JP2014137324A - プラズマ中の不純物の計測方法、計測装置、及び成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラズマ生成用のガスを用いてプラズマを生成する。前記プラズマ中の前記ガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と、前記プラズマ中の不純物の原子の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度とを計測する。さらに、前記プラズマにレーザ光を照射して、レーザ光のうち、前記ガスに吸収されることなく前記プラズマを透過した透過光の強度と、レーザ誘起による前記ガスの蛍光強度を計測する。計測で得られた前記透過光の強度から算出される前記ガスの光吸収係数と前記ガスの蛍光強度とを用いて、前記ガスの下方遷移した状態の密度を求める。さらに、前記ガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と前記プラズマ中の不純物の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度との間の発光強度比と前記密度とを用いて、前記不純物の密度を算出する。
【選択図】 図3
Description
プラズマ中の酸素原子等の不純物原子の発光強度とプラズマに添加されたトレースガスの発光強度を計測し、その発光強度の比から酸素原子等の基底状態の密度を算出する発光分光法では、低圧かつ高密度プラズマにおいては比較的感度良く計測できるが、プラズマ中で発光に起因する原子の励起状態の原子の密度は電子エネルギーに強く依存するため、算出された基底状態の原子の密度には高い信頼性が得られにくい。
これに対して、生成中のプラズマにレーザ光を照射したとき酸素原子が発生する蛍光を受光して酸素原子の密度を求めるレーザ光誘起蛍光法(LIF法)が知られている(下記特許文献1)。
このように、現在、酸素原子等の不純物原子の密度が低い場合であっても。酸素原子の密度の信頼性のある算出結果を得ることができる方法は、知られていない。
プラズマを生成するプラズマ生成ステップと、
前記プラズマ中のガスの励起状態から準安定状態への下方遷移により生じる発光強度と、前記プラズマ中の不純物の励起状態から準安定状態への下方遷移により生じる発光強度とを計測する第1計測ステップと、
前記プラズマにレーザ光を照射して、レーザ光のうち、前記ガスに吸収されることなく前記プラズマを透過した透過光の強度と、レーザ誘起による前記ガスの蛍光強度を計測する第2計測ステップと、
前記第2計測ステップで得られた前記透過光の強度から算出される前記ガスの光吸収係数と前記ガスの蛍光強度とを用いて、前記ガスの準安定状態の密度を求め、前記ガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と前記プラズマ中の不純物の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度との間の発光強度比と、前記密度と、を用いて、前記不純物の密度を算出する算出ステップと、を有する。
前記第2計測ステップでは、前記ガスの蛍光強度が、前記レーザ光の光路に沿った分布として計測され、
前記算出ステップでは、前記不純物の密度が前記プラズマ中の分布として算出される、ことが好ましい。
このとき、前記アルゴンの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度は、777.2nmの光強度であり、前記酸素の励起状態から下方遷移により生じる発光強度は、777nmの光強度であり、前記プラズマに照射するレーザ光の波長は696.54nmであり、前記ガスの蛍光強度の波長は772.4nmである。
プラズマを生成するプラズマ生成容器と、
前記プラズマ生成容器内でプラズマを生成するプラズマ生成ユニットと、
前記プラズマ中の前記ガスの励起状態から準安定状態への下方遷移により生じる発光強度と、前記プラズマ中の不純物の励起状態から準安定状態への下方遷移により生じる発光強度を計測するともに、レーザ光の誘起により発する前記ガスの蛍光の蛍光強度を計測する第1計測ユニットと、
前記プラズマにレーザ光を照射して、レーザ光のうち、前記ガスに吸収されることなく前記プラズマを透過した透過光の強度と、レーザ誘起による前記ガスの蛍光強度を計測する第2計測ユニットと、
前記第2計測ユニットで得られた前記ガスの光吸収係数と前記第1計測ユニットで得られた前記ガスの蛍光強度を用いて前記ガスの準安定状態の密度を求め、前記ガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と前記プラズマ中の不純物の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度との間の発光強度比と、求めた前記密度とを用いて、前記不純物の密度を算出する算出ユニットと、を有する。
前記第2計測ユニットは、前記ガスの蛍光強度を、前記レーザ光の光路に沿った分布として計測し、
前記算出ユニットは、前記不純物の密度を前記プラズマ中の分布として算出する、ことが好ましい。
前記プラズマ生成容器に、成膜用原料ガスが前記プラズマ生成用のガスとともに導入され、前記プラズマ生成容器に配置された基板を成膜し、
さらに、算出された前記不純物の密度に応じて、前記不純物の密度が低下するように、前記プラズマの生成のための条件を変更する制御装置を有する。
プラズマ中の不純物の計測方法及び不純物の計測装置は、プラズマにより成膜容器の壁材がスパッタされることにより、プラズマ中に不純物の原子が含まれた時、この不純物の原子の密度を計測する方法である。本実施形態では、プラズマ中のプラズマ生成用のガスの発光強度と不純物の原子の発光強度との発光強度比を求めるプラズマ発光分光法と、レーザ光をプラズマに照射したとき、プラズマ中のプラズマ生成用のガスの発する蛍光の蛍光強度を計測するレーザ光誘起蛍光法(LIF法)を用いて、不純物の原子の密度を算出する。
以下の説明では、プラズマ生成用のガスとしてアルゴンガスを例として挙げて説明するが、アルゴンガスに限定されない。少量の添加で成膜プロセスに影響を与えないガスであればよく、例えばヘリウムガスなどの希ガスを用いることもできる。不純物の原子の例として、酸素原子を挙げて説明するが、本発明においては、酸素原子に限定されない。プラズマ発光分光法を行うことができるものであればよく、例えば、フッ素原子や窒素原子を対象とすることができる。
本実施形態の不純物の計測方法では、
(A)プラズマ生成用のガス、例えば発光観測用に添加するトレーサガス(以降、単にガスということもある)を用いてプラズマを生成する。
(B)次に、生成したプラズマ中のガスの励起状態から準安定状態への下方遷移(例えば、アルゴンガスであれば、4p’[1/2]1→4s’[1/2]O 0)により生じる発光強度と、プラズマ中の不純物(不純物原子)の励起状態から準安定状態への下方遷移(例えば、酸素原子であれば、3p5P→3s5SO 2)により生じる発光強度を計測する(第1計測)。
(C)さらに、生成中のプラズマにレーザ光を照射して、レーザ光のうち、プラズマ生成用のガスに吸収されることなくプラズマを透過した透過光の強度と、レーザ誘起による前記ガスの蛍光強度を計測する(第2計測)。このとき、レーザ光は、上述したプラズマ生成用のガスが励起状態に励起するような波長が選択される。
(D)第2計測で得られた透過光の強度から求められるガスの光吸収係数と前記ガスの蛍光強度とを用いて、このプラズマ中の前記ガスの準安定状態の密度を求める。さらに、このガスの励起状態から準安定状態への下方遷移により生じる発光強度とプラズマ中の不純物の励起状態から準安定状態への下方遷移により生じる発光強度との間の発光強度比と、求めた前記密度と、及び電子温度と、を用いて、不純物(不純物原子)の密度を算出する。
成膜装置10は、プラズマ生成容器である成膜容器12と、サセプタ14と、成膜対象用の基板16と、排気ユニット18と、ガス供給バルブ20と、原料ガス源22と、キャリアガス源24と、プラズマ生成ユニット26と、計測システム30と、制御装置40と、を有する。
サセプタ14は、成膜対象用の基板16を載置し、図示されない昇降機構により、図1中の紙面上下方向に昇降自在に移動する。
排気ユニット18は、例えばロータリーポンプやターボ分子ポンプを含む、成膜容器12の減圧雰囲気を一定の圧力に維持する他、所望の圧力に調整することができる。
ガス供給バルブ20は、原料ガス及びキャリアガスであるアルゴンガスを所定の流量に調整することが可能なバルブであり、成膜容器12内に原料ガス及びキャリアガスであるアルゴンガスを導入する。原料ガスとして、例えばSiNを成膜する場合、シランガス−窒素ガス、シランガス−アンモニア、あるいは、シランガス−窒素ガス−アンモニアが用いられる。原料ガスが複数種類の場合、原料ガス源22は、複数種類の原料ガス毎に用いられる。キャリアガス源24は、原料ガスを成膜容器12内に導入するとともに、プラズマ生成用のガス、例えばアルゴンガスを貯蔵したガス源である。
原料ガス及びキャリアガスが同時に成膜容器12内に導入され、プラズマ生成ユニット26の動作により、成膜容器12内でプラズマが生成される。すなわち、本実施形態の成膜は、プラズマを用いた成膜(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)である。しかし、本実施形態の成膜装置、計測方法及び計測装置は、所定の原料ガスを基板16に流して、原子層単位で基板上に原料ガスの成分を吸着させ、この後、反応ガスをプラズマで活性化させて基板に吸着した原子層単位の原料ガスの成分の吸着層と反応させて膜を形成するようなプラズマを用いた原子層積層(PAALD:Plasma Assisted Atomic Layer Deposition)に適用することもできる。
高周波電源26Aは、例えば13.56MHzの高周波電力を出力する。マッチングボックス26Bは、高周波電源26Aと電極板26Cとの間のインピーダンス整合を行う。電極板26Cは、幅広薄板形状の導体板であり、電極板26Cの一方の端、図1の例では図1中の右端から給電される。電極板26Cに高周波電流が流れることにより、高周波の磁場が成膜容器12内に形成され、この磁場の形成により成膜容器12内でプラズマが生成される。成膜容器12内の壁面には、電極板26Cがプラズマに直接晒されず、磁場に影響を与えないように、石英からなる誘電体板26Dが用いられる。電極板26Cの他方の端、図1の例では図1中の左端は接地されている。
図1で用いられるプラズマ生成ユニット26は、電極板26Cを用いたICP(Inductively-coupled Plasmas)方式であるが、本発明では、これに限定されない。プラズマ生成ユニット26に、例えばCCP(Capacitively-Coupled Plasma)方式やSWAP(Surface Wave-excited Plasma)方式のような低圧力高密度プラズマ源を用いることができる。
第1計測ユニット32は、成膜容器12内で生成されるプラズマの発光強度や蛍光強度を画像として撮像するICCD(Intensified Charged Coupled Device)カメラである。第1計測ユニット32は、プラズマ中のアルゴンガス等のプラズマ生成用のガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と、プラズマ中の酸素原子等の不純物の原子の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度を撮像するともに、後述するレーザ光の誘起により発するアルゴンガス等のプラズマ生成用のガスの蛍光の蛍光強度の像を撮像する。撮像された発光画像及び蛍光画像は算出ユニット38に送られる。
すなわち、成膜容器12には、計測用の窓32Aが設けられ、窓32Aを透過したプラズマの発光及び蛍光を撮像により計測することができるようになっている。第1計測ユニット32は、予め定められた異なる波長帯域の光を透過するようにフィルタ32Bが用いられる。フィルタ32Bが切り替えられることにより、異なる波長帯域の発光及び蛍光の画像をICCDカメラが受光するように構成されている。フィルタ32Bとしては、例えば、干渉フィルタが用いられる。
第2計測ユニット用光源34は、レーザ光源ユニット34Aと、反射ミラー34Bと、レンズ系34Cと、入射窓34Dと、を有する。
レーザ光源ユニット34Aは、YAGレーザ、ダイレーザを用いて所定の波長のレーザ光、例えば、696.54nmのレーザ光を出射する。レーザ光は、反射ミラー34Bで反射され、シリンドリカルレンズを組み合わせたレンズ系34Cを通して、一定の幅を有する平行光Lを生成する。平行光Lは、成膜容器12の一方の端に設けられた入射窓34Dを通して成膜容器12内に入り、成膜容器12内のプラズマを照射する。成膜容器12の入射窓34Dと反対側の端には、出射窓36Aが設けられており、プラズマにより吸収されること無く透過した平行光Lは、出射窓36Aを通して第2計測ユニット用受光部36に受光される。
また、レーザ光をプラズマに照射するとき、第1計測ユニット32は、レーザ光のプラズマへの照射によってプラズマ生成用のガスの原子の発する、所定の波長の蛍光、例えば772.4nmの蛍光画像を受光する。第1計測ユニット32の受光により得られた蛍光画像は算出ユニット38に送られる。
算出ユニット38は、例えばCPU,メモリを備えたコンピュータによって構成され、上述した機能を発揮するソフトウェアを起動することで形成されるソフトウェアモジュールである。
具体的には、算出ユニット38は、第2計測ユニット用受光部36で受光した透過光の光強度の、プラズマに照射したレーザ光の光強度に対する比を用いて得られるプラズマ生成用のガスの光吸収係数を算出し、この光吸収係数と、蛍光画像とから、プラズマ生成用のガスの準安定状態の密度の分布を算出する。すなわち、算出ユニット38は、第2計測ユニット用受光部36で得られた受光信号の値を、レーザ光の光強度に対応する値を除算することで光吸収係数を得る。レーザ光の光吸収係数は、レーザ光の光路に沿った光吸収の値である。算出ユニット38は、この光吸収係数を用いて、光路中のプラズマ生成用のガスの原子(以降、ガス原子という)の準安定状態の平均化した密度nを下記式(1)に基いて算出する。
求めた平均化した密度nは、絶対的な値であり、光路長lに沿ってならした値であるので、算出ユニット38は、平均化した密度nを蛍光画像の光路に対応する各位置における蛍光画像の値に比例して、密度の値に高低を与えることにより、プラズマ生成用のガス原子の準安定状態の密度の分布を生成する。以降この密度nを密度n1 Mと記載する。このとき、密度n1 Mの分布を光路に沿って平均化したとき、平均化した値は、求めた平均化した密度の値になるように規格化されている。これにより、プラズマ生成用のガス原子の準安定状態の密度n1 Mの分布が求められる。
算出ユニット38は、基底状態のプラズマ生成用のガス原子の密度と、計測により得られた準安定状態のプラズマ生成用のガス原子の密度n1 Mの各位置における値を用いて、プラズマ中の電子温度の分布を算出する。詳細は、後述する。
算出ユニット38は、得られた電子温度を用いて、下記式(4)を用いて、不純物原子の密度であるn2を算出する。
計測されて得られた発光強度比I2/I1は、2つの発光画像の値から求められたものであるので、各位置の値を有する。さらに、プラズマ生成用のガス原子の準安定状態の密度n1 Mも、各位置の値を有する。また、算出された電子温度も各位置の値を有する。このため、算出された不純物原子の密度であるn2も、各位置の値を有する分布として求められる。すなわち、算出ユニット38は、発光強度比I2/I1及び蛍光画像の取得範囲において、不純物原子の密度であるn2も各位置の値を有する分布として得られる。このような不純物の原子の密度を、算出ユニット38は、分布として、ディスプレイ41あるいはプリンタ42に出力する。
このように、算出ユニット38は、不純物原子の密度を算出することができる。算出された不純物原子の密度は、制御装置40に送られる。
算出ユニット38は、上述したプラズマ中の電子温度を下記方法により求める。
プラズマ中のプラズマ生成用のガス原子の準安定状態のレート方程式から、プラズマ発生中の安定状態では、準安定状態のプラズマ生成用のガス原子の密度が一定であることを考慮して、準安定状態のプラズマ生成用のガス原子の密度に関する式を導出し、下記式(11)を得ることができる。
ここで、kdex eは、準安定状態のプラズマ生成用のガス原子と電子との衝突によってプラズマ生成用のガス原子の準安定状態が消滅する反応の速度係数であり、例えば、2×10−7cm3/秒、3.5×10−7cm3/秒のように既知である(上記2つの値は、異なる準安定状態における値を示している)。したがって、式(11)におけるn1 M、n1及びkdex eは既知である。kex (1)は、式(9)により表され、σex (1)(ν)は既知であるので、マクスウェル分布関数f(ν)に含まれる電子温度を算出することができる。算出ユニット38は、このように、基底状態のプラズマ生成用のガス原子の密度n1と、上述した計測により得られた準安定状態のプラズマ生成用のガス原子の密度n1 Mを用いて、プラズマ中の電子温度を算出することができる。
このような電子温度の算出方法については、公知の方法であり、例えば、特許4933860号公報に詳細に記載されている。
図3は、不純物原子の密度の算出方法のフローチャートである。図3に示す例では、プラズマ生成用のガスとしてアルゴンガスを用い、不純物の原子として酸素原子を用いている。
図4(a)は、アルゴン原子の遷移の例を示す図である。アルゴン原子は、アルゴン原子の基底状態1S0から4p’[1/2]1に励起し、その後、下方遷移して準安定状態4S’[1/2]O 0に落ちる。このとき、アルゴン原子は、772.4nm]の光を発する。また、アルゴン原子は、アルゴン原子の基底状態1S0から4p[3/2]1に励起し、その後、下方遷移して準安定状態4S[3/2]O 2に落ちる。このとき、アルゴン原子は、772.4nm]の光を発する。
図4(b)は、酸素原子の遷移の例を示す図である。酸素原子は、酸素原子の基底状態3p2から3p5Pに励起し、その後下方遷移して準安定状態3s5S0 2に落ちる。このとき、酸素原子は、777nmの光を発する。
第1計測ユニット32は、アルゴン原子Ar*及び酸素原子O*の発光強度の画像を撮像するので、画像データが算出ユニット38に送られる。算出ユニット38は、同じ位置における画像の値の比を求めることで、アルゴン原子Ar*及び酸素原子O*の発光強度比を算出する(ステップS10)。
照射したレーザ光のうちプラズマを透過した透過光は、第2計測ユニット用受光部36で受光され、この受光により生成された受光信号は、算出ユニット38に送られる。また、第1計測ユニット32は、レーザ光の経路に沿ってアルゴン原子のレーザ誘起蛍光の蛍光画像を撮像する。撮像された蛍光画像の画像データは算出ユニット38に送られる。
さらに、算出ユニット38は、算出したレーザ光の光吸収係数から準安定状態のアルゴンガスのレーザ光の光路上に沿った平均化した密度を求める。求めた平均化した密度は、絶対的な値であり、光路長lに沿って積分した値であるので、算出ユニット38は、平均化した密度を蛍光画像の光路に対応する各位置における蛍光画像の値に比例して、密度の値に高低を与えることにより、光路に沿った密度の分布を生成する。このようにして算出ユニット38は、アルゴンの準安定状態の原子密度の分布を取得する(ステップS20)。
本実施形態では、プラズマ生成用のガスの吸収係数とこのガスの蛍光強度から、プラズマ中の電子温度が算出され、この電子温度を用いて、プラズマ生成用のガスの下方遷移した状態の密度が求められるので、精度の高い算出結果を得ることができる。
12 成膜容器
14 サセプタ
16 基板
18 排気ユニット
20 ガス供給バルブ
22 原料ガス源
24 キャリアガス源
26 プラズマ生成ユニット
26A 高周波電源
26B マッチングボックス
26C 電極板
26D 誘電体板
30 計測システム
32 第1計測ユニット
34 第2計測ユニット用光源
36 第2計測ユニット用受光部
38 算出ユニット
40 制御装置
41 ディスプレイ
42 プリンタ
40制御装置
Claims (11)
- プラズマ中の不純物を計測する計測方法であって、
プラズマ生成用のガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成ステップと、
前記プラズマ中の前記ガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と、前記プラズマ中の不純物の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度とを計測する第1計測ステップと、
前記プラズマにレーザ光を照射して、レーザ光のうち、前記ガスに吸収されることなく前記プラズマを透過した透過光の強度と、レーザ誘起による前記ガスの蛍光強度を計測する第2計測ステップと、
前記第2計測ステップで得られた前記透過光の強度から算出される前記ガスの光吸収係数と前記ガスの蛍光強度とを用いて、前記ガスの下方遷移した状態の密度を求め、前記ガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と前記プラズマ中の不純物の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度との間の発光強度比と、前記密度と、を用いて、前記不純物の密度を算出する算出ステップと、を有することを特徴とする計測方法。 - 前記第1計測ステップでは、前記発光強度比が、前記プラズマ中の分布として計測され、
前記第2計測ステップでは、前記ガスの蛍光強度が、前記レーザ光の光路に沿った分布として計測され、
前記算出ステップでは、前記不純物の密度が前記プラズマ中の分布として算出される、請求項1に記載の計測方法。 - 前記算出ステップでは、前記第2計測ステップで得られた前記ガスの光吸収係数と前記ガスの蛍光強度から、前記プラズマ中の電子温度が算出され、当該電子温度を用いて、前記ガスの下方遷移した状態の密度が求められる、請求項1または2に記載の計測方法。
- 前記ガスは、アルゴンガスであり、前記不純物は酸素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の計測方法。
- 前記アルゴンの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度は、777.2nmの光強度であり、前記酸素の励起状態から下方遷移により生じる発光強度は、777nmの光強度であり、
前記プラズマに照射するレーザ光の波長は696.54nmであり、前記ガスの蛍光強度の波長は772.4nmである、請求項5に記載の計測方法。 - プラズマ中の不純物を計測する計測装置であって、
プラズマ生成用のガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成容器と、
前記プラズマ生成容器内でプラズマを生成するプラズマ生成ユニットと、
前記プラズマ中の前記ガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と、前記プラズマ中の不純物の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度を計測するともに、レーザ光の誘起により発する前記ガスの蛍光の蛍光強度を計測する第1計測ユニットと、
前記プラズマにレーザ光を照射して、レーザ光のうち、前記ガスに吸収されることなく前記プラズマを透過した透過光の強度と、レーザ誘起による前記ガスの蛍光強度を計測する第2計測ユニットと、
前記第2計測ユニットで得られた前記ガスの光吸収係数と前記第1計測ユニットで得られた前記ガスの蛍光強度を用いて前記ガスの下方遷移した状態の密度を求め、前記ガスの励起状態からの下方遷移により生じる発光強度と前記プラズマ中の不純物の励起状態からの下方遷移により生じる発光強度との間の発光強度比と、求めた前記密度とを用いて、前記不純物の密度を算出する算出ユニットと、を有することを特徴とする計測装置。 - 前記第1計測ユニットは、前記発光強度比を、前記プラズマ中の分布として計測し、
前記第2計測ユニットは、前記ガスの蛍光強度を、前記レーザ光の光路に沿った分布として計測し、
前記算出ユニットは、前記不純物の密度を前記プラズマ中の分布として算出する、請求項7に記載の計測装置。 - 前記算出ユニットは、計測された前記ガスの光吸収係数と前記ガスの蛍光強度から、前記プラズマ中の電子温度を算出し、当該電子温度を用いて、前記ガスの下方遷移した状態の密度を求める、請求項7または8に記載の計測装置。
- 請求項7〜10のいずれか1項に記載の計測装置を備えた、基板に薄膜を生成する成膜装置であって、
前記プラズマ生成容器に、成膜用原料ガスが前記プラズマ生成用のガスとともに導入され、前記プラズマ生成容器に配置された基板を成膜し、
さらに、算出された前記不純物の密度に応じて、前記不純物の密度が低下するように、前記プラズマの生成のための条件を変更する制御装置を有する、ことを特徴とする成膜装置。
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