JP2014215616A - 表示装置 - Google Patents

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智洋 谷川
宗彦 佐藤
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宗彦 佐藤
通孝 廣瀬
Michitaka Hirose
通孝 廣瀬
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Chaillou Mehdy
シャユー メディー
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Abstract

【課題】環境光そのものを光源として用いることのできる表示装置を提供することを、その目的の一つとする。
【解決手段】 弾性を有し、少なくともその一方の面を反射面とする鏡面部材11と、この鏡面部材11に取り付けられ、動作時に鏡面部材11を部分的に弾性変形させるアクチュエータ13とを含み、指示によりアクチュエータ13を制御して鏡面部材11の反射面を弾性変形させて、所定光源からの光を、当該弾性変形された反射面にて反射した像を投影する表示装置である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光源からの光を反射して投影し、対象となる画像を投影像として表示する表示装置に関する。
近年では、プロジェクタやレーザポインタ、ウェアラブル・ディスプレイ等のディスプレイ技術が発展しており、種々の表示装置が、屋内/屋外の様々な場所で利用されている。そして我々の環境を取り巻くこうしたディスプレイにより、我々の現実世界での生活体験が豊かになってきている。屋外等で利用される大規模ビデオプロジェクタ、例えばプロジェクション・マッピングは、集客効果も有している。新しい建造物の中には、フルカラーの前面表示装置(facade display)を備えたものもあり、ビデオ等の映像メディアの画像を動的に映し出すことが可能になっている。
また鏡を利用した天体望遠鏡において、大気の揺らぎに起因する天体からの光の波面のずれを補償するべく、当該鏡の面を補正する技術が非特許文献1等に開示されている。
Claflin, E.S. and Bareket, N.、"Configuring an electrostatic membrane mirror by least-squares fitting with analytically derived influence functions." 、Journal of the Optical Society of America A Volume 3、Issue 11(1986)、1833-1839ページ
しかしながら、上記従来の技術では、例えば屋外においてプロジェクタにて投影を行うこととすると、晴天時の太陽光の明るさに比べ、プロジェクタの光源の明るさは大幅に小さく、環境光の状態によっては画像の投影が困難となっていた。
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、環境光そのものを光源として用いることのできる表示装置を提供することを、その目的の一つとする。
上記従来例の問題点を解決する本発明は、表示装置であって、弾性を有し、少なくともその一方の面を反射面とする鏡面部材と、前記鏡面部材に取り付けられ、動作時に前記鏡面部材の反射面を部分的に弾性変形させるアクチュエータと、指示により前記アクチュエータを制御して前記鏡面部材の反射面を弾性変形させる鏡面変形手段と、を含み、所定光源からの光を、前記弾性変形された反射面にて反射した像を投影することとしたものである。
またここで、画像情報の入力を受け入れる受入手段をさらに含み、前記鏡面変形手段は、前記受入手段にて受け入れた画像情報に基づく指示により、前記アクチュエータを制御して前記鏡面部材の反射面を弾性変形させることとしてもよい。
さらに前記アクチュエータの可動子は、伝達部材を介して、前記鏡面部材の前記反射面の裏側に取り付けられ、前記伝達部材は、その中心部よりも周縁部の変形量が少なくなるよう前記可動子による変形量を伝達することとしてもよい。
このとき、前記伝達部材は、切頭錐形の底部と、当該底部の頭部に連結されたハンドル部とを含み、前記ハンドル部に前記アクチュエータの可動子を連結し、前記底部の底面側を、前記鏡面部材の反射面の裏側に接着してなるものであってもよい。
本発明によると、環境光そのものを光源として用いることができる。
本発明の実施の形態に係る表示装置の原理を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る表示装置の構成例を表す概略図である。 本発明の実施の形態に係る表示装置のアクチュエータの構成例を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る表示装置のアクチュエータの配置例を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る表示装置が表示対象とする画像の例を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る表示装置の伝達部材の例を表す概要図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず本発明の実施の形態に係る表示装置の概要について述べる。
本発明の実施の形態に係る表示装置は、日本や中国における「魔鏡」から着想されたもので、魔鏡の技術を基礎として、小規模なものから大規模なものまで対応可能な表示装置としたものである。この表示装置は、ガラスや金属などの鏡面や、窓ガラス、ガラス壁面(glass wall)といった光を反射する反射面を用い、太陽光などの平行光やLED等による点光源からの光を用いて像を形成するものである。
鏡面(mirror surface)のわずかな凹凸が反射光の方向をわずかに変化させ、投影光のパターンが形成される。本発明の実施の形態に係る表示装置では、鏡面の裏側に配したリニア・アクチュエータを用い、この凹凸を動的に制御する。これにより、反射光を投影可能であれば、視覚的な像を得ることができる。
[動的変形可能な鏡を用いた動的画像の表示]
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置の原理を表す説明図である。この表示装置は、動的に変形可能な鏡Mを用いる。平行光(または点光源からの光)Lが鏡に当たると、その反射光が入射角に等しい反射角方向に反射される。仮に鏡面が滑らかな平面であると、反射光の投影像は一様となる(X)。
しかしながら仮に鏡Mの反射面に凹凸ができていると、投影像には当該凹凸により明るい部分と暗い部分とが現れる(Y:凹による明部)。従って、鏡Mの反射面の凹凸を制御することにより、任意のパターンを投影像として形成できるようになる。この現象は、例えば磨かれた金属面など、表面鏡(first-surface mirror)を利用しているときによく見られる。こうした鏡の凹凸はきわめて小さく、鏡面を直接見てもその凹凸を感じ取ることはできないのが普通である。種々の金属を鏡として用いることができる。例えば、金属表面鏡、ガラス鏡面(mirror finished glass)壁/窓、液体鏡(liquid mirror)、屈折率の異なる二液の界面、そして一般的なガラスやプラスチック製の鏡などを用いてもよい。
表示用の目的に適し、適切なサイズのアクチュエータが用いられるべきである。このようなアクチュエータは、例えば磁気ソレノイド、電磁ソレノイド、ピエゾ・アクチュエータ、ボイスコイル、そして気圧/油圧シリンダ等がある。
鏡面の変形により光の反射方向が変更されることは従来から知られている。例えば日本や中国等、東洋で知られる魔鏡は、背面に模様を鋳造(モールド)した青銅鏡である。鏡の裏側にモールドして形成された模様が、鏡の厚さを一様でない状態にし、これにより鏡表面を研磨するときに、場所によって垂直抗力や摩擦力の変化が生じるようになる。こうした摩擦力の一様でない分布によって、研磨の後に、鏡面に微妙な凹凸が形成される。そしてこの凹凸のパターンが光の反射方向をわずかに変化させ、模様を投影像として浮かび上がらせる。
近年の調査では、魔鏡のもともとの像は、集束前の光が集中することで形成されるラプラシアン像であると示唆されている。しかしながら当該研究の内容についてはここでの詳細な説明を省略する。
[主な特徴]
ユビキタス・ディスプレイ:本実施の形態の表示装置は、鏡のパン、チルトを調整することで、任意の場所で投影像を形成できる。人工的な光源により屋内でも利用でき、また、直射日光を用いて屋外でも利用できる。本実施の形態の表示装置は、直射日光の環境下でも投影像を得られる。一般的な高出力のプロジェクタでも十分な輝度が得られない場合でも、本実施の形態の表示装置は、環境光である直射日光に対して十分なコントラストの像を形成できる。
スケーラビリティ:鏡のサイズは1ミリメートルから10メートルを越える程度のものまで幅広い種類のものにできる。その数、密度、アクチュエータの配置、そしてアクチュエータの種類も種々のものを採用できる。従って、この表示装置は、サイズ及び解像度の両方の面でスケーラビリティを有する。
効率:本実施の形態の表示装置は、空間的な面、またエネルギーの面でも効率的である。近年、エネルギー効率の高いLEDプロジェクタにおいても、光源のエネルギー消費量は大きい。一方で本実施の形態の表示装置は、環境に存在する光源を用いるので、屋外に設置する場合であってすらエネルギー消費は最小限である。プロジェクタユニットは、投影面までの間に距離が必要である。本実施の形態では、投影面には特段の装置は必要なく、さらに、凸状の鏡を用いることで、鏡のサイズよりも大きい像を投影できる。
格子状配列に限られない表現:一つの鏡に取り付けられていても、各アクチュエータが独立して制御可能である。アクチュエータが動作している間の投影像は、「アンチ・エイリアス」された滑らかな像にできる。本実施の形態の表示装置は、従来の表示装置に比べ、少ない数の「ピクセル」(アクチュエータ)により、より滑らかな像を形成できる。実装例については、後に説明する。
[構成]
ここで、本発明の実施の形態に係る表示装置1の構成例について説明する。本実施の形態の一例に係る表示装置1は、図2に示すように、本体部10と、制御部20とを含んで構成される。本体部10は、図2に分解斜視図として例示するように、鏡面部材11と、鏡面支持体12と、少なくとも一つのアクチュエータ13と、アクチュエータ支持体14とを含んで構成される。また制御部20は、マイクロコンピュータ21と、アクチュエータ制御部22とを含んで構成される。
鏡面部材11は、例えばステンレスミラー等、弾性を有する鏡である。この鏡面部材11は薄板状をなしており、少なくともその一方の面が研磨されるなどして反射面11Rとなっている。また以下では、この反射面11Rの裏側の面を、裏面11Bと呼ぶ。
鏡面支持体12は、一対の矩形状の枠体121a,bを含む。本実施の形態の一例では、鏡面部材11の縁部がこの鏡面支持体12の一対の枠体121a,bの間に挟まれて固定される。なお、鏡面部材11の縁部において弾性変形が生じないよう、この枠体121a,bの互いに対向する面(鏡面部材11を挟み込む側の面)には板状のゴム等の弾性体が配されていてもよい。
アクチュエータ13は、リニア・アクチュエータであり、鏡面部材11に取り付けられて、その動作時に鏡面部材11を部分的に弾性変形させる。具体的な例としてこのアクチュエータ13は、図3に例示するように、アクチュエータ支持部14に固定された固定子15と、この固定子15に支持され、固定子15に対して予め定められた軸方向に相対移動可能な柱状(例えば円柱状)の可動子16とを含む。本実施の形態の一例では、アクチュエータ13の可動子16の一方端側が直接、鏡面部材11の裏面11Bの予め定めた位置に接着剤等により接着される。
一例として本実施の形態では、アクチュエータ13はソレノイドであってもよい。すなわち、固定子15側に電磁場を発生させるコイルを設け、可動子16側に永久磁石を配する。そして動作時には、固定子15のコイルに通電し(連続通電またはパルス駆動する)、コイルが生じる電磁気力により可動子16を動作時の位置(T)まで移動させることとしてもよい。またこの可動子16は、バネ等により付勢されて、動作時でないときには鏡面部材11を弾性変形させない位置(R)に戻るようになっていてもよい。またこのアクチュエータ13は、電磁的に可動子16を移動させるソレノイドに限らず、ピエゾ素子を用いた振動型のものでもよく、油圧により可動子16が移動されるものでもよい。
アクチュエータ支持体14は、鏡面部材11に対して直交する複数の平行面141を備え、この平行面141のいずれかにアクチュエータ13の固定子15をねじ止めする等して固定する。なお、図2の例ではアクチュエータ支持体14を透明の板状体として表しているが、アクチュエータ支持体14が透明である必要は必ずしもない。またこのアクチュエータ支持体14へのアクチュエータ13の固定位置を調整することで、アクチュエータ13と鏡面部材11との間隔を調整して、アクチュエータ13の可動子16を鏡面部材11の裏面11Bに接着したときに、鏡面部材11を弾性変形させない位置と、弾性変形させる位置との間で可動子16が移動可能となるようにしておく。具体的には自然な状態(アクチュエータ13を駆動しない状態)で鏡面部材11を弾性変形させない状態となるようアクチュエータ13のアクチュエータ支持体14への固定位置を調整しておく。
本実施の形態のある例では、複数のアクチュエータ13の各可動子16が、鏡面部材11の裏面11Bの図4に例示する位置Pにそれぞれ接着される。図4の例では、アクチュエータ13がマトリクス状に配される場合を例示している。もっとも本実施の形態のアクチュエータ13の配列は、マトリクス状の配列に限られず、千鳥配列(全体として市松模様のようになる)等、他の配列としてもよい。
制御部20のマイクロコンピュータ21は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリ、I/Oポート等を含んで構成されている。このマイクロコンピュータ21は、メモリ内に格納されたプログラムを、CPUにて実行し、CPUがI/Oポートを介してアクチュエータ制御部22に対してアクチュエータ13を制御するべき旨の指示を出力するものである。ここでプログラムは、ネットワークを介して配信され、あるいはコンピュータ可読な記録媒体に格納されて提供され、このメモリ内に複写されたものであってもよい。このマイクロコンピュータ21の詳しい動作については後に述べる。
アクチュエータ制御部22は、マイクロコンピュータ21が出力する指示に従って動作し、本体部10の各アクチュエータ13をそれぞれオン/オフ制御し、各可動子16を移動させて、鏡面部材11の可動子16が接着されている部分を弾性変形させるか否かを制御する。つまり、このアクチュエータ制御部22が、鏡面部材の反射面を変形させる鏡面変形手段として機能する。
[制御]
ここでマイクロコンピュータ21の動作について説明する。本実施の形態のマイクロコンピュータ21は、予め指定された画像情報または、外部からI/Oポートを介して入力された画像情報に基づいて、アクチュエータ制御部22に対する指示を行う。
本実施の形態の一例では、画像情報は予め指定されたものとしてプログラムとともにメモリ内に格納されているものとする。マイクロコンピュータ21のCPUは、当該メモリ内に格納された画像情報がカラーの画像情報であればこれをグレースケール(輝度情報のみ)の画像情報に変換する。そしてマイクロコンピュータ21のCPUは、当該グレースケールの画像情報に基づいて、輝度が所定のしきい値より大きい画像部分を抽出する。
そしてマイクロコンピュータ21のCPUは、鏡面部材11において当該抽出した画像部分に相当する位置を凹とするようアクチュエータ13を制御するべき旨の指示を、アクチュエータ制御部22に出力することとなる。本実施の形態の一例では、マイクロコンピュータ21のメモリに、鏡面部材11に対するアクチュエータ13の位置を表す情報(鏡面部材11が矩形であれば例えば左下隅などいずれかの角を原点として当該角を挟む各辺の方向をそれぞれX軸、Y軸とし、所定の単位(例えばセンチメートル単位などでよい)で定められるXY座標情報でよい)を格納しておく。そしてマイクロコンピュータ21のCPUは、表示の対象となる画像情報が表す画像を、仮想的に鏡面部材11の所定の領域に描画したとするときに、抽出した、輝度が所定のしきい値より大きい画像部分に対応する位置に最も近い位置にあるアクチュエータ13を特定する。
具体的な例として、20個のアクチュエータ13が鏡面部材11に対して、図4に例示したように4×5のマトリクス状に配されている場合を考える。このときアクチュエータ13の位置を表す情報が、(1,1),(1,2)…(1,5),(2,1),(2,2)…(2,5),…(4,1),(4,2)…(4,5)というように設定される。ここで表示の対象となる画像情報の表す画像から抽出した、輝度が所定のしきい値より大きい画像部分が、図5に例示するように、(2,2)に相当する位置から(4,5)に相当する位置まで引いた直線となっているとする。このときには、マイクロコンピュータ21のCPUは、元の画像情報を4画素×5画素のビットマップ画像に変換したときに、当該輝度が所定のしきい値より大きい画像部分に対応する画素を特定する。この処理は、ビットマップ画像への変換処理で広く知られているものと同じであるので、ここでの詳しい説明を省略する。
マイクロコンピュータ21のCPUは、上記特定した画素に対応するアクチュエータ13をオンとするよう、アクチュエータ制御部22に対する指示を行う。上記の例では、CPUは、(2,2)、(3,3)、(3,4)、(4,5)の位置にあるアクチュエータ13をオンとするよう指示する。これにより当該オンとされるアクチュエータ13の取り付けられた位置において鏡面部材11が弾性変形して凹となり、凹となった部分では光源からの反射光が集中して、凹となっていない部分からの反射光よりも高い輝度の像を形成し、凹となっていない部分では反射光は集中せず、凹となっている部分からの反射光より低い輝度の像を形成することとなる。またマイクロコンピュータ21のCPUが当該オンとなっているアクチュエータ13をオフとするようアクチュエータ制御部22に対する指示を行い、対応するアクチュエータ13がオフとなると、鏡面部材11は元の形状(平面)に弾性的に復帰する。
またここではアクチュエータ13をマトリクス状に配した場合を例として説明したが、既に述べたように千鳥配列(市松)としてもよい。この場合、マイクロコンピュータ21のCPUは、元の画像情報を当該アクチュエータ13の配列と同様の配列に画素を並べた場合のビットマップ画像へ変換し、上記の、輝度が所定のしきい値より大きい画像部分に対応する画素を特定する。
また、画像情報が外部から入力される場合、マイクロコンピュータ21のCPUは、画像情報の入力を受け入れる受入手段として機能し、当該入力された画像情報のそれぞれについて上述のメモリに予め格納されていた画像情報に対するのと同様の処理を実行する。またCPUは、複数の画像情報の入力を逐次的に受けて(あるいは予めメモリに格納された複数の画像情報を順次読みだして)、当該入力された画像情報のそれぞれに対して順次、上記の処理を実行してもよい。本実施の形態では、各画像情報に基づいて鏡面部材11の凹となるべき部分が特定され、当該部分がアクチュエータ13により裏側から引かれ、弾性変形して凹となる。また一度凹となってもアクチュエータ13をオフとすることにより鏡面部材11の当該部分は弾性的に元の平面に復帰するため、動的な表示装置として機能する。
本実施の形態の表示装置1は、以上のような構成を備えており、次のように動作する。表示装置1の制御部20に、表示の対象となる画像情報が入力されると、制御部20が、当該画像情報が表す画像を、アクチュエータ13の配列と同様の配列のビットマップ画像であって、輝度が所定のしきい値より大きい画素をオンとしたビットマップ画像に変換する。そして当該オンとなった画素に対応する位置にある本体部10のアクチュエータ13をオンとするよう制御する。
これにより入力された画像のうち、輝度が所定のしきい値より高い位置に対応するアクチュエータ13がオンとなり、当該アクチュエータ13が取り付けられた鏡面部材11の反射面11Rが弾性変形して凹となる。
ここに、所定の光源(例えば日光)が入射すると、当該入射光が鏡面部材11の反射面11aにて反射されて像が投影されるが、当該投影された像のうち、鏡面部材11が弾性変形により凹となった部分に対応する位置では光が集中して周辺より輝度が高くなる。これより、投影像として、制御部20に入力された画像に対応する像が投影される。さらに鏡面部材11の変形が弾性的であるので、表示の対象となる画像情報を順次変化させると、凹となるべき部分と平面となるべき部分を動的に変化させることができ、静止画を切り替えて投影したり、またアニメーションを投影させたりすることも可能となっている。
[伝達部材を用いる例]
また以上の構成においてアクチュエータ13(の可動子16)は直接、鏡面部材11の裏面11Bに接着されていた。しかしながら本実施の形態はこれに限られない。例えばアクチュエータ13の可動子16の断面積よりも大きい範囲の凹を形成するべく、アクチュエータ13の可動子16の断面積よりも大きい金属板を伝達部材17とし、この伝達部材17の一方面に可動子16の一方端を接着するとともに、伝達部材17の他方面側を鏡面部材11の裏面11Bに接着することとしてもよい。
さらにこの伝達部材17としては、その中心部よりも周縁部の変形量が少なくなるようアクチュエータ13の駆動量(可動子16の移動量)を伝達するものであってもよい。
具体的にこのような伝達部材17の一例は図6(a)〜(d)に例示するようなものとなる。図6(a)は伝達部材17の斜視図、図6(b)は平面図、図6(c)は中心を通る破断面で破断した断面図を表す。図6に例示する伝達部材17は、例えばプラスチック等の樹脂で形成され、切頭錐形(図6では切頭円錐形)の底部171と、当該底部171の頭部に連結して設けられたハンドル部172とを含み、全体として吸盤状の形状をなすものである。ただし吸盤とは異なり、底面17Bは平面としている。つまり、この例の伝達部材17ではその中心部よりも周縁部における底部171の厚さが薄くなるように形成されている。
この伝達部材17を用いる例では、アクチュエータ13の可動子16の一方端側をハンドル部172に接着ないしネジ止めなどで固定する。そして底部171の底面17B側を、鏡面部材11の裏面11Bの所定位置(アクチュエータ13を配する位置)に接着する。
このような伝達部材17を用いると、周縁部における引張り量が中心部に比べて弱められるので、反射面11Rに形成される凹面の周縁部形状がなだらかになり、凹部周縁の曲率変化によるアーティファクトが像に現れることが防止される。
[変形例]
さらに本実施の形態におけるアクチュエータ13は、オン/オフにより可動子16が予め定められた2つの位置の間を移動するものに限らず、可動子16の移動量を制御可能としたものであってもよい。この場合制御部20のマイクロコンピュータ21は、表示の対象となる画像情報が入力されると、制御部20が、当該画像情報が表す画像を、アクチュエータ13の配列と同様に輝度値を表す画素を配列したグレースケールのビットマップ画像に変換する。そして各画素に対応する位置にある本体部10のアクチュエータ13の可動子16を、対応する画素の輝度値に応じた移動量だけ(輝度値が大きいほど移動量を大きくして、反射面がより凹となるように)移動させるよう制御する。
また太陽など、時とともに位置を変化させる光源を用いる場合、鏡面部材11の反射面11Rの方向を、光源の移動とともに変化させ、投影像の形成位置の変化を抑制してもよい。この場合、本体部10を例えば赤道儀や経緯台にマウントして制御部20により次のように鏡面部材の反射面11Rの角度を制御する。
すなわち、制御部20は、鏡面部材11の中心(鏡面部材11の反射面11Rが矩形である場合、当該矩形の対角線の交点)と太陽(光源)とを結ぶ仮想的な線分(光源方向線分)と、鏡面部材11の中心と予め定められた投影位置の中心とを結ぶ仮想的な線分(投影方向線分)との双方を含む仮想的な面(光路面と呼ぶ)の方向を演算により求める。なお、光源が太陽である場合、太陽の方向(方位角及び仰角)は演算により求めることができる。そして制御部20は、上記求められた光路面内において、鏡面部材11の中心を通る仮想線分Nと光源方向線分とのなす角θsと、上記仮想線分Nと投影方向線分とのなす角θpとが一致するよう、仮想線分Nの方向を決定する。そして制御部20は、鏡面部材11の反射面11Rの法線が、上記決定された仮想線分Nの方向に平行になるよう、赤道儀または経緯台の方向を制御する。
これにより、鏡面部材11の反射面11Rの方向を、光源の移動とともに変化させ、投影像の形成位置の変化を抑制することが可能となる。
また、本実施の形態においては、アクチュエータ13をオフとしたときの鏡面部材11の反射面11Rの自然な形状を凹面鏡または凸面鏡として、投影像のサイズを変化させてもよい。さらに本体部10は複数(例えばn個、nはn≧2なる整数)あってもよい。この場合、当該n個の本体部10の各鏡面部材11の投影像の方向を調整することで、より大きい投影像を得たり、複数m個(mは2≦m≦nなる整数)の本体部10のアクチュエータ13を、各本体部10でそれぞれ同じ投影像を投影するよう制御しておき、それぞれの投影像の位置が一致するよう各鏡面部材11の反射面11Rの角度を調整して、より明るい像を得るようにすることもできる。
[アクチュエータ以外の変形方法]
ここまでの説明では、鏡面部材11を弾性変形させる方法としてリニア・アクチュエータを用いる例について述べたが、本実施の形態はこれだけに限られない。例えばアクチュエータを複数用いて一つの鏡面部材11を変形させる代わりに、鏡面部材11を複数用いてこれを上記のアクチュエータと同様にマトリクス状、市松模様状、またはハニカム形状に配し、各鏡面部材11のうちその反射面11Rが凹となるべき鏡面部材11に熱を加えて断熱膨張により弾性変形させ、凹面を形成することとしてもよい。
さらに、鏡面部材11の周縁部に指定周波数で振動する超音波モータや、指定した周波数の音声を鳴動するスピーカー等を配し、鏡面部材11の反射面11Rに定在波を形成することで弾性変形させて凹凸を得てもよい(クラドニ図形によって表されるのと同じ凹凸形状となる)。この場合も、鏡面部材11を複数用いてこれを上記のアクチュエータと同様にマトリクス状、市松模様状、またはハニカム形状に配し、反射面11Rが凹となるべき鏡面部材11についてその周縁部に振動を加えて、反射面11Rに、その少なくとも一部が弾性変形して凹となるような定在波を形成する。
[鏡を利用しない変形例]
さらにここまでの説明では鏡の反射により投影像を得る例について述べたが、鏡の代わりに、透光性のある材料で形成した水槽に水などの液を張り、この液面に指定周波数で振動する超音波モータや、指定した周波数の音声を鳴動するスピーカーの振動を伝達して、液面に定在波を形成し、凹凸を得るようにしてもよい。
[応用例]
本実施の形態の表示装置1は、建造物ほどの大きなものから手のひらに乗る程度の小さいものまで幅広いサイズとして実装可能である。一例として高層建造物の外壁や窓を用いることができる。ガラス鏡は太陽光を反射して、その反射光を地面や道路、人に投影している。そこで当該ガラス製の外壁や窓を上記の鏡面部材として用い、ボイス・コイル・トランスデューサ等のアクチュエータを上記の方法で制御部20により制御して鏡面部材としたガラス製の外壁や窓を変形させて、画像を投影できる。この例では道行く人々に注意を促したり、道案内を行ったりといったことが可能となる。
また太陽光ではなく、LEDスポットライトを光源とすることで、屋内・屋外を問わず利用できる表示装置とすることも可能である。さらに、直射日光を光源とすれば、直射日光下でも利用できる。日光を光源とする場合、曇りの日など環境光が弱いときには反射光も弱くなるが、LEDスポットライトを光源として併用すれば十分な投影像が得られるようになる。
さらに自転車に取り付けて前方の道に地図等を投影することも考えられる。こうした小型の応用例では、比較的小型の鏡面部材と、アクチュエータとしてリニア・ピエゾ・アクチュエータのアレイを用いることができる。またこの鏡面部材として、自然な状態で凸面鏡となるものを用いれば、鏡面部材の面積に比して比較的大きめの投影像を得ることも可能となる。
さらに、より精彩かつ効果的にアクチュエータを制御するために、ゼルニケ多項式を用いてアクチュエータの制御量を演算することも考えられる。
以上説明した本発明の実施の形態に係る表示装置1によれば、環境光そのものを光源として、その反射光の投影により画像を表示することが可能となる。
[実装]
本発明の一実施例に係る表示装置1について説明する。この表示装置1では、鏡面部材11としてサイズが210mm×297mmのステンレスミラー(厚さ1mm)のものを用い、この裏面11Bには、信明電機製のSS-103-501ソレノイドを7つ、市松状に配した。各ソレノイドの可動子(プランジャー)は、ステンレスミラーから35mmだけ離れて配置した。パーソナルコンピュータ(PC)とマイクロコンピュータ・ボードを用い、8ビットのPWM制御にてソレノイドを駆動した。
マイクロコンピュータは、インストールされたプログラムを実行することにより、各ソレノイドを独立してPWM制御する。そしてそれにより静止画または動画を投影させた。
1 表示装置、10 本体部、11 鏡面部材、11R 反射面、11B 裏面、12 鏡面支持体、13 アクチュエータ、14 アクチュエータ支持体、15 固定子、16 可動子、17 伝達部材、17B 底面、20 制御部、21 マイクロコンピュータ、22 アクチュエータ制御部、121 枠体、141 平行面、171 底部、172 ハンドル部。

Claims (4)

  1. 弾性を有し、少なくともその一方の面を反射面とする鏡面部材と、
    前記鏡面部材に取り付けられ、動作時に前記鏡面部材の反射面を部分的に弾性変形させるアクチュエータと、
    指示により前記アクチュエータを制御して前記鏡面部材の反射面を弾性変形させる鏡面変形手段と、
    を含み、
    所定光源からの光を、前記弾性変形された反射面にて反射した像を投影する表示装置。
  2. 請求項1記載の表示装置であって、
    画像情報の入力を受け入れる受入手段をさらに含み、
    前記鏡面変形手段は、前記受入手段にて受け入れた画像情報に基づく指示により、前記アクチュエータを制御して前記鏡面部材の反射面を弾性変形させる表示装置。
  3. 請求項1または2記載の表示装置であって、
    前記アクチュエータの可動子は、伝達部材を介して、前記鏡面部材の前記反射面の裏側に取り付けられ、前記伝達部材は、その中心部よりも周縁部の変形量が少なくなるよう前記可動子による変形量を伝達する表示装置。
  4. 請求項3記載の表示装置であって、
    前記伝達部材は、切頭錐形の底部と、当該底部の頭部に連結されたハンドル部とを含み、
    前記ハンドル部に前記アクチュエータの可動子を連結し、
    前記底部の底面側を、前記鏡面部材の反射面の裏側に接着してなる表示装置。
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