JP2014215822A - 状態推定装置、方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】精度よく推定対象の状態を推定することができる。
【解決手段】カルマンフィルタ部32により、状態空間モデルで表わされるカルマンフィルタに従って、入力された観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、状態推定誤差を算出し、ロバストエンハンスメント部34により、状態推定値に基づく観測値の残差の二乗の期待値を算出し、算出された期待値が予め定められた値以上であるときに、算出された期待値に基づいて、状態推定手段によって算出された状態推定値及び状態推定誤差の各々を補正し、出力部50により、時系列データの観測値の各々について、カルマンフィルタ部32による算出及びロバストエンハンスメント部34による補正を繰り返したときに得られる状態推定値の各々を出力する。
【選択図】図2
【解決手段】カルマンフィルタ部32により、状態空間モデルで表わされるカルマンフィルタに従って、入力された観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、状態推定誤差を算出し、ロバストエンハンスメント部34により、状態推定値に基づく観測値の残差の二乗の期待値を算出し、算出された期待値が予め定められた値以上であるときに、算出された期待値に基づいて、状態推定手段によって算出された状態推定値及び状態推定誤差の各々を補正し、出力部50により、時系列データの観測値の各々について、カルマンフィルタ部32による算出及びロバストエンハンスメント部34による補正を繰り返したときに得られる状態推定値の各々を出力する。
【選択図】図2
Description
本発明は、状態推定装置、方法、及びプログラムに係り、特に、カルマンフィルタを用いて推定対象の状態を観測値から推定する状態推定装置、方法、及びプログラムに関する。
従来技術として、カルマンフィルタのロバスト性を確保するため、システムノイズ及び状態の推定誤差共分散行列を人工的に拡大させる方法がある(非特許文献1)。
D. Simon, "Optimal State Estimation: Kalman, H∞, and Nonlinear Approaches", John Wiley & Sons,Inc., Hoboken, New Jersey, 2006.
非特許文献1の方法では、いつ、どれ位、システムノイズ及び状態の推定誤差共分散行列を拡大させれば良いかが解析者の経験に基づいて決定されることが多く、フィルタの初心者にとってはパラメータ設定の敷居が高く扱いづらいという問題がある。
本発明では、上記問題点を解決するために成されたものであり、精度よく推定対象の状態を推定することができる状態推定装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の発明に係る状態推定方法は、カルマンフィルタ手段と、ロバストエンハンスメント手段と、出力手段とを含み、入力された推定対象の観測値の時系列データに基づいて、前記推定対象の状態を推定する状態推定装置における状態推定方法において、前記カルマンフィルタ手段は、システムノイズを用いて状態推定値を時間更新するための状態更新式、及び観測ノイズを用いて状態推定値と観測値との関係を示す観測方程式を用いて予め定められた状態空間モデルで表わされるカルマンフィルタに従って、入力された前記観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、前記状態推定誤差を算出し、前記ロバストエンハンスメント手段は、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値に基づく前記観測値の残差の二乗の期待値を算出し、前記算出された前記期待値が予め定められた値以上であるときに、前記算出された前記期待値に基づいて、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値及び前記状態推定誤差の各々を補正し、前記出力手段は、前記時系列データの観測値の各々について、前記カルマンフィルタ手段による算出及び前記ロバストエンハンスメント手段による補正を繰り返したときに得られる前記状態推定値の各々を出力する。
第2の発明に係る状態推定装置は、システムノイズを用いて状態推定値を時間更新するための状態更新式、及び観測ノイズを用いて状態推定値と観測値との関係を示す観測方程式を用いて予め定められた状態空間モデルで表わされるカルマンフィルタに従って、入力された前記観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、前記状態推定誤差を算出するカルマンフィルタ手段と、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値に基づく前記観測値の残差の二乗の期待値を算出し、前記算出された前記期待値が予め定められた値以上であるときに、前記算出された前記期待値に基づいて、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値及び前記状態推定誤差の各々を補正するロバストエンハンスメント手段と、前記時系列データの観測値の各々について、前記カルマンフィルタ手段による算出及び前記ロバストエンハンスメント手段による補正を繰り返したときに得られる前記状態推定値の各々を出力する出力手段と、を含んで構成されている。
第1の発明及び第2の発明によれば、カルマンフィルタ手段により、予め定められた状態空間モデルであらわされるカルマンフィルタに従って、入力された観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、状態推定誤差を算出し、ロバストエンハンスメント手段により、状態推定値に基づく観測地の残差の二乗の期待値を算出し、算出された期待値が予め定められた値以上であるときに、算出された期待値に基づいて、状態推定値及び状態推定誤差の各々を補正する。
そして、出力手段により、カルマンフィルタ手段による算出及びロバストエンハンスメント手段による補正を繰り返したときに得られる状態推定値の各々を出力する。
このように、第1の発明及び第2の発明によれば、精度よく推定対象の状態を推定することができる。
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、システムノイズを用いて状態推定値を時間更新するための状態更新式、及び観測ノイズを用いて状態推定値と観測値との関係を示す観測方程式を用いて予め定められた状態空間モデルで表わされるカルマンフィルタに従って、入力された前記観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、前記状態推定誤差を算出するカルマンフィルタ手段、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値に基づく前記観測値の残差の二乗の期待値を算出し、前記算出された前記期待値が予め定められた値以上であるときに、前記算出された前記期待値に基づいて、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値及び前記状態推定誤差の各々を補正するロバストエンハンスメント手段、及び前記時系列データの観測値の各々について、前記カルマンフィルタ手段による算出及び前記ロバストエンハンスメント手段による補正を繰り返したときに得られる前記状態推定値の各々を出力する出力手段、として機能させるためのプログラムである。
以上説明したように、本発明の状態推定装置、方法、及びプログラムによれば、精度よく推定対象の状態を推定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<発明の概要>
本実施の形態では、入力されるデータは、観測機器によって観測された推定対象(現象)の観測データと、推定対象の背後にある支配方程式を解析者がモデル化した状態空間モデルである。そして、入力された観測データと状態空間モデルとに基づいて、カルマンフィルタ及びロバストエンハンスメントからなるロバストカルマンフィルタによる処理を行い、推定対象の状態を推定する結果を出力する。
本実施の形態では、入力されるデータは、観測機器によって観測された推定対象(現象)の観測データと、推定対象の背後にある支配方程式を解析者がモデル化した状態空間モデルである。そして、入力された観測データと状態空間モデルとに基づいて、カルマンフィルタ及びロバストエンハンスメントからなるロバストカルマンフィルタによる処理を行い、推定対象の状態を推定する結果を出力する。
本実施の形態において、フィルタが異常を検知した際、カルマンフィルタを通常の二乗誤差規範に対して準最適化する。これは、最小化する損失関数に罰則項を追加することで実現され、結果としてフィルタのモデリング誤差に対するロバスト性が向上する。一方、フィルタが正常な区間においては、通常の二乗誤差規範に対して最適であるカルマンフィルタと等価なアルゴリズムを適用する。
観測データは時系列データとなっており、観測データの次元をMとする。状態空間モデルは解析対象の背後にある支配方程式を解析者がモデル化したものである。具体的には、システムノイズを用いて状態推定値を時間更新するための状態更新式、及び観測ノイズを用いて状態推定値と観測値との関係を示す観測方程式を用いて定められ、下記(1)式及び(2)式に表される線形な状態空間モデルである。
ここで、確率変数Xtを時刻tにおけるL次元の状態(推定対象)、確率変数Ytを時刻tにおける観測値と定義すると、上記(1)式及び(2)式は、上記(1)式が状態Xtの時間発展となり、上記(2)式が状態Xtの観測機構を表す連立方程式となる。
上記(1)式及び(2)式のF、Hはそれぞれ状態遷移行列、観測出力行列と定義する。μt−1、ωtはシステムノイズ、及び観測ノイズと定義し、それぞれ平均0、共分散行列Q及びRの正規分布に従うノイズとする。状態空間モデルにおけるF,H、Q、Rの値は解析者により設定する。
フィルタの問題は、観測値Yt:1=Yt,Yt−1,・・・,Y1を使用した状態Xtの推定であり、カルマンフィルタはその推定誤差の二乗を最小化する最適な推定値^Xtを出力する。つまり、カルマンフィルタは下記(3)式の損失関数を最小化する推定値を出力する。
しかし、カルマンフィルタには、フィルタの回数が増加すると推定誤差の二乗が小さくなり過ぎ、推定誤差の共分散行列が小さくなり過ぎるために状態の時間変化に対する素早い追従性を失うという問題がある。推定対象は一般的に複雑な時間変化を示すので、状態空間モデルで事前に想定されたモデルの誤差もそれに伴い時間変化するが、フィルタの回数が大きくなるとその誤差に対してフィルタが敏感になってしまい、状態の時間変化に適切に追従することができなくなる。
^Vtは、観測値Yt:1が与えられた後の状態の推定誤差共分散行列であり、上記(3)式の二乗誤差はこの値により正規化されている。本実施の形態におけるロバストカルマンフィルタは下記(4)式及び(5)式の損失関数を最小化するように設計される。
は、予測残差の二乗の期待値(観測値の残差の二乗の期待値)であり、上記(4)式及び(5)式の損失関数は、状態の推定誤差は小さいが、フィルタの予測残差が大きくなっているときに通常の二乗誤差項(第一項)に罰則を与える形になっている。
従って、フィルタが異常を検知した場合には、状態の二乗誤差を最小化することを止め、第二項の付加によって準最適な推定値を出力するようにする。準最適な推定値の推定誤差共分散行列は、最適な推定値の推定誤差共分散行列より大きくなるため、結果として次のフィルタリングにおけるフィルタのロバスト性が自動的に回復する。
上記(5)式の予測残差の二乗は、 ̄V[vt](観測値Yt−1:1が与えられた後の残差の予測共分散行列)で正規化されており、第一項の二乗誤差の正規化と合わせてある。
上記(4)式の第一項、第二項共にカイ二乗分布に従う確率変数の期待値になっており、第一項の期待値は状態の次元のL、第二項の期待値は観測値の次元のMである。従って、両項のバランスをとるため、кを第二項にかける。
上記(4)式及び(5)式の損失関数を最小化するロバストカルマンフィルタの状態推定アルゴリズムは下記(6)〜(13)式に示すようになる。
<カルマンフィルタの状態推定アルゴリズム>
<準最適化によるロバストエンハンスメントの状態推定アルゴリズム>
なお、上記の予測残差の二乗の期待値が上記(13)式のγtに対応する。
カルマンフィルタには、状態空間モデルで設定された上記(1)式及び(2)式と時刻tにおける観測データの観測データYtが入力される。この情報に基づいて、上記(6)〜(10)式を用いて、状態推定値の初期値^X´0及び状態推定誤差の初期値^V´0又は、ロバストエンハンスメントにおいて前回算出された状態推定値^X´t及び状態推定誤差^V´tを時間更新、及び観測更新させ、カルマンフィルタにおける状態推定値^Xtと、カルマンフィルタにおける状態推定誤差^Vtを算出する。なお、状態推定値及び状態推定誤差の初期値は予め適切な値を解析者が設定しておく。
また、ロバストエンハンスメントにはカルマンフィルタの状態推定結果である^Xtと、^Vtとが入力され、上記(11)式〜(13)式を用いて、準最適化によるロバストエンハンスメントで新たに計算される状態推定値^X´tと、状態推定誤差^V´tが状態推定結果として出力される。
具体的には、上記(13)式においてγtを算出し、γt≧τの場合には、カルマンフィルタの状態推定結果である^Xtと、^Vtとに基づいて、上記(11)式及び(12)式を用いて、状態推定値^Xtを補正した状態推定値^X´tと、状態推定誤差^Vtを補正した状態推定誤差^V´tとを求める。
また、γt≦<τの場合には、状態推定値^Xtを^X´tとし、状態推定誤差^Vtを状態推定誤差^V´tとする。
ここで、
であり、viは時刻iにおける観測残差(観測値の予測誤差)のベクトルを表す。βt,minは、^Vtの最小の固有値であり、M´t,minはと^Vtの最小の固有値に対応する固有ベクトルを長さが1となるように正規化したベクトルである。τ及びNの標準的な設定値(推奨値)は観測値が1次元の場合、
、N=5〜10である。観測値が2次元以上の場合もカイ二乗分布の有意水準5%の点を採用する。
^X´tの計算における±はどちらでもよいが、+と−を交互に使うことで、ロバストカルマンフィルタの推定量のバイアス性を軽減する効果を得る事が出来る。
カルマンフィルタとロバストエンハンスメントは繰返しの処理関係になっており、時刻tの観測値Ytを得る度にカルマンフィルタ→ロバストエンハンストメントを繰り返し、ロバストエンハンスメントは状態の推定結果を出力する。この繰返しの処理体系全体をロバストカルマンフィルタと定義する。図1に観測データと状態推定結果のデータ構造を示す。
<状態推定装置の構成>
次に、本発明の実施の形態に係る状態推定装置の構成ついて説明する。図2に示すように、本発明の実施の形態に係る状態推定装置100は、CPUとRAMと後述する状態推定処理ルーチンを実行するためのプログラムや各種データを記憶したROMと、を含むコンピュータで構成することが出来る。この状態推定装置100は、機能的には図2に示すように入力部10と、演算部20と、出力部50とを備えている。
次に、本発明の実施の形態に係る状態推定装置の構成ついて説明する。図2に示すように、本発明の実施の形態に係る状態推定装置100は、CPUとRAMと後述する状態推定処理ルーチンを実行するためのプログラムや各種データを記憶したROMと、を含むコンピュータで構成することが出来る。この状態推定装置100は、機能的には図2に示すように入力部10と、演算部20と、出力部50とを備えている。
入力部10は、観測機器(図示省略)によって得られた、推定対象の次元がMの時系列データである時刻tの観測データYtの入力を受け付ける。
入力部10は、解析者により入力される上記(1)式及び(2)式からなる状態空間モデルを受け付ける。また、入力部10は、状態遷移行列F、観測出力行列H、共分散行列Q及びR、の値の入力を受け付ける。
演算部20は、カルマンフィルタ部32と、ロバストエンハンスメント部34とを備えている。
カルマンフィルタ部32は、入力部10により受け付けた各時刻tにおける観測データYtと、状態空間モデルと、状態推定値の初期値^X´0及び状態推定誤差の初期値^V´0又は、ロバストエンハンスメント部34において前回算出された状態推定値^X´t及び状態推定誤差^V´tとに基づいて、カルマンフィルタにおける状態推定値^X´tと、カルマンフィルタにおける状態推定誤差^Vtを算出する。
具体的には、上記(6)式と、(7)式と、(10)式とにより, ̄Xtと、 ̄Vtと、Ktとを求めた後に、上記(8)式及び(9)式により、^Xtと、^Vtとを求め、ロバストエンハンスメント部34に出力する。
ロバストエンハンスメント部34は、カルマンフィルタ部32で算出された ̄Vt、 ̄Xt、及び観測データYtに基づいて、上記(13)式に従って、γtを算出し、γtとτの値を比較する。γt≧τの場合には、カルマンフィルタ部32から入力された状態推定値^Xtと、状態推定誤差^Vtと、算出したγtとに基づいて、上記(11)式、及び(12)式に従って、補正後の状態推定値^X´tと、状態推定誤差^V´tを求めカルマンフィルタ部32及び出力部50に出力する。なお、βt,min及びM´tは、^Vtの値から求められる。
また、γt<τの場合には、カルマンフィルタ部32から入力された状態推定値^Xtを補正せずに状態推定値^X´tとし、状態推定誤差^Vtを補正せずに状態推定誤差^V´tとしてカルマンフィルタ部32及び出力部50に出力する。
<状態推定装置の作用>
次に、本発明の実施の形態に係る状態推定装置100の作用について説明する。図3に示す状態推定処理ルーチンを実行する前に、入力部10により状態空間モデルを受け付ける。そして、入力部10により、各時刻tの観測データYtを受け付けているときに、状態推定装置100は、図3に示す状態推定処理ルーチンを実行する。
次に、本発明の実施の形態に係る状態推定装置100の作用について説明する。図3に示す状態推定処理ルーチンを実行する前に、入力部10により状態空間モデルを受け付ける。そして、入力部10により、各時刻tの観測データYtを受け付けているときに、状態推定装置100は、図3に示す状態推定処理ルーチンを実行する。
まず、ステップS100では、入力部10において受け付けた上記(1)式及び(2)式からなる状態空間モデルを読み込む。なお、同時に状態遷移行列F、観測出力行列H、共分散行列Q及びRの値も読み込む。
次に、ステップS102では、入力部10において受け付けた現時刻tの観測データYtを読み込む。
次に、ステップS104では、ステップS100において読み込んだ状態空間モデルと、ステップS102において読み込んだ現時刻tにおける観測データYtと、状態推定値の初期値^X´0及び状態推定誤差の初期値^V´0又は、ステップS110又はステップS112において前回算出された状態推定値^X´t及び状態推定誤差^V´tとに基づいて、上記(6)式〜(10)式に従って、カルマンフィルタにおける状態推定値^Xt及び状態推定誤差^Vtを算出する。
次に、ステップS106では、ステップS104において、上記(6)式及び(7)式に従って算出された ̄Vt、 ̄Xt、及びステップS102において取得した観測データYtに基づいて、上記(13)式を用いてγtを算出する。
次に、ステップS108では、ステップS106において算出したγtの値がτの値以上か否かの判定を行う。γtの値がτの値以上である場合には、ステップS110に移行し、γtの値がτの値未満の場合には、ステップS112に移行する。
ステップS110では、ステップS104において算出されたカルマンフィルタにおける状態推定値^Xt、状態推定誤差^Vt、及びステップS106において算出されたγtに基づいて、上記(11)式及び(12)式に従って状態推定値^Xtを^X´tに補正し、状態推定誤差^Vtを^V´tに補正する。
ステップS112では、ステップS104において算出されたカルマンフィルタにおける状態推定値^Xtを補正をせずに^X´tとし、状態推定誤差^Vtを補正をせずに^V´tとする。
次に、ステップS114では、ステップS110又はステップS112において求められた状態推定値^X´t及び状態推定誤差^V´tを推定結果としてカルマンフィルタ部32及び出力部50に出力し、ステップS102に移行し、次の時刻tの観測データYtを読み込みステップS102〜ステップS108の処理を繰り返す。
<実験例>
本発明の状態推定装置におけるロバストカルマンフィルタの有効性を、以下(14)式に示すAR(2)過程の係数推定の実験で検証した。
本発明の状態推定装置におけるロバストカルマンフィルタの有効性を、以下(14)式に示すAR(2)過程の係数推定の実験で検証した。
上記(14)式で示されるAR(2)過程はt≦1000の区間は定常で、1000<t≦2000の区間は独立過程になり、その後また元の定常過程に戻るといった構造の変化を有するものである。このAR(2)過程を状態空間モデルで表すと下記(15)式になる。
問題はこの2次元の状態ベクトルXtのフィルタ推定であり、通常のカルマンフィルタの結果と共に、ロバストカルマンフィルタの推定結果を以下に説明する。
図4の左上が観測値の時系列で、右上が時変AR係数の真値をプロットしたものである。左下がカルマンフィルタの推定結果で、最初n区間(t≦1000)の状態は正しく推定されているが、その後の係数の変化は追従できていないことがわかる。これは最初の1000回のフィルタ後、状態の推定誤差共分散行列が極端に小さくなり、フィルタのロバスト性がほぼ無くなったためである。右下がロバストカルマンフィルタの結果で、AR係数の時間変化を素早く追従していることがわかる。推定値の準最適化が正しく動作し、必要な時にフィルタのロバスト性が適切にエンハンスされている。
上述した数値実験の結果もシステムモデルの時間変化に対する優れた追従性を見せていることから、本アルゴリズムの有効性が確認できた。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る状態推定装置によれば、システムモデルの時間変化に対する追従性を向上させて、精度よく推定対象の状態を推定することができる。
また、推定対象(現象)の状態を観測値から推定するフィルタリングの問題において、モデリング誤差に対してロバストなカルマンフィルタを提案することができる。
また、フィルタが異常を感知すると自動的にロバスト性を向上させる自己回復機能を持ち、状態の推定値を観測値に基づき素早く修正することができる。
また、必要な時にフィルタのロバスト化が適切に行われるため、解析者の熟練した経験を必要とせず、結果として安定した状態の推定結果を出力することができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
上記の実施の形態では、出力部50において、状態推定値^X´t及び状態推定誤差^V´tを推定結果として出力する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、出力部50において、状態推定値^X´tのみを出力するようにしてもよい。
10 入力部
20 演算部
22 入力部
32 カルマンフィルタ部
34 ロバストエンハンスメント部
50 出力部
100 状態推定装置
20 演算部
22 入力部
32 カルマンフィルタ部
34 ロバストエンハンスメント部
50 出力部
100 状態推定装置
Claims (4)
- カルマンフィルタ手段と、ロバストエンハンスメント手段と、出力手段とを含み、入力された推定対象の観測値の時系列データに基づいて、前記推定対象の状態を推定する状態推定装置における状態推定方法において、
前記カルマンフィルタ手段は、システムノイズを用いて状態推定値を時間更新するための状態更新式、及び観測ノイズを用いて状態推定値と観測値との関係を示す観測方程式を用いて予め定められた状態空間モデルで表わされるカルマンフィルタに従って、入力された前記観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、前記状態推定誤差を算出し、
前記ロバストエンハンスメント手段は、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値に基づく前記観測値の残差の二乗の期待値を算出し、前記算出された前記期待値が予め定められた値以上であるときに、前記算出された前記期待値に基づいて、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値及び前記状態推定誤差の各々を補正し、
前記出力手段は、前記時系列データの観測値の各々について、前記カルマンフィルタ手段による算出及び前記ロバストエンハンスメント手段による補正を繰り返したときに得られる前記状態推定値の各々を出力する
状態推定方法。 - 前記カルマンフィルタ手段は、以下の(1)式〜(5)式に従って、前記状態推定値^Xtを算出すると共に、前記状態推定誤差^Vtを算出し、
前記ロバストエンハンスメント手段は、以下の(8)式に従って、前記観測値の残差の二乗の期待値γtを算出し、前記算出された前記期待値γtが予め定められた値τ以上であるときに、以下の(6)式、(7)式に従って、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値^Xt及び前記状態推定誤差^Vtの各々を状態推定値^X´t及び状態推定誤差^V´tに補正する請求項1記載の状態推定方法。
ただし、Fは状態遷移行列であり、Hは観測出力行列であり、R及びQは共分散行列であり、viは時刻iにおける前記観測値の残差を示すベクトルであり、βt,minは^Vtの最小の固有値であり、M´tは^Vtの最小の固有値に対応する固有ベクトルを長さが1となるように正規化したベクトルであり、Nは定数である。 - システムノイズを用いて状態推定値を時間更新するための状態更新式、及び観測ノイズを用いて状態推定値と観測値との関係を示す観測方程式を用いて予め定められた状態空間モデルで表わされるカルマンフィルタに従って、入力された前記観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、前記状態推定誤差を算出するカルマンフィルタ手段と、
前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値に基づく前記観測値の残差の二乗の期待値を算出し、前記算出された前記期待値が予め定められた値以上であるときに、前記算出された前記期待値に基づいて、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値及び前記状態推定誤差の各々を補正するロバストエンハンスメント手段と、
前記時系列データの観測値の各々について、前記カルマンフィルタ手段による算出及び前記ロバストエンハンスメント手段による補正を繰り返したときに得られる前記状態推定値の各々を出力する出力手段と、
を含む、状態推定装置。 - コンピュータを、
システムノイズを用いて状態推定値を時間更新するための状態更新式、及び観測ノイズを用いて状態推定値と観測値との関係を示す観測方程式を用いて予め定められた状態空間モデルで表わされるカルマンフィルタに従って、入力された前記観測値と前回算出された状態推定値及び状態推定誤差とに基づいて、状態推定値を算出すると共に、前記状態推定誤差を算出するカルマンフィルタ手段、
前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値に基づく前記観測値の残差の二乗の期待値を算出し、前記算出された前記期待値が予め定められた値以上であるときに、前記算出された前記期待値に基づいて、前記状態推定手段によって算出された前記状態推定値及び前記状態推定誤差の各々を補正するロバストエンハンスメント手段、及び
前記時系列データの観測値の各々について、前記カルマンフィルタ手段による算出及び前記ロバストエンハンスメント手段による補正を繰り返したときに得られる前記状態推定値の各々を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
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