JP2014082176A - 耐食導電材、耐食導電性皮膜および耐食導電部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性および導電性に優れる新たな組成からなる耐食導電材を提供する。
【解決手段】本発明の耐食導電材は、Cr、TiおよびP(必須元素)からなることを特徴とする。この耐食導電材は、Nを含有することにより、さらに優れた耐食導電性を発揮する。また耐食導電材が非晶質であると、高い耐食導電性が安定して発揮される。本発明は、単に耐食導電材としてのみならず、必須元素からなる耐食導電性皮膜やこの耐食導電性皮膜を表面に形成した基材からなる耐食導電部材(例えば、固体高分子型燃料電池用の金属セパレータ)としても把握できる。またPVD等を用いることにより、所望組成の耐食導電性皮膜等を容易に製造することができる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の耐食導電材は、Cr、TiおよびP(必須元素)からなることを特徴とする。この耐食導電材は、Nを含有することにより、さらに優れた耐食導電性を発揮する。また耐食導電材が非晶質であると、高い耐食導電性が安定して発揮される。本発明は、単に耐食導電材としてのみならず、必須元素からなる耐食導電性皮膜やこの耐食導電性皮膜を表面に形成した基材からなる耐食導電部材(例えば、固体高分子型燃料電池用の金属セパレータ)としても把握できる。またPVD等を用いることにより、所望組成の耐食導電性皮膜等を容易に製造することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐食性および導電性に優れる耐食導電材または耐食導電性皮膜と、その耐食導電性皮膜で被覆された基材からなる耐食導電部材(例えば燃料電池用セパレータ等)に関する。
燃料電池用の金属セパレータ等に代表されるように、最近では、耐食性と導電性とを高次元で両立できる部材が求められている。しかし、これら特性を高次元で両立する耐食導電部材を得ることは容易ではない。例えば、Ti系またはステンレス系の金属材料では、表面に強固な不働態皮膜を形成するため耐食性に優れるものの、その不働態皮膜は安定的な絶縁性化合物からなるため、通常は電気抵抗が非常に大きく導電性に乏しい。
このような事情の下、本発明者は既に、耐食性および導電性(両者を併せて「耐食導電性」という。)を高次元で両立させた耐食導電性皮膜を開発しており、例えば下記の特許文献に関連した記載がある。
上記の特許文献では、Fe、TiおよびPからなる耐食導電性皮膜やそれを用いた耐食導電部材を提案している。これらは優れた特性を発揮し得る。もっとも、それら特許文献で具体的に開示している組成は、Fe、TiおよびPを含むもののみであった。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、これまで未知であった組成からなる新たな耐食導電材、耐食導電性皮膜およびそれらを用いた耐食導電部材を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、基板上に形成したCr、TiおよびPからなる皮膜が、導電性と共に非常に優れた耐食性を発揮することを見出した。この成果を発展させることで以降に述べる種々の発明を完成させるに至った。
《耐食導電材》
(1)すなわち、本発明の耐食導電材は、クロム(Cr)、チタン(Ti)およびリン(P)からなることを特徴とする。
(1)すなわち、本発明の耐食導電材は、クロム(Cr)、チタン(Ti)およびリン(P)からなることを特徴とする。
(2)本発明の耐食導電材は、導電性と共に非常に優れた耐食性を発現する。しかもこの耐食導電材は比較的安価に形成され得るため、種々の工業製品に利用可能である。
もっとも、本発明の耐食導電材が耐食導電性に優れる理由は必ずしも定かではない。現状では、Ti3Pなどのチタンニクタイドの耐食性がCrにより強化されると共に、Cr、TiおよびPの必須元素が相乗的に作用して高電子伝導性の電子構造が構成されたと考えられる。
なお、本発明の耐食導電材は、十分に優れた耐食性および導電性を発揮するが、必ずしも両者が高次元で両立している必要はない。すなわち、本発明の耐食導電材は、その用途や実用性に鑑みて、耐食性または導電性の一方の特性が優先的に優れるものでも良い。
ところで、本発明の耐食導電材は、上記の必須元素(Cr、Ti、P)以外にNを含有していると、より優れた耐食導電性を発現することがわかっている。
さらに本発明の耐食導電材は、結晶質でもよいが、非晶質(アモルファス)であると、均質化または平滑化されて表面欠陥等が少なくなり、より優れた耐食導電性を発揮し得る。
ちなみに本発明の耐食導電材は、その形態を問わず、所定形状をした部材自体であってもよいし、加工、成形等される素材、粉末などでもよいし、次に述べるような基材の表面に形成される皮膜等であってもよい。
《耐食導電性皮膜および耐食導電部材》
(1)本発明は、単に耐食導電材としてのみならず、その一形態である耐食導電性皮膜としても把握される。また本発明は、基材と、この基材の少なくとも一部の表面を被覆する耐食導電性皮膜とからなる耐食導電部としても把握できる。
(1)本発明は、単に耐食導電材としてのみならず、その一形態である耐食導電性皮膜としても把握される。また本発明は、基材と、この基材の少なくとも一部の表面を被覆する耐食導電性皮膜とからなる耐食導電部としても把握できる。
(2)本明細書でいう基材は、材質、形状、大きさ等を問わない。このため本発明でいう耐食導電部材には、素材または原料(粉末など)なども含まれる。また耐食導電性皮膜が形成される限り、基材のベース(中核部分)は、Ti、Al、Fe(ステンレスを含む)、Mgなどの金属でも良いし、さらには樹脂、セラミック等でも良い。もっとも、基材自体が純チタン、チタン合金、ステンレスなどからなると、それらがバッファとして機能して、より耐食性に優れる耐食導電部材が得られ易い。
(3)上記の耐食導電部材の一例として、例えば、固体高分子型燃料電池用セパレータがある。すなわち本発明は、中央に設けられた固体高分子電解質膜と該固体高分子電解質膜の一方側に接して設けられた燃料電極と該固体高分子電解質膜の他方側に接して設けられた酸化電極と該燃料電極および該酸化電極の外側に設けられたセパレータとからなる単位電池を積層してなり、該セパレータと該燃料電極との間に燃料ガスを供給すると共に該セパレータと該酸化電極との間に酸化剤ガスを供給して直流電力を発生させる固体高分子型燃料電池において、前記セパレータは、少なくとも一部の表面に上述した耐食導電性皮膜を有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータとしても把握できる。勿論、本発明は、そのようなセパレータを有する固体高分子型燃料電池としても把握できる。
《製造方法》
本発明の耐食導電材、耐食導電性皮膜または耐食導電部材は、その製造方法や形成方法等を問わない。例えば、耐食導電性皮膜は、メッキや化学的気相成長法(CVD)のような化学的方法により形成されてもよいし、物理的気相成長法(PVD)のような物理的方法により形成されてもよい。例えば、PVDを行う場合なら、ターゲット組成を調整することにより、ほぼ所望組成の耐食導電性皮膜の形成が可能となる。
本発明の耐食導電材、耐食導電性皮膜または耐食導電部材は、その製造方法や形成方法等を問わない。例えば、耐食導電性皮膜は、メッキや化学的気相成長法(CVD)のような化学的方法により形成されてもよいし、物理的気相成長法(PVD)のような物理的方法により形成されてもよい。例えば、PVDを行う場合なら、ターゲット組成を調整することにより、ほぼ所望組成の耐食導電性皮膜の形成が可能となる。
《その他》
(1)本発明の耐食導電材(特に断らない限り、耐食導電性皮膜を含む。)は、上述した主要元素(Cr、Ti、P、N)以外に、その特性を改善し得る「改質元素」を含んでもよい。また本発明の耐食導電材は、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な不可避不純物元素も当然に含み得る。
(1)本発明の耐食導電材(特に断らない限り、耐食導電性皮膜を含む。)は、上述した主要元素(Cr、Ti、P、N)以外に、その特性を改善し得る「改質元素」を含んでもよい。また本発明の耐食導電材は、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な不可避不純物元素も当然に含み得る。
(2)本明細書でいう「耐食性」は、酸性雰囲気下または酸化雰囲気下などで腐食しない耐酸性または耐酸化性など、いずれでもよい。この耐食性は、腐食速度、腐食電流密度などにより指標される。「導電性」は、耐食導電材自体の電気抵抗が小さい場合でも、他の導電材と接触したときの接触抵抗が小さい場合でもよい。
(3)特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限値xおよび上限値yを含む。さらに本明細書中に記載した数値やその「x〜y」に含まれる任意の数値を適宜組合わせて、新たな任意の数値範囲「a〜b」を構成し得る。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。本明細書で説明する内容は、本発明に係る耐食導電材のみならず耐食導電性皮膜や耐食導電部材、それらの製造方法等にも該当し得る。本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を、上述した本発明の構成要素に付加することができる。プロダクトバイプロセスクレームとして理解すれば、製造方法に関する内容も耐食導電部材等に関する構成要素となり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《耐食導電材》
(1)組成
本発明の耐食導電材(耐食導電性皮膜等を含む。)は、必須元素であるCr、TiおよびPからなり、主要元素であるNを適宜含む。本発明の耐食導電材は、これら元素の割合(組成)を問わず、それら以外の他元素を含んでいてもよい。
(1)組成
本発明の耐食導電材(耐食導電性皮膜等を含む。)は、必須元素であるCr、TiおよびPからなり、主要元素であるNを適宜含む。本発明の耐食導電材は、これら元素の割合(組成)を問わず、それら以外の他元素を含んでいてもよい。
もっとも、全体を100原子%(単に「%」で表す。)としたときに、Cr:10〜70%、15〜55%、20〜50%さらには25〜40%であり、Ti:5〜60%、10〜55%、15〜50%さらには20〜40%であり、P:10〜70%、15〜55%、20〜50%さらには25〜40%であると好ましい。
特にNを含む場合、Cr、TiおよびPのそれぞれが15〜45%さらには20〜40%であると好ましい。このときNは、10〜60%、15〜50%さらには20〜40%であると好ましい。
逆にNを含まない場合、Cr:15〜55%さらには20〜50%、Ti:25〜65%さらには20〜50%、P:15〜55%さらには20〜50%であると好ましい。
なお、本発明の耐食導電材が含み得る改質元素として、例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、バナジウム(V)、ボロン(B)などがある。
(2)構造
本発明の耐食導電材(特に耐食導電性皮膜)は、明確な結晶構造をとらない非晶質であると、均質的または等方的となり、腐食の起点などになる結晶粒界や格子欠陥などがほとんどないため、さらなる耐食性の向上を図れる。
本発明の耐食導電材(特に耐食導電性皮膜)は、明確な結晶構造をとらない非晶質であると、均質的または等方的となり、腐食の起点などになる結晶粒界や格子欠陥などがほとんどないため、さらなる耐食性の向上を図れる。
なお、本発明でいう非晶質(アモルファス相)は、X線回折装置(XRD)で強い回折が検出されない程度であれば足り、結晶構造を完全にもたない非晶質でも、XRDで弱い回折が検出される潜晶質でもよい。
また本発明の耐食導電材は、厚さ方向または深さ方向に関して、組成や構造が変化していてもよい。また耐食導電性皮膜は多層構造であってもよい。もっとも本発明の耐食導電性皮膜は、基材の表面を薄く被覆するだけで十分な耐食性または導電性を発現し得る。このため、その厚さは10〜1000nmさらには50〜300nm程度でも十分である。また耐食導電部材は、基材表面と耐食導電性皮膜の間に下地層または支持層となる中間層を有していてもよい。中間層は、例えば、結晶構造をもつTi3Pなどからなる化合物層である。耐食導電性に優れたTi3P層等が下層にあると、本発明の耐食導電性皮膜が仮に欠如または変態しても、基材の腐食等が抑止され、耐食導電部材の優れた耐食導電性が維持され得る。
《製造方法》
(1)耐食導電性皮膜の形成
耐食導電性皮膜の形成(皮膜形成工程)には、必須元素の供給が必要である。これら必須元素は、基材と独立した供給源から供給されてもよいし、基材側からその一部が供給されてもよい。基材と独立した供給源から必須元素が供給される場合、所望組成の耐食導電性皮膜の形成が容易となる。
(1)耐食導電性皮膜の形成
耐食導電性皮膜の形成(皮膜形成工程)には、必須元素の供給が必要である。これら必須元素は、基材と独立した供給源から供給されてもよいし、基材側からその一部が供給されてもよい。基材と独立した供給源から必須元素が供給される場合、所望組成の耐食導電性皮膜の形成が容易となる。
皮膜形成工程は、その種類を問わず、例えば、レーザーアブレーション、電子ビーム蒸着、スパッタリング等の物理蒸着(PVD)、反応性雰囲気下での蒸着法(CVDまたはPVD+CVD)等により行える。基材の材質・形態・特性、耐食導電性皮膜の組成や厚さなどを考慮して適切な方法が選択される。そのなかでも、均一な皮膜を効率的に形成できる蒸着法、特に物理気相蒸着(PVD)法が好ましい。
PVDは、真空中で、蒸着原料(ターゲット)から発生させた必須元素を基材表面に付着させる方法である。ターゲットのアブレーション(気化、昇華、剥離など)には、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどを用いることができる。
真空チャンバー内に設置したターゲットに、チャンバー外部からレーザー光を照射して、ターゲットから発生させた必須元素の原子を基材上に堆積させるパルスレーザーデポジション(PLD)法を用いてもよい。PLDを用いると、ターゲットと皮膜と間で成分元素のずれが少なく、所望組成の耐食導電性皮膜が形成され易い。また、レーザーパルス数を調整することにより、成膜速度の精密な制御が可能である。
スパッタ法や蒸着法等で用いるターゲットは、放電プラズマ焼結(SPS)法により得られたターゲットを用いると好ましい。ちなみにSPSは、ターゲットとなる原料粉末の圧粉体の粒子間隙へ、低電圧でパルス状の大電流を投入し、粒子間に瞬時に発生する放電プラズマエネルギーにより、各粒子間を焼結させる方法である。
(2)窒化工程
耐食導電材(特に耐食導電性皮膜)へのNの導入は、例えば、PVD雰囲気へ窒化を導入して行ってもよいし、ガス窒化、イオン窒化、塩浴窒化などの窒化法により行ってもよい。
耐食導電材(特に耐食導電性皮膜)へのNの導入は、例えば、PVD雰囲気へ窒化を導入して行ってもよいし、ガス窒化、イオン窒化、塩浴窒化などの窒化法により行ってもよい。
《用途》
本発明の耐食導電部材は、その用途に限定はなく、種々の利用が考えられる。耐食導電部材は、最終製品またはそれに近い形態に限らず、中間材や粉末等の原料でもよい。耐食導電部材の好例は、前述した固体高分子型燃料電池用セパレータ等のように腐食環境下で使用される電極等の通電部材である。
本発明の耐食導電部材は、その用途に限定はなく、種々の利用が考えられる。耐食導電部材は、最終製品またはそれに近い形態に限らず、中間材や粉末等の原料でもよい。耐食導電部材の好例は、前述した固体高分子型燃料電池用セパレータ等のように腐食環境下で使用される電極等の通電部材である。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製造》
アルミナシリカガラスからなるガラス基板(基材)を用意した。これら基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、皮膜を成膜した(皮膜形成工程)。
《試料の製造》
アルミナシリカガラスからなるガラス基板(基材)を用意した。これら基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、皮膜を成膜した(皮膜形成工程)。
ターゲットは、市販されているTiP粉末(10〜100μm)、Cr2P粉末(10〜100μm)およびTi粉末(10〜100μm)を、所望組成に配合した混合粉末から製造した。この際、混合粉末は揺動混合器を用いて均一に混合した。
マグネトロンスパッタは、100W、1時間、0.5Paの条件下で行った。この際のスパッタガスには、Arガス、またはArとN2の混合ガスを用いた。こうしてガラス基板上に成膜された各試料(表1参照)を製造した。
《皮膜の観察》
(1)各試料に係る皮膜について、ラザフォード後方散乱分析(RBS)により組成分析を行った。このときの測定は、イオン種:He、イオンエネルギー:1.8MeV、散乱角:160°、散乱槽の真空度:3×10−6Torrの条件下で行った。得られた結果を表1に示した。なお、各皮膜中に含まれるTi、CrおよびPの原子割合(組成)は、用いたターゲットを構成していたTi、CrおよびPの原子割合とほぼ同じであった。
(1)各試料に係る皮膜について、ラザフォード後方散乱分析(RBS)により組成分析を行った。このときの測定は、イオン種:He、イオンエネルギー:1.8MeV、散乱角:160°、散乱槽の真空度:3×10−6Torrの条件下で行った。得られた結果を表1に示した。なお、各皮膜中に含まれるTi、CrおよびPの原子割合(組成)は、用いたターゲットを構成していたTi、CrおよびPの原子割合とほぼ同じであった。
(2)各試料に係る皮膜の結晶構造をX線回折装置(XRD)で解析した。いずれの場合も、シャープなピークが現れず、各皮膜はアモルファス状であることが確認された。またいずれの皮膜も、金属光沢を示しており、ガラス基板との段差から求めた厚さは約160nm程度であった。
《耐食性・導電性》
(1)ガラス基板上に成膜された各皮膜の腐食電流密度を測定した。具体的には、硫酸(H2SO4)の1規定度(H:1mol/L)の水溶液(1NH2SO4:pH〜0)中に浸漬した試料(皮膜)で交換電流密度(腐食電流密度)を測定した。この際の掃引速度は50mV/分とし、参照電極には飽和塩化銀電極(SSE:Ag/AgCl/飽和KCl水溶液)を用いた。これにより得られた結果を表1に併せて示した。なお、試料11〜14および試料21〜23はいずれも、印加電圧が増加しても電流密度が安定していた。一方、試料C11、C21およびC22のように、測定中に皮膜が溶解して測定不能であった。
(1)ガラス基板上に成膜された各皮膜の腐食電流密度を測定した。具体的には、硫酸(H2SO4)の1規定度(H:1mol/L)の水溶液(1NH2SO4:pH〜0)中に浸漬した試料(皮膜)で交換電流密度(腐食電流密度)を測定した。この際の掃引速度は50mV/分とし、参照電極には飽和塩化銀電極(SSE:Ag/AgCl/飽和KCl水溶液)を用いた。これにより得られた結果を表1に併せて示した。なお、試料11〜14および試料21〜23はいずれも、印加電圧が増加しても電流密度が安定していた。一方、試料C11、C21およびC22のように、測定中に皮膜が溶解して測定不能であった。
(2)各試料の皮膜の体積抵抗率を四端子法で測定した。試料11〜14および試料21〜23はいずれも、体積抵抗率が1〜10(×10−6Ω・m)であった。
《評価》
表1から明らかなように、Ti、CrおよびP(必須元素)を適量含む試料1〜7はいずれも、優れた耐食性および導電性を示すことが明らかとなった。特にNを含有している試料1〜4は、Nを含有していない試料5〜7よりも10〜100倍程度、耐食性に優れることが明らかとなった。
表1から明らかなように、Ti、CrおよびP(必須元素)を適量含む試料1〜7はいずれも、優れた耐食性および導電性を示すことが明らかとなった。特にNを含有している試料1〜4は、Nを含有していない試料5〜7よりも10〜100倍程度、耐食性に優れることが明らかとなった。
Claims (8)
- クロム(Cr)、チタン(Ti)およびリン(P)からなることを特徴とする耐食導電材。
- 全体を100原子%(以下単に「%」という。)としたときに、Cr:10〜70%、Ti:5〜60%、P:10〜70%である請求項1に記載の耐食導電材。
- さらに、窒素(N)を含有する請求項1に記載の耐食導電材。
- 全体を100%としたときに、Cr、TiおよびPは10〜45%である請求項3に記載の耐食導電材。
- さらに全体を100%としたときに、Nは5〜55%である請求項3または4に記載の耐食導電材。
- 非晶質である請求項1〜5のいずれかに記載の耐食導電材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の耐食導電材からなることを特徴とする耐食導電性皮膜。
- 基材と、
該基材の少なくとも一部の表面を被覆する請求項7に記載の耐食導電性皮膜と、
からなることを特徴とする耐食導電部材。
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JP2020026557A (ja) * | 2018-08-10 | 2020-02-20 | 株式会社豊田中央研究所 | 二酸化炭素還元材 |
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JP7347033B2 (ja) | 2019-09-05 | 2023-09-20 | 株式会社豊田中央研究所 | 電極板 |
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