JP2014175639A - 有機素子材料 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機素子を形成するための有機素子材料に関し、特に有機素子の絶縁層を形成するための有機素子材料に関する。
有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機光電変換素子等の有機素子は、有機材料からなる機能層を有している。有機材料からなる機能層は、有機材料を含む溶液の塗布や印刷法を用いた成膜による機能層形成が適用可能となり、一般に、無機材料からなる機能層より簡易にかつ低温で層形成できる。
そのため、有機素子は、大面積の基板に多数の素子を低コストで製造するなど、効率化が図られる。また、素子の基板としてプラスチック基板やフィルムを用いることができ、このような基板を用いることにより、フレキシブルであり、軽量で壊れにくい素子を得ることができる。
さらに、有機材料は種類が豊富であるため、分子構造の異なる材料を検討に用いれば、幅広い範囲の特性のバリエーションを有する有機素子を製造することができる。
有機薄膜トランジスタの一態様である電界効果型有機薄膜トランジスタに用いられる有機半導体化合物は、湿度、酸素等の環境の影響を受けやすく、トランジスタ特性が、湿度、酸素等に起因する経時劣化を起こしやすい。
そのため、有機半導体化合物が剥き出しになるボトムゲート型有機薄膜トランジスタ素子構造では、素子構造全体を覆うオーバーコート層を形成して有機半導体化合物を外気との接触から保護することが必須となっている。一方、トップゲート型有機薄膜トランジスタ素子構造では、有機半導体化合物はゲート絶縁層によりコートされて保護されている。
有機薄膜トランジスタの絶縁層に用いる材料としては、例えば、ポリ(4−ビニルフェニル−コ−メチルメタクリレート)(PVP−PMMA)が提案されており、ポリ(4−ビニルフェニル−コ−メチルメタクリレート)を150℃で架橋させてゲート絶縁層を形成している(非特許文献1)。
Appl.Phys.Lett.92,183306(2008)
しかしながら、ポリ(4−ビニルフェニル−コ−メチルメタクリレート)は、架橋させるためには高温での長時間の加熱処理が必要であるうえに、ポリ(4−ビニルフェニル−コ−メチルメタクリレート)を架橋させて製造した絶縁層を有する有機薄膜トランジスタは、ヒステリシスが十分に小さくないという課題がある。
本発明の目的は、高温での長時間の加熱処理を行わないで架橋しうる有機素子材料であって、有機薄膜トランジスタの製造に用いた場合、有機薄膜トランジスタのヒステリシスが十分に小さくなる有機素子材料を提供することである。
即ち、本発明は第一に、アジド基を含む繰り返し単位を有する高分子化合物(A)を含有する有機素子材料を提供する。
本発明は第二に、アジド基を含む繰り返し単位が、式(1)で表される繰り返し単位である前記有機素子材料を提供する。
(1)
〔式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R’は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。RAは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。Rは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。a1は、0又は1を表し、mは、1〜5の整数を表す。R’が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なってもよい。〕
(1)
〔式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R’は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。RAは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。Rは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。a1は、0又は1を表し、mは、1〜5の整数を表す。R’が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なってもよい。〕
本発明は第三に、アジド基を含む繰り返し単位を有する高分子化合物(A)が、更に、式(2)で表される繰り返し単位、及び、式(3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する高分子化合物(A−1)である前記有機素子材料を提供する。
(2)
〔式中、R2は、水素原子又はメチル基を表す。R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。RBは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。b1は、0又は1を表す。〕
(3)
〔式中、R10は、水素原子又はメチル基を表す。R11、及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。RCは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。c1は、0又は1を表す。〕
(2)
〔式中、R2は、水素原子又はメチル基を表す。R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。RBは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。b1は、0又は1を表す。〕
(3)
〔式中、R10は、水素原子又はメチル基を表す。R11、及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。RCは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。c1は、0又は1を表す。〕
本発明は第四に、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料である前記有機素子材料を提供する。
本発明は第五に、前記有機素子材料を含む液を、有機素子を構成する部材の面上に塗布して塗布層を形成する工程;及び
該塗布層に対して光又は電子線を照射して有機素子材料を架橋させる工程;
を包含する有機素子絶縁層の製造方法を提供する。
該塗布層に対して光又は電子線を照射して有機素子材料を架橋させる工程;
を包含する有機素子絶縁層の製造方法を提供する。
本発明は第六に、光が150〜450nmの波長を有する光である前記有機素子絶縁層の製造方法を提供する。
本発明は第七に、前記有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成したオーバーコート層を有する有機薄膜トランジスタを提供する。
本発明は第八に、前記有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成したゲート絶縁層を有する有機薄膜トランジスタを提供する。
本発明は第九に、前記有機素子材料を用いて形成したディスプレイ用部材を提供する。
本発明は第十に、前記ディスプレイ用部材からなるディスプレイを提供する。
本発明の有機素子材料は、低温で架橋させることができ、かつ、有機薄膜トランジスタの製造に用いた場合、有機薄膜トランジスタのヒステリシスが十分に小さくなる。
次に、本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書において、「高分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位が複数繰り返された構造を含む化合物をいい、いわゆる2量体もこれに含まれる。一方、「低分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位を繰り返し有していない化合物を意味する。
「有機素子材料」とは、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機光電変換素子等の有機素子を構成する有機層を形成するために用いられる有機材料をいう。
「材料」は、高分子化合物、及び高分子化合物を含有する組成物を含む概念である。
有機素子材料としては、例えば、有機薄膜トランジスタ材料、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、及び有機光電変換素子材料が挙げられる。「有機薄膜トランジスタ材料」とは、有機薄膜トランジスタを構成する有機層を形成するために用いられる有機材料をいう。「有機エレクトロルミネッセンス素子材料」とは、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機層を形成するために用いられる有機材料をいう。「有機光電変換素子材料」とは、有機光電変換素子を構成する有機層を形成するために用いられる有機材料をいう。
「有機薄膜トランジスタ絶縁層材料」とは、ゲート絶縁層、オーバーコート層等の有機薄膜トランジスタを構成する絶縁層に用いられる材料をいう。絶縁層は、層状の部材に限定されず、有機素子中の絶縁性を有する部材を広く意味する。
本明細書において、「高分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位が複数繰り返された構造を含む化合物をいい、いわゆる2量体もこれに含まれる。一方、「低分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位を繰り返し有していない化合物を意味する。
「有機素子材料」とは、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機光電変換素子等の有機素子を構成する有機層を形成するために用いられる有機材料をいう。
「材料」は、高分子化合物、及び高分子化合物を含有する組成物を含む概念である。
有機素子材料としては、例えば、有機薄膜トランジスタ材料、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、及び有機光電変換素子材料が挙げられる。「有機薄膜トランジスタ材料」とは、有機薄膜トランジスタを構成する有機層を形成するために用いられる有機材料をいう。「有機エレクトロルミネッセンス素子材料」とは、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機層を形成するために用いられる有機材料をいう。「有機光電変換素子材料」とは、有機光電変換素子を構成する有機層を形成するために用いられる有機材料をいう。
「有機薄膜トランジスタ絶縁層材料」とは、ゲート絶縁層、オーバーコート層等の有機薄膜トランジスタを構成する絶縁層に用いられる材料をいう。絶縁層は、層状の部材に限定されず、有機素子中の絶縁性を有する部材を広く意味する。
<有機素子材料>
本発明の有機素子材料は、アジド基を含む繰り返し単位を有し、高温での処理を行わないで架橋構造を形成しうる高分子化合物(A)を含有する。本発明の有機素子材料は、高分子化合物(A)のみからなってもよく、高分子化合物(A)と他の成分との組成物であってもよい。
本発明の有機素子材料は、アジド基を含む繰り返し単位を有し、高温での処理を行わないで架橋構造を形成しうる高分子化合物(A)を含有する。本発明の有機素子材料は、高分子化合物(A)のみからなってもよく、高分子化合物(A)と他の成分との組成物であってもよい。
本発明の有機素子材料は、アジド基を含むことにより、有機素子材料を架橋させるために高温での加熱処理を行う必要が無く、有機層を形成する過程における有機素子の特性の低下が抑制される。有機素子材料を有機薄膜トランジスタの絶縁層に用いた場合、絶縁層を形成する過程における有機薄膜トランジスタの特性低下が抑制される。
アジド基を含む繰り返し単位としては、式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。
式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。ある一態様では、R1は水素原子である。
式(1)中、RAは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。連結部分は、本発明の有機素子材料を架橋させる環境条件の下で反応性を示さない構造を有する二価の基であればよい。連結部分の具体例としては、炭素数1〜20の二価の有機基、エーテル結合(−O−)からなる基、ケトン結合(−CO−)からなる基、エステル結合(−COO−、−OCO−)からなる基、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)からなる基、ウレタン結合(−NHCOO−、−OCONH−)からなる基及びこれらの基が組み合わされた基が挙げられる。該連結部分は、フッ素原子を含んでいてもよい。a1は、0又は1を表す。ある一態様では、a1は0である。
RAで表される炭素数1〜20の二価の有機基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。炭素数1〜20の二価の有機基は、フッ素原子を含んでいてもよい。炭素数1〜20の二価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の環状炭化水素基、及び置換されていてもよい炭素数6〜20の二価の芳香族炭化水素基が挙げられる。炭素数6〜20の二価の芳香族炭化水素基はアルキル基を含んでいてもよい。二価の有機基としては、炭素数1〜6の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の二価の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の二価の環状炭化水素基、及び置換されていてもよい二価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。
二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、二価の分岐状脂肪族炭化水素基、及び二価の環状炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、ジメチルプロピレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、及びシクロヘキシレン基が挙げられる。
炭素数6〜20の二価の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、エチレンフェニレン基、ジエチレンフェニレン基、トリエチレンフェニレン基、プロピレンフェニレン基、ブチレンフェニレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、トリメチルナフチレン基、ビニルナフチレン基、エテニルナフチレン基、メチルアンスリレン基、及びエチルアンスリレン基が挙げられる。
式(1)中、Rは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。Rで表される炭素数1〜20の二価の有機基の定義及び具体例は、前述のRAで表される炭素数1〜20の二価の有機基の定義及び具体例と同じである。ある一態様では、Rはメチレン基である。
式(1)中、mは、1〜5の整数を表す。ある一態様では、mは1である。
式(1)中、R’は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。R’が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。ある一態様では、R’は水素原子である。
R’で表される炭素数1〜20の一価の有機基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。炭素数1〜20の一価の有機基は、フッ素原子を含んでいてもよい。
炭素数1〜20の一価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基、及び置換されていてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、炭素数1〜6の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の分岐状炭化水素基、炭素数3〜6の環状炭化水素基、及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基は、基中の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などで置換されていてもよく、アルキル基を含んでいてもよい。
炭素数1〜20の一価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基、及び置換されていてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、炭素数1〜6の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の分岐状炭化水素基、炭素数3〜6の環状炭化水素基、及び炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基は、基中の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などで置換されていてもよく、アルキル基を含んでいてもよい。
炭素数1〜20の一価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、トリル基、キシリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メチルナフチル基、ジメチルナフチル基、トリメチルナフチル基、ビニルナフチル基、エテニルナフチル基、メチルアンスリル基、エチルアンスリル基、クロロフェニル基、及びブロモフェニル基が挙げられる。
高分子化合物(A)は、さらに、相互に反応して二量化しうる基を有していてもよい。相互に反応して二量化しうる基としては、光二量化反応性基が好ましい。本明細書において、「光二量化反応性基」とは、光エネルギー又は電子エネルギーを吸収して二量化反応を起こしうる官能基を意味する。二量化とは、2個の有機化合物が化学的に結合することをいう。結合する有機化合物は同種でも異種でもよい。2個の有機化合物の二量化に関与する官能基は、同一でも異なってもよい。2個の官能基は、触媒及び開始剤等の反応助剤を用いられなくても光二量化反応しうる構造、及び組合せであることが好ましい。高分子化合物(A)以外の有機材料が反応助剤から生成する残基に接触すると劣化する可能性があるからである。
高分子化合物(A)は、光二量化反応性基を有することで、より低温及び短時間で有機素子材料を架橋させて有機層を形成させることができ、有機層を形成する過程における有機素子の特性の低下が抑制される。特に、有機素子材料を有機薄膜トランジスタの絶縁層に用いる場合、絶縁層を形成する過程における有機薄膜トランジスタの特性低下が抑制される。
高分子化合物(A)は、光二量化反応性基を有することで、より低温及び短時間で有機素子材料を架橋させて有機層を形成させることができ、有機層を形成する過程における有機素子の特性の低下が抑制される。特に、有機素子材料を有機薄膜トランジスタの絶縁層に用いる場合、絶縁層を形成する過程における有機薄膜トランジスタの特性低下が抑制される。
光二量化反応性基が吸収する光は、低エネルギーであると有機素子材料を光重合法によって形成する際に残存した光二量化反応性基も反応してしまう場合があるため、高エネルギーの光が好ましい。光二量化反応性基が吸収するのに好ましい光は、紫外線などの波長が450nm以下の光であり、波長が150〜450nmの光がより好ましい。
光二量化反応性基は、水素原子がハロメチル基で置換されたアリール基、2位の水素原子がアリール基で置換されたビニル基、及び2位の水素原子がアリールカルボニル基で置換されたビニル基が好ましく、水素原子がハロメチル基で置換されたフェニル基、2位の水素原子がフェニル基で置換されたビニル基、及び2位の水素原子がフェニルカルボニル基で置換されたビニル基が特に好ましい。高分子化合物(A)の側鎖にアリール基を含むと、本発明の有機素子材料を用いて形成した有機層の有機半導体化合物などの他の有機材料に対する親和性が向上し、該他の有機材料を含む層の形成において、前記高分子化合物から形成される有機層の露出面に接して平坦な層を形成し易くなる。
高分子化合物(A)が、水素原子がハロメチル基で置換されたアリール基を含む場合、紫外線又は電子線を照射するとハロゲンが脱離して、ベンジル型のカルボラジカルが生成する。生成した2個のカルボラジカルが結合すると、炭素−炭素結合が形成されて(ラジカルカップリング)、高分子化合物(A)が架橋される。
高分子化合物(A)が、2位の水素原子がアリール基で置換されたビニル基、又は2位の水素原子がアリールカルボニル基で置換されたビニル基を含む場合、紫外線又は電子線を照射すると2+2環化反応が生じ、高分子化合物(A)が架橋される。
高分子化合物(A)が、2位の水素原子がアリール基で置換されたビニル基、又は2位の水素原子がアリールカルボニル基で置換されたビニル基を含む場合、紫外線又は電子線を照射すると2+2環化反応が生じ、高分子化合物(A)が架橋される。
高分子化合物(A)は、光二量化反応性基を含有する繰り返し単位を含むことが好ましい。光二量化反応性基を含有する繰り返し単位としては、例えば、式(2)で表される繰り返し単位、及び、式(3)で表される繰り返し単位が挙げられる。式(2)で表される繰り返し単位は式(1)で表される繰り返し単位とは異なる繰り返し単位である。
高分子化合物(A)は、式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位及び式(3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位とを有する高分子化合物(A−1)が好ましい。
式(2)中、R2は、水素原子又はメチル基を表す。ある一態様では、R2は水素原子である。
式(2)中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9で表される炭素数1〜20の一価の有機基の定義及び具体例は、前述のR’で表される炭素数1〜20の一価の有機基の定義及び具体例と同じである。ある一態様では、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、水素原子である。
式(2)中、RBは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。RBで表される連結部分の定義及び具体例は、前述のRAで表される連結部分の定義及び具体例と同じである。ある一形態では、RBは−O−基である。
式(3)中、R10は、水素原子又はメチル基を表す。ある一態様では、R10は水素原子である。
式(3)中、R11、及びR12は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。R11、及びR12で表される炭素数1〜20の一価の有機基の定義及び具体例は、前述のR’で表される炭素数1〜20の一価の有機基の定義及び具体例と同じである。R11、及びR12は、炭素数1〜20の二価の有機基で連結されていてもよい。ある一態様では、R11、及びR12は、水素原子である。
式(3)中、RCは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。RCで表される連結部分の定義及び具体例は、前述のRAで表される連結部分の定義及び具体例と同じである。ある一形態では、RCはフェニレン基である。
本発明の有機素子材料に含まれる高分子化合物(A)の製造方法としては、例えば、式(1)で表される繰り返し単位の前駆体となるハロゲン原子を有する重合性モノマーと式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて重合させた後、ハロゲン原子をアジド基に置換する方法、及び、式(1)で表される繰り返し単位の前駆体となるハロゲン原子を有する重合性モノマーと式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて重合させた後、ハロゲン原子をアジド基に置換する方法が挙げられる。中でも、熱重合開始剤を用いて重合させる方法が好ましい。
式(1)で表される繰り返し単位の前駆体となるハロゲン原子を有する重合性モノマーとしては、例えば、3−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、3−ブロモメチルスチレン、及び4−ブロモメチルスチレンが挙げられる。
式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、例えば、ビニルシンナメート、シンナミルメタクリレート、シンナモイルオキシブチルメタクリレート、及びシンナミルイミノオキシイミノエチルメタクリレートが挙げられる。式(2)で表される繰り返し単位はトランス体の化合物から水素原子を2個除いた基であるが、シス体の化合物から水素原子を2個除いた基を高分子化合物(A)が有していてもよい。式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーは、トランス体であってもシス体であってもよい。
式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、例えば、N−(4−ビニルフェニル)マレイミド、及び、3,4−ジメチル−N−(4−ビニルフェニル)マレイミドが挙げられる。
高分子化合物(A)は、式(1)で表される繰り返し単位、式(2)で表される繰り返し単位、及び式(3)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含有する共重合体であってもよい。該共重合体は、式(1)で表される繰り返し単位の前駆体となるハロゲン原子を有する重合性モノマー、式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー以外の重合性モノマーを重合時に添加して製造することができる。
追加して使用される重合性モノマーとしては、例えば、ビニル酢酸、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、ビニル−2−メチルベンゾエート、ビニル−3−メチルベンゾエート、ビニル−4−メチルベンゾエート、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、ビニル−4−メチルフェニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2,4,5−トリメチルスチレン、ペンタメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−ビニル−p−ターフェニル、1−ビニルアントラセン、o−イソプロペニルトルエン、m−イソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,5−ジメチル−α−メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロピルベンゼン、4−アミノスチレン、アクリロニトリル、酢酸アリル、安息香酸アリル、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、アリルトリメチルゲルマニウム、アリルトリエチルゲルマニウム、アリルトリブチルゲルマニウム、トリメチルビニルゲルマニウム、トリエチルビニルゲルマニウム、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−sec−ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ベンジル、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルメタアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート,1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタアクリレート、及び、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタアクリレートが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、メチル(o−ベンゾイル)ベンゾエート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインオクチルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ジアセチル等のカルボニル化合物、メチルアントラキノン、クロロアントラキノン、クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のアントラキノン誘導体又はチオキサントン誘導体、ジフェニルジスルフィド、ジチオカーバメート等の硫黄化合物が挙げられる。
共重合を開始させるエネルギーとして光エネルギーを用いる場合は、重合性モノマーに照射する光の波長は、360nm以上が好ましく、360〜450nmがより好ましい。
前記熱重合開始剤としては、ラジカル重合の開始剤となる化合物であればよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩等のアゾ系化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、イソブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、o−メチルベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、トリス(tert−ブチルパーオキシ)トリアジン等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシトリメチルアジペート等のアルキルパーオキシエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類が挙げられる。
高分子化合物(A)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3000〜1000000であることが好ましく、5000〜500000であることがより好ましい。高分子化合物(A)は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
高分子化合物(A)中の式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、式(1)で表される繰り返し単位の前駆体となるハロゲン原子を有する重合性モノマーの量により調整される。式(1)で表される繰り返し単位の前駆体となるハロゲン原子を有する重合性モノマーの量は、重合に用いる全モノマーの合計に対して、1モル%以上95モル%以下が好ましく、5モル%以上80モル%以下がより好ましく、10モル%以上70モル%以下がさらに好ましい。
有機素子材料を電界効果型の有機薄膜トランジスタの絶縁層に用いた場合、式(1)で表される繰り返し単位のモル量が1モル%より少ない場合、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が、充分な耐溶剤性を得られない場合があり、また、95モル%より大きい場合、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の保存安定性が悪い場合がある。
高分子化合物(A)が式(2)で表される繰り返し単位を含む場合、高分子化合物(A)の製造において、式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの仕込みモル量は、重合に用いる全モノマーの合計に対して、1モル%以上95モル%以下が好ましく、5モル%以上80モル%以下がより好ましく、10モル%以上70モル%以下がさらに好ましい。
有機素子材料を電界効果型有機薄膜トランジスタの絶縁層に用いた場合、式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの仕込みモル量が1モル%より少ない場合、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が、充分な耐溶剤性を得られない場合があり、また、95モル%より大きい場合、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の保存安定性が悪い場合がある。
高分子化合物(A)が式(3)で表される繰り返し単位を含む場合、高分子化合物(A)の製造において、式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの仕込みモル量は、重合に用いる全モノマーの合計に対して、1モル%以上95モル%以下が好ましく、5モル%以上80モル%以下がより好ましく、10モル%以上70モル%以下がさらに好ましい。
有機素子材料を電界効果型有機薄膜トランジスタの絶縁層に用いた場合、式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの仕込みモル量が1モル%より少ない場合、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が、充分な耐溶剤性を得られない場合があり、また、95モル%より大きい場合、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の保存安定性が悪い場合がある。
高分子化合物(A)としては、例えば、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−3−アジドメチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−3−アジドメチルスチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−3−アジドメチルスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(ビニルシンナメート−コ−3−アジドメチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−3−アジドメチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−3−アジドメチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−3−アジドメチルスチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−3−アジドメチルスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(フェニルビニルスチリルケトン−コ−3−アジドメチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−3−アジドメチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−3−アジドメチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−3−アジドメチルスチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−3−アジドメチルスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−3−アジドメチルスチレン)、及び、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−3−アジドメチルスチレン)が挙げられる。
<有機薄膜トランジスタ絶縁層材料>
本発明の有機素子材料は有機薄膜トランジスタ絶縁層材料として用いることができ、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成した絶縁層を有する有機薄膜トランジスタは、ヒステリシスが小さくなる。本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位及び式(3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位とを有する高分子化合物であることが好ましい。
本発明の有機素子材料は有機薄膜トランジスタ絶縁層材料として用いることができ、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成した絶縁層を有する有機薄膜トランジスタは、ヒステリシスが小さくなる。本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位及び式(3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位とを有する高分子化合物であることが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、高分子化合物(A)に対して良溶媒であり、且つ、有機薄膜トランジスタの有機半導体層に含まれる有機半導体化合物に対して貧溶媒であるものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸ブチル、2−ヘプタノン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、レベリング剤又は界面活性剤を含んでいてもよい。
<有機素子絶縁層の製造方法>
本発明の有機素子絶縁層の製造方法は、有機素子材料を含む液を、有機素子を構成する部材の面上に塗布して塗布層を形成する工程、及び、該塗布層に対して光又は電子線を照射して有機素子材料を架橋させる工程を包含する。
本発明の有機素子絶縁層の製造方法は、有機素子材料を含む液を、有機素子を構成する部材の面上に塗布して塗布層を形成する工程、及び、該塗布層に対して光又は電子線を照射して有機素子材料を架橋させる工程を包含する。
有機素子絶縁層としては、例えば、有機薄膜トランジスタに含まれる絶縁層、有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる絶縁層、及び有機光電変換素子に含まれる絶縁層が挙げられる。有機薄膜トランジスタに含まれる絶縁層としては、例えば、ゲート絶縁層、及びオーバーコート層が挙げられる。
有機素子が有機薄膜トランジスタである場合、有機素子材料を含む液を塗布する有機素子を構成する部材としては、例えば、ゲート電極、有機半導体層、ゲート電極、及びドレイン電極が挙げられる。有機素子が有機エレクトロルミネッセンス素子である場合、有機素子材料を含む液を塗布する有機素子を構成する部材としては、例えば、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び陰極が挙げられる。有機素子が光電変換素子である場合、有機素子材料を含む液を塗布する有機素子を構成する部材としては、例えば、陽極、活性層、及び陰極が挙げられる。
塗布層に照射する光としては、150〜450nmの波長を有する光が好ましい。
<有機薄膜トランジスタ>
図1は、本発明の一実施形態であるボトムゲート型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上に形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、素子全体を覆うオーバーコート層7とが、備えられている。
図1は、本発明の一実施形態であるボトムゲート型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上に形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、素子全体を覆うオーバーコート層7とが、備えられている。
ボトムゲート型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に有機半導体層を形成し、有機半導体層上にソース電極、ドレイン電極を形成し、オーバーコート層を形成することで製造することができる。本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料として、ゲート絶縁層を形成するのに好適に用いられる。また、有機薄膜トランジスタオーバーコート層材料として、オーバーコート層を形成するのに用いることもできる。
図2は、本発明の一実施形態であるトップゲート型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、これら電極の上にチャンネル部を挟んで形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上に形成された素子全体を覆うゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3の表面上に形成されたゲート電極2とが、備えられている。
トップゲート型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にソース電極、ドレイン電極を形成し、ソース電極、ドレイン電極上に有機半導体層を形成し、有機半導体層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にゲート電極を形成することで製造することができる。
ゲート絶縁層又はオーバーコート層の形成は、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料に要すれば溶媒などを添加して絶縁層塗布液を調製し、絶縁層塗布液を、ゲート絶縁層又はオーバーコート層の下に位置する層の表面に塗布し、乾燥し、硬化させることにより行う。該絶縁層塗布液に用いられる有機溶媒としては、高分子化合物を溶解させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が100℃〜200℃の有機溶媒である。該有機溶媒としては、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。該絶縁層塗布液には、必要に応じてレベリング剤、界面活性剤、硬化触媒等を添加することができる。
該絶縁層塗布液は公知のスピンコート、ダイコーター、スクリーン印刷、インクジェット等によりゲート電極上に塗布することができる。形成される塗布層は必要に応じて乾燥させる。ここでいう乾燥は、塗布された樹脂組成物の溶媒を除去することを意味する。
乾燥させた塗布層は、次いで硬化させる。硬化は有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が架橋することを意味する。トランジスタ絶縁層材料の架橋は、例えば、2個の光二量化反応性基が結合することにより、実現する。その場合、塗布層に対して光又は電子線を照射することにより、高分子化合物の光二量化反応性基のラジカルカップリング反応又は環化反応が生じ、2個の光二量化反応性基が結合する。
光の中でも紫外線を照射する場合、紫外線の照射は、例えば、半導体の製造のために使用されている露光装置やUV硬化性樹脂を硬化させるために使用されているUVランプを用いて行うことができる。電子線の照射は、例えば、超小型電子線照射管を用いて行うことができる。
例えば、光二量化反応性基が、2位の水素原子がフェニル基で置換されたビニル基、又は2位の水素原子がフェニルカルボニル基で置換されたビニル基である場合、照射する光の波長は150〜450nm、好ましくは190〜400nmである。照射する光の波長が150nm未満であると架橋した高分子化合物の分子量が低くなる場合があり、450nmを越えると有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の架橋が不十分になる場合がある。
ゲート絶縁層上には、自己組織化単分子膜層を形成してもよい。該自己組織化単分子膜層は、例えば、有機溶媒中にアルキルクロロシラン化合物もしくはアルキルアルコキシシラン化合物を1〜10重量%溶解した溶液でゲート絶縁層を処理することにより形成することが出来る。
アルキルクロロシラン化合物の例としては、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等が挙げられる。
アルキルアルコキシシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
基板1、ゲート電極2、ソース電極5、ドレイン電極6及び有機半導体層4は、通常使用される材料及び方法で構成すればよい。基板の材料には樹脂やプラスチックの板やフィルム、ガラス板、シリコン板などが用いられる。電極の材料には、クロム、金、銀、アルミニウム等を用い、蒸着法、スパッタ法、印刷法、インクジェット法等公知の方法で形成する。
有機半導体層4を形成するための有機半導体化合物としてはπ共役ポリマーが用いられ、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアリルアミン類、フルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリ(p−フェニレンビニレン)類などを用いることができる。また、有機溶媒への溶解性を有する低分子物質、例えば、ペンタセンなどの多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類などを用いることができる。具体的には、9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボロネート)と、5,5’−ジブロモ−2,2’−バイチオフェンとの縮合物等があげられる。
有機半導体層の形成は、例えば、有機半導体化合物に要すれば溶媒などを添加して有機半導体塗布液を調製し、該有機半導体塗布液をゲート絶縁層上に塗布し、該有機半導体塗布液を乾燥させることにより行う。本発明では、ゲート絶縁層を構成する樹脂がベンゼン環を有し、有機半導体化合物と親和性がある。それゆえ、上記塗布乾燥法によって、有機半導体層と絶縁層との間に均一で平坦な界面が形成される。
有機半導体塗布液に使用される溶媒としては、有機半導体化合物を溶解又は分散させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が50℃〜200℃のものである。該溶媒の例としては、クロロホルム、トルエン、アニソール、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。該有機半導体塗布液は、前記絶縁層塗布液と同様にスピンコート、ダイコーター、スクリーン印刷、インクジェット等の公知の方法によりゲート絶縁層上に塗布することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて製造した絶縁層は、その上に平坦な膜等を積層することができ、積層構造を容易に形成することができる。また、該絶縁層上に有機エレクトロルミネッセンス素子を好適に搭載することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて、好適に有機薄膜トランジスタを有するディスプレイ用部材を作製できる。該有機薄膜トランジスタを有するディスプレイ用部材を用いて、ディスプレイ用部材を備えるディスプレイを好適に作製できる。
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
本発明の有機素子材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることもできる。有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に発光層を有する。有機エレクトロルミネッセンス素子の例としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層の間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子、さらに、陽極と発光層の間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する素子、陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子が挙げられる。本発明の有機素子材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子中の絶縁性を有する部材の製造に用いることが好ましい。
本発明の有機素子材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることもできる。有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に発光層を有する。有機エレクトロルミネッセンス素子の例としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層の間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子、さらに、陽極と発光層の間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する素子、陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子が挙げられる。本発明の有機素子材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子中の絶縁性を有する部材の製造に用いることが好ましい。
<有機光電変換素子>
本発明の有機素子材料は、有機光電変換素子に用いることもできる。有機光電変換素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に活性層を有する。本発明の有機素子材料は、有機光電変換素子中の絶縁性を有する部材の製造に用いることが好ましい。
本発明の有機素子材料は、有機光電変換素子に用いることもできる。有機光電変換素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に活性層を有する。本発明の有機素子材料は、有機光電変換素子中の絶縁性を有する部材の製造に用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明が実施例により限定されるものではないことは言うまでもない。
実施例1
(高分子化合物1の合成)
(高分子化合物1の合成)
三方コックを付けた500mlの三口フラスコに、4−ヒドロキシベンゾフェノン(シグマアルドリッチ社製)を35.00g、トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を18.73g、脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社製)を300ml、及び攪拌子を入れ、マグネチックスターラーで攪拌して均一な反応混合液を調製した。フラスコを氷浴に浸け、攪拌しながら反応混合液にメタクリロイルクロライド(東京化成工業株式会社製)を19.38g滴下した。滴下終了後、氷冷下、更に2時間反応させた。氷浴からフラスコをはずし、室温にて反応混合液の攪拌を続け、6時間反応させた。反応終了後、析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液を分液ロートに移し、ジエチルエーテル100mlを加え、炭酸ナトリウム水溶液で水層がアルカリ性になるまで洗浄した後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水洗終了後、有機層を分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。塩を濾別し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮して4−メタクリロイルオキシベンゾフェノンを白色固体として得た。4−メタクリロイルオキシベンゾフェノンの得量は、45.90gであった。
4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン
4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン
ビニルベンジルクロライド(シグマアルドリッチ社製;m−体、p−体混合)を2.93g、ビニルシンナメート(東京化成工業株式会社製)を6.70g、スチレン(和光純薬工業株式会社製)を3.00g、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノンを2.56g、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.06g、及び2−ヘプタノン(和光純薬工業株式会社製)を22.88g、50ml耐圧容器(ACE GLASS社製)に入れ、窒素でバブリングした後、密栓し、80℃のオイルバス中で7時間重合させ、高分子化合物1の前駆体溶液を得た。得られた高分子化合物1の前駆体溶液を、三方コックを付けた200mlの三口フラスコに移し、ナトリウムアジド(和光純薬工業株式会社製)を1.31g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(和光純薬工業株式会社製)を触媒量、2−ヘプタノン(東京化成工業株式会社製)を38.13g、イオン交換水を20.00g、及び攪拌子を加えて、室温で一晩反応させた。反応終了後、反応混合物を分液ロートに移し、水層を分液除去した後、有機層をイオン交換水で3回水洗した。有機層を分液して無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、塩を濾別して高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液を得た。
高分子化合物1は下記繰り返し単位を有している。ここで、( )の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
高分子化合物1
高分子化合物1は下記繰り返し単位を有している。ここで、( )の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
高分子化合物1
高分子化合物1の前駆体の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、45000であった。(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)
(高分子化合物1と有機溶媒とを含む塗布溶液の調製)
8.00gの高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過し、高分子化合物1の塗布溶液を調製した。
8.00gの高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過し、高分子化合物1の塗布溶液を調製した。
(電界効果型有機薄膜トランジスタの作製)
ポリスチレン換算の重量平均分子量が69,000であり、9,9−ジオクチルフルオレンジイル基とビチオフェンジイル基のみからなる共重合体であって、9,9−ジオクチルフルオレンジイル基に対するビチオフェンジイル基のモル比が1である共重合体をクロロホルムに溶解させ、濃度が0.5質量%である溶液を作製し、該溶液をメンブランフィルターで濾過して有機半導体塗布液を調製した。
ポリスチレン換算の重量平均分子量が69,000であり、9,9−ジオクチルフルオレンジイル基とビチオフェンジイル基のみからなる共重合体であって、9,9−ジオクチルフルオレンジイル基に対するビチオフェンジイル基のモル比が1である共重合体をクロロホルムに溶解させ、濃度が0.5質量%である溶液を作製し、該溶液をメンブランフィルターで濾過して有機半導体塗布液を調製した。
高分子化合物1の塗布溶液をクロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で1分間焼成した。その後、アライナー(キャノン株式会社製;PLA−521)を用いて3000mJ/cm2のUV光(波長365nm)を室温で照射し、更に、ホットプレート上で120℃で90秒加熱して高分子化合物1を架橋させ、約580nmの厚さを有するゲート絶縁層を得た。高分子化合物1は低温で架橋するため、室温でゲート絶縁層を形成することができた。
次に、有機半導体塗布液を、前記ゲート絶縁層上にスピンコート法により塗布し、約60nmの厚さを有する活性層を形成し、次いで、メタルマスクを用いた真空蒸着法により、該活性層上に、チャネル長が20μmであり、チャネル幅が2mmであるソース電極及びドレイン電極(活性層側から、酸化モリブデン、及び金の順番で積層構造を有する)を形成することにより、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
<電界効果型有機薄膜トランジスタのトランジスタ特性>
作製した電界効果型有機薄膜トランジスタについて、ゲート電圧Vgを20〜−40V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0〜−40Vに変化させた条件で、そのトランジスタ特性を真空プロ−バ(BCT22MDC−5−HT−SCU;Nagase Electronic Equipments Service Co. LTD製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
作製した電界効果型有機薄膜トランジスタについて、ゲート電圧Vgを20〜−40V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0〜−40Vに変化させた条件で、そのトランジスタ特性を真空プロ−バ(BCT22MDC−5−HT−SCU;Nagase Electronic Equipments Service Co. LTD製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
有機薄膜トランジスタのヒステリシスは、ソース・ドレイン間電圧Vsdが−40Vで、ゲート電圧Vgを0V→−40Vに変化させた際の閾値電圧Vth1とゲート電圧Vgを−40V→0Vに変化させた際の閾値電圧Vth2との電圧差異で表した。
比較例1
(電界効果型有機薄膜トランジスタの作製)
10mlのサンプル瓶に、ポリビニルフェノール−コ−ポリメチルメタクリレート(シグマアルドリッチ社製、Mn=6700)を1.00g、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメトキシメチルメラミン(住友化学株式会社製)を0.163g、熱酸発生剤(みどり化学株式会社製、商品名:TAZ-108)を0.113g、2−ヘプタノンを7.00g入れ、攪拌しながら溶解させ、均一な塗布液Aを調製した。
(電界効果型有機薄膜トランジスタの作製)
10mlのサンプル瓶に、ポリビニルフェノール−コ−ポリメチルメタクリレート(シグマアルドリッチ社製、Mn=6700)を1.00g、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメトキシメチルメラミン(住友化学株式会社製)を0.163g、熱酸発生剤(みどり化学株式会社製、商品名:TAZ-108)を0.113g、2−ヘプタノンを7.00g入れ、攪拌しながら溶解させ、均一な塗布液Aを調製した。
ゲート絶縁層の形成に前記塗布液Aを用い、UV光を照射しないでホットプレート上で150℃で30分間加熱して架橋させたこと以外は実施例1と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタを作製し、トランジスタ特性を測定し、評価した。結果を表1に示す。
1…基板、
2…ゲート電極、
3…ゲート絶縁層、
4…有機半導体層、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
7…オーバーコート層。
2…ゲート電極、
3…ゲート絶縁層、
4…有機半導体層、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
7…オーバーコート層。
Claims (10)
- アジド基を含む繰り返し単位を有する高分子化合物(A)を含有する有機素子材料。
- アジド基を含む繰り返し単位を有する高分子化合物(A)が、更に、式(2)で表される繰り返し単位、及び、式(3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する高分子化合物(A−1)である請求項1又は2に記載の有機素子材料。
(2)
〔式中、R2は、水素原子又はメチル基を表す。R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。RBは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。b1は、0又は1を表す。〕
(3)
〔式中、R10は、水素原子又はメチル基を表す。R11、及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。RCは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。c1は、0又は1を表す。〕 - 有機薄膜トランジスタ絶縁層材料である請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機素子材料。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機素子材料を含む液を、有機素子を構成する部材の面上に塗布して塗布層を形成する工程;及び
該塗布層に対して光又は電子線を照射して有機素子材料を架橋させる工程;
を包含する有機素子絶縁層の製造方法。 - 光が150〜450nmの波長を有する光である請求項5に記載の有機素子絶縁層の製造方法。
- 請求項4に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成したオーバーコート層を有する有機薄膜トランジスタ。
- 請求項4に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成したゲート絶縁層を有する有機薄膜トランジスタ。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機素子材料を用いて形成したディスプレイ用部材。
- 請求項9に記載のディスプレイ用部材からなるディスプレイ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013049969A JP2014175639A (ja) | 2013-03-13 | 2013-03-13 | 有機素子材料 |
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2013
- 2013-03-13 JP JP2013049969A patent/JP2014175639A/ja active Pending
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