JP2014193802A - メソポーラス構造体、エックス線導波路、およびメソポーラス構造体の製造方法 - Google Patents
メソポーラス構造体、エックス線導波路、およびメソポーラス構造体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014193802A JP2014193802A JP2014035847A JP2014035847A JP2014193802A JP 2014193802 A JP2014193802 A JP 2014193802A JP 2014035847 A JP2014035847 A JP 2014035847A JP 2014035847 A JP2014035847 A JP 2014035847A JP 2014193802 A JP2014193802 A JP 2014193802A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mesoporous
- mesopores
- mesoporous structure
- matrix
- planarization layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G21—NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
- G21K—TECHNIQUES FOR HANDLING PARTICLES OR IONISING RADIATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; IRRADIATION DEVICES; GAMMA RAY OR X-RAY MICROSCOPES
- G21K1/00—Arrangements for handling particles or ionising radiation, e.g. focusing or moderating
- G21K1/06—Arrangements for handling particles or ionising radiation, e.g. focusing or moderating using diffraction, refraction or reflection, e.g. monochromators
- G21K1/062—Devices having a multilayer structure
-
- G—PHYSICS
- G21—NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
- G21K—TECHNIQUES FOR HANDLING PARTICLES OR IONISING RADIATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; IRRADIATION DEVICES; GAMMA RAY OR X-RAY MICROSCOPES
- G21K2201/00—Arrangements for handling radiation or particles
- G21K2201/06—Arrangements for handling radiation or particles using diffractive, refractive or reflecting elements
- G21K2201/067—Construction details
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10T—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
- Y10T428/00—Stock material or miscellaneous articles
- Y10T428/24—Structurally defined web or sheet [e.g., overall dimension, etc.]
- Y10T428/24355—Continuous and nonuniform or irregular surface on layer or component [e.g., roofing, etc.]
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10T—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
- Y10T428/00—Stock material or miscellaneous articles
- Y10T428/249921—Web or sheet containing structurally defined element or component
- Y10T428/249953—Composite having voids in a component [e.g., porous, cellular, etc.]
- Y10T428/249955—Void-containing component partially impregnated with adjacent component
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10T—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
- Y10T428/00—Stock material or miscellaneous articles
- Y10T428/249921—Web or sheet containing structurally defined element or component
- Y10T428/249953—Composite having voids in a component [e.g., porous, cellular, etc.]
- Y10T428/249955—Void-containing component partially impregnated with adjacent component
- Y10T428/249956—Void-containing component is inorganic
Landscapes
- Physics & Mathematics (AREA)
- Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- High Energy & Nuclear Physics (AREA)
- Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
- Optical Integrated Circuits (AREA)
- Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
Abstract
【課題】 平滑な表面を有するメソポーラス構造体を得ること、および高い伝搬効率で位相の揃ったエックス線を導波する事が可能なエックス線導波路を提供すること。
【解決手段】 メソポーラス構造体と、該メソポーラス構造体の表面に存在する平坦化層と、からなる積層構造を有するメソポーラス構造体であって、
前記メソポーラス構造体が、メソ孔を有するメソポーラスマトリクスと、該メソ孔の内部に存在する材料と、からなり、前記メソ孔がメソポーラスマトリクスの表面に露出しており、前記平坦化層が前記メソポーラスマトリクスの表面に露出したメソ孔に存在することを特徴とする積層構造を有するメソポーラス構造体。
【選択図】 図1
【解決手段】 メソポーラス構造体と、該メソポーラス構造体の表面に存在する平坦化層と、からなる積層構造を有するメソポーラス構造体であって、
前記メソポーラス構造体が、メソ孔を有するメソポーラスマトリクスと、該メソ孔の内部に存在する材料と、からなり、前記メソ孔がメソポーラスマトリクスの表面に露出しており、前記平坦化層が前記メソポーラスマトリクスの表面に露出したメソ孔に存在することを特徴とする積層構造を有するメソポーラス構造体。
【選択図】 図1
Description
本発明は、エックス線導波路、光学材料および電子素子材料などに用いることができるメソポーラス構造体、エックス線導波路、およびメソポーラス構造体の製造方法に関する。
非特許文献1に開示されている導波路は、ニッケルよりなるエックス線導波路のクラッドと、炭素よりなるエックス線導波路のコアから構成されている。この導波路は、炭素/ニッケル界面の全反射によりエックス線が閉じ込められ、導波する構成の導波路が、積層されたものとして機能する。このために、クラッドに挟まれたコアの組み合わせが一組の導波路(以降、単層導波路と記載する)と比較して大きな光量のエックス線を導波することが可能となる。
Physical Review B,Volume62,p.16939(2000)
しかしながら、このような構成の導波路は、積層された導波路構成のそれぞれ(コアとそれを挟み込むクラッドの組)が別個の単層導波路として機能するため、全体として出射されるエックス線の位相が揃う、集光、発散抑制効果を持つといった、単層導波路の長所を減じるという問題がある。
そこで、本発明では、メソポーラス構造体と、該メソポーラス構造体の表面に存在する平坦化層と、からなる積層構造を有するメソポーラス構造体であって、
前記メソポーラス構造体が、メソ孔を有するメソポーラスマトリクスと、該メソ孔の内部に存在する材料と、からなり、前記メソ孔がメソポーラスマトリクスの表面に露出しており、前記平坦化層が前記メソポーラスマトリクスの表面に露出したメソ孔に存在することを特徴とする積層構造を有するメソポーラス構造体を提供する。
前記メソポーラス構造体が、メソ孔を有するメソポーラスマトリクスと、該メソ孔の内部に存在する材料と、からなり、前記メソ孔がメソポーラスマトリクスの表面に露出しており、前記平坦化層が前記メソポーラスマトリクスの表面に露出したメソ孔に存在することを特徴とする積層構造を有するメソポーラス構造体を提供する。
また、別の本発明は、メソポーラスマトリクスを形成する工程と、前記メソポーラスマトリクスの表面にメソ孔を露出させる工程と、前記メソ孔が露出したメソポーラスマトリクスの表面に平坦化層を形成する工程と、を有することを特徴とする積層構造を有するメソポーラス構造体の製造方法である。
本発明によれば、光学素子、電子素子、エックス線素子などに適用可能である平滑な表面を有する積層構造を有するメソポーラス構造体が得られる。また、本発明によれば、平滑なコア/クラッド界面によりエックス線の閉じ込め効果を高めることで、高い伝搬効率で位相の揃ったエックス線を導波することが可能なエックス線導波路が得られる。
本発明のメソポーラス構造体を実施するための形態の一例を以下に示す。
(第一の実施形態)
図1(a)に、本実施形態の積層構造を有するメソポーラス構造体を、積層構造を有するメソポーラス構造体の主面に垂直な方向に切断した際の断面の模式図を示す。
図1(a)に、本実施形態の積層構造を有するメソポーラス構造体を、積層構造を有するメソポーラス構造体の主面に垂直な方向に切断した際の断面の模式図を示す。
本実施形態の積層構造を有するメソポーラス構造体17は、メソ孔12を有し、少なくとも表面15の二乗平均面粗さ(rms)がメソポーラス構造体のメソ孔12の径より小さいメソポーラスマトリクス11と、メソ孔12に存在する材料と、メソポーラスマトリクス11の表面に露出したメソ孔16の表面に存在する平坦化層14と、からなる。
メソポーラスマトリクス11は、孔径が2nm以上50nm以下のメソ孔12を有する。また、メソポーラスマトリクス11の表面15にはメソ孔16が露出している。なお、メソポーラスマトリクス11の表面15は、メソポーラスマトリクスの膜厚方向の表面であり、言い換えれば主面である。また、本発明および本明細書において、「孔がAの表面に露出している」とは、Aが有する表面に孔が存在していることを示しており、Aの表面には孔が存在せずAの内部のみに孔が存在している場合とは異なるものを意味している。また、多孔質構造を有する材料は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)によって、その孔径が分類されており、孔径が2nm以上50nm以下の多孔質材料が、メソポーラスと呼ばれている。
メソポーラスマトリクス11を構成する材料は、特に限定されるものではないが、製造しやすいという観点からは、酸化物からなることが好ましい。酸化物の例としては、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化ジルコニア、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化タングステン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛を挙げることができる。これらの材料は、たとえば10keVのエックス線に対し、全て0.999997以下の屈折率実部を有する。
メソポーラスマトリクス11は、前述した酸化物に加えて、これらの酸化物の骨格が有機基で置換されたものであっても良い。
メソポーラスマトリクス11が有する表面(表面15を含む)は、必要に応じて化学修飾されていても良い。化学修飾の例としては、水の吸着を抑制するために、メソポーラスマトリクス11が有する表面を疎水性の分子で修飾する場合が挙げられる。
メソポーラスマトリクス11の表面15の二乗平均面粗さ(rms)は、メソポーラスマトリクス11の表面15に露出していないメソ孔12の径より小さい。また、メソポーラスマトリクス11の表面15に露出したメソ孔16の内部には、平坦化層14が存在する。なお、ここで言うメソポーラスマトリクス11の表面の二乗平均面粗さ(rms)とは、少なくとも10μm2以上の領域を検査する事により算出される値であり、平坦化層を形成する工程の前の段階でメソポーラスマトリクス11の表面を原子間力顕微鏡により計測したもの。もしくは積層構造を有するメソポーラス構造体とした後に、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡でメソポーラス構造体の断面像を複数枚取得して、メソポーラスマトリクス11と平坦化層との界面のラインの総長から求めるものとする。
平坦化層14がメソ孔16の内部に存在することにより、積層構造を有するメソポーラス構造体17の表面15はメソ孔16が露出しない平滑な表面となっている。ここで記載する「平滑な表面」とは、二乗平均面粗さ(rms)が2.0nm以下であることが好ましく、より好ましくはrmsが0.5nm以下である。
平坦化層14は、「層」という表現を用いているが、少なくともメソ孔16の内部に存在していれば良く、図1(a)のように、メソポーラスマトリクス11の表面15を覆う連続した層であっても良いし、図1(b)のように、メソポーラスマトリクス11の表面15に露出したメソ孔16の間に存在する領域によって分断された不連続の複数の独立した領域の集合体であっても良い。
平坦化層14は、特に限定はないが、無機物、有機物、およびこれらの無機・有機複合材料などからなる。無機物の例としては、酸化物、軽金属、炭素を挙げることができる。それらの中でも、酸化物は、塗布乾燥法により強固な層が形成し易く、本実施形態の積層構造を有するメソポーラス構造体をコアとして第三の実施形態に記載のエックス線導波路を形成する場合に、クラッドとの密着性が良いことからも好ましい。酸化物の具体的な例としては、Si,Al,Ti,Zn,Nb,Zr,Snを含む酸化物が挙げられる。
表面15に露出していないメソ孔12は、一次元、二次元、三次元のいずれの周期構造であっても良い。表面15に露出したメソ孔16と、表面15に露出していないメソ孔12が同じ周期を持つ場合には、表面15に露出したメソ孔16も一次元、二次元、三次元のいずれの周期構造で配置されていても良い。一次元の周期構造の例としては、複数の層が積層した構造が挙げられる。二次元の周期構造の例としては、シリンダー状構造が配列した構造が挙げられる。三次元の周期構造の例としては、ケージ構造が配列した構造が挙げられる。
メソ孔12の内部に存在する材料は、メソポーラスマトリクス11を形成する材料とは異なる材料で形成される。なお、「メソ孔12の内部に存在する材料は、メソポーラスマトリクス11を形成する材料とは異なる材料で形成される」という概念には、メソ孔12の内部に存在する材料と、メソポーラスマトリクス11を形成する材料とが一部のみ共通している場合も含まれる。メソ孔12の内部に存在する材料は、10keVのエックス線に対して0.999998以上の屈折率実部を有する材料であることが好ましく、例として空気や、有機化合物が挙げられる。
また、メソ孔12の内部に存在する材料は、有機化合物を主とするものであれば特に制限されるものではない。ここで記載する「主」とは、体積比で50%以上を意味する。
有機化合物の例としては、両親媒性物質を挙げることができる。両親媒性物質の例としては、イオン性、非イオン性の界面活性剤を挙げることができる。イオン性界面活性剤の例としては、トリメチルアルキルアンモニウムイオンのハロゲン化物塩を挙げることができる。トリメチルアルキルアンモニウムイオンのハロゲン化物塩のアルキル鎖の鎖長は、炭素数10以上22以下であることが好ましい。非イオン性の界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールを親水基として有するものを挙げることができる。ポリエチレングリコールを親水基として有する界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロックコポリマーを挙げることができる。ポリエチレングリコールアルキルエーテルのアルキル鎖の鎖長は、炭素数10以上22以下であることが好ましく、ポリプロピレングリコールの繰り返し数は10以上100以下、ポリプロピレングリコール鎖の両側に結合しているポリエチレングリコールの繰り返し数は、合計で2以上50以下であることが好ましい。
また、メソ孔12の内部に存在する材料は、メソポーラスマトリクスを形成する材料と結合していても良い。
なお、本発明および本明細書において、メソポーラス構造体と記載する場合には、本実施形態のように、メソ孔が空隙ではなく材料で充填されている場合、および第二の実施形態のようにメソ孔が空隙である場合のいずれをも含む概念とする。
このような平坦化層14を有するメソポーラス構造体17は、メソポーラスマトリクス11である領域と、メソ孔12の内部に存在し、メソポーラスマトリクス11を構成する材料とは異なる材料からなる領域との周期構造体と、平坦化層14とからなる。
すなわち、本実施形態の平坦化層を有するメソポーラス構造体は、屈折率実部がAである材料からなる領域と、屈折率実部がB(Aとは異なる)である材料からなる領域との周期構造体と、平坦化層とで形成される。
次に、本実施形態の積層構造を有するメソポーラス構造体の製造方法について図2を用いて説明する。
本実施形態の積層構造を有するメソポーラス構造体の製造方法は、表面の二乗平均面粗さ(rms)が表面に露出していないメソ孔の径より小さいメソ孔を有するメソポーラス構造体の表面に平坦化層を形成する工程を有する。
表面の二乗平均面粗さ(rms)が表面に露出していないメソ孔の径より小さいメソ孔を有するメソポーラス構造体は、例えば、以下の方法により得ることが可能である。
(i)両親媒性物質と、無機酸化物の前駆体と、酸または塩基触媒と、水と、有機溶媒が混合したゾル液を作製する
(ii)ゾル液を基材に塗布し、塗布膜を乾燥させてメソポーラス構造体を得る
(iii)メソポーラス構造体の表面の一部を除去し、メソ孔を露出させる
(iv)メソ孔が露出したメソポーラス構造体の表面に平坦化層を形成する
(i)両親媒性物質と、無機酸化物の前駆体と、酸または塩基触媒と、水と、有機溶媒が混合したゾル液を作製する
(ii)ゾル液を基材に塗布し、塗布膜を乾燥させてメソポーラス構造体を得る
(iii)メソポーラス構造体の表面の一部を除去し、メソ孔を露出させる
(iv)メソ孔が露出したメソポーラス構造体の表面に平坦化層を形成する
以下、各工程について説明する。
(i)について
無機酸化物の前駆体の例としては、ケイ素や金属元素のアルコキサイド、ケイ素や金属元素の塩化物が挙げられる。具体的な例としては、Si,Zr,Ti,Nb,Al,Zn,Snのアルコキサイドや、これらの塩化物が挙げられる。アルコキサイドの例としては、メトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、または、その一部がアルキル基に置換されたものが挙げられる。
無機酸化物の前駆体の例としては、ケイ素や金属元素のアルコキサイド、ケイ素や金属元素の塩化物が挙げられる。具体的な例としては、Si,Zr,Ti,Nb,Al,Zn,Snのアルコキサイドや、これらの塩化物が挙げられる。アルコキサイドの例としては、メトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、または、その一部がアルキル基に置換されたものが挙げられる。
ゾル液に含ませる両親媒性物質は、特に限定されるものではないが、界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤の例としては、前述のメソ孔12の内部に存在する材料に関する記載で挙げた例などである。これらの界面活性剤の疎水基および親水基の繰り返し数を変化させることにより、(ii)の工程で得られるメソポーラス構造体の構造周期を変化させることが可能である。一般的には、疎水基および親水基の分子量を大きくすることでメソポーラス構造体の孔径が大きくなる傾向にある。
また、ゾル液には、両親媒性物質以外の構造周期を調整するための添加物が含まれていても良い。このような添加物としては、例えば、アルキル基を有するアルコキシシラン、アルキル基を有するオリゴシロキサン化合物、アルカン類、親水性基を含まない芳香族化合物などの疎水性物質が挙げられる。アルキル基を有するアルコキシシランおよびアルキル基を有するオリゴシロキサン化合物のアルキル鎖の鎖長の例としては、炭素数で10から22が挙げられる。アルカン類の具体的な例としては、オクタンが挙げられる。アルキル基を有するアルコキシシラン、アルキル基を有するオリゴシロキサン化合物が添加される場合には、無機酸化物前駆体と結合させることもできる。
酸または塩基触媒の例としては塩酸、硫酸、水酸化アンモニウムなどが挙げられる。
有機溶媒の例としてはアルコール系、エーテル系、キシレンなどが挙げられる。
(ii)について
ゾル液を基材に塗布する方法の例としては、ディップコート法、スピンコート法、水熱合成法が挙げられる。これらの中でもディップコート法を用いることが好ましい。また、ディップコート法を用いる場合には、10mm/s以下の速度とすることが好ましい。
ゾル液を基材に塗布する方法の例としては、ディップコート法、スピンコート法、水熱合成法が挙げられる。これらの中でもディップコート法を用いることが好ましい。また、ディップコート法を用いる場合には、10mm/s以下の速度とすることが好ましい。
基材としては、例えば、金属、金属酸化物、有機化合物からなるもの、およびそれらの複合材料を用いることができる。なお、ここで用いる基材は、図2の30に示すように、後にメソポーラス構造体を支持する基材となるものを用いることが好ましい。
塗布膜を乾燥する方法としては塗布環境における室温、自然乾燥でもよいが、温度、湿度の制御可能な恒温恒湿環境等を用いることができる。温度、湿度は、塗布膜の乾燥に要する時間を所望の値とするために両者の兼ね合いで最適な範囲(よく用いられる範囲は、温度20℃〜50℃、湿度30〜60%)を選択する事ができる。乾燥時間は一般的にゆるやかな程、メソ構造体の周期構造に乱れが生じ難くなるが、製造に要する時間との兼ね合いで適宜選択し、好ましくは2〜50時間である。
乾燥により、塗布膜の溶媒が蒸発する過程で無機酸化物前駆体が無機酸化物へと変化しメソポーラス構造体が得られる。
ここで、塗布膜を乾燥させて得られるメソポーラス構造体とは、メソポーラスマトリクスと、メソポーラスマトリクスが有するメソ孔に存在する両親媒性物質とからなる構造体を意味している。
メソポーラスマトリクスのメソ孔には、必要に応じて、または、使用する材料もしくは工程の結果として水、前述した有機溶媒、塩等が含まれていても良い。
(iii)について
(i)および(ii)の工程により、(図2−b)のように、主面(メソポーラスマトリクスが表面に有する面のうち最も大きいもの)にメソ孔が露出していないメソポーラス構造体31が基材30上に形成される。
(i)および(ii)の工程により、(図2−b)のように、主面(メソポーラスマトリクスが表面に有する面のうち最も大きいもの)にメソ孔が露出していないメソポーラス構造体31が基材30上に形成される。
得られたメソポーラス構造体31の表面を一部除去して、図2(2−c)および図2(2−d)に示すように、表面15にメソ孔16が露出したメソポーラス構造体31を得る。なお、ここで、図2(2−d)に示すメソ孔16は、メソポーラス構造体の主面の一部を除去することによって、メソ孔を形成する外壁であるメソポーラスマトリクスの一部が除去されてメソ孔16が表面15に露出したものであるため、凹部の膜厚方向の深さ、言い換えればメソポーラス構造体31の表面の表面粗さはメソ孔16の孔径より小さくなる。したがって、メソ孔16の孔径にもよるが、表面15にメソ孔16が露出したメソポーラス構造体31の二乗平均面粗さ(rms)は2nm以下となる場合が多い。
メソポーラス構造体31の一部を除去する方法としては、化学的エッチングまたは物理的ポリッシング等を用いることができる。化学的エッチングの例としては、メソ構造体と化学的に反応する薬液によるエッチング、プラズマ処理によるエッチングが挙げられ、物理的ポリッシングの例としては、研磨剤による機械的研磨(メカニカルポリッシング)が挙げられる。薬液と研磨剤と組み合わせたケミカルメカニカルポリッシング(以下CMPと称する)を用いても良い。なお、メソポーラス構造体31の表面の一部を除去する前に、メソポーラス構造体31の表面に平坦化補助層を形成してから表面を一部除去しても良い。
(iv)について
次に、図2(2−e)および図2(2−f)に示すように、メソ孔16が表面15に露出したメソポーラス構造体31の表面15に平坦化層14を形成する。平坦化層14を形成することで、メソ孔16が平坦化層14を形成する材料によって充填され、積層構造を有するメソポーラス構造体の表面15の凹凸を低減することができる。
次に、図2(2−e)および図2(2−f)に示すように、メソ孔16が表面15に露出したメソポーラス構造体31の表面15に平坦化層14を形成する。平坦化層14を形成することで、メソ孔16が平坦化層14を形成する材料によって充填され、積層構造を有するメソポーラス構造体の表面15の凹凸を低減することができる。
平坦化層14の形成方法としては、一般的なスパッタリング法、CVD(chemical vapor deposition)法、蒸着法、溶液による塗布製膜などが挙げられるが、メソポーラス膜の表面を平滑化するという観点から、スピン・オン・グラス(以下SOGと称する)のような溶液の塗布および乾燥により形成する方法がより好ましい。
例えば、溶液による塗布製膜を用いてSi酸化物からなる平坦化層14を形成する場合は、以下の形成方法を用いることができる。
塗布液として、Si酸化物の前駆体と溶媒とを含む溶液を用い、塗布液をスピンコーティング法、ディップコート法、スプレー法などの塗布法を用いてメソ孔16を露出させたメソポーラスマトリクス11の表面に塗布し、溶媒を乾燥させてSi酸化物からなる平坦化層14を得る。Si酸化物の前駆体としては、テトラアルコキシシラン、ぺルヒドロシラザン、のような無機系材料のほか、アルキルアルコキシシラン、シロキサン、オルガノシルセスキオキサンのような無機・有機複合材料などを用いることができる。溶媒としては、アルコール系、エーテル系、キシレンなどを用いることができる。Si酸化物前駆体と溶媒との混合比は、形成する平坦化層14の厚さに応じて適宜調整する。溶媒を乾燥させる方法としては、常温常圧乾燥、加熱、焼成、場合によっては不活性ガス雰囲気または減圧下での乾燥などの方法を用いることができる。
なお、ここでは平坦化層14を形成する材料の例としてSi酸化物を用いた場合について述べたが、前述したように平坦化層14を形成する材料はSi酸化物に限定されるものではく、他の物質からなる場合であっても類似の方法によって平坦化層14を形成することができる。
(第二の実施形態)
本実施形態の積層構造を有するメソポーラス構造体は、第一の実施形態に記載のメソポーラスマトリクスと、メソポーラスマトリクスの表面に存在する平坦化層と、からなる積層構造を有するメソポーラス構造体である。それ以外は第一の実施形態と同じである。
本実施形態の積層構造を有するメソポーラス構造体は、第一の実施形態に記載のメソポーラスマトリクスと、メソポーラスマトリクスの表面に存在する平坦化層と、からなる積層構造を有するメソポーラス構造体である。それ以外は第一の実施形態と同じである。
本実施形態のメソポーラスマトリクスは、例えば、第一の実施形態に記載の(i)および(ii)の工程から得られたメソポーラス構造体からメソ孔の内部に存在する両親媒性物質を除去する方法などにより得ることができる。このような場合、例えば、第一の実施形態に記載の(ii)の工程と(iii)の工程との間に、メソ孔の内部に存在する両親媒性物質を除去する工程を有することで形成することができる。
メソポーラス構造体から両親媒性物質を除去する方法の例としては、
焼成、抽出、紫外線照射、オゾン処理が挙げられる。
焼成、抽出、紫外線照射、オゾン処理が挙げられる。
(第三の実施形態)
本実施形態のエックス線導波路は、第一の実施形態もしくは第二の実施形態に記載の平坦化層を有するメソポーラス構造体と、この平坦化層を有するメソポーラス構造体を挟持する2つのクラッドとを有する。
本実施形態のエックス線導波路は、第一の実施形態もしくは第二の実施形態に記載の平坦化層を有するメソポーラス構造体と、この平坦化層を有するメソポーラス構造体を挟持する2つのクラッドとを有する。
ここで、本実施形態および本発明において、エックス線とは、物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域の電磁波を示す。具体的には、極端紫外光(Extreme Ultra Violet(EUV)光)を含む100nm以下の波長の電磁波を指す。以降、単に電磁波と記載する場合、前述のエックス線のことを示すものとする。
エックス線の周波数は非常に高く、物質の最外殻電子が応答できないため、紫外光の波長以上の波長をもつ電磁波(可視光や赤外線)の周波数帯域と異なり、エックス線に対しては物質の屈折率の実部が1より小さくなることが知られている。このようなエックス線に対する物質の屈折率nは一般的に、下記の式(1)で表されるように、実数部の1からのずれ量δ、吸収に関係する虚数部のβ’を用いて表される。
δは物質の電子密度ρeに比例するため、電子密度の大きい物質ほど屈折率の実部が小さくなる。屈折率実部n’は、1−δとなる。さらに、ρeは原子密度ρaと原子番号Zに比例する。このように、エックス線に対する物質の屈折率は複素数で表されるが、その実部を本発明および本発明の実施形態では屈折率実部または屈折率の実部と称し、虚部を屈折率虚部または屈折率の虚部と称する。エックス線が真空中を伝搬する場合には屈折率実部は最大となり、一般的環境下では気体でないほぼすべての物質に対して空気の屈折率実部が最大となる。なお、本明細書では、真空も物質という文言を用いて記載する。
次に、本実施形態のエックス線導波路およびその製造方法の一例について、図3を用いて説明する。
図3に、本実施形態のエックス線導波路および本実施形態のエックス線導波路が周期共鳴導波モードを発現する過程を示す。
本実施形態のエックス線導波路は、コアである第一の実施形態もしくは第二の実施形態に記載の平坦化層14を有する積層構造のメソポーラス構造体2001と、メソポーラス構造体2001を挟んで存在するクラッド2002、2003からなる。
コアである積層構造を有するメソポーラス構造体2001は、メソ領域の周期構造であれば、第一の実施形態もしくは第二の実施形態に記載した通り、一次元、二次元、三次元のどのような周期構造であっても良いが、以下の記載では、コアであるメソポーラス構造体が、コアとクラッドの界面の法線の方向に積層した周期構造である場合を想定して説明する。図3において2005、2006はメソポーラス構造体を構成する各層であり、2004はその両者から成る周期構造の1ユニット、2007はクラッドとメソポーラス構造体の界面における全反射臨界角θc−total、2009は多層構造であるメソポーラス構造体を構成する層の界面での全反射臨界角θc−multi、2008は多層構造の周期性に起因するブラッグ角θBを示している。なお、積層構造を有するメソポーラス構造体2001とクラッド2003の間には平坦化層14が存在するが、平坦化層14の厚さは積層構造を有するメソポーラス構造体2001の厚さに対して非常に薄いため、全反射臨界角θc−total2007は、クラッド2003とメソポーラス構造体2001の界面の全反射臨界角として計算している。なお、本発明および明細書において、これらの角度は、膜の面に平行な方向を0°として表現されるものとする。また、図中の矢印はエックス線の進行方向を示す。
クラッド2003とコアである積層構造を有するメソポーラス構造体2001の界面におけるクラッド側の物質の屈折率実部をnclad、コアであるメソポーラス構造体2001側の物質(図3における2006層)の屈折率実部をncoreとした場合の、膜の面に平行な方向からのクラッド2003とコアである積層構造を有するメソポーラス構造体2001の界面における全反射臨界角θc−total(°)は、nclad<ncoreとして、下記の式(2)
で表される。
コアである積層構造を有するメソポーラス構造体2001の一次元周期構造の周期をd、周期構造を有するコア2001の平均屈折率実部をnavgとした場合、コアである積層構造を有するメソポーラス構造体2001のブラッグ角θB(°)は、コア2001内部での多重回折の有無に関わらずおおよそ次の式(3)で定義される。
ここで、mは定数、λはエックス線の波長である。
本実施形態のエックス線導波路は、クラッド2003の屈折率(クラッド2002の屈折率も2003と同値となるようにする)と、コアである積層構造を有するメソポーラス構造体2001が有する2006層の屈折率、コアである積層構造を有するメソポーラス構造体2001が有する周期構造の周期間距離、エックス線の波長が、次の式(4)を満たすように設計されている。
すなわち、コア2001とクラッド2003の界面での全反射臨界角が、コア2001の周期構造の周期性に起因するブラッグ角よりも大きいように設計されている。
式(4)を満たすことにより、周期構造体であるコア2001の周期性に起因するブラッグ角付近などの有効伝搬角度を有する導波モードを、常にコア2001に閉じ込め、エックス線の伝搬に寄与させることができる。
この際、本実施形態のエックス線導波路は、コアがメソポーラス構造体41とその表面に形成された平坦化層14で構成されることにより、コア/クラッド界面(2001と2003の界面)が平滑となり、入射したエックス線がコア/クラッド界面における全反射によって効果的にコア2001に閉じ込められ、周期共鳴導波モードを発現し、高い伝搬効率でエックス線を導波する。
ここで、本明細書中において有効伝搬角度θ’(°)は、導波モードの伝搬方向の波数ベクトル(伝搬定数)kz、真空中の波数ベクトルk0を用いて下記の式(5)で表されるものとする。連続条件によりkzは各層の界面で一定なので、図7に示すように、有効伝搬角度θ’(°)は、導波モードの基本波の伝搬定数kzと真空中の波数ベクトルk0との間で定義される角度で、導波モードの基本波が真空中で進行する角度を表している。これは近似的にコア2001中での導波モードの基本波の伝搬角度を表すと考えることができるため、今後の説明に用いることとする。
ここでは、コアにおけるメソポーラス構造体は、屈折率実部の異なる層(2005、2006)が周期的にコアからコアとクラッドとの界面に向かう方向に配置された多層構造を想定している。このとき、隣り合う膜界面においては、図3の2009に示すように、コアを構成する各層間の屈折率実部の違いによる全反射臨界角が存在する。これをθc−multi(°)とする。
上記の式(6)のように、コアの周期構造内の各層の界面における全反射臨界角が、コアの周期構造の周期性に起因するブラッグ角よりも小さい場合には、ブラッグ角付近以上の角度で多層構造における界面に入射されるエックス線は全反射を起さず、部分的な反射または屈折を起こすこととなる。多層構造は材料aによって構成される層Aと材料b(材料aとは屈折率実部が異なる)によって構成される層Bとが周期的に配置された構造をなしているので、層Aと層Bとの界面もメソ構造体の中心から表面に向かう方向に複数存在し、エックス線はこれら界面において反射、屈折を繰り返すこととなる。多層構造内部におけるこのようなエックス線の反射、屈折の繰り返しは多重干渉を引き起こす。その結果、コアの周期構造に共鳴できる条件をもつエックス線、すなわち多層構造内部で存在できる伝搬モードが形成され、その結果、このエックス線導波路のコアに導波モードが形成されることになる。これを周期共鳴導波モードと称する。
このような周期共鳴導波モードはそれぞれ有効伝搬角度をもち、最も小さな有効伝搬角度をもつ周期共鳴導波モードの有効伝搬角度は多層構造のブラッグ角付近に現れることになる。周期共鳴導波モードは周期構造の周期性に共鳴するモードなので、本明細書中では周期共鳴導波モードと称することとする。これは多層構造を周期数無限の1次元フォトニック結晶として考えた場合の最低次バンドを満たす伝搬モードに相当し、この伝搬モードがクラッドとコアとの界面での全反射により閉じ込められたものとなる。
現実の1次元周期構造では、その周期数は有限であるため、そのフォトニックバンド構造は無限周期の1次元周期構造のフォトニックバンド構造からずれてくるが、周期数が増えるほど導波モードの特性は無限周期のフォトニックバンド上のそれに近づくことになる。ブラッグ反射は周期性によるフォトニックバンドギャップの効果により引き起こされ、そのブラッグ反射を与える角度であるブラッグ角は周期共鳴導波モードの有効伝搬角度よりやや大きい角度となる。
周期構造のフォトニックバンド構造において、フォトニックバンドギャップ端に、周期構造に共鳴する導波モードが存在する。X線のエネルギーが一定として導波モードの有効伝搬角度を考えた場合、これらの導波モードのうち相対的に小さい有効伝搬角度をもつ導波モードが、最低次の周期共鳴導波モードである。周期共鳴導波モードの電場強度の空間的分布プロファイルでは、電場強度の腹の数は基本的に、多層膜の周期数と一致する。高次のブラッグ角に相当する有効伝搬角度をもつ、高次の周期共鳴導波モードの腹の位置は、基本的に周期数の2以上の自然数倍となる。
また有限の周期数をもつ多層構造においては、上記のような周期共鳴導波モードのもつ有効伝搬角度以外の角度で伝搬する導波モードも存在し得る。これらは周期共鳴導波モードではなくコアである多層構造全体を、屈折率実部が平均化された均一媒質として考えた場合に存在する導波モードで、基本的にはその特性に対する多層構造の周期性の影響は少ない。一方、このエックス線導波路の構成で実現される周期共鳴導波モードでは、周期構造の周期数が増えるほど、より、多層構造であるコアの中心へ電場が集中し、クラッドへの染み出しも少なくなり、エックス線の伝搬損失が小さくなる。また、電場強度分布の包絡曲線はコアの中央に偏った形状となり、よりクラッドへのしみ出しによる損失が小さくなる。さらに、このエックス線導波路中で用いられる周期共鳴導波モードの位相は、周期性の高い方向、つまりクラッドとコアの界面に垂直かつ導波方向に垂直な方向において、そろったものとなり、空間的なコヒーレンスを有することができる。ここで、導波モードの位相がそろうということは、導波方向に垂直な面内での電磁場の位相差が0であるということだけではなく、周期構造の空間的な屈折率分布に対応して電磁場の位相差が周期的に−πと+πの間で変化していることをも意味する。この周期共鳴導波モードは、導波方向に垂直な方向において、電場の位相が周期構造の周期と同じ周期で−πと+πの間で変化しているものとなる。
コアであるメソポーラス構造体2001が有するメソ孔12の長手方向が、図1のように、メソポーラス構造体の主面(膜面)に平行な方向である構造の場合、メソポーラスマトリクスの表面に最も近く、かつ表面に露出していないメソ孔12の中心から、メソポーラス構造体2001の表面(言い換えれば、平坦化層14により平坦化された表面)までの距離Lは、メソポーラス構造体の構造周期Dの自然数倍であることが好ましい。これは、周期共鳴導波モードの電場強度の空間的分布が一定の周期を形成し、その周期がメソ構造体の構造周期と一致しているため、Lがメソ構造体の構造周期Dの自然数倍である場合に、周期共鳴導波モードの電場強度が強めあうためである。また、平坦化層内での周期共鳴導波モードのロスを最小限にするという観点から、Lはより好ましくは、構造周期Dである。
また、平坦化層14を構成する材料には、無機物と有機物の複合材料や、多孔質材料を用いることができるが、これらの中でもメソポーラス構造体の2006層と同一材料、もしくは、導波モードのロスの観点からはメソポーラスマトリクスを構成する材料の平均電子密度±50%以内の範囲の電子密度となる材料を用いることが好ましい。これは、エックス線が電子密度の違いによって物質を認識し、屈折、干渉という現象を引き起こしているからである。電子密度は、材料を構成する物質の原子番号と原子密度で決定される。
クラッド2002、2003には、電子密度の大きな金属を用いる。これは、電子密度の大きい物質ほど屈折率の実部が小さくなるからである。クラッドを構成する材料の例としては、Os,Ir,Pt,Au,W,Ta,Hg,Ru,Rh,Pd,Pb,Moの単体、またはこれらの元素を含む材料が挙げられる。
クラッド2002、2003は、材料によって異なるが、コアにエックス線を十分に閉じ込められる程度に厚く、コスト、製造の観点から極力薄いことが求められる。厚さの例としては、1nm以上300nm以下であり、1nm以上50nm以下であることが好ましく、スパッタリング、蒸着等によって形成することができる。
クラッドの厚さは、エックス線導波路内で分布をもって形成しても良い。例えば、エックス線の入射領域のクラッドを薄く形成し、その他の領域では、クラッドを厚く形成することも可能である。そのような場合、入射領域のクラッドを薄くすることで導入効率を向上させて、クラッド表面からの入射を積極的に行わせ、入射領域以外のクラッドを厚く形成することでエックス線の閉じ込め効果を高めることも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の方法は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
基材上にシリカからなり、積層構造を有するメソポーラス構造体を形成した例を説明する。
基材上にシリカからなり、積層構造を有するメソポーラス構造体を形成した例を説明する。
以下、図2に沿って説明する。
(1−1)メソポーラス構造体の形成
(メソポーラス構造体の前駆体溶液調製)
シリンダー状のメソ孔からなる2Dヘキサゴナル構造を持つ酸化ケイ素メソポーラス構造体31は、ディップコート法で調製された。メソポーラス構造体の前駆体溶液は、エタノール、0.01M塩酸、テトラエトキシシランを加え20分間混合した溶液にブロックポリマーのエタノール溶液を加え、3時間攪拌することで調製された。ブロックポリマーとしては、エチレンオキサイド(20)プロピレンオキサイド(70)エチレンオキサイド(20)(以降、EO(20)PO(70)EO(20)と記載する(カッコ内は、各ブロックの繰り返し数))を使用した。混合比(モル比)は、テトラエトキシシラン:1.0、塩酸:0.0011、水6.1、エタノール:5.2、ブロックポリマー:0.0096、エタノール:3.5とした。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用した。
(メソポーラス構造体の前駆体溶液調製)
シリンダー状のメソ孔からなる2Dヘキサゴナル構造を持つ酸化ケイ素メソポーラス構造体31は、ディップコート法で調製された。メソポーラス構造体の前駆体溶液は、エタノール、0.01M塩酸、テトラエトキシシランを加え20分間混合した溶液にブロックポリマーのエタノール溶液を加え、3時間攪拌することで調製された。ブロックポリマーとしては、エチレンオキサイド(20)プロピレンオキサイド(70)エチレンオキサイド(20)(以降、EO(20)PO(70)EO(20)と記載する(カッコ内は、各ブロックの繰り返し数))を使用した。混合比(モル比)は、テトラエトキシシラン:1.0、塩酸:0.0011、水6.1、エタノール:5.2、ブロックポリマー:0.0096、エタノール:3.5とした。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用した。
(メソポーラス構造体の形成)
洗浄した基材に、ディップコート装置を用いて0.5mms−1の引き上げ速度でディップコートを行った。ディップコートにより製膜した後、膜は、25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で2週間、80℃で24時間保持されてメソポーラス構造体が形成された。調整されたメソポーラス構造体の、ブラッグ−ブレンターノ配置をもちいたエックス線回折分析から、このメソポーラス構造体は、基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔、つまり閉じ込め方向における周期が、10nmであることが確認され、その膜厚はおよそ500ナノメートルであった。なお、前述のように、このメソポーラス構造体はシリンダー状メソ孔が2次元的に配列し、膜厚方向に周期構造が形成されている。本実施例では鋳型であるブロックポリマーをマトリクスのメソ孔内に残存させたメソポーラス構造体とした。
洗浄した基材に、ディップコート装置を用いて0.5mms−1の引き上げ速度でディップコートを行った。ディップコートにより製膜した後、膜は、25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で2週間、80℃で24時間保持されてメソポーラス構造体が形成された。調整されたメソポーラス構造体の、ブラッグ−ブレンターノ配置をもちいたエックス線回折分析から、このメソポーラス構造体は、基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔、つまり閉じ込め方向における周期が、10nmであることが確認され、その膜厚はおよそ500ナノメートルであった。なお、前述のように、このメソポーラス構造体はシリンダー状メソ孔が2次元的に配列し、膜厚方向に周期構造が形成されている。本実施例では鋳型であるブロックポリマーをマトリクスのメソ孔内に残存させたメソポーラス構造体とした。
(1−2)研磨処理
続いて形成したメソポーラス構造体の表面を研摩して、メソポーラス構造体の表面にメソ孔を露出させる。CMP装置(エム・エー・ティー社製)を用いて、直径30nmΦのコロイダルシリカ粒子を分散したBUEHLER社製の研摩液により研摩をおこなった。研摩時間を調整して200nmに相当する膜厚分を本工程により除去した。形成した基板の断面を電子顕微鏡により観察すると、メソポーラス構造体はマクロ的には平坦化されているが、表面にメソ構造に起因するナノオーダーの凹凸が存在しその平滑度は二乗平均面粗さ(rms)で2nmであった(図2−c)、(図2−d)。
続いて形成したメソポーラス構造体の表面を研摩して、メソポーラス構造体の表面にメソ孔を露出させる。CMP装置(エム・エー・ティー社製)を用いて、直径30nmΦのコロイダルシリカ粒子を分散したBUEHLER社製の研摩液により研摩をおこなった。研摩時間を調整して200nmに相当する膜厚分を本工程により除去した。形成した基板の断面を電子顕微鏡により観察すると、メソポーラス構造体はマクロ的には平坦化されているが、表面にメソ構造に起因するナノオーダーの凹凸が存在しその平滑度は二乗平均面粗さ(rms)で2nmであった(図2−c)、(図2−d)。
(1−3)平坦化層の形成
メソポーラス構造に起因する凹凸を平滑化するために形成する平坦化層14は、SOGのスピンコーティングにより形成した。SOGは、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社のNAX120を、ジブチルエーテルで2%に希釈し、基板上にスピンコーティングを行った。塗布後の基板は25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で24時間保持された。NAX120は雰囲気に存在する水分による加水分解によりジブチルエーテルの乾燥後、純度の高いシリカとなる。本工程により、メソポーラス構造に起因する凹部を埋めるようにシリカからなる平坦化層14が形成され(図2−e、f)、その平滑度は二乗平均面粗さ(rms)で0.34nmであった。図4に本実施例で作製した積層構造を有するメソポーラス構造体の電子顕微鏡写真を示す。メソポーラス構造体はシリンダー状メソ孔が2次元的に配列した膜厚方向の周期構造をなしていた。図1における距離L(メソポーラスマトリクスの表面に最も近く、かつ表面に露出していないメソ孔12の中心から、メソポーラス構造体の表面(言い換えれば、平坦化層14により平坦化された表面)までの距離L)は30nmであり、メソポーラス構造体の構造周期10nmの3倍に相当する事が確認された。
メソポーラス構造に起因する凹凸を平滑化するために形成する平坦化層14は、SOGのスピンコーティングにより形成した。SOGは、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社のNAX120を、ジブチルエーテルで2%に希釈し、基板上にスピンコーティングを行った。塗布後の基板は25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で24時間保持された。NAX120は雰囲気に存在する水分による加水分解によりジブチルエーテルの乾燥後、純度の高いシリカとなる。本工程により、メソポーラス構造に起因する凹部を埋めるようにシリカからなる平坦化層14が形成され(図2−e、f)、その平滑度は二乗平均面粗さ(rms)で0.34nmであった。図4に本実施例で作製した積層構造を有するメソポーラス構造体の電子顕微鏡写真を示す。メソポーラス構造体はシリンダー状メソ孔が2次元的に配列した膜厚方向の周期構造をなしていた。図1における距離L(メソポーラスマトリクスの表面に最も近く、かつ表面に露出していないメソ孔12の中心から、メソポーラス構造体の表面(言い換えれば、平坦化層14により平坦化された表面)までの距離L)は30nmであり、メソポーラス構造体の構造周期10nmの3倍に相当する事が確認された。
<実施例2>
本実施例では、図5に沿って積層構造を有するメソポーラス構造体を有するエックス線導波路の製造方法について記載する。本実施例のエックス線導波路は、Si基材40上に、W(タングステン)からなるクラッド42、メソポーラス構造体44および平坦化層14からなるコア、クラッド43から形成されている。
本実施例では、図5に沿って積層構造を有するメソポーラス構造体を有するエックス線導波路の製造方法について記載する。本実施例のエックス線導波路は、Si基材40上に、W(タングステン)からなるクラッド42、メソポーラス構造体44および平坦化層14からなるコア、クラッド43から形成されている。
(2−1)クラッドの形成(図5−b)
Si基材上に形成されるタングステンからなるクラッド42は、スパッタ法により厚さおよそ15nmで成膜される。
Si基材上に形成されるタングステンからなるクラッド42は、スパッタ法により厚さおよそ15nmで成膜される。
(2−2)メソポーラス構造体の形成(図5−c)
クラッド42上に(1−1)と同様の手法を用いてシリンダー状細孔を有するメソポーラス構造体を形成する。
クラッド42上に(1−1)と同様の手法を用いてシリンダー状細孔を有するメソポーラス構造体を形成する。
(2−3)研磨処理(図5−d)
(1−2)と同様の手法を用いてメソポーラス構造体の表面を一部除去する。
(1−2)と同様の手法を用いてメソポーラス構造体の表面を一部除去する。
(2−4)平坦層の形成(図5−e)
(1−3)と同様の手法を用いジブチルエーテルによる希釈度のみ0.3%に変更し、メソポーラスシリカ構造体を平坦化した。本工程により、図1(a)のようにメソ孔に起因する凹部を埋めるようにシリカからなる平坦化層14が形成され、その平滑度は二乗平均面粗さ(rms)1.0nmであった。図1における距離L(メソポーラス膜の最上部に位置するメソ孔12の中心から、シリカからなる平坦化層14により平坦化された表面までの距離)は10nmであり、メソポーラス構造体の構造周期10nmと同じ値に相当する。
(1−3)と同様の手法を用いジブチルエーテルによる希釈度のみ0.3%に変更し、メソポーラスシリカ構造体を平坦化した。本工程により、図1(a)のようにメソ孔に起因する凹部を埋めるようにシリカからなる平坦化層14が形成され、その平滑度は二乗平均面粗さ(rms)1.0nmであった。図1における距離L(メソポーラス膜の最上部に位置するメソ孔12の中心から、シリカからなる平坦化層14により平坦化された表面までの距離)は10nmであり、メソポーラス構造体の構造周期10nmと同じ値に相当する。
(2−5)クラッドの形成(図5−f)
平坦化層14上にタングステンからなるクラッド43を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さ15nmで成膜される。
平坦化層14上にタングステンからなるクラッド43を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さ15nmで成膜される。
(2−6)表面粗さとエックス線反射率の関係
表面粗さ計を用いて表面粗さを評価する。(2−2)の工程で形成したメソポーラスシリカ膜の表面粗さはrmsで約12nmであり、(2−3)の工程で研磨処理したメソポーラスシリカ構造体の表面の粗さは、同約2nm、さらに(2−4)の工程で平坦化したメソポーラス構造体の表面は同約1nmである。
表面粗さ計を用いて表面粗さを評価する。(2−2)の工程で形成したメソポーラスシリカ膜の表面粗さはrmsで約12nmであり、(2−3)の工程で研磨処理したメソポーラスシリカ構造体の表面の粗さは、同約2nm、さらに(2−4)の工程で平坦化したメソポーラス構造体の表面は同約1nmである。
エックス線導波路のクラッドにエックス線を照射したときの反射率を比較評価する。10keVのエックス線を用い、コアの周期構造に対応するブラッグ角(θ=0.36°)の近傍で、ブラッグ反射をはずした角度(θ=0.3°:クラッドの全反射領域内)で入射を行った際のエックス線反射率を測定する。
実施例2のエックス線導波路は、工程(2−3)および(2−4)を行わず、研磨および平坦化層を形成していないエックス線導波路のエックス線反射率のおよそ3倍の値を示す。このことは、平坦化層を形成することにより、エックス線導波路のクラッドによるエックス線の閉じ込め効果が、向上したことを示唆する。
(2−7)導波特性
この導波路に対して、10keVのエックス線を入射し、周期共鳴導波モードによって導波されるエックス線の強度を測定する。その結果、工程(2−3)および(2−4)を行わず研磨および平坦化層を形成していないエックス線導波路のそれと比較しておよそ10倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、エックス線導波路のコア/クラッド界面の良好な平滑度により、エックス線の閉じ込め効率が向上することで達成されたものと考えられる。
この導波路に対して、10keVのエックス線を入射し、周期共鳴導波モードによって導波されるエックス線の強度を測定する。その結果、工程(2−3)および(2−4)を行わず研磨および平坦化層を形成していないエックス線導波路のそれと比較しておよそ10倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、エックス線導波路のコア/クラッド界面の良好な平滑度により、エックス線の閉じ込め効率が向上することで達成されたものと考えられる。
<実施例3>
本実施例では、図6に沿って、積層構造を有するメソポーラス構造体を有するエックス線導波路について記載する。本実施例のエックス線導波路は、Si基材上50上に、タングステンからなるクラッド52、シリカからなるメソポーラス構造体51と平坦化層14からなるコア、クラッド53から形成されている。導波路の構成は実施例2と同一であるが、製造方法が一部異なっている。
本実施例では、図6に沿って、積層構造を有するメソポーラス構造体を有するエックス線導波路について記載する。本実施例のエックス線導波路は、Si基材上50上に、タングステンからなるクラッド52、シリカからなるメソポーラス構造体51と平坦化層14からなるコア、クラッド53から形成されている。導波路の構成は実施例2と同一であるが、製造方法が一部異なっている。
(3−1)クラッドの形成(図6−a)
(2−1)と同様の手法を用いてクラッド52は形成される。
(2−1)と同様の手法を用いてクラッド52は形成される。
(3−2)メソポーラス構造体の形成(図6−b)
クラッド52上に(1−1)と同様の手法を用いてシリカからなるメソポーラス構造体は形成される。
クラッド52上に(1−1)と同様の手法を用いてシリカからなるメソポーラス構造体は形成される。
(3−3)平坦化層形成(図6−c)
形成されたメソポーラス構造体の表面凹凸を平坦化する目的で平坦化補助層54を形成する。平坦化補助層54は、SOGのスピンコーティングにより形成した。SOG材料として、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社のNAX120を、ジブチルエーテルで20%に希釈し基板上にスピンコート法にて塗布した。塗布後の基板は25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で24時間保持され、300nmの厚さの平坦化補助層54が形成される。
形成されたメソポーラス構造体の表面凹凸を平坦化する目的で平坦化補助層54を形成する。平坦化補助層54は、SOGのスピンコーティングにより形成した。SOG材料として、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社のNAX120を、ジブチルエーテルで20%に希釈し基板上にスピンコート法にて塗布した。塗布後の基板は25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で24時間保持され、300nmの厚さの平坦化補助層54が形成される。
(3−4)研磨処理
続いて、平坦化補助層のエッチバックを行う。ドライエッチング装置を用い、平坦化補助層54とメソポーラス構造体51の界面付近まで、Arガスプラズマによるスパッタエッチングを行う。本工程後のシリカからなるメソポーラス構造体の表面粗さはrmsで2.5nmとなる。
続いて、平坦化補助層のエッチバックを行う。ドライエッチング装置を用い、平坦化補助層54とメソポーラス構造体51の界面付近まで、Arガスプラズマによるスパッタエッチングを行う。本工程後のシリカからなるメソポーラス構造体の表面粗さはrmsで2.5nmとなる。
(3−5)平坦化処理(図6−e)
(1−3)と同様の手法を用いシリカからなるメソポーラス構造体に平坦化層を形成する。本工程にてシリカからなるメソポーラス構造体の表面粗さはrmsで0.34nmとなり、図1における距離Lは30nmであり、シリカからなるメソポーラス構造体の構造周期10nmの3倍に相当する。
(1−3)と同様の手法を用いシリカからなるメソポーラス構造体に平坦化層を形成する。本工程にてシリカからなるメソポーラス構造体の表面粗さはrmsで0.34nmとなり、図1における距離Lは30nmであり、シリカからなるメソポーラス構造体の構造周期10nmの3倍に相当する。
(3−6)クラッドの形成(図6−f)
シリカからなるメソポーラス構造体51上にタングステンからなるクラッド53を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さ15nmで成膜される。
シリカからなるメソポーラス構造体51上にタングステンからなるクラッド53を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さ15nmで成膜される。
(3−7)エックス線反射率
実施例2の(2−6)のようにしてエックス線反射率を測定すると、実施例3のエックス線導波路は、(3−3)および(2−4)の工程を行わず、研磨および平坦化層を形成していないシリカからなるメソポーラスシリカ構造体をコアとして用いたエックス線導波路の反射率のおよそ5倍の値を示す。このことは研磨および平坦層の形成により、エックス線導波路のクラッド/コア界面によるエックス線の閉じ込め効果が向上した事を示唆する。
実施例2の(2−6)のようにしてエックス線反射率を測定すると、実施例3のエックス線導波路は、(3−3)および(2−4)の工程を行わず、研磨および平坦化層を形成していないシリカからなるメソポーラスシリカ構造体をコアとして用いたエックス線導波路の反射率のおよそ5倍の値を示す。このことは研磨および平坦層の形成により、エックス線導波路のクラッド/コア界面によるエックス線の閉じ込め効果が向上した事を示唆する。
(3−8)導波特性
実施例2の(2−7)のようにしてエックス線導波強度を測定すると、実施例3のエックス線導波路は、工程(3−3)から(3−5)を行わず平坦化層および研磨を行っていないエックス線導波路と比較しておよそ12倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、エックス線導波路のコア/クラッド界面の良好な平滑度によりエックス線の閉じ込め効率が向上することで達成されたものと考えられる。
実施例2の(2−7)のようにしてエックス線導波強度を測定すると、実施例3のエックス線導波路は、工程(3−3)から(3−5)を行わず平坦化層および研磨を行っていないエックス線導波路と比較しておよそ12倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、エックス線導波路のコア/クラッド界面の良好な平滑度によりエックス線の閉じ込め効率が向上することで達成されたものと考えられる。
<実施例4>
本実施例では、図5に沿って積層構造を有するメソポーラス構造体を有するエックス線導波路について記載する。本実施例のエックス線導波路は、Si基材上40上に、タングステンからなるクラッド42、シリカからなるメソポーラス構造体44とメソポーラスシリカからなる平坦化層14からなるコア、クラッド43から形成されている。
本実施例では、図5に沿って積層構造を有するメソポーラス構造体を有するエックス線導波路について記載する。本実施例のエックス線導波路は、Si基材上40上に、タングステンからなるクラッド42、シリカからなるメソポーラス構造体44とメソポーラスシリカからなる平坦化層14からなるコア、クラッド43から形成されている。
(4−1)クラッド、コアの形成およびコアの平坦化(図5−a〜d)
実施例2の(2−1)から(2−3)と同様にして、基材上にクラッド42、メソポーラス構造体44を形成し、メソポーラス構造体44の研磨および平坦化層の形成を行う。
実施例2の(2−1)から(2−3)と同様にして、基材上にクラッド42、メソポーラス構造体44を形成し、メソポーラス構造体44の研磨および平坦化層の形成を行う。
(4−2)平坦化層形成(図5−e)
(4−2−1)シリカからなるメソポーラス構造体の前駆体溶液調製
平坦化層14は、ディップコート法で調製される。メソポーラスシリカの前駆体溶液は、テトラアルコキシシラン2.6g、ブロックコポリマー(Pluronic P123、BASF社製)0.7g、1−プロパノール13g、0.01M塩酸水溶液1.35gを混合・攪拌を行い調製する。
(4−2−1)シリカからなるメソポーラス構造体の前駆体溶液調製
平坦化層14は、ディップコート法で調製される。メソポーラスシリカの前駆体溶液は、テトラアルコキシシラン2.6g、ブロックコポリマー(Pluronic P123、BASF社製)0.7g、1−プロパノール13g、0.01M塩酸水溶液1.35gを混合・攪拌を行い調製する。
(4−2−2)メソポーラスシリカ膜の形成
調整した前駆体溶液をさらに1−プロパノールで5倍希釈し、洗浄した基材にディップコート装置を用いて0.5mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。成膜後、膜は、25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で2週間、80℃で24時間保持される。凹凸を低減する平坦化層として成膜したメソポーラスシリカ膜は、コアに形成したものに比較して周期性が劣る構造である。(構造の周期性に分布を持たせる事で成膜時の平坦性を向上させている。)
調整した前駆体溶液をさらに1−プロパノールで5倍希釈し、洗浄した基材にディップコート装置を用いて0.5mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。成膜後、膜は、25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で2週間、80℃で24時間保持される。凹凸を低減する平坦化層として成膜したメソポーラスシリカ膜は、コアに形成したものに比較して周期性が劣る構造である。(構造の周期性に分布を持たせる事で成膜時の平坦性を向上させている。)
本工程により、図1(b)のように表面に露出したメソ孔を充填する不連続の平坦化層としてメソポーラスシリカ膜が形成され、その表面のrmsは0.5nmとなる。
本工程により形成したメソポーラスシリカ膜の表面はメソ孔が露出せずシリカ壁で覆われている状態である。図1における距離Lは30nmであり、シリカからなるメソポーラス構造体の構造周期の3倍に相当する。
本工程により形成したメソポーラスシリカ膜の表面はメソ孔が露出せずシリカ壁で覆われている状態である。図1における距離Lは30nmであり、シリカからなるメソポーラス構造体の構造周期の3倍に相当する。
(4−3)エックス線反射率
実施例2の(2−6)のようにしてエックス線反射率を測定すると、実施例4のエックス線導波路は、平坦化層を有さないシリカからなるメソポーラス構造体をコアとして用いたエックス線導波路の反射率のおよそ4倍の値を示す。これにより、メソポーラス構造体の表面が平坦化することにより、エックス線導波路のクラッド/コア界面によるエックス線の閉じ込め効果が向上した事を示唆する。
実施例2の(2−6)のようにしてエックス線反射率を測定すると、実施例4のエックス線導波路は、平坦化層を有さないシリカからなるメソポーラス構造体をコアとして用いたエックス線導波路の反射率のおよそ4倍の値を示す。これにより、メソポーラス構造体の表面が平坦化することにより、エックス線導波路のクラッド/コア界面によるエックス線の閉じ込め効果が向上した事を示唆する。
(4−4)導波特性
実施例2の(2−7)のようにしてエックス線導波強度を測定すると、実施例4のエックス線導波路は平坦化層を有さないエックス線導波路と比較しておよそ12倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、エックス線導波路のコア/クラッド界面の良好な平滑性によりエックス線の閉じ込め効率が向上することで達成されたものと考えられる。
実施例2の(2−7)のようにしてエックス線導波強度を測定すると、実施例4のエックス線導波路は平坦化層を有さないエックス線導波路と比較しておよそ12倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、エックス線導波路のコア/クラッド界面の良好な平滑性によりエックス線の閉じ込め効率が向上することで達成されたものと考えられる。
11 メソポーラスマトリクス
12 メソ孔
13 メソ孔
14 平坦化層
15 表面
16 メソ孔
17、31、41 メソポーラス構造体
30、40 基材
42、43、52、53 クラッド
44、51 メソポーラス構造体
50 基板
54 平坦化層
2001 コア
2002、2003 クラッド
2004 周期構造の一単位
2005、2006 層
2007 クラッドとコアの界面における全反射臨界角
2008 メソポーラス構造体の多層構造の周期性に起因するブラッグ角θB
2009 メソポーラス構造体を構成する層の界面での全反射臨界角
12 メソ孔
13 メソ孔
14 平坦化層
15 表面
16 メソ孔
17、31、41 メソポーラス構造体
30、40 基材
42、43、52、53 クラッド
44、51 メソポーラス構造体
50 基板
54 平坦化層
2001 コア
2002、2003 クラッド
2004 周期構造の一単位
2005、2006 層
2007 クラッドとコアの界面における全反射臨界角
2008 メソポーラス構造体の多層構造の周期性に起因するブラッグ角θB
2009 メソポーラス構造体を構成する層の界面での全反射臨界角
Claims (21)
- メソポーラス構造体と、該メソポーラス構造体の表面に存在する平坦化層と、からなる積層構造を有するメソポーラス構造体であって、
前記メソポーラス構造体が、メソ孔を有するメソポーラスマトリクスと、該メソ孔の内部に存在する材料と、からなり、前記メソ孔がメソポーラスマトリクスの表面に露出しており、前記平坦化層が前記メソポーラスマトリクスの表面に露出したメソ孔に存在することを特徴とする積層構造を有するメソポーラス構造体。 - 前記表面に露出したメソ孔が周期的に配置されている事を特徴とする請求項1に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記メソポーラス構造体と前記平坦化層との界面の二乗平均面粗さ(rms)が、前記メソポーラス構造体の表面に露出していないメソ孔の径より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記平坦化層が前記メソポーラスマトリクスによって分断された複数の独立した領域の集合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記平坦化層が連続した層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記メソ孔の内部に存在する材料が空気であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記メソ孔の内部に存在する材料が有機化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記メソ孔がシリンダー状の形状をなしていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記メソポーラスマトリクスが有するメソ孔のうち、前記メソポーラスマトリクスの表面に露出しておらずかつ表面に最も近いメソ孔の中心から前記平坦化層の表面までの距離Lが、メソポーラス構造体の構造周期Dの自然数倍であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記距離Lが、メソポーラスマトリクスの構造周期Dであることを特徴とする請求項9に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記メソポーラスマトリクスがシリカからなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記平坦化層を構成する材料と、前記メソポーラスマトリクスを構成する材料が同一であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記平坦化層を構成する材料が、前記メソポーラス構造体の平均電子密度±50%の範囲の電子密度を有する材料であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記平坦化層の表面の二乗平均面粗さ(rms)が前記メソポーラス構造体のメソ孔の径より小さいことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記平坦化層の表面の二乗平均面粗さ(rms)が2.0nm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- 前記平坦化層の表面の二乗平均面粗さ(rms)が0.5nm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体。
- コアと、コアを挟んで存在する2つのクラッドと、からなるエックス線導波路であって、
前記コアが請求項1〜16のいずれか一項に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体であり、前記クラッドと前記コアとの界面における全反射臨界角が、前記コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きくなるように構成されていることを特徴とするエックス線導波路。 - 前記クラッドが、複数の層の積層構造を有することを特徴とする請求項17に記載のエックス線導波路。
- メソポーラスマトリクスを形成する工程と、
前記メソポーラスマトリクスの表面にメソ孔を露出させる工程と、
前記メソ孔が露出したメソポーラスマトリクスの表面に平坦化層を形成する工程と、
を有することを特徴とする積層構造を有するメソポーラス構造体の製造方法。 - 前記メソポーラスマトリクスの表面にメソ孔を露出させる工程が、前記メソポーラスマトリクスの表面を一部除去し、前記メソポーラスマトリクスの表面の二乗平均面粗さ(rms)を前記メソポーラスマトリクスが有する前記表面に露出していないメソ孔の径よりも小さくする工程であることを特徴とする請求項19に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体の製造方法。
- 前記表面に平坦化層を形成する工程が、
前記メソ孔を覆うように前記平坦化層を形成する工程であることを特徴とする請求項19に記載の積層構造を有するメソポーラス構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014035847A JP2014193802A (ja) | 2013-02-28 | 2014-02-26 | メソポーラス構造体、エックス線導波路、およびメソポーラス構造体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013039269 | 2013-02-28 | ||
JP2013039269 | 2013-02-28 | ||
JP2014035847A JP2014193802A (ja) | 2013-02-28 | 2014-02-26 | メソポーラス構造体、エックス線導波路、およびメソポーラス構造体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014193802A true JP2014193802A (ja) | 2014-10-09 |
Family
ID=51388163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014035847A Pending JP2014193802A (ja) | 2013-02-28 | 2014-02-26 | メソポーラス構造体、エックス線導波路、およびメソポーラス構造体の製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20140241509A1 (ja) |
JP (1) | JP2014193802A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013064628A (ja) * | 2011-09-16 | 2013-04-11 | Canon Inc | X線導波路システム |
US20140294158A1 (en) * | 2013-03-26 | 2014-10-02 | Canon Kabushiki Kaisha | X-ray waveguide |
KR102558858B1 (ko) * | 2018-05-28 | 2023-07-21 | 코닝 인코포레이티드 | 유기발광장치의 광추출기판 및 그 제조방법 |
-
2014
- 2014-02-26 JP JP2014035847A patent/JP2014193802A/ja active Pending
- 2014-02-26 US US14/191,142 patent/US20140241509A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20140241509A1 (en) | 2014-08-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5864892B2 (ja) | X線導波路 | |
Moghal et al. | High-performance, single-layer antireflective optical coatings comprising mesoporous silica nanoparticles | |
JP5783785B2 (ja) | X線導波路 | |
JP2012014152A (ja) | X線導波路 | |
JP2014193802A (ja) | メソポーラス構造体、エックス線導波路、およびメソポーラス構造体の製造方法 | |
JP2012226081A (ja) | X線導波路 | |
US20130177138A1 (en) | X-ray waveguide | |
US20130156162A1 (en) | X-ray waveguide and x-ray waveguide system | |
JP2013137308A (ja) | X線導波路及びx線導波システム | |
JP2013137307A (ja) | X線導波路及びx線導波システム | |
US20130064352A1 (en) | X-ray waveguide, process of producing x-ray waveguide, and x-ray guiding system | |
JP2013036893A (ja) | X線光学系 | |
US20130114795A1 (en) | X-ray waveguide, method for manufacturing x-ray waveguide, and method for controlling x-ray waveguide | |
US20130051534A1 (en) | X-ray waveguide and x-ray waveguide system | |
Touam et al. | Low optical loss nano-structured TiO _ 2 TiO 2 planar waveguides by sol–gel route for photonic crystal applications | |
JP2013057628A (ja) | X線導波路の製造方法 | |
JP2014209107A (ja) | X線導波路 | |
JP2013057879A (ja) | X線導波路及びx線導波システム | |
JP2012013685A (ja) | エックス線ミラー、その製造方法及びエックス線装置 | |
WO2013039078A1 (en) | X ray waveguide system | |
JP2012002760A (ja) | エックス線導波路およびその製造方法 | |
JP2013057878A (ja) | X線導波路及びx線導波システム | |
Das et al. | Study of spin coated multilayer zirconia and silica films for non-quarterwavelength optical design based antireflection effect at 1,054 nm | |
JP2013117444A (ja) | X線光学素子及びx線光学システム | |
JP2013117445A (ja) | X線導波路及びx線導波システム |