JP2014107436A - 太陽電池モジュールおよび導電積層体 - Google Patents

太陽電池モジュールおよび導電積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】バックコンタクト方式太陽電池モジュール、特に裏面側基板の導電層の表面が電解めっきによるNi層とされ、かつ層間絶縁層の封止材としてEMAAなどのカルボキシル基を有する樹脂を用いた太陽電池モジュールにおいて、湿潤雰囲気でも封止材とNiとの密着性の経時的な低下を抑制することを課題とする
【解決手段】EMAAなどのカルボキシル基を有する樹脂からなる封止材に接する裏面側基板の表面の電解めっきによるNi層について、その表面の結晶構造として、(111)面の配向を強くしたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリコン基板における受光面に対し反対側の面(裏面)に正極および負極の両者を配した、いわゆるバックコンタクト方式の太陽電池モジュール、およびそのバックコンタクト方式太陽電池モジュールにおける電極間を接続する導電基板に適した導電積層体に関するものである。
近年、再生可能エネルギーの一つとして太陽光発電の普及が進んでいる。図1に、従来の一般的なシリコン太陽電池モジュールの一例を原理的に示す。
図1に示されるシリコン太陽電池モジュール101においては、シリコン基板102における受光面(表面)102Aに対して反対側の面(裏面)102Bに、P型半導体を構成する正極としての電極103が形成されるとともに、受光面(表面)102AにN型半導体を構成する負極としての電極104が設けられて、一つの太陽電池セル(シリコンセル)105が形成され、かつこのような太陽電池セル105の複数個が、配線部材(インターコネクタ)107によって直列に接続され、その全体が、表面側の透光性基材108と裏面基材109との間に封止材106によって封止された構造となっている。
このような従来の一般的なシリコン太陽電池モジュール101における太陽電池セル(シリコンセル)105は、受光面102A側に負極104が設けられた領域では、シリコン基板102への太陽光の入射が遮られてしまい、その部分はシャドウロスとなって発電に寄与しないから、電極面積が大きければ発電効率が低くなってしまうという問題があった。また、隣り合うセル105同士の間では、一方のセルの受光面側の負極電極104と、隣接する他方のセルの裏面側の正極電極103の間が、薄板状もしくは線材状の配線部材(インターコネクタ)107によって接続されているが、この場合、配線部材107を、隣り合うセルの間においてシリコン基板102の表側から裏側に廻り込ませために折り曲げた形状とする必要があるため、寒暖の差が激しい屋外に設置される太陽電池モジュールにおいては、各構成部材の部材の熱膨張率の差や振動などにより配線部材(インターコネクタ)107やその端部の各電極への接続部分が断線してしまうおそれがあった。
そこで最近に至り、シリコン基板における受光面に対し反対側の面(裏面)に正極および負極の両者を配した、いわゆるバックコンタクト方式の太陽電池モジュールが開発されている(例えば特許文献1参照)。
バックコンタクト方式の太陽電池モジュールの一例を図2に原理的に示す。
図2に示される太陽電池モジュール201において、太陽電池セル(シリコンセル)205は、シリコン基板202の受光面(表面)202Aに対し反対側の面(裏面)202Bにおける一端側の位置にP型半導体からなる正極としての電極203が形成されるとともに、その面(裏面)202Bにおける他端側の位置(すなわち正極としての電極203から離れた位置)にN型半導体からなる負極としての電極204が形成された構成とされている。
そして複数の太陽電池セル205が、光入射側の透明基材210と、裏面側基板212との間に、間隔を置いて配列されている。また光入射側の透明基材210と、シリコン基板202における受光面202Aとの間は、受光側透明封止材214によって封止され、シリコン基板202の裏面202Bと裏面側基板212との間は、裏面側封止材(層間絶縁材)216によって封止されている。ここで前記裏面側基板212は、絶縁基材218の表面に所定の回路パターンの導電層220を形成したものである。そしてシリコン基板202の正負の各電極203、204と導電層220との間は、それぞれ裏面側封止材(層間絶縁材)216を貫通する導電接続部材222A、222B、例えば半田などによって電気的に接続されている。すなわち裏面側封止材(層間絶縁材)216における前記各電極203、204に対応する位置に、厚み方向に貫通する貫通孔216aが形成されて、その貫通孔216aに低融点半田などの導電接続部材222A、222Bが充填され、その導電接続部材222A、222Bを介して各電極203、204と導電層220の所定の回路とが電気的に接続されている。
なおここで、裏面側基板212における表面の導電層220の回路パターンは、上記の各セルの各電極203、204の位置に応じて、隣り合うセルが直列接続となるように定められている。なおまた、回路パターンを構成する導電層220としては、一般には、少なくとも表面層をNi(ニッケル)としたもの、とりわけ電解めっきによるNi層を表面に形成したものを使用することが好適である。
上述のようなバックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおいては、受光面側に入射光を遮る電極が存在しないため、入射してくる太陽光を、シリコン基板表面の全面で取り込むことができ、そのため高い変換効率を得ることができる。しかも隣り合うセル間(電極間)の電気的接続は、図1に示したような従来の一般的な太陽電池モジュールとは異なり、裏面側基板の表面に平面的にパターン形成した回路層(導電層)によって行われるため、熱膨張差による電気的接続部材の破断のおそれも実質的に解消される。したがって変換効率が高くしかも耐久性の高い太陽電池モジュールとして、バックコンタクト方式は今後ますますその需要が拡大すると期待されている。
このようなバックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおいて、シリコン基板の裏面(両電極が形成された面)と、表面に回路層(パターン化された導電層)を形成した絶縁基板との間の封止および絶縁のために使用される層間絶縁材(裏面側封止材)としては、絶縁性が高いことはもちろん、回路パターンの導電層を構成する金属、特に導電層表面のNi層との密着性、接合性が良好であることが必要であり、しかも太陽電池としてこれらの性能が長期間安定して持続されることが望まれる。
絶縁性が高くかつ密着性、接合性が優れた樹脂としては種々のものがあるが、本発明者等は、種々の封止材用樹脂のうちでも、カルボキシル基を有する樹脂が絶縁性およびNiなどの金属との密着性、接合性に優れていることに着目し、そのうちでも比較的安価に入手可能なエチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)を、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールの層間絶縁材(裏面側封止材)として使用することを試みている。
しかしながら本発明者等が、エチレン―メタクリル酸共重合体を太陽電池モジュールの層間絶縁材として用いた場合、初期状態では回路パターンを形成している導電層、特に表面のNi層との密着性、接合性が優れてはいるものの、経時的にNi層との密着性が低下して、Ni層に対する接合強度が低下する場合があり、特に水分が含まれる湿潤雰囲気では、その傾向が強く現われることが判明した。太陽電池モジュールは、様々な雰囲気で使用され、水分の多い雰囲気で使用されることも当然に予想されるから、湿潤雰囲気での経時的な密着性の低下は、確実に抑制されることが望まれる。
なお、エチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)は、カルボキシル基を有する樹脂であるが、エチレン―メタクリル酸共重合体に限らず、カルボキシル基を有するそのほかの樹脂を層間絶縁材として用いた場合も、湿潤雰囲気においては、やはり導電層表面のNi層との密着性が経時的に低下することが判明している。
特開2005−11869号公報
本発明は、以上の事情を背景としてなされたもので、バックコンタクト方式の太陽電池モジュール、特に裏面側基板の表面の回路パターンを形成する導電層の少なくとも表面を電解めっきによるNi層とし、かつ層間絶縁層の封止材としてエチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)で代表されるカルボキシル基を有する樹脂を用いた太陽電池モジュールにおいて、湿潤雰囲気でも封止材とNi層との密着性の経時的な低下を、確実に抑制し得るようにしたバックコンタクト方式の太陽電池モジュールを提供することを課題とするものである。また本発明は、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおける裏面側基板に最適な導電積層体を提供することをも課題としている。
前述の課題を解決するべく、本発明者等がバックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおける層間絶縁材(封止材)として用いるカルボキシル基を有する樹脂と、その樹脂に接する導電層表面の電解めっきNi層との密着性、接合性について種々実験、検討を重ねた結果、カルボキシル基を有する樹脂に接するNi層の表面の結晶構造、特にその結晶格子面の配向が、湿潤雰囲気での経時的な密着性の低下に大きな影響を及ぼしていることを見い出した。そしてミラー指数によりNi層の表面の結晶格子面を表わして、(111)面の配向が強い場合には、湿潤雰囲気での経時的な密着性の低下を抑制し得ることを見い出し、本発明をなすに至った。
したがって本発明の基本的な態様(第1の態様)による太陽電池モジュールは、
シリコン基板における受光面に対して反対側の面に、P型半導体を含む正極とN型半導体を含む負極とが間隔を置いて形成されて各太陽電池セルが構成され、その複数の太陽電池セルが、表面に所定の回路パターンの導電層が形成された裏面側基板の表側に、その表側の面に対し間隔をおいて配列され、前記裏面側基板と太陽電池セルとの間が層間絶縁材により封止されるとともに、前記各電極と裏面側基板の導電層との間が、層間絶縁材を貫通する電気接続部材によって電気的に接続されたバックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおいて:
前記層間絶縁材としてカルボキシル基を有する樹脂が用いられ、かつ前記裏面基板の導電層の少なくとも表面が電解めっきによるNi層によって構成されており、しかもその電解めっきによるNi層は、その結晶格子の(111)面、(200)面、(220)面のX線回折強度を、それぞれI(111)、I(200)、I(220)としたときに、下記の式(1)によって定義される(111)面配向指数Pが、1.1以上でかつ3以下とされていることを特徴とするものである。
Figure 2014107436
このように層間絶縁材としてのカルボキシル基を有する樹脂に接する導電層の表面の電解めっきNi層の結晶格子の配向について、(111)面配向指数Pが、1.1以上であれば、湿潤雰囲気で使用しても経時的に樹脂と電解めっきNi層との密着性、接合性が低下するおそれが少なく、そのため水分の多い湿潤雰囲気で太陽電池モジュールを長期間安定して使用することができる。なおここで式(1)から明らかなように、(111)面配向指数Pが3を越えることはない。
また本発明の第2の態様による太陽電池モジュールは、前記第1の態様の太陽電池モジュールにおいて、
前記カルボキシル基を有する樹脂が、メタクリル酸とオレフィンとの共重合体と、アクリル酸とオレフィンの共重合体とのうちのいずれかであることを特徴とすることを特徴とするものである。
さらに本発明の第3の態様による太陽電池モジュールは、前記第2の態様の太陽電池モジュールにおいて、
前記メタクリル酸とオレフィンとの共重合体が、エチレン―メタクリル酸共重合体であることを特徴とするものである。
さらに本発明の第4の態様による太陽電池モジュールは、前記第1〜第3のいずれかの態様の太陽電池モジュールにおいて、
前記層間絶縁材としてのカルボキシル基を有する樹脂に含まれるカルボキシル基の含有量が、層間絶縁材全体の2wt%〜30wt%の範囲内にあることを特徴とするものである。
さらに本発明の第5の態様による太陽電池モジュールは、前記第1〜第4のいずれかの態様の太陽電池モジュールにおいて、
前記裏面基板の電解めっきによるNi層の(111)面配向指数Pが、1.5以上でかつ3以下とされていることを特徴とするものである。
このように層間絶縁材としてのカルボキシル基を有する樹脂に接する導電層の表面の電解めっきNi層の結晶格子の配向について、(111)面配向指数Pが、1.5以上であれば、湿潤雰囲気での樹脂と電解めっきNi層との密着性、接合性の経時的な低下を、より一層確実に抑制することができる。
さらに本発明においては、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおける裏面基板に最適な導電積層体自体をも規定している。
すなわち本発明の第6の態様の導電積層体は、少なくとも表面層が電解めっきによるNi層からなる導電層を、絶縁基材の表面に形成した導電積層体において、
前記Ni層の表面の結晶格子の(111)面、(200)面、(220)面のX線回折強度を、それぞれI(111)、I(200)、I(220)とし、前記の式(1)によって定義される(111)面配向指数Pが、1.1以上でかつ3以下であることを特徴とするものである。
このような導電積層体は、前記バックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおける裏面基板に最適であるばかりでなく、その他の用途にも使用される導電積層体、特にカルボキシル基を有する樹脂と接する態様で使用される導電積層体として、湿潤雰囲気でもその樹脂と導電層表面との密着性の経時的な低下を抑制することができる。
また本発明の第7の態様の導電積層体は、第6の態様の導電積層体において、
前記Ni層の(111)面配向指数Pが、1.5以上でかつ3以下であることを特徴とするものである。
さらに本発明の第8の態様の導電積層体は、第6、第7のいずれかの態様の導電積層体において、
前記導電層が、アルミニウムからなる導電性金属膜の表面に電解めっきによりNi層を形成したものであることを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、裏面基板の表面の回路パターンを形成する導電層の少なくとも表面に電解めっきによるNi層が形成され、かつそのNi層に接する層間絶縁材(裏面側封止材)としてエチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)で代表されるカルボキシル基を有する樹脂を用いたバックコンタクト方式の太陽電池モジュールとして、湿潤雰囲気でも、層間絶縁材とNiとの密着性、接合性の経時的な低下を抑制することができ、そのため湿潤雰囲気での使用にあたっても、長寿命化を図ることができる。したがって本発明によれば、耐久性および耐候性に優れた太陽電池モジュールを実際的に提供することができる。
また本発明によれば、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールに適し、かつその他の用途にも使用される導電積層体、特にカルボキシル基を有する樹脂と接する態様で使用される導電積層体として、湿潤雰囲気でもその樹脂と導電層表面との密着性の経時的な低下を抑制することができる。
従来の一般的な太陽電池モジュールの要部を示す模式的な縦断面図である。 本発明が適用されるバックコンタクト方式の太陽電池モジュールの要部を示す模式的な縦断面図である。 本発明が適用されるバックコンタクト方式の太陽電池モジュールに裏面側基板として使用される導電積層体の要部を示す模式的な斜視図である。 本発明の実施例における試験用試料を示す模式的な縦断面図である。 本発明の実施例1および比較例1における電解めっきNi層の表面のX線回折試験による回折パターンを示すチャート図である。
以下、本発明のバックコンタクト方式太陽電池モジュールの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態のバックコンタクト方式太陽電池モジュールの立体的な形状および構造自体は、既に提案されているもの(図2)と同様であればよく、そこで、立体的な形状、構造については、図2を参照して簡単に説明し、併せて裏面側基板の部分の詳細を図3に示す。
図2に示されるバックコンタクト方式の太陽電池モジュール201において、シリコン基板202の受光面(表面)202Aに対し反対側の面(裏面)202Bに、間隔を置いてP型半導体からなる正極としての電極203と、N型半導体からなる負極としての電極204が形成されて、一つの太陽電池セル(シリコンセル)205が構成されている。そして複数の太陽電池セル205が、光入射側の透明基材210と、裏面側基板212(図3参照)との間に、間隔を置いて配列され、光入射側の透明基材210と、シリコン基板202における受光面202Aとの間は、受光側透明封止材214によって封止され、また、シリコン基板202の裏面202Bと裏面側基板212との間は、裏面側封止材(層間絶縁材)216によって封止されている。そしてシリコン基板202の正負の各電極203、204と導電層220との間は、それぞれ裏面側封止材(層間絶縁材)216を貫通する導電接続部材222A、222Bによって電気的に接続されている。
導電性接続部材222A,222Bの材質は特に限定されるものではないが、材料コストと接続抵抗の点で低融点ハンダが好適である。ここで用いる低融点ハンダの融点を、太陽電池モジュールの作製温度と同程度(120〜160℃)とすれば、モジュール化と電気接続が同時になされるため、プロセスコストの観点から好ましい。
受光側透明封止材214は特に限定されるものではなく、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンーアクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、各種ポリオレフィンなどの公知の太陽電池用封止材を用いることができる。
裏面側封止材(層間絶縁材)216としては、導電層220との密着性および絶縁性の観点から、基本的にはカルボキシル基を骨格に有する樹脂を用いれば良い。カルボキシル基を骨格に有する樹脂のうちでも、メタクリル酸とオレフィンの共重合体、もしくはアクリル酸とオレフィンとの共重合体が最適であるが、これら以外のカルボキシル基を骨格に有する樹脂であれば使用することが可能である。例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどの各種オレフィンと、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸の共重合体などを使用することができる。なおこれらの樹脂は、単独で用いても、あるいはこれらの樹脂同士の混合物、もしくはその他の樹脂との混合物として用いることも可能である。
前述のメタクリル酸とオレフィンの共重合体としては、エチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)が代表的であり、本発明においても、エチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)を用いることが、密着性やコストなどの点から望ましい。また、アクリル酸とオレフィンとの共重合体としては、例えば、エチレン―アクリル酸共重合体(EAA)を用いることができる。
ここで、裏面側封止材(層間絶縁材)216として用いるカルボキシル基を骨格に有する樹脂は、カルボキシル基が、封止材全体に対して2wt%〜30wt%、好ましくは5〜15wt%含有されていることが好ましい。カルボキシル基の含有量が2wt%より少なければ、導電層220との密着性が不十分となるおそれがある。一方、カルボキシル基の含有量が30wt%より多ければ、モジュール作製直後の導電層220に対する密着性(初期密着性)は確保されるが、後に改めて説明するように、導電層220の表面の電解めっきNiとの反応量が多くなるため、湿潤雰囲気での長期間経時後の密着性の低下が問題となる。なお一般的なエチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)におけるカルボキシル基の含有量は、2〜15wt%程度であり、またエチレン―アクリル酸共重合体(EAA)におけるカルボキシル基の含有量は、2〜15wt%程度である。
裏面側基板212は、絶縁基材218の表面に所定の回路パターンの導電層220を形成したものである。絶縁基材218としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂フィルムや、ガラスクロスにエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を含浸させた基材が用いられる。太陽電池モジュールには耐候性が要求されるため、PET,PENについては耐加水分解性に優れたグレードのものを使用するか、または絶縁基材218における裏面(太陽電池セル205に対し反対側の面)にポリフッ化ビニルなどの耐候性材料を設けることが好ましい。
導電層220は、導電接続部材222A、222Bを介して各太陽電池セル205の各電極203、204と電気的に接続されて、複数の太陽電池セル205を直列に接続する回路パターンを有するものであり、少なくとも表面(裏面側封止材(層間絶縁材)216に接する面)は、電解めっきによるNi層220aによって構成されている。
ここで導電層220は、電気抵抗が小さいこと、裏面側封止材(層間絶縁材)216との密着性に優れること、および貫通孔216aに充填される導電性接続部材222A、222Bとの接触抵抗が小さいことが必要であり、これらの観点から、少なくとも表面にNi層220aが形成される。ここで、導電層220の表面を構成する金属材料としては、Ni以外に、Cu(銅)、Al(アルミニウム)なども考えられる。しかしながら、銅は、電気抵抗が小さくハンダ接触抵抗にも優れるが、湿度雰囲気での密着性の低下傾向が大きいため、好ましくない。また、アルミニウムは、カルボキシル基を有する樹脂との反応性が小さいため、長期間経時による密着性の低下は小さいが、導電性材料との接触抵抗が大きいため、好ましくない。
導電層220の構成は、その全体がNiで形成されていても良いが、通常は、図3に示しているように、アルミニウムや銅などのNi以外の導電性金属膜(ベース膜)220bの表面に、ニッケルを電解めっき法によって積層して、Ni層220aが表面に露呈するように、すなわち電解めっきによるNi層220aが裏面側封止材(層間絶縁材)216に接するように構成することが望ましい。所定の回路パターンを有しかつ上記のような積層構造を有する導電層220を絶縁基材218の表面に形成する方法は特に限定されないが、例えば、絶縁基材218に、前記導電性金属膜(ベース膜)220bとなるアルミニウムや銅などの金属箔を接着剤により積層し、その後、金属箔の表面に電解めっきNiめっきを施し、さらにフォトリソ等の公知の方法でパターニングして、所定の回路を形成すれば良い。なおこの場合のベース膜220baとしては、コストなどの点から、アルミニウムが最も好適である。
ここで、導電層表面の電解めっきNi層は、その表面の結晶格子の方位についてミラー指数であらわしたときに、式(1)によって定義される(111)面配向指数Pが、1.1以上、好ましくは1.5以上となるように形成する。
Figure 2014107436
式(1)において、I(111)は、Ni結晶の(111)面のXRD回折強度、I(200)は、(200)面のXRD回折強度、I(220)は、(220)面のXRD回折強度を示す。
Niの常温での安定な結晶構造は面心立方格子(FCC)であって、電解めっきによるNi層の表面についてX線回折(XRD)を行なったときの結晶格子の配向としては、一般に(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面などが現われることが知られており、これらのうち、特に(111)面、(200)面、(220)面が強く現われることが多い。そして式(1)で規定される(111)面配向指数Pは、FCCであるNi結晶の(111)面の、(111)面と(200)面と(220)面に対するXRD回折強度比を、粉末試料(=無配向状態)の回折強度比で規格化したものに相当する。
すなわち、無配向の粉末試料の(111)面、(200)面、(220)面のXRD回折強度比をI(111)/I(200)/I(220)とすれば、
(111)/I(200)/I(220)=100/42/21・・・(2)
であり、このような無配向状態での各面の回折強度比によって規格化して、(111)面の、(111)面と(200)面と(220)面に対するXRD回折強度比を表したのが式(1)式である。式(2)の無配向状態では、式(1)の(111)面配向指数は、P=1となる。一方、P>1は、(111)面に配向が強いこと、P<1は、その他の面に配向が強いことを意味する。
なお(111)面、(200)面、(220)面以外の面、例えば(311)面、(222)面などは、その配向が(111)面、(200)面、(220)面よりも格段に弱いのが通常であり、湿潤雰囲気での経時的な密着性の低下への関与が少ないから、本発明では、(111)面、(200)面、(220)面の3面によって(111)面配向指数Pを規定することとした。
上述のように導電層表面の電解めっきNi層の結晶構造として、(111)面に配向が強く、特に(111)面配向指数Pが1.1以上、好ましくは1.5以上となれば、湿潤雰囲気においても、その電解めっきNi層とカルボキシル基を有する樹脂(層間封止材)との密着性が湿潤雰囲気でも経時的に低下しにくくなること、すなわち太陽電池モジュールとして湿潤雰囲気の屋外で長期間使用した場合にも十分な密着性を維持しうることを見い出し、(111)面配向指数Pを1.1以上と規定したのである。なお、(111)面完全配向の場合には、Pの値は3となるから、理論的にPの値が3を越えることはない。したがってPの値の上限は3とした。
なおここで想定する十分な密着性とは、後述の実施例に記載した擬似モジュール構成の試料での高温高湿試験後(DHT)の剥離試験において、剥離強度が20N/cm以上の値を維持することを意味する。剥離強度が20N/cmより小さくなれば、太陽電池モジュールの湿潤雰囲気の屋外での長期間の使用において剥離が生じる可能性が生じ、発電効率の低下や故障に対する懸念が発生する。そして(111)面配向指数Pが1.1以上であれば、上記の剥離強度として20N/cm以上の値を確保でき、さらに(111)面配向指数Pが1.5以上であれば、上記の剥離強度として30N/cm以上の値を確保することができる。
前述のように導電層表面の電解めっきNi層の結晶構造として、(111)面に配向が強い場合に、電解めっきNi層とカルボキシル基を有する樹脂(層間封止材)、例えばエチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)との密着性が湿潤雰囲気でも経時的に低下しにくくなる理由は、必ずしも明確ではないが、次のように考えられる。
すなわち、水分の存在下(湿潤雰囲気)において次第に密着性が低下する原因は、導電層表面のNi層の表面から遊離したNiのイオンと、層間絶縁材(裏面側封止材)であるエチレン―メタクリル酸共重合体のカルボキシル基とが水分の存在下で反応して、錯体(いわゆるアイオノマー)を生成し、そしてこの反応性生物の凝集力が弱いところから、Ni層に対する層間絶縁材の接合強度が次第に低下してしまう、と考えられる。
ところでNiの結晶は面心立方格子(FCC)であるが、その結晶の各格子面のうち、最も稠密なのは(111)面であり、(111)面はその他の格子面と比較して原子間距離が最も小さく、原子間結合力が大きい。そのため、Ni層の表面に(111)面が現われている場合は、他の面が現われている場合よりも、表面からNiがイオンとして遊離しにくくなり、それに伴い、水分存在下でのNiイオンとカルボキシル基との反応が生じにくくなり、その結果、湿潤雰囲気での経時的な密着性の低下が少なくなると推測される。
なお、カルボキシル基を骨格に有する樹脂におけるカルボキシル基の含有量も、上記の水分存在下での反応に影響を与え、樹脂中のカルボキシル基の含有量が多くなれば、上記の反応が生じやすくなって、反応生成物量も大きくなり、経時的な密着性の低下も大きくなる。そして層間絶縁材(裏面側封止材)の樹脂中のカルボキシル基の含有量を、封止材全体の30wt%以下、好ましくは15wt%以下とすれば、前述の(111)面配向指数Pの規制と相俟って、湿潤雰囲気での経時的な密着性の低下を抑制することが可能となる。
本発明において、回路パターンを構成する導電層の少なくとも表面のNi層は、電解めっきにより形成される。したがってそのNi層の(111)面配向指数Pが1.1以上、好ましくは1.5以上となるように電解めっきNi層を形成するためには、電解めっきNiめっき条件を適切に制御すれば良い。
電解めっきの条件としては、電解めっき浴の組成、電解めっき浴のpH、電流密度、浴温などが代表的であり、これらのめっき条件は、相互に関連して電解めっきNi層の結晶構造に影響を与えるから、一義的に好ましいめっき条件を定めることは困難である。したがって、予め、めっき条件を変えた実験やシミュレーションを行なって、(111)面配向指数Pが前記範囲内となるようにめっき条件を定めれば良い。
より具体的にめっき条件を説明すれば、めっき浴としては、無光沢めっきのめっき浴を使用することが好ましい。無光沢Niめっき浴の組成は、特に限定されず、従来公知の無光沢Niめっき浴を使用すればよく、例えば硫酸ニッケルを主体とし、塩化ニッケル、ホウ酸などを添加しためっき浴(但し光沢剤は無添加)を用いることができ、まためっき浴のpHは、一般の電解無光沢Niめっきと同様に、3.5〜4.5程度とすれば良い。
一方、電流密度、浴温については、本発明者等に実験によれば、同一の浴組成、同一のpHのめっき浴を使用した場合においては、浴温を低くした場合に、(111)面配向指数Pが大きくなる傾向を示すこと、また電流密度を大きくした場合に、(111)面配向指数Pが大きくなる傾向を示すことが確認されている。ここで、電流密度および浴温は、相互に関連して(111)面配向指数Pに影響を与え、しかもその影響の程度は、浴組成、pHによっても異なるから、具体的な好ましい電流密度、浴温を規定することはできないが、通常は電流密度を1〜10A/dm程度、浴温を40〜60℃程度とすることが好ましい。
なお電解めっきにより形成するNi層の厚みは特に限定しないが、通常は0.2〜3μm程度とすれば良い。
なお以上の説明では、図3に示されている裏面側基板212は、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールに使用されるものとしているが、この裏面側基板212は、バックコンタクト方式以外の太陽電池モジュール、あるいはその他の各種半導体装置や、プリント配線装置などにおいても、表面に回路パターンを形成する導電積層体として使用することができる。そしてこれらの用途においても、導電層220の表面のNi層220aが、EMAAなどのカルボキシル基を有する樹脂に接する場合には、Ni層220aに対する樹脂の密着性を、湿潤雰囲気でも長期間良好に維持することが可能となる。
以下に本発明の実施例を記す。なお以下の実施例は、本発明の作用、効果を明確化するためのものであって、実施例に記載された条件が本発明の技術的範囲を限定するものでないことはもちろんである。
〔試料構成〕
本発明の本来の課題は、バックコンタクト式太陽電池モジュールにおいて、少なくとも表面層が電解めっきNi層からなりかつ回路パターンに形成された導電層と層間絶縁材との密着性の湿度による低下を抑制することにある。しかしながら、抑制効果の多寡は、バックコンタクト方式の各太陽電池セルの各電極に対応して形成される導電層のパターン形状によって異なる。また、試料構成に太陽電池セルを含むか否かは、抑制効果の大小とは本質的に無関係である。そこで、以下に記載する実施例の試料構成は、太陽電池セルを含まない擬似的なモジュール構成とした。
〔実施例1〕
擬似的なモジュール構成の試料として、図4に示すものを作成した。すなわち、太陽電池モジュールの光入射側の透明基材210(図2参照)に対応するものとして、3mm厚の太陽電池用強化ガラス板301を用意した。また受光側透明封止材214に対応するものとして、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を押出し加工によりシート化した0.2mm厚のシート302を用意し、さらにカルボキシル基を有する樹脂からなる裏面側封止材(層間絶縁材)216に相当するものとして、エチレンーメタクリル酸共重合体(EMAA)(三井デュポンポリケミカル製ニュクレルN1108C(商標):COOH含量11%)を押出し加工により0.2mm厚にシート化したシート303を用意した。一方、裏面側基板212の絶縁基材218に相当するものとして、250μm厚のPETフィルム304を用意し、また導電層220に相当するものとして、めっき厚1μmで無光沢電解めっきによりNi層305が形成された35μm厚のアルミニウム箔306を用意した。そしてこれらを、図4に示しているように、電解めっきNi層305がEMAAシート303に接するように積層し、真空ラミネータ(150℃30分)により全体を接合して、評価用試料とした。
この実施例1において、アルミニウム箔306表面へのNi層305形成のための電解めっき条件は次の通りである。
めっき浴組成: NiSO・6HO・・・300g/L
NiCl・6HO・・・60g/L
BO・・・45g/L
めっき浴pH: 4.0
電流密度: 10A/dm
浴温: 40℃
上記の条件で形成した電解めっきNi層の表面について、X線回折(XRD)試験を行なって、回折パターンを調べた結果を図5の下段に、実施例1として示す。なお図5において、各ピークのうち“Al”と記載したピークは、電解めっきNi層のベースとなっているアルミニウム箔に由来するものである。
この実施例1の電解めっきNi層XRD回折パターンから、(111)面、(200)面および(220)面の回折ピーク強度を求め、(111)面配向指数Pを計算したところ、P=1.8の値が得られた。
〔実施例2〕
実施例1におけるNi層形成のための電解めっき条件のうち、電流密度および浴温を変え、その他の条件は実施例1と同一として、評価用試料を作成した。
この実施例2における電解めっきの電流密度は8A/dm、浴温は40℃である。
上記の条件で形成した電解めっきNi層の表面について、X線回折(XRD)試験を行ない、得られたXRD回折パターンから、(111)面、(200)面および(220)面の回折ピーク強度を求め、(111)面配向指数Pを計算したところ、P=1.5の値が得られた。
〔実施例3〕
実施例1におけるNi層形成のための電解めっき条件のうち、電流密度および浴温を変え、その他の条件は実施例1と同一として、評価用試料を作成した。
この実施例3における電解めっきの電流密度は6A/dm、浴温は40℃である。
上記の条件で形成した電解めっきNi層の表面について、X線回折(XRD)試験を行ない、得られたXRD回折パターンから、(111)面、(200)面および(220)面の回折ピーク強度を求め、(111)面配向指数Pを計算したところ、P=1.1の値が得られた。
〔実施例4〕
カルボキシル基を有する樹脂からなる裏面側封止材(層間絶縁材)216に相当するシート303の樹脂として、実施例1で用いたCOOH含有量が11%のエチレンーメタクリル酸共重合体(EMAA)に代え、COOH含有量が4%のEMAA(三井デュポンポリケミカル製ニュクレルAN4214C)を用いた点以外は、実施例1と同様の条件で評価用試料を作成した。なおNi層形成のための電解めっき条件も実施例1と同一であり、したがって電解めっきNi層の表面の(111)面配向指数Pも、実施例1と同じく、P=1.8である。
〔実施例5〕
カルボキシル基を有する樹脂からなる裏面側封止材(層間絶縁材)216に相当するシート303として、実施例1で用いたエチレンーメタクリル酸共重合体(EMAA)に代え、アクリル酸とオレフィンとの共重合体であるエチレンーアクリル酸共重合体(EAA)(Honeywell社 Asensa SC401(商標))を使用した点以外は、実施例1と同様の条件で評価用試料を作成した。なおNi層形成のための電解めっき条件も実施例1と同一であり、したがって電解めっきNi層の表面の(111)面配向指数Pも、実施例1と同じく、P=1.8である。
〔比較例1〕
実施例1におけるNi層形成のための電解めっき条件のうち、電流密度および浴温を変え、その他の条件は実施例1と同一として、評価用試料を作成した。
この比較例1における電解めっきの電流密度は1A/dm、浴温は60℃である。
上記の条件で形成した電解めっきNi層の表面について、X線回折(XRD)試験を行なって、回折パターンを調べた結果を図5の上段に、比較例1として示す。
この比較例1の電解めっきNi層XRD回折パターンから、(111)面、(200)面および(220)面の回折ピーク強度を求め、(111)面配向指数Pを計算したところ、P=0.5の値が得られた。
〔比較例2〕
実施例1におけるNi層形成のための電解めっき条件のうち、電流密度および浴温を変え、その他の条件は実施例1と同一として、評価用試料を作成した。
この比較例2における電解めっきの電流密度は4A/dm、浴温は40℃である。
上記の条件で形成した電解めっきNi層の表面について、X線回折(XRD)試験を行ない、得られたXRD回折パターンから、(111)面、(200)面および(220)面の回折ピーク強度を求め、(111)面配向指数Pを計算したところ、P=0.9の値が得られた。
〔試料評価〕
各実施例及び各比較例により作成した試料を、そのままの状態(初期)のもの、および高温高湿試験(DHT1000h:85℃85%で1000時間保持)した後のものについて、次のようにして剥離強度測定を行なった。
すなわち、試料における、裏面側基板212に相当するPETフィルム304の側から10mm幅で切込みを入れ、Ni層305およびアルミニウム箔306からなる導電層と絶縁基材としてのPETフィルム304の全体を、裏面側封止材(層間絶縁材)に相当するEMAAシート303から2cm程度剥がし、剥がした部分を密着強度測定機(ORIENTEC製TENSILON(RTC−1250))のチャックに固定し、180°の角度、剥離速度300mm/分の条件で剥離強度を測定した。
各実施例および各比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2014107436
表1から明らかなように、電解めっきによるNi層の(111)面配向指数Pが1.1以上の各実施例1〜5では、Ni層に対するカルボキシル基含有樹脂(EMAAもしくはEAA)の初期の剥離強度が高いのみならず、1000時間の高温高湿試験(DHT)の後においても、20N/cm以上の剥離強度が得られた。すなわち、湿潤雰囲気における経時的な密着性の低下が少ないことが確認された。ここで、特に電解めっきによるNi層の(111)面配向指数Pが1.5以上の各実施例1、2、4、5では、より剥離強度の低下が少ないことが確認された。
したがって実施例の試料をバックコンタクト方式の太陽電池モジュールに適用すれば、長期間安定して密着性を維持し、耐久性および耐候性が良好な太陽電池モジュールを得ることが可能となる。
なお比較例1、2は、1000時間の高温高湿試験(DHT)後において剥離強度の顕著な低下が認められた。したがってこれらの比較例の試料をバックコンタクト方式の太陽電池モジュールに適用した場合、湿潤雰囲気では密着性が低下し、耐久性、耐候性に劣ることとなる。
201…太陽電池モジュール、202…シリコン基板、203…電極(正極)、204…電極(負極)、205…太陽電池セル(シリコンセル)、210…光入射側の透明基材、212…裏面側基板(導電積層体)、216…裏面側封止材(層間絶縁材)、220…導電層、220a…Ni層、220b…導電性金属膜、222A…導電接続部材、222B…導電接続部材

Claims (8)

  1. シリコン基板における受光面に対して反対側の面に、P型半導体を含む正極とN型半導体を含む負極とが間隔を置いて形成されて各太陽電池セルが構成され、その複数の太陽電池セルが、表面に所定の回路パターンの導電層が形成された裏面側基板の表側に、その表側の面に対し間隔をおいて配列され、前記裏面側基板と太陽電池セルとの間が層間絶縁材により封止されるとともに、前記各電極と裏面側基板の導電層との間が、層間絶縁材を貫通する電気接続部材によって電気的に接続されたバックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおいて:
    前記層間絶縁材としてカルボキシル基を有する樹脂が用いられ、かつ前記裏面側基板の導電層の少なくとも表面が電解めっきによるNi層によって構成されており、しかもその電解めっきによるNi層は、その結晶格子の(111)面、(200)面、(220)面のX線回折強度を、それぞれI(111)、I(200)、I(220)としたときに、下記の式(1)によって定義される(111)面配向指数Pが、1.1以上でかつ3以下とされていることを特徴とする太陽電池モジュール。
    Figure 2014107436
  2. 請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて:
    前記カルボキシル基を有する樹脂が、メタクリル酸とオレフィンとの共重合体と、アクリル酸とオレフィンの共重合体とのうちのいずれかであることを特徴とする太陽電池モジュール。
  3. 請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて:
    前記メタクリル酸とオレフィンとの共重合体が、エチレン―メタクリル酸共重合体であることを特徴とする太陽電池モジュール。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュールにおいて:
    前記層間絶縁材としてのカルボキシル基を有する樹脂に含まれるカルボキシル基の含有量が、層間絶縁材全体の2wt%〜30wt%の範囲内にあることを特徴とする太陽電池モジュール。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュールにおいて:
    前記裏面側基板の電解めっきによるNi層の(111)面配向指数Pが、1.5以上でかつ3以下とされていることを特徴とする太陽電池モジュール。
  6. 少なくとも表面層が電解めっきによるNi層からなる導電層を、絶縁基材の表面に形成した導電積層体において:
    前記Ni層の表面の結晶格子の(111)面、(200)面、(220)面のX線回折強度を、それぞれI(111)、I(200)、I(220)とし、前記の式(1)によって定義される(111)面配向指数Pが、1.1以上でかつ3以下であることを特徴とする導電積層体。
  7. 請求項6に記載の導電積層体において:
    前記(111)面配向指数Pが、1.5以上でかつ3以下であることを特徴とする導電積層体。
  8. 請求項6、請求項7のいずれかの請求項に記載の導電積層体において:
    前記前記導電層が、アルミニウムからなる導電性金属膜の表面に電解めっきによりNi層を形成したものであることを特徴とする導電積層体。
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