JP2014073975A - 環構造を含有する化合物および該化合物を用いたドラッグデリバリーシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】DDS(ドラッグデリバリーシステム)の改良に資する新規な化学構造の提供。
【解決手段】下記式(I)で表される化合物、および該化合物に由来するリンカー部を介して結合されたDDSキャリア素材または抗体と薬物とを含む修飾薬物。

(I)中、R、R、RおよびRの基はそれぞれ独立して、芳香環もしくはシクロアルキル環を含有するアルキル基等、ただし、少なくとも1つの基は芳香環もしくはシクロアルキル環を含有する有機基であり、XおよびXの基は水酸基、アミノ基またはカルボキシル基等、Lは、−(CHp1−または−(CHp2−M−(CHp3−(ここで、Mは、−NH−または−C(R)H−であり、Rは、水素または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基であり、p1〜p3はそれぞれ独立して0〜2の整数である)である。
【選択図】なし

Description

本発明は、環構造を含有する化合物および該化合物を用いたドラッグデリバリーシステムに関する。
ボルテゾミブ等のボロン酸基含有薬物を含む種々の薬物が、強力な抗がん剤として知られている。しかしながら、このような薬物には強い副作用がある場合がある。そのため、薬物の副作用を低減する一方で薬効を高める観点から、従来、種々のドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発が進められてきた。例えば、ボルテゾミブ等のボロン酸基含有薬物を生理的条件下で十分に安定して保持し得る技術が求められており、ボロン酸基含有薬物に関する従来技術としては次のような文献がある。
国際公開第96/13266号パンフレット 米国特許第5780454号 国際公開第2010/019718号パンフレット
本発明の主目的は、DDSの改良に資する新規な化学構造を提供することにある。
本発明者は、特定の化学構造を有する化合物、より具体的には、特定の位置に環構造を含有する化合物と薬物とを結合させると、薬物の生理的条件下での安定保持性が大幅に向上することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、該環構造を含有する化合物、該化合物と薬物とが結合されてなるプロドラッグおよび該化合物に由来するリンカー部を介して結合されたDDSキャリア素材または抗体と薬物とを含む修飾薬物を提供する。
本発明によれば、DDSの改良に資する新規な化学構造が提供される。当該新規な化学構造によれば、薬物の生理的条件下での安定性を向上でき、ボルテゾミブに代表されるボロン酸基含有薬物への適用にも有用である。
[A.環構造を含有する化合物]
本発明の環構造を含有する化合物は、下記式(I)で表される。
式(I)中、R、R、RおよびRの基はそれぞれ独立して、芳香環もしくはシクロアルキル環を含有する有機基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状アルキル基または水素であり、ただし、少なくとも1つの基は芳香環もしくはシクロアルキル環を含有する有機基であり、
およびXの基はそれぞれ独立して、水酸基、アミノ基またはカルボキシル基であり、
Lは、−(CHp1−または−(CHp2−M−(CHp3−(ここで、Mは、−NH−または−C(R)H−であり、Rは、水素または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基であり、p1〜p3はそれぞれ独立して0〜2の整数である)である。
上記式(I)の化合物を用いてDDSキャリア素材または抗体と薬物とを結合させる場合には、該化合物は、XおよびXの基の他に官能基をさらに含有することが好ましい。具体的には、Lが−(CHp2−NH−(CHp3−であるか、または、R〜Rの基の少なくとも1つが、保護されていてもよい官能基を含有することが好ましい。
上記式(I)の化合物によれば、Xおよび/またはXの基と薬物が含有する官能基(例えば、ボロン酸基含有薬物の水酸基)とを反応させることにより、式(1)の化合物と薬物とが結合されてなるプロドラッグが得られ得る。また、LまたはR、R、RおよびRの基の少なくとも1つの基がさらに官能基を含む場合、該官能基とDDSキャリア素材または抗体とが含有する官能基とを反応させることにより、該化合物に由来するリンカー部を介して結合されたDDSキャリア素材または抗体と薬物とを含む修飾薬物が得られ得る。
上記有機基に含有される芳香環またはシクロアルキル環は、好ましくは直接または1〜4個の原子を介して、より好ましくは直接または1〜2個の原子を介して、さらに好ましくは直接または1個の原子を介して、該有機基が結合する炭素原子と結合している。芳香環またはシクロアルキル環のような嵩高い環構造がこのような位置関係で含有されることによってXおよび/またはXの基と薬物との結合の近傍に立体障害が生じ、該結合の切断に帰結する水分子の該結合への接近が阻害されるので、該結合の安定性が向上し得る。
上記芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。好ましくはベンゼン環である。また、上記シクロアルキル環としては、単環式であってもよく、多環式であってもよい。例えば、3〜10員環のシクロアルキル環が挙げられ、好ましくはシクロペンチル環またはシクロへキシル環である。
上記有機基としては、芳香環またはシクロアルキル環を含む限りにおいて制限は無く、1つまたは複数の芳香環またはシクロアルキル環を含んでもよい(複数の、例えば、2、3個の芳香環またはシクロアルキル環が連結していてもよい)。芳香環を含有する有機基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、ナフチルブチル基、アントラセニル基、アントラセニルメチル基、アントラセニルエチル基、アントラセニルプロピル基、アントラセニルブチル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、トリフェニルメチル基が挙げられる。好ましくは、フェニル基またはベンジル基である。また、シクロアルキル環を含有する有機基としては、例えば、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基および該シクロアルキル基で置換されたメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。好ましくは、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基である。
上記有機基は、任意の適切な基で置換されていてもよい。置換される部位に制限は無く、芳香環またはシクロアルキル環上の水素が置換されてもよく、その他の部位で置換されてもよい。置換基の具体例としては、アルキル基(より詳細には、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基)、ハロゲン、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミド基、シロキシ基、トリ(アルキル)シロキシ基およびシリルアミノ基が挙げられる。必要に応じて、さらに官能基が導入されていてもよい。導入される官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基またはシアノ基が好ましく挙げられる。官能基が導入された場合、該官能基は任意の適切な保護基で保護されていてもよい。
1つの好ましい実施形態においては、R、R、RおよびRの基のうちの1つのみが芳香環またはシクロアルキル環を含有する有機基である。
別の好ましい実施形態においては、R、R、RおよびRの基のうち2つ以上が芳香環またはシクロアルキル環を含有する有機基である。この場合、RおよびRのいずれか一方とRおよびRのいずれか一方とがともに芳香環を含有する有機基(例えば、フェニル基またはベンジル基)であり得る。
、R、RおよびRの基うち芳香環またはシクロアルキル環を含有しない基は、それぞれ独立して、1〜16個、例えば1〜12個、また例えば1〜8個、また例えば1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状アルキル基または水素であってよい。薬物との結合安定性を向上させる観点からは、1個以上の炭素原子を有する直鎖状アルキル基または3個以上の炭素原子を有する分岐状アルキル基であることが好ましい。該直鎖状または分岐状アルキル基は、必要に応じて、任意の適切な置換基で置換されていてもよい。該置換基の具体例は、上記芳香環またはシクロアルキル環を含有する有機基の置換に用いられる基と同様である。必要に応じて、さらに官能基が導入されていてもよい。導入される官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基またはシアノ基が好ましく挙げられる。官能基が導入された場合、該官能基は任意の適切な保護基で保護されていてもよい。
およびXの基は、それぞれ独立して水酸基、アミノ基またはカルボキシル基であり、これらは任意の適切な保護基で保護されていてもよい。保護されている場合、保護基を介してXおよびXの基が環を形成していてもよい。結合対象となる薬物がボロン酸基含有薬物である場合、XおよびXの基は、必要により脱保護された後、該ボロン酸基含有薬物由来のホウ素原子と結合してボロン酸エステル結合またはボロンアミド結合を形成する。ホウ素原子の空のp軌道には、窒素の価電子の方が酸素の価電子よりも入りやすいことから、ボロンアミド結合の方がボロン酸エステル結合よりも安定度が高く、ボロン酸基含有薬物の安定保持性の観点から有利であると考えられる。結合対象となる薬物がカルボニル基含有薬物である場合も同様である。また、結合対象がカルボキシル基含有薬物である場合には、XおよびXの基がそれぞれ1つずつの薬物とエステル結合またはアミド結合を介して結合し得る。あるいは、いずれか一方の基のみが薬物と結合し、他方の基は未反応のままであり得る。
Lは、−(CHp1−または−(CHp2−M−(CHp3−である。ここで、Mは、−NH−または−C(R)H−であり、Rは、水素または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基である。該アルキル基には、必要に応じて官能基が導入されていてもよい。導入される官能基としては、アミノ基、カルボキシル基および水酸基が好ましく挙げられる。官能基が導入された場合、該官能基は任意の適切な保護基で保護されていてもよい。p1〜p3は、好ましくはそれぞれ独立して0または1である。
水酸基の保護基としては、例えば、メチル基、トリフェニルメチル基、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、アリルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等が挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチル基、エチル基、2−プロペニル基、t−ブチル基、トリクロロエチル基、ベンジル基、フェナシル基、p−メトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、2−クロロトリチル基等が挙げられる。
アミノ基の保護基としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エトキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、ベンジルオキシメチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基等が挙げられる。
好ましい実施形態においては、本発明の化合物は下記式(II)または(III)で表される。
式(II)または(III)中、XおよびXは、式(I)で定義したとおりであり、RおよびR6’の基はそれぞれ独立して、官能基が導入されていてもよい1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状アルキル基または水素である。該官能基は、好ましくはアミノ基、カルボキシル基、水酸基またはシアノ基であり、必要に応じて、任意の適切な保護基で保護されていてもよい。RおよびR6’の基の導入箇所は、オルト、メタ、パラのいずれであってもよく、好ましくはパラ位である。
[B.環構造を含有する化合物と薬物とが結合されてなるプロドラッグ]
本発明はまた、上記式(I)の化合物と薬物とが結合されてなるプロドラッグを提供する。該プロドラッグにおいて、結合される薬物としては、Xおよび/またはXの基と結合を形成し得る任意の適切な薬物が用いられ得る。Xおよび/またはXの基と薬物との結合は、生体内において分解可能な結合であることが好ましい。該結合が生体内で経時的に分解されることにより、活性な薬物が徐放されるので、薬物の副作用を低減しつつ、長期にわたって高い薬効を得ることができる。
上記薬物としては、ボロン酸基含有薬物、カルボニル基含有薬物、カルボキシル基含有薬物、水酸基含有薬物、アミノ基含有薬物、チオール基含有薬物、リン酸基含有薬物、スルホン基含有薬物等が挙げられる。ボロン酸基含有薬物は、例えば、下記式(IV)で表される。
式(IV)中、Rは、水素原子、1〜16個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基、芳香族基であり、好ましくは水素原子、ベンジル基、フェニル基であり、より好ましくはベンジル基である。環Aは複素環である。複素環の具体例としては、ピリジル基、ピリミジル基、フラニル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、インドレニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンズイジダゾリル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、2−ピロリドニル基、ピロリニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、デカヒドロキノリニル基またはオクタヒドロイソキノリニル基、アゾシニル基、トリアジニル基、6H−1,2,5−チアジアジニル基、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル基、チオフェン(イル)基、チアントレニル基、フラニル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサンチイニル基、2H−ピロリル基、ピロール基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリニル基、キノリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノオキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フラザニル基、フェノオキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基またはオキサゾリジニル基が挙げられる。好ましくは、ピラジニル基である。上記式(IV)で表されるボロン酸基含有薬物において、特に好ましい薬物は、ボルテゾミブ(式(IV)におけるRがベンジル基、環Aがピラジニル基)である。
上記プロドラッグにおいて、上記式(I)の環構造を含有する化合物は、XおよびXの基の両方を介して1つの薬物と結合していてもよく、XおよびXのいずれか一方の基を介して1つの薬物と結合していてもよい(この場合、他方の基は未反応のままである)。また、XおよびXの基のそれぞれに薬物が1つずつ結合していてもよい。
上記プロドラッグは、そのままの状態で使用(投与)されてもよく、DDSキャリアに保持された状態で使用されてもよい。該DDSキャリアとしては、リン脂質(ポリエチレングリコールまたはその誘導体によって修飾されていてもよい)等によって形成されるリポソーム;両親媒性物質(例えば、親水性セグメントと疎水性セグメントとを有するブロック共重合体)等によって形成されるミセルおよびこれを含むエマルジョン;ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、アルギン酸等の天然高分子や、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の合成高分子から形成されるナノハイドロゲルカプセル;ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体等から形成されるナノスフェア等が挙げられる。
上記ブロック共重合体における親水性セグメントは、親水性ポリマー鎖で構成される。親水性ポリマーとしては、任意の適切な親水性ポリマーが採用され得る。当該親水性ポリマーの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミノ酸、ポリリンゴ酸またはこれらの誘導体が挙げられる。ポリサッカライドの具体例としては、デンプン、デキストラン、フルクタン、ガラクタン等が挙げられる。なかでも、ポリエチレングリコールが好ましい。末端に種々の官能基を有する末端反応性ポリエチレングリコールが市販され、また、種々の分子量のものが市販されているので、目的に応じた特性を有するものを容易に入手できるからである。
上記ブロック共重合体における疎水性セグメントは、疎水性ポリマー鎖で構成される。疎水性ポリマーとしては、任意の適切な疎水性ポリマーが採用され得る。当該疎水性ポリマーの具体例としては、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、あるいはそのエステルまたはアミド誘導体等のポリアミノ酸鎖が挙げられる。このようなエステルまたはアミド誘導体は、疎水性有機基を有する対応するヒドロキシ化合物またはアミノ化合物と、ポリグルタミン酸またはポリアスパラギン酸の反応性誘導体(例えば、エステル)とを反応させることにより形成できる。疎水性有機基の具体例としては、1〜6個の炭素原子を有するアルキルフェニル基、コレステロール、8〜18個の炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。誘導体の具体例としては、ポリ(β−アルキルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アリルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アラルキルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(γ−アルキルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(γ−アラルキルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(β−アルキルアスパルタミド−コ−アスパラギン酸)、ポリ(γ−アラルキルグルタミド−コ−グルタミン酸)、ポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)が挙げられる。
上記DDSキャリアにプロドラッグを保持させる方法としては、目的等に応じて、任意の適切な方法が用いられ得る。例えば、リモートローディング法を用いてリポソーム内にプロドラッグを内包させる場合、封入率を向上させる観点から、上記式(I)の化合物のR〜Rの少なくとも1つの基に、アミノ基、カルボキシル基等の極性基を導入しておいてもよい。
[C.環構造を含有する化合物に由来するリンカー部を介して結合されたDDSキャリア素材または抗体と薬物とを含む修飾薬物]
本発明は、さらに、上記式(I)の環構造を含有する化合物に由来するリンカー部を介して結合されたDDSキャリア素材または抗体と薬物とを含む修飾薬物を提供する。なお、DDSキャリア素材または抗体と式(I)の化合物とは、任意の適切なリンカーを介して結合していてもよい。該リンカーとしては、単に連結のみを目的とするものであってもよく、DDSキャリア素材または抗体から上記プロドラッグを容易に分離させる等の機能性を有するものであってもよい。
上記DDSキャリア素材としては、目的等に応じて、任意の適切な材料が用いられ得る。具体例としては、上記親水性セグメントと疎水性セグメントとを有するブロック共重合体等のミセル形成材料;リン脂質等のリポソーム形成材料;末端に種々の官能基を有するPEG誘導体;糖類(多糖類を含む);デキストラン、アルブミン、PEG、脂溶性低分子(オレイン酸等の高級脂肪酸を含む)等の可溶化剤;N−イソプロピルアクリルアミド、N−ジエチルアクリルアミド、メチルビニルエーテル、N−ビニルカプロラクタム、アクリルアミドおよびアクリル酸から選択される少なくとも1つをモノマー単位として含む温度応答性ポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N,N−メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびリン酸誘導体等から選択される少なくとも1つをモノマー単位として含むpH応答性ポリマー;等が挙げられる。また、抗体としては、免疫グロブリンに加えて、葉酸、ジペプチド等の低分子リガンドや、レクチン、ペプチドホルモン等の標的部位に親和性を有する物質を使用することができる。DDSキャリア素材として、PLA(Poly lactic acid)やPLGA(Copoly lactic acid/glycolic acid)といった生分解性ポリマー材料を使用することもできる。生分解性ポリマー材料は、PEGに代表される親水性ポリマーと結合させたブロック共重合体の状態で使用しても構わない。
例えば、上記ミセルまたはリポソーム形成材料を用いた修飾薬物によれば、薬物を内包したミセルまたはリポソームを形成し得るので、生体内での該薬物の安定性が向上され得、また、徐放化が可能となる。また例えば、抗体を用いた修飾薬物によれば、標的部位への効率的な送達が可能となる。また、PEG、デキストラン等の生体適合性の高い材料を用いた修飾薬物によれば、立体障害によるプロテアーゼの攻撃に対する安定化、尿中排泄の抑制、肝臓による取り込みの減少、抗原性の低下等が可能となる。また例えば、上記PEG誘導体を用いた修飾薬物によれば、薬物のオプソニン化を抑制し得るので、血中滞留時間の長期化が可能となる。
上記薬物としては、上記B項で記載される薬物と同様の薬物が用いられ得る。
本発明の修飾薬物の一例として、上記ブロック共重合体に薬物を結合させた実施形態を下記式(V)または(VI)に示す。なお、これらの式で表される修飾薬物の薬学的に許容可能な塩も本発明の範囲内に含まれるものとする。
式(V)または(VI)において、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状のC〜C12アルキル基である。置換基としては、アセタール化ホルミル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアシルアミド基、同一または異なるトリ(C〜Cアルキル)シロキシ基、シロキシ基、シリルアミノ基、マレイミド基、チオール基、水酸基および活性エステル基が挙げられる。このような置換基は、任意の適切な保護基で保護されていてもよい。Rは、水素原子、飽和または不飽和のC〜C30脂肪族カルボニル基、C〜C30アリールカルボニル基である。R10は、繰り返し単位毎にそれぞれ独立して、水酸基、アミノ基、アシルアミノ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル(例えば、ベンジルエステルまたはC〜Cアルキルエステル)である。R11は、水酸基、飽和または不飽和のC〜C30脂肪族オキシ基、C〜C30アリール−低級アルキルオキシ基である。LおよびLは、それぞれ独立して連結基である。mは5〜20,000の整数を表し、nは2〜5,000の整数を表し、xは0〜5,000の整数を表し(ただし、xはnより小さい)、yは0〜5の整数を表し、yは1〜5の整数を表す。Wは、上記式(I)の化合物に由来するリンカー部であって、Xおよび/またはXの基と薬物が含有する官能基とから形成される結合を含む。Qは、ボロン酸基含有薬物、カルボニル基含有薬物、カルボキシル基含有薬物、水酸基含有薬物、アミノ基含有薬物、チオール基含有薬物、リン酸基含有薬物およびスルホン基含有薬物から選ばれる薬物の残基である。*印は、単結合または2価の連結基を表す。
mは、好ましくは5〜20,000の整数、さらに好ましくは10〜5,000の整数、特に好ましくは40〜500の整数である。nは、好ましくは2〜5,000の整数、より好ましくは10〜100の整数、さらに好ましくは20〜80の整数、特に好ましくは30〜50の整数、最も好ましくは約40の整数である。したがって、本明細書においては、「ポリ(ポリマー)」という用語は、いわゆる「オリゴ(オリゴマー)」を包含する。また、これらの数値は、分子量分布の平均値(ピーク値)を意味する。
xは、ブロック共重合体の疎水性セグメント側鎖への薬物の導入割合を規定する。上記の通り、xは、好ましくは0〜5,000の整数(ただしnより小さい)である。xが0でない場合、それぞれの繰り返し単位の配列は、ランダムであってもよく、交互であってもよく、ブロックであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。n−xのnに対する割合(すなわち、薬物が疎水性セグメントの側鎖に導入される割合)は、R、R、RおよびRのうちの1つが芳香環またはシクロアルキル環を含有する有機基である場合は、例えば50%以上、また例えば60%以上、また例えば70%以上、また例えば90%以上であり、R、R、RおよびRのうちの2つ以上が該有機基である場合は50%未満、例えば、40%未満、また例えば30%未満であってもよい。
上記連結基LおよびLは、親水性セグメントと疎水性セグメントとを連結し得る限りにおいて、任意の適切な連結基が採用され得る。上記連結基Lの具体例としては、−(CH−NH−が挙げられる。ここで、bは1〜5の整数である。上記連結基Lの具体例としては、−(CH−CO−が挙げられる。ここで、cは1〜5の整数である。
Wは、例えば、下記化学構造(1)〜(26)で表され得る。Wは、繰り返し単位毎に独立して選択されてもよい。
化学構造(1)〜(26)中、R〜Rの基は、式(I)で定義したとおりであり、
1’の基は、Rの基において、*印の連結基に関与する原子を除いた残基であり、
は、−(CHp1−(ここで、p1は、式(I)で定義したとおりである)であり、
は、
(ここで、p2およびp3は、式(I)で定義したとおりであり、M’は、式(I)で定義したMから*印の連結基に関与する原子を除いた残基である)であり、
12およびR13の基は、それぞれ独立して水素または1〜6個の炭素原子を有する置換もしくは無置換のアルキル基である。
1つの好ましい実施形態において、Lは単結合(すなわち、p1が0)であり得る。また、別の好ましい実施形態において、L
であり得る。
12およびR13の基の置換基としては、例えば、ハロゲン、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミド基、シロキシ基、トリ(アルキル)シロキシ基およびシリルアミノ基が挙げられる。
なお、上記化学構造(1)〜(26)によれば、式(I)の化合物のXおよびXの基の両方を介して1つの薬物が結合した実施形態が表されるが、これらに加えて、XおよびXの基のいずれか一方のみを介して1つの薬物が結合した実施形態(この場合、他方の基は未反応のままである)、さらには、XおよびXの基のそれぞれに薬物が1つずつ結合した実施形態もまた本発明の範囲内である。
*印は、単結合または2価の連結基であり得る。該2価の連結基としては、アミド結合、エステル結合、エーテル結合等を含んでいても良い炭素数0〜5の2価の連結基が挙げられる。より具体的には、−(CH−、−NHCO−、−CONH−、−COO−、−O−、−CO−またはこれらの組み合わせが挙げられる。ここで、dは1〜5の整数、好ましくは1または2である。
本発明の環構造を含有する化合物および該化合物を用いたDDSは、医薬品の分野において好適に用いられ得る。

Claims (3)

  1. 下記式(I)で表される化合物。
    式(I)中、R、R、RおよびRの基はそれぞれ独立して、芳香環もしくはシクロアルキル環を含有する有機基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状アルキル基または水素であり、ただし、少なくとも1つの基は芳香環もしくはシクロアルキル環を含有する有機基であり、
    およびXの基はそれぞれ独立して、水酸基、アミノ基またはカルボキシル基であり、
    Lは、−(CHp1−または−(CHp2−M−(CHp3−(ここで、Mは、−NH−または−C(R)H−であり、Rは、水素または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基であり、p1〜p3はそれぞれ独立して0〜2の整数である)である。
  2. 請求項1に記載の化合物と薬物とが結合されてなる、プロドラッグ。
  3. 請求項1に記載の化合物に由来するリンカー部を介して結合されたDDSキャリア素材または抗体と薬物とを含む修飾薬物。

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