JP2014101879A - 荷重利用装置、水力発電装置および発電システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】並設された第1のスプロケットと第2のスプロケットと、それぞれのスプロケットに掛けられた回転軸方向に並行な2つの動力伝達用チェーンと、チェーンに所定間隔をおいて取り付けられた所定数量のバケットと、バケットが第2のスプロケットを周回する際、バケットの開口面の垂線と水平面とのなす角度を90°以上変化させる手段を備える。第1のスプロケットの鉛直位置は第2のスプロケットの鉛直位置よりも高く、かつ、第1のスプロケットと第2のスプロケットの軸心間を結ぶ直線と水平面とのなす角度が15〜75°の範囲となるように、第1のスプロケットと第2のスプロケットが配設される。バケットは各動力伝達用チェーンに回動自在に軸支される。それぞれのスプロケットの軸の回転エネルギーを取り出して利用する。
【選択図】図1
Description
従来の上掛け式水車の構成では、水の流れによる勢いや水頭力の衝撃で、水車を回す回転モーメントを得るが、流水はその時点で大半の勢いを失う。また、水車にバケットが設けられている場合、バケットに水が溜まり、その重量で水車を回す回転モーメントを生み出すが、水車が円形であるため、水を溜めるバケット数を多くするには水車の直径を大きくしなければならず、また流水源の位置が高くしなければならないといった制約があった。
水力エネルギーを効率的に利用することを目的とする装置として、例えば、水車を上下方向に多段に配置して、流水を多段の水車で繰り返し活用し、より多くの電力を得られる水車装置が知られている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
また、流水源の水が勢いを持たない場合、従来の上掛け式水車の構成では、バケットで水を溜めて水車を回転されるが、多くの水力エネルギーを得る場合、水車を多段にしたり、水車の直径を大きくしなければならず、そのため、流水源の位置を高くしなければならないといった問題がある。
なお、上記の特許文献2に開示された上下に多段に設けられた水車の場合、導水路によって水が下から最上段の水車より高い位置まで上げられる構成となっているが、給水ホースの上流端口の位置が最上段の水車の上端よりも高い位置にあることが前提となっている。
また、荷重物を注入収容する荷重物受け体の容量や取り付け個数、取り付け間隔を変えることにより、上下の回転体の回転速度や回転トルクを自在に変えることができる。
1)2個の回転体が、一定の軸間隔をおいて並設された水平面と平行な回転軸を有する第1の回転体および第2の回転体
2)第1の回転体と第2の回転体に掛けられた回転軸方向に並行な2つの動力伝達体
3)上記の動力伝達体に所定間隔をおいて取り付けられた所定数量のバケット
4)バケットが第2の回転体を周回する際、バケットの開口面の垂線と水平面とのなす角度を90°以上変化させる手段
また、各々の動力伝達体に回動自在に軸支されるようバケットを取り付ける。そして、バケットが第1の回転体の周回する際に流体物が流入され、バケットが第2の回転体の周回する際に流体物が流出され、第1の回転体若しくは第2の回転体の軸の回転エネルギーを利用することで、荷重物である流体物の位置エネルギーから発電する発電システムを構築することが可能である。
ここで、流体物とは、代表的には自然水であるが、他の重量を有する流動体でも構わない。流体物が水である場合、何処でも存在するので使いやすくコストも低減できる。
また、所定数量のバケットとは、動力伝達体を動かすために必要となる数量のバケットであり、3個程度以上の数量のバケットは必要である。バケットの数量は、バケットの容量や回転体の回転速度、初動抵抗などを加味してデザインする。
動力伝達体に等間隔に取付けたバケットに水を注入して荷重物とし、重量を生み出し連続させる。バケットは傾斜面に移動しながら落下する。
また、動力伝達体とは、動力などを張力として伝達する機械要素であり、プーリーやスプロケットなどの回転体と組み合わせて使用される。回転体に噛み込む構造を備え、滑りがなく動力を伝達できるワイヤー、ベルト、或いはチェーンである。例えば、チェーンは、例えば、ローラーチェーンやブッシュチェーンやサイレントチェーンである。特に、動力伝達体は、頑強、回転体との連結の安定性から、ローラーチェーンであることが好ましい。
上記2)の第1の回転体と第2の回転体に掛けられた回転軸方向に並行な2つの動力伝達体は、動力伝達体が2本並行に配置されて、かつ、双方の第1の回転体と第2の回転体が同軸である。
傾斜角調整手段を設けることにより、荷重利用装置の傾斜を変えることができ、動力伝達体の移動速度ならびに回転体の軸の回転速度を変化させて、荷重物(流体物)の位置エネルギーの取り出しエネルギーを容易に変えることができる。
傾斜角調整手段は、例えば、電動モーターを用いて第1の回転体の高さ位置を変更できるものが挙げられる。
傾斜角度を変えることにより、バケットの落下速度や移動速度のコントロールが容易になる。
また、本発明の発電システムは、上記の荷重利用装置を用いた装置であって、回転体の軸の回転エネルギーを利用して発電するシステムである。
上方に位置する水などの位置エネルギーロスを少なくして落下速度を遅くすべく、チェーンを傾斜させてバケットを取付け、傾斜に沿ってゆっくり落下進行させるバケットを介して水などを落下させることによって、水などの荷重物の位置エネルギーを効率的に利用する。また、荷重物の落下速度を遅くするので、鉛直状に落下する場合と比べて、衝撃や装置(特に、回転体と動力伝達体)の回転速度が小さく、装置の耐久性が向上する。
さらに、本発明の発電システムは、水などの荷重物の位置エネルギーを効率的に利用し、チェーンなどの動力伝達体を掛けた回転体の回転を用いて電気を発生させることにより発電できるといった効果がある。つまり、本発明の発電システムは、重力エネルギーを利用し発電を行うことができる。
図1に示すように、第1のスプロケット2および第2のスプロケット3があり、動力伝達用のローラーチェーン4が第1のスプロケット2と第2のスプロケット3にエンドレスに取り付けられている。図2に示すように、ローラーチェーン4は、回転軸方向に並行な2つのチェーン(4a,4b)から構成されている。ローラーチェーン4の長手方向は水平線9から傾いている。すなわち、第1のスプロケット2の鉛直位置は、第2のスプロケット3の鉛直位置よりも高くしており、また第1のスプロケット2と第2のスプロケット3の軸心間を結ぶ直線と水平面とのなす角度(θ)は約24°にしている。
第1のスプロケット2と第2のスプロケット3は、図1や図2に示すように、一定の軸間隔をおいて並設され、水平面と平行な回転軸を有し、相互の回転軸は平行になっている。
図1では、第1のスプロケット2の左上から流入水7が落下してバケット5aに水が入る様子を示している。また、21個のバケット(5a〜5z)には水が入っており、第2のスプロケット3を周回する際にバケット5uのようにバケットが傾き、水がバケットの外へ流出(8)する。
図3(2)は、第2のスプロケット3の上側のバケット5wおよび下側のバケット5tを第1のスプロケット2の方向から眺めた様子を示している。図3(2)では、第2のスプロケット3が両側にあり、軸心31の上側にバケット5w、下側にバケット5tが位置する。また、全てのバケットには、図3(1)に示すように、姿勢制御軸51がバケットの重心近傍を通り鉛直方向に延設されている。
また、バケットの両端の第2のスプロケット3の内側には同軸で円筒形状のボス30が取付けられている。
図4に示すように、中身が空のバケット5zが第1のスプロケット2に到達すると、第1のスプロケット2の周囲を周回し始める。図4において、バケット5aでは上から水が注がれており(7)、バケット5bではバケットの中身に水が充填されている。
図2に示すように、第1のスプロケット2の軸心21および第2のスプロケット3の軸心31は、フライホイール(32,35,38)とギア(33,34,36,37)を介して発電機50につなげている。上述したように、フライホイールによってスプロケットの慣性モーメントを増やすことができ、スプロケットの軸の回転速度の変化を緩やかにできる。
図7に示すように、第2のスプロケット3の軸心31はジョイント40を介して回転軸41と繋がっている。第2のスプロケット3の回転と同じ回転を行う回転軸41の回転は、ギア(33,34)を介して回転軸42に回転速度を増大して伝達される。また、回転軸42の回転は、ギア(36,37)を介して回転軸43に回転速度を増大して伝達される。
回転軸43は、ジョイント44を介して発電機50の回転軸39につながっている。
(1)上記の実施例1の荷重利用装置において、第1のスプロケットと第2のスプロケットと、2つのローラーチェーン(4a,4b)と41個のバケット(5a〜5z等)を更にもう1セット並設して、隣接されることで、落下させる水量を2倍にし、水の位置エネルギーの取り出しエネルギー量を増大することができる。この場合、第1のスプロケットと第2のスプロケットの回転力を取り出す機構やフライホイールは共用できる。また、図8に示すように、ローラーチェーンに取り付けるバケットの取付位置を、隣接する装置で互い違いにすることにより、水の流入タイミング、流出タイミングをずらすことができる。
また、本装置の水平面からの傾斜を変えることにより、ローラーチェーンの回転速度を変え、発電量を容易に変えられる。
(3)バケットで流出した水を再び貯水し、再度ポンプで揚水して水を使用して、水の消費をしないシステムとしても構わない。
(4)ローラーチェーンを使用すると必す伸びが生じるが、この対応としてチェーンの下がりを防止するガイドレールやキヤリア或はテンショナ一等を設置するとよい。また、小さなチェーンの伸びはアジャスターで調整するとよい。
(7)上記の実施例では、バケットに水を出し入れしているが、荷重としてバケットに収容する物は水以外の流体物やその他の荷重物でも構わない。水は普遍的に何処にでも存在するので使い易くコストもそれほどかからないし、比重も大きいので利用しやすい。
2 第1のスプロケット
3 第2のスプロケット
4,4a,4b ローラーチェーン
5,5a〜5z バケット
6 ハウジング
7 流入水
8 流出水
9 水平線
10 ガイドレール
11 ローラー
12 チェーン用ブッシュローラー
13 チェーン・アタッチメント
14 固定座金
15 支持ピン
16 ロールピン
18 ズレ止め座金
19 溶接部位
21,31 軸心
30 ボス
50 発電機
51 姿勢制御軸
32,35,38 フライホイール
33,34,36,37 ギア
40,44 ジョイント
39,41,42,43 回転軸
60 流入水ガイド路
61 U字管
62 タンク
63 流水管
Claims (8)
- 水平面で異なる地点に上下に配置された2個の回転体に、動力伝達体をエンドレスに取り付け、該動力伝達体に複数の荷重物受け体を所定間隔毎に取り付け、上方の前記回転体を周回する前記荷重物受け体に荷重物が注入収容され、荷重により前記荷重物受け体が前記動力伝達体を動かしながら落下下降し、下方の前記回転体を周回する際に前記荷重物受け体が荷重物を排出し、前記回転体の軸の回転エネルギーを利用することを特徴とする荷重利用装置。
- 前記回転体がプーリー若しくはスプロケットであり、
前記動力伝達体がワイヤーを含むロープ状、ベルト状、或いはチェーン状であり、
前記荷重物受け体がバケットであり、
前記荷重物が流体物であり、
2個の前記回転体が、一定の軸間隔をおいて並設された水平面と平行な回転軸を有する第1の回転体および第2の回転体と、
第1の回転体と第2の回転体に掛けられた回転軸方向に並行な2つの前記動力伝達体と、
前記動力伝達体に所定間隔をおいて取り付けられた所定数量のバケットと、
バケットが第2の回転体を周回する際、バケットの開口面の垂線と水平面とのなす角度を90°以上変化させる手段と、
を備え、
第1の回転体の鉛直位置は第2の回転体の鉛直位置よりも高く、かつ、第1の回転体と第2の回転体の軸心間を結ぶ直線と水平面とのなす角度が15〜75°の範囲となるように、第1の回転体と第2の回転体が配設され、
バケットは各々の前記動力伝達体に回動自在に軸支され、
バケットが第1の回転体の周回する際に前記流体物が流入され、
バケットが第2の回転体の周回する際に前記流体物が流出され、
第1の回転体若しくは第2の回転体の軸の回転エネルギーを利用することを特徴とする請求項1に記載の荷重利用装置。 - 上記のバケットの開口面の垂線と水平面とのなす角度を90°以上変化させる手段は、第2の回転体の径よりも小さく同軸の円柱体の側周面と、バケットの上方に延設された部材と、が当接しながら、バケットが第2の回転体を周回することにより、バケットが前記動力伝達体に軸支された点を支点とするモーメント力が働き、バケットの開口面の垂線と水平面とのなす角度を変化させることを特徴とする請求項2に記載の荷重利用装置。
- 2個の前記回転体の軸心間を結ぶ直線と水平面とのなす角度を調整できる傾斜角調整手段が更に設けられ、前記回転体の軸の回転エネルギーを利用する負荷の増減により、傾斜角を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の荷重利用装置。
- 前記荷重物受け体が前記動力伝達体に軸支された部分にローラーが設けられ、該ローラーを支持するガイドレールが設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の荷重利用装置。
- 前記動力伝達体は、ローラーチェーンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の荷重利用装置。
- 請求項1〜6のいずれかの荷重利用装置を用い、前記流体物が水であり、前記回転体の軸の回転エネルギーを利用して発電することを特徴とする水力発電装置。
- 請求項1〜6のいずれかの荷重利用装置を用い、前記回転体の軸の回転エネルギーを利用して発電することを特徴とする発電システム。
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