JP2014079676A - 撹拌脱泡用容器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自転公転方式の撹拌脱泡装置に用いられる撹拌脱泡用容器の汎用性を向上させる。
【解決手段】撹拌脱泡用容器(1)は、内部に投入された材料の撹拌および脱泡が、自転公転方式の撹拌脱泡装置によって行われる。撹拌脱泡用容器(1)は、内面において、材料の流動性が相対的に低いことが特定されている部分の少なくとも一部に、撥水膜(2)が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】撹拌脱泡用容器(1)は、内部に投入された材料の撹拌および脱泡が、自転公転方式の撹拌脱泡装置によって行われる。撹拌脱泡用容器(1)は、内面において、材料の流動性が相対的に低いことが特定されている部分の少なくとも一部に、撥水膜(2)が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、撹拌脱泡装置に使用される撹拌脱泡用容器およびその製造方法に関する。
従来、対称となる材料が収納された撹拌脱泡用容器(以下、単に「容器」と称することがある。)を公転させながら自転させることによって、上記容器内で上記材料を撹拌脱泡する自転公転方式の撹拌脱泡装置が知られている。この撹拌脱泡装置では、上記容器を公転させながら自転させることによって上記容器内の材料に作用する遠心力を利用して、材料を撹拌するとともに、材料に内在する気泡を放出させて脱泡することができる。
図9は、従来技術における撹拌脱泡用容器の流動について示している。上記自転による遠心力に比べて、上記公転による遠心力が優勢である場合、容器222内の材料は、同図に示す矢印Qのように流動する。このため、容器222における側壁部223および底部224によって囲まれた領域P1と、底部224の中央付近の領域P2とでは、他の領域に比べて上記材料の流動性が低く、上記材料の滞留が発生する。その結果、上記材料の撹拌が不均一である撹拌ムラが発生する虞がある。
そこで、このような自転公転方式の撹拌脱泡装置の分野では、材料を均一に撹拌するために、容器の形状を工夫する試みがなされてきた。特許文献1には、上記自転公転方式の撹拌脱泡装置に使用される容器おいて、底部の中央を凸状に形成することにより、材料のより均一な混合状態が得られることが開示されている。
また、特許文献2には、撹拌脱泡する円柱状の容器の底部に2つの傾斜領域を設けることが開示されている。図10は、上記撹拌脱泡装置に使用される容器を示している。
図10に示すように、容器222の内面110には、円柱状の側面部120と、側面部120の下端から延びる底部130とを含んでいる。底部130は、中央領域140と、最深領域150と、最深領域150および側面部120をつなぐ第1傾斜領域160と、最深領域150および中央領域140をつなぐ第2傾斜領域170とを含んでいる。第1傾斜領域160および第2傾斜領域170は、側面部120の中心線120Lを含む平面で切断した断面において、円C1に沿って延びる曲線となるように構成されている。上記構成により、図9に示す領域P1・P2が省略されるので、上記材料の撹拌ムラ、上記材料の一成分の沈殿などが発生し難くなる。
上述のように、特許文献1・2に記載の容器における底部の中央には、内向きに突出した凸部が設けられている。このため、材料が少ない場合、当該材料が上記凸部を乗り越え難くなり、その結果、上記材料が均一に撹拌されるまでの時間が長くなる。
この問題点を回避するには、上記容器よりも小型の容器を利用することが考えられる。しかしながら、この場合、材料の量に応じて容器を変更する必要があり、汎用性に欠けることになる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、汎用性を向上できる撹拌脱泡用容器などを提供することにある。
本発明の一態様に係る撹拌脱泡用容器は、内部に投入された材料の撹拌および脱泡が、自転公転方式の撹拌脱泡装置によって行われる撹拌脱泡用容器であって、上記課題を解決するために、内面において、上記材料の流動性が低い部分の少なくとも一部に、撥水膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、撥水膜が形成された部分では、材料の流動性が向上するので、撹拌ムラを低減することができる。従って、材料および/またはその量に応じて撹拌脱泡用容器を変更する必要が無くなるので、撹拌脱泡用容器の汎用性が向上する効果を奏する。
〔実施形態1〕
(撹拌脱泡の原理)
本発明の一実施形態について説明する前に、自転公転方式の撹拌脱泡装置における撹拌脱泡の原理について、図11を参照して説明する。なお、以下の説明においては、同じ機能を有する部材については、同じ参照符号を付すことにより、その説明を省略する。
(撹拌脱泡の原理)
本発明の一実施形態について説明する前に、自転公転方式の撹拌脱泡装置における撹拌脱泡の原理について、図11を参照して説明する。なお、以下の説明においては、同じ機能を有する部材については、同じ参照符号を付すことにより、その説明を省略する。
図11は、自転公転方式の撹拌脱泡装置における撹拌脱泡の原理を説明するためのものである。撹拌脱泡装置により、撹拌脱泡用容器222は、公転軸L1の周りを回転(公転)しながら、自転軸L2の周りを回転(自転)する。これにより、撹拌脱泡用容器222内の材料には、上記公転による遠心力F=mRω1 2と、上記自転による遠心力f=mrω2 2と、重力fg=mgとが働く。ここで、mは材料の質量、Rは公転半径、ω1は公転角速度、rは自転半径、ω2は自転角速度、そして、gは重力定数である。
従って、撹拌脱泡用容器222内の材料は、上記自転による遠心力fにより、自転軸L2から撹拌脱泡用容器222の側壁の方へ押圧され、かつ、上記公転による遠心力Fと上記重力fgとの合力F+fgにより、撹拌脱泡用容器222の底部の方へ押圧される。
従って、上記自転による遠心力fに比べて、上記合力F+fgの方が優勢(支配的)である場合、撹拌脱泡用容器222の底部付近の材料は、周縁から中央に押し出され、該中央から上方(撹拌脱泡用容器222の底部から開口部への方向)へ押し出される。これにより、例えば図9に示す矢印Qのように、上記材料が流動し、その結果、上記材料が撹拌される。
上記公転の遠心力Fにより、材料は圧縮された状態となり、当該材料から気泡が抜け出す、すなわち脱泡される。また、上記自転による遠心力fは、材料の渦巻き状の流動を発生させる要因となり、自転角速度(自転回転数)ω2は、材料の流動の流速を決定する。従って、上記公転は、材料の脱泡性能に影響を及ぼす一方、自転は、上記渦巻き流による材料の分散性能に影響を及ぼす。
なお、自転軸L2は公転軸L1に対して傾いている。これは主として、公転の遠心力Fによって、容器222を保持する容器ホルダから容器222が外れたり、容器222内の材料がこぼれたりすることを防止するためである。
また、容器222は、自転軸L2が公転軸L1と交わるように構成されている。なお、公転軸L1と自転軸L2とのなす角度は限定されるものではないが、材料の対流および撹拌の観点から例えば40度、45度などであることが好ましい。
(撹拌脱泡用容器の構成)
図1は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図示のように、撹拌脱泡用容器1は、円形の底部10と、該底部10から延びる略円筒形の側壁部11とを備える構成である。なお、側壁部11は、底部10に向かうにつれて少し狭くなっている。
図1は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図示のように、撹拌脱泡用容器1は、円形の底部10と、該底部10から延びる略円筒形の側壁部11とを備える構成である。なお、側壁部11は、底部10に向かうにつれて少し狭くなっている。
本実施形態では、撹拌脱泡用容器1は、内面の全体に撥水膜2が形成されている。これにより、内面付近の材料の流動性が向上するので、撹拌ムラを低減することができる。従って、材料および/またはその量に応じて撹拌脱泡用容器1を変更する必要が無くなるので、撹拌脱泡用容器1の汎用性が向上する。
撥水膜2は、撥油性を有することが好ましい。この場合、水と親和性を有する材料だけでなく、油と親和性を有する材料に対しても上述の効果を奏することができ、撹拌脱泡用容器1の汎用性がさらに向上する。
撥水膜2の材料としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、などが挙げられる。このうち、フッ素樹脂は、撥水性および撥油性だけでなく、耐熱性、耐薬品性などにも優れているので望ましい。この場合、撹拌脱泡のための材料として種々のものを利用できるので、撹拌脱泡用容器1の汎用性がさらに向上する。なお、フッ素樹脂の例としてはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体)などが挙げられる。また、撹拌脱泡用容器1の材料としては、プラスチック、金属など、種々のものを利用することができる。
〔実施例〕
図1に示す撹拌脱泡用容器1と、図9および図10に示す撹拌脱泡用容器222との撹拌能力について比較を行った。撹拌能力を調べる方法として、液剤に赤インクを少量滴下し、攪拌過程でのインクの動きを調べ、当該インクの動きを攪拌による対流現象として評価した。
図1に示す撹拌脱泡用容器1と、図9および図10に示す撹拌脱泡用容器222との撹拌能力について比較を行った。撹拌能力を調べる方法として、液剤に赤インクを少量滴下し、攪拌過程でのインクの動きを調べ、当該インクの動きを攪拌による対流現象として評価した。
図9に示す比較例の撹拌脱泡用容器222としては、市販の円筒状容器(通常容器)を使用した。また、図1に示す本実施例の撹拌脱泡用容器1としては、上記通常容器の内面にフッ素樹脂を、噴霧装置(ダイキン工業株式会社製のダイフリー(商標)(型番:GA−7550))を用いて形成したもの(コーティング容器)を使用した。また、図10に示す比較例の撹拌脱泡用容器222としては、特許文献2のように、底部の中央を凸状に形成したもの(凸状容器)を使用した。なお、それぞれの容器の容量は100mlである。また、液剤は蛍光体を含むシリコーン樹脂であり、17mlを撹拌脱泡用容器に投入した。
上記の実験の結果、撹拌脱泡用容器の側壁部への液剤のせり上がりは、通常容器においては、20〜12cmであったのに対し、コーティング容器では、32〜15cmに改善していた。また、赤インクの撹拌状態は、凸状容器では、5分間で十分に撹拌されたのに対し、コーティング容器では、2分間で十分に撹拌された。なお、通常容器では、5分間経過しても十分に撹拌されなかった。従って、本実施例の撹拌脱泡用容器が、従来の撹拌脱泡用容器に比べて、撹拌能力が大幅に向上し、少量の処理量(赤インク)においても均一かつ迅速な分散性能を得ることができた。
〔実施形態2〕
次に、本発明の別の実施形態について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図2に示す撹拌脱泡用容器1は、図1に比べて、底部10の中央に、内向きに突出した凸部20が形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。
次に、本発明の別の実施形態について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図2に示す撹拌脱泡用容器1は、図1に比べて、底部10の中央に、内向きに突出した凸部20が形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。
上記の構成によると、撹拌する材料の撹拌ムラや撹拌する材料の成分の沈殿を防止することができる。また、撥水膜2を形成することによって、撹拌する材料の処理量が少ない場合においても、凸部20によって二分された液体の濃度差が生じ難くなる。
〔実施形態3〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図3に示す撹拌脱泡用容器1は、図1に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の中央にのみ形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。上記の構成であっても、底部10の中央にて生じる材料の流動性の低下を改善できるので、図1に示す撹拌脱泡用容器1と同様の効果を奏することができる。
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図3に示す撹拌脱泡用容器1は、図1に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の中央にのみ形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。上記の構成であっても、底部10の中央にて生じる材料の流動性の低下を改善できるので、図1に示す撹拌脱泡用容器1と同様の効果を奏することができる。
〔実施形態4〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図4に示す撹拌脱泡用容器1は、図1に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の周縁にのみ形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。上記の構成であっても、底部10の周縁にて生じる材料の流動性の低下を改善できるので、図1に示す撹拌脱泡用容器1と同様の効果を奏することができる。
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図4に示す撹拌脱泡用容器1は、図1に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の周縁にのみ形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。上記の構成であっても、底部10の周縁にて生じる材料の流動性の低下を改善できるので、図1に示す撹拌脱泡用容器1と同様の効果を奏することができる。
〔実施形態5〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図5に示す撹拌脱泡用容器1は、図1に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の周縁の数箇所(図示の例では4箇所)のみに等間隔で形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。上記の構成であっても、底部10の周縁における当該箇所にて生じる材料の流動性の低下を改善できるので、図1に示す撹拌脱泡用容器1と同様の効果を奏することができる。なお、撥水膜2を形成する箇所は、特に限定されるものではない。
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図5に示す撹拌脱泡用容器1は、図1に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の周縁の数箇所(図示の例では4箇所)のみに等間隔で形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。上記の構成であっても、底部10の周縁における当該箇所にて生じる材料の流動性の低下を改善できるので、図1に示す撹拌脱泡用容器1と同様の効果を奏することができる。なお、撥水膜2を形成する箇所は、特に限定されるものではない。
〔実施形態6〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図6に示す撹拌脱泡用容器1は、図2に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の中央の凸部20にのみ形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。この場合、凸部20における材料の流動性が向上するので、凸部20を材料が乗り越え易くなり、その結果、撹拌能力が向上することになる。
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図6に示す撹拌脱泡用容器1は、図2に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の中央の凸部20にのみ形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。この場合、凸部20における材料の流動性が向上するので、凸部20を材料が乗り越え易くなり、その結果、撹拌能力が向上することになる。
〔実施形態7〕
次に、本発明の他の実施形態について、図7および図8を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図7に示す撹拌脱泡用容器1は、図2に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の周縁にのみ形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。この場合、底部10の周縁における材料の流動性が向上することにより、凸部20を材料が乗り越え易くなり、その結果、撹拌能力が向上することになる。
次に、本発明の他の実施形態について、図7および図8を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る撹拌脱泡用容器の構造を示している。図7に示す撹拌脱泡用容器1は、図2に示す撹拌脱泡用容器1に比べて、撥水膜2が、底部10の周縁にのみ形成されている点が異なり、その他の構成は同様である。この場合、底部10の周縁における材料の流動性が向上することにより、凸部20を材料が乗り越え易くなり、その結果、撹拌能力が向上することになる。
図8は、図7に示す撹拌脱泡用容器1の製造工程を示している。本実施形態では、上記通常容器(図9に示す撹拌脱泡用容器222)に対し、対向する2つの金型4・5を用いて、底部をプレス成形することにより、底部が熱変形して、撹拌脱泡用容器1の底部10の中央に凸部20が形成される。
さらに、本実施形態では、上部の金型4において、撹拌脱泡用容器1の底部10の周縁と対向する領域に、撥水性素材2aが塗布されている。この撥水性素材2aは、上記プレス成形時に、撹拌脱泡用容器1の底部10の周縁と接触し、熱を加えることにより撹拌脱泡用容器1の底部10の周縁に熱転写することができる。熱転写された撥水性素材2aは、撹拌脱泡用容器1の底部10に撥水膜2として形成される。
従って、成形工程において、凸部20の成形と共に、撥水膜2の形成を行うことができるので、製造効率を向上させることができる。また、撹拌脱泡用容器1としては、市販の円筒状容器(ディスポカップ)を利用して製造することができ、製造効率をさらに向上させることができる。
なお、上記実施形態では、撹拌脱泡用容器1の底部10における凸部20の形成方法と、当該底部10の周縁における撥水膜2の形成方法とについて例示的に示したが、これらは、底部10に限られるものではなく、撹拌脱泡用容器1の任意の箇所に適用することができる。
また、他の撥水膜形成方法としては、スプレーを用いて形成する方法や、および内部面に下地層として酸化ケイ素層、または酸化アルミニウム層および酸化ケイ素層を積層形成し、その上にフッ素系撥水層(自己組織化単分子)を形成する方法などが挙げられる。
また、上述の各実施形態の撥水膜2は、撥水作用の性質を有する物質から構成することができ、特に、フッ素系撥水膜を用いて構成することが好ましい。
例えば、攪拌する材料が、LED用途に用いる蛍光体樹脂でシリコーン系であった場合、シリコーン樹脂に対し相容性が低いフッ素を撥水膜の素材として選択することで、撥水部分と液体試料との表面張力が下げることができる。したがって、より少ない公転の加速度で撹拌材料を撹拌できる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る撹拌脱泡用容器は、内部に投入された材料の撹拌および脱泡が、自転公転方式の撹拌脱泡装置によって行われる撹拌脱泡用容器であって、内面において、上記材料の流動性が相対的に低いことが特定されている部分の少なくとも一部に、撥水膜が形成されている。
本発明の一態様に係る撹拌脱泡用容器は、内部に投入された材料の撹拌および脱泡が、自転公転方式の撹拌脱泡装置によって行われる撹拌脱泡用容器であって、内面において、上記材料の流動性が相対的に低いことが特定されている部分の少なくとも一部に、撥水膜が形成されている。
上記の構成によると、撥水膜が形成された部分では、材料の流動性が向上するので、撹拌ムラを低減することができる。従って、材料および/またはその量に応じて撹拌脱泡用容器を変更する必要が無くなるので、撹拌脱泡用容器の汎用性が向上する。
本発明の一態様に係る撹拌脱泡用容器では、上記撥水膜は、撥油性を有することが好ましい。この場合、水と親和性を有する材料だけでなく、油と親和性を有する材料に対しても上述の効果を奏することができ、上記撹拌脱泡用容器の汎用性がさらに向上する。
本発明の一態様に係る撹拌脱泡用容器では、上記撥水膜は、フッ素樹脂からなることが好ましい。フッ素樹脂は、撥水性および撥油性だけでなく、耐熱性、耐薬品性などにも優れている。従って、上記の構成の場合、上記撹拌脱泡用容器の汎用性がさらに向上する。
なお、上記撥水膜は、上記内面の全てに形成されてもよい。また、上記撹拌脱泡用容器が桶状である場合、底部の中央および底部の周辺において上記材料の流動性が低い。そこで、上記撥水膜は、底部の中央および周縁の少なくとも一方に形成されてもよい。また、上記撥水膜は、上記底部の周縁に等間隔で形成されてもよい。
本発明の一態様に係る撹拌脱泡用容器では、底部の中央には、内向きに突出した凸部が形成されていてもよい。この形態では、材料が多い場合には、上記底部の中央における上記材料の流動性が上記凸部により向上する上、上記撥水膜による上記材料の流動性の向上が加わるので、撹拌効率を向上することができる。また、上記材料が少ない場合でも、上記撥水膜による上記材料の流動性の向上効果が得られることにより、上記凸部を乗り越え易くなり、撹拌され易くなる。従って、上記材料が少ないことによる撹拌効率の低下を抑えることができる。
本発明の一態様に係る撹拌脱泡用容器の製造方法は、内部に投入された材料の撹拌および脱泡が、自転公転方式の撹拌脱泡装置によって行われる撹拌脱泡用容器の製造方法であって、上記撹拌脱泡用容器となる桶状の容器における底部の中央に、内向きに突出した凸部を、金型を用いて成形する成形工程を含んでおり、該成形工程の前に、上記桶状の容器の内面において、上記材料の流動性が相対的に低いことが特定されている部分の少なくとも一部に対応する上記金型の領域に撥水剤を塗布する工程をさらに含んでいる。
上記の方法によると、成形工程において、凸部の成形と共に、撥水膜の形成を行うことができるので、製造効率を向上させることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以上のように、本発明の一態様に係る撹拌脱泡用容器は、撥水膜が形成された部分にて材料の流動性が向上して、撹拌ムラを低減でき、材料および/またはその量に応じて撹拌脱泡用容器を変更する必要が無くなり、撹拌脱泡用容器の汎用性が向上するので、任意の形状の撹拌脱泡用容器に本発明を適用することができる。
1 撹拌脱泡用容器
2 撥水膜
2a 撥水性素材
4・5 金型
10 底部
11 側壁部
20 凸部
2 撥水膜
2a 撥水性素材
4・5 金型
10 底部
11 側壁部
20 凸部
Claims (8)
- 内部に投入された材料の撹拌および脱泡が、自転公転方式の撹拌脱泡装置によって行われる撹拌脱泡用容器であって、
内面において、上記材料の流動性が相対的に低いことが特定されている部分の少なくとも一部に、撥水膜が形成されていることを特徴とする撹拌脱泡用容器。 - 上記撥水膜は、撥油性を有することを特徴とする請求項1に記載の撹拌脱泡用容器。
- 上記撥水膜は、フッ素樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載の撹拌脱泡用容器。
- 上記撥水膜は、上記内面の全てに形成されていることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の撹拌脱泡用容器。
- 上記撥水膜は、底部の中央および底部の周縁の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の撹拌脱泡用容器。
- 上記撥水膜は、上記底部の周縁に等間隔で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の撹拌脱泡用容器。
- 底部の中央には、内向きに突出した凸部が形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の撹拌脱泡用容器。
- 内部に投入された材料の撹拌および脱泡が、自転公転方式の撹拌脱泡装置によって行われる撹拌脱泡用容器の製造方法であって、
上記撹拌脱泡用容器となる桶状の容器における底部の中央に、内向きに突出した凸部を、金型を用いて成形する成形工程を含んでおり、
該成形工程の前に、上記桶状の容器の内面において、上記材料の流動性が相対的に低いことが特定されている部分の少なくとも一部に対応する上記金型の領域に撥水剤を塗布する工程をさらに含むことを特徴とする撹拌脱泡用容器の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012228163A JP2014079676A (ja) | 2012-10-15 | 2012-10-15 | 撹拌脱泡用容器およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2014079676A true JP2014079676A (ja) | 2014-05-08 |
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ID=50784405
Family Applications (1)
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JP2012228163A Pending JP2014079676A (ja) | 2012-10-15 | 2012-10-15 | 撹拌脱泡用容器およびその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2014079676A (ja) |
-
2012
- 2012-10-15 JP JP2012228163A patent/JP2014079676A/ja active Pending
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