JP2014124945A - 記録装置及びその記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度かつ高分解能のエンコーダ信号を用いて高品位な記録が可能な記録装置及びその記録方法を提供することである。
【解決手段】記録ヘッドを搭載したキャリッジと、一定の間隔で設けられ、互いに対して1/4周期ずれて設けられた2列のスリットを有するスケールをキャリッジ移動に伴って読み取るエンコーダとを備えた記録装置において次の方法を実行する。キャリッジ移動に伴いエンコーダから出力されるA相のエンコーダ信号の立ち上がりのエッジ間隔(T)を測定する。次に、A相とB相のエンコーダ信号の立ち上がりと立ち下がりのエッジ間隔(T1,T2,T3,T4)を測定する。さらに、エッジ間隔(T/4)と測定されたエッジ間隔との差を所定の閾値と比較する。前記差が閾値を超えた場合、測定されたエッジ間隔(T)を補正したエッジ間隔(T’)に基づいて、前記差が閾値以下の場合、測定されたエッジ間隔(T)に基づいて、ヒートパルス信号を生成して記録ヘッドを駆動する。
【選択図】 図5
【解決手段】記録ヘッドを搭載したキャリッジと、一定の間隔で設けられ、互いに対して1/4周期ずれて設けられた2列のスリットを有するスケールをキャリッジ移動に伴って読み取るエンコーダとを備えた記録装置において次の方法を実行する。キャリッジ移動に伴いエンコーダから出力されるA相のエンコーダ信号の立ち上がりのエッジ間隔(T)を測定する。次に、A相とB相のエンコーダ信号の立ち上がりと立ち下がりのエッジ間隔(T1,T2,T3,T4)を測定する。さらに、エッジ間隔(T/4)と測定されたエッジ間隔との差を所定の閾値と比較する。前記差が閾値を超えた場合、測定されたエッジ間隔(T)を補正したエッジ間隔(T’)に基づいて、前記差が閾値以下の場合、測定されたエッジ間隔(T)に基づいて、ヒートパルス信号を生成して記録ヘッドを駆動する。
【選択図】 図5
Description
本発明は記録装置及びその記録方法に関し、特に、例えば、記録を行うためにインクの吐出タイミングを求める回路を備えた記録装置及びその記録方法に関する。
キャリッジを走査させながら画像を記録する記録装置の代表的なものとして、インクジェット記録装置が挙げられる。インクジェット記録装置(以下、記録装置)は、インクを吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復走査しながら、記録媒体に画像を記録する。このような記録装置では、記録ヘッドの走査位置と記録ヘッドの駆動タイミングとの整合が不可欠である。記録ヘッドの走査位置の検出には、従来より、例えば、キャリッジの移動位置を検出するエンコーダなどが用いられている。エンコーダを用いた場合、エンコーダによるキャリッジの位置検出の分解能と記録ヘッドの駆動周波数とによって、画像の記録解像度が決定される。
エンコーダには、磁気式や光学式等、様々な種類があり、検出対象となる可動部(例えば、キャリッジ)が一定量移動する毎にパルス信号を出力する。このパルス信号の一例としては、出力される2つのパルス信号の位相が互いに90度ずれた信号波形となるパルスがある。これら2つの信号の位相の一方をA相、他方をB相という。このようなエンコーダを用いた記録装置は、そのエンコーダの出力パルス信号に基づいて、キャリッジの移動位置や移動方向(順方向、逆方向)を検出し、さらに記録ヘッドの駆動信号を生成する。
こうしたエンコーダを使用した記録装置の場合、画像の記録解像度を高めるためには、エンコーダの分解能を高くする方法と、記録ヘッドの駆動周波数を高くする方法とが挙げられる。
インクジェット方式を用いた記録装置では、その記録ヘッドの駆動周波数は近年高くなってきており、これ以上、その駆動周波数を高くすることは困難である。そこで、エンコーダの分解能を高めることが必要となってきている。一方、記録装置の低価格化が望まれる現在、エンコーダを高分解能にすることは記録装置の生産コスト面からはマイナス要因となる。特に、従来の部品や機器構成を踏襲して、派生製品を開発する場合には、従来使用のエンコーダを使用し、かつ、画像記録の高解像度化を実現する必要性に迫られる。
このような条件で、記録画像の高解像度化を達成しつつ、記録装置の開発を行うためには、エンコーダからの出力パルス信号に基づいて、更に分解能の高い位置情報(記録ヘッドの走査位置情報)と記録ヘッドの駆動信号とを生成することが必要となる。このようにしてエンコーダからの出力パルス信号の高分解能化を達成する方法としては、そのパルス信号の周波数を逓倍した周波数で、記録ヘッドの走査位置に対応する値をカウントアップ/ダウンして、記録ヘッドの駆動パルスを生成する方法がある。
こうしたパルス信号生成において、例えば、特許文献1に示されるようにキャリッジの急加速時においても記録素子の最小駆動パルス間隔以上の駆動パルスを記録素子に印加できるように最小保証の周期を規定する手段を備えることが提案されている。また、特許文献2に示されるようにキャリッジの急激な減速時においては所定の記録位置までパルス生成を行わない方法が提案されている。
一般にキャリッジの急激な速度変動に対しては速やかにその速度変化に追従することが望ましく、そのためにはさらに高い分解能のエンコーダからのパルス信号(エンコーダ信号)の出力が要求される。そこで、高分解能でかつ高精度の逓倍パルスを得るためにA相とB相のパルス信号の両エッジを検出し4逓倍パルス信号を得るという方法も提案されている。
しかしながら、高精度でエンコーダ情報を取得するために、エンコーダ信号は片相片エッジを使用することが一般的であり、2相の両エッジを使用した場合には、エンコーダ情報量が多くなる反面、取得情報の精度が低下してしまうことが考えられる。このように、従来の方法では高精度のエンコーダ情報の取得と高分解能のエンコーダ情報の取得を両立することが難しいという問題があった。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、高精度かつ高分解能のエンコーダ信号を用いて高品位な記録が可能な記録装置及びその記録方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、次のような構成からなる。
即ち、記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させながら記録媒体に記録を行う記録装置であって、前記キャリッジの移動方向に一定の間隔で設けられ、互いに対して前記間隔の1/nずれて設けられた2列のスリットを有するスケールと、前記キャリッジに搭載され、前記キャリッジの移動に伴って、前記スケールの2列のスリットを読み取るエンコーダと、前記エンコーダから出力される、互いに対して位相の異なるA相のエンコーダ信号とB相のエンコーダ信号の内、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジ或いは立ち下がりエッジのエッジ間隔を測定する第1の測定手段と、前記A相のエンコーダ信号と前記B相のエンコーダ信号の時間的に隣り合う立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間のエッジ間隔を測定する第2の測定手段と、前記第1の測定手段により測定されたエッジ間隔を1/nして得られるエッジ間隔と前記第2の測定手段により測定されたエッジ間隔との差を予め定められた閾値と比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、前記差が前記閾値を超えた場合には、前記第1の測定手段により測定されたエッジ間隔を補正する補正手段と、前記差が前記閾値を超えた場合には前記補正手段により補正されたエッジ間隔に基づいて、一方、前記差が前記閾値以下の場合には、前記第1の測定手段により測定されたエッジ間隔に基づいて、前記記録ヘッドの駆動に用いるヒートパルス信号を生成する生成手段と、前記生成手段により生成されたヒートパルス信号と記録データ信号とを用いて前記記録ヘッドを駆動して画像を記録する記録手段とを有することを特徴とする。
また本発明を別の側面から見れば、記録ヘッドを搭載したキャリッジと、前記キャリッジの移動方向に一定の間隔で設けられ、互いに対して前記間隔の1/nずれて設けられた2列のスリットを有するスケールを前記キャリッジの移動に伴って読み取るエンコーダとを備え、前記キャリッジを往復移動させながら記録媒体に記録を行う記録装置の記録方法であって、前記エンコーダから出力される、互いに対して位相の異なるA相のエンコーダ信号とB相のエンコーダ信号の内、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジ或いは立ち下がりエッジのエッジ間隔を測定する第1の測定工程と、前記A相のエンコーダ信号と前記B相のエンコーダ信号の時間的に隣り合う立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間のエッジ間隔を測定する第2の測定工程と、前記第1の測定工程において測定されたエッジ間隔を1/nして得られるエッジ間隔と前記第2の測定手段において測定されたエッジ間隔との差を予め定められた閾値と比較する比較工程と、前記比較工程における比較の結果、前記差が前記閾値を超えた場合には、前記第1の測定工程において測定されたエッジ間隔を補正する補正工程と、前記差が前記閾値を超えた場合には前記補正工程において補正されたエッジ間隔に基づいて、一方、前記差が前記閾値以下の場合には、前記第1の測定工程において測定されたエッジ間隔に基づいて、前記記録ヘッドの駆動に用いるヒートパルス信号を生成する生成工程と、前記生成工程において生成されたヒートパルス信号と記録データ信号とを用いて前記記録ヘッドを駆動して画像を記録する記録工程とを有することを特徴とする記録装置の記録方法を備える。
従って本発明によれば、2つのエンコーダ信号から得たエンコーダ周期の変化からキャリッジの速度変化が大きいかどうかを判断し、その変化が大きい場合には、エンコーダ信号を補正し、その補正されたエンコーダ信号からヒートパルス信号を生成する。これにより、1つのエンコーダ信号を用いただけでは追従できないようなキャリッジ速度変化があった場合にも、正確にキャリッジ位置を特定して、高精度かつ高解像度の画像を高品位に記録することができるという効果がある。
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、既に説明した部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、ビニール、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、ビニール、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「記録要素」(「ノズル」という場合もある)とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
<インクジェット記録装置の説明(図1)>
図1は本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置1の構成の概要を示す外観斜視図である。
図1は本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置1の構成の概要を示す外観斜視図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置)はインクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)3をキャリッジ2に搭載し、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させて記録を行う。記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
記録装置1のキャリッジ2には記録ヘッド3を搭載するのみならず、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクカートリッジ6を装着する。インクカートリッジ6はキャリッジ2に対して着脱自在になっている。
図1に示した記録装置1はカラー記録が可能であり、そのためにキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを夫々、収容した4つのインクカートリッジを搭載している。これら4つのインクカートリッジは夫々独立に着脱可能である。
この実施例の記録ヘッド3は、熱エネルギを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用している。このため、電気熱変換体を備えている。この電気熱変換体は各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
また、キャリッジ2の移動方向に沿って、スケール7が設けられている。スケール7には一定の間隔でスリットが設けられており、キャリッジ2に搭載されたエンコーダ(不図示)がキャリッジ2の移動に応じて、そのスリットを読み取ることでエンコーダ信号を生成する。このエンコーダ信号はキャリッジ2の移動方向のキャリッジ位置(即ち、記録ヘッドの位置)を表わす信号である。このエンコーダ信号の周期(エッジ間隔)に基づいてキャリッジ位置が算出され、また、このエンコーダ信号がインク吐出のためのタイミング制御のための信号として用いられる。
上記のスリットは位相が90°異なる、A相とB相のエンコーダ信号を出力するようにスリット間隔がその間隔の1/4ずれた2列のスリットを有している。
図2は、図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
ホストインタフェース111は、ホスト装置900から、JPEG形式の画像データを入力する。この画像データは、RAM116に設けられた受信バッファ116A(DRAM)に格納される。画像処理部114は、JPEG形式の画像データをCMYKの色成分の多値データMDに変換し、RAM116に設けられた多値データバッファ116B(DRAM)に格納する。印刷データ処理部115は、多値データMDをドットデータ(2値データ)DDに変換し、ドットデータバッファ116C(SRAM)に格納する。
データ転送部121は、ドットデータバッファ116Cに格納されている2値データを記録ヘッド3へ転送する。データ転送部121は、データ転送を行う機能の他に、2値データを間引く機能を備えている。印刷データ処理部115やデータ転送部121での処理は、エンコーダ処理部122が出力するヒートトリガ信号HTと同期することで、搬送タイミングに合わせた処理となる。
なお、図2において、113はユーザが装置に対して指示を行うための操作パネルである。
CPU117は、ROM118に格納されている制御プログラムに従って、記録素子の駆動制御や記録素子と記録媒体(例えば、用紙)との相対的な搬送制御等を行う。
図3はキャリッジ2に搭載される記録ヘッド3のノズル構成を示すブロック図である。
図3(A)は、複数の記録素子(電気熱変換体とこれに対応してインクを吐出するノズル)103を備えた記録素子列102を4つ(A列、B列、C列、D列)備えたヘッドユニット101のノズル配置を示している。図3(A)に示すように、複数の記録素子103はY方向に沿って配列しており、破線で囲った部分を説明すると、A〜D列の各記録素子103は、Y方向に関して同じ位置に配置されている。例えば、破線Ynの位置にある4つの記録素子から吐出されるインクにより記録媒体上に形成されるドットは、同じライン位置に記録される。また、記録素子列102は、X方向(図1では矢印A方向に対応するキャリッジ移動方向)に沿って並んでいる。ヘッドユニット101の4つ記録素子列により、YMCK各色成分の内の1つの色成分の画像記録を完成させる。
従って、YMCKの4成分からなるカラー画像データを用いてカラー画像形成するためには、図3(B)に示すように、4色のインク(シアン、マゼンタ、イエロ、ブラック)に対応して、4つのヘッドユニット101からなる記録ヘッド3を構成する。
図4はエンコーダ処理部122の詳細な構成を示すブロック図である。
図4(a)に示される片相片エッジ間隔測定回路122A(第1の測定手段)は、2値化されたエンコーダ信号のA相の立ち上りエッジ(0→1への変化点)を記憶しておき、立ち上りエッジ間の時間を測定することで、エッジ間隔Tを出力する。同様に、両相両エッジ間隔測定部122C(第2の測定手段)は、エンコーダ信号の両相(A相とB相)の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジを記憶し、各エッジ間隔を出力する。閾値設定回路122Bは、片相片エッジ間隔測定部122Aで測定したA相の立ち上がりエッジ間隔を4等分し、その4等分された値にマージン分となる設定値を加えたものを閾値として使用する。
速度判定回路122Dは閾値設定回路122Bによって算出された閾値信号と両相両エッジ間隔測定部122Cのエッジ間隔を比較し、閾値を上回る速度が入力されると速度変動が大きいと判断する。速度判定回路122Dは、閾値判定回路122Dより速度変動が大きいと判断した場合には、ヒートタイミング補正テーブル122Eを参照し、A相の立ち上がりエッジから得たエッジ間隔Tから補正テーブルを用いたエッジ間隔に更新する。
その際、得られたエンコーダ周期からでは記録素子を駆動するために必要なパルス間隔が得られないと判断した際には、最小周期レジスタ122Fに設定した記録素子の最小駆動パルス間隔以上の駆動パルスを記録素子に印加する。このため、ヒートタイミング生成回路122Gは片相片エッジ間隔測定回路122A、速度判定回路122D、最小周期レジスタ122Fから出力されたエッジ間隔信号から、その時の条件に応じたヒートパルス信号を生成し出力する。ヘッド駆動回路122Hではヒートパルス生成回路122Gで生成されたヒートパルス信号に従って記録ヘッド3を駆動し、記録データ信号に基づいて記録ヘッドからインク吐出を行わせて画像記録を行う。
なお、CPU117は最小周期レジスタ122Fへの最小周期の設定やヒートタイミング補正テーブル122Eへの値の設定に使用される。
図4(b)は、ヒートタイミング生成回路122Gの内部構成の一部を示す図である。図4(b)から分かるように、ヒートタイミング生成回路122Gは2つの信号入力のいずれかを1つの制御信号に従って選択するセレクタ回路を含む。この構成によれば、エッジ間隔信号1は片相片エッジ間隔測定部122Aからのエッジ間隔Tであり、エッジ間隔信号2は速度判定回路122Dによる更新されたエッジ間隔T’である。また、入力セレクタは速度判定回路122Dより閾値を超えたと判断した場合にはセレクタ回路がエッジ間隔信号2を選択するよう指示する制御信号である。
速度判定回路122Dは閾値を超えるとセレクタ回路に対して、エッジ間隔信号2へとエッジ間隔信号を切り替えるよう指示することで新たな速度情報を反映したエンコーダ間隔へと更新することができる。その更新間隔は、両相両エッジの変化点で判定するため、片相片エッジの情報に比べて4倍の更新間隔を得ることができる。
図5はエンコーダ処理部122が実行するヒートパルス信号の生成処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS401ではA相のエンコーダ信号の立ち上がりタイミングの入力を待ち、その立ち上がりが入力されるとエッジ間隔の測定を始め、次のA相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジまでの時間間隔を測定する。上述のように、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジ間隔はエッジ間隔Tという。
一方、ステップS402では、A相とB相のエンコーダ信号の立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングの入力を待ち合わせ、A相とB相のエンコーダ信号のいずれかのエエッジまでの間隔を測定する。例えば、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジからB相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジまでの間隔を測定する。
図6はA相のエンコーダ信号とB相のエンコーダ信号のタイムチャートである。
図6は特にキャリッジの速度変動が大きい時のエンコーダ信号を表わしており、図6において、TはA相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジ間のエッジ間隔(エンコーダ周期)である。また、後述する処理によってエッジ間隔Tを4等分したものがT/4である。さらに、T1はA相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジとB相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジとの間のエッジ間隔、T2はB相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジとA相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジとの間のエッジ間隔である。またさらに、T3はA相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジとB相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジとの間のエッジ間隔、T4はB相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジからA相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジと間のエッジ間隔である。
また、タイミング(I)はB相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジを、タイミング(II)はA相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジを、タイミング(III)はB相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジをそれぞれ示している。
ステップS402では、図6に示すように、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジからB相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジまでの間隔、例えば、タイミング(I)において、エッジ間隔T1が測定される。同様に、タイミング(II)において、B相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジからA相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジまでのエッジ間隔T2が測定される。
次に、ステップS403では、ステップS401において得られたエッジ間隔Tを4等分し、エッジ間隔周期T/4を得る。 さらに、ステップS404では、エッジ間隔Tに基づいて導出したエッジ周期間隔(T/4)と両相両エッジ間隔から得られたエッジ間隔とを比較する。図6に示す例で言えば、タイミング(I)では、エッジ間隔T1とエッジ周期間隔T/4とを比較する。さらに、タイミング(II)では、2つのエッジ間隔の和(T1+T2)とT/2を比較し、さらにタイミング(III)では、3つのエッジ間隔の和(T1+T2+T3)と3T/2とを比較する。
ステップS405では、ステップS404で比較した値が閾値を超えているかどうかを調べる。なお、その閾値はCPU117によって設定された値を用いる。ここで、比較した2つの値の差が閾値を超えた場合には、処理はステップS406に進み、ヒートタイミング補正テーブル122Eを参照し、速度変動量に応じた補正値をエッジ間隔Tに加えることで新たなエッジ間隔(エンコーダ周期)を得る。これに対して、比較した2つの値の差が閾値以下の場合には、ステップS406をスキップしてエッジ間隔Tをそのままエンコーダ周期として用いる。このように、エンコーダ周期の更新が両相のエンコーダ信号の変化点で行われる。
従って、キャリッジの等速移動時のような速度変動が少ないときには閾値を超える回数が少なくなるため、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジのみを用いたエッジ間隔(エンコーダ周期)が用いられる。これに対して、急激なキャリッジの速度変動が生じた場合には、A相とB相のエンコーダ信号の立ち上がりと立ち下がり時の各タイミングで新しい速度情報を反映するために、エッジ間隔の更新が行われることとなる。
さて、ステップS407では、これまでの処理により得られたエッジ間隔(エンコーダ周期)に基づいて得られたヒートパルス信号が記録素子の最小駆動周期を超えているかどうかを調べる。ここで、得られたヒートパルス信号のパルス間隔が最小保証周期未満の場合、処理はステップS408に進み、記録素子の最小保証周期でヒートパルス信号を生成する。これに対して、得られたヒートパルス信号のパルス間隔が最小保証周期以上である場合、ステップS408をスキップし、得られたヒートパルス信号をそのまま用いる。
ステップS409では、記録ヘッドを走査させながら、以上のようにして得られた最小保証周期以上のヒートパルス信号を記録素子に印加して記録素子を駆動して記録を行う。
このようにしてエンコーダ信号の周期からヒートパルス信号が生成される。
以上説明した実施例によれば、位相の異なる2つのエンコーダ信号のエッジ間の間隔を測定し、その測定結果によりエンコーダ信号の周期を補正することができる。これにより例えば、図6に示すように、キャリッジ速度変動が大きく連続するエンコーダ信号の周期の差が大きくなる場合にも、正確にキャリッジ位置を特定して、より正確なタイミングでヒートパルス信号を生成することができる。このようにして、高解像度で記録を行う場合にも正確なタイミング制御を実行でき、高品位な画像記録を達成できる。
なお以上説明した実施例では、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジからエッジ間隔を求めたが本発明はこれによって限定されるものではない。高精度で位置を特定できるのであれば、測定開始点はエンコーダ信号の内のどこでもかまわない。例えば、A相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジを使用してもいいし、B相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジを使用することもできる。
また以上説明した実施例では、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジから求めたエッジ間隔を4等分した間隔を時間的に隣り合うA相、B相の各エンコーダ信号の両エッジ間隔と比較したが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジ(1→0、1→0への変化点)のみを使用する際には、そのエッジ間隔を2等分しても良いし、更新間隔として定義できるものがあればそれ以上に分割しても良い。即ち、エッジ間隔Tを1/nして得られるエッジ間隔を比較の対象とできる。
さらに以上説明した実施例では、CPUにより閾値を設定したが、その閾値は製造時の出荷検査において設定されてもよい。またさらに、比較した2つのエッジ間隔の差が閾値を超えた場合の処理も、上記のようなテーブルを参照してエンコーダ周期を更新する方法ではなく、閾値を超えたレベルに応じて一意に決定しても良い。また、T1、T2の値をそのまま使用しても良い。
またさらに、比較対象とする2つのエッジ間隔についても、上述のように、エッジ間隔T/4とT1のような比較のみならず、例えば、図6に示すT2とT/4との比較でもかまわない。
Claims (9)
- 記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させながら記録媒体に記録を行う記録装置であって、
前記キャリッジの移動方向に一定の間隔で設けられ、互いに対して前記間隔の1/nずれて設けられた2列のスリットを有するスケールと、
前記キャリッジに搭載され、前記キャリッジの移動に伴って、前記スケールの2列のスリットを読み取るエンコーダと、
前記エンコーダから出力される、互いに対して位相の異なるA相のエンコーダ信号とB相のエンコーダ信号の内、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジ或いは立ち下がりエッジのエッジ間隔を測定する第1の測定手段と、
前記A相のエンコーダ信号と前記B相のエンコーダ信号の時間的に隣り合う立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間のエッジ間隔を測定する第2の測定手段と、
前記第1の測定手段により測定されたエッジ間隔を1/nして得られるエッジ間隔と前記第2の測定手段により測定されたエッジ間隔との差を予め定められた閾値と比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、前記差が前記閾値を超えた場合には、前記第1の測定手段により測定されたエッジ間隔を補正する補正手段と、
前記差が前記閾値を超えた場合には前記補正手段により補正されたエッジ間隔に基づいて、一方、前記差が前記閾値以下の場合には、前記第1の測定手段により測定されたエッジ間隔に基づいて、前記記録ヘッドの駆動に用いるヒートパルス信号を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたヒートパルス信号と記録データ信号とを用いて前記記録ヘッドを駆動して画像を記録する記録手段とを有することを特徴とする記録装置。 - 前記補正手段は、前記キャリッジの速度変動量に応じた補正値を格納する補正テーブルを備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記生成手段は、前記生成されたヒートパルス信号による前記記録ヘッドの記録素子の駆動周期が予め定められた最小保証周期を超えているかどうかを調べ、前記駆動周期が前記最小保証周期未満である場合、前記最小保証周期で前記ヒートパルス信号を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
- 前記nは4であり、
前記A相のエンコーダ信号と前記B相のエンコーダ信号とは互いに対して位相が90°ずれていることを特徴ととする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記第1の測定手段により測定されたエッジ間隔を1/4に等分する等分手段をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
- 前記第1の測定手段は、時間的に隣り合う前記A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジのエッジ間隔(T)を測定し、
前記第2の測定手段は、前記A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジと前記B相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジとの間のエッジ間隔(T1)と、前記B相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジと前記A相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジとの間のエッジ間隔(T2)と、前記A相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジと前記B相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジとの間のエッジ間隔(T3)と、前記B相のエンコーダ信号の立ち下がりエッジと前記A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジとの間のエッジ間隔(T4)とを測定することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。 - 前記比較手段は、前記T1が測定されるタイミングでT/4とT1とを比較し、前記T2が測定されるタイミングでT/2とT1+T2とを比較し、前記T3が測定されるタイミングでは3T/2とT1+T2+T3とを比較することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
- 前記記録ヘッドは複数の記録素子を備えたインクジェット記録ヘッドであり、
前記複数の記録素子おのおのに対応して電気熱変換体を備え、
前記ヒートパルス信号は前記電気熱変換体を駆動する信号であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録装置。 - 記録ヘッドを搭載したキャリッジと、前記キャリッジの移動方向に一定の間隔で設けられ、互いに対して前記間隔の1/nずれて設けられた2列のスリットを有するスケールを前記キャリッジの移動に伴って読み取るエンコーダとを備え、前記キャリッジを往復移動させながら記録媒体に記録を行う記録装置の記録方法であって、
前記エンコーダから出力される、互いに対して位相の異なるA相のエンコーダ信号とB相のエンコーダ信号の内、A相のエンコーダ信号の立ち上がりエッジ或いは立ち下がりエッジのエッジ間隔を測定する第1の測定工程と、
前記A相のエンコーダ信号と前記B相のエンコーダ信号の時間的に隣り合う立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間のエッジ間隔を測定する第2の測定工程と、
前記第1の測定工程において測定されたエッジ間隔を1/nして得られるエッジ間隔と前記第2の測定手段において測定されたエッジ間隔との差を予め定められた閾値と比較する比較工程と、
前記比較工程における比較の結果、前記差が前記閾値を超えた場合には、前記第1の測定工程において測定されたエッジ間隔を補正する補正工程と、
前記差が前記閾値を超えた場合には前記補正工程において補正されたエッジ間隔に基づいて、一方、前記差が前記閾値以下の場合には、前記第1の測定工程において測定されたエッジ間隔に基づいて、前記記録ヘッドの駆動に用いるヒートパルス信号を生成する生成工程と、
前記生成工程において生成されたヒートパルス信号と記録データ信号とを用いて前記記録ヘッドを駆動して画像を記録する記録工程とを有することを特徴とする記録装置の記録方法。
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