以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
<1.第1実施形態>
[1−1.構成概要]
図1は、第1実施形態に係る通信システム1Aの構成を示す図である。
図1に示されるように、通信システム1Aは、第1通信ネットワークNT1と、第2通信ネットワークNT2と、これらの各ネットワークに接続可能な表示端末(「端末装置」とも称する)10Aとで構成されている。
第1通信ネットワークNT1は、情報取得装置20、当該情報取得装置20で取得された情報を収集する情報収集装置30、および光ファイバーLT等の通信路を介して情報収集装置30と接続されたシステム管理センター5を有している。
情報取得装置20は、或る施設7に設けられ、当該施設7における情報(施設情報)を取得する。図1では、情報取得装置20が、或る施設7としての家庭70に設けられている態様が示されている。当該情報取得装置20は、例えば、家庭70で消費される電力を計量する電力量計(電力メータ)としての機能を有し、消費電力量を施設情報として取得する。消費電力量を取得する情報取得装置20は、電力監視装置とも称される。なお、情報取得装置20は、ガスの使用量を計量するガスメータであってもよい。情報取得装置20がガスメータとして機能する場合は、ガス使用量が施設情報として取得されることになる。
また、情報取得装置20は、情報収集装置30、表示端末10A等の電子機器と無線で通信を行う通信機能を有し、これらの電子機器に施設情報を含む様々な情報を提供するスマートメータとして機能する。
情報収集装置30は、例えば、電柱等に設置され、各家庭70の情報取得装置20で取得された施設情報を収集する。そして、情報収集装置30は、伝送媒体としての光ファイバーLTを用いた光通信によって、各情報取得装置20から収集した施設情報をシステム管理センター5に伝送する。
システム管理センター5は、センターサーバ(不図示)を有して構成され、各施設7の施設情報を蓄積するとともに、各施設7を管理するための管理情報を各施設7の情報取得装置20に対して送信する。
このように、第1通信ネットワークNT1は、各施設7に設けられたスマートメータを含んだネットワークであり、「スマートメータネットワーク」とも称される。また、当該スマートメータネットワークでは、所定の暗号化処理によって暗号化された情報が伝送される。
第2通信ネットワークNT2は、インターネット6、および当該インターネット6に接続された施設内ルータ(単に「ルータ」とも称する)60を有している。このような構成を有する第2通信ネットワークNT2は、公開されている通信規約(オープンプロトコル)に準拠したデバイスを使って構築された開いたネットワーク(オープンネットワーク)である。
なお、第1通信ネットワークNT1は、システム管理センター5と各施設7との間で構築された閉じたネットワーク(クローズドネットワーク)である。このため、第2通信ネットワークNT2は、比較的セキュリティ性の低いネットワークであり、第1通信ネットワークNT1は、比較的セキュリティ性の高いネットワークであると言える。
表示端末10Aは、第1通信ネットワークNT1および第2通信ネットワークNT2に対して無線通信によって接続可能に構成され、各ネットワークから取得した情報を操作者(ユーザ)に提供する。
例えば、情報取得装置20によって取得された施設情報は、表示端末10Aを用いて視認することができる。具体的には、表示端末10Aは、無線通信によって情報取得装置20から施設情報を受信し、当該施設情報を表示端末10Aの表示部18に表示する。情報取得装置20が電力監視装置である場合は、表示端末10Aのユーザは、表示端末10Aによって家庭70の消費電力量を確認することができる。また、表示端末10Aのユーザは、表示端末10Aを用いてシステム管理センター5から管理情報等の様々な情報を取得することもできる。
このように、表示端末10Aは、第1通信ネットワークNT1および第2通信ネットワークNT2に接続可能に構成され、各ネットワークから様々な情報を取得する。
なお、表示端末10Aは、第1通信ネットワークNT1に接続するときは、情報取得装置20と無線通信を行い、第2通信ネットワークNT2に接続するときは、ルータ60と無線通信を行う。すなわち、通信システム1Aでは、情報取得装置20は、第1通信ネットワークNT1に接続するときの中継地点(「アクセスポイント」とも称する)として用いられ、ルータ60は、第2通信ネットワークNT2に接続するときの中継地点として用いられる。
[1−2.機能ブロック]
次に、通信システム1Aを構成する情報取得装置20および表示端末10Aの機能についてこの順序で説明する。図2は、情報取得装置20の機能構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、情報取得装置20は、アンテナ素子AN21に接続された第1無線通信部201と、アンテナ素子AN22に接続された第2無線通信部202と、電力測定部203と、記憶部204と、制御部205とを備えている。
第1無線通信部201は、アンテナ素子AN21との協働により、情報収集装置30との間で無線通信を行うための第1無線通信手段として機能する。具体的には、第1無線通信部201は、情報収集装置30から送信されたデータをアンテナ素子AN21を介して受信し、受信データを制御部205に出力する。また、第1無線通信部201は、制御部205から入力される送信データを含む信号(送信信号)をアンテナ素子AN21を介して情報収集装置30に無線送信する。
第2無線通信部202は、アンテナ素子AN22との協働により、表示端末10Aとの間で無線通信を行うための第2無線通信手段として機能する。すなわち、第2無線通信部202は、表示端末10Aから送信されたデータをアンテナ素子AN22を介して受信し、受信データを制御部205に出力するとともに、制御部205から入力される送信データを含む信号をアンテナ素子AN22を介して表示端末10Aに無線送信する。
電力測定部203は、消費電力を測定する計器を含み、測定された消費電力を積算して得られる電力量(消費電力量)を制御部205に出力する。
記憶部204は、例えば書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)、ハードディスク装置等の各種記憶装置の1つまたは複数で構成されている。記憶部204には、各種の情報およびデータ等が格納可能であり、例えば、制御部205によって実行されるプログラム、および電力測定部203から入力された消費電力量が格納される。
制御部205は、第1無線通信部201と、第2無線通信部202と、電力測定部203と、記憶部204とに電気的に接続され、情報取得装置20の全体動作を制御する。
ここでは、制御部205による各種処理がソフトウェアによって実現される場合を例示する。この場合、制御部205は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成される。そして、当該マイクロコンピュータが、記憶部204に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、各種機能を実現する。
具体的には、図2に示されるように、制御部205は、上記プログラムの実行によって、データ解析部211、通信状態特定部212、データ生成部213、ビーコン生成部214、および通信制御部215を機能的に実現する。
データ解析部211は、第1無線通信部201および第2無線通信部202から入力された受信データの解析を行う。例えば、システム管理センター5から表示端末10A向けのデータ(「表示端末向けデータ」または「表示端末宛データ」とも称する)が送信され、当該表示端末向けデータが第1無線通信部201から入力された場合、データ解析部211は、入力された受信データを表示端末向けデータであると認識する。
通信状態特定部212は、後述の通信制御部215から取得される情報を用いて、情報取得装置20が表示端末10Aと通信中であるか否かを特定する。
データ生成部213は、上記各無線通信手段を用いて外部に無線送信するパケット形式の送信データを生成する。
ビーコン生成部214は、第2無線通信手段を用いた表示端末10Aとの無線通信が行われていない場合、所定周期のパルス信号であるビーコン信号(単に「ビーコン」とも称する)を生成し、第2無線通信部202に出力する。ビーコン信号には、情報取得装置20が表示端末向けデータを保持していることを示す、換言すれば表示端末向けデータの存在を示す報知情報を含めることができる。
通信制御部215は、第1無線通信手段または第2無線通信手段を用いた無線通信の動作制御を行う。
なお、制御部205によって実現される上記各機能部の一部または全部は、ハードウェアによって実現することもできる。
このように、情報取得装置20は、情報収集装置30および表示端末10Aと無線通信を行う機能を有するとともに、表示端末10Aとの無線通信が行われていない場合、ビーコン信号を出力する。
次に、表示端末10Aの機能構成について説明する。図3は、表示端末10Aの機能構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、表示端末10Aは、アンテナ素子AN11に接続された無線通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備えている。
無線通信部101は、アンテナ素子AN11との協働により、情報取得装置20またはルータ60との間で無線通信を行うための無線通信手段として機能する。具体的には、無線通信部101は、アンテナ素子AN11で受信される信号からデータ(受信データ)を取得し、制御部103に出力する。また、無線通信部101は、制御部103から入力される送信データを含む送信信号をアンテナ素子AN11を介して無線送信する。
また、無線通信部101は、情報取得装置20から送信されるビーコン信号を受信(取得)するビーコン取得手段としての機能も有している。取得されたビーコン信号は、制御部103に出力される。
記憶部102は、書き換え可能な不揮発性メモリ(例えばEPROM(Erasable Programmable ROM))、ハードディスク装置等の各種記憶装置の1つまたは複数で構成されている。記憶部102には、各種の情報およびデータ等が格納される。
制御部103は、無線通信部101と記憶部102とに電気的に接続され、表示端末10Aの全体動作を制御する。
ここでは、制御部103による各種処理がソフトウェアによって実現される場合を例示する。この場合、制御部103は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成される。そして、当該マイクロコンピュータが、記憶部102に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、各種機能を実現する。
具体的には、図3に示されるように、制御部103は、上記プログラムの実行によって、通信先特定部111、ビーコン解析部112、データ生成部113、および通信制御部114を機能的に実現する。
通信先特定部111は、後述の通信制御部114から取得される情報を用いて、表示端末10Aの通信先を特定する。通信システム1Aでは、表示端末10Aの通信先として選択可能なアクセスポイントは、情報取得装置20およびルータ60であるから、通信先特定部111では、情報取得装置20およびルータ60のうち、どちらのアクセスポイントと無線通信が行われているかが特定されることになる。
ビーコン解析部112は、無線通信部101から入力されたビーコン信号の解析を行う。具体的には、ビーコン解析部112は、無線通信部101からビーコン信号が入力された場合、当該ビーコン信号を解析し、ビーコン信号に表示端末向けデータの存在を示す報知情報が含まれているか否かを判定する。
データ生成部113は、無線通信部101を含む無線通信手段を用いて外部に無線送信するパケット形式の送信データを生成する。
通信制御部114は、無線通信部101を含む無線通信手段を用いた無線通信の動作制御を行う。例えば、通信制御部114は、無線通信手段を用いて情報取得装置20と無線通信を行うか、或いは無線通信手段を用いてルータ60と無線通信を行うかの無線通信の通信先を制御する。
また、通信制御部114は、無線通信の通信先としてルータ60が選択されている場合、情報取得装置20によって所定周期ごとに送信されるビーコン信号を当該所定周期に応じて定期的に受信するように、ビーコン信号の受信処理を制御する。なお、ビーコン信号は、アクセスポイントから端末へと無線通信における制御情報を伝える制御信号であり、端末が他のアクセスポイントと通信中であっても受信可能な信号である。すなわち、表示端末10Aは、ルータ60との通信中においても他のアクセスポイントとしての情報取得装置20からビーコン信号を受信できる。
なお、制御部103によって実現される上記各機能部の一部または全部は、ハードウェアによって実現することもできる。
このように、表示端末10Aは、アクセスポイントとしての情報取得装置20およびルータ60のうち、いずれか一方と無線通信を行い、第1通信ネットワークNT1および第2通信ネットワークNT2から各種情報を取得する。
[1−3.通信システム1Aの動作]
上述のように、通信システム1Aでは、表示端末10Aは、第1通信ネットワークNT1および第2通信ネットワークNT2のうち、いずれか一方と接続可能となっている。このため、表示端末10Aが第2通信ネットワークNT2に接続されている場合、システム管理センター5から表示端末向けデータが送信されたとき、表示端末10Aは、第2通信ネットワークNT2から第1通信ネットワークNT1へと接続先を切り替えて、表示端末向けデータを取得する。
通信システム1Aにおけるネットワークの切替動作は、情報取得装置20で実行される表示端末向けデータの監視動作と、表示端末10Aで実行される通信先の切替動作とに分けることができる。
以下では、表示端末向けデータの監視動作および通信先の切替動作についてこの順序で説明する。図4は、情報取得装置20で実行される表示端末向けデータの監視動作を示すフローチャートである。
図4に示されるように、情報取得装置20では、まず、ステップSP11において、第1通信ネットワークNT1を介して送信されてきたデータの受信処理が行われる。受信されたデータ(受信データ)は、一旦記憶部102に格納される。
ステップSP12では、受信データの中に表示端末向けデータが存在するか否かが判定される。表示端末向けデータが存在するか否かは、データ解析部211によって、受信データを解析し、当該受信データの中に表示端末向けデータが存在するかを特定することによって実現される。
表示端末向けデータが存在しなかった場合は、動作工程は、ステップSP11に移行され、ステップSP11およびステップSP12の各工程が繰り返し実行される。一方、表示端末向けデータが存在した場合は、動作工程は、ステップSP13に移行される。
ステップSP13では、通信状態特定部212によって、自機器である情報取得装置20が表示端末10Aと通信中であるか否かが特定される。
当該ステップSP13において表示端末10Aと通信中であると特定された場合、動作工程は、ステップSP14に移行される。ステップSP14では、データ生成部213によって、表示端末向けデータを外部に無線送信するためのデータ生成が行われる。そして、次のステップSP15では、生成されたデータが表示端末10Aに無線送信される。
一方、ステップSP13において表示端末10Aと通信中でないと特定された場合、動作工程は、ステップSP16に移行される。
ステップSP16では、ビーコン生成部214によって、表示端末向けデータの存在を示す報知情報を含んだビーコン信号が生成される。報知情報は、例えば、ビーコン信号を構成するトラフィック表示マップ(TIM:Traffic Indication Message)に含めることができる。
次のステップSP17では、生成されたビーコン信号が、第2無線通信手段を介して表示端末10Aに無線送信される。
ステップSP15およびステップSP17が終了すると、動作工程はステップSP11に移行され、ステップSP11〜ステップSP17の表示端末向けデータの監視動作が継続して行われることになる。
次に、表示端末10Aにおいて実行される通信先の切替動作について説明する。図5は、表示端末10Aで実行される通信先の切替動作を示すフローチャートである。
図5に示されるように、通信先の切替動作では、まず、ステップSP21において、第1通信ネットワークNT1に接続されているか否かが判定される。第1通信ネットワークNT1に接続されているか否かの判定は、通信先特定部111による通信先の特定結果に基づいて行われる。すなわち、通信先特定部111によって、表示端末10Aの通信先が情報取得装置20であると特定された場合は、表示端末10Aは、第1通信ネットワークNT1に接続されていると判定されることになる。一方、表示端末10Aの通信先が情報取得装置20でないと特定された場合は、表示端末10Aは、第1通信ネットワークNT1に接続されていないと判定されることになる。なお、表示端末10Aの通信先が情報取得装置20でない場合には、通信先がルータ60である場合と、無線通信が行われていない場合とが想定されるが、ここでは、通信先がルータ60である場合について例示する。
ステップSP21において、第1通信ネットワークNT1に接続されていると判定された場合は、動作工程はステップSP21に戻り、通信先の切替は実行されないことになる。
一方、ステップSP21において、第1通信ネットワークNT1に接続されていないと判定された場合は、動作工程は、ステップSP22に移行される。
ステップSP22では、通信制御部114の制御下で無線通信部101によって、ビーコン信号の受信処理が行われる。
ステップSP23では、ビーコン解析部112によって、ビーコン信号の解析が行われ、ビーコン信号に報知情報が含まれるか否かの判定結果に基づいて、情報取得装置20が表示端末向けデータを保持しているか否かが特定される。
当該ステップSP23において、情報取得装置20が表示端末向けデータを保持していないと特定された場合、動作工程は、ステップSP21に移行され、ステップSP21〜ステップSP23の動作が繰り返し実行される。ビーコン信号は、情報取得装置20によって所定周期ごとに送信される信号であることから、第1通信ネットワークNT1に接続していない表示端末10Aは、ビーコン信号を定期的に受信して、表示端末向けデータの有無を監視することになる。
一方、ステップSP23において、情報取得装置20が表示端末向けデータを保持していると特定された場合は、動作工程は、ステップSP24に移行される。
ステップSP24では、表示端末10Aを第1通信ネットワークNT1に接続する処理が行われる。第1通信ネットワークNT1への接続は、通信制御部114によって、無線通信の通信先を情報取得装置20に設定することによって実現される。すなわち、表示端末10Aの通信先が、ルータ60から情報取得装置20へと切り替えられることになる。
そして、ステップSP25では、表示端末10Aは、情報取得装置20から表示端末向けデータを取得する。なお、第1通信ネットワークNT1を介して伝送される表示端末向けデータは、暗号化されたデータであり、表示端末10Aは、暗号化されたデータを復号化する復号化機能を有している。
このように、表示端末10Aにおける通信先の切替動作は、情報取得装置20から所定周期で送信されてくるビーコン信号を監視することによって実現される。通信先が実際に切り替えられると、表示端末10Aにおけるネットワークの接続先が切り替えられることになる。なお、上記では、現行の通信先がルータ60である場合の動作について説明したが、いずれのアクセスポイントとも無線通信が行われていない場合についても、ビーコン信号を定期的に受信して、表示端末向けデータの有無を監視する同様の動作工程を経て、表示端末10Aは表示端末向けデータを取得することができる。
以上のように、通信システム1Aでは、情報取得装置20は、表示端末向けデータを受信した場合、ビーコン信号のTIMを用いて表示端末向けデータの存在を示す報知情報を表示端末10Aに通知する。一方、端末装置10Aは、無線通信の通信先としてルータ60が選択されているときに、情報取得装置20から送信されるビーコンを定期的に取得し、当該ビーコンにセンターサーバからの表示端末向けデータの存在を示す報知情報が含まれるか否かを特定する。そして、ビーコンに報知情報が含まれていた場合、端末装置10Aは、無線通信の通信先をルータ60から情報取得装置20へと切り替え、表示端末向けデータを取得する。
このような通信システム1Aによれば、表示端末10Aに無線通信部を追加することなく、2つのアクセスポイントに対して効率良く無線通信を行い、表示端末向けデータを取得することが可能になる。
また、システム管理センター5からの情報が、比較的セキュリティ性の高い第1通信ネットワークNT1を介して表示端末10Aへと伝送されるので、通信システム1Aでは、システム管理センター5から伝送される情報の秘匿性を高めることができる。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る通信システム1Bでは、管理センターに含まれるセンターサーバとインターネットとが接続され、インターネットを経由して、管理センターから表示端末向けデータの存在を示す報知情報が通知される。このように、通信システム1Bは、構成要素の接続形態および報知情報の通知手法が異なる点以外は、第1実施形態に係る通信システム1Aとほぼ同様の構造および機能を有しているため、通信システム1Bにおいて、通信システム1Aと共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。
[2−1.概要および構成]
図6は、第2実施形態に係る通信システム1Bの構成を示す図である。
図6に示されるように、本実施形態の通信システム1Bでは、システム管理センター5に含まれるセンターサーバ50とインターネット6とが接続されている。また、インターネット6には、管理サーバ65が接続されている。管理サーバ65では、第2通信ネットワークNT2上の表示端末10BのIPアドレスが、表示端末10Bを使用するユーザごとに割り当てられた識別情報(ここでは、お客様番号)と対応付けて管理されている。
このような構成を有する通信システム1Bでは、表示端末向けデータの存在を示す報知情報が、システム管理センター5からインターネット6を経由した経路KR1で、表示端末10Bに通知される。
以下では、通信システム1Bを構成するセンターサーバ50および表示端末10Aについて詳述する。図7は、第2実施形態に係るセンターサーバ50の機能構成を示すブロック図である。
図7に示されるように、センターサーバ50は、第1通信部501と、第2通信部502と、記憶部503と、制御部504とを備えている。
第1通信部501は、光ファイバーLTを介した光通信を行うためのインターフェース(I/F)を含み、情報収集装置30とセンターサーバ50との通信を実現する。具体的には、第1通信部501は、情報収集装置30から送信されたデータを受信し、受信データを制御部504に出力する。また、第1通信部504は、制御部504から入力された送信データを情報収集装置30に送信する。
第2通信部502は、インターネット6と接続するためのインターフェース(I/F)を含み、センターサーバ50とインターネット6との通信を実現する。
記憶部503は、例えば書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)、ハードディスク装置等の各種記憶装置の1つまたは複数で構成されている。記憶部503は、表示端末10Bを利用するユーザのお客様番号等の顧客情報、および制御部504で実行されるプログラムを格納する。
制御部504は、第1通信部501と、第2通信部502と、記憶部503とに電気的に接続され、センターサーバ50の全体動作を制御する。
ここでは、制御部504による各種処理がソフトウェアによって実現される場合を例示する。この場合、制御部504は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成される。そして、当該マイクロコンピュータが、記憶部503に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、各種機能を実現する。
具体的には、図7に示されるように、制御部504は、上記プログラムの実行によって、データ生成部511、IPアドレス取得部512、報知情報生成部513、および通信制御部514を機能的に実現する。
データ生成部511は、各家庭70の表示端末10Bへ送信する管理情報および施設情報に関する送信データ(表示端末向けデータ)の生成を行う。
IPアドレス取得部512は、データ生成部511で表示端末データが生成されると、当該表示端末データの送信先となる表示端末10BのIPアドレスを取得する。具体的には、IPアドレス取得部512は、表示端末10Bを利用するユーザのお客様番号を管理サーバ65に送信する。そして、管理サーバ65から返信されたIPアドレスをユーザが利用する表示端末10BのIPアドレスとして取得する。
報知情報生成部513は、IPアドレスが取得されると、当該IPアドレスを宛先とした、表示端末向けデータの存在を示す報知情報を生成する。
通信制御部514は、第1通信部501および第2通信部502を用いた通信の動作制御を行う。例えば、通信制御部514は、報知情報が生成された場合、当該報知情報を第2通信部502を用いて送信する。また、通信制御部514は、表示端末向けデータを第1通信部501を用いて送信する。
なお、制御部504によって実現される上記各機能部の一部または全部は、ハードウェアによって実現することもできる。
このように、センターサーバ50は、表示端末向けデータを生成するとともに、表示端末向けデータの送信先に関するIPアドレスを取得する。そして、センターサーバ50は、報知情報および表示端末向けデータを順次に送信する。
次に、表示端末10Bの機能構成について説明する。図8は、表示端末10Bの機能構成を示すブロック図である。
図8に示されるように、表示端末10Bは、表示端末10Aと同様、アンテナ素子AN11に接続された無線通信部101と、記憶部102と、制御部130とを備えている。そして、表示端末10Bの制御部130は、第1実施形態に係る表示端末10Aの各機能部と比較して、IPアドレス登録制御部133をさらに有している。
具体的には、無線通信部101は、アンテナ素子AN11との協働により、情報取得装置20またはルータ60との間で無線通信を行うための無線通信手段として機能する。
記憶部102は、書き換え可能な不揮発性メモリ(例えばEPROM(Erasable Programmable ROM))、ハードディスク装置等の各種記憶装置の1つまたは複数で構成されている。記憶部102には、各種の情報およびデータ等が格納される。
制御部130は、無線通信部101と記憶部102とに電気的に接続され、表示端末10Bの全体動作を制御する。
ここでは、制御部130による各種処理がソフトウェアによって実現される場合を例示する。この場合、制御部130は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成される。そして、当該マイクロコンピュータが、記憶部102に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、各種機能を実現する。
具体的には、図8に示されるように、制御部130は、上記プログラムの実行によって、通信先特定部131、データ生成部132、IPアドレス登録制御部133、データ解析部134、および通信制御部135を機能的に実現する。
通信先特定部131は、後述の通信制御部135から取得される情報を用いて、表示端末10Bの通信先を特定する。通信システム1Bでは、通信システム1Aと同様、表示端末10Bの通信先として選択可能なアクセスポイントは、情報取得装置20およびルータ60であるから、通信先特定部131は、情報取得装置20およびルータ60のうち、どちらのアクセスポイントと無線通信が行われているかを特定することになる。
データ生成部132は、無線通信部101を含む無線通信手段を用いて外部に無線送信するパケット形式の送信データを生成する。
IPアドレス登録制御部133は、表示端末10Bの通信先がルータ60である場合、インターネット6における表示端末10BのIPアドレスを管理サーバ65に登録する。具体的には、IPアドレス登録制御部133は、表示端末10Bとルータ60との通信が開始された場合、データ生成部132との協働により、管理サーバ65向けの登録データを生成する。当該登録データを構成するIPパケット内のデータには、表示端末10Bを利用するユーザのお客様番号が含まれている。そして、IPアドレス登録制御部133は、無線通信部101を含む無線通信手段を用いて当該登録データをルータ60に送信する。
なお、インターネット6を介して登録データを受信した管理サーバ65は、当該登録データに基づいて、表示端末10Bを利用するユーザと、当該表示端末10BのIPアドレスとの対応関係を登録する。より詳細には、管理サーバ65は、登録データを構成するIPパケット内のデータに含まれるお客様番号と、IPパケット内のIPヘッダに含まれる送信元IPアドレスとを抽出して、これらを対応付けて(関連付けて)登録する。管理サーバ65としては、例えば、DDNS(Dynamic Domain Name System)サーバを用いることができる。
図8の説明に戻って、データ解析部134は、無線通信部101から入力された信号の解析を行う。具体的には、データ解析部134は、無線通信部101から入力される信号を解析し、当該信号に表示端末向けデータの存在を示す報知情報が含まれているか否かを特定する。
通信制御部135は、無線通信部101を含む無線通信手段を用いた無線通信の動作制御を行う。例えば、通信制御部135は、無線通信手段を用いて情報取得装置20と無線通信を行うか、或いは無線通信手段を用いてルータ60と無線通信を行うかの無線通信の通信先を制御する。
なお、制御部130によって実現される上記各機能部の一部または全部は、ハードウェアによって実現することもできる。
このように、表示端末10Bは、アクセスポイントとしてのルータ60と通信を行う際に、インターネット6における表示端末10BのIPアドレスを管理サーバ65に登録する。
[2−2.通信システム1Bの動作]
次に、通信システム1Bの動作について説明する。通信システム1Bでは、表示端末10Bが第2通信ネットワークNT2に接続されている場合、システム管理センター5から表示端末向けデータが送信されたとき、表示端末10Bは、第2通信ネットワークNT2から第1通信ネットワークNT1へと接続先を切り替えて、表示端末向けデータを取得する。
通信システム1Bにおけるネットワークの切替動作は、センターサーバ50で実行される表示端末向けデータの送信動作と、表示端末10Bで実行される通信先の切替動作とに分けることができる。
以下では、表示端末向けデータの送信動作および通信先の切替動作についてこの順序で説明する。図9は、センターサーバ50で実行される表示端末向けデータの送信動作を示すフローチャートである。
図9に示されるように、センターサーバ50のデータ生成部511によって、表示端末向けデータが生成されると、動作工程は、ステップSP51からステップSP52に移行される。
ステップSP52では、IPアドレス取得部512によって、表示端末向けデータの送信先となる表示端末10BのIPアドレスが取得される。当該IPアドレスは、表示端末向けデータの送信先となる表示端末10Bを使用するユーザの情報(ここでは、お客様番号)を管理サーバ65に送信して問い合わせることによって取得される。
ステップSP53では、ステップSP52で取得されたIPアドレスを宛先とした報知情報が報知情報生成部513によって生成される。そして、通信制御部514の通信制御によって、当該報知情報が第2通信部502を用いて送信される。
次のステップSP54では、通信制御部514の通信制御によって、表示端末向けデータが第1通信部501を用いて送信される。
このように、センターサーバ50は、取得したIPアドレスを宛先とした報知情報を第2通信ネットワークNT2を介して表示端末10Bに送信するとともに、報知情報送信後に、表示端末向けデータを第1通信ネットワークNT1を介して表示端末10Bに送信する。
次に、表示端末10Bにおいて実行される通信先の切替動作について説明する。図10は、表示端末10Bで実行される通信先の切替動作を示すフローチャートである。
図10に示されるように、通信先の切替動作では、まず、ステップSP61において、第2通信ネットワークNT2に接続されたか否かが判定される。第2通信ネットワークNT2に接続されたか否かの判定は、通信先特定部131による通信先の特定結果に基づいて行われる。すなわち、通信先特定部131によって、表示端末10Bの通信先がルータ60であると特定された場合は、表示端末10Bは、第2通信ネットワークNT2に接続されたと判定されることになる。一方、表示端末10Bの通信先が情報取得装置20であると特定された場合は、表示端末10Bは、第1通信ネットワークNT1に接続された、すなわち第2通信ネットワークNT2に接続されていないと判定されることになる。
ステップSP61において、第2通信ネットワークNT2に接続されていないと判定された場合は、動作工程はステップSP61に戻り、通信先の切替は実行されないことになる。
一方、ステップSP61において、第2通信ネットワークNT2に接続されたと判定された場合は、動作工程は、ステップSP62に移行される。
ステップSP62では、IPアドレス登録制御部133によって、インターネット上の表示端末10BのIPアドレスが管理サーバ65に登録される。上述のように、IPアドレスの登録は、登録データを表示端末10Bから管理サーバ65に送信することによって、実現される。このようなIPアドレスの登録は、図9におけるステップSP52のIPアドレスの問い合わせ工程よりも前に実行される工程となる。
なお、管理サーバ65に登録されるIPアドレスは、グローバルIPアドレスである。具体的には、表示端末10BにプライベートIPアドレスが設定されていた場合は、ルータ60のアドレス変換機能によって、登録データにおける、IPパケット内の送信元IPアドレスは、プライベートIPアドレスからグローバルIPアドレスに書き換えられる。これにより、管理サーバ65には、書き換えられたグローバルIPアドレスが伝送されることになり、管理サーバ65は、当該グローバルIPアドレスとお客様番号とを関連付けて登録する。一方、表示端末10BにグローバルIPアドレスが設定されていた場合は、当該グローバルIPアドレスがお客様番号と関連付けられて、管理サーバ65に登録されることになる。
ステップSP63では、データ解析部134によって、無線通信部101から入力された信号に、表示端末向けデータの存在を示す報知情報が含まれているか否かが特定される。報知情報が受信されない場合は、表示端末10Bと第2通信ネットワークNT2との接続が引き続き継続される。
一方、当該ステップSP63において、報知情報が受信されたと特定された場合、動作工程は、ステップSP64に移行される。
ステップSP64では、表示端末10Bの接続先を第2通信ネットワークNT2から第1通信ネットワークNT1へと切り替える接続切替処理が行われる。当該接続切替は、通信制御部135によって、無線通信の通信先を情報取得装置20に設定することによって実現される。すなわち、表示端末10Bの通信先が、ルータ60から情報取得装置20へと切り替えられることになる。
そして、ステップSP65では、表示端末10Bは、センターサーバ50から第1通信ネットワークNT1を介して伝送されてきた表示端末向けデータを情報取得装置20から受信(取得)する。
このように、表示端末10Bにおける通信先の切替動作は、第2通信ネットワークNT2を介して伝送されてくる報知情報の有無に応じて実行される。通信先が実際に切り替えられると、表示端末10Bにおけるネットワークの接続先が切り替えられることになる。
以上のように、通信システム1Bは、第1通信ネットワークNT1および第2通信ネットワークNT2に接続されたセンターサーバ50と、第1通信ネットワークNT1に接続された情報取得装置20、または第2通信ネットワークNT2に接続されたルータ60と無線通信を行う端末装置10Bと、第2通信ネットワークNT2に接続され、第2通信ネットワークNT2における端末装置10BのIPアドレスと、当該端末装置10Bを使用するユーザごとに割り当てられた識別情報との対応関係を管理する管理サーバ65とを備えている。
そして、センターサーバ50は、記憶部503に記憶された識別情報を用いて当該識別情報に対応するIPアドレスを管理サーバ65から取得する。また、センターサーバ50は、取得されたIPアドレスを宛先として、第2通信ネットワークNT2を介して表示端末向けデータの存在を示す報知情報を送信するとともに、表示端末向けデータを第1通信ネットワークNT1を介して送信する。端末装置10Bは、無線通信の通信先としてルータ60が選択されているときに報知情報を受信した場合、無線通信の通信先をルータ60から情報取得装置20へと切り替え、表示端末向けデータを取得する。
このような通信システム1Bによれば、表示端末10Bに無線通信部を追加することなく、2つのアクセスポイントに対して効率良く無線通信を行い、表示端末向けデータを取得することが可能になる。
<3.変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記に説明した内容に限定されるものではない。
例えば、上記各実施形態では、第2通信ネットワークNT2は、インターネット6を有したネットワークである場合を例示していたが、これに限定されず、インターネットプロトコル技術を利用して相互接続された独自のIPネットワークであってもよい。
また、上記第2実施形態の管理サーバ65では、表示端末10BのIPアドレスを、表示端末10Bを使用するユーザのお客様番号を用いて管理していたが、これに限定されず、お客様番号以外の顧客識別情報を用いて管理してもよい。
また、上記第2実施形態では、管理サーバ65において、表示端末10Bを利用するユーザと、当該表示端末10BのIPアドレスとの対応情報(関連情報)を管理していたが、これに限定されない。
具体的には、関連情報の管理機能をセンターサーバ50に持たせてもよい。管理機能をセンターサーバ50に持たせた場合、表示端末10Bからの登録データは、第2通信ネットワークNT2を介してセンターサーバ50に伝送されることになる。そして、センターサーバ50では、記憶部503に関連情報が格納される。センターサーバ50のIPアドレス取得部512は、記憶部503に格納された関連情報を用いて、表示端末データの送信先となる表示端末10BのIPアドレスを取得する。
また、上記第2実施形態における管理サーバ65は、表示端末10Bから送信される登録データを受信すること、およびセンターサーバ50からのIPアドレスの問い合わせを受けることが可能な場所であれば、通信システム1Bのどこに設けられていてもよい。例えば、管理サーバ65は、システム管理センター5内に設ける態様とすることができる。
また、上記各実施形態では、表示端末10A,10Bが報知情報の受信に応じて、ネットワークの接続先を切り替えていたが、これに限定されない。
具体的には、表示端末10A,10Bがデータを送信する場合において、当該送信データのデータ量および/または秘匿性に応じて、表示端末10A,10Bがネットワークの接続先を自発的に切り替えてもよい。例えば、送信データのデータ量が多い場合は、比較的高速通信可能な第2通信ネットワークNT2に接続して、送信データを伝送するようにしてもよい。また、送信データの秘匿性が要求される場合は、比較的セキュリティ性の高い第1通信ネットワークNT1に接続して、送信データを伝送するようにしてもよい。