JP2014124133A - 細胞外電位計測装置及び方法 - Google Patents

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哲生 北村
Kenji Yasuda
賢二 安田
Satoyuki Kaneko
智行 金子
Norimasa Nomura
典正 野村
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Abstract

【課題】複数の細胞を含むサンプルの細胞外電位を安定して正確に計測すること。
【解決手段】本発明は、異なる細胞または細胞群にそれぞれ配置された異なる微小電極にそれぞれ接続された信号線の間で生じる電磁誘導によるノイズが発生しないように、1つの細胞または細胞群に配置された微小電極に接続された信号線と、他の細胞または細胞群に配置された微小電極に接続された信号線とが実質的に分離されてアンプに接続されている、細胞外電位計測装置を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、細胞外電位計測装置及び方法に関する。
従来様々な医薬品の開発のために、細胞外電位を計測することで、細胞の状態を把握することが行われている。この細胞外電位は、細胞外電極を用いる事で計測することができる。例えば、心筋細胞の細胞外電位は、細胞膜のイオンチャネルを介したイオン電流を反映している。また、薬剤等の化学物質には心筋細胞のイオンチャネルに作用し、結果として心臓へ重篤な作用を示すものがあるため、これらの化学物質の心筋細胞のイオンチャネルへの作用を評価するために、細胞外電位を計測する事が有効であると知られている。
通常、医薬品の開発の際には、多数の薬剤の評価をする必要があり、細胞外電位計測においてもそのスループットを高めるために、複数のサンプルを同時計測する事が望まれており、そのような装置が提供されつつある(非特許文献1)が、未だ、安定して高精度に測定できるものは無い。
ASSAY and Drug Development Technologies Volume 2, Number 5, 2004 page 507-514
細胞外電位測定装置は、測定対象細胞の信号を受け取る微小電極と参照電極との間にかかる電位をアンプで増幅した信号として出力し、電位計測手段によって数値として計測し、その電位をコンピューターに取り込み、保存する装置である。本発明者らは、従来の複数同時計測可能な細胞外電位測定装置を使用する際、各サンプルにおいて、各サンプルの固有なシグナル以外のシグナル(ノイズ)が発生する場合があり、安定して正確に計測できないという課題に直面した。したがって、この課題を解決することが求められた。
上記の課題を解決するために本発明者らは鋭意検討を行った結果、従来の細胞外電位計測装置では、複数の薬剤等のサンプルを同時計測する際に、各サンプルに配された電極とアンプ間を繋ぐ信号線が一つに束ねられており、そのため、束ねられた個々の信号線の間において電磁誘導が発生し、各微小電極の計測データにその電磁誘導によるノイズがランダムに乗ってしまうことが、安定して正確に細胞外電位を計測できない原因であることを見出した。
更に本発明者らは、複数の薬剤等のサンプルを同時計測する際には、サンプル毎に備えられるウェル毎に(あるいは、異なる細胞または細胞群に配された異なる微小電極毎に)、微小電極とアンプとの間を繋ぐ信号線を実質的に分離することにより、計測データにサンプル間(あるいは異なる微小電極間)のノイズが乗る事を防ぐことが可能であることを見出した。
したがって、本発明は以下を提供する。
[1]基板、
上記基板上に配置された、細胞または細胞群を培養可能に収容するための1または複数個の細胞収容部、
上記細胞収容部内に配置された、上記細胞または細胞群の細胞外電位の計測のための複数個の微小電極、
上記細胞収容部内に配置された参照電極、
上記微小電極および上記参照電極にそれぞれ接続された信号線が接続されたアンプ、
上記アンプを介して送られる信号から上記細胞の細胞外電位を計測する電位計測手段、および
上記電位計測手段で計測した上記細胞外電位のデータを記録する、制御/記録手段
を備え、
異なる上記細胞または細胞群にそれぞれ配置された異なる上記微小電極にそれぞれ接続された上記信号線の間で生じる電磁誘導によるノイズが発生しないように、1つの上記細胞または細胞群に配置された上記微小電極に接続された信号線と、他の上記細胞または細胞群に配置された上記微小電極に接続された信号線とが実質的に分離されて上記アンプに接続されている、細胞外電位計測装置。
[2]上記細胞収容部が、上記細胞の細胞培養液を保持可能なウェルである、上記[1]に記載の細胞外電位計測装置。
[3]上記複数個の細胞収容部が直列に配置されている、上記[1]または[2]に記載の細胞外電位計測装置。
[4]上記細胞収容部毎に上記微小電極が少なくとも1つ配置されている、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置。
[5]上記細胞が心筋細胞であり、薬剤の上記心筋細胞に対する毒性検査または薬効検査のために使用される、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置。
[6]更に上記微小電極へ電気刺激を送る電気刺激手段を有する、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置
[7]上記電気刺激が、電圧または電流による電気刺激である、上記[6]に記載の細胞外電位計測装置。
[8]上記基板が、透明基板である、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置。
[9]上記細胞を光学的に計測する手段を有する、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置。
[10]上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置を使用する、細胞外電位計測方法。
本発明によれば、複数サンプル(複数の異なる細胞または細胞群)を同時に使用して、安定して正確に細胞外電位計測することができる。
図1は、従来技術による(a)4つのウェルを配置したマルチウェル型多電極チップの電極配置を示す全体図、(b)細胞が載置されていない電極群部分の拡大図、および(c),(d),(e)細胞が載置された電極群部分の拡大図、ならびに(f)このマルチウェル型多電極チップを用いて細胞外電位を測定したときの各ウェルでのシグナル発生の様子を示す図である。細胞が載置されている電極((c), (d))のシグナルが、細胞が載置されていない電極((b))のシグナルのアーティファクト(AF)として((b)のシグナルとして)計測されていることがわかる。図1(f) 中、電極群(b)についてのシグナルを示す領域(左上)においてアーティファクトシグナルを囲んだ楕円の色と、電極群(c),(d)についてのシグナルを示す領域(右上、左下)を囲んだ四角い枠の色が対応している。 図2は、(a)本発明の細胞外電位計測装置で用いる微小電極およびそれに載置された細胞の構成を示す拡大模式図、および(b)本発明の細胞外電位計測装置の全体構成の概要を示す模式図である。
本発明は、細胞外電位計測装置およびこの装置を用いて細胞の細胞外電位を計測することを含む細胞外電位計測方法を提供する。
<本発明の装置全体の説明>
図2(b)は、本発明の細胞外電位計測装置の全体構成の一例を示す。本発明の細胞外電位計測装置1は、マルチウェルチップ2、マルチウェルチップ2のリード線8に繋がれた信号線9、信号線9が接続されたアンプ10、アンプ10を介して送られる信号を受けて細胞電位を計測する電位計測装置11、および電位計測装置11で計測した細胞外電位のデータを記録する制御/記録手段12を備える。必要に応じて、図2に示されるように、基板3は絶縁膜13で被覆されていてもよく、またマルチウェルチップ2を保持するためのチップホルダー14を備えていても良い。
マルチウェルチップ2は、基板3、基板3上に配置された細胞(または細胞群)5を培養可能に収容するための1または複数個の細胞収容部4、細胞収容部4内に配置された、細胞(または細胞群)5の細胞外電位の計測のための複数個の微小電極6、細胞収容部内に配置された参照電極7、微小電極6および参照電極7からそれぞれから延びるリード線8を備えている。
本発明の細胞外電位計測装置においては、異なる細胞または細胞群にそれぞれ配置された異なる微小電極にそれぞれ接続された信号線の間で生じる電磁誘導によるノイズが発生しないように、1つの細胞または細胞群に配置された微小電極に接続された信号線と、他の細胞または細胞群に配置された微小電極に接続された信号線とが実質的に分離されてアンプに接続されている。
このように各細胞または各細胞群からの信号線が他の細胞または細胞群からの信号線と実質的に分離されてアンプに接続されることにより、異なる細胞または細胞群からの信号線間で電磁誘導が生じることを防ぐことができ、それにより、電位計測手段において、そのような電磁誘導に起因するノイズをアーティファクトシグナルとして検出することを防ぐことができる。特に、複数サンプル(複数の異なる細胞もしくは細胞群でありうる)を用いる場合にこのようなアーティファクトシグナルの発生を防ぐことができることは、安定した正確な細胞電位計測にとって重要なことである。
したがって、本発明の一実施形態によれば、複数サンプル(複数の異なる細胞もしくは細胞群)を同時に計測するための細胞外電位計測装置が提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、複数の細胞収容部が直列に配列されたマルチウェルチップを使用する細胞外電位計測装置が提供される。直列に配列する利点として、サンプル等を細胞収容部に添加する際に既存の8連ピペット等を使用しやすいことが挙げられる。したがって、作業効率、既存の製品との組み合わせにおける利便性等の面で有利である。
さらに、本発明の一実施形態によれば、細胞に対して電気刺激を付与する手段をさらに備えた細胞電位計測装置が提供される。電気刺激は、電圧刺激または電流刺激であり得、電圧刺激は制御しやすさの面で有利である。
以下、本発明の細胞電位計測装置の各要素についてより詳細に説明する。
<基板について>
本発明において使用される「基板」は、細胞を載置可能であり、且つ、細胞電位を計測可能であれば特に制限されず、任意のものを適宜選択して使用することができる。基板の材質としては、絶縁性材料であれば良く、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されない。例えば、ガラス、プラスチック、シリコン、紙等が使用され得る。
また、基板は、細胞を光学的にも検出可能となるため、好ましくは光学的に透明な基板が良い。必要に応じて細胞の準備工程や計測工程において、細胞を光学的に検出し、その状態を把握することができる。例えば、基板の材質としては、ガラス基板やシリコン基板等が挙げられる。光学的な計測は、細胞外電位計測装置に備えられた光学的計測部で行って良いし、別途、光学的計測が行える装置で行っても良い。
また、基板は、細胞を載置し易くするため、コラーゲン等の公知の方法で処理することが好ましい。
<細胞収容部について>
本発明において使用される「細胞収容部」は、細胞を収容し、かつ細胞培養液を保持できるように基板上において構成されている。典型的には、細胞収容部は、基板表面と該基板上に形成された細胞または細胞群の周囲を取り囲む側壁で規定される。好ましくは、細胞収容部は、細胞または細胞群および細胞培養液を保持できるように基板上に形成されたウェルである。細胞収容部は、基板上に1つまたは複数個形成され、好ましくは、複数個形成される。細胞収容部のサイズは、1細胞のみを収容できるサイズ、多細胞の細胞群を収容できるサイズ等、目的に応じて様々であり得る。
本発明において、「ウェル」は、評価すべきサンプル毎に実質的に区分けされた場所であれば良く、ウェル間で独立して設計されていれば、公知のウェルが使用できる。例えば、ウェル中の細胞や液体(培養液や薬剤等)等が、他ウェルのものと相互に影響をしないように設計されたウェルが使用されうる。また、ウェル中の培養液や薬剤等が他のウェルと共有されていてもよい場合には、ウェル間の独立性は細胞のみについて独立して保持できる程度でも良い。例えば、複数のウェルが、細胞は通過しないが、細胞の培養液は通過しうる構造によって互いに連結されている態様が挙げられる。
また、一つのウェル中に、計測対象となる細胞または細胞群は1つであっても良いし、複数であっても良い。本発明の一実施形態によれば、計測対象毎に、異なる細胞または細胞群として分離し、計測することができる。
また、該ウェルの材質としては、上記のようにウェル間を独立させることが可能であり、細胞や薬剤等と相互作用しない限り、公知の材質が使用できる。具体的には、アクリル、プラスチック等の樹脂、ガラス、アガロース等が挙げられる。
また、該ウェルの大きさや数や配置および形状は、設計可能な細胞外電位計測機構やサンプルの性質や数に合わせて、適宜、選択することができる。
また、該ウェルの大きさとしては、サンプルを計測するために必要な細胞数が存在できる大きさであれば良い。例えば、直径1mm以上、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは7mm以上であることが挙げられる。ウェルの形状としては、細胞および細胞培養液を保持しうる限り特に限定されないが、平面図としてみた場合に例えば、円形、楕円形、矩形、三角形、およびその他の形状があり得る。
また、該基板の一つの上に該ウェルは複数個あることが好ましい。装置を小型化することが可能となり、容易に同時に複数のサンプルの細胞外電位を計測し、比較して評価することができる。これにより、サンプルの評価精度を高めたり、多数のサンプルをハイスループットで計測可能としたりすることができる。該ウェルの数は、2つ以上であれば良く、4個以上、または8個以上でありうる。
また、該ウェルの配置は、直列に配置することが好ましく、例えば、実験に良く使用される8連ピペットでウェルへの分注操作可能な間隔で配置することが挙げられる。そうすることで、既存の8連ピペットなどを使用して複数サンプルを同時に操作できるため好ましい。なお、該8連ピペットに合わせて8つのウェルを直列に配置しても良いし、4つのウェルを配置する場合には、該8連ピペットの内、4つのピペットを使用する間隔に合わせて配置するなど、適宜、変更することができる。
<細胞について>
本発明において使用される「細胞」は、活動電位を発生する細胞であれば制限はなく、例えば、心筋細胞、神経細胞、筋肉細胞、視細胞等が挙げられる。細胞は、臓器等から単離された細胞でも、iPS細胞等から人工的に製造された細胞でも良い。また、「細胞群」という場合、複数の細胞からなる細胞の集団を意味し、例えば、単離された一細胞を複数個含む混合物の他、細胞の凝集塊、組織切片などが含まれるが、これらに限定されない。
細胞または細胞群は、一細胞に単離されたもの、シート状、ライン状、リング状に配置されたもの、細胞塊、立体構造を形成するもの、ex vivoのスライス切片等に調製されることができる。当業者であれば、目的に応じて、必要な調製方法を適宜選択して使用することができる。
<サンプルについて>
本発明において使用される「サンプル」には、勿論、細胞外電位計測を行うのであるから、前提として計測の対象となる細胞および/または細胞群が含まれるが、その細胞外電位の変化を指標として「サンプル」の評価を行う場合には、その「サンプル」は、その変化をもたらす様々な計測条件に調製された化学物質等を含む試料を意味する。そのようなサンプルとしては、医薬品候補の化学物質を含む溶液などが挙げられる。サンプル中の該化学物質を適当な濃度に調製し、該化学物質の有無あるいは濃度毎にサンプルを調製したり、電気刺激の有無あるいは程度毎にサンプルを調製したりすること等が挙げられる。
より具体的には、一つの計測条件(例えば、一種類の化学物質)に対して、複数の異なる細胞または細胞群のシグナルを計測したり、複数の計測条件(例えば、複数種類の化学物質)に対して、それぞれ対応する異なる細胞または細胞群のシグナルを計測したりすることが挙げられる。
<微小電極について>
本発明において使用される「微小電極」は、細胞外電位を計測可能であれば制限はなく、ITO、金、白金、炭素、カーボンナノチューブ等が挙げられる。上記電極をPtBk等によりコーティングすることが好ましい。表面積を大きくすることによってインピーダンスを低下することができる。
該微小電極は、基板上に載置された細胞の細胞外電位を計測可能な場所に配置されていれば良い。好ましくは、該細胞に接して(例えば、細胞をその上に載置するように)配置される。好ましくは、微小電極は、異なる細胞毎、または異なる細胞群毎に配置される。好ましくは、微小電極は、異なるウェル毎に配置される。
ウェル中には、細胞を載置可能な少なくとも1つの微小電極が配置されていれば良いが、安定して精度良く細胞外電位を計測するためには1つのウェル中に複数の微小電極が配置されていることが好ましい。例えば、4個以上、好ましくは8個以上、更に好ましくは16個以上の微小電位が1ウェル内に配置されうる。
なお、全てのウェルに微小電極が配置されていなくても良いし、異なった数の微小電極が配置されていても良い。当業者であれば、実験条件に合わせて、適宜設計することができる。安定して精度良く細胞外電位を計測するため、複数のウェルにおいて、同様に微小電極が配置されていることが好ましい。
また、該微小電極を含む基板は、細胞を載置し易くするため、コラーゲン等の公知の方法で処理されていることが好ましい。
<微小電極からの信号線について>
微小電極は、それぞれに信号線が接続され、アンプに接続されるが、微小電極のそれぞれに接続された信号線は、計測目的に応じて、計測対象として異なる細胞または細胞群間の単位毎に互いに電磁誘導による影響を受けないように、異なる細胞または細胞群毎、あるいは、異なるウェル毎に実質的に分離されてアンプに接続されていれば、接続の方法や分離の方法などに制限はない。ここで、「実質的に分離」とは、例えば、分離すべき信号線の単位毎に、電磁誘導による影響を受けない程度に離して配置したり、絶縁体で保護したりすることが挙げられる。このように、実質的に電磁誘導による影響を受けなければ、分離すべき信号線は、構造上一緒に束ねられていても良い。なお、構造的に分離されている方が、より電磁誘導による影響を受けにくいので好ましい。なお、少なくともウェルとアンプとの間の信号線がウェル毎(または異なる細胞もしくは細胞群毎)に分離されていれば良いが、アンプと電位計測装置との間の信号線もウェル毎(または異なる細胞もしくは細胞群毎)に分離されている方が好ましい。
<参照電極について>
本発明において使用される「参照電極」としては、公知の参照電極が使用でき、例えば、対応する微小電極のシグナルを得ることができるように、該微小電極が配置されるウェル中に配置されていれば良い。具体的には、ウェル中の基板上へ配置されたり、ウェル中の培養液中等に配置されたりすることができる。
<参照電極からの信号線について>
参照電極は、それぞれに信号線が接続され、アンプに接続されていれば制限は無い。参照電極のそれぞれに接続された信号線は、微小電極と同様に、異なる細胞もしくは細胞群毎またはウェル毎に分離してアンプに接続されても良いし、複数を束ねてアンプに接続しても良い。また、参照電極のそれぞれに接続された信号線と微小電極のそれぞれに接続された信号線を分離してアンプに接続しても良いし、両者を束ねてアンプに接続しても良い。
<アンプ>
本発明において使用される「アンプ」は、微小電極から得たシグナルを受信可能であれば、公知のアンプが使用可能である。
<電位計測手段>
本発明において使用される「電位計測手段」は、アンプから得たシグナルを受信し細胞電位を計測可能であれば公知の電位計測手段が使用可能である。例えば、コンピューターは、シグナルを受信して細胞電位を計測し、更に、電位計測手段で計測した電位データを記録する、制御/記録手段を備えることができる。
また、更に、記録された電位データを解析する手段を備えることもできる。例えば、解析手段は、電位計測手段を有するコンピューターに備えても良いし、別のコンピューターに備えることもできる。
<電気刺激手段について>
本発明において使用される「電気刺激手段」は、細胞へ電気刺激を行えるものであれば制限は無い。
刺激電極とは、電気刺激を行うために刺激電圧がかかる、或いは刺激電流が流れる電極である。細胞の電位計測に用いる微小電極を刺激電極として用いても良いし、或いは計測用の微小電極とは別に刺激専用の電極をウェル内に設置しても良い。
刺激電極は、該微小電極上の特定の細胞を刺激することができる。
また、電気刺激は電圧式でも電流式でも良い。電圧式の場合は、装置を複雑にすることなく、複数の刺激電極に同時に刺激を与えたり、いくつかを選んで刺激を与えたりすることが可能なことから、安価に細胞外電位計測装置を製造することができるので好ましい。一方、電流式の場合は、刺激電極毎に出力装置が必要になり装置構成は複雑になるが、電気刺激によるアーティファクト低減のメリットが期待されるので好ましい。
電気刺激回路が細胞に与える電気刺激は、例えば、以下の用途で用いることができる。自律拍動機能を持つ持たないに関わらず、心筋細胞あるいは心筋細胞群において、任意の周期あるいは間隔の刺激を行うことでペーシングを行い、拍動をコントロールすることが出来る。
また、ウェル毎または異なる細胞もしくは細胞群毎に信号線を分離することにより、電気刺激による他ウェルまたは他の細胞もしくは細胞群への電磁誘導によるノイズの影響を抑制することができる。
電気刺激手段を有するか否かは、実験用途に合わせて、適宜、選択して設計することができる。
<光学的計測手段について>
本発明において使用される「光学的計測手段」は、細胞の形態を計測可能なものであれば制限は無い。例えば、光学顕微鏡等が挙げられる。細胞の細胞外電位計測に組み合わせて、細胞の形態を光学的に計測することで、サンプルの状態をより正確に評価できるので好ましい。
<細胞外電位計測装置の利用について>
本発明の細胞外電位計測装置は、種々の細胞の細胞外電位計測に利用できる。本発明の細胞外電位計測装置の第一の実施態様として、毒性検査装置が挙げられる。例えば、心筋細胞を対象とした場合、正常な心筋細胞に薬剤を与えて、不整脈またはその指標となるパラメータ(FPD延長やSTV増大等)(参考文献:ASSAY and Drug Development Technologies Volume 2, Number 5, 2004 page 507-514;WO2012043820)への影響を計測して、薬剤の心筋細胞に対する毒性を検査することができる。
本発明の細胞外電位計測装置の第二の実施態様として、薬効検査装置が挙げられる。
例えば、病態モデルの心筋細胞に薬剤を与えて、不整脈またはその指標となるパラメータ(FPD延長やSTV増大等)が回復するのを計測して、薬剤の病態モデルの心筋細胞に対する薬効を検査することができる。
本発明の細胞外電位計測装置の第三の実施態様として、機能検査装置が挙げられる。
例えば、神経細胞に対してテタヌス刺激等を行い、記憶と学習の研究等をすることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されないことは当業者には明らかであろう。
<実施例1−1:細胞を載置したマルチウェル型多電極チップの作製>
4つのウェルを配置した多電極チップ(MED-P5004A:アルファメッドサイエンティフィック社製)(図1(a)を参照)を使用して、細胞を載置したマルチウェル型多電極チップを作製した。
図1(b)-(e)に示すように、4つのウェルの内、3つのウェル((c)右上、(e)右下、(d)左下)に以下のように心筋細胞を播種した。CDI社から購入したヒト心筋細胞を、1.6 X 104個/ウェルで播種し、37℃・7.0% CO2 濃度で、maintenance medium(CDI社)で、計測まで1週間培養した。なお、左上の細胞を播種しないところは、誤って細胞が存在しないように、基板をアガロースコートした。
<実施例1−2:細胞の計測>
上記で作製したマルチウェル型多電極チップの細胞外電位を計測した。データ取得には多電極細胞電位計測システム(日京テクノス社)を使用した。
結果を図1(f)に示す。細胞を播種していないウェル((b)左上)において、他の細胞を播種しているウェルに1mV程度以上のピークがある場合に、他の細胞を播種しているウェルのピークに同期したピーク(ノイズ)が観察される事を確認した。ノイズが発生している微小電極を丸で囲って示した。
この現象が何故生じるのか検討したところ、多電極細胞電位計測システムは、全てのウェルから接続されている信号線が一つのケーブルに束ねられていることが原因であることを見出した。このノイズの経路として、ケーブル内でのクロストークが予想されることから、微小電極とアンプ間を繋ぐ際にウェル毎に信号線を分離する事により、複数ウェルのサンプルの細胞外電位を計測するときの各データにサンプル間のノイズが乗る事を防ぐことが可能となり、マルチウェルを有する細胞外電位計測を安定して高精度に行えると考えられた。
本発明の実施形態における複数ウェルを有する細胞外電位計測装置及び方法によれば、多サンプルを安定して高精度に且つハイスループットに計測できることから、医薬品の開発等において有用である。
1 細胞外電位計測装置
2 マルチウェルチップ
3 基板
4 細胞収容部
5 細胞(または細胞群)
6 微小電極
7 参照電極
8 リード線
9 信号線
10 アンプ
11 電位計測手段
12 制御・記録手段
13 絶縁膜
14 チップホルダー

Claims (10)

  1. 基板、
    前記基板上に配置された、細胞または細胞群を培養可能に収容するための1または複数個の細胞収容部、
    前記細胞収容部内に配置された、前記細胞または細胞群の細胞外電位の計測のための複数個の微小電極、
    前記細胞収容部内に配置された参照電極、
    前記微小電極および前記参照電極にそれぞれ接続された信号線が接続されたアンプ、
    前記アンプを介して送られる信号から前記細胞の細胞外電位を計測する電位計測手段、および
    前記電位計測手段で計測した前記細胞外電位のデータを記録する、制御/記録手段
    を備え、
    異なる前記細胞または細胞群にそれぞれ配置された異なる前記微小電極にそれぞれ接続された前記信号線の間で生じる電磁誘導によるノイズが発生しないように、1つの前記細胞または細胞群に配置された前記微小電極に接続された信号線と、他の前記細胞または細胞群に配置された前記微小電極に接続された信号線とが実質的に分離されて前記アンプに接続されている、細胞外電位計測装置。
  2. 前記細胞収容部が、前記細胞の細胞培養液を保持可能なウェルである、請求項1に記載の細胞外電位計測装置。
  3. 前記複数個の細胞収容部が直列に配置されている、請求項1または2に記載の細胞外電位計測装置。
  4. 前記細胞収容部毎に前記微小電極が少なくとも1つ配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置。
  5. 前記細胞が心筋細胞であり、薬剤の前記心筋細胞に対する毒性検査または薬効検査のために使用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置。
  6. 更に前記微小電極へ電気刺激を送る電気刺激手段を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置
  7. 前記電気刺激が、電圧または電流による電気刺激である、請求項6に記載の細胞外電位計測装置。
  8. 前記基板が、透明基板である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置。
  9. 前記細胞を光学的に計測する手段を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の細胞外電位計測装置を使用する、細胞外電位計測方法。
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JP2012283057A Pending JP2014124133A (ja) 2012-12-26 2012-12-26 細胞外電位計測装置及び方法

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018121567A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 株式会社Lsiメディエンス 機械学習装置、分類装置並びに方法及びプログラム
JP2018141753A (ja) * 2017-02-28 2018-09-13 株式会社Lsiメディエンス 異常検出装置、異常検出方法及び異常検出プログラム

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JP2018121567A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 株式会社Lsiメディエンス 機械学習装置、分類装置並びに方法及びプログラム
JP2018141753A (ja) * 2017-02-28 2018-09-13 株式会社Lsiメディエンス 異常検出装置、異常検出方法及び異常検出プログラム

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