JP2014158576A - 生体用電極 - Google Patents

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方昭 牧川
Shima Okada
志麻 岡田
Koji Hirano
滉二 平野
Haruto Nakayama
治人 中山
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Abstract

【課題】導電性及び磁性を有しない上に、効率よく生体信号を取り出すことを可能とする生体用電極を提供する。
【解決手段】生体9に直接又は間接的に接触させて生体信号を取り出すための生体用電極であって、常誘電体より形成される可撓性を有するシート状のベース部材11と、ベース部材11の内部に分散させた強誘電体12と、を備え、ベース部材11の一部に導線14を接続するように構成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、心活動、筋活動などに関わる生体電気信号の計測に用いることのできる生体用電極に関するものである。
従来より、人体や動物の心電図や筋電図等、生体電気信号を測定するために用いる生体用電極として、様々なタイプのものが知られている。
例えば、下記非特許文献1においては、皮膚表面電極、針電極、ドライ電極及び静電容量結合型電極について開示されている。
皮膚表面電極は、皮膚の表面に導電ペーストを塗り、その上に取り付ける形態で使用されるものであり、分極電圧を低減するために銀/塩化銀が一般に用いられる。長時間の計測を行う場合には、導電ペーストが乾くことで導電性が損なわれ計測が不安定となったり、皮膚のかぶれが生じたりするなどの問題が生じやすい。
針電極は、神経繊維、筋繊維付近に電極を設置して詳細な電気活動の記録に用いるものであり、皮膚内への侵襲により被験者の苦痛を伴うため、長時間に及ぶ計測や日常の計測には不向きである。
これらに対して、皮膚内部への侵襲や皮膚表面の汚れを生じさせることがなく、長時間の計測を可能とするものとして、ドライ電極や静電容量結合型電極がある。
ドライ電極は、表面に小さな突起を多数形成した電極であり、導電性ペーストを使用することなく皮膚に直接密着させる形態で用いるものである。皮膚表面に触れることになるため、被検査者には不快感が生じる。
静電容量結合型電極は、皮膚と電極との間をコンデンサにより結合したものといえる。すなわち、皮膚に直接触れることなく、衣服やフィルム等の一定の誘電率が期待できる物質を介して電極板を配置し、皮膚と電極板との間でコンデンサを構成するようにしたものである。
牧川方昭ほか著「ヒト心身状態の計測技術」コロナ社、2010年10月28日発行、p.107〜112
しかしながら、これらの電極は、いずれも導電体である金属を利用して構成されたものであり、こうした電極を使用することは、導線を介して他の機器と電気的に接続された導電体を身体に接触させるものといえる。
生体信号は微弱な電気信号であるため、取り出された電気信号は増幅器によって増幅された上で記録装置によって記録がなされることが多い。そのため、これらの機器の不具合により漏電が発生した場合には、導線を介して身体に漏れ電流が流れ、身体に危険が生じる恐れがある。例えば、人体内部に直接に電流が流入する場合には僅か0.1mAで心室細動が生じ、1mAで死に至るといわれており、手術などの医療現場ではごく僅かな電流であっても致命的な事態が生じかねない。
もちろん生体信号の計測を行うために用いる機器に漏電が生じた場合でもその漏れ電流が導線に流れることがないよう、通常は、漏電が生じた機器と導線との間を電気的に遮断可能とする機器が用いられる。ところが、医療現場を中心に用いる生体信号の検出のためには、こうした漏電対策用の機器が必須となることから、システム全体が高価になってしまう。
また、金属からなる電極を用いる場合には身体への密着度を保つことが困難であるため、生体信号を安定して検出することが難しく、長時間に亘る日常的な計測を行う用途で使用することは難しくなる。
さらには、金属製の電極は一般に磁性を伴うものとなることから、電極を身体に取り付けたままではMRI(磁気共鳴画像)検査を行うことが不能となり、検査における利便性が大きく損なわれてしまう。磁性を有しないチタンを用いることも考えられるが、電極が高価になってしまう点が問題となる。
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には、効率よく生体信号を取り出すことが可能である上に、導電性を有さないことで漏れ電流による生体への影響を抑制し、磁性を有さないことで生体に取り付けたままMRI等の検査を行うことが可能で、生体への密着度が高く長時間の計測が可能であるとともに、簡単な構造で低コスト化を図ることのできる生体用電極を提供することを目的としている。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明の生体用電極は、生体に直接又は間接的に接触させて生体信号を取り出すための生体用電極であって、常誘電体より形成される可撓性を有するシート状のベース部材と、当該ベース部材の内部に分散させた強誘電体と、を備え、前記ベース部材の少なくとも一部に導線を接続するように構成していることを特徴とする。
このように構成すると、常誘電体内に強誘電体を分散させることで、金属板を用いなくとも生体と導線との間で効率よく誘電分極を生じさせて、生体信号を計測することができる。また、電極を構成する要素に導電体を含まないため、計測機器に漏電が生じた場合でも、特別な漏電対策用の機器を用いることなく漏れ電流による生体への影響を抑制することができるとともに、磁性を有する金属電極を用いる必要がないため、生体に電極を付けたままMRI検査を行うことができ、検査における利便性を向上することができる。さらには、電極を簡単な構成として安価に実現することができるとともに、可撓性を有するベース部材を基に構成することで、生体への密着度を高めて長時間の計測を可能にする上に、様々な機器に直接組み込むことも可能となる。
また、導線を介して漏れ電流が生体に与えられる危険を一層抑制することを可能とするためには、前記ベース部材が、生体に直接又は間接的に接触可能な領域として設定した接触部と、当該接触部より面方向に沿って離間する位置に設定した信号取出部とを備え、当該信号取出部において前記導線と接続するように構成することが好適である。
また、高誘電率を備えることで上記電極としての作用を高めることができ、人体に対する影響が少なく製造時の材料管理、及び、製造後の電極としての取り扱いを容易とするためには、前記強誘電体としてロッシェル塩を用いることが好適である。
また、一般的な素材を用いて製造コストの低減を図るとともに、安価な使い捨ての電極として構成することも可能とするためには、前記ベース部材が紙によって構成されていることが好適である。
また、ベース部材として紙を用いることに代えて、同様に製造コストの低減を図るためには、前記ベース部材が布帛又は樹脂フィルムによって構成されていてもよい。
また、強誘電体の生体に対する直接の接触を回避し、強誘電体による生体への影響を抑制することを可能とするためには、前記ベース部材の表面を覆う被覆部をさらに備えるように構成することが好適である。
以上説明した本発明によれば、効率よく生体信号を取り出すという基本機能を備えた上で、導電性を有さないことで漏れ電流による生体への影響を抑制し、磁性を有さないことで生体に取り付けたままMRI等の検査を行うことを可能としつつ、生体への密着度を高めることで長時間の計測を行うことのできる生体用電極を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る生体用電極を用いて心電図測定を行う場合の模式図。 同生体用電極の構造を模式的に示す断面図。 実施例としての同生体用電極及び比較例としての電極の評価手段を模式的に示す構成図。 図3の状態における各電極と生体との位置関係を模式的に示す断面図。 図3の評価手段により生体信号の測定を行った結果を示す説明図。 本発明の生体用電極の基本特性評価を行うための試験手段を示す模式図。 本発明の生体用電極を挟んで配置した金属板の重合面積とキャパシタンスとの関係を示す説明図。 本発明の生体用電極を挟んで配置した金属板の重合面積とインピーダンスとの関係を示す説明図。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
この実施形態の生体用電極は、図1に示すような構成において生体としての人体9の心電図測定を行う場合などに使用するものである。なお、これ以外にも筋電図測定や、脳波測定などの用途にも使用することができる。
図1の場合では、心臓91を挟んで生体用電極(以下、単に「電極」と称する。)1,2を設けており、生体信号として心臓91が発する電気信号を電極1,2間の電位差として検出することが可能となっている。具体的には、一方の電極2をグランド電極としてグランド5に接地し、双方の電極1,2間の電位差をオペアンプ3によって増幅した上で記録装置4によって記録するようシステム全体を構成することで、心電図の記録を行うことができる。
図2(a)は、本実施形態における電極1の断面構造を模式的に示したものである。上述のように複数の電極1,2を用いる場合には、いずれの電極をも本願発明の構造とすることができるが、以下においては効果を明確にするため一方の電極1(図1参照)のみを本願発明の構造としたものとして説明を行う。
電極1は、常誘電体からなるシート状のベース部材11に強誘電体12を分散させた構造を有する。ベース部材11の性質としては、可撓性のある柔軟な素材であることを要し、ここでは吸水性のある紙を用いている。一般に入手可能なペーパタオルの類いのものを使用すれば、高い柔軟性と吸水性、さらには強度を備えていることから好ましい。強誘電体12としては、比較的誘電率が高い上に人体9に対する危険度が低いロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)12を用いている。
ロッシェル塩12をベース部材11内部に分散させるために、本実施形態では、ロッシェル塩水溶液を作製してベース部材11に染みこませ、乾燥させている。なお、ベース部材11内部にロッシェル塩12をほぼ均一に分散させることができれば、上記の手段に限らず、ロッシェル塩12の粒を固体のままベース部材11内部に押し込むなどの他の手段を用いても良い。
ベース部材11としては、常誘電体で可撓性のあるシート状に形成可能なものであれば、紙以外の様々な素材を用いることができ、例えば、布帛、樹脂フィルムなどを用いることができる。ベース部材11を樹脂フィルムによって構成する場合には、樹脂フィルムの製造過程においてロッシェル塩12の粒を混入させ、シート状に成形することで足りる。また、布帛とする場合においても、材料となる繊維が合成繊維である場合には、その製造過程においてロッシェル塩12混入させておくこともできる。
強誘電体としてはロッシェル塩12に代わり、比誘電率の高いチタン酸バリウムや二酸化チタンを用いることもできるが、これらは人体に対して有害であるため取り扱いが困難となるため、製造時及び電極としての使用時の取り扱い容易性の観点からすると、ロッシェル塩12を用いることが好適である。
電極1は、人体9に直接または衣服95を介して間接的に接触させることができ、この接触を可能とする領域を接触部1aとして設定している。電極1は、ベース部材11の性質により全体として可撓性を有し、生体9の表面に沿って湾曲することができることから、生体9との接触点を増やし、長時間に亘っても安定して生体信号の取出を行うことができるようになっている。
電極1のうち接触部1a以外の領域は、基本的に人体9より離すように設定するとともに、人体9とは反対側の面の縁部近傍であって、上記接触部1aより面方向に沿って離間した位置に信号取出部1bを設定しており、この信号取出部1bに信号伝達用の導線14を取り付けてある。こうすることで電極1と導線14により電極装置を構成することができる。導線14は外周を被覆された金属線であり、信号取出部1bにおいて被覆を除去して接続するようになっている。導線14と信号取出部1bとの接続は、両者の間で過大な抵抗が生じない限り、接着剤を用いて固定するように行っても良いし、クリップ等を用いて着脱可能に構成してもよい。クリップ等を用いる場合には、電極1のみを人体に取り付けたままMRI検査等の他の検査や移動の利便性を向上することができる。また、電極1を使い捨てとして、着脱式の導線14を再利用するように構成することもできる。
導線14のうち、信号取出部1bと反対側になる端部は、オペアンプ3(図1参照)に接続され、電極1によって人体9より取り出した生体信号を下流側の計測機器に伝達することができる。
導線14は、導電性14を有しているものの、人体9より離間した位置において電極1に取り付けられるにすぎないため、万が一、下流側の計測機器に漏電が生じた場合であっても、その漏れ電流が人体9に伝わることを抑制して、電気ショックの危険を低下させることができる。そのため、従来の金属電極を用いる場合には必須であった漏電対策用の機器が不要となり、生体信号を計測するためのシステム全体のコストを低減することも可能となる。
図2(b)は、上記の構成を変形した例となる電極101を示すものであり、ベース部材11を全体的に覆う被覆部110を設けている点だけが、図2(a)のものと異なる。被覆部110としては樹脂フィルム等を用いることができ、ベース部材11を表裏で挟み込む構造とした上で、縁部を溶着するなどの構造を採ることで、ベース部材11とともにロッシェル塩12を封止することが可能となる。こうすることで、使用時にロッシェル塩12が溶け出し、周辺の物を汚すような事態を回避することができる。
以下、上記のように構成した電極1を用いて生体信号の検出を行った評価結果を比較例ともに紹介する。
図3は、生体信号を検出するための装置構成を模式的に示したものである。この評価は、具体的な使用場面を模擬的に再現して行ったものであり、車両の運転中における人の活動状態を把握可能な生体信号を取り出すことを目的としている。
この評価装置では、シート61の座面61a上に電極1を置き、ハンドル62の一部に電極2を取付けている。そして、心電図測定(図1参照)の場合と同様、電極2をグランド5に接地させ、電極1と電極2との間の電位差をオペアンプ3によって増幅し、記録装置4によって記録するようにしている。
シート61aの座面61a上には、衣服を着た人(人体)9が着座して、その臀部92が衣服を介して電極1に接触するようにするとともに、人9は手93によって電極2を握り、測定を行った。このようにすることで、電極1,2が正常に機能する限り、心電図と同様の波形を有する生体信号を記録することができる。
この試験においては、ハンドル62に取り付ける電極2として金属製の電極を用い、座面61a上に置く評価用の電極として、図2(a)の構成を有する本発明の電極1を用い、これを実施例とした。電極1に対しては、人体9より離間した位置において導線14を接続し、検出した信号がオペアンプ3に出力されるようにした。また、比較例1として電極1に代えて紙のみから構成される電極301、比較例2として電極1に代えて金属板より構成される電極302を用い、同様に試験を行った。比較例1における電極301は、図2(a)の構成を備える電極1より、ロッシェル塩12を除去したものである。すなわち、ベース部材11として同じものを使用して、同様に導線14を取付けてあるが、ロッシェル塩水溶液に浸すという工程を行っていないものである。また、比較例2における電極302は、電極1と同サイズの金属板としたものであり、同様に導線14を取り付けてある。
図4は、人体9と電極1,301,302との関係を拡大して示す模式図である。この評価において、シート61上に電極1(301,302)が置かれ、その上に衣服95、人体9が順に並ぶことになる。
図5(a)は電極1を用いた実施例の結果を、図5(b)は電極301を用いた比較例1の結果を、図5(c)は電極302を用いた比較例2の結果をそれぞれ示すものである。
図5(a)より分かるように、本発明の電極1を用いた場合、約1秒周期の波形の変化が見られ、一般的に計測される心電図と類似する生体信号が得られている。すなわち、本発明の電極1を、衣服95を介して間接的に人体9に接触させることにより、もう一方の電極2と相俟って生体信号を得ることが可能であることがわかる。
また、図5(b)より分かるように、強誘電体であるロッシェル塩12を含まない電極301を用いた比較例1の場合には、心電図と同様の波形を得ることができず、ほとんどノイズのみの信号しか得ることができない。このことから逆に、電極1においては、強誘電体1を内部に含んでいることから効率よく誘電分極を生じさせて、生体信号を取り出すことが可能となっているものといえる。
さらに、図5(c)より分かるように、金属板からなる電極302を用いた比較例2の場合には、上記実施例の場合と同様、一般に見られる心電図と類似する波形を得られる。また、図5(a)に示す従来例の波形とも類似しているといえる。こうした金属板からなる電極302によって衣服95を介して生体信号を得る手法は、背景技術として紹介した静電容量結合型電極を用いるものに該当し、このような手法を用いて心電図を取得可能であることは以前から報告されている。すなわち、ここで得られる信号は心電図が計測されたものであるといえ、このことからも、図5(c)の波形に類似する図5(a)の波形が心電図と同等のものであるということができる。
図5(c)の結果を得た電極302を用いた構成は、静電容量結合型電極として、衣服95を誘電体として、人体9と電極302との間でコンデンサを構成して、この両端に誘電分極を生じさせることで、生体信号の取出しを可能とするものといえる。
ここで、一般にコンデンサとして機能するためには、誘電体を挟んで対向する平行な平板電極を備えるとともに、これらの平板電極が法線方向よりみて互いに重なりあう面積(重合面積)と、両者の距離、誘電体の誘電率によって決定されるといわれている。しかしながら、本願実施形態における電極1を用いたものでは、対向する平板電極が存在しないにもかかわらず、図5(a)に示したように生体信号を取り出すことが可能となっている。
発明者らは、この要因を、強誘電体を用いたことによる効果から、生体9と導線14との間で、生体信号を得るに足りるだけの誘電分極を生じさせることが可能になったものと推測している。なお、発明者らの知見によれば、電気回路と人体9との間にコンデンサを構成しつつ生体信号を得るためには、このコンデンサの静電容量がトータルで30pF以上であればよいことが確認できており、比較的小さな静電容量であっても生体信号の検出は可能である。
上記の推測が正しいことを証明するべく、発明者らは図6〜図8に示す試験を行っている。図6は、上記電極1(図2参照)に該当する誘電体201であり、常誘電体である紙(ペーパータオル)に強誘電体であるロッシェル塩を染みこませ乾燥させたものを用いている。また、この誘電体201は100×100mmのサイズとしている。そして、誘電体201を挟みながら100×100mmのステンレス板202を上下に対向して配置し、下方の金属板202の下側には絶縁体であるセロハン203と、その下方にアルミ板204を配置している。アルミ板204は、グランド5に接地するとともにLCR計測装置205に接続しており、誘電体201の備えるキャパシタンスやインピーダンスを計測することを可能としている。
この試験においては、上下に配置したステンレス板202,202同士が法線方向(上下方向)より見て重なりあった位置にある状態より、一辺に沿って互いに逆方向に、すなわち図中の左右方向に平行移動させ、重なり合う面積を徐々に低減させつつ測定を行った。重なり合う面積が負の値となる部分は、法線方向よりみてステンレス板202,202同士が完全に離間した状態を示し、重なり合う面積が−1000mm^2であるということは、両者が約10mm離間した状態を意味している。
図7は、上記のような試験方法によって、ステンレス板202,202同士が法線方向よりみて重なりあう面積を変更してキャパシタンスの測定を行った結果を示すものである。この結果からすると、重なり合った面積が負の値となった場合、換言すると、誘電体201を挟むステンレス板202,202が完全に離間した状態となってもキャパシタンスは完全にはゼロにはならない。一般に知られる上述の理論上では誘電体を挟む平板電極が対向し合う位置になければキャパシタンスが得られないが、上記の結果からすると、誘電体201を挟む平板電極が離間した位置にあっても、静電容量は小さいもののコンデンサとして機能することが期待できる。
図8は、同様の方法によって、インピーダンスの測定を行った結果を示すものである。この結果からすると、誘電体201を挟むステンレス板202,202が完全に離間した状態となってもインピーダンスは過大なものとまではならず、信号の伝達が可能であることが分かる。このことからしても、上記と同様に、誘電体を挟む平板電極が離間した位置にあっても、有限のインピーダンスを備えるコンデンサとして機能することが期待できる。
すなわち、これらの結果からすると、誘電体201内での誘電分極が生じるためには、これを挟む平板電極が重なりあう位置に存在することを要しないものといえ、図2に示す本願発明の電極1の構成を用いた例のように、人体9と信号線14との間で電極1を挟んで重なり合う領域を有しない場合にも、内部で誘電分極を生じてコンデンサとして機能することで生体信号を取り出すことが可能といえる。
上記のように、本発明に係る電極1によって生体信号を採取しうるという効果は明確といえるが、これを原理的に明らかとするための試験は未だ十分とは言い難い。そこで、発明者らは、引き続き、基礎的な現象解明を目的とした試験を行い、こうした試験を通じて更なる性能向上を図る予定としている。
以上のように、本実施形態に係る生体用電極1は、生体(人体)9に直接又は間接的に接触させて生体信号を取り出すための生体用電極であって、常誘電体より形成される可撓性を有するシート状のベース部材11と、ベース部材11の内部に分散させた強誘電体12と、を備え、ベース部材11の一部に導線14を接続するように構成したものである。
このように構成しているため、ベース部材11を構成する常誘電体内に強誘電体12を分散させることで、電極として金属板を用いなくとも生体9と導線14との間で効率よく誘電分極を生じさせて、生体信号を計測することができる。また、電極1を構成する要素に導電体を含まないため、計測機器に漏電が生じた場合でも、特別な漏電対策用の機器を用いることなく漏れ電流による人体9への影響を抑制することができるとともに、磁性を有する金属電極を用いる必要がないため、人体9に電極を付けたままMRI検査を行うことができ、検査における利便性を向上することができる。さらには、電極1を簡単な構成として安価に実現することができるとともに、可撓性を有するベース部材12を基に構成することで人体9への密着度を高めて長時間の計測を容易に行うことが可能になる上に、様々な機器に直接組み込むことも可能となっている。
また、ベース部材11が、人体9に直接又は間接的に接触可能な領域として設定した接触部1aと、この接触部1aより面方向に沿って離間する位置に設定した信号取出部1bとを備え、信号取出部1bにおいて導線14と接続するように構成しているため、導線14を人体9より離間した位置とすることで、導線14を介して漏れ電流が人体9に与える危険を一層抑制することが可能となっている。
また、強誘電体としてロッシェル塩12を用いるようにしているため、ロッシェル塩12の高誘電率特性を利用して、生体信号を測定するに足りる電極1を効果的に構成することができるとともに、人体9に対する影響が少ないことから、製造時及び完成後の取り扱いを容易にすることが可能となっている。
また、ベース部材11が紙によって構成していることから、一般的な素材を用いて構成でき、製造コストの低減を可能とするとともに、安価な使い捨ての電極として構成することも可能となる。
さらには、ベース部材11を紙に代えて、布帛や樹脂フィルムによって構成した場合であっても、上記と同様、一般的な素材を用いて構成できるため製造コストの低減を可能とするとともに、他の機器への組み込みも容易になる。
また、ベース部材の表面を覆う被覆部110をさらに備えるようにすると、強誘電体12の人体9に対する直接の接触を回避し、強誘電体12による人体9への影響を抑制することも可能となる。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、導線14は、ベース部材11の一部に一本のみ接続するように構成していたが、目的や使用形態に応じて、複数箇所に複数本の導線14を接続するように構成しても差し支えない。
また、上述した実施形態では、生体用電極1を完全に独立したシート状に構成していたが、他の部材と更に組み合わせることも可能である。例えば、衣服の一部や、車のシートの一部にロッシェル塩を染みこませて、電極1を構成することも可能であり、これらの場合には、単にベース部材11を大型化するとともに、形状を変更したものと考えれば足りる。こうした他の部材や機器との組合せは、ベース部材11が可撓性を備えた常誘電体であるという性質から、より容易に行うことができるといえる。
また、上述した実施形態では、生体用電極1を、衣服を介して間接的に人体9に接触させていたが、直接的に人体9に接触させて測定を行っても良い。
また、上述した実施形態では、生体用電極1を取り付ける対象を人体9としていたが、犬や猫など生体全般に好適に用いることができる。また、心電図の測定のみならず、筋電位や脳波等の他の生体信号を測定する場合にも用いることが可能である。
さらには、電気信号の計測を行う対象は生体のみならず、如何なるものを被計測体としてもよい。すなわちこの生体用電極1は、生体以外の被計測体の電気信号を測定する電気信号計測用電極としても用いることができ、上記と同様に漏電による被計測体への影響を抑制するとともに、磁性を備えないことで、他の測定や検査に係る利便性を向上することができる。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…(生体用)電極
1a…接触部
1b…信号取出部
2…(生体用)電極
9…生体(人体)
11…ベース部材
12…ロッシェル塩(強誘電体)
13…導線
110…被覆部
201…(生体用)電極

Claims (7)

  1. 生体に直接又は間接的に接触させて生体信号を取り出すための生体用電極であって、
    常誘電体より形成される可撓性を有するシート状のベース部材と、
    当該ベース部材の内部に分散させた強誘電体と、を備え、
    前記ベース部材の少なくとも一部に導線を接続するように構成していることを特徴とする生体用電極。
  2. 前記ベース部材が、生体に直接又は間接的に接触可能な領域として設定した接触部と、当該接触部より面方向に沿って離間する位置に設定した信号取出部とを備え、当該信号取出部において前記導線と接続するようにしていることを特徴とする請求項1記載の生体用電極。
  3. 前記強誘電体がロッシェル塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体用電極。
  4. 前記ベース部材が紙によって構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体用電極。
  5. 前記ベース部材が布帛によって構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体用電極。
  6. 前記ベース部材が樹脂フィルムによって構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体用電極。
  7. 前記ベース部材の表面を覆う被覆部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の生体用電極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106880355A (zh) * 2017-01-13 2017-06-23 电子科技大学 一种基于电容耦合的柔性生物电极阵列及其制备方法
JP2017148231A (ja) * 2016-02-24 2017-08-31 株式会社カネカ 生体用電極およびその製造方法
WO2019026637A1 (ja) * 2017-08-02 2019-02-07 東レエンジニアリング株式会社 生体内電位計測器、生体内電位計測方法、及び生体内電位計測システム

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