JP2014165312A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】反りを抑制し、軽量化を図るとともに、曲面形状に形成することができる太陽電池モジュールを提供すること。
【解決手段】太陽電池モジュール10は、受光する側に配設されたプラスチック材料からなる前面板11と、前面板11と対向するよう配設された背面板12と、前面板11と背面板12との間を充填する充填材16と、充填材16によって封止されるよう充填材16中に配設され、太陽電池セル14同士がインターコネクタ15を介して接続されたセルストリング13とを備える。さらに、セルストリング13と前面板11との間に、プラスチック材料からなる補強部材としての板状部材17が配設されている。
【選択図】図2
【解決手段】太陽電池モジュール10は、受光する側に配設されたプラスチック材料からなる前面板11と、前面板11と対向するよう配設された背面板12と、前面板11と背面板12との間を充填する充填材16と、充填材16によって封止されるよう充填材16中に配設され、太陽電池セル14同士がインターコネクタ15を介して接続されたセルストリング13とを備える。さらに、セルストリング13と前面板11との間に、プラスチック材料からなる補強部材としての板状部材17が配設されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、太陽電池モジュールに関する。
一般的な太陽電池モジュールは、受光面側に透明な前面板が配設され、受光面とは反対側に背面板が配設され、前面板と背面板との間に透明な充填材が充填されている。太陽電池セル(以下、単に「セル」ともいう。)はその充填材の中に配設され、セル同士が導電性のインターコネクタを介して直列に接続されてセルストリングを構成している。
近年、太陽電池モジュールの軽量化、低コスト化等の要求に伴い、透明な前面板の材料として従来用いられているガラスの代わりに、プラスチック材料を用いたものが提案されている。しかし、前面板にプラスチック材料を用いた場合、セルストリングを封止する充填材との関係で、太陽電池モジュール全体が反ってしまうという問題があった。
この反りを抑制する技術として、充填材で封止されたセルストリングと前面板との間にガラス板を配置した太陽電池モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に記載されているような従来の太陽電池モジュールは、反りを抑制する補強部材としてガラス板が用いられているので、全体として重量化し、昨今の軽量化の要求に必ずしも十分に応えることができないという課題があった。
また、太陽電池モジュールを自動車用のルーフ等に搭載する場合、比較的剛性が高いガラス板を内蔵しているが故に、ルーフ等の形状に合わせて太陽電池モジュールを曲面形状に形成することが難しいという課題があった。
本発明は、上述のような従来の課題を解決するためになされたもので、反りを抑制し、軽量化を図るとともに、曲面形状に形成することができる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明に係る太陽電池モジュールは、上記目的を達成するため、(1)受光する側に配設されたプラスチック材料からなる前面板と、前記前面板と対向するよう配設された背面板と、前記前面板と前記背面板との間を充填する充填材と、前記充填材によって封止されるよう前記充填材中に配設され、太陽電池セル同士がインターコネクタを介して接続されたセルストリングと、前記セルストリングと前記前面板との間に配設されたプラスチック材料からなる補強部材と、を備えるよう構成されている。
この構成により、本発明に係る太陽電池モジュールは、前面板を構成するプラスチック材料と太陽電池セルとの線膨張差に起因して発生する前面板の熱膨張収縮を、セルストリングと前面板の間に配設した補強部材によって制限しているので、特に熱収縮時における前面板の反りを抑制することができる。これは、太陽電池モジュール全体の反りの抑制に寄与し、インターコネクタの断線の防止にも寄与する。
また、本発明に係る太陽電池モジュールは、補強部材が前面板と同様にプラスチック材料からなるので、軽量化を図ることができ、さらに、プラスチック材料は比較的剛性が低いため曲面形状に形成することが容易となる。これにより、本発明に係る太陽電池モジュールは、応用範囲が広がり、例えば、自動車用のルーフに適用することができる。
上記(1)に記載の太陽電池モジュールにおいて、(2)前記補強部材は、中心部から外周部に向かって厚さが増加する形状を有するようにしてもよい。
この構成により、本発明に係る太陽電池モジュールは、補強部材の外周部の厚さが他の部分と比べて厚いので、この外周部が枠状の剛性体を構成し、この剛性体によって、補強部材を構成するプラスチック材料と太陽電池セルとの線膨張差に起因して発生する補強部材の熱膨張収縮を制限するための固定が行い易くなる。
すなわち、本発明に係る太陽電池モジュールは、その製造時において補強部材の外周部を上下から治具等で挟み込んで固定するだけで、補強部材の厚さが相対的に薄い中心部にまで均等に面方向の引っ張り荷重を伝え易い構造となっている。これにより、補強部材に充填材を介して接着されているセルストリングの熱収縮が抑制されるので、熱収縮時におけるセル間のインターコネクタの変形や前面板の表面のうねり等の発生を防止することができる。これは、太陽電池モジュールの外観品質の向上に寄与する。
本発明によれば、反りを抑制し、軽量化を図るとともに、曲面形状に形成することができる太陽電池モジュールを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールおよびその製造方法について、図面を参照して説明する。本発明に係る太陽電池モジュールは、住宅の屋根やカーポートの屋根等、屋外において広く使用することができるが、以下の記載では、特に自動車用のルーフ等に適用する場合について説明する。
(予備的事項)
まず、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールをより良く理解するために、現状の技術における太陽電池モジュールについて説明する。太陽電池モジュールは、特に自動車用として搭載する場合に軽量化することが求められており、その軽量化のための手段として、前面板等の材料として用いられているガラスを、密度が小さい透明なプラスチック材料に置換する方法が採用されている。
まず、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールをより良く理解するために、現状の技術における太陽電池モジュールについて説明する。太陽電池モジュールは、特に自動車用として搭載する場合に軽量化することが求められており、その軽量化のための手段として、前面板等の材料として用いられているガラスを、密度が小さい透明なプラスチック材料に置換する方法が採用されている。
しかし、プラスチック材料は、ガラスと比べて線膨張率が大きく、かつヤング率が小さいという特性を有しており、このために種々の課題が発生している。その1つに、プラスチック材料の熱膨張収縮作用によるインターコネクタの断線があり、この課題の対策が強く望まれている。
そこで、本発明者は、インターコネクタの断線がどのようなメカニズムで発生するのかを実験により究明した。実験で用いた太陽電池モジュールは、ポリカーボネート樹脂からなる前面板と、PET(Polyethylene Telephthalate)樹脂からなる背面板との間に、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)樹脂の充填材を充填し、セル同士がインターコネクタを介して接続されたセルストリングを充填材中に封止した構造を有している。
この構造において、ポリカーボネート樹脂とセルとはEVA樹脂を介して接着されているため、これら2つの部材の線膨張差からセル面方向にひずみが発生し、このひずみをセル間で吸収するように幾何学的な作用がセルストリングに誘発される(事象A)。この事象Aによって誘発された作用により、太陽電池モジュールが熱収縮する時はセル間が縮まり(事象B)、熱膨張する時はセル間が広がる(事象C)。
本発明者は、セル間においてEVA樹脂で覆われた状態のインターコネクタは、事象Bにより繰り返しその影響を受けることになり、低サイクルで疲労破壊することがインターコネクタの断線の主因であることを発見した。特に自動車等の振動を伴うような場所に太陽電池モジュールを配置した場合、インターコネクタの断線が起こり易いと推測される。以上から、インターコネクタの断線の対策には、事象Aの発生を防止することが有効な手段であることが解明された。
また、前面板にプラスチック材料を使用した場合に発生する他の課題として、外観品質の低下がある。太陽電池モジュールの製造プロセスにおいて、ラミネート直後の冷却時には太陽電池モジュールが熱収縮してセル間が縮まるため、このセル間を繋いでいるインターコネクタが上下方向に変形(例えば、図15に示すようにS字状に屈曲)する。インターコネクタが上下方向に変形すると、その変形によって生じる力が充填材を介して前面板に波及し、この前面板の表面に盛り上がった状態のうねりが発生する。
このような前面板の表面のうねりは、インターコネクタの変形にのみ起因するものではなく、前面板を構成するポリカーボネート樹脂とセルとの線膨張差が大きいことと、ポリカーボネート樹脂はガラスに比べて非常に軟質であることに起因している。
このため、このようなうねりが発生している太陽電池モジュールを自動車用のルーフに適用した場合、自動車としての外観品質が基準を満足していないという課題があった。
そこで、以下に説明する本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールは、軽量化を意図した構造とする一方で、前面板のガラスを剛性の高い樹脂材料に置換した場合や、集光タイプの太陽電池モジュールにおいて背面板に剛性の高い樹脂材料を使用し反射装置を設けた場合等に発生する課題のうち、特に技術的解決が困難であったインターコネクタの断線および外観品質の課題に対応できるようにしている。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池モジュールおよびその製造方法について、図1〜図7を参照して説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池モジュールおよびその製造方法について、図1〜図7を参照して説明する。
まず、構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、平面視したときに前面板11で覆われている領域の内側に、破線で示す四角形のセル14が複数枚(図示の例では、6行×6列=36枚)配設されている。各セル14は、インターコネクタ15によって電気的に接続されている。
図2は、図1においてA−A線に沿って見たときの太陽電池モジュール10の詳細断面構造を示している。図2に示すように、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、前面板11、背面板12、セルストリング13、充填材16、および補強部材としての板状部材17,18を備えている。
前面板11は、太陽光線が入射する側に配設され、また太陽電池モジュール10の軽量化を図るために、光透過性のプラスチック材料を用いて形成されている。その材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(以下、便宜上「PC樹脂」ともいう。)が好適に用いられる。PC樹脂の線膨張率は70ppm/Kである。前面板11にPC樹脂を用いることで、光透過性および軽量化に加えて、耐熱性および適度な剛性を確保することができる。
また、前面板11には、ハードコートを施すようにしてもよい。ハードコートに使用する材料としては、例えば、ウレタンアクリレート樹脂等の紫外線硬化タイプの樹脂が用いられる。前面板11上にハードコート樹脂の被膜を形成することで、受光面としての前面板11の表面の傷つき防止および前面板11を構成するPC樹脂の耐薬品性の向上を図ることができる。
背面板12は、太陽光線が入射する側とは反対側に配設され、光透過性の有無は問題とならないが、太陽電池モジュール10の軽量化を図るために、プラスチック材料を用いて形成されている。その材料としては、PC樹脂が好適に用いられる。背面板12に前面板11と同じPC樹脂を用いることで、太陽電池モジュール10の反りの発生防止に寄与することができる。
セルストリング13は、セル14同士がインターコネクタ15を介して直列に接続されて構成されている。セル14は、シリコン結晶系セルであり、その線膨張率は約4ppm/Kである。セル14は、特に図示はしないが、その一形態として、積層されたn型およびp型の各シリコン層と、一方のシリコン層上に形成された反射防止膜と、他方のシリコン層上および反射防止膜上にそれぞれ形成された配線用の電極と、から構成されている。
インターコネクタ15は、平面視したときに帯状の形状を有する板状の部材であり、セル割れを発生させないように各セル14同士を電気的に接続する必要があることから、特殊な材料、例えば、銅のなまし材を基材とした非常に軟質な材料からなっている。
また、インターコネクタ15は、断面視したときに隣り合うセル14間の部分が段差状の形状を有している。すなわち、図2に示すように、インターコネクタ15は、セル14の一方の面側(例えば、図示の例において上側)に設けられた電極と、その隣のセル14の他方の面側(図示の例において下側)に設けられた電極とを接続している。インターコネクタ15とセル14との接続は、はんだ接合によって行うことができる。
充填材16は、前面板11と背面板12との間にセルストリング13を封止するように充填されている。充填材16は、少なくとも前面板11とセルストリング13の間に封止される部分については光透過性が要求され、また太陽電池モジュール10の軽量化を図るために、光透過性のプラスチック材料を用いて形成されている。その材料としては、例えば、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)樹脂が用いられる。
充填材16にEVA樹脂を用いることで、光透過性および軽量化に加えて、耐湿性を確保することができる。また、充填材16を構成するEVA樹脂は、前面板11および背面板12を構成するPC樹脂の融点よりも低い温度で架橋するため、封止効果を高める上で好ましい。
2枚の板状部材17,18のうち、一方の板状部材17は、前面板11とセルストリング13との間の充填材16中に配設され、他方の板状部材18は、背面板12とセルストリング13との間の充填材16中に配設されている。すなわち、2枚の板状部材17,18は、充填材16を介してセルストリング13を挟み込むように配置されている。
板状部材17,18は、一方の板状部材17については光透過性が要求され、また太陽電池モジュール10の軽量化を図るために、光透過性のプラスチック材料を用いて形成されている。その材料としては、PC樹脂が好適に用いられる。板状部材17,18に前面板11および背面板12と同じPC樹脂を用いることで、太陽電池モジュール10の反りの発生防止に寄与することができる。
すなわち、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、各構成部材がセルストリング13を中心として上下方向で対称となる構造を有しているので、熱膨張および熱収縮時において反りが発生し難いという効果を発生させている。その際、セルストリング13と前面板11および背面板12との間を遮断するよう配置された板状部材17,18は、前面板11および背面板12が反らないように太陽電池モジュール10全体を補強する役割を果たし、本発明における補強部材を構成する。
また、板状部材17,18は、図1に示すように、平面視したときに4角形の形状を有している。ただし、図1に示す例では、上方側の板状部材17のみが示されている。板状部材17,18の縁となる外周部には、図2に示すように、他の部分より厚く形成された枠部17a,18aが、太陽電池モジュール10を囲むように設けられている。
板状部材17,18の枠部17a,18aは、板状部材17,18の他の部分と比べて厚く形成されていることで、比較的高い剛性を呈する剛性体を構成する。つまり、剛性体である枠部17a,18aは、板状部材17,18を構成するPC樹脂とセル14との線膨張差に起因して発生する板状部材17,18の伸縮を制限するための固定が行い易い構造となっている。
また、板状部材17,18の枠部17a,18aは、太陽電池モジュール10を囲むように4角形状に形成されており、板状部材17,18が外方側に熱膨張した場合にこの4角形状の枠部17a,18a全体が大きくなるようになっている。したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、後述する図4に示すラミネート工程において、板状部材17,18の枠部17a,18a以外の中心部を含む比較的薄い部分に軽くテンションがかけられることから、たるみやしわが発生し難い構造となっている。
このとき、板状部材17,18の枠部17a,18aは、ラミネータ50(図4参照)のヒーター54からの伝熱を積極的に行うことでテンションがかかる方向に作用するが、図2に示すように、枠部17a,18aは太陽電池モジュール10の外側に露出して配置されているので、伝熱し易く好適な構造となっている。
また、板状部材17,18の枠部17a,18aには、互いに対向する側と反対側の面にそれぞれ傾斜部17b,18bが設けられている。各傾斜部17b,18bは、図2に示すように、内方側に向かって厚さが小さくなるように形成されている。
具体的には、各傾斜部17b,18bは、後述する図5に示すように、ラミネートされた積層体を常温に冷却する過程で使用する治具71,72の外周部に設けられた突出部71a,72aの端面が押し当てられたときに、その突出部71a,72aの端面を楔状に挟み込めるような形状に形成されている。
これにより、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、ラミネート直後の冷却時に治具71,72の突出部71a,72aの端面が板状部材17,18の枠部17a,18aの傾斜部17b,18bに押し当てられたときに、治具71,72の突出部71a,72aによって傾斜部17b,18bが外方側に付勢されることで、板状部材17,18が内方側に熱収縮するのを抑制するようになっている。
次に、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10を製造する際に使用するラミネータ50について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、ラミネータ50は、下チャンバ51と、上チャンバ52とを備え、上チャンバ52の下端部周囲に沿って配設されたOリング53によって、下チャンバ51が封止される構造を有している。下チャンバ51にはヒーター54を内蔵したヒータープレート55が配置され、上チャンバ52にはダイヤフラム56が装備されている。上チャンバ52および下チャンバ51には、それぞれ外部と連通する連通管57および58が設けられている。
また、ラミネータ50は、真空ポンプ60を備えている。この真空ポンプ60と上チャンバ52の連通管57および下チャンバ51の連通管58とを繋ぐ配管には、それぞれ大気と連通する切替え弁61,63、および配管の連通をオンオフ制御するバルブ62,64が設けられている。
ラミネータ50は、各切替え弁61,63および各バルブ62,64を制御することで、ヒータープレート55上に載置された被ラミネート体10Aを加熱し、ダイヤフラム56を介して被ラミネート体10Aを加圧するようになっている。
次に、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10を製造する方法について説明する。
図3〜図5に示すように、太陽電池モジュール10の製造時には、以下の工程を実行する。まず、必要とされる各構成部材をレイアップする(図3に示すレイアップの工程)。次に、そのレイアップされた各構成部材をラミネータに投入して、ラミネートを行う(図4に示すラミネートの工程)。次に、そのラミネートされた各構成部材をラミネータから取り出し、治具で固定して常温に冷却する(図5に示す冷却の工程)。
以下、各工程についてさらに詳述する。
図3は、ラミネータに投入する前の各構成部材のレイアップの状態を示している。図示の例では、下から順に、PC樹脂からなる背面板12、EVA樹脂からなるシート状の充填材16A、PC樹脂からなる板状部材18、EVA樹脂からなるシート状の充填材16A、セルストリング13、EVA樹脂からなるシート状の充填材16A、PC樹脂からなる板状部材17、EVA樹脂からなるシート状の充填材16A、およびPC樹脂からなる前面板11が配置されている。
このような配置でレイアップされた各構成部材は、被ラミネート体10Aとして、図4に示すラミネータ50に投入され、所要の加熱および加圧処理が施されるようになっている。このようなラミネータ50を用いて行う加熱および加圧処理は、従来の製造方法におけるラミネート工程で行っている処理と同様である。
具体的には、ラミネータ50の下チャンバ51内のヒータープレート55上に被ラミネート体10Aを載置し、上チャンバ52内のダイヤフラム56で挟み込み、概ね140℃前後で15分程度、加熱および加圧する。これにより、シート状の充填材16Aを構成するEVA樹脂が、溶融および流動して、セルストリング13、板状部材17,18、前面板11および背面板12と架橋接着される。
このラミネート工程により、セルストリング13と板状部材17,18、前面板11および背面板12と板状部材17,18とが、充填材16Aを介して隙間なく接着された状態にある積層体が形成される。この積層体は、最終的には太陽電池モジュール10を構成する。
この後、そのラミネートされた積層体をラミネータ50から取り出す。この時点では、その積層体は、まだ高温状態にある。
次に、図5(a)に示すように、そのラミネートされた太陽電池モジュール10としての積層体を、下側の治具71と上側の治具72の間に挟み込むようにセットする。具体的には、各治具71,72の外周部に設けられた各突出部71a,72aの端面を、それぞれ対応する板状部材18,17の枠部18a,17aの傾斜部18b,17bに押し当てることで、積層体を固定する。
このように積層体を固定した状態で、図5(b)に示すように、治具71,72の上下両面から加圧する。この加圧は、ラミネート直後に高温状態にあった積層体が常温に冷却されるまで継続する。
この加圧により、治具71,72の突出部71a,72aによって板状部材17,18の枠部17a,18aの傾斜部17b,18bが外方側に付勢されるため、板状部材17,18が内方側に熱収縮するのを抑制することができる。この後、常温に冷却後の積層体を治具71,72から取り外す。
以上の工程により、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10が作製されたことになる。
図6は、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10の製造方法によって得られる熱収縮の抑制の効果を示している。図示のように、板状部材17,18は、その枠部17a,18aが治具71,72(図5参照)により固定されていることで熱収縮が制限されているため、その熱収縮量C1が非常に小さい。
これに対し、前面板11および背面板12は、線膨張率が比較的大きいPC樹脂からなっているので、その熱収縮量C2が比較的大きい。しかし、このPC樹脂の収縮によるひずみは、前面板11および背面板12と板状部材17,18とを接着している充填材16のゴム弾性により、板状部材17,18を介して枠部17a,18aに吸収される。この枠部17a,18aの熱収縮量C1は非常に小さいため、課題とする前面板表面のうねり等の外観品質上の問題は発生しない。
図7は、上述した第1の実施の形態に係る太陽電池モジュール10の製造方法の一変形例に係る製造プロセスを示している。この製造プロセスは、基本的に2つの工程を含む。まず、太陽電池モジュール10を構成する部材のうち一部の構成部材を予めプリフォームする(図7(a)〜(c)に示す仮ラミネートの工程)。次に、太陽電池モジュール10を構成する残りの構成部材をラミネートする(図7(d)に示す本ラミネートの工程)。
以下、各工程についてさらに詳述する。
図7(a)は、プリフォーム前の各構成部材のレイアップの状態を示している。図示の例では、下から順に、PC樹脂からなる板状部材18、EVA樹脂からなるシート状の充填材16A、セルストリング13、EVA樹脂からなるシート状の充填材16A、およびPC樹脂からなる板状部材17が配置されている。
このような配置でレイアップされた各構成部材を、図4に示すようなラミネータ50に投入し、所要の加熱および加圧処理を施してプリフォームする。具体的には、図7(b)に示すように、ラミネータ50の下側の治具73(図4に示すヒータープレート55に相当)上に上記の配置でレイアップされた各構成部材を載置し、上側の治具74(図4に示すダイヤフラム56に相当)で挟み込み、加熱および加圧する。これにより、シート状の充填材16Aを構成するEVA樹脂が、溶融および流動して、セルストリング13および板状部材17,18と架橋接着される。
この仮ラミネート工程により、セルストリング13と板状部材17,18とが、充填材16Aを介して隙間なく接着された状態にある積層体10Bが形成される。この後、その仮ラミネートされた積層体10Bをラミネータ50から取り出す。この時点では、その積層体10Bは、まだ高温状態にある。
次に、図7(c)に示すように、その高温状態にある積層体10Bを、下側の治具71と上側の治具72の間に挟み込んで固定し、その固定した状態で治具71,72の上下両面から加圧し、積層体10Bが常温に冷却されるまで加圧を継続する。このとき、上述した図5に示す工程の場合と同様に、板状部材17,18が内方側に熱収縮するのを抑制することができる。
次に、図7(d)に示すように、その冷却後の仮ラミネートされた積層体10Bを治具71,72から取り外した後、ラミネータ50により、残りの構成部材である前面板11および背面板12をラミネートする。
具体的には、ラミネータ50の下側の治具(図4に示すヒータープレート55に相当)上に、PC樹脂からなる背面板12、EVA樹脂からなるシート状の充填材16A(図3参照)、仮ラミネートされた積層体10B、EVA樹脂からなるシート状の充填材16A、およびPC樹脂からなる前面板11をこの順に載置し、上側の治具(図4に示すダイヤフラム56に相当)で挟み込み、所要の加熱および加圧処理を施してラミネートする。
これにより、シート状の充填材16Aを構成するEVA樹脂が、溶融および流動して、板状部材17,18、前面板11および背面板12と架橋接着される。このラミネート工程により、前面板11および背面板12と板状部材17,18とが、充填材16を介して隙間なく接着された状態が形成される。
以上の工程により、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10が作製されたことになる。
以上説明したように、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10およびその製造方法によれば、以下の作用効果を奏することができる。
まず、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、前面板11を構成するPC樹脂とセル14を構成する結晶系シリコンとの線膨張差に起因して発生する前面板11の熱膨張収縮を、セルストリング13と前面板11の間に配設した板状部材17によって制限しているので、熱収縮時における前面板11の反りを抑制することができる。
同様に、前面板11と同じPC樹脂からなる背面板12についても、セルストリング13と背面板12の間に配設した板状部材18によって背面板12の熱膨張収縮を制限しているので、背面板12の反りを抑制することができる。これにより、太陽電池モジュール10全体の反りを抑制することができ、また、熱膨張収縮を制限していることで、セルストリング13を構成するインターコネクタ15の断線の防止に寄与することができる。
また、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、板状部材17,18が前面板11および背面板12と同じプラスチック材料であるPC樹脂からなるので、軽量化を図ることができ、さらに、PC樹脂は比較的剛性が低いため曲面形状に形成することが容易となる。これにより、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、応用範囲が広がり、例えば、自動車用のルーフに適用することができる。
また、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、板状部材17,18の枠部17a,18aが太陽電池モジュール10の周囲を囲むように露出して配置されているので、伝熱し易く、熱膨張する時には枠部17a,18a全体が広がるように熱変形することができる。これにより、ラミネート工程において真空加熱時に、剛性体である枠部17a,18aにより、板状部材17,18の枠部17a,18a以外の中心部を含む比較的薄い部分に軽くテンションをかけることができ、しわやたるみが発生しない状態を保つことができる。
また、ラミネート工程において、真空加熱状態から加圧する直前で、板状部材17,18には、しわやたるみがない状態でセルストリング13に圧力を伝えられるので、セル割れやセル流動の発生、インターコネクタ15の断線を防止することができる。
また、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、板状部材17,18の枠部17a,18aが他の部分と比べて厚く形成された剛性体を構成しているので、セル14との線膨張差に起因して発生する板状部材17,18の伸縮を制限するための固定が行い易い構造となっている。
このため、ラミネート直後の冷却工程において、板状部材17,18の枠部17a,18aを上下から治具71,72で挟み込んで固定するだけで、板状部材17,18の外周部から中心部にまで均等に面方向の引っ張り荷重を伝えることができる。つまり、板状部材17,18の枠部17a,18aを高剛性の治具71,72で挟み込むことで、前面板11および背面板12を構成するPC樹脂の熱収縮力がセルストリング13中のインターコネクタ15へは伝わらない構造となっている。
これにより、PC樹脂の熱収縮時におけるセルストリング13の熱収縮が抑制されるので、セル流動による配置ばらつき、セル間のインターコネクタのS字屈曲、前面板表面のうねり等の発生を防止することができる。これは、インターコネクタ15の断線の防止、太陽電池モジュール10の外観品質の向上に寄与する。
(適用例)
図8〜図10は、上述した第1の実施の形態に係る太陽電池モジュール10の適用例を示している。
図8〜図10は、上述した第1の実施の形態に係る太陽電池モジュール10の適用例を示している。
図8に示す第1の適用例では、太陽電池モジュール10の外周部を囲むようにフレーム1が装着されている。このフレーム1は、太陽電池モジュール10の外周部の上下端部にシーリング剤2を介して接着されており、これにより、太陽電池モジュール10の反りや熱膨張収縮を抑制するようになっている。
図9に示す第2の適用例では、太陽電池モジュール10が自動車に搭載されている。太陽電池モジュール10は、その外周部が自動車の車体3に対して気密封止されるように、ゴム製シールリップ4を用いて装着されている。また、太陽電池モジュール10の外周部の下端部分は、シーリング剤5を介して車体3に接着されている。
図10に示す第3の適用例では、同様に、太陽電池モジュール10aが自動車に搭載されている。太陽電池モジュール10aは、その外周部が自動車の車体6に対して気密封止されるように、シーリング剤7を介して車体6に接着されている。また、太陽電池モジュール10aは、補強部材としての板状部材17A,18Aが、その中心部から外周部に向かって徐々に厚さが増加する形状を有している。
このように板状部材17A,18Aの厚さに変化をもたせることにより、太陽電池モジュール10aは、以下の利点を有している。すなわち、板状部材17A,18Aと前面板および背面板との間を充填する充填材に発生する面方向のせん断力は、板状部材17A,18Aの厚さの変化に依存してその中央部よりも両端部の方が大きいため、板状部材17A,18Aにかかる面方向の熱膨張収縮による作用力を均一にすることができる。これにより、板状部材17A,18Aにかかる応力を均一化することができる。
(第2の実施の形態)
図11に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る太陽電池モジュール20の構成は、上述した図1〜図7に基づいて説明した第1の実施の形態に係る太陽電池モジュール10の構成と略同一であるので、第1の実施の形態に係る太陽電池モジュール10の構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略し、特有の構成のみを説明する。
図11に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る太陽電池モジュール20の構成は、上述した図1〜図7に基づいて説明した第1の実施の形態に係る太陽電池モジュール10の構成と略同一であるので、第1の実施の形態に係る太陽電池モジュール10の構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略し、特有の構成のみを説明する。
図11に示すように、本実施の形態に係る太陽電池モジュール20は、上述した図2に示す太陽電池モジュール10の構成と略同一の構成を有したモジュール本体が、低膨張かつ高剛性の保持部材30によって固定された構造を有している。ここでいう低膨張かつ高剛性とは、モジュール本体内に配置される補強部材としての板状部材27,28を構成する材料と比べて、線膨張率が低く、かつ、剛性が高いことをいう。
板状部材27,28は、上述した図2に示す太陽電池モジュール10における板状部材17,18と同じPC樹脂からなっている。このため、保持部材30には、PC樹脂より線膨張率が低く、かつ、高剛性の材料が用いられる。例えば、金属であれば鉄(Fe)やアルミニウム(Al)系の材料を使用することができ、また、ガラス繊維やカーボン繊維を配合したPC樹脂でも線膨張率が相対的に小さくなることから、これらの材料を使用することができる。
保持部材30は、図11に示すように、モジュール本体の側面を囲むように位置する側面部と、この側面部の下端部に繋がる底面部とが一体的に形成された構造を有している。モジュール本体は、保持部材30に収容されるように保持されている。また、保持部材30の側面部には、複数箇所に、外側から内側に向かってビス31が嵌め込まれている。
モジュール本体内に配置される板状部材27,28は、平面視したときに図1に示すような4角形の形状を有している。板状部材27,28の縁となる外周部には、図11に示すように、他の部分より厚く形成された枠部27a,28aが、太陽電池モジュール20を囲むように設けられている。枠部27a,28a内には、保持部材30の側面部に嵌め込まれたビス31の設置個数に対応する数のインサートナット32が配設されている。
本実施の形態に係る太陽電池モジュール20は、複数のビス31をそれぞれ対応するインサートナット32に締結することによって、モジュール本体が保持部材30に接合された構造となっている。したがって、モジュール本体内の板状部材27,28は、インターコネクタ15の配設方向と平行な方向において低膨張かつ高剛性の保持部材30と結合されており、自由熱膨張し難い構造となっている。
このように、本実施の形態に係る太陽電池モジュール20は、保持部材30が低膨張かつ高剛性の特性を有することで、この保持部材30に枠部27a,28aを介して接合された板状部材27,28の変位を制限し、熱膨張収縮を抑制するようになっている。すなわち、板状部材27,28は、これより線膨張率が低い材料で形成された高剛性の保持部材30の線膨張で制限された熱膨張収縮を行うようになっている。
このとき、板状部材27,28を構成するPC樹脂の線膨張率は70ppm/Kであるが、保持部材30を鉄(Fe)系材料で形成することにより、板状部材27,28の線膨張率を11.7ppm/Kに制御することができる。
一般的な太陽電池用ガラスの線膨張率は約9ppm/K、シリコン結晶系のセル14の線膨張率は約4ppm/Kであり、セル14との線膨張差は、ガラスでは5ppm/K、鉄(Fe)系材料では7.7ppm/K、PC樹脂では66ppm/Kとなり、非常に大きな値となる。このセル14との線膨張差は、セル14間を覆っているEVA樹脂のひずみ(以下、便宜上「EVAひずみ」という。)との相関が大きい。
このEVAひずみは、セル14の配設方向と平行な方向(以下、Y方向)と、これに直交する方向(以下、Z方向)において発生する。EVAひずみは、熱収縮側ではセル14間が狭くなる方向に作用し、熱膨張側ではセル14間が広くなる方向に作用する。この現象を図12〜図15を参照してさらに詳しく説明する。
図12、図13に示すように、対策前(現状の技術)では、各セル間A,B,C,DにおけるY方向変位が非常に大きな値となっている。これは、セル14と板状部材27,28を構成するPC樹脂との線膨張差が大きいことに起因しており、PC樹脂の剛性(すなわち、ヤング率および板厚)にも影響される。
図12、図13に示すように、対策後(実施の形態)は、各セル間A,B,C,DにおけるY方向変位が非常に小さな値となっており、セル14間を繋ぐインターコネクタ15に作用する力を軽減する効果があることがわかる。その効果を図14に示す。
図14は、Y方向およびZ方向のEVAひずみの相関を示している。図14に示すように、熱収縮側のY方向変位は、セル間(図中、P1とP2で示す点間に相当)が狭くなるとともに、Z方向には伸びる方向に変形する。このことは、熱収縮側において、Y方向とZ方向の変位よりインターコネクタ(図中、P1とP2の中間位置に相当)への作用ベクトルを計算した結果、インターコネクタへの引張側作用力であることが判明した。
具体的な実験数値を挙げると、インターコネクタの変形前のY方向の変位D1が1.4mmであったのに対し、変形後のY方向の変位D2は1.242mmと縮み、変形前のZ方向の変位H1が0.36mmであったのに対し、変形後のZ方向の変位H2は0.815mmと伸びていた。これらから作用ベクトルを計算すると、インターコネクタの変形前の長さL1が1.4455mmであったのに対し、変形後の長さL2は1.4855mmと伸びていた。
このことは、熱収縮側であっても、インターコネクタへの作用力は引張側になることを示しており、インターコネクタとPC樹脂の線膨張差では、単純に考えた破壊メカニズムは、PC樹脂による熱収縮作用力はインターコネクタに対しても圧縮側となるはずが、実際には、その反対の引張側作用力であることが、研究のすえ判明した。
この状態では、図15(b)に示すように、インターコネクタ15には上下方向に大きな塑性変形を伴ったS字形状が付与される。また、熱膨張側については、図15(c)に示すように、S字状に変形したインターコネクタ15は、PC樹脂が熱膨張側の引張側へ作用したとき、セル14間の部分全体に亘って引張の作用力が発生する。
以上のように、熱収縮と熱膨張を繰り返す温度サイクルに対し、インターコネクタ15には常に引張側への作用力が発生しており、短いサイクルでインターコネクタが断線していた。
したがって、図13に示す対策後のように、セル間のY方向変位を小さくすることができれば、インターコネクタ15のS字状変形が抑えられる。また、破壊モードは塑性変形を伴った低サイクルの疲労破壊となっているが、そのひずみを小さくすることで、破断までのサイクル寿命を延ばすことが可能となる。なお、サイクル寿命は、Manson-Coffin の式で計算できることが一般に知られている。
以上説明したように、第2の形態に係る太陽電池モジュール20によれば、以下の作用効果を奏することができる。
まず、第2の実施の形態に係る太陽電池モジュール20は、前面板11および背面板12を構成するPC樹脂とセル14を構成する結晶系シリコンとの線膨張差に起因して発生する前面板11および背面板12の熱膨張収縮を、セルストリング13と前面板11および背面板12との間に配設した板状部材27,28が接合された低膨張かつ高剛性の保持部材30によって制限しているので、熱収縮時における前面板11および背面板12の反りを抑制することができる。これにより、太陽電池モジュール20全体の反りを抑制することができる。
また、熱膨張収縮を制限していることで、板状部材27,28とセル14間の線膨張差を小さくすることができ、上述した事象A、B、Cが発生しないことから、セルストリング13を構成するインターコネクタ15の断線の防止を図ることができる。
また、本実施の形態に係る太陽電池モジュール20は、上述した第1の実施の形態に係る太陽電池モジュール10と同様に、板状部材27,28が前面板11および背面板12と同じプラスチック材料であるPC樹脂からなるので、軽量化を図ることができ、また曲面形状に形成することが容易となる。これにより、本実施の形態に係る太陽電池モジュール20は、自動車用のルーフに適用することができる。
上述した第2の実施の形態に係る太陽電池モジュール20は、充填材16の材料としてヤング率が均一な材料を用いた場合について説明したが、これに限定されないことはもちろんである。
必要に応じて、板状部材27,28と前面板11および背面板12との間を充填する充填材16のヤング率が、板状部材27,28とセルストリング13との間を充填する充填材16のヤング率よりも低くなるよう、充填材16の材料を変更してもよい。例えば、セルストリング13側の充填材16のヤング率を6〜20MPa程度とし、前面板11および背面板12側の充填材16のヤング率を0.5〜5MPa程度とすれば、好適である。
前面板11、背面板12および板状部材27,28を構成するPC樹脂は、セルストリング13を構成するセル14およびインターコネクタ15と比べて、線膨張率が大きいことから、その熱収縮量が相対的に大きい。このため、前面板11および背面板12側の充填材16のヤング率を、セルストリング13側の充填材16のヤング率よりも低くなるように調整すれば、前面板11および背面板12からのPC樹脂による熱収縮力を板状部材27,28に伝え難くすることができ、板状部材27,28へ付加される熱収縮力を軽減することができる。
これにより、板状部材27,28の厚さを薄くすることが可能となる。また、板状部材27,28の厚さが薄くなることで、この板状部材27,28を固定する保持部材30の剛性を軽減できることから、より軽量な材料を用いて保持部材30を作製することができる。これは、太陽電池モジュール20全体の軽量化に寄与する。
(変形例)
図16〜図24は、上述した第2の実施の形態に係る太陽電池モジュール20の各変形例を示している。以下、各変形例について詳しく説明する。
図16〜図24は、上述した第2の実施の形態に係る太陽電池モジュール20の各変形例を示している。以下、各変形例について詳しく説明する。
図16に示す第1の変形例においては、太陽電池モジュール20aは、特に自動車に搭載されることを意図し、3次元形状に曲面付形された構造を有している。具体的には、太陽電池モジュール20aは、上述した図2に示す太陽電池モジュール10の構成と略同一の構成を有したモジュール本体35が、低膨張かつ高剛性の板状の保持部材33によって固定された構造を有している。低膨張かつ高剛性の意味は、上述した通りである。保持部材33には、例えば、鉄(Fe)系の薄板部材で軽量なものが用いられる。
太陽電池モジュール20aへの曲面付形は、以下のようにして行われる。まず、曲面付形を行う前のラミネート工程では、図4に示したようなラミネータ50を用いて平らな状態で各構成部材をラミネートし、次に、図17に示すような曲面付形用の金型80を使用し、加熱することで曲面付形を行う。
具体的には、各構成部材がラミネートされた、太陽電池モジュール20aとしての積層体を、曲面付形用の金型80と、フィルム、シリコンゴム等からなるダイヤフラム82との間に挟み込むように配置する。その際、ダイヤフラム82は、その外周部分がシーリング剤84で金型80と封止されるように配設される。このダイヤフラム82から真空吸引することで、ダイヤフラム82が下方側に変形し、太陽電池モジュール20aが金型80の表面に密着して押し付けられる。
太陽電池モジュール20aは、セルストリングを除いて樹脂材料からなっているので、加熱されている金型80の表面に押し付けられることで、金型80の表面に沿った曲面形状に容易に成形することができる。
これは、ガラスではなくPC樹脂およびEVA樹脂を用いて形成した太陽電池モジュール20aであるからこそ可能な製造プロセスであり、従前のガラス製モジュールより低コストで製造することが可能である。
図18に示す第2の変形例においては、太陽電池モジュール20bは、上述した図11に示す太陽電池モジュール20のモジュール本体における下側の板状部材28、充填材16および背面板12に代えて、1枚の低膨張かつ高剛性の背面板22が配設された構造を有している。低膨張かつ高剛性の意味は、上述した通りである。
また、太陽電池モジュール20bは、板状部材27と背面板22の間に充填された充填材16の外方側に配設された低膨張かつ高剛性の部材37を備えている。低膨張かつ高剛性の意味は、上述した通りである。この低膨張かつ高剛性の部材37は、背面板22と接合されている。
この第2の変形例に係る太陽電池モジュール20bにおいて、背面板22の代わりに、図19に示すようなハニカム構造体23を配設するようにしてもよい。このハニカム構造体23は、ハニカム構造に形成された板状のコア材24を上下両面から板状のスキン材25で挟み込んだ構造を有している。
このようなハニカム構造体23を使用した実施の形態に係る太陽電池モジュールは、第2の変形例に係る太陽電池モジュール20bと比べて、より軽量化を図ることができるという点で有用である。
図20に示す第3の変形例においては、太陽電池モジュール20cは、上述した図11に示す太陽電池モジュール20のモジュール本体における下側の板状部材28に代えて、低膨張かつ高剛性の基板39が配設された構造を有している。低膨張かつ高剛性の意味は、上述した通りである。
また、太陽電池モジュール20cは、板状部材27と基板39の間に充填された充填材16の外方側に配設された低膨張かつ高剛性の部材37を備えている。低膨張かつ高剛性の意味は、上述した通りである。この低膨張かつ高剛性の部材37は、基板39と接合されている。
基板39には、例えば、ガラスエポキシ系基板、アルミナ等からなるセラミック基板等が好適に用いられる。ただし、基板39の形態はこれに限定するものではなく、板状部材27等を構成するPC樹脂よりも低膨張かつ高剛性の部材であれば、このような部材も使用することができる。
図21に示す第4の変形例においては、太陽電池モジュール20dは、上述した図11に示す太陽電池モジュール20のモジュール本体の構成と略同一の構成を有したモジュール本体に、その外周部を囲むように低膨張かつ高剛性のフレーム40が装着された構造を有している。低膨張かつ高剛性の意味は、上述した通りである。フレーム40は、モジュール本体の外周部の上下端部にシーリング剤8を介して接着されている。
また、フレーム40の側面部には、複数箇所に外側から内側に向かってビス31が嵌め込まれている。一方、モジュール本体内に配置される補強部材としての板状部材27A,28Aの外周部に形成された枠部27a,28a内には、フレーム40の側面部に嵌め込まれたビス31の設置個数に対応する数のインサートナット32が配設されている。
本実施の形態に係る太陽電池モジュール20dは、複数のビス31をそれぞれ対応するインサートナット32に締結することによって、モジュール本体がフレーム40に接合された構造となっている。したがって、モジュール本体内の板状部材27A,28Aは、インターコネクタ15の配設方向と平行な方向において低膨張かつ高剛性のフレーム40と結合されており、自由熱膨張し難い構造となっている。
また、本実施の形態に係る太陽電池モジュール20dは、板状部材27A,28Aが、その中心部から外周部に向かって徐々に厚さが増加する形状を有している。このように板状部材27A,28Aの厚さに変化をもたせることにより、本実施の形態に係る太陽電池モジュール20dは、上述した図10に示す太陽電池モジュール10aと同様に、板状部材27A,28Aにかかる面方向の熱膨張収縮による作用力を均一にすることができるという効果を有している。
図22に示す第5の変形例においては、太陽電池モジュール20eは、上述した図11に示す太陽電池モジュール20のモジュール本体の構成と略同一の構成を有したモジュール本体が、その外周部を、低膨張かつ高剛性の2つのフレーム42および2つのPCフィルム固定部材44によって固定された構造を有している。低膨張かつ高剛性の意味は、上述した通りである。
2つのフレーム42は、四角形状の太陽電池モジュール20eの長手方向に延び、2つのPCフィルム固定部材44は、その短手方向に延びている。隣り合うフレーム42およびPCフィルム固定部材44は、ボルト46によって締結されている。図22(b)に示すように、PCフィルム固定部材44は、モジュール本体内に配置される補強部材としての板状部材27,28を構成するPC樹脂のフィルムを固定保持するためのものである。
本実施の形態に係る太陽電池モジュール20eは、図23に示す第1の治具92と、図24に示す第2の治具94とを用いて、板状部材27,28にテンションをかけながら製作されるようになっている。
図23に示すように、第1の治具92は、内部にスプリングが内蔵されたピストンロッド構造を有している。製造プロセスのラミネート工程において、第1の治具92のスプリングの伸長方向(図中、矢印で示す方向)の付勢力により、PCフィルム固定部材44によって固定された板状部材27,28に絶えず軽くテンションを与えておくようになっている。これにより、板状部材27,28を構成するPC樹脂のフィルムの弛みを防止するようになっている。
図24に示すように、ラミネート直後の太陽電池モジュール20eとしての積層体は、第2の治具94にセットされるようになっている。第2の治具94には、その四隅に上方側に突出した係止部95が設けられている。第2の治具94の長手方向の係止部95間の間隔は、一方の端部に配設された調整ねじ96を回すことによって調整されるようになっている。
すなわち、ラミネート直後の太陽電池モジュール20eとしての積層体は、第2の治具94の四隅に設けられた係止部95に係合してセットされるようになっている。そして、調整ねじ96を回して長手方向の係止部95間の間隔を調整することにより、そのセットされた積層体における板状部材27,28を構成するPC樹脂のフィルムが熱収縮しないように固定されるようになっている。
以上説明したように、本発明に係る太陽電池モジュールは、反りを抑制し、軽量化を図るとともに、曲面形状に形成することができるという効果を有し、住宅用、自動車用等の用途に限らず、屋外で使用され得る太陽電池モジュール全般に有用である。
10,10a,20,20a,20b,20c,20d,20e…太陽電池モジュール、11…前面板、12,22…背面板、13…セルストリング、14…セル(太陽電池セル)、15…インターコネクタ、16…充填材、17,18,27,28…板状部材(補強部材)、17a,18a,27a,28a…枠部(外周部)、17b,18b…傾斜部、30,33…保持部材、35…モジュール本体、50…ラミネータ、71,72,73,74,92,94…治具、80…金型
Claims (2)
- 受光する側に配設されたプラスチック材料からなる前面板と、
前記前面板と対向するよう配設された背面板と、
前記前面板と前記背面板との間を充填する充填材と、
前記充填材によって封止されるよう前記充填材中に配設され、太陽電池セル同士がインターコネクタを介して接続されたセルストリングと、
前記セルストリングと前記前面板との間に配設されたプラスチック材料からなる補強部材と、を備えたことを特徴とする太陽電池モジュール。 - 前記補強部材は、中心部から外周部に向かって厚さが増加する形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
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