JP2014073475A - 土壌汚染処理方法 - Google Patents

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武 長谷川
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正章 森川
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Abstract

【課題】従前の土壌昇温を利用した生物学的な汚染浄化技術において、汚染土壌に添加する好熱性分解菌の効率的且つ低価格な大量培養方法を一連の浄化プロセスへ提供すること。
【解決手段】堆肥化昇温機能と汚染物質分解機能を併せて担う好熱菌を一連の浄化プロセスにて利用することで、堆肥化昇温に伴って好熱性汚染物質分解菌の大量培養を対象汚染土壌中にて図り、この好熱性汚染物質分解菌によって土壌汚染処理を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、土壌に含まれる汚染物質の分解除去を本旨とし、特に汚染物質分解機能を有する好熱菌の増殖を促すと共に、その増殖に伴って発する代謝熱を利用して高温土壌環境の創成を図り、高温環境下での汚染物質の浄化を達成する生物学的土壌汚染浄化手法に関する。
近年、昇温資材を汚染土壌に混合し、一定の土壌昇温を図り汚染浄化を図る方法が提案されている。堆肥化昇温により好熱性汚染物質分解菌を活性化する生物学的浄化方法や、堆肥化昇温によって単に揮発性汚染物質を揮発させて土壌の汚染浄化を図る物理学的浄化方法がある。
特許第4695666号公報 特開2011−212669号公報
しかし、従前の土壌昇温を伴う土壌汚染浄化技術には、次のような課題があった。
先ず、特許文献1に記載の技術は、汚染土壌に堆肥化昇温を施し、特に高温環境下で汚染物質分解機能を発揮する汚染物質分解微生物を接種して汚染土壌の浄化を図る生物学的な浄化技術である。常温では固体であった汚染化合物が、高温環境下において気体や液体に変化することで、微生物の代謝分解が更に加速されるため、常温では分解が困難であった幅広い汚染化合物分解への適用が期待される。
しかしながら、高温域で活性化される外来の好熱性分解微生物を土壌に添加することを前提とするため、対象土壌が多量となると自ずと添加する分解微生物の前培養も大量となり、実利用においては、その大量培養方法や係るコスト面での課題を有していた。
また、特許文献2に記載の技術は、汚染土壌に堆肥化昇温を施し、高温環境下で汚染物質の揮発を促して汚染土壌の浄化を図る物理学的な土壌浄化技術であり、特殊な分解微生物やその大量培養を必要としないので、生物学的浄化技術よりも低コストで実施できる。しかしながら、堆肥化昇温の昇温限界は、概ね80℃程度であり、揮発作用のみで処理可能な汚染物質は、一部の揮発性有機化合物等に限定され、その汎用性に課題を有していた。
このように、汚染土壌を堆肥化昇温し高温条件下にて汚染浄化を図る従前の浄化方法は、いずれの技術もなんらかの技術的課題を有していた。
この様な背景から本発明の目的を、従前の生物学的な汚染浄化方法のごとく多様な汚染に対する浄化の可能性を見出せること、また好熱菌の培養方法の簡便化と低コスト化を図り、従前の物理学的な浄化方法のごとく廉価な汚染処理工法を開発することとした。
特に、汚染物質分解機能と堆肥化昇温機能の両機能を有する微生物または微生物群を用いることで、堆肥化昇温を伴う分解菌の大量培養を一連の土壌浄化プロセスにて達成し、分解菌培養コストを十分に抑えた汚染浄化処理を特徴とする本発明に至った。
前述の目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
先ず、請求項1に係る本発明は、有機性資材と汚染土壌の混合土壌に対して土壌間隙を好気条件に保つ通気操作を実施し、摂氏55度以上に至る堆肥化昇温の保持により前記汚染土壌中の汚染物質の処理を促す一連のプロセスから成る土壌汚染処理方法において、少なくとも前記堆肥化昇温と汚染物質分解を併せて担う微生物を前記プロセスにて利用することを特徴とする土壌汚染処理方法である。
また、請求項2に係る本発明は、前記微生物が、有機性資材の代謝に伴う昇温と汚染物質分解を同時に図る性質を有することを特徴とする請求項1に記載の土壌汚染処理方法である。
本発明のうち請求項1に係る土壌汚染処理方法によれば、堆肥化昇温と汚染物質分解を併せて担う微生物または微生物群を一連の土壌浄化プロセスで利用することにより、従前技術での課題であった分解菌の大量培養に係る経費や手間を大幅に簡略化し、総じて土壌浄化コストを低減できる。
即ち、汚染物質分解機能を有する微生物は自然環境中にも数多くその種類が存在するが、その中で土着の堆肥化昇温機能を有する汚染物質分解微生物を優先的に増殖させる方法(バイオスティミュレーション法)によって、或いは既知の汚染物質分解機能と堆肥化昇温機能の両機能を有する微生物をあらかじめ単離・保管し、その系統株を適時培養し、土壌へ添加する方法(バイオオーグメンテーション法)によって、生物学的汚染土壌処理をより低コストで達成できる。
特に、後者のバイオオーグメンテーション法であれば、前記土着微生物の有無やその存在濃度に関わらず、適切な接種を行うことで確実な堆肥化昇温と汚染物質分解を図ることができるので、より安定的な汚染土壌浄化を達成できる。
また、請求項2に係る土壌汚染処理方法によれば、前記堆肥化昇温と汚染物質分解を併せて担う微生物または微生物群が、有機性資材の代謝に伴う昇温と汚染物質分解を同時に図ることで更なる浄化期間の短縮が期待できる。
前記汚染物質分解機能と堆肥化昇温機能の両機能を有する微生物の中には、昇温に用いる有機性資材濃度の低下を契機として、汚染物質分解活性が昇温のタイミングに遅れて発現する場合等がある。資化可能な有機物が複数存在する場合に、順を追ってそれら有機物が資化されるカタボライト抑制といった微生物の生理学的な代謝調節機構が知られ、対象汚染物質が微生物によって資化可能な物質の場合、この機序に従うがごとくの現象が観察される場合がある。
この様な場合は、有機性資材の代謝に伴う昇温と汚染物質分解を同時に図る性質を有する土着の微生物をあらかじめ馴養して浄化時に用いる、或いは別途に本性質を有する微生物を単離選別してその系統株を保存し、適時培養して浄化時に用いることで、昇温のタイミングと連動した遅延なき汚染物質分解を図ることができる。この遅延なき汚染物質分解によって、更なる浄化期間の短縮と低コスト化が期待できる。
また、汚染物質が堆肥化昇温を担う汚染物質分解微生物に効率良く資化される場合には、汚染物質自身を堆肥化昇温の基質として利用できる場合がある。但し、その存在濃度や資化速度によっては、汚染物質のみでは十分な昇温が図れない場合がある。この様な場合に、有機性資材の代謝に伴う昇温と汚染物質分解を同時に図る性質を有する微生物または微生物群を用いれば、プラスの昇温を図るために有機性資材を応じて添加することで、十分な昇温と同時に高濃度の汚染物質分解を図ることができる。
馴養した土着の好熱分解菌を異なる濃度で汚染土壌に添加した場合の各試験区間での昇温性能の比較を示すグラフである。 馴養した土着の好熱分解菌を異なる濃度で汚染土壌に添加した場合の各試験区間での残存油分の初期濃度に対する相対値(油分分解活性)を示す図表である。 各試験区での最高温度到達時の土壌試料における油分分解活性の比較を示す図表である。 (1)試験区での最高温度到達時以降の経過時間毎の各土壌試料における油分分解活性の比較を示す図表である。 油分分解活性が見られた各室内試験区に唐黍糠を添加した場合の油分分解活性の比較を示す図表である。
以下、本発明を代表する実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る土壌汚染処理方法は、有機性資材と汚染土壌の混合土壌に対して土壌間隙を好気条件に保つ通気操作を実施し、摂氏55度以上に至る堆肥化昇温の保持により前記汚染土壌中の汚染物質の処理を促す一連のプロセスから成る土壌汚染処理方法において、少なくとも前記堆肥化昇温と汚染物質分解を併せて担う微生物を前記プロセスにて利用するものである。
ここで前記堆肥化昇温と汚染物質分解を併せて担う微生物を前記プロセスにて利用する方法は、具体的には例えば、下記に示す対象汚染に対し代謝変換機能を有する微生物で、有機物の存在下、好気的環境下で、自身の代謝熱によって少なくとも摂氏55度以上の昇温が可能な好熱菌を、汚染土壌中にて自家昇温を伴って増殖させて汚染物質分解を図る土壌浄化方法である。
かかる堆肥化昇温での常温から高温に到る過程において、主として活動する微生物が、常温菌から好熱菌への移行を果たす温度帯があり、その温度は、概ね摂氏45度から55度の範囲にある。この現象は、図1に示される好熱菌を異なる濃度で汚染土壌に添加した場合の試験区(2)及び(3)並びに(4)の昇温速度の差異によって明瞭に示される。即ち、好熱菌の添加濃度の違いによって、概ね摂氏45度から55度の範囲の昇温速度がそれぞれで明瞭に異なることから、この温度範囲が、常温菌から好熱菌への移行を果たす温度帯でありことが分かる。従って主として活動する微生物として常温菌から好熱菌への移行が完了する摂氏55度以上の温度域では、好熱分解菌の汚染処理機能が十分に発揮され、効率の良い汚染浄化を実施することができる。
また、かかる土壌汚染処理方法は、石油系燃料等の炭化水素成分や芳香族炭化水素化合物、また一部の有機ハロゲン化合物等、その他で汚染された土壌の浄化に適している。
ここで浄化対象となる油分汚染土壌としては、例えば、原油、重油、軽油、灯油、ガソリン相当の組成を有した油類、金属加工や装置メンテナンス等に用いられた廃切削油や廃潤滑油やグリース等で汚染された土壌を挙げることができる。本発明の土壌汚染処理方法は、これらの各種汚染物質中の低分子油分に起因する油膜や油臭はもとより、その油分含有量を低減する効果を有する。
また、芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノール、トリニトロトルエン等の単環式芳香族炭化水素類の他、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、フルオランテン、クリセン、ベンゾフルオランテン、ベンゾピレン等の多環芳香族炭化水素類が挙げられる。加えて、有機ハロゲン化合物としては、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、モノクロロエチレン等の塩素化エチレン類、ジクロロエタン、トリクロロエタン等の塩素化エタン類、他、ダイオキシン、PCB等が挙げられる。
尚、好熱菌にて生分解性が認められる汚染物質であれば、前記の汚染化合物に限定されるものでない。例えば、化管法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)及びその関連法等で規定される化学物質群の内、好熱菌にて生分解性が認められる物質による土壌汚染であれば、同様に本法の適用が有効であることはいうまでもない。また堆肥化環境にて生分解性が認められている爆薬類(前記のトリニトロトルエン他、RDX、HMX等)等による土壌汚染であれば、同様に本法の適用が有効であることはいうまでもない。
また、これらの汚染化合物類は、タール、アスファルト、原油、重油、軽油、灯油、ガソリン相当の組成を有した油類、機械加工や装置類等に用いられた廃切削油や廃潤滑油やグリース等による汚染土壌にてしばしば複合汚染として検出される。
本発明は、前出の汚染物質が単独で存在する場合のみならず、複数が混在する複合汚染が形成された汚染土壌に対しても有効な汎用性ある土壌汚染処理方法と位置づけられる。
ここで実施の形態に係る有機性資材としては、具体的には例えば、糟糠類(フスマ、米ヌカ、唐黍糠等)等の家畜用飼料類全般、食品製造由来の植物性油粕(油粕、大豆油粕、コーン油粕、胡麻油粕、豆類油粕、米ヌカ油粕等)、砂糖製造業残渣(ビートトップ、廃糖蜜、各種バガス等)、厨芥等を挙げることができる。
尚、藁・牧草等の草本類等は、バルキング剤としての通気性改善機能を併せて有するが、単独では十分な昇温を図れない低昇温性資材であるので、他の有機性資材と混合して使用するなどの工夫によって利用することができる。他、発酵残渣(醤油粕、酒粕、ビール粕、焼酎粕等)、木本材(バーク、間伐チップ、籾殻、大鋸屑等)、有機性地質(泥炭、亜炭、褐炭、ピート等)等も同様な資材と位置づけられる。
特に、実施の形態に係る主として構成される資材が糟糠類であれば、昇温熱量も高く容易に効率的な堆肥化昇温を図ることができる。これら糟糠類は世界的にも賦存量も多く、日本国内全域においては一般飼料として安定的な調達と一定の品質が図れ、その汎用性を生かした汚染土壌浄化を廉価で安定的に遂行することができる。
尚、これら有機性資材は、堆肥化プロセスでの微生物の代謝により発熱反応を呈する有機資材であれば、その形状や種類を問うものではない。例えば、上記に掲げる資材でなくても、砂糖等の炭水化物、グルテン等の蛋白質、動物性油脂等の脂質、アルコールや有機酸等の有機化合物、乾燥酵母や乾燥菌体等の微生物系資材やその抽出物製品等も、そのコストが適正であれば本法にて利用可能であることはいうまでもない。
また、堆肥化昇温に関与する微生物は、好気的に実施された堆肥化の昇温状態では、ゲオバチルス属の細菌種の出現頻度が特に高く、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス(G. stearothermophilus)、ゲオバチルス・サーモデナイトリフィカンス(G. thermodenitrificans)、ゲオバチルス・サーモグルコシダンス(G. thermoglucosidans)等が挙げられる。これらは、有機物分解を担い、堆肥化昇温に重要な役割を担っていると考えられている。
以下に、実施例により本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
本実験では、汚染土壌由来の土着の堆肥化昇温機能を有する分解菌を優先的に増殖させて、土壌浄化を実施する際のスターターとして利用する方法についての評価を実施した。
試験手順を以下に示す。
(a)脱塩素水道水200m1に対し、唐黍糠10g、0.9gの硝酸カリウム、0.061gのリン酸水素ナトリウム、0.039gのリン酸2水素カリウムを添加して培養液を作成し、その培養液に汚染土壌1gを添加して、摂氏70度で通気培養を実施した。2日後、培養上澄を10ml採取して、遠心分離にて、菌体をペレットとして回収し、上記の培養液から唐黍糠を除いた塩類溶液で2度ペレットを洗浄した後、この塩類溶液100mlに懸濁し、5L容の密栓瓶に1mlの灯油と共に封入し摂氏70度で静置培養を実施した。
(b)7日後、密栓瓶をドラフト内で摂氏70度の温浴に付し蓋を開け、残存する灯油成分を培養液への通気にて取り除いた後に、培養上澄を10ml採取して、遠心分離にて、菌体をペレットとして回収し、上記の培養液から唐黍糠を除いた塩類溶液で2度ペレットを洗浄した後、再び唐黍糠入りの培養液200mlに懸濁して摂氏70度で2日間の通気培養を実施した。
(c)上記の(a)(b)の培養を1セットとし、これを5回繰り返して、最後に唐黍糠入りの30Lフルグロウス培養を1回実施して、唐黍糠と灯油の両成分に対して資化能を有する好熱性細菌群の集積培養体を作成し、以下の土壌昇温及び油分分解実験に供した。
(d)昇温用有機資材の水分調整を好熱菌接種と併せ、以下の様に実施した。昇温用有機資材である唐黍糠の重量比1に対し、0.5相当の前記唐黍糠を除いた塩類溶液と上記好熱菌培養物の水系混合液を添加した。尚、混合液は混合比を違えた複数種を作成した。用意した混合液の混合体積比〔(好熱菌培養液):(唐黍糠を除いた塩類溶液)〕は、(1)試験区〔0:100〕、(2)試験区〔1:99〕、(3)試験区〔10:90〕、(4)試験区〔100:0〕の異なる4種を用意した。
(e)また供試土壌の調整を以下のごとく実施した。水分調整後の昇温用有機資材の重量比1に対し、砂質土を49重量比で加えて供試土壌を作成した。続いてこの供試土壌に対して重量比0.3%のA重油を添加し、また施肥として昇温資材の重量比100に対し、窒素を5、リンを1の割合で添加(窒素肥料として尿素、リン肥料として過リン酸石灰を使用)した。
(f)続いて、上記供試土壌に対し水分を含水率19%に調整後、下部から吸気による通気調整が可能な様に通気管を設置し、その周囲に砕石敷きを施した2立米の鋼製タンクに各供試土壌を装填し、好熱菌接種濃度が異なる各試験区での土壌昇温及び油分分解を検証した。
上記の実験結果を図1に示す。
図1より明らかなように、接種した好熱菌量に応じて高温域に達するまでの時間が異なることが分かった。即ち、好熱菌接種を行わなかった(1)試験区では、摂氏70度程度に達するまでの時間として、30時間程度を要したのに対し、接種濃度が最も高かった(4)試験区では、概ね半分程度の15時間程度で達する昇温が観察された。尚、接種濃度が(1)(4)試験区の間に存在する(2)(3)試験区では、接種濃度に応じた昇温速度が観察された。結果、好熱菌の接種の有無に関わらず摂氏70度近辺迄の昇温は図られるものの、その接種濃度に依存して昇温時間が短縮され、短工期に繋がる効率の良い昇温を図れることが分かった。
また、図2に各試験区における実験終了後の油分濃度の残存率を示す。結果、油分で馴養した好熱菌が存在しない(1)試験区での油分の残存は56%であったのに対し、油分で馴養した好熱菌が存在する(2)(3)(4)試験区での油分の残存は、概ね5〜10%程度の範囲にあった。よって、堆肥化昇温と汚染物質分解を併せて担う微生物を系に添加することにより、極めて効率の良い汚染浄化を図ることができることが示された。
一方、油分で馴養した好熱菌が存在しない(1)試験区でも、ある程度の油分分解が観察された結果を受けて、その機作についての知見を深めるべく、(1)(2)(3)(4)試験区でそれぞれ最高温度を達成した直後に採取し冷蔵保存していた土壌を用いて、新たに室内実験を行った。
本実験では、それぞれの試験区に生息する堆肥化昇温菌の油分分解特性に関する評価を試みた。先の試験にて油分の分解はいずれの系でも観察されたことから、分解酵素等の誘導や分解活性発現の強弱等の差異をそれぞれの試験系にて確認し、この差異を生じた機作についての考察を行った。
試験手順を以下に示す。
(a)130ml容の密栓バイアル内に、各試験系の土壌試料10gに対し、実施例1で使用した唐黍糠を除いた塩類溶液を30ml添加して、更に灯油を0.1ml添加してテフロンライナー製のセプタムとアルミシールを用いてバイアルを密栓した。尚、本試験の対象区として滅菌砂を10g添加した対象試験区を設置した。
(b)スタート時と2日経過後に密栓バイアル内のヘッドスペース気体を採取し、FID/GC強度の総和を比較し、その減少を油分分解の指標とし、それぞれを比較した。尚、各試験系での土壌に含まれる油分の系への持込を考慮して、経過試料の残存油分量を初期値の相対値として示した。
結果を図3に示す。結果、(1)室内試験区を除く(2)(3)(4)全ての室内試験区で油分の分解活性が確認された。
ここで追加試験として(1)試験区の他の土壌試料を用いた同様の実験を行った。使用した土壌は、最高温度を達成した直後の土壌試料を(1)−0とし、以後の日数経過に応じて、4日目の試料を(1)−4、8日目の試料を(1)−8、12日目の試料を(1)−12、16日目の試料を(1)−16とした。また先の試験同様に本試験でも対象試験区を設置した。
結果を図4に示す。一連の試験区の中で、(1)−8と(1)−12に油分の分解活性が微弱ながらも観察された。(1)−0、(1)−4、(1)−16では、対象区とほぼ変わらない変化量であり、油分の分解活性は観察されなかったと結論した。結果、(1)試験区では、最高温度を達成した以後に油分解活性が遅延して発現していたことが分かった。本結果を受けて、引き続き新たな実験を行った。
本実験では、油分の分解活性が観察された(2)(3)(4)室内試験区と、(1)−8と(1)−12室内試験区を用いて、先の実験と同様の実験系であるが、唐黍糠を除いた塩類溶液の代わりに、唐黍糠を入れた塩類溶液を添加した油分の分解実験を行った。
結果を図5に示す。この唐黍糠を入れた塩類溶液を用いた実験では、(2)(3)(4)室内試験区のみに油分分解活性が示された。この分解活性は先の唐黍糠を除いた塩類溶液を用いた実験とほぼ同様の活性が示され、(2)(3)(4)室内試験区では、唐黍糠の存在に依存しない油分分解活性を有する好熱菌の存在が示唆された。一方、(1)−8と(1)−12室内試験区では、先の実験と比較し油分の分解活性の低下が観察された。これらの土壌試料には、唐黍糠の存在で油分分解活性が低下する性質を持つ好熱菌の存在が示唆された。
上記の一連の実験から、カタボライト抑制様の代謝制御の存在が示唆された。少なくとも(2)(3)(4)室内試験区における好熱性油分分解菌にとっては、その油分の資化に対し、唐黍糠はカタボライト抑制様の代謝制御を生じさせない基質であると推定された。一方(1)室内試験区における好熱性油分分解菌にとっては、逆に油分の資化に対し、唐黍糠はカタボライト抑制様の代謝制御を生じさせる基質であると推定された。
本発明たる堆肥化昇温と汚染物質分解を併せて担う微生物を一連のプロセスで利用する前提において、対象汚染が高濃度で存在し、かつその汚染物質の代謝効率が高い化合物である場合を除き、多くのケースでは、対象汚染とは別に昇温有機資材を系に添加する必要が生じる。この様なケースでは、今回の一連の実験で明らかになった様なカタボライト抑制様の代謝制御が、汚染物質の浄化処理において律速となる懸念がある。
しかしながら、浄化処理以前に実施する馴養を兼ねたスターター作成を工夫してこのカタボライト抑制様の代謝制御を有しない好熱菌を集積する方法や、また対象となる汚染物質に応じた代謝分解系が構成的に発現されている様な好熱菌の系統株をあらかじめ保存し、必要に応じて培養を施し利用に付す等の方法によって、このカタボライト抑制様の代謝制御が律速とならない効率的な汚染浄化を実施することが可能である。
総じて、一連の実験により、有機性昇温資材と汚染土壌の混合土壌において、有機性昇温資材の残存に関わらず、堆肥化昇温と汚染物質分解を併せて担う微生物により汚染物質を分解せしめることにより、効率的且つ有効な汚染土壌の浄化が図れることが分かった。
以上、本発明の実施例を説明してきたが、具体的な構成は前述した実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
汚染土壌に有機性の昇温資材を混合し、概して摂氏55度以上を保つ昇温を図って汚染土壌中の汚染物質の処理を促す一連のプロセスにおいて、特に適用することができる。

Claims (2)

  1. 有機性資材と汚染土壌の混合土壌に対して土壌間隙を好気条件に保つ通気操作を実施し、摂氏55度以上に至る堆肥化昇温の保持により前記汚染土壌中の汚染物質の処理を促す一連のプロセスから成る土壌浄化方法において、
    少なくとも前記堆肥化昇温と前記汚染物質分解を併せて担う微生物を前記プロセスにて利用することを特徴とする土壌汚染処理方法。
  2. 前記微生物が、有機性資材の代謝に伴う昇温と汚染物質分解を同時に図る性質を有することを特徴とする請求項1に記載の土壌汚染処理方法。
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