JP2013057879A - X線導波路及びx線導波システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 クラッドによるX線の閉じ込め効果を高めることで、高い伝搬効率で位相の揃ったX線を導波することが可能なX線導波路を提供する。
【解決手段】 X線を導波させるコアとクラッドを有するX線導波路であって、前記コアは、X線の導波方向に垂直な方向において、屈折率実部が異なる複数の物質を含む周期構造を有し、前記コアと前記クラッドとの間に平坦化層が設けられ、前記コア及び前記平坦化層は、前記クラッドと接しており、前記クラッドと前記平坦化層および前記コアとの界面における全反射臨界角が、該コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きいことを特徴とするX線導波路。
【選択図】 図1

Description

本発明は、X線導波路及びX線導波システムに関する。
X線は、医療、非破壊検査、結晶構造解析等の分野で広く利用されている。X線のような数10nm以下の短い波長の電磁波に対する異物質間の屈折率差は非常に小さいために、このような電磁波をコントロールするためには、大型の空間光学系が用いられている。主流であるこのような空間光学系に対し、最近、光学系の小型化、高機能化を目指し、薄膜や多層膜中に電磁波を閉じ込めて伝播させる、X線導波路の研究が行われている。非特許文献1には、Niと炭素の多層膜からなるX線導波路が開示されている。
Physical Review B,Volume 62,p.16939(2000)
非特許文献1は、ニッケルよりなるクラッドと、炭素よりなるコアを有するX線導波路について記載している。非特許文献1に記載されたX線導波路は、炭素とニッケルとの界面の全反射によりX線を閉じ込めて導波し、複数の導波路が積層されたものとして機能する。このために、クラッドに挟まれたコアの組み合わせが一組の導波路(以下、「単層導波路」と記載する)と比較して大きな光量のX線を導波することが可能となる。
しかし、このような構成のX線導波路は、積層された導波路構成のそれぞれ(コアとそれを挟み込むクラッドの組)が別個の単層導波路として機能する。そのために、全体として出射されるX線の位相が揃う、集光、発散抑制効果を持つといった、単層導波路の長所を低減してしまうという問題があった。
本発明は、X線を導波させるコアとクラッドを有するX線導波路であって、
前記コアは、X線の導波方向に垂直な方向において、屈折率実部が異なる複数の物質を含む周期構造を有し、
前記コアと前記クラッドとの間に平坦化層が設けられ、
前記コア及び前記平坦化層は、前記クラッドと接しており、
前記クラッドと前記平坦化層および前記コアとの界面における全反射臨界角が、該コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きいことを特徴とするX線導波路に関する。
本発明によれば、クラッドによるX線の閉じ込め効果を高めることで、高い伝搬効率で位相の揃ったX線を導波することが可能なX線導波路を提供することができる。
本発明のX線導波路の一実施形態を表す図である。 本発明のX線導波路の概念図である。 有効伝搬角度θの概念図である。 本発明のX線導波路の製造工程の例を示す図である。
本発明のX線導波路について以下に詳しく述べる。
本発明に係るX線導波路の概念図を図1に示す。図1において、屈折率実部が異なる複数の物質を含む周期構造を有するコア1001は、は、コアにX線を閉じ込めるためのクラッド1002,1003に挟まれている。本発明のX線導波路は、コア1001とクラッド1003が部分的に接触しており、非接触部に平坦化層1020が設けられ、平坦化されたコアおよび平坦化層とクラッドとの界面をもつ。その結果、入射したX線が平坦化された上記クラッド界面における全反射によって効果的に閉じ込められることで、高い伝搬効率で、X線を導波することが可能となる。ここで、図1は模式図であり、コア表面の凹凸は誇張して描かれている。
ここでは、本実施形態に係るX線導波路について、(1)X線、(2)X線導波路、(3)クラッド、(4)コア、(5)平坦化層について分けて説明する。
(1)X線
本発明のX線導波路で導波するX線について説明する。本発明において、X線とは物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域の電磁波を言う。具体的には、本発明におけるX線とは、波長が1pm以上、極端紫外光(Extreme Ultra Violet(EUV)光)を含む100nm以下の波長の電磁波を言う。本明細書において、単に電磁波という場合、上記X線のことと同義で用いる場合がある。
X線のような短い波長の電磁波の周波数は非常に高く、物質の最外殻電子が応答できないため、紫外光の波長以上の波長をもつ電磁波(可視光や赤外線)の周波数帯域と異なり、X線に対しては物質の屈折率の実部が1より小さくなることが知られている。このようなX線に対する物質の屈折率nは一般的に、下記の式(1)で表されるように、実数部の1からのずれ量δ、吸収に関係する虚数部のβ’を用いて表される。
Figure 2013057879
δは物質の電子密度ρに比例するため、電子密度の大きい物質ほど屈折率の実部が小さくなる。屈折率実部n’は、1−δとなる。さらに、ρは原子密度ρと原子番号Zに比例する。このようにX線に対する物質の屈折率は複素数で表されるが、その実部を本明細書中では屈折率実部または屈折率の実部と称し、虚部を屈折率虚部または屈折率の虚部と称する。たとえば、X線は、真空中を伝搬する場合に屈折率実部が最大となり、一般的環境下では気体でないほぼすべての物質に対して空気の屈折率実部が最大となる。本明細書中においては、『物質』と言った場合には、空気や真空も包含するものとする。したがって、メソ構造体やメソポーラスは、単一な材料で構成されている場合でも空気や真空からなる屈折率の異なる部分を有するので、複数の物質から構成されているものとする。
(2)X線導波路
本発明のX線導波路は、クラッドでの全反射によりX線をコアに閉じ込めてX線を導波させるものであり、コアが屈折率実部の異なる複数の物質を含む周期構造を有することで、後述する周期共鳴導波モードを発現するものである。このときコアとクラッド界面の粗さが大きい場合には、コアへのX線の閉じ込め効率が低下し、その結果X線の伝搬効率も低下する。この全反射によるX線の閉じ込めを効果的なものとするために、本発明のX線導波路の製造方法は、コアとクラッド間に平坦化層を形成して平坦化する工程が含まれていることを特徴とする。
本発明に特徴的な平坦化層を用いた平坦化手法の説明に入る前に、周期共鳴導波モードを発現するX線導波路の基本的な原理の説明を行う。(2)X線導波路では、理想的に平滑であるコアとクラッドの界面を持ち、平坦化層を有さないX線導波路を用いて説明を行う。
周期共鳴導波モードを発現するX線導波路は、コアとクラッドとの界面における全反射により、X線を周期構造であるコアの中に閉じ込めて導波モードを形成し、X線を伝搬させる。そしてこの導波路では、コアとクラッドの界面での全反射臨界角が、コアの周期構造の周期性に起因するブラッグ角よりも大きいことを特徴とする。図2には、このX線導波路の概念図を示す。このX線導波路は、コア2001が、クラッド2002とクラッド2003に挟まれた形態である。そしてこのコア2001は、高屈折率実部をもつ物質の層2005と低屈折率実部をもつ物質の層2006とによりなる単位構造2004が、積層、構成されている。本発明のX線導波路のコアの周期構造は一次元から三次元のいずれの周期構造を用いてもよいが、ここでは理解を容易とするために、例えば多層膜のような一次元の周期構造を用いて説明を行う。図2で、2007はクラッドとコアの界面における全反射臨界角、2008はブラッグ角、2009は単位構造中の物質界面における全反射臨界角を表す。
図2において、クラッドとコアの界面における全反射臨界角θc−total、多層膜中の基本構造をなす各層の界面での全反射臨界角θc−multi、多層膜の周期性に起因するブラッグ角θの例を示してある。本明細書中ではこれらの角度は、膜の面に平行な方向を0°として表現されるものとする。図2において、矢印はX線の進行方向を示す。
クラッドとコアの界面におけるクラッド側の物質の屈折率実部をnclad、コア側の物質の屈折率実部をncoreとした場合の、膜の面に平行な方向からの全反射臨界角θc−total(°)は、nclad<ncoreとして、下記の式(2)
Figure 2013057879
で表される。
コアの1次元周期構造の周期をd、コアである周期構造の平均屈折率実部をnavgとした場合、コア中での多重回折の有無に関わらず次の式(3)のようにおおよそのブラッグ角θ(°)が定義される。
Figure 2013057879
mは定数、λはX線の波長である。
このX線導波路を構成している物質の物性パラメータ、導波路の構造パラメータ、およびX線の波長は、次の式(4)を満たすように設計されているものとする。
Figure 2013057879
式(4)を満たすことにより、周期構造体であるコアがもつ周期性に起因するブラッグ角付近などの有効伝搬角度をもつ導波モードを、常にクラッドによりコアに閉じ込め、X線の伝搬に寄与させることができる。ここで、本明細書中において有効伝搬角度θ’(°)は、導波モードの伝搬方向の波数ベクトル(伝搬定数)k、真空中の波数ベクトルkを用いて下記の式(5)で表されるものとする。連続条件によりkは各層の界面で一定なので、図3に示すように、有効伝搬角度θ’(°)は、導波モードの基本波の伝搬定数kと真空中の波数ベクトルkとの間で定義される角度で、導波モードの基本波が真空中で進行する角度を表している。これは近似的にコア中での導波モードの基本波の伝搬角度を表すと考えることができるため、今後の説明に用いることとする。
Figure 2013057879
ここでは、コアをなす周期構造体は、屈折率実部の異なる複数の物質の膜が周期的に積層された多層膜様のものを想定する。このとき、隣り合う膜界面においては、屈折率実部の違いによる全反射臨界角が存在する。これをθc−multi(°)とする。
Figure 2013057879
上記の式(6)を満たして、多層膜中の全反射臨界角が多層膜の周期性に起因するブラッグ角よりも小さい場合には、ブラッグ角付近以上の角度で多層膜中の界面に入射されるX線は全反射を起さず、部分的な反射または屈折を起こすこととなる。多層膜は複数の異なる屈折率実部の周期的に積層された膜により構成されているので、界面も積層方向に複数存在し、多層膜内部のX線はこれら界面において反射、屈折を繰り返すこととなる。多層膜内部でのX線のこのような反射、屈折の繰り返しは多重干渉を引き起こす。その結果、多層膜の周期構造に共鳴できる条件をもつX線、すなわち多層膜内部で存在できる伝搬モードが形成され、その結果、このX線導波路構造のコア中に導波モードが形成されることになる。これを周期共鳴導波モードと称する。
このような周期共鳴導波モードはそれぞれ有効伝搬角度をもち、最も小さな有効伝搬角度をもつ周期共鳴導波モードの有効伝搬角度は多層膜のブラッグ角付近に現れることになる。周期共鳴波モードは多層膜を周期数無限の一次元フォトニック結晶として考えた場合の最低次バンドを満たす伝搬モードに相当し、この伝搬モードがクラッドとコアとの界面での全反射により閉じ込められたものとなる。
現実の一次元周期構造では、その周期数は有限であるため、そのフォトニックバンド構造は無限周期の一次元周期構造のフォトニックバンド構造からずれてくるが、周期数が増えるほど導波モードの特性は無限周期のフォトニックバンド上のそれに近づくことになる。ブラッグ反射は周期性によるフォトニックバンドギャップの効果により引き起こされ、そのブラッグ反射を与える角度であるブラッグ角は周期共鳴導波モードの有効伝搬角度よりやや大きい角度となる。
周期構造のフォトニックバンド構造において、フォトニックバンドギャップ端に、周期構造に共鳴する導波モードが存在する。X線のエネルギーが一定として導波モードの有効伝搬角度を考えた場合、これらの導波モードのうち相対的に小さい有効伝搬角度をもつ導波モードが、最低次の周期共鳴導波モードである。周期共鳴導波モードの電場強度の空間的分布プロファイルでは、電場強度の腹の数は基本的に、多層膜の周期数と一致する。高次のブラッグ角に相当する有効伝搬角度をもつ、高次の周期共鳴導波モードの腹の位置は、基本的に周期数の2以上の自然数倍となる。
また有限の周期数をもつ多層膜においては、上記のような周期共鳴導波モードのもつ有効伝搬角度以外の角度で伝搬する導波モードも存在し得る。これらは周期共鳴導波モードではなくコアである多層膜全体を、屈折率実部が平均化された均一媒質として考えた場合に存在する導波モードで、その特性に基本的には多層膜の周期性の影響は少ない。一方、このX線導波路の構成で実現される周期共鳴導波モードでは、周期構造の周期数が増えるほど、より多層膜であるコアの中心へ電場が集中し、クラッドへの染み出しも少なくなり、X線の伝搬損失が小さくなる。また、電場強度分布の包絡曲線はコアの中央に偏った形状となり、よりクラッドへのしみ出しによる損失が小さくなる。さらに、このX線導波路中で用いられる周期共鳴導波モードの位相は、周期性の高い方向、つまりクラッドとコアの界面に垂直かつ導波方向に垂直な方向において、そろったものとなり、空間的なコヒーレンスを有することができる。ここで、導波モードの位相がそろうということは、導波方向に垂直な面内での電磁場の位相差が0であるということだけではなく、周期構造の空間的な屈折率分布に対応して電磁場の位相差が周期的に−πと+πの間で変化していることをも意味する。この周期共鳴導波モードは、導波方向に垂直な方向において、電場の位相が周期構造の周期と同じ周期で−πと+πの間で変化しているものとなる。
(3)クラッド
本発明のX線導波路は、クラッドでの全反射によりX線をコア(および平坦化層)に閉じ込めてX線を導波させる。X線の領域においては、電子密度の大きい物質ほど屈折率の実部が小さくなる。そのためにクラッドに用いられる材料としては、電子密度の大きな金属を用いることができる。具体的には、Os,Ir,Pt,Au,W,Ta,Hg,Ru,Rh,Pd,Pb,Moの単体、またはこれらの元素を含む材料を用いることが好ましい。このような材料を用いたクラッドは、スパッタリング、蒸着等によって形成することができる。このクラッドの厚さは、コアにX線を十分に閉じ込められる程度に厚く、コスト、製造の観点から薄いことが求められる。クラッドの厚さは、1nm以上300nm以下が好ましく、1nm以上50nm以下がより好ましい。クラッドは、X線導波路内で膜厚分布をもって形成することも好ましく行われる。例えば、クラッド表面からの入射を積極的に行わせる目的で、入射領域において膜を薄く形成して導入効率を向上させつつ、その他の領域では、膜を厚く形成してX線の閉じ込め効果を高めることが好ましく行われる。
(4)コア
本発明において、コアは、屈折率実部が異なる複数の物質からなる周期構造を備えている。本発明において屈折率実部が異なる複数の物質とは多くの場合電子密度が異なる二種以上の物質である。周期構造は、一次元から三次元の周期構造であればよいが、X線の導波方向に垂直な面内での周期性を有するものとする。このような周期構造は、フォトリソグラフィーや電子ビームリソグラフィー、エッチングプロセス、積層や貼り合わせ等の従来の半導体プロセスによっても作製可能である。たとえば、周期構造が一次元の場合には、この周期構造は、多層膜として構成することができる。この場合、多層膜を形成する方法としては、交互蒸着やスパッタ法などがある。
このようなコアを形成する屈折率実部が異なる物質は、無機物、有機物の固体材料のほかに、気体、真空でもよい。また、これらの物質を組み合わせて用いることも好ましい。無機物としては、ホウ素、ホウ素化合物、ベリリウム、炭素、窒化物、酸化物、リンを用いることができる。具体的には、Be,B,C,BC,BN,SiC,Si,SiN,Al,MgO,TiO,SiO,Pを用いることが好ましい。コアを形成する材料を無機物質とすることにより、従来のスパッタ法、蒸着、結晶成長などの確立されたプロセスが利用可能であり、熱や外力に強い構造とすることができる。有機物の例としては、ポリマー、低分子化合物を用いることができる。具体的には、各種レジスト材料、ポリイミド、ビニル系高分子を用いることができる。有機物を用いるであることにより、X線の吸収による伝搬損失を小さくすることができる。気体、真空であれば、この損失をさらに低減することができ好ましい。
また周期構造を形成する材料として、通常の半導体プロセスとは異なる、自己組織的な形成メカニズムにより作製される材料を用いてもよい。この例として、界面活性剤等または両親媒性物質の自己集合により形成されるメソ構造体膜があげられる。本発明における周期構造体は、このメソ構造体膜が好ましく用いられる。以下にこの内容について記述する。
(4−1)メソ構造体膜について
多孔質材料は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)によって、その孔径により分類されており、孔径が2−50nmの多孔質材料は、メソポーラスに分類される。近年、このメソポーラス材料についての研究が盛んに行われ、界面活性剤の集合体を鋳型とすることで、径の揃ったメソ孔が規則的に配列した構造を得ることが可能になっている。
本明細書中において、メソ構造体膜は、(A)メソポーラス膜、(B)メソポーラス膜の孔が主に有機化合物で充填されたもの、(C)ラメラ構造を持つメソ構造体膜を含む。
以下に、それぞれについて詳細な説明を行う。
(A)メソポーラス膜
メソポーラス膜は、孔径が2−50nmの多孔質材料からなる膜である。壁部の材料は、製造可能性、周期構造体を屈折率実部が異なる物質より構成するという観点から、酸化物を用いることができる。酸化物としては、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化ジルコニア、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化タングステン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛を用いることが好ましい。これらの物質は、たとえば10keVのX線に対し、全て0.999997以下の屈折率実部を持ち、以降に記載する有機物(同、0.999998程度の屈折率実部を持つ)や空気(同、ほぼ1の屈折率実部を持つ)と周期構造体を構成した際に、屈折率実部が異なる物質より構成される周期構造体を形成することができる。上述の酸化物は、その骨格中に有機成分が含まれていてよい。壁部の表面は、必要に応じて修飾されていてよい。たとえば、水の吸着を抑制するために、疎水性の分子を修飾してもよい。
メソポーラス膜の作製法は、特に制限されるものではないが、たとえば、以下の方法で作製することができる。集合体が鋳型として機能する両親媒性物質の溶液に、無機酸化物の前駆体を加え、成膜を行い、無機酸化物の生成反応を進行させる。その後に、鋳型分子を除去することにより、多孔質材料とする。
この両親媒性物質は、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤分子としては、イオン性、非イオン性の界面活性剤を用いることができる。このイオン性界面活性剤としては、例えば、トリメチルアルキルアンモニウムイオンのハロゲン化物塩を用いることができる。このアルキル鎖は炭素数で10以上22以下であることが好ましい。非イオン性の界面活性剤としては、ポリエチレングリコールを親水基として含むものを用いることができる。ポリエチレングリコールを親水基として含む界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロックコポリマーを用いることが好ましい。ポリエチレングリコールアルキルエーテルのこのアルキル鎖の鎖長は炭素数で10以上22以下が好ましく、ポリエチレングリコールの繰返し数は、2以上50以下が好ましい。この疎水基、親水基を変化させることにより構造周期を変化させることが可能である。一般的に疎水基、親水基を大きなものとすることにより孔径を拡大することが可能である。また、界面活性剤に加えて、構造周期を調整するための添加物を加えてもよい。この構造周期を調整するための添加物としては、疎水性物質を用いることができる。この疎水性物質としては、アルカン類、親水性基を含まない芳香族化合物を用いることができ、具体的には、オクタンを用いることができる。
無機酸化物の前駆体としては、ケイ素や金属元素のアルコキサイド、塩化物を用いることができる。具体的には、Si,Zr,Ti,Nb,Al,Zn,Snのアルコキサイド、塩化物を用いることができる。アルコキサイドとしては、メトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、または、その一部がアルキル基に置換されたものを用いることができる。
製膜法としては、ディップコート法、スピンコート法、水熱合成法を用いることができる。
鋳型分子の除去方法としては、焼成、抽出、紫外線照射、オゾン処理を用いることができる。
(B)メソポーラス膜の孔が主に有機化合物で充填されたもの
壁部の材料については、(A)の項に記載したものと同様のものを使用することができる。孔を充填する物質については、有機化合物を主とするものであれば特に制限されるものではない。この「主」の意味としては、体積比で50%以上を意味する。この有機化合物の例としては、界面活性剤や、分子集合体の形成機能を有する部位が、壁部を形成する材料または壁部を形成する材料の前駆体と結合している材料が挙げられる。この界面活性剤の例としては、(A)の項で記載した界面活性剤を挙げることができる。また分子集合体の形成機能を有する部位が、壁部を形成する材料、または、壁部を形成する材料の前駆体と結合している材料の例としては、アルキル基を有するアルコキシシラン、アルキル基を有するオリゴシロキサン化合物を挙げることができる。このアルキル鎖の鎖長は、炭素数で10以上22以下が好ましい。
孔の内部には、必要に応じて、または、使用する材料、工程の結果として水、有機溶媒、塩等が含まれていてよい。この有機溶媒の例としては、アルコール、エーテル、炭化水素が挙げられる。
メソポーラス膜の孔が主に有機化合物で充填されたものの作製法は、特に制限されるものではないが、たとえば、(A)の項に記載したメソポーラス膜の作製法の鋳型の除去以前の工程を挙げることができる。
(C)ラメラ構造を持つメソ構造体膜
本発明のメソ構造体膜には、(A)、(B)に加えてラメラ構造のメソ構造体膜を含む。このラメラ構造体は、(B)に記載した壁部の材料と、同じく(B)に記載した孔を充填する物質からなるラメラ構造を有する。これらの二種類の材料(物質)は、所望の特性を得るために、必要に応じて化学結合によって結合されていても良い。この結合されているラメラ構造の化合物の例としては、トリアルコキシアルキルシランを挙げることができる。
(5)平坦化層
本発明のX線導波路は、コア(および平坦化層)とクラッドとの界面での全反射によりX線をコアに閉じ込めてX線を導波させる。このときのクラッド界面での全反射の効率が向上すると、X線のコアへの閉じ込め効率が向上し、X線の伝搬効率が向上することになる。ここで、X線の全反射効率は、全反射界面の粗さに非常に敏感であり、その効率は粗さの減少とともに増大する。発明者らは、種々のX線導波路の構成を検討した結果、いくつかのX線導波路においては、コアとクラッドの界面の粗さを減少させることで、伝搬効率が向上することを確認した。
本発明のX線導波路では、界面の粗さの低減を図るために、コアとクラッドの間に「平坦化層」を導入し平坦化を図る。種々の検討を行うことにより、平坦化層としては、以下の要件を満たすものが適しているとの結論に達した。
第一に屈折率の観点より、平坦化層について検討する。界面の粗さを低減する目的で導入する平坦化層は、(2)で述べたようなX線導波路の原理からすると、X線に対してコアと同一な性質を有することが好ましい。本発明のX線導波路は、異なった物質の界面において、X線が引き起こす屈折、干渉といった現象を利用したものである。これらの現象を生じる上で、X線の導波特性の違いは、主にその電子密度の違いである。したがって、平坦化層の電子密度は、できるかぎりコアを構成する物質の電子密度に近いことが好ましい。電子密度は、主に平坦化層を構成する物質の原子番号と、平坦化層の原子密度で決定される。
理想的には、平坦化層はコアと同一な媒体であるのが好ましいが、その場合に平坦性が十分でない場合も生じうる。平坦性を優先した際には電子密度の差異により同一の媒体とみなせない場合が生じうる。この時、X線導波路に導入する平坦化層の体積は、コアの体積に対してできるかぎり最小限に留める事が好ましい。
第二に平坦化の効果の観点より、平坦化層について検討する。平坦化層を形成する方法及び平坦化層に用いる材料は、[1]コア表面の粗さを緩和するように形成することに適したもの、もしくは、[2]形成後に続く平坦化処理に対して適したものを選択する。[2]の平坦化処理は、コア表面の粗さを平坦化層の形成により緩和して平坦にする目的と、前記の通り平坦化層の体積を最小限に留めたいという目的のため、平坦化層の形成後に平坦化層を平坦化するものである。
[1]を満たす平坦化層を形成する方法は、スピン・オン・グラス(以下SOGと称する)のような溶液系からの塗布および乾燥工程により形成され、乾燥縮合時に流動化して下地凹凸が平坦化される効果を有するものを用いることが好ましい。[2]の平坦化処理で化学的または物理的エッチング、もしくは研磨による平坦化層の部分的除去をする際に、平坦化層とコアのいずれか一方が除去し難い場合には、除去時に粗さを生じる要因となる。したがって、平坦化層はコアとできる限り同様なX線に対する導波特性を有することが好ましい。平坦化層は、コアと同質な材質(構成原子、原子の化学結合状態、原子密度)であることが好ましい。
平坦化層に用いる物質は、上記の条件を満たすものであれば、特に制限されるものではない。平坦化層に用いる物質は、例えば、無機物、有機物、およびこれらの無機・有機複合材料を用いることができる。無機物の例としては、酸化物、軽金属、炭素を挙げることができる。中でも、酸化物は、塗布乾燥法により強固な層が形成し易く密着性の観点からも好ましく用いられる。酸化物としては、具体的には、Si,Al,Ti,Zn,Nb,Zr,Snを含む酸化物を用いることが好ましい。さらに、この中でも、Si,Alの酸化物を用いることがより好ましい。
無機・有機複合材料としては、無機微粒子を有機物に分散させたもの、無機物の骨格に有機分子が組み込まれた物質等を用いることができる。前者の例としては、酸化物微粒子をポリマー中に分散させたもの、後者の例としては、有機ケイ素化合物を挙げることができる。
上述したこれら、いずれの物質も、電子密度制御等の観点から多孔質体のものを用いてもよい。
平坦化層の形成方法としては、無機物であれば一般的なスパッタリング法、CVD(chemical vapor deposition)法、蒸着法、溶液系からの塗布(ゾルゲル法による)製膜を用いることができる。有機物であれば、溶液系からの塗布、蒸着等を用いることができる。複合材料であれば、溶液系からの塗布、ゾルゲル法による製膜等を用いることができる。
本発明で特に好ましく用いられる平坦化層の形成方法である、溶液系からの塗布によるSi酸化物の形成手法について詳細に述べる。塗布液として例えば、一般的にスピン・オン・グラス(SOG)と呼ばれ市販されている材料を、所望の平坦化層の厚さに応じて適当な溶媒で希釈して用いる。SOG材料におけるSi酸化物の前駆体としては、テトラアルコキシシラン、ぺルヒドロシラザン、のような無機系材料のほか、アルキルアルコキシシラン、シロキサン、オルガノシルセスキオキサンのような無機・有機複合材料が挙げられる。希釈溶媒としてはアルコール系、エーテル系、キシレンなど各種SOG材料に用いられている溶媒を適宜選択すればよい。
上述のSOG材料を、スピンコーティング法、ディップコート法、スプレー法などにより形成したコア上に塗布し、乾燥させてSi酸化物を得る。液体状態のSOG材料がコア表面の粗さの凹部に流れ込む事により表面を平坦化させる。乾燥の手段は、常温常圧乾燥、加熱、焼成、場合によっては不活性ガス雰囲気または減圧下(水分量を調整し前駆体の加水分解縮合反応をゆるやかに行いたい場合など)での乾燥手段を選択する。
ここではSi酸化物を例にして詳細に述べたが、上述したようにSi酸化物に限定されるものではく、他の物質においても類似の方法で形成できる。
次に、上記のようにして形成した平坦化層をさらに平坦化する工程を行う。具体的には、化学的エッチングまたは物理的ポリッシングによる、平坦化層の部分的除去(形成した層の一部を除去する事により層厚を減ずる事を意味する)を行う。手法としては、液相系におけるエッチング、プラズマ処理によるエッチング、研磨剤による機械的研磨(メカニカルポリッシング)、平坦化層と化学的に反応する薬液を研磨剤と組み合わせたケミカルメカニカルポリッシング(以下CMPと称する)を用いることができる。
クラッドとの界面におけるコア及び平坦化層の表面粗さは、二乗平均平方根で5nm以下が好ましく、3nm以下であることがより好ましい。クラッドとコアとが接している面積の割合は、クラッドと平坦化層及びコアとが接している面積に対して30%以上95%以下であることが好ましく、60%以上95%以下であることがより好ましい。クラッドとコアが接している面積が30%未満だと、クラッドと平坦化層の接する面積が大きくなるとともに、平坦化層とコアとが接する面積が大きくなり、共鳴導波モードの伝搬損失が大きくなる。クラッドとコアが接している面積が95%を超えると平坦化層とクラッドとの界面の平坦化が難しくなる。上記各面積の評価方法は、クラッドを配置する前の段階にて、コアおよび平坦化層が露出した状態で走査電子顕微鏡(SEM)を用いて表面観察を行い、取得したSEM画像におけるコア領域および平坦化層領域のコントラスト差によりそれぞれの面積を決定する事ができる。なお、この観察段階で露出しているコア領域と平坦化層領域はすべてクラッドに接するものとする。
本発明のX線導波路によれば、平坦化層を用いて、コアとクラッドとの界面を平滑化することにより、クラッド界面での全反射効率を増大させ、コア(および平坦化層)への閉じ込め効率を増大させることができる。これにより、本発明のX線導波路は、高い伝搬効率でX線を導波させることができる。また、本発明のX線導波路によれば、周期共鳴導波モードの持つ特徴である、コアの中心へ電場が集中することによる伝搬損失の低下、空間的なコヒーレンスを有するX線を導波できる。
次に、本発明のX線導波システムについて説明する。本発明のX線導波システムは、少なくとも、X線源およびX線導波路を有する。X線源は、1pm以上100nm以下のX線を照射する。X線源から照射されるX線は、単一の波長であっても、幅を持っていてもよい。X線源から照射されたX線は、X線導波路に入射される。本発明のX線導波システムの導波路は、コアとクラッドからなり、コアがX線の導波方向に垂直な方向において屈折率実部の異なる複数の物質が周期的に配列された周期構造を有する。X線導波路は、コアとクラッド間に平坦化層が設けられている。コア及びクラッド間に平坦化層が設けられ、コア及び平坦化層はクラッドと接している。入射したX線に対して、平坦化層とクラッドの界面における全反射臨界角は、コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きい。また、本発明のX線導波システムに用いるX線導波路は、上述のX線導波路に記載したことが妥当する。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の方法は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
(1−1)導波路の作製
実施例1では、本発明の図1の構成を持つX線導波路を作製する。実施例1のX線導波路は、Si基板10上に、W(タングステン)からなるクラッド1002、コア1001、平坦化層1010、クラッド1003から形成されている。コア1001は酸化ケイ素メソ構造体膜である。このメソ構造体膜は、有機物よりなる孔が2次元的に配列し、膜厚方向に周期構造を形成している。平坦化層は酸化ケイ素である。本実施例のX線導波路の製造過程について図4を用いて説明する。
(1−1−1)クラッドの形成(図4−b)
Si基板上に、W(タングステン)からなるクラッド1002をスパッタ法により厚さおよそ15ナノメートルで成膜する。
(1−1−2)コアの形成(酸化ケイ素メソ構造体膜の作製)(図4−c)
(1−1−2−1)メソ構造体膜の前駆体溶液調製
二次元ヘキサゴナル構造を持つ酸化ケイ素メソ構造体膜1001は、ディップコート法で調製される。メソ構造体の前駆体溶液は、エタノール、0.01M塩酸、テトラエトキシシランを加え20分間混合した溶液にブロックポリマーのエタノール溶液を加え、3時間攪拌することで調製される。ブロックポリマーとしては、エチレンオキサイド(20)プロピレンオキサイド(70)エチレンオキサイド(20)(以降、EO(20)PO(70)EO(20)と記載する(カッコ内は、各ブロックの繰り返し数))を使用することが可能である。混合比(モル比)は、テトラエトキシシラン:1.0、塩酸:0.0011、エタノール:5.2、ブロックポリマー:0.0096、エタノール:3.5とする。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用する。
(1−1−2−2)メソ構造体膜の製膜
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。製膜後、メソ構造体膜は、25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で2週間、80℃で24時間保持される。調整されたメソ構造体膜の、ブラッグ−ブレンターノ配置をもちいたX線回折分析から、このメソ構造体膜は、基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔、つまり閉じ込め方向における周期が、10nmであることが確認された。その膜厚はおよそ500ナノメートルである。なお、前述のように、このメソ構造体膜は有機物よりなる孔が2次元的に配列し、膜厚方向に周期構造を形成している。
(1−1−3)平坦化層の製膜(図4−d)
酸化ケイ素からなる平坦化層1010は、SOG材料をスピンコートする事により形成した。SOG材料として、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社のNAX120を、ジブチルエーテルで希釈し、基板上にスピンコート法にて塗布した。塗布後の基板は25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で24時間保持される。本工程により、液体状態のSOG材料がコア表面の粗さの凹部に流れ込む効果で表面を平坦化させる。形成した平坦化層の膜厚は200nmである。
(1−1−4)平坦化処理
続いて、形成された平坦化層の研磨処理によりさらなる平坦化を行う。CMP装置(エム・エー・ティー社製)を用いて、直径5nmΦのコロイダルシリカ粒子を水分散したBUEHLER社製の研磨液により研磨を行った。研磨時間を調整して200nmに相当する膜厚分を本工程により除去した。形成した基板の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により分析すると、(1−1−3)の工程で形成した平坦化層の大部分が除去されており、コア材料が部分的に表面に露出し、その他の領域を平坦化層に用いた材料が埋めているような形態で、平滑な表面が形成された。表面のクラッド及び平坦化層の面積に対するクラッドの面積の割合は、90%である。(図4−e)
(1−1−5)クラッドの形成
コア(および緩衝材からなる)の表面にW(タングステン)からなるクラッド1003を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さおよそ15ナノメートルで成膜した。
(1−2)表面粗さとX線反射率の関係
表面粗さ計を用いて表面粗さを評価する。(1−1−2)の工程で調製したメソ構造体膜の表面粗さは、二乗平均平方根値で約12nm、(1−1−4)の工程で平坦化したメソ構造体からなる表面の粗さは、二乗平均平方根値で約0.8nmである。
X線導波路のクラッドにX線を照射したときの反射率を比較評価する。10keVのX線を用い、コアの周期構造に対応するブラッグ角(θ=0.36°)の近傍で、ブラッグ反射をはずした角度(θ=0.3°:クラッドの全反射領域内)で入射を行った際のX線反射率を測定する。
実施例1のX線導波路は、(1−1−3)および(1−1−4)の工程を省略し平坦化層を用いていないこと以外は同様の構成を持つX線導波路のそれのおよそ4倍の値を示す。このことは、平坦化層を用いた平坦化処理により、X線導波路のクラッドによるX線の閉じ込め効果が、向上したことを示唆する。
(1−3)導波特性
この導波路に対して、10keVのX線を入射し、周期共鳴導波モードによって導波されるX線の強度を測定した。その結果、(1−1−3)および(1−1−4)の工程を省略し平坦化層を用いていない事以外は同様の構成を持つX線導波路と比較しておよそ12倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、本発明のX線導波路が、平坦化層を用いた平坦化処理により、X線の閉じ込め効率が向上することにより達成されたものと考えられる。
実施例2
(2−1)導波路の作製
実施例2では、図1の構成を持つX線導波路を作製する。実施例2のX線導波路は、Si基板1000上に、W(タングステン)からなるクラッド1002、コア1001、平坦化層1010、クラッド1003から形成されている。コア1001は酸化ケイ素メソ構造体膜である。このメソ構造体膜は、有機物よりなる孔が二次元的に配列し、膜厚方向(導波方向に垂直な方向)に周期構造を形成している。平坦化層は酸化ケイ素である。本実施例のX線導波路の製造過程について図4を用いて説明する。
(2−1−1)クラッドの形成(図4−b)
(1−1−1)と同様の手法を用いてクラッドは形成される。
(2−1−2)酸化ケイ素メソ構造体膜の作製方法
(1−1−2)と同様の手法を用いてメソ構造体膜を形成した。
(2−1−3)平坦化層の製膜(図4−d)
酸化ケイ素からなる平坦化層1010は、CVD法により厚さ200nmで形成した。
(2−1−4)平坦化処理
続いて、形成された平坦化層の研磨処理によりさらなる平坦化を行う。研磨装置(エム・エー・ティー社製)を用いて、直径60nmΦのコロイダルシリカ粒子を水分散したBUEHLER社製の研磨液により研磨を行った。研磨時間を調整して200nmに相当する膜厚分を本工程により除去した。形成した基板の断面を透過電子顕微鏡(TEM)により分析すると、2−1−3の工程で形成した平坦化層の大部分が除去されており、コア材料が部分的に表面に露出し、その他の領域を平坦化層に用いた材料が埋めているような形態で、平滑な表面が形成された。表面のクラッド及び平坦化層の面積に対するクラッドの面積の割合は、65%である。(図4−e)
(2−1−5)クラッドの形成
平坦化層上にタングステンからなるクラッド1003を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さおよそ15ナノメートルで成膜される。クラッドはコアおよび平坦化層からなる表面に密着して形成される。
(2−2)表面粗さとX線反射率の関係
表面粗さ計を用いて表面粗さを評価する。(2−1−2)の工程で調製したメソ構造体膜の表面粗さは、二乗平均平方根値で約12nm、(2−1−4)の工程で平坦化した平坦化層からなる表面の粗さは、二乗平均平方根値で約2nmである。
X線導波路のクラッドにX線を照射したときの反射率を比較評価する。10keVのX線を用い、コアの周期構造に対応するブラッグ角(θ=0.36°)の近傍で、ブラッグ反射をはずした角度(θ=0.3°:クラッドの全反射領域内)で入射を行った際のX線反射率を測定する。
実施例2のX線導波路は、(2−1−3)および(2−1−4)の工程を省略し、平坦化層を用いなかった事以外は同様の構成を持つX線導波路のそれのおよそ3倍の値を示す。このことは、平坦化層を用いた平坦化処理により、X線導波路のクラッドによるX線の閉じ込め効果が、向上したことを示唆する。
(2−3)導波特性
この導波路に対して、10keVのX線を入射し、周期共鳴導波モードによって導波されるX線の強度を測定した。その結果、(2−1−3)および(2−1−4)の工程を省略し、平坦化層を用いなかった事以外は同様の構成を持つX線導波路と比較しておよそ6倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、本発明のX線導波路が、平坦化層を用いた平坦化処理により、X線の閉じ込め効率が向上することにより達成されたものと考えられる。
実施例3
(3−1)導波路の作製
実施例3では、図1の構成を持つX線導波路を作製する。実施例3のX線導波路は、Si基板1000上に、W(タングステン)からなるクラッド1002、コア1001、平坦化層1010、クラッド1003から形成されている。コア1001は酸化チタンメソ構造体膜である。このメソ構造体膜は、有機物よりなる層と酸化チタン層が膜厚方向に層状の周期構造を形成している。平坦化層は酸化チタンである。本実施例のX線導波路の製造過程について図4を用いて説明する。
(3−1−1)クラッドの形成(図4−b)
(1−1−1)と同様の手法を用いてクラッドは形成される。
(3−1−2)酸化チタンメソ構造体膜の作製方法
(3−1−2−1)メソ構造体膜の前駆体溶液調製
ラメラ構造を持つ酸化チタン素メソ構造体膜は、ディップコート法で調製される。メソ構造体の前駆体溶液は、テトラエトキシチタンを濃塩酸に加え5分間混合した溶液にブロックポリマーEO(20)PO(70)EO(20)のエタノール溶液を加え、3時間攪拌することで調製される。エタノールにかえてメタノール、プロパノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルを使用することも可能である。混合比(モル比)は、テトラエトキシチタン:1.0、塩酸:1.8、ブロックポリマー:0.029、エタノール:14とする。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用する。
(3−1−2−2)メソ構造体膜の製膜
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5から2mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。製膜後、膜は、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽で2週間保持される。調製されたメソ構造体膜をブラッグ−ブレンターノ配置のX線回折分析を行った結果、このメソ構造体膜は,基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔は、およそ11nmであることが確認された。尚、前述のように、このメソ構造体膜は、有機物よりなる層と酸化チタン層が膜厚方向に層状の周期構造を形成している。
(3−1−3)平坦化層の製膜(図4−d)
酸化チタンからなる平坦化層1010は、CVD法により厚さ250nmで形成した。
(3−1−4)平坦化処理
続いて、形成された平坦化層のリアクティブイオンエッチング(RIE)を行う。ドライエッチング装置を用いて、250nmに相当する膜厚分を本工程により除去した。形成した基板の断面を透過電子顕微鏡(TEM)により分析すると、3−1−3の工程で形成した平坦化層の大部分が除去されており、コア材料が部分的に表面に露出し、その他の領域を平坦化層に用いた材料が埋めているような形態で、平滑な表面が形成された。表面のクラッド及び平坦化層の面積に対するクラッドの面積の割合は、70%である。(図4−e)
(3−1−5)クラッドの形成
平坦化層上にタングステンからなるクラッド1003を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さおよそ15ナノメートルで成膜される。クラッドはコアおよび平坦化層からなる表面に密着して形成される。
(3−2)表面粗さとX線反射率の関係
表面粗さ計を用いて表面粗さを評価する。(3−1−2)の工程で調製したメソ構造体膜の表面粗さは、二乗平均平方根値で約6nm、(3−1−4)の工程で平坦化した平坦化層からなる表面の粗さは、同約2nmである。
X線導波路のクラッドにX線を照射したときの反射率を比較評価する。10keVのX線を用い、コアの周期構造に対応するブラッグ角(θ=0.36°)の近傍で、ブラッグ反射をはずした角度(θ=0.3°:クラッドの全反射領域内)で入射を行った際のX線反射率を測定する。
実施例3のX線導波路は、(3−1−3)および(3−1−4)の工程を省略し平坦化層を用いなかった事以外は同様の構成を持つX線導波路のそれのおよそ3倍の値を示す。このことは、平坦化層を用いた平坦化処理により、X線導波路のクラッドによるX線の閉じ込め効果が、向上したことを示唆する。
(3−3)導波特性
この導波路に対して、10keVのX線を入射し、周期共鳴導波モードによって導波されるX線の強度を測定した。その結果、(3−1−3)および(3−1−4)の工程を省略し、平坦化層を用いなかった事以外は同様の構成を持つX線導波路と比較しておよそ6倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、本発明のX線導波路が、平坦化層を用いた平坦化処理により、X線の閉じ込め効率が向上することにより達成されたものと考えられる。
実施例4
(4−1)導波路の作製
実施襟4では、図1の構成を持つX線導波路を作製する。実施例4のX線導波路は、Si基板1000上に、W(タングステン)からなるクラッド1002、コア1001、平坦化層1010、クラッド1003から形成されている。コア1001は酸化ケイ素メソ構造体膜である。このメソ構造体膜は、有機物よりなる孔が2次元的に配列し、膜厚方向に周期構造を形成している。本実施例では、平坦化層も酸化ケイ素メソ構造体膜である。平坦化層に用いたメソ構造体膜は、コアに形成したものに比較して周期性に乏しい構造を有している。本実施例のX線導波路の製造過程について図4を用いて説明する。
(4−1−1)クラッドの形成(図4−b)
(1−1−1)と同様の手法を用いてクラッドは形成される。
(4−1−2)酸化ケイ素メソ構造体膜の作製方法
(1−1−2)と同様の手法を用いてメソ構造体膜を形成した。
(4−1−3)平坦化層の製膜(図4−d)
(4−1−3−1)メソ構造体膜の前駆体溶液調製
平坦化層としての酸化ケイ素メソ構造体膜1010は、ディップコート法で調製される。メソ構造体の前駆体溶液は、テトラアルコキシシラン2.6g、ブロックコポリマー(Pluronic P123、BASF社製)0.7g、1−プロパノール13g、0.01M塩酸水溶液1.35gを混合・攪拌を行い調製した。
(4−1−3−2)メソ構造体膜の製膜
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。製膜後、メソ構造体膜は、25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で2週間、80℃で24時間保持される。平坦化層として製膜したメソ構造体膜は、コアに形成したものに比較して周期性が劣る構造である。(構造の周期性に分布を持たせる事で平坦性を向上させている。)
形成した平坦化層の厚さは200nmとなるように形成した。
(4−1−4)平坦化処理
続いて、形成された平坦化層の研磨処理によりさらなる平坦化を行う。研磨装置(エム・エー・ティー社製)を用いて、直径60nmΦのコロイダルシリカ粒子を水分散したBUEHLER社製の研磨液により研磨を行った。研磨時間を調整して200nmに相当する膜厚分を本工程により除去した。形成した基板の断面を透過電子顕微鏡(TEM)により分析すると、4−1−3の工程で形成した平坦化層の大部分が除去されており、コア材料が部分的に表面に露出し、その他の領域を平坦化層に用いた材料が埋めているような形態で、平滑な表面が形成された。表面のクラッド及び平坦化層の面積に対するクラッドの面積の割合は、80%である。(図4−e)
(4−1−5)クラッドの形成
平坦化層上にタングステンからなるクラッド1003を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さおよそ15ナノメートルで成膜される。クラッドはコアおよび平坦化層からなる表面に密着して形成される。
(4−2)表面粗さとX線反射率の関係
表面粗さ計を用いて表面粗さを評価する。(4−1−2)の工程で調製したメソ構造体膜の表面粗さは、二乗平均平方根値で約12nm、(4−1−4)の工程で平坦化した平坦化層からなる表面の粗さは、二乗平均平方根値で約2nmである。
X線導波路のクラッドにX線を照射したときの反射率を比較評価する。10keVのX線を用い、コアの周期構造に対応するブラッグ角(θ=0.36°)の近傍で、ブラッグ反射をはずした角度(θ=0.3°:クラッドの全反射領域内)で入射を行った際のX線反射率を測定する。
実施例4のX線導波路は、(4−1−3)および(4−1−4)の工程を省略し、平坦化層を用いなかった事以外は同様の構成を持つX線導波路のそれのおよそ3倍の値を示す。このことは、平坦化層を用いた平坦化処理により、X線導波路のクラッドによるX線の閉じ込め効果が、向上したことを示唆する。
(4−3)導波特性
この導波路に対して、10keVのX線を入射し、周期共鳴導波モードによって導波されるX線の強度を測定した。その結果、(4−1−3)および(4−1−4)の工程を省略し、平坦化層を用いなかった事以外は同様の構成を持つX線導波路と比較しておよそ8倍の導波強度が観測される。この高い導波強度は、本発明のX線導波路が、平坦化層を用いた平坦化処理により、X線の閉じ込め効率が向上することにより達成されたものと考えられる。
本発明のX線導波路は、X線を用いた撮像、露光、分析等におけるX線光学系に用いられる部品等に利用することができる。
1000 基板
1001 コア
1002 クラッド
1003 クラッド
1010 平坦化層
2001 コア
2002,2003 クラッド
2007 クラッドとコアの界面における全反射臨界角
2008 ブラッグ角
2009 単位構造中の物質界面における全反射臨界角

Claims (7)

  1. X線を導波させるコアとクラッドを有するX線導波路であって、
    前記コアは、X線の導波方向に垂直な方向において、屈折率実部が異なる複数の物質を含む周期構造を有し、
    前記コアと前記クラッドとの間に平坦化層が設けられ、
    前記コア及び前記平坦化層は、前記クラッドと接しており、
    前記クラッドと前記平坦化層および前記コアとの界面における全反射臨界角が、該コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きいことを特徴とするX線導波路。
  2. 前記クラッドと前記コアとが接している面積の割合は、前記クラッドと前記平坦化層及び前記コアとが接している面積に対して30%以上95%以下であることを特徴とする請求項1に記載のX線導波路。
  3. 前記クラッドと前記コアとが接している面積の割合は、前記クラッドと前記平坦化層及び前記コアとが接している面積に対して60%以上95%以下であることを特徴とする請求項1に記載のX線導波路。
  4. 前記クラッドとの界面における前記コア及び前記平坦化層の表面粗さは、二乗平均平方根で5nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線導波路。
  5. 前記コア及び前記平坦化層は、同一の材質である事を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のX線導波路。
  6. 前記コアは、酸化ケイ素メソ構造体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線導波路。
  7. X線源とX線導波路からなるX線導波システムであって、
    前記X線源は、X線を前記X線導波路に入射し、
    前記X線導波路は、コアとクラッドを有し、
    前記コアは、X線の導波方向に垂直な方向において屈折率実部が異なる複数の物質を含む周期構造を有し、
    前記コアと前記クラッド間に平坦化層が設けられており、
    前記コア及び前記平坦化層は、前記クラッドと接しており、
    入射した前記X線に対して、前記平坦化層と前記クラッドの界面における全反射臨界角は、前記コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きいことを特徴とするX線導波システム。
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