JP2014161323A - 細胞培養法と該方法に使用する磁気刺激コイル並びに電源ケーブル - Google Patents

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【課題】細胞培養において、非侵襲的な方法によって細胞の分化を制御する。
【解決手段】連続するパルス磁場中で細胞培養を行うことにより細胞の分化を促進し、細胞の形態的・機能的変化を誘導する。細胞の形態的・機能的変化が、神経細胞の突起形成、及び神経細胞のアセチルコリンエステラーゼ活性の促進である方法。また、パルス磁界の強度が0.2〜2テスラ、パルス巾が0.01〜10msであり、磁場の時間間隔が1ms〜10sの連続するパルス磁場である方法。更に細胞培養容器に印加する磁場の方向によって、細胞の形態的成長方向を制御する方法を提供。
【選択図】図5

Description

本発明は連続するパルス磁場中で細胞培養を行うことにより、培養細胞の分化を促進する細胞培養法と該方法に使用する磁気刺激コイル並びに電源ケーブルに関する。
現在、再生医療において、皮膚、血管、臓器、神経など各種の細胞を培養する技術が開発されている。この目的のためには、(1)細胞の培養速度を増す、(2)培養細胞の分化を促進する、(3)任意の方向への細胞の形態的成長を制御できることが望ましい。細胞を培養するには、栄養分を満たした無菌の培養容器を一定温度、一定環境下に保持することが不可欠である。細胞分化を促進する添加物の使用は副次的な影響を考えると好ましい方法ではない。また、電気刺激のように電極を介して外界と接続する方法は、有害イオンの発生や雑菌混入の恐れがある。
一方、生体機能に電磁現象が非侵襲的に影響する可能性として、高圧線による電磁界の効果が数多く検討されている。また、超伝導浮上車両や、MRIなどの極めて強い静磁場を利用する技術が出現したことに加えて、携帯電話のように微弱ではあるが、人体に密着させて使用する電磁放射機器が出現したことによって、電磁界が生体に及ぼす影響が広く研究されている。
高圧送電線の人体への影響は不明としながらも、経済産業省は高圧線近傍の居住場所として、50Hzの送電線が発する磁界は100マイクロテスラ(1ガウス)以下とする、安全基準を設定した(2007年10月)。この安全基準は60Hzの場合は83マイクロテスラであって、これらの値は磁界の変動周期が短いほど、生体への影響が増す可能性を考慮している。
超伝導磁石の強力な静磁場を利用するMRIの安全性に関係して、静磁界が生体に及ぼす効果が研究されており、分裂期の細胞に対する影響が特に重要とされている。一例として、非特許文献1によれば、ツメガエルの受精後3時間までの卵を、14テスラの強磁場中に置くと、75%以上の卵に第3分割面と卵表面の交わる面の傾き角に影響が現れたが、催奇性はなかった。また植物の場合、とうもろこしの根は0.5テスラの磁場方向に22〜27%伸長促進が見られ、4テスラの強磁場中に4℃で3日間保持した後、6日間培養すると、磁場処理した種の発芽率は52.8%と対象群の31.6%よりも11.2%高くなった研究結果が公表されている。
非特許文献2ではマウス由来の線維芽細胞を5Tの静磁場下で24時間培養した場合に、磁束密度×磁場勾配が大きな位置では、培養後の細胞数が1割程度減少している。この研究では磁場勾配よりも磁束密度の影響が大きいと報告している。
また、非特許文献3は、生態系物質の電子伝達のような重要な過程には常磁性物質の関与が必須なので、ヘモクロビン、ミオグロビン、チトクロム、フェリチンなどの鉄たんぱく質が、生体内で生成される過程で静磁界の影響を受ける可能性を指摘している。
以上の結果は交番磁界による誘導加熱効果とは別に、磁界そのものが細胞分裂に影響を及ぼす可能性を示している。
細胞分裂を対象とする重要な応用技術に細胞培養があり、以下の非特許文献、および、特許文献において、磁気を応用した多くの細胞培養法が研究開発されている。
非特許文献4は神経栄養因子で被覆した直径250nm微小磁気ビーズをニワトリ脊髄後根神経細節神経細胞に添加して培養し、この時に神経細胞の特定領域のみを永久磁石を用いる外部磁界によって固定している。
特許文献1は、磁化可能なナノ粒子を付着させた幹細胞を磁気で活性化またはターゲテイングして操作するものである。具体的には0.1〜10Hzの周波数で、10〜1400mTの磁場を用いている。目的とする細胞の抗体を担持した磁性微粉末を特定の細胞と一体化させて培養し、それらを磁気的に分離する技術は、「磁気的活性化選別法((Magnetic Activated Cell Sorting)MACS法)」として、特許文献1以外にも多くの特許出願が成されている。
細胞培養は通常、培養容器の表面で進行するが、特許文献2は細胞培養の有効面積を増大させるために、ヒドロゲル組成物を培養基とする培養池に、培養細胞のマイクロキャリアとして磁性粒子、常磁性粒子などを組み合わせた発明である。マイクロキャリア表面あるいは内部に付着させた細胞を、磁力などの外力によって移動あるいは分散させることにより、新鮮な培養池への移動や増殖した細胞塊の分取が容易になるとしている。
特許文献3は培養細胞のパターン、あるいは、細胞の集合体の形状を磁場パターン形成によって制御する発明である。この目的のために磁性ナノ粒子を細胞の表面に付着、あるいは細胞内部に混入させて、複数の電磁石あるいは永久磁石によって形成する磁場の形に沿って培養細胞を増殖させる。また、この発明によれば培養細胞を培養液中に浮遊させることによって、3次元形状集合体が形成できるとしている。
特許文献4は、関節軟骨細胞のような「機械的抵抗性」を有する細胞の培養に関する発明である。関節軟骨細胞や骨細胞に対して、磁気ミニアクチュエータに磁力による圧力を印加しながら培養する。これにより、軟骨細胞の特殊能力が刺激されて充分な細胞外基質コンポネントが合成できるとしている。
特許文献5は導電性の透明電極製マイクロヒーターを通電加熱しながら細胞培養を行う方法である。この発明では形状を棒状、中空などに最適化することで培養液の牽引体積を増加させた磁性ビーズを培養液中に分散させて、培養容器外に設置する多極磁気リングが発する磁力によって培養液を攪拌する。これにより培養細胞の増殖効率を向上させている。
アイシーピー出版(株)「磁気科学」、北澤宏一監、p476−480 松井、坂井、若狭、日本化学会第91回春季大会要旨集(2011.3) オーム社、「バイオマグネトロニクス入門」渥美、小谷、上野共編、昭和61年刊、P.40 仲、北澤、赤石、清水、日本生物工学会誌、(2006.2)p.71
特許公表2007−518710号公報 特許公表2007−535902号公報 特許公表2012−503492号公報 特許公表2007−508830号公報 特許公表2009−525756号公報
本発明は、連続するパルス磁場中で細胞培養を行うことにより、細胞の形態的・機能的変化、すなわち細胞分化を誘導させるものである。
細胞培養に磁場を併用する研究はこれまでも多くなされており、それらの結果が発表、あるいは特許出願されている。非特許文献1および2によれば、超伝導磁石による数テスラの強い静磁場が細胞分裂に影響することが分かる。また非特許文献3は、磁場が生体活動に必要な常磁性化合物の生成過程に影響を及ぼす可能性を示唆している。
一方、特許文献1〜5に示した細胞培養に関する先行発明は、いずれも培養過程で培養容器外部から磁界を加えることで、細胞培養の効率が向上するとしている。しかしながら、特許文献1の発明における磁場の役割は、培養して増殖した細胞から目的とする細胞のみを分離することである。特許文献2は培養細胞の移動に外部磁場を使用する。特許文献3は培養細胞に所定のパターンを付与するために外部磁場を使用している。これら3つの特許文献はいずれも磁性ナノ粒子を目的とする培養細胞に付着させている。
特許文献4は関節軟骨細胞のような特定の細胞を培養する場合に、磁気ミニアクチュエータによって培養細胞に圧力を加えることによって良質な軟骨細胞が得られるとしている。さらに特許文献5は形状を最適制御した磁性ビーズと、培養容器外の磁場によって培養液を攪拌するものである。以上のように特許文献1〜5の先行する発明は、いずれも磁場中で細胞培養を行う特徴があるが、外部磁場の目的は磁界が発生する磁力であって、磁性ナノ粒子、ミニアクチュエータ、磁性ビーズのように磁場に吸引される物質を必要としている。
超伝導磁石は強い磁界を発生できる。しかし、装置が大型で液体ヘリウムを必要とするために高価、小型化が困難、周囲に磁性を有する器具や装置を置くことができない等の制約がある。本発明は超伝導磁石のように大掛かりで高価な装置を必要とせず、小型電源によって発生するパルス磁場中で細胞培養を行なうことで、培養細胞の細胞分化を誘導することを目的とする。
本発明は以下の手段によりパルス磁場中で細胞培養を行うことによって培養細胞の分化を誘導する。
(1)細胞培養において、磁場強度が0.2〜2テスラ、パルス巾が0.01〜10msのパルス磁場を培養容器に印加することで細胞の分化を促進する。磁束密度0.2テスラは、神経に興奮を起こすことが出来る磁場強度の下限値であり、2テスラはケイ素鋼コアが発生できる磁場強度の上限値である。
(2)細胞培養器に印加する磁場の時間間隔が1ms〜10sの連続するパルス磁場を使用する。時間間隔1ms以下のパルス電源は設計が困難である。また、時間間隔10秒以上とすると、必要なパルス数を得て培養するための時間が長くなる。
(3)細胞培養容器に印加する磁場の方向によって、細胞の形態的成長方向を制御して細胞培養を行う。磁場の向きはコイルの直角方向が最も強いので、図1のコイル配置では垂直方向の磁場を、図2によれば水平方向の磁場を発生して、細胞培養ができる。
(4)磁場発生用コイルにヒートシンクを兼ねるコアを併用することにより、コイル温度上昇を防止し、磁場を増強し、かつ磁場方向の制御を行ないながら細胞を培養する。コイルにケイ素鋼のような高透磁率のコアを併用すれば、同じ強度の磁場を得るためのコイル電流が減少し、コイルの発熱も減少する。
(5)磁場発生用コイルとコアにフィンや送風機などの放熱機能を具備させることにより、コイルの温度上昇を抑制する。
(6)細胞培養容器内でパルス磁場発生コイルを使用するには、電気抵抗が少なく絶縁性に優れた高圧電源ケーブルを必要とする。細胞培養容器を改造することなく、この目的を達成するために、磁場発生用コイルの巻き線と同等の断面積を有する絶縁平板線を電源ケーブルとして用い、培養容器のドアの隙間を介してパルス電源とコイルを接続する。
これらの手段によって、細胞培養容器の任意の方向にパルス磁場を連続して印加し、かつ、培養容器の温度上昇を防止しながら、長時間にわたる細胞培養を行うことができる。
細胞培養は温度、雰囲気などを一定に保った条件下で行うことが必須条件であって、培養条件・環境のわずかな変化が培養の結果に大きく影響する。従って、培養条件の制御によって細胞の周期や細胞分化を調節することは困難である。超伝導磁石を用いるきわめて強い静磁場中で、培養細胞の増殖速度は増すことが知られている。しかし、超伝導磁石は大型、高価、維持費用がかかるなどの問題を有しており、簡単に細胞培養に活用することはできない。本発明は小型、軽量な電源によって発生可能な、パルス巾が0.04ms程度、パルス強度が1テスラ程度の連続パルス磁場を用いることにより、細胞培養装置を改造することなく細胞分化を誘導することが可能であった。また、磁場方向を制御することによって、細胞の形態的成長方向を制御することも可能である。
培養器の細胞面に垂直にパルス磁場を加える培養装置 培養器の細胞面に水平にパルス磁場を加える培養装置 パルス磁気刺激を異なる時間(0,0.75,3,12時間/日)加えて培養したPC12細胞の位相差顕微鏡像(スケールは0.1mm)。 パルス磁気刺激を異なる時間(0,0.75,3,12時間/日)加えて培養したPC12細胞の、培養条件と神経突起を保持する細胞の割合。神経成長促進剤(BMP4及びNGF)は、磁気パルスの効果と比較するために使用。 PC12細胞に一日毎に合計12時間パルス磁場刺激を加えて培養した場合の位相差顕微鏡像(スケールは0.1mm)。 PC12細胞に一日毎に合計12時間パルス磁場刺激を加えて培養した場合の、神経突起を保持する細胞の割合。神経成長促進剤(BMP4及びNGF)は、磁気パルスの効果と比較するために使用。
連続するパルス磁場は、直流の高圧パルス電源と、コア付きの磁場発生用コイルによって発生させた。パルス電源はコンデンサに高圧電圧にて充電した、放電制御素子であるサイリスタによって、設定時間ごとに磁場発生コイルに繰り返し放電する。磁場発生コイルは絶縁した銅板を巻き、コイル中央部に、圧延方向を磁束方向に一致させた圧延ケイ素鋼コアを固定した。コアはその熱容量を活用するヒートシンクとし、コイルのジュール熱を吸収するので、コイルの温度上昇速度を低減する。さらにコアは小型ファンとフィンを具備しており、放熱を促進する。
細胞培養は以下の手順で行った。培養細胞として神経モデル細胞として、例えばPC12細胞を使用し、培養容器(例えばコラーゲンIVコート済24穴プレート)の5%牛血清および5%馬血清含有培養液内にまき、細胞培養用インキュベーター(37℃、5%CO2環境)にて24時間経過後、1%馬血清含有培養液(分化誘導用培養液)に培養液を交換する。このプレートを細胞培養用インキュベーター内部に設置した磁気パルス発生装置の磁場発生部(コイル)上にセットし、磁場強度が0.2〜2テスラ、パルス巾が0.01〜10msのパルス磁場を連日培養容器に印加する。この際、細胞培養器に1日当たり例えば6〜12時間パルス磁場を印加する。コイルの過熱を防ぐため、例えば磁気パルス発生装置に接続したプログラムタイマーにより、3時間ごとに1時間の刺激休息時間を設けるなどパルス磁場を印加した。PC12細胞の形態的分化指標としては、位相差顕微鏡像を撮影しPC12細胞集団全体の中で神経突起を保有している細胞の割合を評価した。機能的な分化指標としてはアセチルコリンエステラーゼ活性を用いて評価した。
次に、本願発明の詳細を実施例に基づいて説明する。なお、この実施例は当業者の理解を容易にするためのものである。すなわち、本願発明は明細書の全体に記載される技術思想によってのみ限定されるものであり、本実施例によってのみ限定されるものでないことは理解されるべきことである。
(実施例1)
直径が75mmで10回巻きの磁気刺激コイルを200μFのコンデンサと接続して800Vの充電電圧を放電させて磁気パルス(パルス巾0.2ms)を発生させた。この時に空心コイル中で発生する上向きの磁場強度は0.40Tであった。次に、コイル中央にケイ素鋼板を束ねた立方体のコアを入れて、同じ条件でパルス磁場を発生させると、磁場強度は0.76Tと約2倍に増強した。この結果から、ケイ素鋼板コア入りコイルの発生するパルス磁場は、空心コイルよりも強いので、コア入りコイルを用いると同じ強度のパルス磁場を発生させるに必要な印加電力は低減し発熱は減少した。
また、生理的食塩水に間隔3mmの電極を浸して、容器の直下でパルス磁場を発生させ、この時に食塩水に誘起される誘導電位をオシロスコープで観察した。この結果、コンデンサ印加電圧が160V,210V,400Vの場合に、それぞれ10V,18V,42Vのスパイク状誘導電位が観測された。この結果から、導電性の溶液近傍でパルス磁場を発生させると、溶液中に電流が発生することを確認した。
磁場発生用のコイルは巾7mm、厚さ2mm(断面積14mm2)の無酸素銅板を使用した。細胞培養容器中に接続する電源ケーブルとして厚さ1mm、巾14mmの絶縁した銅板を用いて、細胞培養装置のドアの隙間から内部のコイルに接続した。これにより、培養装置の改造を必要とせず、かつパルス電力を無損失で磁気コイルに給電することができた。
(実施例2)
神経モデル細胞としてPC12細胞に1日当たり様々な刺激時間のパルス磁場刺激(コイル中心部磁束密度 700mT、刺激頻度0.172 Hz、パルス巾 0.04 ms)を加え、あるいは神経細胞分化誘導の陽性コントロール(神経栄養因子)として40ng/mlの骨形成因子(BMP4)、もしくは50ng/mlの神経成長因子(NGF)を加えて6日間で連続して培養した。6日後のPC12細胞の位相差顕微鏡像として、それぞれ無刺激の像を図3Aに、0.75時間/日でパルス磁場を印加した像を図3Bに、3時間/日でパルス磁場を印加した像を図3Cに、12時間/日でパルス磁場を印加した像を図3Dに示す。図3Eは40ng/mlのBMP4存在下で培養した細胞の像であり、図3Fは50ng/mlのNGF存在下で培養した細胞の像である。各写真のスケールバーは0.1mmである。独立した実験を3回行って同様な結果を得た。
次に、PC12細胞を40ng/mlのBMP4、もしくは50ng/mlのNGFで処理して6日間培養し、神経突起を保持している細胞の割合を計測した。3回の独立した実験から得た平均値と標準偏差を図4A(BMP4添加の場合)と図4B(NGF添加の場合)に示す。図4Aのグラフが示すように、パルス磁場を加える時間が0→0.75時間/日→3時間/日→12時間/日と増すに従って、神経突起を有する細胞の割合が、1→2→4→19%と増加している。12時間パルス磁場を加えた効果は、パルス磁場なしで40ng/mlのBMP4を添加した場合の15%よりも大きい。しかしながら図4Bに示す、神経成長因子であるNGFを50ng/ml添加した場合の50%には及ばない。これらの結果は、パルス磁場を加える細胞培養により、細胞分化に伴う形態的変化として神経突起形成を誘導できることを示している。
(実施例3)
PC12細胞にパルス磁場を1日ごとに合計12時間印加し、もしくは刺激せずに7日間培養した。PC12細胞の位相差顕微鏡像として、それぞれ、細胞にパルス磁場を印加する前の像 を図5Aに、パルス磁場を印加して3日後の像を図5Bに、磁気刺激なしで3日後の像を図5Cに、パルス磁場を印加して7日後の像を図5Dに、刺激なしでの7日後の像を図5Eに示す。各写真のスケールバーは0.1mmである。独立した実験を3回行って同様な結果を得た。パルス磁場を印加した図5BとDの神経突起は良く伸びているが、パルス磁場なし3日後の図5Cと、同7日後の図5Eは神経突起が伸びていない。
図5Fのグラフは、PC12細胞にパルス磁場を1日ごとに合計12時間印加して、培養後1日、3日もしくは7日後に神経突起を有する細胞の割合を示す。●はパルス磁場あり、○はパルス磁場なしで培養した結果であって、培養日数が増すに従って、神経突起を有する細胞の割合は、パルス磁場あり(●)は19%まで増加している。一方、パルス磁場なし(○)は1〜5%と少ない割合である。図5A〜Fの結果は、神経細胞の培養においてパルス磁場の印加は神経突起形成を誘起することを示している。
図6AとBは、パルス磁場刺激(12時間/日)もしくは神経栄養因子(陽性コントロール)として50ng/mlの神経成長因子(NGF)または40ng/mlの骨形成因子(BMP4)で細胞を刺激後、PC12細胞から細胞抽出液を回収し、細胞におけるアセチルコリンエステラーゼ活性(AChE)を測定した。この結果として3回の独立した実験から得た平均値と標準偏差を示す。n.s.は刺激開始直前(第0日目)の対照群と有意差がないことを示す。図6Aは刺激開始後第6日目で、パルス磁場刺激は無刺激時に比べ平均値としてより大きなアセチルコリンエステラーゼ活性を示しているが、NGF(50ng/ml)を添加した場合に認められるような有意差はない。しかし一方、図6Bは、刺激開始後第14日目でパルス磁場刺激を加えた場合、パルス磁場刺激なしでBMP4(40ng/ml)を添加した場合と同様、刺激開始直前(第0日目)の対照群と比べ有意なアセチルコリンエステラーゼ活性の上昇を示している。この結果は、パルス磁場刺激を加えた細胞培養系において、細胞分化に伴う機能的変化として、アセチルコリンエステラーゼ活性を促進することを示す。
再生医療においては目的とする生体組織を安全、かつ安価な方法によって短時間で培養できる技術の実用化が不可欠である。本発明によれば、細胞培養器の中にパルス磁場発生コイルを設置して、連続するパルス磁場のもとで細胞培養を行うことによって、細胞の分化を誘導することができる。神経細胞の分化に伴う形態的変化の一例として、神経突起形成を誘導することができた。またアセチルコリンエステラーゼ活性を促進することができた。さらに、磁場方向を制御する細胞培養によって、任意の方向に細胞を優先的に成長させることができる。この効果は神経細胞や血管細胞の増殖に極めて効果が大きい。
1:連発パルス電源
2:細胞培養恒温槽
3:培養容器
4:培養細胞
5:培養液
6:コイル
7:コア(磁心)
8:磁界の方向
9:誘導電流の方向

Claims (9)

  1. 細胞培養において、パルス磁場を培養容器に印加して、培養液に電流を誘発することで細胞の形態的・機能的変化を誘導する細胞培養法。
  2. 細胞の形態的・機能的変化が、神経細胞の突起形成である請求項1に記載の細胞培養法。
  3. 細胞の形態的・機能的変化が、神経細胞のアセチルコリンエステラーゼ活性の促進である請求項1に記載の細胞培養法。
  4. パルス磁界の強度が0.2〜2テスラ、パルス巾が0.01〜10msであることを特徴とする請求項1〜3に記載の細胞培養法。
  5. 細胞培養器に印加する磁場の時間間隔が1ms〜10sの連続するパルス磁場である請求項1〜4に記載の細胞培養法。
  6. 細胞培養容器に印加する磁場の方向によって、細胞の形態的成長方向を制御する請求項1〜5に記載の細胞培養法。
  7. 磁場発生用コイルにヒートシンクを兼ねるコアを併用することで、コイル温度上昇速度を下げ、磁場を増強し、磁場方向の制御を行う細胞培養のための磁気刺激コイル。
  8. 磁場発生用コイルのコイルとコアに放熱機能を具備させることにより、コイルの温度上昇を制御する請求項6に記載の細胞培養のための磁気刺激コイル。
  9. 磁場発生用コイルの巻き線の断面積と同等か、それ以上の断面積を有する絶縁平板導線を用いることにより、培養容器のドアの隙間を介してパルス電源とコイルを接続する電源ケーブル。

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