JP2014163759A - 土壌沈降分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液状化検討のために、簡易かつ迅速に、採取した土壌に含まれる粗粒分(砂)の比率を把握することができる土壌沈降分析方法を提供する。
【解決手段】土壌沈降分析方法は、土壌に含まれる粗粒分の体積の割合を判定する。第1の計量ステップは、判定する対象である土壌の体積を計量する。第2のステップは、土壌と水を攪拌して成る混合液の入った計量容器を静置してから後、水温と混合液の深さに応じて定まる待機時間を経過した時の、沈殿した土壌粒子の体積を計量する。
【選択図】図3
【解決手段】土壌沈降分析方法は、土壌に含まれる粗粒分の体積の割合を判定する。第1の計量ステップは、判定する対象である土壌の体積を計量する。第2のステップは、土壌と水を攪拌して成る混合液の入った計量容器を静置してから後、水温と混合液の深さに応じて定まる待機時間を経過した時の、沈殿した土壌粒子の体積を計量する。
【選択図】図3
Description
本発明は、土壌に含まれる粗粒分の割合を判定する土壌沈降分析方法に関する。
現在、小規模建築物(戸建住宅や小規模な集合住宅など)での地盤調査法として、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)がある。SWS試験は、全国で数多く実施されており、簡易かつ安価な地盤調査法である。
仮にこの地盤調査を利用して、液状化検討に寄与する追加情報を得ることができれば、その液状化に関する情報は、全国規模の膨大な数のデータとなるため、大いに有効なデータとなるものと思われる。
液状化検討に必要な情報として、堆積する土壌の分類(砂質土なのか粘性土なのか)や、深度による土質の変化相(地層ごとの砂質土や粘性土への変化)がある。しかし、SWS試験のみでは、これらの情報を得ることが困難であった。
従来、土の粒度を調べる方法として、ふるいを用いるものがある。また、土の粒度試験方法として特許文献1に開示されたものが知られている。この試験方法では、粒径の違いによる水中の沈降速度の違いを利用し、砂層とシルト層、シルト層と粘土層をそれぞれ識別するために、塗料が塗布された標準粒子を懸濁液に含有させる。
しかし、ふるいを用いる方法は、複数のふるいを用意しなければならず、さらに、湿潤状態の粘性土で試験を実施する場合は、適量の水を加えて裏ごしを行うとともに、乾燥工程が必要となり、面倒であるとともに、時間がかかる。一方、特許文献1の試験方法では、標準粒子を作成する手間がかかるとともに、砂層、シルト層、粘土層等の全ての層が沈殿した後でなければ全体における砂層の含有率を算出できないため、試験結果が出るまで一例として24時間放置している。
本発明は、液状化検討のために、簡易かつ迅速に、採取した土壌に含まれる粗粒分(砂)の比率を把握することができる土壌沈降分析方法を提供することを目的としている。
本発明に係る土壌沈降分析方法は、土壌に含まれる粗粒分の体積の割合を判定する土壌沈降分析方法であって、判定する対象である土壌の体積を計量する第1の計量ステップと、土壌と水を攪拌して成る混合液の入った計量容器を静置してから後、水温と混合液の深さに応じて定まる待機時間を経過した時の、沈殿した土壌粒子の体積を計量する第2の計量ステップとを含むことを特徴としている。
好ましくは、第2の計量ステップは、待機時間を経過した後、混濁した上澄み水のみを計量容器から排水し、新たに加水して攪拌してから再び待機時間を経過した時の、沈殿した土壌粒子の体積を計量する。
また、好ましくは、第1の計量ステップは、判定する対象である土壌中の隙間を排除するために、計量容器中の土壌に一定の力を加えて土塊とした後行い、攪拌ステップは、第1の計量ステップの後で、かつ、第2の計量ステップの前において、土塊が泥水状になるまで混合液を攪拌する。
また、好ましくは、土壌は、複数の深度で採取され、第1の計量ステップは、採取された各深度の土壌毎に行われる。
また、好ましくは、水温が15℃〜35℃の場合には、水中の粗粒分粒子の沈降速度が4.3〜6.9mm/秒の範囲で水温に比例するとして、すべての粗粒分粒子が前記計量容器の底に沈殿するのにかかる時間を算出することにより、前記待機時間が定まる。
本発明によれば、液状化検討のために、簡易かつ迅速に、採取した土壌に含まれる粗粒分(砂)の比率を把握することができる土壌沈降分析方法を得る。
図1は、土壌採取装置10を示す外観図である。土壌採取装置10は、相互に連結されたハンドル11と、ロッド12と、中間サンプラ20と、先端サンプラ30とを備える。ハンドル11は、ロッド12の一端に連結部材13により取り付けられる。中間サンプラ20は、連結部(図示せず)によりロッド12の他端に連結され、先端サンプラ30は、中間サンプラ20の下端に連結される。中間サンプラ20と、先端サンプラ30を用いて土壌が採取される。
先端サンプラ30の下端は尖頭形状に形成される。図1の土壌採取装置10は、中間サンプラ20と先端サンプラ30の各1つのサンプラを備えるが、本発明はこれに限定されない。採取する深度によって、土壌採取装置10は、中間サンプラ20を複数備えてもよく、中間サンプラ20又は先端サンプラ30のいずれかのみを備えてもよい。土壌採取装置10が中間サンプラ20のみを備える場合には、その下端にスウェーデン式サウンディング試験で用いるスクリューポイント等の挿入部材を連結させる。
図2は、中間サンプラ20の斜視図である。中間サンプラ20は、略四角柱の形状の本体21を備え、その両端に、円筒形状の右側連結部25と左側連結部26が形成される。本体21の側面22には、長手方向に沿って所定の間隔で、土壌採取用の複数の孔23が穿孔される。先端サンプラ30も中間サンプラ20と同様に複数の孔を備える(図示せず)。これらの孔の容積は例えば20〜25mlの土壌試料を採取できる程度の大きさである。
土壌採取装置10による採取作業は、スウェーデン式サウンディング試験により形成された調査孔(図示せず)を利用して行う。土壌採取装置10の操作者は、先端サンプラ30を調査孔に挿入する。ここで、操作者は、サンプラを調査したい深度に到達させる。所望の深度にサンプラが到達すると、操作者は、ハンドル11を右回転(図2の矢印Aの向き)に回転させる。このとき、各サンプラの複数の孔に土壌が収容される。操作者は、同様にハンドル11を数回回転させた後、土壌採取装置10を引き抜く。なお、多くの土壌が必要な場合には、上記の一連の操作を繰り返し行う。
これにより、一定間隔の深度における土壌が採取される。一定間隔でなくとも、複数の深度における土壌を採取することにより、深度による土質の変化相(地層毎の砂質土や粘性土への変化)の情報を得ることができる。なお、サンプラを備える土壌採取装置10を用いて土壌を採取する方法について説明したが、本発明はこれに限定されない。次に、採取した土壌の沈降分析方法の説明を行う。
図3は、本発明の実施形態に係る土壌沈降分析の試験手順を示すフローチャートである。試験環境は、水温を約15℃〜20℃とする。試験に用いる水は水道水でもよい。また試験の前提として、水中の粗粒分(砂)の沈降速度を、約4.5mm/秒(水温:約15℃〜20℃)とし、細粒分(粘土等)の沈降速度はこれよりも遅いことを前提とする。水の温度範囲を設定したのは、後述するように、水の粘性により粗粒分の沈降速度が変化するためである。
土壌採取装置10で採取された土壌試料は、密閉容器に仮置きされる。サンプラの各孔毎に、すなわち各深度毎に収容された土壌試料(通常は20〜25ml程度)の体積を計量カップで計量する(第1の計量ステップ)(ステップS1)。この際、土壌中の隙間を適切に排除するために、計量カップの中の土壌に、へらや棒等により一定の力を加えて土塊とした後計量する。土壌が水分を多く含んだゆるい状態ならばこのような隙間は生じないが、粘土質の土壌の場合には、計量カップの隅や土壌の間に隙間が生じる可能性があるからである。次に、体積が20mlとなるように土塊の量を調整する。なお、体積が20mlよりも少ない場合には、調整をせずにその体積を記録しておく。調整した20mlの土壌試料の全量を樹脂製ビーカに移し、80ml程度の水を加え、ガラス棒などで土壌試料の土塊が泥水状になるまで混合液を攪拌する(攪拌ステップ)(ステップS2)。
次に、泥水状となった試料をそのまま200mlのメスシリンダ(計量容器)に移す(ステップS3)。樹脂製ビーカに付着して残った土粒子は、少量の水を加えて、樹脂ヘラなども用いて水とともにメスシリンダに移す。全ての土粒子を移し終わるまで必要に応じてこの作業を繰り返す。但し、試料泥水がメスシリンダの容量を超えないように注意する(ステップS4)。なお、樹脂製ビーカを用いずに、メスシリンダに直接土壌試料を移してもよい。この場合、ステップS4を省略することができる。
メスシリンダの容量付近まで新たに加水し、ガラス棒を使って30秒程度攪拌する。粘性が高く、土の団粒の分離が悪い場合などは攪拌する時間を適宜延長する(ステップS5)。攪拌後はメスシリンダを水平面に静置し、粗粒土が沈降するまで45秒間(待機時間)待機する(ステップS6)。この45秒の数値は、メスシリンダの深さ200mmを砂の沈降速度4.5(mm/秒)で除することにより得られる。次に、静かにメスシリンダを傾けて、細粒分が混濁した上澄み水のみを排水するが、その際、底部に沈降している土が流出しないよう注意する(静かに行えば粗粒分は底部にたまったまま流れ出さない)(ステップS7)。ここで、上澄みに透明感が認められるまで、ステップS5〜ステップS7を5回から10回程度繰り返す(ステップS8)。ここで、野外の現場で概略的に把握したい場合は、ステップS5〜ステップS8は省略して試験を行い、室内でステップS5〜ステップS8を行うようにしてもよい。
次に測定を行うが、試料水面の高さをメスシリンダの内部底位置より200mmとするため、加水や排水によって200mmの高さに調整する(ステップS9)。この際、試料水の容量ではなく水面の高さを200mmとする点に留意する。メスシリンダの口部を手で押さえて、試料泥水がこぼれないように横転させ、既に沈降している粗粒分が水中に再び均等に浮遊するように、メスシリンダを激しく振る(ステップS10)。
土壌と水を攪拌して成る混合液の入ったメスシリンダを水平面に静置し、計時を開始する(ステップS11)。また、静置後20秒程度の間に、沈降粒子間の気泡を排除するのと、メスシリンダ内側側面に残留した水を落とすために、メスシリンダを立てた状態で手指による回転や弱振動を加える(ステップS12)。静置後45秒後にメスシリンダの底に沈殿した試料、すなわち粗粒分の体積を、沈降粒子の上端面と目盛りから計量し(第2の計量ステップ)、記録する(ステップS13)。なお、この時点で上澄みに浮遊している若干の粒子がある場合、これらは残存した細粒分や腐植物質と判断して計測量に加えない。計時が1回目の場合(ステップS14:Yes)、ステップS10〜ステップS13を繰り返す。計時が2回目の場合(ステップS14:No)、計測値に1回目と極端に相違がないことを確認し、計測値の評価を行う(ステップS15)。
図4は、水温による沈降時間の違いを示す表である。本実施形態では、試験環境を水温が約15℃〜20℃となるように設定しているが、本発明はこれに限定されない。図4に示すように、水温5℃〜35℃の範囲で、75μmの粒子直径の土壌の沈降に要する時間は、水温にほぼ反比例して増加する。このため、沈降時間、すなわち待機時間は、水温と混合液の深さに応じて定まる。例えば、使用する水を水温30℃以上の湯又は水として、混合液の深さを200mmとした場合の沈降待機時間は30秒とすることができる。また、水温が15℃〜35℃の場合には、水中の粗粒分粒子の沈降速度が4.3〜6.9mm/秒の範囲で水温に比例するとして、すべての粗粒分粒子がメスシリンダの底に沈殿するのにかかる時間を算出することにより待機時間を定めてもよい。
計測値の評価方法は、以下の式(1)を用いて行う。
粗粒分容積比率(%)= [ステップS13での記録(ml)/20ml)]×100
・・・(1)
但し、ステップS1での計量が20mlよりも少ない場合は、その値を分母とする。本実施形態では、式(1)を用いて、土壌に含まれる粗粒分の体積の割合を判定する。
粗粒分容積比率(%)= [ステップS13での記録(ml)/20ml)]×100
・・・(1)
但し、ステップS1での計量が20mlよりも少ない場合は、その値を分母とする。本実施形態では、式(1)を用いて、土壌に含まれる粗粒分の体積の割合を判定する。
[実施例]
次に、本発明の実施例について説明する。本実施例の土壌沈降分析の土壌採取は、2012年12月20日に千葉県浦安市運動公園で行われた。SWS残孔にて、土壌採取装置10を使用して採取した。SWS試験深度は7.5mまで実施した。採取は、6.5m/5.5m/4.5mの各深度について一括採取した後、3.5m/2.5m/1.5mの各深度について一括採取した。
次に、本発明の実施例について説明する。本実施例の土壌沈降分析の土壌採取は、2012年12月20日に千葉県浦安市運動公園で行われた。SWS残孔にて、土壌採取装置10を使用して採取した。SWS試験深度は7.5mまで実施した。採取は、6.5m/5.5m/4.5mの各深度について一括採取した後、3.5m/2.5m/1.5mの各深度について一括採取した。
図5は、本発明の実施例に係る土壌試料の簡易沈降分析における、開始から10日後の沈殿した土壌の様子を示す図である。すなわち、図5は、簡易土壌沈降分析試験開始(12月26日)から10日後(2013年1月5日)の様子を示す。図5の左から、1.5m/2.5m/3.5m/4.5m/5.5m/6.5mの各深度における試料100を示す。図には示されていないが、実際には、底に明らかに分離して見える粒子のうち、下部には細砂、その上にはシルトや粘土が堆積していた。これらより上に水200が懸濁した部分があったが、これは、浮遊している極微細な粘土粒子の沈降途中の状態と考える。粒径毎に分離されて沈殿した部分と水が懸濁した部分の境界は、実物目視により判別できた。細砂の上に分離されて沈殿した細粒分は、粒子間の空隙が広がって容積の計量値が正味の容積より増加していると考えられる。このため、メスシリンダ300に振動を加えると、分離して沈殿した細粒分の上端が波打つように動作するのが観察された。
図6は、本発明の実施例に係る土壌試料の簡易沈降分析結果を示すグラフである。実線400が本実施形態に係る粗粒分容積比率を示し、破線500が開始から10日後の沈殿した試料の容積を示す。図6に示す通り、本実施例では、沈殿した細粒分を含む試料の容積は、開始から10日後では、深度が浅い方から48/47/46/65/58/45(各ml)であった。一方、本実施形態に係る粗粒分容積比率は、深度が浅い方から52/32/32/48/52/80(各%)であった。
以上のように、本実施形態によれば、水温と混合液の深さに応じて定まる待機時間を経過した時に沈殿した試料を計量することにより、細粒分の影響を受けずに試料に含まれる粗粒分の容積を計量することができる。
10 土壌採取装置
11 ハンドル
12 ロッド
13 連結部材
20 中間サンプラ
21 本体
22 側面
23 孔
25 右側連結部
26 左側連結部
30 先端サンプラ
100 試料
200 水
300 メスシリンダ
400 実線
500 破線
11 ハンドル
12 ロッド
13 連結部材
20 中間サンプラ
21 本体
22 側面
23 孔
25 右側連結部
26 左側連結部
30 先端サンプラ
100 試料
200 水
300 メスシリンダ
400 実線
500 破線
Claims (5)
- 土壌に含まれる粗粒分の体積の割合を判定する土壌沈降分析方法であって、
判定する対象である土壌の体積を計量する第1の計量ステップと、
土壌と水を攪拌して成る混合液の入った計量容器を静置してから後、水温と前記混合液の深さに応じて定まる待機時間を経過した時の、沈殿した土壌粒子の体積を計量する第2の計量ステップと
を含むことを特徴とする土壌沈降分析方法。 - 前記第2の計量ステップは、前記待機時間を経過した後、混濁した上澄み水のみを前記計量容器から排水し、新たに加水して攪拌してから再び前記待機時間を経過した時の、沈殿した土壌粒子の体積を計量することを特徴とする請求項1に記載の土壌沈降分析方法。
- 前記判定する対象である土壌中の隙間を排除するために、計量容器中の前記土壌に一定の力を加えて土塊とした後、前記第1の計量ステップを行い、
前記第1の計量ステップの後で、かつ、前記第2の計量ステップの前において、前記土塊が泥水状になるまで混合液を攪拌する攪拌ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の土壌沈降分析方法。 - 前記土壌は、複数の深度で採取され、
前記第1の計量ステップは、前記採取された各深度の土壌毎に行われることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の土壌沈降分析方法。 - 水温が15℃〜35℃の場合には、水中の粗粒分粒子の沈降速度が4.3〜6.9mm/秒の範囲で水温に比例するとして、すべての粗粒分粒子が前記計量容器の底に沈殿するのにかかる時間を算出することにより、前記待機時間が定まることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の土壌沈降分析方法。
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JP2013033880A JP2014163759A (ja) | 2013-02-22 | 2013-02-22 | 土壌沈降分析方法 |
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