JP2014215084A - 加熱対象物の温度測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱源によって加熱される加熱対象物の加熱を妨げることなく、多大で複雑な設備を用いずに、正確な温度を、短時間に測定することを目的とする。
【解決手段】 加熱炉(1)内の、加熱源(3)によって加熱される加熱対象物(2)の表面温度をサーモグラフィー(4,4')を用いて測定する方法に関する。加熱対象物(2)の温度測定領域を第1温度測定領域Aとし、同第1温度測定領域Aを加熱する加熱源(3)の一部または全部の加熱領域を対応加熱源領域Bとする。前記第1温度測定領域Aと前記対応加熱源領域Bとがサーモグラフィーの画像中に映るようにサーモグラフィーを定置する。サーモグラフィー(4)により得られる、第1温度測定領域Aから放射される第1輝度分布D1 と対応加熱源領域Bから直接放射される第2輝度分布D2 とを用いて、加熱対象物の表面温度TをW特定の演算式をもって求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、加熱炉内で加熱源によって加熱される加熱対象物の表面温度を、加熱源から放射される赤外線が加熱対象物表面にて反射する場合の、サーモグラフィーを用いた温度測定方法に関する。
金属金型を利用して樹脂を重合・成形する場合、その重合前、重合中における金属金型の温度を適切に制御することが、重合挙動制御および製品品質の観点から重要である。金型内部に熱電対を組み込むことは、原料の仕込みや重合した製品取り出し時など、その前後の工程での作業に支障をきたし、さらに連続的に製造する場合には、熱電対のケーブル長さが限られるため、取り廻しが困難となる。また金型表面に熱電対を接触させて測定する方法では、その接触により金型表面を傷つけてしまい、温度制御性を良くするために薄型の金型を用いた場合は、樹脂製品と接する金型表面へもその傷が影響するため好ましくない。これらの問題を解決する方法として、測定対象物の温度を非接触で測定することが出来る放射温度計の利用が考えられる。
放射温度計は、測定対象物から放射される熱放射光の輝度を測定し、その測定対象物の放射率とから、測定対象物の温度を測定するものである。しかしながら、測定対象物が金属など放射率の低い物体では、その周囲を取り囲む壁面や、加熱源からの熱放射光が測定対象物表面で反射し、測定対象物の温度と同時に検出されるため、測定誤差が生じてしまう。
この問題を排除すべく、例えば特開平7−174634号公報(特許文献1)では、測温対象物体からの総放射輝度を検出し、かつ測温対象物体を取り囲む炉壁およびバーナー火炎等の周囲物体からの放射輝度の空間分布を検出し、周囲物体からの放射輝度の空間分布から、測温対象物体表面に炉内各方向から入射する放射輝度分布を求め、炉内全方向で積分することで炉壁およびバーナー火炎の熱放射により生じる反射輝度を求め、その反射輝度を測定対象物の既知放射率と合わせて補正することにより、測定対象物表面の温度を求めている。これにより空間的に強度分布がある炉壁およびバーナー火炎等からの放射輝度分布を空間的に検出して、変動し局所的な高温放射源があっても正確に表面温度を測定することを可能としている。
特開平7−174634号公報
特許文献1に記載された加熱対象物の温度測定方法は、加熱炉内に加熱源を有する状況においても、その放射輝度の反射の影響を配慮して測温対象物体の温度を測定できるものであるが、全方位の放射輝度分布を測定する必要があるため、高度な設備を必要とする。特許文献1の実施例に記載された方法では、高さ方向180度に対して5度刻み、周囲方向360度に対して10度刻みにて測定しているため、1000点を超える測定ポイントを測定する必要があり、1回の測定に非常に多くの時間を要すると考えられる。1回の測定に時間を要すると、測定対象物の温度変化を時間的に追うことが難しくなってしまう。
また、加熱対象物として平滑面を有する物体の場合、散乱反射ではなく指向性のある反射をするため、全方向で積分することはかえって誤差を大きくしてしまう。さらに、周囲の物体からの放射輝度を加熱炉内全方向で積分することが必要なため、受光器を測定対象物と同じ加熱炉内に入れなければならない。加熱炉内が高温雰囲気では、精密な電子機器を要する測定器の受光器を加熱炉内に入れることは簡単ではない。受光器に囲いをつけて、その中を冷却する方法も考えられるが、高性能な冷却設備が必要となる。また、周囲物体からの放射輝度を加熱炉内全方向で積分するには、測定対象物と加熱源との間に受光器を位置させる必要があり、冷却設備の導入などは測定対象物の加熱を妨げるという問題もある。
本発明の目的は、加熱源によって加熱される加熱対象物の加熱を妨げることなく、多大で複雑な設備を用いずに、正確な温度を、短時間に測定することである。
前記目的は、本発明の基本構成である、加熱炉内の、加熱源によって加熱される加熱対象物の表面温度をサーモグラフィーを用いて測定する方法であって、加熱対象物の温度測定領域を第1温度測定領域Aとし、同第1温度測定領域Aを加熱する加熱源の一部または全部の加熱領域を対応加熱源領域Bとして、前記第1温度測定領域Aと前記対応加熱源領域Bとがサーモグラフィーの画像中に映るようにサーモグラフィーを設置し、サーモグラフィーにより得られる、第1温度測定領域Aの反射赤外線の第1輝度分布D1 と対応加熱源領域Bから直接照射される赤外線の第2輝度分布D2 とを用いて、加熱対象物の表面温度Tを求める、ことにより達成される。
本発明にあっては、単一のサーモグラフィーで第1及び第2輝度分布D1,D2 を同時に測定することができるが、第1及び第2輝度分布D1,D2 を別々のサーモグラフィーで測定することもできる。また本発明にあっては、第1輝度分布D1 の最高輝度および第2輝度分布D2 の最高輝度を用いて加熱対象物の表面温度を求めることができる。上記サーモグラフィーを加熱炉外に設置し、光学窓を通して第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 とを得ることが好ましい。
本発明は、下記式(1)及び式(2)を用いて加熱対象物の表面温度を算出することができる。
Figure 2014215084
Figure 2014215084
T1 :加熱対象物の表面温度 [K]
W(T1) :式(2) で計算される温度T1の加熱対象物の赤外線放射エネルギー [W/m2]
E1 :第1輝度分布D1 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
E2 :第2輝度分布D2 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
ε1 :加熱対象物の赤外線放射率 [-]
τ :光学窓の赤外線透過率 [-]
h :プランク定数(6.626 ×10-34 J ・ s)
c :光速(2.998 ×108 m/s )
k :ボルツマン定数(1.381 ×10-23 J/K )
λ :波長 [m]
λ1 :測定波長範囲下限 [m]
λ2 :測定波長範囲上限 [m]
さらに本発明にあっては、下記式(2)及び式(3)を用いても加熱対象物の表面温度を算出することができる。
Figure 2014215084
Figure 2014215084
T1 :加熱対象物の表面温度 [K]
W(T1) :式(2) で計算される温度T1の加熱対象物の赤外線放射エネルギー [W/m2]
h :プランク定数(6.626 ×10-34 J ・ s)
c :光速(2.998 ×108 m/s )
k :ボルツマン定数(1.381 ×10-23 J/K )
λ :波長 [m]
λ1 :測定波長範囲下限 [m]
λ2 :測定波長範囲上限 [m]
E1 :第1輝度分布D1 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
E2 :第2輝度分布D2 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
ε1 :加熱対象物の赤外線放射率 [-]
τ :光学窓の赤外線透過率 [-]
T W :光学窓の温度[K]
W(T W ) :式(2) で、光学窓温度をT W にすることで計算される光学窓の赤外線放射
エネルギー[W/m2]
本発明に適用される上記加熱源は熱風ノズルであることが好ましく、また第1温度測定領域Aにおける加熱対象物の温度斑が10℃以内であることが好ましい。
本発明の加熱対象物の温度測定方法によると、加熱炉内に加熱源を有する状況下においても、多大で複雑な構成を備えた設備を用いずに、その加熱源の影響を排除することができ、加熱対象物の正確な温度を短時間に求めることができる。
1台のサーモグラフィーを使用した、本発明での温度測定の第一の形態例を示す概略構成図である。 2台のサーモグラフィーを使用した、本発明での温度測定の第二形態例を示す概略構成図である。 実施例にて熱風ノズル、熱電対を使用した場合の本発明での温度測定の一例を示す横方向断面図である。 実施例にて熱風ノズル、熱電対を使用した場合の本発明での温度測定の一例を示す上面図である。 本発明による測温結果とサーモグラフィーで直接測定した温度を熱電対温度に対して示したグラフである。
以下、本発明の代表的な実施形態を図1を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明の加熱対象物の温度測定方法に使用される測定装置の第一実施形態例を示す。加熱対象物の温度測定装置は、加熱炉1、加熱対象物2、加熱源3、1台のサーモグラフィー4及び光学窓5を有している。
図示例によれば、加熱炉1内の下部に加熱対象物2が設置され、その上方に設置された加熱源3により加熱対象物2が加熱される。そのときの温度は、加熱炉1の外に設置したサーモグラフィー4を用いて光学窓5を通して測定される。温度を測定したい領域として加熱対象物2上の特定位置に、第1温度測定領域Aを設定し、この第1温度測定領域Aを加熱する加熱源3の対応領域を、対応加熱源領域Bとして設定する。第1温度測定領域Aにて反射する赤外線の熱画像および対応加熱源領域Bから直接放射される赤外線の熱画像が、同じ光学窓5を通してサーモグラフィー4に複合した画像として映し出される。ここで、サーモグラフィー4では、加熱源3により加熱される加熱対象物2の第1温度測定領域Aから反射する赤外線の第1輝度分布D1 と、第1温度測定領域Aを加熱する加熱源3の対応加熱源領域Bから直接放射される赤外線の第2輝度分布D2 とを重なって映される熱画像上で測定する。
次に、上記加熱炉1、加熱対象物2、加熱源3、サーモグラフィー4、光学窓5や、上記式(1)〜(3)などについて具体的に説明する。
<加熱炉>
本発明で使用される加熱炉1は、加熱対象物2を加熱するための場所である。その構造は特に制限されるものではなく、加熱の際の熱の放出を少なくするために密閉構造を有していても、実質的に炉として囲われていないような開放された構造であってもよい。加熱炉1の材質も、加熱に対する耐熱性を有していれば特に制限されるものではなく、例えば、金属にて形成されるもの、金属の表面をコーティングしたもの、焼き物にて形成したものなど各種使用することができる。
<加熱対象物>
本発明で使用される加熱対象物2は、加熱源3により加熱される物体であり、また温度測定を必要とする物体である。本発明の方法は加熱対象物の赤外線放射率が低い場合であっても、その表面温度を求めることができる方法であるが、赤外線放射率は高いほど反射の影響が小さくなるため好ましい。加熱対象物の赤外線放射率としては、0.1以上であれば本発明方法により精度良く温度を求めることができるため好ましい。さらに精度の観点から0.2以上であることがより好ましい。また、加熱対象物2の表面状態としては、第1温度測定領域Aに加熱源が映る必要があるため、その表面状態は平滑であることが好ましい。粗面であっても、サーモグラフィーに映される図示せぬ画像中の第2温度測定領域(符号なし。)に加熱源3が映っていることが温度の違いで確認できる程度、または目視にて前記第2温度測定領域に加熱源3が確認される程度であればよい。
加熱対象物2としては、例えば、ステンレス板が挙げられる。
加熱対象物2の加熱方法は、サーモグラフィーにて加熱源3と加熱対象物2とから放射される赤外線の各輝度分布D1 ,D2 を測定可能な方法であれば特に制限されるものではない。例えば、ハロゲンヒーター、カーボンヒーター、ストーブなどの赤外線を利用した各種ヒーター、熱風加熱のようにあらかじめ加熱した空気を噴きつけることによって加熱する方法、オイルヒーターなど対流伝熱を利用した方法、ロール加熱、リボンヒーター、ラインヒーターなど接触加熱による方法、バーナーなどの火炎を利用した方法、アーク加熱を利用した方法などが挙げられる。加熱対象物中で温度測定の必要な領域を第1温度測定領域Aとして設定する際、加熱源3によって加熱される領域を設定することが好ましいことから、サーモグラフィーで測定するには接触式加熱より非接触式にて加熱する方法を
選定する方が好ましい。さらに熱風加熱方式は加熱対象物2を比較的均一に加熱できるため、第1温度測定領域A内での加熱対象物2の温度分布が小さくなり、熱画像中の第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 との対応がとりやすくなるため好ましい。
<加熱源>
本発明で使用される加熱源3は、加熱対象物2を加熱する物体であり、加熱対象物2から確認して炉内表層に現れる固体部分とする。ニクロム線ヒーターなど発熱する物体から直接放射される赤外線により加熱対象物2が加熱される場合は、ヒーターの発熱部そのものが加熱源となるが、オイルヒーターやラインヒーターではオイルや電熱線自体ではなく、それらを覆い表層に現れる金属やゴム部分を加熱源とする。また熱風加熱においては、空気を電気ヒーターや熱媒によって加熱していたとしても、その熱風噴き出し口である熱風ノズルを加熱源として用いることとする。
<サーモグラフィー>
本発明で使用されるサーモグラフィー4は、加熱対象物2から放射される赤外線の第1輝度分布D1 及び、加熱源3から放射される赤外線の第2輝度分布D2 を測定する装置である。加熱源3の温度、加熱対象物2の温度が使用するサーモグラフィー4の測定温度範囲内に入っており、放射される赤外線の輝度分布を測定することができるものであれば、その測定波長範囲など制限されるものではない。解像度については、サーモグラフィー4の画像中の図示せぬ第2温度測定領域の中に1画素以上入るものであれば問題ないが、画像中の第2温度測定領域に映る加熱源3を確認する観点からは、解像度は高い方が好ましく2000画素以上であることが好ましい。さらに詳細に画像中の第2温度測定領域に映る加熱源3を特定する観点からは解像度は10000画素以上であることが好ましい。
サーモグラフィー4の設置は、サーモグラフィー4の画像中の図示せぬ第2温度測定領域に加熱源の一部または全部が映る位置であれば特に制限されない。サーモグラフィー自体を加熱炉内に設置してもよいが、加熱炉外に設置することが好ましい。一般的にサーモグラフィー自体の耐熱性は高くなく、温度変化により測定精度が落ちるため、加熱炉内に設置する場合は囲いに入れて冷却措置を施すなど適切な対応をとるとよい。冷却装置の簡便さからは、サーモグラフィー4を加熱炉外に設置することが好ましい。このとき、サーモグラフィー4の配置は、単一の同サーモグラフィー4のレンズを加熱源3および第1温度測定領域Aの双方から放射される赤外線が入射する方向に向けて加熱炉外の定位置に固設される。加熱炉外にサーモグラフィー4を設置し、加熱炉を密閉構造としたい場合には、サーモグラフィー4と第1温度測定領域Aとの間に赤外線を透過する光学窓5を設置することが好ましい。
使用するサーモグラフィー4は1台でも複数台でもよく、下記に示す第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 を取得することができれば制限されるものではない。1台のサーモグラフィーにて測定する場合には、同サーモグラフィー4にて第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 を取得する必要があるが、この場合、測定器の数を減らすことができるため好ましい。
図2は、二台のサーモグラフィー4,4’を使って、それぞれのサーモグラフィー4,4’により第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 とを別に測定する場合の、炉内における第1及び第2サーモグラフィー4,4’の配置例を示している。図示例では、加熱炉1の左右側壁の中央に第1及び第2の光学窓5,5’を設置しており、第1サーモグラフィー4は、対応加熱源領域Bから放射されて第1温度測定領域Aにて反射する赤外線の第1輝度分布を第1の光学窓5を通して測定する。一方の第2サーモグラフィー4’は、同じ対応加熱源領域Bから放射される赤外線の第2輝度分布の画像を第2の光学窓5’を通して直接映しだし、その第2輝度分布D2 を測定する。このとき、第1及び第2サーモグラフ
ィー4,4’の配置は、第1サーモグラフィー4のレンズは加熱源3を外して第1温度測定領域Aに向けられ、第2サーモグラフィー4のレンズは第1温度測定領域Aを外して加熱源3に直接向けられている。
<第1温度測定領域A>
本発明における第1温度測定領域Aは、加熱対象物2の温度を測定したいエリアとして指定される。上記加熱対象物2の表面状態は、既述したとおり、平滑であるエリアであることが好ましい。また、第1温度測定領域Aにおいて加熱対象物2の温度分布が大きいと、加熱源3との対応をとることが難しくなるため、第1温度測定領域A内での加熱対象物2の温度分布はできるだけ均一であることが好ましく、第1温度測定領域Aにおける加熱対象物2の温度斑は10℃以内であることが好ましい。加熱対象物全体として温度分布が存在する場合には、第1温度測定領域A内での温度が均一になるように範囲を絞ることもできる。
<第2温度測定領域(符号なし。)>
本発明における第2温度測定領域は、加熱対象物2及び加熱源3の温度を同時に測定したい画像中のエリアとして指定される。画像中の第2温度測定領域に加熱源3の一部または全部を映す際に、同第2温度測定領域に映る加熱源3の大きさと、第2温度測定領域との大きさの大小は問わない。映るとは、サーモグラフィー4にて加熱源3の温度の違いが確認できる程度の画像であればよい。
<対応加熱源領域B>
本発明における対応加熱源領域Bは、加熱源3の領域として指定される。指定される領域としては、上記設置したサーモグラフィー4の画像中の第2温度測定領域に映る領域となる。第1温度測定領域Aと加熱源3の大きさに応じて、対応加熱源領域Bとして加熱源3の全体または加熱源3の一部として指定される。
<第1輝度分布D1 、第2輝度分布D2
本発明における第1輝度分布D1 は、第1温度測定領域Aから放射される赤外線の放射輝度をサーモグラフィー4の解像度に応じて分布表示したものであり、第2輝度分布D2 は対応加熱源領域Bから放射される赤外線の放射輝度を分布表示したものである。多くのサーモグラフィー4では温度表示として輝度分布が取得される。この場合は、上記式(2)の温度に、得られた温度を挿入することにより赤外線放射エネルギーとして算出することができる。またサーモグラフィー4によっては、加熱対象物2の放射率、反射した先の代表温度、加熱対象物2までの距離、光学窓(赤外線透過窓)5の透過率、赤外線透過窓5の温度などを入力し、サーモグラフィー4に応じて設定された計算式により処理された温度が表示されることもある。この場合は、設定されている計算式により、サーモグラフィー4で得られた赤外線放射エネルギー値を逆算して使用する。
<光学窓>
本発明で使用される光学窓(赤外線透過窓)5は、サーモグラフィー4と第1温度測定領域Aまたは対応加熱源領域Bとの間に設置される物で、赤外線を透過する物質からなる。材質としては、例えばゲルマニウム、シリコン、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、カルコゲナイドなどを用いることができ、具体的にはチノー株式会社製のシリコン製カバーガラスユニット(型番:CPY−ZCWS)などを用いることができる。赤外線透過率が低いほど、第1温度測定領域Aから放射される赤外線の第1輝度分布D1 の強度が小さくなり、光学窓5からの赤外線放射に関する影響が大きくなるため、赤外線透過率の高い光学窓5を用いることが好ましい。光学窓5の表面を反射防止コーティング、ダイヤモンドライクカーボンコーティングなど各種コーティングをしていてもよい。また、光学窓5からの赤外線放射の影響を減らすため、光学窓5
はできるだけ低温であることが好ましく、加熱炉外から冷却風を当てるなど空冷するなどができる。
加熱炉1として密閉構造が不必要な場合や、加熱炉1内にサーモグラフィー4を入れる場合などは、光学窓5を使用せず測定してもよい。光学窓5を使用せずに、上述の式(1)または式(3)を用いる場合は、光学窓5の赤外線透過率として1を用いて算出する。
<加熱対象物の表面温度算出方法>
本発明における加熱対象物2の表面温度算出方法は、上記第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 とを用いて加熱対象物2の表面温度を算出する方法である。基本的な考え方としては、第1輝度分布D1 は加熱対象物2自体から放射される輝度と加熱対象物2にて反射される輝度が足し合わされた輝度であり、第2輝度分布D2 はこの加熱対象物2にて反射される輝度を表すものと考える。すなわち、第1輝度分布D1 から第2輝度分布D2 を差し引くことで、加熱対象物2自体から放射される輝度のみが求められる。温度測定領域Aと対応加熱源領域B、それぞれの面積は異なる場合が多く、面積が同じでもそれぞれの点での対応をとることは難しいため、第1輝度分布D1 、第2輝度分布D2 、それぞれの最高輝度、平均輝度、最低輝度、中間値輝度など代表輝度にて計算してもよい。本発明にあっては、加熱炉1内で最も温度の高くなる加熱源3を加熱対象物2にて反射させて対応をとる観点から、最高輝度をもって代表輝度とすることが好ましい。
加熱対象物2の表面温度を算出する際に、以下の式(1)及び式(2)を使用すると第1輝度分布D1 が含む反射による影響を第2輝度分布D2 によって差し引きされるため好ましい。
Figure 2014215084
Figure 2014215084
T1 :加熱対象物の表面温度 [K]
W(T1) :式(2) で計算される温度T1の加熱対象物の赤外線放射エネルギー [W/m2]
E1 :第1輝度分布D1 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
E2 :第2輝度分布D2 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
ε1 :加熱対象物の赤外線放射率 [-]
τ :光学窓の赤外線透過率 [-]
h :プランク定数(6.626 ×10-34 J ・ s)
c :光速(2.998 ×108 m/s )
k :ボルツマン定数(1.381 ×10-23 J/K )
λ :波長 [m]
λ1 :測定波長範囲下限 [m]
λ2 :測定波長範囲上限 [m]
1 、E2 はそれぞれ第1輝度分布D1 、第2輝度分布D2 の赤外線放射エネルギーであるが、前述のように、それぞれの輝度分布の代表輝度を用いてもよいし、対応する点ごとに計算をしてもよい。第1輝度分布D1 、第2輝度分布D2 が温度にて取得される場合には、式(2)の温度T1に取得された温度を挿入して赤外線放射エネルギーを算出することでE1 、E2 を求めることができる。
加熱対象物2の赤外線放射率については、加熱対象物2の材質や表面状態によって決まる固有の赤外線放射率を入れる必要がある。サーモグラフィー4と第1温度測定領域Aとの入射角度により赤外線放射率が変化することがあるため、測定する角度により予め赤外線放射率を測定することが好ましい。赤外線放射率の決定方法の一例としては、加熱対象物2の反射方向に放射率既知のできるだけ黒体に近い物質を置き、その温度を変化させたときの反射した赤外線放射エネルギーの変化で算出される。
光学窓5の赤外線透過率は、使用する光学窓の材質、厚みにより決定される固有の赤外線透過率を用いて算出する必要がある。光学窓5を使用せずに測定した場合には、光学窓5の赤外線透過率として1を入れることで、式(1)または式(3)が使用できる。
図1に示す実施形態では、式(1)の導出は第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 とで同じ光学窓5の赤外線透過率を利用することを前提としているため、図2に示すように、2つのサーモグラフィー4,4’にて第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 を別に測定する場合には、光学窓5,5’を使用しないか、または同質の光学窓5,5’を使用する必要がある。
式(1)によって加熱対象物の赤外線放射エネルギーW(T1) が算出され、その値から式(2)を用いることで加熱対象物の表面温度T1を算出する。式(2)は積分表記されるが、この計算には通常の計算ソフトを用いてもよいし、数値積分にて解く方法でもよい。波長については、サーモグラフィー4,4’ごとに測定波長が決められているため、その測定範囲の下限と上限をそれぞれλ1 、λ2 として使用する。
また、加熱対象物2の表面温度を算出する際に、光学窓5および/または5’の温度を取得することで、式(1)の代わりに以下式(3)を用いることで光学窓5および5’からの赤外線放射の影響も考慮でき加熱対象物2の表面温度を算出できるため、より好ましい。光学窓5,5’の温度を制御して一定にしている場合は、式(3)の光学窓の温度として一定の値を入れてもよいが、時間的に光学窓の温度が変化する場合は、図3に示すように光学窓5に熱電対6を設置しておき、その温度の時間変化を考慮することで、光学窓温度が変化する場合にも正確に温度測定をすることが可能である。式(3)の導出も第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 とで同じ光学窓の赤外線透過率を利用することを前提としているため、2つのサーモグラフィー4,4’にて第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 とを別に測定する場合には、同質の光学窓5,5’を使用し、同じ温度にしておく必要がある。
Figure 2014215084
T W :光学窓の温度[K]
W(T W ) :式(2) で計算される温度T W の窓の赤外線放射エネルギー[W/m2]
図1に示す加熱対象物の温度測定方法では、加熱対象物2を加熱炉1の下部、加熱源3を上部に配し、その中間高さの加熱炉外にサーモグラフィー4を設置しているが、その位置関係は特に制限されるものではない。下部に加熱源3を設置して上部の加熱対象物2を加熱してもよいし、両者が横並びの関係であってもよい。またサーモグラフィー4の設置位置についても、加熱源3から放射される赤外線を第1温度測定領域Aにて反射して、第1輝度分布D1 が取得でき、さらに対応加熱源領域2からの直接の第2輝度分布D2 が取得できれば、その位置は加熱炉内外に限定されず、光学窓5の有無も合わせて制限されるものではない。
図2は2台のサーモグラフィー4,4’を使用した、本発明による温度測定の一例を示す概略構成図となっている。加熱炉1、加熱対象物2、加熱源3、サーモグラフィー4,4’など基本的な設置方法は図1に示した第1実施形態と変わらない。ここでは、対応加熱源領域Bから直接放射される第2輝度分布D2 を別のサーモグラフィー4’で取得する点で図に示す第1実施形態と異なる。サーモグラフィー4’にて第2輝度分布D2 を取得する際に、光学窓5’は使用してもしなくてもよく、一方のサーモグラフィー4にて第1輝度分布D1 を取得する場合と条件が異なる場合は、それを考慮の上、第1温度測定領域Aにおける加熱対象物2の温度を算出すればよい。式(1)及び式(2)、または式(2)及び式(3)を用いて表面温度を算出する場合には、光学窓の有無、および光学窓の温度はサーモグラフィー4と4’において同一にしておけば、サーモグラフィーを1台の場合も2台の場合も算出することができる。
次に、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
加熱炉内にて加熱されるステンレス板の表面温度を本発明方法によって温度測定し、裏面に設置した熱電対から得られる温度と比較した。
本実施例1での加熱炉として、幅500mm、奥行き700mm、高さ500mmサイズのステンレス製加熱炉を使用し、幅方向を形成する壁の一方の側面に光学窓を設置した。光学窓は幅方向の中央位置、底面より240mmの高さ位置に光学窓の中心がくるように設置した。図3は本実施例配置を示した概略側面図で図の横方向が奥行き方向として示してあり、図4は概略上面図で、縦方向が奥行き方向、横方向が幅方向にて示した。加熱対象物として使用したステンレス板は、大きさ300×300mm、厚み1mmのものを使用し、加熱炉内にて面が水平方向、ステンレス板の上面が加熱炉底面より高さ100mmの高さ位置、サーモグラフィーにて測定する光学窓を設置した壁面より100mm位置に面の一辺がくるように設置した。
加熱源として熱風ノズルを用い、そこから噴き出す熱風によりステンレス板を加熱した。熱風ノズルとしては、図4に示すように、スリット形状のものを3本使用し、長さ500mm、スリット幅5mmで鉛直下向きのノズルを用い、ステンレス板上部200mm、スリットの長手方向を加熱炉の奥行き方向に設置し、光学窓を設置した壁面から60mm、真ん中のノズルはステンレス板の中心部の上部を通るように設置し、その左右に100mm間隔で設置した。熱風は図示していないダクトにより、加熱炉上部より供給され、上記熱風ノズルより噴き出されるようにした。
光学窓としては、チノー株式会社製のシリコン製カバーガラスユニット(型番:CPY−ZCWS)、サイズが直径85mm、厚み0.7mmのものを使用した。スプレーイングシステムズジャパン株式会社製WindJetノズル(型番AAB727−1/4−11)を、光学窓の中心から50mm上部、奥行き方向のサーモグラフィー側に10mm離した位置にノズル出口が幅方向に並ぶように配し、ノズルから15℃の冷却風を光学窓と30°の角度を形成する方向にあて、光学窓を20℃に冷却した。
ステンレス板の第1温度測定領域Aとして40×40mm角の領域とし、ステンレス板の上面、第1温度測定領域Aの中心が光学窓側の辺から60mm位置、幅方向の中心位置にくるようにした。
フリアーシステムズジャパン株式会社製のサーモグラフィー(型番:FLIR E60、装置の測定波長:7.5〜13μm)を使用し、設置位置は加熱炉の外、光学窓の中心とサーモグラフィーの測定部の中心が加熱源の下面から60mmの同じ高さ位置で、光学
窓から20mm離れた位置に測定部が位置するように設置した。さらに、第1温度測定領域Aがサーモグラフィー画像中の水平方向の中心に移るように水平方向角度を決め、3本あるうちの真ん中の熱風ノズルが第1温度測定領域A内にて反射して映っていることを確認し、その映っている熱風ノズルの領域を対応加熱源領域Bとし、対応加熱源領域Bと第1温度測定領域Aとの両方がサーモグラフィーの画像内に入るようにサーモグラフィーの高さ方向の角度を決定した。サーモグラフィーの内部設定として、画像内の第2温度測定領域と、同じく画像内の対応加熱源領域を、それぞれのサーモグラフィーでの測定エリアとして指定した。
本発明により得られる温度の正確性を検証するための方法として、熱電対を使用した。使用した熱電対は、株式会社岡崎製作所製の補償導線付シース熱電対(型式T35−200A2K9C01−20000EXD)、シース外径1mm、K熱電対クラス1 のものであり、熱電対の先端が第1温度測定領域Aの中心下面にくる位置にて固定した。
熱風ノズルからは150℃の熱風を噴き出し、25℃のステンレス板を加熱炉に入れて加熱し、ステンレス板に貼り付けた熱電対温度が60℃から約5℃変化するごとにサーモグラフィーの画像を得て、そこから得られる第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 を取得した。第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 における最高輝度を各データとして使用し、本発明の式(1)により温度を算出した。ここで用いた光学窓の赤外線透過率と、ステンレス板の赤外線放射率としては、以下記載の方法で算出した。また、サーモグラフィーの内部に入れる設定値としては、物体の放射率に0.23、反射温度としては熱風炉の設定温度の150℃、対象距離としては大気の影響を無視するため0m、外部IR窓温度としては20℃、外部IR窓透過率は0.83を入れて測定した。
光学窓の赤外線透過率としては、下記のように算出すると0.83であった。
<赤外線透過率決定方法>
300×300mmサイズの紙にタスコジャパン製の黒体スプレー(型番:THI−1B、カタログ放射率0.94)を噴きつけ、黒体面を形成した。25℃の室温雰囲気下にて、25℃にした上記黒体面をサーモグラフィーE60にて温度測定し、25℃を示すことを確認した。次に、測定中のサーモグラフィーと黒体面との間に、60℃に加熱したシリコン窓を挿入し、以下の式と式(2)により窓透過率を算出すると透過率は0.83であった。式(2)は、それぞれの温度の放射エネルギー算出に用いた。
τ= {W(T W )- E1 }/ {W(T W )- W(T1)}
T1 :測定物温度=25℃
W(T W ) :窓温度Tw=60℃の黒体放射エネルギー
E1 :窓温度Twの時にサーモグラフィーにて測定された放射エネルギー
また、ステンレス板の放射率としては、以下の方法にて0.23と算出した。
<赤外線放射率決定方法>
上記実施例と同じ加熱炉、同じ配置にしてステンレス板、サーモグラフィーを設置した。対応加熱源領域Bに、先の光学窓の赤外線透過率測定に使用した黒体面を貼り付け、光学窓は取り外した状態で、加熱炉内は室温の25℃一定にした。第1温度測定領域Aの裏面に熱電対を貼り付けたステンレス板を、あらかじめ加熱炉外で加熱しておき、加熱炉内に設置して熱電対温度が80℃になった時の第1温度測定領域Aからの第1輝度分布D1 を測定し、以下の式にてステンレス板の放射率を求めると0.23となった。
ε1={E1- W(T B ) }/ { W(T1) - W(TB ) }
T B :黒体の表面温度25℃
W(T B ) :黒体温度T B =25℃の黒体放射エネルギー
T1 :ステンレス板の表面温度80℃
W(T1) :ステンレス板T1=80℃の黒体放射エネルギー
E1 :第1輝度分布D1 の放射エネルギー
図5に熱風加熱炉にてステンレス板を昇温した場合の、横軸に熱電対にて測定した測定値を、縦軸に本実施例にて算出した温度を白抜き四角にてプロットした。図中の破線はy=xの直線で、プロットした点がこの破線に近いほど、熱電対温度と本発明にて求めた温度が近いことを示す。
本実施例にて測定された温度はいずれも、熱電対温度より高い温度として算出されたものの、放射率の低いステンレス板でも良好な測定結果が得られた。熱電対温度より高く温度が算出されたのは、光学窓から放射されるエネルギーの影響と考えられる。実際には窓から放射されるエネルギーを計算式では無視したものとなっているため、その分大きく温度が算出されたものと考える。光学窓からの放射エネルギー自体は大きくないため、その放射エネルギーを無視しても良好な結果が得られた。
また、本実施例での方法ではあらかじめ式(1)と(2)の計算式を計算ソフトに入れておけば、第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 は同時に得られるため、瞬時に温度が表示される結果となった。
(実施例2)
この実施例2では、第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 における最高輝度をデータとし、式(3)を用いて温度を算出した以外は実施例1と同様にして温度を算出した。式(3)の光学窓の温度としては20℃を入れて算出した。実施例1と同様にして得られた温度を、図5に黒丸としてプロットした。
式(3)は光学窓からの放射エネルギーの影響も考慮した式となっているため、先の実施例1と比較して、さらに熱電対と良好な一致関係が得られている。
(比較例1)
実施例1で得られた第1輝度分布D1 の最高輝度を、そのまま温度表示とした以外は同じ操作により温度を測定した。得られた結果を図5に黒色△にてプロットした。先に示したようにサーモグラフィーの内部に入れる設定値として、物体の放射率を0.23、反射温度として熱風炉の設定温度のである150℃、外部光学窓温度としては20℃、外部光学窓透過率は0.83としている。サーモグラフィーの内部演算式より、以下の式により温度を算出している。
Figure 2014215084
T2 :反射温度150℃
W(T2) :反射温度150℃により式(2) にて計算される反射物の赤外線放射エネル
ギー [W/m2]
これにより、加熱対象物の放射率、光学窓透過率、光学窓温度には実施例1、2で使用したものと同じ値を用いて計算しているが、反射する温度として150℃で一定値を用いているため、熱電対の測定結果とは大きくずれる結果となった。これは熱風ノズル自体が黒体ではないため、熱風ノズルが実際に150℃であったとしても、そこから放射される赤外線のエネルギーは150℃の黒体が放射するエネルギーと同等ではない、そのため、このずれにより測定結果にずれを生じさせたものと考えられる。
以上、本発明の方法によれば、ステンレス板のような放射率の低い物質を、加熱源が近くに存在する状況で測定する場合においても、サーモグラフィーの設置方法と得られた輝
度の処理方法により正確な温度が短時間で測定できる。
本発明は以上のように、加熱炉内に加熱源を有する状況下においても、多大で複雑な設備を用いずに、その加熱源の影響を除去することができ、加熱対象物の正確な温度を短時間に求めることができるため、金属金型を利用した樹脂の熱重合・成形や、金属の溶融加工などへの多様な利用が考えられる。
1 :加熱炉
2 :加熱対象物
3 :加熱源
4、4’:サーモグラフィー
5、5’:光学窓
6 :熱電対
A :第1温度測定領域
B :対応加熱源領域
1 :第1輝度分布
2 :第2輝度分布

Claims (9)

  1. 加熱炉内の、加熱源によって加熱される加熱対象物の表面温度をサーモグラフィーを用いて測定する方法であって、
    加熱対象物の温度測定領域を第1温度測定領域Aとし、同第1温度測定領域Aを加熱する加熱源の一部または全部の加熱領域を対応加熱源領域Bとして、前記第1温度測定領域Aと前記対応加熱源領域Bとがサーモグラフィーの画像中に映るようにサーモグラフィーを設置し、
    サーモグラフィーにより得られる、第1温度測定領域Aの反射赤外線の第1輝度分布D1 と対応加熱源領域Bから直接照射される赤外線の第2輝度分布D2 とを用いて、加熱対象物の表面温度Tを求める、
    加熱対象物の温度測定方法。
  2. 第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 とを単一のサーモグラフィーで測定する請求項1記載の加熱対象物の温度測定方法。
  3. 第2輝度分布D2 と、第1輝度分布D1 とを異なるサーモグラフィーで測定する、請求項1に記載の加熱対象物の温度測定方法。
  4. 第1輝度分布D1 の最高輝度および第2輝度分布D2 の最高輝度を用いて加熱対象物の表面温度Tを求める、請求項1〜3のいずれかに記載の加熱対象物の温度測定方法。
  5. サーモグラフィーを加熱炉外に設置し、光学窓を通して第1輝度分布D1 と第2輝度分布D2 とを得る、請求項1〜4のいずれかに記載の加熱対象物の温度測定方法。
  6. 下記式(1)及び式(2)を用いて加熱対象物の表面温度Tを算出する、請求項1〜5のいずれかに記載の加熱対象物の温度測定方法。
    Figure 2014215084
    Figure 2014215084
    T1 :加熱対象物の表面温度 [K]
    W(T1):式(2) で計算される温度T1の加熱対象物の赤外線放射エネルギー [W/m2]
    E1 :第1輝度分布D1 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
    E2 :第2輝度分布D2 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
    ε1 :加熱対象物の赤外線放射率 [-]
    τ :光学窓の赤外線透過率 [-]
    h :プランク定数(6.626 ×10-34 J ・ s)
    c :光速(2.998 ×108 m/s )
    k :ボルツマン定数(1.381 ×10-23 J/K )
    λ :波長 [m]
    λ1 :測定波長範囲下限 [m]
    λ2 :測定波長範囲上限 [m]
  7. 下記式(2)及び式(3)を用いて加熱対象物の表面温度を算出する請求項1〜5のい
    ずれかに記載の加熱対象物の温度測定方法。
    Figure 2014215084
    Figure 2014215084
    T1 :加熱対象物の表面温度 [K]
    W(T1):式(2) で計算される温度T1の加熱対象物の赤外線放射エネルギー [W/m2]
    h :プランク定数(6.626 ×10-34 J ・s )
    c :光速(2.998 ×108 m/s )
    k :ボルツマン定数(1.381 ×10-23 J/K )
    λ :波長 [m]
    λ1 :測定波長範囲下限 [m]
    λ2 :測定波長範囲上限 [m]
    E1 :第1輝度分布D1 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
    E2 :第2輝度分布D2 の赤外線放射エネルギー [W/m2]
    ε1 :加熱対象物の赤外線放射率 [-]
    τ :光学窓の赤外線透過率 [-]
    T W :光学窓の温度[K]
    W(T W ):式(2) で、光学窓温度を T Wにすることで計算される光学窓の赤外線放射エ
    ネルギー[W/m2]
  8. 加熱源が熱風ノズルである請求項1〜7のいずれかに記載の加熱対象物の温度測定方法。
  9. 第1温度測定領域Aにおける加熱対象物の温度斑が10℃以内である請求項1〜8のいずれかに記載の加熱対象物の温度測定方法。
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