JP2014182118A - 車載ステレオカメラの光軸のピッチ角推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】路面及びステレオカメラが相対的にロールしている場合でも、路面に対する車載ステレオカメラの光軸のピッチ角を正確に推定する方法を提供する。
【解決手段】ステレオカメラによって撮影された画像より視差画像を生成しS10、視差画像中の左右に隔置された少なくとも一対の視差点群をV-disparity平面に投影しS20、V-disparity平面において視差点群に対応する直線を求めS30、直線が複数であるか否かを判定しS40、直線が複数であるときには、それらの傾きの異同を判定しS60、傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に位置する一つの直線に対応するピッチ角φを求めるS110。
【選択図】図3
【解決手段】ステレオカメラによって撮影された画像より視差画像を生成しS10、視差画像中の左右に隔置された少なくとも一対の視差点群をV-disparity平面に投影しS20、V-disparity平面において視差点群に対応する直線を求めS30、直線が複数であるか否かを判定しS40、直線が複数であるときには、それらの傾きの異同を判定しS60、傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に位置する一つの直線に対応するピッチ角φを求めるS110。
【選択図】図3
Description
本発明は、自動車等の車両の車載ステレオカメラに係り、更に詳細には路面に対する車載ステレオカメラの光軸のピッチ角を推定する方法に係る。
自動車等の車両の走行制御においては、先行車両や障害物までの距離が推定され、推定結果に基づいて車両の速度や進路等が制御される。この種の走行制御において、車両の横方向に隔置された一対のカメラを備えたステレオカメラにて車両の前方を撮影し、ステレオ視差(単に「視差」という)を利用して先行車両等までの距離を推定することが既に知られている。
ステレオカメラの光軸は車両の前方かつ下方へ延在しており、路面に対する光軸の傾斜角(ピッチ角)は、路面が平坦であれば、車両の水平方向に対する光軸の傾斜角(俯角)と同一である。しかし、車両が加減速に伴ってピッチングしたり、車両の走行に伴って路面の傾斜角が変動したりすると、光軸のピッチ角は光軸の俯角とは異なる値になる。そのため、車両のピッチング等に拘らず先行車両等までの距離を正確に推定すべく、ステレオカメラにて撮影された画像の上下方向とその視差との関係を示す所謂V-disparity平面を利用して光軸のピッチ角を推定することが既に知られている。
例えば、下記の特許文献1に記載されている如く、ステレオカメラによって撮影された画像より生成された視差画像に基づいて路面の視差点群がV-disparity平面に投影され、V-disparity平面において視差点群に対応する直線が求められる。そして、V-disparityの縦座標軸について直線の切片が求められ、その切片及びステレオカメラの焦点距離に基づいて路面に対するステレオカメラの光軸のピッチ角の推定値が演算される。この方法によれば、車両がピッチングしたり路面の傾斜角が変動したりしても、路面に対するステレオカメラの光軸のピッチ角を正確に推定することができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上述の方法においては、路面及びステレオカメラが相対的にロールしていたり、撮影された画像に路面とは横方向の傾斜角が異なる平地等が含まれていたりすると、V-disparity平面においてピッチ角を正確に推定するための直線を求めることができない。特に、路面及びステレオカメラが相対的にロールしている場合には、V-disparity平面における直線が互いに平行な複数の直線になり、直線の縦座標軸の切片が一つに定まらない。また、撮影された画像に路面以外の平地等が含まれている場合には、V-disparity平面における直線が複数になると共に、それらの勾配が互いに異なり、この場合にも直線の縦座標軸の切片が一つに定まらない。
しかし、上述の方法においては、路面及びステレオカメラが相対的にロールしていたり、撮影された画像に路面とは横方向の傾斜角が異なる平地等が含まれていたりすると、V-disparity平面においてピッチ角を正確に推定するための直線を求めることができない。特に、路面及びステレオカメラが相対的にロールしている場合には、V-disparity平面における直線が互いに平行な複数の直線になり、直線の縦座標軸の切片が一つに定まらない。また、撮影された画像に路面以外の平地等が含まれている場合には、V-disparity平面における直線が複数になると共に、それらの勾配が互いに異なり、この場合にも直線の縦座標軸の切片が一つに定まらない。
本発明は、V-disparityの直線に基づいて路面に対するステレオカメラの光軸のピッチ角を推定する従来の方法に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものである。そして本発明の主要な課題は、路面及びステレオカメラが相対的にロールしていたり、撮影された画像に路面とは横方向の傾斜角が異なる平地等が含まれていたりする場合にも、路面に対するステレオカメラの光軸のピッチ角を正確に推定することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、車載ステレオカメラによって撮影された画像より生成された視差画像の視差が横軸であり、視差画像の上下方向が縦軸である平面をV-disparity平面として、視差画像に基づいて路面の視差点群をV-disparity平面に投影し、V-disparity平面において前記視差点群に対応する直線を求め、求められた直線に基づいて路面に対する前記ステレオカメラの光軸のピッチ角を推定するピッチ角推定方法において、左右に隔置された少なくとも一対の視差点群をV-disparity平面に投影し、求められた直線が複数であるか否かを判定し、求められた直線が複数であるときには、複数の直線の傾きの異同を判定し、傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に位置する一つの直線に対応するピッチ角を求めることを特徴とするピッチ角推定方法によって達成される。
上述の主要な課題は、本発明によれば、車載ステレオカメラによって撮影された画像より生成された視差画像の視差が横軸であり、視差画像の上下方向が縦軸である平面をV-disparity平面として、視差画像に基づいて路面の視差点群をV-disparity平面に投影し、V-disparity平面において前記視差点群に対応する直線を求め、求められた直線に基づいて路面に対する前記ステレオカメラの光軸のピッチ角を推定するピッチ角推定方法において、左右に隔置された少なくとも一対の視差点群をV-disparity平面に投影し、求められた直線が複数であるか否かを判定し、求められた直線が複数であるときには、複数の直線の傾きの異同を判定し、傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に位置する一つの直線に対応するピッチ角を求めることを特徴とするピッチ角推定方法によって達成される。
後に詳細に説明する如く、路面及びステレオカメラが相対的にロールしている場合には、V-disparity平面において求められた直線が複数になると共に、それらの直線の傾きが同一になる。そして、複数の直線は相対的なロールがない場合の一つの直線の両側に位置すると共に、複数の直線の間隔は相対的なロールの角度が大きいほど大きい。なお、撮影された画像に路面とは横方向の傾斜角が異なる平地等が含まれている場合には、V-disparity平面において求められた直線が複数になると共に、それらの直線の傾きが異なる。
上記の構成によれば、V-disparity平面において求められた直線が複数であるときには、それらの直線の傾きの異同が判定され、傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に位置する一つの直線に対応するピッチ角が求められる。よって、複数の直線の傾きの異同が判定されることなく、複数の直線のうちの何れか一つの直線に対応するピッチ角が推定される場合に比して、ピッチ角を正確に推定することができる。また、路面及びステレオカメラが相対的にロールしているか否かや、撮影された画像に路面とは横方向の傾斜角が異なる平地等が含まれていたりするか否かを判定し、その判定結果を踏まえてピッチ角を求めることができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、複数の直線の傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に存在する一つの直線を決定し、該直線に基づいて前記ピッチ角を推定するよう構成される。
上述の如く、複数の直線の傾きが同一であるときには、ピッチ角を正確に推定するための一つの直線は複数の直線の間に位置し、その一つの直線の傾きは複数の直線の傾きと同一である。上記の構成によれば、複数の直線の傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に位置する一つの直線が決定され、該直線に基づいてピッチ角が推定される。よって、例えば、複数の直線のうちの何れか一つの直線に基づいてピッチ角が推定される場合に比して、ピッチ角を正確に推定することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、視差画像の中央に近い前記視差点群に対応する直線の重みが視差画像の中央より遠い前記視差点群に対応する直線の重みよりも大きくなるよう、複数の直線を重み付けして演算処理することにより複数の直線の間に位置する一つの直線を決定するよう構成される。
後に詳細に説明する如く、路面及びステレオカメラが相対的にロールしている場合には、視差点が視差画像の中央から遠くなるほど、視差画像に於ける視差点の縦座標の誤差が大きくなる。よって、視差画像の中央に近い視差点群に対応する直線は、視差画像の中央より遠い視差点群に対応する直線よりも、ピッチ角を推定するための直線としての信頼性が高い。
上記の構成によれば、視差画像の中央に近い前記視差点群に対応する直線の重みが視差画像の中央より遠い前記視差点群に対応する直線の重みよりも大きくなるよう、重み付けして演算処理することにより複数の直線の間に位置する一つの直線が決定される。よって、例えば二つの直線より等距離の位置にそれらに基づく一つの直線が決定される場合に比して、ピッチ角を正確に推定することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、複数の直線の傾きが同一であるときには、各直線に基づいて路面に対する前記ステレオカメラのピッチ角を推定し、推定された複数のピッチ角を平均することにより複数のピッチ角の間にある一つのピッチ角を決定するよう構成される。
複数の直線の傾きが同一であるときには、正確なピッチ角は複数の直線に基づく複数のピッチ角の間の値である。上記の構成によれば、推定された複数のピッチ角を平均することにより複数のピッチ角の間にある一つのピッチ角が決定されるので、例えば推定された複数のピッチ角の何れかが推定値とされる場合に比して、ピッチ角を正確に推定することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、視差画像の中央と前記視差点群との距離が小さいほど大きくなる重みを使用して、推定された複数のピッチ角を重み平均することにより複数のピッチ角の間にある一つのピッチ角を決定するよう構成される。
上記の構成によれば、視差画像の中央と視差点群との距離が小さいほど大きくなる重みを使用して、推定された複数のピッチ角が重み平均されることにより複数のピッチ角の間にある一つのピッチ角が決定される。よって、例えば複数のピッチ角の単純平均値がピッチ角の推定値とされる場合に比して、ピッチ角を正確に推定することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、複数の直線の傾きが同一であるときには、V-disparity平面の座標系の縦軸について各直線の切片を求め、求められた複数の切片を平均することにより複数の切片の間にある一つの切片を決定し、決定された切片に基づいて前記ピッチ角を推定するよう構成される。
複数の直線の傾きが同一であるときには、正確なピッチ角を推定するための一つの直線の切片は複数の直線の切片の間の値である。上記の構成によれば、複数の切片を平均することにより複数の切片の間にある一つの切片が決定されるので、例えば複数の切片の何れかがピッチ角を推定するための切片とされる場合に比して、ピッチ角を正確に推定することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、視差画像の中央と前記視差点群との距離が小さいほど大きくなる重みを使用して、求められた複数の切片を重み平均することにより複数の切片の間にある一つの切片を決定するよう構成される。
上記の構成によれば、視差画像の中央と視差点群との距離が小さいほど大きくなる重みを使用して、求められた複数の切片が重み平均されることにより複数の切片の間にある一つの切片が決定されるので、例えば複数の切片の単純平均値がピッチ角を推定するための切片とされる場合に比して、ピッチ角を正確に推定することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、複数の直線の傾きが異なるときには、路面の視差点群に対応しない直線を除外し、残りの直線に基づいて前記ピッチ角を推定するよう構成される。
前述の如く、撮影された画像に路面とは横方向の傾斜角が異なる平地等が含まれている場合には、V-disparity平面において求められた直線が複数になると共に、それらの直線の傾きが異なる値になる。上記の構成によれば、複数の直線の傾きが異なるときには、路面の視差点群に対応しない直線が除外され、残りの直線、即ち、路面の視差点群に対応する直線に基づいてピッチ角が推定される。よって、路面の視差点群に対応しない直線に基づいてピッチ角が不正確に推定されることを確実に防止することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、路面の視差点群に対応する複数の直線の傾きが異なるときには、車両の進路を推定し、推定された車両の進路に基づいて前記ピッチ角を推定するための直線を選択するよう構成される。
車両の前方が分岐路であり、それらの路面の横方向の傾斜角が互いに異なる場合には、V-disparity平面において求められた路面の視差点群に対応する直線が複数になると共に、それらの直線の傾きが異なる値になる。上記の構成によれば、路面の視差点群に対応する複数の直線の傾きが異なるときには、車両の進路が推定され、推定された車両の進路に基づいてピッチ角を推定するための直線が選択される。よって、例えば車両の進路が推定されることなく、何れかの直線が選択されたり、それらの直線の中間位置に一つの直線が決定されたりする場合に比して、ピッチ角を正確に推定することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、複数の直線の傾きが同一であるときには、視差が予め設定された値であるときのV-disparity平面の座標系における二つの直線の縦座標について、重みの逆比の内分点が求められ、その内分点を通り二つの直線に平行な一つの直線が、二つの直線の間に位置する一つの直線に決定される。
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、複数の直線の傾きが同一であるときには、視差が予め設定された値であるときのV-disparity平面の座標系における二つの直線の縦座標について、重みの逆比の内分点が求められ、その内分点を通り二つの直線に平行な一つの直線が、二つの直線の間に位置する一つの直線に決定される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、複数の直線の傾きが同一であるときには、V-disparity平面の座標系における二つの直線の縦座標について、重みの逆比の内分点が種々の視差の値について求められ、それらの内分点を通る一つの直線が、二つの直線の間に位置する一つの直線に決定される。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は、本発明による車載ステレオカメラのピッチ角推定方法が適用されてよい車両を示す正面図、図2は、車載ステレオカメラのピッチ角を示す説明図である。
図1は、本発明による車載ステレオカメラのピッチ角推定方法が適用されてよい車両を示す正面図、図2は、車載ステレオカメラのピッチ角を示す説明図である。
図1及び図2において、10は車両を全体的に示しており、車両10にはステレオカメラ12が搭載されている。ステレオカメラ12は車室14内にてフロントガラス16の上縁部に近接して配置され、車体18に取り付けられている。ステレオカメラ12は車両の左右方向に隔置された一対のカメラ20L及び20Rを有し、カメラ20L及び20RはCCD、CMOSなどの半導体素子を含んでいる。図示の実施形態においては、カメラ20L及び20Rはルームミラー22の両側に位置している。
ステレオカメラ12は、車室側から見て左側のカメラ20Lにより撮影された二次元画像と、右側のカメラ20Rにより撮影された二次元画像とよりなるステレオ画像を取得する。カメラ20L及び20Rのレンズの中心は、車両10の中央10Cより等距離の位置に位置し、互いに他に対し距離L(基線長)隔置されている。また、図には示されていないが、カメラ20L及び20Rは互いに同一の焦点距離fを有し、基線長L及び焦点距離fは一定の既知の値である。
図2に示されている如く、カメラ20L及び20Rの光軸24L及び24Rは互いに平行で、車両10の水平方向26に対し一定の角度θにて下方へ傾斜している。従って、車両が平坦な路面28を走行するときには、路面28に対するステレオカメラ12のピッチ角φ、即ち路面28に対する光軸24L及び24Rの傾斜角は角度θと等しい。しかし、車両10がピッチングしたり、車両の走行に伴って路面28の傾斜角が変化したりすると、ステレオカメラ12のピッチ角φは角度θとは異なる値になる。
ステレオカメラ12により取得されたステレオ画像を示す信号は、電子制御装置30へ入力される。電子制御装置30は、後述の如く図3に示されたフローチャートに従ってステレオカメラ12のピッチ角φを演算する。なお、電子制御装置30は、CPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含むものであってよい。
この場合、電子制御装置30は、ステレオ画像に基づいて視差画像を生成し、視差画像に基づいて路面の視差点群をV-disparity平面に投影する。そして、電子制御装置30は、V-disparity平面において投影された視差点群を直線に近似することにより、視差点群に対応する直線を求める。更に、電子制御装置30は、V-disparity平面の上下方向の座標軸である縦軸について直線の切片を求め、該切片に基づいて路面28に対するステレオカメラ12の光軸24L及び24Rのピッチ角φを演算する。
特に、第一の実施形態においては、電子制御装置30は、車両10及びその前方の路面28が相対的にロールしていることに起因して、V-disparity平面における直線が複数であるときには、それらの直線の傾きが同一であるか否かを判定する。そして、電子制御装置30は、複数の直線の傾きが同一であるときには、複数の直線を重み付けして演算処理することにより複数の直線の間に存在する一つの直線を決定する。この場合、視差画像の中央に近い視差点群に対応する直線の重みが、視差画像の中央より遠い視差点群に対応する直線の重みよりも大きくされる。更に、電子制御装置30は、一つに決定された直線の縦軸切片に基づいて、路面28に対するステレオカメラ12の光軸のピッチ角φを演算する。なお、電子制御装置30は、複数の直線の傾きが同一でないときには、複数の直線より路面に対応する直線を選択し、選択した直線の縦軸切片に基づいてピッチ角φを演算する。
図3は本発明によるピッチ角推定方法の第一の実施形態におけるピッチ角推定制御ルーチンを示すフローチャートである。なお、図3に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンになったときに開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。このことは、後述の他の実施形態及び修正例においても同様である。
まず、ステップ10に先立って、カメラ20L及び20Rにより撮影された二次元画像を示す信号の読み込みが行われ、ステップ10においては、二つの二次元画像に基づいて視差画像が生成される。図9は、車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしている場合について視差画像の一例を示している。図9において、x軸は二次元画像の水平方向に対応し、y軸は二次元画像の上下方向に対応している。
図9に示された視差画像100は、路面の左側の白線102L及び路面の右側の白線102Rを含んでおり、104は視差画像の中央を示している。また、106及び108は、ステレオカメラ12からそれぞれ距離L1及びL2の距離の位置を示している。車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしているので、距離L1及びL2の距離の位置を示す線106及び108は、視差画像のx−y座標で見て傾斜している。図9において、106L及び108Lは、視差点の例として、それぞれ距離L1及びL2の位置にある白線102Lの視差点を示し、106R及び108Rは、視差点の例として、それぞれ距離L1及びL2の位置にある白線102Rの視差点を示している。視差点106L等は、図9において点として図示されていない他の多数の視差点と共に白線102L及び102Rの視差点群を構成している。
ステップ20においては、ステップ10において生成された視差画像の106L等の視差点群がV-disparity平面に投影される。なお、V-disparity平面は視差dを横軸とし、視差画像の上下方向yを縦軸(下方が正)とする平面である。そして、原点は視差dが0(無限遠)であり、原点の上下方向の位置はステレオカメラ12の光軸24L及び24Rの位置である。
ステップ30においては、投影された視差点群が直線に近似されることにより、V-disparity平面において視差点群に対応する直線が求められる。図10は、図9に示された視差画像100の視差点群が投影され直線が求められたV-disparity平面110を示している。図10において、112L及び112Rはそれぞれ図9に示された白線102L及び102Rに対応する直線を示している。
ステップ40においては、V-disparity平面において求められた直線が1本であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときには制御はステップ210へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ50へ進む。なお、車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしていない場合には、V-disparity平面において求められる直線は1本であるので、ステップ40において肯定判別が行われる。これに対し、車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしている場合には、V-disparity平面において求められる直線が図10に示されている如く複数になるので、ステップ40において否定判別が行われる。
ステップ50においては、V-disparity平面のd−y座標に於ける各直線の傾きが演算される。図10に示されている如く、d−y座標に於ける直線の傾きをAとし、y軸の切片をBとすると、V-disparity平面の直線は、下記の式(1)にて表される。よって、V-disparity平面の各直線について傾きAが演算される。
y=Ad+B …(1)
y=Ad+B …(1)
ステップ60においては、V-disparity平面の全ての直線の傾きが同一であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには制御はステップ70へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ110へ進む。なお、車両の左前方の領域及び車両の右前方の領域が車両に対し同一の角度にて同一の方向へ相対的にロールしている場合には、全ての直線の傾きが同一であるので、ステップ60において肯定判別が行われる。これに対し、車両の左前方の領域及び車両の右前方の領域が車両に対し互いに異なる角度にて相対的にロールしている場合には、少なくとも二つの直線の傾きが異なるので、ステップ60において否定判別が行われる。
ステップ70においては、カメラ20L及び20Rにより撮影された二次元画像及び又は視差画像に基づいて、画像中の車両の前方の路面の領域が判定される。そして、V-disparity平面の複数の直線より路面の領域の視差点群に基づいて生成された直線が選択される。
例えば、図11に示されている如く、車両の前方の走行路120が湾曲し、ステレオカメラ12が走行路120と共に走行路外の領域122(例えば、擁壁122Aや平地122B)を広い範囲に亘り撮影しているとする。そして、図12に示されている如く、V-disparity平面110に傾きが異なる2本の直線124及び126があり、直線124は走行路120の路面の視差点群に対応する直線であるが、直線126は走行路外の領域122の視差点群に対応する直線とする。
この場合には、例えば画像処理により、走行路120の左右の境界線120L、120Rが決定され、境界線120Lと120Rとの間の領域が「路面の領域」と判定され、路面の領域以外の領域が「走行路外の領域」と判定される。そして、直線124が路面の領域と判定された領域の視差点群に対応する直線として選択され、直線126は走行路外の領域と判定された領域の視差点群に対応する直線と判定される。
ステップ80においては、上記ステップ40の場合と同様に、選択された直線が1本であるか否かの判別が行われる。そして、肯定判別が行われたときには制御はステップ210へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ90へ進む。
ステップ90においては、上記ステップ60の場合と同様に、選択された全ての直線の傾きが同一であるか否かの判別が行われる。そして、肯定判別が行われたときには制御はステップ110へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ100へ進む。なお、このステップにおいて否定判別が行われるのは、路面が左右に広がっている場合、即ち車両が分岐路に差し掛かっている場合である。
ステップ100においては、図には示されていないナビゲーション装置からの情報、操舵角、走行路に対する車両の横方向位置などに基づいて、分岐路に差し掛かっている車両がその後進行する走行路、即ち、車両の進路が推定される。そして、推定された進路に基づいて複数の直線より一つの直線が選択される。ステップ100が完了すると、制御はステップ210へ進む。
ステップ110においては、ステレオカメラ12から予め定められた距離の位置の視差点と視差画像の中央との距離を「視差距離」として、視差距離が小さいほど大きい重みを使用して、V-disparity平面の複数の直線が一つの直線に補正される。ステップ110が完了すると、制御はステップ210へ進む。
例えば、図9に示されている如く、予め設定された距離をL1として、ステレオカメラ12から距離L1の位置にある視差点106L及び106Rと視差画像の中央104との距離をそれぞれLl及びLrとする。また、図10に対応する図13に示されている如く、距離L1に対応する視差dをd1とする。
図13に示されたV-disparity平面110において、視差dがd1であるときの直線112L及び112R上の点114L及び114Rの間にy軸に沿ってLr: Llの逆比の内分点116が求められる。更に、点116を通り、直線112L及び112Rに平行な直線118が補正後の直線、即ち、ピッチ角φを演算するための直線とされる。
なお、視差距離が小さいほど重みが大きい値に設定されるのは、路面及びステレオカメラが相対的にロールしている場合には、視差点が視差画像の中央から遠くなるほど、視差画像に於ける視差点の縦座標の誤差が大きくなるからである。換言すれば、視差画像の中央に近い視差点群に対応する直線は、視差画像の中央より遠い視差点群に対応する直線よりも、ピッチ角を推定するための直線としての信頼性が高いからである。
また、V-disparity平面の直線が3本以上である場合には、それらの直線や補正後の直線のうちの二つの直線について、上記手順が繰り返されることにより、最終的に一つの補正後の直線が求められる。また、視差dが種々の値である場合について二つの直線上の点の間にy軸に沿って視差距離の逆比の内分点が求められ、それらの内分点が直線近似されることにより補正後の直線が求められてもよい。
ステップ210においては、V-disparity平面110の縦軸について、一つの直線の切片(上記式(1)のBの値)が演算される。この場合、一つの直線は、ステップ40において肯定判別が行われたときには、ステップ30において生成された直線であり、ステップ40において否定判別が行われたときには、それぞれステップ100又は110において選択又は補正された直線である。
ステップ220においては、ステップ210において演算された縦軸切片B及びカメラ20L及び20Rの焦点距離fに基づいて、下記の式(2)に従って、ステレオカメラ12のピッチ角φが演算される。
φ=tan−1(B/f) …(2)
φ=tan−1(B/f) …(2)
なお、車両10の水平方向26に対するカメラ20L及び20Rの光軸24L及び24Rの下方への傾斜角θを正確に一致させることは困難である。よって、二つの二次元画像に基づいて視差画像を生成する際に、それらの光軸が一致するよう二次元画像がキャリブレーションされる。従って、厳密に言えば、上記式(2)に従って演算されるピッチ角φは、二次元画像がキャリブレーションされた後の光軸の下方への傾斜角である。
次に、車両の前方の状況が種々の場合について、第一の実施形態におけるピッチ角φの演算要領を説明する。
(A1)車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしていない場合
この場合には、視差画像の視差点群がV-disparity平面に投影され、投影された視差点群が直線に近似されることにより求められる直線は1本になる。よって、ステップ40において肯定判別が行われ、ステップ210及び220が実行されることにより、ステレオカメラ12のピッチ角φが演算される。
この場合には、視差画像の視差点群がV-disparity平面に投影され、投影された視差点群が直線に近似されることにより求められる直線は1本になる。よって、ステップ40において肯定判別が行われ、ステップ210及び220が実行されることにより、ステレオカメラ12のピッチ角φが演算される。
(A2)車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしている場合
この場合には、視差画像の視差点群がV-disparity平面に投影され、投影された視差点群が直線に近似されることにより求められる直線は複数(一般的には2本)になる。よって、ステップ40において否定判別が行われる。
この場合には、視差画像の視差点群がV-disparity平面に投影され、投影された視差点群が直線に近似されることにより求められる直線は複数(一般的には2本)になる。よって、ステップ40において否定判別が行われる。
(A2−1)全ての直線の傾きが同一である場合
ステップ60において肯定判別が行われ、ステップ110において複数の直線がそれらの間に位置する一つの直線に補正される。そして、補正後の一つの直線についてステップ210及び220が実行されることにより、ステレオカメラ12のピッチ角φが演算される。従って、例えば複数の直線のうちの一つの直線が選択され、その直線についてステップ210及び220が実行される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
ステップ60において肯定判別が行われ、ステップ110において複数の直線がそれらの間に位置する一つの直線に補正される。そして、補正後の一つの直線についてステップ210及び220が実行されることにより、ステレオカメラ12のピッチ角φが演算される。従って、例えば複数の直線のうちの一つの直線が選択され、その直線についてステップ210及び220が実行される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
また、視差画像における視差距離が小さいほど大きい重みを使用して、複数の直線が一つの直線に補正される。従って、例えば二つの直線より等距離の中間点を通る直線が補正後の一つの直線に設定される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
(A2−2)複数の直線の傾きが同一ではない場合
ステップ60において否定判別が行われ、ステップ70において複数の直線から路面に対応する一つの直線が選択される。従って、路面以外の領域に対応する直線に基づいてピッチ角φが誤って演算されることを防止することができる。なお、この作用効果は後述の第二及び第三の実施形態に於いても同様に得られる。
ステップ60において否定判別が行われ、ステップ70において複数の直線から路面に対応する一つの直線が選択される。従って、路面以外の領域に対応する直線に基づいてピッチ角φが誤って演算されることを防止することができる。なお、この作用効果は後述の第二及び第三の実施形態に於いても同様に得られる。
特に、ステップ70において選択された路面に対応する直線が複数である場合には、ステップ80において否定判別が行われる。そして、選択された全ての直線の傾きが同一であるときには、ステップ90において肯定判別が行われ、ステップ110において複数の直線が一つの直線に補正される。
また、選択された全ての直線の傾きが同一ではないときには、ステップ90において否定判別が行われる。そして、ステップ100において車両の進路が推定され、推定された進路に基づいて複数の直線より一つの直線が選択される。従って、その後車両が走行しない走行路のピッチ角の影響を受けることなく、その後車両が走行する走行路について、ピッチ角φを正確に演算することができる。なお、この作用効果も後述の第二及び第三の実施形態に於いても同様に得られる。
かくして、第一の実施形態によれば、車両及び路面の相対ロールに起因して、V-disparity平面における直線が複数になる場合にも、複数の直線をそれらの間に位置する1本の直線に補正し、ステレオカメラのピッチ角φを正確に演算することができる。
特に、第一の実施形態によれば、ステップ110において、視差距離が小さいほど大きい重みを使用して、二つの直線の間の内分点が求められ、内分点を通り二つの直線に平行な直線が補正後の直線とされる。従って、視差dが種々の値である場合について二つの直線上の点の間にy軸に沿って視差距離の逆比の内分点が求められ、それらの内分点が直線近似される場合に比して、電子制御装置30の演算負荷を低減し、補正後の直線を能率よく求めることができる。
[第二の実施形態]
図4は本発明による車載ステレオカメラのピッチ角推定方法の第二の実施形態におけるピッチ角推定制御ルーチンを示すフローチャートである。
図4は本発明による車載ステレオカメラのピッチ角推定方法の第二の実施形態におけるピッチ角推定制御ルーチンを示すフローチャートである。
この第二の実施形態においては、ステップ10〜100及びステップ210、220は、それぞれ第一の実施形態の対応するステップと同一の要領にて実行される。また、第一の実施形態のステップ110に対応するステップは実行されず、ステップ60又は90において肯定判別が行われたときには制御はステップ120へ進む。
ステップ120においては、視差画像における視差距離が小さい順に複数の直線を直線1〜n(正の整数)として、ステップ210の場合と同様に、V-disparity平面110の縦軸について、直線1〜nの切片B1〜Bn(上記式(1)のBの値)が演算される。
ステップ130においては、直線1〜nについて視差画像における視差距離Ld1〜Ldnが演算されると共に、視差距離Ldが小さいほど重みMが大きい値になるよう、視差距離Ld1〜Ldnに基づいて図14に示されたマップより重みM1〜Mnが演算される。そして、各直線の切片B1〜Bnの重み平均値Baが下記の式(3)に従って演算され、重み平均値Baが直線の切片Bとされる。
Ba=ΣMnBn/ΣMn …(3)
Ba=ΣMnBn/ΣMn …(3)
次に、車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしている場合について、第二の実施形態におけるピッチ角φの演算要領を説明する。なお、「(B1)車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしていない場合」は、上述の第一の実施形態の(A1)と同一であるので、その説明を省略する。
(B2−1)全ての直線の傾きが同一である場合
ステップ60において肯定判別が行われ、ステップ120において各直線の切片B1〜Bnが演算される。そして、ステップ130において、視差画像における視差距離が小さいほど大きい値に演算された重みM1〜Mnを使用して、各直線の切片B1〜Bnの重み平均値Baが演算され、重み平均値Baが直線の切片Bとされる。更に、ステップ220において切片Bに基づいてステレオカメラ12のピッチ角φが演算される。従って、例えば複数の直線のうちの一つの直線が選択され、該直線についてステップ210及び220が実行される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
ステップ60において肯定判別が行われ、ステップ120において各直線の切片B1〜Bnが演算される。そして、ステップ130において、視差画像における視差距離が小さいほど大きい値に演算された重みM1〜Mnを使用して、各直線の切片B1〜Bnの重み平均値Baが演算され、重み平均値Baが直線の切片Bとされる。更に、ステップ220において切片Bに基づいてステレオカメラ12のピッチ角φが演算される。従って、例えば複数の直線のうちの一つの直線が選択され、該直線についてステップ210及び220が実行される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
また、視差画像における視差距離が小さいほど大きい重みを使用して、複数の直線の縦軸切片B1〜Bnの重み平均値として一つの直線の縦軸切片に相当する値Bが演算される。従って、例えば二つの直線より等距離の中間点を通る直線が求められ、該直線の縦軸切片が補正後の一つの直線縦軸切片に設定される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
(B2−2)複数の直線の傾きが同一ではない場合
ステップ60において否定判別が行われ、ステップ70において複数の直線から路面に対応する一つの直線が選択される。そして、ステップ70において選択された路面に対応する直線が1本である場合には、ステップ80において肯定判別が行われ、その直線についてステップ210及び220が実行されることにより、ピッチ角φが演算される。
ステップ60において否定判別が行われ、ステップ70において複数の直線から路面に対応する一つの直線が選択される。そして、ステップ70において選択された路面に対応する直線が1本である場合には、ステップ80において肯定判別が行われ、その直線についてステップ210及び220が実行されることにより、ピッチ角φが演算される。
これに対し、ステップ70において選択された路面に対応する直線が複数である場合には、ステップ80において否定判別が行われる。そして、選択された全ての直線の傾きが同一であるときには、ステップ90において肯定判別が行われ、ステップ120、130、220が実行される。これにより、ステップ60において肯定判別が行われた場合と同一の要領にて、縦軸切片B1〜Bnの重み平均値Baに基づいてピッチ角φが演算される。
かくして、第二の実施形態によれば、車両及び路面の相対ロールに起因して、V-disparity平面における直線が複数になる場合にも、複数の直線の縦軸切片に基づいて正確な縦軸切片を演算し、これによりステレオカメラのピッチ角φを正確に演算することができる。
特に、第二の実施形態によれば、ステップ130において、視差距離が小さいほど大きい重みを使用して、各直線の切片の重み平均値が演算され、その重み平均値が直線の縦軸切片とされる。従って、複数の直線が1本の直線に補正される上述の第一の実施形態の場合に比して、電子制御装置30の演算負荷を低減し、ピッチ角φを能率よく求めることができる。
[第三の実施形態]
図5は本発明による車載ステレオカメラのピッチ角推定方法の第三の実施形態におけるピッチ角推定制御ルーチンを示すフローチャートである。
図5は本発明による車載ステレオカメラのピッチ角推定方法の第三の実施形態におけるピッチ角推定制御ルーチンを示すフローチャートである。
この第三の実施形態においては、ステップ10〜100、ステップ120、及びステップ210、220は、それぞれ第二の実施形態の対応するステップと同一の要領にて実行される。また、第一の実施形態のステップ110に対応するステップは実行されず、ステップ60及び90において肯定判別が行われたときには制御はステップ120へ進む。さらに、ステップ120が完了すると、第二の実施形態のステップ130に対応するステップが実行されることなく制御はステップ140進む。
ステップ140においては、ステップ120において演算された直線1〜nの切片B1〜Bnに基づいて、上記式(1)に従ってステレオカメラ12のピッチ角φ1〜φnが演算される。
ステップ150においては、直線1〜nについて視差画像における視差距離Ld1〜Ldnが演算されると共に、視差距離Ldが小さいほど重みMが大きい値になるよう、視差距離Ldに基づいて図14に示されたマップより重みM1〜Mnが演算される。そして、ピッチ角φ1〜φnの重み平均値φaが下記の式(4)に従って演算され、重み平均値φaがステレオカメラ12のピッチ角φとされる。
φa=ΣMnφn/ΣMn …(4)
φa=ΣMnφn/ΣMn …(4)
次に、車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしている場合について、第三の実施形態におけるピッチ角φの演算要領を説明する。なお、この第三の実施形態においても、「(C1)車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしていない場合」は、上述の第一の実施形態の(A1)と同一であるので、その説明を省略する。
(C2−1)全ての直線の傾きが同一である場合
ステップ60において肯定判別が行われ、ステップ120において各直線の切片B1〜Bnが演算される。そして、ステップ140において、切片B1〜Bnに基づいてステレオカメラ12のピッチ角φ1〜φnが演算される。さらに、ステップ150において、視差画像における視差距離が小さいほど大きい値に演算された重みM1〜Mnを使用して、ピッチ角φ1〜φnの重み平均値φaが演算され、重み平均値φaがステレオカメラ12のピッチ角φとされる。従って、例えば複数の直線のうちの一つの直線が選択され、該直線についてステップ210及び220が実行される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
ステップ60において肯定判別が行われ、ステップ120において各直線の切片B1〜Bnが演算される。そして、ステップ140において、切片B1〜Bnに基づいてステレオカメラ12のピッチ角φ1〜φnが演算される。さらに、ステップ150において、視差画像における視差距離が小さいほど大きい値に演算された重みM1〜Mnを使用して、ピッチ角φ1〜φnの重み平均値φaが演算され、重み平均値φaがステレオカメラ12のピッチ角φとされる。従って、例えば複数の直線のうちの一つの直線が選択され、該直線についてステップ210及び220が実行される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
また、視差画像における視差距離が小さいほど大きい重みを使用して、複数の直線に対応するピッチ角φ1〜φnの重み平均値φaとして一つの直線に対応するピッチ角φが演算される。従って、例えば二つの直線より等距離の中間点を通る直線が求められ、該直線の縦軸切片に基づいてピッチ角φが演算される場合に比して、ピッチ角φを正確に演算することができる。
(C2−2)複数の直線の傾きが同一ではない場合
ステップ60において否定判別が行われ、ステップ70において複数の直線から路面に対応する一つの直線が選択される。そして、ステップ70において選択された路面に対応する直線が1本である場合には、ステップ80において肯定判別が行われ、その直線についてステップ210及び220が実行されることにより、ピッチ角φが演算される。
ステップ60において否定判別が行われ、ステップ70において複数の直線から路面に対応する一つの直線が選択される。そして、ステップ70において選択された路面に対応する直線が1本である場合には、ステップ80において肯定判別が行われ、その直線についてステップ210及び220が実行されることにより、ピッチ角φが演算される。
これに対し、ステップ70において選択された路面に対応する直線が複数である場合には、ステップ80において否定判別が行われる。そして、選択された全ての直線の傾きが同一であるときには、ステップ90において肯定判別が行われ、ステップ120、140、150が実行される。これにより、ステップ60において肯定判別が行われた場合と同一の要領にて、ピッチ角φ1〜φnの重み平均値φaとしてピッチ角φが演算される。
かくして、第三の実施形態によれば、車両及び路面の相対ロールに起因して、V-disparity平面における直線が複数になる場合にも、複数の直線に対応するピッチ角φに基づいて、ステレオカメラのピッチ角φを正確に演算することができる。
特に、第三の実施形態によれば、ステップ150において、視差距離が小さいほど大きい重みを使用して、各直線に対応するピッチ角の重み平均値が演算され、その重み平均値がステレオカメラのピッチ角φとされる。従って、この第三の実施形態の場合にも、複数の直線が1本の直線に補正される上述の第一の実施形態の場合に比して、電子制御装置30の演算負荷を低減し、ピッチ角φを能率よく求めることができる。
[第一ないし第三の修正例]
図6ないし図8はそれぞれ第一ないし第三の実施形態に対応する第一ないし第三の修正例におけるピッチ角推定制御ルーチンを示すフローチャートである。
図6ないし図8はそれぞれ第一ないし第三の実施形態に対応する第一ないし第三の修正例におけるピッチ角推定制御ルーチンを示すフローチャートである。
これらの修正例においては、ステップ60において肯定判別が行われたときには、第一ないし第三の実施形態の場合と同様にステップ110等が行われる。しかし、ステップ60において否定判別が行われたときには、ステップ70等が行われることなく、制御が一旦終了する。
従って、これらの修正例によれば、車両の前方の路面が車両に対し相対的にロールしており、V-disparity平面において近似される直線が複数になっても、全ての直線の傾きが同一である場合には、ステレオカメラのピッチ角φを正確に演算することができる。また、全ての直線の傾きが同一ではない場合には、ステレオカメラのピッチ角φは推定されないので、傾きが同一ではない複数の直線に基づいてピッチ角φが不正確に推定されることを防止することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の第一の実施形態においては、V-disparity平面の直線が3本以上である場合には、二つの直線について逆比の内分点を通る直線が繰り返し求められることにより、最終的に一つの補正後の直線が求められる。しかし、上述の第二及び第三の実施形態と同様の手順により一つの直線が通過する点が求められてもよい。
即ち、視差画像における視差距離が小さい順に複数の直線を直線1〜n(正の整数)として、視差dが例えば予め設定された値d1であるときの各直線のy座標をy1〜ynとする。そして、各直線について視差画像における視差距離が小さいほど大きい重みM1〜Mnが演算され、各直線のy座標y1〜ynの重み平均値yaが下記の式(5)に従って演算され、座標(d1,ya)の点を通り各直線に平行な直線が補正後の直線とされてもよい。
ya=ΣMnyn/ΣMn …(5)
ya=ΣMnyn/ΣMn …(5)
また、上述の第二の実施形態においては、各直線の切片B1〜Bnの重み平均値Baが上記式(3)に従って演算され、重み平均値Baが直線の切片Bとされる。しかし、V-disparity平面の直線が2本である場合には、上述の第一の実施形態と同様の手順により、二つの直線の切片の内分点が直線の切片Bとして求められてもよい。
また、上述の第一ないし第三の実施形態においては、ステップ80において否定判別が行われたときには、即ち、選択された直線が複数である旨の判別が行われたときには、ステップ90以降が実行される。しかし、ステップ80において否定判別が行われたときには、制御が一旦終了するよう修正されてもよい。
さらに、上述の第一ないし第三の実施形態においては、ステップ90において否定判別が行われたときには、即ち、選択された全ての直線の傾きが同一であると判別されないときには、ステップ100以降が実行される。しかし、ステップ90において否定判別が行われたときには、制御が一旦終了するよう修正されてもよい。
10…車両、12…ステレオカメラ、20L、20R…カメラ、24L、24R…光軸、28…路面、30…電子制御装置、100…視差画像、102L、102R…白線、110…V-disparity平面、120…走行路、122…走行路外の領域
Claims (9)
- 車載ステレオカメラによって撮影された画像より生成された視差画像の視差が横軸であり、視差画像の上下方向が縦軸である平面をV-disparity平面として、視差画像に基づいて路面の視差点群をV-disparity平面に投影し、V-disparity平面において前記視差点群に対応する直線を求め、求められた直線に基づいて路面に対する前記ステレオカメラの光軸のピッチ角を推定するピッチ角推定方法において、
左右に隔置された少なくとも一対の視差点群をV-disparity平面に投影し、求められた直線が複数であるか否かを判定し、求められた直線が複数であるときには、複数の直線の傾きの異同を判定し、傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に位置する一つの直線に対応するピッチ角を求める
ことを特徴とするピッチ角推定方法。 - 複数の直線の傾きが同一であるときには、傾きが複数の直線の傾きと同一で複数の直線の間に位置する一つの直線を決定し、該直線に基づいて前記ピッチ角を推定することを特徴とする請求項1に記載のピッチ角推定方法。
- 視差画像の中央に近い前記視差点群に対応する直線の重みが視差画像の中央より遠い前記視差点群に対応する直線の重みよりも大きくなるよう、複数の直線を重み付けして演算処理することにより複数の直線の間に位置する一つの直線を決定することを特徴とする請求項2に記載のピッチ角推定方法。
- 複数の直線の傾きが同一であるときには、各直線に基づいて路面に対する前記ステレオカメラのピッチ角を推定し、推定された複数のピッチ角を平均することにより複数のピッチ角の間にある一つのピッチ角を決定することを特徴とする請求項1に記載のピッチ角推定方法。
- 視差画像の中央と前記視差点群との距離が小さいほど大きくなる重みを使用して、推定された複数のピッチ角を重み平均することにより複数のピッチ角の間にある一つのピッチ角を決定することを特徴とする請求項4に記載のピッチ角推定方法。
- 複数の直線の傾きが同一であるときには、V-disparity平面の座標系の縦軸について各直線の切片を求め、求められた複数の切片を平均することにより複数の切片の間にある一つの切片を決定し、決定された切片に基づいて前記ピッチ角を推定することを特徴とする請求項1に記載のピッチ角推定方法。
- 視差画像の中央と前記視差点群との距離が小さいほど大きくなる重みを使用して、求められた複数の切片を重み平均することにより複数の切片の間にある一つの切片を決定することを特徴とする請求項6に記載のピッチ角推定方法。
- 複数の直線の傾きが異なるときには、路面の視差点群に対応しない直線を除外し、残りの直線に基づいて前記ピッチ角を推定することを特徴とする請求項1ないし7の何れか一つに記載のピッチ角推定方法。
- 路面の視差点群に対応する複数の直線の傾きが異なるときには、車両の進路を推定し、推定された車両の進路に基づいて前記ピッチ角を推定するための直線を選択することを特徴とする請求項1ないし8の何れか一つに記載のピッチ角推定方法。
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WO2024077731A1 (zh) * | 2022-10-14 | 2024-04-18 | 中公高科养护科技股份有限公司 | 一种用于路面检测的相机外参的修正方法、介质及系统 |
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- 2013-03-21 JP JP2013058753A patent/JP2014182118A/ja active Pending
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WO2024077731A1 (zh) * | 2022-10-14 | 2024-04-18 | 中公高科养护科技股份有限公司 | 一种用于路面检测的相机外参的修正方法、介质及系统 |
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