JP2014173800A - 熱交換器、および、地熱発電システム - Google Patents

熱交換器、および、地熱発電システム Download PDF

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Abstract

【課題】スケールが付着することを十分に抑制することができる、熱交換器等を提供する。
【解決手段】実施形態において、熱交換器は、熱交換部と重合剤供給部とを有する。熱交換部は、地熱熱水が供給されると共に、地熱熱水よりも温度が低い熱媒体が供給され、当該地熱熱水と当該熱媒体との間において熱交換が行なわれる。重合剤供給部は、地熱熱水に溶解しているスケール成分を重合させる重合剤を地熱熱水に供給する。ここでは、熱交換部は、複数であって、当該複数の熱交換部が直列に接続されている。重合剤供給部は、その複数の熱交換部のそれぞれにおいて地熱熱水が流入する入口部分よりも上流側の位置から、重合剤を供給する。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、熱交換器、および、地熱発電システムに関する。
地熱熱水を用いて発電を行う地熱発電システムとして、バイナリサイクル発電方式が知られている。この方式では、ハイドロフルオロカーボン(HFC)などのフロンや、代替フロン(HFE)、ブタンなどの炭化水素のように、水よりも沸点が低い低沸点媒体を、地熱熱水で加熱して気化させる。そして、その気化した低沸点媒体を作動媒体として用いて、媒体タービンを駆動させる。
また、バイナリサイクル発電方式とフラッシュサイクル発電方式との両者を組み合せたコンバインドサイクル発電方式が知られている。この方式では、地熱熱水から分離された蒸気(フラッシュ蒸気)を作動媒体として用いて蒸気タービンを駆動させる。この他に、この方式では、たとえば、蒸気タービンから排出された蒸気(排気蒸気)、及び、地熱流体から分離した熱水によって加熱され気化した低沸点媒体を、作動媒体として用いて媒体タービンを駆動させる。
上記の地熱発電システムは、熱交換器を有し、熱交換器において低沸点媒体と地熱熱水との熱交換が行われ、低沸点媒体が加熱される。
地熱熱水には、シリカ(SiO)などのスケール成分が溶解している。泉質によるが、数百から数千mg/Lの濃度でシリカが溶解している。このため、熱交換器で地熱熱水の温度が低下し、シリカなどのスケール成分が地熱熱水中で過飽和状態になった場合には、スケールが析出して流路に付着する場合がある。その結果、低沸点媒体と地熱熱水との間の熱伝導率が低下するために、熱効率の低下が生ずる場合がある。また、地熱熱水の流路が閉塞される場合がある。
スケールの付着を抑制するために、「シリカ凝集法」等のさまざまな方法が提案されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
特開2001-149953号公報 特開平11-285602号公報 特開平6-320169号公報
しかしながら、上記の地熱発電システムにおいては、熱交換器にスケールが付着することを十分に抑制することが容易でない。その結果、地熱エネルギーの利用効率が十分でなく、発電量の増加を十分に実現することが困難な場合がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、スケールが付着することを十分に抑制することができる、熱交換器、および、地熱発電システムを提供することである。
実施形態において、熱交換器は、熱交換部と重合剤供給部とを有する。熱交換部は、地熱熱水が供給されると共に、地熱熱水よりも温度が低い熱媒体が供給され、当該地熱熱水と当該熱媒体との間において熱交換が行なわれる。重合剤供給部は、地熱熱水に溶解しているスケール成分を重合させる重合剤を地熱熱水に供給する。ここでは、熱交換部は、複数段であって、当該複数の熱交換部が直列に接続されている。重合剤供給部は、その複数段の熱交換部のそれぞれにおいて地熱熱水が流入する入口部分よりも上流側の位置から、重合剤を供給する。
図1は、第1実施形態に係る地熱発電システムを示す系統図である。 図2は、第1実施形態に係る地熱発電システムにおいて、熱交換器を模式的に示す図である。 図3は、第1実施形態に係る地熱発電システムにおいて、地熱熱水に重合剤が投入される前と後とを示す概念図である。 図4は、第2実施形態に係る地熱発電システムにおいて、熱交換器を模式的に示す図である。 図5は、第2実施形態に係る地熱発電システムにおいて、地熱熱水に凝集剤が投入された後を示す概念図である。 図6は、第2実施形態に係る地熱発電システムにおいて、凝集剤供給部が供給する凝集剤の変形例を示す図である。 図7は、第2実施形態に係る地熱発電システムにおいて、凝集剤供給部が供給する凝集剤の変形例を示す図である。 図8は、第3実施形態に係る地熱発電システムにおいて、熱交換器を模式的に示す図である。 図9は、第4実施形態に係る地熱発電システムにおいて、熱交換器を模式的に示す図である。 図10は、第4実施形態に係る地熱発電システムにおいて、重合剤の添加量を説明するための図である。 図11は、第4実施形態に係る地熱発電システムにおいて、重合剤の添加量を説明するための図である。 図12は、第5実施形態に係る地熱発電システムを示す系統図である。
実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
[A]地熱発電システムの構成
図1は、第1実施形態に係る地熱発電システムを示す系統図である。
本実施形態において、地熱発電システムは、バイナリサイクル発電方式であって、図1に示すように、熱交換器20と、媒体タービン21と、凝縮器23と、媒体ポンプ24と、冷却水供給部30とを有する。
以下より、地熱発電システムを構成する各部について、順次、説明する。
[A−1]熱交換器20
熱交換器20は、図1に示すように、生産井1から供給された地熱熱水F1を用いて、水よりも沸点が低い低沸点媒体M24(熱媒体)を加熱する。熱交換器20は、たとえば、フロン(ハイドロフルオロカーボン(HFC)など)、代替フロン(HFE)、炭化水素(ブタンなど)などの低沸点媒体M24を加熱する。
具体的には、熱交換器20は、生産井1との間に配管が設けられており、その配管を介して、生産井1から地熱熱水F1が、加熱媒体として流入する。これと共に、熱交換器20は、媒体ポンプ24との間に配管が設けられており、その配管を介して、媒体ポンプ24から低沸点媒体M24が流入する。そして、熱交換器20では、地熱熱水F1と低沸点媒体M24との間において、熱交換が行われる。
熱交換器20においては、地熱熱水F1が低沸点媒体M24との熱交換によって冷却される。そして、熱交換器20から地熱熱水F20が排出されて、還元井2に還元される。
この一方で、熱交換器20においては、低沸点媒体M24が地熱熱水F1との熱交換によって加熱される。そして、熱交換器20において加熱された低沸点媒体M20が排出され、媒体タービン21に供給される。
熱交換器20の詳細な構成については、後述する。
[A−2]媒体タービン21
媒体タービン21は、熱交換器20によって加熱された低沸点媒体M20が作動媒体として供給されて駆動する。
具体的には、媒体タービン21は、主蒸気止め弁VM20(MSV)が設置された配管が、熱交換器20との間に設けられており、その配管を介して、低沸点媒体M20が作動媒体として流入する。そして、媒体タービン21は、その低沸点媒体M20の供給によって、ケーシング(図示省略)の内部に設置されたタービンロータ(図示省略)が回転する。
媒体タービン21は、たとえば、多段式であって、静翼(ノズル翼)と動翼(タービン羽根)とによって構成されるタービン段落が、タービンロータの回転軸に沿って、複数段、設けられている。低沸点媒体M20は、媒体タービン21において一方の端部に位置する初段のタービン段落に供給された後に、各タービン段落において、順次、仕事を行ってタービンロータを回転させる。低沸点媒体M20は、一方の端部から他方の端部へ流れるに従って、圧力および温度が低下し、他方の端部に位置する最終段のタービン段落を通過した後に排出される。
媒体タービン21においてタービンロータの回転軸には、発電機22が連結されており、タービンロータの回転によって発電機22が駆動して、発電が行なわれる。
[A−3]凝縮器23
凝縮器23は、媒体タービン21から排出された低沸点媒体M21(排気蒸気)を凝縮する。凝縮器23は、冷却水供給部30から供給される冷却水f32を用いて、その低沸点媒体M21を冷却して凝縮する。
具体的には、凝縮器23は、媒体タービン21の排気口との間に配管が設けられており、その配管を介して、媒体タービン21から低沸点媒体M21が流入する。これと共に、凝縮器23は、冷却水供給部30との間に配管が設けられており、その配管を介して、冷却水供給部30から冷却水f32が流入する。そして、凝縮器23では、低沸点媒体M21と冷却水f32との間において、熱交換が行われる。
凝縮器23においては、低沸点媒体M21が冷却水f32との熱交換によって冷却されて凝縮される。そして、その凝縮された液体の低沸点媒体M23が、凝縮器23から媒体ポンプ24に排出される。
この一方で、凝縮器23においては、冷却水f32が低沸点媒体M21との熱交換によって加熱される。そして、その加熱された冷却水f23が凝縮器23から排出される。
[A−4]媒体ポンプ24
媒体ポンプ24は、凝縮器23によって凝縮された低沸点媒体M23を熱交換器20に送る。
具体的には、媒体ポンプ24は、凝縮器23との間に配管が設けられており、その配管を介して、凝縮器23から液体の低沸点媒体M23が流入する。そして、媒体ポンプ24は、その低沸点媒体M23を昇圧し、その昇圧された低沸点媒体M24が熱交換器20に移送される。
[A−5]冷却水供給部30
冷却水供給部30は、冷却塔31と冷却水ポンプ32とを含み、凝縮器23に冷却水f32を供給する。
具体的には、冷却水供給部30は、冷却塔31において冷却された冷却水f31を、冷却水ポンプ32が凝縮器23に送る。そして、冷却水ポンプ32によって凝縮器23に移送された冷却水f32が、凝縮器23において低沸点媒体M21と熱交換がされた後に、凝縮器23から排出される。凝縮器23から排出された冷却水f23は、冷却塔31において冷却される。
[A−6]熱交換器20の詳細構成
図2は、第1実施形態に係る地熱発電システムにおいて、熱交換器20を模式的に示す図である。
熱交換器20は、図2に示すように、第1から第3の熱交換部210,220,230と、重合剤供給部300と、スケール成分分離部400とを含む。
熱交換器20を構成する各部について、詳細に説明する。
[A−6−1]第1から第3の熱交換部210,220,230
熱交換器20において、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれは、地熱熱水F1が供給されると共に、地熱熱水F1よりも温度が低い低沸点媒体M24が供給され、地熱熱水F1と低沸点媒体M24との間において熱交換が行なわれる。
ここでは、第1から第3の熱交換部210,220,230は、それぞれが直列に接続されており、地熱熱水F1が第1の熱交換部210と第2の熱交換部220と第3の熱交換部230とを順次流れると共に、低沸点媒体M24が第3の熱交換部230と第2の熱交換部220と第1の熱交換部210とを順次流れる。そして、第1の熱交換部210と第2の熱交換部220と第3の熱交換部230とのそれぞれにおいて、地熱熱水F1と低沸点媒体M24との熱交換が行われる。第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれは、地熱熱水F1を加熱媒体(加熱源)として用いて、低沸点媒体M24を加熱する。
第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれは、図2に示すように、伝熱管部211,221,231と、容器212,222,223とを有する。
第1の熱交換部210は、伝熱管部211が容器212の内部に収容されている。第1の熱交換部210において、伝熱管部211は、供給口部211Aに配管PF1が設けられていると共に、排出口部211Bに配管PF2が設けられている。また、第1の熱交換部210において、容器212は、供給口部212Aに配管PM3が設けられていると共に、排出口部212Bに配管PM4が設けられている。
第1の熱交換部210では、地熱熱水F1が生産井1(図1参照)から配管PF1を介して伝熱管部211の供給口部211Aに流入し、伝熱管部211の内部を流れる。また、第1の熱交換部210では、低沸点媒体M24が第2の熱交換部220から配管PM3を介して容器212の供給口部212Aに流入し、容器212の内部を流れる。そして、第1の熱交換部210においては、伝熱管部211の内部を流れる地熱熱水F1と、容器212の内部を流れる低沸点媒体M24との間において熱交換が行われる。ここでは、地熱熱水F1は、低沸点媒体M24との熱交換によって冷却された後に、配管PF2に排出され、第2の熱交換部220へ供給される。この一方で、低沸点媒体M24は、地熱熱水F1との熱交換によって加熱された後に、配管PM4に排出される。配管PM4に排出された低沸点媒体M20は、媒体タービン21に作動媒体として供給される。
第2の熱交換部220は、第1の熱交換部210と同様に、伝熱管部221が容器222の内部に収容されている。第2の熱交換部220において、伝熱管部221は、供給口部221Aに配管PF2が設けられていると共に、排出口部221Bに配管PF3が設けられている。また、第2の熱交換部220において、容器222は、供給口部222Aに配管PM2が設けられていると共に、排出口部222Bに配管PM3が設けられている。
第2の熱交換部220では、地熱熱水F1が第1の熱交換部210から配管PF2を介して伝熱管部221の供給口部221Aに流入し、伝熱管部221の内部を流れる。また、第2の熱交換部220では、低沸点媒体M24が第3の熱交換部230から配管PM2を介して容器222の供給口部222Aに流入し、容器222の内部を流れる。そして、第2の熱交換部220においては、伝熱管部221の内部を流れる地熱熱水F1と、容器222の内部を流れる低沸点媒体M24との間において熱交換が行われる。ここでは、地熱熱水F1は、低沸点媒体M24との熱交換によって冷却された後に、配管PF3に排出され、第3の熱交換部230へ供給される。この一方で、低沸点媒体M24は、地熱熱水F1との熱交換によって加熱された後に、配管PM3に排出され、第1の熱交換部210に供給される。
第3の熱交換部230は、第1の熱交換部210及び第2の熱交換部220と同様に、伝熱管部231が容器232の内部に収容されている。第3の熱交換部230において、伝熱管部231は、供給口部231Aに配管PF3が設けられていると共に、排出口部231Bに配管PF4が設けられている。また、第3の熱交換部230において、容器232は、供給口部232Aに配管PM1が設けられていると共に、排出口部232Bに配管PM2が設けられている。
第3の熱交換部230では、地熱熱水F1が第2の熱交換部220から配管PF3を介して伝熱管部231の供給口部231Aに流入し、伝熱管部231の内部を流れる。また、第3の熱交換部230では、低沸点媒体M24が媒体ポンプ24から配管PM1を介して容器232の供給口部232Aに流入し、容器232の内部を流れる。そして、第3の熱交換部230においては、伝熱管部231の内部を流れる地熱熱水F1と、容器232の内部を流れる低沸点媒体M24との間において熱交換が行われる。ここでは、地熱熱水F1は、低沸点媒体M24との熱交換によって冷却された後に、配管PF4に排出され、スケール成分分離部400へ供給される。この一方で、低沸点媒体M24は、地熱熱水F1との熱交換によって加熱された後に、配管PM2に排出され、第2の熱交換部220に供給される。
[A−6−2]重合剤供給部300
重合剤供給部300は、地熱熱水F1に重合剤を供給し、地熱熱水F1に溶解しているスケール成分を重合させる。
ここでは、重合剤供給部300は、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、重合剤を地熱熱水F1に供給する。
重合剤供給部300は、図2に示すように、重合剤タンク301と、重合剤供給管302と、第1から第3の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cとを有する。
重合剤供給部300において、重合剤タンク301は、内部に重合剤を貯蔵する。重合剤は、たとえば、ケイ酸高分子、可溶性ケイ酸塩化合物であって、地熱熱水F1に溶解しているモノシリカなどのスケール成分を重合させる。
重合剤供給部300において、重合剤供給管302は、重合剤タンク301に貯蔵された重合剤を、地熱熱水F1に供給する。ここでは、重合剤供給管302は、第1から第3の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cのそれぞれを介して、地熱熱水F1が流れる配管PF1,PF2,PF3のそれぞれに連結されている。重合剤供給管302においては、重合剤タンク301から流入した重合剤が、第1から第3の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cのそれぞれを介して、配管PF1,PF2,PF3のそれぞれの内部に流出し、地熱熱水F1に添加される。
重合剤供給部300において、第1から第3の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cは、重合剤供給管302に設置されており、地熱熱水F1に重合剤を供給する量を調整する。第1から第3の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cのそれぞれは、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置に設けられている。
つまり、第1の重合剤調整バルブ303Aは、流路の一端が重合剤供給管302に連結され、他端が配管PF1に連結されており、流路の開度を変えることで、流路を流れる重合剤の量を調整する。また、第2の重合剤調整バルブ303Bは、流路の一端が重合剤供給管302に連結され、他端が配管PF2に連結されており、流路の開度を変えることで、流路を流れる重合剤の量を調整する。そして、第3の重合剤調整バルブ303Cは、流路の一端が重合剤供給管302に連結され、他端が配管PF3に連結されており、流路の開度を変えることで、流路を流れる重合剤の量を調整する。
[A−6−3]スケール成分分離部400
スケール成分分離部400は、固液分離器であって、第1から第3の熱交換部210,220,230から排出された地熱熱水F1において重合されたスケール成分を分離する。
スケール成分分離部400は、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれを順次介して排出された地熱熱水F1が供給される。そして、スケール成分分離部400は、その地熱熱水F1において、重合剤供給部300から供給された重合剤によって重合されたスケール成分を分離する。分離器としては、膜式、サイクロン式、沈降式などのいずれの型式を用いても良いが、ここでは、処理時間の早さからサイクロン式を例として説明を行う。
具体的には、スケール成分分離部400は、タンク401を有している。タンク401は、一般には、円柱形状であって、上方から下方に向かって内径が小さくなるように形成されている。また、タンク401は、地熱熱水供給口401Aが側面に設けられていると共に、地熱熱水排出口401Bが側面において地熱熱水供給口401Aよりも上方に地熱熱水排出口401Bが設けられている。また、タンク401は、底面に沈殿物排出口401Cが設けられている。
スケール成分分離部400は、第3の熱交換部230から配管PF4に排出された地熱熱水F1が、タンク401の地熱熱水供給口401Aから内部に供給される。そして、分離器内に流入した地熱熱水F1は、タンク401の内部を旋回しながら流動し、この過程において、凝集して粗大化した重いスケール粒子が、タンク401内で沈殿し、地熱熱水F1から分離される。スケール成分が分離された地熱熱水F20は、タンク401の地熱熱水排出口401Bに設置された配管PF5に排出され、還元井2(図1参照)に還元される。この一方で、タンク401において沈殿したスケール成分G20は、タンク401の沈殿物排出口401Cから外部へ排出される。
[B]動作
上記の熱交換器20の動作について、図1,図2を参照して説明する。
ここでは、熱交換器20の動作に関して、地熱熱水F1,F20と、低沸点媒体M20,M21,M23,M24とのそれぞれに分けて、詳細に説明する。
[B−1]地熱熱水F1,F20について
熱交換器20においては、図1に示すように、生産井1から地熱熱水F1が流入する。そして、地熱熱水F1は、熱交換器20において低沸点媒体M24との熱交換がされた後に、熱交換器20から排出される。その排出された地熱熱水F20は、還元井2に還元される。
具体的には、地熱熱水F1は、まず、図2に示すように、生産井1から配管PF1を流れる。このとき、その配管PF1を流れる地熱熱水F1に、重合剤供給部300から重合剤が供給される。ここでは、重合剤供給部300において、重合剤タンク301に貯蔵された重合剤が、重合剤供給管302を流れた後に、第1の重合剤調整バルブ303Aによって流量が調整されて、地熱熱水F1に混入する。
図3は、第1実施形態に係る地熱発電システムにおいて、地熱熱水F1に重合剤が投入される前と後とを示す概念図である。図3(a)は、地熱熱水F1に重合剤が投入される前を示し、図3(b)は、地熱熱水F1に重合剤が投入された後を示している。
図3(a)に示すように、重合剤が投入される前においては、地熱熱水F1に、たとえば、モノシリカMS(シリカ単量体)がスケール成分として溶解している。これに対して、地熱熱水F1に重合剤が投入された後においては、図3(b)に示すように、モノシリカMSが重合して、ポリシリカPSになる。
つぎに、上記のように、第1の重合剤調整バルブ303Aを介して重合剤が投入された後には、地熱熱水F1は、図2に示すように、配管PF1から第1の熱交換部210に流入する。ここでは、地熱熱水F1は、第1の熱交換部210のうち、伝熱管部211の供給口部211Aに流入し、伝熱管部211の内部を流れる。このとき、その伝熱管部211の内部を流れる地熱熱水F1は、第1の熱交換部210の容器212の内部を流れる低沸点媒体M24との熱交換によって、冷却される。そして、その熱交換後の地熱熱水F1が、伝熱管部211の排出口部211Bから排出される。
つぎに、地熱熱水F1は、第1の熱交換部210から配管PF2を流れる。このとき、その配管PF2を流れる地熱熱水F1に、重合剤供給部300から重合剤が、再度、供給される。具体的には、重合剤供給部300において、重合剤タンク301に貯蔵された重合剤が、重合剤供給管302を流れた後に、第2の重合剤調整バルブ303Bによって流量が調整されて、地熱熱水F1に混入する。この場合においても、図3(b)に示した場合と同様に、地熱熱水F1に溶解しているモノシリカMSの重合が生じて、ポリシリカPSの生成が生ずる。
つぎに、地熱熱水F1は、配管PF2から第2の熱交換部220に流入する。ここでは、地熱熱水F1は、第2の熱交換部220のうち、伝熱管部221の供給口部221Aに流入し、伝熱管部221の内部を流れる。このとき、その伝熱管部221の内部を流れる地熱熱水F1は、第2の熱交換部220の容器222の内部を流れる低沸点媒体M24との熱交換により、冷却される。そして、その熱交換後の地熱熱水F1が、伝熱管部221の排出口部221Bから排出される。
つぎに、地熱熱水F1は、第2の熱交換部220から配管PF3を流れる。このとき、その配管PF3を流れる地熱熱水F1に、重合剤供給部300から重合剤が更に供給される。具体的には、重合剤供給部300において、重合剤タンク301に貯蔵された重合剤が、重合剤供給管302を流れた後に、第3の重合剤調整バルブ303Cによって流量が調整されて、地熱熱水F1に混入する。この場合においても、図3(b)に示した場合と同様に、地熱熱水F1に溶解しているモノシリカMSの重合が生じて、ポリシリカPSの生成が生ずる。
つぎに、地熱熱水F1は、配管PF3から第3の熱交換部230に流入する。ここでは、地熱熱水F1は、第3の熱交換部230のうち、伝熱管部231の供給口部231Aに流入し、伝熱管部231の内部を流れる。このとき、その伝熱管部231の内部を流れる地熱熱水F1は、第3の熱交換部230の容器232の内部を流れる低沸点媒体M24との熱交換により、冷却される。そして、その熱交換後の地熱熱水F1が、伝熱管部231の排出口部231Bから排出される。
つぎに、地熱熱水F1は、第3の熱交換部230から配管PF4を流れる。
つぎに、地熱熱水F1は、配管PF4からスケール成分分離部400に流入する。ここでは、地熱熱水F1は、スケール成分分離部400を構成するタンク401の地熱熱水供給口401Aから、タンク401の内部に供給される。そして、タンク401の内部においては、地熱熱水F1において重合され粗大化したスケール成分が沈殿し、地熱熱水F1から分離される。
そして、スケール成分が分離された地熱熱水F20は、タンク401の地熱熱水排出口401Bに設置された配管PF5に排出され、還元井2に還元される。この一方で、タンク401に沈殿したスケール成分G20は、タンク401の沈殿物排出口401Cから外部へ排出される。
[B−2]低沸点媒体M20,M21,M23,M24について
低沸点媒体M20,M21,M23,M24は、図1に示すように、熱交換器20と媒体タービン21と凝縮器23と媒体ポンプ24とを順次循環する。つまり、低沸点媒体M20,M21,M23,M24は、バイナリサイクルにおいて用いられる。
具体的には、図1に示すように、熱交換器20から排出された低沸点媒体M20が、媒体タービン21の内部に作動媒体として流入し、発電機22を駆動させた後に、媒体タービン21から排出される。
つぎに、媒体タービン21から排出された低沸点媒体M21は、凝縮器23に流入し、凝縮器23で凝縮される。
つぎに、凝縮器23によって凝縮された低沸点媒体M23は、媒体ポンプ24に流入し、媒体ポンプ24において昇圧されて移送される。
つぎに、媒体ポンプ24で昇圧された低沸点媒体M24は、媒体ポンプ24から熱交換器20に流入する。
図2に示すように、熱交換器20においては、低沸点媒体M24は、第3の熱交換部230と第2の熱交換部220と第1の熱交換部210とを順次流れる。そして、低沸点媒体M24は、第3の熱交換部230と第2の熱交換部220と第1の熱交換部210とのそれぞれにおいて、地熱熱水F1との熱交換が行われて、加熱される。
より詳細に説明すると、熱交換器20では、まず、低沸点媒体M24が、配管PM1を介して第3の熱交換部230の容器232の供給口部232Aに流入し、容器232の内部を流れる。そして、第3の熱交換部230では、容器232の内部を流れる低沸点媒体M24が、伝熱管部231の内部を流れる地熱熱水F1との熱交換により、加熱される。そして、その熱交換後の低沸点媒体M24が、容器232の排出口部232Bから排出される。
つぎに、熱交換器20では、低沸点媒体M24が、配管PM2を介して第2の熱交換部220の容器222の供給口部222Aに流入し、容器222の内部を流れる。そして、第2の熱交換部220では、容器222の内部を流れる低沸点媒体M24が、伝熱管部221の内部を流れる地熱熱水F1との熱交換により、さらに加熱される。そして、その熱交換後の低沸点媒体M24が、容器222の排出口部222Bから排出される。
つぎに、熱交換器20では、低沸点媒体M24が、配管PM3を介して第1の熱交換部210の容器212の供給口部212Aに流入し、容器212の内部を流れる。そして、第1の熱交換部210では、容器212の内部を流れる低沸点媒体M24が、伝熱管部211の内部を流れる地熱熱水F1との熱交換により、さらに加熱される。そして、その熱交換後の低沸点媒体M24が、容器212の排出口部212Bから排出される。
このようにして、熱交換器20において熱交換がされた低沸点媒体M20は、上述したように、媒体タービン21へ作動媒体として排出される。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態において、熱交換器20は、複数の熱交換部210,220,230を有し、その複数の熱交換部210,220,230が直列に接続されている。そして、熱交換器20のうち、重合剤供給部300は、その複数の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、重合剤を供給する。このため、本実施形態では、複数の熱交換部210,220,230のそれぞれに流入するよりも前に、地熱熱水F1に溶解するスケール成分が重合する。したがって、本実施形態においては、複数の熱交換部210,220,230のそれぞれに地熱熱水F1が流入する前に、モノシリカなどのスケール成分の濃度が低下するので、流路にスケールが析出して付着することを抑制することができる。
また、本実施形態では、重合剤供給部300は、複数の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cを有する。複数の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cのそれぞれは、複数の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置に設けられており、地熱熱水F1に重合剤を添加する量を調整する。このため、本実施形態では、複数の熱交換部210,220,230のそれぞれを流れる地熱熱水F1の温度やスケール成分の濃度(たとえば、モノシリカの濃度)に応じて、重合剤の添加量を適正に調整することができる。そして、余分に重合剤を使用することを防止できるので、処理コストを低減することができる。
[D]変形例
上記したように、本実施形態では、スケール成分分離部400は、第3の熱交換部230よりも下流の位置に1つが設置されているが、これに限らない。第1の熱交換部210と第2の熱交換部220との間、第2の熱交換部220と第3の熱交換部230との間に、スケール成分分離部400を設置してもよい。
また、本実施形態では、熱交換器20は、3つの熱交換部210,220,230を備えているが、これに限らない。2つの熱交換部、または、4つ以上の熱交換部を備えるように、熱交換器20を構成してもよい。
<第2実施形態>
[A]構成
図4は、第2実施形態に係る地熱発電システムにおいて、熱交換器20を模式的に示す図である。
図4に示すように、本実施形態の地熱発電システムにおいて、熱交換器20は、凝集剤供給部500を更に有する。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の実施形態と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
熱交換器20において、凝集剤供給部500は、凝集剤を地熱熱水F1に供給し、地熱熱水F1において重合剤により重合したスケール成分を凝集させる。凝集剤は、たとえば、固形シリカ、ケイ酸塩化合物であって、高温において安定な物質が好適である。
ここでは、凝集剤供給部500は、熱交換器20において、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれを順次介して排出された地熱熱水F1が、スケール成分分離部400に流入する入口部分よりも上流側の位置から、凝集剤を供給する。
凝集剤供給部500は、図4に示すように、凝集剤タンク501と、凝集剤供給管502と、凝集剤調整バルブ503とを有する。
凝集剤供給部500において、凝集剤タンク501は、内部に凝集剤を貯蔵する。凝集剤タンク501は、たとえば、固形シリカの粒子などの凝集剤を水に分散させた状態で貯蔵する。
凝集剤供給部500において、凝集剤供給管502は、凝集剤タンク501に貯蔵された凝集剤を、地熱熱水F1に供給する。ここでは、凝集剤供給管502は、凝集剤調整バルブ503を介して、地熱熱水F1が流れる配管PF4に連結されている。凝集剤供給管502においては、凝集剤タンク501から流入した凝集剤が、凝集剤調整バルブ503を介して、配管PF4の内部に流出し、地熱熱水F1に添加される。
凝集剤供給部500において、凝集剤調整バルブ503は、凝集剤供給管502に設置されており、地熱熱水F1に凝集剤を供給する量を調整する。凝集剤調整バルブ503は、スケール成分分離部400において、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置に設けられている。つまり、凝集剤調整バルブ503は、流路の一端が凝集剤供給管502に連結され、他端が配管PF4に連結されており、流路の開度を変えることで、流路を流れる凝集剤の量を調整する。
[B]動作
上記の熱交換器20の動作について、図4を参照して説明する。
熱交換器20においては、第1実施形態の場合と同様に、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、重合剤供給部300が重合剤を供給する。これにより、地熱熱水F1において溶解しているモノシリカなどのスケール成分の重合が生ずる(図3参照)。
そして、本実施形態では、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれを順次介して排出された地熱熱水F1がスケール成分分離部400に流入する入口部分よりも上流側の位置において、凝集剤供給部500が凝集剤を供給する。つまり、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて熱交換が順次行われた後であって、スケール成分分離部400に流入する前の地熱熱水F1に、凝集剤を供給する。
図5は、第2実施形態に係る地熱発電システムにおいて、地熱熱水F1に凝集剤が投入された後を示す概念図である。
図5に示すように、凝集剤として、たとえば、固形シリカSSの粒子を投入した後においては、その固形シリカSSの粒子を核として、ポリシリカPSが凝集し、粗大粒子になる。
その後、地熱熱水F1は、図4に示すように、配管PF4からスケール成分分離部400に流入し、スケール成分分離部400においてスケール成分が沈殿して、地熱熱水F1から分離される。そして、スケール成分が分離された地熱熱水F20が還元井2に還元され、沈殿したスケール成分G20が外部へ排出される。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の熱交換器20において、凝集剤供給部500は、地熱熱水F1において重合したスケール成分を凝集させる凝集剤を、地熱熱水F1に供給する。ここでは、複数の熱交換部210,220,230のそれぞれを順次介して排出された地熱熱水F1がスケール成分分離部400に流入する前に、凝集剤供給部500が凝集剤を地熱熱水F1に添加する。このため、本実施形態では、スケール成分分離部400においてスケール成分を分離する効率を向上することができる。したがって、本実施形態は、スケール成分分離部400よりも下流側に位置する部材においてスケールが付着することを抑制することができる。
なお、本実施形態は、重合剤の使用によってスケール成分の粗大化が十分でなく、スケール成分分離部400での分離が不十分である場合に、好適である。
[D]変形例
図6,図7は、第2実施形態に係る地熱発電システムにおいて、凝集剤供給部500が供給する凝集剤の変形例を示す図である。
凝集剤としては、図6に示すように、たとえば、固形シリカSSの粒子の表面に金属粒子Mが担持されたものを用いてもよい。この場合には、凝集が早く生じ、粗大化が加速される。ここでは、金属粒子Mは、地熱熱水F1中での安定性および安全性などの観点から、たとえば、アルミニウム、鉄、または、ニッケルであり、これらの中から複数を選択して用いても良い。また、金属粒子Mの粒子径については、特に限定されないが、たとえば、固形シリカSSの粒子径が1μm以上であって100μm以下の場合には、金属粒子Mの粒子径が100nm以上であって1μm以下にすることが好ましい。金属粒子Mの粒子径が上記の上限値よりも大きい場合には、固形シリカSSの粒子の表面が金属粒子Mで覆われ、溶解シリカが析出する部分が小さくなるので、凝集率が低下する場合がある。この一方で、金属粒子Mの粒子径が上記の下限値よりも小さい場合には、金属イオンによる持続的な凝集効果が小さくなる場合がある。
この他に、図7に示すように、固形シリカSSの粒子の表面が樹脂層Rで覆われたものを、凝集剤として用いてもよい。この凝集剤を用いた場合には、凝集の進行と同時に、固形シリカSSなどの粒子を核とした粗大化が進むため、好適である。ここでは、樹脂層Rは、たとえば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、または、ポリスチレンスルホン酸であり、これらの中から複数を選択して用いても良い。また、樹脂層Rの膜厚は、製造性の観点から、100μm以下にすることが好ましい。
上記したように、本実施形態では、凝集剤供給部500は、第3の熱交換部230よりも下流であって、スケール成分分離部400よりも上流の位置から、地熱熱水F1に凝集剤を添加する場合について示しているが、これに限らない。地熱熱水F1の性状に応じて、適宜、他の位置から凝集剤を添加するように構成してもよい。たとえば、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれよりも下流の位置から地熱熱水F1に凝集剤を添加するように構成してもよい。また、たとえば、第2の熱交換部220の下流であって、第3の熱交換部230の上流の位置から、凝集剤を添加するように構成してもよい。
<第3実施形態>
[A]構成等
図8は、第3実施形態に係る地熱発電システムにおいて、熱交換器20を模式的に示す図である。
図8に示すように、本実施形態の地熱発電システムにおいて、熱交換器20は、重合剤供給部300の構成が、第1実施形態の場合と異なる。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の実施形態と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
重合剤供給部300は、図8に示すように、第1の重合剤供給部300Aと、第2の重合剤供給部300Bとを含む。
第1の重合剤供給部300Aと、第2の重合剤供給部300Bとのそれぞれについて、順次、説明する。
[A−1]第1の重合剤供給部300A
第1の重合剤供給部300Aは、上記の重合剤として、無機系重合剤を地熱熱水F1に供給する。たとえば、無機系重合剤は、ポリシリカ鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウムである。
ここでは、第1の重合剤供給部300Aは、第1の熱交換部210と第2の熱交換部220とのそれぞれにおいて、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、無機系重合剤を供給する。
第1の重合剤供給部300Aは、図8に示すように、第1の重合剤タンク301Aと、第1の重合剤供給管302Aと、第1および第2の重合剤調整バルブ303A,303Bとを有する。
第1の重合剤供給部300Aのうち、第1の重合剤タンク301Aは、上記の無機系重合剤を内部に貯蔵する。
第1の重合剤供給部300Aのうち、第1の重合剤供給管302Aは、第1の重合剤タンク301Aに貯蔵された無機系重合剤を、地熱熱水F1に供給する。ここでは、第1の重合剤供給管302Aは、第1および第2の重合剤調整バルブ303A,303Bのそれぞれを介して、地熱熱水F1が流れる配管PF1,PF2のそれぞれに連結されている。第1の重合剤供給管302Aにおいては、第1の重合剤タンク301Aから流入した無機系重合剤が、第1および第2の重合剤調整バルブ303A,303Bのそれぞれを介して、配管PF1,PF2のそれぞれの内部に流出し、地熱熱水F1に添加される。
第1の重合剤供給部300Aのうち、第1および第2の重合剤調整バルブ303A,303Bは、第1の重合剤供給管302Aに設置されており、地熱熱水F1に無機系重合剤を供給する量を調整する。第1の重合剤調整バルブ303Aは、流路の一端が第1の重合剤供給管302Aに連結され、他端が配管PF1に連結されており、流路の開度を変えることで、その流路を流れる無機系重合剤の量を調整する。また、第2の重合剤調整バルブ303Bは、流路の一端が第1の重合剤供給管302Aに連結され、他端が配管PF2に連結されており、流路の開度を変えることで、流路を流れる無機系重合剤の量を調整する。
[A−2]第2の重合剤供給部300B
第2の重合剤供給部300Bは、上記の重合剤として、高分子系重合剤を地熱熱水F1に供給する。
たとえば、高分子系重合剤は、ポリアクリルアミド、メラミン酸コロイドである。
ここでは、第2の重合剤供給部300Bは、第3の熱交換部230において、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、高分子系重合剤を供給する。
第2の重合剤供給部300Bは、図8に示すように、第2の重合剤タンク301Bと、第2の重合剤供給管302Bと、第3の重合剤調整バルブ303Cとを有する。
第2の重合剤供給部300Bのうち、第2の重合剤タンク301Bは、上記の高分子系重合剤を内部に貯蔵する。
第2の重合剤供給部300Bのうち、第2の重合剤供給管302Bは、第2の重合剤タンク301Bに貯蔵された高分子系重合剤を、地熱熱水F1に供給する。ここでは、第2の重合剤供給管302Bは、第3の重合剤調整バルブ303Cを介して、地熱熱水F1が流れる配管PF3に連結されている。第2の重合剤供給管302Bにおいては、第2の重合剤タンク301Bから流入した高分子系重合剤が、第3の重合剤調整バルブ303Cを介して、配管PF3の内部に流出し、地熱熱水F1に添加される。
第2の重合剤供給部300Bのうち、第3の重合剤調整バルブ303Cは、第2の重合剤供給管302Bに設置されており、地熱熱水F1に高分子系重合剤を供給する量を調整する。第3の重合剤調整バルブ303Cは、流路の一端が第2の重合剤供給管302Bに連結され、他端が配管PF3に連結されており、流路の開度を変えることで、その流路を流れる高分子系重合剤の量を調整する。
[B]まとめ
以上のように、本実施形態において、第1の重合剤供給部300Aは、複数の熱交換部210,220,230のうち、地熱熱水F1が先に供給される前段の熱交換部210,220において、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、無機系重合剤を供給する。そして、第2の重合剤供給部300Bは、複数の熱交換部210,220,230のうち、前段の熱交換部210,220よりも地熱熱水F1が後に供給される後段の熱交換部230において、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、高分子系重合剤を供給する。
すなわち、本実施形態では、熱交換器20において地熱熱水F1が高温状態にある前段部分で、地熱熱水F1に無機系重合剤を供給する。そして、熱交換器20の前段での熱交換によって地熱熱水F1の温度が前段よりも低下した状態にある後段部分で、地熱熱水F1に高分子系重合剤を供給する。
高分子系重合剤は、高温下では、無機系重合剤よりも重合の機能を発揮しにくい。しかし、本実施形態では、地熱熱水F1が低温になった状態のときに、高分子系重合剤を用いている。このため、地熱熱水F1の温度が異なる複数の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて、スケール成分の重合を進めることができる。
したがって、本実施形態は、流路にスケールが付着することを十分に抑制することができる。
<第4実施形態>
[A]構成
図9は、第4実施形態に係る地熱発電システムにおいて、熱交換器20を模式的に示す図である。
図9に示すように、本実施形態の熱交換器20は、第1から第3の温度計測部61,62,63と、第1から第3の演算器71,72,73とを、更に有する。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の実施形態と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
[A−1]第1から第3の温度計測部61,62,63
各温度計測部61,62,63は、各熱交換部210,220,230から排出された地熱熱水F1の温度を測定する。
具体的には、第1の温度計測部61は、第1熱交換部210から排出され、配管PF2を流れる地熱熱水F1の温度を測定し、その測定によって得た温度データS61を出力する。
また、第2の温度計測部62は、第2熱交換部220から排出され、配管PF3を流れる地熱熱水F1の温度を測定し、その測定によって得た温度データS62を出力する。
そして、第3の温度計測部63は、第3熱交換部230から排出され、配管PF4を流れる地熱熱水F1の温度を測定し、その測定によって得た温度データS63を出力する。
[A−2]第1から第3の演算器71,72,73
各演算器71,72,73のそれぞれは、各温度計測部61,62,63によって測定された温度に基づいて、各熱交換部210,220,230に流入する地熱熱水F1に、重合剤を供給する供給量を算出する。
具体的には、第1の演算器71は、第1の温度計測部61から出力された温度データS61を用いて、第1の熱交換部210から排出された地熱熱水F1においてスケール成分が溶解する限界量、つまり、溶解度を求める。その後、第1の演算器71は、第1の熱交換部210に流入する地熱熱水F1において溶解しているスケール成分の濃度が、重合剤の供給によって、その算出した溶解度になるように、重合剤の供給量を算出する。そして、第1の演算器71は、その算出した供給量に対応する制御信号S71を、第1の重合剤調整バルブ303Aに出力する。これにより、第1の重合剤調整バルブ303Aは、第1の演算器71において算出された供給量で重合剤を地熱熱水F1に供給するように、開度が制御される。
また、第2の演算器72は、第2の温度計測部62から出力された温度データS62を用いて、第2の熱交換部220から排出された地熱熱水F1においてスケール成分が溶解する溶解度を求める。その後、第2の演算器72は、第2の熱交換部220に流入する地熱熱水F1において溶解しているスケール成分の濃度が、重合剤の供給によって、その算出した溶解度になるように、重合剤の供給量を算出する。そして、第2の演算器72は、その算出した供給量に対応する制御信号S72を、第2の重合剤調整バルブ303Bに出力する。これにより、第2の重合剤調整バルブ303Bは、第2の演算器72において算出された供給量で重合剤を地熱熱水F1に供給するように、開度が制御される。
同様に、第3の演算器73は、第3の温度計測部63から出力された温度データS63を用いて、第3の熱交換部230から排出された地熱熱水F1においてスケール成分が溶解する溶解度を算出する。その後、第3の演算器73は、第3の熱交換部230に流入する地熱熱水F1において溶解しているスケール成分の濃度が、重合剤の供給によって、その算出した溶解度になるように、重合剤の供給量を算出する。そして、第3の演算器73は、その算出した供給量に対応する制御信号S73を、第3の重合剤調整バルブ303Cに出力する。これにより、第3の重合剤調整バルブ303Cにおいては、第3の演算器73において算出された供給量で重合剤を地熱熱水F1に供給するように、開度が制御される。
[B]動作
上記の熱交換器20の動作について、図9を用いて詳細に説明する。
熱交換器20においては、第1実施形態の場合と同様に、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、重合剤供給部300が重合剤を供給する。
このとき、本実施形態の重合剤供給部300において、第1から第3の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cの各開度は、第1から第3の演算器71,72,73のそれぞれにおいて算出された供給量で重合剤を地熱熱水F1に供給するように、制御される。
図10,図11は、第4実施形態に係る地熱発電システムにおいて、重合剤の添加量を説明するための図である。
ここで、図10(a)は、第1の重合剤調整バルブ303Aを介して添加する重合剤の添加量を示している。図10(b)は、第2の重合剤調整バルブ303Bを介して添加する重合剤の添加量を示している。図11は、第3の重合剤調整バルブ303Cを介して添加する重合剤の添加量を示している。図10(a),(b)および図11においては、横軸が温度Tであって、縦軸がモノシリカの濃度Cであり、溶解度曲線Sを示している。
[B−1]第1の重合剤調整バルブ303Aを介して添加する重合剤の添加量について
図10(a)に示すように、第1熱交換部210から排出された地熱熱水F1の温度T12(出口温度)を第1の温度計測部61が測定した場合には、その温度T12(出口温度)の地熱熱水F1に溶解するモノシリカの限度量、つまり、溶解度C12を、第1の演算器71が算出する。
ここでは、第1の演算器71は、たとえば、モノシリカの溶解度曲線Sに対応する関数を用いて、温度T12(出口温度)に対応する溶解度C12を求める演算処理を行う。この他に、第1の演算器71は、たとえば、温度Tとモノシリカの溶解度とを予め関連付けて記憶しているルックアップテーブルを用いて、その測定された温度T12に対応する溶解度C12を、算出してもよい。
つぎに、第1の熱交換部210に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度C1が、重合剤の供給によって、その算出した溶解度C12になる重合剤の供給量を、第1の演算器71が算出する。
ここでは、第1の演算器71は、第1の熱交換部210に流入する地熱熱水F1(温度T11)に溶解するモノシリカの濃度の目標値を、測定した温度T12(出口温度)での溶解度C12に設定する。そして、第1の熱交換部210に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度C1について予め実測した実測値と、上記のように目標値として設定した溶解度C12の値との差分値(C1−C12)を算出する。その後、たとえば、その差分値と重合剤の供給量とを予め関連付けて記憶しているルックアップテーブルを用いて、その算出した差分値から重合剤の供給量を求める。
つぎに、第1の演算器71は、その算出した供給量に対応する制御信号S71を、第1の重合剤調整バルブ303Aに出力する。これにより、その第1の演算器71において算出された供給量の重合剤が、第1の重合剤調整バルブ303Aを介して、地熱熱水F1に供給される。
このため、本実施形態では、第1の熱交換部210に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度は、その流入時の温度T11(入口温度)でのモノシリカの溶解度C11よりも低い。そして、第1の熱交換部210の入口から出口の間を流れる地熱熱水F1に関しても、モノシリカの濃度は、モノシリカの溶解度よりも低い状態で推移する。したがって、本実施形態においては、第1の熱交換部210において地熱熱水F1が流れる流路(伝熱管部211)の内部にて、モノシリカが析出してスケールとして内壁に付着することを抑制することができる。
[B−2]第2の重合剤調整バルブ303Bを介して添加する重合剤の添加量について
図10(b)に示すように、第2熱交換部220から排出された地熱熱水F1の温度T22(出口温度)を第2の温度計測部62が測定した場合には、その温度T22(出口温度)の地熱熱水F1におけるモノシリカの溶解度C22を、第2の演算器72が算出する。
ここでは、第2の演算器72は、第1の演算器71の場合と同様な演算処理を行うことによって、その溶解度C22を求める。
つぎに、第2の演算器72は、第2の熱交換部220に流入する地熱熱水F1において溶解するモノシリカの濃度C21(≒C12)が、重合剤の供給によって、その算出した溶解度C22になる重合剤の供給量を算出する。
ここでは、第2の演算器72は、第1の演算器71の場合と同様な演算処理を行うことによって、重合剤の供給量を求める。すなわち、第2の演算器72は、第2の熱交換部220に流入する地熱熱水F1(温度T21≒T12)に溶解するモノシリカの濃度の目標値を、測定した温度T22(出口温度)での溶解度C22に設定する。そして、第2の熱交換部220に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度C21(≒C12)の値と、上記のように目標値として設定した溶解度C22の値との差分値(C21−C22)を算出する。この差分値の算出においては、第2の熱交換部220に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度C21として、たとえば、第1の演算器71が算出した溶解度C12の値を用いる。その後、たとえば、その差分値と重合剤の供給量とを予め関連付けて記憶しているルックアップテーブルを用いて、その算出した差分値から重合剤の供給量を求める。
そして、第2の演算器72は、その算出した供給量に対応する制御信号S72を、第2の重合剤調整バルブ303Bに出力する。これにより、その第2の演算器72において算出された供給量の重合剤が、第2の重合剤調整バルブ303Bを介して、地熱熱水F1に供給される。
このため、本実施形態では、第2の熱交換部220に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度は、その流入時の温度T21(入口温度)でのモノシリカの溶解度C21よりも低い。そして、第2の熱交換部220の入口から出口の間を流れる地熱熱水F1に関しても、モノシリカの濃度は、モノシリカの溶解度よりも低い状態で推移する。したがって、本実施形態においては、第2の熱交換部220において地熱熱水F1が流れる流路(伝熱管部221)の内部にて、モノシリカが析出してスケールとして内壁に付着することを抑制することができる。
[B−3]第3の重合剤調整バルブ303Cを介して添加する重合剤の添加量について
図11に示すように、第3熱交換部220から排出された地熱熱水F1の温度T32(出口温度)を第3の温度計測部63が測定した場合には、その温度T32(出口温度)の地熱熱水F1におけるモノシリカの溶解度C32を、第3の演算器73が算出する。
ここでは、第3の演算器73は、第1の演算器71および第2の演算器72と同様な演算処理を行うことによって、その溶解度C32を求める。
つぎに、第3の演算器73は、第3の熱交換部230に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度C31(≒C22)が、重合剤の供給によって、その算出した溶解度C32になる重合剤の供給量を算出する。
ここでは、第3の演算器73は、第1の演算器71および第2の演算器72の場合と同様な演算処理を行うことによって、重合剤の供給量を求める。すなわち、第3の演算器73は、第3の熱交換部230に流入する地熱熱水F1(温度T31≒T22)に溶解するモノシリカの濃度の目標値を、測定した温度T32(出口温度)での溶解度C32に設定する。そして、第3の熱交換部230に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度C31(≒C22)の値と、上記のように目標値として設定した溶解度C32の値との差分値(C31−C32)を算出する。この差分値の算出においては、第3の熱交換部230に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度C31の値として、たとえば、第2の演算器72が算出した溶解度C22の値を用いる。その後、たとえば、その差分値と重合剤の供給量とを予め関連付けて記憶しているルックアップテーブルを用いて、その算出した差分値から重合剤の供給量を求める。
そして、第3の演算器73は、その算出した供給量に対応する制御信号S73を、第3の重合剤調整バルブ303Cに出力する。これにより、その第3の演算器73において算出された供給量の重合剤が、第3の重合剤調整バルブ303Cを介して、地熱熱水F1に供給される。
このため、本実施形態では、第3の熱交換部230に流入する地熱熱水F1に溶解するモノシリカの濃度は、その流入時の温度T31(入口温度)でのモノシリカの溶解度C31よりも低い。そして、第3の熱交換部230の入口から出口の間を流れる地熱熱水F1に関しても、モノシリカの濃度は、モノシリカの溶解度よりも低い状態で推移する。したがって、本実施形態においては、第3の熱交換部230において地熱熱水F1が流れる流路(伝熱管部231)の内部にて、モノシリカが析出してスケールとして内壁に付着することを抑制することができる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態において、第1から第3の演算器71,72,73のそれぞれは、第1から第3の温度計測部61,62,63のそれぞれによって測定された温度に基づいて、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれから排出された地熱熱水F1において溶解するスケール成分の溶解度を算出する。その後、第1から第3の演算器71,72,73のそれぞれは、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれに流入する地熱熱水F1において溶解するスケール成分の濃度が、重合剤の供給によって、その算出した溶解度になるように、重合剤の供給量を算出する。そして、第1から第3の演算器71,72,73のそれぞれは、その算出した供給量に対応する制御信号S71,72,73のそれぞれを、第1から第3の重合剤調整バルブ303A,303B,303Cのそれぞれに出力する。
したがって、本実施形態は、第1から第3の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて、地熱熱水F1の流路にスケールが付着することを十分に抑制することができる。
<第5実施形態>
[A]構成等
図12は、第5実施形態に係る地熱発電システムを示す系統図である。
図12に示すように、本実施形態の地熱発電システムは、バイナリサイクル発電方式とフラッシュサイクル発電方式との両者を組み合せたコンバインドサイクル発電方式である。このため、本実施形態の地熱発電システムは、第1実施形態の場合と異なり(図1参照)、気液分離器10と蒸気タービン11とが更に設けられている。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の実施形態と重複する個所については、適宜、説明を省略する。
[A−1]気液分離器10
気液分離器10は、生産井1から供給された地熱熱水F1を、蒸気F10A(フラッシュ蒸気)と熱水F10B(ドレン)とに分離する。
具体的には、気液分離器10は、減圧弁VF1が設置された配管が生産井1との間に設けられており、その配管を介して、生産井1から地熱熱水F1が供給される。そして、気液分離器10は、その供給された地熱熱水F1を減圧することによって、蒸気F10Aと熱水F10Bとのそれぞれに分離する。
[A−2]蒸気タービン11
蒸気タービン11は、気液分離器10で分離された蒸気F10Aを作動媒体として用いて駆動する。
具体的には、蒸気タービン11は、主蒸気止め弁VF10A(MSV)が設置された配管が、気液分離器10との間に設けられており、その配管を介して、気液分離器10で分離された蒸気F10Aが流入する。蒸気タービン11は、ケーシング(図示省略)の内部にタービンロータ(図示省略)が設置されており、蒸気F10Aの供給によって、ケーシングの内部においてタービンロータが回転する。
具体的には、蒸気タービン11は、たとえば、媒体タービン21と同様に多段式であって、静翼(ノズル翼)と動翼(タービン羽根)とによって構成されるタービン段落が、タービンロータの回転軸に沿って、複数段、設けられている。そして、蒸気タービン11において、一方の端部に位置する初段のタービン段落に蒸気F10Aが作動媒体として供給された後に、その蒸気F10Aが各タービン段落において仕事を行ってタービンロータを回転させる。蒸気タービン11は、タービンロータの回転軸に発電機12が連結されており、タービンロータの回転によって発電機12が駆動して、発電が行なわれる。
蒸気タービン11に作動媒体として供給された蒸気F10Aは、一方の端部から他方の端部へ流れるに従って、温度および圧力が低下する。そして、蒸気タービン11において他方の端部に位置する最終段のタービン段落を通過した後に、蒸気タービン11から蒸気F11(排気蒸気)が排出される。
蒸気タービン11から排出された蒸気F11(排気蒸気)は、気液分離器10で分離された後に、減圧弁VF10Bを介して流れる蒸気F10Aと合流する。そして、その合流した媒体(F10B+F11)が、熱交換器20に加熱媒体として流入する。
その後、熱交換器20では、その合流した媒体(F10B+F11)と、低沸点媒体M24との間で熱交換が行われる。ここでは、上記の実施形態の場合と同様に、複数の熱交換部210,220,230のそれぞれにおいて、地熱熱水F1が流入する入口部分よりも上流側の位置から、重合剤が供給される(図2等を参照)。
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の地熱発電システムにおいては、上記の実施形態の場合と同様に、重合剤の供給が行われる。
したがって、本実施形態は、地熱熱水F1の流路にスケールが付着することを十分に抑制することができる。
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…生産井、2…還元井、10…気液分離器、11…蒸気タービン、12…発電機、20…熱交換器、21…媒体タービン、22…発電機、23…凝縮器、24…媒体ポンプ、30…冷却水供給部、31…冷却塔、32…冷却水ポンプ、61…第1の温度計測部、62…第2の温度計測部、63…第3の温度計測部、71…第1の演算器、72…第2の演算器、73…第3の演算器、210…第1の熱交換部、220…第2の熱交換部、230…第3の熱交換部、211,221,231…伝熱管部、212,222,223…容器、300…重合剤供給部、300A…第1の重合剤供給部、300B…第2の重合剤供給部、301…重合剤タンク、301A…第1の重合剤タンク、301B…第2の重合剤タンク、302…重合剤供給管、302A…第1の重合剤供給管、302B…第2の重合剤供給管、303A…第1の重合剤調整バルブ、303B…第2の重合剤調整バルブ、303C…第3の重合剤調整バルブ、400…スケール成分分離部、401…タンク、500…凝集剤供給部、501…凝集剤タンク、502…凝集剤供給管、503…凝集剤調整バルブ

Claims (11)

  1. 地熱熱水が供給されると共に、前記地熱熱水よりも温度が低い熱媒体が供給され、当該地熱熱水と当該熱媒体との間において熱交換が行なわれる、熱交換部と、
    前記地熱熱水に溶解しているスケール成分を重合させる重合剤を前記地熱熱水に供給する、重合剤供給部と
    を有し、
    前記熱交換部は、複数であって、当該複数の熱交換部が直列に接続されており、
    前記重合剤供給部は、前記複数の熱交換部のそれぞれにおいて前記地熱熱水が流入する入口部分よりも上流側の位置から、前記重合剤を供給することを特徴とする、
    熱交換器。
  2. 前記重合剤供給部は、
    前記重合剤を貯蔵する、重合剤タンクと、
    前記重合剤タンクにおいて貯蔵された重合剤を前記地熱熱水に供給する、重合剤供給管と、
    前記重合剤供給管に設置されており、前記地熱熱水に前記重合剤を供給する量を調整する、調整バルブと
    を有し、
    前記調整バルブは、複数であって、当該複数の調整バルブのそれぞれが、前記複数の熱交換部のそれぞれにおいて前記地熱熱水が流入する入口部分よりも上流側の位置に設けられている、
    請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記熱交換部から排出された地熱熱水において、前記重合剤によって重合されたスケール成分を分離する、スケール成分分離部
    を有する、
    請求項1または2に記載の熱交換器。
  4. 前記スケール成分分離部は、前記複数の熱交換部のそれぞれを順次介して排出された地熱熱水が供給され、当該地熱熱水において重合されたスケール成分を分離する、
    請求項3に記載の熱交換器。
  5. 前記地熱熱水において重合したスケール成分を凝集させる凝集剤を、前記地熱熱水に供給する、凝集剤供給部
    を有し、
    前記凝集剤供給部は、前記複数の熱交換部のそれぞれを順次介して排出された地熱熱水が前記スケール成分分離部に流入する入口部分よりも上流側の位置から、前記凝集剤を供給する、
    請求項4に記載の熱交換器。
  6. 前記重合剤供給部は、
    無機系重合剤を前記地熱熱水に供給する、第1の重合剤供給部と、
    高分子系重合剤を前記地熱熱水に供給する、第2の重合剤供給部と
    を含み、
    前記第1の重合剤供給部は、前記複数の熱交換部のうち前記地熱熱水が先に供給される前段の熱交換部において、前記地熱熱水が流入する入口部分よりも上流側の位置から、前記無機系重合剤を供給し、
    前記第2の重合剤供給部は、前記複数の熱交換部のうち、前記前段の熱交換部よりも前記地熱熱水が後に供給される後段の熱交換部において、前記地熱熱水が流入する入口部分よりも上流側の位置から、前記高分子系重合剤を供給する、
    請求項1から5のいずれかに記載の熱交換器。
  7. 前記複数の熱交換部のそれぞれから排出された地熱熱水の温度を測定する、温度計測部と、
    前記温度計測部によって測定された温度に基づいて、前記複数の熱交換部のそれぞれに流入する地熱熱水に前記重合剤を供給する供給量を算出し、当該算出した供給量に対応する制御信号を前記複数の調整バルブのそれぞれに出力する、演算器と
    を有し、
    前記複数の調整バルブのそれぞれは、前記演算器で算出された供給量で前記重合剤を前記地熱熱水に供給するように、開度が制御される、
    請求項2に記載の熱交換器。
  8. 前記演算器は、前記温度計測部によって測定された温度に基づいて、前記複数の熱交換部のそれぞれから排出された地熱熱水において溶解するスケール成分の溶解度を算出した後に、前記複数の熱交換部のそれぞれに流入する地熱熱水に溶解しているスケール成分の濃度が、前記重合剤の供給によって、当該算出した溶解度になるように、前記重合剤の供給量を算出する、
    請求項7に記載の熱交換器。
  9. 前記熱媒体は、水よりも沸点が低い、
    請求項1から8のいずれかに記載の熱交換器。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の熱交換器と、
    前記熱交換器において熱交換が行われた熱媒体が作動媒体として供給される媒体タービンと
    を備える、
    地熱発電システム。
  11. 前記地熱熱水が供給され、当該供給された地熱熱水を、蒸気と熱水とに分離する、気液分離器と、
    前記気液分離器によって分離された蒸気が作動媒体として供給される蒸気タービンと
    を備え、
    前記熱交換器は、前記気液分離部によって分離された熱水と、前記熱媒体との間において、前記熱交換が行われる、
    請求項10に記載の地熱発電システム。
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