JP2014104243A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】音量の調整によって却ってサウンドが全体的に聞き取り難くなってしまうことを防止できる遊技機を提供する。
【解決手段】音制御手段312は、複数の音出力構成要素を演出に応じ重畳して音出力を構成することが可能な音出力構成手段314と、音出力構成要素についての音量の基準値を記憶することが可能な基準値記憶手段317と、音出力構成要素のうちの何れかの音量が基準値に対し所定条件を満たした場合に、所定条件を満たした音出力構成要素をターゲットとし、ターゲットの音量を自動調整する自動音量変更手段316と、基準値を変更することが可能な基準値変更手段318と、基準値変更手段を操作可能とするための基準値変更摘み836と、手動操作される手動音量変更手段315を介して音出力の音量を変更可能なマスターボリューム調整手段と、を備えた。
【選択図】図25

Description

本発明は、遊技媒体として遊技球を用いるぱちんこ遊技機やメダルを用いるスロットマシンなどの遊技機に関するものである。
通常、ぱちんこ遊技機やスロットマシンなどの遊技機の背面には、遊技店員等が遊技機の音量を任意に設定できるよう、音量調整(変更)摘みが配置されている。そして、この種の音量調整摘みを示した先行技術文献としては、後掲の特許文献1(段落0022などを参照)や特許文献2(段落0060などを参照)が挙げられる。
特開平10−108940号公報 特開2011−200511号公報
ところで、上述のような音量調整摘みは、「マスターボリューム」と呼ばれる値の調整に用いられるものであり、遊技機から出力されるサウンド(音出力)全体としての音量調整を対象としている。つまり、音量調整摘みを操作すると、サウンド全体の音量は高低するものの、サウンドを構成するBGMやSE(効果音)のバランスに変更はない。したがって、例えばSEの音量が大き過ぎる箇所があるのでBGMが聞き取りきづらいと感じた場合に、SEの音量を下げるために事前に音量調整摘みを操作しておくと、BGMの音量も下がってしまい、結果として、BGMがほとんど聞き取れなくなったり、SEの迫力が予定していた程度に達しなかったりする事態が生じることがある。また、例えばSEを強調できるよう音量を上げておいた場合には、SE以外のBGMなどの音量が大となり、これによってもサウンド全体として聞き取り難くしまうことがある。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、音量の調整によって却ってサウンドが全体的に聞き取り難くなってしまうことを防止できる遊技機を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、遊技制御を司る遊技制御手段(メイン基板など)と、
前記遊技制御手段からの制御コマンドに基づき音出力手段を用いた音出力制御を実行する音制御手段と、を備えた遊技機において、
前記音制御手段は、
複数の音出力構成要素(BGM、予告SE、キャラクタSE、及び役物SEなど)を演出に応じ重畳して音出力を構成することが可能な音出力構成手段と、
前記音出力構成要素についての音量の基準値を記憶することが可能な基準値記憶手段と、
前記音出力構成要素のうちの何れかの前記音量が前記基準値に対し所定条件を満たした場合に、前記所定条件を満たした前記音出力構成要素をターゲットとし、当該ターゲットの前記音量を自動調整する自動音量変更手段と、
前記基準値を変更することが可能な基準値変更手段と、
前記基準値変更手段を操作可能とするための基準値変更操作手段(基準値変更摘みなど)と、
手動操作される手動音量変更手段を介して前記音出力の音量を変更可能なマスターボリューム調整手段と、を備え、
前記手動音量変更手段は所定位置に配置され、
前記所定条件は、前記基準値に達するか、又は前記基準値を超えるかといった条件を含み、
前記音出力の音量は、前記基準値を超えない各音出力構成要素の音量を複合して構成され、
前記自動音量変更手段による音量調整と、前記マスターボリューム調整手段による音量調整との組合せにより、前記ターゲットとなる前記音出力構成要素と、それ以外の前記音出力構成要素との音量の差を重視して維持する音量調整や、又は前記ターゲットとなる前記音出力構成要素と、それ以外の前記音出力構成要素との音量の差を狭めても前記音出力の音量を大きくする音量調整を可能としたことを特徴とする遊技機である。
本発明によれば、音量の調整によって却ってサウンドが全体的に聞き取り難くなってしまうことを防止可能な遊技機を提供できる。
本発明の一実施例のぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。 ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。 本実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。 本実施例におけるぱちんこ遊技機の主要な基板構成を示す説明図である。 メイン基板の機能的構成を示す説明図である。 サブメイン基板及びサブサブ基板の機能的構成を示す説明図である。 当否判定テーブルを模式的に示す図である。 図柄判定テーブルを模式的に示す図である。 変動パターンテーブルを模式的に示す図である。 はずれ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。 特別図柄等表示装置を示す説明図である。 演出図柄表示装置の表示例を示すもので、(a)は装飾図柄の変動中、(b)は装飾図柄の停止中を示す説明図である。 操作ボタン及びその周辺部を拡大して示す斜視図である。 (a)は演出モード1における演出用画像の一例を示す説明図、(b)は演出モード2における演出用画像の一例を示す説明図である。 演出モード3における演出用画像の一例を示す説明図である。 メイン基板の制御開始処理を示すフローチャートである。 図16に続く制御開始処理を示すフローチャートである。 メイン基板の遊技進行割込み処理を示すフローチャートである。 メイン基板の電源断処理を示すフローチャートである。 演出モードを変更する場合の設定画面を示すもので、(a)はトップメニューを示す、(b)はモード選択メニューを示す説明図である。 基準値変更の態様の変形例を示すもので、音出力に係る設定画面を示す説明図である。 音制御回路を示す機能ブロック図である。 音出力構成要素の音量の波形を示すもので、(a)は自動音量変更を行わない場合の一例を示す説明図、(b)は自動音量変更を行った場合の一例を示す説明図である。 一般的な音響信号処理による波形の変化を示すもので、(a)は信号処理を施す前の原音の波形を示す説明図、(b)は上記(a)の原音に対してリミッタ処理を施した波形を示す説明図、(c)は上記(a)の原音に対してコンプレッサ処理を施した波形を示す説明図、(d)上記(a)の原音に対してリミッタ処理及びノーマライズ処理の双方を施した波形を示す説明図である。 他の実施形態における音出力構成要素の音量の波形を示すもので、(a)はターゲットとそれ以外の音出力構成要素との音量の差を重視した場合の一例を示す説明図、(b)はターゲットとそれ以外の音出力構成要素との音量の差を狭めつつ音出力の音量を大きくした場合の一例を示す説明図である。
以下、本発明の一実施例に係る遊技機であるぱちんこ遊技機について説明する。本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプ、複数の大入賞口を備える。
<ぱちんこ遊技機の正面構成及びゲーム性の概要>
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技媒体である遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、皿ユニット200に設けられ、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、同じく皿ユニット200に設けられ、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。下球皿16の下方に位置する下部前板18には複数のスピーカ19が設けられており、遊技状態や演出パターンなどに応じたBGMや各種効果音などが出力される。
遊技盤50は、扉14の陰に隠れた外レールと内レールにより区画された遊技領域52上に、アウト口58、演出図柄表示装置60、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
また、遊技領域52の外における正面から見て左下の部位には、特別図柄等表示装置53が設置されており、この特別図柄等表示装置53には、図11に示すように、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71が設けられている。なお、本実施例においては、第1特別図柄表示装置70及び第2特別図柄表示装置71を総称して特別図柄表示装置と称する場合もある。
図1及び図3に示すように、第1始動入賞口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動入賞口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動入賞口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成(出力)する。第2始動入賞口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成(出力)する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、所謂電チューサポートがされている状態となり、第2始動入賞口63への入球容易性が高まる。
なお、第2始動入賞口63は第1始動入賞口62の下、すなわち第1始動入賞口62によって遊技球の入球が阻害される位置に設けられる。そのため、普通電動役物65が拡開しない間は、第2始動入賞口63への入球は第1始動入賞口62により阻害されることとなり、第2始動入賞口63は入球困難な状態が維持される。したがって、遊技において第2始動入賞口63への入球を狙うためには、普通電動役物65を拡開させる必要がある。なお、本実施例では、普通電動役物65が拡開された結果、第2始動入賞口63への入球容易性は、第1始動入賞口62への入球容易性よりも高くなっているが、第1遊技と第2遊技の結果得られる利益等に応じて適宜設定すればよく、普通電動役物65が拡開していない場合には一切入球しない構造、或いは第1始動入賞口62と同程度の開口巾を有するようにしても良い。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73(図3のブロック図を参照)を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成(出力)する。なお、一般入賞検出装置73は、一般入賞口に対して個々に有しても良いし、複数の一般入賞口72に入球した遊技球を一括して集合、検出しても良く、或いは各一般入賞口の配置位置(上下・左右)や設定される賞球個数(5個賞球と10個賞球)に応じて適宜グループ化して集合、検出しても良い。
図1に示すように、第1大入賞口91は第1の遊技に対応する大入賞口として設けられ、第2大入賞口92は第2の遊技に対応する大入賞口として設けられる。第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78(図3のブロック図を参照)と、第1大入賞口91を開閉させるための第1の開閉扉91a、及び第1の開閉扉91aを駆動する大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成(出力)する。
第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92を開閉させるための第2の開閉扉92a、及び第2の開閉扉92aを駆動する大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成(出力)する。
第1大入賞口91は、第1特別図柄192(図11を参照)が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第1大入賞口91はアウト口58の上方の位置に設けられる。第2大入賞口92は、第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第2大入賞口92はアウト口58の右上方の位置に設けられる。
なお、本実施例においては、第1大入賞口91、第2大入賞口92の前方に装飾板91b,92bが各々設けられており、各装飾板には、遊技領域52を装飾するための文字や図形などが描かれている。この装飾板91b,92bには、第1の開閉扉91a、第2の開閉扉92a、第1大入賞口91、及び第2大入賞口92を遊技者が視認できるように透明な材質が採用されているが、装飾板91b,92bを不透明としてもよい。また、第1大入賞口91と第2大入賞口92は1の大入賞口(たとえば第1大入賞口91)のみを配置して共通的に利用しても良い。
遊技領域52の略中央に演出図柄表示装置60が設けられ、その左下方に離れて第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが互いに左右に隣接する形で設けられている(図11を参照)。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば右下隅にドットが付加された7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「0」〜「9」の10種類の数字と記号αおよび記号βで表される。
なお、記号αと記号βは、7セグメントLEDのセグメント組み合わせで表示できる点灯パターンであって、そのパターン自体が文字等の意味をもつ配置とはなっていないものを示す。そのようなパターンを本明細書では便宜上「記号」と称し、その種類を区別するために「記号α」「記号β」として表記する。ちなみに、図11における第2特別図柄の右側には、特別遊技における単位遊技の回数(所謂ラウンド数)を示すラウンド表示装置(図番省略)が2桁の7セグメントLEDとして設けられており、後述する第1又は第2特別遊技の発生に応じて両特別遊技のラウンド数を共用的に表示するようになっている。
図12(a),(b)に示すように、演出図柄表示装置60の表示領域194には第1特別図柄192や第2特別図柄193に連動する左の装飾図柄190a、中の装飾図柄190b、右の装飾図柄190cの変動が表示される。演出図柄表示装置60は、たとえば液晶ディスプレイである。装飾図柄190a〜190cは、第1特別図柄192で示される第1の抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。さらに、装飾図柄190a〜190cは、各々が第1図柄列、第2図柄列、第3図柄列を構成するものであり、第1図柄列、及び第3図柄列は「1」〜「9」の9個の装飾図柄により構成され、第2図柄列は「1」〜「9」、「A」の10個の装飾図柄により構成されている。演出図柄表示装置60は、装飾図柄190a〜190cとして、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。
演出図柄表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出図柄表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出図柄表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。また、本実施例では、装飾図柄190a〜190cを、演出図柄表示装置60において、第1特別図柄192と第2特別図柄193とで共通で採用したものを例示しているが、個別に表示したり、装置自体を別個に設けてもよく、本実施例のように共用する場合にはいずれの特別図柄に対応した表示であるかを示す表示を演出図柄表示装置60の隅部に表示しても良い。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69(図3を参照)を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成(出力)する。作動口68への遊技球の通過は第2始動入賞口63の普通電動役物65を拡開させるための抽選の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レールと外レールに案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」、「入球」、「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示される(図12(a)を参照)。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190a〜190cの変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される(図12(b)を参照)。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190a〜190cは、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。
特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放される単位遊技が複数回繰り返される遊技であり、単位遊技が最大回数である15回繰り返される特別遊技と、単位遊技が最少回数である2回だけ繰り返される特別遊技とがある。15回の単位遊技が繰り返される特別遊技(以下、適宜「15R大当り」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約30秒間開放されたとき、または9球以上の遊技球が落入したときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。2回の単位遊技が繰り返される特別遊技(以下、適宜「2R大当り」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約0.2秒間開放されたときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。なお、本実施例では、上記特別遊技の種類(単位遊技の実行回数、開放する大入賞口(特別遊技の全単位遊技に亘り第1大入賞口91・第2大入賞口92のいずれを開放させるか、或いは各単位遊技毎のいずれの大入賞口を開放させるか)、大入賞口の開放パターン等)は停止表示した特別図柄(第1特別図柄192、第2特別図柄193)に紐づいて決定されるように構成されているが、特別遊技の種類を別の抽選により決定しても良い。また、2R大当りにおける大入賞口の開放時間を、遊技者が実質的に賞球を獲得できる程度の時間(例えば数秒〜30秒程度)としてもよい。
停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190cが所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が実行される。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cが小当り態様であった場合もまた小当り遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92が約0.2秒間の開放を2回繰り返すので、外観上は2R大当りと同様の動作態様となる。なお、小当り遊技についても前述した特別遊技のように複数の小当り種類を設け、開放する大入賞口や1単位遊技内の開放回数、開放パターンにバリエーションを持たせても良く、この種類の決定も特別遊技の種類を決定した際の手法と同様、小当りとなった特別図柄に基づき、或いは個別の抽選により行うことができる。また、種類として複数の態様のうち、小当りであることが外観上判別しやすい開放パターン(2R大当りであることが外観上判別しやすい当り開放パターンの特別遊技)を一部に設けて遊技性を広げることもできる。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技(以下、「確変」という)や変動時間短縮遊技(以下、「時短」という)が開始される。確変中は、通常の確率状態より大当りの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。本実施例においては、確変状態は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるまで継続される。15R大当りの場合はその特別遊技の終了後に確変が開始される場合とされない場合があるが、2R大当りの場合はその特別遊技の終了後に必ず確変が開始される。ただし、変形例としては確変を伴わない2R大当りを併設してもよい。時短は、第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動表示の合計が所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。
第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長が実施されることにより第2始動入賞口63への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。普通電動役物65の開放延長は、普通電動役物65の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動入賞口63への入球容易性も増すため、第2始動入賞口63への入球数が増加する可能性も高い。したがって、第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は第2始動入賞口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長という3つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動入賞口63への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
第1特別図柄192について小当りが発生した場合、その小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として限定変動パターンテーブル(図示略)が参照される。このとき、第2特別図柄193がいずれの図柄で停止しているかに応じて異なる態様で第1特別図柄192の限定変動パターンテーブルが参照され、変動パターンが選択される。例えば第2特別図柄193がはずれ図柄αで停止表示されているときは小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として10回分だけ限定頻度テーブルにしたがって変動パターンが選択される。また、第2特別図柄193がはずれ図柄βで停止表示されているときは小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として20回分だけ限定頻度テーブルにしたがって変動パターンが選択される。これにより、第2特別図柄193がいずれの図柄で停止しているかによって異なる態様で特別な演出を実行することができるので、演出の設計の幅を広げることができる。なお、以下では状況に応じて、限定変動パターンテーブルを用いて行われる演出を限定変動パターン演出と称する。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、前述の普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は特別図柄等表示装置53に設けられており、本実施例では二つのランプが交互に点灯と消灯を繰り返す形で普通図柄の変動表示を表現し、どちらのランプが最終的に点灯したまま停止するかによって普通図柄の抽選結果を表す。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動入賞口63の普通電動役物65が所定時間拡開する。なお、本実施における「ランプ」の用語はLED等も含む意味を有している。
演出図柄表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出図柄表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。多数の遊技効果ランプ(LED等、図示しない)がセンター飾り64の内部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。また、センター飾り64には、可動演出部材93,94が設けられており、これらが演出用のギミックを構成している。
また、第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20は第1特別図柄表示装置70の上方に設けられ、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21は第2特別図柄表示装置71の上方に設けられ、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22は普通図柄表示装置59の下方に設けられる。
第1特図保留ランプ20および第2特図保留ランプ21は、それぞれ2個のランプからなり、それぞれの点灯個数または点滅個数によって第1の遊技および第2の遊技のそれぞれにおける当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動入賞口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193いずれかの変動中または特別遊技の実行中に第2始動入賞口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。
すなわち、先に行われている図柄変動が終了していない場合には変動開始条件が成立していないこととなり、当該図柄変動が終了すると変動開始条件が成立し、保留記憶されていた抽選結果(保留抽選結果)に基づき、新たな図柄変動が開始されることとなる。なお、本実施例の場合は、前述のように第2の遊技が優先的に実行されるので、第1特別図柄192については、第2特別図柄193の保留抽選結果に対応する図柄変動が全て終わって、保留抽選結果が全て消化されたことも変動開始条件となる。
普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示を入力するために操作するボタンである。この操作ボタン82は、図13に示すように、上球皿15の上部の外壁面に設けられており、上球皿15の左右方向の中央近傍に位置している。また、操作ボタン82は、近傍に配置された十字キー83とともにボタン装置を構成している。
操作ボタン82は、ボタン演出が実行された場合に遊技者によって操作され、遊技者に対し、自分が遊技の演出や当否抽選に参加しているような感覚を与える機能を発揮するものである。ボタン演出としては、例えば装飾図柄の変動表示過程で行われるリーチ演出中に、演出図柄表示装置60の表示領域194に操作ボタン82の図柄とともに、「Push」、「連打せよ」、「長押しせよ」等といった文字が表示され、遊技者がこれに従って操作ボタン82を操作すると、登場人物がコメントを発するような演出や、味方キャラクタが敵キャラクタに対する攻撃を行うような演出が挙げられる。
通常時は操作ボタン82の操作が無効となっているが、ボタン演出が始まった際にはボタン操作有効期間が始まっており、所定時間に亘って操作ボタン82の操作が有効となる。なお、操作ボタン82に振動モータ(図示略)を組み合わせて、操作ボタン82を振動させる振動演出を行うことも可能である。また、本実施例では、ボタン演出におけるボタン操作有効期間、ボタン操作有効期間中に行われる促進演出、などについての特徴的な構成を備えているが、これらの特徴的な構成については後述する。
さらに、本実施例においては、操作ボタン82に演出モードの選択の機能も付加されており、操作ボタン82は演出モード選択ボタンとしても用いられる。すなわち、演出モードは、演出図柄表示装置60での表示演出の態様を区分するものであり、演出モードが異なる複数種類の表示態様が設定されている。演出モードは、操作ボタン82を1回押す毎に切り替わる。
本実施例のぱちんこ遊技機10には、図14(a),(b)及び図15に示すように、3つの演出モード(演出モード1〜3)が設定されている。演出モード1は、「海辺モード」とも称されるものであり、背景としては図14(a)に示すように、空201、雲202、海203、砂浜204、登場人物205,206等の構成要素が合成された動画像が表示される。なお、ぱちんこ遊技機10の電源を投入した直後の初期状態では、演出モード1が設定されており、演出モードの選択変更操作がなければ、演出モードは演出モード1の状態のままであり、装飾図柄等の変動表示は演出モード1で行われる。
演出モード2は、山岳モードとも称されるものであり、背景としては図14(b)に示すように、空211、山212、樹木213、岩214、登山道215、登場人物216,217等の構成要素が合成された動画像が表示される。また、演出モード3は、市街地モードとも称されるものであり、背景としては図15に示すように、空231、家並み232、道路233、登場人物234等の構成要素が合成された動画像が表示される。
なお、何れの演出モードについても共通であるが、演出図柄表示装置60の表示領域194の下部には、図14(a),(b)中に示すように、第1の遊技における当否抽選値の保留数を示す第1保留数表示部196と、第2の遊技における当否抽選値の保留数を示す第2保留数表示部197とが表示される。ちなみに、保留表示については第1の遊技、第2の遊技の保留数が増加すると、夫々の遊技者からみて左側(図12でも左側)を基準として順次表示が変化するようになっており、通常遊技時に多く入賞する第1始動入賞口62側(第1の遊技)の保留表示を基準側(左側)に、通常時にほとんど入賞しない第2始動入賞口63側(第2の遊技)の保留表示を右側に表示している。これは通常時の保留状態を遊技者が直感的に把握しやすくなることが期待できるためである。なお、普通図柄表示装置59の表示内容に対応した普通装飾図柄を、普通図柄表示装置59とは別途設けてもよく、この場合は、例えば演出図柄表示装置60を利用することが可能である。
<演出状態の変更>
本実施例のぱちんこ遊技機10には、演出状態を遊技者が好みに応じて変更しカスタマイズできる機能が設けられている。すなわち、抽選された変動パターンが実行されている最中である変動期間中に、遊技者が例えば演出モードを変更する場合、遊技者は、図13中に示すように操作ボタン82の近傍に設けられた十字キー83に対し、何れかの方向キー83a〜83dを押圧する操作を行う。すると、演出図柄表示装置60に、図20(a)に示すようにトップメニュー801が表示される。トップメニュー801には、演出モード変更欄802、カスタマイズ欄803、その他のサービス欄804、及び消去欄805が設けられている。また、この際のトップメニュー801の背後には、図示は省略するが、変動中の装飾図柄190a〜190c、背景画像、予告要素画像等が、半透明化されて目立たない状態で、且つトップメニュー801の表示以前から継続した内容で表示されている。つまり、変動中に適宜演出モードを選択・変更可能な構成としている。なお、変動中はトップメニュー801を表示せず、例えば音声ガイドや遊技効果ランプの切換りのみによるチュートリアルを行い、演出モードの選択や変更が可能であることを報知するようにしてもよい。このようにすることにより、トップメニュー801が装飾図柄190a〜190cや背景画像などの視認の妨げとなることを防止できる。
なお、トップメニュー801を表示するための操作は、十字キー83に対するものに限定されず、例えば操作ボタン82を比較的長時間(例えば2秒程度)に亘って押圧し続ける態様である、所謂長押しを行うことにより、トップメニュー801を表示させるようにしてもよい。
トップメニュー801を表示させた状態で、遊技者が下カーソルキー83aを一回押圧操作すると、図20(a)中に示すように、演出モード変更欄802が選択表示(例えば、枠の色・文字の色・枠の模様・枠の明暗等を変化させる表示)される。そして、遊技者が操作ボタン82を押圧操作すると、操作ボタン82が決定キーとして機能し、演出モードの変更が決定され、トップメニュー801の表示から、図20(b)に示すように、モード選択メニュー806の表示に切換る。このモード選択メニュー806には、演出モード1欄807、演出モード2欄808、演出モード3欄809、視覚演出カスタマイズ欄810、聴覚演出カスタマイズ欄811、戻る欄812、消去欄813が設けられている。
モード選択メニュー806が表示された際、現在の演出モードに対応する演出モード欄が強調されており、ここでは図20(b)中に示すように、演出モード1欄807が反転表示されている。この状態から演出モード3に変更する場合、遊技者は下カーソルキー83aを2回押圧し、反転表示位置を、演出モード1欄807から、演出モード2欄808、演出モード3欄809の順に移動させる。そして、操作ボタン82を押圧操作し、演出モード3の選択を決定する。なお、上カーソルキー83bによっても演出モードの選択は可能であり、この場合には、遊技者が上カーソルキー83bを押すごとに、反転表示位置が、演出モード1欄807から、消去欄813、戻る欄812、聴覚演出カスタマイズ欄811、視覚演出カスタマイズ欄810、演出モード3欄809、演出モード2欄808の順に移動する。
そして、遊技者が反転表示位置を消去欄813へ移動させて操作ボタン82を押圧すると、演出モードの変更のための操作入力が完了し、モード選択メニュー806が消去される。そして、背後で半透明化されていた画像が元の濃度に戻され、変動期間中の演出が容易に視認できるようになる。遊技者が、演出モードが変更されたことを確認できるのは、そのときの変動パターンの進行が、次の区間に移り変わり、例えば画像演出の背景画像が、海辺の画像から市街地の画像に切換ったり、BGMや各種SE(効果音)が演出モード1のものから演出モード3に切換ったりしたときである。
<ぱちんこ遊技機の背面構成及び電気的構成の概要>
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。図2に示すように前枠12の背面には、遊技球を誘導又は回収するための機構を備えたセット基盤39が取着されており、このセット基盤39の下方に、遊技機全体に電源を供給するための電源ユニット48、遊技機枠側の制御を行う払出制御基板45が取り付けられている。また、遊技盤背面には、遊技全体を統括制御するメイン基板102、メイン基板102から受信される情報や独自に入力される情報に基づいて液晶ユニット42(演出図柄表示装置60)等の各種演出装置の動作を制御するサブ基板104がセット基盤39の開口に対応するような位置に取り付けられている。
セット基盤39には、その上部に賞球を貯留する賞球タンク44、賞球タンク44に貯留された遊技球を整流案内する賞球通路、賞球通路と連絡し賞球タンク44内に貯留された球を1球単位で下方に流下排出可能な払出ユニット43、払出ユニット43から流下された遊技球を賞球として球皿(上球皿15又は下球皿16)に案内する賞球排出通路が図2のように遊技盤の上方から背面視右側部に亘って逆L字状に形成・配置されるとともに、遊技盤の背面中央に対応する位置に適宜広さの開口部が設けられている。
電源ユニット48は図2のように遊技機の背面視左下に設けられており、遊技機外部から供給される交流電源を遊技機全体(メイン基板102、サブ基板104を含む制御装置や液晶ユニット42等の演出装置など)で使用する各種の電圧に変換・生成して供給するものである。電源ユニット48の右側には、電源ユニット48から遊技機各部へ供給する電源を遮断するために傾倒スイッチで構成される電源スイッチ40が、遊技球が直撃落下してもオフにならないように、下側に傾倒したとき(スイッチの中央より下を押したとき)にオンとなるように設けられている。
払出制御基板45は、図2のように遊技機の背面視右下に設けられており、主に、メイン基板102からの払出に係る指令や外部からの貸出要求に応じて払出ユニット43を制御する払出制御機能と、発射ハンドル17の操作量に応じた強度で遊技球を遊技領域に発射するように発射装置を制御する発射制御機能とを備えたものであり、CPU・ROM・RWM(リードライトメモリ、以下略。)を中心に適宜入出力回路等を備えている。
メイン基板102は、図2のように遊技盤50の背面視中央下部に設けられており、主に、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63へ入賞したことに基づく抽選処理等、遊技機の出球に関する処理や、サブ基板104、払出制御基板45等に対する制御指令(制御コマンド)、遊技状態情報等を出力する処理など、遊技機全体の中心的な制御機能を備えたものであり、前述の払出制御基板45と同様にCPU・ROM・RWMや適宜入出力回路を備えている。
サブ基板104は、図2のように遊技盤の背面視中央上部に、液晶ユニット42と一体的に設けられており、主に、液晶ユニット42(演出図柄表示装置60)における表示内容を制御する機能を備えたものであり、先のメイン基板102、払出制御基板45と同様にCPU・ROM・RWMや適宜入出力回路を備えている。なお、サブ基板104は画像を制御する機能を有する関係上、サブ基板用の主CPUに加え、画像用のVDP、VDPを制御する画像制御専用のCPUも搭載している。
そして、これらのメイン基板102、払出制御基板45、およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。なお、メイン基板102、払出制御基板45、およびサブ基板104の詳細ついては後述する。また、サブ基板104については、演出制御の主体的な機能を担う主演出制御基板(本実施例ではサブメイン基板301)と、画像作成などの特定の演出機能に特化した副演出制御基板(本実施例ではサブサブ基板302)とに分かれているが、「サブ基板」の用語はこれらを総称したものである。そして、サブメイン基板301とサブサブ基板302の詳細については後述する。
<ぱちんこ遊技機の主要な機能ブロック及び機能の概要>
図3は、第1実施例のぱちんこ遊技機10における遊技制御装置100と、遊技制御装置100に対する入出力機器とを機能ブロックにより示している。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ19、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。なお、実際には遊技制御装置100の機能の一部として存在する払出制御基板45及び、この払出制御基板45により制御される部分の機能については一般的なものと差がないため、図3での記載及び説明は割愛し、必要な部分については、適宜説明する。
また、本実施例においてブロック図中のブロックとして説明されている構成(特に各種の機能的手段や機能的部分)については、CPUやROM、RWMによって実現されている機能に該当するものが含まれている。
<ぱちんこ遊技機の電気的構成の詳細>
次に、前述の各電気的構成(図2,図3参照)のうち主要なものについて説明する。先ず、図4に示すように、ぱちんこ遊技機10には、電源基板251、払出制御基板45、メイン基板102、及びサブ基板104が備えられている。電源基板251には、上記払出制御基板45等が接続されている。払出制御基板45には、上記メイン基板102、遊技球等貸出装置接続端子板252、及びハンドル接続基板253等が接続されており、メイン基板102には、遊技盤接続基板254や、演出インターフェースA基板(図示略)等が接続されている。そして、遊技盤接続基板254には、図柄表示基板256が接続されている。
ここで、電源基板251は、前述の電源ユニット48に備えられている。また、払出制御基板45には、図示を省略するが、エラーの種別の表示などに用いられる状態表示部や、球貸しに係る金銭処理や球貸処理を実行するカードユニットなども接続されている。さらに、遊技球等貸出装置接続端子板は、球貨操作に用いられる球貨操作基板(図示略)等が接続される。ハンドル接続基板253には、発射装置のタッチスイッチ(図示略)や発射停止スイッチ(図示略)等が接続される。また、遊技盤接続基板254には、図柄表示基板256のほか、前述の通過検出装置69、普通電動役物ソレノイド76、第1大入賞口91の入賞検出装置78や大入賞口ソレノイド80、第2大入賞口92の入賞検出装置79や大入賞口ソレノイド81、一般入賞検出装置73,磁気センサや電波センサ(図示略)等が接続されている。さらに、図柄表示基板256は、前述の特別図柄等表示装置53に備えられているものであり、図柄表示基板256には、第1特別図柄表示装置70や第2特別図柄表示装置71が設けられている。
前述の演出インターフェースA基板は、メイン基板102と他の機器とを中継するものであり、この演出インターフェースA基板には、サブ基板104や、演出インターフェースB基板(図示略)が接続されている。また、サブ基板104には、前述の液晶ユニット42が接続されている。
演出インターフェースB基板は、演出インターフェースA基板やサブ基板104と他の機器とを中継するものであり、この演出インターフェースB基板には、図示を省略するが、プラ枠接続基板、各種の枠電飾基板、各種の枠モータ、センター飾り64の各種電飾基板、可動演出部材93,94の各種の可動体モータ等が接続されている。ここで、枠モータは、遊技機枠に備えられた可動演出部材(図示略)の駆動に用いられるものである。
プラ枠接続基板には、上球皿15や下球皿16に設けられた皿電飾接続基板259、各種スピーカ19に接続される各種スピーカ接続基板のうちの下スピーカ接続基板260が接続されており、皿電飾接続基板259には、演出ボタン基板261が接続されている。演出ボタン基板261は、操作ボタン82が備えられたボタン装置に設けられているもので、操作ボタンが押圧操作されたことを検出するスイッチ(図示略)や、後述する操作ボタン用発光体82a(図13参照)等を搭載している。
次に、電源基板251やメイン基板102等の構成について説明する。図4に示すように、メイン基板102には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRWM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路(図示略)が内蔵されている。なお、ROM502としては、内蔵されたものと外付けされたものを併用してもよい。
RWM503は、ぱちんこ遊技機10の電源の遮断後においても電源基板251からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RWM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリア(図示略)の他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電(瞬間的な電圧降下による停電を含む)などの発生により電源が遮断された場合(電断が生じた場合)において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてぱちんこ遊技機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込処理(電源断処理(図19参照、後述する))によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時の制御開始処理(図16参照、後述する)において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)504には、停電等の発生による電源遮断時に、電源基板251の停電監視回路部542(後述する)からの電断信号が入力されるように構成されており、その電断信号がCPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御基板45において、演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRWM513とを備えている。
払出制御基板45のRWM513は、メイン基板102のRWM503と同様に、ぱちんこ遊技機10の電源の遮断後においても電源基板251からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RWM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてぱちんこ遊技機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、メイン基板102のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路部542から停電信号が入力されるように構成されており、その停電信号がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
サブ基板104は、サブメイン基板301と、サブサブ基板302とにより構成されている。このうちサブメイン基板301は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRWM523と、入力ポート527と、出力ポート528、バスライン(図示略)などを備えている。そして、入力ポート527の入力側にはメイン基板102の出力側が接続され、入力ポート527の出力側には、CPU521、ROM522、ワークRWM523、及び出力ポート528などが接続されている。また、サブメイン基板301には、後述する音力制御に音制御回路820が備えられている。この音制御回路820の構成や機能の詳細については後述する。
サブサブ基板302は、ビデオRWM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート530と、出力ポート529と、バスライン(図示略)などを備えている。そして、入力ポート527の入力側にはサブメイン基板301の出力側が接続され、入力ポート530の出力側には、ビデオRWM524、キャラクタROM525と、画像コントローラ526、及び出力ポート529が接続されている。
サブメイン基板301のCPU521は、メイン基板102から送信される図柄表示用の演出制御コマンド(指令)に基づいて演出図柄表示装置60の表示を制御する。ROM522は、CPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRWM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
サブサブ基板302のビデオRWM524は、演出図柄表示装置60に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRWM524の内容を書き替えることにより、演出図柄表示装置60の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、演出図柄表示装置60に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRWM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRWM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出し、更に予め優先順位を定めたレイヤの順に図柄を重ねて演出図柄表示装置60に表示させるものである。
電源基板251は、ぱちんこ遊技機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路部542と、初期化スイッチ(RWMクリアスイッチ)544を有する初期化スイッチ回路部543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、メイン基板102や払出制御基板45等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される所定の電圧を取り込み、各種スイッチ、モータ、ロジック回路等を駆動するための所定量の電圧をメイン基板102や払出制御基板45等に対して供給する。
停電監視回路部542は、停電等の発生による電源遮断時に、メイン基板102のCPU501のNMI端子504、及び払出制御基板45のNMI端子514へ停電信号を出力するための回路である。停電監視回路部542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定(例えば30ボルト)の電圧を監視し、この電圧が所定電圧未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、電断信号をメイン基板102及び払出制御基板45へ出力する。電断信号の出力によって、メイン基板102及び払出制御基板45は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定電圧が所定電圧未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、メイン基板102及び払出制御基板45は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
なお、停電監視回路部542は、電源基板251以外の部位に配置することも可能である。例えば、メイン基板102上に停電監視回路部542を形成して、メイン基板102上において停電監視回路部542からCPU501のノンマスカブル割込み端子(図示略)に電断信号を入力してもよい。また、払出制御基板45への電断信号の入力を省略することも可能である。
初期化スイッチ回路部543は、電源投入時に例えば遊技場店員等によって初期化スイッチ544が押下された場合に、メイン基板102及び払出制御基板45へ、バックアップデータをクリアするためのRWM消去信号を出力する回路を備えている。メイン基板102及び払出制御基板45は、ぱちんこ遊技機10の電源投入時に、RWM消去信号を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア503a,513aのデータをクリアする。
<メイン基板における制御処理>
次に、メイン基板102の主要な制御処理について説明する。ここで説明するのは、制御開始処理(図16及び図17参照)、遊技進行割込み処理(図18参照)、及び電源断処理(図19参照)である。なお、説明に先立ち、以下で用いる「特別電動役物」、「条件装置」、「役物連続作動装置」の用語について説明する。これらは何れもぱちんこ遊技機10の制御処理における概念上の機器を表しており、これらのうち「特別電動役物」は、第1大入賞口91、第2大入賞口92を作動させることとなるものである。また、「条件装置」は、第1特別図柄192若しくは第2特別図柄193が特定の組み合わせで表示された場合に作動するものであり、「役物連続作動装置」は、特別電動役物を連続して複数回作動させることができるものである。
<<制御開始処理>>
ぱちんこ遊技機10の電源スイッチ40が操作されて電源が投入され、電力の供給が開始されると、CPU501の製造コードを利用したセキュリティチェックが行われた後に、図16及び図17に示す制御開始処理が開始される。この制御開始処理においては、電源投入時に必要な設定(S1〜S4)を実行後、初期化スイッチ544の操作状態の確認(S5)、電断時状況確認処理(S6〜S8)における電源断情報フラグの値、及びRWM領域の加算結果(チェックサムデータ)に対応して、電源断復帰時の処理(S9〜S23)、RWMの初期化時の処理(S24〜S28)、循環処理(S29〜S32)等を実行する。
また、制御開始処理においては、循環処理(S29〜S32)の直前で、遊技進行割込み用の計時設定の処理(S27)が実行される。この遊技進行割込み用の計時設定の処理(S27)においては、遊技進行割込みを起動させるため、対応するカウンタ設定レジスタに所定の大きさのカウント値をセットし、遊技進行割込みを例えば4ms毎に発生させる。
<<<循環処理>>>
前述の循環処理循環処理(S29〜S32)においては、遊技機の管理を行うため、先ず、割込みを禁止する(S28)。さらに、割込み処理時間監視手段を再帰させる準備のため、割込み処理時間監視手段クリアレジスタに第1再帰情報となる所定の値をセットする(S29)。そして、初期値乱数更新処理を実行し(S30)、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新する。この後、割込みを許可した後(S31)、再度割込み禁止(S28)の処理に戻り、それ以降の処理(S28〜S31)を順次繰り返して制御処理を循環させる。
割込み許可(S28)が実行される毎に前述の遊技進行割込みが可能となり、遊技進行割込み処理は、S27で設定された周期情報に基づいて、所定の周期(ここでは4ms周期)毎に繰返される。また、本実施例においては、通常の電源投入や停電等からの電源復帰の直後において、周期情報の設定(S27)から遊技進行割込み処理の実行までの時間が4msであるのに対し、電力供給の開始から、或いは循環処理の開始から初期値乱数更新処理(S30)が実行開始されるまでの時間は例えば数十〜数百μsとなっている。したがって、電力供給開始後、最初に前記割込み用計時処理を起動してから遊技進行割込み処理が発生する前までの間に少なくとも4回以上は初期値乱数更新処理を実行する。
<<遊技進行割込み処理>>
次に、遊技進行割込み用の計時設定(S27)の処理において設定された周期情報に基づき4ms周期で繰返される遊技進行割込み処理について説明する。図18に示すように、遊技進行割込み処理においては、割込み動作条件の設定(S41,S42)、割込み処理時間監視手段の再帰(S43)、遊技機の管理(S45〜S68)、割込みの許可(S69)を順に行い、遊技進行割込みが発生する前の処理に復帰させる。
具体的には、割込み動作条件の設定の処理(S41,S42)においては、割込みフラグをクリアするため、割込み動作条件設定値が、遊技進行割込み制御レジスタに格納され(S41)、割込み動作条件設定値が、所定の入力端子に対応した制御レジスタにセットされる(S42)。この後、第2再帰情報がセットされ(S43)、更に第2再帰情報が割込み処理時間監視手段レジスタにセットされる(S44)。第2再帰情報は、後述するように、先にセットされた第1再帰情報とともに、割込み処理時間監視手段の監視用計時を再帰させてリスタートさせるための条件となるものである。
遊技機の管理(S45〜S68)においては、遊技機の管理を行うため、以下の処理を順に実行する。先ず、特定の信号の入力を監視するため、入力処理(S45)を実行する。ここで監視の対象となっているのは、遊技盤面に取り付けられている各種スイッチ、受け皿満タンスイッチ、開放信号、磁気検知信号、電波検知信号、ガラス未検出信号、及び断線短絡電源異常検知信号である。
続いて、各種乱数更新処理(S46)を実行し、普通図柄変動パターン乱数、及び変動パターン乱数を更新する。さらに、初期値更新型乱数更新処理(S47)を実行し、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数を更新する。次に、初期値乱数更新処理(S48)を実行し、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新する。また、2バイトタイマの更新を行うため、タイマ減算処理(S49)を実行し、第2始動入賞口63の有効期間を設定するため、第2始動口の有効期間設定処理(S50)を実行する。
さらに、入賞監視処理(S51)が実行され、賞球を払い出す回数の記憶、盤用外部情報の出力要求の作成、及びサブ基板104に送信するコマンドの送信要求が行われる。続いて、払出制御基板45を制御するため、賞球制御処理(S52)を実行する。
次に、遊技球が普通図柄作動ゲート(作動口68)を通過したとき、普通図柄に係る乱数を記憶するため、普通図柄作動ゲート監視処理(S53)を実行し、普通図柄表示装置又は普通図柄電動役物に係る処理を行うため、普通図柄制御処理(S54)を実行する。さらに、普通図柄の変動開始の監視を行うため、普通図柄変動開始監視処理(S55)を実行する。また、遊技球の第1始動入賞口62及び第2始動入賞口63の入賞の監視を行うため、始動口監視制御処理(S56)を実行し、第1特別図柄表示装置70又は第2特別図柄表示装置71に係る処理を行うため、特別図柄制御処理(S57)を実行する。続いて、特別電動役物に係る処理を行うため、特別電装役物制御処理(S58)を実行し、第1特別図柄192及び第2特別図柄193の変動開始の監視を行うため、特別図柄変動開始監視制御処理(S59)を実行する。
次に、磁気の監視、断線・短絡・電源の監視、電波の監視、ガラス枠セット・遊技盤の枠の開閉状態の監視、及びペアガラスの監視を行うため、異常検知処理(S60)を実行し、入球通過時間異常の検出を行うため、入球通過時間異常検出処理(S61)を実行する。さらに、特別電動役物が連続して作動する回数、エラー状態、普通図柄表示装置の作動保留球数、及び特別図柄表示装置の作動保留球数の表示要求を行うため、遊技状態表示処理(S62)を実行し、普通電動役物ソレノイド、第1大入賞口開放ソレノイド、及び第2大入賞口開放ソレノイドの出力データの出力を行うため、ソレノイド出力処理(S63)を実行する。また、特別図柄の表示、普通図柄の表示、特別図柄表示装置(70,71)の作動保留球数の表示、普通図柄表示装置の作動保留球数の表示、遊技状態の表示、特別電動役物が連続して作動する回数の表示、及びエラーの表示を行うため、LED出力処理(S64)を実行する。
続いて、遊技球の発射の禁止/許可の信号を出力するため、発射制御信号出力処理(S65)を実行し、試験装置に出力する信号を作成し出力するため、試験信号出力処理(S66)を実行する。さらに、演出制御コマンドを送信するため、演出制御コマンド送信処理(S67)を実行し、外部端子に信号を出力するため、外部情報出力処理(S68)を実行する。
この後、割込み許可(S69)が実行され、制御処理がリターン(RET)に抜ける。そして、次回の遊技割込みが実行されるまでの残余時間を利用して、制御開始処理の前述の循環処理順(S32)が実行される。
<<<初期値乱数更新処理>>>
初期値乱数更新処理については、制御開始処理で実行される初期値乱数更新処理と同じプログラムモジュールが用いられているが、乱数関係値の更新の周期が遊技進行割込みの周期(ここでは4ms)となる点で、制御開始処理中に実行される場合とは異なっている。
<<電源断処理>>
次に、電源断が生じた場合に実行される電源断処理について説明する。図19に示すように、電源断処理においては、全使用レジスタのデータをRWMに退避し(S81)、電源断前の割込み許可/禁止の状態を保存する(S82)。さらに、RWMに電源投入正常の情報が保存されているか否かが判定され(S83)、保存されていない場合には(S83:NO)、電源断以上の情報をRWMに保存し(S84)、RWMアクセス禁止の処理(S88)へ移る。一方、保存されている場合には(S83:YES)、スタックポインタの値をスタックポインタバッファに保存し(S85)、電源断正常の情報をRWMに保存し(S86)、RWMのチェックサムを算出し、チェックサムデータを保存する(S87)。そして、RWMをアクセス禁止とし(S88)、制御処理をループさせながらCPU501のリセットを待つ。
また、この電源断処理においては、前述した第1再帰情報及び第2再帰情報の双方の設定が済んでいなかったとしても、CPU501が強制再帰手段として機能し、第1再帰情報及び第2再帰情報の設定が行われ、割込み処理時間監視手段の監視用計時が強制的に初期化され、計時が再帰させられる。さらに、この強制的な第1再帰情報及び第2再帰情報の設定は、本実施例では、電断処理開始直後であって、全使用レジスタの退避の処理(S81)よりも前のタイミングで行われている。そして、電力供給が再開された場合には、監視用計時が再帰した状態で、制御処理が開始される。つまり、電源断発生時に監視用計時を強制的に再帰させておくことにより、電力供給を再開した直後の制御処理において、監視用計時が再帰しないまま、制御処理が進行することを防止できるようになっている。
<メイン基板及びサブ基板の機能的構成>
次に、メイン基板102及びサブ基板104について機能的な側面から説明する。本実施例におけるメイン基板102は、図5に示すように、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、条件保持手段176、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、小当り遊技制御手段330、事前情報通知手段157、コマンド送信手段332を備える。
一方、本実施例におけるサブ基板104は、前述のようにサブメイン基板301とサブサブ基板302とにより構成されており、このうちサブメイン基板301は、図6中に示すように、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134を備える。また、サブメイン基板301は、コマンド受信手段304、演出態様送信手段305を備える。さらに、サブ基板104には、スピーカ出力等の制御を行う音制御手段312と、遊技効果ランプ出力等の制御を行う光制御手段313とが備えられている。さらに、音制御手段312は、前述の音制御回路820等を含んで構成されているものであり、機能的構成として、音出力構成手段314、手動音量変更手段315、自動音量変更手段316等を備えている。また、自動音量変更手段316には、基準値(閾値)記憶手段317、基準値変更手段318等が備えられている。なお、音制御手段312の詳細については、前述の音制御回路820の詳細とともに後述する。
なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブメイン基板301に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブメイン基板301に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブメイン基板301ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブメイン基板301の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブメイン基板301への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブメイン基板301に配置される。このようにメイン基板102からサブメイン基板301へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブメイン基板301に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブメイン基板301へ一方的に送信しない限りサブメイン基板301から参照することはできない。
また、サブサブ基板302は、サブメイン基板301と同じく図6中に示すように、演出態様受信手段308、演出実行手段309などを備えている。
<<メイン基板の主要な機能>>
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動入賞口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動入賞口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
第1始動入賞口62への入球に対応する第1の抽選を実行する第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114、第1図柄決定手段320を含む。第2始動入賞口63への入球に対応する第2の抽選を実行する第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119、第2図柄決定手段322を含む。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cの変動表示の形で示される。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cの変動表示の形で示される。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段132へ送信する。
第1抽選値取得手段112は、第1始動入賞口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動入賞口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。本実施例では、第1当否抽選値及び第2当否抽選値として取得する乱数は、ハードウエアで構成された1の生成装置を共用したハードウエア乱数とソフトウエアの乱数生成プログラム(割込毎に更新するカウンタ等)により抽出したソフトウエア乱数とを演算(加算)した2段構成の乱数発生手段により生成されている。ちなみに、取得タイミングが全く同一であれば第1始動口の入球に基づくハードウエア乱数の値と第2始動口の入球に基づくハードウエア乱数の値とは同一の値が取得されるため一方の乱数取得系のみが故障して想定外の遊技確率とならないように設計されている。第1抽選値取得手段112および第2抽選値取得手段115が第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。
図7は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、はずれの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、本判定としての当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段113による第1の抽選と第2当否判定手段117による第2の抽選のいずれにおいても、通常時には当否抽選値が0〜299の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜299の範囲に該当する場合だけでなく、300〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよいし、第1の抽選用と第2の抽選用とで別個に用意してもよい。また、本実施例では当否判定テーブルと当否抽選値との比較を行ったが、判定テーブルではなく、当選値そのものと抽選値とを比較する手法や設定値との演算により当否の判定を行う手法を採用しても良い。
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆるはずれとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、第1当否判定手段113が取得する当否抽選値が56500〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなり、第2当否判定手段117が取得する当否抽選値が64000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。すなわち、第2の抽選よりも第1の抽選の方が小当りに該当する範囲が広く、小当りが発生しやすい。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「はずれ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「はずれ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
図5に戻り、第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。
図8は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図8(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図8(b)は当否判定結果がはずれであった場合に参照するテーブルであり、図8(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および文字以外の記号α、記号βで表される特別図柄と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、はずれの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、記号α、記号βがはずれに対応する。なお、本実施例では記号α、記号βは何れも限定変動パターン演出に対応付けられているが、はずれに限定変動パターン演出に対応づけられていない記号(例えば、「−」(ハイフン)など)を付加してもよい。このようにすることにより、はずれの場合における限定変動パターン演出の発生確率を更に細やかに設定できるようになる。例えば、記号「−」の図柄抽選値の割合を、記号α及び記号βの割合よりも十分に大きく設定することにより、はずれの殆どの場合は限定変動パターン演出が実行されないという遊技制御を実現できる。
図8(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は確変を伴う15R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「0〜99」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「0〜144」に対応付けられる。特別図柄「3」は確変を伴う2R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「100〜149」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「145〜149」に対応付けられる。特別図柄「1」「5」「9」は確変を伴わない15R大当りを示し、第1図柄抽選値および第2図柄抽選値がともに「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。
図8(b)に示す通り、記号αは図柄抽選値の範囲「0〜122」に対応付けられ、記号βは図柄抽選値の範囲「123〜255」に対応付けられる。
図8(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられ、特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
図5に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターン選択基準として複数の変動パターンテーブルをそれぞれ保持または共有する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。複数の変動パターンテーブルは、変動パターンと抽選値との対応関係としてそれぞれ変動時間の選択傾向が異なるように定められている。
複数の変動パターンテーブルには、他の変動パターンテーブルとは演出内容の傾向が異なる選択基準である限定変動パターンテーブルが含まれる。限定変動パターンテーブルは、第1図柄決定手段320により決定された第1特別図柄192が小当りに該当した場合に、その小当り遊技終了後の限定的な期間において参照される。
図9は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、当否判定結果がはずれのときは図9(a)に示されるはずれ用の変動パターンを参照する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターン判定において本図の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図9(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図9(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
図9(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果がはずれの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、はずれ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、はずれ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図10において説明する。
図9(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
図9(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
図5に戻り、普図抽選手段136は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段136による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段136は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段136は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動入賞口63の普通電動役物65を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は表示領域194にも表示される。
第2保留手段146に保留された抽選値は第1保留手段144に保留された抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1保留手段144に大当りの抽選値が保留されていても第2保留手段146に保留がある限りは第1保留手段144の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1保留手段144に大当りの保留があっても、さらに第2保留手段146へ大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。
第1特図制御手段148は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段150は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合、第2保留手段146によって保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
条件保持手段176は、大入賞口の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための条件として特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件は、第1の抽選または第2の抽選で特別遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したことを条件の内容とする。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において第1大入賞口91または第2大入賞口92を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
小当り遊技制御手段330は、第1抽選手段126による第1の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより小当り遊技を実行する。同様に、小当り遊技制御手段330は、第2抽選手段128による第2の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより小当り遊技を実行する。小当り遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回行う遊技であり、2回の開閉を単位とした1回の単位遊技で構成される。小当り遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92を2R大当りと同様に短時間だけ開放させる。小当り遊技制御手段330は、単位遊技を1回実行した後に小当り遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、確変および時短の状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、第1の抽選と第2の抽選のいずれの結果に起因する特別遊技であったかにかかわらずその特別遊技の終了後に必ず時短状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示回数の合計が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、たとえば100回に達するまで継続される。第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は第1当否判定手段113または第2当否判定手段117による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
事前情報通知手段157は、第1始動入賞口62に入球があった際、その入球に対応する図柄変動表示が開始されるか否かにかかわらず、その入球に対する第1抽選手段126による抽選結果を示す情報をサブメイン基板301へ送信する。また、第2始動入賞口63に入球があった際、その入球に対応する図柄変動表示が開始されるか否かにかかわらず、その入球に対する第2抽選手段128による抽選結果を示す情報をサブメイン基板301へ送信する。これらの抽選結果を示す情報を以下では「保留抽選結果」とも呼ぶこととする。保留抽選結果には、第1始動入賞口62と第2始動入賞口63のいずれへの入球かを示す情報と、事前判定結果としての当否範囲・図柄範囲・パターン範囲とが含まれる。
なお、変形例として、確変継続期間を、例えば第1特別図柄192および(又は)第2特別図柄193の変動表示の回数が特別遊技終了後に100回に達するまでのように定めることも可能である。このような方式は一般に回数切り確変やSTなどと呼ばれているが、確変継続回数の残り回数に応じて予告の演出を異ならせるといった演出が可能となる。例えば、確変継続回数の残り回数が少なくなるほど、頻繁に予告演出を実行する、保留制御手段116に保留された情報を事前判定し予告演出を連続的に実行する、といったことが考えられる。
開閉制御手段124は、第2始動入賞口63の普通電動役物65や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動入賞口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド80または大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させる。また開閉制御手段124は、通常特別遊技後の確変状態および時短状態においては第2始動入賞口63の拡開機構を通常状態に比べて長い時間拡開させる開放延長を実行する。
<<サブメイン基板の主要な機能>>
サブメイン基板301においては、メイン基板102からの各種コマンドをコマンド受信手段304が受信し、後述のように、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134などにより決定及び制御された演出態様に係る演出態様情報が、演出態様送信手段305を介して、サブサブ基板302へ送信される。
サブメイン基板301に備えられたパターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出図柄表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出図柄表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持している。
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190a〜190cの停止図柄の組合せとその配置を、第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持している。
装飾図柄190a〜190cの停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190a〜190cとして揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「7」の場合は装飾図柄190a〜190cが「777」となる。あるいは、3つの図柄の少なくとも一つに当りであることを示す特定の図柄が含まれる図柄の組み合わせによっても、その大当りを示すようにしてもよい。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きのはずれを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄190a〜190cの停止図柄組合せと装飾図柄の変動演出パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。
装飾図柄の変動演出パターンデータには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの変動過程と演出過程が定義される。変動演出パターンには、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経てから当り態様またははずれ態様である停止図柄組合せを表示するリーチパターンと、リーチ状態を経ずにはずれ態様である停止図柄組合せを表示するリーチなしパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、前述のように、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168および第2演出制御手段170を含む。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ19からの音声出力などの音出力(サウンド)に係る演出処理をさらに制御する。なお、音出力に係る制御処理の詳細については後述する。
第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果または第2抽選手段128による第2の抽選の結果を、選択された変動演出パターンデータにしたがって装飾図柄190a〜190cとして演出図柄表示装置60の表示領域194に変動表示させる。
第1演出制御手段168は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。第2演出制御手段170は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合は第2保留手段146により保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出表示制御手段134は、装飾図柄190a〜190cの変動表示を含む図柄変動演出を演出図柄表示装置60に表示させる。
図10は、はずれ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210aにおいては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
第1欄212aには、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214aa、第3欄216a、第4欄218aaに、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212a、第2欄214aa、第3欄216a、第4欄218aaが保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、はずれのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがそれぞれの分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212a、第2欄214aa、第3欄216a、第4欄218aaのいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212a、第2欄214aa、第3欄216a、第4欄218aaのいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212a、第2欄214aa、第3欄216a、第4欄218aaにはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212aでは、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214aaでは、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲よりやや小さい。また、第3欄216aでは「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなり、第4欄218aaにて「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさはまたさらに小さくなっている。
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が1から2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなしはずれ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。また、装飾図柄190の変動パターンとして、第1特別図柄192及び第2特別図柄193の各々の連続した複数回の変動に跨って適用されるような変動パターンを設定してもよい。
演出決定手段132は、事前情報通知手段157により通知された保留抽選結果を所定のバッファ領域に格納する。さらに、演出決定手段132は、メイン基板102の第1抽選手段126および第2抽選手段128から通知された本判定結果としての当該変動(その時に実行されている変動表示)に関する抽選結果と、事前情報通知手段157により予め通知されてバッファ領域に格納した保留抽選結果とにしたがって予告演出を表示させる。具体的には、将来時点において図柄変動が行われる保留抽選結果における大当りの発生有無を示唆するための前兆となる予告演出を表示させる。なお、演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するための所定の予告抽選を実行し、(例えば予め定められた確率にて)その予告抽選に当選したことを条件として、予告演出を表示させる。このように保留抽選結果中の事前判定結果に応じて設定される予告演出は「先読み演出」と呼ばれる。
また演出決定手段132は、入賞情報に設定された第1保留手段144における保留数(以下、「第1の保留数」とも呼ぶ。)と第2保留手段146における保留数(以下、「第2の保留数」とも呼ぶ。)、および、図柄変動の実行状況(すなわち保留の消化状況)に応じて、現在時点での第1の保留数および第2の保留数を特定する。演出表示制御手段134は、演出決定手段132において特定された第1の保留数および第2の保留数を、演出図柄表示装置60の第1保留数表示部196および第2保留数表示部197に表示させる。また、演出決定手段132において保留数が新たに特定されると、第1保留数表示部196および第2保留数表示部197の表示を逐次更新する。
<音出力制御に係る構成及び機能>
<<音制御手段の機能的構成>>
先ず、音出力制御を実行する音制御手段の機能的構成について説明する。図6に示す音制御手段312に備えられた前述の各手段のうち、音出力構成手段314は、それぞれ複数種類が用意されたBGM、予告SE、キャラクタSE、及び役物SEなどの音出力構成要素のうちから、実行される演出パターンに対応づけられたものを選択し、複数チャンネル(ここでは16チャンネル)を利用して出力する。例えば、遊技状況や選択された演出パターンに応じて、各種BGMのみが出力されている場合、BGMに各種SEが連続的或いは瞬間的に重畳される場合、BGMが出音されずに各種SEのみが出音される場合、各種SEが重畳される場合、などがある。
さらに、各種SEは、音量の相対的な大小によって通常効果音である通常SEと、特定効果音である特定SEとに分けることができる。すなわち、各音出力構成要素については、音源データの開発設計の時点で、演出上求められている各々の役割に応じて音量が設定されている。そして、各種の音出力構成要素のうち、BGMは、各種演出モード中に相対的に長時間の再生が可能であり、且つ、相対的に小さい音量で出力されるよう音源データが作成されている。これに対し各種SEの音源データは、BGMに重ねられても遊技者が効果音として認識できるよう、BGMに比べて大きい音量で作成されている。
また、このような各種SEにおいても、その役割に応じて音量設計が行われており、例えば他のSEとの出音順序の関係、演出の当りに対する信頼度、対応付けられたキャラクタ(人物や物品など)の相違、或いはストーリー上の状況設定などといった諸事情に応じて、相対的に音量の小さいものと、大きいものとの音源データが備えられている。そして、このSE間の音量の相違は、SEの種類により定まるだけでなく、遊技や演出の状況によっては、音量の大小の関係が、異なる種類のSE間で入れ替わる場合もある。
例えば、多くの場合には、予告SEの音量は、キャラクタSEや役物SEに比べて大きく設定されているが、予告SEの出音の後、一回の変動期間中(一回の遊技中)、或いは複数回の連続的な変動期間中(複数回の遊技中)に演出が発展し、順次展開する演出の中でキャラクタSEや役物SEが出音されるような場合には、先に出音された予告SEの音量よりも、キャラクタSEや役物SEの音量の方が大きくなる、といった場合がある。
なお、キャラクタSEや役物SEなども、概念上広義には予告SEと捉えることが可能であり、その演出上の意味からは明確に区分するのが難しいこともある。しかし、ここでは、音源設計上の分類に応じて各種SEを、予告SE、キャラクタSE、及び役物SEなどに区分して説明している。また、サウンド全体の音量の大小はマスターボリューム(マスターボリューム調整手段)の設定により異なるが、マスターボリュームの設定は、各音出力構成要素の音量のバランスを変更しようとするものではない。
また、図6中の基準値記憶手段317は、音制御における音量の基準値(「閾値」または「スレッショルド」ともいう)を記憶するものであり、この基準値は、例えば遊技店員等が、基準値変更手段318を操作することにより変更可能なものである。また、自動音量変更手段316は、基準値記憶手段317に記憶された基準値を音量の閾値として、音出力構成要素のうち、閾値を超えたものに対して、自動的に音量を下げる。
上述の基準値変更手段318は、ぱちんこ遊技機10の背面側の、遊技店員等がアクセスできる位置に、外部入力機器(外部入力手段、或いは基準値変更操作手段)として、例えば摘み(以下「閾値変更摘み」、又は「基準値変更摘み」と称する。図22中の「基準値変更摘み836」に対応。)を有している。さらに、基準値変更手段318は、可変抵抗器(図22中の「基準値用可変抵抗器835」に対応)などを有しており、遊技店員等が上記閾値変更摘みを回して操作することにより、可変抵抗器の抵抗値を段階的に変化させることが可能である。そして、基準値変更手段318における抵抗値の変化に応じて閾値も上下する。つまり、閾値変更摘みを介した操作入力により、閾値を任意に設定でき、設定された基準値に応じて、調整対象となった音出力構成要素の音量が、基準値を超えないよう選択的に低減される。なお、本実施例において閾値の設定は、例えば85dB〜105dBの範囲で5dB毎に行えるようになっている。なお、閾値の設定は段階的なものに限定されず、連続的に行えるものであってもよい。また、本実施形態の基準値(閾値)は、マスターボリュームに対して独立したものであり、後述のようにマスターボリュームの設定を変更しても、この基準値(閾値)は変化せずに保たれる。
手動音量変更手段315は、マスターボリュームを構成するものであり、前述の基準値変更手段318と同様に、ぱちんこ遊技機10の背面側の、遊技店員等がアクセスできる位置に、外部入力機器(外部入力手段)として、例えば摘み(以下「音量変更摘み」と称する。図22中の「音量変更摘み834」に対応。)や可変抵抗器(図22中の「音量用可変抵抗器833」に対応)などを有している。そして、遊技店員等が上記音量変更摘みを回して操作することにより、可変抵抗器の抵抗値を連続的に変化させることが可能である。さらに、手動音量変更手段315による音量調整によって、ぱちんこ遊技機10から出音されるサウンド中の例えばBGMや各種SEの相互のバランスはほぼ保ったまま、音量(全体音量)が上下する。
ここで、基準値変更手段318及び手動音量変更手段315の外部入力機器(ここでは基準値変更摘みや音量変更摘み)の配置に関し、双方或いはいずれか一方の外部入力機器を、(1)ホール側(遊技店員等)のみが操作可能なように遊技機背面に設ける、(2)遊技者のみが操作可能なように遊技機前面に設ける、(3)ホール側及び遊技者の何れもが操作可能なように遊技機背面及び遊技機前面の両方に設ける、といった各種態様を採用することが可能である。特に、遊技機前面の部位としては、非接触の外部入力機器を用いる場合には、遊技盤50の盤面なども例示することができる。また、遊技者が外部入力機器を操作可能とする場合には、遊技店員等もこれを利用して音量の各種設定を行うことが可能となるので、遊技機背面には双方或いは何れか一方の外部入力機器を配置しないといった構成も採用が可能である。
この手動音量変更手段315による音量の設定は、一度行われればその後変更されないといった態様に限られるものではなく、必要に応じて変更される場合がある。例えば、工場出荷時には音量が低く抑えられ、ぱちんこ遊技機10が遊技場に設置されて営業の用に供される場合に音量が上げられる場合、ぱちんこ遊技機10の導入直後やイベントなどの催事期間中に特定の種類のぱちんこ遊技機10が強調されるよう音量が上げられる場合、等が想定される。
また、本実施例においては、前述のように、演出状態を遊技者が好みに応じて変更しカスタマイズできる機能が設けられており、このカスタマイズ機能は、演出用のサウンドによる聴覚演出にも適用されている(図20(a),(b)中の聴覚演出カスタマイズ欄811欄を参照)。さらに、本実施例における基準値の変更は、ぱちんこ遊技機10の背面側の基準値変更摘み836(後述する)を用いてのみ行えるようにしている。
しかし、これに限定されず、変形例として、聴覚演出カスタマイズにおいて、手動音量変更手段315を用いたカスタマイズ、及び、基準値変更手段318を用いたカスタマイズの双方を可能としてもよい。例えば、遊技者が、図20(b)に示すメニュー画面を見ながら、図13中に示す十字キー83を操作して聴覚演出カスタマイズ欄811を選択すると、例えば図21に示すような聴覚演出カスタマイズメニュー814を表示する。そして、右カーソルキー83c又は左カーソルキー83dを操作して、音量変更欄815又は基準値変更欄816を選択し、更に下カーソルキー83a又は上カーソルキー83bを操作して対応する矢印815a(又は矢印816a)を上下に移動させて、設定したいレベル値に合せ、決定キー(操作ボタン82)を押してレベル値を決定することにより、音量や基準値のカスタマイズが可能となっていてもよい。
<<音制御回路の機能的構成>>
前述のようにサブメイン基板301(図4参照)には、図22に示す音制御回路820を備えられている。この音制御回路820は、音源IC823、アンプ824、フィルタ825、サウンドRWM826などを備えている。さらに、音制御回路820には、音量変更回路部506や基準値変更回路部507が設けられている。
これらのうち音源IC823は、音源データに基づく再生音を出力するための音量や音質等の各種設定などを行い、アンプ824は、上記音源データをデジタル変換して増幅する。また、フィルタ825は、アンプ824によって増幅された音源データにおける各周波数のうち、特定帯域の周波数を減衰させ、サウンドRWM826は、一時的に音源データを記憶する。
上記音源IC823は、CPU521からの命令(指令)に応じて、アンプ824と、アンプ824に対応して設けられるスピーカ19から再生音を出力(出音)するための設定を行う。音源IC823には、遊技に関連して出音される音(遊技音)の基となる音源データが記憶されたROM822(例えば、サウンドROM)が接続されている。そして、音源IC823は、CPU521からの命令に応じて、サウンドROM822から取得した音源データをアンプ824でPWM変換することによってパルス幅を変調させたPWM信号を生成して増幅させ、対応するフィルタ825に送信する。
また、音制御回路820には、入出力インターフェース821を介して複数のスピーカ19が接続されている。これらスピーカ19は、CPU521による制御に応じて音制御回路820が出力する音源データに基づく音(再生音)を出力(出音)する。なお、本実施例では、スピーカ19として、高音用左右スピーカと低音用スピーカとで構成される高音質のステレオ仕様のものが採用されている。そして、アンプ824は、高音用アンプ827と低音用アンプ828とで構成されており、アンプ824とスピーカ19との間に接続されるフィルタ825についても同様に、高音用スピーカと低音スピーカとにそれぞれ対応し、高音用フィルタ829と低音用フィルタ830とで構成されている。
さらに、音量変更回路部506は、図6中に示す手動音量変更手段315を構成する音量変更回路部831や、自動音量変更手段316を構成する基準値変更回路部832を備えている。また、音量変更回路部831は、前述したように、音量用可変抵抗器833や音量変更摘み834を備えており、基準値変更回路部832は、同様に基準値用可変抵抗器835や基準値変更摘み836を備えている。なお、各可変抵抗器833,835や各変更摘み834,836を、音源IC823等が実装された基板(例えばサブメイン基板301に搭載してもよく、音源IC823等とは別の基板に搭載してもよい。また、各可変抵抗器833,835や各変更摘み834,836を搭載する専用の基板を設けてもよく、更に各可変抵抗器833,835や各変更摘み834,836の基板を互いに分離して異なる位置に配設することも可能である。また、両摘み834,836を同軸に設けて、例えば外側の摘みを回せば基準値が変更され、内側の摘みを回せば音量が変更される、といった構成としたり、切換スイッチを介在させて共通の摘み音量用と基準値用に兼用する構成としてもよい。
<<音源ICの特徴的機能>>
次に、音源IC823の特徴的機能について説明する。本実施例の音源IC823は、最大16チャンネルの制御が可能であり、BGM、予告SE、キャラクタSE、及び役物SEなどの音出力構成要素が、演出内容に応じ選択されて各チャンネルに振り分けられる。また、音源IC823は、各チャンネル毎に音量の調整を行うことが可能な個別音量調整機能のモジュールが備えられており、上述のBGM、予告SE、キャラクタSE、役物SEなどの音出力構成要素毎に音量を変化させることが可能である。
さらに、個別音量調整機能は、所定の閾値(スレッショルド)を前述の基準値として自動的に作動するものであり、何れかの音出力構成要素における音源データの入力レベルが閾値を超えることが、出音に先だって予め判断されて検出された場合に、当該音出力構成要素がキーインソースとされ、当該音出力構成要素の音源データに対し、再生音が規定された音量(個別最大音量)を超えて出力されないよう制限処理を施す。つまり、音出力構成要素毎に音量レベルが予め監視されており、何れかの音出力構成要素の音量レベルが上記閾値を超過する(或は上記閾値に達する)といった所定条件を満たすことが、出音予定の音源データから判定された場合に、当該音出力構成要素がキーインソースとして扱われ、更にキーインソースである当該音出力構成要素自体が、調整対象となるターゲットとして決定される。そして、ターゲットとなった音出力構成要素の音量が下げられ、個別最大音量を超えないよう、当該音出力構成要素の出音が実行される。ここで、「キーインソース」の用語は、音量調整の契機となる音源といった意味で用いられており、「ターゲット」の用語は、音量調整の処理対象といった意味で用いられている。
図23(a)及び図23(b)は、音源IC823が、音出力構成要素の一つである予告SE(波形に符号841を付して示す)をターゲットとし、この予告SE841の音量を低下させる際の制御内容を説明するためのものである。そして、図23(a)は、同図(b)との比較のために個別音量調整が行われない場合を示しており、図23(b)は、本実施例の音源IC823により個別音量調整が行われる場合を示している。
図23(a)及び(b)中、横軸は時間を表し、縦軸は音量を表している。また、図中の説明対象としている期間中、BGM(波形に符号842を付して示す)の出力が連続して行われているものとする。ここで、図示及び説明を簡略化するために、図中では、BGM842の音量の波形を正弦波により単純化して示している。また、音源IC823による個別音量変更(個別音量調節)とは別に、前述の手動音量変更手段315(図6等参照)による全体音量調節(全体音量調節)も行われており、ここでは手動音量変更手段315は、音量が最大となるよう設定されているものとする。さらに、本実施例では、符号843で示すように閾値が設定されており、ここでは閾値の値は例えば95dBに設定されている。
図23(a)中に示すように、遊技中において、BGM842に比べて相対的に音量のピーク値が高い予告SE841が瞬間的に出力される場合がある。この予告SE841の音量は、マスターボリュームの最小から最大までの全調整域において、BGM842等と重なっても十分に迫力ある音響効果が得られるよう、相対的に大きく設計されている。このため、図23(a)に示す自動音量調整が行われない例においては、予告SE841の音量のピーク値が閾値843を超えることになる。ここで、図23(a)に示す例では、予告SE841の音源データとしての音量は、マスターボリュームが最小程度に調整されていれば閾値843を超えないが、それ以上である中程度或いは最大程度に調整されている場合には、閾値843を超えるものとされている。
これに対し、図23(b)に示す個別音量調整が行われる例においては、予告SE841が出力される際、そのピーク値が閾値843を超えることが事前に判定されると、予告SE841の波形は、高低差(ピーク値とボトム値の差)を保ったまま、そのピーク値が閾値843を下回るよう全体的に下げられる。この際、調整対象とならないBGM842については、図23(a)の自動音量調整を行わない場合と同様のまま保たれて据え置かれ、BGM842の音量と予告SE841とのバランスは、自動音量調整を行わない場合と比べて崩されることとなる。しかし、全体の音量は、予告SE841が調整されたことにより、自動音量調整を行わない場合に比べて低下する。
ここで、全体の音量は、各音出力構成要素の音量(音圧レベル(dB))の総和や相加平均(算術平均)となるわけではなく、和のdB値により求まる合成音圧レベルとなる。したがって、一部の音出力構成要素の音量を閾値843以下に抑えたとしても、音出力構成要素の音量値の組み合わせによっては、音出力全体としての音量が閾値843(ここでは95dB)を超えてしまうことがある。
すなわち、本実施例の音源IC823により実行される自動音量調整は、全体としての音量を絶対的に閾値843以下に抑制しようとするものではなく、閾値843を変更可能な目安とするとともに、音出力構成要素のうち、閾値843を超えるものをターゲットとして音量を低下させ、それ以外の音出力構成要素については、音量を変化させないものである。そして、音源IC823は、ターゲット以外の音出力構成要素の音量や波形を維持することによって、音量調整の必要のない音出力構成要素の音量をむやみに下げることはせず、可能な限りターゲット以外の音出力構成要素には加工を加えずに音量を下げようとするものである。
なお、ここでいう音量は、各音出力構成要素の最大瞬間音量、算術的音量(例えば実効値や平均値などのように算術により求まる音量)、瞬間最小音量の何れをも含むものである。さらに、予告SE841の波形を全体的に下げるために、予告SE841の全域にわたって音量のデジタル値から一定数(例えば所定dB値など)を各々減算して音源データの変換を行い、この変換後の音源データに基づいて音出力を行う、などの手法が採用可能である。
また、自動音量調整の対象となる音出力構成要素は、一つのみではなく、同時に重なる複数の音出力構成要素の音量が基準値を超える場合には、これら複数の音出力構成要素の個々に対して基準値が適用され、自動音量調整が行われる。同時に自動音量調整できる音出力構成要素の数は、例えば同時に出音できるチャンネル数や、仮想トラックが設定されている場合には、チャンネル数×仮想トラック数に相当する数に対応させることが考えられる。また、複数の音出力構成要素に対して基準値を適用する際には、音出力構成要素毎に基準値の値を異ならせることも可能であり、このようにした場合には、音量を抑制しながら、より多様なバランスで複数の音出力構成要素を出音することが可能となる。
一般に、音響信号処理の手法として、コンプレッサ処理、リミッタ処理、ノーマライズ処理など種々のものが知られている。例えば、コンプレッサ処理は、音の強さの差を縮小するものであり、閾値を超えた分の音量を予め設定された比率で圧縮する。また、リミッタ処理は、音量を一定のレベル以下に抑えるものであり、コンプレッサ処理と比べると、閾値を超えた分の圧縮比が約無限大と大きく設定されている。さらに、ノーマライズ処理は、音量の均一化を図るものであり、音声データ中の最大音量を特定し目標の音量レベルに収まるよう全体の音量を調整する。そして、これらの手法は、波形の圧縮や正規化を伴い、その音質の変化は可聴レベルで表れ、通常の聴力を持った者であれば認識できてしまうものである。
図24(a)〜(d)は、一般的な各種の信号処理を施した場合の波形の違いを示しており、図24(a)は信号処理を施す前の原音の波形を示し、図24(b)は、上記原音に対してコンプレッサ処理を施した波形を示している。また、図24(c)は、上記原音に対してリミッタ処理を施した波形を示し、図24(d)は、上記原音に対してリミッタ処理及びノーマライズ処理を施した波形を示している。さらに、各図中、横軸は時間を表し、縦軸は圧縮比を表している。
先ず、図24(a)に示す原音の波形においては、出音がされた後、振幅が−6.0を超え、最大で−2.5に達している。そして、波形は、徐々に減衰しながら約0.6秒程度継続しており、その後振幅の変化が見られない平坦な状態となっている。
一方、図24(b)のコンプレッサ処理においては、アタックタイムが0.02秒に設定されており、このアタックタイムが経過してから音量の圧縮が開始されている。このため、図24(a)の原音と比べて、先頭の一瞬の波形は同様に−6.0を超えているが、直後には振幅が小さくなるよう加工されている。このような一瞬の同一性を保つことは、音量の抑制と、聴取者における音出力の印象形成との間で重要な事項となる。つまり、同一性を保つ時間を長くすれば、原音の音質を維持し易くなるが、瞬間的に閾値を超えてしまうような音源データに対しては、音量の抑制が困難になる。なお、図24(b)中、波形は、約0.1秒の時点から振幅が絞られてなだらかに減衰しているが、これは図24(a)に示す原音の減衰の態様が、コンプレッサ処理によって、そのまま縮小されることに起因している。
図24(a)の原音をコンプレッサ処理した音を試聴すると、出音の開始時である鳴り始めに一瞬強い音があり、その後は小さい音が続いていることが分かる。つまり、鳴り始めは原音と同様であるが、0.02秒以降の音が急激に小さくなり、このことにより鳴り始めのインパクトが強調され、原音との違いがその分明確なものとなっている。
次に、図24(c)のリミッタ処理においては、閾値が−6.0dBに設定されており、音量が−6.0dBを超えないよう抑制されている。このリミッタ処理においては、閾値以下(未満であってもよい)の音量には影響が及んでいない。リミッタ処理された音出力を試聴すると、図24(a)の原音や、図24(b)のコンプレッサ処理されたものと比べ、先頭部分の音量が低くなっており、サウンドとしてのインパクトが弱くなっていることが分かる。しかし、閾値を超える領域が空白化するため、他の処理と組み合わせて、リミッタ処理後の音源データの音量を上げることが可能である。
図24(d)に示すのは、リミッタ処理にノーマライズ処理を組み合わせた例である。この例では、リミッタ処理された波形が最大化されており、試聴による聴感上は、最も大きな音量の出音となっている。
これらの音響信号処理とは別の音量調整の手法として、ダッキングがある。このダッキングは、例えばアナウンサーがマイクを使って話しをする時だけBGMの音量を自動的に下げるような機能を意味している。つまり、優先或いは強調したい音に対し、それ以外の音を相対的に低下させる概念のものであり、強調したいが音量は下げたいといった要求を満たすものとは思想上相違するものである。
これらの一般的な音量調整手法に対し、本実施例の遊技機においては、前述のように予告SE841等のような、遊技者に対し強調したい音出力構成要素をキーインソース且つターゲットとし、この音出力構成要素に対し、波形の圧縮や正規化などの変形を施さずに、波形をシフトさせることにより音量を調整するものである。そして、ターゲットとなるもの以外の音出力構成要素の音量や波形を原音のまま維持し、ターゲットとその他の音出力構成要素との音量の大小のバランスが崩れることは許容しながら、ターゲットの音質を重視して維持し、且つターゲットの音量を下げて、全体として音量値が閾値を下回る、或いは近づくように最大限の努力を図ろうとするものである。
このような技術思想は、例えば遊技場のように場内アナウンス設備や警報設備が設置された場所において、遊技機のように、予期しないタイミングで大音量の音出力を他の音出力に重ねて再生するものにおいて特に有効である。すなわち、遊技機が設置される遊技場においては、営業時間中の不特定なタイミングで場内アナウンスが行われる場合がある。このような場合に、遊技機において何ら対策を施していない場合には、場内アナウンスが行われている最中に、例えば相対的に大音量の予告効果等が出音されると、場内アナウンスが聞き取り辛くなってしまう。
また、遊技場においては、消防法に係る規定により警報器(自動火災報知設備)の設置が義務付けられているが、近年、遊技機の音出力に係る演出効果の向上や、音響機器の大出力化が進んでおり、警報器が作動するような事態と、高音量の出力タイミングとが重なった場合には、警報機の音が遊技者等に聞こえ辛くなるということも考えられないわけではない。
しかし、これらのことを懸念して、遊技店員等がマスターボリュームを予め過度に小さく設定してしまったのでは、遊技者に驚きや迫力を伝えることを予期している音響効果が発揮され難くなり、サウンド開発者の設計意図が十分に活かされないこととなってしまう。また、サウンド開発の段階において、音源データの音量を、例えばマスターボリュームを最大とした状態でも場内アナウンスや警報音等が聞え辛くならないように、小さく設定したのでは、創作の自由度が制限されるとともに、迫力のあるサウンドを創作することは困難になる。
このような事情に対し、本実施例によれば、閾値を超えた音出力構成要素のみの音量を、原音の波形を維持したまま、閾値を超えないよう下げることができる。したがって、予告効果音等の音質に係る迫力を安易に損なうことなく維持したまま、場内アナウンス音や警報音が聞き取れなくなることを防止できる。さらに、閾値を超えない音出力構成要素の音量や音質には変更を施さずに、閾値を超える音出力構成要素のみの音量を下げることができる。そして、サウンド全体として、迫力を保ちつつ耳に優しい(言い換えれば、聴感が良い、耳触りが良い、聞こえ易い、など。)といった表現が当てはまり、言わば矛盾した相反する要求を満たしたサウンドを実現することが可能となる。また、本実施例のぱちんこ遊技機10によるサウンドに対し別な表現をするとすれば、マスターボリュームによる音量調整に重ねて、特に音量が高まることのある音出力構成要素に対して音量調整を施すことにより、メリハリをある程度犠牲にしつつも、基準値の設定次第で迫力を最大限保つものであるとも言える。
また、本実施例においては、基準値変更摘み836が、ぱちんこ遊技機10の背面側に設けられており、遊技店員等が基準値となる閾値の変更を行うことができる。したがって、サウンド全体の中で特定の音出力構成要素が大き過ぎるので聴感上好ましくない、といった嗜好的側面だけでなく、万が一に備えて場内の警報音が聞き取りにくくならないようにするといった防災的側面や防犯的側面などにおいても効果を発揮することができる。
さらに、遊技機の音量に関して、法制や行政による規制が設けられたとしても、遊技店員等が基準値変更摘み836を操作して基準値を下げることにより、容易に、規制に対応したものとすることができる。また、都道府県により音量の規制の有無や、基準値が異なる、といったような場合には、遊技店員等が地域の規制値に合わせた基準値を設定することも可能である。
なお、前述した変形例のような、カスタマイズ機能に基準値変更の機能を盛り込んだ実施形態においては、これらのような公益的背景により基準値を設定する場合には、遊技者が基準値の設定を変更できないよう何らかの基準値変更制限手段を設けておくことが好ましい。例えば、遊技店員等が遊技者による基準値の変更機能を無効にすることが可能な設定機器(ディップスイッチなど)を設けることが考えられる。また、前述のカスタマイズ機能に、遊技店員等が遊技者による基準値の変更機能を無効にするための機能を付加したりすることも考えられる。
また、基準値の設定により音量を下げるのみではなく、特定の音出力構成要素の音量が基準値に達しない場合に、当該音出力構成要素をターゲットとして音量を上げるようにしてもよい。例えば、サブメイン基板301に、RTC(リアルタイムクロック)モジュールなどのタイミング設定手段を備え、特定のタイミングで特定のSEやBGMを強調したいような場合に、SEやBGM(その一部分であってもよい)が設定された基準値を超えるよう、SEやBGMの音量を上げるといった制御処理が考えられる。特に、遊技場の祭事期間中に、当該ぱちんこ遊技機10の存在を遊技者にアピールしたいような場合や、複数台(島全体など)のぱちんこ遊技機10が一時間毎にタイミングを合わせて同じBGMを同期させて出音したり、同じ登場人物に係る演出を同期させて実行するといった場合に、このような音量を上げる制御処理は有効である。
さらに、本実施例のぱちんこ遊技機10は、上述のように一部の音出構成要素の音量を調整する機能と、マスターボリュームによる全体音量を調整する機能とを併せて備えていることから、後述するように、一部の音出力構成要素と他の音出力構成要素との組合せによるバランス調整が可能となっている。すなわち、基準値を用いた一(若しくは複数)の音出力構成要素の音量調整と、マスターボリュームによるサウンド全体の音量調整とが組み合わされていることから、ターゲットとなる音出力構成要素と、その他の音出力構成要素との音量のバランスの変化を、ある程度意図的に形成することができる。
例えば、図25(a)に示すように、音源データにおいて、所定の予告SE841aの音量が、この予告SE841aと組み合わされる可能性のある所定のBGMや、その他のSEを合成して得られる合成音出力構成要素844a(BGMのみの場合を含む)の最大瞬間合成音量Xaに対して、予告SE841aが聴感上際立つよう、大きく(例えば合成音出力構成要素844aの最大瞬間音量Xaの2倍以上に)設定されている場合を考える。
図25(a)に示す例では、基準値(図中の「閾値843a」)が、予告SE841aの音量と同程度に(或いは、図示を省略するが、予告SE841aの音量を上回るよう)設定されている。また、マスターボリュームは、サウンド全体の音量が相対的に小さくなるように調整されている。
このような場合、基準値((閾値843a)が、予告SE841aの音量と同程度以上に設定されているため、予告SE841aの音量は出音の際に、合成音出力構成要素844aの音量に対し相対的に低下せず、相対的に大きいまま保たれる。したがって、予告SE841aと、合成音出力構成要素844aの音量とのバランスは崩れず、サウンドの全体音量は、マスターボリュームの設定に従って小さいが、予告SE841aが出音された際には、予告SE841aの相対的バランスは保たれて、予告SE841aを可及的に際立たせサウンド設定が可能となる。
一方、図25(b)に示す例では、マスターボリュームを上述の場合よりも大きく設定しており、且つ、上述の音源データに対し、基準値(閾値。図示略。)が、合成音出力構成要素844bの最大瞬間合成音量Xbに比較的近い程度(例えばXbの2倍未満)に設定されている。この場合、予告SE841bの音量は基準値(閾値)により最大瞬間合成音量Xbの2倍未満の値に押し下げられ、予告SE841bと、合成音出力構成要素844bとの音量のバランスは、図25(a)に示す例に比べて崩れる。しかし、サウンドの全体音量は、マスターボリュームの設定に従って大きく、且つ予告SE841bと合成音出力構成要素844bの音量との差が小さい、といった聴感のサウンド設定が行われている。
このように本実施形態によれば、一部の音出力構成要素と他の音出力構成要素との組合せによるバランス調整が可能であり、同じ音源データに対し、マスターボリューム及び基準値の設定によって、異なるサウンド出力が可能となる。
また、マスターボリュームによって調整されるサウンド全体をキーインソースとし、このキーインソースがマスターボリュームに対する基準値(マスター音量用基準値)に対し所定条件(基準値を超えたか否か、基準値に達したか否か、基準値に達しないがその差が所定値に達したか否か、所定時間以上基準値を超えていないか否か、など)を満たした場合に、サウンド全体をターゲットとして自動音量調整を併用することも可能である。このような実施形態によれば、サウンド全体の音量に対し、音出力が行われる全期間に亘り、基準値を超えないように自動音量変更を施すことが可能となる。
さらに、このように一部の音出力構成要素に対する音量基準値(一部音量用基準値)と、上記マスター音量用基準値とを併用するにあたり、両基準値の大小関係について規定を設けることにより、種々のバランス設定が可能となる。例えば、マスター音量用基準値を一部音量用基準値よりも大きく設定することにより、一部音量用基準値を超えた音出力が可能となる。この場合、自動音量調整の対象を特定の音出力構成要素に制限し、例えば極端に音量が大きくなり得る音出力構成要素に対して一部音量用基準値を適用するようなことが考えられる。その他、一部音量用基準値及びマスター音量用基準値の組み合わせの用途については、実現しようとするサウンド効果に応じて種々に変更が可能である。
<本願発明の他の実施形態>
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形改良が可能である。
例えば、本願発明は、遊技者が獲得した遊技媒体としての遊技球を、遊技者に対し直接的に払出して遊技者が賞球に触れることができるようにしている前述のようなぱちんこ遊技機10に限られず、例えば封入循環式のぱちんこ遊技機にも適用が可能である。封入循環式のぱちんこ遊技機としては以下のようなものを例示できる。なお、前述の実施例のぱちんこ遊技機10と同様の部分については同じ符号を付して説明する。
すなわち、封入循環式のぱちんこ遊技機は、内部に遊技媒体としての遊技球を封入しており、遊技者が発射ハンドル17を操作することにより、発射装置の発射モータを駆動させて封入球を1発ずつ遊技盤50前面の遊技領域52に打込んで遊技ができるように構成されている。遊技領域52の構成としては、前述のぱちんこ遊技機10のように遊技球を遊技者に引き渡すタイプのぱちんこ遊技機と同様の構成を採用できる。さらに、遊技球を遊技者に引き渡す必要がないことから、遊技球を一旦溜めるための上球皿15、下球皿16といった構成はなくてもよい。
遊技領域52で入賞した遊技球、及び入賞しなかった遊技球はセット基盤39に形成された球回収樋に案内され、揚送装置(図示略)により揚送される。揚送装置は、揚送モータにより回転する揚送用スクリューが内蔵されており、この揚送用スクリューが回転することによりパチンコ球が揚送される。揚送装置の背部には、揚送途中のパチンコ球と接触することによりそのパチンコ球を研磨する研磨部材が設けられており、パチンコ球は揚送されつつ、その表面が研磨される。
揚送装置の球入口側(下方側)及び球排出口側(上方側)には、遊技球の検出スイッチが設けられており、これら検出スイッチにより、揚送されるパチンコ球が検出される。揚送装置の球排出口の近傍には球発射装置が設けられており、揚送後の(上方側の)検出スイッチで検出された遊技球は、球送り装置により球発射装置に供給される。球送り装置は、遊技者が発射ハンドル17を操作して遊技球を1発打つ毎に次の遊技球を1つ打球発射位置に送り込む機能を有する。さらに、遊技球の循環経路途中に遊技球過不足検出スイッチが設けられ、循環経路内のパチンコ球が所定個数(たとえば50個)になっているか否かを検出する。
ぱちんこ遊技機の所定側の側方位置に該ぱちんこ遊技機に対して遊技用装置の一例のカードユニットが1対1に対応設置されている。この点は、前述のぱちんこ遊技機10と同様である。カードユニットは、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行される遊技用記録媒体であるプリペイド機能を備えるビジターカードや、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行される遊技用記録媒体である会員カードを受付けて、それらカードの記録情報により特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばカード残高、持球数、あるいは貯球数等)を用いて対応するぱちんこ遊技機における封入球を弾発発射させて遊技ができるようにするための機能を有する。なお、ビジターカードや会員カードはICカードで構成されている。
このぱちんこ遊技機においては、現在の持球数の管理は、カードユニット側においてぱちんこ遊技機側の遊技球数の変動を算出することにより行われている。ぱちんこ遊技機側においても現在の遊技球数の算出・記憶を行なっているが、その遊技球数はぱちんこ遊技機側において遊技球数が0となったときにぱちんこ遊技機自ら打球発射を迅速に停止させる制御を行なうためだけに用いられる副次的なものである。このようにすることにより、ぱちんこ遊技機側における遊技球数に関する主管理機能をカードユニット側に持たせてぱちんこ遊技機側のコストを抑えることにより、封入式遊技機を導入する遊技場のランニングコストを軽減することができる。
ぱちんこ遊技機とCUとが遊技場に設置されて初めて電気的に接続された状態で電源を立上げたときには、ぱちんこ遊技機側の払出制御基板は、メイン基板からメインチップIDを送信してもらい、そのメインチップIDをCU側に送信するとともに、払出制御基板自身が記憶している払出チップIDをカードユニット側へ送信する。カードユニット側では、それら送信されてきたメインチップIDと払出チップIDとを記憶する。次に、接続時刻すなわちカードユニット側とぱちんこ遊技機側とが接続されて通信が開始された時刻のデータがカードユニット側からぱちんこ遊技機側へ送信され、ぱちんこ遊技機側ではその送信されてきた接続時刻を記憶する。
それ以降の電源投入時においては、ぱちんこ遊技機側からカードユニット側へそれら3つの情報、すなわち、メインチップIDと払出チップIDと前回の接続時刻データとが送信される。
カードユニット側では、それら送信されてきたデータと既に記憶しているデータとを照合し、前回と同じぱちんこ遊技機が接続されているか否かを判別する。なお、接続時刻のデータは、電源が立上げられる度にカードユニット側とぱちんこ遊技機側との通信が開始された新たな接続時刻データがカードユニット側からぱちんこ遊技機側へ送信されてその新たな接続時刻データをぱちんこ遊技機側において記憶することとなる。
カードユニットからぱちんこ遊技機に対しては、ぱちんこ遊技機に対してメインチップID等の送信が要求され、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対してはメインチップID等が送信される。さらに、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して認証が要求され、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対しては、カードユニットからの認証要求の受理の通知が行われる。また、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して、リカバリ情報の送信が要求され、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対して、ぱちんこ遊技機で保持しているリカバリ情報が送信される。続いて、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して、ぱちんこ遊技機に対して接続状態であることが通知され、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対して、接続状態であることが通知される。また、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して、リカバリ情報のクリア、接続ID(通信開始時刻)のバックアップの要求がされ、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対して、リカバリ情報のクリア、接続ID(通信開始時刻)のバックアップの終了が通知される。
さらに、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して、各種(遊技動作)が指示され、遊技台情報(加減算データ等)の送信が要求される。カードユニットはこのコマンドを使用して、遊技台の状態を定期的に確認する。ぱちんこ遊技機からカードユニットに対しては、遊技動作指示の実行結果および遊技台情報(加減算データ等)が通知される。カードユニットからぱちんこ遊技機に対しては、通信コネクションの接合を要求するコマンドが送信される。
また、ぱちんこ遊技機で遊技をしている最中に遊技球がなくなったことが検知された場合には、払出制御基板は自動的に打球発射モータの駆動を停止させて球を遊技領域に打込めない遊技禁止状態に制御する。なお、打球発射が停止するのみで、その段階で既に可変表示装置が可変表示中であった場合にはその可変表示を続行する。また発射停止制御を行なった段階で第1始動入賞口62や第2始動入賞口63の保留球数の記憶がある場合には、その記憶に基づいた可変表示装置の可変表示制御が続行される。
遊技球数の主たる管理はカードユニットで行なわれているが、ぱちんこ遊技機において遊技球数が0になったことに伴う遊技禁止制御(発射停止制御)を行なうときにのみ、ぱちんこ遊技機側における遊技球数が0になったことを判定して遊技禁止制御(発射停止制御)を行なう。その後、動作応答として、最終的な球関連情報をカードユニットに送信して最終的な遊技球数「0」をカードユニット側において確定させる。このように制御する理由は、ぱちんこ遊技機側において遊技球数が0になった瞬間に打球発射停止制御を行なう必要があるためである。
たとえば、遊技球数の主たる管理を行なっているカードユニット側において、ぱちんこ遊技機側から送られてくる遊技球数=0になったときの加算球数および減算球数を含む動作応答のレスポンスの受信を待って、カードユニット側において最終的な遊技球数を算出してそれが0となることにより、遊技を禁止させるための禁止要求有の動作指示のコマンドをぱちんこ遊技機側へ送信し、それを受けて初めてぱちんこ遊技機側において打球発射停止制御を行なった場合には、レスポンスおよびコマンドの送受信の間に、パチンコ球が弾発発射されてその間に新たな減算球数が発生する可能性があり、ぱちんこ遊技機側において、遊技球数が既に「0」になっているにも拘らず新たな減算球数が発生して結局遊技球数がマイナスになってしまうという不都合が生じる。このような不都合を防止するため、遊技球数が0になったときの打球発射停止制御のみ、ぱちんこ遊技機側における遊技球数に基づいて制御している。
このように、打球発射停止制御に代表されるような遊技制御は、ぱちんこ遊技機自身が記憶している遊技球数に基づいて行なうために、カードユニットで管理記憶している遊技球数に基づいてこのような遊技制御を行なう場合に比較して、遊技球数の変動に即した遊技制御をリアルタイムで行なうことができる。
なお、ここでは、打球発射停止制御を払出制御基板が行なう例を示しているが、メイン基板が打球発射停止制御を行なうように構成してもよい。この場合、たとえば、払出制御基板は、遊技球数0を判定した段階で遊技球数が0であることを示す信号をメイン基板へ送信する。メイン基板は、この信号を受けて、発射モータの駆動を禁止する。
カードユニットによるこのような遊技禁止の処理は、前枠12や扉14の開放があった時や、各種カードの返却操作が遊技者によって行われたときにも実行される。なお、ぱちんこ遊技機は、禁止拒否の応答が可能となっており、異常等の何らかの事情によりカードユニットの指示に従えず、例えば前枠12や扉14の開放ができないといった状況の場合には、この禁止拒否の応答をカードユニットへ送信する。なお、遊技禁止には、発射モータの駆動の禁止のみでなく、その他の遊技事項、例えば球貸なども含まれている。
また、このような封入循環式のぱちんこ遊技機においては、球貸を所定金額(例えば500円分や1000円分)ごとに行わず、投入金額(例えば10000円)分の球貸を纏めておこなうことも可能である。遊技者への遊技球の引き渡しを必要としないので、このような球貸形態への適応は容易に行うことができる。
なお、本願発明においては、カードユニットを添設した形態のものをも含めてぱちんこ遊技機として包括的に把握することが可能である。
また、前述の各実施形態では、ぱちんこ遊技機についてのみ説明しているが、回胴式遊技機(スロットマシン)についても適用することが可能である。そして、スロットマシンとしては、以下のようなものを例示することができる。
すなわち、スロットマシンには、遊技の進行を司る主遊技制御手段としてのメイン基板、演出の実行を司る副遊技制御手段としてのサブ基板(サブメイン基板、サブサブ基板)、主遊技用識別情報を表示するための主遊技用識別情報表示手段として複数の識別情報が夫々外周上に配置された複数列(例えば3列)のリールと、遊技者によって操作可能であって遊技開始を指示する主遊技開始指示手段としてのスタートレバーと、遊技者によって操作可能であって遊技進行を指示する主遊技進行指示手段としてのストップボタン、などが備えられている。
これらのうちメイン基板には、スタートレバーが操作されたことを契機として主遊技用乱数を取得する主遊技用乱数取得手段、主遊技用乱数取得手段が取得した乱数に基づき一又は複数の停止識別情報を暫定的に決定する主遊技用識別情報表示内容決定手段(例えば、小役や特別遊技に係る役物等の当選役を内部的に決定する表示内容決定手段)、主遊技用識別情報表示内容決定手段により暫定的に決定された一又は複数の停止識別情報とストップボタンの操作タイミングとに基づき、一の停止識別情報を主遊技用識別情報表示部であるリール上に確定表示するよう制御する主遊技用識別情報表示制御手段、主遊技用識別情報表示部であるリール上にて停止識別情報として所定態様が表示された場合、特別遊技に移行させるよう制御する特別遊技実行制御手段、主遊技用乱数取得手段が取得した主遊技用乱数に関する情報を副遊技制御部側に送信する主遊技側情報送信制御手段、等を有している。
また、これらのうち主遊技用識別情報表示内容決定手段としては、例えば、小役や特別遊技に係る役物等の当選役を内部的に決定する表示内容決定手段が挙げられる。また、主遊技用識別情報表示制御手段としては、例えば、内部的に決定された当選役とストップボタンが押圧されたタイミングとに基づき、所定の位置でリールを停止するリール制御手段が挙げられる。さらに、特別遊技実行制御手段としては、例えば、「777等」が所定の有効ライン上に並んだことを契機として、特別役物を作動させる特別役物作動手段が挙げられる。
このようなスロットマシンにおいては、スタートレバーが操作されたことを契機として、或いは、ストップボタンが操作されたことを契機として、副遊技制御部において演出の実行可否や演出パターンが決定される。また、スロットマシンにおいては抽選によりボタン演出が実行され、ボタン演出が実行される場合には、筐体の所定位置に設けられた操作ボタン(副遊技操作手段)の操作を遊技者に促すための促進演出が実行される。そして、上述の演出パターンの決定にあたり、各実施形態に係る構成を適用することができる。
10 ぱちんこ遊技機、60 演出図柄表示装置、102 メイン基板、
104 サブ基板、301 サブメイン基板、302 サブサブ基板、
312 音制御手段、314 音出力構成手段、315 手動音量変更手段、
316 自動音量変更手段、317 基準値記憶手段、318 基準値変更手段、
820 音制御回路、823 音源IC、831 音量変更回路部、
832 基準値変更回路部、834 音量変更摘み、836 基準値変更摘み。

Claims (2)

  1. 遊技制御を司る遊技制御手段と、
    前記遊技制御手段からの制御コマンドに基づき音出力手段を用いた音出力制御を実行する音制御手段と、を備えた遊技機において、
    前記音制御手段は、
    複数の音出力構成要素を演出に応じ重畳して音出力を構成することが可能な音出力構成手段と、
    前記音出力構成要素についての音量の基準値を記憶することが可能な基準値記憶手段と、
    前記音出力構成要素のうちの何れかの前記音量が前記基準値に対し所定条件を満たした場合に、前記所定条件を満たした前記音出力構成要素をターゲットとし、当該ターゲットの前記音量を自動調整する自動音量変更手段と、
    前記基準値を変更することが可能な基準値変更手段と、
    前記基準値変更手段を操作可能とするための基準値変更操作手段と、
    手動操作される手動音量変更手段を介して前記音出力の音量を変更可能なマスターボリューム調整手段と、を備え、
    前記手動音量変更手段は所定位置に配置され、
    前記所定条件は、前記基準値に達するか、又は前記基準値を超えるかといった条件を含み、
    前記音出力の音量は、前記基準値を超えない各音出力構成要素の音量を複合して構成され、
    前記自動音量変更手段による音量調整と、前記マスターボリューム調整手段による音量調整との組合せにより、前記ターゲットとなる前記音出力構成要素と、それ以外の前記音出力構成要素との音量の差を重視して維持する音量調整や、又は前記ターゲットとなる前記音出力構成要素と、それ以外の前記音出力構成要素との音量の差を狭めても前記音出力の音量を大きくする音量調整を可能としたことを特徴とする遊技機。
  2. 前記基準値には、前記ターゲットについて定められた一部音量用基準値のほかに、前記マスターボリューム調整手段によって調整される前記音出力について定められたマスター音量用基準値が含まれ、
    前記マスター音量用基準値が、前記一部音量用基準値よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
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