JP2014125758A - 畳の製造方法及びその方法により製造される畳 - Google Patents
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Abstract
【課題】
稲わらを使用した畳の踏み心地と同等の踏み心地を有し、遮音性、防振性、熱伝導性及び透湿性に優れた畳を簡便に、かつ、安価で製造する方法及びその方法により製造された畳を提供することを目的とする。
【解決手段】
複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱して硬質層を形成する第1プレス工程1と、第1プレス工程で形成された硬質層14の上に、複数の繊維11とバインダー樹脂12とを含むウェブ13を載せて、該ウェブ13と前記硬質層14を加圧及び加熱して硬質層14の上にクッション層26を形成する第2プレス工程2と、前記第1プレス工程1及び第2プレス工程2で形成された硬質層14とクッション層26を有するフェルト板24を畳床3として、該畳床3に畳表25を積層して固定する行程と、を経て製造する畳4の製造方法
【選択図】図1
稲わらを使用した畳の踏み心地と同等の踏み心地を有し、遮音性、防振性、熱伝導性及び透湿性に優れた畳を簡便に、かつ、安価で製造する方法及びその方法により製造された畳を提供することを目的とする。
【解決手段】
複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱して硬質層を形成する第1プレス工程1と、第1プレス工程で形成された硬質層14の上に、複数の繊維11とバインダー樹脂12とを含むウェブ13を載せて、該ウェブ13と前記硬質層14を加圧及び加熱して硬質層14の上にクッション層26を形成する第2プレス工程2と、前記第1プレス工程1及び第2プレス工程2で形成された硬質層14とクッション層26を有するフェルト板24を畳床3として、該畳床3に畳表25を積層して固定する行程と、を経て製造する畳4の製造方法
【選択図】図1
Description
本発明は、硬質層とクッション層とを有するフェルト板を畳床とする畳の製造方法及びその方法により製造される畳に関する。
従来の畳は、畳床の全てを稲わらで形成し、畳床の上に畳表を積層及び固定して構成する。稲わらからなる畳床は、重くて取り回しが悪いという欠点や、ダニやナンキンムシ等の虫の住処となり、虫害の原因になっていた。
このような問題に鑑みて、最近では、インシュレーションボードと呼ばれる木質繊維等を固めた素材で発泡樹脂板を挟み込んでなる畳床が主流となっている。これらの畳床は化学床とも呼ばれる。化学床は、表面が硬いため、稲わらに似た感触を出すために、特許文献1のように畳表と畳床の間に緩衝材を入れる構成が一般的である。特許文献1では、畳表と補強板の間に緩衝材として発泡ポリエチレン樹脂や、フェルト状物を用いることが記載されている。このような従来の化学床は、発泡樹脂板やインシュレーションボードを使用しているため、透湿性や熱伝導性が必ずしも良好でなく、床暖房とは相性がそれほど良くなかった。
稲わらを使用した畳の踏み心地と同等の踏み心地を備え、しかも遮音性、防振性、熱伝導性及び透湿性に優れた畳を簡便に、かつ、安価で製造する方法及びその方法により製造された畳を提供することを目的とする。
本発明者は、踏み心地が良好な畳を、簡便かつ安価に製造することができる方法について研究したところ、以下の製造方法及び畳を完成するに至った。すなわち本発明は、複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱して硬質層を形成する第1プレス工程と、第1プレス工程で形成された硬質層の上に、複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを載せて、該ウェブと前記硬質層を加圧及び加熱して硬質層の上にクッション層を形成する第2プレス工程と、前記第1プレス工程及び第2プレス工程で形成された硬質層とクッション層を有するフェルト板を畳床として、該畳床に畳表を積層して固定する行程と、で製造する畳の製造方法である。本発明では加圧及び加熱を行うプレス工程を2段階に分けることで、硬質層とクッション層とを有するフェルト板を成形し、当該フェルト板を畳床として使用することにしたのである。
上記製造方法により、複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱してなる硬質層と、複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱してなるクッション層と、を有するフェルト板からなる畳床並びに該畳床に積層して固定される畳表からなる畳が得られる。本発明は、畳床をフェルト板で構成するため、従来の畳床で必要であったインシュレーションボード等の芯材と不織布等の緩衝材とを縫い合わせる作業が不要であり、その加工が容易である。フェルト板は硬質層を備えるため、取り回しの際に強度が不足して容易に変形するおそれがないし、踏んだ際に、畳に適度な張りが生じる。さらに、フェルト板はクッション層を備えるため、踏み心地や座り心地が硬すぎず、適度な弾力を備える。
畳表を畳床に積層して固定する場合、畳表の端部を畳床の裏面に沿うように折り曲げる。この際、例えば、畳床の4隅に畳表が折り重なる部分が生じて、畳の裏面に段差が生じる原因となるため、折り重なる部分の畳表を予め裁断する作業が必要になる。そこで、本発明においては、畳表を畳床に積層して固定する前に、畳床の裏面において畳表が折り重なる部分を加圧及び加熱して凹部を形成しておくことが好ましい。このようにすれば、凹部に畳表を収めることができるため、畳の裏面において段差なく畳を仕上げることができる。畳床はバインダー樹脂を含むフェルト板から形成されるため、熱した鏝やアイロンを押し付けることで加圧及び加熱して、凹部を容易に形成することができる。
本発明においては、フェルト板を形成する複数の繊維として、廃材を解繊した雑繊維を用いることが好ましい。廃材であれば、原料を安価で調達することができるので、安価に畳を製造することが可能であるし、環境負荷低減の観点からも好ましい。この場合において、廃材を解繊した雑繊維には、麻繊維及び/又はヤシ殻繊維(以下、麻繊維等と称する)を混合することが好ましい。麻繊維等を混合すると、畳を切断する際に発生する摩擦熱で畳床が溶融し寸法誤差が生じることを防ぐことができる。
畳表と畳床は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とするホットメルト糊を両面に適用した布帛によって固定することが好ましい。前記布帛によれば、従来は接着することが難しかったポリプロピレン製の畳表やポリプロピレン製の畳床を固定することができる。
本発明の製造方法においては、複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱して硬質層を形成しておく。その上に複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを載せて再び加圧及び加熱を行う。これにより、硬質層とクッション層とを備えるフェルト板を容易に製造することができる。このフェルト板を畳床として、これに畳表を積層し固定すれば、硬質層に起因する適度な強度と、クッション層に起因する適度な柔軟性を備えた畳を製造することができる。
本発明の畳は、硬質層を備えるため取り回しの際に簡単に変形してしまうことがないので扱いやすい。また、硬質層とクッション層を備えるので、踏み心地が硬すぎず、また柔らかすぎず、良好である。また、本発明の畳は、畳床にフェルト板を使用しているので、遮音性、防振性に優れており、階下に歩行音等の騒音が伝わりにくい。さらに、衝撃吸収材として従来多用されてきた発泡樹脂に比べて熱伝導性及び透湿性に優れており、床暖房との相性が良い。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明は、図1に示したように、複数の繊維11とバインダー樹脂12とを含むウェブ13を加圧及び加熱して硬質層14を形成する第1プレス工程1と、第1プレス工程1で形成した硬質層14の上に、複数の繊維21とバインダー樹脂22を含むウェブ23を載せて、該ウェブ23と前記硬質層14を加圧及び加熱して硬質層14の上にクッション層26を有するフェルト板24を形成する第2プレス工程2と、前記第1プレス工程1及び第2プレス工程2を経て形成された硬質層14の上にクッション層26を有するフェルト板24を畳床3として、該畳床3に畳表25を積層して固定する行程と、で製造する畳4の製造方法である。
本発明においては、複数の繊維11とバインダー樹脂12を含むウェブ13を加圧及び加熱して硬質層14とする。本発明で使用する複数の繊維としては、フェルト板に成形できる素材であれば、特に制限はなく、綿等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ビニロン等の合成樹脂製繊維を使用することができる。繊維径や繊維長もフェルト板に成形できるものであれば特に限定されない。複数の繊維としては、自動車用の遮音材用フェルトや、カーペット等の敷物や、衣類等の端切れ等の廃材を解繊した雑繊維を好適に使用することができる。廃材は低コストで調達可能であることに加えて、環境負荷の低減の観点からも好適に使用することができる。廃材の中でも、衣類、カーテン、テーブルクロス等の布帛の端切れは、糸に捲縮加工が施されていないため、好適に使用することができる。すなわち、非捲縮糸を用いてフェルト板を成形した畳床3は、成形後の寸法安定性が高く、反り等の変形も生じ難いため好ましい。
畳4を床に敷き詰めるときは、部屋の隅に隙間なく畳を嵌め込むために、畳4を切断することがある。チップソー等により畳4を切断すると切断面が摩擦熱で熱溶融し寸法誤差が生じることがある。これを防ぐ目的で、解繊した雑繊維には、麻繊維及び/又はヤシ殻繊維(以下、麻繊維等と称する)を混合することが好ましい。麻繊維等の添加量は、畳床を形成するウェブ全体の20〜40重量%とすることが好ましい。
上記バインダー樹脂11、12としては、公知の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用できる。バインダー樹脂の形態としてはペレット状、繊維状、又はシート状のいずれでもよいが、繊維状にすれば加熱により速やかに溶融又は硬化させることができるので好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。これらの合成樹脂のうち、臭気のないものを使用することが好ましく、取り扱いの容易な熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。廃材に硬化に十分な量の熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂が含まれている場合は、外的にバインダー樹脂12、22を補う必要がない。硬質層14のウェブ13の組成と、クッション層26のウェブ23の組成は互いに異なる組成としてもよいが、同一の組成とすると混合作業が一度で済むので作業が簡便であるし、硬質層14とクッション層26の馴染みがよく好ましい。バインダー樹脂11、22の含有量は、重量比で20〜40%となるように複数の繊維11、22と混合し、これを第1プレス工程1及び第2プレス工程2の両工程において使用することが好ましい。
第1プレス工程1と、第2プレス工程2における加圧及び加熱は、加熱したロール間にウェブ13、23を通すことにより加圧及び加熱を連続的に行ってもよいし、油圧や空気圧等により上下動する加熱したプレス板の間にウェブ13、23を載置して、加圧及び加熱を行ってもよい。後者の場合は、反りのない畳床3を製造することができるのでプレス板を用いて加圧及び加熱を行うことが好ましい。加圧条件は、第1プレス工程1及び第2プレス工程2共に1〜2MPaにより行うことが好ましい。第1プレス工程1と第2プレス工程2において、加圧条件を変更してもよいが、プレス板で加圧及び加熱する場合は、加圧条件を変更するのは煩雑である。加圧条件については、圧力が2MPaを越えると、クッション層26の弾性が乏しくなってしまう。一方、圧力が1MPaを下回ると、硬質層14の強度が不足する。加熱条件については、使用するバインダー樹脂12、22の融点以上の温度とすることが好ましく、第1プレス工程1の加熱時間は8〜12秒とすることが好ましい。加熱時間が8秒を下回ると、バインダー樹脂12が十分に溶融しない。一方、12秒を越えて加熱すると硬質層が硬くなりすぎる。第2プレス工程2の加熱時間は60〜90秒とすることが好ましい。加熱時間が60秒を下回ると、やはりバインダー樹脂22が十分に溶融せず、クッション層26をうまく成型することができない。一方、90秒を越えて加熱すると、表面が焦げてしまう。
畳表25を畳床3に固定は、凧糸や接着剤等により側面部分及び/又は底面部分において固定すればよいが、図4に示したように、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと称する)を主成分とするホットメルト糊を両面に適用した布帛27を畳表25と畳床3の間に挟んで、畳表25の上から加圧及び加熱して畳表25と畳床3を固定することが好ましい。布帛27は、織布又は不織布が使用可能であるが、畳表25と畳床3の剥離を防ぐために、伸縮性を有する不織布を使用することが好ましい。伸縮可能な布帛27としては、ポリウレタン繊維を接着した不織布や、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンを芯とし、直鎖状低密度ポリエチレンを鞘とする複数の芯鞘繊維を熱接着してなる不織布が挙げられる。特に経年劣化の生じ難い後者を好適に使用することができる。柔軟性を備える不織布を使用すれば、畳4に応力が加えられた際に畳表25と畳床3が剥離することを防ぐことができる。後者の不織布は低密度直鎖状ポリエチレンに起因する柔軟性と、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンに起因するコシの強さと強度を備え、本発明において好適に使用することができる。布帛27、特に不織布は表面積が大きいため、畳表25の裏面又は畳床3の表面との接触面積を大きくすることができる。したがって、布帛27を用いて畳表25と畳床3を固定することでより強固に両者を固定することができる。また、布帛27そのものをホットメルト糊の素材からなる繊維で構成してよい。例えば、EVAからなる繊維で不織布を製造し、これを畳表25と畳床24の固定用の布帛27として利用することができる。布帛27の目付は10〜20g/m2であることが好ましい。布帛27にホットメルト糊を適用するに際しては片面当たり目付10〜20g/m2となるようにホットメルト糊を適用することが好ましい。
上記ホットメルト糊としては、硬化した状態で柔軟性を備えるものを使用することが好ましい。例えば、EVAは、柔軟性及びゴム弾性に優れており、比較的低温で溶融し、しかも酢酸ビニル基の含有率を変更することにより融点を調節することが容易であることから本発明において好適に使用することができる。畳表25の素材としてポリプロピレン等の合成樹脂を使用する場合は、加圧及び加熱する際の熱による畳表25の損傷を防ぐために、融点が35〜140℃であるホットメルト糊を使用することが好ましい。夏季における気温と、畳表等への熱による損傷の可能性を考慮してホットメルト糊の融点は、50〜80℃とすることがより好ましい。
上記方法によって、図2に示したように、複数の繊維11とバインダー樹脂12を含むウェブ13を加圧及び加熱してなる硬質層14と、複数の繊維21とバインダー樹脂22を含むウェブ23を加圧及び加熱してなるクッション層26と、を有するフェルト板24からなる畳床3並びに該畳床3に積層して固定される畳表25からなる畳4が製造される。
ところで、本発明の畳4を製造するに際しては、畳表25を畳床3に積層して固定する場合、畳表25の端部を畳床3の裏面に沿うように折り曲げて接着剤や、縫着糸等の適宜の手段により畳表25を畳床3に対して固定する。この際、例えば、図3の斜視図に示したように畳床3の4隅に畳表25が折り重なる部分が生じて、畳4の裏面に段差が生じる原因となるため、畳表25が折り重なる部分を予め裁断する作業が必要になる。そこで、本発明においては、畳表25を畳床3に積層して固定する前に、畳床裏面において畳表25が折り重なる部分を加圧及び加熱して凹部31を形成しておくことが好ましい。このようにすれば、凹部31に畳表25が収められるため、畳4の裏面の段差を解消することができる。畳床3はフェルト板24から形成されるため、熱した鏝やアイロンで押さえつけることで、凹部31を容易に形成することができる。図3の場合、畳の裏面の4隅において畳表が2枚折り重なるため、凹部31の深さは畳表の厚さの2倍としている。
畳表25の素材は特に限定されず、天然藺草で織成した畳表を使用してもよいし、紙で撚った藺草に樹脂を含浸してなる人工藺草やその他の人工藺草を用いてもよい。その他、畳柄をプリントした樹脂シート等であってもよい。
硬質層14の厚みは3〜5mmであることが好ましい。硬質層14の厚みが3mm以下の場合は、強度は申し分ないが、踏み心地が硬くなりすぎる傾向がある。一方、5mm以上の場合は、畳4を運搬設置するときなどにおいて強度が不足し、畳4が破損する原因ともなるし、踏み心地が柔らかすぎる傾向がある。クッション層26の厚みは、求められる仕様に応じて設定することができる。
以下、実施例により本発明についてより具体的に説明する。
[実施例1]
服の端切れ、及び廃棄されたカーテンを株式会社ケナテックス製の解繊機にかけて表1に示す組成の雑繊維を得た。耐熱性向上のためにリン酸系難燃剤を添加してある。解繊後の繊維長は、だいたい5〜30mmであった。
服の端切れ、及び廃棄されたカーテンを株式会社ケナテックス製の解繊機にかけて表1に示す組成の雑繊維を得た。耐熱性向上のためにリン酸系難燃剤を添加してある。解繊後の繊維長は、だいたい5〜30mmであった。
表1の雑繊維と、低融点ポリエステルとを重量比7:3の比率で混合してウェブとした(雑繊維:低融点ポリエステル=7:3)。前記低融点ポリエステルとしては、融点が120℃のユニチカ株式会社製の芯鞘型複合繊維「メルティ4080」を使用した。同繊維は芯成分がポリエステルで、鞘成分が低融点の共重合ポリエステルである。
上記のようにして得られたウェブを厚さ30mm程度となるように、ケナテックス株式会社製のプレス機のプレス台に載置して、加熱したプレス板をウェブの上から押しつけて、180℃及び1.6MPaにて10秒に亘って加圧及び加熱を行った。これにより、厚さ3.2mmの硬質層が形成された。上記プレス機はプレス台及びプレス板の両面が加熱可能な装置であり、両面が180℃になるように設定した。
上記のようにして形成した硬質層の上に上記ウェブを厚さ50mm程度となるように載置して、加熱したプレス板をウェブの上から押しつけて、180℃及び1.6MPaで75秒に亘って加圧及び加熱を行った。これにより、厚さ3.0mmの硬質層及び厚さ12mmのクッション層を有するフェルト板(幅900mm×長さ1820mm×厚さ14.5mm)が得られた。
このフェルト板の4隅に200℃に加熱したアイロンを押しつけて、深さ3.0mmの凹部を形成した。このフェルト板を畳床として、撚った紙に樹脂を含浸してなる人工藺草で織成した幅1000mm×長さ1920mm×厚さ1.5mmの畳表を、図3に示したように4隅を切り欠いた後、畳床に被せて、畳床の側面及び底面に沿うように折り曲げて底面にホットメルト糊で固定した。図3に図視したように畳表は4隅において2枚が折り重なったが、凹部に収められるため、畳の底面を段差なく仕上げることができた。
このようにして作成した複数の薄畳と、従来の稲わらを使用した複数の畳とを床に敷き詰めて、消費者100人にそれらの上を歩いてもらい踏み心地に関するアンケートを取ったところ、89人の者から、本発明の薄畳は従来の稲わらを使用した畳と比べても遜色ない踏み心地であるとの回答を得た。併せて、畳を敷き詰めた部屋の階下の部屋で防震性及び防音性について調査してみたところ、階下に歩行音や震動が伝わることはなく、防振性及び防音性も極めて良好であった。
次いで、本発明に係る上記の薄畳を敷いて床暖房を使用したところ、熱伝導性も良好であった。また、透湿性に優れており、床暖房を使用した後も床と薄畳の間に結露が生じることはなかった。また、衣服及び廃棄されたカーテンに由来する非捲縮糸を使用しているため、床暖房による熱によって畳床に反りが生じることもなかった。
[実施例2]
服の端切れ、及び自動車の遮音材を株式会社ケナテックス製の解繊機にかけて表2に示す組成の雑繊維を得た。耐熱性向上のためにリン酸系難燃剤を添加してある。解繊後の繊維長は、だいたい5〜30mmであった。これに、繊維長約25〜60mmのサイザル麻繊維と、繊維長約25〜60mmのヤシ殻繊維を混合した。
服の端切れ、及び自動車の遮音材を株式会社ケナテックス製の解繊機にかけて表2に示す組成の雑繊維を得た。耐熱性向上のためにリン酸系難燃剤を添加してある。解繊後の繊維長は、だいたい5〜30mmであった。これに、繊維長約25〜60mmのサイザル麻繊維と、繊維長約25〜60mmのヤシ殻繊維を混合した。
表2の組成のウェブを実施例1と同様の手順で加圧及び加熱して、硬質層と、クッション層とを有する畳床(幅900mm×長さ1820mm×厚さ14.5mm)を作製した。この畳床に、ポリプロピレン製のモノフィラメントで織成した幅幅1000mm×長さ1920mm×厚さ1.5mmの畳表を、図3に示したように4隅を切り欠いた後、畳床に被せた。
畳表と畳床の固定は、畳表と畳床の間に、両面にホットメルト糊を適用した不織布を挟んでおき、畳表の上から85℃、1.0t/m2で120℃加熱して固定した。不織布としては、芯材成分をポリエチレンテレフタレート、鞘成分をポリエチレンとする目付18g/m2のスパンボンド不織布(ユニチカ社製エルベス(登録商標)(T0203WDO))を使用した。この不織布の両面に目付38g/m2(片面当たり19g/m2)となるようにホットメルト糊を塗布した。ホットメルト糊としては、JISK7121で測定した融点が60℃、JISK6924−2で測定したメルトフローレートが40、JISK7192で測定した酢酸ビニルの含有量が34%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とするホットメルト糊を使用した。
上記のようにして畳表と畳床を固定して製造した畳を床に敷き詰めた。畳を床に敷き詰める際には、部屋の隅の部分に嵌め込む畳は、寸法が大きかったのでチップソー切断機を用いて、畳床を切断して寸法を調整した。実施例2の畳床は、サイザル麻繊維及びヤシ殻繊維を添加しているため、切断面がチップソーの摩擦熱で溶融することはなかった。また、切断面において、ファイル板を構成する繊維が解れることもなかった。実施例1の畳の場合は、切断面がチップソーとの摩擦熱で溶融し寸法誤差が出たり、切断面の繊維が解れて屑ほこりが出ることがあったが、実施例2の畳ではそのおそれがないことがわかった。
また、ポリプロピレン製の畳表は、従来のホットメルト糊との相性が悪く、接着性が悪かった。同様にポリプロピレン製の畳床と畳表を従来のホットメルト糊で接着することは難しかった。本発明では、EVAを主成分とするホットメルト糊を、柔軟性を有する芯鞘繊維で作製した不織布の両面に適用することで、ポリプロピレン製の畳表であっても、良好に接着することができた。
実施例2の畳を使用したところ、従来の稲わらを使用した畳と比べても遜色ない踏み心地であった。また、不織布が柔軟性を有するので畳表に応力が加わって変形しても畳表と畳床が剥離するようなことはなかった。使用しているうちに、畳表が汚れてきたため、畳表の上から65℃で60秒加熱することで容易に畳表を剥がし、新しい畳表に張り替えることができた。
1 第1プレス工程
11 複数の繊維
12 バインダー樹脂
13 ウェブ
14 硬質層
2 第2プレス工程
21 複数の繊維
22 バインダー樹脂
23 ウェブ
24 フェルト板
25 畳表
26 クッション層
27 布帛
3 畳床
4 畳
11 複数の繊維
12 バインダー樹脂
13 ウェブ
14 硬質層
2 第2プレス工程
21 複数の繊維
22 バインダー樹脂
23 ウェブ
24 フェルト板
25 畳表
26 クッション層
27 布帛
3 畳床
4 畳
Claims (10)
- 複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱して硬質層を形成する第1プレス工程と、
第1プレス工程で形成された硬質層の上に、複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを載せて、該ウェブと前記硬質層を加圧及び加熱して硬質層の上にクッション層を形成する第2プレス工程と、
前記第1プレス工程及び第2プレス工程で形成された硬質層とクッション層を有するフェルト板を畳床として、該畳床に畳表を積層して固定する行程と、を経て製造することを特徴とする畳の製造方法。 - 畳表を畳床に積層して固定する前に、畳床裏面において畳表が折り重なる部分を加圧及び加熱して凹部を形成する行程をさらに行う請求項1に記載の畳の製造方法。
- 複数の繊維は、廃材を解繊した雑繊維である請求項1又は2に記載の畳の製造方法。
- 複数の繊維は、廃材を解繊した雑繊維と、麻繊維及び/又はヤシ殻繊維と、を混合したものである請求項1ないし3のいずれかに記載の畳の製造方法。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とするホットメルト糊を両面に適用した布帛を畳表と畳床の間に挟んで、畳表の上から加圧及び加熱して畳表と畳床を固定する請求項1ないし4のいずれかに記載の畳の製造方法。
- 複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱してなる硬質層と、
複数の繊維とバインダー樹脂とを含むウェブを加圧及び加熱してなるクッション層と、を有するフェルト板からなる畳床並びに
該畳床に積層して固定される畳表からなることを特徴とする畳。 - 畳床の裏面において畳表が折り重なる部分に凹部を形成した請求項6に記載の畳。
- 複数の繊維は、廃材を解繊した雑繊維である請求項6又は7に記載の畳。
- 複数の繊維は、廃材を解繊した雑繊維と、麻繊維及び/又はヤシ殻繊維と、を混合したものである請求項6ないし8のいずれかに記載の畳。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とするホットメルト糊を両面に適用した布帛によって畳表及び畳床が固定されている請求項6ないし9のいずれかに記載の畳。
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