JP2014203927A - 電気二重層キャパシタ(capacitor)、及び多孔質電極 - Google Patents

電気二重層キャパシタ(capacitor)、及び多孔質電極 Download PDF

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Abstract

【課題】電気二重層キャパシタの長所を維持しつつ、エネルギ密度を従来よりも向上させることが可能な、新規かつ改良された電気二重層キャパシタ等を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、メソポーラスカーボン(mesoporous carbon)と、メソポーラスカーボンのメソ(meso)細孔の表面を覆い、かつメソポーラスカーボンよりも導電性が高い導体とを含む多孔質電極と、多孔質電極に吸脱着可能な電解質イオンを含む電解質層と、を備えることを特徴とする、電気二重層キャパシタが提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ、及び多孔質電極に関する。
電気エネルギを貯蔵する技術として、特許文献1に記載の電気二重層キャパシタや二次電池が知られている。電気二重層キャパシタは、寿命、安全性、出力密度が二次電池よりも格段に優れている。しかし、電気二重層キャパシタは、二次電池に比べてエネルギ(energy)密度(体積エネルギ密度)が低いという問題がある。ところで、電気二重層キャパシタのエネルギ密度は、以下の式(1)で示される。
Figure 2014203927
ここで、Cは静電容量であり、Vは電気二重層キャパシタの印加電圧である。
そこで、電気二重層キャパシタのエネルギ密度を改善するために、電気二重層キャパシタの静電容量や印加電圧を向上させる技術が提案されている。
電気二重層キャパシタの静電容量を向上させる技術としては、電気二重層キャパシタの電極を構成する活性炭の比表面積を増大させる技術が知られている。現在知られている活性炭は、比表面積が1000〜2000m/gとなっている。
一方、電気二重層キャパシタの印加電圧を向上させる技術としては、電気二重層キャパシタの原理を利用したリチウムイオンキャパシタ(Lithium ion capacitor)が知られている。リチウムイオンキャパシタは、ハイブリッドキャパシタ(hybrid capacitor)とも称される。リチウムイオンキャパシタは、電気二重層キャパシタを構成する電極のうち、一方の電極がリチウムイオン電池の負極材料である黒鉛で構成され、黒鉛内にリチウムイオンが挿入されたものである。リチウムイオンキャパシタは、一般的な電気二重層キャパシタ、即ち両極が活性炭で構成されるものよりも印加電圧が大きくなる。
特開2011−046584号公報 特開2009−158532号公報 特開2004−221523号公報 特開平7−320884号公報 特開2009−153454号公報 特開2009−13292号公報
しかし、活性炭の比表面積を向上させる技術では、活性炭の比表面積が増大するに従って、活性炭のかさ密度が小さくなるという問題があった。活性炭の比重は2程度と小さいので、かさ密度の低下が顕著であった。このため、この技術では、活性炭の比表面積を大きくしても、単位体積あたりの表面積、即ち単位体積あたりの静電容量が満足な値にならないという問題があった。一方、リチウムイオンキャパシタには、エネルギ密度がなお満足できる値にならず、電気二重層キャパシタの長所である寿命や出力密度が犠牲になるという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電気二重層キャパシタの長所を維持しつつ、単位体積あたりの静電容量、即ちエネルギ密度を従来よりも向上させることが可能な、新規かつ改良された電気二重層キャパシタ等を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、メソポーラスカーボン(mesoporous carbon)と、メソポーラスカーボンのメソ(meso)細孔の表面を覆い、かつメソポーラスカーボンよりも導電性が高い導体とを含む多孔質電極と、多孔質電極のメソ細孔の表面に吸脱着可能な電解質イオンを含む電解質層と、を備えることを特徴とする、電気二重層キャパシタが提供される。
この観点による電気二重層キャパシタによれば、多孔質電極は、メソポーラスカーボンと、メソポーラスカーボンのメソ細孔の表面を覆う導体とを有する。メソポーラスカーボンは多数のメソ細孔を有し、比表面積も大きい。したがって、メソ細孔の単位体積当りの比表面積が大きいが、導電性が低い。一方、導体の導電性はメソポーラスカーボンの導電性よりも大きい。すなわち、導体は、メソポーラスカーボンの低い導電性をカバーする。したがって、多孔質電極は、メソ細孔単位体積当りの比表面積を増大させることができ、かつ、メソポーラスカーボンが有する多数のメソ細孔を効果的に使用することができる。したがって、この観点による電気二重層キャパシタは、電気二重層キャパシタの長所を維持しつつ、電気二重層キャパシタの単位体積あたりの静電容量、即ちエネルギ密度を従来よりも向上させることができる。
ここで、導体は金属単体を含んでいてもよい。
この観点によれば、多孔質電極の導電性がさらに向上し、ひいては電気二重層キャパシタのエネルギ密度が向上する。
また、金属単体は、ニッケル(nickel)、チタン(titanium)、銅、鉄、及びコバルト(cobalt)からなる群から選択される少なくとも1種類の金属の単体であってもよい。
この観点によれば、多孔質電極の導電性がさらに向上し、ひいては電気二重層キャパシタのエネルギ密度が向上する。
また、多孔質電極のメソ細孔の直径は2nm以上30nm以下であってもよい。
この観点によれば、電解質イオンはメソ細孔表面に効果的に吸脱着する。したがって、電気二重層キャパシタのエネルギ密度が従来よりも向上する。
また、電解質層は、直径が2nm以下の電解質イオンを含んでいてもよい。
この観点によれば、電解質イオンはメソ細孔22表面に効果的に吸脱着する。したがって、電気二重層キャパシタのエネルギ密度が従来よりも向上する。
本発明の他の観点によれば、メソポーラスカーボンと、メソポーラスカーボンのメソ細孔の表面を覆い、かつメソポーラスカーボンよりも導電性が高い導体と、を含むことを特徴とする、電気二重層キャパシタ用の多孔質電極が提供される。
この観点による多孔質電極を用いて電気二重層キャパシタを作製することで、電気二重層キャパシタの長所を維持しつつ、電気二重層キャパシタのエネルギ密度を従来よりも向上させることができる。
以上説明したように本発明に係る電気二重層キャパシタは、メソ細孔の単位体積あたりの比表面積が大きいメソポーラスカーボンと、メソポーラスカーボンの低い導電性をカバーする導体とを有する。したがって、電気二重層キャパシタは、メソ細孔単位体積当りの比表面積を増大させることができ、かつ、メソポーラスカーボンが有する多数のメソ細孔を効果的に使用することができる。この結果、電気二重層キャパシタの単位体積あたりの静電容量、即ちエネルギ密度が従来よりも向上する。
本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタを示す側面図である。 多孔質電極の構成を示す断面図である。 多孔質電極の一部(図2中の領域A)を拡大して示す断面図である。 活性炭の孔径分布の一例を示すグラフである。 実施例1の3極サイクリックボルタンメトリ(cyclic voltammetry)特性を示すグラフである。 比較例1の3極サイクリックボルタンメトリ特性を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(従来の電気二重層キャパシタが有する問題)
上記のとおり、活性炭の比表面積を向上させる技術では、電気二重層キャパシタの単位体積あたりの静電容量(以下、単に「電気二重層キャパシタの静電容量」または「静電容量」とも称する)について、満足な値が得られないという問題があった。本発明者は、この問題点を精査することで、本実施形態に係る電気二重層キャパシタを完成させた。そこで、この問題について詳細に説明する。
活性炭は、上述したように、比表面積の増大に伴ってかさ密度が低下する。一方、活性炭は、比表面積がある一定の大きさ以上になると、静電容量が頭打ちになる。これらの理由により、活性炭の比表面積を向上させる技術では、比表面積を大きくしても、静電容量が満足な値にならなかった。
静電容量が頭打ちになる理由としては、以下のものが考えられる。即ち、活性炭への細孔の形成は、アルカリ(alkali)賦活処理によってなされるが、この処理は、比表面積の制御というマクロ的な制御しか行なうことができず、細孔の大きさを制御することができなかった。特にアルカリ賦活処理による比表面積の増大は、ミクロ(micro)細孔を増やすことでなされている。
より詳細に述べると、活性炭には、直径が2nm未満のミクロ細孔、直径が2nm以上50nm未満のメソ細孔、及び直径が50nm以上のマクロ(macro)細孔が混在している。なお、本実施形態では、細孔の直径は細孔を球体とみなした時の直径であり、公知の手法、例えばガス(gas)吸着法により測定される。
これらの細孔のうち、ミクロ細孔は、直径が小さいので、電解質イオンによってはミクロ細孔の内部に侵入できない場合がある。また、マクロ細孔に吸着可能な電解質イオンの数は、マクロ細孔の体積に比べて小さい。細孔のうち、電解質イオンが吸着可能な部位はその表面だけであり、中空部分には電解質イオンは吸着されないからである。したがって、静電容量が頭打ちになる理由としては、ミクロ細孔及びマクロ細孔が静電容量の発現に有効に機能しないということが考えられる。また、溶媒和した電解質イオンの大きさ(直径)は1〜2nmで、ミクロ細孔とほぼ同等以下の大きさのため、ミクロ細孔には効率的に電解質イオンが吸着できていないことが予想される。したがって、以上の考察によれば、電解質イオンを吸着させる細孔としては、メソ細孔が最も好ましいと思われる。
この点について、特許文献2、3は、メソ細孔について言及している。しかし、いずれの文献に開示された技術によっても、電気二重層キャパシタの単位体積当りのエネルギ密度(以下、単に「電気二重層キャパシタのエネルギ密度」または「エネルギ密度」とも称する)について満足な値は得られていない。一方、特許文献4、5、6は、多孔質金属に言及している。しかし、特許文献4、5は、多孔質金属を集電体に用いており、特許文献6では、多孔質金属の細孔がメソ細孔に比べて非常に大きい。したがって、これらの文献に開示された技術は、上記の問題の解決に何ら寄与するものではない。
また、活性炭の比表面積を向上させる技術では、アルカリ賦活処理の後にアルカリ分を活性炭から除去する必要があった。しかし、この工程は複雑で高コストとなっていたので、アルカリ賦活処理による活性炭は工業的には使いづらい材料であった。このような問題点から、従来では、水蒸気賦活処理によって活性炭に細孔を形成することも行われていた。この方法はアルカリ賦活処理よりも低コストであるが、この方法により生成された活性炭は、アルカリ賦活処理による活性炭よりも静電容量が低いという問題があった。
(多孔質電極に関する考察)
本発明者は、上記の問題を解決するための多孔質電極として、メソポーラスカーボンに着目した。メソポーラスカーボン中の細孔はほぼメソ細孔となっており(例えばメソ細孔の存在比が90%以上となる)、かつメソポーラスカーボンの比表面積は数百〜数千m/gとなる。ここで、メソ細孔の存在比は、全細孔の総体積に対するメソ細孔22の総体積の比である。なお、メソ細孔22の総体積、及び全細孔の総体積は、例えば、島津製作所製比表面積測定装置ASAP2020により測定される。
このように、メソポーラスカーボンは、静電容量の発現に有効に機能しないミクロ細孔及びマクロ細孔の数が少なく、かつ比表面積が活性炭と同等であることから、高い静電容量を実現することが期待される。しかし、本発明者がメソポーラスカーボンを多孔質電極とした電気二重層キャパシタを作製し、その静電容量を測定したところ、静電容量はメソポーラスカーボンの比表面積から期待される静電容量よりも小さい値となった。
本発明者は、この原因がメソポーラスカーボンの低い導電性にあると考えた。すなわち、メソポーラスカーボンの導電性は活性炭よりも低い。この理由として、メソポーラスカーボンを構成する炭素原子同士の結びつきが活性炭よりも弱いこと、メソポーラスカーボンを構成する炭素原子同士の隙間が活性炭よりも大きいことが考えられている。
メソポーラスカーボンは、その低い導電性のため、メソポーラスカーボンに通電しても、メソポーラスカーボン中に電子があまり分布しない。したがって、メソポーラスカーボン中のメソ細孔に吸着する電解質イオンの数も少ない。以上の理由により、メソポーラスカーボンを多孔質電極として使用した電気二重層キャパシタの静電容量も低くなる。
そこで、本発明者は、メソポーラスカーボンを使用した多孔質電極の導電性を向上する技術について鋭意検討し、メソポーラスカーボンのメソ細孔の表面を導体で覆うことに想到した。そして、本発明者は、このような知見の下、本実施形態に係る電気二重層キャパシタに想到した。以下、本発明の実施形態について説明する。
(電気二重層キャパシタの構成)
次に、図1に基づいて、本実施形態に係る電気二重層キャパシタ10の構成について説明する。本実施形態に係る電気二重層キャパシタ10は、図1に示すように、多孔質電極20で構成されるカソード電極11と、同じく多孔質電極20で構成されるアノード電極12と、これらの多孔質電極の間に配置される電解質層13とを備える。
多孔質電極20は、図2及び図3に示すように、メソ細孔22の存在比が90%以上となる多孔質電極であり、メソポーラスカーボン20aと、メソ細孔22と、導体23とを備える。
メソポーラスカーボン20aは、メソ細孔の存在比が90%以上となるカーボン材料である。なお、メソポーラスカーボン20aの細孔分布は、公知の手法、例えばガス吸着法により測定される。
メソポーラスカーボン20aは、界面活性剤を活用したソフトテンプレート法、及びメソポーラスシリカのメソ細孔にカーボンを充填してからシリカを除去するハードテンプレート法等で作製される。
メソポーラスカーボン20aは、その比表面積が数百〜数千m/gとなるが、上述したように、メソポーラスカーボン20a単体では高い静電容量が実現されない。そこで、本実施形態では、メソポーラスカーボン20aのメソ細孔を導体23で覆うことで、メソポーラスカーボン20aの低い導電性をカバーする。
メソ細孔22は、メソポーラスカーボン20aのメソ細孔の表面を導体23で覆うことで作製される。すなわち、メソ細孔22は導体で覆われており、その直径はメソポーラスカーボン20aのメソ細孔よりも若干小さくなる。
メソ細孔22の直径は、2nm以上50nm未満であるが、2〜30nmであることが好ましい。メソ細孔22の直径は、2〜10nmがより好ましく、2〜5nmが最も好ましい。
電解質イオンは、上述したように、溶媒和した状態で多孔質電極20に吸脱着することが多い。そして、溶媒和した電解質イオンの直径は1〜2nmと見積もられる。したがって、メソ細孔22の直径は電解質イオンの直径以上であるので、電解質イオンは多孔質電極20に容易に吸脱着することができる。
なお、溶媒和した電解質イオンの直径は、例えば、計算化学、即ちシミュレーション(simulation)により算出される。電解質イオンの直径は、例えば以下のように算出される。まず、溶媒和した電解質イオンの分子構造を、「Car−Parrinello Molicular Dynamics(CPMD)」(ver. 3.13.2)というソフトウェア(software)を用いた分子動力学シミュレーションにより算出する。次いで、溶媒和した電解質イオンを球体とみなし、その直径を当該算出された分子構造に基づいて算出する。
メソ細孔22の直径が30nmより大きくても、電解質イオンは多孔質電極20に容易に吸脱着することができるので、本実施形態の効果は得られる。しかし、メソ細孔22の直径が大きくなるほど、メソ細孔22の中空部分、即ち電解質イオンが吸着しない部分が大きくなるので、メソ細孔22の直径は2〜30nmであることが好ましい。後述する実施例1では、2〜30nmのメソ細孔が全細孔のほぼ100%を占める。一方、図4に、ある活性炭の孔径分布を示す。この例では、細孔の直径が2.5nm以下、即ち大半の細孔がミクロ細孔となっている。したがって、この活性炭に電解質イオンを吸脱着させることは容易ではない。
また、メソ細孔22の直径の分布範囲はなるべく狭い(シャープ(sharp)である)ことが好ましい。メソ細孔22の分布範囲が狭いと、多数のメソ細孔22が同様の直径を有することになるので、多くのメソ細孔22に同程度の数の電解質イオンが吸着する。したがって、あるメソ細孔22への電解質イオンの吸着数が増加するように電解質イオンの直径を設計することで、必然的に、他のメソ細孔22に吸着する電解質イオンの数も増加する。したがって、メソ細孔22の分布範囲を狭くすることで、多孔質電極20に吸着する電解質イオンの数を増加させることができる。一方、メソ細孔22の分布範囲が広いと、メソ細孔22の直径がばらつくことになるので、メソ細孔22に吸着する電解質イオンの数がメソ細孔22毎にばらついてしまう。したがって、あるメソ細孔22への電解質イオンの吸着数が増加するように電解質イオンの直径を設計しても、他のメソ細孔22に吸着する電解質イオンの数はやはりばらついてしまう。この結果、多孔質電極20に吸着する電解質イオンの数を増加させることが難しくなる。この観点によれば、メソ細孔22の直径の分布範囲は、2〜30nmが好ましく、より好ましくは2〜10nmで、最も好ましくは2〜5nmである。
また、多孔質電極20のメソ細孔単位体積当りの比表面積は、450m/cm以上であることが好ましく、600m/cm以上であることがより好ましい。ここで、多孔質電極20のメソ細孔単位体積当りの比表面積は、以下の式(2)で求められる。
Figure 2014203927
式(2)中、Sは多孔質電極20のメソ細孔単位体積当りの比表面積(m/cm)であり、aは多孔質電極20の比表面積(m/g)である。bは多孔質電極単位質量当りの細孔の体積(細孔容積)(cm/g)であり、全細孔の総体積を多孔質電極20の質量で除算することで算出される。cはメソ細孔22の存在比である。
即ち、本実施形態では、単純な比表面積ではなく、メソ細孔単位体積当りの比表面積に基づいて、多孔質電極20が設計されている。この理由は以下の通りある。電気二重層キャパシタの単位体積当りの静電容量を向上させるためには、電解質イオンが吸脱着することができるサイトが広いことが求められる。電気二重層キャパシタの分野では、このようなサイトの広さを示す指標として、多孔質電極の比表面積が用いられてきた。しかし、本発明者は、多孔質電極の比表面積と静電容量とが線形の関係にならないことを見出した。
そこで、本発明者が比表面積について鋭意検討した結果、静電容量に影響を与えるパラメータは、単純な比表面積ではなく、メソ細孔22の体積に対する比表面積、即ちメソ細孔単位体積当りの比表面積が静電容量に影響を与えることを見出した。したがって、メソ細孔単位体積当りの比表面積は、電気二重層キャパシタ10を設計する際の指標となりうるものである。このように、本発明者は、電気二重層キャパシタ10を設計する際の指標を発見することに成功した。本発明者がメソ細孔単位体積当りの比表面積についてさらに検討を重ねた結果、メソ細孔単位体積当りの比表面積は、450m/cm以上であることが好ましく、600m/cm以上であることがより好ましいことも判明した。メソ細孔単位体積当りの比表面積がこれらの範囲である時に、静電容量は特に増大する。この理由としては、例えば、単純な比表面積ではなく、電解質イオンを吸着し易いメソ細孔が有する比表面積がどれだけあるかが重要で、それが実質的に静電容量を支配因子であり、従来の活性炭ではメソ細孔比率を高めると比表面積が低下し、実質的にこの450m/cm以上を達成することができないといったことが考えられる。一方、メソ細孔単位体積当りの比表面積の好ましい上限値は、電解質イオンの直径に応じて変化する。具体的には、電解質イオンの直径が小さいほど、メソ細孔単位体積当りの比表面積の好ましい上限値が大きくなり、それに伴い静電容量の上限値も大きくなる。したがって、電解質イオンの直径は小さいほど好ましい。
導体23は、メソポーラスカーボン20aのメソ細孔の表面を覆うものであり、その導電性(例えば導電率)はメソポーラスカーボン20aより高い。上述したように、メソポーラスカーボン20aは導電性が低いので、メソポーラスカーボン20aをそのまま多孔質電極として使用しても静電容量がそれほど高くならない。そこで、本実施形態では、メソポーラスカーボン20aのメソ細孔の表面を導体23で覆うことで、メソポーラスカーボン20aの低い導電性をカバーする。すなわち、導体23によって、多孔質電極20の導電性が向上する。
導体23は、メソポーラスカーボン20aよりも導電性が高いものであれば特に制限されない。このような特性を有する導体23としては、例えば金属単体が挙げられる。より具体的には、導体23は、ニッケル、チタン、銅、鉄、及びコバルトからなる群から選択されるいずれか1種の金属単体で構成されてもよい。電解質層13中での安定性及び導電性のバランスを考慮すると、ニッケル、銅、及びコバルトが好ましく、ニッケルが最も好ましい。なお、導体23は複数種類の金属単体からなる合金であってもよい。
電解質層13は、従来の電気二重層キャパシタに適用されるもの(例えば電解質を有機溶媒に溶解したもの)であれば特に制限されない。ただし、本発明者が電解質層13に好適な材料について検討したところ、イオン液体が電解質層13の材料として好ましいことを見出した。イオン液体は溶媒を含まないので、イオン液体中の電解質イオンが溶媒和していない。すなわち、イオン液体中の電解質イオンの直径は、溶媒中の電解質イオン(溶媒和した電解質イオン)よりも小さい。
例えば、上述したソフトウェアで算出した1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン(1−ethyl−3−methyl−imidazorium ion、EMImイオン)の直径は0.57nm、BFイオンの直径は0.46nmとなる。一方、PC(プロピレンカーボネート、propylene carbonate)で溶媒和(4溶媒和)したTEAイオンの直径は1.96nm、PCで溶媒和したBFイオンの直径は1.71nmとなる。したがって、イオン液体中のEMImイオン及びBFイオンの直径は、PC中のTEAイオン及びBFイオンの直径よりも小さい。したがって、電解質層13をイオン液体で構成した場合、より多くの電解質イオンがメソ細孔22に吸脱着することができるので、静電容量がより増大する。
ただし、イオン液体中のカチオン(cation)及びアニオン(anion)は、完全に分離せず(すなわち、各々自由に動くのではなく)、対になって移動すると考えられる。例えば、EMImBFのイオン液体中では、EMImイオン及びBFイオンが対になって存在する。このようなEMIm−BFイオン対の直径は0.57+0.46=1.03nmである。したがって、たとえ電解質イオンが対になって存在していたとしても、電解質イオン対の直径はメソ細孔22の直径よりも十分に小さいので、メソ細孔22に容易に吸脱着することができる。また、電解質イオン対の直径は溶媒和した電解質イオンよりも小さい。したがって、電解質層13をイオン液体で構成した場合、より多くの電解質イオンがメソ細孔22に吸脱着することができるので、静電容量がより増大する。なお、この観点からは、電解質イオン同士が乖離しやすいほど、静電容量が増大することが予想される。また、溶媒和した電解質イオン及び電解質イオン対の直径は、メソ細孔22の直径が2nm以上であることを鑑みると、2nm以下であることが好ましい。
イオン液体の種類は特に問わないが、電解質イオンの移動のし易さから粘度ができる限り低く、また導電性(導電率)が高い材料が望ましい。イオン液体を構成するカチオンとしては、具体的には、例えばイミダゾリウムイオン(imidazorium ion)、ピリジニウムイオン(pyridnium ion)等が挙げられる。イミダゾリウムイオンとしては、例えば、EMImイオン、1−メチル−1−プロピルピロリジウム(1−methyl−1−propyl−pyrrolizinium)(MPPy)イオン、1−メチル−1−プロピルピペリジウム(1−methyl−1−propyl−piperizinium)(MPPi)イオン等が挙げられる。
ピリジニウムイオンとしては、例えば、1−エチルピリジニウム(1−ethylpyridnium)イオン、1−ブチルピリジニウム(1−buthylpyridnium)イオン、1−ブチルピリジニウム(1−buthylpyridnium)イオン等が挙げられる。
アニオンとしては、BFイオン、PFイオン、[(CFSON]イオン、FSI(ビス(フルオロスルホニル)イミド、bis(fluorosulfonyl)imide)イオン、TFSI(ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)イオン等が挙げられる。
イオン液体はそれ単独でも、有機溶媒に溶解させて用いても良い。また、低温特性が有利な有機電解質を用いても構わず、静電容量や温度特性、出力特性等を総合的に判断して用いれば良い。
このように、本実施形態に係る多孔質電極20では、電解質イオンの吸脱着に最も有利なメソ細孔22が全細孔の大半を占め、かつ、メソポーラスカーボン20aの低い導電性を導体23がカバーしている。このため、多孔質電極20は、メソポーラスカーボンが持つ大きな比表面積を有効に利用することができる。すなわち、多孔質電極20は、より多数の電解質イオンをメソ細孔22の表面に吸脱着させることができる。したがって、後述する実施例に示される通り、非常に高い静電容量が実現される。
さらに、後述する実施例に示される通り、本実施形態に係る多孔質電極20は、急速充放電時の性能劣化が抑制される。その理由として、第1に、全細孔の大半をメソ細孔22が占めていることが挙げられる。すなわち、ミクロ細孔には電解質イオンが入り込めないので、電気二重層キャパシタの充放電にほとんど寄与しない。一方、マクロ細孔にはメソ細孔よりも多量の電解質イオンが吸脱着することができるが、マクロ細孔にはマクロ細孔に吸脱着しない電解質イオン(マクロ細孔の中空部分に滞留する電解質イオン)も大量に存在する。このため、マクロ細孔に吸着したイオンは、マクロ細孔の中空部分に滞留する電解質イオンに移動を阻害されるので、マクロ細孔から脱着するのに時間がかかってしまう。これに対し、メソ細孔22にはマクロ細孔よりも少量の電解質イオンしか吸脱着しないので、電解質イオンはメソ細孔22に迅速に吸脱着することができる。
第2に、メソポーラスカーボン20aのメソ細孔22の表面が導体23で覆われていることが挙げられる。導体23内の電子はメソポーラスカーボン20a内の電子よりも活発に移動する。したがって、導体23内の電子は急速充放電に追従することができ、ひいては、電解質イオンのメソ細孔22への吸脱着も急速充放電に追従することができる。以上の理由により、多孔質電極20は、急速充放電時の性能劣化が抑制される。
(多孔質電極の製造方法)
次に、多孔質電極20の製造方法について説明する。多孔質電極20の製造方法は、メソポーラスカーボン20aを準備するステップ(step)と、メソポーラスカーボン20aのメソ細孔の表面を導体23で覆うステップとに大別される。
(メソポーラスカーボンを準備するステップ)
まず、メソポーラスカーボン20aを準備する。メソポーラスカーボン20aは、公知の製造方法、例えばソフトテンプレート(soft template)法またはハードテンプレート(hard template)法により作製される。
(メソポーラスカーボンのメソ細孔の表面を導体で覆うステップ)
次に、メソポーラスカーボン20aのメソ細孔の表面を導体23で覆う。この方法は特に制限されない。例えば、メソ細孔の表面を導体23で覆う方法としては、例えば、物理被覆法等、より具体的には鍍金(めっき)法、金属化合物をメソ細孔に充填後還元する方法、及びスパッタ法等が挙げられる。導体23の層厚は特に制限されないが、多孔質電極20のメソ細孔22の直径が2〜30nmとなるように設計される。
(実施例1)
次に、本実施形態の実施例を説明する。実施例1では、メソポーラスカーボンをハードテンプレート法により作製した。具体的には、メソポーラスシリカ(mesoporous silica)4gをフルフリルアルコール(furfuryl alcohol)10g中に投入した。ついで、メソポーラスシリカとフルフリルアルコールとの混合液に0.5Mのパラトルエンスルホン酸(p−toluenesulfonic acid)4cmを加えた。これらの混合液を撹拌後にろ過し、残渣物を15時間静置した。
ついで、残渣物を80℃のオーブン中で1時間加熱処理した。ついで、熱処理後の残渣物、すなわち残留物を雰囲気電気炉に移し、アルゴンガス(argon gas)を500cm/分で流しながら残留物を2℃/分で昇温した。ついで、残留物を700℃で3時間保持した。ついで、残留物を自然冷却してから取り出した。
ついで、残留物を5質量%弗酸水(弗酸を弗酸水の総質量に対して5質量%含む弗酸水)に入れて1時間撹拌した。これにより、残留物中のシリカを溶解除去した。その後、弗酸水溶液をろ過し、残渣物を乾燥することで、メソポーラスカーボンを得た。
ついで、このメソポーラスカーボンのメソ細孔をニッケルで被覆した。具体的には、メソポーラスカーボン20aを常温の10質量%の硝酸ニッケル水溶液(硝酸ニッケルを硝酸ニッケル水溶液の総質量に対して10質量%含む硝酸ニッケル水溶液)に浸漬し、3時間減圧下で撹拌した。これにより、硝酸ニッケル水溶液含有メソポーラスカーボンを作製した。ついで、吸引濾過機を用いて硝酸ニッケル水溶液含有メソポーラスカーボンを脱水し、一昼夜風乾した。これにより、硝酸ニッケル含有メソポーラスカーボンを作製した。硝酸ニッケル含有メソポーラスカーボン中のメソ細孔は、硝酸ニッケルで覆われた状態となっている。ついで、硝酸ニッケル含有メソポーラスカーボンを電気炉に移し、水素100%気流下、400℃で5時間加熱処理した。すなわち、硝酸ニッケル含有メソポーラスカーボン中の硝酸ニッケルを還元した。これにより、実施例1に係る多孔質電極(メソポーラスカーボンのメソ細孔の表面がニッケルで覆われているもの)を作製した。多孔質電極の取り出しはできる限りニッケルの酸化を抑制するために常温まで電気炉の雰囲気温度が下がった後に行われた。
実施例1に係る多孔質電極をX線回折装置で分析した結果、炭素と金属ニッケルのみが同定され、メソポーラスカーボンとニッケルとの複合材ができていることを確認した。この多孔質電極を島津製作所製比表面積測定装置ASAP2020で測定したところ、比表面積は1100m/g、細孔容積は1.32cm/gであった。また、直径2〜30nmのメソ細孔の存在比が100%となっていた。これらの数値と、式(2)とを用いてメソ細孔単位体積当りの比表面積を算出したところ、833m/cmであった。
また、多孔質電極に導電材としてカーボンブラック(carbon black)を多孔質電極の質量に対して5質量%加え、さらにPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、polytetrafluoroethylene)を多孔質電極の質量に対して5質量%加えた。そして、これらを乳鉢で混合した。ついで、混合物を錠剤プレス機で成形することで、ペレットを得た。これをアルミニウムメッシュ(aluminium mesh)で挟んだものを作用極と対極として用い、参照極にはAg極、電解液にはEMIm−BF(イオン液体)を用いてセル(cell)を構成した。
ついで、このセルをAdvanced Electrochemical System社製PARSTAT2273を用い、室温下で掃印速度100〜1mv/sで−1.25から1.25Vの範囲で掃印した。実施例1のセルを掃印速度1mv/sで掃印した際の放電容量にもとづいて、体積静電容量(セル単位体積あたりの静電容量)を算出した。ここで、実施例1のセルを掃印速度1mv/sで掃印した際に得られた3極サイクリックボルタンメトリ特性図を図5に示す。横軸は参照電極を基準としたセル電圧を示し、縦軸はセルの静電容量(アノードの静電容量及びカソードの静電容量を合算したもの)を示す。体積静電容量は、還元側の電流の積分値、すなわち3極サイクリックボルタンメトリ特性図のうち、下半分の領域(静電容量0以下の領域)100の面積に基づいて算出した。
(実施例2)
実施例1の電解液に1mol/LのTEA−BF/PCを用いたこと以外は実施例1と同様にして行った。
(実施例3)
実施例1で、硝酸ニッケルの代わりに硝酸銅を用いたこと以外は実施例1と同様の処理を行った。実施例3で得られた多孔質電極の比表面積は1050m/g、細孔容積は1.47cm/gであった。また、直径2〜30nmのメソ細孔の存在比が100%となっていた。これらの数値と、式(2)とを用いてメソ細孔単位体積当りの比表面積を算出したところ、714m/cmであった。
(実施例4)
実施例1で、硝酸ニッケルの代わりに硝酸コバルトを用いたこと以外は実施例1と同様の処理を行った。実施例4で得られた多孔質電極の比表面積は1120m/g、細孔容積は1.43cm/gであった。また、直径2〜30nmのメソ細孔の存在比が100%となっていた。これらの数値と式(2)とを用いてメソ細孔単位体積当りの比表面積を算出したところ、783m/cmであった。
(実施例5)
実施例1の硝酸ニッケル水溶液の濃度を5質量%にしたこと以外は実施例1と同様の処理を行った。なお、実施例5の多孔質電極の比表面積は1170m/g、細孔容積は1.46cm/gであった。また、直径2〜30nmのメソ細孔の存在比が100%となっていた。これらの数値と式(2)とを用いてメソ細孔単位体積当りの比表面積を算出したところ、801m/cmであった。
(実施例6)
実施例1の硝酸ニッケル水溶液の濃度を20質量%にしたこと以外は実施例1と同様の処理を行った。なお、この試料の比表面積は780m/g、細孔容積は1.19cm/gであった。また、直径2〜30nmのメソ細孔の存在比が100%となっていた。これらの数値と式(2)とを用いてメソ細孔単位体積当りの比表面積を算出したところ、755m/cmであった。
(実施例7)
メソポーラスカーボンをソフトテンプレート法で作製した以外は実施例1と同様の処理を行った。すなわち、実施例7では以下の処理によりメソポーラスカーボンを作製した。エタノールと蒸留水との混合溶液に、NaCOを添加し、これらを混合した。この混合液にホルムアルデヒド(formaldehyde)、レゾシノール(resorcinol)およびC10TAB(デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、decyltrimethylammonium bromide)を加えて混合した。C10TABは界面活性剤となるものである。各原料のモル分率は、界面活性剤(C10TAB):レゾシノール:ホルムアルデヒド:NaCO:エタノール:水=1:3:16:1:75:3000であった。
混合液を室温下で2時間撹拌した後、90℃のオーブン中で12時間加熱することで前駆体を得た。この前駆体を雰囲気電気炉に移し、アルゴンガスを500cm/分で流しながら前駆体を1℃/分で昇温した。ついで、前駆体を800℃で3時間保持した。これにより、メソポーラスカーボンを作製した。メソポーラスカーボンは、自然冷却してから取り出された。その後は実施例1と同様の処理を行った。
実施例7に係る多孔質電極の比表面積は820m/g、細孔容積は1.01cm/gであった。また、直径2〜30nmのメソ細孔の存在比が100%となっていた。これらの数値と式(2)とを用いてメソ単位体積当りの比表面積を算出したところ、811m/cmであった。
(比較例1)
実施例1で作製されたメソポーラスカーボンのみを多孔質電極とした以外は、実施例1と同様の処理を行った。比較例1の電気二重層キャパシタを掃印速度1mVで掃印した際に得られた3極サイクリックボルタンメトリ特性図を図6に示す。横軸は参照電極を基準としたセル電圧を示し、縦軸はセルの静電容量(アノードの静電容量及びカソードの静電容量を合算したもの)を示す。
(比較例2)
実施例7で作製されたメソポーラスカーボンのみを多孔質電極とした以外は、実施例1と同様の処理を行った。
(評価)
実施例1〜7の体積静電容量を比較例1または2で正規化した値を表1に示す。同様に、実施例1〜7の掃印速度100mV/sでの体積静電容量を掃印速度1mV/sでの体積静電容量で除算した値を比較例1または2で正規化した値を表1に示す。掃印速度100mV/sでの体積静電容量を掃印速度1mV/sでの体積静電容量で除算した値(以下、「急速充放電特性値」とも称する)は、電気二重層キャパシタの電流速度依存性、すなわち急速充放電に対する特性を示す。この急速充放電特性値が大きいほど、急速充放電に対する性能劣化が抑制される。
Figure 2014203927
表1及び図5〜図6によれば、実施例1〜7に係る電気二重層キャパシタは、比較例1または2に係る電気二重層キャパシタに比べて体積静電容量を1.23〜1.9倍も増大させることができた。さらに、実施例1〜7に係る電気二重層キャパシタは、比較例1または2に係る電気二重層キャパシタに比べて急速充放電特性値も1.7〜2.5倍に増大させることができた。さらに、実施例1〜7によれば、イオン液体が有機電解液(電解質を有機溶媒に溶解した電解液)に対して優位であることも立証された。
以上により、本実施形態に係る電気二重層キャパシタ10は、多孔質電極20を有する。多孔質電極20は、メソポーラスカーボン20aと、メソポーラスカーボン20aのメソ細孔の表面を覆う導体23とを有する。メソポーラスカーボン20aは多数のメソ細孔を有し、比表面積も大きい。したがって、メソ細孔の単位体積当りの比表面積が活性炭よりも大きくなるが、導電性が低い。一方、導体23の導電性はメソポーラスカーボン20aの導電性よりも大きい。すなわち、導体23は、メソポーラスカーボン20aの低い導電性をカバーする。したがって、電気二重層キャパシタ10は、メソ細孔単位体積当りの比表面積を増大させることができ、かつ、メソポーラスカーボン20aが有するメソ細孔を効果的に使用することができる。この結果、電気二重層キャパシタ10の単位体積あたりの静電容量、即ちエネルギ密度が従来よりも向上する。
さらに、導体23は金属単体であるので、多孔質電極20の導電性がさらに向上し、ひいては電気二重層キャパシタ10のエネルギ密度が向上する。
さらに、導体23は、ニッケル、チタン、銅、鉄、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1種類の金属の単体であるので、多孔質電極20の導電性がさらに向上し、ひいては電気二重層キャパシタ10のエネルギ密度が向上する。
さらに、多孔質電極20は導体23で覆われたメソ細孔22を有し、メソ細孔22の直径は2nm以上30nm以下である。したがって、電解質イオンはメソ細孔22表面に効果的に吸脱着する。したがって、電気二重層キャパシタのエネルギ密度が従来よりも向上する。
さらに、電解質層は、直径が2nm以下の電解質イオンを含んでいるので、電解質イオンはメソ細孔22表面に効果的に吸脱着する。したがって、電気二重層キャパシタのエネルギ密度が従来よりも向上する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。例えば、上記の実施形態では、カソード11及びアノード12をいずれも多孔質電極20で構成することとしたが、これらのうち一方だけが多孔質電極20であってもよい。
10 電気二重層キャパシタ
11 カソード電極
12 アノード電極
20 多孔質材料
22 メソ細孔

Claims (6)

  1. メソポーラスカーボンと、前記メソポーラスカーボンのメソ細孔の表面を覆い、かつ前記メソポーラスカーボンよりも導電性が高い導体とを含む多孔質電極と、
    前記多孔質電極のメソ細孔の表面に吸脱着可能な電解質イオンを含む電解質層と、を備えることを特徴とする、電気二重層キャパシタ。
  2. 前記導体は金属単体を含むことを特徴とする、請求項1記載の電気二重層キャパシタ。
  3. 前記金属単体は、ニッケル、チタン、銅、鉄、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1種類の金属の単体であることを特徴とする、請求項2記載の電気二重層キャパシタ。
  4. 前記多孔質電極のメソ細孔の直径は2nm以上30nm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ。
  5. 前記電解質層は、直径が2nm以下の電解質イオンを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ。
  6. メソポーラスカーボンと、
    前記メソポーラスカーボンのメソ細孔の表面を覆い、かつ前記メソポーラスカーボンよりも導電性が高い導体と、を含むことを特徴とする、電気二重層キャパシタ用の多孔質電極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016164948A (ja) * 2015-03-06 2016-09-08 住友電気工業株式会社 キャパシタ用正極およびキャパシタの製造方法ならびにキャパシタ

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