JP2014113119A - 含水チョコレート様食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、大豆素材を使用した場合にも、滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある風味を有し、充分な保型性を持つ、含水チョコレート様食品を提供することを課題とするものである。
【解決手段】脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上の大豆乳化組成物、好ましくは乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上である大豆乳化組成物を原料とすることで、滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある風味を有し、充分な保型性を持つ、含水チョコレート様食品を調製できる。

【選択図】なし

Description

本発明は含水チョコレート様食品、及びその製造方法に関するものである。
近年、消費者のニーズはますます多様化しチョコレート類においても機能性、美味しさとともに栄養、健康に良いものが望まれている。チョコレートに水性成分を配合した含水チョコレートは、洋菓子用途に広く利用されており、とくにチョコレートにクリームを配合したいわゆる生チョコレートは、柔らかで滑らかな口どけ感と濃厚な風味で、老若男女を問わず幅広い年齢層に渡り、好まれている。しかしながら、一般には生チョコレートには生クリームが使用されるが、近年において、生クリームの原料となる乳の品不足による価格高騰が問題となっており、また生クリームを使用した動物性の含水チョコレートはコレステロール含有量が高い等の健康上の問題がある。
そこで、上記課題を解決するために、豆乳を利用して植物性の含水チョコレートを製造することが試みられている。例えば、特許文献1では豆腐を分散混入した豆乳チョコレート及びその製造方法について記述されている。また、特許文献2では、豆乳等を用いた生チョコレート及びその作り方について記載されている。
特開昭59−232050号公報 特開2005−224138号公報
しかし、上述した豆乳を使用した含水チョコレートにおいては、含水チョコレートに求められるコクや濃厚感が不足していたり、充分な保型性が得られない場合がある。また、口どけ感も必ずしも満足できるものではなかった。このようにこれまでの技術では、風味や物性に必ずしも満足できるものではなく、更なる品質の向上が必要である。また、乳原料不使用の豆乳を使用したホワイト含水チョコレートに関する知見は充分でない。
本発明の目的は、大豆素材を使用した場合にも滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある風味を有し、充分な保型性を持つ、含水チョコレート様食品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上の大豆乳化組成物、好ましくは乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上である大豆乳化組成物を原料とすることで、滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある風味を有し、充分な保型性を持つ、含水チョコレート様食品を調製できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上の大豆乳化組成物を含有することを特徴とする、含水チョコレート様食品。
(2)大豆乳化組成物が、乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上である(1)に記載の含水チョコレート様食品。
(3)含水チョコレート様食品が、スイート含水チョコレート様食品またはホワイト含水チョコレート様食品である、(1)または(2)に記載の含水チョコレート様食品。
(4)大豆乳化組成物の含有量が大豆蛋白質として0.5〜4.5重量%である、(3)に記載のスイート含水チョコレート様食品。
(5)大豆乳化組成物の含有量が大豆蛋白質として0.5〜3.0重量%である、(3)に記載のホワイト含水チョコレート様食品。
(6)脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上である大豆乳化組成物を使用することを特徴とする、含水チョコレート様食品の製造方法。
(7)脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上である大豆乳化組成物を含有する、含水チョコレート様食品の品質改良剤。
に関するものである。
本発明により得られるスイート含水チョコレート様食品やホワイト含水チョコレート様食品等の含水チョコレート様食品は滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある良好な風味を有し、硬度が高く、充分な保型性を有する。また、例えば、ナイフ等で切断した場合にも含水チョコレート様食品がナイフへの付着が抑制される等、結着性が低減される効果も有する。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の含水チョコレート様食品は、下記に説明する「大豆乳化組成物」を含有することが特徴である。以下、該大豆乳化組成物について説明する。
<大豆乳化組成物>
本発明の含水チョコレート様食品に用いられる大豆乳化組成物は、大豆を由来とし、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上である乳化組成物である。
好ましくは、大豆が本来有する自然な美味しさが濃縮されており、青臭味や収斂味、渋味等の不快味がないか非常に少なく、非常にコクや濃厚感のある風味が付与される点で、特開2012−016348号に開示される、蛋白質のうち、グリシニンやβ−コングリシニン以外の脂質親和性蛋白質(あるいは別の指標としてリポキシゲナーゼ蛋白質)の割合が特に高く、中性脂質及び極性脂質を多く含む乳化組成物である。すなわち、乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、乾物あたりの脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が乾物あたりの蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上であることを主要な特徴とするものである。
(脂質)
一般に脂質含量はエーテル抽出法で測定されるが、本発明に用いられる大豆乳化組成物中には中性脂質の他にエーテルで抽出されにくい極性脂質も多く含まれるため、本発明における脂質含量は、試料を凍結乾燥後、クロロホルム:メタノールが2:1(体積比)の混合溶媒を用い、常圧沸点において30分間抽出された抽出物量を総脂質量として、脂質含量を算出した値とする。溶媒抽出装置としてはFOSS社製の「ソックステック」を用いることができる。なお上記の測定法は「クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法」と称するものとする。
本発明に用いられる大豆乳化組成物は、この大豆粉の脂質含量/蛋白質含量の比よりも高い値の脂質を含み、特に極性脂質に富むことが特徴である。該脂質は原料となる大豆に由来する脂質である。
本発明に用いられる大豆乳化組成物の脂質含量は、乾物あたりの蛋白質含量に対して100重量%以上、好ましくは120〜250重量%、さらに好ましくは120〜200重量%であり、蛋白質よりも脂質が多いことが特徴である。また構成に必須ではないが、脂質含量を絶対量で表す場合、乾物あたり35重量%以上、好ましくは40重量%以上であるのが適当である。大豆乳化組成物を繊維質等が除去されたものとすれば脂質含量を乾物あたり50重量%以上にもすることができる。また脂質含量の上限は限定されないが、好ましくは75重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
(蛋白質)
本発明に用いられる大豆乳化組成物の蛋白質含量は乾物あたり25重量%以上、好ましくは30重量%以上である。また蛋白質含量の上限は限定されないが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
○蛋白質含量の分析
本発明における蛋白質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
○蛋白質の各成分の組成分析
本発明に用いられる大豆乳化組成物の蛋白質の各成分組成はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析することができる。
界面活性剤であるSDSと還元剤であるメルカプトエタノールの作用によって蛋白質分子間の疎水性相互作用、水素結合、分子間のジスルフィド結合が切断され、マイナスに帯電した蛋白質分子は固有の分子量に従った電気泳動距離を示ことにより、蛋白質に特徴的な泳動パターンを呈する。電気泳動後に色素であるクマシーブリリアントブルー(CBB)にてSDSゲルを染色した後に、デンシトメーターを用い、全蛋白質のバンドの濃さに対する各種蛋白質分子に相当するバンドの濃さが占める割合を算出する方法により求めることができる。
(リポキシゲナーゼ蛋白質)
本発明に用いられる大豆乳化組成物は、一般に大豆中のオイルボディにはほとんど含まれないリポキシゲナーゼ蛋白質が特定量以上含まれることが大きな特徴であり、大豆乳化組成物中の全蛋白質あたり少なくとも4%以上含有し、好ましくは5%以上含有するものである。
通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料とした場合ではリポキシゲナーゼ蛋白質は可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、本発明ではリポキシゲナーゼ蛋白質が原料大豆中において加熱処理によって失活され不溶化しているため、不溶性画分側に残る。
蛋白質中におけるリポキシゲナーゼ蛋白質の割合が高まることによって油脂の乳化状態が安定化されるばかりでなく、グロブリン蛋白質を主体とした通常の大豆蛋白質組成では得られない滑らかな物性の食感を得ることができ、また素材にコクのある風味が付与される。
リポキシゲナーゼ蛋白質の場合は通常L-1、L-2、L-3の3種類が存在し、上記の電気泳動法により、リポキシゲナーゼ蛋白質に相当するこれらのバンドの濃さから含量を算出できる。
(脂質親和性蛋白質)
本発明に用いられる大豆乳化組成物は、蛋白質の種類の中では脂質親和性蛋白質(Lipophilic Proteins)が一般の大豆素材より多く含まれることが特徴である。脂質親和性蛋白質は、大豆の主要な酸沈殿性大豆蛋白質の内、グリシニン(7Sグロブリン)とβ−コングリシニン(11Sグロブリン)以外のマイナーな酸沈殿性大豆蛋白質群をいい、レシチンや糖脂質などの極性脂質を多く随伴するものである。以下、単に「LP」と略記することがある。
LPは雑多な蛋白質が混在したものであるが故、各々の蛋白質を全て特定し、LPの含量を厳密に測定することは困難であるが、下記LCI(Lipophilic Proteins Content Index)値を求めることにより推定することができる。これによれば、大豆乳化組成物中の蛋白質のLCI値は通常55%以上であり、好ましくは58%以上、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは63%以上、最も好ましくは65%以上である。
通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料とした場合ではLPは可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、本発明に用いられる大豆乳化組成物の場合、LPが原料大豆中において加熱処理によって失活され不溶化しているため、不溶性画分側に残る。
蛋白質中におけるLPの割合が高まることによって油脂の乳化状態が安定化されるばかりでなく、グロブリン蛋白質を主体とした通常の大豆蛋白質組成では得られない滑らかな物性の食感を得ることができ、また素材にコクのある風味が付与される。
〔LP含量の推定・LCI値の測定方法〕
(a) 各蛋白質中の主要な蛋白質として、7Sはαサブユニット及びα'サブユニット(α+α')、11Sは酸性サブユニット(AS)、LPは34kDa蛋白質及びリポキシゲナーゼ蛋白質(P34+Lx)を選択し、SDS−PAGEにより選択された各蛋白質の染色比率を求める。電気泳動は表1の条件で行うことが出来る。
(b) X(%)=(P34+Lx)/{(P34+Lx)+(α+α’)+AS}×100(%)を求める。
(c) 低変性脱脂大豆から調製された分離大豆蛋白のLP含量を加熱殺菌前に測定すると凡そ38%となることから、X=38(%)となるよう(P34+Lx)に補正係数k*=6を掛ける。
(d) すなわち、以下の式によりLP推定含量(Lipophilic Proteins Content Index、以下「LCI」と略する。)を算出する。
(表1)
Figure 2014113119

Figure 2014113119
(乾物含量)
本発明に用いられる大豆乳化組成物は通常生クリーム様の性状であり、通常の乾物(dry matter)は20〜30重量%程度であるが、特に限定されるものではない。すなわち加水により低粘度の液状としたものや、濃縮加工されてより高粘度のクリーム状としたものであってもよく、また粉末加工されて粉末状としたものであってもよい。
(大豆乳化組成物の製造態様)
本発明に用いられる大豆乳化組成物は、例えば水溶性窒素指数(Nitrogen Solubility Index、以下「NSI」と称する。)が20〜77、好ましくは20〜70、乾物あたりの脂質含量が15重量%以上の全脂大豆などの含脂大豆に対して、加水して懸濁液を調製する工程の後、該懸濁液を固液分離し、中性脂質及び極性脂質を不溶性画分に移行させて、蛋白質及び糖質を含む水溶性画分を除去し、不溶性画分を回収することにより得ることができる。以下、該製造態様について示す。
・原料大豆及びその加工
大豆乳化組成物の原料である大豆としては、全脂大豆あるいは部分脱脂大豆等の含脂大豆を用いる。部分脱脂大豆としては、全脂大豆を圧搾抽出等の物理的な抽出処理により部分的に脱脂したものが挙げられる。一般に全脂大豆中には脂質が乾物あたり約20〜30重量%程度含まれ、特殊な大豆品種については脂質が30重量%以上のものもあり、特に限定されないが、用いる含脂大豆としては、少なくとも脂質を15重量以上、好ましくは20重量%以上含むものが適当である。原料の形態は、半割れ大豆、グリッツ、粉末の形状でありうる。
過度に脱脂され脂質含量が少なすぎると本発明に用いられる脂質に富む大豆乳化組成物を得ることが困難となる。特にヘキサン等の有機溶媒で抽出され、中性脂質の含量が1重量%以下となった脱脂大豆は、大豆の良い風味が損なわれ好ましくない。
上記含脂大豆は天然の状態では蛋白質の多くが未変性で可溶性の状態にあり、NSIとしては通常90を超えるが、本発明においては、NSIが20〜77好ましくは20〜70になるよう加工処理を施した加工大豆を用いるのが適当である。より好ましいNSIの下限値は40以上、より好ましくは41以上、さらに好ましくは43以上、最も好ましくは45以上とすることができる。より好ましいNSIの上限値は75未満、より好ましくは70未満とすることができ、またさらに65未満、あるいは60未満、あるいは58未満の低NSIのものを用いることができる。
そのような加工大豆は、加熱処理やアルコール処理等の加工処理を行って得られる。加工処理の手段は特に限定されないが、例えば乾熱処理、水蒸気処理、過熱水蒸気処理、マイクロ波処理等による加熱処理や、含水エタノール処理、高圧処理、およびこれらの組み合わせ等が利用できる。
NSIが低すぎると、大豆乳化組成物中の蛋白質の割合が高くなりやすく、蛋白質に対する脂質含量が低くなる。また過加熱による焙煎臭等の雑味が生じやすくなる。逆にNSIが例えば80以上の高い数値になると大豆乳化組成物中の蛋白質の割合が低下し、大豆からの脂質の回収率も低下しやすくなる。また風味は青臭みが強くなる。
例えば過熱水蒸気による加熱処理を行う場合、その処理条件は製造環境にも影響されるため一概に言えないが、おおよそ120〜250℃の過熱水蒸気を用いて5〜10分の間で加工大豆のNSIが上記範囲となるように処理条件を適宜選択すれば良く、加工処理に特段の困難は要しない。簡便には、NSIが上記範囲に加工された市販の大豆を用いることもできる。
なお、NSIは所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(重量%)で表すことができ、本発明においては以下の方法に基づいて測定された値とする。
すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
前記の加工大豆は水抽出の前に、予め乾式又は湿式による粉砕、破砕、圧偏等の組織破壊処理を施されることが好ましい。組織破壊処理に際して、あらかじめ水浸漬や蒸煮により膨潤させても良く、これによって組織破壊に必要なエネルギーを低減させたり、ホエー蛋白質やオリゴ糖等の不快味を持つ成分を溶出させ除去できると共に、保水性やゲル化性の能力が高いグロブリン蛋白質(特にグリシニン及びβ−コングリシニン)の全蛋白質に対する抽出比率、すなわち水溶性画分への移行比率をより高めることができる。
・原料大豆からの水抽出
水抽出は含脂大豆に対して3〜20重量倍、好ましくは4〜15重量倍程度の加水をし、含脂大豆を懸濁させて行われる。加水倍率は高い方が水溶性成分の抽出率が高まり、分離を良くすることができるが、高すぎると濃縮が必要となりコストがかかる。また、抽出処理を2回以上繰り返すと水溶性成分の抽出率をより高めることができる。
抽出温度には特に制限はないが、高い方が水溶性成分の抽出率が高まる反面、油脂も可溶化されやすくなり、大豆乳化組成物の脂質が低くなるため、70℃以下、好ましくは55℃以下で行うと良い。あるいは5〜80℃、好ましくは50〜75℃の範囲で行うこともできる。
抽出pH(加水後の大豆懸濁液のpH)も温度と同様に高いほうが水溶性成分の抽出率が高まる反面、油脂も可溶化されやすくなり、大豆乳化組成物の脂質が低くなる傾向にある。逆にpHが低すぎると蛋白質の抽出率が低くなる傾向にある。具体的には下限をpH6以上、もしくはpH6.3以上、もしくはpH6.5以上に調整して行うことができる。また上限は脂質の分離効率を上げる観点でpH9以下、もしくはpH8以下、もしくはpH7以下に調整して行うことができる。あるいは蛋白質の抽出率を高める観点でpH9〜12のよりアルカリ性側に調整して行うことも可能である。
・水抽出後の固液分離
水抽出後、含脂大豆の懸濁液を遠心分離、濾過等により固液分離する。この際、中性脂質のみならず極性脂質も含めた大部分の脂質を水抽出物中に溶出させず、不溶化した蛋白質や食物繊維質の方に移行させ沈殿側(不溶性画分)とすることが重要である。具体的には含脂大豆の脂質の70重量%以上を沈殿側に移行させる。また抽出の際に上清側にも少量の脂質が溶出するが、豆乳中の脂質のように微細にエマルション化されたものではなく、15,000×g以下、あるいは5,000×g程度以下の遠心分離によっても容易に浮上させ分離することができ、この点で遠心分離機を使用するのが好ましい。なお遠心分離機は使用する設備によっては10万×g以上の超遠心分離を使用することも可能であるし、本発明に用いられる大豆乳化組成物の場合は超遠心分離機を用いなくとも実施が可能である。
また水抽出の際あるいは水抽出後に解乳化剤を添加して豆乳からの脂質の分離を促進させることも可能であり、解乳化剤は特に限定されないが例えば特許文献2に開示されている解乳化剤を使用すればよい。ただし本発明に用いられる大豆乳化組成物を調製する場合は解乳化剤を用いなくとも実施が可能である。
水抽出工程後の固液分離により、中性脂質のみならず極性脂質を不溶性画分に移行させ、これを回収することにより大豆乳化組成物の画分を得ることができる。
固液分離として遠心分離を用いる場合、二層分離方式、三層分離方式のいずれも使用することができる。二層分離方式の場合は沈殿層である不溶性画分を回収する。また三層分離方式を用いる場合は、(1)浮上層(脂質を含む比重の最も小さいクリーム画分)、(2)中間層(脂質が少なく蛋白質、糖質を多く含む水溶性画分)、(3)沈殿層(脂質と食物繊維を多く含む不溶性画分)、の三層の画分に分けられる。この場合、脂質含量の少ない水溶性画分の中間層(2)を除去又は回収し、不溶性画分として浮上層(1)又は沈殿層(3)を回収するか、あるいは(1)と(3)を合わせて回収するとよい。
得られた不溶性画分(1)、(3)はそのまま、あるいは必要により濃縮工程、加熱殺菌工程、粉末化工程等を経て本発明に用いられる大豆乳化組成物とすることができる。
・食物繊維の除去
得られた不溶性画分が食物繊維を含む場合、例えば上記(3)又は(1)及び(3)の画分である場合、必要により加水し、高圧ホモゲナイザーあるいはジェットクッカー加熱機等による均質化した後、該均質化液をさらに固液分離して上清を回収する工程を経ることにより、食物繊維(オカラ)を除去することもでき、コクのある風味がより濃縮された大豆乳化組成物を得ることができる。該均質化の前後いずれかにおいて必要により加熱処理工程、アルカリ処理工程等を付加することにより蛋白質をより抽出しやすくすることもできる。この場合、乾物あたりの食物繊維含量は10重量%以下であり、5重量%以下がより好ましい。なお、本発明において食物繊維含量は、「五訂増補日本食品標準成分表」(文部科学省、2005)に準じ、酵素−重量法(プロスキー変法)により測定することができる。
(大豆乳化組成物の特徴)
本発明に用いられる上記の大豆乳化組成物は、脂質(中性脂質及び極性脂質)及び蛋白質が特定の範囲で含まれ、蛋白質のうち特にLP含量が高く、必要により繊維質も含まれる乳化組成物であり、大豆が本来有する自然な美味しさが濃縮されており、従来の問題とされていた青臭味や収斂味、渋味等の不快味がないか非常に少なく、非常にコクのある風味を有するものである。
通常の大豆粉や分離大豆蛋白に水、油脂を加えて該大豆乳化組成物と類似の組成の乳化組成物にすることは可能であるが、リポキシゲナーゼ蛋白質含量あるいはLCI値を同等なレベルに調整することは困難である。そして本技術により調製された大豆乳化組成物は、このような組み立て製品に比べて格段に風味が良好であり、食品素材としての利用適性が高いことに特徴を有する。
(含水チョコレート様食品)
本発明の含水チョコレート様食品は大豆乳化組成物やチョコレート生地等を含有する水中油型乳化物である。含水チョコレート様食品の製法は特に限定されず公知の方法を採用できるが、例えば、加温融解した流動状態のチョコレート生地に水性成分を加えて混合し、ホモミキサー,コロイドミル,高圧ホモゲナイザー等を用いて乳化後、乳化物を冷却固化することにより得ることができる。
含水チョコレート様食品として、スイート含水チョコレート様食品,ホワイト含水チョコレート様食品等が例示できる。
(チョコレート生地)
本発明におけるチョコレート生地として、スイートチョコレートやホワイトチョコレート等の通常のチョコレート生地が代表的に挙げられ、特にチョコレート規格としての法規上の制約を受けるものではない。
スイートチョコレートは、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ又はココアパウダーから選ばれる原料や、その他必要により糖類、他の食用油脂、香料等を含有するものをいう。
また、ホワイトチョコレートは、油脂、糖類、香料等を主成分とし、カカオマス、ココアパウダーを使用しないものである。
チョコレート生地は、上記に挙げた原料を混合し、常法通りロール掛け、コンチング処理などにより製造される。
上記原料において、油脂としてはココアバター、ココアバター代用脂などを単独あるいは混合して使用でき、ココアバター代用脂としてはテンパリング型、ノンテンパリング型のいずれも使用することができる。その他、大豆油,綿実油,コーン油,サフラワー油,オリーブ油,パーム油,菜種油,米ぬか油,やし油,パーム核油等の油脂を使用することができる。
本発明の含水チョコレート様食品における水性成分としては、大豆乳化組成物に加え、特に限定されないが、植物性油脂を使用したクリーム類、あるいは各種フルーツ類、果汁、ジャム、ナッツペースト類、飴、コーヒー、紅茶、糖類等の非脂固形分が例示できる。
その他の原料として、乳化剤、色素、香料、果汁粉末、きな粉・黒ごま・抹茶粉末等、特に限定はされず、通常食品に用いられているものを適宜用いることが可能である。
本発明の含水チョコレート様食品には、洋風の素材や和風素材を配合することができるが、特に抹茶,きな粉,こしあん,粒あん,黒ごま等の和風素材を配合した場合、大豆乳化組成物の風味と和風素材の風味とが良く合い、より良好な風味を有する含水チョコレート様食品が得られる点で好ましい。
また、本発明の含水チョコレート様食品を洋菓子や和菓子に配合することもできる。和菓子として、饅頭、どら焼き、カステラ、もなか、おやき、大福餅,柏餅,だんご,求肥餅等の餅菓子等が例示できる。また、洋菓子として、スポンジケーキ、バターケーキ、クッキー、ビスケット、パイ、シュー、ワッフル、ドーナツ等が例示できる。
配合される水性成分の量についても特に限定はされないものの、含水チョコレート様食品中の水分の量が、好ましくは65重量%以下、より好ましくは50重量%以下となるように配合することが望ましい。水分量が多すぎると、含水チョコレート様食品の水分活性値が高くなるため好ましくない。含水チョコレート様食品としてそのみずみずしい食感や風味を期待する場合は10重量%以上であることが望ましい。水分量が低すぎると、安定したO/W型の乳化状態を得ることが困難な場合がある。
スイート含水チョコレート様食品中の大豆乳化組成物の含有量は大豆蛋白質として、好ましくは0.5〜4.5重量%、より好ましくは1.0〜3.5重量%、さらに好ましくは1.0〜2.5重量%である。また、ホワイト含水チョコレート様食品中の大豆乳化組成物の含有量は大豆蛋白質として、好ましくは0.5〜3.0重量%、より好ましくは1.0〜2.5重量%、さらに好ましくは1.0〜2.0重量%である。
いずれも、蛋白質含量が少なすぎると、含水チョコレート食品のコクや濃厚感が不足したり、含水チョコレート様食品に求められるみずみずしさや口どけ感が充分でない場合がある。また、蛋白質含量が高すぎると大豆の風味が出すぎて含水チョコレート様食品の風味として好ましくならない場合がある。
糖類としては、果糖、還元乳糖、無水結晶マルトースや非結晶性糖である直鎖オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖などのオリゴ糖、澱粉加水分解物、還元澱粉加水分解物などを使用できる。また、上記以外でチョコレート類に一般に使用される糖類、例えば砂糖、麦芽糖、ぶどう糖、マルチトール、ソルビトール、エリスリトールなどを併用してもかまわない。
乳化剤としては、特に限定はされず、シュガーエステル、モノグリセライド、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドなど、通常食品に用いられているものを適宜用いることが可能である。
(品質改良剤)
本発明の含水チョコレート様食品の品質改良剤は、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上である大豆乳化組成物を含有する。大豆乳化組成物は、好ましくは乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上である。
本発明の品質改良剤が含有した含水チョコレート様食品に本発明の品質改良剤を添加することにより、滑らかな口どけ感、コクと濃厚感のある風味を付与し、硬度が高くし、充分な保型性を付与する。また、含水チョコレート様食品をナイフなどで切断する際にナイフへの付着を抑制するなど、結着性を低減させる。
本発明の品質改良剤は大豆乳化組成物を含有するが、スイート含水チョコレート様食品中の大豆乳化組成物の含有量は大豆蛋白質として、好ましくは0.5〜4.5重量%、より好ましくは1.0〜3.5重量%、さらに好ましくは1.0〜2.5重量%である。また、ホワイト含水チョコレート様食品中の大豆乳化組成物の含有量は大豆蛋白質として、好ましくは0.5〜3.0重量%、より好ましくは1.0〜2.5重量%、さらに好ましくは1.0〜2.0重量%である。
本発明の品質改良剤を使用した、含水チョコレート様食品の製法は特に限定されず公知の方法を採用できるが、例えば、加温融解した流動状態のチョコレート生地に、本発明の物性改良剤を添加し、その他の水性成分等の原料を加えて混合し、ホモミキサー,コロイドミル,高圧ホモゲナイザー等を用いて乳化後、乳化物を冷却固化することにより得ることができる。
以下に本発明の実施例を記載するが、この発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。尚、特に示さない限り、部,%等は重量基準による。
○スイート含水チョコレート様食品(実施例1、比較例1)
表2の配合に基づき、細かくを用いて刻んだスイートチョコレートを60℃湯浴で加温融解した。市販の大豆乳化組成物「Soy Supreme Kreme」(サンオプタ社(SunOpta Grains and Foods Group)製、乾物含量=97.0%、乾物あたりの組成:蛋白質=32.0%、脂質=54.5%、炭水化物=10.4%、灰分=4.5%、食物繊維=5.7%、LCI値=49.6%)を少量ずつ加えて混合し、ホモミキサーを用いて乳化を行い、O/W型乳化物を調製した。これを冷却固化し、含水チョコレート様食品を調製した(実施例1)。また、大豆乳化組成物の代わりに無調整豆乳(乾物あたり蛋白量及び脂質量がそれぞれ52.2%、40.0%)を用い、同様に含水チョコレート様食品を調製した(比較例1)。
(表2)
Figure 2014113119
上記のようにして得られた含水チョコレート様食品の風味・物性を表2に示した。
風味、物性は以下の方法で評価した。
○硬度
FUDOHレオメーター((株)レオテック)を用いて、φ1cmアダプター、進入10mmで測定し、保型性が充分である場合を○、保型性はあるが柔らかい場合を△、保型性がない場合を×とした。
○結着性
ナイフで切断した際、ナイフにほとんど付着物がない場合を−、若干の付着物があった場合を+、広範囲の付着物があった場合を++とした。
○流動性
品温30℃で容器を傾けた際に、流動性のない場合を−、若干の流動性があった場合を+、液状であった場合を++とした。
○風味
含水チョコレート様食品として好ましいコクや濃厚感があり良好なものを5、コクや濃厚感がなく良好でないものを1として5段階で評価した。
○総合評価
本発明品の風味、物性の合否は総合評価により行った。すなわち、硬度が○、結着性が−〜+、流動性が−〜+、風味が5〜4の全てを満たすものを合格とした。
実施例1、比較例1において、口どけは滑らかで良好であった。風味に関して、比較例1はコクや濃厚感が弱いのに対し、実施例1はコクと濃厚感を有し風味良好であった。また、実施例は硬度が高く、結着性が低減され、高温でも溶けにくい傾向があり、保型性に優れていた。以上より、大豆乳化組成物を用いることで、滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある良好な風味を有し、充分な保型性を持つ、スイート含水チョコレート様食品を調製することができた。
○ホワイト含水チョコレート様食品(実施例2、比較例2)
グラニュー糖40部、油脂(メラノNEW.SS−5、不二製油(株)製)38部、デキストリン22部、レシチン0.4部からなる配合にて常法によりロール掛け、コンチング処理してホワイトチョコレート様食品を調製した。
次に、表3の配合に基づき、ホワイトチョコレート様食品を細かく刻んで50℃湯浴で加温融解し、実施例1で用いた大豆乳化組成物を少量ずつ加えて均一に混合し、ホモミキサーを用いて乳化を行い、O/W型乳化物を調製した。これを冷却固化し、含水チョコレート様食品を調製した(実施例2)。また、大豆乳化組成物の代わりに比較例1の無調整豆乳を用い、同様に含水チョコレート様食品を調製した(比較例2)。風味、物性は実施例1と同様にして評価し、結果を表3に示した。
(表3)
Figure 2014113119
実施例2、比較例2において、口どけは滑らかで良好であった。風味に関して、比較例2はコクや濃厚感が弱いのに対し、実施例2はコクと濃厚感を有し風味良好であった。さらに、実施例2は比較例2よりも、硬度が高く、結着性が低減され、高温でも溶けにくい傾向があり、保型性に優れていた。
(製造例1)大豆乳化組成物Aの製造
特開2012−016348号の実施例2の記載に基づいて、大豆乳化組成物Aを調製した。得られた大豆乳化組成物Aの乾物含量は18.2%、乾物あたり蛋白量および脂質量はそれぞれ32.2%、58.9%であり、LCI値は67%であった。
○スイート含水チョコレート様食品(実施例3〜5、比較例3〜5)
表4の配合に基づき、細かく刻んだスイートチョコレートを60℃湯浴で加温融解し、製造例1で得られた大豆乳化組成物Aを少量ずつ加えて混合し、ホモミキサーを用いて乳化を行い、O/W型乳化物を調製した。これを冷却固化し、含水チョコレート様食品を調製した(実施例3〜5)。また、大豆乳化組成物の代わりに無調整豆乳を用い、同様に含水チョコレート様食品を調製した(比較例3〜5)。風味、物性は実施例1と同様にして評価し、結果を表4に示した。
(表4)
Figure 2014113119
実施例3〜5、比較例3〜5において、口どけは滑らかで良好であった。風味に関して、比較例3〜5はコクや濃厚感が弱いのに対し、実施例3〜5は充分なコクと濃厚感を有し風味良好であった。実施例5は大豆の風味がやや強く出ていたものの良好だった。さらに、実施例5は比較例5よりも、硬度が高く、結着性が低減され、高温でも溶けにくい傾向があり、保型性に優れていた。以上より、大豆乳化組成物Aを用いることで、滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある良好な風味を有し、充分な保型性を持つ、スイート含水チョコレート様食品を調製することができた。
また、同じ蛋白量の実施例1と実施例4で比較した場合、実施例4の方がコクや濃厚感があり風味面でより良好であった。従って、大豆乳化組成物Aの方が市販の大豆乳化組成物「Soy Supreme Kreme」よりも風味の面においてより良好であり、スイート含水チョコレート様食品に使用することがより好ましいことがわかった。
○ホワイト含水チョコレート様食品(実施例6〜7、比較例6〜7)
グラニュー糖40部、油脂(メラノNEW.SS−5、不二製油(株)製)38部、デキストリン22部、レシチン0.4部からなる配合にて常法によりロール掛け、コンチング処理してホワイトチョコレート様食品を調製した。
次に、表5の配合に基づき、ホワイトチョコレート様食品を細かく刻んで50℃湯浴で加温融解し、製造例1で得られた大豆乳化組成物を少量ずつ加えて均一に混合し、ホモミキサーを用いて乳化を行い、O/W型乳化物を調製した。これを冷却固化し、含水チョコレート様食品を調製した(実施例6〜7)。また、大豆乳化組成物の代わりに無調整豆乳を用い、同様に含水チョコレート様食品を調製した(比較例6〜7)。風味、物性は実施例1と同様にして評価し、結果を表5に示した。
(表5)
Figure 2014113119
実施例6〜7、比較例6〜7において、口どけは滑らかで良好であった。風味に関して、比較例6〜7はコクや濃厚感が弱いのに対し、実施例6〜7は充分なコクと濃厚感を有し風味良好であった。さらに、実施例6〜7はそれぞれ比較例6〜7よりも、硬度が高く、結着性が低減され、高温でも溶けにくい傾向があり、保型性に優れていた。
また、同じ蛋白量の実施例2と実施例6で比較した場合、実施例6の方がコクや濃厚感があり風味面でより良好であった。従って、大豆乳化組成物Aの方が市販の大豆乳化組成物「Soy Supreme Kreme」よりも風味の面においてより良好であり、ホワイト含水チョコレート様食品に使用することがより好ましいことがわかった。
以上より、大豆乳化組成物を用いることで、滑らかな口どけ感があり、コクと濃厚感のある良好な風味を有し、充分な保型性を持つ、ホワイト含水チョコレート様食品を調製することができた。またこれにより、乳原料、動物性原料を一切使用せずにホワイト含水チョコレート様食品を調製することができた。

Claims (7)

  1. 脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上である大豆乳化組成物を含有することを特徴とする、含水チョコレート様食品。
  2. 大豆乳化組成物が、乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が55%以上である、請求項1に記載の含水チョコレート様食品。
  3. 含水チョコレート様食品が、スイート含水チョコレート様食品またはホワイト含水チョコレート様食品である、請求項1または2に記載の含水チョコレート様食品。
  4. 大豆乳化組成物の含有量が大豆蛋白質として0.5〜4.5重量%である、請求項3に記載のスイート含水チョコレート様食品。
  5. 大豆乳化組成物の含有量が大豆蛋白質として0.5〜3.0重量%である、請求項3に記載のホワイト含水チョコレート様食品。
  6. 脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上である大豆乳化組成物を使用することを特徴とする、含水チョコレート様食品の製造方法。
  7. 脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上である大豆乳化組成物を含有する、含水チョコレート様食品の品質改良剤。
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