JP2014103331A - トロイダルミラーを用いて形成される繰り返し収束系と二鏡位置同時調整法とを用いるレーザー増幅用リング共振器 - Google Patents

トロイダルミラーを用いて形成される繰り返し収束系と二鏡位置同時調整法とを用いるレーザー増幅用リング共振器 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明が解決しようとする第一の課題は、周回毎に同じパターンの横方向収束を繰り返すリング光学系。第二の課題は、リング軌道を閉軌道に維持しながら、ビーム軌道長をビームの波長の整数倍又は半整数倍に合わせる軌道長調整機能。
【解決手段】課題1を解決するためにトロイダルミラーと平面ミラーを用いるリング光学系を使用する。図1は平行四辺形型リング光学系の例。ガウシアンビームに近い良質のレーザービームを点5にウエストを形成して入射すると、点6と点7にウエストを形成し周回毎に同じパターンの横方向収束を繰り返しながらリングを周回する。課題2は二鏡位置同時調整法により解決できる。図1の平行四辺形型リング光学系では、ミラー3とミラー4を二鏡ベンチに設置し、一つの位置微調整器により、ミラー2からミラー3へのビーム軌道に平行に移動してリング軌周長を微調整すると、リング軌道を閉軌道に維持しながら周長を微調整できる。
【選択図】図1

Description

高い繰り返し周波数の大強度レーザービームを発生するための光学技術。高エネルギー加速原子ビームのレーザービームによる荷電変換やレーザーコンプトン散乱ガンマー線源等では、高い繰り返し周波数の大強度のレーザービームを必要とするが、標的ビームに衝突した後もレーザービームの強度や形状は殆ど変化しない。このようなレーザー応用分野では、レーザービームは増幅用共振器からその一部を取り出して利用するより、共振器内の強度の高いビームを直接利用することが望まれる。この発明は、ビーム増幅用共振器内で増強された大強度のレーザービームを共振器内で利用することを可能にする共振器に関する発明である。
従来のレーザービーム源においては、共通の軸上に置かれた二つの対向するミラーの間に光ビームを共振させ、ミラー間の一部に置かれた光増幅器によってビーム強度を増大し、そのビームの一部を片方のミラーを透過させて取り出し利用する。この場合ミラーの透過分は共振器の損失となり、光増幅の効率を低下させる。ビーム取り出し用ミラーの透過率は増幅効率を出来るだけ低下させないで、取り出されるビームの強度が最大になるように調整される。このため、取り出されるビームの強度は共振器内に蓄積されるビームの強度より大幅に低く抑えられる。
0001項に記した利用分野では、取り出されたビームより共振器内に蓄積された強度の高いビームを利用する方が有利であるが、従来のレーザービーム源では以下のような問題がある。共振器内のビームは進行方向が逆の二つのビームが重なったものであり、共振器内で標的ビームに衝突させると二つの衝突角が混ざり分離できない。また、共振器内にビーム増幅媒体が設置されており、標的ビームを導入したり適切に衝突させるための機器を設置するスペースを確保することが容易でない。これらの問題を解決するために複数の直線部を有するリング共振器を使用することが望ましいが、このようなリング共振器を実現するには、次の二つの課題がある。第一に、リング内を周回するレーザービームは周回ごとに同じパターンを繰り返す横方向収束系をもつ必要がある。第二に、リング内ビームが共振するためには、ビーム軌道の周長はビームの波長の整数倍または半整数倍に合わせる必要があるが、このための軌道長の調整をリング軌道を閉軌道のまま維持するという条件を満たしながら実現する必要がある。
前項の課題を解決するために、トロイダルミラーと二鏡位置同時調整器を導入する。図1は二つのトロイダルミラーと二つの平面ミラーを用いる平行四辺形型リング共振器の例であり、図2は一つのトロイダルミラーと二つの平面ミラーを用いる二等辺三角形型リング共振器の例である。
入射角がalphaで、焦点距離がfであることが想定されているとき、トロイダルミラーのメリディオナルプレーンの曲率半径Rhとサジタルプレーンの曲率半径Rvとを、f=(Rhcos(alpha))/2=Rv/(2cos(alpha))となるように選ぶ。Gaussian Beamに近い良質のレーザービームを、そのウエストをトロイダルミラーの前方fの距離に形成して、入射角alphaで入射すれば、反射ビームはトロイダルミラーの後方fの距離にウエストを形成する。このとき、入射ビームのウエストと反射ビームのウエストの(1/e^2)半径をそれぞれw1,w2とすると、w1w2=(lambda)f/(pai)となる。ここで、lambdaはレーザービームの波長、paiは円周率である。
図1に示すように、二つのトロイダルミラーと二つの平面ミラーを、ビーム軌道の周長が4fの平行四辺形となるように配置すれば、2から6までの軌道長、6-3-4の軌道長、4から点7までの軌道長、7-1-2の軌道長を等しくfとすることができる。したがって、トロイダルミラー2の前方fの距離にある点5に(1/e^2)半径w1のウエストを形成し、平面ミラー1の背後より入射すれば、トロイダルミラー2の後方fの距離にある点6に(1/e^2)半径w2のウエストが形成される。更に、平面ミラー3で反射しトロイダルミラー4に入射したビームは点7に(1/e^2)半径w1のウエストを形成する。このビームは、ミラー1とトロイダルミラー2で反射した後点6に(1/e^2)半径w2のウエストを形成する。このようにして、リングに入射されたビームは同じパターンの収束発散を繰り返し、点7と点6に(1/e^2)半径w1とw2のウエストを形成しながらリングを周回する。
図2は一つのトロイダルミラーと二つの平面ミラーを用いる二等辺三角形型リング共振器で、2-3-5の軌道長と5-1-2の軌道長が等しくfとなるように配置される。このリングに平面ミラー1の背後より、4-1-2の軌道長がfとなる点4に(1/e^2)半径((lambda)f/(pai))^(1/2)のウエストを形成して入射すれば、ビームは点5に(1/e^2)半径((lambda)f/(pai))^(1/2)のウエストを形成しながらリングを周回する。
図3は二鏡位置同時調整器を示す(二等辺三角形型リング共振器の場合1は平面ミラーである)。二つのミラーの位置は6の位置微調整器によって調整される。位置微調整の移動方向は、平行四辺形型リング共振器では軌道2-3(又は4-1)に平行、また二等辺三角形型リング共振器では軌道3-1に垂直な方向である。この方向に移動することにより、リング軌道を閉軌道に維持しながら周長を変化させることが出きるので、共振条件を達成することができる。
本件の発明により複数の分離した直線部で構成されるレーザーリング共振器の製作が可能となる。このリング内にレーザー増幅媒体および標的ビームとの衝突部を装備することにより、従来のレーザー装置より格段に強度の高いレーザービームの利用が可能となる。これによりレーザービームによる原子ビームの荷電変換やレーザーコンプトン散乱ガンマ線源等、新しいタイプのレーザー装置とレーザー利用分野が開ける。
平行四辺形型リング共振器。リング周長がLであるとき、トロイダルミラー2、4の焦点距離はf=L/4とする。したがって、これらのトロイダルミラーの入射角をalphaとすると、そのメリディオナルプレーン(サジタルプレーン)の曲率半径Rh(Rv)は、Rh=L/2cos(alpha)(Rv=(Lcos(alpha)/2)である。ミラー1は透過型平面ミラー、ミラー3は高反射ミラーとする。レーザービームは、点5にウエストを形成し、ミラー1を通して入射する。点6、7はウエストが形成される点で、点5からミラー2までのビーム軌道長=ミラー2から点6までのビーム軌道長=点6からミラー4までのビーム軌道長=ミラー4から点7までのビーム軌道長=点7からミラー2までのビーム軌道長=fとする。二鏡位置同時調整器8の移動方向はミラー2からミラー3(または。ミラー4からミラー1)へのビーム軌道に平行とする。 二等辺三角形型リング共振器。リング周長がLであるとき、トロイダルミラー2の焦点距離はf=L/2とする。したがって、トロイダルミラー2の入射角をalphaとすると、メリディオナルプレーン(サジタルプレーン)の曲率半径Rh(Rv)は、Rh=L/cos(alpha)(Rv=Lcos(alpha))である。ミラー1は透過型平面ミラー、ミラー3は高反射ミラーとし、ミラー2からみらー3までの軌道長とミラー1からミラー2までの軌道長を等しくする。レーザービームは、点4にウエストを形成し、ミラー1を通して入射する。点5はウエストが形成される点で、点4からミラー2までのビーム軌道長=ミラー2から点5までのビーム軌道長=点5からミラー2までのビーム軌道長=fとする。二鏡位置同時調整器6の移動方向はミラー3からミラー1へのビーム軌道に垂直とする。 二鏡位置同時調整器。本図は平行四辺形型リング共振器の場合を示している。二等辺三角形型リング共振器の場合には、1は平面ミラーとなる。5の二鏡ベンチにセットされた二つのミラーを6の位置微調整器により移動し、周回レーザービームの閉軌道を維持しつつ、リング軌道長が共振条件を満たすように調整する。
高エネルギー加速原子ビームのレーザービームによる荷電変換やレーザーコンプトン散乱ガンマー線源等のレーザー応用分野では、レーザービームはビーム増幅用共振器からその一部を取り出して利用するより、共振器内の強度の高いビームを直接利用することが望まれる。この発明は、このようにビーム増幅用共振器内で増強された大強度のレーザービームを共振器内で利用することを可能にする。本発明により高エネルギー粒子加速器でのレーザービーム利用が幅広く活発となり、加速粒子ビームやガンマ線ビームを利用する産業分野が活性化されることが期待される。

Claims (2)

  1. トロイダルミラーと平面ミラーを用い、周回毎に同じパターンの横方向収束を繰り返す共焦点リング光学系
  2. 二つのミラーの位置を同時に移動調整し、リングの閉軌道を維持しながら軌道長の共振条件を達成する二鏡位置同時調整法
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150340833A1 (en) * 2013-01-16 2015-11-26 Max-Planck-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e. V. Enhancement resonator including non-spherical mirrors

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11177165A (ja) * 1997-12-10 1999-07-02 Natl Aerospace Lab 固体レーザーの光励起方式
JP2011066300A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Shimadzu Corp レーザ共振器

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