JP2014145156A - 建物の耐震補強構造および耐震補強構造の耐震設計方法 - Google Patents

建物の耐震補強構造および耐震補強構造の耐震設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適切な設計耐力に基づいた、優れた耐力を有する建物の耐震補強構造および耐震補強構造の耐震設計方法を提供すること。
【解決手段】建物のコンクリート製構造材10にコンクリート製補強体12が構造材10と補強体12との間のコンクリートによる固着とアンカー筋14による固着によって接合されたものであって、接合界面付近の微小なずれ変形によって生じる構造材側の破壊面の凹凸を補強体側部分が乗り越える際にアンカー筋に作用する引張力を反力として生じる抵抗力を耐力として設計し、この抵抗力によって微小変形領域で耐力が発揮されるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物の耐震補強構造および耐震補強構造の耐震設計方法に関するものである。
従来、建物のコンクリート製構造材にコンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって接合された建物の耐震補強構造が提案されている。
例えば特許文献1には、既設建物の外壁側に位置する柱体(梁体)の外面に、外面から打設されたアンカー筋により、鋼板入りコンクリートからなる補強体が一体にされ、設けられた既設建物の耐震補強構造が開示されている。
このものにおいて、従来は、打設されたアンカー筋によって、補強体が既設建物の柱体(梁体)と一体にされていると考えられていたので、アンカー筋のダボ抵抗を評価したせん断耐力式で、補強体と既設建物の柱体(梁体)との間の接合部の設計耐力を評価していた。
特許第3051071号公報
ところが、地震発生時に、アンカー筋のダボ抵抗は、補強体と既設建物の柱体や梁体との間の接合部が大きく変位してから耐力を発揮する。しかし、補強体と既設建物の柱体や梁体との間の接合部が大きく変位すると、地震による既設建物の変形が補強体に伝達されないため、補強体の構造性能を有効に発揮できない。つまり、耐震補強では、補強体と既設建物の柱体や梁体との間の接合部が大きく変位していない範囲において接合部の設計耐力を評価するべきである。
本発明が解決しようとする課題は、適切な設計耐力に基づいた、優れた耐力を有する建物の耐震補強構造および耐震補強構造の耐震設計方法を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る建物の耐震補強構造は、建物のコンクリート製構造材にコンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって接合されたものであって、接合界面付近の微小なずれ変形によって生じる構造材側の破壊面の凹凸を補強体側部分が乗り越える際にアンカー筋に作用する引張力を反力として生じる抵抗力を耐力として設計し、この抵抗力によって微小変形領域で耐力が発揮されるようにしたことを要旨とするものである。
耐力として設計する抵抗力は、接合部の面積Ash、コンクリートの圧縮強度σ、アンカー筋の引張耐力Taの3つの変数を用いて近似することができる。このとき、3つの変数Ash,σ,Taで表される以下の関係式(1)、あるいは、関係式(1’)によって、耐力として設計する抵抗力を近似することができる。設計耐力Qは、以下の関係式(1)、あるいは、関係式(1’)を満たすことが望ましい。
Figure 2014145156
ただし、a〜gはゼロ以外の定数である。
より具体的には、設計耐力Qが、以下の関係式(2)、あるいは、関係式(2’)を満たすことが好ましい。
Figure 2014145156
そして、本発明に係る建物の耐震補強構造は、コンクリート製構造材にアンカー筋が打設され、コンクリート製構造材の面から離れた位置でアンカー筋に形鋼あるいは鋼板が固定され、アンカー筋と形鋼あるいは鋼板とを囲むようにコンクリート製構造材に対してコンクリートが打設されることにより、コンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって構造材に接合されたものに適用することができる。この際、補強体のコンクリートは繊維補強コンクリートであってもよい。
また、本発明に係る建物の耐震補強構造は、コンクリート製構造材である梁体および柱体の両方にアンカー筋が打設され、梁体および柱体の面から離れた位置でそれぞれアンカー筋に鋼板が固定され、梁体の鋼板と柱体の鋼板とが連結されるとともに梁体の鋼板間、柱体の鋼板間あるいは梁体の鋼板と柱体の鋼板との間に介在補強体が連結され、アンカー筋と梁体の鋼板と柱体の鋼板とを囲むように梁体および柱体に対してコンクリートが打設されることにより、コンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって構造材に接合されたものに適用することができる。
一方、本発明に係る耐震補強構造の耐震設計方法は、建物のコンクリート製構造材にコンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって接合された建物の耐震補強構造において、接合界面付近の微小なずれ変形によって生じる構造材側の破壊面の凹凸を補強体側部分が乗り越える際にアンカー筋に作用する引張力を反力として生じる抵抗力を耐力として設計することを要旨とするものである。
本発明に係る建物の耐震補強構造によれば、数ミリ程度の変位の大きいところで耐力を発揮するアンカー筋のダボ抵抗により耐力を設計するのではなく、接合界面付近の微小なずれ変形によって生じる構造材側の破壊面の凹凸を補強体側部分が乗り越える際にアンカー筋に作用する引張力を反力として生じる抵抗力を耐力として設計し、この抵抗力によって微小変形領域で耐力が発揮されるようにしたので、適切な設計耐力に基づいており、優れた耐力を有する。
そして、耐力として設計する抵抗力を所定の近似式によって近似することにより、設計耐力を簡便に評価することができる。これにより、本発明に係る技術思想を建物の耐震補強構造の耐震設計に適用しやすくできる。
本発明に係る建物の耐震補強構造の一実施形態を示す模式図である。 本発明の作用効果を説明する要部拡大図である。 接合部のせん断抵抗機構を説明するグラフである。 本発明の設計思想が適用される建物の耐震補強構造の一例を示す断面模式図である。 本発明の設計思想が適用される建物の耐震補強構造の一例を示す断面模式図である。 本発明の設計思想が適用される建物の耐震補強構造の一例を示す模式図である。 実施例の試験方法を示す模式図である。 実施例における接合部のせん断力とアンカー筋の引張力の関係を示すグラフである。 試験体47体によるせん断力の実験結果とせん断伝達モデルの理論式(3)との関係を示すグラフである。 せん断伝達モデルの理論式(3)と近似式(14)の比較を示すグラフである。 図9に示すτ/mとσ’/mの関係について、最小二乗法により求めた一次近似式を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る建物の耐震補強構造の一実施形態を示す模式図である。図2は、図1の要部拡大図である。
図1に示すように、補強体12は、構造材10と補強体12との間のコンクリートによる固着とアンカー筋14による固着によって構造材10に接合されている。
図3には、接合部のせん断抵抗機構を説明するグラフを示す。曲線1は、構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着の両方で接合されている場合のものであり、曲線2は、アンカー筋による固着のみで接合されコンクリート間の固着が切られている場合のものである。アンカー筋による固着のみで接合されている場合、アンカー筋によるダボ抵抗が耐力となる。アンカー筋によるダボ抵抗は、数ミリ程度の変位の大きいずれ変形で耐力を発揮する。アンカー筋のせん断設計耐力は20mm程度の相対ずれ量(変形量)のときの耐力から算出される。耐震補強では、補強体と既設建物の柱体や梁体との間の接合部が大きく変形していない範囲において接合部の設計耐力を評価すべきであるので、アンカー筋の設計耐力をダボ抵抗により評価することは適切でない。
構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着で接合されている場合、接合部のせん断実験によると、図3に示すように、せん断力は微小なずれ変形時で最大となる。
微小なずれ変形時における耐力は、構造材と補強体との間のコンクリートによる固着耐力やアンカー筋のせん断設計耐力よりも大きいが、これは、接合界面付近の微小なずれ変形によって生じるひび割れ面(破壊面)における応力伝達によるものと推察される。
図2に示すように、接合界面付近の微小なずれ変形によってひび割れ面(破壊面)が生じると、補強体側部分12a(接合界面の上側部分)は構造材側10aのひび割れ面(破壊面)の凹凸を乗り越えようとする。この際、アンカー筋14には上側方向の引張力が作用するが、この引張力を反力として下側方向に抵抗力が生じるため、構造材側10aのひび割れ面(破壊面)の凹凸を乗り越えようとしていた補強体側部分12a(接合界面の上側部分)は構造材側10aに引き戻される。すると、ひび割れ面(破壊面)を境に構造材側部分10aと補強体側部分12aとがかみ合った状態となる。このかみ合いによる抵抗とアンカー筋14による抵抗とが協働することによって最大耐力が発揮される。
そして、最大耐力が発揮される微小変形領域において、アンカー筋14に作用する引張力を反力として生じる抵抗力を耐力として設計すると、接合部が大きく変位していない範囲であり、接合部の設計耐力が適切に評価される。
コンクリートのひび割れ面における応力伝達に関して、接触密度関数によるせん断伝達モデルがFEM解析の構成則として用いられている。このせん断伝達モデルによれば、下記の(3)式が導かれている。
Figure 2014145156
ただし、
σ’:接合部に作用する垂直応力(N/mm
N’:外力によって接合部に作用する垂直力(N)
sh:接合部の面積(mm
p:鉄筋比
:鉄筋の降伏点強度(N/mm
m:せん断応力の上限値(N/mm
σ:コンクリート圧縮強度(N/mm
τ:接合部に作用するせん断力(N/mm
Figure 2014145156
純せん断力を受ける接合部について試験体を用いて求めたτ/mやσ’/mと(3)式との関係は、図9に示す通りである。ただし、各試験体のτ/mとσ’/mは、以下の(6)式と(7)式で算定する。
Figure 2014145156
ただし、
exp:実験によるせん断耐力(N)
:計算によるアンカー筋の引張耐力(N)
a1:アンカー筋の降伏耐力(N)
a2:コンクリートのコーン状破壊で決まる耐力(N)
a3:付着力で決まる耐力(N)
σ:アンカー筋の降伏点強度(N/mm
:アンカー筋の断面積(mm
:コンクリートのコーン状破壊面の有効水平投影面積(mm
τ:接着系アンカーの引抜力に対する付着強度(N/mm
:アンカー筋の呼び名(mm)
:アンカー筋の有効埋め込み深さ (mm)
Figure 2014145156
図9から、試験体を用いて求めたτ/mやσ’/mと(3)式はよく対応しており、純せん断力を受ける接合部のせん断耐力はアンカー筋の引張耐力によって算定できる。各試験体のせん断耐力から求めたτ/mを(3)式の収束計算で求めたτ/mで除すと、試験体の平均値は0.94となり、標準偏差は0.17となる。そこで、平均値から標準偏差の2倍を引いた係数(=0.6)を(3)式に乗じると、各試験体の実験結果を安全側に評価できる。以上より、実験データのばらつきを考慮したせん断耐力Qは、下記の(13)式で表すことができる。
Figure 2014145156
(13)式のτは、(3)式の収束計算により求めることができるが、簡単に計算することができない。そこで、(3)式の近似式からτを求める。ただし、近似式の適用範囲は、実験で経験した範囲(0.0398≦σ’/m≦0.1763)とし、近似式は同範囲で(3)式を下回ることとし、近似式はτ/m=h×(σ’/m)で表すこととする(h、iは定数)。
検討の結果、h=1.14、i=0.64とした下記の(14)式は、実験で経験した範囲(0.0398≦σ’/m≦0.1763)で(3)式の0.978〜0.996倍となり、よく近似する(図10(a)(b)参照)。
Figure 2014145156
したがって、せん断耐力Qは、(13)式に(7)式および(14)式を代入することによって近似できる。この結果は(15)式となる。
Figure 2014145156
ただし、0.0398≦ΣT/Ash/m≦0.1763
なお、(15)式に(5)式を代入すると、下記の(16)式が得られる。
Figure 2014145156
ただし、0.1524≦ΣT/Ash/σ 1/3≦0.6752
そうすると、設計耐力Qは、Q以下に設定すればよい。つまり、設計耐力Qは、下記の関係式(2)を満たすとよい。
Figure 2014145156
純せん断力を受ける接合部の実験をさらに実施すれば、標準偏差は0.17から変動する可能性がある。また、近似式を定める際の定数h、iは無数にある。したがって、(16)式は、Q=a×Ash ×σ ×(ΣTa)で表され、a、b、c、dは無数にある。つまり、耐力として設計する抵抗力は、接合部の面積Ash、コンクリートの圧縮強度σ、アンカー筋の引張耐力Taの3つの変数を用い、3つの変数Ash,σ,Taのかけ算で表される計算式によって近似することができる。そして、耐力として設計する抵抗力を所定の近似式によって近似することにより、設計耐力を簡便に評価することができる。これにより、本発明に係る技術思想を建物の耐震補強構造の耐震設計に適用しやすくできる。
純せん断力を受ける接合部のせん断耐力は、試験体を用いて求めたτ/mやσ’/mの関係から算定することもできる。図9に示すτ/mとσ’/mの関係について、最小二乗法による一次近似式を求めると、下記の(17)式となる(図11)。
Figure 2014145156
各試験体のせん断耐力から求めたτ/mを(17)式の収束計算で求めたτ/mで除すと、試験体の平均値は1.00となり、標準偏差は0.15となる。そこで、平均値から標準偏差の2倍を引いた係数(=0.7)を(17)式に乗じると、各試験体の実験結果をほぼ安全側に評価できる。以上より、実験データのばらつきを考慮したせん断耐力Qは、下記の(18)式で表すことができる。
Figure 2014145156
したがって、せん断耐力Qは、(18)式に(7)式および(17)式を代入することによって算定できる。この結果は下記の(19)式となる。
Figure 2014145156
ただし、0.1524≦ΣT/Ash/σ 1/3≦0.6752
そうすると、設計耐力Qは、Q以下に設定すればよい。つまり、設計耐力Qは、以下の関係式(2’)を満たすとよい。
Figure 2014145156
純せん断力を受ける接合部の実験をさらに実施すれば、標準偏差は0.15から変動する可能性がある。したがって、(19)式は、下記の(1’)式で表され、e、f、gは無数にある。つまり、耐力として設計する抵抗力は、接合部の面積Ash、コンクリートの圧縮強度σ、アンカー筋の引張耐力Taの3つの変数を用い、3つの変数Ash,σ,Taの足し算とかけ算で表される計算式によって近似することができる。そして、耐力として設計する抵抗力を所定の近似式によって近似することにより、設計耐力を簡便に評価することができる。これにより、本発明に係る技術思想を建物の耐震補強構造の耐震設計に適用しやすくできる。
Figure 2014145156
上述するように、最大耐力が発揮される微小変形領域において、アンカー筋に作用する引張力を反力として生じる抵抗力を耐力として設計する場合、反力を生じさせるためにはアンカー筋が必須となるが、アンカー筋のダボ抵抗による設計ではないため、接合部の面積(=Ash)を増やすことで、アンカー筋のダボ抵抗による設計であった従来構造よりもアンカー筋の本数を減らすことができる。
本発明の設計思想によると、従来の設計思想による場合と比較して、構造上、例えばアンカー筋の本数を少なくしたり、必要な接合面積を説明することができるなどの違いを生じさせることが可能となる。
構造材を構成するコンクリートは、特に限定されるものではなく、コンクリート、鉄筋コンクリート、鉄骨コンクリート、鉄筋鉄骨コンクリートのいずれであっても良い。また、補強体は、コンクリート、鉄筋コンクリート、鉄骨コンクリート、鉄筋鉄骨コンクリートのいずれであっても良い。補強体を構成するコンクリートは、構造材を構成するコンクリートと同程度の圧縮強度を有するものでってもよいし、構造材を構成するコンクリートよりも圧縮強度の高いものでってもよい。
本発明の設計思想は、例えば、図4に示す建物の耐震補強構造に適用することができる。図4に示すように、コンクリート製構造材101にはアンカー筋141が打設される。コンクリート製構造材101には取付孔161が設けられ、取付孔161から打設されたアンカー筋141は必要により接着剤等を用いてコンクリート製構造材101に固定される。固定されたアンカー筋141にはコンクリート製構造材101の面から離れた位置で形鋼181が固定される。形鋼181には挿通孔181aが設けられ、挿通孔181aにアンカー筋141が通され、ナット201および座金202で形鋼181を挟む。そして、アンカー筋141と形鋼181とを囲むようにコンクリート製構造材101に対してコンクリートが打設される。これにより、コンクリート製補強体121が構造材101と補強体121との間のコンクリートによる固着とアンカー筋141による固着によって構造材101に接合される。
形鋼は、引張り、曲げ、圧縮などの応力に対して高い耐力を有する。図4に示す構造の補強体121では、このような形鋼を鉄骨材料として用いることから、補強体121の曲げ耐力や水平耐力が向上する。つまり、水平耐力を高めるのに必要な筋交い、間柱などの介在補強体を省略できる利点がある。
補強体121のコンクリートは、図4に示すように繊維補強コンクリートであってもよいし、繊維補強されていない通常のコンクリートであってもよい。繊維補強コンクリートを含む鉄骨コンクリート構造はフープ筋を配さなくても鉄筋鉄骨コンクリート構造と同程度の耐力、変形能力を有するため、フープ筋を省略できる利点がある。コンクリートに加えられる補強用繊維としては、特に限定されるものではないが、ビニロンファイバーやステンレスファイバーなどが挙げられる。補強体121のコンクリートが通常のコンクリートである場合には、形鋼181の周囲にフープ筋が配されていてもよい。
また、本発明の設計思想は、例えば、図5に示す建物の耐震補強構造に適用することができる。図5に示す構造は、図4に示す構造と比較して、形鋼181ではなく鋼板182が用いられ、補強体122のコンクリートが通常のコンクリートで鋼板182の周囲にフープ筋203が配されている点が異なり、これ以外の構成は図4に示すものと同じである。なお、図5に示す構造において、補強体122のコンクリートは繊維補強コンクリートであってもよい。この場合には、フープ筋203を省略することもできる。
図4や図5に示す構造において、形鋼あるいは鋼板は、補強体のコンクリートとアンカー筋をより一体化させる機能を有する。すると、図2において、アンカー筋に生じる下側方向の抵抗力が補強体側部分12aに十分伝達され、補強体側部分12aは確実に構造材側10aに引き戻され、かみ合いによる抵抗が確実に発揮される。
また、本発明の設計思想は、例えば、図6に示す建物の耐震補強構造に適用することができる。図6に示す構造は、図5に示す構造を建物の梁体および柱体の両方に適用した例である。つまり、コンクリート製構造材である梁体101aおよび柱体101bの両方にアンカー筋141が打設され、梁体101aおよび柱体101bの面から離れた位置でそれぞれアンカー筋141に鋼板182が固定され、梁体101aの鋼板182と柱体101bの鋼板182とが連結され、梁体101aの鋼板182と柱体101bの鋼板182との間に介在補強体204が連結され、アンカー筋141と梁体101aの鋼板182と柱体101bの鋼板182とを囲むように梁体101aおよび柱体101bに対してコンクリートが打設される。これにより、コンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって構造材に接合される。
介在補強体204としては、例えば補強鋼板に両端部を除いてコンクリート被覆したコンクリートプレキャスト体などが挙げられ、両端部の露出した補強鋼板を溶接等によって建物の梁体や柱体の鉄骨部分に接続することができる。また、図6に示す構造において、介在補強体204は、梁体101aの鋼板182と柱体101bの鋼板182との間だけでなく、梁体101aの鋼板182間や柱体101bの鋼板182間などに設置することもできる。
(試験体の概要)
試験体は、既設部と補強部とが接合された要素モデルとした。アンカー筋はD19(SD345)を1本使用した。
sh:接合部の面積=113411(mm
σ:コンクリート圧縮強度=10.1(N/mm
Ta:計算によるアンカー筋の引張耐力=74719(N)
図7は、実施例における試験方法を表す概略図である。図7に示すように、試験体38の補強部40が上面を向くように、試験体38の既設部42をボルト44で載荷フレーム46に固定する。次に、載荷フレーム46の両側から接合面38aと同一平面上に配置された一対の油圧ジャッキ48a,48bを補強部40の両側部に当接させ、一対の油圧ジャッキ48a,48bを左右に伸縮させることにより、接合面38aにせん断力のみを負荷(載荷)した。
図8には、接合部に作用するせん断力とずれ変形の関係と、アンカー筋に作用する引張力とずれ変形の関係を示す。接合部に作用するせん断力は、ずれ変位0.4mm付近で最大耐力に達し、その後緩やかに耐力が低下した。一方、アンカー筋に作用する引張力は、ずれ変位0.4mm付近でアンカー筋の引張耐力Taに到達している。このことから、最大耐力の発揮は、接合界面付近の微小なずれ変形によって生じる構造材側の破壊面の凹凸を補強体側部分が乗り越える際にアンカー筋に作用する引張力を反力として生じる抵抗力が関係していると推測することができる。
次に、表1に示す諸元からなる試験体47体を用い、実験によるせん断力Qexpをそれぞれ測定し、(6)式および(7)式でτ/mおよびσ’/mをそれぞれ算定した。この結果を表1に示す。また、(3)式とともに図9に示す。
Figure 2014145156
図9から、試験体を用いて求めたτ/mやσ’/mと(3)式はよく対応しており、純せん断力を受ける接合部のせん断耐力はアンカー筋の引張耐力によって算定できる。つまり、上述するように、耐力として設計する抵抗力を所定の近似式によって近似することができる。そして、このように近似することにより、設計耐力を簡便に評価することができる。これにより、本発明に係る技術思想を建物の耐震補強構造の耐震設計に適用しやすくできる。
なお、各試験体のせん断耐力から求めたτ/mを(3)式の収束計算で求めたτ/mで除すと、試験体の平均値は0.94となり、標準偏差は0.17となる。そこで、平均値から標準偏差の2倍を引いた係数(=0.6)を(3)式に乗じると、各試験体の実験結果を安全側に評価できる。
10 構造材
12 補強体
14 アンカー筋

Claims (8)

  1. 建物のコンクリート製構造材にコンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって接合されたものであって、接合界面付近の微小なずれ変形によって生じる構造材側の破壊面の凹凸を補強体側部分が乗り越える際にアンカー筋に作用する引張力を反力として生じる抵抗力を耐力として設計し、この抵抗力によって微小変形領域で耐力が発揮されるようにしたことを特徴とする建物の耐震補強構造。
  2. 接合部の面積Ash、コンクリートの圧縮強度σ、アンカー筋の引張耐力Taの3つの変数を用いて、耐力として設計する抵抗力を近似することを特徴とする請求項1に記載の建物の耐震補強構造。
  3. 設計耐力Qが、以下の関係式(1)、あるいは、関係式(1’)を満たすことを特徴とする請求項2に記載の建物の耐震補強構造。
    Figure 2014145156
    ただし、a〜gはゼロ以外の定数である
  4. 設計耐力Qが、以下の関係式(2)、あるいは、関係式(2’)を満たすことを特徴とする請求項3に記載の建物の耐震補強構造。
    Figure 2014145156
  5. コンクリート製構造材にアンカー筋が打設され、コンクリート製構造材の面から離れた位置でアンカー筋に形鋼あるいは鋼板が固定され、アンカー筋と形鋼あるいは鋼板とを囲むようにコンクリート製構造材に対してコンクリートが打設されることにより、コンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって構造材に接合されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の建物の耐震補強構造。
  6. 補強体のコンクリートが繊維補強コンクリートであることを特徴とする請求項5に記載の建物の耐震補強構造。
  7. コンクリート製構造材である梁体および柱体の両方にアンカー筋が打設され、梁体および柱体の面から離れた位置でそれぞれアンカー筋に鋼板が固定され、梁体の鋼板と柱体の鋼板とが連結されるとともに梁体の鋼板間、柱体の鋼板間あるいは梁体の鋼板と柱体の鋼板との間に介在補強体が連結され、アンカー筋と梁体の鋼板と柱体の鋼板とを囲むように梁体および柱体に対してコンクリートが打設されることにより、コンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって構造材に接合されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の建物の耐震補強構造。
  8. 建物のコンクリート製構造材にコンクリート製補強体が構造材と補強体との間のコンクリートによる固着とアンカー筋による固着によって接合された建物の耐震補強構造において、接合界面付近の微小なずれ変形によって生じる構造材側の破壊面の凹凸を補強体側部分が乗り越える際にアンカー筋に作用する引張力を反力として生じる抵抗力を耐力として設計することを特徴とする耐震補強構造の耐震設計方法。
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