JP2014220037A - 配線パターン形成基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性極細繊維を含む透明導電層の静電気放電に対する耐性を向上させた配線パターン形成基板を提供する。
【解決手段】本発明の配線パターン形成基板1は、透明絶縁基材10と、透明絶縁基材10の第1表面10aに複数形成された電極部20と、第1表面10aに、電極部20に接続されるように形成された引き回し配線30とを備え、各電極部20は、幅1〜10μm且つ厚さ0.01〜1.0μmの金属蒸着膜からなる第1導電層21と、第1導電層21に接触し、直径0.3〜100nmの導電性極細繊維及び透明樹脂を含む第2導電層22とを有し、一方向に沿って形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電容量式タッチパネルのタッチセンサー部等に使用される配線パターン形成基板及びその製造方法に関する。
近年、携帯電話、ゲーム機、オフィス事務機器等に静電容量式タッチパネルが広く使用されている。静電容量式タッチパネルは、通常、液晶ディスプレイ等の画像表示装置の前面に、指等が接触する位置を検知するセンサー部として配線パターン形成基板を備えている。
配線パターン形成基板としては、透明絶縁基材の片面に透明導電層が設けられ、その透明導電層に絶縁パターンが形成されて配線が設けられたものが用いられている。
透明導電層を構成する導電材料としては錫ドープ酸化インジウムが広く使用されているが、インジウムは希少金属であり、枯渇が懸念されているため、近年では、銀ナノワイヤ等の導電性極細繊維が用いられることもある(特許文献1,2)。
特開2011−167848号公報 特開2012−032864号公報
しかし、特許文献1,2に記載されているような、導電性極細繊維を含む透明導電層は、静電気放電に対する耐性が低かった。具体的には、静電気放電によって、導電性極細繊維によって形成される導電ネットワークが断絶し、導電性が損なわれることがあった。
本発明は、導電性極細繊維を含む透明導電層の静電気放電に対する耐性を向上させた配線パターン形成基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、導電性極細繊維を含む透明導電層に対して静電気放電が生じた際には透明導電層に短時間に大電流が流れ、その電流によって導電性極細繊維が断線して導電ネットワークが断絶することを見出した。その知見に基づき、大電流が流れても導電性極細繊維の断線を防止する方法について検討して、以下の配線パターン形成基板及びその製造方法を発明した。
本発明の配線パターン形成基板は、透明絶縁基材と、該透明絶縁基材の第1表面に複数形成された電極部と、前記透明絶縁基材の第1表面に、前記電極部に接続されるように形成された引き回し配線とを備え、各電極部は、幅1〜10μm且つ厚さ0.01〜1.0μmの金属蒸着膜からなる第1導電層と、該第1導電層に接触し、直径0.3〜100nmの導電性極細繊維及び透明樹脂を含む第2導電層とを有し、一方向に沿って形成されている。
本発明の配線パターン形成基板の製造方法は、金属蒸着工程と第1導電層形成工程と透明導電膜形成工程と第2導電層形成工程とを有し、金属蒸着工程では、透明絶縁基材の第1表面に厚さ0.01〜1.0μmの金属蒸着膜を蒸着させ、第1導電層形成工程では、前記金属蒸着膜を、一方向に沿った幅1〜10μmの第1導電層と該第1導電層に接続された引き回し配線とを複数形成するようにエッチングし、透明導電膜形成工程では、前記透明絶縁基材の第1表面、前記第1導電層の表面及び前記引き回し配線の表面に、直径が0.3〜100nmの導電性極細繊維を含む透明導電膜を形成し、第2導電層形成工程では、前記透明導電膜を、前記第1導電層と同方向に沿って第2導電層を形成するようにエッチングする。
本発明の配線パターン形成基板は、導電性極細繊維を含む透明導電層の静電気放電に対する耐性を向上させたものである。
本発明の配線パターン形成基板の製造方法によれば、上記効果を有する配線パターン形成基板を容易に製造できる。
本発明の配線パターン形成基板の一実施形態を示す平面図である。 図1のI−I’断面図である。 図1,2の配線パターン形成基板を製造する際の一工程を示す断面図である。 図1,2の配線パターン形成基板を製造する際の一工程を示す断面図である。 図1,2の配線パターン形成基板を製造する際の一工程を示す断面図である。 図1,2の配線パターン形成基板を製造する際の一工程を示す断面図である。 本発明の配線パターン形成基板を構成する第2導電層の他の例を示す平面図である。
<配線パターン形成基板>
本発明の配線パターン形成基板の一実施形態について説明する。
図1及び図2に、本実施形態の配線パターン形成基板を示す。本実施形態の配線パターン形成基板1は、透明絶縁基材10と、透明絶縁基材10の第1表面10aに複数形成された電極部20と、透明絶縁基材10の第1表面10aに形成された引き回し配線30とを備える。
なお、本発明において、「透明」とは、JIS K7105に従って測定した光線透過率が50%以上のことを意味する。また、本発明において、「導電」とは、電気抵抗値が1MΩ未満であることを意味し、「絶縁」とは、電気抵抗値が1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上のことである。
透明絶縁基材10としては、透明プラスチックフィルム、ガラス板を使用することができる。プラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース、環状ポリオレフィン、アクリル樹脂等を使用することができる。これらの中でも、耐熱性及び寸法安定性が高く、低コストであることから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
透明絶縁基材10の厚さは25〜100μmであることが好ましい。透明絶縁基材10の厚さが前記下限値以上であれば、加工時に折れにくく、前記上限値以下であれば、配線パターン形成基板1を容易に薄型化できる。
本実施形態における各電極部20は、幅が一定な帯状電極部であり、その長手方向がX方向に沿うように形成されている。また、電極部20は、第1表面10aの縁以外の中央部に形成されている。
各電極部20は、金属蒸着膜からなる線状の第1導電層21と、第1導電層21に接触して導通する帯状の第2導電層22とを有する。本実施形態では、X方向における第2導電層21の長さと第2導電層22の長さは同一にされている。
第1導電層21を構成する金属蒸着膜は、金属蒸着法によって第1表面10aに形成された金属膜である。金属蒸着膜を形成する金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、金等を使用することができる。これらの中でも、電気抵抗が低く、低コストであることから、銅が好ましい。
第1導電層21の厚さは0.01〜1.0μmであり、0.05〜0.3μmであることが好ましい。第1導電層21の厚さが前記下限値以上であれば、電極部20の静電気放電に対する耐性を充分に確保でき、前記上限値以下であれば、第1導電層21の視認を防ぐことができる。
第1導電層21の幅は1〜10μmであり、1〜5μmであることが好ましい。第1導電層21の幅が前記下限値以上であれば、電極部20の静電気放電に対する耐性を充分に確保でき、前記上限値以下であれば、第1導電層21の視認を防ぐことができる。
第2導電層22は、導電性極細繊維及び透明樹脂を含む層である。具体的には、層状の透明樹脂の内部に、多数の導電性極細繊維が交差しあい合って形成された網目構造からなる2次元の導電ネットワークを有する導電層である。
導電性極細繊維は、その直径が0.3〜100nmの導電性繊維である。導電性極細繊維としては、銅、白金、金、銀、ニッケル等からなる金属ナノワイヤや金属ナノチューブ、シリコンナノワイヤやシリコンナノチューブ、金属酸化物ナノチューブ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリル等の繊維状物及びその金属被覆部材が挙げられる。これらのなかでも、透明性および導電性の点から、銀を主成分とする金属ナノワイヤ(銀ナノワイヤ)が好ましい。
導電性極細繊維の長さは1μm〜100μmであることが好ましい。
透明樹脂としては、透明な熱可塑性樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン)、熱や活性エネルギ線(紫外線、電子線、放射線)で硬化する透明な硬化性樹脂((メタ)アクリレート、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコーン樹脂)が挙げられる。
本実施形態における第2導電層22は、幅が一定な帯状になっている。帯状の第2導電層22の幅は、第1導電層21の幅より大きく、具体的には、0.5〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。第2導電層22の幅が前記範囲であれば、静電容量式タッチパネルにおいて充分な感度と検知精度を確保できる。
また、本発明は、幅が狭い第2導電層22に対してとりわけ有効である。第2導電層22の幅が狭いと、静電気放電に対する耐性が低くなる傾向があるためである。
隣接する第2導電層22,22同士の間隔は1〜5mmであることが好ましい。隣接する第2導電層22,22同士の間隔が前記範囲であれば、静電容量式タッチパネルにおいて充分な感度と検知精度を確保できる。
引き回し配線30は、各電極部20を外部回路と接続しやすくなるように第1表面10aの縁に形成した配線である。引き回し配線30の一方の端部は電極部20に接続されている。
引き回し配線30の幅は20〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。引き回し配線30の幅が前記下限値以上であれば、引き回し配線の断線を防止でき、前記上限値以下であれば、外周部(「額縁部」と称されることがある。)の幅を狭くできたり、より低コスト化できる。
隣接する引き回し配線30,30同士の間隔は20〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。隣接する引き回し配線30,30同士の間隔を前記下限値以上にすれば、引き回し配線30を容易に形成できる。一方、隣接する引き回し配線30,30同士の間隔が、前記上限値以下であれば、引き回し配線30形成のために透明絶縁基材10をあまり大きくする必要がなく、無駄が少なくなる。
本実施形態における引き回し配線30は、第2導電層22と同様に、導電性極細繊維及び透明樹脂を含み、層状の透明樹脂の内部に、導電性極細繊維からなる2次元の導電ネットワークが形成された導電配線である。
<配線パターン形成基板の製造方法>
次に、上記配線パターン形成基板1を製造するための製造方法について説明する。
本実施形態の配線パターン形成基板の製造方法は、金属蒸着工程と第1導電層形成工程と透明導電膜形成工程と第2導電層形成工程と保護層形成工程とを有する。
以下、各工程について説明する。
金属蒸着工程は、透明絶縁基材10の第1表面10aに金属蒸着膜25を蒸着させる工程である。本実施形態では、図3に示すように、第1表面10aの全面に金属蒸着膜25を蒸着させる。
金属の蒸着方法としては特に制限されず、例えば、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、などが挙げられるが、成膜スピードが速く、低コストであることから、真空蒸着法が好ましい。
該金属蒸着では、厚さ0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.3μmの金属蒸着膜25を形成する。金属蒸着膜25の厚さが前記下限値以上であれば、電極部20の静電気放電に対する耐性を充分に確保でき、前記上限値以下であれば、第1導電層21の視認を防ぐことができる。
真空蒸着法を適用した場合の金属蒸着膜25の厚さ調整方法としては、基材の処理速度により蒸着時間を調整する方法等が挙げられる。
第1導電層形成工程は、金属蒸着膜25を、図4に示すように、X方向に沿った第1導電層21と引き回し配線30とを複数形成するようにエッチングする工程である。
エッチング方法としては、ドライエッチング法を適用することが好ましい。ドライエッチング法としては、ケミカルエッチング法(ウェットエッチング法)やレーザエッチング、アルゴンプラズマや酸素プラズマを利用したプラズマエッチング、イオンビームエッチング等のドライエッチング法が適用できるが、引き回し配線を微細に形成できる点からレーザエッチングが好ましい。
エッチングの際には、金属蒸着膜25の残留させる部分(すなわち、第1導電層21及び引き回し配線30)が露出せず、残りの部分が露出するように開口したマスクを、金属蒸着膜25の表面に配置して、第1導電層21と引き回し配線30を形成してもよい。
また、第1導電層形成工程では、第1導電層21の幅を1〜10μmに、好ましくは1〜5μmにする。
透明導電膜形成工程では、図5に示すように、透明絶縁基材10の第1表面10a、第1導電層21の表面及び引き回し配線30の表面に透明導電膜26を形成する工程である。
本実施形態では、透明絶縁基材10の第1表面10a、第1導電層21の表面及び引き回し配線30の表面に、導電性極細繊維を含む分散液を塗布した後、透明樹脂を含む塗布液を塗布することによって、透明導電膜26を形成する。
導電性極細繊維を含む分散液を塗布する方法、透明樹脂を含む塗布液を塗布する方法は特に制限されず、各種塗布方法を適用することができる。
導電性極細繊維を含む分散液には分散媒が含まれる。該分散媒は導電性極細繊維を分散可能なものであれば、水であってもよいし、有機溶媒であってもよい。
透明樹脂を含む塗布液にも分散媒が含まれる。該分散媒は透明樹脂を分散又は溶解可能なものであれば、水であってもよいし、有機溶媒であってもよい。
導電性極細繊維を含む分散液を塗布した後には、分散媒を除去するための乾燥を有することが好ましい。乾燥は加熱乾燥、真空乾燥のいずれであってもよい。
透明樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、透明樹脂を含む塗布液を塗布した後には、分散媒を除去するための乾燥工程を有することが好ましい。
透明樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、透明樹脂を含む塗布液を塗布した後に、熱硬化性樹脂を硬化させるための加熱工程を有することが好ましい。
透明樹脂が活性エネルギ線硬化性樹脂である場合には、透明樹脂を含む塗布液を塗布した後に、活性エネルギ線硬化性樹脂を硬化させるための活性エネルギ線照射工程を有することが好ましい。
第2導電層形成工程は、透明導電膜26を、図6に示すように、第1導電層21と同方向に沿って第2導電層22を形成するようにエッチングして第2導電層を形成する工程である。本実施形態では透明導電膜26をレーザエッチングする。
すなわち、第2導電層形成工程では、透明導電膜26にレーザ光を照射して絶縁部を形成することによって、第2導電層を形成する。第2導電層を形成することによって、電極部20を得ることができる。
透明導電膜26においてレーザ光が照射された部分は、透明樹脂が溶融することなく導電性極細繊維が蒸発、除去されて空隙が形成された透明非導電膜27となる。この空隙では、導電性極細繊維同士の接触がなく、導電ネットワークが断絶しているため、絶縁部となる。
第2導電層形成工程で使用されるレーザ光は、YAGやYVO等のパルス状レーザ光、炭酸ガスレーザ等の連続発振レーザ光が挙げられる。中でも、簡便であることから、YAGやYVO等の波長1064nmもしくはその2次高調波を使用した532nm、パルス幅1〜200n秒のパルス状レーザ光が好ましい。また、レーザ照射痕を目立たせたくない用途に対しては、波長が1600〜600nmでパルス幅が10f〜100p秒の極短パルスレーザーが好ましい。
パルス状レーザにおいては、レーザ光のスポットの位置を、スポット同士が重なるように少しずつ移動させながら、透明導電膜26に照射することが好ましい。
レーザ光の1パルスあたりの照射エネルギ密度は、レーザ光1パルスあたりの照射エネルギを集光スポット面積で除したものとして定義される。その値は、パルス幅が10f秒〜200n秒の範囲で、レーザ光の波長によらず、1×10〜1×10J/mとなる。
また、連続する絶縁部を形成するためには、走査により移動して形成される個々の集光スポットが、互いにオーバーラップする必要がある。特に銀ナノワイヤを含む透明導電膜では、絶縁部の視認されにくさと絶縁の安定性の点から、オーバーラップ回数を1.5〜10回程度にすることが好ましい。
レーザ光を照射する際には、透明絶縁基材10の表面に第1導電層21と引き回し配線30と透明導電膜26とが形成された導電シートを、X方向およびY方向にスライド可能でステージ上に載置してもよい。前記ステージをX方向およびY方向にスライドさせることによって、レーザ光を走査させてパターン照射できる。
ステージとしては、光散乱性で不透明な板が好ましい。ここで、不透明とは、JIS K7105に従って測定した光線透過率が10%以下のことである。光散乱性で不透明な板としては、表面に凹凸が形成された板、内部にフィラーまたは空気を含有させた板、表面に着色インクが塗布された板などが挙げられる。また、ステージは、導電性基板を固定するために、吸引可能になっていることが好ましい。
また、レーザ光は、ガルバノミラーを用いることによって走査可能になっていてもよい。
また、第2導電層形成工程では、第2導電層22となる透明導電層26ではなく、引き回し配線30に接触しない透明導電膜26にレーザ光を照射して絶縁化する。これにより、電極部20と引き回し配線とを絶縁し、引き回し配線30,30同士を絶縁する。
保護層形成工程は、透明絶縁基材10、電極部20及び引き回し配線30を被覆するように、保護層40を形成する工程である。本実施形態では、図1に示すように、フィルムからなる保護層40を、粘着剤50を用いて、透明絶縁基材10、電極部20及び引き回し配線30に貼着する。保護層40を形成すれば、電極部20が露出しないため、指等が配線パターン形成シート1に接触しても電極部20の破損を防止できる。
保護層40は透明な層であれば特に制限されず、透明絶縁基材10と同様なものを使用することができる。
粘着剤50としては、透明であり、且つ、透明絶縁基材10、電極部20及び引き回し配線30と、保護層40とを貼着できる粘着剤又は接着剤が使用される。汎用性の点からは、粘着剤はアクリル系粘着剤が好ましい。
電極部20の表面に形成される保護層40及び粘着剤50の合計の厚さは50〜100μmであることが好ましい。電極部20の表面に形成される保護層40及び粘着剤50の合計の厚さが前記下限値以上であれば、電極部20を充分に保護でき、前記上限値以下であれば、充分な検出感度を確保できる。
本実施形態における配線パターン形成基板1の電極部20は、導電性極細繊維を含む第2導電層22に加えて金属蒸着膜からなる第1導電層21とからなっているため、静電気放電によって生じた電流は、第1導電層21にも流れる。特に、第1導電層は金属蒸着膜からなるため、電気抵抗が小さく、第2導電層22よりも電流が流れやすい。したがって、静電気放電が生じた際には、第2導電層22の電流量を抑制できるため、第2導電層22中の導電性極細繊維の断線を防ぐことができ、導電ネットワークの断絶を防止できる。
また、第1導電層21は幅及び厚さが規定されているため、配線パターン形成基板をタッチパネルのタッチセンサー部に用いた場合でも第1導電層21は視認されにくくなっている。したがって、配線パターン形成基板1はタッチパネルに何ら支障なく使用することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
例えば、第2導電層は帯状でなくてもよく、図7に示すように、X方向に沿って幅が周期的に変化するような形状の第2導電層23であってもよい。また、第1導電層のX方向の長さと第2導電層のX方向の長さは同一である必要はなく、第1導電層の方が長くてもよいし、第2導電層の方が長くてもよい。第2導電層の方が長い場合でも、第1導電層は少なくともタッチパネル使用領域の範囲内に形成されていることが好ましい。
また、電極部はX方向に沿って形成されたものに限らず、Y方向に沿って形成されたものでもよい。
また、電極部は、第2導電層が透明絶縁基材の第1表面に形成され、第2導電層の表面に第1導電層が形成されてもよい。
(実施例)
透明絶縁基材としての、幅500mm、長さ500mm、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の第1表面の全面に、真空蒸着法により銅を蒸着させて、厚さ0.15μmの金属蒸着膜を形成した。
次いで、X方向に沿う第1導電層及び引き回し配線となる部分を被覆し、残りの部分が露出するように開口したマスクを、前記金属蒸着膜の表面に配置した。次いで、アルゴンプラズマエッチングにより、マスクで被覆されていない金属蒸着膜をエッチングして、線状の第1導電層(幅2μm)及び引き回し配線を形成した。
次いで、PETフィルムの第1表面、前記第1導電層の表面及び前記引き回し配線の表面に、スロットダイコーターを用いて、銀ナノワイヤ分散液(Cambrios社製ClearOhm)の希釈液を塗布し、赤外線乾燥機を用いて乾燥した。次いで、銀ナノワイヤの表面に、紫外線硬化性アクリル樹脂を、スロットダイコーターを用いて塗布し、紫外線照射により硬化して透明導電膜を形成して、導電シートを得た。
次いで、導電シートをステージ上に移し換え、固定した。次いで、波長532nm、出力6W、パルス幅20n秒、繰り返し周波数100kHz、ビーム径6.7mmの2倍波YVOレーザを用い、焦点距離FL=300mmの集光レンズとガルバノミラーを使用して、導電シートにレーザ光を走査速度2000mm/秒で照射した。このレーザ光の照射では、第1導電層に接触する帯状の第2導電層が形成されるように、ガルバノミラーを動かして、レーザ光を走査させた。これにより、幅4mmの第2導電層を形成して電極部を得た。
また、第2導電層及び引き回し配線上の透明導電膜以外の部分の透明導電膜にレーザ光を照射して絶縁化した。
次いで、透明絶縁基材としてのPETフィルム、電極部及び引き回し配線を被覆するように、カバーフィルムとしてのPETフィルム(厚さ50μm)を、アクリル系粘着剤を介して接着した。これにより、配線パターン形成基板を得た。
(比較例)
透明絶縁基材としての、幅500mm、長さ500mm、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の第1表面の全面に、スロットダイコーターを用いて、銀ナノワイヤ分散液(Cambrios社製ClearOhm)の希釈液を塗布し、赤外線乾燥機を用いて乾燥した。次いで、銀ナノワイヤの表面に、紫外線硬化性アクリル樹脂を、スロットダイコーターを用いて塗布し、紫外線照射により硬化して透明導電膜を形成して、導電シートを得た。
次いで、導電シートをステージ上に移し換え、固定した。次いで、波長532nm、出力6W、パルス幅20n秒、繰り返し周波数100kHz、ビーム径6.7mmの2倍波YVOレーザを用い、焦点距離FL=300mmの集光レンズとガルバノミラーを使用して、導電シートにレーザ光を走査速度2000mm/秒で照射した。このレーザ光の照射では、帯状の導電層からなる電極部及び引き回し配線が形成されるように、ガルバノミラーを動かして、レーザ光を走査させて透明導電膜を絶縁化した。これにより、幅4mmの電極部及び引き回し配線を得た。
次いで、透明絶縁基材としてのPETフィルム、電極部及び引き回し配線を被覆するように、カバーフィルムとしてのPETフィルム(厚さ50μm)を、アクリル系粘着剤を介して接着した。これにより、配線パターン形成基板を得た。
[評価]
得られた配線パターン形成基板について、電極部の静電気放電に対する耐性を評価した。具体的には、ノイズ研究所製ESS−2000(エネルギ蓄積容量:150pF、放電抵抗:330kΩ)を用い、IEC61000−4−2 試験規格に準拠して、静電気放電を電極部に与え、その後の電極部の電気抵抗値を測定し、電極部の静電気放電に対する耐性を評価した。放電の試験電圧は、2kV、4kV、6kV、8kV及び10kVの5レベルとした。各レベルでの、最初の放電ピーク電流を表1に示す。
該評価では、静電気放電後の電極部の電気抵抗値が、静電気放電前の電極部の電気抵抗値の±10%の範囲内にあったものを「導電維持」とし、静電気放電後の電極部の電気抵抗値が、静電気放電前の電極部の電気抵抗値の+10%超であったものを「絶縁」と判定した。評価結果を表1に示す。
Figure 2014220037
銀ナノワイヤを含む帯状の第2導電層に金属蒸着膜からなる線状の第1導電層が接触した電極部を備える実施例の配線パターン形成基板では、試験電圧10kVの静電気放電でも電極部が導電を維持しており、電極部の静電気放電に対する耐性が高かった。
銀ナノワイヤを含む帯状の導電層からなる電極部を備える比較例の配線パターン形成基板では、試験電圧4kVの静電気放電で絶縁となり、電極部の静電気放電に対する耐性が低かった。
1 配線パターン形成基板
10 透明絶縁基材
10a 第1表面
20 電極部
21 第1導電層
22,23 第2導電層
25 金属蒸着膜
26 透明導電膜
27 透明非導電膜
30 引き回し配線

Claims (2)

  1. 透明絶縁基材と、該透明絶縁基材の第1表面に複数形成された電極部と、前記透明絶縁基材の第1表面に、前記電極部に接続されるように形成された引き回し配線とを備え、
    各電極部は、幅1〜10μm且つ厚さ0.01〜1.0μmの金属蒸着膜からなる第1導電層と、該第1導電層に接触し、直径0.3〜100nmの導電性極細繊維及び透明樹脂を含む第2導電層とを有し、一方向に沿って形成されている、配線パターン形成基板。
  2. 金属蒸着工程と第1導電層形成工程と透明導電膜形成工程と第2導電層形成工程とを有し、
    金属蒸着工程では、透明絶縁基材の第1表面に厚さ0.01〜1.0μmの金属蒸着膜を蒸着させ、
    第1導電層形成工程では、前記金属蒸着膜を、一方向に沿った幅1〜10μmの第1導電層と該第1導電層に接続された引き回し配線とを複数形成するようにエッチングし、
    透明導電膜形成工程では、前記透明絶縁基材の第1表面、前記第1導電層の表面及び前記引き回し配線の表面に、直径が0.3〜100nmの導電性極細繊維を含む透明導電膜を形成し、
    第2導電層形成工程では、前記透明導電膜を、前記第1導電層と同方向に沿って第2導電層を形成するようにエッチングする、配線パターン形成基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101739726B1 (ko) * 2014-12-19 2017-05-25 인트리 주식회사 나노섬유 패턴을 구비한 광투과성 도전체의 제조방법
CN112740308A (zh) * 2018-09-28 2021-04-30 夏普株式会社 显示装置

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