JP2014077845A - 横電界方式液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】透過率、視野角特性および階調表示に優れる横電界方式液晶表示素子を提供する。
【解決手段】第1基材、上記第1基材上に屈曲して形成された複数の線状電極、および上記第1基材上に上記線状電極を覆うように形成された第1配向膜を有する液晶駆動側基板と、第2基材、および上記第2基材上に形成された第2配向膜を有する対向基板と、上記液晶駆動側基板および上記対向基板の間に形成され、キラル化合物を含有するネマチック液晶組成物を含む液晶層とを有し、上記線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子において、各画素が、上記線状電極の屈曲部を境に、電界印加時に液晶分子が第1方向に回転する第1領域と液晶分子が上記第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域とを有し、上記第1領域での上記線状電極の間隔と、上記第2領域での上記線状電極の間隔とが異なる。
【選択図】図5

Description

本発明は、線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子に関するものである。
横電界方式液晶表示素子は、広視野角を実現できることから注目されている。近年では、さらなる視野角特性の向上を目的として、配向分割技術であるマルチドメイン駆動を組み合わせる検討がなされている。マルチドメイン駆動を行う横電界方式液晶表示素子においては、同一画素内に液晶分子の配向状態が異なる2つ以上の領域が存在するため、斜め方向から観察したときの白表示時または中間調表示時の色味の変化を改善することができる。
マルチドメイン駆動の手段としては、例えば、櫛歯電極を「く」の字状に形成し、櫛歯電極間に発生する電界の方向を異ならせることで、同一画素内に液晶分子の配向状態が異なる2つ以上の領域を形成する方法が知られている。
一方、横電界方式液晶表示素子は、透過率が低いという課題を有している。横電界方式液晶表示素子においては、例えば、一方の基板に櫛歯電極を設け、隣接する櫛歯電極間で電界を発生させるため、櫛歯電極上では電界の横方向の成分が小さく、液晶分子が回転しにくい。そのため、透過率が低下するのである。
透過率向上の手段としては、例えば、電極のパターン、セルギャップ、液晶の弾性力、液晶および配向膜の種類等を調整する方法が提案されている。例えば特許文献1には、櫛歯電極上のセルギャップを櫛歯電極間のセルギャップよりも大きくすることにより、透過率を向上させる手段が開示されている。また特許文献2には、IPSモード液晶表示素子において、カイラル剤が添加された液晶を用い、一方の配向膜を水平配向膜とし、他方の配向膜を垂直配向膜とすることにより、駆動電圧を低減し、かつ透過率を向上させる手段が開示されている。
なお、特許文献2に記載されたIPSモード液晶表示素子では、一方の配向膜が水平配向膜、他方の配向膜が垂直配向膜であり、電界無印加時に液晶分子はTN方式のように配向しているが、一般的なIPSモード液晶表示素子においては両方の配向膜が水平配向膜である。
また、マルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子においては、外部圧力により配向乱れが発生し液晶分子が逆方向に回転するリバースツイスト現象を抑制するために、例えば特許文献3には、配向処理方向に対して電極の延設方向を交差させる手法が提案されている。
特開2010−8662号公報 特開2000−267104号公報 特開2010−145871号公報
本発明者らは、両方の配向膜が水平配向膜であり、一般的な構成を有する横電界方式液晶表示素子において透過率を向上させる方法について種々検討を行った結果、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物を用いることにより透過率が向上することを知見した。
しかしながら、本発明者らが検討を重ねたところ、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物を用いた横電界方式液晶表示素子においてマルチドメイン駆動を行う場合には、次のような新たな課題が生じることが判明した。すなわち、キラル化合物は旋光性を有することから、液晶分子の回旋方向には優位な方向が存在する。そのため、同一画素内の液晶分子の配向状態が異なる2つ以上の領域では、電界印加時の液晶分子の回転しやすさに相違が生じ、印加電圧に対する透過率の変化が異なってしまう。各領域で駆動電圧に対する透過率が異なると、マルチドメイン駆動は視野角依存性を補償する技術であるにもかかわらず、横電界方式液晶表示素子を斜め方向から観察した場合に色味が変化してしまう。また、横電界方式液晶表示素子全体の透過率は第1領域および第2領域の平均透過率になるため、第1領域および第2領域で電圧−透過率特性が著しく異なると、電圧−透過率曲線に極大値が2箇所生じる等、電圧−透過率曲線が不連続になり、階調制御が困難になる、または階調表示のために低電圧および低透過率の駆動になってしまう場合がある。
なお、キラル化合物が添加されていない従来のネマチック液晶組成物を用いる場合には、液晶分子の回旋方向に優位な方向が存在しないため、上述のような問題は生じない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、透過率、視野角特性および階調表示に優れる横電界方式液晶表示素子を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、第1基材、上記第1基材上に屈曲して形成された複数の線状電極、および上記第1基材上に上記線状電極を覆うように形成された第1配向膜を有する液晶駆動側基板と、第2基材、および上記第2基材上に形成された第2配向膜を有する対向基板と、上記液晶駆動側基板および上記対向基板の間に形成され、キラル化合物を含有するネマチック液晶組成物を含む液晶層とを有し、上記線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子であって、各画素が、上記線状電極の屈曲部を境に、電界印加時に液晶分子が第1方向に回転する第1領域と液晶分子が上記第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域とを有し、上記第1領域での上記線状電極の間隔と、上記第2領域での上記線状電極の間隔とが異なることを特徴とする横電界方式液晶表示素子を提供する。
本発明においては、ネマチック液晶組成物にキラル化合物が添加されていることにより、横電界方式液晶表示素子において透過率を向上させることが可能である。また本発明においては、第1領域および第2領域での線状電極の間隔が異なることにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができ、視野角特性をさらに向上させることが可能である。さらには、第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線を近似させることができ、階調制御が容易になり、滑らかで自然な階調表示が可能になる。
また本発明は、第1基材、上記第1基材上に屈曲して形成された複数の線状電極、および上記第1基材上に上記線状電極を覆うように形成された第1配向膜を有する液晶駆動側基板と、第2基材、および上記第2基材上に形成された第2配向膜を有する対向基板と、上記液晶駆動側基板および上記対向基板の間に形成され、キラル化合物を含有するネマチック液晶組成物を含む液晶層とを有し、上記線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子であって、各画素が、上記線状電極の屈曲部を境に、電界印加時に液晶分子が第1方向に回転する第1領域と液晶分子が上記第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域とを有し、上記第1配向膜および上記第2配向膜の配向処理方向に対する上記第1領域での上記線状電極の伸長方向の角度と、上記配向処理方向に対する上記第2領域での上記線状電極の伸長方向の角度とが異なることを特徴とする横電界方式液晶表示素子を提供する。
本発明においては、ネマチック液晶組成物にキラル化合物が添加されていることにより、横電界方式液晶表示素子において透過率を向上させることが可能である。また本発明においては、配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度が異なることにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができ、視野角特性をさらに向上させることが可能である。さらには、第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線を近似させることができ、階調制御が容易になり、滑らかで自然な階調表示が可能になる。
上記発明においては、上記第1領域での上記線状電極の間隔と、上記第2領域での上記線状電極の間隔とが異なることが好ましい。配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度が異なり、かつ、第1領域および第2領域での線状電極の間隔が異なることにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率をより均一にすることができ、また第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線をより近似させることができるからである。
また本発明においては、上記第1領域での上記線状電極のピッチと、上記第2領域での上記線状電極のピッチとが異なることが好ましい。この場合には、開口率を保ち輝度を維持しつつ、第1領域および第2領域での線状電極の間隔を異ならせることができる。
さらに本発明においては、上記第1領域での上記線状電極の幅と、上記第2領域での上記線状電極の幅とが異なることも好ましい。この場合には、第1領域および第2領域で線状電極を連続して形成するのが容易である。
本発明においては、高透過率かつ視野角特性および階調表示に優れる横電界方式液晶表示素子を得ることができるという効果を奏する。
本発明の横電界方式液晶表示素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子の他の例を示す概略断面図である。 マルチドメイン駆動について説明するための模式図である。 従来の横電界方式液晶表示素子の電圧−透過率特性の一例を示すグラフである。 本発明の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の一例を示す概略平面図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の他の例を示す概略平面図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子の電圧−透過率特性の一例を示すグラフである。 本発明の横電界方式液晶表示素子における第1領域および第2領域を説明するための模式図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の他の例を示す概略平面図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の他の例を示す概略平面図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の他の例を示す概略平面図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子の電圧−透過率特性の他の例を示すグラフである。 本発明の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の他の例を示す概略平面図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の他の例を示す概略平面図である。 本発明の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の他の例を示す概略平面図である。 実験例1の横電界方式液晶表示素子の電圧−透過光量特性を示すグラフである。 実験例2の横電界方式液晶表示素子の電圧−透過光量特性を示すグラフである。 実験例3の横電界方式液晶表示素子の電圧−透過光量特性を示すグラフである。 実験例4の横電界方式液晶表示素子の電圧−透過光量特性を示すグラフである。
以下、本発明の横電界方式液晶表示素子について詳細に説明する。
本発明の横電界方式液晶表示素子は2つの実施態様を有する。以下、各実施態様に分けて説明する。
A.第1実施態様
本実施態様の横電界方式液晶表示素子は、第1基材、上記第1基材上に屈曲して形成された複数の線状電極、および上記第1基材上に上記線状電極を覆うように形成された第1配向膜を有する液晶駆動側基板と、第2基材、および上記第2基材上に形成された第2配向膜を有する対向基板と、上記液晶駆動側基板および上記対向基板の間に形成され、キラル化合物を含有するネマチック液晶組成物を含む液晶層とを有し、上記線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子であって、各画素が、上記線状電極の屈曲部を境に、電界印加時に液晶分子が第1方向に回転する第1領域と液晶分子が上記第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域とを有し、上記第1領域での上記線状電極の間隔と、上記第2領域での上記線状電極の間隔とが異なることを特徴とするものである。
本実施態様の横電界方式液晶表示素子について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施態様の横電界方式液晶表示素子の一例を示す概略断面図であり、IPSモード液晶表示素子の例である。図1に例示する横電界方式液晶表示素子1においては、液晶駆動側基板10と対向基板20との間に、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物を含む液晶層30が挟持されている。液晶駆動側基板10は、第1基材2と、第1基材2上に屈曲して形成され、櫛歯状に配置された複数の線状電極3と、第1基材2上に線状電極3を覆うように形成された第1配向膜4とを有している。対向基板20は、第2基材11と、第2基材11上に形成された第2配向膜12とを有している。第1配向膜4および第2配向膜12は、いずれもいわゆる水平配向膜であり、ラビング方向等の配向処理方向が略平行になるように配置されている。この横電界方式液晶表示素子1においては、線状電極3に電圧が印加されると、電気力線Lで示すように線状電極3間で電界が発生する。
図2は、本実施態様の横電界方式液晶表示素子の他の例を示す概略断面図であり、FFSモード液晶表示素子の例である。図2に例示する横電界方式液晶表示素子1においては、液晶駆動側基板10と対向基板20との間に、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物を含む液晶層30が挟持されている。液晶駆動側基板10は、第1基材2と、第1基材2上に形成された全面電極3aと、全面電極3a上に形成された絶縁層5と、絶縁層5上に屈曲して形成され、櫛歯状に配置された複数の線状電極3bと、絶縁層5上に線状電極3bを覆うように形成された第1配向膜4とを有している。対向基板20は、第2基材11と、第2基材11上に形成された第2配向膜12とを有している。第1配向膜4および第2配向膜12は、いずれも水平配向膜であり、配向処理方向が略平行になるように配置されている。この横電界方式液晶表示素子1においては、全面電極3aおよび線状電極3bに電圧が印加されると、電気力線Lで示すように全面電極3aおよび線状電極3b間で電界が発生する。
このような横電界方式液晶表示素子において、線状電極の近傍、特に線状電極の近傍であって対向基板の近傍では電界の横成分が小さいが、本実施態様においてキラル化合物がネマチック液晶組成物に添加されていることにより、線状電極の近傍に位置する液晶分子が回転しやすくなると推量される。キラル化合物の添加により透過率が高くなる理由は明らかではないが、本発明者らが検討した結果、キラル化合物を添加した場合には透過率が向上するのに対して、ラセミ体を添加した場合には透過率の向上が見られないことから、キラル化合物を添加することにより線状電極の近傍に位置する液晶分子が回転しやすくなり、その結果、透過率が向上するものと考えられる。
したがって本実施態様においては、ネマチック液晶組成物にキラル化合物が添加されていることにより、横電界方式液晶表示素子において透過率を向上させることが可能である。
図3は、線状電極の形状によるマルチドメイン駆動について説明するための模式図である。図3において、線状電極3は「く」の字状に屈曲して形成されている。電界無印加時には、図中の破線で示すように、液晶分子31は配向処理方向dに沿って配列する。そして、電界印加時には、線状電極3間に発生した電界E1、E2に沿って液晶分子31が配列しようとするために液晶分子31が基板面に対して略平行に回転する。このとき、線状電極3の伸長方向によって線状電極3間に発生する電界E1、E2の方向が異なる。そのため、線状電極3の屈曲部sを境にして、第1領域D1では液晶分子31は右回りに回転し、第2領域D2おいて液晶分子31は左回りに回転する。
このように、マルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子においては、同一画素内に液晶分子の配向状態が異なる領域が存在する。すなわち、1つの画素は、線状電極3の屈曲部sを境に、電界印加時に液晶分子31が第1方向に回転する第1領域D1と液晶分子31が第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域D2とを有する。
ここで、キラル化合物は旋光性を有することから、液晶分子の回旋方向には優位な方向が存在する。そのため、電界印加時の液晶分子の回転方向が異なる第1領域および第2領域では液晶分子の回転しやすさに相違が生じ、印加電圧に対する透過率の変化が異なってしまう。例えば、キラル化合物が左旋性を示し、左回りの回旋方向が優位である場合であって、電界印加時の液晶分子の回転方向が第1領域では右回り、第2領域では左回りである場合、液晶分子は左回りに回転しやすいことから、第2領域にて液晶分子が左回りに回転する場合と比較して、第1領域にて液晶分子が右回りに回転する場合は液晶分子が回転しにくくなる。その結果、図4に例示するように、第1領域は第2領域よりも駆動電圧に対する透過率が低くなり、第1領域および第2領域で電圧−透過率特性が異なってしまう。第1領域および第2領域で駆動電圧に対する透過率が異なると、マルチドメイン駆動は視野角依存性を補償のための技術であるにもかかわらず、横電界方式液晶表示素子を斜め方向から観察した場合に色味や輝度等が変化してしまう。また、横電界方式液晶表示素子全体の透過率は第1領域および第2領域の平均透過率になるため、第1領域および第2領域で電圧−透過率特性が著しく異なると、図4に例示するように、電圧−透過率曲線に極大値が2箇所生じる等、電圧−透過率曲線が不連続になり、階調制御が困難になる、または階調表示のために低電圧および低透過率の駆動になってしまう場合がある。
図5は、本実施態様の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の一例を示す概略平面図である。図5に示す例において、画素は、線状電極3の屈曲部sを境に、電界印加時に液晶分子31が第1方向X1に回転する第1領域D1と液晶分子31が第1方向X1とは異なる第2方向X2に回転する第2領域D2とを有している。第1領域D1での線状電極3の間隔h1と第2領域D2での線状電極3の間隔h2とは異なっており、第1領域D1での線状電極3の間隔h1は第2領域D2での線状電極3の間隔h2よりも狭くなっている。この場合、第1領域D1での線状電極3のピッチp1が第2領域D2での線状電極3のピッチp2よりも短くなっている。
図6は、本実施態様の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の他の例を示す概略平面図である。図6に示す例において、画素は、線状電極3の屈曲部sを境に、電界印加時に液晶分子31が第1方向X1に回転する第1領域D1と液晶分子31が第1方向X1とは異なる第2方向X2に回転する第2領域D2とを有している。第1領域D1での線状電極3の間隔h1と第2領域D2での線状電極3の間隔h2とは異なっており、第1領域D1での線状電極3の間隔h1は第2領域D2での線状電極3の間隔h2よりも狭くなっている。この場合、第1領域D1での線状電極3の幅w1が第2領域D2での線状電極3の幅w2よりも広くなっている。
電界の強さは線状電極の間隔に反比例することから、線状電極の間隔が狭いほど線状電極間に発生する電界の強さが大きくなる。そのため、図5および図6においては、第1領域D1での電界E1は第2領域D2での電界E2よりも大きくなる。
ここで、線状電極の間隔が狭いほど、線状電極間に発生する電界の強さが大きくなり、また電界の強さが大きいほど、電界印加時に液晶分子が回転しやすくなる。そのため、線状電極の間隔が狭いほど、より低い電圧で液晶分子が回転するようになり、例えば図7(a)に示すように、線状電極の間隔が狭くなるにつれて、電圧−透過率曲線が低電圧側にシフトする傾向がある。一方で、図7(a)に例示するように、線状電極の間隔が広くなるにつれて、透過率が最大になるときの電圧が高電圧側にシフトし、最大透過率が高くなる傾向がある。したがって、線状電極の間隔を調整することにより、電圧−透過率曲線を変化させることができる。
例えば、キラル化合物が左旋性を示し、左回りの回旋方向が優位である場合には、液晶分子は左回りに回転しやすい。そのため、図5および図6に例示するように、電界印加時の液晶分子31の回転方向が第1領域D1では右回り、第2領域D2では左回りである場合、上述のように、第2領域D2にて液晶分子31が左回りに回転する場合と比較して、第1領域D1にて液晶分子31が右回りに回転する場合は液晶分子31が回転しにくくなり、第1領域D1および第2領域D2で印加電圧に対する透過率の変化が異なることが懸念される。例えば図7(b)の(i)、(ii)に示すように、第1領域および第2領域での線状電極の間隔が同一である場合、印加電圧に対する透過率の変化が異なり、最大透過率、透過率が最大になるときの電圧、電圧−透過率曲線の傾き等が異なる場合がある。
これに対し本実施態様においては、第1領域D1での線状電極3の間隔h1が第2領域D2での線状電極3の間隔h2よりも狭くなるように、第1領域D1での線状電極3の間隔h1および2領域D2での線状電極3の間隔h2を調整することにより、第1領域D1および第2領域D2の駆動電圧に対する透過率を変化させ、図7(b)の(i)、(iii)に例示するように、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができる。さらに、第1領域D1での線状電極3の間隔h1および2領域D2での線状電極3の間隔h2を適宜調整することにより、第1領域D1および第2領域D2の電圧−透過率曲線を変化させ、図7(b)の(i)、(iii)に例示するように、第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線を近似させることができる。
したがって本実施態様においては、第1領域での線状電極の間隔と第2領域での線状電極の間隔とが異なることにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができ、視野角特性をさらに向上させることが可能である。さらには、電圧−透過率曲線を近似させることができ、階調制御が容易になり、滑らかで自然な階調表示が可能になる。
なお、図5および図6においては、電界印加時に液晶分子31が右回りに回転する領域を第1領域D1、液晶分子31が左回りに回転する領域を第2領域D2としたが、第1領域および第2領域の液晶分子の回転方向は互いに異なっていれば特に限定されるものではなく、図示しないが、電界印加時に液晶分子が左回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が右回りに回転する領域を第2領域としてもよい。第1領域および第2領域の液晶分子の回転方向は、後述するように、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物の旋光性に応じて適宜選択される。
また、図5および図6においては、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも狭くしたが、第1領域および第2領域での線状電極の間隔の大小関係は、第1領域および第2領域での線状電極の間隔が互いに異なっていれば特に限定されるものではなく、図示しないが、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも広くしてもよい。第1領域および第2領域での線状電極の間隔の大小関係は、後述するように、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物の旋光性に応じて適宜選択される。
ここで、「線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する」とは、線状電極が例えば「く」の字状のように屈曲して形成されていることにより、電界印加時に同一画素内に液晶分子の配向状態が異なる領域が2つ以上存在することをいう。
また、「画素」とは、画像を構成する最小単位である。例えば赤、緑および青の3個の副画素で1個の画素が構成されている場合、本発明においては1個の副画素を画素という。
以下、本実施態様の横電界方式液晶表示素子の各構成について説明する。
1.線状電極の間隔
本実施態様において、第1領域での線状電極の間隔と第2領域での線状電極の間隔とは異なる。
上述のように、第1領域での線状電極の間隔および第2領域での線状電極の間隔の大小関係は、第1領域での線状電極の間隔および第2領域での線状電極の間隔が互いに異なっていれば特に限定されるものではなく、第1領域での線状電極の間隔が第2領域での線状電極の間隔よりも狭くてもよく、第1領域での線状電極の間隔が第2領域での線状電極の間隔よりも広くてもよい。第1領域および第2領域での線状電極の間隔の大小関係は、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物の旋光性に応じて適宜選択される。
ここで、上述のように、電界の強さは線状電極の間隔に反比例することから、線状電極の間隔が狭いほど、線状電極間に発生する電界の強さが大きくなり、また電界の強さが大きいほど、電界印加時に液晶分子が回転しやすくなる。
例えば、ネマチック液晶組成物が左旋性を示す場合には、液晶分子は左回りに回転しやすいといえる。この場合であって、電界印加時に液晶分子が右回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が左回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも狭くすればよい。また、この場合であって、電界印加時に液晶分子が左回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が右回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも広くすればよい。
一方、ネマチック液晶組成物が右旋性を示す場合には、液晶分子は右回りに回転しやすいといえる。この場合であって、電界印加時に液晶分子が右回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が左回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも広くすればよい。また、この場合であって、電界印加時に液晶分子が左回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が右回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも狭くすればよい。
なお、本実施態様においては、次のように第1領域および第2領域での線状電極の間隔の大小関係を決定する。すなわち、まず、図8(a)、(b)に例示するように、複数の線状電極3が平行に形成されており、配向処理方向dに対する線状電極3の伸長方向の角度がα1である第1測定用横電界方式液晶表示素子と、配向処理方向dに対する線状電極3の伸長方向の角度がα2である第2測定用横電界方式液晶表示素子とをそれぞれ作製する。第1測定用横電界方式液晶表示素子および第2測定用横電界方式液晶表示素子において、線状電極3の間隔および幅は同一にし、また角度α1およびα2は同一にする。この際、セルギャップおよび配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度は一般的な範囲内にする。次に、第1測定用横電界方式液晶表示素子および第2測定用横電界方式液晶表示素子に電界Eを印加し、それぞれの透過光量を測定する。このとき、第1測定用横電界方式液晶表示素子および第2測定用横電界方式液晶表示素子では、電界印加時の液晶分子31の回転方向が異なり、上述の理由から透過光量が異なり、電圧−透過光量特性が異なる。そして、第1測定用横電界方式液晶表示素子および第2測定用横電界方式液晶表示素子のうち、透過光量が少ない測定用横電界方式液晶表示素子に相当する領域を第1領域、透過光量が多い測定用横電界方式液晶表示素子に相当する領域を第2領域とする場合には、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも狭くする。一方、透過光量が多い測定用横電界方式液晶表示素子に相当する領域を第1領域、透過光量が少ない測定用横電界方式液晶表示素子に相当する領域を第2領域とする場合には、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも広くする。
本実施態様においては、次のように第1領域および第2領域での線状電極の間隔を調整することができる。例えば、ネマチック液晶組成物が左旋性を示す場合であって、電界印加時に液晶分子が右回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が左回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも狭くすればよいのであるが、このとき、第1領域での線状電極の間隔を一定にして、第2領域での線状電極の間隔を第1領域での線状電極の間隔よりも広くなるように調整してもよく、第2領域での線状電極の間隔を一定にして、第1領域での線状電極の間隔を第2領域での線状電極の間隔よりも狭くなるように調整してもよい。
ここで、上述のように、線状電極の間隔が狭いほど、線状電極間に発生する電界の強さが大きくなり、より低い電圧で液晶分子が回転するようになり、例えば図7(a)および図7(b)の(ii)、(iii)に示すように、線状電極の間隔が狭くなるにつれて、電圧−透過率曲線が低電圧側にシフトする傾向がある。一方で、図7(a)および図7(b)の(ii)、(iii)に例示するように、線状電極の間隔が広くなるにつれて、透過率が最大になるときの電圧が高電圧側にシフトし、最大透過率が高くなる傾向がある。
そのため、上記の場合において、第1領域での線状電極の間隔を一定にして、第2領域での線状電極の間隔を第1領域での線状電極の間隔よりも広くなるように調整する場合には、第1領域の最大透過率が低くなるのを抑制しつつ、第2領域の最大透過率を高くすることができると考えられる。
また、駆動電圧は横電界方式液晶表示素子の用途に応じて異なる。
そのため、高い透過率を得るには、上記の場合において、第1領域での線状電極の間隔を一定にして、第2領域での線状電極の間隔を第1領域での線状電極の間隔よりも広くなるように調整する場合、第1領域での線状電極の間隔を、横電界方式液晶表示素子の用途によって決定される駆動電圧に対する透過率が最大になるような線状電極の間隔にするとよい。
第1領域および第2領域での線状電極の間隔の比率としては、第1領域および第2領域での線状電極の間隔が互いに異なっていればよく、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率が均一になるように、さらには第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線が近似するように適宜調整される。具体的には、広い間隔に対する狭い間隔の比率が、0.7以上1.0未満であることが好ましく、0.8以上1.0未満であることがより好ましく、0.9以上1.0未満であることがさらに好ましい。
第1領域および第2領域での線状電極の間隔としては、横電界方式液晶表示素子における一般的な線状電極の間隔であればよく、具体的には2μm〜15μmの範囲内で設定することができる。なお、線状電極の間隔とは、隣接する線状電極の端部から端部まで距離をいう。
第1領域および第2領域での線状電極の間隔を異ならせる方法としては、例えば、図5に示すように第1領域D1での線状電極3のピッチp1と第2領域D2での線状電極3のピッチp2とを異ならせる方法、図6に示すように第1領域D1での線状電極3の幅w1と第2領域D2での線状電極3の幅w2とを異ならせる方法等が挙げられる。
第1領域および第2領域での線状電極のピッチを異ならせる場合には、開口率を保ち輝度を維持することができる。
また、第1領域および第2領域での線状電極のピッチを異ならせる場合、線状電極の形成容易のためには第1領域および第2領域で線状電極が連続して形成されていることが好ましいことから、図5に例示するように、第1領域D1および第2領域D2の境界において、複数の線状電極3のうち中央に位置する線状電極3c、3dの位置が最も合うように、第1領域および第2領域での線状電極のピッチを調整することが好ましい。
一方、第1領域および第2領域での線状電極の幅を異ならせる場合には、第1領域および第2領域で線状電極を連続して形成するのが容易である。この場合、第1領域および第2領域の境界において、線状電極の中心の位置が合うように第1領域および第2領域で線状電極を連続して形成してもよく、線状電極の一方の端部の位置が合うように第1領域および第2領域で線状電極を連続して形成してもよい。
第1領域および第2領域での線状電極の幅としては、横電界方式液晶表示素子における一般的な線状電極の幅であればよく、具体的には1μm〜5μmの範囲内で設定することができる。
また、第1領域および第2領域での線状電極のピッチとしては、横電界方式液晶表示素子における一般的な線状電極のピッチであればよく、具体的には5μm〜20μmの範囲内で設定することができる。なお、線状電極のピッチとは、隣接する線状電極の中心から中心まで距離をいう。
2.第1領域および第2領域の面積
本実施態様において、第1領域の面積と第2領域の面積とは同じであってもよく異なっていてもよい。
中でも、第1領域の面積と第2領域の面積とが異なる場合には、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率をより均一にすることができる。
例えば、キラル化合物が左旋性を示し、左回りの回旋方向が優位である場合には、液晶分子は左回りに回転しやすい。この場合であって、図9に例示するように、電界印加時の液晶分子31の回転方向が第1領域D1では右回り、第2領域D2では左回りである場合には、上述のように、第1領域D1での線状電極3の間隔h1が第2領域D2での線状電極3の間隔h2よりも狭いことにより、第1領域D1および第2領域D2の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができる。さらに、図9に示す例においては、第1領域D1の面積が第2領域D2の面積よりも大きくなっている。これにより、第1領域D1の透過率を高めることができる。したがって、第1領域の面積と第2領域の面積とが異なることにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率をより均一にすることができ、視野角特性をさらに向上させることができる。
第1領域の面積および第2領域の面積の大小関係は、第1領域の面積および第2領域の面積が互いに異なっていればよく、第1領域の面積が第2領域の面積よりも大きくてもよく、第1領域の面積が第2領域の面積よりも小さくてもよい。第1領域および第2領域の面積の大小関係は、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物の旋光性に応じて適宜選択される。
例えば、ネマチック液晶組成物が左旋性を示す場合には、液晶分子は左回りに回転しやすいといえる。この場合であって、電界印加時に液晶分子が右回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が左回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域の面積を第2領域の面積よりも大きくすればよい。また、この場合であって、電界印加時に液晶分子が左回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が右回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域の面積を第2領域の面積よりも小さくすればよい。
一方、ネマチック液晶組成物が右旋性を示す場合には、液晶分子は右回りに回転しやすいといえる。この場合であって、電界印加時に液晶分子が右回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が左回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域の面積を第2領域の面積よりも小さくすればよい。また、この場合であって、電界印加時に液晶分子が左回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が右回りに回転する領域を第2領域とする場合には、第1領域の面積を第2領域の面積よりも大きくすればよい。
すなわち、第1領域での線状電極の間隔が第2領域での線状電極の間隔よりも狭い場合には、第1領域の面積を第2領域の面積よりも大きくすることが好ましい。一方、第1領域での線状電極の間隔が第2領域での線状電極の間隔よりも広い場合には、第1領域の面積を第2領域の面積よりも小さくすることが好ましい。これにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率をさらに均一にすることができる。
なお、第1領域および第2領域の面積の大小関係は、上述の第1領域および第2領域での線状電極の間隔の大小関係と同様にして決定することができる。
第1領域および第2領域の面積の比率としては、第1領域および第2領域の面積が互いに異なっていればよく、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率が均一になるように適宜調整される。具体的には、大きい面積に対する小さい面積の比率が、0.5以上1.0未満の範囲内であることが好ましく、0.8以上1.0未満の範囲内であることがより好ましい。
第1領域および第2領域の面積を異ならせる方法としては、例えば、図9に示すように第1領域D1の長さt1および第2領域D2の長さt2を異ならせる方法、図10に示すように第1領域D1の幅u1および第2領域D2の幅u2を異ならせる方法等が挙げられる。中でも、第1領域の長さおよび第2領域の長さを異ならせる方法が好ましい。開口率を保ち輝度を維持しつつ、第1領域および第2領域の面積を容易に調整することができるからである。
3.画素
本実施態様における各画素は、線状電極の屈曲部を境に、電界印加時に液晶分子が第1方向に回転する第1領域と液晶分子が第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域とを有するものである。
ここで、「線状電極の屈曲部」とは、線状電極が折れ曲がっている部分をいう。図5および図6に例示するように、隣接する線状電極3の屈曲部sを結ぶ線が、第1領域D1および第2領域D2の境界になる。
画素の形状は、線状電極の形状に応じて異なるものであり適宜選択される。例えば、「く」の字状、矩形状等が挙げられる。
画素は、第1領域および第2領域を有していれば特に限定されるものではなく、通常は1つの第1領域と1つの第2領域とを有する。
4.液晶駆動側基板
本実施態様に用いられる液晶駆動側基板は、第1基材と、上記第1基材上に屈曲して形成された複数の線状電極と、上記第1基材上に上記線状電極を覆うように形成された第1配向膜とを有するものである。
以下、液晶駆動側基板の各構成について説明する。
(1)線状電極
本実施態様に用いられる線状電極は、第1基材上に屈曲して形成されるものであり、線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する。
線状電極の形状としては、屈曲部を有し、マルチドメイン駆動を可能にする形状であれば特に限定されるものではなく、公知の形状にすることができる。例えば、「く」の字状等が挙げられる。
線状電極の材料、形成方法および膜厚としては、公知の材料、形成方法および膜厚を適用することができる。
(2)第1配向膜
本実施態様に用いられる第1配向膜は、第1基材上に上記線状電極を覆うように形成されるものである。
第1配向膜としては、例えばラビング膜等の水平配向膜が挙げられる。
第1配向膜の材料、形成方法および膜厚としては、公知の材料、形成方法および膜厚を適用することができる。
(3)第1基材
本実施態様に用いられる第1基材は、上記の線状電極および第1配向膜を支持するものである。第1基材は、一般に横電界方式液晶表示素子の基材として用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、プラスチック板等が挙げられる。
(4)その他の構成
本実施態様における液晶駆動側基板の構成は、IPSモードおよびFFSモードに応じて適宜選択されるものであり、横電界方式液晶表示素子に一般的に使用されるものを適用することができる。例えば、FFSモード液晶表示素子においては、図2に示すように線状電極3bの他に、全面電極3aが形成される場合がある。
5.液晶層
本実施態様に用いられる液晶層は、キラル化合物を含有するネマチック液晶組成物を含み、液晶駆動側基板および対向基板の間に形成されるものである。
以下、ネマチック液晶組成物および液晶層に分けて説明する。
(1)ネマチック液晶組成物
本実施態様に用いられるネマチック液晶組成物は、キラル化合物を含有するものである。
以下、本実施態様に用いられるネマチック液晶組成物に含まれる各成分について説明する。
(a)キラル化合物
本実施態様に用いられるキラル化合物は、全体として旋光性を示すものである。
ここで、「キラル化合物が全体として旋光性を示す」とは、1種のキラル化合物のみが添加されている場合には、当該キラル化合物が旋光性を示すことをいい、2種以上のキラル化合物が添加されている場合には、ネマチック液晶組成物に含有されるすべてのキラル化合物からなる混合物が旋光性を示すことをいう。例えば、2種以上のキラル化合物が含有される場合であって、旋光性が逆方向のキラル化合物、すなわち右旋性を示すキラル化合物および左旋性を示すキラル化合物が含有される場合には、2種以上のキラル化合物からなる混合物が旋光性を示せばよい。
また、キラル化合物全体の旋光性は、横電界方式液晶表示素子において、電界無印加時にネマチック液晶組成物がらせん構造を形成しない程度とする。電界無印加時にネマチック液晶組成物がらせん構造を形成すると、横電界では駆動できなくなる。そのため、キラル化合物全体の旋光性は、比較的弱いことが好ましい。
また、上述の理由から、キラル化合物全体のカイラルピッチは比較的長いことが好ましく、長いほどより好ましい。カイラルピッチが長ければ、キラル化合物の含有量をある程度許容することができ、ネマチック液晶組成物の調製に有利である。
また、キラル化合物は、液晶性を有するものであってもよく、液晶性を有さないものであってもよい。また、キラル化合物は液晶性を有する場合、スメクチック性を有していてもよく有さなくてもよい。
本実施態様に用いられるキラル化合物としては、上記のような特性を有するものであれば特に限定されるものではなく、公知のキラル化合物の中から適宜選択して用いることができる。以下、キラル化合物の具体例について説明する。
(i)下記一般式(1)で表されるキラル化合物
本実施態様に用いられるキラル化合物としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
1−A1−Z1−A2−Z2−(A3−Z3m−(A4n−R2 (1)
(上記式(1)において、R1は、非キラルな基であり、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数5〜11の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
2は、キラルな基であり、下記一般式(2)で表される基である。
−O−CH(CH3)−COO−R3 (2)
(上記式(2)において、R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。*印はキラル中心を示す。)
1〜A4はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン基、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、またはピリミジン−2,5−ジイル基である。
1〜Z3はそれぞれ独立して単結合またはエステル結合である。
mおよびnはそれぞれ独立して0または1であり、m≦nである。)
上記式(1)で表されるキラル化合物は、キラル部位に乳酸エステル部分を有するため、旋光性が比較的弱く、カイラルピッチが比較的小さい。そのため、本発明に用いられるキラル化合物として好適である。
上記式(1)で表されるキラル化合物は、液晶性を有するものであってもよく、液晶性を有さないものであってもよい。
上記式(1)において、R1は非キラルな基であり、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数5〜11の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
炭素数は5〜11であればよいが、中でも6〜10が好ましく、7〜8がさらに好ましい。炭素数が上記範囲よりも多いと、キラル化合物の溶解性が低下して合成が困難となり、コストが嵩むからである。一方、炭素数が上記範囲よりも少ないと、液晶相が発現しにくくなり、液晶配向を阻害したり透過率向上の効果が得られなかったりする可能性があるからである。
アルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子で置換されていなくてもよいが、中でも、ハロゲン原子で置換されていないことが好ましい。アルキル基がハロゲン原子で置換されている場合、ハロゲン原子はフッ素原子であることが好ましい。
アルキル基は、直鎖状または分岐状である。
アルキル基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、中でも飽和であることが好ましい。環状の不飽和アルカン以外の不飽和アルカンにおいては、不飽和アルカンは飽和アルカンに比べて反応性が高く、長期の保存・駆動や温度変化により材質が変化し、横電界方式液晶表示素子の表示品質が劣化するおそれがあるからである。
上記式(1)において、R2は、1個以上のキラル中心をもつキラルな基であり、上記式(2)で表される基である。
上記式(2)において、R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
炭素数は1〜8であればよいが、中でも1〜6が好ましく、2〜4がさらに好ましい。
アルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子で置換されていなくてもよいが、中でも、ハロゲン原子で置換されていないことが好ましい。アルキル基がハロゲン原子で置換されている場合、ハロゲン原子はフッ素原子であることが好ましい。
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状である。
上記式(1)において、A1〜A4はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン基、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、またはピリミジン−2,5−ジイル基である。
1,4−フェニレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、−CH3、−CF3、ハロゲン原子が挙げられる。
1,4−フェニレン基は1〜4個の置換基を有することができるが、中でも1個または2個の置換基を有することが好ましい。
置換基が1個の場合、置換基は−CH3、フッ素原子または塩素原子であることが好ましく、中でも−CH3またはフッ素原子であることが好ましい。一方、置換基が2個の場合にはいずれの置換基もフッ素原子であることが好ましい。この場合、2個の置換基の位置としては、1,4−フェニレン基の隣り合う炭素原子にそれぞれフッ素原子が置換していることが好ましい。1,4−フェニレン基の隣り合う炭素原子、具体的には2位および3位にフッ素原子がそれぞれ置換し、1,4−フェニレン基が対称的に置換されている場合には、横電界方式液晶表示素子において透過率が高くなる傾向にある。
また、A1〜A4のうち2つ以上が1,4−フェニレン基である場合、2つ以上の1,4−フェニレン基は合計で1〜3個の置換基を有することが好ましい。
置換基の合計数が3個の場合には、ネマチック液晶組成物の結晶化が抑制され、横電界方式液晶表示素子において透過率が高くなり応答速度が速くなる傾向にある。この場合、置換基の位置としては、2つ以上の1,4−フェニレン基において各置換基が近くに位置する炭素原子に結合していることが好ましい。中でも、1つの1,4−フェニレン基が2個以上の置換基を有することが好ましく、1つの1,4−フェニレン基が2個の置換基を有し、その1,4−フェニレン基に隣接する他の1,4−フェニレン基が1個の置換基を有することがより好ましい。このように各置換基同士が近くに位置することにより、分子配列の規則性を緩和することができ、結晶化を抑制することができるからである。
また、A1〜A4のうち2つが1,4−フェニレン基である場合、2つの1,4−フェニレン基のうちいずれか一方が置換基を有することが好ましい。A1〜A4のうち3つが1,4−フェニレン基である場合、3つの1,4−フェニレン基のうち真ん中に位置する1,4−フェニレン基が置換基を有することが好ましい。A1〜A4のうち4つが1,4−フェニレン基である場合、4つの1,4−フェニレン基のうちより真ん中に位置する1,4−フェニレン基のいずれか1つが置換基を有することが好ましい。キラル化合物の添加によりネマチック液晶組成物が結晶化しやすくなるのを抑制することができるからである。
上記式(1)において、Z1〜Z3はそれぞれ独立して単結合またはエステル結合である。
上記式(1)において、mおよびnはそれぞれ独立して0または1であり、m≦nである。
上記式(1)で表されるキラル化合物としては、具体的に下記式に示す化合物を挙げることができる。ここで、下記式においてR1およびR2は上記式(1)と同様である。また、下記式において、X1はCH3、FまたはClであり、X2はCH3またはClである。
Figure 2014077845
Figure 2014077845
上記式(1)で表されるキラル化合物の具体例としては、下記表1〜表3に示すキラル化合物を挙げることができる。なお、表中、右旋性を+、左旋性を−で示す。
Figure 2014077845
Figure 2014077845
Figure 2014077845
また、上記式(1)で表されるキラル化合物の具体例としては、下記に示すキラル化合物を挙げることができる。
Figure 2014077845
上記式(1)で表されるキラル化合物としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(1)で表されるキラル化合物は、公知の合成方法により合成することができ、例えば、国際公開第2010/031431号パンフレットに記載の方法により合成することができる。
(ii)下記一般式(3)および(4)で表されるキラル化合物
本実施態様に用いられるキラル化合物としては、例えば下記一般式(3)および(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014077845
(上記式(3)および(4)において、R11およびR13は、非キラルな基であり、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数4〜18の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
12およびR14は、キラルな基であり、下記一般式(5)で表される基である。
−O−(CH2)m−CH(Y1)−(COO)n−R15 (5)
(上記式(5)において、R15は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。Y1は、−CH3またはフッ素原子を表す。mは0または1である。nは0または1である。*印はキラル中心を示す。)
1〜X12およびX13〜X24は、それぞれ独立して−CH3、−CF3、ハロゲン原子または水素原子を表す。ただし、X1〜X12のうち1つ以上およびX13〜X24のうち1つ以上は、それぞれ独立して−CH3、−CF3またはハロゲン原子である。
pは0または1であり、qおよびrは一方が0、他方が1である。
sおよびtは一方が0、他方が1であり、uおよびvは一方が0、他方が1である。ただし、sおよびvが同時に1になることはない。)
上記式(3)および(4)で表されるキラル化合物は、その構造からカイラルピッチが比較的小さいため、好適である。
上記式(3)および(4)で表されるキラル化合物は、液晶性を有するものであってもよく、液晶性を有さないものであってもよい。
以下、上記式(3)で表されるキラル化合物および上記式(4)で表されるキラル化合物に分けて説明する。
(上記式(3)で表されるキラル化合物)
上記式(3)において、pは0または1であり、qおよびrは一方が0、他方が1である。p=0、q=1、r=0のときは下記一般式(3−1)で表されるキラル化合物、p=0、q=0、r=1のときは下記一般式(3−2)で表されるキラル化合物、p=1、q=1、r=0のときは下記一般式(3−3)で表されるキラル化合物、p=1、q=0、r=1のときは下記一般式(3−4)で表されるキラル化合物になる。
Figure 2014077845
(上記式(3−1)〜(3−4)において、R11、R12、X1〜X12は、上記式(3)と同様である。)
上記式(3)において、R11は非キラルな基であり、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数4〜18の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
炭素数は4〜18であればよいが、中でも6〜18が好ましく、6〜12がさらに好ましい。炭素数が上記範囲よりも多いと、キラル化合物の溶解性が低下して合成が困難となり、コストが嵩むからである。一方、炭素数が上記範囲よりも少ないと、液晶相が発現しにくくなり、液晶配向を阻害したり透過率向上の効果が得られなかったりする可能性があるからである。
アルキル基またはアルコシキアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子で置換されていなくてもよいが、中でも、ハロゲン原子で置換されていないことが好ましい。アルキル基またはアルコシキアルキル基がハロゲン原子で置換されている場合、ハロゲン原子はフッ素原子であることが好ましい。
アルキル基またはアルコキシアルキル基は、直鎖状または分岐状である。
アルキル基またはアルコシキアルキル基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、中でも飽和であることが好ましい。環状の不飽和アルカン以外の不飽和アルカンにおいては、不飽和アルカンは飽和アルカンに比べて反応性が高く、長期の保存・駆動や温度変化により材質が変化し、横電界方式液晶表示素子の表示品質が劣化するおそれがあるからである。
11はアルキル基であってもアルコキシアルキル基であってもよいが、中でもアルキル基であることが好ましい。
上記式(3)において、R12は、1個以上のキラル中心をもつキラルな基であり、上記式(5)で表される基である。
上記式(5)において、R15は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
アルキル基またはアルコシキアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子で置換されていなくてもよいが、中でも、ハロゲン原子で置換されていないことが好ましい。アルキル基またはアルコシキアルキル基がハロゲン原子で置換されている場合、ハロゲン原子はフッ素原子であることが好ましい。
アルキル基またはアルコキシアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状である。
15はアルキル基であってもアルコキシアルキル基であってもよいが、中でもアルキル基であることが好ましい。
上記式(5)において、Y1は、−CH3またはフッ素原子を表す。中でも−CH3が好ましい。キラル化合物の合成が容易であり、安定して製造することができ、ネマチック液晶組成物を安価に得ることができるからである。
なお、上記式(3)においてR12はキラルな基であるため、上記式(5)において、Y1が−CH3、n=0のとき、R5は−CH3ではない。
上記式(5)において、m=0のとき、1位の炭素原子がキラル中心となり、m=1のとき、2位の炭素原子がキラル中心となる。
上記式(3)において、X1〜X12は、それぞれ独立して−CH3、−CF3、ハロゲン原子または水素原子を表す。ただし、X1〜X12のうち1つ以上は、それぞれ独立して−CH3、−CF3またはハロゲン原子である。
1〜X12のすべてが水素原子である場合には、キラル化合物の溶解性が低下するため、キラル化合物の合成、精製が困難になり、コストが高くなる。これに対し、本実施態様のようにX1〜X12のうち1つ以上が−CH3、−CF3またはハロゲン原子である場合には、キラル化合物の溶媒への溶解性が高くなり、大量合成、精製が可能になる。
中でも、上記式(3−1)および(3−3)においては、X10およびX12以外のいずれか1つ以上が、それぞれ独立して−CH3、−CF3またはハロゲン原子であることが好ましい。X10およびX12以外の位置に置換基を有する場合はX10またはX12の位置の場合よりもキラル化合物の溶解性が良いからである。これは、X10およびX12の位置の場合は他の位置の場合に比べて置換基による歪みが少ないためであると考えられる。
1個のベンゼン環は、1〜4個の置換基を有することができるが、中でも1個または2個の置換基を有することが好ましい。置換基が1個の場合、置換基は−CH3、フッ素原子または塩素原子であることが好ましく、中でも−CH3またはフッ素原子であることが好ましい。一方、置換基が2個の場合にはいずれの置換基もフッ素原子であることが好ましい。この場合、2個の置換基の位置としては、例えばX1およびX2がフッ素原子である場合のようにベンゼン環の隣り合う炭素原子にそれぞれフッ素原子が置換していることが好ましい。ベンゼン環の隣り合う炭素原子に2個のフッ素原子がそれぞれ置換し、ベンゼン環が対称的に置換されている場合には、横電界方式液晶表示素子において透過率が高くなる傾向にある。
また、上記式(3)で表されるキラル化合物の場合、合計で1〜2個の置換基を有することが好ましい。
置換基の位置としては、直接結合された3〜4個の芳香環のうち、より真ん中に位置するベンゼン環が置換基を有することが好ましい。具体的には、上記式(3−1)においては、X1〜X4が結合しているベンゼン環が置換基を有することが好ましい。上記式(3−3)においては、X1〜X4またはX5〜X8が結合しているベンゼン環の少なくともいずれかが置換基を有することが好ましい。なお、上記式(3−2)および(3−4)においては、より真ん中に位置するベンゼン環が置換基を有している。上記キラル化合物の添加によりネマチック液晶組成物が結晶化しやすくなるのを抑制することができる。
上記式(3)で表されるキラル化合物の具体例としては、下記一般式(3−5)〜(3−8)で表されるキラル化合物が挙げられる。
Figure 2014077845
(上記式(3−5)〜(3−8)において、R22は−O−CH(CH3)COOR23あるいは−O−(CH2)m−CH(CH3)R23であり、R23は炭素数1〜10の飽和または不飽和のアルキル基、mは0または1である。wは4〜18である。X41〜X46は独立して−CH3、−CF3、ハロゲン原子または水素原子を表す。ただし、上記式(3−5)および(3−6)において、X41、X42、X45およびX46のいずれか1つが−CH3、−CF3またはハロゲン原子であり、残りが水素原子である、あるいは、X41およびX42の2つがフッ素原子であり、残りが水素原子である。また、上記式(3−7)および(3−8)において、X41〜X46のいずれか1つまたは2つが−CH3、−CF3またはハロゲン原子であり、残りが水素原子である、あるいは、X41およびX42、またはX43およびX44の2つがフッ素原子であり、残りが水素原子である。)
wは、上記式(3)におけるR11の炭素数と同様である。
23は、上記式(5)におけるR15と同様とすることができる。中でも、R23は、直鎖状もしくは分岐状の飽和のアルキル基、またはフェニルアルキル基であることが好ましい。
41〜X46は、上記式(3)におけるX1〜X12と同様とすることができる。
上記式(3−5)〜(3−8)で表されるキラル化合物の具体例としては、上述の表1に示すキラル化合物および下記表4に示すキラル化合物を挙げることができる。なお、表中、右旋性を+、左旋性を−で示す。
Figure 2014077845
上記式(3)で表されるキラル化合物としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(3)で表されるキラル化合物は、例えば、国際公開第2010/031431号パンフレットに記載の方法により合成することができる。
(上記式(4)で表されるキラル化合物)
上記式(4)において、sおよびtは一方が0、他方が1であり、uおよびvは一方が0、他方が1である。ただし、sおよびvが同時に1になることはない。s=0、t=1、u=1、v=0のときは下記一般式(4−1)で表されるキラル化合物、s=0、t=1、u=0、v=1のときは下記一般式(4−2)で表されるキラル化合物、s=1、t=0、u=1、v=0のときは下記一般式(4−3)で表されるキラル化合物になる。
Figure 2014077845
(上記式(4−1)〜(4−3)において、R13、R14、X13〜X24は、上記式(4)と同様である。)
上記式(4)において、R13およびR14はそれぞれ上記式(3)におけるR11およびR12と同様である。
上記式(4)において、X13〜X24は、それぞれ独立して−CH3、−CF3、ハロゲン原子または水素原子を表す。ただし、上記式(3)で表されるキラル化合物と同様の理由から、X13〜X24のうち1つ以上は、それぞれ独立して−CH3、−CF3またはハロゲン原子である。
中でも、上記式(3)で表されるキラル化合物と同様に溶解性が良いことから、X22およびX24以外のいずれか1つ以上が、それぞれ独立して−CH3、−CF3またはハロゲン原子であることが好ましい。
1個のベンゼン環は、1〜4個の置換基を有することができるが、中でも1個または2個の置換基を有することが好ましい。置換基が1個の場合、置換基は−CH3、フッ素原子または塩素原子であることが好ましく、中でも−CHまたはフッ素原子であることが好ましい。一方、置換基が2個の場合にはいずれの置換基もフッ素原子であることが好ましい。この場合、2個の置換基の位置としては、上記式(3)で表されるキラル化合物と同様の理由から、例えばX17およびX18がフッ素原子である場合のようにベンゼン環の隣り合う炭素原子にそれぞれフッ素原子が置換していることが好ましい。
また、上記式(4−1)で表されるキラル化合物の場合、合計で1〜8個の置換基を有することが好ましい。中でも、置換基の合計数が3〜8個の場合には、ネマチック液晶組成物の結晶化が抑制される傾向にある。置換基の合計数が3〜8個の場合、特に3〜5個が好ましく、3個がより好ましい。
置換基の合計数が3〜8個の場合、置換基の位置としては、2個以上のベンゼン環において各置換基が近くに位置する炭素原子に結合していることが好ましい。このように各置換基同士が近くに位置することにより、分子配列の規則性を緩和することができ、ネマチック液晶組成物の結晶化を抑制することができるからである。中でも、1個のベンゼン環が2個の置換基を有し、そのベンゼン環に隣接する他のベンゼン環が1〜3個の置換基を有することがより好ましい。特に、X17〜X20が結合しているベンゼン環が2個のフッ素原子を有し、X13〜X16およびX21〜X24が結合しているベンゼン環の少なくともいずれかが1〜3個の−CH3、−CF3またはハロゲン原子を有することが好ましく、X17〜X20が結合しているベンゼン環が2個のフッ素原子を有し、X13〜X16が結合しているベンゼン環が1〜3個の−CH3、−CF3またはハロゲン原子を有することが好ましい。このような場合には、ネマチック液晶組成物の結晶化が抑制され、横電界方式液晶表示素子において透過率が高くなり応答速度が速くなる傾向にある。
また、上記式(4−2)および(4−3)で表されるキラル化合物の場合、合計で1〜2個の置換基を有することが好ましい。
置換基を有するベンゼン環の位置としては、上記式(3)で表されるキラル化合物と同様に結晶化を抑制できることから、直接結合された4個の芳香環のうち、より真ん中に位置するベンゼン環が置換基を有することが好ましい。具体的には、上記式(4−1)および(4−2)においては、X13〜X16またはX17〜X20が結合しているベンゼン環の少なくともいずれかが置換基を有することが好ましい。なお、上記式(4−3)においては、より真ん中に位置するベンゼン環が置換基を有している。
上記式(4)で表されるキラル化合物の具体例としては、下記一般式(4−4)〜(4−6)で表されるキラル化合物が挙げられる。
Figure 2014077845
(上記式(4−4)〜(4−6)において、R24は−O−CH(CH3)COOR25あるいは−O−(CH2)m−CH(CH3)R25であり、R25は炭素数1〜10の飽和または不飽和のアルキル基、mは0または1である。wは4〜18である。X51〜X56は独立して−CH3、−CF3、ハロゲン原子または水素原子を表す。ただし、上記式(4−4)において、X51〜X56のいずれか1つまたは2つが−CH3、−CF3またはハロゲン原子であり、残りが水素原子である、あるいは、X51およびX52、またはX53およびX54の2つがフッ素原子であり、残りが水素原子である、あるいは、X52が−CH3、−CF3またはハロゲン原子、X53およびX54の2つがフッ素原子であり、残りが水素原子である。また、上記式(4−5)および(4−6)において、X51〜X56のいずれか1つまたは2つが−CH3、−CF3またはハロゲン原子であり、残りが水素原子である、あるいは、X51およびX52、またはX53およびX54の2つがフッ素原子であり、残りが水素原子である。)
wは、上記式(4)におけるR13の炭素数と同様である。
25は、上記式(5)におけるR15と同様とすることができる。中でも、R25は、直鎖状もしくは分岐状の飽和のアルキル基、またはフェニルアルキル基であることが好ましい。
51〜X56は、上記式(4)におけるX13〜X24と同様とすることができる。
上記式(4−4)〜(4−6)で表されるキラル化合物の具体例としては、上述の表2および表3に示すキラル化合物および下記表5に示すキラル化合物を挙げることができる。なお、表中、右旋性を+、左旋性を−で示す。
Figure 2014077845
上記式(4)で表されるキラル化合物としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(4)で表されるキラル化合物は、例えば、国際公開第2010/031431号パンフレットに記載の方法により合成することができる。
(iii)キラル化合物の含有量
本実施態様に用いられるネマチック液晶組成物は、キラル化合物を含有していればよい。中でも、2種以上のキラル化合物が含有される場合には、旋光性が逆方向のキラル化合物が含有されることが好ましい。旋光性が同方向のキラル化合物の含有量が多いと横電界方式液晶表示素子において無電界時にネマチック液晶組成物がらせん構造を形成してしまうおそれがあるが、旋光性が逆方向のキラル化合物であれば含有量が多くとも横電界方式液晶表示素子において無電界状態ではネマチック液晶組成物がらせん構造を形成しにくいからである。
ネマチック液晶組成物中のキラル化合物の含有量としては、所望の透過率を得ることができるとともに、マルチドメイン駆動が可能であり、横電界方式液晶表示素子において無電界時にネマチック液晶組成物がらせん構造を形成しない程度であれば特に限定されるものではない。具体的には、キラル化合物の合計含有量がネマチック液晶組成物中で1質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。キラル化合物の含有量が上記範囲よりも少ないと、透過率向上の効果が十分に得られない場合があり、一方、キラル化合物の含有量が上記範囲よりも多いと、横電界方式液晶表示素子において無電界時にネマチック液晶組成物がらせん構造を形成してマルチドメイン駆動が困難であったり黒表示が悪化したり、ネマチック液晶組成物の粘度が高くなり応答速度が低下したりするおそれがあるからである。
(b)他の成分
本実施態様に用いられるネマチック液晶組成物は、上記キラル化合物の他に、ネマチック相を示す成分を含有する。ネマチック相を示す成分としては、ネマチック液晶組成物に一般的に用いられるものを使用することができ、特に限定されるものではない。
(c)ネマチック液晶組成物
本実施態様に用いられるネマチック液晶組成物はネマチック相を示すものであればよく、その特性や相系列等は特に限定されるものではない。
(2)液晶層
液晶層の厚みとしては、横電界方式の駆動が可能な厚みであれば特に限定されないが、応答速度向上、低駆動電圧のためには比較的薄いことが好ましい。具体的には、液晶層の厚みは1.5μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば真空注入方式、液晶滴下方式等を用いることができる。
6.対向基板
本実施態様に用いられる対向基板は、上記液晶駆動側基板と対向するものであり、第2基材と、上記第2基材上に形成された第2配向膜とを有するものである。
なお、第2基材および第2配向膜については、上記液晶駆動側基板の第1基材および第1配向膜と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様の横電界方式液晶表示素子において、液晶駆動側基板の第1配向膜と対向基板の第2配向膜とは、ラビング方向等の配向処理方向が略平行になるように配置される。
対向基板の構成はIPSモードおよびFFSモードに応じて適宜選択されるものであり、横電界方式液晶表示素子に一般的に使用されるものを適用することができる。
B.第2実施態様
本実施態様の横電界方式液晶表示素子は、第1基材、上記第1基材上に屈曲して形成された複数の線状電極、および上記第1基材上に上記線状電極を覆うように形成された第1配向膜を有する液晶駆動側基板と、第2基材、および上記第2基材上に形成された第2配向膜を有する対向基板と、上記液晶駆動側基板および上記対向基板の間に形成され、キラル化合物を含有するネマチック液晶組成物を含む液晶層とを有し、上記線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子であって、各画素が、上記線状電極の屈曲部を境に、電界印加時に液晶分子が第1方向に回転する第1領域と液晶分子が上記第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域とを有し、上記第1配向膜および上記第2配向膜の配向処理方向に対する上記第1領域での上記線状電極の伸長方向の角度と、上記配向処理方向に対する上記第2領域での上記線状電極の伸長方向の角度とが異なることを特徴とするものである。
本実施態様の横電界方式液晶表示素子について図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本実施態様の横電界方式液晶表示素子の一例を示す概略断面図である。なお、図1および図2に例示する横電界方式液晶表示素子については、上記第1実施態様の項に記載したので、ここで説明は省略する。
本実施態様においては、上記第1実施態様と同様に、ネマチック液晶組成物にキラル化合物が添加されていることにより、横電界方式液晶表示素子において透過率を向上させることが可能である。
図11は、本実施態様の横電界方式液晶表示素子における線状電極および配向処理方向の一例を示す概略平面図である。図11に示す例において、画素は、線状電極3の屈曲部sを境に、電界印加時に液晶分子31が第1方向X1に回転する第1領域D1と液晶分子31が第1方向X1とは異なる第2方向X2に回転する第2領域D2とを有している。配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度θ1と配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度θ2とは異なっており、配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度θ1は配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度θ2よりも大きくなっている。
この場合、配向処理方向dに対する第1領域D1での電界E1の方向の角度ω1と配向処理方向dに対する第2領域D2での電界E2の方向の角度ω2とは異なっており、配向処理方向dに対する第1領域D1での電界E1の方向の角度ω1は配向処理方向dに対する第2領域D2での電界E2の方向の角度ω2よりも小さくなっている。
ここで、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が大きいほど、配向処理方向に対する電界の方向の角度が小さくなり、また配向処理方向に対する電界の方向の角度が小さいと、電界の作用により液晶分子が回転しやすくなる。そのため、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が大きいと、低電圧で液晶分子が回転するようになり、例えば図12(a)に示すように、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が大きいほうが、低電圧で駆動しやすくなる傾向がある。一方で、図12(a)に例示するように、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が小さいほうが、最大透過率が高くなる傾向がある。したがって、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度を調整することにより、電圧−透過率曲線を変化させることができる。
ここで、上述したように、キラル化合物は旋光性を有することから、液晶分子の回旋方向には優位な方向が存在する。そのため、第1領域および第2領域で印加電圧に対する透過率の変化が異なってしまう。
例えば、キラル化合物が左旋性を示し、左回りの回旋方向が優位である場合には、液晶分子は左回りに回転しやすい。そのため、図11に例示するように、電界印加時の液晶分子31の回転方向が第1領域D1では右回り、第2領域D2では左回りである場合、上述のように、第2領域D2にて液晶分子31が左回りに回転する場合と比較して、第1領域D1にて液晶分子31が右回りに回転する場合は液晶分子31が回転しにくくなり、第1領域D1および第2領域D2で印加電圧に対する透過率の変化が異なることが懸念される。例えば図12(b)の(i)、(ii)に示すように、配向処理方向に対する第1領域および第2での線状電極の伸長方向の角度が同一である場合、印加電圧に対する透過率の変化が異なり、最大透過率、透過率が最大になるときの電圧、電圧−透過率曲線の傾き等が異なる場合がある。
これに対し本実施態様においては、配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度θ1が配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度θ2よりも大きくなるように、配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度θ1および配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度θ2を調整することにより、第1領域D1および第2領域D2の駆動電圧に対する透過率を変化させ、図12(b)の(i)、(iii)に例示するように、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができる。さらに、配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度θ1および配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度θ2を適宜調整することにより、第1領域D1および第2領域D2の電圧−透過率曲線を変化させ、図12(b)の(i)、(iii)に例示するように、第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線を近似させることができる。
したがって本実施態様においては、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度と配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度とが異なることにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができ、視野角特性をさらに向上させることが可能である。さらには、電圧−透過率曲線を近似させることができ、階調制御が容易になり、滑らかで自然な階調表示が可能になる。
なお、図11においては、電界印加時に液晶分子31が右回りに回転する領域を第1領域D1、液晶分子31が左回りに回転する領域を第2領域D2としたが、第1領域および第2領域の液晶分子の回転方向は互いに異なっていれば特に限定されるものではなく、図示しないが、電界印加時に液晶分子が左回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が右回りに回転する領域を第2領域としてもよい。第1領域および第2領域の液晶分子の回転方向は、後述するように、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物の旋光性に応じて適宜選択される。
また、図11においては、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも大きくしたが、配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度の大小関係は、配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度が互いに異なっていれば特に限定されるものではなく、図示しないが、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも小さくしてもよい。配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度の大小関係は、後述するように、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物の旋光性に応じて適宜選択される。
なお、液晶駆動側基板、対向基板、液晶層および画素については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、本実施態様の液晶表示素子の他の構成について説明する。
1.配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度
本実施態様において、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度と配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度とは異なる。
上述のように、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度および配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度の大小関係は、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度および配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度が互いに異なっていれば特に限定されるものではなく、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度が配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも大きくてもよく、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度が配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも小さくてもよい。配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度の大小関係は、キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物の旋光性に応じて適宜選択される。
ここで、上述のように、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が大きいほど、配向処理方向に対する電界の方向の角度が小さくなり、また配向処理方向に対する電界の方向の角度が小さいと、電界印加時に液晶分子が回転しやすくなる。
例えば、ネマチック液晶組成物が左旋性を示す場合には、液晶分子は左回りに回転しやすいといえる。この場合であって、電界印加時に液晶分子が右回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が左回りに回転する領域を第2領域とする場合には、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも大きくすればよい。また、この場合であって、電界印加時に液晶分子が左回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が右回りに回転する領域を第2領域とする場合には、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも小さくすればよい。
一方、ネマチック液晶組成物が右旋性を示す場合には、液晶分子は右回りに回転しやすいといえる。この場合であって、電界印加時に液晶分子が右回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が左回りに回転する領域を第2領域とする場合には、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも小さくすればよい。また、この場合であって、電界印加時に液晶分子が左回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が右回りに回転する領域を第2領域とする場合には、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも大きくすればよい。
なお、配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度の大小関係は、上記第1実施態様における第1領域および第2領域での線状電極の間隔の大小関係と同様にして決定することができる。
本実施態様においては、次のように配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度を調整することができる。例えば、ネマチック液晶組成物が左旋性を示す場合であって、電界印加時に液晶分子が右回りに回転する領域を第1領域、液晶分子が左回りに回転する領域を第2領域とする場合には、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも大きくすればよいのであるが、このとき、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を一定にして、配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度よりも小さくなるように調整してもよく、配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度を一定にして、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度よりも大きくなるように調整してもよい。
ここで、上述のように、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が大きいほうが、低電圧で液晶分子が回転しやすくなり、例えば図12(a)および図12(b)の(ii)、(iii)に示すように、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が大きいほうが、
低電圧で駆動しやすくなる傾向がある。一方で、図12(a)および図12(b)の(ii)、(iii)に例示するように、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が小さいほうが、最大透過率が高くなる傾向がある。
そのため、上記の場合において、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を一定にして、配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度よりも小さくなるように調整する場合には、第1領域の最大透過率が低くなるのを抑制しつつ、第2領域の最大透過率を高くすることができると考えられる。
また、駆動電圧は横電界方式液晶表示素子の用途に応じて異なる。
そのため、高い透過率を得るには、上記の場合において、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を一定にして、配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度を配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度よりも小さくなるように調整する場合、配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度を、横電界方式液晶表示素子の用途によって決定される駆動電圧に対する透過率が最大になるような配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度にするとよい。
具体的には、図12(a)に示す例においては、低電圧で駆動する用途であれば、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が中くらいであるときに、駆動電圧に対する透過率が最大になるが、高電圧まで駆動可能にする用途であれば、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が小さいときに、駆動電圧に対する透過率が最大になる。
配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度の比率としては、配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度が互いに異なっていればよく、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率が均一になるように、さらには第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線が近似するように適宜調整される。具体的には、大きい角度に対する小さい角度の比率が、0.7以上1.0未満であることが好ましく、0.8以上1.0未満であることがより好ましく、0.9以上1.0未満であることがさらに好ましい。
配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度としては、横電界方式液晶表示素子における一般的な角度であればよく、具体的には1°〜45°の範囲内で設定することができる。ここで、横電界方式液晶表示素子において、偏光板の偏光軸に対する電界印加時の液晶分子の傾き角度をγとするとき、透過率は理論的にsin2(2γ)に比例する。そのため、偏光軸に対する液晶分子の傾き角度γが45°のときに透過率が最大になり、偏光軸に対する液晶分子の傾き角度γが45°よりも大きくなると透過率は低下する。したがって、通常、上記角度は45°以下に設定される。
ここで、配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度は、次のように測定することができる。すなわち、まず、配向処理方向を確認する。偏光顕微鏡における2枚の偏光板をクロスニコルの状態に設定し、横電界方式液晶表示素子を透過光量が一番少なくなる位置まで回転させたとき、一方の偏光軸に一致する方向が配向処理方向である。次に、第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向を確認する。横電界方式液晶表示素子においては、線状電極上に、線状電極の伸長方向に沿って、液晶分子が動作しない帯状の領域が必ず存在するため、顕微鏡で観察することにより、第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向を確認することができる。続いて、配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度をそれぞれ求める。
配向処理方向に対する第1領域および第2領域での線状電極の伸長方向の角度を異ならせる方法としては、例えば、図11に示すように配向処理方向dを画素の長さ方向に対して略平行にし、第1領域D1での線状電極3の伸長方向と第2領域D2での線状電極3の伸長方向とのなす角度ψを調整する方法、および、図13に示すように第1領域D1での線状電極3の伸長方向と第2領域D2での線状電極3の伸長方向とのなす角度ψを一定にし、配向処理方向dを調整する方法等が挙げられる。
図11に例示するような配向処理方向dを画素の長さ方向に対して略平行にし、第1領域D1での線状電極3の伸長方向と第2領域D2での線状電極3の伸長方向とのなす角度ψを調整する方法では、配向処理方向を配線等に対して略平行にすることができるため、配向処理による欠陥の発生を抑制することができる。
また、図13に例示するような第1領域D1での線状電極3の伸長方向と第2領域D2での線状電極3の伸長方向とのなす角度ψを一定にし、配向処理方向dを調整する方法では、既存のTFT基板を用いて配向処理方向を適宜変更すればよいので、横電界方式液晶表示素子の作製が容易である。
第1領域での線状電極の伸長方向と第2領域での線状電極の伸長方向とのなす角度ψは、横電界方式液晶表示素子における一般的な角度であればよく、具体的には5°〜45°の範囲内で設定することができる。上記角度ψが小さいと、マルチドメイン駆動が困難になる場合がある。また、上記角度ψが大きいと、画素の形状が複雑になる、開口率が小さくなる、線状電極の間隔が広くなり電界の強さが小さくなる等の場合がある。
2.線状電極の間隔
本実施態様において、第1領域での線状電極の間隔と第2領域での線状電極の間隔とは同じであってもよく異なっていてもよい。
中でも、第1領域での線状電極の間隔と第2領域での線状電極の間隔とが異なることが好ましい。これにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率をより均一にすることができ、さらには第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線を近似させることができる。
例えば、キラル化合物が左旋性を示し、左回りの回旋方向が優位である場合には、液晶分子は左回りに回転しやすい。この場合であって、図14に例示するように、電界印加時の液晶分子31の回転方向が第1領域D1では右回り、第2領域D2では左回りである場合には、上述のように、配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度θ1が配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度θ2よりも大きいことにより、第1領域D1および第2領域D2の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができる。さらに、図14に示す例においては、第1領域D1での線状電極3の間隔h1が第2領域D2での線状電極3の間隔h2よりも狭くなっている。これにより、上記第1実施態様に記載したように、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率を均一にし、さらには第1領域D1および第2領域D2の電圧−透過率曲線を近似させることもできる。したがって、第1領域での線状電極の間隔と第2領域での線状電極の間隔とが異なることにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率をより均一にすることができ、視野角特性をさらに向上させることが可能である。さらには、第1領域および第2領域の電圧−透過率曲線を近似させることができ、階調制御が容易になり、滑らかで自然な階調表示が可能になる。
なお、第1領域および第2領域での線状電極の間隔については、上記第1実施態様に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
3.第1領域および第2領域の面積
本実施態様において、第1領域の面積と第2領域の面積とは同じであってもよく異なっていてもよい。
中でも、第1領域の面積と第2領域の面積とが異なる場合には、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率をより均一にすることができる。
例えば、キラル化合物が左旋性を示し、左回りの回旋方向が優位である場合には、液晶分子は左回りに回転しやすい。この場合であって、図15に例示するように、電界印加時の液晶分子31の回転方向が第1領域D1では右回り、第2領域D2では左回りである場合には、上述のように、配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度θ1が配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度θ2よりも大きいことにより、第1領域D1および第2領域D2の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができる。さらに、図15に示す例においては、第1領域D1の面積が第2領域D2の面積よりも大きくなっている。これにより、第1領域D1の透過率を高めることができる。したがって、第1領域の面積と第2領域の面積とが異なることにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率をより均一にすることができ、視野角特性をさらに向上させることができる。
なお、第1領域および第2領域の面積については、上記第1実施態様に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(ネマチック液晶組成物)
下記に示すキラル化合物I〜IIIを用い、下記表6に示すようにネマチック液晶組成物を準備した。
Figure 2014077845
Figure 2014077845
[実験例1]
(IPSモード液晶表示素子1の作製)
まず、ITO電極が櫛歯状にパターニングされたガラス基板を準備した。ITO電極は、図8(a)に例示するように、線状電極3が略平行に形成されたものであった。また、線状電極3の幅は5μm、線状電極3の間隔は10μmであった。
この基板上に、Φ5.0μmの円状で、高さ3.3μmの樹脂スペーサを0.1mmピッチで形成した。次いで、その上にラビング配向膜材料(SE610:日産化学工業株式会社)を回転数1500rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、オーブンで180℃、30分間乾燥後、ラビング処理を行った。この際、図8(a)に例示するように、線状電極3の伸長方向に対する配向処理方向dの角度が−10°になるように、ラビング処理方向を設定した。
また、他のガラス基板上に、ラビング配向膜材料(SE610:日産化学工業株式会社)を回転数1500rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、オーブンで180℃、30分間乾燥後、ラビング処理を行った。
次に、基板上に四角い枠状にシール材を塗布した。その基板上に、上述のキラル化合物Iを含むネマチック液晶組成物を塗布し、二つの基板を互いのラビング処理の方向が平行になるように組み立て圧着を行った。液晶層の厚みは3.3μmであった。
(IPSモード液晶表示素子2の作製)
図8(b)に例示するように、線状電極3の伸長方向に対する配向処理方向dの角度が+10°になるように、ラビング処理方向を設定したこと以外は、上記のIPSモード液晶表示素子1と同様にして、液晶表示素子を作製した。
(評価)
線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が−10°である液晶表示素子1と、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が+10°である液晶表示素子2とについて、透過光量を測定した。
液晶表示素子の透過光量は、光電子倍増管(フォトマル)をオリンパス社の偏光顕微鏡BX51に設置し、光の強度を電圧値に変換し、その値を透過光量値(a.u.)として測定した。偏光顕微鏡における2枚の偏光板をクロスニコルの状態に設定し、ネマチック液晶組成物が充填された液晶セルを透過光量が一番少なくなる位置まで回転させた。その状態で矩形波の電圧(±6V)をかけ、そのときの透過光量を測定した。図16に電圧−透過光量特性を示す。
キラル化合物未添加のネマチック液晶組成物を用いた場合と比較して、キラル化合物Iが添加されたネマチック液晶組成物を用いた場合には、高い透過光量が得られた。一方、キラル化合物未添加のネマチック液晶組成物を用いた場合には、液晶表示素子1および液晶表示素子2とも同等の電圧−透過光量特性を示したのに対して、キラル化合物Iが添加されたネマチック液晶組成物を用いた場合には、液晶表示素子1および液晶表示素子2の電圧−透過光量特性が異なっていた。ここで、キラル化合物Iは左旋性を示すため、図8(a)に示すような線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が−10°の場合に液晶分子が回転しやすく、図8(b)に示すような線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が+10°の場合に液晶分子は回転しにくい。そのため、図16において、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が−10°である液晶表示素子1のほうが、より低い電圧で駆動しやすく、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が+10°である液晶表示素子2に対して、電圧−透過光量曲線が低電圧側にシフトしている。
[実験例2]
(IPSモード液晶表示素子の作製)
まず、ITO電極が櫛歯状にパターニングされたガラス基板を準備した。ITO電極は、図3に例示するように、第1領域D1での線状電極3の伸長方向および第2領域D2での線状電極3の伸長方向のなす角度が20°になるように「く」の字状に形成されたものであった。また、線状電極3の幅は5μm、線状電極3の間隔は5μm、8μm、10μm、12μmであった。
この基板上に、Φ5.0μmの円状で、高さ3.3μmの樹脂スペーサを0.1mmピッチで形成した。次いで、その上にラビング配向膜材料(SE610:日産化学工業株式会社)を回転数1500rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、オーブンで180℃、30分間乾燥後、ラビング処理を行った。この際、図3に例示するように、配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度が−10°、配向処理方向dに対する配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度が+10°になるように、ラビング処理方向を設定した。
また、他のガラス基板上に、ラビング配向膜材料(SE610:日産化学工業株式会社)を回転数1500rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、オーブンで180℃、30分間乾燥後、ラビング処理を行った。
次に、基板上に四角い枠状にシール材を塗布した。その基板上に、上述のキラル化合物IIを含むネマチック液晶組成物を塗布し、二つの基板を互いのラビング処理の方向が平行になるように組み立て圧着を行った。液晶層の厚みは3.3μmであった。
(評価)
実験例1と同様に透過光量を測定した。図17に電圧−透過光量特性を示す。
線状電極の間隔を調整することで電圧−透過光量特性が変化することが確認された。ここで、キラル化合物IIは右旋性を示すため、図3において、第1領域D1では液晶分子31が回転しやすく、第2領域D2では液晶分子31は回転しにくい。この場合、図17に示されるように、液晶分子が回転しやすい第1領域D1では、線状電極の間隔が狭くなるにつれて、電圧−透過光量曲線が低電圧側にシフトしており、また線状電極の間隔が広くなるにつれて、透過率が最大になる電圧が高電圧側にシフトし、最大透過率が高くなる傾向がある。同様に、液晶分子が回転しにくい第2領域D2でも、線状電極の間隔が狭くなるにつれて、電圧−透過光量曲線が低電圧側にシフトしており、また線状電極の間隔が広くなるにつれて、透過率が最大になる電圧が高電圧側にシフトし、最大透過率が高くなる傾向がある。このことから、線状電極の間隔を調整することにより、第1領域および第2領域の電圧−透過光量特性の相違を補正することができることがわかった。
例えば、5V以下で駆動する用途の場合、液晶分子が回転しにくい第2領域D2では線状電極の間隔が5mmのときに5V印加時の透過率が最も高い。そのため、液晶分子が回転しやすい第1領域D1にて線状電極の間隔を5mm超8mm未満の範囲で調整することにより、第1領域および第2領域の5V印加時の透過率を均一にすることができるとともに、第1領域および第2領域で電圧−透過光量曲線を近似させることができる。
[実験例3]
(IPSモード液晶表示素子の作製)
線状電極の幅を5μm、線状電極の間隔を5μmまたは8μmとしたこと以外は、実験例1と同様にして、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が−10°である液晶表示素子1と、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が+10°である液晶表示素子2とを作製した。
(評価)
実験例1と同様に透過光量を測定した。図18に電圧−透過光量特性を示す。
線状電極の間隔を調整することで電圧−透過光量特性が変化することが確認された。図18において、上記の実験例2と同様に、線状電極の間隔が狭くなるにつれて、電圧−透過光量曲線が低電圧側にシフトしており、また線状電極の間隔が広くなるにつれて、透過率が最大になる電圧が高電圧側にシフトし、最大透過率が高くなる傾向がある。このことからも、マルチドメイン駆動の液晶表示素子において、線状電極の間隔を調整することにより、第1領域および第2領域の電圧−透過光量特性の相違を補正することができることがわかった。
具体的には、キラル化合物Iは左旋性を示すため、図8(a)に示すように線状電極3の伸長方向に対する配向処理方向dの角度が−10°の場合に液晶分子31が回転しやすく、図8(b)に示すように線状電極3の伸長方向に対する配向処理方向dの角度が+10°の場合に液晶分子31は回転しにくい。この場合、図18から、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が+10°である領域において線状電極の間隔を5mmとする場合には、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が−10°である領域において線状電極の間隔を5mm超8mm未満の範囲で調整することにより、各領域の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができるとともに、各領域で電圧−透過光量曲線を近似させることができる。
[実験例4]
(IPSモード液晶表示素子の作製)
まず、ITO電極が櫛歯状にパターニングされたガラス基板を準備した。ITO電極は、図3に例示するように、第1領域D1での線状電極3の伸長方向および第2領域D2での線状電極3の伸長方向のなす角度が10°〜50°になるように「く」の字状に形成されたものであった。また、第1領域D1および第2領域D2において、線状電極3の間隔は10μm、線状電極3の幅は5μmであった。
この基板上に、Φ5.0μmの円状で、高さ3.3μmの樹脂スペーサを0.1mmピッチで形成した。次いで、その上にラビング配向膜材料(SE610:日産化学工業株式会社)を回転数1500rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、オーブンで180℃、30分間乾燥後、ラビング処理を行った。この際、図3に例示するような、配向処理方向dに対する第1領域D1での線状電極3の伸長方向の角度および配向処理方向dに対する第2領域D2での線状電極3の伸長方向の角度がそれぞれ5°〜25°になるように、ラビング処理方向を設定した。
また、他のガラス基板上に、ラビング配向膜材料(SE610:日産化学工業株式会社)を回転数1500rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、オーブンで180℃、30分間乾燥後、ラビング処理を行った。
次に、基板上に四角い枠状にシール材を塗布した。その基板上に、上述のキラル化合物Iを含むネマチック液晶組成物を塗布し、二つの基板を互いのラビング処理の方向が平行になるように組み立て圧着を行った。液晶層の厚みは3.3μmであった。
(評価)
実験例1と同様に透過光量を測定した。図19に電圧−透過光量特性を示す。
配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度を調整することで電圧−透過光量特性が変化することが確認された。ここで、キラル化合物Iは左旋性を示すため、図3において、第2領域D2では液晶分子31が回転しやすく、第1領域D1では液晶分子31は回転しにくい。この場合、液晶分子が回転しやすい第2領域D2では、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が大きいほうが、低電圧で駆動しやすくなる傾向があり、一方で最大透過率が低くなる傾向がある。同様に、液晶分子が回転しにくい第1領域D1でも、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が大きいほうが、低電圧で駆動しやすくなる傾向があり、一方で最大透過率が低くなる傾向がある。そのため、駆動電圧に応じて、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の最適な角度が異なる。このことから、配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度を調整することにより、第1領域および第2領域の電圧−透過光量特性の相違を補正することができることがわかった。
例えば、5V以下で駆動する用途の場合、液晶分子が回転しにくい第1領域D1では配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が10°のときに5V印加時の透過率が最も高くなる。そのため、液晶分子が回転しやすい第2領域D2にて配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度を10°未満5°以上の範囲で調整することにより、第1領域および第2領域の5V印加時の透過率を均一にすることができるとともに、第1領域および第2領域で電圧−透過光量曲線を近似させることができる。
一方、例えば、5Vよりも高い電圧まで駆動可能にする用途の場合、図示しないが、液晶分子が回転しにくい第1領域D1では配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度が5°のときに高電圧印加時の透過率が最も高くなる。そのため、液晶分子が回転しやすい第2領域D2にて配向処理方向に対する線状電極の伸長方向の角度を5°未満1°以上の範囲で調整することにより、第1領域および第2領域の駆動電圧に対する透過率を均一にすることができるとともに、第1領域および第2領域で電圧−透過光量曲線を近似させることができる。
[実験例5]
(IPSモード液晶表示素子の作製)
キラル化合物I〜IIIをそれぞれ含有するネマチック液晶組成物を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が−10°である液晶表示素子1と、線状電極の伸長方向に対する配向処理方向の角度が+10°である液晶表示素子2とを作製した。
(評価)
実験例1と同様に透過光量を測定した。結果を表7に示す。
Figure 2014077845
ここで、マルチドメイン駆動の横電界方式液晶表示素子では、横電界方式液晶表示素子全体の透過光量は、第1領域および第2領域の透過光量の平均値となる。キラル化合物が添加されたネマチック液晶組成物を用いることにより、透過光量が向上することが確認された。
1 … 横電界方式液晶表示素子
2 … 第1基材
3、3b … 線状電極
4 … 第1配向膜
10 … 液晶駆動側基板
11 … 第2基材
12 … 第2配向膜
20 … 対向基板
30 … 液晶層
31 … 液晶分子
d … 配向処理方向
h1 … 第1領域での線状電極の間隔
h2 … 第2領域での線状電極の間隔
s … 線状電極の屈曲部
D1 … 第1領域
D2 … 第2領域
E、E1、E2 … 電界
X1 … 第1方向
X2 … 第2方向
θ1 … 配向処理方向に対する第1領域での線状電極の伸長方向の角度
θ2 … 配向処理方向に対する第2領域での線状電極の伸長方向の角度
ψ … 第1領域での線状方向の伸長方向と第2領域での線状電極の伸長方向とのなす角度

Claims (5)

  1. 第1基材、前記第1基材上に屈曲して形成された複数の線状電極、および前記第1基材上に前記線状電極を覆うように形成された第1配向膜を有する液晶駆動側基板と、
    第2基材、および前記第2基材上に形成された第2配向膜を有する対向基板と、
    前記液晶駆動側基板および前記対向基板の間に形成され、キラル化合物を含有するネマチック液晶組成物を含む液晶層と
    を有し、前記線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子であって、
    各画素が、前記線状電極の屈曲部を境に、電界印加時に液晶分子が第1方向に回転する第1領域と液晶分子が前記第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域とを有し、
    前記第1領域での前記線状電極の間隔と、前記第2領域での前記線状電極の間隔とが異なることを特徴とする横電界方式液晶表示素子。
  2. 第1基材、前記第1基材上に屈曲して形成された複数の線状電極、および前記第1基材上に前記線状電極を覆うように形成された第1配向膜を有する液晶駆動側基板と、
    第2基材、および前記第2基材上に形成された第2配向膜を有する対向基板と、
    前記液晶駆動側基板および前記対向基板の間に形成され、キラル化合物を含有するネマチック液晶組成物を含む液晶層と
    を有し、前記線状電極の形状によりマルチドメイン駆動する横電界方式液晶表示素子であって、
    各画素が、前記線状電極の屈曲部を境に、電界印加時に液晶分子が第1方向に回転する第1領域と液晶分子が前記第1方向とは異なる第2方向に回転する第2領域とを有し、
    前記第1配向膜および前記第2配向膜の配向処理方向に対する前記第1領域での前記線状電極の伸長方向の角度と、前記配向処理方向に対する前記第2領域での前記線状電極の伸長方向の角度とが異なることを特徴とする横電界方式液晶表示素子。
  3. 前記第1領域での前記線状電極の間隔と、前記第2領域での前記線状電極の間隔とが異なることを特徴とする請求項2に記載の横電界方式液晶表示素子。
  4. 前記第1領域での前記線状電極のピッチと、前記第2領域での前記線状電極のピッチとが異なることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の横電界方式液晶表示素子。
  5. 前記第1領域での前記線状電極の幅と、前記第2領域での前記線状電極の幅とが異なることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の横電界方式液晶表示素子。
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