JP2014156838A - 風力発電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】平行回転翼を利用した風力発電機。
【解決手段】 鳥の羽ばたき運動を模擬した平行回転翼を風力発電機に応用する。平行回転翼は複数の回転翼を基本的に風の流入方向に向けたまま、周期的に遥動させる機構を備えている。そのため、直線翼垂直軸風車に応用した場合は小さな床面積に設置でき、平行回転翼を回転させたままで、風の流入方向に対して最適な迎角をとるように回転翼の傾斜角を制御できるので、風の向きに合わせて発電機本体の向きを調節する機構は必要としない。また、強風時には、全ての回転翼を風の流入方向と平行にして気流を受け流すことができるので、破損防止用のブレーキ装置も必要としない。そして、強風時にも強度と危険速度の許す範囲内で発電を継続できる。
【選択図】図1
【解決手段】 鳥の羽ばたき運動を模擬した平行回転翼を風力発電機に応用する。平行回転翼は複数の回転翼を基本的に風の流入方向に向けたまま、周期的に遥動させる機構を備えている。そのため、直線翼垂直軸風車に応用した場合は小さな床面積に設置でき、平行回転翼を回転させたままで、風の流入方向に対して最適な迎角をとるように回転翼の傾斜角を制御できるので、風の向きに合わせて発電機本体の向きを調節する機構は必要としない。また、強風時には、全ての回転翼を風の流入方向と平行にして気流を受け流すことができるので、破損防止用のブレーキ装置も必要としない。そして、強風時にも強度と危険速度の許す範囲内で発電を継続できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、平行回転翼を利用した風力発電機の構造に関するものである。
人類は、鳥の飛行術の研究から、飛行機とヘリコプターを実用化してきたが、鳥の翼の運動をより忠実に模擬していると思われる平行回転翼を利用した飛行機の実用化には成功していない。
鳥の翼の運動による飛行のメカニズムは、自然が作り出した最高傑作の一つである。羽ばたき運動は、近似的に、円筒面上の稜線を回転軸にして遥動しながら平行回転する1枚の回転翼の運動に模擬できる。しかし、1枚では回転バランスを取るのが難しく体の動きが脈動的になるので、回転翼の枚数を増やして羽ばたき運動の工程に分解して配置したのが平行回転翼の原理である。
この原理を具体化する機構と構造の一例を提案する一連の発明が、2007年から、特許文献4、特許文献5、特許文献6の3件の特許で出願された。
しかし、この平行回転翼の機構と構造はヘリコプターに近い複雑さを持つので、その実用化には、ヘリコプターの技術をベースにしても20年は掛かると思われる。
一方、平行回転翼は、潮流発電機/送水機、風力発電機/送風機、水中回転翼船、船上回転翼船、水面滑空機、飛行機などの様々な分野に応用できる。しかし、それぞれの応用の難しさは、人を乗せるか、地上に設置するか、人が近づかない環境で運転するか、高速移動機械か、などの用途で決まる設計要件によって大きく変わる。
一方、鳥達の進化の跡を考えてみると、恐竜の子孫の鳥類は、羽毛を獲得したことで氷河期を生き延びた。その後、林の中で羽毛を羽ばたき翼に進化させて飛行能力を獲得し、脊柱動物の中で最大の種の発展を成し遂げた。そこで、鳥達の進化の智恵に学んで、平行回転翼の応用で最も技術的に困難な商品は飛行機であるので、直接、そこを狙うのではなく、最初に、進化の原点として風力発電への応用を目指すことにした。以下、本発明の説明は、風力発電機への利用の形をとって進める。
複数の回転翼を主軸周りに公転させながら、主軸と平行な回転軸主軸周りに自転させる平行回転翼を風力発電機に応用する形態にも色々なレイアウトが考えられるが、本発明では、その代表的なレイアウトとして、平行回転翼の主軸を垂直に立てた、直線翼垂直軸風車を用いた風力発電機の形をとった。平行回転翼を用いた風力発電機は、取付け台の上に垂直に立てられた静止軸である主軸とそれに支えられて回転運動するケージからなる平行回転翼と発電機とから成る。
また、平行回転翼風車について説明する図面視野としては、平行回転翼の主軸を右に90°倒して水平にし、垂直軸風車の下側が左側に、上側が右側にくるように表現した図を正面図とする。上から見下ろした図面を平面図とする。平面図では、左側を風の流入する方向とし、回転翼の位置としては左側を前、下側を下、右側を後、上側を上と定義する。
この形式の平行回転翼風車の回転方向は、平面図で見て、左回転と右回転の両方が可能であるが、本説明では、左方向から風を受ける前側の回転翼が前下がりに公転する左回転で作動する風力発電機とした場合で説明する。回転翼の回転角については、翼型の前上がりを正、前下がりを負と定義する。迎角については、風の流入方向に対して翼型が前上がりとなるクサビ角を正、前下がりとなるクサビ角を負と定義する。
風力発電用の風車の設計に当たっては、ベースとして飛行機への応用を想定した特許文献6の平行回転翼の設計を踏まえた。具体的な設計仕様としては、飛行機の左側の平行回転翼を外側が上になるように垂直に立てて直線翼垂直軸風車とし、サイズとしては、小型風車を代表する寸法として公転直径を1m、回転翼高さを1mと設定した。
飛行機から風力発電機への応用商品の変更から、様々な設計方針の見直しが必要となった。直線翼垂直軸風車には回転翼を自転させた商品化事例がなかったので、構造設計の参考にする商品としては自転車を選択した。自転車は200年前に発明されて以来、常に時代の新技術を取り入れて改良されてきている我々に最も身近な商品である。その構造設計と部品設計の思想を取り入れることで、このお手本の無い平行回転翼発電機の設計思想を一気に現代の商品として通用するレベルまで高めることが求められている。
また、この新しい応用を機に、残されていた平行回転翼の機能と機構と構造について、実用商品性と実用生産性の面からも改めて検討を加え改善を図り、設計の完成度を高めることも求められた。そのために、改めて、鳥の飛行術に学び、機構や構造の見直すことも必要となった。
小型風力発電機の設計における基本的な要件としては、グリース潤滑化と機械損失の低減による高効率化と高信頼性化、量産/量販化による低コスト化、軽量化と高剛性化による高性能化、地上に設置するための安全性の確保などが求められる。しかし、乗員を乗せて安全に飛行するための機能は必要とされない。
技術開発の容易さと費用を考えて、最初の商品化狙いの試作設計としては、回転翼の枚数は2枚と設定した。
特許文献1の発明は、1975年に出願されたフランス特許で、本発明と同じく、平行回転、遥動付加、偏心割出しの3つ機能を組み合わせた機構の一つである。平行回転にはタイミングベルトとプーリー、遥動付加には天秤リンク、偏心割り出しには偏心リングを用いている。
特許文献2の発明は、1991年に、同じくフランス人によって日本に出願された平行回転翼を飛行機に応用した特許であるが、回転翼毎に空気圧サーボを使って迎角を制御する機構を採用している。
特許文献3の発明は、1997年に日本人によって発明された、偏心量を遥動回転に変換する4節リンクを重ね合わせた機構を用いたサイクロジャイロ翼の特許である。
4節リンク機構を用いている点では、本特許と同じであるが、回転翼毎に軸方向にオフセット量が異なる偏心制御棒を束ねて偏心軸に嵌合しているため、実際の設計では、幅方向に大きなスペースが必要になるであろう。
特許文献4の発明は、複数の回転翼を、基本的に平行を保って公転させながら、周期的に自転する回転を付加するために、遊星歯車を利用して回転翼の傾斜角を制御する機構を採用した平行回転翼の発明である。
特許文献5の発明は、特許文献4の発明を踏まえて、飛行機械への応用を想定して機能の機構化を図ったものである。
特許文献6の発明は、特許文献5の発明を踏まえて、飛行機械への応用を想定して機能の機構化を見直しながら、機構の構造化を図ったものである。本発明のベースになしているので全体図を図10に示して置く。
特許文献7は、特許として認められた特許文献4の発明である。
請求項1の発明に関しては、許容回転速度を高めるために、主軸とそれに支えられて回転するケージの結合剛性を高めて平行回転翼風車の危険速度を高める必要があった。そのためには、主軸と下側軸受けの内輪との間に回動自在にスリーブを挟んでいた特許文献6の構造設計を与圧が掛けられる転がり軸受けを介した結合に改めることが必要になった。
請求項2の発明に関しては、平行回転翼風車の起動風速を下げ、回転速度または回転トルクを上げ、発電効率を高めるために、回転翼の迎角を制御する機構の駆動抵抗を低下させることが必要となった。
また、ディスク内に形成された4つの軸受け装着穴は、相互に噛み合う歯車を持った部品を支えているので、高い同心度、寸法精度と形状精度が要求される。そこで、特許文献7に記載の軸受けレイアウトとディスク構成では、加工性が悪くコストが上がり、量産小型風車としては商品性が成り立たなくなると推定されたので、軸受けレイアウトとディスク構成の見直しが必要となった。
請求項3の発明に関しては、平行回転翼風車の危険速度を高めるために、主軸とそれに支えられて回転する骨格であるケージの構造の剛性を高めることが必要になった。
請求項4の発明に関しては、回転翼の平行運動に周期的な遥動運動を付加する機構の運動精度の向上と運動抵抗の低減を図ることが必要となった。
偏心リングと遥動アームの先端のローラーとの接触機構は、特許文献4の発明では飛行機械への応用を想定していたため、オイル潤滑する方針で設計していた。しかし、小型風力発電機への応用のためにはグリース潤滑への設計方針の変更が必要となった。
自転車では、内装変速機、外装変速機、チェーン駆動などにカムやローラーや歯車を複雑に組み合わせた機構が採用されている。それらは全てグリースまたは封入オイルによって潤滑されている。それらの設計を参考にして、平行回転翼風車用にローラーとその案内機構の設計を考え直すことが必要になった。
請求項5の発明に関しては、小型の風力発電機に応用するためにコストを下げてコンパクトでシンプルな構造にしながら、誘導抵抗による回転翼の空気力発生能力の低下を防ぐことが必要となった。
翼端では翼の下面から翼の上面に廻り込む気流が発生し誘導抵抗が発生する。この誘導抵抗を小さくするために通常は細長い翼形状にしてアスペクト比を大きくする。そのためにトンビは翼端を複数の細い羽根に分割している。しかし、オスプレイは、翼端のプロペラを左右反対に上から外側に廻して、翼端の上面に気流が回り込むのを打ち消している。
また、特許文献4の発明では、回転翼の枚数を増やし、回転翼の形を細長くして、アスペクト比を大きくしていたが、2枚翼の小型の平行回転翼風車にした場合は、アスペクト比が小さくなるので、翼端での廻り込む気流が多くなり、空気力を発生する性能が悪化することが明らかに推定された。
請求項6の発明に関しては、風力発電機は設置場所によって年間の風の吹き方が大きく変わり事前に正確に予測することが困難なため、設置場所の風の吹き方に応じて、受注時にホイールを選択できるようにすることで、コンパクトでシンプルな構造にしながら設置場所の風の状況に応じて性能と費用のバランスの取れた仕様を勧められるようにすることが販売戦力上有利となると考えられた。
請求項7の発明に関しては、可変ピッチ翼垂直軸風車については多くの基礎研究が重ねられてきたが、平行回転翼風車については、未だ具現化されていないので全く研究されていない。しかし、両者にはそれぞれに特徴があり、それぞれのマーケットを持っていると推定される。そこで、平行回転翼風車の開発は、可変ピッチ翼垂直軸風車の商品化を図りながら、それとの比較で平行回転翼風車の基礎研究と応用研究と商品化を進めるのが順当なプロセスと考えた。一方、小型風力発電機の機能/価格を検討してみると、量産による大幅なコストダウンをしないとビジネスプラン上、商品化の目処は立たない。そこで、可変ピッチ翼垂直軸風車と平行回転翼風車の両者の特徴を明らかにし、それぞれの商品性を開発し、互いに補い合って市場を拡大し、量産規模の拡大を図ることが、商品開発上の必要条件としてクローズアップされた。そのために、基礎設計段階から、両方式間での共通化と派生の可能性を探ることが必要となった。
その他、通常の設計部分については、自転車の機構や構造を参考にして、特許文献4の発明の平行回転翼の設計を修正した。主な修正項目としては、ベアリングの種類の変更、グリース潤滑の全面採用、チェーン駆動の採用が上げられる。
ベアリングの種類については、ニードルベアリングをアンギュラー玉軸受に変更し、駆動抵抗の低減、ガタの解消、軸受支持剛性の向上、および、回転精度の改善を図った。
グリース潤滑の採用については、グリース封入ベアリングの採用によりオイルシールを廃止し、歯車列の構造を簡略化した。
回転翼を駆動する最終増速段にはチェーン駆動を採用した。自転車のチェーンは品質や性能が高く、また、構造がコンパクトに納まることから、他の駆動方式に勝ると判断された。
本発明ではエントリー商品としては、風の方向と強さに応じて回転翼の迎角を最適な値に維持する制御を行う小型の垂直軸風車発電機と設定した。このような商品には前例がないので求められる諸性能を予測し、それを設計方針や設計条件に反映し、課題の抽出や解決策の選定や効果の評価に役立ててゆく必要がある。
実用商品性については、外枠によって強度と剛性を増大させることが有力な剛性向上策であるが、基本構造としては、外枠に頼らずに、必要な強度と剛性を確保する方針で設計を進めることとした。
品質・信頼性については、例えば、個人が設置して1年間の連続運転毎の点検で10年程度の商品寿命を求められよう。家庭用設備として参考にできる商品は見当たらないので、商品開発に当たっては、テストコードの開発も進めなければならない。
サービス性については、設置条件毎にセットされるサービスプログラムによって専門家が計画的にサービスし、下取りや中古機買い取り制度も持ち、市場に不調な製品を放置しないフルリサイクルシステムとするのが望ましい姿であろう。
メンテナンスについては、基本的にユーザーによるメンテナンスは不要とすべきであろう。
マーケットとしては、大きな風力が年間を通して得られるが、エネルギーの安定的な確保が難しい僻地やリゾート、地域に分散する特産物の生産地域の個人事業者などが有力であろう。
海外マーケットについては、サービスプログラムを実行できない国には販売は難しい。
標準化と商品展開については、風の吹き方の多様性と予測の難しさに柔軟に対応できるように配慮しながら商品展開戦略の研究を進め、将来の機能追加や機種派生の可能性を探ってゆく。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、平行回転翼を風力発電機に応用することにより、環境に優しく、夜間でも、僻地でも、安価に、必ず発電してくれる実用的なエネルギー供給装置を提供しようとするものである。また、この応用によって、飛行機械を始め、多くの平行回転翼を用いた機械にも応用できる技術を用意しようとするものである。
風力発電機の出力は回転翼32の風切り速度の3乗に比例する。従って、出力を大きくするためには、回転体を軽量化して起動を容易にし、更に、回転体自体とその支持剛性を上げて平行回転翼風車の危険速度を高くする必要がある。また、駆動系の摩擦損失を小さくし、起動風速を下げながら、発電効率も向上させる必要がある。また、風力発電機への応用に伴って回転翼32の空力性能の低下が生ずる場合には、それを補うことも必要になる。
本発明では、これらの必要に対して、効果的な解決策を得るために、以下の通り構造設計上の課題を抽出した。
請求項1に関わる発明については、ケージと主軸4の結合剛性を高めるために、両者を直接与圧の掛けられる転がり軸受けで支えることが必要となったが、そのためには、ディスクの下側の転がり軸受けの内輪と主軸4の間に挿入されていた、回転翼32の迎角制御用歯車軸64のスリーブ部分を廃止し、別の機構と構造に置換えることが構造設計上の課題となった。
請求項2に関わる発明については、平行回転翼の回転翼32の迎角制御機構62の作動抵抗を低下させるために、駆動抵抗を下げながら、必要な支持精度と負荷容量を確保できる遥動付加機構とすることが構造設計上の課題となった。
また、ディスク内の4つの軸受けは、相互に歯車で噛み合う回転軸を支えているので、高い同心度、寸法精度と形状精度が要求される。そこで、特許文献7に記載の軸受けレイアウトとディスク構成では、内歯歯車36を支持する軸受を外歯歯車ハウジングの内側に、間接的にニードル軸受で支持し、ディスクは3部品から構成していた。しかし、これでは加工性が悪くコストが上がり、量産小型風車として商品性上成り立たないと推定されたので、軸受けレイアウトを見直すことが構造設計上の課題となった。
請求項3に関わる発明については、平行回転翼の剛性を高めるために、主軸4とケージのそれぞれの剛性と、主軸4とディスク、および、上側ハブ16との結合剛性を、高めることが構造設計上の課題となった。
請求項4に関わる発明については、回転翼32に周期的な遥動を付加する機構の運動精度の向上と作動抵抗の低減を図るために、偏心リング59とローラーアーム先端部のローラーとの間の転動精度の向上と接触抵抗の低減を図ることが構造設計上の課題となった。
請求項5に関わる発明については、風力発電機への応用に伴って生ずる回転翼32の空力性能の低下を補うために、回転翼32の翼端で発生する誘導抵抗を小さくする機能を追加することが構造設計上の課題となった。
請求項6に関わる発明については、市場の風の状況に応じて高速回転用の2枚翼ホイールと中速回転用の4枚翼ホイールを使い分けられるようにすることが構造設計上の課題となった。
請求項7に関わる発明については、基礎研究が重ねられてきた可変ピッチ翼垂直軸風車69の実用化を促進し、商品開発を進め、それと比較しながら平行回転翼風車の基礎研究と応用研究と商品開発を進め、両者の特徴を明らかにし、高性能化と多様化を図りながら部品の共通化を進めてコストを削減し、可変ピッチ翼垂直軸風車69と平行回転翼風車の両方の市場への商品提供を可能にし、市場の拡大を図れるようにすることが、構造設計上の課題となった。
上記課題を解決するために行った請求項1に記載の発明では、ディスク9の下側の転がり軸受けの内輪と主軸4の間に挿入されていた回転翼32の迎角制御用スリーブの機能の全てを主軸4の穴に移動させることにより、ケージ8と主軸4の結合剛性を高め、両者を直接与圧の掛けられる転がり軸受けで支えることで、ケージ8と主軸4の結合剛性を高めることができた。図4を参考。
請求項2に記載の発明では、ディスク9には4つの軸受け支持系が組み込まれているが、それらのレイアウトとディスク構造を根本的に見直し、内歯歯車36を直接支持し、ディスクボディー10を3部品構成とし、4つの軸受外輪装着用穴をワンチャックで仕上げ加工できるようにした。この設計変更により、加工性とコストの低減を図りながら、軸受の抵抗を下げ、必要な支持精度と負荷容量を確保できる遥動付加機構を持ったディスク構造にできた。図13、図29を参考。
請求項3に記載の発明では、主軸4の下側主軸5と上側主軸7の間を中間主軸6で剛に結合して主軸4を形成し、ケージ8の下側バブと上側ハブ16を中間ハブ15で剛に結合してハブ14を形成した。その上で、中央静止翼70を転がり軸受けを介して、下側バブと上側ハブ16の外周上に回動自在に支持し、中央静止翼が空転するのを上側ホイール21に取り付けた空転防止歯車機構で防止した。この設計により、主軸4とハブ14の剛性と主軸4と上側ハブ16およびディスク9との結合剛性を高めて平行回転翼の剛性を高めることができた。図4を参考。
請求項4に記載の発明では、フリーランナー61を跨ぐ2枚のサイドリンク53に3個のローラーを嵌着したローラーセット49とし、中央ローラー50のローラー軸54を遥動アーム48先端部の穴に嵌着し、他の2個のローラーには2枚のサイドリンク53間にローラーピン55を渡した。その上で、中央ローラー50はフリーランナー61の外面と接触させて偏心リング59の内面とは隙を持たせ、両端のローラーはサイドリンク53との嵌合で規制しながら偏心リング59の内面と接触させてフリーランナー61の外面とは隙を持たせた。この偏心遥動変換機構46としたことにより、偏心リング59と中央ローラー50との間の転動精度の向上と接触抵抗の低減を図り、回転翼32の周期的な遥動運動を創成する機構の運動精度の向上と運動抵抗の低減を図ることができた。図15、図16、図17、図18、図19、図20、および、図22を参考。
請求項5に記載の発明では、ホイール17と上側ホイール21のアーム部分に、平行回転翼の回転によって内側から外側に空気を送りだす方向に捩じったプロぺラ形状を形成し、回転翼32の翼端で翼型の下面から上面に気流が巻き上げられることから発生する誘導抵抗を小さくする機能を持たせた。これにより、風力発電機への応用に伴って生じた回転翼32のアスペクト比の低下から生じた空気力発生能力の低下を補うことができた。図6、図7、図8、図9、および、図24を参考。
請求項6に記載の発明では、ハブ14内の歯車列33をリテーナリング47のみと正規の歯車列33に取り変え可能にし、市場の風の状況に応じて、高速回転用の2枚翼ホイールと中速回転用の4枚翼ホイールを使い分けられるように設計できた。図15、および 図25を参考。
請求項7に記載の発明では、基本的に平行を保ちながら周期的に遥動を付加するための遊星歯車機能を外して、その代わりに、周期的な遥動のみをさせるための遥動専用軸45を装着できるようにし、平行回転翼発電機をベースに可変ピッチ翼垂直軸発電機68を派生させた。これにより、地球上に広く分布する様々な地域の風環境に応じて、商品仕様の選択幅を広げることができた。また、この派生によって、型投資の節約とマーケットの拡大による量産コストの低下を図ることができた。図27、図28を参考。
ケージ8内に固定された回転翼軸31に転がり軸受けで支えられて公転しながら自転する回転翼32を、1回転公転する間に一回転自転させて戻しながら、周期的な遥動を加える方式を採用した。それにより、流入気流の方向と速度に応じて回転翼32の迎角を最適に制御し、複数の回転翼32に効率よく最適な空気力を発生させ、それによって主軸4周りに回転モーメントを発生している。図11、図12を参考。
従って、本発明の平行回転翼と発電機65を組み合わせたことにより、平行回転翼を用いた風力発電機が構成できた。また、本発明の平行回転翼は、風力発電機以外の様々な流体機械にも応用できる。図1、図2、図3を参考。
本発明は、鳥の翼の羽ばたき運動を分解し、それぞれの工程を複数の回転翼32に分解しながら分担させた機構となっている。鳥は、風のエネルギーを利用して揚力と推力を獲得して滑空飛行や羽ばたき飛行をしている。平行回転翼は、鳥の羽ばたき翼の運動を近似的に模擬しており、各回転翼32は打ち降ろし、後退、跳ね上げ、前進の4工程を持った円運動をしている。そのため、羽ばたき翼の持つオートローテーション機能を利用することにより、風を利用して回転翼32に空気力を発生し、平行回転翼に回転モーメントを発生できると考えられた。
本発明は、そのために必要な実用的な迎角制御機構62を備えており、一つの太陽歯車34から放射状に展開する回転翼32毎の歯車列33によって平行回転に遥動回転を付加することができ、遥動付加に必要な遥動アーム48の回転角度は、一つの偏心リング59からそれぞれの回転翼32へ共通の円筒空間内で伝えられている。
本発明は、基本的に、偏心リング59の偏心量と偏心方向を遥動回転に変換して平行回転に付加する機構であるが、太陽歯車軸35の回転位置を変えることにより、全ての回転翼32の取り付け角を同時に同角度変えることができる。
本発明は、基本的に、一つの偏心リング59から、それぞれの回転翼32毎に必要な偏心量を与えられ、それを遥動量に変換してそれぞれの回転翼32の平行回転運動に付加する機構である。それを踏まえて、太陽歯車軸35の回転割出し開始角度と回転翼32の遥動開始角度を連係させて調節することによって、平行回転翼全体としての推力を減少させないで跳ね上げ工程の回転翼32の傾斜角を調節できるようにしている。
本発明は、平行回転翼の中央付近に静止翼を備えているので、流入方向にきた回転翼32によって作られた後流れの方向を自由に偏向させ、流出方向にきた回転翼32に流入させることができる。
上記手段を取っていることを踏まえて、請求項1に記載の発明は、特許文献6の発明で採られていた、ケージ8の下側の転がり軸受けの内輪と主軸4の間に挿入していた回転翼32の迎角制御用歯車軸64のスリーブ部分を無くし、4つの迎角制御機構62用歯車軸の全てを主軸4の穴に収納し、歯車列33を介して迎角制御機構62を操作できる構造にした。それにより、ケージ8を主軸4に与圧を掛けて装着した軸受けを介して、直接支持する構造にできたため、ガタを無くし、ケージ8と主軸4の結合剛性を高め、平行回転翼の危険速度を高めることができ、許容回転速度の高い風力発電機にできた。
請求項2に記載の発明は、内歯歯車36を直接支持し、ディスクボディー10を3部品構成とし、4つの軸受外輪装着用の穴はワンチャックで仕上げ加工できるレイアウトにした。それにより、加工性を向上させてコストを下げながら、高い同心度、寸法精度と形状精度が確保できた。また、同時に全ての軸受けを与圧の掛けられる転がり軸受けで支えることができた。その結果、軸受の抵抗を下げながら、支持精度と負荷容量を高められ、回転翼32の迎角制御機構62の駆動抵抗を下げられたので、起動風速が低く、発電能力が高く、許容回転速度の高い風力発電機にできた。
請求項3に記載の発明は、主軸4の下側主軸5と上側主軸7の間をフランジ付きの中間主軸6で剛に結合して一体の固定軸とし、ケージ8の下側バブと上側ハブ16をフランジ付きの中間ハブ15で剛に結合した。その上で、中央静止翼70を中間ハブ15上に転がり軸受けを介して回動自在に支持し、上側ハブ16と上側ホイール21と中央静止翼70の間に取り付けられた中央静止翼空転防止機構22で空転を防止した。この構造によって、主軸4とケージ8のそれぞれの剛性とケージ8との結合剛性を高めながら、中央静止翼70の剛性も寄与させて、平行回転翼の剛性を高め、危険速度を高め、許容回転速度の高い風力発電機にできた。
請求項4に記載の発明は、フリーランナー61を跨ぐ左右のサイドリンク53に3個のローラーを嵌着したローラーセット49とした。そして、遥動アーム48先端部の穴に中央ローラー50のローラー軸54を嵌着した。中央ローラー50はフリーランナー61の外面と接触させて偏心リング59の内面とは、ラジアル方向に隙を持たせ、左右のローラーはサイドリンク53との嵌合で規制されて偏心リング59の内周面と接触させてフリーランナー61の外周面とは隙を持たせ、3つのローラーの転動面での滑り接触を無くして転がり接触にすることができた。これにより、偏心リング59とローラーアーム先端部のローラーセット49との間の転動精度の向上と接触抵抗の低減が図られ、回転翼32の遥動運動の精度の向上と運動抵抗の低減を図り、起動性が良く、発電効率が高い風力発電機にできた。
請求項5に記載の発明は、ホイール17と上側ホイール21の両方のアーム部分に、前下がり回転時にケージ8の内側から外側に空気を送り出す方向に捻ったプロぺラ形状を付け、回転翼32の翼端で発生する誘導抵抗を小さくする機能を追加し、回転翼32を2枚にすることで発生する誘導抵抗による空気力の低下を補うことで、コンパクトで、シンプルで、コストの低い構造にしながら、起動性に優れ、発電効率の良い風力発電機にできた。
請求項6に記載の発明は、ディスクボディー10内でローラーセット49案内用に装着していたリテーナリング47を正規の歯車列33に取り変えるだけで、高速回転用の2枚翼ホイールと中速回転用の4枚翼ホイールを使い分けられるようにすることで、コンパクトでシンプルな構造にしながら設置場所の風の状況に応じて性能と費用のバランスを考えて仕様を選択できる風力発電機にできた。
請求項7に記載の発明は、平行回転翼発電機をベースに可変ピッチ翼垂直軸発電機68を容易に派生できるようにした。可変ピッチ翼垂直軸風車69の場合は、回転翼32を基本的に公転円周に沿って公転させながら周期的に遥動させる。従って、基本的に平行を保って自転させながら周期的に遥動させるための遊星歯車機能は不要になる。その代わりに、周期的な遥動をさせるためだけの遥動専用軸45が必要になる。風向追尾機能は迎角制御機能に含まれているので流用できる。
可変ピッチ翼垂直軸風車69については、これまでに多くの基礎研究が重ねられてきたが、実用商品性を考えたときに設計が難しいためか、これまでに商品化はなされていない。しかし、平行回転翼の設計をベースに派生させることで、比較的容易に可変ピッチ翼垂直軸風車69が作れることが分かった。この派生によって、可変ピッチ翼垂直軸風車69にも商品化の道が開かれる。可変ピッチ翼垂直軸風車69は、原理的に、平行回転翼風車とは違った特性を持っているので、両者は別の商品性を持ち、互いに補い合って市場を拡大できる。この派生によって、高性能化と多様化を図りながら市場を拡大してコストを下げられる風力発電機にできた。
本発明の実施形態に係る平行回転翼の作動原理は、特許文献4、特許文献5、特許文献6に詳細に説明されている。最初に、その機能の概略を説明しておく。
本発明の平行回転翼は、ケージ8と主軸4とから構成されている。ケージ8には、ホイール17と上側ホイール21との間の外周に近い円筒面上の稜線を回転軸とする、複数の回転翼32が、それぞれの回転翼軸31に串刺しされる形で取付けられている。ディスク9の内部には、それぞれの回転翼32毎に、基本的に平行を保って公転しながら、周期的に遥動を付加して自転させる、遊星歯車39を利用した歯車列33が形成されている。
複数の回転翼32を互いに平行を保ったまま公転させる機能は、ディスク9内に静止している太陽歯車34を蹴って駆動される歯車列33によって作動している。従って、全ての回転翼32の平行傾斜角は、太陽歯車34の静止角度位置を変えることによって一様に調節できる。
ケージ8は主軸4に回動自在に取り付けられている。主軸4には、ディスク9内の歯車列33に、ローラーセット49、遥動アーム48およびリテーナリング47を介して偏心量を遥動角に変換して伝える偏心遥動変換機構46と、偏心量と偏心角を割出すための偏心割出し機構56が装着されている。主軸4は取付け台66に取付けられる。ケージ8は、風の力で駆動されて回転して、下部に係止された発電機に動力を伝達する。
偏心割り出し機構は、内側偏心ディスク57と外側偏心ディスク58の2つの偏心ディスクの円筒空間内で重ね合わせる構造となっているので、外側偏心ディスク58に形成された偏心リング59の中心を、所定の偏心量の範囲であらゆる方向に動かせる。2つの偏心ディスクの回転角は、それぞれの迎角制御機構62によって互いに独立に操作できる。
一方、回転翼32毎の歯車列33の遊星歯車機構の中の複数の遊星歯車39はリテーナリング47で回動自在に連結されている。リテーナリング47からは遥動アーム48が突き出されており、その先端部のローラー軸54はローラーセット49の中央ローラー50の軸としてローラーセット49に回動自在に結合されている。ローラーセット49を偏心リング59と転がり接触するように装着し、偏心量をトレースすることにより、歯車列33は周期的に偏心量を遥動角に変換できる。従って、偏心量をゼロにした時には回転翼32に周期的な遥動回転は付加されない。
平行回転翼では、回転翼32に発生する空気力を制御するために、もう一つの機能として中央静止翼70を持っている。中央静止翼70には、平行回転翼を貫流する気流の中で、前方の回転翼32で作られる後流れが直接後方の回転翼32に流入することを防ぎ、途中で流れを偏向させる機能を持たせた。鳥達はこの機能は姿勢角を変えることによって得ているが、飛行機や風力発電機では、姿勢角を自由に変えることはできないため必要となった。また、この機能の一部は、平行傾斜角と遥動開始角を調節することによっても得られるが、複雑な補正が必要になるので、それに全てを期待するのは無理と判断した。
中央静止翼70は、平行回転翼の回転中心辺りに静止する偏向翼であるので、主軸4周りに回動自在に装着し、そのセット傾斜角を専用の迎角制御機構62によって操作できるようにした。
以上、平行回転翼には、鳥の羽ばたき翼の運動を模擬して回転翼32に空気力を発生し、それを制御するために上記の4つの調節機能を備えた。平行傾斜角の変化では揚力が、遥動角と遥動量の変化では推力とその方向が、中央付近での気流の偏向では平行回転翼の回転中心周りの回転モーメントが主に調節される。
次に、平行回転翼で作られる回転翼32の4つの運動工程について説明しておく。平行回転翼は、鳥の斜め前方に打ち下ろす楕円運動を円運動に置換えている。そのため、鳥の羽ばたき運動に備わっている、打ち下ろし、反転、跳ね上げ、正転の4工程は、打ち下ろし、後退、跳ね上げ、前進の4工程に変形された。
鳥は様々な飛行術を駆使して空中を泳いでいるが、その中で最も美しく効率が良いのは滑空である。滑空では、翼を静止させ、最小の抗力で最大の揚力を発生している。この飛行術はリリエンタールによってグライダーに応用され、その後、推力を発生するプロペラの搭載に成功したライト兄弟によって飛行機の原理として提案された。しかし、鳥の中には滑空のできない鳥もいる。
ヘリコプターは飛行速度の代わりに回転翼32の回転速度で、相対的に回転翼32に空気を流入させて、発生する揚力によって浮上している。従って、ヘリコプターがローターで揚力を発生する原理は、飛行機が静止翼で飛行速度の流入気流を受けて揚力を発生する原理と同じである。
現代の飛行機械の殆どは、この鳥の滑空を原理とした飛行技術で飛行している。しかし、鳥達は、滑空の他に、パラシュート効果、マグナス効果、リリーフ弁効果などを織り込んだ羽ばたき翼を駆使して飛行している。これらの効果を利用した羽ばたき翼飛行機やマグナス効果翼飛行機は、飛行機が発明されるまでは盛んに試作研究されていたが、その後、研究は殆どなされなくなっていた。しかし、これらの効果については、特に、日本での最近の鳥や昆虫の飛行原理の研究によって急速に解明されようとしている。
これらの研究報告を参照すると、鳥の羽ばたき運動を模擬した平行回転翼では、静止翼効果が前進工程で利用されているのみでなく、パラシュート効果(抗力効果)が打ち下ろし工程で、マグナス効果が後退工程で、リリーフ弁効果が跳ね上げ工程で利用されている。ただし、静止翼効果以外の効果については、未だ設計に利用できるところまでは解明されていないので、これまでの回転翼32で発生する空気力の計算では、全て、静止翼の静止翼効果を計算するための翼理論だけを使ってきた。
そのため、回転翼32の遥動角は実際の鳥より大きく、計算で得られた回転翼32の運動はコウモリやカメのような羽ばたき運動になった。しかし、鳥の中にはハチドリのように激しく翼を捩じって羽ばたく鳥もいるので、これも間違いとは言えない。
逆に、羽ばたき運動を模擬した機構を持った機械ができれば、その操作方法を研究することによって、パラシュート効果、マグナス効果、リリーフ弁効果などを織り込んだ飛行方法を再現し、新しい飛行技術を作り出せることになる。それは、現代人に残された最も大きな技術テーマの一つである。
平行回転翼を用いた飛行機には飛行機とヘリコプターの両方の飛行原理が組み合わされているので、オートローテーション機能を備えていることが分かる。即チェーン44ジンが故障し、平行回転翼を駆動できなくなった場合には、ゆっくりと降下しながら、回転翼32を静止させて複葉機の様に滑空するか、前方と後方の回転翼32で走行風を受けて、その風力によって平行回転翼の回転を維持し、上方と下方の回転翼32で揚力を維持しながら着陸場所を探すことができる。
平行回転翼を用いた飛行機は、地上に固定すると、風力を利用したオートローテーション機能によって、平行回転翼を回転させられる。この場合は、揚力の発生は不要で、機体をピッチング回転させる回転モーメントの発生を止める必要もないので、流入する風力の全てを平行回転翼の回転モーメントに変換させるように制御しても構わない。
平行回転翼を用いた垂直軸風車は、平行回転翼を用いた飛行機の片方の平行回転翼を機体側が下側になるように90°回転して立てて、地上に固定したものに他ならない。空中に舞い上がらせる必要は無いので軽量化の設計条件もそれ程厳しくは無く、人を乗せる必要が無いので、キャビンも不要である。
平行回転翼を垂直軸風力発電機に応用した場合は、360°の方向に全ての回転翼32の迎角を最適に制御できる機能を備えているので、原理的には、起動風速が低く、風向追尾機構が不要で、強風時の破損防止機構も不要にできる。
先ず、起動風速を低くできる可能性は、微風時には回転翼32の平行傾斜角をゼロにし、遥動角をマイナス20°程度にして、前側と後側の両方の回転翼32に正負の最大の揚力を発生させ、回転モーメントを発しさせる。この時、上と下の回転翼32には迎角がゼロなので揚力は殆ど発生しない。
次に、風向追尾機構の不要化の可能性は、回転翼32の迎角制御のための4つの機構が全て、360°の風向に対して変化を追尾できるように設計されているので不要にできる。
次に、強風時の破損防止機構を不要にできる可能性は、強風時には全ての回転翼32の迎角をゼロにして風を受け流すことができるので、強風時の破損防止用のブレーキは不要となる。
以上の、平行回転翼を風力発電に応用するための技術思想を具体的な構造にするために、特許文献6の提案を見直し、小型の垂直軸風車発電機を商品化目標にして平行回転翼の構造を設計し直した。材料、部品、製造技術、コスト、使われ方、メンテナンスなどの設計条件は、安価な割に高性能な風力発電機にすることを想定して自転車技術をベースにした。
最初に、平行回転翼の骨格の剛性を高めるために主軸4と回転翼32主軸とそれらの結合構造を見直した。平行回転翼は、静止軸である主軸4に、ディスク9と上側ハブ16の間を中間ハブ15で結合し、ホイール17と上側ホイール21の間を複数の回転翼軸31で鼓の様に連結したケージ8を軸受で支持し、それぞれの回転翼軸31に回転翼32を軸受で支持した構造とした。平行回転翼32の振動系は、静止している主軸4に弾性結合されたケージ8(立体フレームの形をした回転軸)に、ケージ8に固着された複数の回転翼軸31に弾性結合された複数の回転翼32を重ねた2次振動系となる。図14は、振動系を示す。図5、図14を参考。
次に、全ての運動部品の潤滑をグリース潤滑にし、軸受形式を、ガタがなく、回転抵抗が小さく、与圧の掛けられるころがり軸受けに変更した。そのために、主軸4、回転翼主軸、迎角制御用歯車軸64、偏心リング59とローラーセット49の転動面などの軸受けとその取り付け方法を変更した。
それに伴って、中央静止翼70の取り付け方法とその操作機構の設計も見直した。
次に、自転車のチェーン44の構造を参考にして、偏心割り出し機構の偏心リング59とローラーセット49の設計を見直した。
最後に、自転車のスポークを用いたハブとホイールの構造を参考にして、ディスク9の設計を見直した。
その結果、以下の発明を含む最良の構造が設計された。
請求項1に記載の発明は、ディスク9の下側の転がり軸受けの内輪と主軸4の間に挿入されていた迎角制御機構62の部品のスリーブ部分を無くし、歯車伝動に変えてディスクカバー12の内側に収め、4つの迎角制御機構62の全ての迎角制御用歯車軸64を主軸4の穴に納め、歯車伝動によって操作する構造に変更した。それにより、ケージ8を主軸4に装着した与圧の掛けられる軸受けを介して、直接、支持する構造にできたため、ガタを無くし、ケージ8と主軸4の結合剛性を高め、危険速度を高め、許容回転速度の高い風力発電機にできた。
請求項2に記載の発明は、特許文献7に記載の軸受けレイアウトとディスク構成では、内歯歯車軸37を支持する軸受を、外歯歯車40を装着したでディスクボディー10のスリーブ部分の内側に、間接的にニードル軸受で支持していた。しかし、これでは加工性が悪くコストが大きくなり、量産小型風車としては商品性上成り立たないと推定された。また、これらの軸受けは、相互に歯車で噛み合う部品を支えているので、高い同心度、寸法精度と形状精度も要求されていた。
そこで、内歯歯車軸37を直接支持し、ディスクボディー10を3部品構成とし、4つの軸受外輪装着穴はワンチャックで仕上げ加工できるように、根本的にレイアウトを見直した。それにより、加工性を向上させてコストを下げながら、高い同心度、寸法精度と形状精度が確保できるレイアウトが見つかった。また、全ての軸受けを与圧の掛けられる転がり軸受けで支えることができた。また、支持精度と負荷容量を高めながら、回転翼32の迎角制御機構62の駆動抵抗を低下させることができたので、起動風速が低く、発電効率が高く、許容回転速度の高い風力発電機にできた。
請求項3に記載の発明は、主軸4の下側主軸5と上側主軸7をフランジ付きの中間主軸6で剛に結合して一体の固定静止軸とし、ケージ8のディスク9と上側ハブ16を、フランジ付きの中間ハブ15で剛に結合して、ディスク9と一体のハブ14とし。その上で、中間ハブ15上に装着した転がり軸受けで中央静止翼70を回動自在に支えながら、上側ホイール21とその周辺部品に取り付けた中央静止翼空転防止機構22を用いて中央静止翼70の空転を防止した。
中央静止翼空転防止機構22は上側ホイール21に回動自在に、同じ歯数のカウンターギアーを両端に付けたカウンター歯車軸23を装着し、上側カウンターギアー24を、主軸4の中央の穴を貫通した中央静止翼制御軸25に結合された中央静止翼太陽歯車26に噛み合わせ、下側カウンターギアー27を中央静止翼70に取り付けた中央静止翼用太陽歯車と同じ歯数の中央静止翼歯車28に噛み合わせた。
この構造によって、主軸4とケージ8のそれぞれの剛性と相互の結合剛性を高め、平行回転翼の剛性を高め、平行回転翼風車の危険速度を高め、許容回転速度の高い風力発電機にできた。
請求項4に記載の発明は、フリーランナー61を跨ぐ左右のサイドリンク53に3個のローラーを嵌着したローラーセット49とし、中央ローラー50のローラー軸54を遥動アーム48の先端部の穴に嵌着した。中央ローラー50はフリーランナー61の外面と接触させて偏心リング59の内面とは隙を持たせ、両端のローラーはサイドリンク53との嵌合で規制しながら偏心リング59の内面と接触させてフリーランナー61の外面とは隙を持たせ、3つのローラーの転動中の滑り接触を無くして転がり接触のみにできた。
これにより、偏心リング59とローラーアーム先端部のローラーセット49との間の転動精度の向上と接触抵抗の低減を図ることができ、回転翼32の偏心遥動変換機構46の運動精度の向上と運動抵抗の低減が図られ、許容回転速度の高い風力発電機にできた。
請求項5に記載の発明は、ホイール17と上側ホイール21の両者のアーム部分にプロぺラ形状を形成し、平行回転翼の内側から外側に空気を送り出すことにより、回転翼32の翼端で翼型の下面から上面に気流が巻き上げられることから発生する誘導抵抗を小さくする機能を追加し、誘導抵抗による回転翼32の空力性能の低下を小さくすることで、コンパクトでシンプルな構造にしながらコストの低い、高性能な風力発電機にできた。
具体的な構造としては、プレス成型されたアッパーパネル18とロアーパネル19をフランジ部分でスポット溶接したアーム部分の回転方向のフランジに、翼型の前端部の形状を持つ、ブロー成型されたアタッチメント20を締結した。アタッチメント20の内部空間には発泡スチロールを充填した。
請求項6に記載の発明は、ディスク9内のリテーナリング47を歯車列33に組み換えることで、高速回転用の2枚翼ホイールと中速回転用の4枚翼ホイールの使い分けができるようにしたことで、コンパクトでシンプルな構造にしながら設置場所の風の状況に応じて性能と費用のバランスの取れた仕様を選択できる風力発電機にできた。
請求項7に記載の発明は、平行回転翼発電機をベースに可変ピッチ翼垂直軸発電機68の派生を可能にした。可変ピッチ翼垂直軸発電機68の場合は、回転翼32を基本的に公転円周に沿って回転させながら周期的に遥動させる。従って、基本的に平行を保って自転させながら周期的に遥動させるための遊星歯車機能は不要になる。その代わりに、周期的な遥動をさせるためだけの遥動専用軸45が必要になる。
風向追尾機能は迎角制御機能に含まれているので流用できる。
上記の発明を実施するための形態を基本にしながら、選択肢と応用範囲を実施例を用いて説明する。
請求項1に記載の発明に関しては、特許文献7に記載の主軸構造では、ディスク9の下側の転がり軸受けの内輪と主軸4の間に回転翼32の迎角制御用スリーブを挿入していた。しかし、この構造では軸受けの結合剛性が確保できないので、4つの迎角制御機構62の全てを、主軸4の穴に構成した歯車伝動機構で操作する構造に変更し、ディスクカバー12の内側に収めた。
この改造により、ケージ8を主軸4に装着した与圧の掛けられる軸受けで支持することができた。4つの迎角制御軸の挿入穴は主軸4に直接加工しても良いが、製造の容易のために迎角制御軸ガイドブロック63を部品設定し、主軸4の穴に挿入し固定した。主軸4には3つの歯車を通すための切り欠き穴を設け、中央部にはもう一つの中央静止翼空転防止機構22を制御する迎角制御軸を貫通させた。
請求項2に記載の発明に関しては、ディスク9には4つの軸受け部分が組み込まれているが、4つの軸受け部分のレイアウトとディスク構成を、加工性とコストを考慮して大きく変更した。4つの軸受け部分には、ディスク9の支持軸受、および、外歯歯車軸41の支持軸受、リテーナリング47の支持軸受と内歯歯車36の支持軸受の4つが含まれる。
これらの軸受けは、相互に歯車で噛み合う部品を支えているので、高い同心度、寸法精度と形状精度が要求される。そこで、特許文献7に記載の軸受けレイアウトとディスク構造では、内歯歯車36支持軸受を外歯歯車40を装着したスリーブ部分の内側に、間接的にニードル軸受で支持していた。しかし、これでは加工性とコストが大きくなり、量産小型風車としては商品性上成り立たないと推定された。そこで、内歯歯車36を直接支持し、ディスク9は3部品構成とし、4つの軸受外輪装着用の穴はワンチャックで仕上げ加工できるように、根本的に軸受けレイアウトを変更した。
外歯歯車軸41の支持軸受けには、ディスク本体11に遊星歯車リテーナと同じ外径を持った軸受けを用いた。リテーナリング47の支持軸受けは、別に、リテーナリング47ケース13を部品設定して、ディスク本体11の外歯歯車40の外輪を嵌める円筒部の下側端面に締結し、そのケースに装着した。従って、外歯歯車軸41とリテーナリング47はそれぞれに片持ち梁で支持され、突き合わせで噛み合わせた。内歯歯車軸37の支持軸受けは、外歯歯車40と同心に外側に出してディスク本体11に形成した穴に装着した。これによりディスクボディー10は3部品構成にできた。
軸受けが装着される4つの穴の最終仕上げは、ワンチャックで加工できるように、カバーディスクとディスク本体11、および、リテーナリング47ケース13とディスク本体11を結合するディスク構造を設計した。ディスク本体11はジグボーラ―、ジググラインダー、または、マシニングセンターのような回転割り出しができる工作機械で仕上げられる。
カバーディスクは、ディスク本体11との嵌合穴と主軸用軸受の外輪装着穴をワンチャックで仕上げられる。次に、チャックしたままで、カバーディスクが外され、外歯歯車ハウジング装着用の穴が仕上げられる。その際、リテーナリング47ケース13は予めディスク本体11に嵌着されており、共通化している外歯歯車40支持用軸受けとリテーナリング47支持用軸受の両方の外輪の装着穴をワンチャックで仕上げられる。
このレイアウトを成り立たせるために、内歯歯車36は、内歯歯車軸37と外側内歯歯車38に2分割して、外側内歯歯車38はスプラインで嵌合させ、外側内歯歯車38の装着スペースと挿入用穴はディスクカッターによる切り欠き加工で形成できるようにした。
請求項3に記載の発明に関しては、主軸4の下側主軸5と上側主軸7をフランジ付きの中間主軸6で剛に結合して一体の固定静止軸とし、ディスク9と上側ハブ16を、フランジ付きの中間ハブ15で剛に結合して、ケージ8の一部として一体に回転するハブ14とし。その上で、中間ハブ15上に装着した転がり軸受けで中央静止翼70を回動自在に支えながら、上側ホイール21の周りに取り付けた中央静止翼空転防止歯車機構を用いて中央静止翼70の空転を防止した。
中央静止翼空転防止機構22は上側ホイール21に、同じ歯数の上側カウンターギアー24と下側カウンターギアー27を両端に付けたカウンター歯車軸23を回動自在に装着し、上側のカウンターギアーを中央静止翼太陽歯車26に噛み合わせ、下側のカウンターギアーを中央静止翼太陽歯車26と同じ歯数の中央静止翼歯車28に噛み合わせた。中央静止翼太陽歯車26は、主軸4の穴を貫通する中央静止翼制御軸25の上端に結合され、上側ハブ16の上部に静止しているが、その静止位置は中央静止翼制御軸25の回転により調節できる。
請求項4に記載の発明に関しては、偏心遥動変換機構46の構造を、フリーランナー61を跨ぐ左右のサイドリンク53に、両端に1個ずつのローラーと中央部に遥動アーム48先端部に嵌着されるローラー軸54で支えられる中央ローラー50を置いた3ローラーのローラーセット49とし、同じ外径を持つ前後のローラーと中央ローラー50の回転中心を半径方向に僅かにオフセットさせ、両端のローラーを偏心リング59と転がり接触させ、中央のローラーをフリーランナー61と転がり接触させた。これによりローラーが偏心リング59とフリーランナー61の両方に接触することを無くし、ローラーが滑りながら回転するのを防止した。図16、図17、図18、図19、および、図20に、ローラーセット49が回転中に速度変化をする様子を模式的に示した。
フリーランナー61の外側転動面の中央部と偏心リング59の内側コーナー部にはグリースポケットを設け、グリースが、運転中に、サイドリンク53とローラーを潤滑しながら、グリースを循環させるようにした。サイドリンク53とローラーは、偏心リング59の側面で転動軌道を規制されながら走るようにし、ローラーセット49のふらつきを防止した。偏心リング59のローラーガイド部分は2分割してスナップリング60で止め、加工と組みつけを容易にした。
この設計により、偏心リング59と遥動アーム48先端部のローラーセット49とフリーランナー61の転動精度の向上と接触抵抗の低減を図ることができた。
請求項5に記載の発明に関しては、ホイール17と上側ホイール21の両方のアーム部分にプロぺラ形状を付け、前進する回転翼32の翼型の前端が風を受ける方向に向くように設計した。こうすると反対に回ったアーム部分には翼型の後端に向って風が流入することになり、起動時には後から風を受けるので、翼型には剥離が発生し抗力が大きくなるのに対して、風に向かう翼型は前から気流を受けるので空気抵抗が小さくなる。この抗力の差は起動を助勢する回転モーメントを発生する。図23を参考。
それに加えて、翼型を平行回転翼の内側から外側に空気を送り出すように捻る形状に設計した。これにより、回転翼32の翼端で翼型の下面から上面に気流が巻き上げられることから発生する誘導抵抗を小さくする機能を持たせ、誘導抵抗による回転翼32の空力性能の低下を図った。図24を参考。
平行回転翼発電機の回転方向は、風の入る方向に対して前下がりと前上がりの両方で運転できる。しかし、迎角制御の精度を考えるとバックラッシュの影響を小さくする必要があるため、1方向で回転させ、逆回転はさせないように制御するのが望ましい。今は、前下がりで回転させるように運転条件を設定している。
具体的なホイール構造としては、ホイール17をプレス成型されたアッパーパネル18とロアーパネル19をフランジ部でスポット溶接し、そのフランジに、翼型の前端部の形状を持つ、ブロー成型で作られたアタッチメント20を締結した。アタッチメント20の内部空間には発泡スチロールを充填した。
請求項6に記載の発明に関しては、ホイール17と上側ホイール21の両方とも2枚翼とし、ディスク9は4枚翼も取り付けられるように設計した。2枚翼として使う場合は、回転翼32の駆動に用いない歯車列33は、遊星歯車39の変速機能を失わせ、リテーナリング47だけをローラーセット49案内機構として残した。そのため、必要によってリテーナリング47を歯車列33に取り変えることにより、高速用と中速用に2枚翼用ホイール29と4枚翼用ホイール30を使い分けられるようにした。これにより、設置場所の風の状況に応じて受注時に仕様を選べる販売方法を可能にした。図25を参考。
請求項7に記載の発明に関しては、ディスクボディー10を共通化し、歯車列33を取り除き、遥動専用軸45に取り換えることで可変ピッチ翼垂直軸発電機68を派生できるようにした。可変ピッチ翼垂直軸発電機68では強風時のブレーキ機能が必要と考えられてきたが、金沢大学の基礎研究によると風の流入方向を調節すると風車の回転が停止し、更に位地をずらすと回転方向が反転している。このことは、回転翼32のピッチコントロールの工夫によってブレーキレスにできることを示唆している。また、本特許の平行回転翼設計では振動系の剛性を大幅にアップしているので強度も上げ、許容風速も上げられるので強風用の高速風車に設計できる。
一方、強風は吹かないが緩風が良く吹く地域も地球上には広く分布している。そんな地域の農業用ハウスの空調用に特化すれば、ブレーキレスの可変ピッチ翼垂直軸発電機68の商品化も可能になろう。この派生によって部品点数は大きくは削減されないが、型投資の節約とマーケットの拡大による量産コストの低下が可能となる。図26、図27、図28、および、図30を参考。
平行回転翼発電機の運転状態は、起動、低風速発電、高風速発電、暴風受け流しながら発電に分けられよう。しかし、平行回転翼では従来の翼理論では避けてきたその他の諸効果も利用されるので、それぞれの運転状態において平行回転翼の回転翼32に最適な空気力を発生させるための運転制御システムの実機での実験研究による開発は必要になる。
回転翼32は、前方での打ち下ろし工程、下方での後退工程、後方での跳ね上げ工程、上方での前進工程の4つの工程をとって回転する。
翼による空気力発生の理論は、これまで滑空を模擬した静止翼だけで論じられてきたが、最近の基礎研究によって鳥や昆虫の飛行原理の中には、様々なその他の作用が含まれていることが解明されてきた。鳥の羽ばたき運動を直接的に模擬している平行回転翼では回転翼32が飛行中に自転するため、その空気力発生のメカニズムは、マグナス効果や抗力効果や弾性フラップ効果のような、別の作用を考えないと解明は難しいようである。逆にみれば、平行回転翼には、操縦技術の開発により従来の常識を破る高性能な風力発電機に開発できる可能性が残されている。
新しい操縦技術は、今後の試作機の実験研究によって開発してゆくことになるが、風速に対する公転速度の比である周速比を選びながら、強度と振動特性の許す範囲内で最大の電力を発生できる操縦技術を開発することになる。そのイメージを描いてみてゆくことは、新技術/新商品の試作設計には仮説を持つ意味で欠かせないので、現時点でのイメージを描いておく。
1)起動時には、前方の回転翼32は負の迎角を持って翼型の背面で風を受けるので流れが剥離し、下向き揚力を発生し、それによって回転トルクを発生する。下方の回転翼32には発生する揚力を最小にするように迎角を少しマイナス目の値にしている上、風に流される方向に回転するので揚力も回転トルクも発生しない。後方の回転翼32では、正の迎角を持つので、翼型の腹面で風を受けて上向きに発生する揚力によって回転トルクが発生する。上方の回転翼32には、発生する揚力を最小にするように迎角を少しマイナス目の値にしているので、揚力も回転トルクも発生しない。
2)低風速発電では、風速の上昇とともに、回転翼32の遥動角を大きくし、打ち下ろしと跳ね上げの両工程で発生する揚力を大きくし、モーメントアームは小さくなるが回転モーメントは大きくしながら、発電効率が高くできる回転速度に上げてゆく。周速比は、公転速度が危険速度以下の定格速度に達するまでは上げられる。
遥動角は、打ち下ろしと跳ね上げの両工程で正負の最大値をとるが、後退工程で挽回される。そのため、後退工程での回転翼32は、風の流入方向に向かって大きくバックスピンする。この時には回転翼32に剥離による抗力の増大とマグナス効果による気流の偏向の両方が発生すると予測されるが、回転モーメントへの寄与は基礎研究とデータがないので今はまだ予測できない。
3)高風速発電では、風速が上がると、打ち下ろしと跳ね上げ工程で発生する揚力が風速の二乗に比例して大きくなるので、放置すれば回転モーメントが大きくなり、回転速度が上ってゆき、危険速度に近づくので、風速の上昇に応じて迎角を小さくして、発生する空気力を小さくし、周速比を下げながら、定速運転を維持する。
4)、暴風受け流しながら発電では、迎角を更に小さくして、発生する空気力を更に小さくし、周速比を更に下げながら、公転速度を下げてゆく。風速が上がり過ぎて、風力により機体の破損が懸念される時は、迎角をゼロに近づけて、回転速度を落としながら、風を受け流す。
運転中に平行回転翼を貫流する気流は、次のような様々な作用をしていると推定される。そんな作用も、試作機ができれば、実験研究とシミュレーションによって解明される。
中央静止翼70での気流の偏向機能を使うと、打ち下ろし工程の回転翼32に大きな負の迎角をつけて大きな斜め下向きの空気力を発生しながら、跳ね上げ工程の回転翼32には大きな正の迎角を付けて大きな正の揚力を発生させて大きなトルクを発生させることができる。
また、平行回転翼に大きな回転モーメントが発生できる時には、平行迎角を持って前進する上の回転翼32で揚力を発生して上方の気流を平行回転翼内に引き込み、貫流流量を増やすことによって、回転モーメントを増大させることもできる。
周速比が1より大きい場合は、下側の後退工程の回転翼32は前向きのまま右回転しながら後ろから風を受けるので、下方の風を上に巻き込んで跳ね上げ工程の回転翼32に送り込むこともできる。
上下のプロペラは気流を上下に送り出すことにより、上下の回転翼32によって引き込まれた気流による排気抵抗の上昇を防止するのみでなく、積極的に排気抵抗を小さくして貫流気流量を増大させる。
なお、本発明に係る回転翼32は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
平行回転翼の発明は、これまでは、できるだけ早く先を見通すために飛行機への応用を想定してきたが、本発明は、小型の垂直軸発電機に応用する具体的な目標を設定して実用化のための検討を進めてきた。
平行回転翼の応用は、水力機械から空力機械へ、水中から水上へ、そして水上から地上へ、更に空中へと、両生類から鳥が進化してきたのと同じ過程をたどって高度化するのかもしれない。
そのように考えると、実用化の順番は、送風機/風力発電、送水機/潮流発電、水中回転翼船、船上回転翼船、水面滑空機、飛行機となる。
鳥は羽ばたき運動の中で跳ね上げ工程での迎角制御を巧妙に行っており、また、制動時や急加速時には、過渡的な渦発生を伴う剥離状態の空気力も巧みに利用しているように見える。人類が修得している飛行術はまだまだ十分ではないと考えざるを得ない。
鳥の羽ばたき飛行は、大学の応用力学の研究テーマとしても盛んに研究されてきた。確かに、平行回転翼32では、制御ファクターの選び方によっては剥離が発生するが、従来の飛行機と異なり、翼の傾斜角が毎秒10回程度のサイクルでリセットされるので、剥離の定常化が回避でき、渦の利用も可能となる。
当面の産業上の応用テーマは、自然界の流体の流れのエネルギーを効率よく利用する、風力発電や潮流発電となる。
1 平行回転翼発電機
2 平行回転翼風車
3 平行回転翼
4 主軸
5 下側主軸
6 中間主軸
7 上側主軸
8 ケージ
9 ディスク
10 ディスクボディー
11 ディスク本体
12 ディスクカバー
13 リテーナリングケース
14 ハブ
15 中間ハブ
16 上側ハブ
17 ホイール
18 アッパーパネル
19 ロアーパネル
20 アタッチメント
21 上側ホイール
22 中央静止翼空転防止機構
23 カウンター歯車軸
24 上側カウンターギアー
25 中央静止翼制御軸
26 中央静止翼太陽歯車
27 下側カウンターギアー
28 中央静止翼歯車
29 2枚翼用ホイール
30 4枚翼用ホイール
31 回転翼軸
32 回転翼
33 歯車列
34 太陽歯車
35 太陽歯車軸
36 内歯歯車
37 内歯歯車軸
38 外側内歯歯車
39 遊星歯車
40 外歯歯車
41 外歯歯車軸
42 ピニオン
43 回転翼ピニオン
44 チェーン
45 遥動専用軸
46 偏心遥動変換機構
47 リテーナリング
48 遥動アーム
49 ローラーセット
50 中央ローラー
51 偏心リングアウター
52 先端ローラー
53 サイドリンク
54 ローラー軸
55 ローラーピン
56 偏心割出し機構
57 内側偏心ディスク
58 外側偏心ディスク
59 偏心リング
60 スナップリング
61 フリーランナー
62 迎角制御機構
63 迎角制御軸ガイドブロック
64 迎角制御用歯車軸
65 発電機
66 取付け台
67 固定翼垂直軸発風車
68 可変ピッチ翼垂直軸発電機
69 可変ピッチ翼垂直軸風車
70 中央静止翼
δ ローラーセット内のローラーの転動クリアランス
2 平行回転翼風車
3 平行回転翼
4 主軸
5 下側主軸
6 中間主軸
7 上側主軸
8 ケージ
9 ディスク
10 ディスクボディー
11 ディスク本体
12 ディスクカバー
13 リテーナリングケース
14 ハブ
15 中間ハブ
16 上側ハブ
17 ホイール
18 アッパーパネル
19 ロアーパネル
20 アタッチメント
21 上側ホイール
22 中央静止翼空転防止機構
23 カウンター歯車軸
24 上側カウンターギアー
25 中央静止翼制御軸
26 中央静止翼太陽歯車
27 下側カウンターギアー
28 中央静止翼歯車
29 2枚翼用ホイール
30 4枚翼用ホイール
31 回転翼軸
32 回転翼
33 歯車列
34 太陽歯車
35 太陽歯車軸
36 内歯歯車
37 内歯歯車軸
38 外側内歯歯車
39 遊星歯車
40 外歯歯車
41 外歯歯車軸
42 ピニオン
43 回転翼ピニオン
44 チェーン
45 遥動専用軸
46 偏心遥動変換機構
47 リテーナリング
48 遥動アーム
49 ローラーセット
50 中央ローラー
51 偏心リングアウター
52 先端ローラー
53 サイドリンク
54 ローラー軸
55 ローラーピン
56 偏心割出し機構
57 内側偏心ディスク
58 外側偏心ディスク
59 偏心リング
60 スナップリング
61 フリーランナー
62 迎角制御機構
63 迎角制御軸ガイドブロック
64 迎角制御用歯車軸
65 発電機
66 取付け台
67 固定翼垂直軸発風車
68 可変ピッチ翼垂直軸発電機
69 可変ピッチ翼垂直軸風車
70 中央静止翼
δ ローラーセット内のローラーの転動クリアランス
Claims (7)
- 平行回転翼を制御するための複数の制御用歯車軸を、取付け台に固定した平行回転翼の主軸の穴に収納した平行回転翼を用いた風力発電機。
- 遊星歯車を取り付けたリテーナリングと外歯歯車を、リテーナリングケースとディスク本体に同じ外径を持った軸受けを用いて装着し、片持ち梁で支持し、突き合わせて噛み合わせ、内歯歯車を半径方向で外側にずらして形成したディスク本体の穴にころがり軸受けを介して装着し、ディスクカバーをディスク本体に嵌着したディスク構造としたことを特徴とする請求項1に記載の平行回転翼を用いた風力発電機。
- ディスク内の下側主軸と上側ハブ内の上側主軸とを中間主軸で結合し、更に、ディスク内のディスクと上側ハブ内の上側ハブとを中間ハブで結合し、中間ハブに装着した軸受けによって支持した中央静止翼を、上側ハブの上部に取り付けた上側ホイールの回転角を反転させて戻す機構を用いて、空転を防止して静止させたことを特徴とする請求項1、又は、請求項2に記載の風力発電機。
- フリーランナーを跨ぐ左右のサイドリンクに、2個の先端ローラーと1個の中央ローラーを嵌着し、同じ外径を持った先端ローラーと中央ローラーの回転中心を半径方向に僅かにオフセットさせ、先端ローラーを偏心リングの内面と転がり接触させ、中央ローラーをフリーランナーの外面と転がり接触させたローラーセットを用いた偏心遥動変換機構としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の風力発電機。
- 平行回転翼のホイールと上側ホイールの付き出し部分に、翼弦の前端をホイールの回転方向から見て内側にし、翼弦の後端を外側にしたプロぺラ形状を形成し、内側から外側に空気を送り出せるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の風力発電機。
- ディスク内にある、ローラーセットを取り付けた遥動アームの回転軸であるリテーナリングを、リテーナリングを含む遊星歯車機構とその歯車列に置換えることによって、回転翼の枚数を増やしたホイールに付け変えられる平行回転翼としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の風力発電機。
- 平行回転翼を用いた風力発電機から、回転翼を基本的に平行に保って回転させながら周期的に遥動回転を加えるための遊星歯車機構を取り除き、その代わりに、周期的に遥動させるためだけの遥動専用軸を装着し、可変ピッチ翼垂直軸発電機を派生させられるようにしたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の風力発電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013028856A JP2014156838A (ja) | 2013-02-18 | 2013-02-18 | 風力発電機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013028856A JP2014156838A (ja) | 2013-02-18 | 2013-02-18 | 風力発電機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014156838A true JP2014156838A (ja) | 2014-08-28 |
Family
ID=51577845
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013028856A Pending JP2014156838A (ja) | 2013-02-18 | 2013-02-18 | 風力発電機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014156838A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107013412A (zh) * | 2017-04-28 | 2017-08-04 | 浙江理工大学 | 一种带动叶片的小型垂直轴风力发电机及其发电方法 |
JP2019517633A (ja) * | 2016-09-16 | 2019-06-24 | アデヴェ テックAdv Tech | 羽根の制御を改善した、方向付け可能な羽根を伴う流体ロータ |
CN111536203A (zh) * | 2020-04-26 | 2020-08-14 | 明阳智慧能源集团股份公司 | 一种紧凑混合驱动风力发电机组齿轮箱传动结构 |
CN115539293A (zh) * | 2022-09-21 | 2022-12-30 | 石家庄铁道大学 | 马格努斯式风轮及风力机 |
-
2013
- 2013-02-18 JP JP2013028856A patent/JP2014156838A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019517633A (ja) * | 2016-09-16 | 2019-06-24 | アデヴェ テックAdv Tech | 羽根の制御を改善した、方向付け可能な羽根を伴う流体ロータ |
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CN107013412B (zh) * | 2017-04-28 | 2023-08-08 | 国网安徽省电力有限公司宁国市供电公司 | 一种带动叶片的小型垂直轴风力发电机及其发电方法 |
CN111536203A (zh) * | 2020-04-26 | 2020-08-14 | 明阳智慧能源集团股份公司 | 一种紧凑混合驱动风力发电机组齿轮箱传动结构 |
CN115539293A (zh) * | 2022-09-21 | 2022-12-30 | 石家庄铁道大学 | 马格努斯式风轮及风力机 |
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