JP2014076722A - モータ制御装置 - Google Patents

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誠 市川
Tomoyuki Sugiyama
倫行 杉山
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Abstract

【課題】2つの制御回路を有する構造でありながら、モータの適切な動作を確保しつつ、消費電力を低減できるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】このモータ制御装置4は、モータ20に駆動電流を供給する駆動回路40に駆動信号を出力することによりモータ20の駆動を制御するメインマイコン41と、メインマイコン41の動作を監視するサブマイコン42とを備える。ここでは、サブマイコン42への電力の供給及び遮断を切り替えるリレー48を設ける。そしてメインマイコン41は、モータ20を駆動する必要がない場合、リレー48によりサブマイコン42への電力供給を遮断する。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータの駆動を制御するモータ制御装置に関する。
車両の操舵機構にモータのアシストトルクを付与することにより運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置が知られている。この電動パワーステアリング装置には、運転者のステアリング操作に伴い操舵機構に付与される操舵トルクを検出するトルクセンサ、及びトルクセンサの検出操舵トルクに基づいてモータの駆動を制御するモータ制御装置が設けられている。モータ制御装置は、モータに駆動電流を供給する駆動回路、及び駆動回路の動作を制御する制御回路(マイコン)を備えている。制御回路は、トルクセンサの検出操舵トルクに基づいてモータの駆動電流の目標値となる電流指令値を演算する。そして、モータの実際の駆動電流値を電流指令値に一致させるべく、それらの偏差に応じた駆動信号を生成し、これを駆動回路に出力することによりモータの駆動を制御する。こうしたモータ駆動制御により操舵トルクに応じたアシストトルクがモータから操舵機構に付与され、運転者のステアリング操作が補助される。
ところで、このようなモータ制御装置では、制御回路に何らかの異常が生じて電流指令値の演算や駆動信号の生成が適切に行われなくなると、モータの動作に異常が生じるおそれがある。モータの動作に異常が生じると、運転者のステアリング操作を適切に補助できないばかりか、かえってステアリング操作を阻害することにもなりかねない。このため、制御回路の異常を検出できることが望ましい。このため従来は、特許文献1に見られるように、電流指令値の演算や駆動信号の生成を行う第1制御回路に加え、第1制御回路の動作を監視する第2制御回路を備えたモータ制御装置が提案されている。このようなモータ制御装置によれば、第1制御回路に何らかの異常が生じると、それを第2制御回路で検出できる。これにより、例えばモータ駆動制御を停止するなどの処置を施すことが可能となるため、モータが異常な動作を継続するような状況を回避できる。
特開2003−44323号公報
しかしながら、モータ制御装置に2つの制御回路を設けると、制御回路が1つの場合と比較して消費電力が増加する懸念がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの制御回路を有する構造でありながら、モータの適切な動作を確保しつつ、消費電力を低減できるモータ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載のモータ制御装置は、モータに駆動電流を供給する駆動回路に駆動信号を出力することにより前記モータの駆動を制御する第1制御回路と、前記第1制御回路の動作を監視する第2制御回路と、前記第1制御回路及び前記第2制御回路のいずれか一方への電力の供給及び遮断を切り替える切り替え部と、を備え、前記第1制御回路及び前記第2制御回路のうち、前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、前記モータを駆動する必要がない場合、前記切り替え部により他方の制御回路への電力供給を遮断することを要旨とする。
第1制御回路はモータの駆動を制御する部分であるため、モータを駆動する必要のない状況では第1制御回路を停止しても問題はない。また第2制御回路は、モータの駆動に異常が生じないように第1制御回路を監視する部分であるため、その目的に鑑みれば、第2制御回路は最低限モータの駆動中に動作していればよい。換言すれば、モータを駆動する必要のない状況では第2制御回路を停止しても問題はない。このようにモータを駆動する必要のない状況では、第1制御回路及び第2制御回路のいずれか一方を停止してもモータ制御装置としては問題がない。これを利用し、上記構成のように、第1制御回路及び第2制御回路のいずれか一方の電力の供給及び遮断を切り替える切り替え部を設け、モータを駆動する必要が無い場合、一方の制御回路が切り替え部を通じて他方の制御回路への電力供給を遮断すれば、モータの適切な動作を確保しつつ、他方の制御回路に電力を常時供給している場合と比較して消費電力を低減できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータ制御装置において、前記モータは車両に搭載されており、前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、車両のイグニッションスイッチがオン操作されてから前記第1制御回路が前記モータの駆動制御を開始するまでの間、前記モータを駆動する必要がないと判断し、前記切り替え部により前記他方の制御回路への電力供給を遮断することを要旨とする。
この構成によれば、運転者がイグニッションスイッチをオン操作した後、第1制御回路がモータの駆動制御を開始するまでの間、他方の制御回路への電力供給が遮断されるため、エンジン始動時の消費電力を低減できる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のモータ制御装置において、前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、車両のイグニッションスイッチがオン操作された後、イニシャルチェックで前記モータの駆動系の正常な動作が確認できて且つ、車載エンジンの始動を検知することをもって前記モータの駆動制御が開始されたと判断することを要旨とする。
第1制御回路の制御対象であるモータが車載モータの場合、車両のイグニッションスイッチがオン操作された後、イニシャルチェックでモータの駆動系の正常な動作が確認できて且つ、車載エンジンが始動することをもってモータ駆動制御が開始されることが多い。このため、上記構成によれば、切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御装置が第1制御回路及び第2制御回路のいずれの場合であっても、モータ駆動制御が開始されたか否かを容易に判断できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記モータは車両に搭載されており、前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、前記第1制御回路が前記モータの駆動制御を開始して以降、前記モータを駆動源とする装置に異常が生じるか、あるいは車両のイグニッションスイッチがオフ操作されることをもって前記モータを駆動する必要がないと判断し、前記切り替え部により前記他方の制御回路への電力供給を遮断することを要旨とする。
第1制御回路の制御対象であるモータが車載モータの場合、第1制御回路がモータ駆動制御を開始して以降、モータを駆動源とする装置に異常が生じたとき、あるいはイグニッションスイッチがオフ操作されたときにはモータを駆動する必要がない。よって上記構成によれば、第1制御回路がモータ駆動制御を開始して以降にモータを駆動する必要のない状況となった場合、他方の制御回路への電力供給が遮断されるため、消費電力を低減できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記モータは、車両の電動パワーステアリング装置に設けられ、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するものであり、前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、前記第1制御回路が前記モータの駆動制御を開始して以降、前記操舵機構に付与される操舵トルクが所定値以下になることをもって前記モータを駆動する必要がないと判断し、前記切り替え部により前記他方の制御回路への電力供給を遮断することを要旨とする。
車両の電動パワーステアリング装置では、操舵機構に付与される操舵トルクが所定値以下になった場合、運転者が操舵機構を操作していない状況であると考えられるため、ステアリングシャフトにアシストトルクを付与する必要がない。すなわちモータを駆動する必要がない。よって上記構成によれば、特に電動パワーステアリング装置において消費電力を的確に低減できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記モータは、車両のステアリングシャフトにおいてステアリングホイール側の第1シャフトと転舵輪側の第2シャフトとの間の伝達比を可変とする伝達比可変装置に設けられ、自身の駆動に基づく回転を前記第1シャフトの回転に上乗せして前記第2シャフトに伝達することにより前記伝達比を可変とするものであり、前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、前記第1制御回路が前記モータの駆動制御を開始して以降、前記ステアリングホイールが保舵状態であるか、あるいは前記ステアリングホイールが中立位置であることをもって前記モータを駆動する必要がないと判断し、前記切り替え部により前記他方の制御回路への電力供給を遮断することを要旨とする。
車両のステアリングシャフトに設けられる伝達比可変装置では、ステアリングホイールが保舵状態である場合、あるいはステアリングホイールが中立位置である場合、ステアリングシャフトが回転していない状況であると考えられるため、モータを駆動する必要がない。よって上記構成によれば、特に伝達比可変装置において消費電力を的確に低減できる。
本発明のモータ制御装置によれば、2つの制御回路を有する構造でありながら、モータの適切な動作を確保しつつ、消費電力を低減できる。
本発明のモータ制御装置の適用対象である車両の電動パワーステアリング装置についてその構成を模式的に示すブロック図。 本発明のモータ制御装置の一実施形態についてその構成を示すブロック図。 実施形態のモータ制御装置によるサブマイコンへの電力の供給及び遮断を切り替える処理の手順を示すフローチャート。 本発明のモータ制御装置の他の実施形態についてその構成を示すブロック図。 本発明のモータ制御装置を車両の伝達比可変装置に適用した一実施形態についてサブマイコンへの電力の供給及び遮断を切り替える処理の手順を示すフローチャート。
以下、本発明のモータ制御装置を車両の電動パワーステアリング装置に適用した一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。はじめに図1を参照して車両の電動パワーステアリング装置の概要を説明する。
図1に示すように、この電動パワーステアリング装置は、運転者のステアリングホイール10の操作に基づき転舵輪3を転舵させる操舵機構1、及び運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構2を備えている。
操舵機構1は、ステアリングホイール10の回転軸となるステアリングシャフト11を備えている。ステアリングシャフト11の下端部にはラックアンドピニオン機構12を介してラックシャフト13が連結されている。操舵機構1では、運転者のステアリングホイール10の操作に伴いステアリングシャフト11が回転すると、その回転運動がラックアンドピニオン機構12を介してラックシャフト13の軸方向の往復直線運動に変換される。このラックシャフト13の往復直線運動がその両端に連結されたタイロッド14を介して転舵輪3に伝達されることにより転舵輪3の転舵角が変化し、車両の進行方向が変更される。
アシスト機構2は、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与するモータ20を備えている。モータ20は三相交流モータからなる。モータ20の回転がギア機構21を介してステアリングシャフト11に伝達されることでステアリングシャフト11にモータトルクが付与され、ステアリング操作が補助される。
また、この電動パワーステアリング装置には、ステアリングホイール10の操作量や車両の状態量を検出する各種センサが設けられている。例えばステアリングシャフト11には、運転者のステアリング操作に際してステアリングシャフト11に付与されるトルク(操舵トルク)Thを検出するトルクセンサ5が設けられている。モータ20には、その回転角θmを検出する回転角センサ6が設けられている。車両には、その走行速度Vを検出する車速センサ7が設けられている。これらセンサ5〜7の出力はモータ制御装置4に取り込まれている。モータ制御装置4は各センサ5〜7の出力に基づいてモータ20の駆動を制御する。
図2に示すように、モータ制御装置4は、モータ20に三相交流電流を供給する駆動回路40、駆動回路40を介してモータ20の駆動を制御するメインマイコン41、及びメインマイコン41の動作を監視するサブマイコン42を備えている。本実施形態では、メインマイコン41が第1制御回路となり、サブマイコン42が第2制御回路となっている。
駆動回路40は、複数のMOSFETをブリッジ状に接続した周知の構成からなる。駆動回路40は、メインマイコン41からプリドライバ46を介して入力されるゲート信号に基づいて複数のMOSFETがオン/オフすることにより、車載バッテリBTからリレー45を介して供給される直流電圧を三相(U相、V相、W相)の交流電圧に変換する。変換された三相交流電圧がモータ駆動電圧として給電線W1を介してモータ20に供給されることにより、モータ20が駆動する。
給電線W1には、U相、V相、及びW相の各相電流値Iを検出する電流センサ47が設けられている。電流センサ47の出力は各マイコン41,42に取り込まれている。またトルクセンサ5、回転角センサ6、及び車速センサ7のそれぞれの出力も各マイコン41,42に取り込まれている。さらに各マイコン41,42はCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークCNを介してエンジン制御装置8と接続されており、各マイコン41,42とエンジン制御装置8との間で各種データのシリアル通信を行うことが可能となっている。エンジン制御装置8は、例えば車載エンジン(図示略)を始動させたときにその旨の通知(エンジン始動通知)を各マイコン41,42に行う。すなわち各マイコン41,42は、エンジン制御装置8からのエンジン始動通知により車載エンジンが始動したことを知ることができる。
メインマイコン41は、各センサ5〜7,47を通じてそれぞれ検出される操舵トルクTh、モータ回転角θm、車速V、及び各相電流値Iに基づいてモータ20の駆動を制御する。詳しくは、メインマイコン41は、操舵トルクTh及び車速Vに基づいてステアリングシャフト11に付与すべきアシストトルクの目標値を設定し、その値に基づいてモータ20の駆動電流の目標値(電流指令値)を算出する。またメインマイコン41は、モータ回転角θmを利用して各相電流値Iをd/q座標系における電流値(実電流値)に変換する。そしてメインマイコン41は、実電流値を電流指令値に追従させるべく、それらの偏差に基づく電流フィードバック制御を実行することでd/q座標系における電圧指令値を算出する。また、演算したd/q座標系の電圧指令値をモータ回転角θmを利用して各相の電圧指令値に変換し、これをPWM変換することでPWM駆動信号を生成する。メインマイコン41は、生成したPWM駆動信号をプリドライバ46に出力する。
プリドライバ46は、メインマイコン41からのPWM駆動信号を増幅してゲート信号を生成し、これを駆動回路40に設けられた複数のMOSFETのゲート端子に印加する。これにより、複数のMOSFETがPWM駆動信号に応じてオン/オフすることで駆動回路がPWM駆動し、モータ20が電流指令値に応じた動作を行う。こうしたメインマイコン41によるモータ20の駆動制御によりステアリングシャフト11にアシストトルクが付与され、ステアリング操作を補助するアシスト制御が実行される。
サブマイコン42は、シリアル通信ライン50によりメインマイコン41と接続され、メインマイコン41との間で各種データのシリアル通信を行うことが可能となっている。これにより、サブマイコン42は、モータ20の動作に異常が生じないようにメインマイコン41の動作を監視している。詳しくは、サブマイコン42は、例えばトルクセンサ5の検出値をA/D変換(アナログ/デジタル変換)した値をメインマイコン41からシリアル通信を通じて取得する。そして、取得した値と、自身がトルクセンサ5の出力値をA/D変換した値とを比較することで、メインマイコン41のA/D変換処理が正常であるか否かを監視する。なおサブマイコン42は、トルクセンサ5以外の各センサ6,7,47の検出値についても同様の監視処理を実行する。またサブマイコン42は、シリアル通信を通じてメインマイコン41に対して簡単な演算処理を実行するように要求するとともに、その演算結果を取得する。そして、取得した値と、自身の演算結果とを比較することで、メインマイコン41の演算処理が正常であるか否かを監視する。サブマイコン42は、こうした監視処理を通じてメインマイコン41のA/D変換処理や演算処理に異常が生じたことを検知した場合、メインマイコン41に対してモータ駆動制御を停止するように指示したり、車両に設けられた警告灯を点灯させるなどの異常対策処理を実行する。これによりモータ20が異常な動作を継続するような状況が回避される。
またモータ制御装置4は、メインマイコン41及びサブマイコン42に電力をそれぞれ供給する電源IC43,44を備えている。
メインマイコン41用の電源IC43は、ダイオードD1、及びエンジン始動スイッチであるイグニッションスイッチIGSWを介して車載バッテリBTに接続されている。また電源IC43は、リレー45と駆動回路40とを接続する配線の途中にダイオードD2を介して接続されている。すなわちイグニッションスイッチIGSW及びリレー45のいずれか一方がオンされると、車載バッテリBTから電源IC43を介してメインマイコン41に電力が供給される。
サブマイコン42用の電源IC44も、メインマイコン41用の電源IC43と同様の給電経路を介して車載バッテリBTに接続されている。但し、ダイオードD1,D2と電源IC44とを接続する配線の途中にはリレー48が設けられている。すなわちイグニッションスイッチIGSW及びリレー45のいずれか一方がオンされて且つ、リレー48がオンされることを条件に、車載バッテリBTから電源IC44を介してサブマイコン42に電力が供給される。本実施形態では、リレー48が、サブマイコン42への電力の供給及び遮断を切り替える切り替え部となっている。
一方、モータ制御装置4では、リレー45,48のオン/オフの切り替えがメインマイコン41により実行される。次にメインマイコン41がリレー45のオン/オフを切り替える手順について説明する。
まず運転者によりイグニッションスイッチIGSWがオン操作されると、車載バッテリBTからイグニッションスイッチIGSW、ダイオードD1、及び電源IC43を介してメインマイコン41に電力が供給され、メインマイコン41が作動する。作動したメインマイコン41は、CPUやメモリなどの自身に搭載された電子部品、各センサ5〜7,47、及び駆動回路40などを含む電動パワーステアリング装置全体の正常な動作を確認する、いわゆるイニシャルチェックを行う。そして、イニシャルチェックを通じて電動パワーステアリング装置全体が正常であることを確認できた場合、リレー45をオンさせる。これにより車載バッテリBTから駆動回路40に直流電流が供給され、モータ20が駆動可能な状態となる。その後、メインマイコン41は、エンジン制御装置8から送信されるエンジン始動通知に基づいて車載エンジンが始動したことを検知したとき、モータ駆動制御を開始する。
また、運転者によりイグニッションスイッチIGSWがオフ操作されると、イグニッションスイッチIGSWを介したメインマイコン41への電力供給は遮断されるが、メインマイコン41はリレー45を介した電力供給により動作状態を維持することができる。このときメインマイコン41は、イグニッションスイッチIGSWのオフ操作を検知すると、各センサ5〜7,47の出力や、エンジン制御装置8から逐次通知されるエンジン状態などに基づいてモータ駆動制御を停止する条件が成立したか否かを判断する。そして、モータ駆動制御を停止する条件が成立した場合、リレー45をオフする。これにより車載バッテリBTから駆動回路40への駆動電流の供給が遮断されるとともに、メインマイコン41が停止する。
一方、メインマイコン41は、自身が動作状態にあるとき、リレー48のオン/オフを切り替えることによりサブマイコン42への電力の供給及び遮断を切り替える。次にこの処理について詳述する。
まず、サブマイコン42は、モータ20の駆動に異常が生じないようにメインマイコン41を監視する部分であるため、その目的に鑑みれば、サブマイコン42は最低限モータ20の駆動中に動作していればよい。換言すれば、モータ20を駆動する必要のない状況ではサブマイコン42を停止しても問題はない。ここでモータ20を駆動する必要のない状況としては、まず、イグニッションスイッチIGSWがオン操作された後、メインマイコン41がモータ駆動制御を開始するまでの間が考えられる。この間、メインマイコン41はモータ駆動制御を実行しないため、モータ20を駆動する必要がない。またメインマイコン41がモータ駆動制御を開始して以降、モータ20を駆動する必要のない状況としては以下の(a1)〜(a3)の状況が考えられる。
(a1)トルクセンサ5の検出操舵トルクThの絶対値が所定値Th1以下の場合。この場合、運転者がステアリングホイール10を操作していない状況であると考えられるため、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与する必要がない。すなわちモータ20を駆動する必要がない。なお所定値Th1は、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与すべき状況であるか否かを判定できる値に設定する。
(a2)電動パワーステアリング装置を構成するいずれかの要素が故障したり、その配線系に異常が生じるなど、電動パワーステアリング装置に何らかの異常が生じてその動作を停止しなければならない場合。この場合、モータ20を駆動する必要がない。
(a3)イグニッションスイッチIGSWがオフ操作された場合。この場合、アシスト制御を実行する必要がないため、モータ20を駆動する必要がない。
そしてメインマイコン41は、モータ20を駆動する必要のない状況ではリレー48をオフすることでサブマイコン42への電力の供給を遮断し、それ以外の状況ではリレー48をオンすることでサブマイコン42に電力を供給する。
次に図3を参照して、メインマイコン41により行われるサブマイコン42への電力の供給及び遮断を切り替える処理についてその作用と共に説明する。なお図3に示す処理は、メインマイコン41に電力が供給されたとき、すなわちイグニッションスイッチIGSWがオン操作されたときに開始され、メインマイコン41への電力供給が遮断されたときに中断される。また、この処理の開始時、リレー48はオフ状態に、すなわちサブマイコン42への電力供給は遮断された状態になっている。
図3に示すように、メインマイコン41は、はじめに、イニシャルチェックで電動パワーステアリング装置全体が正常であることが確認できたか否かを判断し(ステップS1)、その正常を確認できた場合には(ステップS1:YES)、車載エンジンが始動したか否かを判断する(ステップS2)。メインマイコン41は、エンジン制御装置8からのエンジン始動通知に基づいて車載エンジンの始動を検知した場合(ステップS2:YES)、モータ駆動制御を開始する(ステップS3)。この間、すなわちイグニッションスイッチIGSWがオン操作されてからモータ駆動制御が開始されるまでの間、リレー48はオフ状態に維持され、サブマイコン42への電力供給は遮断されたままとなるため、エンジン始動時の消費電力を低減できる。
そしてメインマイコン41は、ステップS3でモータ駆動制御を開始した後、トルクセンサ5の検出操舵トルクThが所定値Th1以下であるか否かを監視する(ステップS4)。ここで運転者のステアリング操作によりトルクセンサ5の検出操舵トルクThが所定値Th1を超えた場合(ステップS4:NO)、メインマイコン41がモータ20を駆動する状況となる。このときメインマイコン41は、電動パワーステアリング装置が正常であって且つ(ステップS5:NO)、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であることを条件に(ステップS6:NO)、リレー48をオンしてサブマイコン42に電力を供給する(ステップS7)。これによりモータ駆動時にサブマイコン42がメインマイコン41の動作を監視できるため、電動パワーステアリング装置におけるモータ20の適切な動作を確保することができる。
一方、運転者がステアリング操作を行わなくなって、トルクセンサ5の検出操舵トルクThが所定値Th1以下になると(ステップS4:YES)、メインマイコン41はリレー48をオフしてサブマイコン42への電力供給を遮断する(ステップS8)。また、電動パワーステアリング装置に異常が生じた場合(ステップS5:YES)、あるいはイグニッションスイッチIGSWがオフ操作された場合にも(ステップS6:YES)、メインマイコン41はリレー48をオフしてサブマイコン42への電力供給を遮断する(ステップS8)。これによりメインマイコン41がモータ駆動制御を開始して以降にモータ20を駆動する必要がない状況となった場合には、サブマイコン42への電力供給が遮断されるため、消費電力を低減できる。
以上説明したように、本実施形態のモータ制御装置4によれば以下の効果が得られる。
(1)モータ制御装置4には、サブマイコン42への電力供給を遮断するリレー48を設けた。そしてメインマイコン41が、モータ20を駆動する必要がない場合、リレー48を切り替えることによりサブマイコン42への電力供給を遮断することとした。これにより、電動パワーステアリング装置におけるモータ20の適切な動作を確保しつつ、サブマイコン42に電力を常時供給している場合と比較してモータ制御装置4の消費電力を低減できる。
(2)メインマイコン41では、イグニッションスイッチIGSWがオン操作されてからモータ20の駆動制御を開始するまでの間、モータ20を駆動する必要がないと判断し、リレー48によりサブマイコン42への電力供給を遮断することとした。これによりエンジン始動時の消費電力を低減できる。
(3)メインマイコン41では、モータ20の駆動制御を開始して以降、上記(a1)〜(a3)のいずれかの条件が成立したとき、電動パワーステアリング装置においてモータ20を駆動する必要がないと判断し、リレー48によりサブマイコン42への電力供給を遮断することとした。これによりメインマイコン41がモータ駆動制御を開始して以降にモータ20を駆動する必要がない状況となった場合、サブマイコン42への電力供給が遮断されるため、特にモータ制御装置4における消費電力を的確に低減できる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・駆動回路40とメインマイコン41との間に設けられたプリドライバ46を省略し、メインマイコン41のPWM駆動信号を駆動回路40に直接入力してもよい。
・上記実施形態では、サブマイコン42がメインマイコン41の動作をA/D変換値及び演算処理結果に基づいて監視することとしたが、サブマイコン42がメインマイコン41の動作を監視する方法は適宜の方法を採用してもよい。
・図3に例示した処理では、ステップS4〜S6のいずれかの処理を省略してもよい。
・図3に例示した処理では、ステップS4〜S6の全ての処理を省略してもよい。この場合、メインマイコン41はステップS3の処理でモータ駆動制御を開始した後、リレー48をオンさせてサブマイコン42に電力を供給する(ステップS7)。このような構成でも、イグニッションスイッチIGSWがオン操作されてからメインマイコン41がモータ駆動制御を開始するまでの間、サブマイコン42への電力供給が遮断されるため、消費電力を低減できる。
・図3に例示した処理では、ステップS1,S2の処理を省略してもよい。この場合、メインマイコン41は、モータ駆動制御の開始時に(ステップS3)、図3に示した処理のステップS4〜S8の処理を実行する。このような構成でも、メインマイコン41がモータ20の駆動制御を開始して以降、モータ20を駆動する必要のない状況ではサブマイコン42への電力供給が遮断されるため、消費電力を低減できる。
・上記実施形態では、サブマイコン42への電力の供給及び遮断を切り替えるリレー48を設けたが、これに代えて、図4に示すように、メインマイコン41への電力の供給及び遮断を切り替えるリレー49を設けてもよい。この場合、サブマイコン42が図3に準じた処理としてステップS3を除く処理を実行することでリレー49のオン/オフを切り替え、メインマイコン41への電力の供給及び遮断を切り替える。ところで、このような構成を採用した場合、以下の(b1),(b2)に示すような懸念がある。
(b1)イグニッションスイッチIGSWがオン操作された際、リレー49がオフされていると、メインマイコン41が動作しないため、メインマイコン41でイニシャルチェック及びリレー45のオン操作を実行できない。
(b2)サブマイコン42が、図3のステップS6,S8に準じた処理として、イグニッションスイッチIGSWがオフ操作されたときにメインマイコン41への電力供給を遮断すると、その時点でリレー45がオフされてしまう。このため、メインマイコン41では、イグニッションスイッチIGSWのオフ操作後にモータ駆動制御の停止条件が成立することを条件にリレー45をオフする処理を実行できない。
これら(b1)及び(b2)の懸念事項を解消するためには、イニシャルチェック及びリレー45のオン/オフの切り替えをサブマイコン42で実行すればよい。あるいは、サブマイコン42では、図3に準じた処理としてステップS4,S5の処理のみを実行すればよい。このような構成を採用すれば、メインマイコン41に電力を常時供給している場合と比較して消費電力を低減できる。
・上記実施形態では、本発明を車両の電動パワーステアリング装置に適用したが、例えば車両のステアリングシャフト11においてステアリングホイール10側の第1シャフトと転舵輪3側の第2シャフトとの間の伝達比を可変とする伝達比可変装置に本発明を適用してもよい。詳しくは、伝達比可変装置は、周知のように、第1シャフトの回転にモータ20の駆動に基づく回転を上乗せして第2シャフトに伝達することにより第1シャフトと第2シャフトとの間の伝達比を可変とする構成からなるため、そのモータ20の駆動を制御するモータ制御装置に本発明を適用してもよい。ところで伝達比可変装置では、メインマイコン41がモータ駆動制御を開始して以降、モータ20を駆動する必要のない状況としては、上記(a2),(a3)の状況に加え、上記(a1)に代わる状況として以下の(c1),(c2)に示す状況が考えられる。
(c1)ステアリングホイール10が保舵状態である場合。この場合、ステアリングシャフト11が回転していない状況であると考えられるため、モータ20を駆動する必要がない。なおステアリングホイール10が保舵状態であることの検出は、例えばステアリングシャフト11の角速度(回転速度)が所定値以下であることに基づいて行えばよい。
(c2)ステアリングホイール10が中立位置である場合。この場合もステアリングシャフト11が回転していない状況であると考えられるため、モータ20を駆動する必要がない。なおステアリングホイール10が中立位置であることの検出は、例えばステアリングホイール10の操舵角を検出する操舵角センサの検出値を利用して行えばよい。
以上により、図2に例示した構成を伝達比可変装置に適用する場合、メインマイコン41は、図3の処理に代えて、図5に示す処理を実行すればよい。なお図5では、図3に示した各処理と同一の処理には同一の符号を付している。また図5に示すステップS9,S12の処理は図3のステップS1,S5の処理を伝達比可変装置に置き換えた処理である。さらにメインマイコン41は、図3のステップS4の処理に代えて、ステアリングホイール10が保舵状態であるか否かを監視する処理(ステップS10)、及びステアリングホイール10が中立位置であるか否かを監視する処理(ステップS11)を実行する。このような構成によれば、メインマイコン41がモータ20の駆動制御を開始して以降、上記(a2),(a3),(c1),(c2)のいずれかの条件が成立したとき、サブマイコン42への電力供給が遮断される。これにより、伝達比可変装置におけるモータ20の適切な動作を確保しながらも、消費電力を低減できる。なお図4に例示した構成を伝達比可変装置に適用し、サブマイコン42が図5に示す処理を実行してもよい。
・モータ20は、三相交流モータに限らず、ブラシ付き直流モータであってもよい。
・上記実施形態及びその変形例では、本発明を車両の電動パワーステアリング装置及び伝達比可変装置に適用する場合について例示したが、本発明の適用対象はこれらに限らない。本発明は、車両に搭載されたモータ制御装置に限らず、メインマイコン及びサブマイコンを有する任意のモータ制御装置に適用可能である。なお、本発明を車両に搭載されたモータ制御装置に適用する場合、メインマイコン41あるいはサブマイコン42では、図3に準じた処理として、電動パワーステアリング装置に関連するステップS4の処理を省略し、残りの処理のみを実行すればよい。このとき、ステップS5の処理としては、モータ20を駆動源とする装置に異常が生じているか否かを判断する処理を実行すればよい。
IGSW…イグニッションスイッチ、1…操舵機構、3…転舵輪、4…モータ制御装置、10…ステアリングホイール、11…ステアリングシャフト、20…モータ、40…駆動回路、41…メインマイコン(第1制御回路)、42…サブマイコン(第2制御回路)、48,49…リレー(切り替え部)。

Claims (6)

  1. モータに駆動電流を供給する駆動回路に駆動信号を出力することにより前記モータの駆動を制御する第1制御回路と、
    前記第1制御回路の動作を監視する第2制御回路と、
    前記第1制御回路及び前記第2制御回路のいずれか一方への電力の供給及び遮断を切り替える切り替え部と、を備え、
    前記第1制御回路及び前記第2制御回路のうち、前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、前記モータを駆動する必要がない場合、前記切り替え部により他方の制御回路への電力供給を遮断する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記モータは車両に搭載されており、
    前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、車両のイグニッションスイッチがオン操作されてから前記第1制御回路が前記モータの駆動制御を開始するまでの間、前記モータを駆動する必要がないと判断し、前記切り替え部により前記他方の制御回路への電力供給を遮断する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項2に記載のモータ制御装置において、
    前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、車両のイグニッションスイッチがオン操作された後、イニシャルチェックで前記モータの駆動系の正常な動作が確認できて且つ、車載エンジンの始動を検知することをもって前記モータの駆動制御が開始されたと判断する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記モータは車両に搭載されており、
    前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、前記第1制御回路が前記モータの駆動制御を開始して以降、前記モータを駆動源とする装置に異常が生じるか、あるいは車両のイグニッションスイッチがオフ操作されることをもって前記モータを駆動する必要がないと判断し、前記切り替え部により前記他方の制御回路への電力供給を遮断する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記モータは、車両の電動パワーステアリング装置に設けられ、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するものであり、
    前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、前記第1制御回路が前記モータの駆動制御を開始して以降、前記操舵機構に付与される操舵トルクが所定値以下になることをもって前記モータを駆動する必要がないと判断し、前記切り替え部により前記他方の制御回路への電力供給を遮断する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記モータは、車両のステアリングシャフトにおいてステアリングホイール側の第1シャフトと転舵輪側の第2シャフトとの間の伝達比を可変とする伝達比可変装置に設けられ、自身の駆動に基づく回転を前記第1シャフトの回転に上乗せして前記第2シャフトに伝達することにより前記伝達比を可変とするものであり、
    前記切り替え部により電力の供給及び遮断が切り替えられない制御回路は、前記第1制御回路が前記モータの駆動制御を開始して以降、前記ステアリングホイールが保舵状態であるか、あるいは前記ステアリングホイールが中立位置であることをもって前記モータを駆動する必要がないと判断し、前記切り替え部により前記他方の制御回路への電力供給を遮断する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
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JP2016055832A (ja) * 2014-09-12 2016-04-21 日立オートモティブシステムズ株式会社 駆動装置の制御装置
WO2022254784A1 (ja) * 2021-05-31 2022-12-08 日立Astemo株式会社 電子制御システムおよび車両通信停止機能の故障検知方法

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