JP2014195007A - 遮断熱機能を有する太陽光発電フィルム - Google Patents

遮断熱機能を有する太陽光発電フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】
有機薄膜太陽電池に近赤外線および遠赤外線の反射機能を付与した遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】
窓ガラスに設置される太陽光発電フィルムであって、窓ガラス109に接着される接着面となる粘着層101を有するプラスチックフィルム102と、プラスチックフィルム102の裏面側に設置され、導電性高分子中に金属粉末が分散した構成を備える第1の電極103と、キャリア濃度が1.0×1022/cm3以上の導電性金属酸化物で構成される第2の電極107と、第1の電極103および第2の電極107の間に配置された光電変換層105と、第2の電極107の表面を覆う絶縁層108と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムに関する。
太陽電池パネルの発電効率が向上し、性能改善に伴った太陽光発電システムの普及が進んでいる。太陽光発電システムの普及は主に設置面積が潤沢である郊外の太陽光発電所、工場等の大規模事業所、および住宅等の屋根から順次進んでいる。一方、大規模電力消費地である大都市圏では消費エネルギーに対する太陽電池パネルの設置面積が相対的に少なく、自然エネルギーを十分活用できていないのが実情である。大都市のビル等に太陽電池パネルの設置を促進するため、ビル壁面等に設置可能な建材一体型太陽電池パネルの開発も進んでいる。
このように大都市圏のオフィスビル等への自然エネルギーの導入が検討されつつあるが、建材一体型太陽電池パネルなどは設置工事が大規模であり、特に既築物件への設置はコストが大幅に増大する傾向がある。
これに対して、大都市ビル等への自然エネルギー導入手段として、開口部である窓ガラスに発電機能を付与し、かつ窓の開口部から侵入する赤外線に基づく外部熱線を遮断する機能とを複合化した窓サッシやシート状の有機薄膜太陽電池(OPV:Organic Photovoltaics)が提案されている。
前者の窓サッシは、遮熱性を高めた複層ガラスサッシに光透過性のあるアモルファスシリコン太陽電池を含むガラスを用いて、ビル窓面での発電と複層ガラスによる室内の断熱効果を併せ持つ。しかしながら、アモルファスシリコン太陽電池とフロートガラス複層ガラスは窓サッシの形態であるため、既築物件への設置コストを抑えることは困難である。
一方、後者のOPVシートは既存の窓ガラスに貼り付けることができるため、利便性がよく、設置コストの低減につながる。OPVは電子供与体である共役高分子と電子受容体であるアクセプタ分子の混合物から構成される光活性層を含む薄膜で構成され、溶液からの印刷工程で作製でき、シート状などの形状加工も容易である特徴を持つ。また、光透過性を有する光透過型OPVシートを作製することも可能である。例えば、特許文献1には、既存の赤外線反射フィルム(遮熱フィルム)と光透過型OPVシートを貼り合わせた遮熱機能付きの太陽光発電シートが提案されている。
特開2012−186310号公報
屈折率の差を利用した多層フィルムである遮熱フィルムは、近赤外線を遮断する効果に優れるものの、遠赤外線を反射する機能は有していない。そのため、遮熱フィルムにOPVシートを貼り合わせたシート状太陽電池は外気からの近赤外線を遮断する効果に優れるが、室内側の遠赤外線を断熱する機能は持ち合わせていない。その結果、冬場の暖気が窓の開口部を通じて逃げる課題があった。
また、既存の遮熱フィルムにOPVシートを貼り合わせたシート状太陽電池は異なる機能を持つ2枚のシートを必要とするため、2枚のシートそれぞれの原材料費と製造費が必要となる。そのため、OPVシート自体が遮熱機能を有することが望まれる。
本発明は、有機薄膜太陽電池に近赤外線および遠赤外線の反射機能を付与した遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明は、窓ガラスに設置される太陽光発電フィルムであって、前記窓ガラスに接着される接着面となる粘着層を有するプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの裏面側に設置され、形状に異方性を有する金属粉末が導電性高分子中に分散した構成を備える第1の電極と、キャリア濃度が1.0×1022/cm3以上の導電性金属酸化物で構成される第2の電極と、前記第1の電極および第2の電極の間に配置された光電変換層と、前記第2の電極の表面を覆う絶縁層と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、ビルなどの建築物の窓の室内側から貼付によって設置が可能な有機薄膜太陽電池に近赤外線および遠赤外線の反射機能を付与した遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを提供できる。
第1の実施形態に係る太陽光発電フィルムの断面図の一例である。 第1の実施形態に係る太陽光発電フィルムの作製方法を示す模式図である。 第2の実施形態に係る太陽光発電フィルムの断面図の一例である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。以下の実施形態は一例であって、本実施形態によって、本発明が何ら制限されるものではない。
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、図面を参照しながら遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムの実施形態について詳細に説明する。この実施形態は一例であって、本発明を実施するに当たり何ら制限されるものではない。図面において、同一の要素については同一の符号を付し、同一の要素の符号は一部を省略する。また、図面は模式図であり、寸法が限定されるものではない。
図1は遮断熱機能を有する太陽光発電フィルム100の第1の実施形態を示す断面模式図である。本実施形態の太陽光発電フィルム100は、窓ガラスの室内側に貼り付けて使用され、太陽光発電による発電とともに、室外側からの近赤外線と室内側からの遠赤外線を反射する機能を備える。太陽光発電フィルム100は、第1の電極103と第2の電極107の間に光電変換層105が配置された発電部と、発電部と外部の絶縁を確保するために発電部の外側に設けられたプラスチックフィルム102、絶縁層108を基本構成とし、プラスチックフィルム102の表面に設けられた粘着層101によって窓ガラス109に貼り付けられる。
本実施形態の太陽光発電フィルム100では、窓ガラス側(室外側)に位置し、受光面となる第1の電極103に室外側からの近赤外線を反射する機能を有する電極を使用し、室内側に位置する第2の電極107には室内側の暖気に相当する遠赤外線を反射する機能を有する電極を使用したことを特徴とする。すなわち、第1の電極103と第2の電極107はそれぞれ太陽光発電フィルムの透明電極として機能すると同時に、窓ガラス等の被着体側からの近赤外線を反射する機能を第1の電極103が兼ね、室内側の暖気に相当する遠赤外線を反射して室内断熱する機能を第2の電極107が兼ねることによって、太陽光発電フィルムの構成部材点数を減らして、遮断熱機能を実現している。
ここで、第1の電極103と第2の電極107の位置関係が重要となる。例えば、遠赤外線を反射する機能を有する第2の電極107よりも室内側に光電変換層105や第1の電極103があると、室内側からの遠赤外線を光電変換層105、第1の電極103が吸収し、温度の低い窓ガラス側に熱伝導によって熱が逃げやすくなる。これは、第2の電極107では熱拡散による放熱を抑制することができないためである。したがって、室内の暖気を断熱するためには太陽光発電フィルムの遠赤外線の吸収量を極力抑えることが重要となる。そこで、本実施形態の太陽光発電フィルム100では、室内側に位置する第2の電極に遠赤外線を反射する機能を付与することによって、太陽光発電フィルムで吸収される遠赤外線の吸収量を抑制している。このように、従来の遮熱フィルムでは困難であった遠赤外線の反射機能が付与されているため、室内の断熱効果を向上することができる。
なお、発電部である有機薄膜太陽電池の構成としては、図1に示したように第1の電極103と光電変換層105の間に電子ブロック層104を設け、光電変換層105と第2の電極107の間に正孔ブロック層106を設けることが、光電変換効率の観点から好ましい。なお、電子ブロック層104および正孔ブロック層106のいずれか一方を設けた構成であってもよい。また、有機薄膜太陽電池の層構成としては、これらの構成に限定されるものではなく、本実施形態の第1の電極103と第2の電極107の関係を満たせば公知の構成を採用することが可能である。
以下、本実施形態の太陽光発電フィルムの各構成について説明する。本実施形態では、第1の電極103を陽極、第2の電極107を陰極とした事例を説明する。
(第1の電極)
第1の電極103は、有機薄膜太陽電池の電極としての機能と1000nm以上の近赤外線を反射する機能を備えるものである。具体的には、導電性高分子中に形状に異方性を有する金属粉末が分散した構成の電極を適用することで両者の機能を実現することができる。
金属粉末は金属の有する仕事関数と自由電子の効果によって、近赤外を反射する機能を有している。金属粉末を導電性高分子中に分散させることによって、1000nm以上の近赤外線を反射する機能を有する電極とすることができる。ここで、導電性高分子中に分散させる金属粉末としては形状に異方性を有するものを用いることが好ましい。これは、球状の金属粉末よりも形状に異方性を有する金属粉末の方が近赤外線の反射効果が高いためである。また、その結果、導電性高分子中に分散させる金属粉末の含有量を低くでき、電極の可視光に対する透明性を確保できる。また、形状に異方性を有する金属粉末は互いに絡みやすくなることから、電極のシート抵抗を低減する効果も得られる。
金属粉末の形状としては、例えば板状、ワイヤー状などが挙げられる。例えばナノワイヤー状の銀微粉末を用いると、ワイヤー同士の絡み合いによってシート抵抗を低減することができる。また、板状の銀微粉末を用いると、外気から入射してきた近赤外光を積極的に反射し、室内の温度上昇を抑制することができる。シート抵抗の低減と近赤外光の反射を両立させるため、複数の異方性形状を有する金属微粉末を混合することがさらに望ましい。
また、金属粉末のサイズとしては、金属微粒子による光散乱が抑制される必要があるため、例えばナノワイヤーのサイズは直径20nmから100nmであって、長さは100nmから1000nmの間が望ましく、この範囲内であれば透過性の高い電極を得ることができる。一方、近赤外線の反射機能を高めるためには板状の微粒子を混合することがさらに望ましく、板状サイズは受光面(板面)の面積が10000nm2〜1000000nm2であって、板厚は20nmから100nmが望ましく、この範囲内であれば近赤外線の反射効果が大きく、可視光線波長の散乱を抑制できる。
金属粉末の材料としては、銅や銀などの導電性の高い金属を用いることができ、特に制限はないが、ナノワイヤー状や板状など異方性形状の加工が容易であって、導電性を確保できる銀が特に望ましい。
導電性高分子としては、Poly−3,4−ethelenedioxythiophene SodiumPolysulfonate(PEDOT−PSS)などの導電性の高分子を用いることができる。PEDOT−PSSの他にも、導電率が10-6S・cm以上であり、第二の電極よりも仕事関数が深い高分子材料であれば導電性高分子として用いることができる。なお、導電性高分子としては、製造プロセスの観点から光電変換層を侵食しない溶媒に溶解または分散できることが望ましい。
第1の電極の作製方法としては、導電性高分子と金属粉末を任意の割合で混合した液体を適当な方法で塗布する方法などを用いることができる。一例として、導電性高分子であるPEDOT−PSS分散液をスピンコートやスプレー等の方法で塗布し、イソプロピルアルコールの0.1wt%から2wt%の濃度で分散した銀粉末分散液をその上にスピンコートやスプレーなどの方法で積層塗布し、さらに金属粉末を固定化するためにPEDOT−PSS分散液やチタンテトライソプロピルアルコール分散液を積層塗布した、積層構造の導電薄膜を得ることが可能である。
第1の電極103はシート抵抗が50Ω/□以下、望ましくは20Ω/□以下とすることが好ましい。かかるシート抵抗の確保のためには、金属粉末の異方性と含有量が重要であって、例えば金属粉末の含有量を満たすためには0.1wt%から2wt%のイソプロピルアルコール分散液を作製して、その分散液を任意の塗布方法で塗布することによって確保できる。
第1の電極103の厚みは特に制限はないが、光電変換層への透過率の確保、低いシート抵抗の確保、第1の機能を確保するため、0.05μm〜0.5μmの間の適切な値に設定することができる。
(第2の電極)
室内側に設けられた第2の電極107は有機薄膜太陽電池の電極としての機能と、波長2500nm以上の遠赤外線を反射する機能を備えるものである。具体的には、キャリア濃度が1.0×1022/cm3以上の導電性金属酸化物で構成される電極を適用することで両者の機能を実現することができる。
導電性金属酸化物は有機薄膜太陽電池の電極として一般的に使用されており、電極として必要な透明性やシート抵抗を満足するものである。導電性酸化物の種類は透明性やシート抵抗を満足すれば特に制限はないが、例えば、インジウムドープ酸化スズ(ITO)やアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO),アルミニウムドープ酸化スズ(ATO)などが挙げられる。シート抵抗は50Ω/□以下、望ましくは20Ω/□以下とすることが望ましい。
本実施形態では、遠赤外線の反射機能を付与するために導電性酸化物のキャリア濃度を1.0×1022/cm3以上としたことを特徴とする。導電性酸化物の反射波長領域および反射率は酸化物のバンドギャップおよび導電性酸化物のキャリア濃度によって決まることが広く知られている(例えば、Applied Physics Letters 87巻 161107頁、2005年)。このように導電性酸化物の反射波長領域および反射率はキャリア濃度に依存し、導電性酸化物のキャリア濃度を1.0×1022/cm3以上とすることによって、本発明で目的とする2500nm〜5000nmの波長域の遠赤外線の反射を達成できる。なお、キャリア濃度が1.0×1022/cm3未満では遠赤外線の反射機能が不十分であることを実験で確認している。
キャリア濃度が1.0×1022/cm3以上の導電性酸化物を作製する手法としては、例えば、スパッタチャンバー内に水(水蒸気)を添加してチャンバー内の圧力を0.01〜0.1Paの条件でスパッタし、成膜した導電性酸化物を150度程度の所定温度でアニールして結晶化を進行させることによって作製することが可能である。キャリア濃度は、チャンバー内の圧力やアニール条件を変更することによって調整することができる。
第2の電極の厚みは、シート抵抗、キャリア濃度、遠赤外線の反射機能を満足すれば特に制限はないが、0.05〜1.0μmの間の適切な値に設定することができる。
(光電変換層)
光電変換層105は電子受容性分子(n型有機半導体分子)および電子供与性分子(p型有機半導体分子)を混合し、相分離構造を有するバルクヘテロ接合型の形態をとる。
n型有機半導体分子は、フラーレン誘導体やペリレン誘導体など電子受容性の機能を有すれば特に制限はない。遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムの被着体は窓ガラス等が想定されるため、窓ガラスに近い着色や光散乱防止などの意匠性を考慮してフラーレン誘導体が特に好ましく、p型有機半導体分子との相分離構造の安定性や溶媒への溶解性から判断すると、6,6‘−Phenyl−C61−Butyric acid Methyl ester(C61−PCBM)などがより好ましい。
p型有機半導体分子は可視光線に吸収を持つ分子であって、n型有機半導体に対して電子供与可能であれば特に制限はない。p型有機半導体は遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムの被着体は窓ガラス等が想定されるため、意匠性を考慮して、緑や青を基調として、人間の視認性ではほぼ透明に見える波長700nm以上で光吸収する分子などが特に好ましい。そのような分子として、例えばPB3OTBやAPFO Green1,APFO Green2などを挙げることができ、これら分子を用いると青色ないしは緑色の着色を持ったフィルムを得ることができる。また、poly(2,6‘−4,8−bis(5ethylhexylthienyl)benzo[1,2−b3,4−b]dithiophene−alt−5dibutyloctyl−3,6−びs(5−bromothiophene−2yl)pyrrolo[3,4c]pyrrolo―1,4dione)(PBDTT−DPP)を用いた場合、吸収波長が550nm〜900nmの範囲であるので、視認性がほぼ透明に作製することが可能となる。
光電変換層に含まれるp型有機半導体分子およびn型有機半導体分子は近赤外光反射電極で反射された波長1000nm以上の近赤外光を除く可視光線および波長2500nm以上の遠赤外線を吸収し、光電変換および一部は熱に変換される。この際、近赤外線が第1の電極で反射されるため、光電変換層で熱変換される熱量は小さくなる。また、光電変換層の熱伝導率が低く、熱の拡散速度が遅いために光電変換層で熱変換された熱による室内の温度上昇を防ぐことができる。このように、第1の電極の近赤外反射による効果と相乗して、太陽光発電フィルムの光電変換層による遮熱によって、より大きな遮熱効果を得ることができる。
光電変換層105の厚みは有機薄膜太陽電池の有する電荷輸送の性能と、視認性や光吸収強度および熱伝導等を考慮して決定される。光電変換層の厚みが0.1μm以下の場合、光吸収量が少なくなり、太陽光発電の機能が大きく損なわれる。一方、光電変換層の厚みが0.5μm以上の場合は、光吸収量が大きくなるため視認性の低下、また電荷輸送機能が極端に低下するため、太陽光発電の性能が下がる。また、光吸収量が増加する一方、光電変換層の熱伝導率は低いために、遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムの内部に熱がこもり、ガラスとの熱膨張係数差に基づく「熱割れ」が起こりやすくなる。したがって、光電変換層105の厚みは0.1μm以上0.5μmが好ましい。
(電子ブロック層)
電子ブロック層104は陽極となる第1の電極103と光電変換層105の間に設けられ、光電変換層105で生成される電荷のうち、負電荷が第1の電極103と再結合することを抑制する機能を有する。このような機能を有する電子ブロック層104としては例えばpoly(3,4−ethylenedioxythiophene)−polysthylenesulphonate(PEDOT−PSS)などの正孔輸送有機材料や、酸化ニッケルNiO,酸化タングステンWOxなどの無機薄膜を用いることができる。電子ブロック層104は負電荷の再結合防止機能を満足すれば、特に制限はないが、電子ブロック層104に金属酸化物を用いた場合には酸素透過率を低下できるため、耐久性を向上させることが可能である。電子ブロック層104は負電荷の再結合防止機能と電荷輸送性を維持する膜厚であれば、特に制限はない。例えばPEDOT−PSSでは20〜50nm、酸化ニッケルや酸化タングステンの場合には5〜10nmが適当である。
(正孔ブロック層)
正孔ブロック層106は第2の107と光電変換層105の間に設けられ、光電変換層で生成される電荷のうち、正電荷が第2の電極107と再結合することを抑制する機能を有する。このような機能を有する正孔ブロック層106としては酸化亜鉛ZnOや酸化チタンTiOxなどの金属酸化物を挙げることができる。正孔ブロック層106の膜厚は正電荷の再結合防止と電荷輸送特性を維持できれば特に制限はないが、5〜10nm程度が望ましい。
(絶縁層)
第2の電極107は電極として機能するため、室内側の絶縁確保と摩耗傷防止のために絶縁層108を設ける。絶縁層の種類は絶縁性が確保できれば特に制限がなく、窒化シリコンSiNや酸化シリコンSiOx、各種プラスチックフィルムを使用できる。室内側に設けられる絶縁層108は遠赤外線の吸収量を極力抑える必要があるため、無機物質である窒化シリコンSiNや酸化シリコンSiOxがより好ましい。絶縁層の厚みは絶縁性を確保できる0.1〜1.0μmの任意の値を設定できる。
(プラスチックフィルム)
プラスチックフィルム102は貼付時の形状保持および貼り替え時の便宜性のために設けるものであって、通常のプラスチックフィルムのようにフィルムとしての強度は必要なく、貼付時の形状保持および貼り替え時の便宜性を満足すればよい。フィルムの材質は可視光線の透過性が80%以上であることが望ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系フィルムやシンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)などを用いることができる。プラスチックフィルムの厚みは貼付時の形状保持および貼り替え時の便宜性を満足すればよいため、特に限定されないが、10μm以上100μm以下の任意の厚みでできるだけ薄い方がより好ましい。
有機薄膜太陽電池では酸素雰囲気化での光および熱に伴う酸化反応による劣化が報告されている。これに対して、プラスチックフィルム102と粘着層101の間に酸素透過性を抑制する窒化シリコンや酸化シリコンをはじめとするガスバリア膜をコートしてもよく、これにより耐久性を向上できる。しかしながら、本発明の場合、被着体が窓ガラスをはじめとする無機物質であることが多いため、ガスバリア膜を設けることは必ずしも必要ない。
(粘着層)
窓ガラス等の被着体と遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを貼付するために粘着層101をプラスチックフィルム102の表面に設置する。粘着層101は既知の粘着剤を用いることができ、例えばアクリル系、ポリエステル系、ゴム系、シリコーン系およびポリウレタン系などを用いることができる。耐候性の観点からアクリル系が特に好ましい。
(第1の実施形態の作製事例)
続いて、第1の実施形態の作製例を図2に従って説明する。なお、図2は本発明の第1の実施形態を説明する一例であって、この作製法に制限されるものではない。また、図2は模式図であり、図2の表示によって何ら寸法の制限を受けるものではない。
本発明によると、第2の電極107はキャリア濃度が1.0×1022/cm3以上の導電性酸化物を成膜する必要があるため、耐久性の高い基材上に形成する必要がある。そのため、図2に示すように離形材211を伴った基材シート210に順次薄膜を形成する方法を取ることによって、光電変換層105にスパッタリングなどによるダメージを与えることなく形成できる。基材シート210は第2の電極107を形成するために設けられるシートであり、耐熱性が要求される。例えばポリイミド(PI)やポリエーテルイミド(PEI)などの任意の樹脂フィルムを用いることができる。この基材シート210の上に離形材211を形成する。離形材211は絶縁層108と離形するために設ける樹脂であり、耐熱性と離形安定性が求められる。このような離形材211として、例えばシリコーン系樹脂などを挙げることができる。離形材211は基材シート210の上に、スリット、ディップなど任意の方法で塗布形成し、乾燥処理される。
離形材211の上に絶縁層108をスパッタリングや化学堆積法(CVD法)などの任意の方法で形成する。この絶縁層108の上に第2の電極107をスパッタリングなどの方法で形成する。この結果、1.0×1022/cm3以上のキャリア濃度が確保された第2の電極を得ることができる。
第2の電極107の上に正孔ブロック層106を形成する。形成方法は印刷方式となるディップ法やスリットコーター、スプレー法など任意の方法で形成できる。また、スパッタリングなど乾式方式でも形成可能である。
光電変換層105はp型有機半導体分子とn型有機半導体分子を任意の割合で混合し、オルトジクロロベンゼンやモノクロロベンゼン、クロロホルムをはじめとするハロゲン系溶媒等に溶解させて、混合溶液を形成する。この溶液を正孔ブロック層106上に印刷方式となるスリットコーターやメニスカスコーター、インクジェット等の手段によって塗布し、その後乾燥させる。
電子ブロック層104は例えばPEDOT−PSSの場合はスリットコーターなどの印刷方式によって薄膜形成した後、乾燥させる。
第1の電極103は、PEDOT−PSSをはじめとする導電性高分子にアモルファス酸化チタン微粉末とナノワイヤー状銀微粉末および平板状銀微粉末を所定の分量下混合し、スリットコーターなどの塗布方法で形成する。その後、プラスチックフィルム102をラミネートによって形成することができる。
プラスチックフィルム102上にアクリル系粘着剤を塗布工程によって形成し、保護フィルムを貼り付けて遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムが完成する。なお、離形材211および基材シート210は、保護フィルムを貼り付け後、または、太陽光発電フィルムを窓ガラスに貼り付ける際に絶縁層108から剥離される。また、保護フィルムは太陽光発電フィルムを窓ガラスに貼り付ける際に剥離される。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態のうち、絶縁層108をプラスチックフィルムと無機薄膜を積層した構造に置き換えることによって、より絶縁性を高めることが可能となる。第2の実施形態を図3に示す。図3は第2の実施形態の断面模式図であって、本発明の実施形態を何ら制限するものではない。また、図3は模式図であって、第2の実施形態の寸法を何ら制限するものではない。なお、第1の実施形態と重複する部分は省略して説明する。
(第2の電極の絶縁性向上)
第1の実施形態において、第2の電極107は電極であるため、その絶縁性は絶縁層108によって確保されている。絶縁層108は遠赤外線の反射機能を重視するため、遠赤外線の吸収をできるだけ抑えるために無機薄膜を用いている。
第2の実施形態は無機薄膜310とプラスチックフィルム311を積層して設置した例である。プラスチックフィルム311は可視光線透過率が80%以上あり、絶縁性が確保されていればよく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系フィルムやシンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)などを用いることができる。
本実施形態の構成では、無機薄膜よりもプラスチックフィルムが遠赤外線を吸収しやすいために断熱性能は第1の実施形態よりも劣る傾向にあるが、第1の実施形態よりも長期信頼性の観点で優れる。絶縁層として無機薄膜のみを用いた場合、無機薄膜は露出面となることから接触を繰り返すことによって無機薄膜の一部が剥離して絶縁低下を招く場合がある。これに対して、無機薄膜よりも機械的強度に優れるプラスチックフィルム311を無機薄膜310の表面に形成することによって、絶縁信頼性を向上させることができる。
(実施例)
本発明を実施するに当たり、第1の実施形態を事例として、以下実施例を説明する。なお、以下の実施例は本発明を実施するための一例であり、本発明を何ら制限するものではない。
(実施例1)
図2を用いて、実施例1で作製する遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムについて説明する。
(有機薄膜太陽電池(OPV)の作製)
まず、125μm厚の透明ポリエステルフィルムの基材シート210上に、離形材として粘着性シリコーン樹脂を0.1μm塗布し、離形材211を形成した。その後、絶縁層108として、窒化シリコン薄膜を100nm形成した。絶縁層108に接する形で、第2の電極107としてITO膜をスパッタリングにより、厚さ300nmで形成した。スパッタリングは、スパッタチャンバー内に水を添加してチャンバー内の圧力を0.01〜0.1Paの条件でスパッタし、150度でアニールすることでITO膜を形成した。ITO膜の表面シート抵抗は10Ω/□であり、キャリア濃度は1.0×1022/cm3であった。なお、電極のキャリア密度は薄膜電極のキャリア濃度を評価する4端子法を用いて測定することができる。次に、2−プロパノールで洗浄したITO膜の上に、正孔ブロック層106として酸化チタン薄膜をチタンテトライソプロポキシドのエタノール溶液を塗布し、110℃で10分間乾燥処理することによってゾルゲル法により厚さ10nmで形成した。
正孔ブロック層106の表面にPBDTT−DPP及びC61−PCBM([6,6]−フェニル−C61ブチリックアシッドメチルエステル)(重量比1:2)をジクロロベンゼンに溶解した溶液(溶液濃度0.7wt%)を塗布し、90℃で10分間乾燥させて、厚さ120nm(乾燥後)のバルクへテロ接合型の光電変換層105を形成した。
続いてPEDOT:PSS(ポリ(3,4)―エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネイト)の水分散液(H.C.Starks社製 CLEVIOS P VP4083)を塗布し、120℃で10分乾燥させて、厚さ40nmの電子ブロック層104を形成した。
電子ブロック層104の表面に、銀ナノワイヤ(Blue Nano社製)が分散された2−プロパノール分散液(0.03mg/ml)と平板状銀微粉末が分散された2−プロパノール分散液(0.02mg/ml)およびチタンテトライソプロポキシドが分散された2−プロパノール溶液(0.1wt%)の混合液を塗布し、80度で10分間熱処理した。さらにPEDOT:PSSの水分散液を塗布し、120℃で10分乾燥させて第1の電極103を形成した。第1の電極103の厚みは150nmとした。
上記で得られた遮断熱機能を有する有機薄膜太陽電池フィルムに厚さ50nmのプラスチックフィルム102をラミネートにより接合し、プラスチックフィルム102に粘着層101としてアクリル系樹脂を塗布し、剥離フィルムを設けて、遮断熱機能を有する太陽光発電フィルム100を完成させた。
(実施例2)
金属粉末の混合量を増やして第1の電極103の厚みを300nmとした以外は、実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例3)
金属粉末の混合量を減らして第1の電極103の厚みを50nmとした以外は、実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例4)
実施例1の銀ナノワイヤーと平板型銀微粉末を、平板状銀微粉末のみの分散液(0.05mg/ml)に変更して第1の電極103を作製した以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。この際の第1の電極の厚みは150nmであった。
(実施例5)
実施例1の銀ナノワイヤーと平板型銀微粉末を、銀ナノワイヤーのみの分散液(0.05mg/ml)に変更して第1の電極103を作製した以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。この際の第1の電極の厚みは150nmであった。
(実施例6)
金属粉末の混合量を増やして実施例5の第1の電極103の厚みを300nmに変更した以外は実施例5と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例7)
金属粉末の混合量を減らして実施例5の第1の電極103の厚みを50nmに変更した以外は実施例5と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例8)
光電変換層105の厚みを200nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例9)
光電変換層105の厚みを300nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例10)
光電変換層105の厚みを50nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例11)
第2の電極107の厚みを500nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例12)
第2の電極107の厚みを80nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例13)
プラスチックフィルム102の厚みを20nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例14)
プラスチックフィルム102の厚みを100nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例15)
実施例1のうちバッファ層104の厚みを10nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(実施例16)
実施例1のうちバッファ層106を5nmとした以外は実施例1と同様の方法によって遮断熱機能を有する太陽光発電フィルムを作製した。
(比較例1)
比較例として、第1の電極の材料を導電性高分子と銀メッシュの複合構造とし、第2の電極をキャリア濃度が1.0×1020/cm3のITO膜とし、市販の遮熱フィルムを張り合わせた構成の太陽光発電フィルムを作製した。
まず、125μm厚の透明ポリエステルフィルムの基材シート上に、離形材として粘着性シリコーン樹脂を0.1μm塗布し、離形材を形成した。その後、絶縁層として、窒化シリコン薄膜を100nm形成した。絶縁層108に接する形で、第2の電極としてITO膜をスパッタリングにより、厚さ300nmで形成した。この際、スパッタチャンバー内への水の添加と成膜後のアニールは行わずにITO膜を形成した。ITO膜の表面シート抵抗は10Ω/□であり、キャリア濃度は1.0×1020/cm3であった。次に、2−プロパノールで洗浄したITO膜の上に、正孔ブロック層として酸化チタン薄膜をチタンテトライソプロポキシドのエタノール溶液を塗布し、110℃で10分間乾燥処理することによってゾルゲル法により厚さ10nmで形成した。
正孔ブロック層の表面にPBDTT−DPP及びC61−PCBM([6,6]−フェニル−C61ブチリックアシッドメチルエステル)(重量比1:2)をジクロロベンゼンに溶解した溶液(溶液濃度0.7wt%)を塗布し、90℃で10分間乾燥させて、厚さ120nm(乾燥後)のバルクへテロ接合型の光電変換層を形成した。
続いてPEDOT:PSS(ポリ(3,4)―エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネイト)の水分散液(H.C.Starks社製 CLEVIOS P VP4083)を塗布し、120℃で10分乾燥させて、厚さ40nmの電子ブロック層を形成した。
電子ブロック層の表面に、得られた光電変換層の上から再度PEDOT:PSS(ポリ(3,4)―エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネイト)の水分散液(H.C.Starks社製 CLEVIOS P VP4083)を塗布し、120℃で10分して厚さ80nm(乾燥後)の導電性高分子層を形成した。さらに導電層2b上に、グラビア用導電性銀インク(東洋インク社製)を用い、グリッド線の太さが25μm、グリッドのピッチ(グリッド線の内側の距離)が250μmのマイクログリッドをグラビア印刷で印刷してグリッド電極を形成し、第1の電極を得た。
上記で得られた有機薄膜太陽電池フィルムに市販遮熱フィルム(住友スリーエム製、nano80sシリーズ)をラミネートにより接合し、プラスチックフィルム102に粘着層101としてアクリル系樹脂を塗布し、剥離フィルムを設けて、遮断熱機能を有する太陽光発電フィルム100を完成させた。
(比較例2)
第2の電極のキャリア濃度を1.0×1021/cm3にした以外は比較例4と同条件で太陽光発電フィルムを作製した。
(比較例3)
第2の電極のキャリア濃度を1.0×1020/cm3とした以外は実施例1と同様の条件で太陽光発電フィルムを作製した。
(比較例4)
第1の電極を以下の要件で作製した以外は実施例1と同様に太陽光発電フィルムを作製した。第1の電極の作製方法は、電子ブロック層104の表面に、得られた光電変換層1の上から再度PEDOT:PSS(ポリ(3,4)―エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネイト)の水分散液(H.C.Starks社製 CLEVIOS P VP4083)を塗布し、120℃で10分して厚さ80nm(乾燥後)の導電性高分子層を形成した。さらに導電層2b上に、グラビア用導電性銀インク(東洋インク社製)を用い、グリッド線の太さが25μm、グリッドのピッチ(グリッド線の内側の距離)が250μmのマイクログリッドをグラビア印刷で印刷してグリッド電極を形成し、第1の電極を得た。
実施例及び比較例で得られた太陽光発電フィルムおよび積層体の粘着剤層を市販の窓ガラス(旭硝子(株)社製フロート板ガラス)に貼り付けてサンプルとし、可視光透過率、日射反射率、日射透過率、温度差、赤外線カット率、熱割れ性、飛散防止、発電効率を測定又は評価した。得られた結果を作成した太陽光発電フィルムの条件とともに表1に示す。
これらの特性は、JIS A5759(建築窓ガラス用フィルム)およびJIS R3106(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)に基づいて、以下の方法によって評価した。
(a)可視光透過率;波長380nmから780nmの透過率について、JIS A5759に準じ日立製作所製 分光光度計U−4100にて測定した
(b)日射反射率:日射と規定される波長300nmから2100nmについて、JIS A5759に準じて日立製作所製分光光度計U−4100にて測定した
(c)日射吸収率:日射と規定される波長380nmから2100nmについて、JIS A5759に準じて日立製作所製 分光光度計U−4100にて測定した
(d)温度差:150W電球を30分点灯した後の、サンプルを貼り付けたガラスの、電球と反対側の温度を、ガラスから100mm離した位置で測定し、通常のガラスの場合との温度差を計算した。
(e)近赤外線反射率および遠赤外線反射率 :JIS R3106で規定されている放射率算出方法に準じてパーキン エルマー製フーリエ変換赤外分光装置スペクトラム100にて近赤外線は波長1000nmから2500nmについて、遠赤外線は波長2500nmから5000nmについての反射率を測定した。
(f)発電効率:以下の測定装置により、光量AM1.5、1SUNの条件で、0.28cm2あたりの発電効率(η)を測定した。
使用装置:ソーラーシミュレータ:セリート株式会社製、IVカーブアナライザー:英弘精機製
表1の結果から実施例1〜16ではいずれも近赤外線反射率が40%以上、遠赤外線反射率が20%以上となり、OPVの電極構成によって近赤外線および遠赤外線の反射機能が得られることが分かる。
遠赤外線反射率に関しては、キャリア濃度が1.0×1022/cm3のITOを第2の電極とした実施例1の遠赤外線反射率38.0%に対して、キャリア濃度が1.0×1021/cm3の比較例2では遠赤外線反射率9.0%、キャリア濃度が1.0×1020/cm3の比較例1,3では遠赤外線反射率3.0%であった。この結果からキャリア濃度の増加に伴って遠赤外線反射率が増加する傾向にあること、および、キャリア濃度を1.0×1022/cm3以上とすることで遠赤外線反射率が大幅に上昇することが分かる。また、比較例1、2は遮熱フィルムを貼り付けて遮熱機能を付与したもので、近赤外線反射率については本実施例と同等の値を示すが、上記のように遠赤外線反射率は低い値を示している。この結果から、遮熱フィルムは遠赤外線の反射機能を有していないことが分かる。
比較例4は、遮熱フィルムを使用せずに第1の電極として従来の導電性高分子と銀メッシュを組合せた電極を用いた例である。比較例4では、近赤外線反射率が1.0%となり、従来の電極構成では近赤外線の反射機能を有していないことが分かる。実施例と比較例4の結果から、第1の電極に導電性高分子中に金属粉を分散させた電極によって近赤外線の反射機能が付与されていることが分かる。
また、変換効率についても実施例1〜8,11,13〜15は比較例1〜4と同等かそれ以上の値を示した。これは、以下の理由によるものである。比較例1,2,4の従来の導電性高分子と銀メッシュを組合せた電極を第1の電極に用いた場合には可視光透過率が20.0%であるが、本実施例の導電性高分子中に金属粉を分散させた電極では可視光透過率を35%以上と高くできるために変換効率が上昇している。また、第2の電極のキャリア濃度の増加によって変換効率が向上している。このことは、キャリア濃度のみを変更した比較例1,2の結果からも確認できる。
次に、実施例1を基準に実施例2−16の結果を説明する。実施例2は金属粉末の含有量を増やして第1の電極の厚みを増大させた例である。その結果、電極における日射吸収率が増大し、変換効率は減少した。また、金属粉末の含有量の増加によって近赤外線反射率が増大した。逆に実施例3は実施例1に対して金属粉末の含有量を減らして第1の電極の厚みを薄くした例である。その結果、電極での日射吸収率が減少するため、可視光透過率が増大した。その一方で光電変換層に届く光量は増大するが、電極厚みが薄く、金属粉末の含有量が低下した結果、電極のシート抵抗が高くなり変換効率は減少した。また、金属粉末の含有量の低下によって近赤外線反射率も低下した。
実施例4では電極材料として平板状の金属粉末のみを用いている。第1の電極での日射吸収率の減少により、変換効率がやや増加することが確認された。一方、ワイヤー状の金属粉末のみを用いた場合は、可視光透過率は増大したが、電極のシート抵抗が低下するため、変換効率は実施例1と同等もしくはやや低下する結果となった。また、実施例6は実施例5に対してワイヤー状の金属粉末の含有量を増やして第1の電極の厚みを増大させた例、実施例7は実施例5に対してワイヤー状の金属粉末の含有量を減らして第1の電極の厚みを薄くした例である。変換効率および近赤外線反射率の傾向は実施例1〜3と同様であった。
実施例1に対して光吸収層の厚みを変更した実施例8〜10は、いずれも実施例1よりも変換効率は減少した。実施例1よりも光吸収層の膜厚が増大した場合は発電によって生成された電荷の輸送経路が長くなるため、再結合などの損失が増大し、逆に光吸収層の膜厚が減少した場合は光吸収量自体の減少に伴って生成電荷の数量が減少するために発電効率は減少する。
実施例11、実施例12は第2の電極の厚みを変更した例である。厚みの増大による変換効率の変化は大きくないが、厚みの減少は変換効率の低下に影響する。電極厚みがシート抵抗に対して大きく影響するためである。一方、遠赤外線反射率は第2の電極の厚さが厚くなるに従って増加することが分かる。
実施例13、実施例14はガラス面に設置するための構造支持体であるプラスチックフィルムの厚みを変更した例である。厚みの増減では発電に伴う光吸収に影響を与えないため、変換効率への影響は小さい。
実施例15、実施例16はバッファ層の厚さを変更した例である。バッファ層の厚さによって変換効率が大きく変動する。有機薄膜太陽電池ではバッファ層の種類、厚みを最適化することが望ましい。
以上の実施例、比較例より、本発明の条件を適切に満たす場合には、窓からの光による発電と外界からの近赤外線の遮断、室内の遠赤外線の断熱が確保されることが確認された。
100 太陽光発電フィルム
101 粘着層
102 プラスチックフィルム
103 第1の電極
104 電子ブロック層
105 光電変換層
106 正孔ブロック層
107 第2の電極
108 絶縁層
109 窓ガラス
210 基材シート
211 離形材
310 無機薄膜
311 プラスチックフィルム

Claims (12)

  1. 窓ガラスに設置される太陽光発電フィルムにおいて、
    前記窓ガラスに接着される接着面となる粘着層を有するプラスチックフィルムと、
    前記プラスチックフィルムの裏面側に設置され、導電性高分子中に金属粉末が分散した構成を備える第1の電極と、
    キャリア濃度が1.0×1022/cm3以上の導電性金属酸化物で構成される第2の電極と、
    前記第1の電極および第2の電極の間に配置された光電変換層と、
    前記第2の電極の表面を覆う絶縁層と、
    を備えることを特徴とする太陽光発電フィルム。
  2. 請求項1において、前記第1の電極が1000nmから2000nmの間の任意の波長を反射し、前記第2の電極が波長2500nm以上の任意の波長を反射することを特徴とする太陽光発電フィルム。
  3. 請求項1において、前記金属粉末が形状に異方性を有することを特徴とする太陽光発電フィルム。
  4. 請求項3において、前記金属粉末の形状が板状またはワイヤー状であることを特徴とする太陽光発電フィルム。
  5. 請求項1において、前記絶縁層が窒化シリコンまたは酸化シリコンであることを特徴とする太陽光発電フィルム。
  6. 請求項1において、前記絶縁層がプラスチックフィルムと無機薄膜が積層された構成を備えることを特徴とする太陽光発電フィルム。
  7. 請求項1において、前記第1の電極と前記光電変換層の間に電子ブロック層を有することを特徴とする太陽光発電フィルム。
  8. 請求項1において、前記第2の電極と前記光電変換層の間に正孔ブロック層を有することを特徴とする太陽光発電フィルム。
  9. 請求項1において、接着層の表面を保護する保護フィルムを有することを特徴とする太陽光発電フィルム。
  10. 請求項1において、前記光電変換層が有機半導体から構成されることを特徴とする太陽光発電フィルム。
  11. 請求項1において、前記光電変換層が電子受容性分子と電子供与性分子の混合された薄膜を含むことを特徴とする太陽光発電フィルム。
  12. 請求項1において、太陽光発電フィルムの可視光線の透過率が20%以上90%未満であることを特徴とする太陽光発電フィルム。
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