JP2014227410A - 自己組織化ペプチド - Google Patents
自己組織化ペプチド Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014227410A JP2014227410A JP2013110898A JP2013110898A JP2014227410A JP 2014227410 A JP2014227410 A JP 2014227410A JP 2013110898 A JP2013110898 A JP 2013110898A JP 2013110898 A JP2013110898 A JP 2013110898A JP 2014227410 A JP2014227410 A JP 2014227410A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- peptide
- self
- acid residues
- acid residue
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
【課題】所望のβシート構造を容易に形成できると共に、電荷が精密に制御されたβシート構造を有する自己組織化ペプチドを提供する【解決手段】一方の面にマイナス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖を配向させ、他方の面にプラス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖を配向させる。例えば、3以上の奇数個配列したアミノ酸残基からなるβストランド構造のペプチドをβシート構造に形成する。そして、前記ペプチド中、前記酸性アミノ酸残基及び前記塩基性アミノ酸残基を夫々少なくとも1つ以上有するようにし、前記塩基性アミノ酸残基が前記酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目に配列されているようにする。【選択図】なし
Description
本発明は、自己組織化ペプチドに関する。より詳しくは、誘電材料、光機能材料、生体組織培養等に応用されるβシート構造を有する自己組織化ペプチドに関する。
近年、生体分子を利用した電子エネルギー変換デバイスの開発が行われている。たんぱく質の2次構造の一つであるβシート構造は構造上安定であり、電荷を有するβシート構造のペプチドは電子エネルギー変換デバイス等への応用に期待されている。
一般に、ペプチドの集合形態は、側鎖の静電的性質に影響を受けやすく、親水性アミノ酸残基である酸性アミノ酸残基や塩基性アミノ酸残基よりも、疎水性アミノ酸残基を有するペプチドがβシート構造を形成しやすい。このような傾向はあるものの、電子エネルギー変換デバイス等への応用に向けて、酸性アミノ酸残基や塩基性アミノ酸残基が配列され、電荷を有するβシート構造のペプチドの研究及び開発が行われている。
例えば、非特許文献1〜3には、疎水性アミノ酸残基を挟んで相補的な電荷を持つアミノ酸残基が交互に配置され、βシート構造を形成するオリゴペプチドに関する技術が開示されている。
また、特許文献1には、あるドメインの一方の面に酸性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基を配置し、異なるドメインには他方の面に酸性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基を配置したβシート構造を有するペプチドについて開示されている。更に、特許文献2には、親水性アミノ酸残基と隣接するアミノ酸残基を疎水性アミノ酸残基としたβシート構造を有するペプチドについて開示されている。
"Spontaneous assembly of a self-complementary oligopeptide to form a stable macroscopic membrane" Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1993, Vol.90, p.3334-3338
"Fabrication of novel biomaterials through molecular self-assembly" Nat. Biotechnol. 2003, Vol.21, p.1171-1178
"Self-assembly of ionic-complementary peptides: a physicochemical viewpoint" Colloids and Surface Sciences A 2005, 261, p.3-24
しかしながら、前述した技術は、酸性アミノ酸残基と塩基性アミノ酸残基との配向を制御するものではなく、電荷の制御という点ではまだ十分とは言えなかった。また、これらの技術では、βシート構造を形成するβストランド構造のペプチドのアミノ酸残基数を制御しておらず、所望のβシート構造を容易に製造できる技術とは言えなかった。
そこで、本発明は、容易にβシート構造を形成できると共に、電荷が精密に制御されたβシート構造を有する自己組織化ペプチドを提供することを主目的とする。
本発明者等は、前述した課題を解決するために、βシート構造を構成するβストランド構造のアミノ酸残基の数が特定の数に制御され、一方の面に酸性アミノ酸残基の側鎖が配向し、他方の面に塩基性アミノ酸残基の側鎖が配向するように制御されたβシート構造の自己組織化ペプチドを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明では、一方の面にマイナス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖が配向し、他方の面にプラス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖が配向したβシート構造の自己組織化ペプチドを提供する。
この自己組織化ペプチドは、3以上の奇数個配列したアミノ酸残基からなる複数のβストランド構造のペプチドから前記βシート構造が形成されており、前記βストランド構造のペプチドは酸性アミノ酸残基及び塩基性アミノ酸残基を夫々少なくとも1つ以上有し、前記ペプチド中、前記塩基性アミノ酸残基が前記酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目のアミノ酸残基として配列されていてもよい。
この自己組織化ペプチドでは、前記ペプチドには、疎水性アミノ酸残基が含まれていてもよい。
また、この自己組織化ペプチドでは、前記ペプチド中、前記酸性アミノ酸残基の数と前記塩基性アミノ酸残基の数は同一であってもよい。
更に、前記ペプチドのN末端アミノ酸残基は、Fmoc基等で置換されていてもよい。
この自己組織化ペプチドは、3以上の奇数個配列したアミノ酸残基からなる複数のβストランド構造のペプチドから前記βシート構造が形成されており、前記βストランド構造のペプチドは酸性アミノ酸残基及び塩基性アミノ酸残基を夫々少なくとも1つ以上有し、前記ペプチド中、前記塩基性アミノ酸残基が前記酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目のアミノ酸残基として配列されていてもよい。
この自己組織化ペプチドでは、前記ペプチドには、疎水性アミノ酸残基が含まれていてもよい。
また、この自己組織化ペプチドでは、前記ペプチド中、前記酸性アミノ酸残基の数と前記塩基性アミノ酸残基の数は同一であってもよい。
更に、前記ペプチドのN末端アミノ酸残基は、Fmoc基等で置換されていてもよい。
なお、本発明において、塩基性アミノ酸残基が、「酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目のアミノ酸残基として配列されている」とは、酸性アミノ酸を1番目のアミノ酸として、2番目、4番目、6番目等の偶数番目のアミノ酸残基として配列されていることを指す。
また、「酸性アミノ酸残基」とは、構造中にカルボキシル基を2つ持つアミノ酸残基を指し、具体的には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれる。また、「塩基性アミノ酸残基」とは、構造中にアミノ基を2つ持つアミノ酸残基を指し、具体的には、リシン、アルギニン及びヒスチジンが含まれる。
また、「βストランド構造」とは、ペプチドを構成するアミノ酸残基の鎖が直線状に伸びた構造を指す。
また、「βシート構造」とは、βストランド構造を有するペプチドが水素結合で結合し、束となってシート状に形成された構造を指す。
また、単に「ペプチド」と表現しているものは、βストランド構造のペプチドであって、自己組織化してβシート構造を形成可能なものを指す。
また、「自己組織化ペプチド」とは、βストランド構造のペプチドが自己組織化してβシート構造に形成されたペプチドを指す。
また、「酸性アミノ酸残基」とは、構造中にカルボキシル基を2つ持つアミノ酸残基を指し、具体的には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれる。また、「塩基性アミノ酸残基」とは、構造中にアミノ基を2つ持つアミノ酸残基を指し、具体的には、リシン、アルギニン及びヒスチジンが含まれる。
また、「βストランド構造」とは、ペプチドを構成するアミノ酸残基の鎖が直線状に伸びた構造を指す。
また、「βシート構造」とは、βストランド構造を有するペプチドが水素結合で結合し、束となってシート状に形成された構造を指す。
また、単に「ペプチド」と表現しているものは、βストランド構造のペプチドであって、自己組織化してβシート構造を形成可能なものを指す。
また、「自己組織化ペプチド」とは、βストランド構造のペプチドが自己組織化してβシート構造に形成されたペプチドを指す。
本発明によれば、容易に製造できると共に、電荷が精密に制御されたβシート構造を有する自己組織化ペプチドが提供される。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
[自己組織化ペプチド]
図1は、本発明の実施形態の自己組織化ペプチドを模式的に示した図である。図1に示すように、本実施形態の自己組織化ペプチドは、βシート構造であって、一方の面はマイナス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖が配向してマイナスに帯電している。そして、他方の面はプラス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖が配向してプラスに帯電している。
図1は、本発明の実施形態の自己組織化ペプチドを模式的に示した図である。図1に示すように、本実施形態の自己組織化ペプチドは、βシート構造であって、一方の面はマイナス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖が配向してマイナスに帯電している。そして、他方の面はプラス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖が配向してプラスに帯電している。
具体的には、本実施形態の自己組織化ペプチドは、例えば、3以上の奇数個配列したアミノ酸残基からなるβストランド構造のペプチドがβシート構造に形成される。そして、このペプチドが酸性アミノ酸残基及び塩基性アミノ酸残基を夫々少なくとも1つ以上有する。更に、本実施形態の自己組織化ペプチドでは、βストランド構造のペプチド中、塩基性アミノ酸残基が酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目に配列される。なお、図1では、9つのアミノ酸がβストランド構造に形成された場合の例を示す。
このβシート構造を形成するβストランド構造のペプチド間は水素結合で結合される。更に、図示しないが、このβシート構造を形成するβストランド構造のペプチド間は架橋形成されていてもよく、例えば、開環メタセシス重合等による形成方法が挙げられる。
[βストランド構造のペプチド]
まず、図1を参照しながら、本実施形態の自己組織化ペプチドにおいて、βストランド構造のペプチド中、塩基性アミノ酸残基が酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目のアミノ酸残基として配列されている場合について説明する。
まず、図1を参照しながら、本実施形態の自己組織化ペプチドにおいて、βストランド構造のペプチド中、塩基性アミノ酸残基が酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目のアミノ酸残基として配列されている場合について説明する。
自己組織化ペプチドを構成するβストランド構造のペプチドは、アミノ酸残基の側鎖がβシートに対して上下交互に配列する。そして、本実施形態の自己組織化ペプチドを構成するペプチドでは、塩基性アミノ酸残基(図1中、(2)、(4)、(6)等に示すアミノ酸)は、酸性アミノ酸残基(例えば、図1中、(1)に示すアミノ酸)から数えて偶数番目に配列される。
そのため、本実施形態の自己組織化ペプチドを構成するβストランド構造のペプチドは、シート面に対して上側にマイナスに帯電した酸性アミノ酸残基の側鎖が配向し、下側にプラスに帯電した塩基性アミノ酸残基の側鎖が配向する。従って、本実施形態の自己組織化ペプチドを構成するペプチドでは、上下夫々の面で、マイナス及びプラスの電荷が互いに打ち消し合うことなく、一方の面をマイナスに帯電させ、他方の面をプラスに帯電させることができる。なお、シート面に対して下側にマイナスに帯電した酸性アミノ酸残基の側鎖が配向し、上側にはプラスに帯電した塩基性アミノ酸残基の側鎖が配向してもよい。
続いて、図2〜図5を参照しながら、本実施形態の自己組織化ペプチドにおいて、βストランド構造のペプチドが3以上の奇数個配列したアミノ酸残基からなる場合について説明する。
図2は、平行型βシート構造を模式的に示す図である。図3は、逆平行型βシート構造を模式的に示す図である。また、図4は、βストランド構造を形成するペプチドが偶数個の場合にβシート構造を形成する例を模式的に示す図である。一方、図5は、βストランド構造を形成するペプチドが奇数個の場合にβシート構造を形成する例を模式的に示す図である。
図2に示すように、平行型βシートとは、2つのβストランド構造のペプチド10、11が同一方向に並んで結合することで形成されたβシート構造のことを指す。また、図3に示すように、逆平行型βシートとは、2つのβストランド構造のペプチド12、13が反対方向に並んで結合することで形成されたβシート構造のことを指す。
図4に示すように、βストランド構造を形成するペプチドが偶数個(例えば、図に示すように8個)であると、図4Aに示す向きのペプチドと、図4Bに示す向きの同一のペプチドとが結合し、逆平行型βシート構造を形成することがある。このとき、マイナス及びプラスの電荷は互いに打消し合うことになる。すなわち、βストランド構造を形成するペプチドからβシート構造を形成する際、電荷の打ち消し合いを生じさせないように、平行型βシート構造にするようにペプチドの配向を制御することが必要となる。
一方、本実施形態の自己組織化ペプチドでは、図5に示すように、βストランド構造を形成するアミノ酸残基の個数が奇数個である(例えば、図5A、Bに示すように9個)。この場合、図5Aに示すペプチドと、図5Bに示すペプチドの向きにより、マイナス及びプラスの電荷が互いに打消し合う懸念がなく、βシート構造が形成される。
すなわち、本実施形態の自己組織化ペプチドでは、βストランド構造を形成するアミノ酸残基の個数が奇数個であるため、集合形態が平行型であるか反平行型であるかにかかわらず、βシート構造中でマイナス及びプラスの電荷が互いに打消し合うことがない。従って、βストランド構造のペプチドに対して、特別な制御等を行う必要なく、一方の面をマイナスに帯電させ、他方の面をプラスに帯電させたβシート構造の自己組織化ペプチドを作製することができる。
このように、本実施形態の自己組織化ペプチドは、βストランド構造のペプチド中、塩基性アミノ酸残基が酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目に配列されると共に、ペプチドが3以上の奇数個配列したアミノ酸残基からなるペプチドとすることができる。そのため、マイナス及びプラスの電荷が互いに打消し合うことがなく、一方の面がマイナスに帯電し、他方の面がプラスに帯電したβシート構造に形成される。
[アミノ酸残基]
本実施形態の自己組織化ペプチドを構成するアミノ酸残基は、βストランド構造のペプチド中、3以上の奇数個であって、塩基性アミノ酸残基が任意の酸性アミノ酸から数えて偶数番目に配列されていることが好ましい。
本実施形態の自己組織化ペプチドを構成するアミノ酸残基は、βストランド構造のペプチド中、3以上の奇数個であって、塩基性アミノ酸残基が任意の酸性アミノ酸から数えて偶数番目に配列されていることが好ましい。
本実施形態の自己組織化ペプチドを構成する酸性アミノ酸としては、グルタミン酸(Glu)及びアスパラギン酸(Asp)が挙げられる。この中でも、合成上の扱いやすさの観点からグルタミン酸が含まれていることが好ましい。
また、本実施形態の自己組織化ペプチドを構成する塩基性アミノ酸としては、リシン(Lys)、アルギニン(Arg)及びヒスチジン(His)が挙げられる。この中でも、合成上の扱いやすさの観点からリシンが含まれていることが好ましい。
また、本実施形態の自己組織化ペプチドを構成するアミノ酸残基には、疎水性アミノ酸残基が含まれていてもよい。自己組織化ペプチドに疎水性アミノ酸残基が含まれていることで、より安定にβシートが形成されやすくなる。
疎水性アミノ酸としては、バリン(Val)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、プロリン(Pro)、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)及びトリプトファン(Trp)が挙げられる。この中でも、βシートの形成しやすさの観点からバリン、イソロイシン、もしくはアラニンが含まれていることが好ましい。
βストランド構造のペプチドを構成するアミノ酸残基の数は、3個以上であることが好ましく、5個以上であることがより好ましい。また、アミノ酸残基の数は、20個以下であることが好ましく、15個以下であることがより好ましい。
アミノ酸残基の数が、3個以上であると、より多くの荷電アミノ酸残基を導入することができ、誘電特性に優れる。また、アミノ酸残基の数が、20個以下であると、αヘリックス等の異なる2次構造を形成しにくくなり、βシートが安定に形成される。
また、βストランド構造のペプチドを構成する塩基性アミノ酸残基の数と、酸性アミノ酸残基の数とは同一であることが好ましい。これらの数が同一であると、βシートの上面と下面の価数が一致することから、誘電特性のバランスに優れる。
βストランド構造のペプチドを構成する塩基アミノ酸残基及び酸性アミノ酸残基の全アミノ酸残基の数に対する割合は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
塩基アミノ酸残基及び酸性アミノ酸残基の全アミノ酸の数に対する割合が、30%以上であると、より誘電特性に優れる。
また、本実施形態の自己組織化ペプチドを構成するペプチドのN末端アミノ酸残基は、Fmoc基等で置換されていてもよい。ペプチドのN末端アミノ酸残基がFmoc基で置換されていることで、Fmoc基の集合化能により、βストランド構造のペプチドが集合化した際に、βシート構造の自己組織化ペプチドがより安定に形成されやすくなる。
[自己組織化ペプチドの製造方法]
次に、本実施形態の自己組織化ペプチドの製造方法について説明する。本実施形態の自己組織化ペプチドを得るためには、まず、例えば、3以上の奇数個配列したアミノ酸からなるペプチドであって、酸性アミノ酸残基及び塩基性アミノ酸残基を夫々少なくとも1つ以上有し、塩基性アミノ酸残基が酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目に配列されたβストランド構造のペプチドを準備する。次いで、βストランド構造のペプチドを、例えば、メタノール等の極性溶媒に加熱溶解し、室温(約15〜30℃)にて3日程度静置し、自己組織的にβシート構造へと集合化させることで、本実施形態の自己組織化ペプチドが得られる。
次に、本実施形態の自己組織化ペプチドの製造方法について説明する。本実施形態の自己組織化ペプチドを得るためには、まず、例えば、3以上の奇数個配列したアミノ酸からなるペプチドであって、酸性アミノ酸残基及び塩基性アミノ酸残基を夫々少なくとも1つ以上有し、塩基性アミノ酸残基が酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目に配列されたβストランド構造のペプチドを準備する。次いで、βストランド構造のペプチドを、例えば、メタノール等の極性溶媒に加熱溶解し、室温(約15〜30℃)にて3日程度静置し、自己組織的にβシート構造へと集合化させることで、本実施形態の自己組織化ペプチドが得られる。
βストランド構造のペプチドの合成については、特に限定されないが、通常のFmoc固相合成法により作製することができる。具体的には、Fmoc基の脱保護、アミノ酸のカップリング、未反応アミン部位のキャッピングを繰り返し行うことにより作製することができる。βストランド構造のペプチドの同定については、MALDI−TOF−MS及び1H NMRスペクトルにより行うことができる。
次に、合成工程により得られた溶液中のペプチドを溶媒に溶かし、精製することで自己組織化させる。ペプチドをβシート構造へと集合化させるための溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。溶媒の使用量は、ペプチドの10〜100倍モルであることが好ましく、より好ましくは、20〜50倍モルである。
また、自己組織化させる際に、N末端もしくはC末端にノルボルネン等を導入し、開環メタセシス重合によりペプチド間を架橋することができる。
また、溶媒に溶かしたペプチドを精製するための溶剤も、特に限定されないが、エーテル、ヘキサン、アセトン及びジクロロメタン等が挙げられる。溶剤の使用量は、ペプチドの100〜10000倍モルであることが好ましく、より好ましくは、500〜2000倍モルである。これにより、βシート構造を有する自己組織化ペプチドの析出物を得ることができる。
次に、この析出物をアセトニトリル、THF、クロロホルム及びジクロロメタン等の溶媒に溶かして、0〜3時間静置して、βシート構造を有する自己組織化ペプチドの分散溶液を得ることができる。
ペプチドの自己組織化における溶液の温度は、特に限定されるものではないが、製造効率の観点から0〜40℃であることが好ましい。
以上、詳述したように、本実施形態の自己組織化ペプチドは、一方の面に酸性アミノ酸残基の側鎖が位置し、他方の面に塩基性アミノ酸残基の側鎖が位置するβシート構造を有する。そのため、マイナス及びプラスの電荷が互いに打ち消し合うことなく、シートの上下面方向に双極子モーメントが誘起されることにより非線形光学効果が得られる。また、外部電場による分極反転により、強誘電特性を発現させることができる。更に、この分極反転を利用し、βシート構造の薄膜上に培養した細胞シートを容易に剥離することができる。
図6は、βシート構造を有する光電変換人工ペプチドを模式的に示す図である。図6に示すように、アミノ酸残基に特定の官能基を修飾することにより、βシート構造を有する自己組織化ペプチドを光電変換人工ペプチドとして応用することもできる。
このように、本実施形態の自己組織化ペプチドは、2次高調波発生素子、レーザー波長変換素子、強誘電素子、蓄電素子、圧電素子、強誘電メモリー、細胞シート剥離基板、細胞成長抑止剤等に応用することができる
[試験例1]
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、ペンタペプチドをデザインした。具体的には、1番目にグルタミン酸(E)、2番目及び3番目にバリン(V)、4番目にリシン(K)、5番目にバリン(V)が配置されたペンタペプチドEVVKV(配列番号1)をFmoc固相合成法により合成した。すなわち、Fmoc基で置換されたEVVKVを得た(Fmoc−EVVKV−NH2)。次いで、このようにして得られたペンタペプチド50mgをアセトニトリル2mlに溶かした後、室温(約20℃)で3日程度静置し、分子の凝集・集合化を促した。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、ペンタペプチドをデザインした。具体的には、1番目にグルタミン酸(E)、2番目及び3番目にバリン(V)、4番目にリシン(K)、5番目にバリン(V)が配置されたペンタペプチドEVVKV(配列番号1)をFmoc固相合成法により合成した。すなわち、Fmoc基で置換されたEVVKVを得た(Fmoc−EVVKV−NH2)。次いで、このようにして得られたペンタペプチド50mgをアセトニトリル2mlに溶かした後、室温(約20℃)で3日程度静置し、分子の凝集・集合化を促した。
これにより得られた、N末端にFmoc基が置換されたペンタペプチドにおいて、平行βシート構造の形成を確認した。βシートの構造の形成は、図7に示すCDスペクトル、図8に示す発光スペクトル及び図9に示すSEM画像により確認した。
CDスペクトルについては、上記の方法により集合化したペンタペプチドを室温条件下、アセトニトリルに分散させて測定した。図7に示すCDスペクトルの結果により、集合化したポリペプチドはβシート構造になったと考えられる。
発光スペクトルについては、上記の方法により集合化したペンタペプチドを室温条件下、アセトニトリルに分散させて測定した。図8に示す発光スペクトルにより、456nmでの燐光強度が得られていることから、Fmoc基の集合化が実現されていることが示唆され、これが駆動力となりβシートが形成されていると考えられる。
SEM画像は、上記の方法により集合化したペンタペプチドのメタノール分散液を室温条件下、シリコン基板上に滴下し、10nmの金薄膜をコートして得た。図9に示すSEM写真により、ペプチドがファイバーを形成し、βシート(アミロイド)構造を形成していると考えられる。
[試験例2]
試験例1に対し、Fmoc−EVVKV−NH2を用いてペンタペプチドの凝集・集合化を促した代わりに、ペンタペプチドEVVKVの末端がアセチル基で置換されたAc−EVVKV−NH2を用いてペンタペプチドの凝集・集合化を促した点以外は、試験例1と同様にして実験を行った。図7に示すCDスペクトルにより、集合化したポリペプチドは、一部はβシート構造化し、一部はランダムコイル状になったと考えられる。
試験例1に対し、Fmoc−EVVKV−NH2を用いてペンタペプチドの凝集・集合化を促した代わりに、ペンタペプチドEVVKVの末端がアセチル基で置換されたAc−EVVKV−NH2を用いてペンタペプチドの凝集・集合化を促した点以外は、試験例1と同様にして実験を行った。図7に示すCDスペクトルにより、集合化したポリペプチドは、一部はβシート構造化し、一部はランダムコイル状になったと考えられる。
[試験例3]
試験例1に対し、Fmoc−EVVKV−NH2を用いてペンタペプチドの凝集・集合化を促した代わりに、ペンタペプチドEVVKVの末端が置換されていないH−EVVKV−NH2を用いてペンタペプチドの凝集・集合化を促した点以外は、試験例1と同様にして実験を行った。図7に示すCDスペクトルにより、集合化したポリペプチドの大部分はランダムコイル状になったと考えられる。
試験例1に対し、Fmoc−EVVKV−NH2を用いてペンタペプチドの凝集・集合化を促した代わりに、ペンタペプチドEVVKVの末端が置換されていないH−EVVKV−NH2を用いてペンタペプチドの凝集・集合化を促した点以外は、試験例1と同様にして実験を行った。図7に示すCDスペクトルにより、集合化したポリペプチドの大部分はランダムコイル状になったと考えられる。
10、11、12、13:ペプチド
Claims (5)
- 一方の面にマイナス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖が配向し、他方の面にプラス電荷を有するアミノ酸残基の側鎖が配向したβシート構造の自己組織化ペプチド。
- 3以上の奇数個配列したアミノ酸残基を有する複数のβストランド構造のペプチドから前記βシート構造が形成されており、
前記βストランド構造のペプチドは、酸性アミノ酸残基及び塩基性アミノ酸残基を夫々少なくとも1つ以上有し、
前記βストランド構造のペプチド中、前記塩基性アミノ酸残基が前記酸性アミノ酸残基から数えて偶数番目のアミノ酸残基として配列された請求項1に記載の自己組織化ペプチド。 - 前記βストランド構造のペプチドには、疎水性アミノ酸残基が含まれる請求項2に記載の自己組織化ペプチド。
- 前記βストランド構造のペプチド中、前記酸性アミノ酸残基の数と前記塩基性アミノ酸残基の数とは同一である請求項3に記載の自己組織化ペプチド。
- 前記βストランド構造のペプチドのN末端アミノ酸残基がFmoc基で置換されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の自己組織化ペプチド。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2013110898A JP2014227410A (ja) | 2013-05-27 | 2013-05-27 | 自己組織化ペプチド |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2013110898A JP2014227410A (ja) | 2013-05-27 | 2013-05-27 | 自己組織化ペプチド |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2014227410A true JP2014227410A (ja) | 2014-12-08 |
Family
ID=52127592
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2013110898A Pending JP2014227410A (ja) | 2013-05-27 | 2013-05-27 | 自己組織化ペプチド |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2014227410A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2016199514A (ja) * | 2015-04-13 | 2016-12-01 | 国立大学法人東京工業大学 | 自己組織化ペプチド及びその利用 |
| WO2018092886A1 (ja) * | 2016-11-18 | 2018-05-24 | 三井化学株式会社 | 圧電基材、センサー、アクチュエーター、生体情報取得デバイス、及び圧電繊維構造体 |
-
2013
- 2013-05-27 JP JP2013110898A patent/JP2014227410A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2016199514A (ja) * | 2015-04-13 | 2016-12-01 | 国立大学法人東京工業大学 | 自己組織化ペプチド及びその利用 |
| WO2018092886A1 (ja) * | 2016-11-18 | 2018-05-24 | 三井化学株式会社 | 圧電基材、センサー、アクチュエーター、生体情報取得デバイス、及び圧電繊維構造体 |
| JPWO2018092886A1 (ja) * | 2016-11-18 | 2019-10-17 | 三井化学株式会社 | 圧電基材、センサー、アクチュエーター、生体情報取得デバイス、及び圧電繊維構造体 |
| US11101427B2 (en) | 2016-11-18 | 2021-08-24 | Mitsui Chemicals, Inc. | Piezoelectric substrate, sensor, actuator, biological information acquisition device, and piezoelectric fiber structure |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| Basavalingappa et al. | Diphenylalanine-derivative peptide assemblies with increased aromaticity exhibit metal-like rigidity and high piezoelectricity | |
| Makam et al. | Minimalistic peptide supramolecular co-assembly: expanding the conformational space for nanotechnology | |
| Qian et al. | Bio-inspired pangolin design for self-healable flexible perovskite light-emitting diodes | |
| Deisenhofer et al. | The photosynthetic reaction centre from the purple bacterium Rhodopseudomonas viridis | |
| Shu et al. | Peptide-polymer conjugates: from fundamental science to application | |
| Deisenhofer et al. | The photosynthetic reaction center from the purple bacterium Rhodopseudomonas viridis | |
| Ardoña et al. | Peptide π-electron conjugates: organic electronics for biology? | |
| Zhao et al. | Rational design of bio‐inspired peptide electronic materials toward bionanotechnology: strategies and applications | |
| US9073977B2 (en) | Biomimetic peptoid polymers | |
| Tsuchiya et al. | Chemical synthesis of multiblock copolypeptides inspired by spider dragline silk proteins | |
| Berdugo et al. | Dynamic peptide library for the discovery of charge transfer hydrogels | |
| Sofou et al. | Synthesis of a proline-rich [60] fullerene peptide with potential biological activity | |
| Dibble et al. | A tale of three hydrophobicities: Impact of constitutional isomerism on nanostructure evolution and electronic communication in π-conjugated peptides | |
| Watanabe et al. | Chemoenzymatic polymerization of l-serine ethyl Ester in aqueous media without side-group protection | |
| Tian et al. | Peptide‐based optical/electronic materials: Assembly and recent applications in biomedicine, sensing, and energy storage | |
| US20050124535A1 (en) | Cyclic peptide nanotube structures for molecular scale electronic and photonic devices | |
| Yan | Peptide Self-Assembly and Engineering: Fundamentals, Structures, and Applications | |
| Nakanishi et al. | Synthesis and atomic force microscopy observations of the single-peptide nanotubes and their micro-order assemblies | |
| Terada et al. | Chemoenzymatic synthesis of poly-l-lysine via esterification with alcohol in one-pot | |
| CN103408765B (zh) | C3多肽超分子螺旋聚合物及其制备方法 | |
| Deisenhofer et al. | The photosynthetic reaction centre from the purple bacterium Rhodopseudomonas viridis | |
| JP5601437B2 (ja) | コラーゲン様構造を有するポリペプチド | |
| Shaytan et al. | Self-organizing bioinspired oligothiophene–oligopeptide hybrids | |
| Dittrich et al. | Solid peptide nanoparticles–Structural characterization and quantification of cargo encapsulation | |
| KR101627106B1 (ko) | 다중방향성을 갖는 폴리펩티드 및 이를 포함하는 자기조립 나노구조체 |