JP2014120239A - プラズマ測定装置及びプラズマ測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマ密度を精度よく測定する。
【解決手段】プラズマ測定装置100は、プラズマに露出されるプローブ電極104を備える計測部であって、イオン飽和電流を測定するための測定領域を含む電圧範囲においてプローブ電極104の電流電圧特性曲線を計測する計測部と、プローブ電極104からの放出電子をプローブ電極104に向けて偏向させる磁場を前記測定領域において発生させる磁場発生器114と、を備える。プラズマ測定装置100は、イオン飽和電流を用いてプラズマ密度を演算する演算部112を備えてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】プラズマ測定装置100は、プラズマに露出されるプローブ電極104を備える計測部であって、イオン飽和電流を測定するための測定領域を含む電圧範囲においてプローブ電極104の電流電圧特性曲線を計測する計測部と、プローブ電極104からの放出電子をプローブ電極104に向けて偏向させる磁場を前記測定領域において発生させる磁場発生器114と、を備える。プラズマ測定装置100は、イオン飽和電流を用いてプラズマ密度を演算する演算部112を備えてもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマ測定装置及びプラズマ測定方法に関する。
被処理試料にエッチングをするためのプラズマ処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このプラズマ処理装置は、被処理試料の支持電極に入射するプラズマ電流を検出するプラズマ電流検出手段を有する。
プラズマ密度を測定するためにイオン飽和電流を測定する場合がある。この場合、イオン飽和電流を正確に測定することが望まれる。
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、イオン飽和電流の測定精度を向上し、それによりプラズマ密度の測定精度を向上することができるプラズマ測定装置及びプラズマ測定方法を提供することにある。
本発明のある態様によると、プラズマに露出される電極を備える計測部であって、イオン飽和電流を測定するための測定領域を含む電圧範囲において前記電極の電流電圧特性曲線を計測する計測部と、前記電極からの放出電子を前記電極に向けて偏向させる磁場を前記測定領域において発生させる磁場発生器と、を備えるプラズマ測定装置が提供される。
前記磁場は、前記電極の表面の法線に垂直な成分を有してもよい。前記磁場の大きさは、前記放出電子を前記表面に入射させる回転半径を前記放出電子に与えるように定められていてもよい。
前記磁場発生器は、前記電極の表面に隣接する局所域に前記磁場を発生させてもよい。
前記磁場発生器は、前記電圧範囲のうち前記測定領域の外側の少なくとも一部において前記磁場の発生を停止してもよい。
前記プラズマ測定装置は、前記磁場発生器から前記プラズマへの漏れ磁場を低減するための磁気回路を備えてもよい。前記プラズマ測定装置は、前記磁気回路を構成する磁性体を覆う保護カバーを備えてもよい。
前記プラズマ測定装置は、前記イオン飽和電流を用いてプラズマ密度を演算する演算部をさらに備えてもよい。
本発明のある態様によると、プラズマに露出される電極の電流電圧特性曲線を、イオン飽和電流を測定するための測定領域を含む電圧範囲において計測することと、前記電極からの放出電子を前記電極に向けて偏向させる磁場を前記測定領域において発生させることと、を備えるプラズマ測定方法が提供される。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、イオン飽和電流の測定精度を向上することができる。
図1は、本発明のある実施の形態に係るプラズマ測定装置100を模式的に示す図である。プラズマ測定装置100は、プラズマ密度を測定するためにプラズマ処理装置10に設けられている。
プラズマ処理装置10は、プラズマ室12と、気体供給部14と、プラズマ源16と、を備える。プラズマ室12は、その内部にプラズマPの生成及び維持に適する真空環境を提供するための真空容器である。気体供給部14は、プラズマPの原料となるガスをプラズマ室12に供給するよう構成されている。プラズマ源16は、プラズマ室12に供給されたガスにプラズマPを発生させるよう構成されている。プラズマ室12には、被処理物(例えば基板)18を保持するための物体保持部20が設けられている。物体保持部20は、プラズマPに処理されるべき被処理物18の表面をプラズマPに向けるように被処理物18を保持する。
なお、プラズマ源16は任意の公知の方式でプラズマPを発生させるプラズマ源である。例えば、プラズマ源16は、プラズマ室12外に設けられたRF電源及び/またはマイクロ波源からプラズマ室12内にRF電界及び/またはマイクロ波を与える無電極プラズマ源である。あるいは、プラズマ源16は、プラズマ室12内に設置された電極を有するプラズマ源であってもよい。
また、プラズマ処理装置10を制御するためのプラズマ処理制御部22が設けられている。プラズマ処理制御部22は、所望のプラズマ処理を提供するようにプラズマ処理装置10の構成要素を制御する。ある実施形態においては、プラズマ処理制御部22は、プラズマ測定装置100により測定されたプラズマ密度に基づいてプラズマ処理装置10を制御してもよい。この場合、プラズマ処理制御部22は、例えば、プラズマ測定装置100によるプラズマ密度の測定値が目標のプラズマ密度となるように気体供給部14及び/またはプラズマ源16を制御する。
プラズマ測定装置100は、ラングミュアプローブまたは静電探針とも呼ばれるプローブ102を備える。プローブ102はプラズマ室12の壁を貫通しており、任意の適切な真空シールを介してプラズマ室12に取り付けられている。プローブ102はプラズマ室12に固定されていてもよいし、プラズマ室12の壁に対し移動可能であってもよい。例えば、図において矢印で示すように、プローブ102は、プラズマ室12の壁に対し垂直に前進及び後退可能であってもよい。
プローブ102は先端に電極部を有しており、この電極部を以下ではプローブ電極104と呼ぶ。プローブ電極104はプラズマ室12内においてプラズマPに向けて露出された導体である。プローブ電極104は例えば金属であり、通常はタングステンのような高融点金属が用いられる。金属粒子によるプラズマPの汚染を抑えることを重視する場合には、プローブ電極104はその他の導体例えばカーボンであってもよい。プローブ102のプローブ電極104以外の部分は絶縁物で被覆されている。
プラズマ測定装置100は、プローブ電極104に電圧を印加するための電源と、プローブ電極104に印加された電圧を測定するための電圧計と、プローブ電極104に流れる電流を測定するための電流計と、を備える。本実施形態においては、プラズマ測定装置100は、そうした電源、電圧計、及び電流計を有するソースメータ106を備える。また、プラズマ測定装置100は、参照電極108を備える。参照電極108はプラズマ室12の壁の任意の部分である。プラズマ室12は接地されているので、参照電極108も接地されている。ソースメータ106は、プローブ電極104と参照電極108とを接続する導線110の中途に設けられている。
プラズマ測定装置100は、ソースメータ106が得た測定結果を処理するための演算部112を備える。演算部112は、プラズマ処理制御部22の一部を構成する。あるいは、演算部112はプラズマ処理制御部22とは別に設けられていてもよい。
また、詳しくは後述するように、プラズマ測定装置100は、プローブ電極104の近傍に磁場を発生させる磁場源としての磁場発生器114を備える。磁場発生器114は、磁場を発生させるための例えばヘルムホルツコイル等のコイルまたは導線を備える。磁場発生器114は、図1に示す実施形態においては、プラズマ室12に取り付けられ、プラズマ室12の外側に設置されている。
また、磁場発生器114は、磁場発生器114が磁場を発生させるオン状態と、磁場発生器114が磁場の発生を停止するオフ状態とを切り換えるための切替部115を備える。切替部115は、ソースメータ106がプローブ電極104に印加する電圧に応じて磁場発生器114のオンオフを切り換えるよう構成されているスイッチを備える。例えば、切替部115は、プローブ電極104への印加電圧がある切替しきい値以下のとき磁場発生器114をオンにし、プローブ電極104への印加電圧がその切替しきい値を超えるとき磁場発生器114をオフにする。この切替しきい値は、例えばある負の値またはゼロであり、後述する測定範囲aの上限値より大きい値である。したがって、測定範囲aにわたって磁場発生器114は磁場を発生させることになる。
このようにして、プラズマ測定装置100は、プローブ電極104の電流電圧特性曲線(以下、I−Vカーブともいう)を計測する計測部を備える。上述のプローブ102及びソースメータ106は、この計測部の主要な構成要素である。プラズマPが生成されているときに、ソースメータ106は、ある電圧範囲にわたってプローブ電極104に印加する電圧を掃引し、プローブ電極104に流れる電流を測定する。こうして、その電圧範囲におけるプローブ電極104のI−Vカーブを得ることができる。演算部112は、得られたI−Vカーブを出力または表示してもよい。
図2は、プローブ電極104の電流電圧特性曲線を例示する図である。図2において縦軸はプローブ電極104に流れる電流を表し、横軸はプローブ電極104に印加される電圧を表す。図2に示されるように、プローブ電極104のI−Vカーブは大きく3つの領域に分けられる。これを電圧の低いほうから順に、イオン電流飽和領域A、電子反発領域B、電子電流飽和領域Cと呼ぶことにする。
イオン電流飽和領域Aにおいてはプローブ電極104に負の電位が与えられている。イオン電流飽和領域Aではプローブ電極104に概ね一定の電流が流れ、これがイオン飽和電流と呼ばれる。プローブ電極104に印加される電圧が負から正に転じるとき、電圧ゼロの近傍でプローブ電極104に流れる電流が大きく増加する。このとき電流の向きも逆転する。さらにプローブ電極104に印加される電圧が大きくなると、電子電流飽和領域Cに達する。電子電流飽和領域Cではプローブ電極104に概ね一定の電流が流れ、これは電子飽和電流と呼ばれる。
したがって、イオン電流飽和領域Aに含まれるある測定領域aにおいてプローブ電極104に流れる電流をソースメータ106で測定することにより、イオン飽和電流を求めることができる。また、I−Vカーブにおける電圧ゼロの近傍での電流の傾きから電子温度を求められることが知られている。よって、電子反発領域Bにおいてプローブ電極104に流れる電流を測定することにより、電子温度を求めることができる。さらに、電子電流飽和領域Cにおいてプローブ電極104に流れる電流を測定することにより、電子飽和電流を求めることができる。
I−Vカーブからプラズマ密度を解析する方法には一般に二種類ある。1つはイオン飽和電流と電子温度からプラズマ密度を演算する方法であり、もう1つは電子飽和電流と電子温度からプラズマ密度を演算する方法である。前者の方法の場合、プラズマ密度(電子密度)Ne(個/m3)は次式で求められる。ここで、Jiはイオン飽和電流、eは電気素量、Spはプローブ表面積(m2)、Mはイオン質量、kはボルツマン定数、Teは電子温度を表す。なお後者の方法においてもプラズマ密度は類似の式を用いて演算される。
本発明者は、プラズマPの生成又は制御のためにプラズマ室12に磁場を作用させている場合には、後者の方法では電子の運動が磁場によって大きくなりすぎることがあり、そのために電子飽和電流の測定に影響が生じるという知見を得ている。電子は質量が小さいからである。そこで、本実施形態においては、プラズマ測定装置100は、前者の方法、すなわちイオン飽和電流を用いる方法で、プラズマ密度を測定する。
しかし、本発明者の考察によると、イオン飽和電流を用いるプラズマ密度測定にも課題がある。これを図3を参照して説明する。図3は、プローブ102の先端部を示す図である。上述のようにイオン飽和電流は、プローブ電極104に負の電圧を作用させたときにプローブ電極104に流れる電流から求められる。ここでは一般的なプラズマを考えているから、プラズマには荷電粒子として電子と陽イオンが含まれる。プローブ電極104には負電圧が印加されているので、図3に示されるように、プラズマからプローブ電極104にイオン(図において白丸)が集まってくる。これらのイオンによってプローブ電極104に流れる電流が、求めるべき真のイオン飽和電流である。
ところが、プローブ電極104の表面116へのイオンの衝突によって、プローブ電極104から二次電子が放出され得る。あるいは、プローブ電極104の加熱によって、プローブ電極104の表面116から熱電子が放出され得る。こうした放出電子(図において黒丸)があるために、プローブ電極104に流れる電流は真のイオン飽和電流よりも大きくなる。従って、イオン飽和電流と同様にプラズマ密度も、真の値より大きく見積もられることになる。
そこで、本実施形態においては、プラズマ測定装置100は、イオン飽和電流の測定に際してプローブ電極104の表面116からの放出電子をプローブ電極104の表面116に戻すよう構成されている。具体的には、プラズマ測定装置100は上述のように磁場発生器114を備える。磁場発生器114は、プローブ電極104からの放出電子をプローブ電極104に向けて偏向させる磁場を測定領域a(図2参照)において発生させる。
図4は、本発明のある実施の形態に係るプラズマ測定装置100における原理を説明するための図である。図4には、プローブ電極104(図1及び図3参照)の表面116の部分拡大図が示されている。図4に示されるように、磁場発生器114は、表面116に垂直な磁場B(図4においては紙面の手前から奥に向かう方向)を発生させる。表面116から出た放出電子120には磁場Bによってローレンツ力が作用する。ローレンツ力により放出電子120には回転運動122が生じ、再び表面116へと戻される。図4において放出電子120の回転運動122を矢印で示す。
磁場Bの役割は放出電子120にローレンツ力を作用させることである。よって、磁場Bの方向は、プローブ電極104の表面116の法線Nに垂直な成分を有する限り、任意である。表面116は、プラズマP(図1参照)に向けられたプローブ電極104の前面である。プローブ電極104の前面の法線Nに垂直な成分を有する磁場によって、前面から放出された電子120をその前面に戻すことができる。なお、本願において、プローブ電極104の表面116とは、プローブ電極104の前面には限られず、プローブ電極104の前面とプローブ102の絶縁被覆部分105とを接続するプローブ電極104の側面またはその他の任意の表面であってもよい。
放出電子120にローレンツ力を効率的に作用させるために、磁場Bの方向は好ましくは、プローブ電極104の表面116の法線Nに垂直な面に沿う方向である。ただし、ここでの「垂直」は、厳密な垂直のみには限られない。繰り返しになるが、磁場Bはプローブ電極104の表面116の法線に垂直な成分を有していればよいので、磁場Bの方向は表面116の法線に垂直な面からいくらかずれていてもよい。
また、磁場Bの大きさは、放出電子120を表面116に入射させる回転半径を放出電子120に与えるように定められている。放出電子120の有するエネルギーの分布は例えば適切な公知のシミュレーション等により求めることができる。そうしたエネルギーをもつ放出電子120が磁場Bによるローレンツ力によって表面116へと偏向するように放出電子120の回転半径が定められる。実際上は、プローブ電極104の寸法よりも十分に小さい回転半径が放出電子120に与えられるように磁場Bの大きさが定められる。
図4に示すように、磁場発生器114は、プローブ電極104の表面116に隣接する局所的な空間領域118に磁場Bを発生させるよう構成されている。磁場Bの作用する領域を局所化することにより、プラズマP及びその他の周辺機器への磁場Bの影響を小さくすることができる。ただし、プローブ102が可動式である場合には、磁場発生器114は、プローブ電極104の可動範囲にわたって磁場Bを発生させてもよい。
磁場発生器114の切替部115は、I−Vカーブ計測のための電圧範囲のうちイオン飽和電流測定領域aの外側の少なくとも一部において磁場の発生を停止する。具体的には例えば、磁場発生器114は、電子電流飽和領域Cでは磁場を発生させず、イオン電流飽和領域Aでは磁場を発生させる。電子電流飽和領域Cにおいてはプローブ電極104は正電位にありイオンの衝突及び電子放出は生じないので、磁場は不要である。電子反発領域Bにおいては、磁場発生器114は磁場を発生させてもよいし、発生させなくてもよい。電子反発領域Bはプローブ電極104に負電位を与える領域を含むので、磁場発生器114により磁場を与えることによりいくらかの測定精度の向上がみられるかもしれない。
プラズマ測定装置100の動作を説明する。測定に先立って、プラズマ処理装置10においてプラズマ処理制御部22の制御のもとで気体供給部14から原料ガスが供給されプラズマ源16が運転されて、プラズマPがプラズマ室12に生成される。続いて、プラズマ測定装置100の測定動作が実行される。なお、プラズマPが生成されている間においてプラズマ測定装置100の測定動作が実行されていないときには、磁場発生器114は当然、磁場を発生させていない。
プラズマ測定装置100のソースメータ106は、イオン飽和電流測定領域aを含む電圧範囲にわたってプローブ電極104に電圧を印加し、プローブ電極104に流れる電流を測定する。こうしてプラズマ測定装置100は、例えばイオン電流飽和領域A及び電子反発領域Bについてプローブ電極104のI−Vカーブを計測する。このとき、磁場発生器114は、予め定められた電圧範囲において磁場を発生させる。この磁場発生電圧範囲は上述のように、少なくともイオン飽和電流測定領域aを含む。磁場発生器114は、磁場発生電圧範囲外では磁場を発生させない。
演算部112は、ソースメータ106の出力から得られるI−Vカーブから、イオン飽和電流と電子温度を演算する。演算部112は、イオン飽和電流と電子温度とを用いてプラズマ密度を演算する。このようにして、プラズマ測定装置100は、プラズマ室12におけるプローブ電極104の位置でのプラズマPのプラズマ密度を解析する。
なお、プローブ102が可動である場合には、プローブ電極104は可動範囲内の任意の測定位置に位置決めされる。プラズマ測定装置100は、その測定位置でのI−Vカーブを取得しプラズマPのプラズマ密度を求める。あるいは複数の測定位置にプローブ電極104が順次位置決めされてもよく、プラズマ測定装置100はそれぞれの測定位置でI−Vカーブを取得しプラズマ密度を演算してもよい。
説明したように、プラズマ測定装置100はイオン飽和電流を測定する際にローレンツ力により放出電子をプローブ電極104に戻すように構成されている。したがって、図2に示すように、プラズマ測定装置100は、放出電子に起因するイオン飽和電流の見かけ上の割増分Xを抑制し、真のイオン飽和電流(図2に破線で示す)を精度よく測定することができる。よって、プラズマ測定装置100は、プラズマ密度を高精度に解析することができる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。また、言うまでもないが、ある実施形態に関連して説明するある特徴は、他のいずれかの実施形態に適用してもよい。
ある実施形態においては、図5に示されるように、磁場発生器114は、プローブ電極104に近接して設けられている磁場発生素子130を備えてもよい。磁場発生素子130は、プラズマ室12(図1参照)の内部に設けられている。磁場発生素子130は、プローブ電極104に沿って延びる導線を備えてもよい。磁場発生素子130に電流を流すことにより、磁場発生素子130は放出電子120をプローブ電極104へと戻す磁場Bを発生させることができる。ここで、磁場発生素子130の導線は、例えば金属であり、通常はタングステンのような高融点金属が用いられる。金属粒子によるプラズマPの汚染を抑えることを重視する場合には、磁場発生素子130はその他の導体例えばカーボンであってもよい。
また、ある実施形態においては、図6に示されるように、磁場発生素子130は、プローブ102に隣接して一体に設けられていてもよい。磁場発生素子130は、プローブ電極104に近接する導線部分(またはコイル部分)132を備える。上述の実施形態と同様に、磁場発生素子130の導線部分132に電流を流すことにより、プローブ電極104の近傍に局所的な磁場を発生させることができる。磁場発生素子130をプローブ102と一体に形成することにより、磁場発生素子130をプラズマ室12(図1参照)内でプローブ102とともに移動させることができる。移動方向の一例を図1と同様に図6に矢印で示す。また、プローブ電極104は、図示されるように平板(例えば円板)形状を有してもよい。このようにプローブ電極104は任意の形状を有してもよく、図1に示す円柱形状には限られない。
ある実施形態においては、図7に示されるように、プローブ電極104は、物体保持部20に組み込まれていてもよい。このようにすれば、被処理物18の近傍でのプラズマ密度を測定することが容易である。この場合、物体保持部20は、プローブ電極104の上方に磁場Bを発生させるための磁場発生器114または磁場発生素子130をプローブ電極104の下方に備えてもよい。
また、ある実施形態においては、図8に示されるように、磁場発生素子130からプラズマPへの漏れ磁場を低減するための磁気回路132が構成されていてもよい。磁気回路132は、プローブ102に付設された磁性体134を備えてもよい。磁性体134は、例えば鉄などの棒状の部材に形成され、プローブ102の内部に設けられている。磁性体134は、プローブ102の絶縁被覆部分105に埋設され、プローブ電極104に沿って配設されている。加えて、もう1つの磁性体134が磁場発生素子130に隣接して設けられている。このように磁気回路132を構成したことにより、磁場発生素子130から磁力線Mを磁性体134へと導くことができる。よって、漏れ磁場を減らすことができるので、測定対象であるプラズマPに漏れ磁場が与える影響を小さくすることができる。
図8に示す実施形態においては、プローブ102と磁場発生素子130の両方に磁性体134が付設されているが、磁性体134は、プローブ102及び磁場発生素子130の少なくとも一方に設ければよい。例えば、磁性体134は、プローブ102にだけ設けられていてもよい。このようにしても、漏れ磁場を減らすことができる。なお絶縁被覆部分105は、図9を参照して述べる磁性体134の保護カバー140であるとみなすこともできる。また、磁性体134は、漏れ磁場低減部材としてプローブ102及び磁場発生素子130とは別体に設けられ、プラズマ室12(図1参照)内に配設されていてもよい。
ある実施形態においては、図9に示されるように、帰還磁気回路136が設けられていてもよい。図示されるように、この磁気回路136は、プローブ102及び磁場発生素子130に関連して設けられている磁性体134に加えて、接続部分138を備える。接続部分138もまた、磁性体134と同様に磁性材料(例えば鉄)で形成されている。接続部分138は、プローブ102の磁性体134と磁場発生素子130の磁性体134とを磁気的に接続するように、これら2つの磁性体134の間に配設されている。接続部分138は、例えば、プラズマ室12の外表面に沿って配置されている。
また、ある実施形態においては、図9に示されるように、磁場発生素子130及び磁性体134を覆う保護カバー140を備えてもよい。保護カバー140は、プラズマP(図1参照)から磁場発生素子130及び磁性体134を保護するために設けられている。これにより、磁場発生素子130及び磁性体134がプラズマに直接さらされることを避けることができる。そのため、プラズマPの金属汚染を抑えることができる。したがって、保護カバー140は、アルミナなどの非金属で形成されていることが好ましい。このようにすれば、磁力線Mに影響を与えずに、プラズマPの金属汚染を防ぐことができる。なお、保護カバー140は、磁場発生素子130及び磁性体134のうち一方のみを保護するために、当該一方を覆うよう構成されていてもよい。
ある実施形態においては、プラズマ測定装置100は、複数のプローブ102を備えてもよい。複数のプローブ102を用いることで、同時に複数の測定位置でプラズマPのプラズマ密度を測定することができる。この場合、複数のプローブ102は、一次元または二次元のプローブアレイを形成してもよい。また、図6に示されるように、プローブ102に磁場発生素子130が付随する場合には、プラズマ測定装置100は、プローブ102と磁場発生素子130との組を複数備え、それらの組が一次元または二次元のプローブ/磁場発生素子アレイを形成してもよい。
ある実施形態においては、放出電子を効率的にプローブ電極104に回収するために、磁場発生器114により発生させる磁場Bの分布が調整されていてもよい。それとともに又はそれに代えて、ある実施形態においては、放出電子を効率的にプローブ電極104に回収するために、プローブ電極104の表面116の形状が調整されていてもよい。
磁場発生器114は、永久磁石を備えてもよい。この場合、永久磁石は移動可能または取り外し可能に設けられていてもよく、それにより、磁場発生器114は、磁場を発生させる必要がないときに永久磁石を待避させてもよい。
プラズマ測定装置100は、プラズマ処理装置10だけではなく、プラズマを使用する任意の機器に適用することができる。例えば、プラズマ測定装置100は、イオン注入装置や粒子線治療装置のイオン源、またはその他の装置のプラズマ室に設けることもできる。
10 プラズマ処理装置、 12 プラズマ室、 100 プラズマ測定装置、 102 プローブ、 104 プローブ電極、 106 ソースメータ、 108 参照電極、 112 演算部、 114 磁場発生器、 116 表面、 120 放出電子、 130 磁場発生素子、 132 磁気回路、 134 磁性体、 140 保護カバー、 P プラズマ。
Claims (8)
- プラズマに露出される電極を備える計測部であって、イオン飽和電流を測定するための測定領域を含む電圧範囲において前記電極の電流電圧特性曲線を計測する計測部と、
前記電極からの放出電子を前記電極に向けて偏向させる磁場を前記測定領域において発生させる磁場発生器と、を備えることを特徴とするプラズマ測定装置。 - 前記磁場は、前記電極の表面の法線に垂直な成分を有し、
前記磁場の大きさは、前記放出電子を前記表面に入射させる回転半径を前記放出電子に与えるように定められていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ測定装置。 - 前記磁場発生器は、前記電極の表面に隣接する局所域に前記磁場を発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ測定装置。
- 前記磁場発生器は、前記電圧範囲のうち前記測定領域の外側の少なくとも一部において前記磁場の発生を停止することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプラズマ測定装置。
- 前記磁場発生器から前記プラズマへの漏れ磁場を低減するための磁気回路を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプラズマ測定装置。
- 前記磁気回路を構成する磁性体を覆う保護カバーを備えることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ測定装置。
- 前記イオン飽和電流を用いてプラズマ密度を演算する演算部をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のプラズマ測定装置。
- プラズマに露出される電極の電流電圧特性曲線を、イオン飽和電流を測定するための測定領域を含む電圧範囲において計測することと、
前記電極からの放出電子を前記電極に向けて偏向させる磁場を前記測定領域において発生させることと、を備えることを特徴とするプラズマ測定方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2012272697A JP2014120239A (ja) | 2012-12-13 | 2012-12-13 | プラズマ測定装置及びプラズマ測定方法 |
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JP2014120239A true JP2014120239A (ja) | 2014-06-30 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107462767A (zh) * | 2017-09-18 | 2017-12-12 | 广州城市职业学院 | 等离子体探针测量控制系统 |
CN108551716A (zh) * | 2018-07-06 | 2018-09-18 | 中国科学技术大学 | 一种等离子体生成设备 |
CN111315105A (zh) * | 2020-02-25 | 2020-06-19 | 北京航空航天大学 | 多功能探针及真空羽流检测装置 |
CN113066591A (zh) * | 2021-03-26 | 2021-07-02 | 核工业西南物理研究院 | 一种测量等离子体极向速度与湍流输运的静电探针阵列 |
CN114491382A (zh) * | 2022-02-14 | 2022-05-13 | 山东大学 | 一种用于获取等离子体参数的数据处理方法及系统 |
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2012
- 2012-12-13 JP JP2012272697A patent/JP2014120239A/ja active Pending
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