JP2014223171A - 被検体情報取得装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波副走査方向に隣接する測定データを結合する場合に、測定データの境界位置が被検体内組織の形状輪郭と重ならない位置となるように制御する。
【解決手段】被検体から伝搬する音響波を受信して電気信号を出力する受信素子が少なくとも第一の方向に配列された探触子と、電気信号を用いて被検体内部の特性情報を取得する信号処理部と、第一の方向と交差する方向を第二の方向としたとき、探触子に、音響波を受信しつつ行われる第二の方向への移動と、第一の方向への移動と、を実行させる移動制御部と、被検体内部における注目領域に関する情報を取得し、注目領域の輪郭の位置を判定する判定部を有し、移動制御部は、判定部からの結果に基づいて、第一の方向における前記探触子の位置を制御する被検体情報取得装置を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検体情報取得装置およびその制御方法に関する。
超音波測定装置は、超音波探触子(単に探触子とも呼ぶ)を用いて複数の超音波を合成して超音波ビームを形成し、超音波ビームを被検体に送信する。そして、被検体内部で反射された超音波エコーを受信することで、被検体内の組織の情報が得られる。また、被検体に対して探触子の位置を2次元的に走査しながら超音波送受信を繰り返すことで、被検体内の組織の形態情報を3次元的に測定、可視化できる。
超音波測定技術を用いた超音波診断装置は、例えば乳腺科での乳がん診断において、腫瘤の特異性(例えば、乳がん、嚢腫、固形物などの違い)の検出に適用できる。これにより、腫瘤の深さ方向の位置や形態を精度高く認識できる。超音波診断装置は、生体内の組織を非侵襲で可視化することが可能なため、患者負担の点で大きな優位性を有している。そのため、繰り返し診断することが難しい他の診断装置に代わり乳がんのスクリーニングや早期診断で活用されている。
一般に乳がん診断では、触診や複数のモダリティでの画像診断の結果に基づいて、総合的に良悪性診断が行われる。特許文献1には、乳がん診断の精度を高めるために、被検体の状態を同一に保ったままX線マンモグラフィーと超音波による画像診断を行う技術が開示されている。特許文献1によれば、超音波探触子を機械的に2次元走査することで、X線画像と同じ領域の広範囲の3次元超音波画像を生成できる。ここで、X線画像は、乳がんの初期症状の1つである石灰化などを高感度、高解像度で画像化できる。また、超音波画像は、腫瘤の深さ方向の位置や形態を精度高く検出できる。したがって、特許文献1の装置がX線画像と超音波画像を取得することで、それぞれの画像の優位性を組み合わせた、精度の高い診断が可能となる。
超音波診断装置が、他のモダリティによる診断画像と同じ領域(または、一部の注目領域)を撮像する場合、特許文献1のように、超音波探触子の機械的な2次元走査が必要となる場合がある。例えば、超音波探触子の機械的な2次元走査は、超音波ビームの電子的走査の方向と直交する方向を主走査方向、電子的走査の方向に沿う方向を副走査方向として実施される。超音波探触子の主走査の中で超音波ビームの電子的走査を繰り返すことにより、超音波探触子の主走査方向の移動量と超音波ビームの電子的走査範囲に応じた領域を測定できる。1回の超音波探触子の主走査で得られる測定データを副走査方向に繰り返し取得し、副走査方向に並ぶ複数の測定データを結合することで、広範囲の3次元超音波画像の生成に必要なボリュームデータが取得できる。以下、3次元超音波画像の生成に必要なボリュームデータを、単に超音波データと表記する。
特許文献2には、超音波探触子の機械的な2次元走査と、超音波ビームの電子的な走査とを組み合わせて広範囲の超音波画像を撮像する場合に、副走査方向に隣接する測定データ間でデータサンプリング位置を揃える技術が開示されている。超音波探触子の連続的な移動動作の中で超音波ビームの電子的走査を行うと、電子的走査の開始点と終了点では、探触子の移動速度に応じて主走査方向に一定の位置ずれを生じる。特許文献2によれば、超音波探触子の主走査方向の往復動作における移動方向と上記の主走査方向の位置ずれ量に基づいて、超音波探触子の主走査の開始位置を調整することで、隣接する測定データ間での主走査方向のデータサンプリング位置を揃えられる。その結果、副走査方向に並ぶ測定データの結合の結果として生じる超音波画像上の不連続性を低減でき、超音波画像をよ
り正確に構成できる。
特許文献3には、超音波ビームの多方向同時送信により3次元の超音波画像を取得する場合に、超音波画像内における画像の不連続性を低減する技術が開示されている。特許文献3によれば、多方向に同時送信される複数の超音波ビームの電子的走査の走査線が直線状に並ぶように各超音波ビームの電子的走査を制御することで、超音波画像の不連続性を低減できる。また、複数の超音波ビームを並列的に走査することでフレームレートを向上させられる。
特開2009−82449号公報 特開平8−94596号公報 特開2011−160865号公報
画像診断における超音波画像の優位性は、前述の通り、被検体内の組織の輪郭形状や深さ方向の位置などの、精度の高い形態情報にある。このような優位性は、乳がんの画像診断において、超音波画像を光音響画像などの機能画像と組み合わせる場合に、特に重要となる。なお、光音響画像とは、光音響の原理に基づいて乳がんによる活発な血管新生の分布を可視化し、血液中の酸素量などの機能量を示した画像である。
超音波探触子を機械的に2次元走査し、副走査方向に隣接する測定データを結合することで広範囲の超音波データを取得する場合、測定データ間に潜在するデータの不連続性を本質的に回避することは難しい。そして、同時に一括して取得していない測定データ間に潜在する不連続性は、画像診断時に超音波画像上でも視認される場合がある。この超音波画像上の不連続性が乳がん組織の輪郭形状と重なって視認されると、超音波画像の画像診断上の優位性である形態情報の信頼性が低下する可能性を否定できない。すなわち、超音波探触子を2次元走査してデータを結合する場合、必ずしも画像診断に好適な測定とならない場合が存在した。
特許文献1および2に記載の発明はともに、超音波画像上の不連続性を低減するための技術であって、不連続性を生じる境界位置と被検体内の組織の形状輪郭とが重なることを回避するものではないため、上記問題を解決することはできない。
副走査方向に隣接する測定データを結合するときの不連続性を低減する技術として、1回の主走査での測定領域同士を少しずつ(例えば数mm程度)オーバーラップさせ、線形補間などの各種補間処理で測定データを結合する方法がある。しかしながら、補間処理の結果として、ランダムノイズの積算効果によりオーバーラップ領域とその周辺でノイズレベルに差異が生じる場合がある。この差異もまた、超音波画像上で視認される場合がある。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波副走査方向に隣接する測定データを結合する場合に、測定データの境界位置が被検体内組織の形状輪郭と重ならない位置となるように制御することにある。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
被検体から伝搬する音響波を受信して電気信号を出力する受信素子が少なくとも第一の
方向に配列された探触子と、
前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を取得する信号処理部と、
前記第一の方向と交差する方向を第二の方向としたとき、前記探触子に、前記音響波を受信しつつ行われる前記第二の方向への移動と、前記第一の方向への移動と、を実行させる移動制御部と、
前記被検体内部における注目領域に関する情報を取得し、前記注目領域の輪郭の位置を判定する判定部と、
を有し、
前記移動制御部は、前記判定部からの結果に基づいて、前記第一の方向における前記探触子の位置を制御する
ことを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、
受信素子が少なくとも第一の方向に配列された探触子と、
信号処理部と、
前記第一の方向と交差する方向を第二の方向としたとき、前記探触子に、前記第二の方向への移動と、前記第一の方向への移動と、を実行させる移動制御部と、
判定部と、
を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記移動制御部が、前記探触子を、前記第二の方向に移動させるステップと、
前記探触子が、前記移動制御部の制御によって前記第二の方向に移動しつつ、前記受信素子を用いて前記被検体から伝搬する音響波を取得して電気信号を出力するステップと、
前記信号処理部が、前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を取得するステップと、
前記判定部が、前記被検体内部における注目領域に関する情報を取得し、前記注目領域の輪郭の位置を判定するステップと、
前記移動制御部が、前記判定部からの結果に基づいて、前記第一の方向における前記探触子の位置を制御するステップと、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法である。
本発明によれば、超音波副走査方向に隣接する測定データを結合する場合に、測定データの境界位置が被検体内組織の形状輪郭と重ならない位置となるように制御できる。
第1の実施形態における超音波測定装置の装置構成の概略図。 第1の実施形態における超音波ビームの電子的走査を説明する概念図。 従来の方法における超音波探触子の2次元走査を説明する概念図。 第1の実施形態における境界位置の判定方法を説明する概念図。 第1の実施形態における超音波探触子の2次元走査を説明する概念図。 第1の実施形態における測定の流れを示すフローチャート。 第2の実施形態における注目個所の指定方法を説明する概念図。 第2の実施形態における超音波探触子の2次元走査を説明する概念図。 第2の実施形態における測定の流れを示すフローチャート。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明の被検体情報取得装置は、基本的には、被検体に超音波を送信し、被検体内部で反射したエコー波を受信して、特性情報を画像データとして取得する超音波エコー技術を利用した装置である。従って、本発明によって取得される特性情報(被検体情報)とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した情報である。本発明でいう超音波とは、一種の音響波であり、音波、超音波、音響波と呼ばれる弾性波に含まれる。
また本発明の被検体情報取得装置は、超音波診断以外のモダリティ、例えばX線マンモグラフィーや光音響トモグラフィーにより被検体を測定し、得られた被検体情報を超音波測定によって得られる情報と融合させてもよい。
光音響トモグラフィーは、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体情報を画像データとして取得する技術である。この場合、被検体情報には、光音響波の発生源分布、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布が含まれる。物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。
本発明の被検体情報取得装置は、超音波により被検体を測定して被検体情報を得るという意味で、超音波測定装置と呼ぶこともできる。以下、このような超音波測定装置に本発明を適用した場合の各実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態における超音波測定装置は、超音波探触子の位置を2次元的に走査しながら一定のピッチに従って超音波ビームの電子的走査を繰り返すことで、目的とする3次元超音波画像の生成に必要な超音波データを取得する。なお、超音波データの取得ピッチなどの情報は、操作部114からの超音波データの測定開始指示時に、制御プロセッサ112から指定される。ユーザ(主に検査者)からの撮影領域や解像度の入力を受け付ける形でもよいし、目的とする3次元超音波画像のボクセルピッチから決定される形でもよい。また、ユーザから入力される情報は、何らかの形で位置や領域を特定できるものであれば良い。
(装置の構成と機能)
図1は、第1の実施形態における超音波測定装置の装置構成の概略図である。
第1の実施形態における超音波測定装置は、被検体101を保持する保持板102、保持を測定に好適な状態に制御する保持制御部103、被検体101の保持状態を観察する形状認識部118を有する。装置はまた、超音波の送受信を行う探触子104、探触子104に駆動信号を印加する超音波送信部105、探触子104が検出した信号を増幅してデジタル信号に変換する超音波受信部106を有する。装置はまた、検出した超音波信号から受信フォーカス処理を行う信号処理部107、探触子位置を変更する移動機構108、保持板102上で探触子位置を2次元的に走査する移動制御部109を有する。装置はまた、超音波ビームの形状や電子的走査を制御する超音波走査制御部110、境界位置判定部111、測定動作に必要なパラメータや測定した超音波データを保存する記憶部113を有する。装置はまた、操作部114を介したユーザの各種操作を受け付けて測定動作に必要な制御情報を生成する制御プロセッサ112を有する。
図1には、ユーザが装置に対して指示や測定に必要なパラメータを入力するための操作部114、超音波データから3次元の超音波画像を構成する画像構成部115、超音波画像や測定支援情報を表示する表示部116、ネットワークI/F117が含まれる。これらの構成要素は、超音波測定装置の一部として含まれても良いし、別体として提供されていても構わない。
測定対象となる被検体101は、乳腺科における乳がん診断では乳房である。測定対象としては他に、人や動物の手足など生体の一部や、人工的に作成した模擬生体(ファントム)が考えられる。注目領域として例えば、音響インピーダンスの特異性ある領域(例えば、乳がん、嚢腫、固形物など)が挙げられる。ファントムにおいては、装置の効果確認のために特異性のあるチューブ等を埋め込む。
保持板102は102Aと102Bの2枚1対で構成される。2枚の保持板の間隙は、保持制御部103により測定に好適な距離に制御される。保持板102Aと102Bを区別する必要がない場合はまとめて保持板102と表記する。保持板102で被検体101を挟む形で固定することで、被検体101が動くことによる測定誤差を低減できる。なお保持板102Bは超音波の伝播経路に位置するため、探触子104との音響整合性が高い部材であることが好ましい。また超音波測定用のジェルシートなどの音響整合材を使用することで、探触子104と保持板102Bとの間で高い超音波の伝搬効率を確保できる。
保持制御部103は、被検者への負担や目標とする測定深度に合わせて、被検体101の保持状態(保持距離や保持圧力など)が超音波測定に好適になるように調整する。また保持制御部103は、図示しない保持のロック機構を備え、ユーザが同ロック機構のスイッチを入れることにより保持状態が確定し固定される。そして測定の間は、被検者からの申告やユーザによる保持解除操作がある場合を除いて、被検体101の保持状態を一定に保つように制御する。また、被検体101の保持情報(保持距離と保持圧力)を制御プロセッサ112に出力する。ユーザは、乳房内の嚢腫の大きさや硬さなどの被検体101の状態により、母体である被検者の負担に配慮して保持状態を設定できる。
形状認識部118は、探触子位置の走査面(保持板102B)越しに観察される被検体の保持状態を撮像すると共に、保持された被検体の形状を認識する。撮像された被検体101の画像を表示部115に表示することで、ユーザに測定位置や測定領域の設定など測定支援機能を提供する。また形状認識部118は、被検体の肌色を抽出するなどの画像処理により被検体形状を認識する。そして、撮像された画像を、過去の撮像画像や他モダリティの診断画像と融合することにより、過去または他モダリティでの診断で得られた注目箇所などを、現在保持されている被検体上にマッピングできる。
探触子104は、複数の音響素子が配列して構成される。探触子104は、被検体101に対して超音波ビームの送信を行って、被検体内部において反射された超音波エコーを受信して電気信号に変換する。
本発明において、探触子はどのような方式のものでも良い。一般的に超音波診断装置で使用されている圧電セラミックス(PZT)を利用した音響素子や、静電容量型の音響素子が使用できる。例えば、静電容量型のCMUT(Capacitive Micromachined UltrasonicTransducer)は好適である。また、磁性膜を用いるMMUT(MagneticMUT)、圧電薄膜を用いるPMUT(PiezoelectricMUT)も使用できる。
また、2次元平面状の保持板102Bに探触子を接触させて、機械的に2次元走査しながら測定を行う超音波測定装置では、平行な超音波ビームで均一な画質の断層画像を生成できるリニア走査型の探触子が一般的に使用される。
なお、第1の実施形態では、説明のため音響素子が直線状に一列に配列した一次元探触子を使用して超音波ビームの電子的走査を行う例について説明する。ただし本発明の適用をそれに限るものではなく、2次元上に配列されたアレイ型探触子(1.5D探触子も含む)を使用して超音波測定を行う構成でもよい。
超音波走査制御部110は、探触子104を構成する各々の音響素子に印加する駆動信号を生成して、送信される超音波の周波数や音圧を制御する。超音波走査制御部110はまた、超音波ビームの送信方向を設定して送信方向に対応して送信遅延パターンを選択する送信制御機能と、超音波エコーの受信方向を設定して受信方向に対応して受信遅延パターンを選択する受信制御機能とを備える。超音波走査制御部110は、これらの送受信制御機能により、超音波ビームの送信と超音波エコーの受信の電子的走査を行う。
送信遅延パターンは、複数の音響素子から送信される超音波によって所定の方向に超音波ビームを形成するために、複数の駆動信号に与えられる遅延時間のパターンである。また受信遅延パターンは、複数の音響素子によって検出される複数の超音波信号に対して、任意の方向からの超音波エコーを抽出するために、複数の受信信号に与えられる遅延時間のパターンである。これらの送信遅延パターンと受信遅延パターンは記憶部113に記憶されている。
超音波送信部105は、超音波走査制御部110によって生成された駆動信号を、探触子104を構成する個々の音響素子に対して印加する。
超音波受信部106は、探触子104を構成する複数の音響素子が検出したアナログ信号を増幅する信号増幅部と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部から構成され、受信した信号をデジタル信号に変換する。
信号処理部107は、超音波走査制御部110により選択された受信遅延パターンに基づいて、超音波受信部106により生成された信号に対してそれぞれの遅延時間に対応させて、各々の信号を加算することにより受信フォーカス処理を行う。この処理により焦点が絞り込まれた超音波信号が生成され、信号処理部107は最終的に、超音波ビームの電子的走査に沿ったBモードの断層画像を生成する。生成したBモードの断層画像を、2次元走査を行っている探触子位置に沿って配列することで超音波データが構成される。これらのデータは記憶部113に保存される。
また信号処理部107は、超音波の反射位置の深度に応じて増幅利得を増減するTGC(Time Gain Control)制御などを行うことで、測定深度によらずに均一なコントラストをもつ断層画像を生成する。
移動機構108は、モータなどの駆動部とその駆動力を伝達する機械部品から構成され、移動制御部109の指示を受けて保持板102B上で探触子104を移動させる。また探触子104の位置情報を検出して移動制御部109へ出力する。
移動制御部109は、探触子104の位置を保持板上で2次元走査するように移動機構108を制御する。探触子位置の機械的な2次元走査は、超音波ビームの電子的走査の方向と交差(例えば直交)する方向を主走査方向、電子的走査の方向に沿う方向を副走査方向としたとき、走査領域の幅に対応する主走査と、主走査の間の副走査を繰り返すことで実現される。電子的走査を行う方向(すなわち、受信素子が配列された方向)である副走査方向は、本発明の第一の方向に対応する。第一の方向と交差する主走査方向は、本発明の第二の方向に対応する。主走査は、典型的には測定対象領域の第二の方向における一端から他端まで探触子を移動させて音響波を取得することにより行われるが、測定範囲はこれに限られない。
なお、移動制御部109は、境界位置判定部111により出力される位置情報に応じて、探触子位置の次の副走査位置、または次の副走査位置における電子的走査の開始位置を調整する。例として、副走査位置または電子走査開始位置が、境界位置判定部からの情報が示す位置と重ならない位置にするような調整がある。
探触子104がBモード断層画像の取得位置に達すると、移動制御部109が超音波走
査制御部110に対して超音波ビームの電子的走査を指示する。探触子位置を被検体101に対して2次元走査することで広い測定領域を取得できる。例えば乳がん診断では、フルブレストでの超音波データの取得が可能となる。
境界位置判定部111は、探触子位置の主走査中または1回の主走査の完了毎に、信号処理部107が出力する複数のBモード断層画像における電子的走査の終了端近傍に、被検体内組織の輪郭形状を示す信号成分が位置しているかどうかを判定する。すなわち、探触子104の1回の主走査により得られる部分的な測定データにおいて、副走査方向端部の近傍に被検体内組織の輪郭形状が位置しているかどうかを判定する。輪郭形状を示す信号成分が認められた場合には、その位置情報を移動制御部109に出力する。境界位置判定部は、本発明の判定部に相当する。
制御プロセッサ112は、超音波測定動作や超音波画像の生成、画像処理、表示を実行するための制御プログラムを記憶部113から読み込んで、自身が有するメモリ上に展開して、各機能を実行する。また制御プロセッサ112は、操作部114からの超音波測定の開始指示や中断などの各種要求を受け付け、超音波測定装置全体を管理、制御する。制御プロセッサ112はさらに、操作部114から入力される測定位置や測定領域、超音波信号の取得ピッチなどに従って測定動作を遂行するために必要な機械的な2次元走査に関する制御情報を移動制御部109に出力する。この他、制御プロセッサ112はユーザの操作による測定動作の中断処理や、装置状態の監視を行う。
操作部114は、ユーザが測定位置の指定、測定領域の調整、超音波信号の取得ピッチなど超音波画像の測定に関するパラメータの指定、そして保持調整など装置の操作や超音波画像に対する画像処理操作を行うための入力装置である。
画像構成部115は、取得した超音波データに基づいて、被検体内の組織情報を表す画像データを生成して3次元の超音波画像を構成する。また構成した超音波画像に対して、輝度の調整や歪補正、注目領域の切り出しなどの各種補正処理を適用して、より診断に好ましい情報とする。またユーザによる操作部114の操作に従って、超音波画像の構成に関するパラメータや表示画像の調整などを行う。
なお、超音波データを構成するデータ単位が1枚のBモード断層画像であるため、Bモード断層画像の取得ピッチを超音波画像のボクセルピッチ(解像度)に一致させることで、余分な補間処理などを省くことができ、検出した超音波信号を有効に利用できる。
表示部116は、画像構成部115により構成された3次元の超音波画像や、記録部113に保存されている過去の超音波画像、ネットワークI/F117を介して取得した診断画像などを表示する。また、測定動作や超音波画像の構成に関するパラメータを入力するためのソフトウェア、その他測定支援情報を表示する。
ネットワークI/F117は、撮像した超音波画像をはじめとするデータを他の装置やサーバなどにネットワークを介して双方向に転送可能な入出力手段である。サーバ上に存在する過去の超音波画像や、他のモダリティにより撮像された診断画像およびそれに付随する測定情報や注目組織の位置情報などを受信することができる。
以上の構成を有する超音波測定装置によれば、超音波探触子を機械的に2次元走査して広範囲の3次元超音波画像を生成するのに必要な超音波データを取得する場合に、複数の測定データの間の境界位置が被検体内組織の輪郭と重ならないように制御できる。なお、図1では、取得した超音波データから超音波画像を生成する機能まで集約して一体化する構成としたが、超音波データの取得までの機能と、装置の操作機能と超音波画像の生成、表示機能を別々のハードウェアで実現する構成でも構わない。その場合にはハードウェア
間のインターフェースに、リアルタイム性を確保でき、双方向にかつ大容量の伝送が可能な通信規格を採用することにより、連携動作が可能になる。
(電子的走査とデータ取得領域)
図2は、第1の実施形態における超音波ビームの電子的走査を説明する概念図である。探触子104は直線状に整列された複数の音響素子により構成されている。その音響素子の一部をなす、連続して並んだ複数の音響素子群(開口)を用いて、超音波ビーム202が形成される。そして超音波ビーム202を走査方向203に移動させていくことにより電子的走査が行われる。超音波ビーム202の移動は、開口に含まれる音響素子を素子単位で順次選択していくことにより実現される。1回の電子的走査により、電子的走査可能領域207の幅と測定深度201のサイズに応じたBモード断層画像を得ることができる。
ただし、探触子104の端部領域206A、206Bでは超音波ビームの形成と超音波エコーの受信に十分な開口(音響素子群の配列)が得られないため、十分な開口を得られる中央領域204に比べて、取得される被検体情報の精度が劣るという性質がある。そのため、探触子端部近傍を使用した電子的走査が避けられない場合を除いて、通常は十分な開口が得られる中央領域204の中で超音波信号を取得することが好ましい。ただし、乳がん診断では、被検体101は乳房であり、その身体側である基底部では探触子104の移動に物理的な上限があるため、端部領域206Aも使用する。
例えば、全128素子、素子ピッチが0.25mmで配列された1D探触子を考える。この場合、32素子の開口を使用して超音波ビーム202の形成と超音波エコーの受信の電子的走査を行うと、領域207の幅は32mm、中央領域204の幅は24mmとなる。探触子両端から16素子分ずつ4mmが端部領域206Aと206Bに相当し、十分な開口を得られない領域になる。
判定対象領域205は、境界位置判定部111が被検体内組織の輪郭形状を判定する際に対象とする領域を示している。この判定対象領域205内で受信された被検体内組織の信号成分が判定される。ここでは、中央領域204の電子的走査終了端から任意の幅を判定対象領域205としているが、端部領域206Bも使用して電子的走査を行う場合には、端部領域206Bも含めて判定対象領域205を設定しても良い。判定対象領域205の位置や幅は装置にあらかじめ設定可能であり、その設定値は記憶部113内の図示しない不揮発領域に保存されている。図3では、中央領域204の電子的走査終了端から、中央領域204の幅の1/3に相当する長さ(音響素子にして32素子分、8mm)に対応する領域を、判定対象領域205とした例を示している。
なお、被検体内部組織からの信号成分を判定の対象とするため、判定対象領域205の測定深度方向(z軸方向)に関しては、保持板102など被検体外部の領域を含まないように設定する。
(従来の走査方法)
図3は、従来の方法における超音波探触子の2次元走査と超音波データの取得方法を説明する概念図である。図3(a)は保持された被検体101を、探触子104が接する保持板102Bの側から見た正面図、図3(b)はその側面図をそれぞれ示している。
符号302A〜Dは、2次元走査の各副走査位置(各y軸位置)における、探触子104の主走査方向の移動軌跡を示している。なお、超音波データ取得領域301、すなわち測定領域は操作部114を介してユーザが任意に設定できる。また符号303A〜Dは超音波データ301を構成する部分的な測定データを取得する部分領域を示しており、1回の主走査により取得されるBモード断層画像群に対応する。
電子的走査範囲304A〜Dはそれぞれ、部分領域303A〜Dの測定データを取得するための超音波ビーム202の電子的走査範囲を示している。電子的走査は、先に説明した通り、原則として、超音波ビームを形成するのに十分な開口を得られる中央領域204の中で行われることが好ましい。ただし、部分領域303Aに関しては、乳房基底部の組織情報も可能な限り測定するため、端部領域206Aも使用した電子的走査により測定が行われる。
符号311は、説明のために、被検体内組織の輪郭形状を判定する際に対象とする判定対象領域205を、主走査制御に沿って走査面上に投影した領域である。
超音波データ取得領域301の測定は、第一の機械的走査(主走査)と、第二の機械的走査(副走査)を繰り返す2次元走査により行われる。主走査は、移動軌跡302A〜Dに沿って、探触子104をx軸方向に移動させながら一定のピッチに従って超音波信号を取得する走査である。副走査は、y軸正方向に一定の距離だけ移動する走査である。
主走査方向(x軸方向)への探触子104の移動中に超音波ビームの電子的走査を繰り返すことで、複数の断層画像を取得できる。そして、取得した複数の断層画像をx軸に沿って配列することで、1回の主走査により、1つの電子的走査範囲をy軸方向の幅とする部分的な測定データを取得できる。この部分的な測定データは、1つの部分領域から得られるデータに対応する。そして、各副走査位置で取得した、副走査方向に隣接する複数の部分データを結合することで、目的とする広範囲の3次元超音波画像を生成するのに必要な超音波データが得られる。
なお、図3の2次元走査の例では部分領域303A〜Dは互いに重なっていない。しかし、副走査方向に隣接する部分領域同士が、例えば数mm程度オーバーラップするようにしてもよい。この場合、測定データに対して線形補間などの各種補間処理を用いて、データ結合することが好ましい。これにより超音波画像上の不連続性を低減できる。しかしながら補間処理の結果として、ランダムノイズの積算効果によりオーバーラップ領域とその周辺でノイズレベルに差異が生じる場合がある。
図3で示した探触子の2次元走査によれば、乳房基底部を除くほぼ全ての領域を、超音波ビームの形成と超音波エコーの受信に十分な開口が得られる中央領域204を使用して被検体情報を測定でき、測定精度の高い均一な超音波データを取得することができる。
(輪郭形状の判定方法)
続いて図4を用いて、走査中に被検体内組織の信号成分が得られた場合の、部分領域の境界での測定データと、境界の近傍に位置する被検体内の組織の輪郭形状の関係性を説明する。図4(a)〜図4(c)はそれぞれ、図3(a)の領域321を拡大した図である。
図4(a)は、領域321内に被検体内部の組織401が測定された場合の例を示している。組織401は、境界位置判定部111が被検体内組織の輪郭形状を判定する際に対象とする判定対象領域205が投影された領域311内に、部分領域の測定データの境界線431と同方向の接線方向をもつ輪郭形状を有していない。そのため、境界位置判定部111は、測定データの副走査方向端部の近傍に被検体内組織の輪郭形状は位置していないと判定する。
より具体的な判定方法を説明する。境界位置判定部111は、まず、Bモード断層画像群で構成される3次元の測定データから、領域311に関して、z軸方向を視線方向とした探触子走査面(x-y平面)上の2次元の信号分布データを一時的に生成する。そして
、一時的に生成した信号分布データに対して画像処理により輪郭抽出を行う。そして、得られた輪郭情報から測定データの境界線方向と同方向の接線方向を持つ輪郭が存在するかを解析する。
図4(b)は、領域311内に部分領域の測定データの境界線431と同方向の接線方向をもつ輪郭形状を有する組織411が測定された場合の例を示している。組織411は、輪郭点412において部分領域の測定データの境界線と同方向の接線をもつ。境界位置判定部111はその端点の位置を、被検体内組織の輪郭形状を示す位置情報として移動制御部109に出力する。そして移動制御部109は、同位置情報を受けて、この位置から任意の距離413だけ離れた位置に、次の部分領域の測定データの取得開始位置すなわち次の副走査位置を調整する。任意の距離413は、予め記憶された所定の距離内であっても良いし、何らかの入力手段で入力されても良い。
図4(c)は、領域311内に部分領域の測定データの境界線431と同方向の接線方向をもつ輪郭形状を有する組織421が測定された場合の例を示している。組織421は、輪郭点422において部分領域の測定データの境界線と同方向の接線をもつが、組織の分布が、部分領域の測定データの境界線431とは離れる方向である。そのため境界位置判定部111は、部分領域の測定データの副走査方向端部の近傍に被検体内組織の輪郭形状は位置していないと判定する。
(本実施形態の走査方法)
第1の実施形態における超音波探触子の2次元走査と超音波データの取得方法を、図5を用いて説明する。図5(a)は保持された被検体101を、探触子が接する保持板102Bの側から見た正面図、図5(b)はその側面図をそれぞれ示している。
符号502A〜Dは、2次元走査の各副走査位置(各y軸位置)における、探触子104の主走査方向の移動軌跡を示している。また符号503A〜Dは超音波データ501を構成する部分的な測定データを取得する部分領域を示している。
符号531は、図3に示した従来の探触子2次元走査を適用した場合の、部分領域303Aと303Bの境界線を示している。さらに符号521は境界線531の近傍に輪郭形状をもつ被検体内の組織を示している。
このような場合に、図3に示した従来の走査方法であれば、境界線531と輪郭形状が重なってしまい、診断時に判別しにくい状況となっていた。一方、本実施形態では、図4(b)を用いて説明したように、次の副走査の開始位置が組織521の上方(副走査方向における負方向)に移動される。すなわち、図5において、探触子104の電子的走査503Bの開始位置が組織521の上方に離れた位置になるように、副走査位置が制御される。その結果、隣接する測定データ503Aと503Bの境界線位置が組織521と重なることを回避できる。
(処理フロー)
図6は、第1の実施形態における超音波測定装置における超音波データの取得の流れを示すフローチャートである。制御プロセッサ112が、ユーザによる操作部114を介した測定開始の要求を受け付けることで、図5で説明した探触子104の2次元走査および超音波データの取得方法が実行される。
ステップS601では、移動制御部109が、移動機構108を主走査方向に移動制御して、探触子104の測定位置を次の測定位置へ向けて移動させる。なお、探触子104の主走査方向の移動制御は、ステップアンドリピート方式でも良いし、等速移動制御方式
でもよい。前者は、ある測定位置におけるBモード断層画像の取得と、次の測定位置への移動を交互に繰り返す方式である。後者は、一定の移動速度の下でBモード断層画像の取得を繰り返す方式である。
ステップS602では、探触子104の位置が次の測定位置に達すると、移動制御部109が超音波走査制御部110に対して、Bモード断層画像の取得開始を指示する。指示を受けた超音波走査制御部110は、超音波送信部105、超音波受信部106を連携動作させて超音波ビームの送信と超音波エコーの受信の電子的走査を行う。
ステップS603では、信号処理部107が、超音波走査制御部110により選択された受信遅延パターンに基づいて、超音波受信部106が生成された信号に対して整相遅延処理などを行ってBモードの断層画像を生成する。生成した断層画像が探触子位置に対応づけて配列されることで、超音波データが形成されていく。S601〜S603は、探触子104の走査方式に応じて適切なタイミングで実行すればよい。
ステップS604では、移動制御部109が、1回の主走査制御の完了を判定する。すなわち、ユーザに指定された超音波データの取得領域に対して主走査方向の移動が完了したかどうかを判定する。主走査制御を完了した場合には、ステップS605へ処理を移行する。そうでない場合には、ステップS601へ処理を移行して次の測定位置で測定を繰り返す。
ステップS605では、移動制御部109が全走査の完了を判定する。すなわち、ユーザに指定された超音波データ取得領域に対して全走査が完了したかどうかを判定する。全走査を完了した場合には、ステップS609へ処理を移行する。完了していない場合には、ステップS606へ処理を移行する。
ステップS606では、境界位置判定部111が、図4で説明したように、被検体内組織の輪郭形状を判定する際に対象とする領域311内に、測定データの境界線と同方向の接線方向をもつ輪郭形状を示す信号分布が存在するかどうかを判定する。存在する場合には、ステップS607へ処理を移行する。存在しない場合にはステップS608へ処理を移行する。
ステップS607では、ステップS606で存在を確認された、測定データの境界線と同方向の接線方向をもつ輪郭点の位置情報を境界位置判定部111が移動制御部109に出力する。そして移動制御部109は、その位置情報を受けて次の副走査位置を調整する。
ステップS608では、移動制御部109が、移動機構108を副走査方向に移動制御して探触子104の測定位置を次の副走査位置へ移動させる。
ステップS609では、画像構成部115が、取得した超音波データに基づいて3次元の超音波画像を構成する。また、表示部116上に構成された3次元の超音波画像に基づいて、例えば任意の断面画像など、ユーザの撮像結果の確認を支援する情報を提示する。
本実施形態によれば、超音波探触子を機械的に2次元走査し、副走査方向に隣接する測定データを結合することで広範囲の超音波データを取得する超音波測定装置において、測定データの境界位置を調整できる。具体的には、測定データ間に潜在するデータの不連続性が乳がん組織等の輪郭形状と重ならないようにできる。その結果、同時一括に取得していない測定データ間に潜在する不連続性と乳がん組織の輪郭形状が超音波画像上で重なり、乳がん組織の視認性が損なわれることを回避できる。したがって、超音波画像の画像診断上の優位性である形態情報の信頼性の低下を防止でき、より画像診断に好適な超音波データの取得が可能となる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態の特徴は、過去の超音波画像や、他のモダリティにより撮像された診断画像や注目個所などを示す診断情報などを含む参照画像を参照することで、測定データの境界線が注目すべき組織に重ならないように2次元走査の構成を調整する点にある。上記特徴を中心に第2の実施形態を説明する。
なお、第2の実施形態における超音波測定装置の装置構成は、図1に示した第1の実施形態の装置構成と同様であるため、説明を省略する。
第2の実施形態における、被検体内の組織の位置および注目個所の指定方法を、図7を用いて説明する。図7は、形状認識部118が現在撮像している被検体101の画像に、参照画像(この場合、過去に撮像した超音波画像)による被検体内の組織の信号分布711、712、713をマッピングした画像の概念図を示している。
形状認識部118は、現在の被検体101の撮像画像上に注目個所をマッピングする。形状認識部118はその際、記憶部113に保存されているまたは、ネットワークI/F117を介してサーバ上に存在する過去の超音波画像や、他のモダリティにより撮像された診断画像そして診断時に記録された注目箇所の位置情報などを参照できる。本実施形態においては、形状認識部は、本発明の参照部としても機能する。
信号分布711、712、713は過去の超音波画像に存在する注目すべき被検体内の組織を示している。これらは、例えば、過去に取得した超音波画像による診断結果を、取得当時に形状認識部118により撮像画像上にオーバーラップする形で記録されたものである。オーバーラップの際に、撮影当時の被検体形状が現在の被検体101の輪郭形状に一致するように伸張圧縮処理を施してマッピングすることも好ましい。なお信号分布711、712、713は超音波画像として画像化された組織画像でもよいし、ユーザが診断時に注目箇所の記録として付与したマーカなどでもよい。
なお、他モダリティの診断画像をマッピングする場合、既知の画像融合技術が適用できる。例えば、保持機構による保持前後の被検体形状と被検体組織の弾性情報に基づいて、現在の保持状態に合わせて被検体の形状と内部組織の変形をシミュレーションすることにより画像融合を行う技術などがある。なお本発明の超音波測定装置と同様に、被検体である乳房を保持板により保持する形で撮像を行うモダリティとしては、X線測定を行うX線マンモグラフィー装置や、光音響測定を行う光音響診断装置がある。
なお形状認識部118が、上記のマッピング画像を表示部116に表示してユーザに提示することにより、ユーザは、操作部114を介して、領域721、722のような任意の場所を注目箇所として指定できるようになる。また領域723のように、過去の超音波画像や他のモダリティによる診断において特に有意な信号が見られなかった箇所に関しても、追加で指定することも可能である。ユーザの操作により測定が開始された時点で、指定された注目組織や領域の位置情報が移動制御部109へ通知される。
(本実施形態の走査方法)
図7の注目組織や領域の指定を受けて、第2の実施形態における超音波探触子の2次元走査と超音波データの取得方法を、図8を用いて説明する。
図8(a)は、対比のために、図3で示した従来の2次元走査を適用した場合の例を示している。図8(a)では、電子走査範囲801A〜801Dの副走査開始位置は初期設定のままであるため、部分領域802A〜802Dの境界線が、組織711、712、713の輪郭形状や、注目領域721や722に重なることが分かる。
一方、図8(b)は、本実施形態の走査方法、特に副走査の開始位置の制御方法を示す。移動制御部109は、測定開始時に注目組織や領域の位置情報を通知されることで、2次元走査の調整を行う。すなわち、第2の実施形態における探触子104の2次元走査では、副走査開始位置が調整されることにより、電子的走査範囲811Aが、従来の801Aに比べて調整量821だけ短くなる。その結果、部分領域802Aの幅が小さくなるため、測定データ803B以降の探触子位置が調整量821だけy軸の負方向に移動する。
図8(b)においてはさらに、電子的走査範囲801Bの走査終了点が、注目組織712または注目領域722に重なるため、電子的走査範囲811Bも801Bに比べて調整量822だけ短くなり、部分領域803Cと803Dの測定位置が調整される。そして部分領域803A〜803Cのサイズが小さくなったことを受けて、同じ領域701の超音波データを取得するために電子的走査範囲811Dが801Dに比べて長く調整され、測定データ803Dは大きくなる。
なお電子的走査範囲811Dの幅が大きくなったことにより、超音波ビームの形成と超音波エコーの受信に十分な開口が得られる中央領域204の範囲を越える場合もあり得る。その場合、次の副走査領域を新規に設定してもよいし、超音波画像上での影響を鑑みた上で探触子端部領域206Bを使用して測定を行ってもよい。
(処理フロー)
図9は、第2の実施形態における超音波測定装置における超音波データの取得の流れを示すフローチャートである。制御プロセッサ112が、ユーザによる操作部114を介した測定開始の要求を受け付けることで、図8で説明した探触子104の2次元走査および超音波データの取得方法が実行される。
なお、第2の実施形態における測定は、第1の実施形態における図6のフローチャートと比べて、測定開始後、探触子104の2次元走査を開始する前に、2次元走査の調整機能が実行される点が異なる。
ステップS901では、形状認識部118が、記憶部113に保存されている過去の超音波画像や注目組織などの位置情報などの付随情報を参照する。なお、いつの診断時の超音波画像や情報を参照するかは、操作部114を介してユーザにより指定されても良い。また、ネットワークI/F117を介してサーバ上に存在する超音波画像や他モダリティの診断画像、そして関連する診断情報を参照しても良い。
ステップS902では、形状認識部118が、ステップ901で参照した画像や情報から現在保持されている被検体101の撮像画像上に注目組織の情報をマッピングして、表示部116上に提示する。ユーザは操作部114を介して提示された注目組織の位置情報を確認した上で微調整を行う。また参照画像や情報で指定されていない注目領域をさらに追加することもできる。ユーザが操作部114を介して測定開始を指示した時点で、注目組織や注目領域の情報を取得する。
ステップS903では、移動制御部109が、ステップS902で取得できる注目組織や注目領域の情報に基づいて、2次元走査の副走査方向に沿ってy軸上端から順に、測定データの境界線が注目組織や注目領域に重なるかを判定する。重なる場合にはステップS904へ処理を移行して、探触子の2次元走査の調整を行う。重ならない場合にはステップS905へ処理を移行する。
ステップS904では、移動制御部109が、注目組織や注目領域に測定データの境界線が重ならないように、各副走査位置における電子的走査範囲や、次の探触子104の副走査位置を調整する。調整の結果、必要があれば、新規の副走査位置での測定を追加する
ステップS905では、移動制御部109が、複数の測定データの全境界位置に関して調整が完了したかどうかを判定する。完了している場合にはステップS903に処理を移行して、次の副走査位置における測定を調整する。完了した場合にはステップS601へ処理を移行して、これまでのステップで調整された2次元走査パターンに従って、超音波データの取得処理を実行する。
これ以降の動作は図6のフローと同様である。なお、副走査の開始位置の制御はすでにS904にて行われている。
本実施形態によれば、過去の超音波画像や、他のモダリティにより撮像された診断画像や注目個所などを示す診断情報などを参照することで、測定データの境界線が注目すべき組織に重ならないように、実際の測定を行う前に2次元走査を調整できる。
<その他の実施形態>
また、本発明の目的は、以下の構成によっても達成される。すなわち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを格納した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行う場合もあり得る。その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明には含まれる。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれたとする。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明には含まれる。
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
上記各実施形態における様々な技術を適宜組み合わせて新たなシステムを構成することは当業者であれば容易に相当し得るものであるので、このような様々な組み合わせによるシステムもまた、本発明の範疇に属するものである。
本発明はまた、上述の構成を持つ超音波測定装置(言い換えると、被検体情報取得装置)の各構成要素を制御してその機能を実行する、被検体情報取得装置の制御方法として捉えることもできる。
102A,102B:保持板,103:保持制御部,104:超音波探触子,105:超音波送信部,106:超音波受信部,107:信号処理部,108:移動機構,109:移動制御部,110:超音波走査制御部,111:境界位置判定部,112:制御プロセッサ,113:記憶部,114:操作部,115:画像構成部

Claims (13)

  1. 被検体から伝搬する音響波を受信して電気信号を出力する受信素子が少なくとも第一の方向に配列された探触子と、
    前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を取得する信号処理部と、
    前記第一の方向と交差する方向を第二の方向としたとき、前記探触子に、前記音響波を受信しつつ行われる前記第二の方向への移動と、前記第一の方向への移動と、を実行させる移動制御部と、
    前記被検体内部における注目領域に関する情報を取得し、前記注目領域の輪郭の位置を判定する判定部と、
    を有し、
    前記移動制御部は、前記判定部からの結果に基づいて、前記第一の方向における前記探触子の位置を制御する
    ことを特徴とする被検体情報取得装置。
  2. 前記移動制御部は、前記探触子に、前記第二の方向において前記被検体の測定対象領域の一端から他端まで移動する主走査と、前記主走査の間に前記第一の方向へ移動する副走査と、を繰り返し実行させるものであり、1回の主走査において前記音響波が受信される領域である部分領域の境界に前記注目領域の輪郭が重ならないように、前記副走査における前記探触子が移動する距離を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記移動制御部は、前記制御を行った場合の前記主走査の開始位置が、前記制御を行わない場合の前記主走査の開始位置と比べて、前記第一の方向において負方向となるように、前記副走査における前記探触子が移動する距離を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
  4. 前記判定部は、1回の主走査で測定される部分領域において前記判定を行う際に、次の主走査で測定される部分領域との境界から所定の距離内にある領域を判定対象領域とすることを特徴とする請求項2または3に記載の被検体情報取得装置。
  5. 前記判定部は、前記注目領域が、前記部分領域の境界と同方向の接線を有するかどうかに基づいて、前記判定を行う
    ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  6. 前記受信素子は、音響波を送信する素子を兼ねており、
    前記被検体から伝搬する音響波とは、送信された前記音響波が反射したものである
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  7. 前記被検体は乳房であり、前記注目領域は、前記乳房の中で音響インピーダンスにおいて特異性のある領域である
    ことを特徴とする請求項6に記載の被検体情報取得装置。
  8. 前記被検体を保持する保持板をさらに有し、
    前記探触子は、前記保持板の上を移動する
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  9. ユーザが注目領域の位置に関する情報を入力する操作部をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  10. 前記被検体内部の前記注目領域に関する情報を含む参照画像を取得する参照部をさらに有し、
    前記判定部は、前記参照画像に基づいて、前記被検体内部における注目領域の輪郭の位置を判定する
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  11. 前記参照画像は、前記被検体を過去に超音波測定して得られた超音波画像である
    ことを特徴とする請求項10に記載の被検体情報取得装置。
  12. 前記参照画像は、前記被検体に対してX線測定または光音響測定を行なって得られた画像である
    ことを特徴とする請求項10に記載の被検体情報取得装置。
  13. 受信素子が少なくとも第一の方向に配列された探触子と、
    信号処理部と、
    前記第一の方向と交差する方向を第二の方向としたとき、前記探触子に、前記第二の方向への移動と、前記第一の方向への移動と、を実行させる移動制御部と、
    判定部と、
    を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
    前記移動制御部が、前記探触子を、前記第二の方向に移動させるステップと、
    前記探触子が、前記移動制御部の制御によって前記第二の方向に移動しつつ、前記受信素子を用いて前記被検体から伝搬する音響波を取得して電気信号を出力するステップと、
    前記信号処理部が、前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を取得するステップと、
    前記判定部が、前記被検体内部における注目領域に関する情報を取得し、前記注目領域の輪郭の位置を判定するステップと、
    前記移動制御部が、前記判定部からの結果に基づいて、前記第一の方向における前記探触子の位置を制御するステップと、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法。
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CN111449667A (zh) * 2020-03-30 2020-07-28 上海联影医疗科技有限公司 扫描中断自动恢复方法、装置和计算机设备

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