以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機等のその他の遊技機であってもよく、遊技媒体を遊技領域に発射することにより遊技が行われる遊技機であれば、どのような遊技機であってもよい。
まず、本発明にかかる遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。なお、以下の説明において、図1の手前側をパチンコ遊技機の前面(表面)側、奥側を背面(裏面)側として説明する。なお、本実施の形態におけるパチンコ遊技機1の前面(表面)とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
〔パチンコ遊技機の構造〕
図1は、本発明が適用されたパチンコ遊技機およびカードユニットを示す正面図である。パチンコ遊技機1は、遊技場(遊技店)に設置される。遊技場内にはパチンコ遊技機1等の遊技機が複数台並べて配置されている遊技機設置島が複数設けられており、パチンコ遊技機1は、そのような遊技機設置島に設置される。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状(矩形形状)に形成された外枠100(図2参照)と、外枠100に開閉可能に取付けられた前枠(前面枠)101(図2参照)とで主に構成されている。前枠101の前面には、ガラス扉枠102および上皿扉枠103がそれぞれ一側を中心に開閉可能に設けられているとともに、下皿枠104が取付けられている。
図1に示すように、ガラス扉枠102の下方に取付けられた上皿扉枠103の前面には、遊技媒体(遊技球)としてのパチンコ球(打球)を遊技球として貯留可能な打球供給皿(上皿とも言う)3が、パチンコ遊技機1の前面(表面)側に向けて突出(膨出)するように設けてある。打球供給皿3は、打球発射装置(図示せず)に遊技球を供給する。打球発射装置は、遊技球を打撃するためのアーム状の打球槌を発射モータにより動作させることにより遊技球を弾発発射する発射装置である。
打球供給皿3の下方には、打球供給皿3から溢れた遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿とも言う)が、パチンコ遊技機1の前面(表面)側に向けて突出(膨出)するように設けてあるとともに、その側方には、遊技球を発射するときに操作する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。打球発射装置は、打球操作ハンドル5の操作に応じて発射モータを駆動する制御が行なわれることにより、遊技球を発射する。ガラス扉枠102の背面には、前枠101に対して着脱可能に取付けられた遊技盤6が配置されている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。打球発射装置により発射された遊技球(打球)は、遊技領域7に打出される。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄を変動表示する複数の変動表示領域を含む変動表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。変動表示装置9は、液晶表示装置を用いた画像表示装置である。変動表示装置9の上部には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄を変動表示する小型の表示部である特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8が設けられている。変動表示装置9には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(図柄表示エリア)がある。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行なう。変動表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ(いずれも図示せず)によって制御される。特別図柄表示器8は表示部が小型であるので、変動表示の態様および変動表示の表示結果が変動表示装置9と比べて見づらいため、遊技者は主として変動表示装置9の方に注目する。
特別図柄表示器8は、たとえば0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8は、遊技者に当りの種類を把握しづらくさせるために、0〜99等、より多種類の数字を変動表示するように構成されていてもよい。また、変動表示装置9は、液晶表示装置よりなる画像表示装置で実現されている。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、飾り図柄の変動表示を行なう。
なお、本実施の形態においては、変動表示装置9は、液晶表示装置を用いた例について説明するが、これに限らず、変動表示装置9は、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクス、7セグメントLED等のLED(Light Emitting Diode)、エレクトロルミネッセンス、蛍光表示管等のその他の画像表示式の表示装置により構成されてもよい。また、変動表示装置9は、回転ドラム式表示装置等の機械式の表示装置であってもよい。
変動表示装置9の下方には、遊技球を受入れ可能な入賞領域としての第1始動口15aおよび第2始動口15bを有する始動入賞装置15が設けられている。始動入賞装置15では、上部に第1始動口15aが設けられ、その下部に第2始動口15bが設けられている。第2始動口15bの左右には、開閉動作をすることが可能な態様で一対の可動片13,13が設けられている。第1始動口15aは、上方を向いて開口しており、常に遊技球の進入(受入れ)が可能な状態となっている。一方、第2始動口15bは、上方に第1始動口15aの周囲の構造物が設けられ、左右に可動片13,13が設けられているため、可動片13,13が閉状態であるときに遊技球の進入(受入れ)が不可能な状態となり、可動片13,13が開状態であるときに遊技球の進入(受入れ)が可能な状態となる。このように、第1始動口15aは入賞のしやすさが変化せず、第2始動口15bは可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する。
なお、始動入賞装置15は、可動片13,13が閉状態になっている状態において、第2始動口15bに入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。また、始動入賞装置15は、始動口として、入賞のしやすさが変化しない第1始動口15aのみが設けられたものであってもよく、可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する第2始動口15bのみが設けられたものであってもよい。
始動入賞装置15の可動片13,13は、後述する開放条件が成立したときに、ソレノイド16によって駆動されることにより、閉状態から所定期間開状態とされた後、閉状態とされる。始動入賞装置15の可動片13,13が開状態となることにより、遊技球が第2始動口15bに入賞しやすくなり(始動入賞しやすくなり)、遊技者にとって有利な状態(第1の状態)となる。一方、始動入賞装置15の可動片13,13が閉状態となることにより、遊技球が第2始動口15bに入賞しなくなり(始動入賞しにくくなり)、遊技者にとって不利な状態(第2の状態)となる。第1始動口15aに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。また、第2始動口15bに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14bによって検出される。
変動表示装置9の下部には、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bに入った有効入賞球の記憶数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう)数を表示する4つの特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。特別図柄保留記憶表示器18は、保留記憶数を入賞順に4個まで表示する。特別図柄保留記憶表示器18は、第1始動口15aまたは第2始動口15bに始動入賞があるごとに、保留記憶の記憶データが1増えて、点灯状態のLEDの数を1増やす。そして、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、保留記憶の記憶データが1減って、点灯状態のLEDの数を1減らす(すなわち1つのLEDを消灯する)。具体的には、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、点灯状態をシフトする。なお、この例では、第1始動口15aまたは第2始動口15bへの入賞による保留記憶数に上限数(4個まで)が設けられている。しかし、これに限らず、保留記憶数の上限数は、4個以上の値にしてもよく、4個よりも少ない値にしてもよい。
始動入賞装置15の下部には、ソレノイド21によって開閉される開閉板を用いた特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は、開閉板によって開閉される大入賞口が設けられており、大当り遊技状態において開閉板が遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)に制御され、大当り遊技状態以外の状態において開閉板が遊技者にとって不利な閉状態(第2の状態)に制御される。このように、特別可変入賞球装置20は、大当り遊技状態となるときに開放条件が成立する。特別可変入賞球装置20に入賞し遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域:特別領域)に入った入賞球および他方の領域に入った遊技球は、そのままカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切換えるためのソレノイド(図示せず)も設けられている。
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、複数種類の識別情報としての普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10における変動表示が開始される。この実施の形態では、左右のLED(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行なわれ、たとえば、変動表示の終了時に左側のLEDが点灯すれば当りになる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となったときに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放条件が成立し、始動入賞装置15における可動片13,13が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した有効通過球の記憶数、すなわち、始動通過記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過があるごとに、始動通過記憶の記憶データが1増えて、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10における変動表示が開始されるごとに、始動通過記憶の記憶データが1減って、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、遊技球を受入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域として、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39よりなる複数の通常入賞口が設けられる。第1通常入賞口29への遊技球の入賞は、第1入賞口スイッチ29aによって検出される。第2通常入賞口30への遊技球の入賞は、第2入賞口スイッチ30aによって検出される。第3通常入賞口33への遊技球の入賞は、第3入賞口スイッチ33aによって検出される。第4通常入賞口39への遊技球の入賞は、第4入賞口スイッチ39aによって検出される。なお、第1始動口15a、第2始動口15b、および、大入賞口も、遊技球を受入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域を構成する。また、遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を回収するアウト口26がある。
第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および第4通常入賞口39の少なくともいずれかに遊技球が入賞する場合には、1個の遊技球の入賞に対して所定数(たとえば、10個)の賞球が球払出装置170(図3参照)から払い出される。同様に、第1始動口15aまたは第2始動口15bに遊技球が入賞する場合には、1個の遊技球の入賞に対して所定数(たとえば、5個)の賞球が球払出装置170から払い出される。また、大入賞口に遊技球が入賞する場合にも、1個の遊技球の入賞に対して所定数(たとえば、15個)の賞球が払い出される。
遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LEDが内蔵される天枠発光部28Hと、左枠LEDが内蔵される左発光部28Lおよび右枠LEDが内蔵される右発光部28Rが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。これら天枠LED、左枠LEDおよび右枠LEDおよび装飾用LEDは、パチンコ遊技機1に設けられている装飾発光体の一例である。左発光部28Lおよび右発光部28Rは、装飾を行なうために所定の発光パターンで発光させられる。
そして、この例では、左発光部28Lの所定箇所に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、右枠LEDの所定箇所に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。なお、本実施の形態では賞球LED51および球切れLED52を左枠LEDや右枠LEDとは個別に設けていたが、左枠LEDや右枠LEDの発光態様を異ならせることにより賞球払出中である旨および補給球が切れた旨を報知するようにしてもよい。また、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
上皿扉枠103の前面における打球供給皿3の左右側方には、上皿扉枠103の前面側における打球供給皿3の左右側方に設けられたLEDにより発光する供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200Rが設けられている。供給皿左発光部200Lおよび供給皿右発光部200Rは、たとえば、遊技状態に応じた演出を行なうため、および、異常状態を報知するために用いられる。打球供給皿3の前面には、打球供給皿3の内部に設けられた供給皿前LEDにより発光する供給皿前発光部201が横方向に細長く延在する態様で設けられている。具体的に、供給皿前発光部201は、打球供給皿3の前面において、最も前方に突出した位置において横方向に延びる領域に設けられている。供給皿前発光部201は、たとえば、遊技状態に応じた演出および装飾を行なうために用いられる。
余剰球受皿4の周縁上面には、余剰球受皿4の内部に設けられた受皿LEDにより発光する受皿発光部202が設けられている。受皿発光部202は、たとえば、遊技状態に応じた演出を行なうため、および、異常状態を報知するために用いられる。また、余剰球受皿4の左右側方には、内蔵されたLEDにより発光する受皿左発光部203Lおよび受皿右発光部203Rが設けられている。受皿左発光部203Lおよび受皿右発光部203Rは、たとえば、異常状態を報知するために用いられる。
賞球LED51、球切れLED52、装飾LED25、天枠LED、左枠LED、右枠LED、供給皿左LED、供給皿右LED、供給皿左右外LED、供給皿前LED、受皿LED、受皿左LED、受皿右LED等の各種発光手段は、演出制御用マイクロコンピュータから出力されるシリアル信号に基づいて点灯制御(LED制御)される。また、スピーカ27からの音発生制御(音制御)は、音声出力基板によって行なわれる。
カードユニット50には、たとえば、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ、連結台方向表示器、カード投入表示ランプ、および、カードユニット錠が設けられている。カード挿入口連結台方向表示器は、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す表示器である。カード投入表示ランプは、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すランプである。カード挿入口は、記録媒体としてのカードが挿入される開口部である。カードユニット錠は、カード挿入口の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するための錠である。
遊技者の操作により打球発射装置から発射された遊技球は、打球誘導レール117を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が、第1始動口15aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されるか、または、第2始動口15bに入り第2始動口スイッチ14bで検出されると、特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が変動表示を始める。特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。
特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(たとえば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。そして、特別可変入賞球装置20の開放中に遊技球がV入賞領域に入賞しカウントスイッチ23で検出されると、継続権が発生し特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、たとえば15ラウンドのような所定回数を上限値として許容される。このような制御は、繰返し継続制御と呼ばれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態がラウンドと呼ばれる。なお、V入賞領域を設けずに、各ラウンドにおいて無条件で継続権が発生するように制御してもよい。
停止時の特別図柄表示器8における特別図柄が大当り図柄のうちの予め定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率(大当り確率)が、大当り遊技状態と異なる通常状態である通常遊技状態よりも高くなる確率変動状態(以下、確変状態と呼ぶ)という遊技者にとってさらに有利な状態になる。以下、確変状態は、高確率状態(高確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。また、非確変状態は、低確率状態(低確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。
また、特別図柄表示器8での変動表示の停止時における特別図柄の表示結果が、確変大当り図柄である場合には、大当り遊技状態後に変動時間短縮状態である時短状態に所定期間に亘り制御される。時短状態とは、通常遊技状態に比べて、特別図柄表示器8、変動表示装置9、および、普通図柄表示器10のそれぞれの変動表示時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御状態をいう。さらに、時短状態中には、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、開放回数が増加させられる。時短状態中では、図柄の変動表示時間が短縮されるので、後述する保留記憶数が早期に消化され、保留記憶数の上限(たとえば「4」)を超えて発生した始動入賞が無効になってしまう状態を減少でき、短期間に頻繁に表示結果を導出表示して早期に大当り表示結果を導出表示しやすくなるので、時間効率的な観点で変動表示の表示結果が大当り図柄の表示結果となりやすくなり、遊技者にとって有利な遊技状態となる。このように、確変大当りの場合は、大当り遊技状態の終了後の所定期間において、高確率状態かつ時短状態に制御されることとなる。大当り遊技状態の終了後の所定期間に亘る時短状態は、次の大当り遊技状態が発生するか、または、特別図柄および飾り図柄の変動表示が所定回数(100回)行なわれるまでの、いずれか早い方の条件が成立するまで継続される。
また、入賞に応じた遊技球の払出しの面から考えると、時短状態は、非時短状態と比べて、普通図柄の変動表示時間が短縮され、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の1度の開放回数が多くされることに基づいて、通常遊技状態と比べて始動入賞装置15の可動片13,13が開放状態となりやすい。したがって、時短状態では、第2始動口15bへの入賞(始動入賞が有効である場合と無効である場合との両方を含む)が生じやすくなるため、遊技領域7へ打込んだ遊技球数(打込球数)に対して、入賞に応じた賞球として払出される遊技球数(払出球数)の割合が、通常遊技状態と比べて多くなる。一般的に、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合は、「ベース」と呼ばれる。たとえば、100球の打込球数に対して40球の払出球数があったときには、ベースは40(%)となる。この実施の形態の場合では、たとえば通常遊技状態のような非時短状態よりもベースが高い時短状態を高ベース状態と呼び、逆に、そのような高ベース状態と比べてベースが低い通常遊技状態のような非時短状態を低ベース状態と呼ぶ。
このように、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合が一般的に「ベース」と呼ばれるが、たとえば1分間等の単位時間における遊技球の最大発射数は、一定数に制限されている。このため、「ベース」は、単位時間において、遊技領域に設けられた複数の入賞口への入賞による賞球の払出球数の合計値によっても示すことができる。たとえば、単位時間における遊技球の最大発射数を100球とすると、単位時間における入賞による賞球の払出球数の合計値は、一般的な「ベース」の値と一致することとなる。このような関連性に基づいて、本実施形態では、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39のそれぞれを異常監視対象入賞口としている。当該該異常監視対象入賞口の入賞による賞球の払出球数の合計値は、ベースと呼ばれ、入賞に関する異常監視の対象として用いられる。
確変状態(高確率状態)と非確変状態(低確率状態)とのどちらの状態であるかは、確変状態においてセットされるフラグである確変フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。また、時短状態(高ベース状態)と非時短状態(低ベース状態)とのどちらの状態であるかは、時短状態においてセットされるフラグである時短フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。
また、前述の時短状態に制御されていない状態においては、特別図柄の保留記憶数が所定個数以上となるごとに、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間を短縮する記憶変動短縮状態に制御する記憶変動短縮制御が行なわれる。記憶変動短縮制御は、特別図柄の保留記憶数が所定個数未満となった段階で終了する。したがって、時短状態に制御されていない状態においても、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間が短縮される場合がある。
変動表示装置9において変動表示される飾り図柄は、特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示の装飾効果を高めるために、特別図柄の変動表示と所定の関係を有して変動表示される装飾的な意味合いがある図柄である。このような図柄についての所定の関係には、たとえば、特別図柄の変動表示が開始されたときに飾り図柄の変動表示が開始する関係、および、特別図柄の変動表示の終了時に特別図柄の表示結果が導出表示されるときに飾り図柄の表示結果が導出表示されて飾り図柄の変動表示が終了する関係等が含まれる。特別図柄表示器8により予め定められた大当り図柄が表示結果として導出表示されるときには、変動表示装置9により、左,中,右図柄がゾロ目となる大当り図柄の組合せが表示結果として導出表示される。このような特別図柄による大当り図柄の表示結果および飾り図柄による大当り図柄の組合せの表示結果は、大当り表示結果という。
特別図柄表示器8と変動表示装置9とは変動表示結果が前述したような対応関係になるため、以下の説明においては、これらをまとめて変動表示部と呼ぶ場合がある。
次に、リーチ表示態様(リーチ)について説明する。本実施形態におけるリーチ表示態様(リーチ)とは、停止した図柄が大当り図柄の一部を構成しているときに未だ停止していない図柄については変動表示が行なわれていること、および、すべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態である。
たとえば、変動表示装置9において、図柄が停止することで大当りとなる有効ライン(本実施の形態の場合は横1本の有効ライン)が予め定められ、その有効ライン上の一部の表示領域に予め定められた図柄が停止しているときに未だ停止していない有効ライン上の表示領域において変動表示が行なわれている状態(たとえば、変動表示装置9における左,中,右の変動表示領域のうち左,右の表示領域に同一の図柄が停止表示されている状態で中の表示領域は未だ変動表示が行なわれている状態)、および、有効ライン上の表示領域のすべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態(たとえば、変動表示装置9における左,中,右の表示領域のすべてに変動表示が行なわれており、常に同一の図柄が揃っている状態で変動表示が行なわれている状態)をリーチ表示態様またはリーチという。
また、リーチの際に、通常と異なる演出がLEDや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(飾り図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、変動表示装置9の背景画像の表示態様(たとえば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチに比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別(特定)のリーチをスーパーリーチという。
また、変動表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなることを報知する予告演出である大当り予告が行なわれる場合がある。
この実施の形態の場合は、大当りとして、通常大当りおよび確変大当りというような複数種類の大当りが設けられている。以下の説明においては、大当りの種類を特定せずに単に「大当り」と示すときは、これら複数種類の大当りを代表して示す場合である。
通常大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態にならず、かつ、時短状態にならないことにより、低確率状態、かつ、低ベース状態となる大当り(非確変大当り)である。このような、低確率状態かつ低ベース状態となった状態は、低確低ベース状態と呼ばれる。確変大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態になり、かつ、所定期間に亘り時短状態になる高確率状態、かつ、高ベース状態となる大当りである。このような、高確率状態かつ高ベース状態となった状態は、高確高ベース状態と呼ばれる。確変大当りとなった後においては、所定期間が経過すると時短状態が終了し、高確率状態、かつ、低ベース状態になる。このような、高確率状態かつ低ベース状態となった状態は、高確低ベース状態と呼ばれる。
また、変動表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなることを報知する予告演出である大当り予告が行なわれる場合がある。
図2は、パチンコ遊技機1の前枠101およびガラス扉102と、上皿扉枠103とを開放した状態を示す斜視図である。
パチンコ遊技機1は、図2に示されるように、複数のパチンコ遊技機1を並設可能な図示しない遊技機設置島に固設される縦長の方形状(矩形形状)をなす外枠100と、外枠100の一側を中心に開閉可能に取付けられた前枠101とから主に構成されている。これらのうち外枠100は木材により構成され、前枠101は合成樹脂材により構成されている。
前枠101の前面には、ガラス扉枠102およびその下方に配置される上皿扉枠103が一側を中心にそれぞれ開閉可能に設けられている。上皿扉枠103の下方には、下皿枠104が取付けられている。ガラス扉枠102の中央には、閉状態において遊技盤6の表面に形成された遊技領域7の前方を被覆するとともに、該遊技領域7を遊技者側から透視可能とする略円形の透視窓110が設けられている。
上皿扉枠103は、前面に前述した打球供給皿3が取付けられているとともに、ガラス扉枠102を開放することにより開放可能となるように構成されている。打球供給皿3の上流側端部には、前枠101の裏側に設けられ、各種入賞領域への入賞球に応じた賞球またはカードユニット50での球貸操作に応じた貸球を払出す球払出装置170(図3参照)から払出される遊技球を受入れ可能とする払出口112が形成されているとともに、打球供給皿3に待機(貯留)している待機球を前枠101の背面に形成された後述する余剰球誘導通路に流出させて余剰球受皿4に返却するための球抜き口113が内部に形成されている。また、打球供給皿3の下流側端部には、打球供給皿3に待機している待機球を、打球発射装置により打出される発射位置に誘導する待機球誘導口119が形成されている。なお、打球供給皿3の内部構造については後述する。
カードユニット50は、遊技者からプリペイドカードを受付けて、パチンコ遊技機1に設けられた球貸ボタンの操作に応じて、プリペイドカードに記録されたプリペイドデータで示される価値のうちから所定額相当(たとえば、500円相当)の価値を減算して、減算した価値に見合った遊技球を払出すことを指示する球貸操作信号をパチンコ遊技機1に送信する。
カードユニット50から球貸操作信号を受けると、パチンコ遊技機1の払出制御部(図示せず)は、当該球貸操作信号に応じて球払出装置170を駆動して貸球を打球供給皿に払出す。
また、カードユニット50は、遊技者から現金を受付けると、プリペイドカードに受付けた現金で示される価値を追加記録する。カードユニット50は、パチンコ遊技機1に設けられた返却ボタンの操作に応じて、プリペイドカードを排出する。
下皿枠104は、前枠101の前面下部に取付けられており、その前面には、余剰球受皿4および打球操作ハンドル5が取付けられている。また、余剰球受皿4の配設位置には、後述する余剰球誘導通路を流下してきた遊技球が返却される返却口120が形成されている。
前枠101は、前述した遊技盤6を背面側から取付け保持可能に構成されているとともに、該遊技盤6の前面に形成された遊技領域7を前面側から視認可能とするための略円形の遊技用開口114が略中央に形成されている。
上皿扉枠103の閉状態において前記払出口112に対向する箇所には、該払出口112に連通する払出連通口112aが形成されている。また、払出連通口112aの下方には、上皿扉枠103が開放されたときに払出口112から賞球を回収して余剰球誘導通路130に流出させて余剰球受皿4に返却するための賞球返却通路に連通する賞球返却口113aが形成されている。また、賞球返却口113aの近傍には、ファール球を前枠101の背面側に形成される余剰球誘導通路130に流出させるためのファール球口116が形成されている。また、ファール球口116のさらに側方には、打球供給皿3から球抜き口113を介して流出された待機球を前枠101の背面側に形成される余剰球誘導通路130に流出させるための球抜き連通口106が形成されている。
前枠101の前面における遊技用開口114の下方には、打球発射装置により打出される遊技球(打球)を遊技領域7に向けて誘導する打球誘導レール117(図1参照)が設けられる。また、打球誘導レール117の途中には、打球発射装置により打出されたものの遊技領域7に到達することなく戻ってきたファール球を前述したファール球口116に誘導して回収するファール球誘導通路118が形成されており、該ファール球は、ファール球口116を介して背面側の余剰球誘導通路130に流出された後、余剰球受皿4に返却されるようになっている。また、このファール球誘導通路118近傍には、打球供給皿3から球抜き口113を介して流出された待機球を球抜き連通口106に誘導する球抜き誘導通路(図示省略)が形成されており、これらファール球および待機球はファール球口116および球抜き連通口106に連通する誘導通路を介して余剰球誘導通路130に流出される。
図3は、前枠101を開放した状態を示すパチンコ遊技機1の正面図である。図3に示すように、前枠101は、外枠100の一辺に沿う開放軸130を中心として開放可能に設けられる。前枠101は、外枠100の内側に収まる矩形形状を有する。
この実施の形態においては、パチンコ遊技機1には、外部の遊技機設置島設備から球払出装置170に遊技球が補給される。具体的には、パチンコ遊技機1が設置された遊技場内において、各遊技機設置島の上方には、補給装置(図示せず)が設けられており、この補給装置の貯留タンク内に補給用の遊技球が貯留されている。補給装置の貯留タンクから補給樋(図示せず)を経由して複数のパチンコ遊技機1の各々に遊技球が供給される。補給樋からは管状の第1補給通路が分岐している。第1補給通路140の端部は、各パチンコ遊技機1に接続される。そのため、補給樋から流通する遊技球は、第1補給通路140、第2補給通路160を経由して球払出装置170に補給される。
接続部150は、外枠100側に設けられ、第2補給通路160および球払出装置170が前枠101側に設けられる。これにより、前枠101が開放されるときに接続部150と第2補給通路160とが分離可能となる。
このパチンコ遊技機1においては、接続部150、第2補給通路160および球払出装置170以外にパチンコ遊技機1の背面側に突出する部品(たとえば、変動表示装置9である液晶表示装置)を搭載する搭載スペース180を大きく確保するため、パチンコ遊技機1の背面に遊技球を貯留するタンクを設けない構成としている。
外枠100の上部100aの左右方向についての中央付近には、接続部150が取り付けられる。接続部150は、第1補給通路140と第2補給通路160とを接続する部材である。接続部150は、第1固定ブラケット(図4および5参照)を用いて外枠100に固定される。
接続部150は、屈曲部を有するパイプ部材を含む。接続部150の一方端には、下方向に向けて開口する開口部150aが形成され、接続部150の他方端には、開放軸130から離れる方向に向けて開口する開口部150bが形成される。接続部150の開口部150aの下部には、流出制限機構151が設けられる。接続部150の開口部150aには、第1補給通路160の端部が組み付けられる。接続部150の開口部150aと第1補給通路160の端部とは、たとえば、開口部150aに第1補給通路160の端部が差し込まれることによって接続されてもよいし、あるいは、接続部150の開口部150aの内周部分(あるいは、外周部分)に第1補給通路160の端部の外周部分(あるいは、内周部分)を嵌合した後に、クランプ等を用いて嵌合部分を締め付けることによって接続状態を保持するようにしてもよい。
クランプは、たとえば、1つの棒状あるいは細長の板状の部材を環状に形成し、両端部につまみを設けるものであってもよい。この場合、たとえば、2つのつまみの相対位置を変化させる操作を行うことによって、クランプを構成する部材が撓み、クランプの内側の開口面積が拡大することで嵌合部分に取り付け可能となる。また、クランプは、当該操作が解除されることによって部材の撓みが解消し開口面積が元に戻り、嵌合部分を締め付ける。
あるいは、クランプは、1つの棒状あるいは細長の板状の部材をC字形状に形成し、両端部をボルトとナットとで締結されたものであってもよい。この場合、ボルトのナットへの締め付け量を調整することによってクランプの内側の開口面積が調整可能となる。
流出制限機構151は、前枠101を開放した状態となる場合に、接続部150の開口部150aから外部への遊技球の流出を制限し、前枠101が閉じられた状態となる場合に、遊技球の流出の制限を解除する。流出制限機構151の詳細な構成および動作については後述する。
開口部150bには、第1補給通路140の一方端が接続される。第1補給通路140は、開口部150bから水平方向かつ開放軸130から離れる方向に沿って形成される通路部分と、外枠100の上部100aに設けられた切り欠き部(第1補給通路140の外周の一部が嵌め入れられる形状の切り欠き部)の直下の位置で上方に屈曲する屈曲部分と、屈曲部分から切り欠き部を経由して遊技機設置島設備に接続される通路部分とを含む。
前枠101の背面(遊技盤6の裏面)には、第2補給通路160と、球払出装置170とが設けられる。第2補給通路160と、球払出装置170とは、前枠101の背面に設けられるその他の部品を搭載するための部品搭載スペース180の周囲に設けられる。なお、第2補給通路160または球払出装置170が、部品搭載スペース180内に設けられる部品よりも後方に設けられる場合には、背面側から見て部品搭載スペース180と重複する位置に設けられてもよい。前枠101の背面に設けられるその他の部品とは、たとえば、変動表示装置9を構成する液晶表示装置を含む。
球払出装置170は、前枠101の背面から見て、部品搭載スペース180の右側に配置される。第2補給通路160は、屈曲部を有する、断面が矩形形状の通路である。第2補給通路160の一方端には、上方向に開口する開口部160aが形成される。第2補給通路160の他方端には、下方向に開口する開口部160bが形成される。開口部160bは、球払出装置170の遊技球の導入口と連通する。
第2補給通路160は、開口部160aから水平方向かつ開放軸130に近づく方向に沿って形成される通路部分と、球払出装置170の直上の位置で下方向に屈曲する屈曲部分と、球払出装置170の遊技球の導入口まで下方向に沿って形成される通路部分とを含む。
第2補給通路160は、少なくとも内部に25個以上の遊技球を含むような形状に形成されることが望ましい。一般的に遊技球の1回当たりの払出の個数の最大は、球貸し時の25球である(賞球時の払出個数は、多くとも15個である)。そのため、第2補給通路160を上述のように形成することにより1回分の遊技球の払出の個数を確保することができる。
前枠101が外枠100の内側に収まるように閉じられたとき、接続部150と第2補給通路160との位置関係は、図3の破線に示す接続部150と図3の実線に示す第2補給通路160との位置関係となり、接続部150と第2補給通路160とが接続される。
より具体的には、前枠101が閉じられたときの接続部150と第2補給通路160との位置関係は、図4および図5に示される接続部150と第2補給通路160との位置関係となる。
図4は、接続部150と第2補給通路160とが接続された状態を外枠100の背面側から見た拡大図である。図5は、図4の状態の部分を斜め上方から見た斜視図である。
図4および5に示すように、接続部150の開口部150aには、流出制限機構151が接続される。接続部150と流出制限機構151との各々は、前枠101が閉じられた状態である場合に第2補給通路160に対する位置を固定するための板形状の固定部材152にボルト等の締結部材で固定される。
具体的には、接続部150の開口部150aは、固定ブラケット158を用いて固定部材152に固定される。固定ブラケット158は、接続部150の一方端のパイプ部分の外周に沿った円弧形状の部分と、ボルト穴が形成される2つの鍔部分とを有する。2つの鍔部分が固定部材152にボルトを用いて締結されると、接続部150が固定ブラケット158と固定部材152とによって狭持される。そのため、固定ブラケット158と接続部150との位置は、固定ブラケット158と接続部150のパイプ部分との間、および固定部材152と接続部150のパイプ部分との間にそれぞれ生じる摩擦力により固定される。
流出制限機構151は、本体部材151aおよび中継部材151bの各々の両端に設けられた、図4の奥側に貫通したボルト穴に通されたボルトを用いて固定部材152に固定される。このようにして、接続部150と流出制限機構151との位置が固定される。
第2補給通路160と前枠101との間には、前枠101が閉じられた状態である場合に固定部材152の所定方向への移動を制限する制限部材168が設けられる。
制限部材168には、固定部材152の下方向の移動を制限するベース部168aと、固定部材152の前方向(パチンコ遊技機1の正面側)の移動を制限する第1壁部168bと、固定部材152の右方向(パチンコ遊技機1の背面から見て右方向)の移動を制限する第2壁部168cと、固定部材152の左方向の移動を制限する第3壁部168dとが設けられる。
接続部150の開口部150b側には、固定ブラケット150cが取り付けられる。固定ブラケット150cは、接続部150を外枠100に固定するためのブラケットであって、縦長の金属平板を曲げて形成される。
具体的には、固定ブラケット150cには、金属平板が接続部150のパイプ部分の外周に沿って曲げられた湾曲部が形成される。金属平板の一方端は、外枠100の上部100aの板部分の側面(パチンコ遊技機1の背面側の側面)にボルト等の締結部材を用いて固定される。金属平板の他方端は、金属平板自体に固定される。金属平板の他方端が金属平板自体に固定されることによって金属平板と接続部150のパイプ部分との間に生じる摩擦力により固定ブラケット150cと接続部150との相対移動が制限される。
流出制限機構151は、内部にシャッター154を収納する本体部材151aと、開口部150aと本体部材151aとの間に設けられ、開口部150aと本体部材151aとを接続する中継部材151bとを含む。図4および図5において、シャッター154は、本体部材151aの内部に収納されるが、説明の便宜上、シャッター154の一部を記載している。以下の図面についても同様である。
本体部材151aは、中空の箱形状に形成され、内部に長手方向(図4の左右方向)に移動可能なシャッター154が設けられる。中継部材151bには、鉛直方向に貫通した貫通穴が形成され、開口部150aと本体部材151aとを連通する。
図6に、下側から見た本体部材151aの構造が示される。図6に示すように、本体部材151aには、鉛直方向に貫通した貫通穴151c,151dが長手方向に沿って形成される。貫通穴151cは、中継部材151bの貫通穴と連通するように形成される。貫通穴151cの大きさは、遊技球が通過可能な大きさである。貫通穴151dは、図5に示すように、前枠101が閉じられた状態において第2補給通路160に設けられる突起部164と一致する位置に形成される。本体部材151aの長手方向の側面部には、円柱形状の突起部157が形成される。
図6に戻って、シャッター154は、板形状に形成され、鉛直方向に貫通した貫通穴154a,154bが長手方向に沿って形成される。貫通穴154aは、開口部分が貫通穴151cの開口部分と重複するように形成される。貫通穴154bは、開口部分が貫通穴151dの開口部分と重複するように形成される。
シャッター154の長手方向の側面部には、本体部材151aの外部に突出した円柱形状の突起部156が形成される。本体部材151aの突起部157と、シャッター154の突起部156とは、ばね部材155によって連結される。
図6において、シャッター154は、ばね部材155の弾性力により図中右側へ移動した状態の初期位置にあることを示す。シャッター154の位置が初期位置である場合には、貫通穴154aの開口部分と貫通穴151cの開口部分とが重複する面積が最小となる。当該面積による重複する部分の形状および大きさは、遊技球が通過不可能な形状または大きさになる。なお、シャッター154の位置が初期位置である場合に、貫通穴154aの開口部分と貫通穴151cの開口部分とが重複しないようにしてもよい。前枠101が開放されている状態の場合には、シャッター154の位置が初期位置となり、流出制限機構151において遊技球の通過が不可能となるので、接続部150内の遊技球が流出制限機構151から外部に流出することが制限される。
一方、後述するように第2補給通路160に設けられた突起部164が貫通穴154bの開口部分と貫通穴151dの開口部分との重複する部分に挿入される場合には、シャッター154は、突起部164から受ける力によってばね部材155の弾性力に抗して図中左側に移動する。前枠101が閉じている状態において、シャッター154の初期位置からの移動量が最大となる。このとき、貫通穴154aの開口部分と貫通穴151cの開口部分とが重複する面積が最大となる。当該面積による重複部分の大きさまたは形状は、遊技球の通過が可能な大きさまたは形状になる。そのため、前枠101が閉じている状態の場合には、流出制限機構151において遊技球の通過が可能となるので、流出制限機構151による遊技球の流出の制限が解除されることとなる。この場合において、接続部150の開口部150bと第2補給通路160の開口部160aとが連通状態となり、遊技球が流量制限機構151によって制限されることなく流通可能になる。
図7に、第2補給通路160を構成を示す図である。図7に示すように、第2補給通路160は、前枠101の裏面に固定される制限部材168に隣接して形成される。
制限部材168は、ベース部168aと、第1壁部168bと、第2壁部168cと、第3壁部168dとを含む。ベース部168aと、第1壁部168bと、第2壁部168cと、第3壁部168dとは、一体的に形成される。
ベース部168aは、前枠101が閉じられたときに、固定部材152の下方向の側面と接触した状態となる。そのため、ベース部168aは、前枠101が閉じられたときに、固定部材152の下方向への移動を制限する。
第1壁部168bは、前枠101が閉じられたときに、固定部材152の前方向(パチンコ遊技機1の正面側)の面に対向する位置関係となる。そのため、第1壁部168bは、前枠101が閉じられたときに、固定部材152の前側への移動を制限する。
第2壁部168cおよび第3壁部168dは、前枠101が閉じられたときに、固定部材152の左右方向の側面とそれぞれ対向する位置関係となる。そのため、第2壁部168cおよび第3壁部168dは、前枠101が閉じられたときに、固定部材152の左右方向への移動を制限する。
第2補給通路160の一方端には、上方向に開口する矩形形状の開口部160aが形成される。第2補給通路160は、一方端からパチンコ遊技機1の背面から見て右側に、略水平方向に沿うように形成される。第2補給通路160の上部には、突起部164が設けられる。突起部164は、開口部160aよりも他方端側の所定の位置に設けられる。所定の位置とは、前枠101が閉じられた状態である場合に、突起部164の位置が流出制限機構151の貫通穴151dの位置と一致する位置である。突起部164は、前枠101が閉じられたときに流出制限機構151のシャッター154を移動させるための部材である。
図8は、第2補給通路160および第2通路160に設けられる突起部164の断面図である。突起部164は、図8の断面に示すように、第2補給通路160とは別体の部材である。突起部164は、三角錐の形状の部分と、当該三角錐の底面と同一円の底面を有する円柱形状の部分とが一体となった形状を有する。円柱形状の部分の底面中央部には、凹部164aが形成される。
第2補給通路160には、突起部164の上下方向の移動を可能とする円筒形状の凹部160cが形成される。凹部160cには、突起部164の上方向の移動量を所定量に制限するストッパー(図示せず)が設けられる。なお、ストッパーは、突起部164側に設けられてもよい。
突起部164の凹部164aの上面と第2補給通路160の凹部160cの底面との間には、ばね部材165が設けられる。ばね部材165は、突起部164の位置がストッパーによって上方向の移動が制限される位置で保持されるように弾性力を発生する。
突起部164は、前枠101を閉じる動作中または前枠101を開放する動作中に流出制限機構151が通過する場合に流出制限機構151と突起部164とが接触したときに流出制限機構151からの反力によって下方向に押し下げられる。一方、突起部164は、前枠101が完全に閉じた状態あるいは開放した状態である場合には、ばね部材165の弾性力によって押し上がった状態になる。
以上のような構成を有するパチンコ遊技機1において、たとえば、図9に示す状態から図5に示す状態のように前枠101が閉じられる場合を想定する。このとき、シャッター154の位置は、初期位置である。図9は、図5と比較して、前枠101が開放されたことにより、制限部材168の位置と第2補給通路160とが前枠101とともに移動している点を除き、図5の構成と同様である。そのため、その詳細な説明は行わない。
前枠101を閉じる動作が行われるときに、突起部164が流出制限機構151の本体部材151aに接触して、本体部材151aからの反力のうちの下方向の成分の力が作用すると、突起部164が押し下げられる。
突起部164の直上を本体部材151aの底面が通過している間、突起部164は押し下げられた状態が継続される。突起部164の直上に本体部材151aの貫通穴151dの開口部分とシャッター154の貫通穴154bの開口部分との重複部分(図6に示すような状態の重複部分)が通過する場合には、突起部164の上端部が当該重複部分の下に位置することになるので、ばね部材165の弾性力によって突起部164が押し上げられる。そのため、突起部164の先端が当該重複部分に挿入される。そして、ばね部材165の弾性力によって突起部164の上方向に作用する力より、当該重複部分の面積が拡大するようにシャッター154が移動する。シャッター154が移動した結果、本体部材151aの貫通穴151cの開口部分とシャッター154の貫通穴154aの開口部分との重複部分の開口面積が最大となる。そのため、流出制限機構151による外部への遊技球の流出の制限が解除された状態になる。
一方、図5に示す状態から図9に示す状態のように前枠101が開放される場合を想定する。このとき、シャッター154の位置は、初期位置から最も離れた位置となる。前枠101が開放する動作が行われるときに、突起部164が本体部材151aの貫通穴151dあるいはシャッター154の貫通穴154bの縁部分から受ける反力のうちの下方向の成分の力が作用すると、突起部164が押し下げられる。
突起部164の直上を本体部材151aの底面が通過している間、突起部164は押し下げられた状態が継続される。突起部164の直上を本体部材151aの底面が通過した後においては、ばね部材165の弾性力によって突起部164が押し上げられる。
一方、本体部材151aの貫通穴151dの開口部分とシャッター154の貫通穴154bの開口部分との重複部分から突起部164が抜けたことによって、ばね部材155の弾性力のみがシャッター154に作用することとなる。その結果、ばね部材155の弾性力がシャッター154に対して図9の矢印の方向に作用して、シャッター154は、初期位置に移動する。シャッター154が移動した結果、本体部材151aの貫通穴151cの開口部分とシャッター154の貫通穴154aの開口部分との重複部分の開口面積が最小となる。そのため、シャッター154によって接続部150内の遊技球が流出制限機構151から外部に流出することが制限される。
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 遊技球を供給する第1補給通路140から接続部150、流出制限機構151および第2補給通路160を経由した球払出装置170までの間の補給経路上に遊技球を貯留するタンクが設けられないため、タンクによってパチンコ遊技機1の背面に設けられる部品の配置およびサイズの自由度が妨げられることがない。そのため、遊技機の背面に設けられる部品の配置およびサイズの自由度を向上させることができる。特にタンクが設けられないことによりその他の部品の搭載スペース180をより広く確保することができるため、たとえば、変動表示装置9を構成する液晶表示装置を大型化することができる。
(2) パチンコ遊技機1の前枠101を外枠101に対して開放したときに第2補給通路160と接続部150とが分離するので、第1補給通路140から球払出装置170までの間の遊技球の補給経路上に設けられる通路の破損を防止することができる。
(3) 接続部150に流出制限機構151が設けられるので、パチンコ遊技機1の前枠101を外枠100に対して開放したときに第2補給通路160と接続部150とが分離しても、接続部150からの遊技球の流出を制限することができる。そのため、遊技球が散らばることを防止することができる。
(4) 接続部150には、前枠101の開放軸130から離れる方向に向けて開口する開口部150bが形成されるので、前枠101を開放した状態でも前枠101に阻害されることなく、第1補給通路140の一方端を開口部150bに組み付けることができる。そのため、開口部150bへの第1補給通路140の一方端の組み付けが容易になる。
次に、以上に説明した実施の形態の変形例や特徴点等を以下に列挙する。
(1) 前述の実施の形態では、パチンコ遊技機1の下側に設けられる発射装置から遊技盤6に遊技球を発射するものを前提の構成として説明したが、たとえば、パチンコ遊技機1の上側に設けられる発射装置から遊技盤6に遊技球を発射するものを前提の構成としてもよい。
(2) 前述の実施の形態では、第2補給通路160の凹部160cと、突起部164の凹部164aとの間にばね部材165を設けるものとして説明したが、ばね部材165に代えてゴム部材等の弾性部材を用いてもよい。
(3) 前述の実施の形態では、第2補給通路160と、突起部164とが別部材であるとして説明したが、たとえば、第2補給通路160と突起部164とが一体的に形成されるものであってもよい。この場合において、流出制限機構151の本体部材151aの底面が少なくとも突起部164の先端まで上方向の移動が許容されるように固定ブラケット150cに撓む部分が形成されることが望ましい。
(4) 前述の実施の形態では、先端が三角錐形状の突起部164を用いて流出制限機構151のシャッター154を開くものとして説明したが、たとえば、突起部164を円柱形状とし、シャッター154には、図10に示すように、貫通穴154bに代えて切り欠き部154cが設けられるものとしてもよい。
切り欠き部154cにおいては、図10に示すように、たとえば、前枠101が閉じる場合における突起部164の移動方向に対して所定の角度を有する直線に沿った側面部分が形成される。このような構成にすると、前枠101が閉じる場合に、シャッター154は、突起部164から作用する図10の矢印の方向の成分の力によって図10の実線の位置から図10の破線の位置まで移動させることができる。これにより、シャッター154の貫通穴154aの開口部分と本体部材151aの貫通穴151cの開口部分との重複部分の開口面積を拡大させることができる。
(5) 前述の実施の形態では、シャッター154を有する流出制限機構151を設けるものとして説明したが、流出制限機構151を設けない構成としてもよい。
(6) 前述の実施の形態では、流出制限機構151に設けられるシャッター154は、突起部164とばね部材155とを用いて開閉するものとして説明したが、たとえば、手動でシャッター154を開閉するものであってもよい。
(7) 前述の実施の形態では、流出制限機構151は、接続部150と別部品であるものとして説明したが、たとえば、接続部150の端部に一体的に組み込まれたものであってもよい。
(8) 前述の実施の形態では、接続部150は、パイプ形状であるとして説明したが、たとえば、蛇腹形状等のある程度の変形を許容する形状であるとしてもよい。
(9) 前述の実施の形態では、接続部150は、外枠100の上部100aの左右方向の中央付近に設けられるものとして説明したが、たとえば、左右のどちらかに偏在してもよい。
(10) 前述の実施の形態では、接続部150は、左右方向について経路が短い形状を有するものとして説明したが、たとえば、外枠100の左右方向の端部まで延在する形状を有するものとしてもよい。
(11) 前述の実施の形態では、外枠100は、木材により構成されるものとして説明したが、たとえば、金属製であってもよい。また、この場合、外枠100と接続150とが一体的に形成されてもよい。
(12) 上記(1)〜(11)で開示した変形例は、その全部または一部を組み合わせて実施してもよい。
(13) なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。