JP2014232020A - 霧箱セット - Google Patents

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Abstract

【課題】飛跡観察の再現性に優れるとともに霧箱の組み立てが容易で安価に製造することのできる霧箱セット、及びこれを用いて放射線の飛跡を観察する方法を提供する。【解決手段】開口部及び内部に向けて光を照射することが可能な側壁を有する容器4と、開口部、内部に向けて光を照射することが可能な側壁と容器4の開口部から容器4に挿入することができる形状と大きさを有する底面と飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる溶媒含浸部材を支えるための側壁内面に設けられた支持部を有する容器3と、容器3の開口部を覆うことができる蓋2を少なくとも含む、放射線の飛跡を観察するための霧箱セット。【効果】良好な飛跡観察の再現性を得ることができ、また組み立てが容易で、かつ安価に製造することができ、教材コストを下げることができる。【選択図】図4

Description

本発明は、学校その他の教育機関又は社会教育において行われる自然放射線などの荷電粒子の飛跡を観察する実験で用いることのできる、簡易かつ安価な霧箱に関する。
霧箱は、人の目には見えない放射線をその飛跡を視認することで感知するために提唱された実験用具である。その基本原理は、過飽和状態の気体で満たされた容器内空間を放射線が通過する際に生ずる局所的な霧滴のすじを、自然放射線の飛跡として視認することである。
霧箱の基本原理では気体の過飽和状態を安定的に維持することが重要であることから、液体を気体に相変化させるための加熱手段、さらにペルチェ素子などの気体を過飽和状態とするための冷却手段などを備えた霧箱が多数提案されている。しかしこのような霧箱は加熱及び冷却のための電気回路又は特殊な装置とそれらの制御を必要とし、結果として霧箱の構造が複雑化し、高価なものとなる。
一方、電気回路や特殊な装置を用いることなく気体の過飽和状態を作り出すことのできる、より簡易な実験での使用を意図した拡散型霧箱と呼ばれる霧箱が提案されている。拡散型霧箱の多くは、飛跡観察用溶媒、典型的にはエタノールを霧箱内部で自然蒸発させ、霧箱底部を冷却材、典型的にはドライアイスで冷却することにより霧箱内部に温度勾配を生じさせて、霧箱底部近くにエタノールの過飽和状態をつくりだしている。
構成が比較的単純な拡散型霧箱は学校教育、社会教育などにおける実験教材として有用であり、例えばオキドキ実験セット「霧箱」(株式会社オキドキサイエンス)(非特許文献1)、「簡易霧箱実験セット」(ケニス株式会社)(非特許文献2)など、いくつかの霧箱セットが市販されている。さらに、「手作り簡易型霧箱キット」(非特許文献3)又は「中学校理科観察・実験書−学習指導要領改訂に伴う中学校理科観察・実験指導資料」(非特許文献4)など、観察者自らが作製して使用することができる霧箱も多数提案されている。
しかし、この様な簡易な拡散型霧箱の中には、その単純な構成ゆえに目的である飛跡観察の再現性が十分ではないものや、組み立てに鋭利な刃物、ピアノ線又は粘着テープなどの使用を必要とし、実験操作に慣れていない学童や社会人にとって扱いにくいものなどがある。また、より安価でより簡便に組み立てることのできる実験教材の提供に対するニーズは依然として存在する。
株式会社オキドキサイエンス、商品カテゴリー「オキドキ実験キット」、霧箱、インターネット(URL:http://okidoki-science.com/shop/products/detail.php?product_id=22) ケニス株式会社、エネルギー・燃料電池、簡易霧箱実験セットKD、インターネット、(URL:http://www.kenis.co.jp/onlineshop/2012/05/1121455.html) 手作り簡易型霧箱キット−組み立てマニュアル兼指導者マニュアル−(ドライアイス・アルコール型拡散霧箱、インターネット(URL:http://nutec.jaea.go.jp/CTZBK/CCKM.htm) 岩手県立総合教育センター、科学産業教育担当著、中学校理科観察・実験書−学習指導要領改訂に伴う中学校理科観察・実験指導資料、物07、3年:エネルギー「5分で制作、1分で放射線が観察できる霧箱の実験」、平成24年2月14日
本発明の目的は、飛跡観察の再現性に優れるとともに組み立てが容易で安価に製造することのできる霧箱セットと、これを用いて放射線の飛跡を観察する方法を提供することにある。
本発明者は、下記の構成を備える霧箱セット及びその使用方法によって前記課題を解決することができることを見出した。
(1)a)開口部及び内部に向けて光を照射することが可能な側壁を有する容器A、b)開口部、内部に向けて光を照射することが可能な側壁、容器Aの開口部から容器Aに挿入することができる形状と大きさを有する底面、及び飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる溶媒含浸部材を支えるための側壁内面に設けられた支持部を有する容器Bならびにc)容器Bの開口部を覆うことができる蓋を少なくとも含む、放射線の飛跡を観察するための霧箱セット。
(2)容器Bが支持部を除き実質的に容器Aと同一の形状及び寸法を有するプラスチック製容器であり、蓋がプラスチック製の蓋である、(1)に記載の霧箱セット。
(3)下記1)から6)の特徴;
1)開口部及び内部に向けて光を照射することが可能な側壁を有する容器Aの底に冷却材が置かれている、
2)開口部、内部に向けて光を照射することが可能な側壁、容器Aの開口部から容器Aに重ね合わせることができる形状と大きさを有する底面及び飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる溶媒含浸部材を支えるための側壁内面に設けられた支持部を有する容器Bが前記1)の容器Aの開口部から容器Aに挿入され、容器Bの底外面が容器Aに置かれた冷却材に密着させられている、
3)前記容器Bの支持部に溶媒含浸部材が置かれている、
4)容器Bの内部に放射線源が導入されている、
5)容器Bの底及び溶媒含浸部材に飛跡観察用溶媒が加えられている、及び
6)容器Bの開口部が蓋でおおわれている
を備えた霧箱を用いて放射線の飛跡を観察する方法。
(4)容器Bが支持部を除き実質的に容器Aと同一の形状及び寸法を有するプラスチック製容器であり、蓋がプラスチック製の蓋である、(3)に記載の方法。
本発明の霧箱セットに含まれる2つの容器は、それらの間に冷却材を挟むようにして重ね合わせることで容器B内部の冷却効率を高め、飛跡観察用溶媒の過飽和状態を良好かつ安定に作り上げることができる。特にポリエチレンテレフタレートなどの汎用プラスチックで成形された蓋を採用することにより、放射線の飛跡観察を妨害する不要なイオンの除去を蓋に静電気を帯電させることで簡単に行うことができ、前記安定な過飽和状態と相まって良好な飛跡観察の再現性を得ることができる。
また本発明の霧箱セットを利用して組み立てられる霧箱は、容器内面に粘着剤やピアノ線などを用いて溶媒含浸部材を固定する必要はないので、容器内面から溶媒含浸部材が剥がれ落ちたり、ピアノ線が外れて落下したりする心配がない。さらに本発明の霧箱セットを利用した霧箱の組み立ては刃物や粘着テープを必要としないので、学童を含むいずれの利用者でも本発明の霧箱セットを利用して霧箱を容易に組み立てることができる。さらには、本発明において汎用プラスチック製の容器及び蓋を採用することで、霧箱セットを極めて安価に製造することができ、教材コストを下げることができる。
本発明の霧箱セットの一態様を構成する容器Aの斜視図(上側)及び上面図(下側)を表す図である。 本発明の霧箱セットの一態様を構成する容器Bの斜視図(上側)及び上面図(下側)を表す図である。便宜上、容器Bの内側に設けられたフラップ状の支持部(符号1)はグレーで示される。 本発明の霧箱セットの別の態様を構成する容器Bの斜視図(上側)及び上面図(下側)を表す図である。 本発明の霧箱セットの一態様を構成する部材の組み合わせを示す図である。符号2は蓋、符号3は容器B、符号4は容器A、符号5は溶媒含浸部材、符号6は放射線源、符号7は黒色シートを表す。便宜上、容器Bの内側に設けられたフラップ状の支持部はグレーで示される。 図4に示される本発明の霧箱セットの一実施態様を用いて作製される霧箱を表した図である。便宜上、蓋、フラップ状の支持部及び容器Aの底に敷かれた冷却材(符号8)はそれぞれグレーで示され、また溶媒含浸部は容器内での配置状況を示すために透過色で示される。
本発明は特徴的な2つの容器及び蓋を少なくとも含む霧箱セットと、かかる特徴的な2つの容器及び蓋を利用して組み立てられる霧箱を用いた放射線の飛跡を観察する方法を提供する。
本発明の霧箱セットを構成する容器Aは、開口部及び内部に向けて光を照射することが可能な側壁を有する容器である。開口部の径及び形状、容器の高さ、底部の径及び形状などに特別な制限はないが、実験教材としての霧箱用容器という観点から、概ね5cmから30cmほどの開口部、開口部より小さい径の底部、ならびに5cmから10cmほどの高さを有する容器、特にカップ形状の容器であることが好ましい。
また容器Aは、アルミニウム、銅、ステンレスなどの金属、ガラス又はプラスチックなどで成形することができる。ただし、容器の内部に向けて光を照射することが可能なように、その側壁は全部もしくは一部が透明であるか、又は一部に窓やスリットなどを有することが必要である。成形の簡便さ、重さ、運搬時又は使用時の割れや欠けを回避するなどの観点から、容器Aはプラスチック、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)で成形された、全体が透明な容器であることが好ましい(図1参照)。
本発明の霧箱セットを構成する容器Bは、開口部、内部に向けて光を照射することが可能な側壁、容器Aの開口部から容器Aに重ね合わせることができる形状と大きさを有する底面及び飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる溶媒含浸部材を支えるための側壁内面に設けられた支持部を有する容器である。
容器Bは、容器Aの開口部に挿入して容器Aに重ね合わせることができる形状と大きさを有する。これは、後に説明するように、容器Aの開口部から容器Bを挿入して重ね合わせて霧箱を製作するためである。実験教材としての霧箱用容器という観点から、また上記の容器Aに重ね合わせるという必要性の観点から、容器Bは容器Aと同様、概ね5cmから30cmほどの開口部、開口部より小さい径の底部、ならびに5cmから10cmほどの高さを有し、かつ容器Aと実質的に同一の形状及び同一の寸法を有する容器、特にカップ形状の容器であることが好ましい。これにより、容器Aの開口部から挿入して重ね合わせることを容易にするとともに、未使用の際にも容器Aと容器Bを重ねておくことで霧箱セットの嵩を抑えることができる。
また容器Bは、アルミニウム、銅、ステンレスなどの金属、ガラス又はプラスチックなどで成形することができる。ただし、容器の内部に向けて光を照射することが可能なように、その側壁は全部もしくは一部が透明であるか、又は一部に窓やスリットなどを有することが必要である。成形の簡便さ、重さ、運搬時又は使用時の割れや欠けを回避するなどの観点から、容器Bは汎用プラスチック、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)で成形された、全体が透明な容器であることが好ましい。
容器Bは、飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる溶媒含浸部材を支えるための側壁内面に設けられた支持部を有する。支持部は溶媒含浸部をその下側から支えることのできる突起又は段部であればよく、容器内周に沿って連続的に又は断続的に設けられていてもよい。断続的に支持部を設ける場合、少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ以上の支持部を、いずれも底面から同じ高さに設けることが望ましい。
支持部は、容器Bを成形する際に一体成型的に設けてもよく、支持部を除く容器を成形した後にこれを加工して支持部を設けてもよい。例えば、汎用プラスチック、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)で成形された容器(好ましくは容器A)を用意し、側面に適当な大きさの概ね半円状の切り込みを入れ、切込み部を容器内側に押し込んでフラップ状の支持部を設けたものを容器Bとすることができる(図2参照)。また、切り込みの代わりにピンなどを差し込んで支持部としてもよい。さらには、例えば図3に示されるように多段的な容器を成形し、段部を支持部として利用してもよい。
なお、本発明における飛跡観察用溶媒は霧箱を用いた放射線の飛跡観察に通常用いられる溶媒を意味し、その典型的な及び本発明において好ましい例はエタノールである。
また、本発明における溶媒含浸部材は、飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる部材であり、飛跡観測用溶媒を加えても直ちに流れ出ることがない程度に溶媒を内部に保持する一方で溶媒が蒸発によって部材から外に拡散することを許容する物理的構造を有し、かつ飛跡観察用溶媒に対して不溶性又は難溶性の部材である。
溶媒含浸部材もまた、霧箱を用いた放射線の飛跡観察に通常用いられる素材、形状の部材を本発明の霧箱セットを利用した霧箱において利用することができる。具体的には、多くの拡散型霧箱はポリウレタン製スポンジ、又は紐状に縒り合されもしくはまとめられた綿、ティッシュペーパー、クッキングシートなどを溶媒含浸部材として利用しており、本発明の霧箱セットを用いた霧箱でもかかる材料からなる溶媒含浸部材を利用することができる。本発明において特に好ましい溶媒含浸部材は、ポリウレタン製スポンジである。
なお、従来の霧箱では溶媒含浸部材を粘着剤、粘着テープ、ピアノ線などを用いて霧箱内部に保持し、使用していたが、本発明の霧箱セットを利用する場合には、容器Bの支持部が溶媒含浸部材を支えるので、粘着剤その他の保持手段は必要としない。そのため、本発明の霧箱セットを利用することで、霧箱の組み立てにおいて粘着剤や粘着テープが誤って手又は予定外の場所もしくは部材に張り付くといった煩わしさから解放される。また、溶媒によって粘着部がはがれ、実験中に溶媒含浸部材が落下したり外れたりすることもない。
本発明の霧箱セットを構成する蓋は、容器Bの開口部を覆うことができる大きさと形状を有する蓋である。蓋は、容器Bの開口部の縁の上にそのまま置いて使用する平板状の蓋でもよく、容器Bの縁の形状と嵌りあって容器Bを密閉することができる構造を有する蓋でもよい。
また蓋は、アルミニウム、銅、ステンレスなどの金属、ガラス又はプラスチックなどで成形することができる。ただし、容器の内部を観察できるようにその一部もしくは全部が透明であるか、又は一部に窓やスリットなどを有することが必要である。成形の簡便さ、重さ、運搬時又は使用時の割れや欠けを回避するという観点から、また蓋に静電気をより簡便に帯電させるために、容器Bは汎用プラスチック、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)で成形された、全体が透明な蓋であることが好ましい。
本発明の霧箱セットは、前記容器A、容器B及び蓋を少なくとも含むセットであるが、溶媒含浸部材、溶媒注入用シリンジ又はスポイト、容器Bの底部に敷くことのできる黒又は濃色のシート、ランタンボールなどの放射線源その他の、放射線の飛跡観察にとって好ましい部材から適宜部材を選択して、前記容器A、容器B及び蓋と組み合わせて霧箱セットとすることができる。例えば、蓋、容器A、容器B、溶媒含浸部材、放射線源、黒色シートを組み合わせて、霧箱セットとすることができる(図4参照)。このような、容器A、容器B及び蓋以外の付加的な部材を含む霧箱セットも、本発明の一態様である。
また本発明は、下記1)から6)の特徴;
1)開口部及び内部に向けて光を照射することが可能な側壁を有する容器Aの底に冷却材が置かれている、
2)開口部、内部に向けて光を照射することが可能な側壁、容器Aの開口部から容器Aに重ね合わせることができる形状と大きさを有する底面及び飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる溶媒含浸部材を支えるための側壁内面に設けられた支持部を有する容器Bが前記1)の容器Aの開口部から容器Aに挿入され、容器Bの底外面が容器Aに置かれた冷却材に密着させられている、
3)前記容器Bの支持部に溶媒含浸部材が置かれている、
4)容器Bの内部に放射線源が導入されている、
5)容器Bの底及び溶媒含浸部材に飛跡観察用溶媒が加えられている、及び
6)容器Bの開口部が蓋でおおわれている
を有する霧箱を用いて放射線の飛跡を観察する方法を提供する。本発明の方法は、前記容器A、容器B及び蓋を利用した放射線飛跡の観察方法であり、容器A、容器B、蓋、飛跡観測用溶媒及び溶媒含浸部材の特徴は先に述べたとおりである。
本発明の方法における霧箱の一態様が、図5に示される。本態様では、容器Aの側面に適当な大きさの概ね半円状の切り込みを入れ、切込み部を容器内側に押し込んでフラップ状の支持部を設けたものを、容器Bとして使用する。
PET製の透明カップ容器A(符号4)の底に冷却材(符号8)が置かれ、その上に容器Aと実質的に同一の形状及び大きさを有するPET製の透明カップ容器B(符号3)が重ねられる。これにより容器Bの底外面が冷却材に密着し、容器B内部が冷却される。また容器Aと容器Bは実質的に同一の形状及び大きさを有しており、容器の間に不必要な空隙が発生しない。これらにより容器B内部が効率的に冷却され、飛跡観察用溶媒の過飽和状態が安定的につくりだされる。なお、好ましい冷却材は、入手の容易性と価格の理由から粉末状ドライアイスである。
本態様では、フラップ状の支持部が設けられている高さにおける容器Bの内周長より多少短い長さを有する棒状のポリウレタン製スポンジ(符号5)を溶媒含浸部材とし、これを容器Bの内面に沿うように湾曲させて容器Bの支持部の上に置いて使用する。本発明においては溶媒含浸部材を粘着剤や粘着テープを使用して容器Bに固定する必要はないので、ポリウレタン製スポンジは粘着面を有するものでなくてもよい。
本態様では、容器Bの底にラジウムボールその他の放射線源(符号6)を導入して使用する。このとき、放射線の飛跡をより観察し易くする目的で、容器Bの底に黒又は暗色のシート(符号7)を敷き、その上に放射線源を置くことが好ましい。また、ラジウムボールなどの球状の放射線源を使用するときは、容器内での転がりを防止するため、また実験終了後の放射線源の回収を容易にするため、適当なコーキング剤などの足場に一部が埋設するように球状の放射線源を置いて使用することが好ましい。ラジウムボールなどの固形物の他、ランタンマントルを封入したシリンジを用いて放射線源を導入してもよい。
本態様では、溶媒含浸部材及び容器Bの底部にシリンジやスポイトを使用して飛跡観察用溶媒であるエタノールが加えられる。溶媒含浸部材からのエタノールの蒸発と容器B底外面からの冷却により、容器Bの底に加えられた液体状のエタノールの上空部にエタノールの過飽和状態が作り出される。
本態様では、容器Bの開口部を覆うためにPET製の透明の蓋(符号2)が使用される。蓋は、容器Bの縁の形状と嵌りあって容器Bを密閉することができる構造を有する蓋の使用が好ましい。特に、この蓋を布又はティッシュペーパーなどを用いて軽く擦ることで蓋に静電気を帯電させることが好ましい。
上記の特徴を備えた霧箱の側面から適当な光源を用いて光を照射することで、容器内に発生する霧滴の白いすじを放射線の飛跡として観察することができる。以下、非限定的な実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
開口部90mm(縁の最外端までは95mm)、底面部80mm、高さ45mmのPET製の透明カップを2つ用意した。1つはそのまま容器Aとし、1つは底面から20mmの高さに半径5mmの半円状の切り込みを円周方向に等間隔で4つ入れ、カップの内側に押し込んでフラップ状の支持部を設け、容器Bとした。さらに容器Bの縁に嵌って密閉できる内径90mm(縁部の最外端までは100mm)のPET製の透明蓋を用意した。
これら容器A、容器B及び蓋に、長さ250mm、幅15mm及び厚み10mmのポリウレタン製スポンジを溶媒含浸部材として、さらに直径18mm及び深さ5mのアルミニウム製の皿に充填されたコーキング剤の上に固定化した直径7mmのラジウムボールを放射線源として、さらには直径70mmの黒色の円形シートを組み合わせて、本発明の霧箱セットを作成した。
実施例2
実施例1のラジウムボールに代えてランタンマントルを封入したシリンジを組み合わせて、本発明の霧箱セットを作成した。
実施例3
実施例1の霧箱セットを用いて、放射線の飛跡を観察した。
ドライアイスを金槌で叩いて粉末化し、容器Aの底に高さ5mm程度に敷き詰めた。底部に黒色の円形シートを敷き、ポリウレタン製スポンジを支持体に乗せた容器Bに、黒色シートが浸る程度の量のエタノールを底に、スポンジ全体にいきわたる程度の量のエタノールをポリウレタン製スポンジにそれぞれ加えた。容器Aの開口部から容器Bを挿入し、容器Bの底外面をドライアイスに密着させた。容器Bの黒色シートの中央にコーキング剤で固定化したラジウムボールを置き、容器Bの開口部をPET製の透明蓋で密封して霧箱を作製した。この霧箱の透明カップ側面からLEDライトで内部を照らしながら飛跡発生の回数を計測した。
上記の作業を10セット行ったところ、10セットすべてで飛跡を観察することができた。またその観察回数は、平均して1分間に30回であった。また、観察を開始してから3分後には数回程度にまで観察回数は減少したが、放射線の飛跡観察を妨害する不要なイオンを霧箱空間から取り除くために蓋の上面をティッシュペーパーで数回擦って静電気を帯電させたところ、観察回数が再び1分間に30回ほどに回復した。
実施例4
実施例2の霧箱セットを用い、放射線の軌跡を観察した。操作は、実施例3と同様に行い、ラジウムボールを置く代わりに、ランタンマントルを封入したシリンジから20ccの空気を容器B内に注入して、放射線の飛跡を観察した。その結果、注入後1分間に300回ほどの飛跡を観察することができた。
比較例
直径205mm、深さ15mmの窪みを有する一辺が230mm、高さ30mmの発砲スチロールの窪みに、金槌でたたいて粉末化したドライアイスを高さ5mmとなるように敷いた。開口部85mm(容器内部の最大幅は100mm)、底面部75mm、高さ70mmの透明ガラス瓶の上端縁に沿うように、長さ255mm、幅10mm、厚み5mmのポリウレタン製スポンジをはめ込んだ。ガラス瓶の底に黒色シートを敷き、その上にラジウムボールを置いたのち、黒色シートが浸る程度の量のエタノールを底に、スポンジ全体にいきわたる程度の量のエタノールをポリウレタン製スポンジにそれぞれ加えた。このガラス瓶をドライアイスの上において瓶の底外面をドライアイスに密着させ、開口部を1辺が100mm、厚さ1mmのガラス板で覆って比較用霧箱を作製した。この霧箱のガラス瓶側面からLEDライトで内部を照らしながら飛跡発生の回数を計測した。
比較霧箱を同時に10セット作製したが、いくつかのセットではスポンジにエタノールを加えている最中にスポンジが容器内に落下してしまい、スポンジの回収と乾燥が必要となることがあった。また、飛跡が確認できたセットは3セットにとどまった。さらに、放射線の飛跡観察を妨害する不要なイオンを霧箱空間から取り除くために、別途用意した塩ビパイプをティッシュペーパーでこすって静電気を帯電させ、これをガラス板の蓋上面近くで面方向に数回往復させたが、飛跡の観察回数の改善はほとんど確認できなかった。
本発明の霧箱セットは、学校その他の教育機関又は社会教育において行われる自然放射線などの荷電粒子の飛跡を観察する実験で用いることのできる、簡易かつ安価な霧箱を提供するものである。
1 支持部
2 蓋
3 容器B
4 容器A
5 溶媒含浸部材
6 放射線源
7 黒色シート
8 冷却材

Claims (4)

  1. a)開口部及び内部に向けて光を照射することが可能な側壁を有する容器A、b)開口部、内部に向けて光を照射することが可能な側壁、容器Aの開口部から容器Aに挿入することができる形状と大きさを有する底面、及び飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる溶媒含浸部材を支えるための側壁内面に設けられた支持部を有する容器Bならびにc)容器Bの開口部を覆うことができる蓋を少なくとも含む、放射線の飛跡を観察するための霧箱セット。
  2. 容器Bが支持部を除き実質的に容器Aと同一の形状及び寸法を有するプラスチック製容器であり、蓋がプラスチック製の蓋である、請求項1に記載の霧箱セット。
  3. 下記1)から6)の特徴;
    1)開口部及び内部に向けて光を照射することが可能な側壁を有する容器Aの底に冷却材が置かれている、
    2)開口部、内部に向けて光を照射することが可能な側壁、容器Aの開口部から容器Aに重ね合わせることができる形状と大きさを有する底面及び飛跡観察用溶媒を蒸発可能に保持することができる溶媒含浸部材を支えるための側壁内面に設けられた支持部を有する容器Bが前記1)の容器Aの開口部から容器Aに挿入され、容器Bの底外面が容器Aに置かれた冷却材に密着させられている、
    3)前記容器Bの支持部に溶媒含浸部材が置かれている、
    4)容器Bの内部に放射線源が導入されている、
    5)容器Bの底及び溶媒含浸部材に飛跡観察用溶媒が加えられている、及び
    6)容器Bの開口部が蓋でおおわれている
    を備えた霧箱を用いて放射線の飛跡を観察する方法。
  4. 容器Bが支持部を除き実質的に容器Aと同一の形状及び寸法を有するプラスチック製容器であり、蓋がプラスチック製の透明な蓋である、請求項3に記載の方法。

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