JP2014093199A - 微生物燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも大きな出力が得られる微生物燃料電池を提供する。
【解決手段】微生物を収容する第1の槽2と、第1のプロトン透過膜3を介して第1の槽2に隣接する第2の槽4と、第2の槽4に酸素を供給する酸素供給手段12と、第1の槽2に配設された第1の電極5と、第2の槽4に配設された第2の電極6とを備える微生物燃料電池1において、第2のプロトン透過膜8を介して第1の槽2に隣接し水を収容する第3の槽9と、第3の槽9に配設された光触媒電極10とを備え、光触媒電極10は第1の電極5と電気的に接続され、受光することにより水を分解して電子とプロトンとを生成する。
【選択図】 図1
【解決手段】微生物を収容する第1の槽2と、第1のプロトン透過膜3を介して第1の槽2に隣接する第2の槽4と、第2の槽4に酸素を供給する酸素供給手段12と、第1の槽2に配設された第1の電極5と、第2の槽4に配設された第2の電極6とを備える微生物燃料電池1において、第2のプロトン透過膜8を介して第1の槽2に隣接し水を収容する第3の槽9と、第3の槽9に配設された光触媒電極10とを備え、光触媒電極10は第1の電極5と電気的に接続され、受光することにより水を分解して電子とプロトンとを生成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、微生物燃料電池に関する。
従来、微生物が生成するプロトンを燃料として発電を行う微生物燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記微生物燃料電池は、有機物を分解する微生物を収容する第1の槽と、プロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽とを備え、各槽には電極が配設された構成となっている。
前記微生物燃料電池では、前記第1の槽に前記微生物の基質となる有機物として、ヘドロ、汚泥等を供給する一方、前記第2の槽にはエアレーション等の手段により酸素を供給する。このようにすると、前記第1の槽では、前記微生物が前記有機物を分解して、二酸化炭素とプロトンと電子とを生成する。
前記プロトンは、前記プロトン透過膜を介して前記第2の槽に移動し、該第2の槽に配設されている電極から電子を受け取ると共に、酸素と反応することにより水を生成する。また、前記電子は第1の槽に配設されている電極に集電される。
そこで、前記第1の槽と前記第2の槽とに配設された各電極を導線により接続すると、前記第1の槽をアノードとし、前記第2の槽をカソードとする燃料電池が形成され、該導線により電流を取り出すことができる。
しかしながら、前記従来の微生物燃料電池では、前記第1の槽で微生物により生成されるプロトンが微量である上、前記第2の槽に酸素を供給するためにもエネルギーを要するので、実用的な出力を得ることが難しいという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、前記従来の微生物燃料電池よりも大きな出力を得ることができる微生物燃料電池を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の第1の形態の微生物燃料電池は、有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物を収容する第1の槽と、第1のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽と、該第2の槽に酸素を供給する酸素供給手段と、該第1の槽に配設された第1の電極と、該第2の槽に配設された第2の電極とを備える微生物燃料電池において、第2のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接し水を収容する第3の槽と、該第3の槽に配設された光触媒電極とを備え、該光触媒電極は該第1の電極と電気的に接続され、受光することにより水を分解して電子とプロトンとを生成することを特徴とする。
本発明の第1の形態の微生物燃料電池によれば、前記第3の槽に光線を照射することにより、前記光触媒電極が受光し、その触媒作用により水を分解して電子とプロトンとを生成する。前記電子は、前記光触媒電極から前記第1の槽に配設されている第1の電極に送られ、該第1の槽で前記微生物が前記有機物を分解することにより生成した電子と共に取出される。
また、前記プロトンは前記第2のプロトン透過膜を透過して前記第1の槽に移動することができるので、前記光触媒電極による水の分解を妨げることがない。前記プロトンは、さらに、前記第1の槽において前記微生物により生成されるプロトンと共に、前記第1のプロトン透過膜を透過して前記第2の槽に移動し、該第2の槽に配設されている電極から電子を受け取ると共に、酸素と反応することにより水を生成する。
従って、本発明の第1の形態の微生物燃料電池によれば、前記第1の槽で前記微生物が前記有機物を分解することにより生成した電子のみを取り出す従来の微生物燃料電池に対し、より大きな出力を得ることができる。
本発明の第1の形態の微生物燃料電池において、前記酸素供給手段は、前記第3の槽と前記第2の槽とを接続し、前記光触媒電極が水を分解する際に生成する酸素を該第3の槽から該第2の槽に供給する酸素導管であることが好ましい。
前記光触媒電極が水を分解する際には、前記電子及びプロトンと共に酸素を生成するので、該酸素を前記酸素導管を介して前記第3の槽から前記第2の槽に供給する。このようにすることにより、前記第2の槽で消費される酸素の一部を前記第3の槽から供給することができ、該第2の槽に供給される酸素と、該酸素の供給に要するエネルギーとを軽減することができる。
また、前記第1の槽に収容されている微生物が嫌気性微生物である場合には、前記第3の槽で生成した酸素が該第1の槽に流入することを阻止することができ、該嫌気性微生物の活動を阻害することを防止することができる。
また、本発明の第2の形態の微生物燃料電池は、有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物を収容する第1の槽と、第1のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽と、該第2の槽に酸素を供給する酸素供給手段と、該第1の槽に配設された第1の電極と、該第2の槽に配設された第2の電極とを備える微生物燃料電池において、前記酸素供給手段は、n型半導体光触媒電極と、該n型半導体光触媒電極に電気的に接続された対極とを備えることを特徴とする。
本発明の第2の形態の微生物燃料電池によれば、前記n型半導体光触媒電極に光を照射すると、該n型半導体光触媒の触媒作用により生成する電子により水が分解されて水素と酸素とを生成する。そこで、前記n型半導体光触媒電極を酸素供給手段とすることにより、該n型半導体光触媒電極により生成された酸素を前記第2の槽に供給することができる。従って、前記第2の槽に対する酸素の供給に要するエネルギーを軽減することができ、従来の微生物燃料電池に対し、より大きな出力を得ることができる。
また、本発明の第3の形態の微生物燃料電池は、有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物を収容する第1の槽と、第1のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽と、該第2の槽に酸素を供給する酸素供給手段と、該第1の槽に配設された第1の電極と、該第2の槽に配設された第2の電極とを備える微生物燃料電池において、前記酸素供給手段は、p型半導体光触媒電極と、該p型半導体光触媒電極に電気的に接続された対極とを備えることを特徴とする。
本発明の第3の形態の微生物燃料電池によれば、前記p型半導体光触媒電極に光を照射すると、該p型半導体光触媒の触媒作用により生成する正孔が水中の水酸イオンと反応して酸素を生成する。そこで、前記p型半導体光触媒電極を酸素供給手段とすることにより、該p型半導体光触媒電極により生成された酸素を前記第2の槽に供給することができる。従って、前記第2の槽に対する酸素の供給に要するエネルギーを軽減することができ、従来の微生物燃料電池に対し、より大きな出力を得ることができる。
また、本発明の第4の形態の微生物燃料電池は、有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物を収容する第1の槽と、第1のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽と、該第2の槽に酸素を供給する酸素供給手段と、該第1の槽に配設された第1の電極と、該第2の槽に配設された第2の電極とを備える微生物燃料電池において、前記酸素供給手段は、白金担持超光触媒層を備えることを特徴とする。
本発明の第4の形態の微生物燃料電池によれば、前記白金担持超光触媒層に光を照射すると、該白金担持超光触媒層の触媒作用により水が分解されて水素と酸素とを生成する。そこで、前記白金担持超光触媒層を酸素供給手段とすることにより、該白金担持超光触媒層により生成された酸素を前記第2の槽に供給することができる。従って、前記第2の槽に対する酸素の供給に要するエネルギーを軽減することができ、従来の微生物燃料電池に対し、より大きな出力を得ることができる。
また、本発明の第4の形態の微生物燃料電池によれば、前記白金担持超光触媒層は、それ自体を担持する電極と対極とを必要としないので、全体の構成を簡略化することができる。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態の微生物燃料電池1について説明する。微生物燃料電池1は、微生物を収容する第1の槽としての微生物槽2と、プロトン透過膜3を介して微生物槽2に隣接する第2の槽としての水槽4とを備えている。微生物槽2と水槽4とにはそれぞれ第1、第2の電極としての電極5,6が配設されており、電極5,6は外部回路を構成する導線7により接続されている。また、導線7の途中には負荷7aが設けられている。
また、微生物槽2は、プロトン透過膜8を介して微生物槽2に隣接する第3の槽としての付属水槽9を備えている。付属水槽9には光触媒電極10が配設されており、光触媒電極10は導線11を介して電極5に接続されている。また、付属水槽9は導管12を介して水槽4に接続されている。
微生物槽2に収容されている微生物は、有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物であればよく、例えば、Shewanella属、Geobacter属等の細菌等の嫌気性微生物を用いることができる。微生物槽2は、前記微生物と共に水が収容されていてもよく、イオンが移動できる程度の水分を含む土壌が収容されていてもよい。
前記有機物としては、前記微生物の基質となるものであればどのようなものでもよいが、ヘドロ、汚泥等の廃棄物を用いることにより、該微生物に該廃棄物の処理を行わせることができ、好都合である。
微生物槽2に配設される電極5としては、前記微生物の担体となると共に集電体として作用するものであればどのような材料からなるものでもよい。このような電極5として、例えば、竹炭、カーボンフェルト、グラファイトフェルト等からなるものを挙げることができる。
水槽4に収容される液体は、イオン伝導性を備える液体であればどのような液体であってもよく、このような液体として例えば、水(H2O)、海水(NaClを含有したH2O)等を挙げることができる。水槽4に配設される電極6としては、Pt、Co等からなるものを挙げることができる。
付属水槽9に収容される液体は、イオン伝導性を備える液体であればどのような液体であってもよく、このような液体として例えば、水(H2O)、海水(NaClを含有したH2O)等を挙げることができる。付属水槽9に配設される光触媒電極10としては、光触媒からなる電極であればどのようなものであってもよく、例えば、TiO2、SrTiO3、KTaO3、WO3、Fe2O3等の光触媒からなるものを挙げることができる。
また、プロトン透過膜3,8としては、ナフィオン(デュポン社製、商品名)、アシプレックス(旭化成株式会社製、商品名)、フレミオン(旭硝子株式会社製、商品名)等のそれ自体公知のものを用いることができる。
次に、本実施形態の微生物燃料電池1の作動について説明する。
微生物燃料電池1では、付属水槽9に光線を照射すると、該光線を光触媒電極10が受光し、前記光触媒の触媒作用により水を分解して、次式(1)のように酸素、プロトン及び電子を生成する。
H2O → 1/2O2 + 2H+ + 2e− ・・・(1)
前記酸素は導管12を介して水槽4に供給され、前記プロトンはプロトン透過膜8を介して微生物槽2に移動する。また、前記電子は導線11を介して電極5に供給される。
前記酸素は導管12を介して水槽4に供給され、前記プロトンはプロトン透過膜8を介して微生物槽2に移動する。また、前記電子は導線11を介して電極5に供給される。
一方、微生物槽2では、図示しない基質供給手段により微生物槽2に供給される前記有機物を前記微生物が分解して、二酸化炭素、プロトン及び電子を生成する。前記プロトンは、付属水槽9で生成したプロトンと共にプロトン透過膜3を介して水槽4に移動する。また、前記電子は、付属水槽9から導線11を介して供給される電子と共に、電極5から導線7を介して取出され、水槽4の電極6に供給される。
また、水槽4では、微生物槽2からプロトン透過膜3を介して供給された前記プロトンが、電極6において前記電子を受け取ると共に、付属水槽9から導管12を介して供給される酸素と反応して水を生成する。
この結果、微生物燃料電池1では、電極5から取出される電子により、導線7に設けられた負荷7aに対して仕事をすることができる。このとき、微生物燃料電池1では、微生物槽2で前記微生物の作用により生成した電子に加え、付属水槽9で光触媒電極10の作用により生成した電子も電極5から取出される。従って、前記微生物の作用により生成した電子のみを用いる場合に比較して、より大きな出力を得ることができる。
また、微生物燃料電池1では、付属水槽9で生成した酸素を導管12を介して水槽4に供給しているので該酸素が微生物槽2に流入することがなく、前記微生物が嫌気性微生物である場合にはその活動を阻害することを防止することができる。また、付属水槽9で生成した酸素を導管12を介して水槽4に供給するので、別途水槽4に酸素供給手段を設ける必要がなく、水槽4に該酸素供給手段を設ける場合に比較して、より大きな出力を得ることができる。
ただし、水槽4には、必要に応じてエアレーション装置等のような酸素供給手段を設けるようにしてもよい。
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施形態の微生物燃料電池21について説明する。ここで、図1に示す微生物燃料電池1と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図2に示す微生物燃料電池21は、微生物を収容する微生物槽2と、プロトン透過膜3を介して微生物槽2に隣接する水槽4とを備えている。微生物槽2と水槽4とにはそれぞれ電極5,6が配設されており、電極5,6は外部回路を構成する導線7により接続されている。また、導線7の途中には負荷7aが設けられている。
また、水槽4は、プロトン透過膜22を介して水槽4に隣接する付属水槽23を備えている。付属水槽23にはn型半導体光触媒電極24が配設されており、n型半導体光触媒電極24は導線25を介して、水槽4に配設された対極26に接続されている。また、付属水槽23は導管27を介して水槽4に接続されている。
付属水槽23に収容される液体は、イオン伝導性を備える液体であればどのような液体であってもよく、このような液体として例えば、水(H2O)、海水(NaClを含有したH2O)等を挙げることができる。付属水槽23に配設されるn型半導体光触媒電極24としては、n型半導体光触媒からなる電極であればどのようなものであってもよく、例えば、TiO2、SrTiO3、KTaO3、WO3、Fe2O3等のn型半導体光触媒からなるものを挙げることができる。
また、水槽4に配設された対極26としては、Pt、Co等からなるものを挙げることができる。プロトン透過膜22としては、プロトン透過膜3と同一のものを用いることができる。
次に、本実施形態の微生物燃料電池21の作動について説明する。
微生物燃料電池21では、付属水槽23に光線を照射すると、該光線をn型半導体光触媒電極24が受光し、前記光触媒の触媒作用により電子を生成する。前記電子は、次式(2)に示すように、水と反応することにより水素と水酸イオンとを生成し、該水酸イオンからさらに酸素と水と電子とを生成する。
〔光触媒電極〕 2H2O+2e− → H2+2OH−
2OH− → 1/2O2+H2O+2e− ・・・(2)
前記酸素は導管27を介して水槽4に供給され、前記プロトンはプロトン透過膜22を介して水槽4に移動する。また、前記電子は導線25を介して対極26に供給される。対極26では、次式(3)に示すように、プロトン透過膜22を介して水槽4に移動した前記プロトンが、n型半導体光触媒電極24から供給される電子を受け取って水素を生成する。
2OH− → 1/2O2+H2O+2e− ・・・(2)
前記酸素は導管27を介して水槽4に供給され、前記プロトンはプロトン透過膜22を介して水槽4に移動する。また、前記電子は導線25を介して対極26に供給される。対極26では、次式(3)に示すように、プロトン透過膜22を介して水槽4に移動した前記プロトンが、n型半導体光触媒電極24から供給される電子を受け取って水素を生成する。
〔対極〕 2H++2e− → H2 ・・・(3)
この結果、全体反応としては、次式(4)のように、水から水素と酸素とを生成することになる。
この結果、全体反応としては、次式(4)のように、水から水素と酸素とを生成することになる。
〔全体反応〕 H2O → H2+1/2O2 ・・・(4)
微生物燃料電池21では、前述のように、付属水槽23で生成した前記プロトンを水槽4に移動させ、対極26で水素としている。従って、n型半導体光触媒電極24から該プロトン及び該電子が取り除かれることとなり、前記水の分解による酸素の生成を促進することができる。
微生物燃料電池21では、前述のように、付属水槽23で生成した前記プロトンを水槽4に移動させ、対極26で水素としている。従って、n型半導体光触媒電極24から該プロトン及び該電子が取り除かれることとなり、前記水の分解による酸素の生成を促進することができる。
一方、微生物槽2では、図示しない基質供給手段により微生物槽2に供給される前記有機物を前記微生物が分解して、二酸化炭素、プロトン及び電子を生成する。前記プロトンは、プロトン透過膜3を介して水槽4に移動する。また、前記電子は、電極5から導線7を介して取出され、水槽4の電極6に供給される。
そして、水槽4では、微生物槽2からプロトン透過膜3を介して供給された前記プロトンが、電極6において前記電子を受け取ると共に、付属水槽23から導管27を介して供給される酸素と反応して水を生成する。
この結果、微生物燃料電池21では、電極5から取出される電子により、導線7に設けられた負荷7aに対して仕事をすることができる。このとき、微生物燃料電池21では、付属水槽23で生成した酸素を導管27を介して水槽4に供給するので、別途水槽4に酸素供給手段を設ける必要がなく、水槽4に該酸素供給手段を設ける場合に比較して、より大きな出力を得ることができる。
尚、微生物燃料電池21では、付属水槽23を設けることなく、水槽4にn型半導体光触媒電極24と対極26とを配設し、水槽4に光線を照射するようにしてもよい。
次に、図3を参照して、本発明の第3の実施形態の微生物燃料電池31について説明する。ここで、図1に示す微生物燃料電池1と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図3に示す微生物燃料電池31は、微生物を収容する微生物槽2と、プロトン透過膜3を介して微生物槽2に隣接する水槽4とを備えている。微生物槽2と水槽4とにはそれぞれ電極5,6が配設されており、電極5,6は外部回路を構成する導線7により接続されている。また、導線7の途中には負荷7aが設けられている。
また、水槽4は、プロトン透過膜32を介して水槽4に隣接する付属水槽33を備えている。水槽4には、p型半導体光触媒電極34が配設されており、p型半導体光触媒電極34は導線35を介して、付属水槽33に配設された対極36に接続されている。
付属水槽33に収容される液体は、イオン伝導性を備える液体であればどのような液体であってもよく、このような液体として例えば、水(H2O)、海水(NaClを含有したH2O)等を挙げることができる。水槽4に配設されるp型半導体光触媒電極34としては、p型半導体光触媒からなる電極であればどのようなものであってもよく、例えば、CaFe2O4等のp型半導体光触媒からなるものを挙げることができる。
また、付属水槽33に配設された対極36としては、Pt、Co等からなるものを挙げることができる。プロトン透過膜32としては、プロトン透過膜3と同一のものを用いることができる。
次に、本実施形態の微生物燃料電池31の作動について説明する。
微生物燃料電池31では、水槽4に光線を照射すると、該光線をp型半導体光触媒電極34が受光し、前記光触媒の触媒作用により正孔を生成する。前記正孔(h+)は、次式(5)に示すように、水中の水酸イオン(OH−)と反応することにより、酸素と水を生成する。
〔光触媒電極〕 4h+ + 4OH− → O2 + 2H2O ・・・(5)
このとき、対極36では前記正孔に対応する電子を生成し、該電子が次式(6)に示すように水中のプロトンと反応して水素を生成する。
このとき、対極36では前記正孔に対応する電子を生成し、該電子が次式(6)に示すように水中のプロトンと反応して水素を生成する。
〔対極〕 4H+ + 4e− → 2H2 ・・・(6)
この結果、全体反応としては、次式(7)のように、水から水素と酸素とを生成することになる。
この結果、全体反応としては、次式(7)のように、水から水素と酸素とを生成することになる。
〔全体反応〕 2H2O + 4h+ + 4e− → 2H2+O2 ・・・(4)
微生物燃料電池31では、前述のように、前記正孔に対応する電子から対極36で水素を生成させている。従って、p型半導体光触媒電極34から前記電子が取り除かれることとなり、前記正孔による酸素の生成を促進することができる。
微生物燃料電池31では、前述のように、前記正孔に対応する電子から対極36で水素を生成させている。従って、p型半導体光触媒電極34から前記電子が取り除かれることとなり、前記正孔による酸素の生成を促進することができる。
一方、微生物槽2では、図示しない基質供給手段により微生物槽2に供給される前記有機物を前記微生物が分解して、二酸化炭素、プロトン及び電子を生成する。前記プロトンは、プロトン透過膜3を介して水槽4に移動する。また、前記電子は、電極5から導線7を介して取出され、水槽4の電極6に供給される。
そして、水槽4では、微生物槽2からプロトン透過膜3を介して供給された前記プロトンが、電極6において前記電子を受け取ると共に、p型半導体光触媒電極34で生成した酸素と反応して水を生成する。
この結果、微生物燃料電池31では、電極5から取出される電子により、導線7に設けられた負荷7aに対して仕事をすることができる。このとき、微生物燃料電池31では、水槽4に配設されたp型半導体光触媒電極34により酸素を生成させるので、別途水槽4に酸素供給手段を設ける必要がなく、水槽4に該酸素供給手段を設ける場合に比較して、より大きな出力を得ることができる。
尚、微生物燃料電池31では、付属水槽33を設けることなく、水槽4にp型半導体光触媒電極34と対極36とを配設するようにしてもよい。
次に、図4を参照して、本発明の第4の実施形態の微生物燃料電池41について説明する。ここで、図1に示す微生物燃料電池1と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図4に示す微生物燃料電池41は、微生物を収容する微生物槽2と、プロトン透過膜3を介して微生物槽2に隣接する水槽4とを備えている。微生物槽2と水槽4とにはそれぞれ電極5,6が配設されており、電極5,6は外部回路を構成する導線7により接続されている。また、導線7の途中には負荷7aが設けられている。
また、水槽4には、内壁面に白金担持超光触媒塗布層42が設けられている。白金担持超光触媒塗布層42を構成する白金担持超光触媒としては、特許第4048266号公報に記載のものを用いることができ、例えば、TiO2からなる光触媒粒子をPt粒子に担持させたものを挙げることができる。前記白金担持超光触媒によれば、対極を必要とすることなく、光線を照射するだけで酸素を生成させることができる。
次に、本実施形態の微生物燃料電池41の作動について説明する。
微生物燃料電池41では、水槽4に光線を照射すると、該光線を白金担持超光触媒塗布層42が受光し、前記白金担持超光触媒の触媒作用により酸素を生成する。
一方、微生物槽2では、図示しない基質供給手段により微生物槽2に供給される前記有機物を前記微生物が分解して、二酸化炭素、プロトン及び電子を生成する。前記プロトンは、プロトン透過膜3を介して水槽4に移動する。また、前記電子は、電極5から導線7を介して取出され、水槽4の電極6に供給される。
そして、水槽4では、微生物槽2からプロトン透過膜3を介して供給された前記プロトンが、電極6において前記電子を受け取ると共に、白金担持超光触媒塗布層42で生成した酸素と反応して水を生成する。
この結果、微生物燃料電池41では、電極5から取出される電子により、導線7に設けられた負荷7aに対して仕事をすることができる。このとき、微生物燃料電池41では、水槽4の内壁面に配設された白金担持超光触媒塗布層42により酸素を生成させるので、別途水槽4に酸素供給手段を設ける必要がなく、水槽4に該酸素供給手段を設ける場合に比較して、より大きな出力を得ることができる。
1,21,31,41…微生物燃料電池、 2…微生物槽、 4…水槽、 9,23,33…付属水槽、 10…光触媒電極、 24…n型半導体光触媒電極、 34…p型半導体光触媒電極、 42…白金担持超光触媒塗布層。
Claims (5)
- 有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物を収容する第1の槽と、第1のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽と、該第2の槽に酸素を供給する酸素供給手段と、該第1の槽に配設された第1の電極と、該第2の槽に配設された第2の電極とを備える微生物燃料電池において、
第2のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接し水を収容する第3の槽と、該第3の槽に配設された光触媒電極とを備え、該光触媒電極は該第1の電極と電気的に接続され、受光することにより水を分解して電子とプロトンとを生成することを特徴とする微生物燃料電池。 - 請求項1記載の微生物燃料電池において、前記酸素供給手段は、前記第3の槽と前記第2の槽とを接続し、前記光触媒電極が水を分解する際に生成する酸素を該第3の槽から該第2の槽に供給する酸素導管であることを特徴とする微生物燃料電池。
- 有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物を収容する第1の槽と、第1のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽と、該第2の槽に酸素を供給する酸素供給手段と、該第1の槽に配設された第1の電極と、該第2の槽に配設された第2の電極とを備える微生物燃料電池において、
前記酸素供給手段は、n型半導体光触媒電極と、該n型半導体光触媒電極に電気的に接続された対極とを備えることを特徴とする微生物燃料電池。 - 有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物を収容する第1の槽と、第1のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽と、該第2の槽に酸素を供給する酸素供給手段と、該第1の槽に配設された第1の電極と、該第2の槽に配設された第2の電極とを備える微生物燃料電池において、
前記酸素供給手段は、p型半導体光触媒電極と、該p型半導体光触媒電極に電気的に接続された対極とを備えることを特徴とする微生物燃料電池。 - 有機物を分解して電子とプロトンとを生成する微生物を収容する第1の槽と、第1のプロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽と、該第2の槽に酸素を供給する酸素供給手段と、該第1の槽に配設された第1の電極と、該第2の槽に配設された第2の電極とを備える微生物燃料電池において、
前記酸素供給手段は、白金担持超光触媒層を備えることを特徴とする微生物燃料電池。
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