JP2014206525A - 鋼板の耐食性評価方法、耐食性元素の選定方法およびそれを用いた耐食性鋼板 - Google Patents

鋼板の耐食性評価方法、耐食性元素の選定方法およびそれを用いた耐食性鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、電解質溶液浸漬環境での鋼板の耐食性の評価を短期間で簡易に行うことが可能な鋼板の耐食性評価方法、耐食性元素の選定方法およびそれを用いた耐食性鋼板を提供する。【解決手段】鋼板およびα-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHのいずれか一種以上からなる鉄さびを、電解質溶液もしくは電解質溶液を模擬した溶液に浸漬する。次いで、前記鉄さびの還元の程度から前記鋼板の耐食性を評価する。【選択図】なし

Description

本発明は鋼板の耐食性評価方法、耐食性元素の選定方法およびそれを用いた耐食性鋼板に関するものである。特に、合金元素を添加した鋼板の耐食性評価方法、耐食性元素の選定方法およびそれを用いた耐食性鋼板に関するものである。
鋼板はその使用において種々の環境にさらされるため、その環境での耐食性は、鋼板にとって重要な性能の一つである。近年は、海水中に浸漬したり、排水と接触する環境など、電解質溶液に浸漬もしくは電解質溶液に接触して使用される環境(以下、電解質溶液浸漬環境と称す)での鋼板の使用も増えてきており、そのような環境でより耐食性に優れた鋼板の開発が望まれている。
耐食性に優れた鋼板かどうかは、一般的に実際の環境である屋外での暴露試験によって評価される。しかし、屋外での暴露試験は、数年単位の長時間を必要とするため、材料評価の効率が著しく悪い。さらに、鋼板の開発においては、複数の鋼板の環境に対する耐食性を調べ、その結果に基づき鋼板の順位付けを行う必要がある。
上記を受けて、耐食性の評価を短時間で行うこと、さらには複数の鋼板の環境に対する耐食性の順位付けを短期間で行うことが、開発の方向性決定や組成成分の詳細設計において非常に重要な技術となっている。
これまでに数多くの腐食促進試験方法が開発されてきた。例えば、JIS規格で規定されているJIS G 0573 ヒューイ試験では48hrで、JIS G0575 ストラウス試験では16hrで腐食試験が行われる。しかしながら、これらの試験は、二相系ステンレスのみに有効で有り、ごく限られた鋼板にしか適用できない。
特許文献1の屋内使用鋼板の耐食性評価では、56日間の試験が行われている。特許文献2の鋼板の大気腐食環境促進腐食試験では12週間の試験が行われている。特許文献3の高湿潤環境における鋼板の腐食促進試験では2016時間の試験が行われている。しかし、耐食性の評価を短時間で行うまでには至らず、鋼板の耐食性評価は時間を要するものであった。
さらに、今後、新たな分野の耐食材料の開発が行われる際にも、このような長期間腐食試験を複数の材料(鋼板)で行わなければならない可能性がある。
一方、各環境に応じた耐食性材料として、Cu、Ni、Cr、Pなどの合金成分を添加・増量して耐食性を高めた鋼板が開発されている。このように、耐食性向上には、合金元素を鋼板に添加することが有効であることが知られており、鋼板の耐食性は鋼板中の合金成分によって決まる。しかしながら、耐食性向上に効果のある元素は、腐食環境により大きく異なる。そのため、合金元素の添加の有無により耐食性を評価する際には、添加元素の異なるより多くの鋼板で腐食試験を行う必要がある。
以上のように、鋼板の耐食性を評価するにあたっては、時間を要し、試験水準も数多いため、膨大な労力が必要となる。
特開2005-241400号公報 特開2010-122085号公報 特開2010-139450号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、本発明は、電解質溶液浸漬環境での鋼板の耐食性の評価を短期間で簡易に行うことが可能な鋼板の耐食性評価方法、耐食性元素の選定方法およびそれを用いた耐食性鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を行った結果、以下の知見を得た。
鋼板が電解質溶液に浸漬された環境ではカソード反応が腐食の律速過程であり、カソード反応が起こることにより鋼板中の鉄が酸化され腐食が進行していく。カソード反応としては、(1)O2+2H2O+4e-→4OH-で表される酸素の還元反応と、(2)Fe2++ 8FeOOH + 2e- → 3Fe3O4+ 4H2Oで表される3価の鉄さびの2価-3価の鉄さびへの還元反応がある。
(1)においては、腐食量は拡散層厚さ、酸素拡散定数および酸素濃度を変数にもつ酸素の拡散電流密度iLO2で決まる。しかし、検討したところ、腐食の初期段階に鋼板表面に錆層が一旦形成された場合、酸素の鋼板表面への拡散がかなり阻害され酸素の要因が小さくなっていくため、むしろ、(2)のカソード反応が実際の腐食速度に大きく関与していることがわかった。すなわち、電解質溶液に曝されると時間の経過と共に、鉄さびが形成しさび層が鋼板表面を覆っていくが、鉄さびには2価の鉄さび、3価の鉄さび、2価-3価混合の鉄さびが存在しており、この3価の鉄さびの2価-3価の鉄さびへの還元反応( Fe2++ 8FeOOH + 2e- → 3Fe3O4 + 4H2O)が鋼板中の鉄を酸化して腐食が進行していくと考えた。
従来は、鋼板側が腐食によってどの程度減量したかを測定し鋼板の耐食性を評価する方法が中心であった。しかし、本発明者らは、鉄さびの還元反応の観点から検討を重ねた結果、鉄さびがどの程度還元されているかを測定することにより、鋼板の耐食性を評価できることを見出した。
また、耐食性評価対象である鋼板を、板形状でもしくは粉末形状で、鋼板を使用する環境の電解質溶液もしくはその電解質溶液を模擬した溶液中で人工的なさびと共存させ、一定時間後に、人工的なさびの組成を同定し、どの程度還元されているかを評価することで、鋼板の酸化されにくさ、すなわち、耐食性を評価できることを見出した。そして、以上の知見により、本発明を完成するに至った。
本発明は上記知見に基づくものであり、特徴は以下の通りである。
[1]電解質溶液に浸漬もしくは電解質溶液に接触する環境で使用される鋼板の耐食性評価方法であり、前記鋼板と、α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHのいずれか一種以上からなる鉄さびを混合し、次いで、前記鋼板および前記鉄さびを、前記電解質溶液もしくは前記電解質溶液を模擬した溶液に浸漬し、次いで、前記鉄さびの還元の程度から前記鋼板の耐食性を評価することを特徴とする鋼板の耐食性評価方法。
[2]前記鋼板を粉末にし、次いで、前記粉末と、α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHのいずれか一種以上からなる鉄さびを混合することを特徴とする前記[1]に記載の鋼板の耐食性評価方法。
[3]Fe3O4の量変化から前記鋼板の耐食性を評価することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の鋼板の耐食性評価方法。
[4]前記鋼板には、Cu、Ni、Cr、P、Mo、W、Sn、Sb、Nb、Co、Ti、REMのいずれか一種以上からなる元素が添加されることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の鋼板の耐食性評価方法。
[5]前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の耐食性評価方法により得られる結果をもとに、Cu、Ni、Cr、P、Mo、W、Sn、Sb、Nb、Co、Ti、REMからなる元素の中から鋼板に添加される一種以上の耐食性元素を決定することを特徴とする耐食性元素の選定方法。
[6]前記[5]に記載の耐食性元素の選定方法により決定される耐食性元素が添加されていることを特徴とする耐食性鋼板。
本発明によれば、鋼板の耐食性の評価を短期間で精度良く行うことができる。短期間で評価できるため、実構造物への適用が早期に判断できるという経済上の効果がある。
電解質溶液浸漬環境で使用される合金元素を添加した鋼板の耐食性に関し、複数の鋼板の耐食性の相対比較を短期間で行うことができる。これにより、従来、耐食性の比較をするために行っていた長期間の試験が必要な暴露試験、腐食促進試験もしくは腐食再現試験を省くことができる。
実際の腐食環境での実暴露試験を行う前に、添加する耐食性元素を簡易に選定することができるため、実暴露試験を簡素化、簡便化することができる。また、耐食性鋼板の開発のスピードアップに繋がる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明において、耐食性評価対象となる鋼板は、海水中や、排水と接触する環境など電解質溶液浸漬環境で使用される鋼板である。
鋼板の耐食性を評価するにあたっては、鋼板の表面状態はスケールなどがないこと、目視でさびが発生していないことが好ましく、表面研磨・研削や、エタノールやアセトンなどによる溶剤脱脂により汚れや油脂をとることが好ましい。
また、評価する際に、鋼板を粉末の形態にして用いることができる。粉末の方が板形状より表面積が大きいため、粉末の状態で評価試験を行うことでより正確な評価を行うことができる。さらに、粉末で評価する場合、より正確な評価を行う点から粉末は平均粒径100μm以下が好ましい。平均粒径の下限は電解質溶液もしくは電解質溶液を模擬した溶液に浸漬する前に空気中で酸化してしまうのを防ぐため、10μmが好ましい。なお、平均粒径
は、走査電子顕微鏡もしくは光学顕微鏡を用いて粉末を観察し、任意に100個の粉末(粒子)を選び、その直径を求め、それらを算術平均したものである。なお粉末(粒子)は球形でないため、その最も長い径をその粉末(粒子)の直径とした。
以上からなる鋼板に対して、本発明では、まず、α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHのいずれか一種以上からなる鉄さびを混合し、次いで、鉄さびを混合した鋼板を、実際の環境で鋼板が浸漬もしくは接触する電解質溶液もしくはその電解質溶液を模擬した溶液に浸漬し、次いで、鉄さびの還元の程度から鋼板の耐食性を評価する。
鋼板と鉄さびとの混合方法について説明する。例えば、耐食性の評価に使用する容器の底に鋼板を設置した後、鉄さびを入れる。鉄さびは、α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHのいずれか一種以上からなる。鉄さびとしては、α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHもしくはそれらを含んだ非晶質さびを用いることができる。鋼板と鉄さびが混合されていれば、その混合比に依らず、鉄さびの還元反応の程度を評価可能だが、試験後の鉄さびの分析のために、鉄さびを0.3g以上採取できる量とすることが好ましい。また、発明者らが検討を重ねた結果、板形状で鋼板の耐食性を評価する場合は、鋼板の表面積1cm2あたり、鉄さびを0.05〜0.5g混合することが好ましいことがわかった。また、粉末で鋼板の耐食性を評価する場合は、重量比で鋼板粉末:鉄さび=1:1〜1:5で混合することが好ましい。
鉄さびを混合した鋼板を、実際の環境で鋼板が浸漬もしくは接触する電解質溶液もしくはその電解質溶液を模擬した溶液に浸漬する。例えば、電解質溶液もしくはその電解質溶液を模擬した溶液を、鋼板と鉄さびが入っている容器に注ぎ、攪拌した後、静置する。この時、鋼板と鉄さびを混合した後に電解質溶液もしくはその電解質溶液を模擬した溶液を直ちに注ぐことが好ましい。直ちに溶液を注ぐことで、鋼板と鉄さびの大気中での反応をなるべく起こさせないようにする。攪拌は必須ではないが、攪拌することにより鋼板と鉄さびの反応が速やかに進み、より正確に耐食性を評価することができる。
また、実際の環境で鋼板が浸漬もしくは接触する電解質溶液とは、鋼板を使用する環境の電解質溶液を実際に汲み取った溶液のことである。電解質溶液を模擬した溶液とは実際の使用環境の電解質溶液とイオン種およびイオン濃度が同様になるように実験室的に調整した溶液のことである。
温度は使用時に想定される環境の温度を模擬すればよく、代表的な温度例えば平均温度を用いて恒温で試験を行ってもよく、また、実環境の温度が著しく変化する場合は、当然、温度サイクルを恒温槽や恒温水槽を用いて、実験室的に模擬した試験を行ってもよい。
鋼板と鉄さびを溶液に浸漬する期間について説明する。用いる溶液の腐食性により鉄さびの還元反応の速度は異なるので、まずは1日間程度とし、耐食性の傾向をより詳しく明確に評価しようとする場合は、例えば1日間を単位として、延長していくことができる。
浸漬後、鉄さびの還元の程度から鋼板の耐食性を評価する。上記したように本発明は 鉄さびの還元反応(Fe2+ + 8FeOOH + 2e- → 3Fe3O4 + 4H2O)によって生成するFe3O4の量の比較によって鋼板の耐食性を評価するものである。例えば、浸漬後の溶液に対して減圧ろ過を行い、純水で洗った後、鉄さびを回収する。鋼板を粉末として用いた場合には鋼板粉末および鉄さびを回収する。次いで、真空デシケーターで3日間乾燥させ、乾燥後、鉄さびもしくは鋼板粉末および鉄さびを乳鉢で粉砕、均一に混合し、Fe3O4の量を分析する。
ここで、溶液から回収された後の乾燥過程において、3Fe3O4+3/4O2+9/2H2O→9FeOOHからなる反応を起こし、FeOOHに再酸化してしまう場合がある。そのため、溶液から回収された後の鉄さびもしくは鋼板粉末および鉄さびは、Fe3O4の再酸化を防ぐため、すばやく真空デシケーターなどの脱気環境で乾燥を行うことが好ましい。
Fe3O4の量の分析方法は特に限定しないが、粉末X線回折、蛍光X線分析、ラマン分光法、赤外分光法などFe3O4の量の相対比較が可能な分析手法を好適に用いることができる。相対比較方法としてはFe3O4以外のものに対するFe3O4の割合で比較する、もしくは、分析に用いる試料量、分析条件などを一定にした条件で得られるピーク面積で比較するなどがあげられる。そして、Fe3O4の量変化から前記鋼板もしくは粉末の耐食性を評価する。Fe3O4の生成量が少ないほど、耐食性に優れていることになる。
上述したように、各環境に応じた耐食性材料として、Cu、Ni、Cr、Pなどの合金成分を添加・増量して耐食性を高めた鋼板が開発されている。しかしながら、耐食性向上に効果のある元素は、腐食環境により大きく異なる。そのため、合金元素の添加の有無により耐食性を評価する際には、添加元素の異なる多くの鋼板で腐食試験を行う必要がある。これに対して、本発明では、添加元素の異なる多くの鋼板に対して、上記の耐食性評価方法を適用することで、短時間で正確に評価でき、かつ、得られる結果をもとに、鋼板に添加される耐食性元素を決定することができる。
また、上記により決定される合金元素が添加されている鋼板は耐食性が優れることになる。
なお、本発明の鋼板の耐食性評価方法は、鋼管、条鋼等にも適用できる。例えば、パイプの耐食性を評価する場合は、パイプからサンプルとして板形状に切り出し、これを鋼板として、もしくはさらにそれを粉末化して、本発明の耐食性評価方法にて評価する。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
(耐食性評価鋼板の準備)
耐食性を評価する鋼種として、表1に示す3種類を準備した。そして、鋼板(板形状)と鋼板粉末(鉄粉)の2つの形態で試験を行った。
鋼板粉末(鉄粉)は、市販の粒径45μm未満の平均粒径がほぼ等しい純鉄と表1に示す化学組成のプレアロイ鋼板粉末を用いた。目視で表面にさびは認められなかったため、そのまま試験に用いた。
鋼板(板形状)は、真空溶解炉で表1に示す組成(残部はFe及び不可避的不純物)になるように鋼板を溶製後、1200℃に加熱し、仕上圧延終了温度800℃で6mm厚に熱間圧延しスケールを除くためにスケール厚分(約1mm)表面を研削した後、10 mmL×10 mmW×1 mmtのサイズに切り出した。切り出した鋼板をエタノール中に浸漬し超音波照射して、鋼板表面の汚れなどを除去し清浄化した。
(鉄さび(α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOH)の準備)
α-FeOOH、γ-FeOOH、は市販の試薬を用いた。β-FeOOHは、塩化第二鉄・六水和物を1Lの蒸留水に30g溶解させた後、尿素を10g溶解させて、5hゆっくり加熱し、90℃で保持し、次いで、沈殿物を吸引ろ過後、蒸留水で洗浄し、真空乾燥して作成した。
(耐食性評価試験)
上記寸法の各鋼板1枚と各鉄さび(α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOH)0.5g、各鋼板粉末0.3gと各鉄さび(α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOH)1.0gの各々を、40Φ×100 mmのガラス容器に入れ、直ちに、試験環境として設定した(1)5mass%NaCl、もしくは(2)5mass%NaClを塩酸でpH3に調整した溶液100mlを注いだ。また、各鋼板粉末0.3gと各鉄さび(α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOH)1.0gを各々40Φ×100 mmのガラス容器に入れ、直ちに、試験環境として設定した(3)1.5mass%Na2SO4100ml、(4)5mass%MgCl2100ml、(5)市販の人工海水キット(八洲薬品(株)製 アクアマリン、成分は、塩化マグネシウム(6水塩)222.23g、塩化カルシウム(2水塩)30.70g、塩化ストロンチウム(6水塩)0.85g、塩化カリウム13.89g、炭酸水素ナトリウム4.02g、臭化カリウム2.01g、ホウ酸0.54g、フッ化ナトリウム0.06g、塩化ナトリウム490.68g、硫酸ナトリウム(無水)81.88gを20Lの純水に溶解したものである。)を用い人工海水を作成後、NaOHでpH8に調整した人工海水100mlを注いだ。
各々攪拌後、これらのガラス容器を25℃に管理した恒温水槽に静置した。溶液(1)に関しては1分間、1日間、3日間浸漬試験を行い、溶液(2)(3)(4)(5)に関しては1分間、3日間浸漬試験を行った。浸漬後、アスピレーターを用い、溶液の減圧ろ過を行い、純水で洗った後、鉄さび、もしくは、鋼板粉末および鉄さびを回収した。次いで、回収した鉄さび、もしくは、鋼板粉末および鉄さびを真空デシケーターで3日間乾燥させた。乾燥後、鉄さび、もしくは、鋼板粉末および鉄さびを乳鉢で粉砕、均一に混合し、X線回折(XRD)に供した。
XRDにおいて、2θ=30°のFe3O4のピーク面積の大きさを測定した。ピーク面積はCounts/s×dθの積分値として計算した。1日間および3日間浸漬試験を行ったもののピーク面積と1分間浸漬試験を行ったもののピーク面積を比較して、増分を試験によるFe3O4生成量(増加量)として、表2に記載した。また、各条件において、鉄さび(α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOH)ごとに、Fe3O4の生成量が少ない順に鋼種に順位付けを行った。そして、同一の条件において、鋼種の順位付けが鉄さびの種類によらず全てにおいて一致した場合に、その順位付けを「耐食性ト−タル評価」とした。得られた結果を表2に示す。なお、XRD の際のFe3O4の標準物質としては市販の試薬を用いた。
(従来法による耐食性評価試験)
比較として従来法である、環境にさらしたときの鋼板の腐食重量の測定による評価を行った。評価鋼板として、上記寸法の各鋼板につき、初期重量を測定した後、上記溶液(1)(2)(3)(4)(5)の溶液に、各条件3枚ずつ、それぞれ、3日間、14日間、28日間25℃で浸漬した。サンプルは溶液との接触面積が1cm2の面積となるように、シールを施して浸漬した。その後、鋼板を溶液より取り出し、表面の浮いたさびを刷毛で落とし、回収後、固着したさびをスクレーパで削り落とし回収した。次いで、さびを除去した後の鋼板の重量測定を行った。得られた重量と初期重量との差より腐食量を求め、各3枚の平均値を求め平均腐食量とした。重量法の重量測定の際には、0.1mgまで測定可能な電子天秤を用いた。平均腐食量が少ないものほど耐食性が優れるとして、鋼種に順位付けを行った。得られた結果を表3に示す。
また、実際の「耐食性評価」として、25℃で本発明例(従来法)と同様の溶液からなる電解質溶液浸漬環境に、本発明例(従来法)と同様の鋼板を各々3枚ずつ1年間浸漬し、実暴露試験を行った。1年間暴露後、鋼板を回収し上記と同様の方法にて鋼板の平均腐食量を求め、実際の長期耐食性の順位を求めた。腐食減量から求めた実際の長期耐食性の順位を表4に示す。
Figure 2014206525
Figure 2014206525
Figure 2014206525
Figure 2014206525
(結果)
従来の方法では、28日間の浸漬後の鋼種の耐食性順位の結果は、溶液(1)(2)(3)(4)(5)のいずれの場合も実際の長期耐食性の順位と同じであった。溶液(1)(2)においては、14日間の浸漬後の鋼種の耐食性順位が実際の長期耐食性の順位と一致し正しく評価できていた。溶液(3)(4)(5)においては28日間の浸漬後に初めて実際の長期耐食性の順位と合致する結果が得られた。すなわち、従来の方法では、耐食性を評価するのに14日間〜28日間かかることがわかる。
本発明例では、どの環境においても、3日間浸漬後の鋼種の順位付けが鉄さび3種類で一致しており、実際の長期耐食性の順位と一致する結果が得られていることが分かる。とくに、鋼板粉末を用いた試験においては、1日間浸漬後の鋼種の順位付けが実際の長期耐食性の順位と一致し良好な結果が得られる。さらに、鋼板の形状、鉄さび種によらず、同種の溶液に対して鋼種の順位付けが全て一致している。以上より、本発明では、短期間にかつ正確に鋼板の耐食性を評価できることがわかる。
なお、本実施例では、鋼板もしくは鋼板粉末を用いて鉄さびの還元の程度を評価した。XRDのピークの大きさから、鋼板と鉄さびの反応によるFe3O4の生成は鋼板粉末と鉄さびの反応によるFe3O4の生成より少なかった。これは、鋼板の表面積が鋼板粉末の表面積よりも小さいためと考えられる。この結果から、より一層正確な評価を行う場合には、鋼板粉末が好ましいことがわかる。
また、上記結果より、溶液(1)(4)、(5)に浸漬もしくは接触する環境で鋼板を使用する場合には、耐食性元素としてCr-Moを選定すればよく、Cr-Moを添加した鋼板は耐食性に優れることになる。溶液(2)(3)に浸漬もしくは接触する環境で鋼板を使用する場合には、耐食性元素としてCu-Moを選定すればよく、Cu-Moを添加した鋼板は耐食性に優れることになる。溶液(5)は人工海水のため、海水に浸漬もしくは接触する環境で鋼板を使用する場合にも、耐食性元素としてCr-Moを選定すればよく、Cr-Moを添加した鋼板は耐食性に優れることになる。
海上橋梁の橋脚、その他の港湾構造物、船舶の内外構造部材や海水タンクなど、海水に直接さらされる部分、さらには、化学プラントなど工場施設の電解質溶液に直接さらされる部分に使用する鋼板およびその鋼板の設計・開発に対して好適である。

Claims (6)

  1. 電解質溶液に浸漬もしくは電解質溶液に接触する環境で使用される鋼板の耐食性評価方法であり、
    前記鋼板と、α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHのいずれか一種以上からなる鉄さびを混合し、
    次いで、前記鋼板および前記鉄さびを、前記電解質溶液もしくは前記電解質溶液を模擬した溶液に浸漬し、
    次いで、前記鉄さびの還元の程度から前記鋼板の耐食性を評価することを特徴とする鋼板の耐食性評価方法。
  2. 前記鋼板を粉末にし、次いで、前記粉末と、α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHのいずれか一種以上からなる鉄さびを混合することを特徴とする請求項1に記載の鋼板の耐食性評価方法。
  3. Fe3O4の量変化から前記鋼板の耐食性を評価することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板の耐食性評価方法。
  4. 前記鋼板には、Cu、Ni、Cr、P、Mo、W、Sn、Sb、Nb、Co、Ti、REMのいずれか一種以上からなる元素が添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼板の耐食性評価方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐食性評価方法により得られる結果をもとに、Cu、Ni、Cr、P、Mo、W、Sn、Sb、Nb、Co、Ti、REMからなる元素の中から鋼板に添加される一種以上の耐食性元素を決定することを特徴とする耐食性元素の選定方法。
  6. 請求項5に記載の耐食性元素の選定方法により決定される耐食性元素が添加されていることを特徴とする耐食性鋼板。
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