JP2014147632A - 超音波診断装置 - Google Patents

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幸一郎 川本
Yasuhiro Ito
安啓 伊藤
Takehito Konno
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Abstract

【課題】振幅変調法に基づいてコントラスト剤により生じた非線形成分を画像化する場合において、互いに振幅が異なる複数の送信信号間において送信回路の特性に起因する位相差が生じるという問題があった。
【解決手段】被検体にコントラスト剤を注入しないで行う試験測定工程において、2回の試験送受波を実行することにより、互いに振幅が異なる2つの受信信号(ビームデータ)が得られ、それらがメモリに格納される。仮位相差を異ならせながら、2つの受信信号間に対して仮位相差を適用しつつ成分抽出処理が実行される。これにより得られた複数の抽出成分からなる抽出成分特性において最小値を特定することにより位相差が特定される。その位相差が本測定工程において送信信号制御又は受信信号処理で利用される。
【選択図】図1

Description

本発明は超音波診断装置に関し、特に、複数回の送受波によってコントラス剤に由来する非線形成分を画像化する超音波診断装置に関する。
超音波診断の分野において、コントラストイメージング法が知られている。かかる手法は、被検体内に対して注入されたコントラスト剤(マイクロバブル等)を画像化するものである。すなわち、コントラスト剤は生体組織に比べてより大きな非線形性を有しているので、エコー信号中の非線形成分を抽出することにより、コントラスト剤が支配的に表現された画像を形成することが可能である。
そのための手法として振幅変調法(AM法)が知られている(特許文献1)。振幅変調法では、ビーム走査方向におけるビームアドレスごとに、互いに振幅が異なる複数の送信波が順次送波され、これにより互いに振幅が異なる複数の受信波が得られる。それらの受波により生じた複数の受信信号に対して送信時の振幅関係に対応した利得調整が実行されつつ複数の受信信号が合成される。これにより、線形成分(主に生体組織成分)が抑圧される一方において、非線形成分(主にコントラスト剤成分)が抽出される。ビームアドレスごとの深さ方向に沿った非線形成分をマッピングすることにより、二次元断層画像としてのコントラスト画像が生成される。
特開2012−135516号公報
振幅変調法の実施に当たって、複数の振動素子の中から選択された一部の振動素子(例えば1つおきの振動素子)を駆動することにより、送信音圧を変更することも可能であるが、その場合にはどうしてもサイドローブが出やすくなる。このため、各振動素子に供給する送信信号の振幅(電圧)を可変する方式を採用するのが望ましい。
しかしながら、本発明者らの調査研究によれば、送信信号の振幅の違いによって送信回路の応答に相違が認められ、まったく同じタイミングで互いに振幅が異なる複数の送信信号波形を入力しても、送信信号処理を経た結果、それぞれの送信信号波形の立ち上がりタイミング(及び立ち下がりタイミング)が振幅によって異なってしまうという問題が判明している。
図8にはそのような現象が図示されている。(A)には高振幅をもった送信信号の波形200が示され、(B)には低振幅をもった送信信号の波形202が示されている。なお、横軸は時間軸であり、縦軸は振幅を示している。例えば、アナログ回路としての増幅器等においては入力波形に応じて応答特性に若干の相違が生じる場合がある。そのような相違によって符号204で示されるように2つの波形200,202の間において位相差(立ち上がり点の時間差)が生じている。立ち下がり点でも同様の位相差が生じ得る。そのような位相差は送信信号全体の時間差となって現れ、例えば2つの送信信号間でピークに時間差が生じることになる。これにより、複数の送信信号に対応して得られた複数の受信信号の合成処理の後に、無用な差分成分が生じてしまう。すなわち、複数の受信信号の合成処理においては、生体組織の線形成分をキャンセルしつつ、生体内のコントラスト剤により生じた非線形成分を抽出したいのであるが、上記のような位相差により無用な差分成分が生じる。そのような無用な差分成分は、キャンセルできなかった線形成分であり、非線形成分の画像化つまりコントラスト剤の画像化に当たって、画質劣化要因となる。
本発明の目的は、互いに振幅が異なる送信信号間において生じる位相差による問題が生じないようにすることにある。特に、位相差を精度良く特定してそれを補償することによりコントラスト画像の画質を向上させることにある。
本発明に係る超音波診断装置は、各ビーム位置で複数回の送受波を実行するために互いに振幅が異なる複数の送信信号を生成する送信回路と、前記各ビーム位置での複数回の送受波の実行結果として互いに振幅が異なる複数の受信信号を生成する受信回路と、前記複数の受信信号に対して非線形成分の抽出処理を実行する抽出処理部と、を含み、更に、前記複数の送信信号の生成過程又は前記複数の受信信号の処理過程において、前記送信回路の特性に起因して生じる複数の送信信号間での位相差を補償する補償手段を含む、ことを特徴とするものである。
上記構成によれば、補償手段によって、送信回路の特性に起因して生じる複数の送信信号間での位相差が特定され、その位相差を補償する処理が実行される。位相差の補償は、互いに異なる振幅を有する複数の送信信号間に対する位相差の適用により(例えば、送信回路で生じる位相差が相殺されるように逆の位相差を設定することにより)、互いに異なる振幅を有する複数の受信信号間に対する位相差の適用により、あるいは、送信回路の動作条件の補正等の他の手法により、実現することが可能である。いずれの場合においても、送信回路の特性に起因して生じた位相差を実際に特定すれば高精度の補償を行うことができ、ひいてはコントラスト画像の画質を高められる。
上記構成は、振幅変調法に基づいてコントラスト画像を形成するものであり、個々のビームアドレスごとに、例えば、振幅を異ならせて2回の送受波が実行されるが、3回以上の送受波が実行されてもよい。それらの送受波により得られた複数の受信信号に対して通常、重み付け合成処理(重み付け加算(減算)処理)が適用される。これにより、線形成分がキャンセルされつつ、非線形成分が抽出される。なお、生体組織も非線形性を有し、生体組織からも非線形成分が生じるが、それはコントラスト剤からの非線形成分に比べてかなり小さいものである。
望ましくは、被検体に対してコントラスト剤を注入しないで行う試験測定工程において、複数回の試験送受波によって互いに振幅が異なる複数の受信信号が生成され且つ記憶されるように制御する手段と、前記試験測定工程において、仮位相差を段階的に切り替えながら、前記記憶された複数の受信信号間に仮位相差を適用した上で前記抽出処理が実行されるように制御する手段と、前記試験測定工程において、前記仮位相差を段階的に切り替えながら前記抽出処理を実行することによって得られた複数の抽出成分からなる抽出成分特性に基づいて補償位相差を特定する手段と、を含み、前記試験測定工程後の工程であって前記被検体に対してコントラスト剤を注入して行う本測定工程において、前記補償位相差が前記複数の送信信号間又は前記複数の受信信号間に適用される。
上記構成によれば、実測定工程に先立って試験測定工程が実行され、それによって補償位相差が特定される。すなわち、試験測定工程では、コントラスト剤を注入していない状況下で、複数回の試験送受波(試行的送受波)によって互いに振幅が異なる複数の受信信号が取得され、それらが記憶される。複数の受信信号の記憶により、仮位相差の切り替えの都度、試験送受波を行う必要がなくなる。記憶された複数の受信信号間に対して段階的に仮位相差が適用され、個々の仮位相差ごとに抽出処理結果としての抽出成分が取得される。そして、仮位相差の変化に伴う抽出成分の変化を表す抽出成分特性に基づき、補償用位相差が特定される。望ましくは、抽出成分特性が最も小さくなる地点として補償用位相差が特定される。それを利用した位相差補償により、送信回路由来の差分成分(換言すればキャンセルできなかった生体組織からの線形成分)を効果的に消失又は軽減させることが可能である。そのような条件を見出せるように試験測定工程が本測定工程に先立って実施される。望ましくは、前記補償位相差は前記抽出成分特性における最小値に基づいて特定される。抽出成分特性として、輝度特性、パワー特性等を利用可能である。なお、上記試験測定工程は通常、コントラスト剤の注入前に実行されるが、それをコントラスト剤注入後に実行することも考えられる。その場合、血管がかなり少ない組織部内に関心領域を設定し、その関心領域からの信号に対して上記処理を適用するのが望ましい。
望ましくは、前記複数回の試験送受波が生体内部の二次元の関心領域に対して実行され、前記二次元の関心領域から得られた複数の非線形成分によって前記非線形成分特性が生成される。望ましくは、前記複数回の試験送受波が所定ビーム方位に対して実行され、前記所定ビーム方位から得られた複数の非線形成分によって前記非線形成分特性が生成される。望ましくは、前記抽出処理部は前記複数の受信信号としての複数のRF受信信号の合成処理により非線形成分を抽出する。
本発明によれば、互いに振幅が異なる送信信号間において生じる位相差による問題を解消又は軽減できる。特に、位相差を精度良く特定してそれを補償することによりコントラスト画像の画質を向上できる。
本発明に係る超音波診断装置の基本構成を示すブロック図である。 第1実施形態(第1動作モード)を示すフローチャートである。 走査面上に設定される関心領域(ROI)を示す図である。 輝度特性の一例を示す図である。 第2実施形態(第2動作モード)を示すフローチャートである。 走査面上に設定された特定のビーム方位を示す図である。 パワー特性を示す図である。 送信回路に起因する位相差の例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1は超音波診断装置の基本構成を示すブロック図である。図1に示す超音波診断装置は、医療の分野において用いられ、生体内に注入されたコントラスト剤に由来する非線形成分を画像化するものである。より具体的には、本実施形態においては振幅変調法(AM法)に従って非線形成分が抽出されている。以下においては、ビームアドレス毎に2回の送受波が実行されているが、もちろん3回以上の送受波が実行されてもよい。本実施形態においては、本測定工程に先立って試験測定工程が実施されている。すなわち、試験測定工程の実行によって位相差が補償された上で、本測定工程が実行されている。
図1において、プローブ10は、生体表面上に当接して用いられるものである。プローブ10は複数の振動素子からなるアレイ振動子を有している。アレイ振動子によって超音波ビーム12が形成され、超音波ビーム12の電子走査により、走査面14が構成される。本実施形態においては、ビームアドレス毎に上記のように2回の送受波が実行されており、図1においては、1回目の送波が符号16aで示され、1回目の受波が符号16bで示されて、2回目の送波が符号18aで示され、2回目の受波が符号18bで示されている。このような2つの送受波によって得られた2つの受信信号に対する重み付け合成処理により、線形成分がキャンセルされる一方、非線形成分が抽出される。すなわち、生体組織に由来する信号成分がキャンセルされつつコントラスト剤に由来する信号成分が抽出される。図1において、rは深さ方向を示しており、θはビーム走査方向を示している。
超音波ビームの電子走査方式としては、電子リニア走査方式、電子セクタ走査方式、等が知られている。1Dアレイ振動子に換えて2Dアレイ振動子を設け、超音波ビームを2次元走査することも可能である。図1に示すプローブ10は体表面上に当接して用いられるものであるが、それに換えて体腔内に挿入して用いられるプローブを設けるようにしてもよい。
送信ビームフォーマー20は、送信部を構成するものであり、図1に示す例において、送信ビームフォーマー20は、波形メモリ22と、複数の送信器24と、を有している。波形メモリ22内には、第1送信信号を生成するための波形データと、第1送信信号とは振幅の異なる第2送信信号を生成するための波形データと、が格納されている。その波形データセットが、基本となる振幅毎に用意されてもよい。また、波形データをメモリ上に格納するのではなく、必要な波形データをその都度計算により求めるようにしてもよい。
各送信器24は、遅延回路26、D/A変換器28及びアンプ30を有している。遅延回路26は送信信号に対して送信ビーム形成のための遅延処理を適用するものであり、D/A変換器28はデジタル送信信号をアナログ送信信号に変換する回路である。アンプ30はアナログ送信信号を増幅することにより、対応する振動素子に与える増幅後の送信信号を出力する回路である。そのようなアナログ回路においては、振幅等に依存して応答特性が若干相違する場合があり、それを原因として図8に示したような振幅に依存する位相差が生じる可能性がある。特に、第1送信信号と第2送信信号との間において位相差が生じると、それらに対応する2つの受信信号間において重み付け合成処理を行った場合に、位相差を原因とする無用な差分成分が生じてしまうという問題がある。そのような問題に対処するため、本実施形態に係る超音波診断装置においては、後に説明する主制御部42内に位相差制御部44が設けられており、その位相差制御部44の制御の下で補償位相差が特定され、それを利用した位相差の補償を行うことにより、上記位相差が相殺されるように構成されている。
送信制御部27は送信ビームフォーマー20の動作を制御するモジュールであり、送信制御部27は送信タイミング制御の他、必要に応じて、試験測定工程の実行により特定された補償位相差に基づき、2つの送信信号間に対する時間差の設定を行っている。すなわち、2つの送信信号間において、遅れる送信信号の方に対してその遅れ分を補償するために早く読み出しが行われるように制御を行っている。もちろん、位相差によって時間的に先行してしまう送信信号に対して位相差に相当する時間差分だけ遅れた読み出し制御を行うようにしてもよい。送信制御部27は、振幅変調法を実現するため、上記のように、ビームアドレス毎に互いに振幅の異なる第1送信信号及び第2送信信号が生成されるように送信ビームフォーマー20の制御を行っている。
受信ビームフォーマー28は、複数の振動素子から出力される複数の受信信号に対して整相加算処理を実行するものである。これにより整相加算後の受信信号すなわちビームデータが生成される。そのビームデータは図1に示す構成例において必要に応じてメモリ30又はメモリ32に格納される。後述するように、位相差補償後の本測定工程では、ビームアドレス毎に2つの受信信号が得られることになり、先行する受信信号が例えばメモリ30に一旦格納され、後から来る受信信号のタイミングに合せてメモリ30に格納された受信信号が読み出される。それらの2つの受信信号間において成分抽出部36において重み付け合成処理が実行される。これにより、生体組織に由来する線形成分がキャンセルされつつ、コントラスト剤に由来する非線形成分が抽出される。
本測定工程に先立って実行される試験測定工程では、被検体内にコントラスト剤を注入しない状況下で試行的に送受波が行われる。例えば、二次元の関心領域(ROI)に対応する複数の受信信号がメモリ30,32に格納される。その場合、例えばROIを横切る複数の第1受信信号(第1ビームデータ)がメモリ30に格納され、同じく、ROIを横切る複数の第2受信信号(第2ビームデータ)がメモリ32に格納される。その上で、仮位相差(仮の時間差)を段階的に切り替えながら、ビームアドレス毎に2つのビームデータ間に仮位相差を適用しつつそれらを重み付け合成することにより、成分抽出部36の出力として抽出成分が得られる。この試験測定工程において、仮に上記位相差が生じていなければ、抽出成分は、基本的に生体組織に由来する非線形成分となる。一方、上記位相差が生じている場合においては、抽出成分には、生体組織に由来する非線形成分の他に、キャンセルできなかった成分として生体組織に由来する線形成分も含まれることになる。メモリ30,32からのビームデータの読み出しは読み出し制御部34によって制御されており、2つのビームデータ間における読み出しタイミングを調整することにより仮位相差が適用されている。ROIに対応する複数のビームアドレスに対して上記の処理を行った結果として仮位相差毎に複数のビームアドレスに対応する複数の非線形成分が得られることになる。
なお、試験測定工程において、ROIに対応する複数のビームアドレスだけに対して送受波が行われるのが望ましいが、走査面の全体に亘って送受波が行われてもよい。いずれにしても、仮位相差毎にROI内から上記抽出成分が得られるように信号処理が実行される。ちなみに、メモリ30,32に格納される2つのビームデータはそれぞれRF受信信号に相当するものである。成分抽出部36とDSC38との間にはビームデータ処理部が設けられており、それは検波器等を含むものである。なお、上記構成では成分抽出部36の前段に2つのメモリ30,32が設けられていたが、それは例示に過ぎず、それらを単一のメモリで構成するようにしてもよいし、その他の構成を採用してもよい。
デジタルスキャンコンバータ(DSC)38は、複数のビームアドレスに対応する複数の抽出成分に基づいて二次元断層画像(非線形成分画像)を形成するモジュールである。DSC38は、従来同様に、補間機能、座標変換機能等を有している。本実施形態において、試験測定工程では、座標変換後のROI内の画像成分が参照されているが、座標変換前すなわちDSC38に入力される前の抽出成分を参照するようにしてもよい。例えば、後に説明する第2実施形態においては、DSC38に入力される前の抽出成分が参照された上で、そのパワーが演算されている。
表示処理部41は、形成された二次元断層画像に対してグラフィック画像等を合成する処理を実行するモジュールである。表示器43には形成された二次元断層画像が表示される。
演算部40は、試験測定工程の第1実施形態において、DSC38により形成された二次元断層画像におけるROI内の画像部分(つまり抽出成分)を参照し、それらの積算値又は平均値としての輝度値を演算するモジュールである。すなわち、コントラス剤が存在していない状況下において、成分抽出処理によって生成された成分を参照することにより、送信回路の段階で生じた位相差に基づく無用な差分成分(生体組織に由来する線形成分)を定量化することが可能である。ちなみに、ROIは図示されていない入力部を利用してユーザーにより設定することが可能である。もちろんROIを自動的に設定するようにしてもよい。例えばROIが組織中の実質部内に設定されてもよい。なお、試験測定工程の第2実施形態においては、演算部40は、DSC38に入力される前の抽出成分を参照し、それに基づいてパワー値を演算している。
位相差制御部44は、試験測定工程での装置動作を制御するものである。それは本実施形態において主制御部42の一機能として構成されている。主制御部42はプログラム及びCPUによって構成されるものである。試験測定工程において、位相差制御部44の制御の下、試験送受波が実行され、それによってビームアドレス毎に得られた2つの受信信号間において試行的に設定された仮位相差が適用された上で2つの受信信号間において重み付け合成処理が実行される。そのような処理がビームアドレス毎に繰り返される。仮位相差の適用は上述したように合成対象となった2つのビームデータ間における読み出しタイミングの調整により実現可能である。
試験測定工程の第1実施形態において、仮位相差を段階的に切り替えながらROI内の輝度値を参照することにより、仮位相差の変化に対する輝度値の変化を表す輝度値特性を得ることができる。そのような輝度値特性における最小値が存在する仮位相差をもって補償位相差を特定することが可能である。すなわち、不要な差分成分が極小となる仮位相差が補償位相差として特定されることになる。被検体にコントラスト剤が注入されていない状況下において、ROI内の輝度値は生体組織由来の線形成分及び非線形成分を反映したものであり、前者が実質的に消失して後者だけが残った地点が上記最小値に相当する。このように特定される位相差の符号を反転させることにより送信用補償位相差を特定でき、それが送信制御部27に設定される。その上で、本測定工程が実施されることになる。すなわち送信回路で生じる位相差を相殺するように補償位相差が適用されつつ、第1送信信号及び第2送信信号が生成される。そのような送信制御に換えて、受信信号処理において位相差の補償を行うことも可能である。すなわち、通常通りの同じタイミングで2つの送信信号の送信を行った上で、それに対応する2つの受信信号間に対して補償位相差(受信用補償位相差)を適用して送信時に生じた位相差をキャンセルすることにより無用な差分成分の発生を防止することが可能である。試験測定工程の第2実施形態では、上記の輝度値特性に代替するパワー特性に基づいて、上記同様に補償位相差が特定される。以下においては、各実施形態について詳述する。
図2を用いて第1実施形態に係る動作を説明する。図2に示すフローチャートは、大別して試験測定工程S100と実測定工程S102とにより構成される。図示の例では、試験測定工程S100は生体内にコントラスト剤を注入しない状況下で実行されており、その後の本測定工程S102の実行直前に生体内にコントラスト剤が注入される。
S104においては、通常のBモードに従う送受信が実行され、表示器の画面上に2次元断層画像が表示され、その2次元断層画像上において2次元の関心領域(ROI)がユーザーにより設定される。この場合において、2次元断層画像として、成分抽出処理により得られた抽出成分を表す画像が表示されてもよい。あるいは他の画像が表示されてもよい。図3には走査面14上に設定されるROI48の例が示されている。ROI48は臓器における実質部46内に設定されており、ROI48は、θ方向においてθ1からθ2までの範囲に設定され、r方向においてr1からr2までの範囲にわたって設定されている。もちろん図3に示した設定内容は一例に過ぎないものである。
図2に戻って、S106においては、試験測定工程において段階的に設定される仮位相差の範囲及び刻み(ピッチ)が設定される。S108においては、ROIを通過する複数のビーム方位に対して、それぞれ試行的送受波が実行され、すなわち各ビームアドレス毎に2回の送受波が実行され、これによってビームアドレス毎に2つの受信信号が取得される。2つの受信信号は互いに振幅が異なる関係を有するものである。図1に示した構成例においては、各ビームアドレスに対応する2つのビームデータが2つメモリ上に振り分けられつつ格納される。本実施形態においては、上述したθ1からθ2までの複数のビームアドレスに対して試行的送受波が実行される。
S110においては、仮位相差が設定される。例えば最初にS110が実行される場合、仮位相差として初期値が設定される。S112においては、上記のように設定された仮位相差を、ペア(セット)関係にある2つの受信信号(2つのビームデータ)間に適用しつつ、それらが重み付け合成処理される。これにより抽出成分が抽出される。抽出成分は上述したように生体組織に由来する線形成分及び非線形成分を含み得るものである。
S114においては、DSCによって形成される画像におけるROI内の輝度値が計算される。具体的には、ROI内に存在する抽出成分を表す画素値の積算値又は平均値が計算される。そして、その輝度値が仮位相差に対応付けられつつ図示されていないメモリに格納される。S116においては、仮位相差についての全範囲にわたって仮位相差の設定が完了したか否かが判断され、完了していなければ、S118において仮位相差が1ステップ変更され、その上で、S110以降の各工程が繰り返し実行される。
これにより、複数の仮位相差に対応する複数の輝度値が得られることになり、S120においては、複数の輝度値によって表される輝度値特性に基づいて、送信用補償位相差が特定される。具体的には、輝度値特性における最小値をとる仮位相差が特定され、その仮位相差を相殺する位相差として送信制御用補償位相差が特定される。そのような送信用補償位相差が送信制御部に設定される。あるいは、送信用補償位相差に換えて受信用補償位相差が特定され、その受信用補償位相差が受信信号処理条件として上記の読み出し制御部に対して設定される。
図4には輝度値特性108が示されている。なお、横軸は仮位相差を示しており、縦軸は輝度(積算値又は平均値)を示している。符号100は仮位相差を設定する範囲を示しており、その下限が符号102で示され、その上限が符号104で示されている。符号106は中央位置を示しており、その位置は仮位相差0の地点である。範囲100の全体にわたって所定の刻みをもって複数の仮位相差を順次設定することにより、複数の輝度値が得られ、それらをプロットすることにより輝度値特性108が生成される。輝度値特性108における最小値をとる位置110を特定することにより、補償用位相差112を算出することが可能である。すなわち、図4に示す補償用位相差112に相当する分だけマイナスの位相差として送信用補償位相差を特定することが可能であり、あるいは、符号112で示す補償用位相差として受信用補償位相差を特定することが可能である。コントラスト剤の影響を受けていない状況下において、輝度特性108は無用な差分成分(特にキャンセルできなかった線形成分)の大きさを表すものであり、それにおける最小値をもって補償すべき位相差を特定することが可能となる。
図2に戻って、以上のような試験測定工程S100が完了した後、S102において本測定工程が実行され、すなわちコントラストイメージングが実行される。その場合においては、上述したように送信信号制御として位相差が補償され、あるいは、受信信号処理として位相差が補償されることになる。位相差補償がなされた状況下で本測定工程が実行されるので、成分抽出処理では生体組織に由来する線形成分が効果的にキャンセルされ、コントラスト剤に由来する非線形成分を適切に抽出することが可能である。
なお、上記実施形態においては、本測定工程の段階で又はその直前にコントラスト剤が注入されていたが、コントラスト剤の影響をあまり受けない部位にROIを設定してそこからの信号成分を参照することを前提として、試験測定工程の前にコントラスト剤を注入することも可能である。もっとも、本測定工程でコントラスト剤を適切に画像化するためには、また、試験測定工程においてコントラスト剤の影響をできるだけ受けないようにするためには、本測定工程の直前にコントラスト剤を注入するのが望ましい。
図5には、第2実施形態がフローチャートとして示されている。このフローチャートは大別して試験測定工程S200と実測定工程S202とからなるものである。
S204においては、コントラスト剤を注入していない状況において、ユーザーによってキャリブレーションスイッチが入力操作される。これにより、S206において自動的に観測方位が設定される。例えば図6に示すように、走査面14における特定の方位に自動的に観測方位θ3が設定されることになる。観測方位がマニュアルで設定されるように構成することも可能である。例えば観測方位θ3をプローブ直下方位として定義してもよい。
図5に戻って、S208においては、図2に示したS106と同様に、仮位相差の範囲及び刻みが設定される。S210においては、観測方位に対して試行的送受波が実行される。すなわち、観測方位に対して2回の送受波が実行され、その結果として2つの受信信号が得られ、それらに対応する2つのビームデータが図1に示した2つのメモリ上に振り分けられつつ格納される。
S212においては、仮位相差が設定される。最初にS212が実行される場合、仮位相差として初期値が設定される。すなわち、上述した仮位相差の範囲における下限に相当する仮位相差が設定される。S214においては、設定された仮位相差を2つのビームデータ間に適用しつつ、2つのビームデータに対して重み付け合成処理が適用される。これにより抽出成分が得られる。S216においては、得られた抽出成分からパワーが演算される。その場合においては、抽出成分の積算値又は平均値としてパワーが演算される。図1に示す構成例においては、成分抽出部36から出力される信号(抽出成分)が演算部40に対して直接的に与えられ、その演算部40においてパワーが演算される。
図5において、S218では、仮位相差の全範囲にわたって仮位相差の設定が完了したか否かが判断され、完了していない場合には、S220において仮位相差が1ステップ分だけ変更され、その上でS212以降の各工程が繰り返し実行される。
仮位相差の全範囲にわたって、個々の仮位相差の設定が完了した場合、複数の仮位相差に対応する複数のパワーが得られることになる。そこで、S222においては、それらの複数のパワーによって描かれるパワー特性に基づいて、その最小値に相当する位相差として、補償位相差が特定される。そのような補償位相差に基づいて送信用補償位相差が演算され、それが送信制御部に設定される。あるいは補償位相差としての受信用補償位相差が受信信号処理条件として設定されることになる。
図7には、パワー特性122が示されている。横軸は仮位相差を表しており、縦軸はパワーを表している。符号114は仮位相差の設定範囲を示しており、符号116は下限を示し、符号118は上限を示している。符号120は仮位相差0の地点を示している。パワー特性122において最小値をとる地点124を特定することにより、つまり、生体組織からの線形成分が最も小さくなる地点を特定することにより、補償用の位相差126を特定することが可能である。
以上のような試験測定工程の実施により、補償位相差を特定することが可能であり、それに基づく送信制御条件あるいは受信信号処理条件の設定が完了した後に、図5に示すS202において、コントラスト剤が生体に注入された上で、本測定工程が実行される。すなわちコントラストイメージングが実行される。その場合においては、送信回路の特性に起因する無用な差分成分が大幅に軽減あるいは除去されるので、コントラスト画像の画質を高めることが可能である。
上記実施形態においては、試験的送受波を仮位相差毎に実行するのではなく、試験的送受波によって得られたビームデータセットを繰り返し利用するようにしているので、無用な送受波を無くすことができ、また試験測定工程に要する時間を短縮することが可能である。また、上記実施形態においては、送信回路に起因する位相差を補償する条件を自動的に見出すことが可能であり、本測定工程の実施にあたって適切な動作条件を事前に自動的に設定できるという利点が得られる。
既に説明したように、送信回路の特性に起因して生じる位相差はそれが軽微なものであっても、受信信号処理において顕著な差分成分を生じさせるものであり、そのような差分成分を抑圧することにより、コントラスト画像の画質を著しく高めることが可能である。上記実施形態の構成によれば、2つの送受波間で送信振幅が変更される場合、それと同じ条件の下で試験測定工程を実施することが可能であるので、補償用位相差を高精度に特定できるという利点が得られる。
10 プローブ、20 送信ビームフォーマ、22 波形メモリ、24 送信器、26 送信制御部、28 受信ビームフォーマ、30,32 メモリ、34 読み出し制御部、36 成分抽出部、40 演算部、44 位相差制御部。

Claims (6)

  1. 各ビーム位置で複数回の送受波を実行するために互いに振幅が異なる複数の送信信号を生成する送信回路と、
    前記各ビーム位置での複数回の送受波の実行結果として互いに振幅が異なる複数の受信信号を生成する受信回路と、
    前記複数の受信信号に対して非線形成分を抽出する抽出処理を実行する抽出処理部と、
    を含み、
    更に、前記複数の送信信号の生成過程又は前記複数の受信信号の処理過程において、前記送信回路の特性に起因して生じる複数の送信信号間での位相差を補償する補償手段を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記補償手段は、
    被検体に対してコントラスト剤を注入しないで行う試験測定工程において,複数回の試験送受波によって互いに振幅が異なる複数の受信信号が生成され且つ記憶されるように制御する手段と、
    前記試験測定工程において、仮位相差を段階的に切り替えながら、前記記憶された複数の受信信号間に仮位相差を適用した上で前記抽出処理が実行されるように制御する手段と、
    前記試験測定工程において、前記仮位相差を段階的に切り替えながら前記抽出処理を実行することによって得られた複数の抽出成分からなる抽出成分特性に基づいて補償位相差を特定する手段と、
    を含み、
    前記試験測定工程後の工程であって前記被検体に対してコントラスト剤を注入して行う本測定工程において、前記補償位相差が前記複数の送信信号間又は前記複数の受信信号間に適用される、ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2記載の装置において、
    前記補償位相差は前記抽出成分特性における最小値に基づいて特定される、ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項2記載の装置において、
    前記複数回の試験送受波が被検体内部に設定された二次元の関心領域に対して実行され、
    前記二次元の関心領域から得られた前記複数の抽出成分によって前記抽出成分特性が構成される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項2記載の装置において、
    前記複数回の試験送受波が所定ビーム方位に対して実行され、
    前記所定ビーム方位から得られた前記複数の抽出成分によって前記抽出成分特性が構成される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項1記載の装置において、
    前記抽出処理部は前記複数の受信信号としての複数のRF受信信号の合成処理により非線形成分を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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