JP2014156614A - 電気アルミニウムめっき液 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、非水溶媒中の溶解度が高く、電気めっきの通電電気量を大きくすることができ、短時間で効率良くアルミニウムの電気めっきを行うことができる電気アルミニウムめっき液を提供し、めっき膜の光沢性や平滑性も同時に実現することにある。
【解決手段】本発明の電気アルミニウムめっき液は、アルミニウム金属塩と、前記アルミニウム金属塩とイオン対をなす有機化合物がイオン対を形成してなるイオン液体と、誘電率が8以下の有機溶媒とから構成されることを特徴とする。誘電率が8以下の有機溶媒として、ヘキサン,トルエン,ジエチルエーテル,酢酸エチル,シクロヘキサン,キシレン,ベンゼン,ナフタレン,ヘプタン,シクロペンチルメチルエーテル,ジオキサンのうち少なくともひとつを含み、イオン液体と有機溶媒の合計に対して、有機溶媒の体積分率を30%以上とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、非水溶媒を用いた電気アルミニウムめっき液に関する。
アルミニウムの電気めっきは、アルミニウムの酸素に対する親和力が大きく、電位が水素より卑であるため、水溶液系のめっき浴で電気めっきを行うことは困難である。このため、アルミニウムの電気めっきでは、非水溶媒系のめっき液が多く研究されてきた。この非水溶媒系である有機溶媒系のめっき浴としては、AlCl3とLiAlH4またはLiHをエーテルに溶解したものや、AlCl3とLiAlH4とをTHF(テトラヒドロフラン)に溶解したものが代表的なものである。しかし、これらのめっき浴は、いずれも浴中に非常に活性なLiAlH4やLiHを含んでいるため、酸素や水分が存在すると、それらと反応して分解し、電流効率が低下し、浴寿命も短くなってしまうものであった。このような中で安全且つ低コストなめっき液として、特許文献1,2などにはジメチルスルホンを溶媒とした溶融塩電解めっき液が報告されている。
また、近年では、特許文献3,4などに示すような、アルミニウムハロゲン化物と、アルキルピリジニウムハロゲン化物,4級アンモニウム塩,1−アルキルまたは1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物等とからなる溶融塩をめっき浴として用いる電気アルミニウムめっき法が提案されている。しかしながら、これらめっき浴は、水分の混入によってめっき状態が大きく変化するため、一定のめっき条件で電気めっきを行っても常に均一なめっき被膜が得られるとは限らない。
更には、特許文献5などに示すように、アルキルピリジニウムハロゲン化物からなるめっき浴に添加剤を加えることで、めっきの光沢性が向上するめっき浴が提案されている。しかしながら、これらのめっき浴は添加剤を加えることでめっきの析出効率が低下してしまう。特許文献6では、トルエンをアルキルピリジニウムハロゲン化物からなるめっき浴に添加する方法によって、めっきの光沢性が向上する技術が記載されているが、光沢のあるめっき皮膜をどんな条件下であっても一様に得ることは困難であった。すなわち、析出効率と光沢性や平滑性はトレードオフの関係にあり、両者を両立するような電気アルミニウムめっき液が求められている。
特開2004−76031号公報 特開2006−161154号公報 特開昭62−70592号公報 特開平1−272788号公報 特開平4−72088号公報 特開昭63−230896号公報
従来の非水溶媒系のめっき液は、一般にアルミニウム塩の溶解度が低く、大電流で短時間でめっき処理することが困難であり、効率よくめっき作業を行うことができない。また、めっき液中に酸素や水分が存在すると、それらとアルミニウム塩とが反応して分解し、電流効率が低下したり、めっきの仕上がりが悪くなり、めっき液が劣化するという問題があった。
これらの問題に加えて、高温溶融塩系の非水溶媒系めっき液の場合には、作動時に100℃以上にしなければならず、常温での作動は不可能であるという問題があった。また、常温溶融塩系の非水溶媒系めっき液の場合には、作動可能な範囲が非常に狭く、めっき膜の未析出等の欠陥を低減するためにアルミニウム金属塩の濃度を高くすると、液の粘性が高くなってしまい、めっきの析出速度が低下するとともにめっきのつき周りが悪いという問題があった。更には、析出物の表面形状が粗いという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、非水溶媒中の溶解度が高く、電気めっきの通電電気量を大きくすることができ、短時間で効率良くアルミニウムの電気めっきを行うことができる電気アルミニウムめっき液を提供すると共に、平滑性と光沢性に優れためっき膜を作製することにある。
本発明の電気アルミニウムめっき液は、アルミニウム金属塩と、前記アルミニウム金属塩とイオン対をなす有機化合物がイオン対を形成してなるイオン液体と、誘電率が8以下の有機溶媒とから構成されることを特徴とする。誘電率が8以下の有機溶媒として、ヘキサン,トルエン,ジエチルエーテル,酢酸エチル,シクロヘキサン,キシレン,ベンゼン,ナフタレン,ヘプタン,シクロペンチルメチルエーテル,ジオキサンのうち少なくともひとつを含み、イオン液体と有機溶媒の合計に対して、有機溶媒の体積分率が30%以上であることが好ましい。また、サッカリン,1−10フェナントロリンのうち少なくとも一つを含む添加剤を、イオン液体中に含まれるアルミニウム金属塩に対して、1.4×10-3〜3.0×10-3の比で加えると光沢・平滑効果が得られる。
イオン液体に有機溶剤を加えると、めっき液の粘性が下がった結果、Alめっき膜の成膜速度の変化するため、添加剤の供給量もめっき液の濃度に応じて最適化しなければならない。すなわち、イオン液体に加えた同量の添加剤を本発明のめっき液に添加しても、めっき液の濃度によっては平滑性や光沢性が得られるとは限らないことから、アルミニウムハロゲン化物量に対して最適な添加剤量を規定することが必要である。
本発明によれば、めっきの析出効率の向上により膜厚の均一性を改善することが可能となり、光沢性や平滑性に優れるめっき膜を短時間で作製できることにある。また、上記めっきを適用することで、立体的な形状であっても均一なめっきが施された部品を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態について以下に説明する。
アルミニウム源として使用するアルミニウム金属塩としては、アルミニウムハロゲン化物を使用できる。アルミニウムハロゲン化物としては、塩化アルミニウム,臭化アルミニウム等の無水塩が使用できる。アルミニウム金属塩とイオン対を形成する有機化合物に対して、めっき液中のアルミニウム濃度が等モル以下ではめっきの析出速度が著しく低下するため、濃度が高いほうがめっきの析出均一性が良好となる。めっき液中のアルミニウム濃度は、アルミニウム金属塩とイオン対を形成する有機化合物に対して、等モル以上含有されることがよく、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは3倍以上含有されることがよい。
アルミニウム金属塩とイオン対を形成する有機化合物としては、ジアルキルイミダゾリウム塩,脂肪族ホスホニウム塩,4級アンモニウム塩などの有機化合物カチオンのハロゲン化物が使用できる。ジアルキルイミダゾリウム塩としては、1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド([EMIM]・Cl),1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド([EMIM]・Br),1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド([EMIM]・I),1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド([BMIM]・Cl),1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド([BMIM]・Br),1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド([BMIM]・I)などを好適に用いることができる。また、脂肪族ホスホニウム塩としては、エチルトリブチルホスホニウムクロリド([EBP]・Cl),エチルトリブチルホスホニウムブロミド([EBP]・Br),エチルトリブチルホスホニウムヨージド([EBP]・I)、などを好適に用いることができる。4級アンモニウム塩として、テトラエチルアンモニウムブロミド([E4N]・Br),トリメチルエチルアンモニウムクロリド([M3EN]・Cl),テトラブチルアンモニウムクロリド([Bu4N]・Cl)などを好適に用いることができる。
上記したアルミニウム金属塩と、アルミニウム金属塩とイオン対を形成する有機化合物とを混合することにより、以下の反応により、イオン対を形成したイオン液体が形成される。
Al・Xn+R・Ym=(Al・R)(Xn)(Ym) …(式1)
(式1において、X,Yはハロゲン化物を示し、Rは有機化合物カチオンを示し、n,mは価数を示し、1〜4の整数である)。
アルミニウム金属塩に塩化アルミニウム,アルミニウム金属塩とイオン対を形成する有機化合物に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを用いた場合の反応を例として以下に記載する。
[EMIM]:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド
[EMIM]+Cl-+AlCl3=[EMIM]+[AlCl4]- (1)
[EMIM]+[AlCl4]-+AlCl3=[EMIM]+[Al2Cl7]- (2)
[AlCl4-+3e-=Al+4Cl- (3)
[Al2Cl7]-+3e-=Al+[AlCl4]+3Cl- (4)
4[Al2Cl7]-+3e-=Al+7[AlCl4]- (4)′
[AlCl3]と「EMIM」のmol%の比率により、2種類の析出形態が考えられる。
一つ目は[AlCl3]が50mol%以下の場合、(1)のように存在していると考えられ、(3)式に従ってAlが析出すると考えられる。
二つ目は[AlCl3]が50mol%より多い場合(過剰な場合)、(2)のように存在していると考えられ、(4)または(4)′式に従ってAlが析出すると考えられる。
このように、アルミニウム塩とジアルキルイミダゾリウム塩などの有機化合物を混合すると、それらはイオン対を形成し、融体(イオン液体)が得られる。このイオン液体は、電気めっき液として機能することが可能である。しかしながら、めっき液としてはアルミニウムの濃度が高いことが望まれるが、例えば、アルミニウム金属塩とイオン対を形成する有機化合物に対してアルミニウム金属塩をモル比で3倍以上とすると、アルミニウムの濃度が高くなるに従い粘性が高く流動性がなくなり、このようなイオン液体からは均一なめっきの析出が得られなくなる。そこで本発明では、粘性が高いイオン液体を有機溶媒に溶解させることによって、モル比が3倍より大きくても粘性を低くでき、めっき液として好適に用いることが可能となる。また、有機溶媒の体積分率が高いほど、相対的にアルミニウムのイオン濃度が低下していくが、粘性が低くなることで見かけの拡散係数が大きくなるために被めっき面での電流を大きく均一にすることが可能となる。従って、基板面への均一なめっきを得ることができる。
有機溶媒としては、誘電率が8以下の非極性の溶媒を用いることが好ましい。誘電率の高い極性有機溶媒を用いた場合には、アルミニウムとイオン対を形成している有機化合物とが解離し、めっきの析出効率が低下してしまう。これは、イオン液体中の正負イオン間のクーロン力が媒体の誘電率に反比例し、溶媒の比誘電率が高いほどクーロン力は小さくなり、金属塩の解離が容易になり、アルミニウム金属塩と有機化合物とのイオン対の解離が容易となってしまうためである。したがって、有機溶媒の誘電率は8以下のものが好ましく、より好ましくは5以下とすることが望ましい。このような有機溶媒としては、ヘキサン(誘電率2.0),トルエン(誘電率2.4),ジエチルエーテル(誘電率4.3),酢酸エチル(誘電率6.0),シクロヘキサン(誘電率2.0),キシレン(誘電率2.5),ベンゼン(誘電率2.3),ナフタレン(誘電率2.5),ヘプタン(誘電率1.9),シクロペンチルメチルエーテル(誘電率4.8),ジオキサン(誘電率2.1)が挙げられ、これらのうちいずれか一種、あるいは複数を用いても良い。また、有機溶剤の沸点は、40℃以上のものが好ましく、沸点が低過ぎると、密閉,冷却等の有機溶剤の発散,引火等への対策が過重となるので好ましくない。また、イオン液体と有機溶媒の合計に対して、有機溶媒の体積分率を30vol%以上とすることが好ましく、50vol%以上が更に好ましい。しかしながら、有機溶媒の体積分率が高くなりすぎると、アルミニウムのイオン濃度が低下しすぎてしまい、90vol%よりも高くなるとめっきの電流効率低下の原因となってしまう。そのため、有機溶媒の体積分率は90vol%以下が好ましい。
イオン液体と有機溶媒の混合しためっき液に対して、サッカリン,1−10フェナントロリンのうち少なくとも一つを含み、イオン液体中に含まれるアルミニウム金属塩に対して、1.4×10-3〜3.0×10-3の比で添加することが特に好ましい。これらの有機化合物は、めっきによる結晶成長を抑制することで、結晶が微細化され平坦性が大幅に向上する。アルミニウム塩に加えて、卑金属塩としてNiやCo,Cu、などの遷移金属塩やTi,WやMoなどの高融点金属塩を加えると、得られるめっき膜にこれらの元素が含まれ、熱的安定性を向上させることができる。例えばニッケルの場合は、塩化ニッケル,硫酸ニッケルなどを0.01から20mol%の濃度となるように添加することができ、その場合ニッケル塩とアルミニウム塩を加えた金属塩濃度は一定となるようにアルミニウム塩の添加量を調整すると良い。同様に他の卑金属塩の場合も、塩化物との金属塩などを添加することができる。
めっき処理温度は作業性を勘案すると10〜60℃以下が好ましく、さらには40℃以下が望ましい。温度が10℃未満となると、粘度が高くなりめっき膜全体が黒くなる傾向を示す。
電気アルミニウムめっきは、めっき条件として、直流もしくはパルス電流により、電流密度0.01〜10A/dm2で行うと電流効率がよくかつ均一なめっきをすることができる。電流密度が高すぎると、有機化合物の分解,めっき層の不均一化、さらには電流効率の低下が起り好ましくない。また、めっき液が酸素,水分に対して不安定なため、めっきは乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
連続めっきを行う場合には、めっき浴にAlイオンを補給して、浴中のAlイオン濃度を一定の範囲に保つ必要があるが、この場合、陽極をアルミニウム製可溶性陽極にすると、通電量に応じてAlイオンが自動補給され、アルミニウムハロゲン化物の補給によらなくてもAlイオン濃度を一定の範囲に保つことができ、しかも、浴組成を崩すことがない。
めっき後の洗浄に用いる有機溶剤は、ヘキサン,ドデカン等の飽和脂肪族炭化水素類、および、ベンゼン,トルエン,ヘキシルベンゼン,ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類である。これらは、めっき液中に混入しても悪影響を及ぼさず、中でも、アルキル置換基を有する芳香族炭化水素、特に炭素数8以下のアルキル置換基を有するアルキルベンゼンは、めっき液中に混入してもめっきに悪影響を及ぼさないので、特に好ましい。有機溶剤の沸点は、40℃以上のものが好ましく、沸点が低過ぎると、密閉,冷却等の有機溶剤の発散,引火等への対策が過重となるので好ましくない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
(実施例1)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(関東化学製;[EMIM]Cl)と無水塩化アルミニウム(和光純薬、AlCl3)を用いた。湿度5%,温度25℃としたグローブボックス内で秤量し、[EMIM]Cl:AlCl31:2のモル比となるようにAlCl3を加え、200mlの融体を得た。200mlのトルエン(和光純薬工業)に前述の融体を溶解させた後、サッカリン(和光純薬工業)をAlハロゲン化物に対して2.0×10-3の比になるように添加し、総量で400mlとなるようにめっき液を作製した。得られためっき液400mlを、縦×横×深さが100mm×50mm×100mmのポリプロピレン製の電解槽に入れた。
次に、アノード電極として縦×横が75mm×75mm、厚さが2mmの純度99.9%のアルミニウム板を、またカソード電極として縦×横が50mm×50mm、厚さが0.1mmの銅箔を、互いに30mmの間隔を置いて電解槽内に対向させて配置し、めっき液内に浸漬した。電極と接続用のリード線を電解槽の蓋を気密状態で貫通させ、電源に接続した。
以上の作業をグローブボックス中で行った後、外に取り出した。
電気アルミニウムめっきは定電流源を用いて、電流密度−10mA/cm2で20分間または電流密度−20mA/cm2で10分間行い、銅箔の表面にアルミニウムめっき膜を形成した。めっき時の電圧は3V以下として行った。その後、電流効率の評価と、めっき膜の表面状態の観察を行った。電流効率は、アルミニウムの析出量を実測して求め、これをクーロンメータの電流値を基に予め算出される析出量と比較し、後者の計算上の析出量に対する割合を百分率として求めた。
上記のようにして行った結果、めっき状態が良好であった。また、銅箔面内の5か所について膜厚測定を行った結果、めっき膜厚は4μmであり、分布は5%以内と、良好な結果が得られた。また、電流効率は85%と良好であった。析出しためっき膜の算術平均粗さを測定した結果、10nmと非常に平滑性が高く、鏡面状のめっき膜が得られた。
この結果から明らかなように、本実施例の溶媒および溶質を用いると、電気めっきの通電電流を大きく取ることができ、短時間で効率良くアルミニウムのめっきができると共に、電流効率が良く、電解液の劣化によるトラブルも回避され、均一性良く平滑で良好なめっき状態を得ることができることがわかった。
(実施例2〜13)
塩化アルミニウム塩AlCl3を、表1に示した有機化合物,有機溶媒を用いて、種々の塩濃度A(モル/1)の1つとなるように溶解させて、実施例2〜13のめっき液を実施例1と同様に作成した。その結果を表1に示す。表1にアルミニウムハロゲン化物とイミダゾリウムのモル比に対して添加した有機溶媒の種類と体積比率、添加剤の種類とアルミニウムハロゲン化物に対する添加剤のmol比をアルミニウム塩化物に対する添加剤のmol比を示す。これらの液組成を用いてめっきを実施した場合の結果を析出効率,光沢性,平滑性,膜厚均一性の4点から評価した。特に優れた効果が得られた場合は◎、優れた効果が得られた場合は○、十分な効果が得られなかった場合は△を用いて評価した。添加剤はアルミニウムハロゲン化物に対するmol比を1.4×10-4〜3.0×10-3とすることで、アルミニウムの析出効率とめっき膜の平坦性に著しい改善効果が認められた。有機溶媒の添加量については実施例4〜7のように75vol%〜90vol%程度の高い場合にはめっき液の粘性が下がり、アルミニウムイオンの拡散速度が向上することから高い析出効率でめっきすることが可能となる。添加剤の添加量については有機溶媒の添加量が高くなるにつれてアルミニウムめっき膜の成膜速度が速くなり、アルミニウムイオンに対する添加剤のmol比が過多になると黒色で平滑性や膜厚均一性に劣るめっき膜が成膜される可能性がある。従って光沢性,平滑性,膜厚均一に優れためっき膜を成膜するには有機溶媒の添加量が高くなるにつれて、アルミニウムイオンに対する添加剤のmol比を低くすることが必要であると考えられる。
この結果から明らかなように、実施例1〜13の溶媒および溶質を用いると、電気めっきの通電電流を大きく取ることができ、短時間で効率良くアルミニウムのめっきができると共に、電流効率が良く、電解液の劣化によるトラブルも回避され、良好なめっき状態を得ることができる。アルミニウム塩の濃度が高くなるとめっきの際の電流効率を向上可能であった。また、有機溶媒の濃度は高い方が粘性を低下させることができ、膜厚ばらつきを低減できた。
Figure 2014156614
(実施例14)
実施例1と同様のめっき方法に従い、被めっき物は中央でL字型に90度折った銅箔へのめっきを実施した。銅箔面の5か所について膜厚測定を行った結果、めっき膜厚は4μmであり、分布は8%以内と、良好な結果が得られた。電流効率は97%と良好であった。
この結果から明らかなように、本実施例の溶媒および溶質を用いると、電気めっきの通電電流を大きく取ることができ、短時間で効率良くアルミニウムのめっきができると共に、立体的な形状であっても均一なめっきが施された部品を提供することが可能とわかった。
(実施例15)
実施例1と同様のめっき方法に従い、銅合金リードフレーム上にめっきを実施した。リードフレームには通常反射率が優れるAgめっきが用いられるが、特に硫化物に侵されやすいなど耐食性に劣ることが課題であった。得られためっき膜の耐変色性,反射率,ワイヤボンディング性を評価した結果、いずれも良好な結果であった。
(実施例16)
実施例1と同様のめっき方法に従い、Siウエハ上にめっきを実施した。得られためっき膜は鏡面光沢であり、表面粗さRaは4nm程度で極めて平滑性が高かった。
(比較例1)
実施例1と同様に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(20モル%)と三塩化アルミニウム(80モル%)とからなるイオン液体をめっき液として用いてめっきを施した。この場合は、電流密度が20mA/cm2で実施したが、良好なめっきができずアルミニウムめっきの表面が黒く焼けためっき膜となった。また、めっき液の粘性が高いため、膜厚の分布が大きくなってしまった。
(比較例2)
実施例1と同様に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(20モル%)と三塩化アルミニウム(80モル%)とからなるイオン液体を極性溶媒であるプロピレンカーボネート(誘電率65)に溶解しめっき液として用いてめっきを施した。この場合は、電流密度が20mA/cm2で実施したが、良好なめっきができずほとんどアルミニウムの析出が起きなかった。このような極性を有する溶媒にイオン液体を溶解させると、アルミニウム塩とイオン対を形成している有機化合物とが解離してしまい、めっき反応を阻害したと考えられる。
(比較例3)
実施例1と同様に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(20モル%)と三塩化アルミニウム(80モル%)とからなるイオン液体を極性溶媒であるアセトニトリル(誘電率38)に溶解しめっき液として用いてめっきを施した。この場合は、電流密度が20mA/cm2で実施したが、良好なめっきができずほとんどアルミニウムの析出が起きなかった。
(比較例4)
実施例1と同様に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(20モル%)と三塩化アルミニウム(80モル%)とからなるイオン液体にトルエンを70vol%含む液をめっき液として用いてめっきを施した。この場合は、電流密度が20mA/cm2で実施したが、良好なめっきが得られたがアルミニウムめっきの表面が白く平滑性がえられなかった。
(比較例5)
実施例1と同様に[EMIM]Cl:AlCl3=1:2のモル比となるようにイオン液体にトルエンを50vol%含む液をめっき液として用いてめっきを施した。この場合は、電流密度が20mA/cm2で実施したが、良好なめっきが得られたがアルミニウムめっきの表面が白く平滑性がえられなかった。
(比較例6)
実施例1と同様に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(20モル%)と三塩化アルミニウム(80モル%)とからなるイオン液体にサッカリンを3.0×10-3含むめっき液として用いてめっきを施した。この場合は、電流密度が20mA/cm2で実施したが、光沢性を有する良好なめっきが得られたが、電流効率が87%と有機溶媒を添加した場合に比べて低かった。
(比較例7)
[EMIM]Cl:AlCl3=1:2のモル比となるようにAlCl3を加え、200mlの融体を得た。続いて200mlのトルエンに前述の融体を溶解させた後、サッカリンをAlハロゲン化物に対して8.0×10-3の比になるように添加してめっき液を作成し、実施例1と同様の電解条件で銅箔表面にアルミニウムめっき膜を形成した。得られためっき膜は黒色で膜厚の均一性も乏しかった。添加剤量は特許文献2において光沢・平滑性が得られる範囲にあるが、有機溶媒を添加した場合には添加剤の作用機構が変化するために光沢・平滑効果が得られる添加剤量が異なることが示唆された。
(比較例8)
[EMIM]Cl:AlCl3=1:2のモル比となるようにAlCl3を加え、200mlの融体を得た。続いて200mlのトルエンに前述の融体を溶解させた後、サッカリンをAlハロゲン化物に対して8.0×10-4の比になるように添加してめっき液を作成し、実施例1と同様の電解条件で銅箔表面にアルミニウムめっき膜を形成した。得られためっき膜は光沢性・平滑性に関して十分な効果は得られなかった。

Claims (12)

  1. アルミニウム金属塩と、前記アルミニウム金属塩とイオン対をなす有機化合物がイオン対を形成してなるイオン液体と、誘電率が8以下の有機溶媒と、添加剤として芳香族スルホンイミド類もしくはN環状化合物の少なくとも一方、から構成されることを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  2. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、前記イオン液体と前記有機溶媒の合計に対して、前記有機溶媒の体積分率が30%以上であることを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  3. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、前記アルミニウム金属塩は少なくともハロゲン化アルミニウムを含有することを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  4. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、前記有機溶媒が、ヘキサン,トルエン,ジエチルエーテル,酢酸エチル,シクロヘキサン,キシレン,ベンゼン,ナフタレン,ヘプタン,シクロペンチルメチルエーテル,ジオキサンから選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  5. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、イオン液体中に含まれるアルミニウム金属塩量に対する添加剤量のmol比が1.4×10-4〜3.0×10-3であることを特徴する電気アルミニウムめっき液。
  6. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、前記アルミニウム金属塩とイオン対をなす有機化合物として、ジアルキルイミダゾリウム塩,脂肪族ホスホニウム塩,4級アンモニウム塩のうち少なくともひとつを含有することを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  7. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、前記アルミニウム金属塩とイオン対をなす有機化合物に対して、前記アルミニウム金属塩のモル比が1以上であることを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  8. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、前記アルミニウム金属塩と、前記アルミニウム金属塩とイオン対をなす有機化合物とを混合してイオン液体を合成した後に、前記イオン液体と前記有機溶媒とを混合して得られたことを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  9. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、アルミニウム金属塩以外の卑金属塩を含むことを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  10. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、芳香族スルホンイミド類としてサッカリンを含むことを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  11. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、N環状化合物として1,10フェナントロリンを含むことを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  12. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液を用いてめっきが施されていることを特徴とするLED用アルミニウムめっき膜。
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