〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る電子機器の構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図1に示す電子機器2は、筐体外部を発光させる発光機能を備えた本開示の電子機器の一例であって、内部に発光手段を含む機能部品を収納した機器ケース4を備えている。この電子機器2は、たとえば携帯電話機やスマートフォン、携帯型のPC(Personal Computer)などを含む情報処理装置であって、機器ケース4の一部または全部に、利用者に対する報知手段として発光処理が実行される。電子機器2の発光は、たとえば通話機能による着信報知や、特定のアプリケーションプログラムの実行中やアプリケーションの内容に連動した報知処理として実行される。
機器ケース4は、たとえばケース部材6とケース部材8とが接着部材を介在させ、または爪部品による係合構造によって接合されている。そして、機器ケース4には、ケース部材6とケース部材8のいずれか一方または両方に発光機能が付与される。この機器ケース4は、たとえば図示しないLCD(Liquid Crystal Display)ユニットなどの表示手段やキーボードなどの入力手段などが電子機器2の外部側に露出させるように収納される。
発光機能が付与される側の機器ケース4として、ケース部材6には、たとえば光源12(図2)から発した光20(図2)を機器ケース4の外部表面側に放出させる開口部10が形成される。この開口部10は、たとえばケース部材6の一部に開口され、機器ケース4に対する光源の位置決めおよび支持手段として機能する。開口部10の開口位置は、たとえば機器ケース4の内部に設置される発光部品の設置位置に応じて設定されればよく、発光部品の直上またはその近傍であってもよい。
なお、機器ケース4は、2つのケース部材を接合させるものに限られず、3つ以上のケース部材が含まれるものであってもよい。
電子機器2は、たとえば図2Aに示すように機器ケース4の内部側から開口部10に対して光源12が配置されている。この光源12は、たとえば自発光が可能な発光源を含んでもよく、または図示しない発光源から受けた光を開口部10側に導光する導光手段を含んでもよい。発光源は、たとえばLED(Light Emitting Diode)を利用すればよい。また導光手段は、たとえば発光源から取り込んだ光を内部反射によって伝搬させるアクリルなどの樹脂材料を利用すればよく、さらに、外部側への発光度合を調整するために着色材料が含まれてもよい。
<機器ケース4の構成例について>
機器ケース4の一例であるケース部材6は、複数の機能部材による積層構造で形成されており、たとえば電子機器2の内部側から樹脂層14、色層16、塗膜層18が含まれる。
樹脂層14は、本開示のケース部材の樹脂層の一例であり、機器ケース4の本体骨子として機能する。樹脂層14は、ケース部材6は、機器ケース4に内蔵される機能部品に対して外部との直接の接触を阻止して防護するために所定の厚さおよび強度で形成されている。また、樹脂層14は、機器ケース4から外部側に配置または露出させる機能部品を支持する機能を備える。ケース部材6は、色層16および塗膜層18よりも厚く形成される。
そのほか、ケース部材6は、図示しないケース部材8と係止するための係止部品や、その係止部分を止水する止水構造などが設置、または形成されてもよい。
色層16は、機器ケース4の装飾層の一例であって、塗膜層18を通じて電子機器2の外観色彩機能を発揮する。色層16は、たとえば樹脂層14の表面側に着色塗料による吹き付け処理によって単層または複数層で形成されている。また、色層16には、たとえば塗膜層18の内部に取り込んだ光が色層16と塗膜層18との境界部分において減衰や拡散などが発生しないように、反射性のよい材質の塗料が用いられればよい。
塗膜層18は、本開示のケース部材の塗膜層の一例であり、樹脂層14の外部表面側に塗布され、内部に光を取り込んで導光させる機能を含む。塗膜層18は、樹脂層14を補強するハードコート機能を備えており、たとえばウレタン系やアクリル系の紫外線硬化性のUV(Ultra Violet)塗料が用いられる。この塗膜層18は、透明性が高く設定されている。そして塗膜層18が形成されることによりケース部材6は、たとえば外装部分が鏡面性状となるほか、表面硬度の強化や耐摩耗性などが向上する。
塗膜層18は、内部に光を取り込み、導光させるための厚さとして、たとえば15〔μm〕以上で形成される。塗膜層18は、図2Bに示すように、たとえば光源12が発した光20をケース部材6の開口部10に沿って形成された入光部22から取り込んで、導光方向Mに向けて導光させる。この導光方向Mは、たとえば塗膜層18が塗布された方向である。すなわち機器ケース4は、光源10からの光を塗膜層18が塗布された全面側に導光している。そして塗膜層18には、たとえば端部側または所定の位置で取り込み、塗膜層18で導光された光20を機器ケース4の外部に向けて発光させる発光部24(図3)が形成される。
<機器ケース4における導光構造について>
図3は、機器ケースによる導光機能の一例を示している。図3に示す導光状態は一例である。
塗膜層18は、たとえば光源12が発した光20を入光部22側で取り込むと、機器ケース4の外装表面との境界部分または樹脂層14または色層16との境界部分で反射を繰り返し、導光方向Mに向けて導光していく。塗膜層18は、たとえば光源12から入光部22に対して入射角度が90〔°〕前後の光20を取り込み、内部を反射して導光する。塗膜層18に対する入射角度が浅い光20は、たとえば塗膜層18の表面に対する反射光26となって機器ケース4の外部に放出され、光源12周辺部分を光らせる。
塗膜層18内部で反射する光20は、たとえば塗膜層18の終端部分や反射角度を変更させるように加工された発光部24から機器ケース4の表面側に向けて発光する光28として放出される。発光部24は、たとえば塗膜層18内部の光に対する反射角度を変更させるために、塗膜層18の一部をテーパ状に形成して、厚さを変更させてもよい。これにより、塗膜層18内で導光された光20は、たとえば発光部24において、機器ケース4の表面側の塗膜層18、つまり塗膜層18の外縁部分に向けた入射角度が深くなり、反射せずに外部に透過される。また発光部24は、たとえば塗膜層18の表面部分を任意の形状に加工するほか、塗膜層18が塗布される樹脂層14の表面部分に特定の形状に加工してもよい。これらの加工により、樹脂層14と塗膜層18との間における光20の反射角度を変更させることで、機器ケース4の表面側において、塗膜層18の外縁側に対する入射角度が変わり、光20を放出させる発光部24が形成される。
そのほか、塗膜層18は、たとえば機器ケース4の外部から発せられた光に対し、入射角度が浅い場合には、塗膜層18の表面で反射させる。また、入射角度が深い場合、塗膜層18は、たとえば外光を内部に取り込んだのちに樹脂層14で反射した光を再び外部に放出する。この場合、塗膜層18の内部には、導光する光20が乱反射を繰り返しており、外光の反射による機器ケース4の表面側の装飾状態への影響は微小である。
なお、ケース部材6は、少なくとも樹脂層14と塗膜層18を含んで構成されればよく、機器ケース4の外観装飾は、たとえば着色した樹脂層14を利用すればよい。または機器ケース4の外観装飾には、塗膜層18の外装表面側に着色部材や色層を設けてもよい。
<機器ケース4の製造処理について>
図4は、ケース部材の製造処理例を示すフローチャートである。図4に示す処理手順、処理内容は一例である。
図4に示す製造処理は、本開示のケース部材の製造方法の一例であり、たとえば樹脂層14の形成処理(S1)、塗膜層18の塗布処理(S2)、発光部の形成処理(S3)が含まれる。
<樹脂層14の形成処理(S1)>
樹脂層14の形成処理では、たとえば金型を利用した射出成形を利用しており、既述の爪部品や光源12を露出させる開口部10などが設定された金型に対して樹脂材料が射出されて成型される。そして形成された樹脂層14は、たとえば表面部分に着色塗料などが塗布されて色層16が形成される。
<塗膜層18の塗布処理>
樹脂層14が形成されると、外装表面部分にUV塗料が塗布された後に、乾燥処理および紫外線照射が行われて、塗膜層18形成される。
<発光部24の形成処理>
発光部24は、たとえば機器ケース4に対し、塗膜層18の設定された部分に対し、テーパ状や任意の形状に成形加工を施すことで形成される。また、発光部24の形成処理は、たとえば塗膜層18の表面部分に加工を施すものに限られず、たとえば樹脂層14の形成処理(S1)において、金型に所定の形状を施すことで樹脂層14の表面の一部を加工してもよい。そのほか、発光部24は、たとえば成形された樹脂層14に対して、所定の位置に塗膜層18との境界部分における光の反射角度を変えさせるための形状を持たせるように成形加工を施してもよい。これにより機器ケース4は、加工部分に塗布された塗膜層18の内部側に発光部24が形成される。
斯かる構成によれば、 樹脂層14の表面に塗布された塗膜層18を利用して光源12からの光20を導光させることで、別途導光部材の設置が不要になり、発光部品数を削減でき、導光構造の簡素化が図れる。また、機器ケース4の表面部分に対して導光部材の設置が不要となるので、電子機器2の薄型化が可能となる。機器ケース4の表面の塗膜層18内に入光させた光20を塗膜層18が形成された機器ケース4の全面に導光させ、塗膜層18の端部または変形位置で外部に発光させる構造により、機器ケース4の広範囲または複数の位置で発光させる場合に、部品数の削減が図れる。
〔第2の実施の形態〕
図5は、第2の実施の形態に係る電子機器の構成例を示している。図5に示す構成は、一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
図5に示す電子機器2−1は、本開示の電子機器の一例であり、2つのケース部材6、8が接合された機器ケース4を備えている。ケース部材6は、たとえば平面部分の一部に光源12を配置して、機器ケース4の外部に露出させる開口部10を備えている。また、ケース部材6は、たとえば端部側の全周に沿って発光部24が形成されている。そして、この電子機器2−1は、光源12から発せられた光20をケース部材6の表面部分に伝播させ、発光部24として、機器ケース4の周囲側面部分から光28を放出して発光させる。
図6に示すケース部材6は、開口部10に光源12が嵌合されている。光源12は、たとえば電子機器2−1の内部に設置された発光源30から発した光を受けて導光し、ケース部材6の外部側に向けて光を放出させる手段の一例である。光源12は、たとえば導光部材で形成されればよい。光源12とケース部材6の樹脂層14との接合部分には、たとえば軟性の樹脂材料で構成された止水部材などを介在させてもよい。
ケース部材6の塗膜層18は、光源12の周囲の一部または全周方向を包囲しており、光源12が発した光20を入光部22から取り込む。取り込まれた光20は、ケース部材6の全面方向に拡散され、ケース部材6の端部側に導光される。ケース部材6は、たとえば開口部10が形成される平面部分に対し、この平面部分の端部側であり、電子機器2−1の側面側に向けて屈曲させる屈曲部分について、段階的に屈曲させるように形成してもよい。このような屈曲形状は、塗膜層18内部で全反射する光に対し、塗膜層18、および樹脂層14や色層16との境界部分への入射角度を急激に深くさせないことで、光0を筐体外部に放出させないようにしている。そのほか、屈曲部分については、たとえば平面部分に対して塗膜層18の厚さを変更させてもよい。
ケース部材6の端部では、たとえば図7に示すようにケース部材8との接合側に向けて塗膜層18の厚さを減少させるようにテーパ状の発光部24が形成される。この発光部24は、たとえば塗膜層18の塗布処理の後に加工処理が施されてもよく、またはケース部材6の端部側に対して塗膜層18を均一に塗布させない処理を行ってもよい。この発光部24では、たとえば塗膜層18内部で反射する光20とケース部材6の外装表面との接触角度が浅くなる。そして塗膜層18内部を導光された光20は、発光部24において、塗膜層18の外縁部分に対する入射角度が深くなることで、塗膜層18から外部に放出される。これにより、機器ケース4では、ケース部材6とケース部材8との接合部分40の全周側で発光させることができる。
ケース部材6は、たとえばケース部材8に対して、樹脂層14や色層16同士が連続的に配置されるように接合位置が設定される。ケース部材8は、たとえば発光機能の有無に関わらず、ケース部材6との接合側の端部に対し、塗膜層18をテーパ状に形成してもよい。これにより、ケース部材8は、発光機能を有する場合には、この端部側が発光部24として機能するほか、発光機能を有さない場合には、ケース部材6側の発光部24の発光方向を阻害させない。接合部分40には、たとえば図示しない樹脂性の止水部材を介在させてもよい。
<ケース部材6、8の形成処理について>
図8、図9、図10および図11は、ケース部材の構成および形成処理の一例を示している。図8、図9、図10に示す形状や構造、および処理内容などは、一例である。
ケース部材6、8は、図8に示すように、樹脂層14の形成処理が行われる。このケース部材6、8の樹脂層14は、射出成形によって形成されており、機器ケース4の上面側または下面側となる平面部分の一部に、たとえば金型または成型後の加工処理によって開口部10が形成される。
次に、形成された樹脂層14に対して塗装処理が行われる。図9に示す塗装処理は、本開示の電子機器のケース部材の製造方法の一例であり、着色処理およびコーティング処理が含まれる。この着色処理には、たとえば色塗料の塗布処理(S11)と、塗料の硬化処理(S12)が含まれる。コーティング処理には、たとえば硬化用塗料の塗布処理(S13)と、この硬化用塗料の硬化処理(S14)が含まれる。
<着色処理について>
色塗料の塗布処理では、たとえば図10Aに示すように、成形されたケース部材6、8の樹脂層14に対し、その塗装エリアとして、外装側表面の全体に塗布手段であるスプレーガン42などを利用して塗料が均一に噴射される。この色塗料は、たとえば熱硬化性塗料を利用すればよい。さらに、色塗料は、たとえば光の吸収率が低い材質であればよい。
そして、色塗料が塗布されたケース部材6、8には、たとえば図10Bに示すように、塗装エリア側に対して熱硬化手段である、赤外線ヒータ44などを塗布面に接近させ、塗布された色塗料に赤外線や熱が照射される。この塗布された色塗料は、一定時間、赤外線ヒータ44によって加熱されることで、硬化し、樹脂層14に対する付着状態が安定する。これにより、色層16が形成される。
なお、ケース部材6、8に対する着色処理では、塗料を利用したものに限られず、たとえば着色されるとともに、光の反射率などが高い着色シートなどを塗装エリア上に貼付してもよい。着色シートを利用した場合、たとえば赤外線ヒータ44による照射は、シートの接着材料の乾燥処理などに利用してもよい。また、着色は、単一の色の場合に限られず、複数層を塗布し、または部分的に塗料を変えてもよい。複数層に着色する場合、1層目の塗布処理と乾燥処理を行った後に、2層目の塗布処理と乾燥処理を行えばよい。また、塗布部分毎に色を変更する場合、塗布部分毎に着色と硬化処理を繰り返してもよく、または塗装エリアの全ての範囲に塗布した後に、硬化処理を行ってもよい。
<コーティング処理について>
着色処理が完了したケース部材6、8は、コーティング処理に移行され、色層16の外装表面側に外表面硬化用のハードコート塗料が塗装エリア内に塗布される。ハードコート塗料は、たとえばUV硬化塗料であり、図11Aに示すように、色層16の表面に対し、スプレーガン46などを利用して均一に塗布される。このハードコート塗料には、樹脂コーティングなども含まれる。
ハードコート塗料が塗布されたケース部材6、8は、たとえば紫外線照射器48などを利用し、UV光線が塗膜層18に照射されることで、硬化機能が発揮され、色層16に対して密着状態が維持され、塗膜層18が形成される。
なお、着色処理やコーティング処理では、スプレーガン42、46による噴射塗装のほか、蒸着塗装などを利用してもよい。
そしてケース部材6、8は、たとえば電子機器2−1の側面側周囲で発光させる場合、樹脂層14の端部側に塗布された塗膜層18の一部について、テーパ状や凹凸形状などの加工成形処理を行ってもよい。
斯かる構成によれば、ケース部材6の強度を補強する塗膜層18を利用して光源12から発した光20をケース部材6の外装表面の全体に導光させるので、別途導光部品を発光位置まで設置する必要がない。そして、ケース部材6、8の端部側の塗膜層18の一部をテーパ状に成型することで発光部24からの発光を遮断させず、発光方向や発光状態の安定化が図れる。
〔第3の実施の形態〕
図12、図13、図14は、第3の実施の形態に係る電子機器の外観構成例を示している。図12、図13、図14に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図12に示す電子機器2−2は、たとえば機器ケース4の平面部分の一部であって、光源12が露出される開口部10の周囲に沿って発光部50が形成されている。この発光部50は、たとえば円形の開口部10の円周を複数に分割した曲線を一辺とし、開口部10の放射方向に鋭角を形成する2辺をもった形状で形成されている。これにより機器ケース4では、たとえば光源12から発光した光20が開口部10から機器ケース4の表面側に発光されるとともに、発光部50から放射状に、複数の3角形に近似した形状で発光させることができる。
図13に示す電子機器2−3は、たとえば機器ケース4の平面部分に対し、開口部10から3方向に直線状の発光部52が形成されている。これにより機器ケース4では、たとえば光源12から発光された光20が発光部52に沿って3方向の直線状に発光される。
また、図14に示す電子機器2−4は、たとえば機器ケース4の平面部分の一部に、複数の直線形状が形成されるとともに、隣接する直線形状の一端同士が接続された形状の発光部54が形成されている。この発光部54は直線形上に限られず、たとえば曲線形状、屈曲形状などで構成されてもよい。これにより、機器ケース4は、たとえば発光部54の直線形状の接合またはその他の形状の接合により、特定の模様や文字などの形状に発光させることができる。
これらの電子機器2−2、2−3、2−4は、機器ケース4の平面部分に対し、特定の位置、大きさまたは形状で発光させる発光部50、52、54が形成される場合を示している。電子機器2−2、2−3、2−4は、既述のように、光源12から発した光20を機器ケース4の外装表面に形成された塗膜層18内に取り込んでケース部材6の全面側に導光させている。そして、発光部50、52、54は、塗膜層18内部での反射によって導光された光20をケース外部に放出させて発光させている。
発光部50、52、54は、たとえば既述のように、ケース部材6の平面部分の特定位置に対し、特定の形状、大きさで塗膜層18の厚さを変更させることで、ケース外部側に光を放出させることができる。すなわち、発光部50、52、54は、たとえば塗膜層18の平面部分に特定の形状を成形して設定してもよい。また、発光部50、52、54は、たとえば図15に示すように、樹脂層14および色層16側に形成した凹凸部60によって設定してもよい。この凹凸部60は、樹脂層14または色層16に対する光20の反射方向を変更させる手段の一例であり、少なくとも、発光部50、52、54の設定位置に応じて塗膜層18との接続面の一部を凹凸させればよい。
ケース部材6で導光された光20は、たとえば発光部50、52、54の設定位置において凹凸部60によって塗膜層18と色層16または樹脂層14との接合面からの反射角度や反射方向が変わり、塗膜層18の外装側に対する入射角度が深くなる。これにより、光20は、塗膜層18で反射せずにケース部材6の外部側に放出される。そして、発光部50、52、54は、たとえば凹凸部60の樹脂層14に対する加工形状や大きさまたは長さを変化させることで、任意の発光形状を設定することができる。
この発光部50、52、54では、たとえば樹脂層14が薄くなるが、凹凸部60は微小な厚さであるとともに、その凹凸形状に応じて、補強用の塗膜層18が厚く形成され、ケース部材6の厚さが維持されるので、機器ケース4の強度を維持させることができる。このように発光部50、52、54が形成されることで、光源12に対して任意の位置や大きさに導光させる場合、機器ケース4の表面部分に別途導光部材などの設置が不要となる。
<金型による凹凸部を備える機器ケースの形成例について>
図16は、金型を利用した機器ケースの成形処理例を示している。図16に示す構成は一例である。
この機器ケース4の成形処理では、たとえば金型による射出成形によって樹脂層14側に凹凸部60を形成する場合を示している。金型62は、たとえば図16Aに示すように、ケース部材6の内装側を成型するコア(Core)64と、外装側を成型するキャビティ(Cavity)66とを備え、このコア64とキャビティ66を接合させて樹脂層14の射出成型が行われる。コア64には、たとえば樹脂材料を接合部分に導入させる導入孔68を備える。キャビティ66には、たとえば樹脂材料をプレスするプレス部70とこのプレス部70の一部であって、発光部50、52、54の設定位置に応じて凹凸部60を成型させる凹凸成型部72が形成されている。
成形処理では、図16Bに示すように、導入孔68に対して樹脂材料74が装填されたランナー76が設置され、コア64とキャビティ66との接合部分に樹脂材料74が充填される。
そして、樹脂材料74が充填された後、一定時間が経過した後に金型62を、コア64とキャビティ66とに分離させることで、ケース部材6の樹脂層14が成形される。この樹脂層14には、外装側の一部に凹凸成型部72によってプレスされた凹凸部60を備えている。
なお、この凹凸成形部72は、たとえばプレス部70の特定部分をエッチングなどで部分腐食させることで、凹凸形状を成形可能にしてもよい。
<加工処理による凹凸部の形成例について>
樹脂層14の形成処理では、たとえば図17Aおよび図17Bに示すように、平面部分に凹凸部60を備えない金型を利用して射出成形したのち、自動加工または手動加工によって、発光部50、52、54に応じた位置に凹凸部60を形成してもよい。凹凸部60の加工処理では、たとえば成形された樹脂層14に対し、切削機などの加工機械80を利用して特定の位置に切削加工を施す。
<塗膜層18に対する発光部の形成処理について>
図18および図19は、塗膜層に対する発光部の形成処理の一例を示している。図18および図19に示す構成は一例である。
発光部50、52、54は、塗膜層18の外装側に対して切削などの加工によって形成してもよい。この加工処理では、たとえば切削処理やレーザ加工処理を行うNC(Numerical Control)旋盤機械82などを利用してもよく、または図19に示すように、刻印処理、焼印処理などを行う工作機械90を利用してもよい。NC旋盤機械82や工作機械90は、加工機械の一例である。
NC旋盤機械82は、たとえば加工処理するケース部材6、8を載置させるとともに、加工位置に移動させる移動ステージ84や切削手段やレーザ出力部などを備える加工部86が含まれる。そして、発光部50、52、54の加工処理では、移動ステージ84を調整した後に、加工部86をケース部材6、8に接触、または近接させて特定のイラストや図形などの形状を形成する。
図19に示す工作機械90は、たとえば載置したケース部材6、8に向けて打ち下ろし動作が可能な加工部92を備えている。この加工部92は、たとえば加工対象であるケース部材6、8との接触面側に刻印処理が可能な鋭角状の刃や焼き入れ版などが含まれる加工面部94を備えている。そして、発光部50、52、54の加工処理では、たとえば加工面部94にイラストや図形などが設定された後、加工部92を所定のストロークでケース部材6、8側に押込むことで、加工面部94による成形を行ってもよい。
図20は、加工機械による塗膜層への発光部の形成処理例を示している。図20に示す処理内容、処理手順は、一例である。
ケース部材6、8に対する塗膜層18の塗布処理の後、発光部50、52、54の成形処理に移行する。この成形処理では、ケース部材6、8を移動ステージ84などの載置手段に載置させる(S21)。そして、NC旋盤機械82や工作機械90には、たとえば制御コンピュータに対して加工処理を行う位置情報や成形形状の画像情報やストローク情報の設定処理を実行させる。また、加工部92に対して焼き付けや刻印処理を行うために、加工面部94の設置などが行われる(S22)。
そして、NC旋盤機械82に対する実行指示や、手動による加工部92の操作によって移動ステージ84や加工部92が動作し、ケース部材6、8の発光部の形成位置に対して、設定された形状に成形処理が行われる(S23)。
<機器ケースの平面部分に装飾を加える処理について>
次に、機器ケースの平面部の一部に対して装飾を施した機器ケースの加工処理について、図21を参照する。図21に示す構成は一例である。
図21に示す電子機器2−5は、本開示の電子機器の一例であり、たとえばケース部材6、8の平面部分に対し、発光部54の周囲部分について異なる塗膜層100、102を塗布して装飾した機器ケース4を備えている。この塗膜層100、102が塗布されたケース部材6、8は、たとえば発光部54の周囲部分の塗膜層102を一定の照度で発光状態にさせることで、ケース平面部分について段階的な発光状態にさせる。また、この塗膜層100、102の塗り分け構造は、たとえば、塗膜層100が塗布された部分について、内部を導光する光をケース部材4の外部側から視認させないものである。
塗膜層100、102を形成するUV塗料は、たとえばツヤ消し材料の含有量を異ならせており、塗膜層102が塗膜層100よりもツヤ消し材料を多く含ませることで透明度が高くなるように設定されている。これにより、塗膜層102では、内部を導光する光が機器ケース4の表面側から透過することで、一定の発光状態となる。また、塗膜層100は、ツヤ消し材料の含有量を低く設定することで、たとえば透明度が低くなり、内部を導光する光20の透過量が低くなる。またはケース部材6、8の表面部分がツヤ消し材量の含有量を低く設定したことで光沢状態となり、ケース部材6、8は、たとえば外装表面側に対する外光が反射され、塗膜層100内部に導光させる光20を外装側から目視しづらい状態にさせている。この塗膜層102の発光による照度は、たとえばツヤ消し材量の含有量によって設定すればよく、導光した光20を外装側に放出させる発光部54の照度よりも低くなる。
<塗膜層100、102の塗布処理について>
塗膜層100、102の塗布処理では、たとえば図22Aに示すように、樹脂層14に対して色層16が塗布された後、発光部54以外の範囲に、スプレーガン46によって塗膜層100が塗布される。そして図22Bに示すように、発光部54の設定位置に対して塗膜層102が塗布された後、図22Cに示すように、ケース部材6、8の全面に対して紫外線照射器48を利用した硬化処理が行われればよい。
なお、塗膜層100、102の塗布順序は、これに限られず、発光部54側から塗布してもよい。
次に、ケース部材の塗布処理手順について、図23を参照する。図23は、ケース部材の形成処理の一例を示すフローチャートである。
塗料の塗布処理として、既述のように、成形された樹脂層14の外装側に対し、色塗料をスプレーガン42で塗装エリアに均一に塗布し(S31)、赤外線ヒータ44などで熱硬化させて(S32)、色層16が形成される。次に、塗膜層100の形成として、外層側の表面に外表面硬化用の第1のハードコート塗料が塗装エリア内に塗布される(S33)。次に、塗膜層102の形成として、外層側の表面に外表面硬化用の第2のハードコート塗料が塗装エリア内に塗布される(S34)。そして、塗膜層100、102が安定状態となった後に、均一に紫外線照射などによる硬化処理が行われる(S35)。
また、このケース部材6、8は、塗膜層100、102の塗布処理前に発光部54を形成する場合のほか、塗膜層100、102の塗布処理を行った後に、切削加工などによる発光部54の形成処理を行ってもよい。
なお、塗膜層100、102は、たとえばツヤ消し材料の含有量の調整のほか、顔料や染料、または発光材料などの添加などを行ってもよい。これによっても、塗膜層100、102の塗り分けによる発光輝度の調整が可能となる。
斯かる構成によれば、ケース部材6の強度を補強する塗膜層18、100、102を利用して光源12から発した光20をケース部材6の外装表面の全体に導光させるので、別途導光部品を発光位置まで設置する必要がない。また、樹脂層14または塗膜層18、100102に対する加工処理によって、任意の位置および形状に発光部50、52、54を設定でき、機器ケース4の発光状態の自由度が高められる。ケース部材6、8の表面部分または内部に対して導光部材の設置が不要となるので、電子機器2の薄型化が可能となる。
〔第4の実施の形態〕
図24は、第4の実施の形態に係る電子機器の構成例を示している。図24に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図24に示す電子機器2は、樹脂層14の外装側に色層16および光の導光機能を備える塗膜層18を含むケース部材110を備えており、光源12から入光した光20をケース外装面に導光させて所定の発光部24側で発光させる機能を有する。このケース部材110は、樹脂層14の開口部10に嵌合された光源12の周縁側に配置され、ケース部材110の他の平面部分よりも厚く塗膜層18が形成された入光部112を備えている。
この入光部112は、たとえば図25に示すように、塗膜層18を開口部10の周囲の一部または全周に沿って厚く形成することで、隣接した光源12に対向する対向面の面積を増加させている。入光部112の塗膜層18の厚さをd1、平面部分の塗膜層18の厚さをd2とすると、塗膜層18は、たとえば単純計算として、厚さの差分Δd=(d1−d2)だけ光源12に対する表面積を増加させることができる。これにより、入光部112に対する光源12からの光量を増加させる。この電子機器2では、たとえば入光部112からの導光距離に応じて発光部24での光28の放出量が減衰する。そのため、光源12からの離れた位置に発光部24を形成する場合には、発光量を増やす手段として、光源12に対する入光部112の対向面積を増加させて、入光量を多くすればよい。
発光部24から発光させる光量βは、たとえば入光部112からの入光量αと導光距離による減衰率γとの間で、以下の式(1)のような関係がある。
〔発光の光量〕β=〔減衰率〕γ×〔入光量〕α ・・・(1)
ここで減衰率γは、たとえば入光部112からの距離の二乗に反比例する。つまり導光距離の増加に伴って減衰が大きくなる。そして式(1)について、たとえば入光部112を増加させることで発光部24からの光量が増加する。
そこで、ケース部材6、8は、塗膜層18の塗布処理において、ケース部材6、8の平面部分の厚さd2として、たとえば15〔μm〕で形成されるのに対し、入光部112側の厚さd1としてたとえば、30〔μm〕に形成されればよい。このように入光部112は、たとえばケース部材6、8の平面部分に対して塗膜層18の厚さを2倍の厚さで形成すれば、2倍に近い入光量が得られる。これに伴って、発光部24では、たとえば発光量を約2倍程度に増加させることができる。
このケース部材110は、たとえば樹脂層14に対し、光源12を配置させる開口部について、傾斜面で開口させた開口面部120を備えている。また、この開口面部120の面上には、たとえば一定の厚さをもった流動塗膜層122が形成される。この開口面部120は、たとえば塗膜層18の塗布面側との交点が鋭角または直角になるように形成されている。すなわち、開口部10は、たとえば開口面部120がケース部材110の外装表面に対して直交または鋭角の傾斜状に形成されることで、電子機器2のケース内部に向けて同幅、または幅広となる。流動塗膜層122は、樹脂層14または色層16に対する塗膜層18の形成処理において、開口面部120内に流入して形成され、挿入される光源12に接触して嵌合させる。これらの開口面部120および流動塗膜層122によって開口部10が形成される。
なお、後述するように流動塗膜層122は、塗膜層18の形成手法や開口面部120の傾斜角度などに応じて形成され、たとえば形成されない場合もある。
<入光部112の形成状態について>
入光部112は、たとえば図26Aまたは図26Bに示すように、
平面部に対して鋭角で傾斜させた開口面部120、または平面部に対して直交面を形成することで、塗膜層18の一部を堆積させる「塗料溜まり」が形成されて厚くなる。この開口部10の開口面と、ケース部材110の平面とが接する開口端面部分P1は、たとえばケース部材110に対する塗膜処理において、塗布されて流動する塗料が開口部10に対して連続的に流入するのを分断して阻止する分断点として機能する。開口端面部分P1では、たとえばケース部材110の平面側から流れる塗料に対し、開口端面部分P1において開口面部120側への流量を減少させている。塗料は、たとえば開口端面部分P1に流れると、少量の塗料が開口部10内のへ開口面部120に流動するのに対し、大部分の塗料が堆積状態となる。つまり、流動する塗料は、開口端面部分P1において塗料の流動が分断される。この開口端面部分P1は、ケース部材6、8の平面部分に塗布された塗膜層18が開口部10内の塗料と繋がるのを阻止している。
<通常の塗布処理時の開口部10周辺の状態について>
塗膜層18の塗布処理では、たとえば図27Aに示すように、開口部10の外装側を流れる空気の流れL1が層流状またはそれに近い流れとなる。これに対し開口部10内の空気の流れL2は、たとえば開口面部120の表面側の流動抵抗などによって乱流状態となる。そして、ケース内部に流入した空気の流れL3は、たとえば再び層流状またはそれに近い状態となる。
このような空気の流動に対し、外装表面に角Rが形成された開口端面部分P2では、たとえば図27Bに示すように、空気の流れL2によって塗料が通過し、開口面部120側に塗料が流入してしまう。塗布された塗料は、たとえばケース部材110の平面部上で開口部10側に向けてQ1方向に流動し、開口部10周辺で一定量の塗料が溜まることでQ2方向に塗料溜まりが形成されるとともに、開口部10内において、Q3方向に塗料溜まりが形成される。
そして、図27Cに示すように、塗料の平滑化処理が行われると、開口部10の周辺の塗料溜まりは、たとえば開口端面部分P2上においてQ4方向に開口部10内の塗料溜まり130側へ繋がり、流される。このように開口端面部分に角Rが形成されたものでは、塗膜層18の入光部112の面積を大きく形成できない。
これに対し図28Aに示すように、所定角度αとして、たとえば85〔°〕から90〔°〕までの傾斜面で開口させた開口面部120では、塗布処理に対し、一定量の塗料が開口部10内に流入して流動塗膜層122が形成される。そして、塗膜安定化処理において、開口部10の端面では、たとえば図28Bに示すように、開口端面部分P1によって、ケース部材の平面部側の塗料と流動塗膜層122の塗料が繋がり難くなる。そして、開口端面側には、機器ケースの平面部分の平滑化によって集積された塗料溜まり132による入光部112が形成される。
<塗布処理の状態例について>
ケース部材110に対する塗布処理では、たとえば図29A、Bに示すように、開口部10の形成部分の周辺に対し、塗装用支持治具140が利用される。この塗装用支持治具140は、たとえばケース部材110の内面側であって、開口部10の周辺に設置されており、開口部10の直下部分には、塗料を外部に逃がすための排出口142が形成されている。この塗装用支持治具140は、たとえば塗料の吹き付け塗装処理によって開口部10内に流入した塗料をケース部材110の内面側に付着させないシールドとして機能する。
そして、塗装用支持治具140を利用して色層16や塗膜層18の塗膜処理を行うことで、既述のように、傾斜状の開口面部120、および開口端面部分P1によって塗料溜まり132による入光部112が形成される。
<塗布処理について>
図30は、樹脂層に対する塗料の塗布処理例を示している。図30に示す処理内容、処理手順は一例である。
塗料の塗布処理では、たとえば成型された樹脂層14に対し、色塗料をスプレーガン42で塗装エリア全体に均一に塗布し(S41)、その塗料を赤外線ヒータ44などで熱硬化させて(S42)、色層16が形成される。
次に、たとえばUV塗料などの外表面硬化用のハードコート塗料を塗布する(S43)。ハードコート塗料の塗布では、たとえば形成する塗料溜まり132の厚さに応じて、塗布量を調整してもよい。そして塗布したハードコート塗料について、塗装面の安定化処理を行う(S44)。この安定化処理では、たとえば、塗料の塗布量に応じて安定化時間を調整すればよい。また、塗料溜まり132を形成するために、塗装したケース部材110について、開口部10側に向けて傾けるなどの処理を行ってもよい。
塗料の安定化処理の後、塗装エリア全体に対し、紫外線照射などによる硬化処理を行う(S45)。この硬化処理では、たとえば全体を均一に行ってもよく、または厚さが異なる入光部112に対して照射時間や照射量の調整を行ってもよい。
<塗布処理の他の実施例について>
図31Aに示すケース部材110の形成処理では、たとえば塗料溜まりによる入光部112の形成手段として、塗装治具150を用いている。塗装治具150は、開口部10の周辺側に塗料溜まりを形成するために、開口部10内への塗料の流入を阻止する閉塞手段の一例であり、開口部10を貫通させることで、塗料溜まりの形成軸として機能する。この塗装治具150は、たとえばケース部材110の開口部10の開口径に対して同等に設定された外径の軸部152およびケース部材110の内面側に係止可能な係止片154を備えている。
塗装治具150は、ケース部材110の内部側から開口部10内に挿入され、軸部152がケース外装側に向けて一定の突出量hで突出されている。この突出量hは、たとえば形成する塗料溜まりの高さに応じて設定されればよい。そして係止片154は、ケース部材110の内面側に接触して係止されることで、軸部152の突出量を一定にしている。
塗膜層18の形成では、図31Bに示すように、塗装治具150を開口部10内に挿入した状態で、ケース部材110の外装側に塗料が塗布される。これにより、塗料の安定化処理において、開口部10から突出した軸部152の周縁部分に塗料溜まり133が形成される。
そして、塗料の硬化が完了すると、塗装治具150は、図31Cに示すように、ケース部材110の内部側から引き抜かれる。これにより、塗料溜まり133は、軸部152によって型抜き状態となり、入光部112が形成される。
<塗装治具150を利用した塗布処理について>
図32に示す塗布処理では、形成されたケース部材110の樹脂層14に対し、塗装治具150が嵌め込まれる(S51)。そして、樹脂層14は、色塗料をスプレーガン44などで塗装エリアの全体に均一に塗布され(S52)、赤外線ヒータなどによる熱硬化処理が行われ(S53)、色層16が形成される。
次に、色層16の表面側に外表面硬化(ハードコート)塗料が指定されたエリアに塗布され(S54)、塗装面の安定化処理が行われる(S55)。安定化処理が完了すると、塗装エリア全体に対し、紫外線照射による硬化処理が行われる(S56)。
紫外線硬化処理により、塗膜層18が安定した後、塗装治具150の抜取りが行われる(S57)。
なお、塗装治具150を利用した塗料溜まり133の形成では、たとえば開口部10の開口面部120を傾斜させないものであってもよく、また、開口端面部に角Rをもたせたものであってもよい。
斯かる構成によれば、塗料溜まりの形成によって入光部112の面積を大きくし、光源12からの入光量を増大させることで、発光部24からの発光量の増大が図られ、電子機器の装飾機能が高められる。
以上説明した実施形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
(1) 上記実施の形態では、電子機器2の一例として携帯電話機などの携帯型の情報処理装置を示したがこれに限られない。電子機器2は、筐体の外装側に発光機能を備える機器であればよく、PCや通信端末装置、表示装置、家庭用電子機器などを用いてもよい。
(2) 上記実施の形態では、ケース部材6、8の表面側を一体の塗膜層で形成することで、ケース平面部の全面に導光させる場合を示したが、これに限られない。電子機器2のケース部材6、8は、たとえばケースの一定の範囲内に対して導光させるために、ケース部材6、8の樹脂層14上に対し、一定の範囲毎に塗膜層18を分割して塗り分けてもよい。また、樹脂層14の外装側に立壁部を形成して塗膜層18内の導光方向Mを制限さてもよい。
(3) ケース部材6、8には、たとえば塗膜層18の外装表面側に着色塗料を塗布し、または塗膜用の塗料に着色することで、導光方向に光20を指向させてもよいし、外装側への光の放出を阻止させてもよい。
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
(付記1)光源と、
前記光源から発せられた光を外部表面側に放出させる開口部が形成された樹脂層と、該樹脂層の外部表面に塗布され、前記開口部に近接した入光部から光を取り込んで導光するとともに、導光した光によって発光する発光部が形成された塗膜層とを含むケース部材と、
を備えることを特徴とする、電子機器。
(付記2)前記ケース部材は、前記塗膜層の全体内部に光を導光させ、
前記発光部は、前記塗膜層の一部であって、前記ケース部材の端部側または設定位置に形成され、導光された光に対する接触角度を変更させて、導光した光を前記ケース部材の外部に放出させることを特徴とする、付記1に記載の電子機器。
(付記3)前記塗膜層は、前記樹脂層の表面強度を補強するUV塗料を含むことを特徴とする、付記1または付記2に記載の電子機器。
(付記4)前記発光部は、前記塗膜層の内部側または外部側の一部に凹凸部が形成され、該凹凸部によって光の接触角度を変更させることを特徴とする、付記1ないし付記3のいずれかに記載の電子機器。
(付記5)前記発光部は、前記樹脂層の前記塗膜層が塗布される面に形成された凹凸部に対して塗布された前記塗膜層によって形成されることを特徴とする、付記1ないし付記3のいずれかに記載の電子機器。
(付記6)前記入光部は、前記開口部の周囲の一部または全部に沿って、前記塗膜層が厚く形成されたことを特徴とする、付記1ないし付記5のいずれかに記載の電子機器。
(付記7)前記開口部の内周面は、前記樹脂層に対する前記塗膜層の塗布面側に対して鋭角方向または直交方向に形成されたことを特徴とする、付記1ないし付記6のいずれかに記載の電子機器。
(付記8)前記開口部は、前記光源が発した前記光をケース部材の表面側に導く導光部材を備えることを特徴とする、付記1ないし付記7のいずれかに記載の電子機器。
(付記9)光源から発せられた光を外部表面側に放出させる開口部を備える樹脂層を形成し、
該樹脂層の外部表面に、前記開口部に近接した入光部から前記光を取り込んで導光させる塗膜層を塗布して、導光した光によって発光する発光部を形成する、
処理を含むことを特徴とする、電子機器のケース部材の製造方法。
(付記10)前記塗膜層の内部側または外部側の一部に凹凸形状の前記発光部を形成する処理を含むことを特徴とする、付記9に記載の電子機器のケース部材の製造方法。
(付記11)前記発光部は、前記塗膜層の一部であって、前記ケース部材の端部側または設定位置に形成する処理を含むことを特徴とする、付記9または付記10に記載の電子機器のケース部材の製造方法。
(付記12)前記樹脂層の前記塗膜層が塗布される面の一部に凹凸部を形成し、
前記凹凸部に前記塗膜層を塗布して前記発光部を形成する、
処理を含むことを特徴とする、付記9に記載の電子機器のケース部材の製造方法。
(付記13)前記開口部の周囲の一部または全部に沿って、前記塗膜層を厚く形成させる処理を含むことを特徴とする、付記9ないし付記12のいずれかに記載の電子機器のケース部材の製造方法。
(付記14)前記開口面を前記塗膜層の塗布面側に対して鋭角方向または直交方向に形成し、
前記樹脂層に塗布した前記塗膜層の平滑化により、前記開口部の周囲に塗料溜まりを形成させる、
処理を含むことを特徴とする、付記13に記載の電子機器のケース部材の製造方法。
(付記15)前記開口部内に前記塗膜層の流入を阻止する閉塞手段を挿入させ、
前記樹脂層に塗布した前記塗膜層の平滑化により、前記閉塞治具の周囲に塗料溜まりを形成させる、
処理を含むことを特徴とする、付記13に記載の電子機器のケース部材の製造方法。
以上説明したように、本発明の好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。