JP2014179105A - 口腔内粘膜組織の外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設する無線通信媒体を使った移動体通信端末の制御方法 - Google Patents

口腔内粘膜組織の外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設する無線通信媒体を使った移動体通信端末の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生体内に生体情報に基づく本人確認手段として無線通信媒体を安全かつ確実に設置する。
【解決手段】生体親和性を有する箔状導電性素材をループ状に形成したアンテナ2と、生体親和性を有する素材にて包埋された通信媒体9とにより柔軟性を有する簿膜状の無線通信媒体1を形成し、これを口腔内粘膜組織の外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設する。生体情報に基づく本人確認手段として、歯周組織内に設置した無線通信媒体に対して無線にて接続しうる電話機が、着信時の呼び出しコールに併せて受話器を無線通信媒体に接近させることにより、認証手段を自動的に認識してその電話の利用可否を判定し、通話を可能にする。更に、無線通信媒体と通信機能を有する携帯電話等の移動体通信装置あるいは搬送機器等、あるいは建築物・金庫等の扉開閉等に対しその運用を許可された者のみに運用を許可することを可能にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、口腔内粘膜組織の外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設する無線通信媒体を使った移動体通信端末の制御方法に関する。
金銭や商品が大量に取引される今日、偽造されたクレジットカードを用いた他人への成りすましによる詐欺犯罪が社会不安をもたらしている。その対策として昨今では従来のクレジットカードに用いられた磁気カードに代えて偽造が困難といわれるICチップを用いたカードを採用することで上記のクレジット詐欺に対抗する試みが行われている。しかしながら、これらの信用度も所詮は個人がシステムを正しく取り扱う「性善説的」な運用がなされることが大前提であり、いかにクレジットカードを精巧かつ偽造困難にしたとしても、本人以外がそれを持つことが可能である以上それを持つ人物が本人である保証などどこにもないのである。だからどんなにICカードなどの認証手段によるセキュリティー・チェックを厳格に適用し、注意深く運用を実施したとしても、クレジット犯罪を100%排除する決め手にはなり得ないであろう。従って今日の経済活動における取引において、もっとも重要なテーマが当事者同士の本人確認にあるといっても過言ではないであろう。そのために最近では、指紋、網膜、顔貌、声紋、虹彩、DNA等の生体情報を拠り所とした本人確認手法が開発され、セキュリティーを重視する業界において広がりを見せている。
セキュリティーを求める声は個人財産保護に留まらず、非接触ICタグを用いたトレーサビリティーを応用し、小児や若年者を誘拐などの犯罪から守るためにその体内に非接触通信型無線ICタグを埋設して、非常時に警報を発するシステムの開発が進展している。このような固体識別に用いられるDog Tagなどの認証手段を電子通信媒体に置き換えて体内に埋設し個人を識別する試みは1990年代に始まり、1993年に設立された米国のApplied Digital Solutions社は、2001年12月、当初は家畜の体内に埋設して電子的な固体識別に用いた非接触型ICタグ(VeriChipTM)を、糖尿病など突如として人事不省に陥る可能性のある疾病を有する患者の医学的管理を目的として体内に埋め込む試みを実施した。これは患者の医学的情報を格納したICチップを腕に埋め込むことで、病歴、投薬、血液型、家族の連絡先など、緊急の際に必要となる情報を迅速かつ確実に医療機関が把握できるものである。このような体内埋込型の電子通信媒体を認証手段として利用することで本人確認を実施し、他人への成りすましを防止してクレジット詐欺などの犯罪を抑止する手法が提唱されている。
また、上記の生体情報を体内に格納する手段としては、本願出願者が先に出願した特許文献1に示される「歯科用築造体を利用した生体情報計測・記録および通信装置とこの装置の情報入出力制御をする情報制御方法」の発明がある。この発明は、失活した歯に適用される歯科用築造体ないし欠損歯に代わる人工歯根のインプラント体を利用して電子計測装置の体内設置により生体に何ら悪影響を及ぼすことなく患者の生体情報をモニターすることを目的としたものであり、このために歯科的術式の過程に沿って生体に設置される歯科用築造体の内部に生体情報の計測を行う機能と、計測結果およびこの計測結果に付随する各種情報を記憶する記録機能と、記憶した内容を外部に伝送する通信機能とを有する生体情報計測・記録および通信装置を設けている。更に生体情報計測・記録および通信装置に外部から無線通信にて接続可能な情報端末手段を設け、その情報端末手段からの制御信号により生体情報計測・記録および通信装置への必要情報入力および、記録機能によって記憶された情報の出力を果たすべく通信機能を制御するように構成されたものである。
特願2001−176888号
発明が解決しようとする問題点として次に示すことが挙げられる。体内への無線通信媒体(非接触型ICタグ)の埋込は、人々の生命保全に関わる医学的目的における使用について多くの人々に支持されている一方、商業目的における本人確認手段としての利用には人道的・倫理的懸念から躊躇する声が大勢である。身元をつまびらかにしたいとの理由のみでこれらの認証手段を身体に傷つけてまで埋め込もうとするものはまず皆無であろう。
しかし、一方で現在究極の本人確認手段として普及が進められている生体情報に基づく本人確認手段、即ちバイオメトリクスについてみると、その有益性には依然疑問の余地がある。というのもまず認証の根拠となる生体情報そのものには本人の氏名や住所などの情報を含むわけではなく、あくまで本人を追認する手段にしか使えない。既にわが国において、パスポートに虹彩パターンを記録したICチップを付与し、出入国審査において本人確認を実施する際の照合に用いる手法が試験的ではあるが2003年度において実施されているけれども、この手法は本人確認の精度向上に寄与する一方で、ICチップのパスポートへの付与および生体認証の手続きなどに新たな労力と費用を要するにもかかわらず、利用者自身の利便性の向上には全くつながらない。例えば、すでにJR東日本の“SUICA”に代表される、鉄道の出改札における無線ICカードを使った、タッチ・アンド・ゴーのごとき素早いゲートコントロールは実現出来ない。
次に、生体由来のデータには個人の健康やプライバシーに密接に関連した情報が含まれている。そしてこのような個人の生体情報を本人確認のために用いる際の最大の懸念として憂慮されるのは、社会において個人情報が様々な業種においてかつて無いほど収集されているのが現状であり、ひとたび個人がこれらの生体情報を認証手段として第三者に提供してしまうと、こんどはその生体情報を抹消しようとしても、情報を提供した個人の側にはもはや根本的な抹消手段がないことである。特に一般市民にとっては、後ろめたさがあろうがなかろうが私的企業に蓄えられた生体認証用データが、警察などの捜査機関に蓄えられている情報と付き合わされるような事態を恐れざるを得ない。万一そのような事態になったとき、個人の網膜や指紋、ましてやDNAのパターンを変更するなど絶対に不可能である以上、その生体認証に纏わる社会的不利益や迫害に生涯つきまとわれる危惧が払拭できない。しかもこれら生体情報については、登録した本人の近親者においても類似のパターンを有すると見られるから、第三者の手にある生体情報が本人以外の血縁者に対しても影響を及ぼすことまでも予測される。半永久的に変化しないという生体情報による認証の利点は裏を返せば個人にとっては大きな脅威となりうる欠点とも言えるのである。
そのような懸念に比べれば、前述した、人体に認証の根拠となる通信媒体を埋め込む方法による本人確認手法は、電子通信媒体に対する外部からの不活化、あるいは最悪でも手術による通信媒体の除去により認証手段の根本的な解消が可能であり、個人のプライバシーを尊重する観点からはまだしも有利と見ることができる。一瞬の苦痛さえ甘受すれば、その本人の身上を公的第三者が保証することが可能となり、社会安全を確立する大きな拠り所となる意義を斟酌するとき、生体内への通信手段の埋め込みに基づくセキュリティー対策にも、選択肢の一つとして、人々の中で議論される余地が担保されなければならないのである。
実際、人に対する生体内への電子通信媒体の埋め込みの実施に当たっては生体ガラス等、生体への為害作用の少ない材料に封入されたICチップを、対象者の皮下に留置する方法が実用化されている。認証手段であるチップ(認証体)を生体内に留置することは、社会安全を確立する目的においては極めて有効であるには違いないけれども、実際のところ、ICチップ等の情報デバイスを生体内に埋め込むことは医学的必要性においてごく一部に用いられているに過ぎない。例えば、重度の糖尿病や循環器の疾病を有する患者には、時と場所を問わず突如人事不省に陥る懸念があるけれども、そのような際にはもはや本人による病状の申告や説明が不可能な状態となる。けれども予め上記の対策を講じておくことにより、たとえ意識がない状態に陥った際でも体内に存在する情報媒体から病状に関する医学的情報を迅速かつ確実に得て参照でき、患者に対して最善の治療を施すことが可能となる。
ただ、このような個人の生命維持に貢献する事例ならともかく、本人であることを認証することのみの目的で、敢えて体内に異物を取り込むことには誰もが躊躇するだろう。従来の生体埋込手法では、僅かではあるが生体を傷つけることが避けられず、一時的とはいえ苦痛も甘受しなければならない。体内に埋め込まれたICチップは生体に対してあくまでも異物であるから、これらが生体内にある限り異物に対する抗原抗体反応や炎症反応、感染、更には埋め込まれたチップから経年変化によって重金属等が溶出する懸念を完全に払拭することができない。
さらに、これらの認証手段を本人確認手段として用いる場合は、生体から容易に取り出すことができないように、実際には体内の奥深くに埋め込むことが条件となる。なぜなら現状のICチップの埋込部位は基本的に皮下とされていて、そのような埋込方法では、少量の麻酔注射と刃物によって誰でも簡単に摘出することができ、他人への移植も可能だからである。即ちICチップの所有者以外の者がICチップを流用できる以上、この手法は他人への成りすましを防止できないので、本人確認の決め手にはならない。そこで敢えてICチップを体内の奥深くに埋め込んだとしても、今度はICチップと通信装置との間に生体組織による遮蔽が強まる上、通信距離までも増加してしまうのでリード・ライトが困難になる。だからといって、例えばより強力な電波を用いてリード・ライトを可能にしたとしても、その際は広域に電波が拡がることになるため、情報漏洩の抑止に支障をきたすこととなりかねず、セキュリティー上重大な懸念が生じる。例えば、知らぬ間に周囲からICチップに対する通信を傍受され、個人情報が盗まれる可能性が高くなる。
ICチップのメモリー素子等は医療行為において被爆するエックス線等の電離放射線に対して脆弱で不調をきたす可能性がある。その際、もしICチップを取り出そうとすれば、それが人体の深部に埋設されている場合、摘出手術は極めて困難になることが予想される。このようにICチップ等の通信媒体を人体内部にじかに埋め込もうとすることは、リスクを伴う割に余り利益が得られない。
また仮に、どうしてもICチップを体内から撤去しなければならない局面では、チップが体内の如何なる位置に格納されていたにしても、体表から皮膚を切開して取り出す以外に方法はない。その場合は摘出後に切開痕の残遣が避けられず、審美的な後遺症となりかねない。更に、従来の体内埋込型ICチップの外形の多くはガラス状のカプセル体であるから、生体組織中では埋設後に当初埋設した位置から移動してしまうことがある。その際、もしもこれが組織内の深部に移動したとなれば、通信機能に対する障害となり得ることに加え、もしも神経や血管に対する接触や圧迫などが生じれば、神経障害や循環障害による組織への直接的な悪影響を引き起こす可能性がある。
そこで本願発明者は先に出願した特願2001−176888号に示すように、人の歯の修復に用いる歯冠築造体と呼ばれる人工的な素材に無線ICタグなどの微小な電子通信媒体を組み込む手法により、対象者に全く違和感や苦痛を与えずにこれらを強固に生体と一体化すると共に、簡単に摘出することができない手法を開発した。この手法は、ICチップの取り付け対象が歯であるために、従来の生体チップと異なり埋め込みを非侵襲にて行え、しかもICチップ等の電子通信媒体は生体中の生活組織から完全に隔離され、直接生体に触れることが無いために、高い安全性を有するのが特徴である。また、咬合力に耐える強固な人工歯の内部に固定されるので、設置した場所から移動することはなく、しかも皮下に移植する場合に比べてICチップを無傷で取り出すことが困難であり、移植による不正使用や他人への成りすましに対する防止効果が高い。更に、リーダーがICチップと通信を実施する時は、通信距離が10cm以内まで近づくため、リーダーから発する電波出力を抑えることが可能であり、悪意のある第三者による傍受や意に反する走査を防止しやすく、十分なセキュリティーを確保することができる。必要に応じて歯科的手法による撤去も可能であり、故障の際や個人認証を解消したい場合など、顧客の要求に応じて歯科医院の設備下で撤去あるいは交換が可能である。
ICチップを装着しても従来の歯科治療と全く同じ外観であり、その装着を秘密にすることができる。装着対象者には一切の苦痛や違和感を与えず、特に通法の歯科治療の過程に何ら変更をきたすこともない。即ちこの手法は、認証手段の体内留置を実現する行程において対象者に苦痛や負担を与えずに、これまでよりもはるかに手軽に無線ICタグ等の情報デバイスを人体と一体化できる長所を有し、しかもこれを本人確認の決め手として有効利用するための要件を全て満たしている。
しかしながらこのような方法の適用は、人工歯を使用しなければならない程度まで歯がう蝕等により大きく崩壊した場合に限られる。歯科治療では、う蝕等の疾病により歯に実質欠損が生じたとしても、その全ての症例が歯冠築造体および全部被覆冠を伴う比較的大掛かりな歯の修復の適用を受けるわけではない。特に最近では、できる限り本来の歯質を保存して修復を実施するポリシーが定着しており、例え、う蝕等の疾病により歯の神経を除去するような状況となっても、歯質を可及的に保存して歯科用充填材等を用いて修復する症例もあり、必ずしも歯科築造体等を用いるわけではない。更に言えば、う蝕等の疾病が全くない人々の健康な歯に無線ICタグを取り付けるなど論外である。
また、この方法では電子通信媒体が歯に設置されるので、歯が日常的に受ける物理的ストレス、即ち咬合に伴う相当量の圧縮あるいは引っ張り、せん断応力等の外力によるもののほか、食物や飲料による急激な温度変化などの影響を受ける可能性があることから、長期に使用するには十分な耐久性を確保する必要がある。仮に歯に埋め込まれた媒体に物理的ストレスによる不調が生じた際は、これを歯科的術式により交換することは可能とはいえ、ユーザーに対しては口腔内に設置された無線ICタグが故障したためにそれを交換するような手間や費用を負担させる機会は避けるべきものであり、少なくともそのような事態が起こらないに越したことはない。
人の歯に無線ICタグなどの電子通信媒体を格納し、社会的に利用することの有用性は前述のとおりであるが、反面、実際に人の歯に無線ICタグを設置する際には、上記の様々な懸念が想定され、そのデメリットに対応するに十分な対策が要求される。そこで、無線ICタグを歯に装着する意義、即ちその本質的なメリットが前述した固定電話や携帯電話の通話時に併せて、体内に存在する無線通信媒体と連携できることにあるのならば、無線通信媒体を安全に常置できるという条件が満たされることで、その設置位置は歯そのもの以外としてもよく、例えば通話時に携帯電話と接近できる口腔周囲組織の任意の場所であることも可能と思われる。
しかしながら、やはり前述のように、このような無線ICタグを体内に設置する目的のみを考えて口腔内に設置する場所を求めることは、無線ICタグを埋め込むためのみに本来健康な組織を傷つけることにつながりかねない。従ってそのような非人道的行為を厳に慎まなければならないことからも、歯の治療時以外に口腔内に無線通信媒体を設置する際は、その手段を慎重に配慮する必要があるだろう。
体内埋込型電子通信媒体を利用するメリットを広く人々に行き渡らせるために電子通信媒体の設置を歯に限定せずにその周囲組織を対象とする場合、これまでの歯を設置場所とした前記特願2001−176888号に示す発明のように、あくまでも歯に対する疾病の治療の際に併せてその手段を講じ、決して健康な組織に手を下すことのないようにしなければならない。それには、単に無線ICタグの設置対象となる部位を歯以外に拡張するということを考慮するのではなく、無線ICタグを設置できるケース、即ち対象となり得る症例について、う蝕など歯自体の疾病の他にも、その治療術式中において、無線ICタグを無理なく取り入れることが可能となる症例範囲を広げるという意味での工夫がなされた時にこそ、はじめて歯以外の口腔内を無線ICタグの設置場所とする議論の余地が生まれるのである。
即ち、これまでは無線ICタグなどの電子通信媒体を格納する対象を歯に限っていたけれども、う蝕など歯に対する疾病が全くない人々に対して、それらを格納する範囲を歯の周囲の組織などにも広げる条件として、口腔周囲組織の疾病の治療の際にも無理なく無線ICタグを設置する方法が求められることになる。また、その際には、設置される電子通信媒体の寿命ができるだけ長くなるよう、その設置部位を、無線ICタグに対する物理的ストレスのできる限り少ない場所あるいは環境とする配慮も併せて要求されるであろう。無論その際にも歯科治療術式に準拠する方法で、口腔内に無線ICタグなどの情報デバイスを設置することが望まれるであろう。このように歯の疾病が比較的軽度である、あるいは疾病が全くない人々に対しても、口腔内に何らかの方法で無線ICタグなどの情報デバイスを安全に留置することが可能であるならば、社会安全を望む多くの人々に、例え無線ICタグのような電子通信媒体であっても、体内に受け入れてもよいのではと理解してもらえる可能性が広がるのではないだろうか。
その方法として、口腔内における歯に隣接する部位、即ち周囲にある軟組織内を無線ICタグの設置部位とすることが考慮される。例えば軟組織内への設置ということであれば、歯周病の際に実施される歯肉への麻酔にて無痛処置が行われた際に、既に実用化されている皮下組織に設置するタイプであるVeriChipTM等に代表される生体内埋込可能な非接触型ICタグを歯肉内に埋め込む手法が想起されよう。即ち生態組織に適合性のある生体ガラスで外装したカプセル型の無線通信媒体を歯肉や口腔粘膜下に設置する手法である。
けれども前述したように、現状のカプセル形状の無線通信媒体を組織内に埋設した際に伴うリスク要因として、軟組織中では埋設された無線通信媒体が組織内を移動してしまう可能性が大きな懸念となる。即ち当初は口腔内における所定の安全な組織内にカプセル状無線通信媒体を埋め込んだとしても、これが組織内を移動した場合、特に頭部にある口腔周囲組織では、カプセルの移動先が頭部を支配する三叉神経由来の鋭敏な感覚神経や口腔の咀嚼・発音機能を司る顔面神経など運動神経の複雑に入り組んだ頭部神経網および顎骨・顔面周囲の血管に接触や圧迫をもたらす可能性がある。その場合、疼痛や麻痺などの感覚障害、あるいは頭部の筋肉に対する運動障害を引き起こすことが予想される。
更に、口腔組織内に設置される場合は粘膜下に設置されることとなるが、口腔粘膜下の組織は可動性や伸縮性が高いことから皮下組織に比べて疎で空隙が多い上に、その組織内の空間は頸部へ連続しており、特に下顎臼歯部の粘膜組織の病変はこの経路を通じてしばしば咽頭や縦隔へ炎症が波及することが知られている。よって口腔周囲組織内に小型の固形物が遊離した状態で埋入された場合、これが頸部方向に移動することで異物による極めて重大な組織障害を引き起こす可能性がある。
また、仮に上記条件をクリアして、実際に口腔内に無線ICタグを設置できたとし、その利用方法として、個人認証手段とする際などは、プライバシーの保護やセキュリティーの観点から、無線ICタグを拠り所にした認証行程ができる限り露見しないほうが望ましい。近年、一部の大手都市銀行ではATMにおいて、手掌の静脈パターンを走査して本人確認を行うバイオメトリクスを用いた本人確認サービスが開始されている。けれども、この認証方法については、その行程を他人が散見することも可能であることから、逆にこのバイオメトリクスによるATMサービスを利用する顧客を狙った新たな犯罪を誘発する可能性が指摘されている。というのも、現に2005年3月にマレーシアのクアラルンプール郊外で、保安装置として所有者の人差し指をセキュリティー・パネルに当て指紋を照合しなければ作動しないという、いわゆる指紋認証によるキーシステムを採用したメルセデスベンツ車が盗難に遭った際、そのキーシステムを作動させる目的で持ち主である会計士の男性の人差し指を切り落とすという前代未聞の凶悪な犯罪が起こっている。従って、口腔内にある無線ICタグを個人承認に利用する際も、無線ICタグとの通信が他人に散見されれば同様な懸念が生じることになる。即ち口腔内にある無線通信媒体を利用する際は、その通信走査を外部に露見しないようにすることが望まれる。
そもそも、無線ICタグなどを口腔内に装着した場合は、利用する際にリーダーを顔面周囲に近づけなくてはならず、このような操作が装着者に対して明らかに不快感を与えるに違いない。また、仮に口腔内にある無線通信媒体が外見上不顕化されていたとしても、不特定多数の人々に対して口腔内に無線通信媒体があることを見込んで、そこにある情報を狙い、無線による不正アクセスやスキミングを試みる輩が現れることも予想される。現在のRFIDを含む無線ICタグにはセキュリティー機能を有するものが見られるが、口腔内に設置した無線通信媒体に対する保安性能を十分確保する観点から、外部からの不正アクセスを検知して警報を発するシステムも併せて必要となるであろう。このように仮に口腔内に無線通信媒体を安全に留置できたとしても、その利用に当たってはセキュリティーや心情的懸念を解消するための様々な工夫が施されない限り、実用性に乏しいものにならざるを得ない。
本発明は上記課題にて提起された問題点を解消するために、口腔内粘膜組織の外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設する無線通信媒体を使った移動体通信端末の制御方法であって、前記無線通信媒体がアンテナ部および電子通信媒体部から成り、前記アンテナ部は生体親和性を有する箔状導電性素材をループ状に形成し、前記電子通信媒体部は生体親和性を有する素材にて包埋し、前記無線通信媒体が無線通信媒体全体を柔軟性のある薄膜状に形成して歯槽骨表面に沿った歯周組織内に埋設する構造であって、口腔内に存在する前記無線通信媒体との通信および制御を行うことのできる移動体通信端末に、リーダーライターを内蔵し、移動体通信端末を無線通信媒体に接近させることにより、移動体通信端末から前記無線通信媒体内部にあるICタグにアクセスし、そこに含まれているその移動体通信端末の所有者であることを表す認証体を確認した後、移動体通信端末を制御して通信状態に切換えることを特徴とするものである。
そして、口腔周囲組織における生体組織内に無線ICタグなどの無線通信媒体を安全に留置し、これをセキュアかつ有効に利用する手法を確立することを目的として、近年普及した歯周組織再生術に適用され、歯槽骨再生スペース確保を目的とするメンブレン(皮膜)上に、金属チタンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など生体親和性を有する素材に包埋した非接触無線通信用ICタグ(RFID)と、同じく生体親和性を有するチタンや導電性プラスチック等の線材によるパターン配線にて形成したアンテナを接続して、薄膜状ながらも無線ICタグとしての機能を有する無線通信媒体を樹立する。
これを歯科医療において広く行われている歯肉炎や歯周病に対する治療方法としての歯周組織に対する外科的処置を施す際に、歯肉ないし歯槽粘膜を切開・翻転した際に露出する歯槽骨もしくは歯槽骨骨膜に貼付して固定する。次に貼付した簿膜状無線通信媒体を切開した歯肉ないし歯槽粘膜で被覆し、歯周組織下に埋設する。あるいは失われた歯の代替として生体に生着して機能する歯科用人工歯根ないしインプラント体に用いられている生体親和性に優れた素材を利用することも可能である。
これは上記の簿膜状の形態とは異なるもので、無線ICタグそのものを封入した歯科用人工歯根ないしインプラント体を、インプラント埋植術に準じた歯周組織に対する外科的処置により、露出した歯槽骨内に穴倉を形成して挿入固定した後、切開した歯肉ないし歯槽粘膜で被覆し、歯周組織下に埋設するタイプのスクリュー型無線通信媒体である。このようにして、う蝕等のない場合など、前述で紹介した手法を用いて無線ICタグなどの無線通信媒体を歯肉内に格納する機会が訪れなかった人々に対しても、歯周病の治療の機会を捉えて、口腔内組織において安全にしかも長期にわたり電子通信媒体等を格納する選択肢が与えられることを特徴とする。
本発明の口腔内粘膜組織の外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設する無線通信媒体を使った移動体通信端末の制御方法は、口腔内粘膜組織の外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設する無線通信媒体を使った移動体通信端末の制御方法であって、前記無線通信媒体がアンテナ部および電子通信媒体部から成り、前記アンテナ部は生体親和性を有する箔状導電性素材をループ状に形成し、前記電子通信媒体部は生体親和性を有する素材にて包埋し、前記無線通信媒体が無線通信媒体全体を柔軟性のある薄膜状に形成して歯槽骨表面に沿った歯周組織内に埋設する構造であって、口腔内に存在する前記無線通信媒体との通信および制御を行うことのできる移動体通信端末に、リーダーライターを内蔵し、移動体通信端末を無線通信媒体に接近させることにより、移動体通信端末から前記無線通信媒体内部にあるICタグにアクセスし、そこに含まれているその移動体通信端末の所有者であることを表す認証体を確認した後、移動体通信端末を制御して通信状態に切換えることを特徴とするものである。
そして、歯周組織内に埋設する無線通信媒体は、皮下に単に埋設する従来の生体内埋込型無線ICタグとは歯槽骨表層ないし歯槽骨内に固定される点で決定的に異なり、その利点として、設置された無線ICタグが所定の場所を外れて生体内を移動または漂流する恐れは全くない。また歯周組織はその歯肉などの軟組織部分に対しては咬合力による直接的な外力が加えられることがなく、歯内に設置する場合に比べれば無線ICタグに大きな外力が伝達される可能性は少ないので、歯内埋込型無線ICタグよりも物理的耐久性が要求されず、寿命も半永久的になる。
わが国における歯周病の患者は成人の80%以上と言われており、殆どの成人が歯周病の治療を受ける機会がある。その多くは歯肉の切開や剥離を伴う外科的術式を必要としている。従って本発明では従来の手法のように電子通信媒体を皮下に埋め込む目的として身体を傷つけるのではなく、あくまでも病気治療を目的とする歯科処置のオプションとして、この方法を適用することができる。言うなれば、歯科治療のついでに生体内に無線通信媒体を取り入れることができるので、多くの人々に日常的に無線通信媒体を取り入れる機会が与えられるという利点がある。
歯周組織内に設置された本発明の無線ICタグは、電子タグの構造を破壊しうるような外力が与えられるか、生体内部の組織液等が電子タグ内部に侵入して電子回路の機能に障害を与えることがない限りは半永久的に機能することが可能であるが、時間の経過と共に上記障害となる原因等により電子タグに不調が生じる可能性は否めない。その際、歯周組織内に設置された本発明の電子タグは機能が衰退あるいは消失し、生体中の単なる異物となれば撤去ないし交換が必要となる。その際にはこれを設置した場合と同様に、埋設部位の歯周組織周囲に局所麻酔を施した上で歯周粘膜を必要サイズに切開し組織内を開放して電子タグを撤去する、あるいは希望に応じて新たな電子タグに交換することができる。但しその結果として、術部の粘膜上に若干の手術痕が生じる可能性がある。けれども口腔内の粘膜は普通の生活において本人以外に散見されることはないであろうから、従来の皮下埋設型生体埋込無線ICタグを撤去した場合と比べれば、口腔内に手術痕を残遺したとしても、審美的な問題はまだしも少ないのである。
そして、このような生体内に敢えて認証手段を取り込む英断に踏み切る顧客に対し、その意気に十分報いる見返りを提唱することが求められる以上、例えば、この手法により達成される本人確認手段が電子通信媒体による認証であることを活かし、よりセキュアな本人確認手段が求められるビジネス環境下にあっても、厳重なレベルの本人確認を実現しながら、実際の認証ステップではむしろこれまでよりも簡便で迅速な使用感を得ることができる。我が国における近年の治安の悪化はこれ以上見過ごすことは出来ないのであり、悪意を有する者の跋扈を許さぬ安全な社会を実現するにはこれまでにない革新的な方策が必要である。その実用的なソリューションの一つとして、本発明では歯周組織内に格納した無線ICタグなどの無線通信媒体を対象としたリーダーを、固定電話のハンドセット、あるいは携帯電話機内部に設け、無線通信媒体の装着者がこれら電話を用いるタイミングに併せて口腔内にある無線ICタグと通信することにより、外見からは普通の通話と全く見分けの付かない行動で確認を実施することができる。実施例として、昨今リリースされた「お財布ケイタイ」のようなクレジット機能を有する携帯電話機の安全対策として、例えばこれを盗んだ犯人がクレジット機能を利用して金品を収奪するような、いわゆる無権限取引を防止するシステムとして利用できる。
利用者の体内に固定された無線ICタグなどの認証体を本人確認の拠り所とする認証手段であれば、社会においてセキュリティーが必要となる様々な局面において広く利用することが可能であり、口腔内に埋め込まれた無線通信媒体を電子的な鍵として利用し、携帯電話機等のパーソナル機器や、自動車から航空機に至るまでの輸送機器やシステムにおける保安ならびに警報装置、そしてより日常的で端的なセキュリティーへの応用として、玄関ドアやエントランスの鍵として、厳重なセキュリティー能力を担保しながらも、利用者にとっては簡便かつ迅速な手段として利用可能である。
更に、本発明では口腔内に設置された無線通信媒体を、所有者が望まぬ不正アクセスから防護することができる。口腔内に設置された無線ICタグを機能させるには、その無線ICタグを制御するフォーマットに準拠し、無線ICタグのセキュリティーを解除する機能をもつリーダーを用いる。これにより前述したように口腔内に設置した無線ICタグを、本人確認の認証手段として日常的に利用するならば、リーダーを携帯電話機に内蔵することにより利便性が高まる。携帯電話を利用する人々の殆どはこれを常時肌身につけていると見られる。従って、もし口腔内に本発明の手法をはじめとして、様々な方法にて体内に無線ICタグを取り入れていた場合、結果的にはそれらのリーダー機能を有する携帯電話機が常に無線ICタグの装着者の近傍に存在することとなる。言うまでもなく、携帯電話機に内蔵されたリーダーは、所有者の体内にある無線ICタグを制御する電波を送受信する機能を有しているが、言い換えれば、口腔内に設置された無線ICタグを制御しようとする電波を検知する機能を有しているということである。即ち本発明による歯周組織内埋設型無線通信媒体の装着者が普段から携帯するであろう、自らの体内の無線通信媒体との通信を実施するためのリーダーを内蔵する携帯電話機あるいは端末には、特に専用の監視用のハードウェアを追加することなく、外部からの不正アクセスを意図する電波を検知して警報を発する機能を実現することが可能である。これにより体内に設置された無線通信媒体に対する悪意のある者からの不正アクセスを排除し、保安体制を磐石にすることができる。
確度の高い本人確認手段を得ることを目的として、無線通信媒体を生体内に設置するという手法を、生体親和性を有する導電性素材をループ状に形成したアンテナと、生体親和性を有する素材にて包埋されたICチップ等の通信媒体とにより構成された柔軟性を有する簿膜状の無線通信媒体を形成した上、これを口腔内粘膜組織に対する外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設、あるいは歯槽骨内に貼付することで、従来の電子通信媒体を皮下に埋め込む手法のごとく、身体における外見上露見し易い皮膚を傷つけることなく、無線通信媒体を生体内に安全に格納しかつ機能させることを実現した。
図1から図5は本発明の実施例1を示し、図1は無線通信媒体(無線ICタグ)の全体図、図2から図5は無線通信媒体を歯周組織内に埋め込む手法の説明図である。
図1に示すように無線ICタグ1はアンテナ2と、アンテナ2の両端にリード線4および5により電気的に連結されたチップコンデンサー6およびICチップ3と、食事や会話時に加わる応力にて起電力を発生し、この起電力にて発生した電力をICチップ3に供給する圧電素子7とにより構成される通信媒体9から成っている。チップコンデンサー6は無線ICタグにおける至適受信周波数に従ってアンテナ2の共振周波数を決定するためのもので、アンテナ2は、チタンなどの生体親和性を有する金属ないし導電性プラスチック等の箔状導電性素材をループ状に形成しており、ある程度の折り曲げに耐えられる簿膜状のものである。この簿膜状アンテナ2は、形状を安定させ、取り扱いを容易にするために、これをポリ乳酸等の生分解性プラスチックの膜などに貼り付け、あるいは被包してループ状に形成することも可能である。
また元々生体親和性に乏しい非接触通信用ICチップ3、チップコンデンサー6および圧電素子7は、各々をチタン材や四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:e-PTFE、生体親和性シリコン、ハイドロキシアパタイト、アルミナス、サファイアおよび生体ガラスなどの生体親和性に優れた素材でその周囲を包埋した上でアンテナ部2と接続し、非接触型無線ICタグを形成することができる。簿膜状のアンテナ2を形成する導電性素材に生体親和性に乏しい素材を用いた場合は、四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:e-PTFE、生体親和性シリコン、ハイドロキシアパタイト、アルミナなどの電気的絶縁性および生体親和性を有し、かつ外部にあるリーダーとの無線通信の遮蔽にならない素材にてコーティングないし封止した上で用いてもよい。このように形成された無線ICタグ1は生体組織内に留置しても生体親和性を有するので生体組織に何ら為害作用を及ぼさない。
図1における無線ICタグ1は、大きさが平均で10mm×20mm、最大でも20mm×30mmの長方形で、その厚さは最大で1 mm程度の簿膜状に形成されたものである。本発明の無線ICタグ1の詳細構成は、まず個体認識用無線通信ICタグ(RFID)用集積回路(ICチップ)として、my-d Vicinity SRF55シリーズ(インフィニオンテクノロジーズジャパン)などを使用する。セキュリティー機能を有するこのRFID用ICチップは、1mm四方のダイサイズにて、本発明の無線通信媒体に使用可能である。送受信のアンテナ部2は生体親和性を有する薄膜状の導電性素材によるアンテナのループと、生体親和性を有する素材によってコーティングもしくは封止されたチップコンデンサー6によって構成されている。上記RFID無線ICタグ1における通信周波数13.56MHZ帯であり、アンテナ部2はこの周波数帯の送受信が効果的に実施されるよう、形状およびループ長が最適化されている。そして図1に示すようにICタグのサイズを満たすため、送受信アンテナ部2は縦約8mm,横約20mmの長方形簿膜状に構成されている。
アンテナ部2は、通信周波数13.56MHZにおける通信に適応するように、およそ0.8mm幅の電気伝導体の平面パターン線にて5ターン程度の長方形ループに形成され、ループ回路の両端に10pF(ピコファラデー)から50pFの静電容量を有するチップコンデンサー6もしくはアンテナ部2と同様な平面パターンに積層されたキャパシタを並列接続することにより、アンテナ部2に13.56MHZの電波信号に対する共振を得るのに至適となるように調整されている。しかし実際に通信を実施する際は口腔内にある無線ICタグ1とリーダー・ライターが接近すると、アンテナ部2との間に相互誘導が生じるので、その際はアンテナ部2の共振周波数を予めやや高めにシフトさせることで無線ICタグ1の実質的な送受信感度を向上することが可能となる。
図1に示す無線ICタグ1は、簿膜状にて全体的に柔軟性を有し、折り曲げて使用することも可能であるので、適用される歯周組織内の特に歯槽骨表面の凹凸に対して柔軟に適合することができる。近年歯周病治療における辺縁性歯周炎によって破壊された歯槽骨を再生・修復しようとする外科的歯周治療では、歯周病によって歯槽骨が失われた部分に、生体親和性を有する半透膜を用いて人工的な再生スペースを設け、かつて失われた部分の歯槽骨を再生するguided tissue regeneration(歯槽組織誘導再生術)と呼ばれる術式が普及しつつあり、この処置に用いられる半透膜内に本発明の無線ICタグ1などの無線通信媒体を含めることにより、歯周組織の再生医療に併せて口腔の歯周組織内に本発明を適用することも可能である。
次に、本発明の無線ICタグ1を歯槽組織内に設置する術式について説明する。図2から図5において、図2はヒト口腔内における上顎右側歯列の頬側面観で、歯周組織に対する外科処置の第一段階を示している。21は永久歯列、22は永久歯列21を支持する歯周組織の頬側面観であり、歯肉・歯槽粘膜を含み、その内部には歯槽骨を有している。23は切開線、24は切開線23によって周囲の歯周組織から分離された歯肉および歯槽粘膜部分を示している。
さて、歯周病などに代表される歯周疾患では、永久歯列21の表面および歯周組織22の内部に歯周病原菌が産生した細菌によるバイオフィルムやプラーク、歯石が付着・蓄積し、これが原因となって歯周組織22中に膿瘍や不良肉芽が発生している。歯周病治療では、永久歯列21に付着した歯石やプラークを除去するとともに、歯周組織22内部にある歯石やプラークを取り除くために部分的に切開、剥離することがしばしば行われる。また歯周病によって発生した不良肉芽を除去する際にも、歯周組織22を部分的に切開・剥離したうえで行われる。これらを外科的歯周治療と呼ぶ。切開線23は外科的歯周処置を実施する際に、歯肉を剥離するために切開する線であり、これら2本の切開線23の間に位置する歯肉・歯槽粘膜24を弁状に剥離・翻転する。
図3は、図2に始まる歯周組織22に対する外科的処置における術式の次の段階を示している。切開により半ば分離された歯肉弁25を翻転することにより、内部にある歯槽骨表面31が露出する。外科的歯周処置ではこの時点で歯周疾患の原因となる永久歯列21の周囲に付着した歯石やプラークを除去するとともに、歯周疾患によって発生した歯槽骨表面31上に付着する不良肉芽を掻き取って除去する。外科的処置の術式によっては、歯槽骨表面31に歯槽骨の骨面が露出することもあるけれども、歯肉弁25の剥離のしようによっては、歯槽骨表面31に骨膜としての軟組織が一層被覆した状態となることがある。
図4は、本発明の簿膜状無線通信媒体を周囲組織内に設置する様子を示している。図3の過程において、前述した歯周疾病の病原因子となるものを歯周組織から除去した後、通常の術式であれば、剥離・翻転した歯肉弁25を本来の位置に復位するけれども、本発明を適用する場合は図4に示すように、露出した歯槽骨ないし歯槽骨表面31に対し、図1に示した無線通信媒体1を貼り付ける。その際は簿膜状の無線通信媒体1を歯槽骨表面に貼るように留め、歯槽粘膜24を復位することで歯槽骨と歯肉・歯槽粘膜24にサンドイッチして固定するか、チタン等のビスを複数用い、無線通信媒体1を歯槽骨表面にネジ止めして固定することができる。図5は、本発明の無線通信媒体1の設置後、歯肉弁25を復位して一連の外科的歯周治療を終了した様子を示している。歯肉弁25は復位した位置に縫合糸51にて固定されおり、縫合糸51は複数用いられることが多く歯肉弁25とその周囲の歯肉および歯槽粘膜24、時には永久歯列21における個々の歯とも結びつけることにより、歯肉弁25の整複を維持し、歯周外科処置で生じた術創面の回復を促進する。なお本実施例で適用する術式は、歯周病治療における外科的治療として一般的に行われているものであるが、本発明による実施例はこれに限るものではない。
上記により無線通信媒体である無線ICタグ1は口腔内の歯周組織内に埋設されるが、歯周組織は咀嚼や会話を司る運動器であり、特に歯周組織中の歯槽骨は咀嚼の際に数10kg程度の強い応力を受けている。従って、本発明の歯槽骨に固定された無線ICタグ1に対しても咀嚼や会話時においてある程度の応力がもたらされることになる。しかしながらヒトの下顎骨の剛性は高く、たとえ咀嚼力のような強い応力が加えられても変形は僅かである。従って歯槽骨に貼付・固定された本発明の無線ICタグ1は、咀嚼の際に僅かばかりの変形を余儀なくされるが、もとより簿膜状で柔軟性を有することからその機能や構造に悪影響を被ることはない。一方、咀嚼や会話は、ヒトが生存する限りにおいて日常的に必ず実施される動作である。そこで本発明の無線ICタグ1の内部に圧電素子7を設けることにより、咀嚼や会話などで生じる歯槽骨における僅かな変形や、振動のエネルギーを得ることで圧電素子7に起電力を生じさせることができる。
ちなみに圧電素子7にピエゾ素子やロシェル塩等、応力を受けると起電力を生じる結晶構造体、もしくは圧電素子以外の発電素子として、磁性材料とその周囲を可動するコイルなど、振動を受けることにより起電力が生ずる素子を設置すれば、咀嚼をはじめ、装着者のあらゆる運動の際に歯槽骨が衝撃を受ける毎に電力を発生し、永続的に電力を供給することができる。このようにして得られた電力は、リード線8を通じてICチップ3に伝達され、無線ICタグ1を作動する電源となる。また常時は発電した電力を別途無線通信媒体内に設置した小型キャパシタに蓄えておき、必要に応じて電力を供給して無線ICタグ1を作動する電力として随時利用することもできる。
また、無線ICタグ1のサイズは生体に対して悪影響を与えない程度のものであるが、埋設する本発明の無線ICタ1が、骨膜や粘膜などの軟組織と骨面との間にあることを考慮すると、無線ICタグ1が粘膜から骨面に対する栄養供給路をいささかも阻害しないとまでは言い難い。そこで本発明の無線ICタグ1においては、その機能および耐久性を損なわぬ程度に膜の所々に貫通穴や切れ目を設けることが望ましい。例えば本発明の無線ICタグ1におけるサイズの大半をアンテナ部2が占めているので、アンテナ部2のループライン間にギャップを設ければ、このギャップを通して軟組織から骨表面に栄養を送る供給路を確保することができる。
以上により、本発明の無線ICタグ1は、歯科における慢性辺縁性歯周炎の治療を目的として行われる歯周外科手術にて無痛的に歯周組織の内部が開放され、歯槽骨などの粘膜下における骨組織があらわになる機会を利用して固定・留置され、生体親和力により歯周組織と一体化することができる。ひとたび人体と一体化した無線ICタグ1は、仮に歯科学的専門手法を用いてそれを他人に移植しようとしても、少なくともそれを無傷で取り出すことが極めて困難であるから、設置した無線ICタグ1が本人確認の根拠となる確度がより高いものとなる。従って本発明を本人確認手段として利用するならば、無線ICタグ1が歯槽骨や顎骨と組織学的に一体化すること、即ち無線ICタグ1の周囲が骨化して最終的には無線ICタグが骨内に埋没するのが望ましい。
このために、無線ICタグ1の周囲に骨補填材や骨誘導材を配して無線ICタグ1周囲の骨化を促進させることも考慮すべきと思われる。この骨の誘導や再生を促進する物質としては、BMP(Bone morphogenetic protein;骨誘導タンパク)、FGF(Fibroblast Growth Factor;繊維芽細胞増殖因子)、BDNF(Brain-derived Neurotrophic Factor;脳由来神経栄養因子)などの組織再生因子を適用することができる。また骨補填・誘導材あるいはスキャフォード(足場)としてβ―TCP(βー燐酸三カルシウム)、ハイドロキシアパタイト、OCP(Octacalcium Phosphate)などを無線ICタグ1 周囲における骨化の促進に用いることができる。これらの骨誘導物質を適用する際には、生体吸収性材料である乳酸、グリコール酸、εーカプロラクトンの三次元共重合体ポリマー(PLGC)に添加して、無線ICタグ1の周囲に添加して骨の誘導を行うことができる。
図6から図8は本発明の実施例2を示し、図6は無線通信媒体(無線ICタグ)、図7は無線通信媒体の断面図、図8は無線通信媒体を歯周組織内に埋設した例を示す図である。
本実施例は、前記実施例1における形状の無線通信媒体(無線ICタグ)に替えて図8に示すように歯周組織の粘膜下あるいは歯槽骨部に固着するように、歯科用人工歯根(インプラント)に用いられる骨内固定用フィクスチャーの形状に合わせて無線通信媒体を形成した例である。これはその一例であり本発明におけるこれら歯周組織埋設型無線通信媒体の形状および材質についてはこの限りではない。
図6において、11aは歯周組織埋設型無線通信媒体(無線ICタグ)の全体像を示し、11bは外形がスクリュー状に形成されていて、歯槽骨内に埋設され固定されるのに適したフィクスチャーとなっている。この外装は人工歯根と同様にチタン、アルミナスもしくはハイドロキシアパタイトなど、生体親和性を有する材質を単独もしくは複数組み合わせて形成したものであり、フィクスチャー11bの直径は4〜8mm、長さは5〜15mm程度に形成されている。なお、このフィクスチャー11bはスクリュー状以外にもブレードやシリンダー状に形成することもできる。11cは無線通信媒体に含まれる無線ICタグのアンテナであり、この例では、設置の際、アンテナ11cは歯槽骨内に設置されないものの、歯周組織粘膜下留置され、口腔内に露出することはない。11dはこのアンテナ11cを構成するコイルである。アンテナ11cはこのICタグ11aとの通信を実施するリーダー・ライターの仕様に応じてその形態を随時決定できるけれども、その表層ないし表面は生体に対する組織障害をきたさぬように、ハイドロキシアパタイトもしくはアルミナス、サファイア、生体ガラス等、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの生体組織親和性に優れ、しかも外部にあるリーダーとの通信の遮蔽にならない素材により被覆あるいはコーティングされている。
図7にて示す無線ICタグ11aの断面図は構成の一例であり、本発明におけるこれら組織埋設型無線通信媒体の構造、材質、部品構成等はこの限りではない。12aはRFID用のICチップ、12bはアンテナ部、12cはアンテナコイル本体、12dはアンテナコイル巻線、12eはアンテナコイル芯、12fはチップコンデンサー、12gは以上の部材を封止する素材である。なお12a、12c、12d、12fにより構成される回路は、前記実施例1に準ずるものである。12hは本実施例における無線ICタグの外形のうちで歯槽骨もしくは顎骨内に埋め込まれる部分であり、スクリュー状の外形を有していて、ねじ込みによって骨に強固に固定される。これは無線ICタグにおける外装の一部であり、生体組織と直接触れる部分であるから、チタンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE:テフロン(登録商標))などの生体親和性に優れた素材が用いられ、封止部材12gを被覆している。アンテナ部12bは骨の外部に位置し、歯周組織粘膜下にあってやはり生体組織と直に接する部分であるが、外部にあるリーダーと通信を行うためのアンテナが内蔵された部分でもある。これは生体親和性を有しかつ通信の遮蔽とならないポリテトラフルオロエチレンなどの素材である外装部材12iによって被覆されアンテナ部12bおよびその封止材12gを被覆すると共に、無線ICタグ゛11aの形状が支持されている。なおアンテナ12bは前記実施例1にて示した折り曲げに耐えられる簿膜状材料にてループ状に形成してもよい。
図8は歯周組織に無線ICタグ11aを設置した状況を示す断面図である。13aは歯周組織、13bは歯根膜、13cは歯槽骨、13dは粘膜を含む歯周軟組織、13eは歯周組織にて支持される歯である。
図6に示す無線通信媒体11aは、歯槽骨13cあるいは顎骨内に埋入されるフィクスチャー11bの部分については直径が約6mm、長さが約8mmの円柱状であり、図6ではスクリュー状の形態を示しているが、骨内への固定の手法に応じてネジのないシリンダー状にすることもできる。
図12に示す無線通信媒体11aの構成は、基本的には実施例1と同様であり、RFID用の集積回路12aとして、my-d Vicinity SRF55シリーズ(インフィニオンテクノロジーズジャパン)など、セキュリティー機能を有する無線ICチップを用いることが出来る。これは一辺が1mmの正方形サイズにて実施例2における無線ICタグ 11aの使途として適当である。送信アンテナ部 12bは、アンテナコイル本体 12cとチップコンデンサー 12fによって構成されている。上記無線ICタグ 11aにおけるICチップ12aの通信周波数は13.56MHZ 帯であり、アンテナ部12bはこの周波数帯の送受信が効果的に実施されるように最適化されている。
図6に示した無線ICタグ11aのサイズを満たすため、図7に示す送受信アンテナ部12bは直径約 8mm、厚さ約 3mm程度のボタン状に構成されている。本実施例では通信周波数 13.56MHZ における通信に適応するよう、アンテナ部12bにおいて、直径約 4mm、厚さ約 2mmのコイン状アンテナコイル芯 12eに、0.15mmのホルマル線による15から10ターン程度のアンテナコイル巻き線 12dを施してアンテナコイル本体12cを形成している。更にアンテナコイル巻き線 12dの両端は 30 から100pF(ピコファラデー)の静電容量を有するチップコンデンサー12fと並列接続してアンテナ部12bを構成している。このアンテナコイル本体12c両端は実施例1と同様にICチップ(RFIDチップダイ)12aにおける入出力端子と接続する。これら12aから12fの各部品は、周囲の生体組織からの組織液の進入を防ぐために親和性を有する封止部材12gによって封止され、これらのうち歯槽骨13c内部に設置される部分である部分は生体親和性を有する外装部材12hにて被覆されている。また歯槽骨13c内部に埋設されている外装部材12hから連続しているアンテナ部12bは歯槽骨表面にあって歯周粘膜組織に被覆されており、生体親和性を有する外装材12iにて被覆されている。
図7に示すように、本実施例における封止部材12gは、通信機能を阻害せず、十分な強度を有する素材が用いられている。適用できる素材としてはセラミックスのほか、一般的な半導体封止用樹脂材料が用いられているクレゾールノボラック型エポキシ樹脂やビフェニル型エポキシ樹脂があげられる。加えて、口腔内のように無線通信媒体11aの作動に支障をきたす水分や湿度に富む環境下において、電子部品が格納されている無線通信媒体11a内部を、組織液などの水分が充満する周囲の生体組織から完全に隔離する必要性を考慮すると、水分透過性および吸湿性の低いジシクロペンタジエン(DCPD)型エポキシ樹脂などを利用する必要があるだろう。歯槽骨内に位置する外装材12hにて被覆された骨内フィクスチャー11bは、これらを含む無線ICタグ11aを歯周組織13a内の歯槽骨13cに固定するためのものである。無線通信媒体の電子部品を格納するための空洞を内部に形成し、直径約6mm、長さ約 8mmのシリンダーないしスクリュー状の外形を形成している。
骨内に埋め込まれるフィクスチャー11bは生体親和性を有する素材としてチタン、アルミナス結晶あるいはハイドロキシアパタイト等、硬骨組織とのオッセオインテグレーション機能を有する素材を単独ないし複数を組み合わせて用いる。歯槽骨13cを覆っている歯肉あるいは口腔粘膜組織13d内に位置するアンテナ部12bは直径約8mm、厚さ約3mmのボタン状に形成され、その内部に無線ICタグ11aのアンテナ部12bを含むため、その通信機能を阻害せず、しかも生活組織に対し何ら害を及ぼさない素材として酸化アルミナもしくはサファイア、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト素材、セラミクス、四フッ化エチレン樹脂(e-PTFE)、生体親和性シリコンおよび生体ガラスなどを単独ないし複数組み合わせて用いる。
図8に示すように、無線通信媒体11aを口腔内に設置する際は、実施例1における無線通信媒体11aの設置に準拠して実施することが可能であるが、歯周外科処置を伴わずに、無線ICタグ11aを歯周組織13a内に設置する目的のみにおいて実施することもできる。その際は、まず通常の歯科において用いる局所麻酔による無痛処置を施した後、設置する部位の口腔粘膜に数センチほどの切開を加えた後、骨膜を含む全層弁を形成して歯肉を剥離し、歯槽骨13cもしくは顎骨を露出する。次に、歯槽骨13cもしくは顎骨内にインプラント法による人工歯根設置の術式に準拠し、骨に対して骨内に挿入するフィクスチャー11bの外形に適合するよう、直径約6mm 、深さ約8~10mmのシリンダー状窩洞を形成する。この際、骨内に設置するフィクスチャー11bがスクリュー状であればタッピングを施して窩洞にねじ山を形成する。その後、骨の空洞に対して本発明の無線ICタグ11aを挿入、またはねじ回しにて螺入する。最後に、切開した歯肉弁にて無線ICタグを被覆した後、縫合して整複し設置を完了する。なお、以上の術式には当然ながら局所麻酔を必須とするが、歯科的処置における歯周治療での麻酔を伴うスケーリングやルートプレーニング、歯周ポケット掻爬および歯肉の剥離等を伴う歯周外科処置などの局所麻酔を実施する場合、その局所麻酔の奏功する範囲の歯周組織に対し上記実施例2を併せて追行することが可能である。
本実施例は、前記実施例1および2において歯周組織内に設置された無線ICタグを本人確認の認証手段として用いる場合の構成および運用例について説明する。
口腔内に設置された無線ICタグを含む無線通信媒体の通信距離は、現在普及しているISO15693(近傍型)規格の無線ICタグを採用した場合には、生体組織という障害物を介して通信を実施しなければならない都合上、実質的には最大でも十数センチ程度と推定される。従ってこれらの口腔内に設置された無線通信媒体との通信を実施する際は、リーダー・ライターを口腔周囲に十分に近づける必要がある。この性質を逆に利用して、これら口腔内に設置した無線通信媒体に含まれる電子的に唯一無二の認証コード等を、本人であることを表す“認証体”と見立てれば、これに対してのみスイッチとして反応し、あるいはコントロールされるよう設定された電子機器を口腔周囲に近づける操作によって、本人しかなしえない制御を実施することが可能となる。例えばこれを携帯電話上で実現するには、まず携帯電話に無線ICタグのリーダー・ライター機能を内蔵する。リーダー・ライターには、その所有者など、特定の個人の口腔内にある無線通信媒体内にある認証体を検知識別した時に限り、携帯電話が機能するようプログラミングを施す。すると口腔内に携帯電話の使用を許可する認証体を装着した者(ユーザー)が、口元に自分の携帯電話を近づけるとき、口腔内にある認証体に反応し、携帯電話の使用が可能となる。これは外見上、は認証体を口腔内に所有するユーザーが、口腔周囲に所有する携帯電話を近づける操作により、携帯電話が自動的に反応し制御されているように見える。
その作動例を挙げる。本発明に準じたリーダー・ライターを内蔵し、口腔内に存在する無線通信媒体との通信および制御を行うことのできる携帯電話については、予め呼び出し時において、ボタン操作などの通常の操作では通話状態に移行しないものとする。まず着信時に呼出コールを発すると同時に、前述のリーダー・ライターが作動する。携帯電話の所有者の歯周組織内に、予め本人を証明する認証体を含む無線通信媒体(無線ICタグ)が装着されていれば、携帯電話の所有者が呼び出しに応じて携帯電話を頭部に近づけ通話姿勢をとることで、携帯電話に内蔵されたリーダー・ライターは必然的に口腔内にある無線通信媒体と10〜3cm程度まで接近する。そこでリーダー・ライターは、無線ICタグにアクセスし、そこに含まれている、その携帯電話の所有者であることを表す認証体を確認したのち、携帯電話を制御してコールを停止させ、通話状態に切り換える。これまでは携帯電話の着信の際に応答できる通話者を限定しようとすると、暗証番号入力や指紋のスキャンなど、本人確認を実施するため、いちいち端末コンソール上における何らかの操作が必要であった。この作動例では携帯電話の着信に対して、その携帯電話に応答できる資格を持つ者に限り、携帯電話を口元に近づけるだけで、コンソール上で何の操作することなく着信に応答できる。一方、口腔内にその携帯電話に対応し、その持ち主であることを証明する認証体を持たない者はいかなる操作をしても応答できない。すなわちこの作動例は、携帯電話の着信時において、携帯電話自信が持ち主を識別して通話を許可する、自動認証による電話応答機能である。
認証手段を持たなければ、呼び出しに応じて通話しようといくら操作しても、携帯電話内にあるリーダー・ライターがユーザーの存在を認識しないので決して通話状態になることはない。これはその携帯電話の通信内容を他人に知られぬようにするのに非常に都合が良い。従来の携帯電話では、その操作や通話を厳格にユーザーに限定したい場合、普段は着信時の応答機能をロックし、着信毎にいちいち暗証番号や隠しスイッチ、近年では指紋等のバイオメトリクス認証によってロックを解除して使用していたが、呼出コールの際にはとっさの動作が求められ、かえってこれらの操作に手間取るのが常であった。けれども上記のように動作することにより、たとえ厳密にユーザーに限定して携帯電話を使用可能にする機能であっても、通常の操作と何ら変わることなく行える。着信時などにおいては、スイッチ等による通話状態への切り換え操作も無用であり、むしろ応答操作がより迅速になる。
これらのリーダー・ライター機能を携帯電話に付加することにより、口腔内に装着された無線ICタグからの信号を受信する機能については、所有者の口腔内にある無線ICタグをリードとする機能以外にも、例えば体内に無線通信媒体を有する個人を狙った不正アクセスを検知する機能として用いることが可能である。言うまでもなく携帯電話は日常的に所有者自身が持ち歩いている。だから無線通信媒体の装着者された者の近傍に、本発明の機能を取り入れた携帯電話があれば、無線通信媒体に対して不正アクセスが試みられた時、その受信機能がこれを検知できる。例えば、口腔内に位置する無線ICタグを狙い不正アクセスを試みようとする者が、アクセスのために口腔内にある無線ICタグに向けて電波を照射したとしよう。その電波は無線ICタグが動作する周波数でなければならない。しかし同時にその周波数の電波は、無線ICタグ装着者の携帯電話のリーダーが受信可能な周波数でもある。だから少なくとも不正アクセスによって狙われた無線通信媒体装着者が携帯電話を持ち歩いているか、あるいはその近傍でそれらのリード・ライト機能が動作していれば、その不正な信号を検知できる可能性が極めて高い。無線ICタグのリード・ライト機能を有する携帯電話は口腔内の無線ICタグに直接に通信するとき以外は、このような不正アクセスを検知する機能を作動させておき、もしもそのような不正アクセスと見られる電波を検知した際は、携帯電話の呼出音などを利用して、無線ICタグの所有者に不正アクセスを警告することができる。
また、歯周組織内に埋設された無線通信媒体を本人確認の認証手段に用いる場合は、このような無線通信媒体と通信する機能を有する携帯電話等の移動体通信機器に含まれる各種無線通信端末機能のほか、自動車、列車、航空機など輸送機の使用や運用を、所有者やその運転を許可された者に限定することができる。具体的には、自動車の運転者が使用するハンズフリー携帯装置に見られるような、運転操作を妨げない、通信用マイク付きヘッドフォンに、口腔内にある無線通信媒体との通信用アンテナを組み込み、運転中を含め、口腔内にある認証体を検知することで、予め許可されたドライバーに限って自動車の運転を許可する。また、建築物のエントランス、玄関扉、金庫扉などの施錠もしくは開閉を、上記認証体の存在を検知して許可することで、その建物の所有者やそこへの入室や利用を許可された者に限定して入室や通過を許可することができる。
以上述べたように、本発明の歯周組織内埋設型無線通信媒体は、口腔内に安全にしかも長期間安定して留置し、ステルス性が高く、しかも確度の高い本人認証手段として用いることを広く国民に提供するものである。また、本発明の無線ICタグのリーダー・ライター機能を内蔵する電話機のハンドセット(受話器)や携帯電話を用いて通話する体勢をとることにより、ハンドセットに内蔵されたリーダー・ライター機能は口腔内にある無線ICタグに対して10cm程度の距離となり、無線ICタグとリーダー・ライター機能との間の緊密なる通信が可能となる。リーダー・ライターと無線ICタグとの間隔が極めて短いので、比較的弱い電波による通信が可能であり、外部からのノイズ混入を最小限に留めることが出来るとともに、電波の外部への漏洩が抑えられ、他人による通信の傍受を防ぐことにも寄与する。このような効果は、前記特願2001−176888号における実施の際に避けられない歯に対する処置や、必要となる歯冠築造体の装着を行わずとも、それと同等の効果を得ることができる。
次に、上記実施例1から3にて説明した歯周組織内埋設型無線通信媒体の総括的な効用および、本人認証手段として使用することによる社会的重要性について述べる。
安全保障に関わる領域では、既にICカードの所有者であることが本人認証の決め手とは見なされていない。米国ではテロ等の犯罪予防を目的で、海外から入国する全ての長期滞在者に対して指紋を採取しており、2005年にはパスポートに所有者の指紋や虹彩パターンを記録し、入国時に本人と照会することにより、厳密な本人認証を実施する予定である。このように近年では本人確認の際に、携帯する身分証明書等を提示するのみならず暗唱コードや生体パターン認識、即ちバイオメトリスク認証などが広く併用されるようになった。但し、個人生体情報を拠り所とする手法は先に述べたように、個人にとっては代えることのできない身体のプライバシーに関わる情報を提供する必要があるけれども、個人のプライバシーに関わるこれらの生体情報を取り扱うセキュリティーシステムの運用を極めて慎重に行わなければならない。
そこで、すでに述べたように、個人の生態情報を本人確認手段として用いなくとも、成りすましを完全に防いで本人確認の決め手になり得るための手段として、ユニークな認証手段を含む無線ICタグを体内に埋め込み、本人と一体化することで本人確認を実施しようとする試みが始まっている。生体内に本来は異物である電子通信媒体等を設置することは倫理的観点からは様々な問題が指摘されているけれども、社会安全の確保を目的とした認証では、身分証明の偽造や、成りすましを厳格に排除する必要があることから、電子認証が広く普及する現状ではむしろそのメリットが注目されるようになった。特に2001年9月に発生した米国同時テロ以降、安全保障の観点から高度のセキュリティーを確立する手段として、認証手段の体内埋め込みが実用化されつつある。とは言え、それでも単なる本人確認手段としてわざわざこれら認証手段を自らの体内にメスを入れてまで埋め込もうとする行為に対する恐怖や嫌悪感は忍びがたいものがある。
前記特願2001−176888号による無線通信媒体を歯と一体化する方法によって得られる効果についてみると、体内に電子通信媒体を装着すると言う側面に関しては、従来のカプセル化した無線ICタグに認証手段を格納した通信媒体を、皮下などに埋設して身体と一体化する方法とあまり変わりないように見えるが前記特願2001−176888号の手法は、埋め込みの際に皮膚を切開することがないので、出血や痛みを伴うことがない点が有利である。また、取り出しや交換の際にも出血や痛みを伴うことはない。ペースメーカーや人工関節など、生体に人工物を取り入れる様々な医療措置とは全く格別であり、これらに比べれば生体に対する侵襲やストレスは極めて小さいものである。
そのようなメリットを有する前記特願2001−176888号の方法は、将来的には生体内に設置される電子通信媒体に様々な生体計測用センサーを取り入れることで血圧や脈拍、血糖値など、医学的管理の上で極めて有益な情報を経時的にモニターするシステムへの発展が見込まれていて、身体の健康維持に大いに貢献する手法につながるものであり、その意義は極めて大きい。けれども前述のように、前記特願2001−176888号が適用できるのは、病的に歯が大きく崩壊した場合に限られる。となれば、う蝕が全くない健康的な歯列を有する人々には上記のような恩恵を全く与えることができないのか、という素朴な疑問が生じることとなる。
近年の口腔衛生に対する関心の高まりから、子供らに対しては幼児段階から保護者による行き届いた口腔ケアが実践されるようになり、その結果近年では、永久歯におけるう蝕の羅患歴が全くない若者が増えつつあるのは極めて望ましいことである。けれども、このような健全な口腔を有する人々が、様々な機会においてセキュリティーシステムの要求に応じて本人確認を経なければならない場面に出会ったとき、その解決手段の一つとして、ともすれば健康な歯に電子通信媒体を埋め込もうとするかもしれないが、歯に対する無用な侵襲をもたらす行為は厳に慎まねばならない。そのような人々にはやむを得ないが、パスカードや暗証番号、バイオメトリクスなどを用いて、本人確認が要求される毎に、いちいち認証操作を実施していただくべきとは思うけれども、既に述べたように、それらの認証手段や証明体が、本人の社会的、経済的財産に直結している重要性を鑑みるとき、皮肉なことではあるけれども、その運用や管理、さらには証明体の保管に関わる労力については、一方で歯の健康を損なったものの、前記特願2001−176888号の方法によって認証手段や証明体を体内に取り入れることで本人確認を自動化し、カードの携帯や認証作業を無用にしてしまった人々よりも、むしろ多くの手間暇をかけなければならないことになる。免許証やクレジットカードを紛失する、あるいは盗難された経験が一度でもあれば、その際に必要であった諸対応と、それに伴う心労がいかに苦痛であったか、そしてその苦い体験の後で、普段の生活でそれを防ぐ対策にいかに腐心することになったかということを思い起こすことで、その差が浮き彫りになるだろう。
このように口腔衛生に努力を傾注して健康な歯を保つ人々が、本人確認等の認証システムを口腔内に取り入れる際にかえって不利になるという懸念に配慮することは、条理に照らせば至極当然なことであり、まして健康な歯に手をかけるような理不尽をもたらすことなく、認証手段を含む電子通信媒体を安全に体内への格納手段を確立することもまた本発明の重要な使命と言える。よって病的な歯の崩壊が軽度な場合、あるいは歯そのものに疾患を有しない人々に対しても、できる限り生体への侵襲の少ない方法で、体内に無線通信媒体を設置する手法が求められる。本発明はそのような場合に、実施例1および2の手法を用いることで、生体内に無線ICタグを取り入れる行程そのものは、一般的な歯周治療に僅かの手間を与えるのみで導入が行える。
本発明によるこのような生体内への無線ICタグの導入方法は、人道上の観点において、生体ガラスに封入した非接触型無線ICタグ(VeriChipTM)を皮下の導入する従来の方式と明確に二つの違いがある。そのひとつは、その導入が一般的に実施される歯科治療の一環として行えることであり、無線ICタグの生体埋め込みを唯一の目的として実施する従来の手法に比べて倫理的な抵抗感が少ないことである。歯周病の治療を目的とする外科的処置自体について、ある程度の苦痛を生じることに患者はもとより了解済みの事項であり、その過程で行われる無線ICタグの設置自体は、患者に対して新たな侵襲や苦痛を与える類のものでないならば、その導入に対する抵抗感はおのずと小さくなるはずである。第二に、一度口腔内に設置された無線ICタグを何らかの事情で取り出さざるを得ない事態となった時、もしもこれが皮下にあれば取り出しによる瘢痕の残遣が避けられず、装着者の心象に悪影響を与える要因となり得る。歯周病組織内に設置された無線ICタグ等の通信媒体についても、もしも取り出しが必要となれば、取り出し後に歯肉や口腔粘膜上に瘢痕を残すことは避けられないが、実質的にはこれが外見上あらわになる機会は極めて少ないのであり、取り出し後の患者に対する精神的負担は、皮下に無線ICタグを設置するのに比べて格段に小さいことは疑いない。
歯周病治療そのものが本発明の無線ICタグを設置する機会であるから、本発明はあくまでも歯周治療に付随するものとして実施することができる。本発明を実施するにあたっては、歯周病治療との相互目的として、歯周病治療のための麻酔を施し、外科的歯周治療を完遂した上で、ごく僅かの行程を付加して無線ICタグの設置をするのである。従って、本発明を適用される患者から見れば、例え観血的術式を伴う体内埋め込み手法だとしても、その埋込操作そのものに関しては苦痛と認識することは殆どない。それだけでも従来の皮下への無線ICタグを埋め込む手法に比べれば、患者に対する精神的負担は軽いものとなる。
これを逆説的に見るならば、ある意味、実施例1および2は、たかがICチップを体内に埋め込むために大事なヒトの肌を決して傷つけないよう開発されたとも言えよう。本発明は歯周病治療の一環とは言いながら口腔粘膜下に無線ICタグを設置するために、口腔内組織にある程度の切開、即ち傷をつける必要がある以上、従来の皮下埋込型無線ICタグにおける手法のごとく、外見的には非人道的に見えることは否めない。しかし前述したように、これらは歯科治療に付随して行われることに着目すべきである。
歯科疾患のうち、歯周病のように歯を支持する歯槽骨が次第に破壊され消失する疾患は、歯の周囲の辺縁歯槽骨が特に破壊され、進行すると歯を支持する全ての骨が失われ、顎骨と歯を結びつける力を失って歯を喪失する生活習慣病である。国民病とも呼ばれる歯周病のために、わが国では80歳に至るまでにおよそ90%の歯を失うと言う現状がある。う蝕などの歯に対する羅患歴の全くない人々は少なからず存在しているけれども、このような幸運な人々も生涯にわたり歯周疾患の羅患を避けることはまず不可能であり、いずれこれらの人々も歯周疾患に対する治療を施さねばならない機会が必ずと言っていいほど訪れることになる。その際には、歯肉に相当の出血を伴いつつ歯石を除去することや、強固に付着したバイオフィルムを一掃するためのクリーニングを実施するのが通例である。しかも現実的にその多くは麻酔を施すことなく実施され、その際、患者は口腔の健康を取り戻すために敢えて苦痛を甘受している。
本発明は、専門性の高い外科的歯周治療の際に適用される。外科的歯周治療は、完全な無痛処置を施した上で、特に慎重かつ細心の注意を持って実施されている。従って、外科的手法で適用される本発明も、特に細心の注意が払われ、体内に埋設される素材と共に、その安全性は十分に担保される。ただ不測の事態に際しては、やむを得ず一度口腔内に設置した無線ICタグを撤去する局面が生じるかも知れない。しかし不幸にしてそのような事態になっても、皮下に埋設する方式の非接触型無線ICタグ(VeriChipTM)に同様な事態が生じた場合に、その取り出しのために皮膚に多少なりとも切開を施す必要がある以上、その取り出し後には皮膚に瘢痕が残遣する恐れが極めて高く、ともすれば本来の埋込位置から無線ICタグが移動していた場合、特に組織の深部方向、あるいは外見上より露出しやすい位置に移動した場合に、その取出しが困難になるばかりでなく、取り出せたとしても瘢痕が更に大きく露見しやすいものとなる可能性が高まる。
一方、口腔粘膜下に埋設した場合もその取り出しの際は、また然りであるが、装着位置が口腔内である限り、残遣するのは口腔粘膜上における瘢痕であるから、通常の社会生活では見かけ上これが露見する機会はまずないと見られる。また本発明では設置された無線通信媒体は歯槽骨・顎骨に溜め置かれていて、当初の埋込位置から移動する可能性は極めて少なく、取り出しの際に生じる瘢痕は既に埋め込みの際に生じた瘢痕とほぼ同じ部位に生じるだけで、見かけ上、新たな傷跡が生じる可能性は小さい。本発明は、その実施手法のみに注目する時、観血的手法を経ると言う、一見非人道的な問題が有るように見えるが、実際には歯周病に関する医療行為に付加されるサービスであり、利便性と同時に、人権やプライバシーに対する配慮が施されている。その装着者の社会活動に極めて高い利益をもたらすことができる。
それは本人確認手段のような単なるセキュリティー・ソリューションにのみならず、人々の生活に大いに利便性を与えることが期待される。それはこのような口腔内に設置される無線ICタグは、RFIDに代表する自動認識機構を含むものであり、その能力の一環であるセキュリティー機能を利用することで、携帯電話などの通信機器に対してはその所有者のみが使用できるなど、秘密保持やプライバシー保護に寄与しながらしかも迅速な通信操作を実現している。即ち実施例3に示すように口腔内にある電子的認証手段を利用した携帯電話におけるユーザー認証に基づく自動応答システムは、プライバシーに関する情報を多く含む携帯電話に厳重なセキュリティーを施すことができる一方で、逆にその操作性や利便性が向上するという、いわば一石二鳥の効果を有する。これは従来の携帯電話では隘路となっていた操作の簡便性とセキュリティー確保と言う、相反する命題を一気に解決する可能性を示している。更に、体内にある無線ICタグに対する所有者の望まぬ不正アクセスに対する警戒機能を取り入れることも容易なシステムであり、悪意のある者を寄せ付けない高度な保安機能が実現できる。
基本的に本発明は、身体に著しい侵襲を与えないことをポリシーとしているが、人々の体内に電子通信媒体を設置することへの抵抗感そのものを解消することまでは困難であろう。けれども、心臓ペースメーカーや人工関節が患者の社会復帰をおおいに扶助し、医療として人々に受け入れられたように、その適用による恩恵がより多くの人々にもたらされ、その利便性が広く社会に浸透することで前記特願2001−176888号や本発明への懸念を払拭することは十分に可能である。体内に異物を内包することへの違和感を和らげるため、歯の治療と言う歴史的に広く受け入れられてきた生体への人工物装着の機会を利用できるのが本発明の最も大きなアドバンテージであり、まさに歯科領域の真骨頂において実践されるものである。我が国が最も得意とする電子工学の発達がもたらしたダウンサイジングの恩恵を、文字通り人々がより身近に享受する機会としても大いなるステップになることが期待される。
無線通信媒体(無線ICタグ)の全体図である。 (実施例1) 無線通信媒体を歯周組織内に埋め込む手法の説明図である。 (実施例1) 無線通信媒体を歯周組織内に埋め込む手法の説明図である。 (実施例1) 無線通信媒体を歯周組織内に埋め込む手法の説明図である。 (実施例1) 無線通信媒体を歯周組織内に埋め込む手法の説明図である。 (実施例1) 無線通信媒体(無線ICタグ)である。 (実施例2) 無線通信媒体の断面図である。 (実施例2) 無線通信媒体を歯周組織内に埋設した例を示す図である。 (実施例2)
1、11a 無線通信媒体(無線ICタグ)
2、11c アンテナ
3、12a IC(RFID)チップ
4、5、8 リード線
6、12f チップコンデンサー
7 圧電素子
9 電子通信媒体
11b フィクスチャー
11d、12c アンテナコイル本体
12b アンテナ部
12d アンテナコイル巻線
12e アンテナコイル芯
12g 封止部材
12h 外装部材(骨内埋入用)
12i 外装部材(アンテナ部用)
13a 歯周組織
13b 歯根膜
13c 歯槽骨
13d 歯周軟組織
13e 歯
21 永久歯列
22 歯槽組織
23 切開線
24 歯槽粘膜
25 歯肉弁
31 歯槽骨表面
51 縫合糸

Claims (1)

  1. 口腔内粘膜組織の外科的手術治療の過程で歯周組織内に埋設する無線通信媒体を使った移動体通信端末の制御方法であって、
    前記無線通信媒体がアンテナ部および電子通信媒体部から成り、
    前記アンテナ部は生体親和性を有する箔状導電性素材をループ状に形成し、
    前記電子通信媒体部は生体親和性を有する素材にて包埋し、
    前記無線通信媒体が無線通信媒体全体を柔軟性のある薄膜状に形成して歯槽骨表面に沿った歯周組織内に埋設する構造であって、
    口腔内に存在する前記無線通信媒体との通信および制御を行うことのできる移動体通信端末に、リーダーライターを内蔵し、移動体通信端末を無線通信媒体に接近させることにより、移動体通信端末から前記無線通信媒体内部にあるICタグにアクセスし、そこに含まれているその移動体通信端末の所有者であることを表す認証体を確認した後、移動体通信端末を制御して通信状態に切換えることを特徴とする歯周組織内埋設型無線通信媒体を使った移動体通信端末の制御方法。
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