では細胞増殖が全く確認できなかった0.8Mのモリブデン酸ナトリウムを含む培地でも培養後10時間から増殖可能であることが確認された(図4(D)参照)。
(試験例3)形質転換体の菌体内に取込まれた金属の定量
BW25113/pTrc99A-pBAD33及びBW25113/pTRME01-pMAY26を、クロラムフェニコール(100μg/mL)、アンピシリン(100μg/mL)、アラビノース(0.2%)、IPTG(1.0mM)及びモリブデン酸ナトリウム(0.34mM)を添加したLB液体培地で一晩培養した。
10倍希釈した培養液0.5mLに、0.02%SDSを0.025mL、クロロホルムを0.025mL加え、ボルテックスミキサーによる攪拌で細胞を破砕したのち、チオグリコール酸溶液を0.06mL加え、23℃で5分間反応させた。遠心分離後、チオグリコール酸の呈色反応により、上清の365nmにおける吸光度を測定した。ブランクには培養に用いた培地を用い、2mg/L〜60mg/Lのモリブデン酸標準水溶液により検量線を求め、各形質転換体の培養液に含まれる大腸菌細胞内に取込まれたモリブデン酸量を定量した。
その結果、形質転換体BW25113/pTrc99A-pBAD33(基準株)では、検出限界以下で有意な測定値を得ることができなかった。これに対し、modABC遺伝子、modF遺伝子及びmodE遺伝子を導入した形質転換体BW25113/pTRME01-pMAY26の培養液における細胞由来のモリブデン酸が5.79mg/L(モル濃度に換算:30μM)であった。なお、Outtenら(Science、2001)の報告では、培養液中の大腸菌細胞由来のモリブデン量は数μMである。
上記試験例で示すように、特定の金属の取込み遺伝子と金属結合タンパク質遺伝子とを高発現するように宿主微生物に導入することで菌体内に取込まれた金属を無毒化させることが可能となり、金属が高濃度で存在する環境下でも増殖可能であり、金属の取込み能が向上した組換え微生物を提供することができる。
(製造例5)大腸菌由来の金属取込み遺伝子発現プラスミドの作製
大腸菌W3110ゲノムDNAを鋳型とし、MNTH_R_TQBプライマー(5'-CGCTCAAGCTTACTACAATCCCAGCGCCGTC-3'、配列番号12)とMNTH_F_TQプライマー(5'-AGAGGGGATCCATGACGAACTATCGCGTTG-3'、配列番号13)を用いて、mntH遺伝子領域を含むDNA断片をPCRにより増幅させた。目的のDNA断片(約1.2kbp)の増幅の確認は、アガロースゲル電気泳動により行った。増幅されたDNA断片をフェノール抽出とエタノール沈殿によって精製し、BamHIとHindIIIで制限酵素処理した。そして、制限酵素処理産物とpQE80Lベクターとをリガーゼ反応によりし、IPTG誘導型プロモーター(lac)下流にmntH遺伝子を導入したpQEMH03プラスミドを作製した(図5(A)参照)。
(製造例6)金属取込み遺伝子発現プラスミドを用いた形質転換体の作製
pQE80Lベクター及びpQEMH03プラスミドをそれぞれ大腸菌K-12株BW25113に導入し、形質転換体(BW25113/pQE80L及びBW25113/pQEMH03)を得た。LB液体培地(1%[w/v]ポリペプトン、0.5%[w/v]イーストエキストラクト、0.5%[w/v]NaCl)で各形質転換体を37℃で一晩振とう培養した。
(試験例4)形質転換体の菌体内に取込まれた金属の定量
アンピシリン(100μg/mL)、IPTG(1.0mM)、及び塩化マンガン(4mM)を添加したLB液体培地に、一晩培養した製造例6で作成した形質転換体(BW25113/pQE80L及びBW25113/pQEMH03)の培養液1/100容量を植菌した。そして37℃で振とう培養し、16時間後の定常期における細胞内マンガン量を、アルカリ溶液中でマンガンイオンによるホルムアルドキシムの呈色反応により測定した。
マンガンイオンの定量方法について詳細に説明する。10倍希釈した培養液0.75mLに0.02%SDS0.025mL、及びクロロホルム0.025mLを加え、ボルテックスミキサーによる攪拌で細胞を破砕した。そこへホルムアルドキシム溶液0.125mL、及びアンモニア溶液0.125mLを加え、25℃で1分間反応させた。さらに、塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液0.25mLを加え、さらに25℃で5分間反応させたのち遠心分離を行い、上清を回収した。そして、470nmにおける回収した上清の吸光度を測定した。ここで、ブランクには培養に用いた培地を用い、0.002〜0.1mMのマンガン標準水溶液の吸光度の検量線を作成し、各形質転換体に含まれるマンガン量を算出した。またマンガン量は、供与した培養液の容積とその濁度(OD600nmの値)に対する割合として示した。
その結果を図6に示す。なお、図6には、塩化マンガン含有しない培地で培養した時のマンガン量も併せて示す。
図6に示すように、基準株BW25113/pQE80では、培地中のマンガンの存在の有無に関わらず、細胞内に取り込まれたマンガン量は一定であった。
一方、mntH遺伝子を高発現した形質転換体BW25113/pQEMH03では、マンガン非存在下での培養では基準株と同じ程度のマンガン量であったが、培地中にマンガンが存在した場合には細胞内に取り込まれたマンガン量が約3倍増加した。
以上のように、大腸菌の細胞内にマンガンを取り込むポンプとしての機能を果たすタンパク質MntHをコードする金属取込み遺伝子を高発現させることで、細胞外に存在するマンガンを積極的に菌体内に取り込むことができる。
(製造例7)大腸菌由来の金属結合遺伝子発現プラスミドの作製
大腸菌W3110株のゲノムDNAを鋳型とし、MNTR_R_TQBプライマー(5'-AAAAGAAGCTTTCATTTGGCACCGTGTTTC-3'、配列番号14)とMNTR_F_B2プライマー(5'-GTCACGGTACCGAGGAAGCACAATGAGTCG-3'、配列番号15)を用いて、mntR遺伝子領域を含むDNA断片をPCRにより増幅させた。目的のDNA断片(約0.5kbp)の増幅を確認は、アガロースゲル電気泳動により行った。増幅されたDNA断片をフェノール抽出とエタノール沈殿によって精製し、KpnIとHindIIIで制限酵素処理した。そして、制限酵素処理産物と、KpnIとHindIIIで制限酵素処理したpBAD33ベクターとをリガーゼ反応により連結し、アラビノース誘導型プロモーターの下流にmntR遺伝子を導入したpBAMR02プラスミドを作製した(図5(B)参照)。
(製造例8)金属結合遺伝子発現プラスミドを用いた形質転換体の作製
pBAMR02プラスミド及びpBAD33ベクターをそれぞれ大腸菌JW5830株に導入し、形質転換体(JW5830/pBAMR02、及びJW5830/pBAD33)を得た。LB液体培地(1%[w/v]ポリペプトン、0.5%[w/v]イーストエキストラクト、0.5%[w/v]NaCl)で各形質転換体を37℃で一晩振とう培養した。
なお、大腸菌JW5830株は、マンガンの細胞内輸送に関与するタンパク質MntPをコードするmntP遺伝子を欠損させた株である(Waters LS,et al.,J.Bacteriol.,2011,vol.193(21),p.5887-97;及びBaba T,et al.,Mol.Syst.Biol.,2006,vol.2(1),p.1-11参照)。ここで、大腸菌K株MG1655由来のmntP遺伝子の塩基配列を配列番号20に示す。
(試験例5)形質転換体の菌体内に取込まれた金属の定量
クロラムフェニコール(100μg/mL)、アラビノース(0.2%)、及び塩化マンガン(4mM)を添加したLB液体培地に、一晩培養した製造例8で作成した形質転換体(JW5830/pBAMR02、及びJW5830/pBAD33)、大腸菌野生型株BW25113、又はmntP遺伝子欠失株JW5830の培養液1/100容量を植菌した。そして37℃で振とう培養し、16時間後の定常期における細胞内マンガン量を、試験例4と同様に測定した。その結果を図7に示す。
図7に示すように、mntP遺伝子を欠失させることで、細胞内に取り込まれるマンガン量が約1/2に減少した。
一方、mntP遺伝子を欠失させることで低下した細胞内のマンガン量が、大腸菌JW5830株にmntR遺伝子を導入することで回復した。
以上のように、大腸菌の細胞内に金属結合遺伝子を導入して高発現させることで、細胞内に蓄積させるマンガン量を増加させることができる。

Claims (21)

  1. 金属取込み遺伝子、及び
    該金属取込み遺伝子がコードするタンパク質により菌体内に取込まれる金属に対して結合能を有するタンパク質をコードする金属結合遺伝子、
    を宿主微生物に導入した、組換え微生物。
  2. 前記金属が遷移金属単体又は遷移金属化合物である、請求項1に記載の組換え微生物。
  3. 前記金属がモリブデン単体又はモリブデン化合物である、請求項1又は2に記載の組換え微生物。
  4. 前記モリブデン化合物がモリブデン酸又はその塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組換え微生物。
  5. 前記金属取込み遺伝子が、大腸菌由来のmodA遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子、大腸菌由来のmodB遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子、大腸菌由来のmodC遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子、及び大腸菌由来のmodF遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子から構成される遺伝子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組換え微生物。
  6. 前記modA遺伝子が下記DNA(a)又は(b)からなる遺伝子である、請求項5に記載の組換え微生物。
    (a)配列番号1の塩基配列のうち2874〜3647番目の塩基配列からなるDNA
    (b)前記(a)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModAをコードするDNA
  7. 前記modB遺伝子が下記DNA(c)又は(d)からなる遺伝子である、請求項5又は6に記載の組換え微生物。
    (c)配列番号1の塩基配列のうち3647〜4336番目の塩基配列からなるDNA
    (d)前記(c)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModBをコードするDNA
  8. 前記modC遺伝子が下記DNA(e)又は(f)からなる遺伝子である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の組換え微生物。
    (e)配列番号1の塩基配列のうち4339〜5397番目の塩基配列からなるDNA
    (f)前記(e)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModCをコードするDNA
  9. 前記modF遺伝子が下記DNA(g)又は(h)からなる遺伝子である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の組換え微生物。
    (g)配列番号1の塩基配列のうち101〜1573番目の塩基配列からなるDNA
    (h)前記(g)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModFをコードするDNA
  10. 前記金属取込み遺伝子が、前記組換え微生物の細胞内で自己複製可能なプラスミドに組み込まれている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組換え微生物。
  11. 前記金属取込み遺伝子の上流に、前記組換え微生物において機能を有する転写開始制御領域及び/又は翻訳開始制御領域を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組換え微生物。
  12. 前記金属結合遺伝子が、大腸菌由来のmodE遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子から構成される遺伝子である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組換え微生物。
  13. 前記modE遺伝子が下記DNA(i)又は(j)からなる遺伝子である、請求項12に記載の組換え微生物。
    (i)配列番号1の塩基配列のうち1641〜2429番目の塩基配列からなるDNA
    (j)前記(i)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ大腸菌由来のタンパク質ModEをコードするDNA
  14. 前記金属結合遺伝子が、前記組換え微生物の細胞内で自己複製可能なプラスミドに組み込まれている、請求項1〜13に記載の組換え微生物。
  15. 前記金属結合遺伝子の上流に、前記組換え微生物において機能を有する転写開始制御領域及び/又は翻訳開始制御領域を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組換え微生物。
  16. 前記宿主微生物が大腸菌である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組換え微生物。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の組換え微生物が固定化されている、金属を回収又は除去するための微生物バイオリアクター。
  18. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の組換え微生物と金属含有媒体とを接触させ、前記媒体に含まれる金属を前記組換え微生物の菌体内に取込み、菌体内に取込まれた金属を回収する、金属の回収方法。
  19. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の組換え微生物と金属含有媒体とを接触させ、前記媒体から金属を除去する、金属の除去方法。
  20. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の組換え微生物と金属を含有する溶液又は土壌とを接触させ、前記溶液又は土壌から金属を除去又は回収する、金属含有溶液又は金属含有土壌の処理方法。
  21. 金属を補酵素とするタンパク質をコードする遺伝子を請求項1〜16のいずれか1項に記載の組換え微生物に導入し、金属を含有する培地で前記組換え微生物を培養し、前記タンパク質を発現させる、タンパク質の作製方法。
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