JP2014072291A - 集光型太陽光発電装置の太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池セルを封止する樹脂が長期間の使用によっても割れの発生することのない、集光型太陽光発電用の太陽電池を提供する。
【解決手段】基板12及び基板12に載置された太陽電池セル16を備え、入射してくる太陽光を太陽電池セル16に集光する二次レンズ11と太陽電池セル16の間を第1の封止樹脂17によって封止した集光型太陽発電用の太陽電池であって、第1の封止樹脂17はデュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂である。
【選択図】図2

Description

本発明は、集光レンズによって集光された太陽光により発電する集光型太陽光発電装置の太陽電池に関する。
太陽エネルギを電力に変換する太陽光発電装置が実用化されている。省資源化、低コスト化を実現し、光電変換効率をさらに改善して大電力を得るために、集光レンズで集光した太陽光を集光レンズより小さい太陽電池セルに照射して電力を取り出す集光型太陽光発電装置が提案されている。
集光型太陽光発電装置は、太陽光を集光レンズで集光することから、太陽電池セルは、光学系で集光された太陽光を受光できる小さい受光面積を備えていれば良い。つまり、集光レンズの受光面積より小さいサイズの太陽電池セルで良いことから、太陽電池セルのサイズを縮小することができ、太陽光発電装置において最も高価な構成物である太陽電池セルの使用量を減らすことにより、省資源化、低コスト化を実現することができる。このような利点から、集光型太陽光発電装置は、広大な面積を利用して発電することが可能な地域などで、電力供給用に利用されつつある。
一方、太陽電池セルの位置を固定したままでは太陽光が斜光となって入射することが多くなり、太陽光を有効に利用することができない。従って、太陽を追尾して集光した太陽光を常に太陽電池セルに入射させるように構成した追尾集光型太陽光発電装置が提案されている。
ところで、上記集光型太陽光発電装置では、夜間において筐体内に結露が発生し、その水分の付着によって太陽電池セルの劣化が進行するおそれがある。この劣化を防止するため、太陽電池セルの前面を透明樹脂で封止することが行われている。しかしながら、上記透明樹脂は、たとえばシリコーン系樹脂、エポキシ樹脂などの光学特性の良い材料から構成されるが、高エネルギの太陽光が通過させられることからその劣化が進行することがさけられない、という問題があった。
この問題を解決する手段として、例えば特許文献1には、透明樹脂をさらに白色樹脂で覆う方法が提案されている。
図13は、特許文献1に記載の従来の集光型太陽光発電装置の構造を示した図である。集光レンズ328によって集光された太陽光は、発電モジュール340へと入射する。発電モジュール340は、支持板332に密着状態で固定され且つ前記太陽電池セル334が中央部に載置された金属製の基台342と、基台342に立設された4本の支柱344を介してその基台342から所定距離上方に離隔した位置に設けられ、その太陽電池セル334の真上に位置する部分に貫通穴346が形成された遮光板348と、その遮光板348によって支持され、その貫通穴346を通過した太陽光の強度を均等化して太陽電池セル334の上面である受光面に導くホモジナイザ350とを備えている。ホモジナイザ350の下端面とそれに対向するように配置された太陽電池セル334との間には、透明樹脂362が充填された僅かな隙間が形成されている。この透明樹脂362は、水分の進入を防止するために上記隙間に充填され、耐熱性が高くかつ光学特性の良い材料たとえばゲル状のシリコーン系樹脂から構成される。そして、太陽光を遮光して透明樹脂362の劣化を阻止するために、遮光部材として機能する不透明着色樹脂たとえば白色樹脂364が、太陽電池セル334を中心として、ホモジナイザ350の下端部側面以下を覆う厚みで塗布されかつ接着されている。
このように透明樹脂362を太陽光から遮るための白色樹脂364が備えられていることから、その透明樹脂362が太陽光の熱により劣化して接着界面が破壊されることがなくなるので、進入する水分に起因する太陽電池セル334の劣化が抑制され、集光型太陽光発電装置の耐久性が高められる。
特開2006−313809号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発電モジュール340であっても、透明樹脂362の少なくとも中央部分は、太陽電池セル334への強力な太陽光を通過させなければならず、太陽光の熱による劣化は避けられない。
透明樹脂362が長期間強力な太陽光にさらされると、太陽光の熱による劣化により樹脂の硬化や脆化が生じる。また、集光型太陽光発電装置は、昼夜の変化や季節の変化により、大きな温度変化にさらされ、各構成部品は熱伸縮により常に応力を受けている。硬化や脆化が生じた樹脂に応力がかかると、樹脂の割れが発生しやすくなる。樹脂の割れが発生すると、割れ部で多重反射が生じ、樹脂が局所的に高温になって炭化や剥離等の不具合が生じるほか、高温によりさらに劣化が進む。このように樹脂の劣化による割れの影響は次々と波及し、発電量の低下を引き起こす。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、太陽電池セルを封止する樹脂が長期間の使用によっても割れの発生することのない、集光型太陽光発電用の発電モジュールを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、本発明にかかる太陽電池は、基板及び基板に載置された太陽電池セルを備え、太陽電池セルを第1の封止樹脂によって封止した集光型太陽発電用の太陽電池であって、第1の封止樹脂は、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂であることを特徴とする。
本発明の別の一態様によれば、第1の封止樹脂は、少なくとも3方が第2の封止樹脂に囲まれていることを特徴としても良い。
本発明の別の一態様によれば、第2の封止樹脂は、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂であることを特徴としても良い。
本発明の別の一態様によれば、第1の封止樹脂は、デュロメータタイプA硬さが48以下の樹脂であることを特徴としても良い。
本発明によれば、太陽電池セルを封止する樹脂が長期間の使用によっても割れの発生することのない、集光型太陽光発電用の太陽電池を得ることができる。
本発明の実施形態1にかかる集光型太陽光発電装置の太陽電池を集光レンズと共に示した側面図である。 本発明の実施形態1にかかる太陽電池のみを示した図である。 本発明の実施形態1にかかる太陽電池の上面図である。 本発明の実施形態1にかかる太陽電池の上面図である。 溝部の効果を説明する図である。 ポッティング材の注入時の様子を示した図である。 太陽電池の製造時の位置決めに用いる冶具を説明した図である。 複数の太陽電池を直列に接続した様子を示した図である。 連結配線の別の例を示した図である。 本発明の実施形態2にかかる太陽電池を示した図である。 本発明の実施形態3にかかる太陽電池を示した図である。 実施例および比較例の試験結果を示した図である。 従来の集光型太陽光発電装置の構造を示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す内容は例示であって、本発明の範囲は,図面や以下の記述中で示すものに限定されない。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1にかかる集光型太陽光発電装置の太陽電池1を、集光レンズ2と共に示した側面図である。太陽電池1は概略構造のみを示している。太陽電池1は、引用文献1の発電モジュール340に相当する。
太陽電池1は、二次レンズ11を備えている。太陽光は、集光レンズ2によって集光され、二次レンズ11に入射する。なお、図1では二次レンズ11は単純なドーム形状であるが、これ以外の形状でも良い。
図2は、太陽電池1のみを示した図である。図2(a)は側面図であり、図2(b)及び図2(c)は上面図である。図2(b)は通常の上面図であり、図2(c)は、一部の部材を透視して点線で示している。図2に示していない内部の部材や構造については後述する。
基板12の上にはプラス電極13とマイナス電極14が形成されている。また、基板12の下には金属板15が形成されている。樹脂封止部17は、プラス電極13の一部、マイナス電極14の一部及び太陽電池セル(図示せず)等を封止している。従って、図2(a)で示しているプラス電極13は、樹脂封止部17に封止されていない露出部分のみである。樹脂封止部17の上には二次レンズ11が接着されている。
基板12は、放熱の観点から熱伝導率の高い物質、例えばアルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウムを用いる。
プラス電極13とマイナス電極14は、銅、アルミニウムを用いる。電極の厚さは、電気抵抗や放熱性を考慮して決める。これらの電極は、エッチングにより形成する。プラス電極13とマイナス電極14の詳細については後で詳述する。
金属板15は、プラス電極13及びマイナス電極14と同じ材質、厚さで形成することが好ましい。基板12の両面に同一の材質及び厚さの金属部材を接着することで、基板12の反りを防止できるためである。また、金属板15は、後述する熱拡散板に、半田付けもしくは熱伝導性接着剤によって接着される。
太陽電池セル16は、太陽光を入射して光電変換を行うものであり、プラス電極13の上に半田付けされている。樹脂封止部17内に封止されているため、図2(a)及び図2(b)には示していないが、図2(c)には点線で示している。詳細は後述する。
樹脂封止部17には、太陽光を透過させる透明な樹脂を用いる。詳細は後述する。
本実施形態の二次レンズ11は、図2(b)に示すように、円形の周囲4か所を切り落とした略正方形の形状をしている。ただしこの形状に限られるわけではなく、円形であっても構わない。
二次レンズ11は、集光レンズ2によって集光された太陽光をさらに集光し、太陽電池セル16へと導く。また、太陽光の位置ずれが発生した場合でも、ずれた太陽光を太陽電池セル16へと導く。従って、集光レンズ2の仕様や太陽電池セル16の寸法等や、太陽光の位置ずれを発生させる様々な要因を考慮し、所定の領域内に太陽光を集めるよう設計する。
二次レンズ11はこのように設計されたものであるため、二次レンズ11と樹脂封止部17の接着面(以下これを二次レンズ11の底面と呼ぶ)には、逆に太陽光の位置ずれが発生した場合でも太陽光が照射されない領域が生じる。これを本発明では死角領域と呼ぶ。図2(a)及び図2(c)に死角領域18を示している。図2(c)では、死角領域18を二次レンズ11の上から透視して示している。本実施形態における死角領域18はこのように、二次レンズ11の底面の中央の円形の領域を除く周囲の領域である。本実施形態では、中央の円形の領域の直径は、周囲4か所を切り落とす前の二次レンズ11の直径の50%の大きさとしている。また、A−A’で示した、死角領域18の最も幅の狭い部分の寸法は、周囲4か所を切り落とす前の二次レンズ11の直径の20%としている。なお、死角領域18は、設計によってはこれ以外の大きさや形状となることは言うまでもない。
なお、二次レンズ11の材料としては、太陽電池セル16の感度波長領域において高い透過率を有し、耐候性や耐熱性を有するものが好ましい。例えば、ガラスや、アクリル、ポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これら材料の複数層からなるものでもよい。
図3は、太陽電池1の上面図であって、図3(a)は二次レンズ11を取り外した状態を示し、図3(b)はさらに死角領域18を重ねて示したものである。
樹脂封止部17は略正方形の形状であり、第1の封止樹脂であるポッティング材20と、第2の封止樹脂であるダム材19からなる。ダム材19はコの字型で、開口部をプラス電極13の露出部分とは反対側の辺に有する。ポッティング材20は、ダム材19に囲まれた内部に形成されている。ダム材19とポッティング材20は、前記のように太陽光を透過させる透明な樹脂を用いる。本実施形態では、熱硬化性のシリコーン樹脂を用いる。
ポッティング材20は、透明度が特に高いシリコーン樹脂が好ましい。また、ポッティング材20の厚さは薄いほうが好ましい。ポッティング材20での太陽光の吸収による損失を減らすと共に、太陽光の吸収による温度上昇を抑えるためである。例えば、ポッティング材20の全光線透過率が95%以上であることが好ましく、ポッティング材20の厚さが最薄部で1.0mm以下であることが好ましい。本実施形態では、0.7mmとしている。
一方、このように透明度が特に高いシリコーン樹脂は、一般に熱硬化前の粘度が低く、所定の厚さ・形状に形成するのが容易ではない。そこで、熱硬化前の粘度がより高いシリコーン樹脂をダム材19に用いる。ダム材19を囲いとして用い、その中にポッティング材20を流し込んでから熱硬化させることにより、硬化前のポッティング材20の流出を防ぐことができ、ポッティング材20を所定の厚さ・形状に形成することが容易となる。
ポッティング材20は、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることが好ましい。ポッティング材20のデュロメータタイプA硬さが55以下であると、長期間の使用で太陽光の熱による劣化が生じても割れが生じないためである。その根拠については後述する。
また、熱硬化後のダム材19の硬度は、熱硬化後のポッティング材20の硬度より高いことが好ましい。これにより熱硬化後のダム材19はより変形しにくく、二次レンズ22をしっかりと支える。
一方、上記のように、透明度が特に高いシリコーン樹脂は一般に熱硬化前の粘度が低い。また高価である。さらに、発電効率に関与しないダム材19に、透明度が特に高いシリコーン樹脂を用いる必要はない。従って、ダム材19には、ポッティング材20より透明度の劣るシリコーン樹脂を用いている。
このため、ダム材19は太陽光を吸収しやすく、温度が上昇して劣化が生じ、剥離や割れなどの破損が発生する問題がある。そこで本発明では、ダム材19を太陽光が当たらない位置に配置することにより、この問題を解決している。図3(b)に示すように、ダム材19は死角領域18内に形成されている。従って、集光された太陽光の位置ずれが発生してもダム材19に太陽光が照射されることは無いため、ダム材19の破損を防止できる。なお、太陽光の熱の影響を避けるためには、ダム材19を太陽光が照射される領域からできるだけ離すことが好ましいことから、死角領域18内でもできるだけ周辺部分に配置することが好ましい。
ダム材19は、上記の通り太陽光が照射されることは無いため、太陽光の熱による劣化は少ない。それでも長期間の使用では徐々に劣化が進むため、ポッティング材20と同様にデュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることがより好ましい。つまり、樹脂封止部17全体として、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることがより好ましい。
図4は、太陽電池1の上面図であって、図4(a)は二次レンズ11及び樹脂封止部17を取り外した状態を示し、図4(b)はさらに死角領域18を重ねて示したものである。
プラス電極13とマイナス電極14は、前記の通り基板12の上に形成されている。プラス電極13の上には、太陽電池セル16とダイオード22が半田付けされている。
プラス電極13とマイナス電極14の片側は、上記の通り樹脂封止部17により封止されている。一方、プラス電極13とマイナス電極14の逆側は露出している。これを電極露出部と呼ぶ。この電極露出部は、複数の基板12を接続する際の配線を接続するために用いる。図4に示すように、プラス電極13とマイナス電極14の電極露出部は、離間して並置され、かつ間に他の部材を挟まないように形成されている。その効果は後で図8を用いて説明する。
太陽電池セル16は、上記の通り太陽光を入射して光電変換を行うものであり、両面に電極を備えている。太陽電池セル16はプラス電極13の上にリフロー炉を用いて半田付けされる。従って太陽電池セル16の片方の電極はプラス電極13に接続されている。太陽電池セル16のもう一方の電極は、配線21によりマイナス電極14に接続されている。太陽電池セル16は、発電効率の高い3接合型の化合物太陽電池であることが好ましい。しかし、これに限るものではなく、単結晶、または多結晶のシリコン太陽電池セルや3接合以外の多接合型化合物太陽電池セルなどでも良い。
配線21には、例えばアルミ線を用いる。なお、図4(a)では太陽電池セル16の両端部に各1本の配線21を用いているが、配線21の本数はこの限りではない。
ダイオード22も両面に電極を備える。ダイオード22は、プラス電極13の上にリフロー炉を用いて半田付けされる。従ってダイオード22の片方の電極はプラス電極13に接続されている。ダイオード22のもう一方の電極は、配線23によりマイナス電極14に接続されている。従って、ダイオード22は太陽電池セル16と並列に接続されている。
ダイオード22は、太陽電池セル16が太陽光の遮断などにより抵抗として動作する場合の電流経路を確保するものであり、例えば複数の太陽電池セル16を接続して使用した場合に、特定の太陽電池セル16が発電機能を果たさないときでも全体として発電機能を維持できる構成とするものである。
ダイオード22の配線23の下方には、プラス電極13とマイナス電極14の間に溝部24を設けている。溝部24は、ダイオード22から配線23が導出されている側で、ダイオード22の端部とプラス電極13のエッジの距離を短くするために設けられたものである、溝部24には電極は形成されておらず、基板12が露出している。溝部24では、それより以外の部分よりプラス電極13とマイナス電極14の間隔が広くなっている。その詳細や効果は後で図5を用いて説明する。
ダイオード22もダム材19と同様に、太陽光が当たって温度が上昇すると破損する恐れがある。そこで本発明では、ダイオード22を太陽光が当たらない位置に配置することにより、この問題を解決している。図4(b)に示すように、ダイオード22は死角領域18内に配置されている。従って、集光された太陽光の位置ずれが発生してもダイオード22に太陽光が照射されることは無いため、ダイオード22の破損を防止できる。なお、太陽光の熱の影響を避けるためには、ダイオード22を太陽光が照射される領域からできるだけ離すことが好ましいことから、死角領域18内でもできるだけ周辺部分に配置することが好ましい。
以上のように本実施例では、太陽電池セル16の前面に二次レンズ11を配することにより、集光レンズ2によって集光された太陽光をさらに集光して太陽電池セル16に導くことや、太陽光の位置ずれが発生した場合でもずれた太陽光を太陽電池セル16へと導くことを可能としている。また、ダム材19やダイオード22のように太陽の熱によって破損の恐れがある部品を、二次レンズ11の死角領域18に配置することにより、集光された太陽光の位置ずれが発生しても太陽光がこれらの部品に当たることが無く、破損を防止することができる。
さらに、二次レンズ11の死角領域18を利用することにより、ダム材19及びダイオード22をコンパクトに配置することが可能となる。従って、本発明によれば太陽電池1を小型にすることができ、より少ない部材で製造可能となり、軽量化にも貢献する。
配線23には、例えばアルミ線を用いる。なお、図4(a)では1本の配線23を用いているが、配線23の本数はこの限りではない。
次に、溝部24の効果についてより詳細に説明する。
図5は、図4で示した溝部24の効果を説明する図である。図5ではダム材19を形成する領域を重ねて示している。図5(a)は上面図であり、図5(b)は図5(a)においてB−B’で示した線における断面図を示している。
図5(a)及び図5(b)に示すように、配線23はダム材19によって封止されている。また上記の通り、プラス電極13とマイナス電極14の間に溝部24を設けている。溝部24を設けることにより、ダイオード22がマイナス電極14に向き合う辺と、プラス電極13のエッジの距離は短くなる。これにより、例えば封止工程において、熱硬化前のダム材19の上に二次レンズ11を載置した時の圧力により配線23が撓んでも、プラス電極13に接触して短絡することを防止できる。これにより信頼性の高い太陽電池1が得られる。もちろん、通常の状態でも、配線23とプラス電極13は接触していないことは言うまでもない。
また、配線23は全体がダム材19によって封止されている。特に、配線23の両端の付け根部分がダム材19によって封止されている。ダム材19によって配線23の付け根部分が封止されていることにより、配線23がダイオード22やマイナス電極14から剥離することを防止でき、信頼性が高くなる。なお、前記の通り、熱硬化後のダム材19の硬度は熱硬化後のポッティング材20の硬度より高いことが好ましく、この場合は、ダム材19が配線23の付け根部分を保護する効果はポッティング材20より高い。
また、図5(a)に示すように、配線21のマイナス電極14側の付け根部分もダム材19により封止されていることから、上記と同様に配線21の剥離が防止でき、信頼性が高くなる効果を有する。
次に、ポッティング材20の注入方法について、より詳細に説明する。
図6は、ポッティング材20の注入時の様子を示した図である。図6(a)は、太陽電池1の上面図であり、図6(b)は側面図である。図6(c)は図6(b)の中空パイプ25近辺を拡大して示した図である。図6(a)〜(c)は、ダム材19は載置されているがポッティング材20は載置されていない状態を示している。また、二次レンズ11は外形のみを点線で表している。
まず、基板12の上に熱硬化前のダム材19を所定の形状に載置する。熱硬化前のダム材19は上記の通り粘度が高いため、基板12上を流れて広がることは無い。次に、熱硬化前のダム材19の上に二次レンズ11を所定の位置に載置する。次に、基板12、熱硬化前のダム材19及び二次レンズ11で囲まれた空洞部分の端に中空パイプ25を挿入し、中空パイプ25から熱硬化前のポッティング材20を注入する。その後、ダム材19とポッティング材20を熱硬化させて、樹脂封止部17を形成する。
ここで、図6(a)〜(c)に示すように、ダム材19の開口部側において、基板12の端部は、二次レンズ11の外縁部より、基板12の面に平行な方向で外側に突出している。また、ダム材19の開口部側において、プラス電極13及びマイナス電極14の端部は、二次レンズ11の外縁部より内側に位置している。このような構造にすることにより、基板12の突出部をガイドにして中空パイプ25を容易に挿入できる。具体的には、図6(c)に示すように、まず基板12の先端部分に中空パイプ25を接触させる。次に、中空パイプ25を接触させたまま矢印Cで示すように二次レンズ11の下方に動かし、基板12、熱硬化前のダム材19及び二次レンズ11で囲まれた空洞部分の開口部から内部へと挿入する。プラス電極13及びマイナス電極14の端部は、二次レンズ11の端部より内側に位置していることから、中空パイプ25は電極に当たることなく内部へと挿入できる。このように、高さの低い開口部に中空パイプ25を挿入する作業が容易に行えるようになり、作業性が向上する。
さらに、上記のように、ダム材19の開口部側において、プラス電極13及びマイナス電極14の端部は二次レンズ11の端部より内側に位置していることにより、図6(c)においてD−D’で示した開口部の高さをより高くすることができることから、ポッティング材20の注入速度を増加させることができ、作業性が向上する。
さらに、上記のように、ダム材19の開口部側において、基板12の端部を二次レンズ11の外縁部より突出させることにより、この突出部を太陽電池1の製造時の位置決めの基準として利用することが可能であり、作業性が向上する。これについてさらに詳細に説明する。
図7は、太陽電池1の製造時の位置決めに用いる冶具を説明した図である。図7(a)は、太陽電池1が冶具26に挿入された様子の斜視図である。図7(a)に示すように、太陽電池1は上下逆にして冶具26に挿入する。従って金属板15が上になっている。またこの時、樹脂封止部17、すなわちダム材19及びポッティング材20は、熱硬化前である。
図7(b)は、図7(a)において矢印Eで示した一点鎖線部分の断面を示している。図7(b)に示すように、冶具26は矢印F及び矢印Gの位置において基板12が引っかかる形状を有しており、太陽電池1を挿入すれば基板12が所定の位置に収まる。また、冶具26には二次レンズ11が収まる空洞が形成されており、太陽電池1を挿入すれば二次レンズ11が所定の位置に収まる。従って、冶具26に太陽電池1を挿入し、上から押圧すれば、基板12及び二次レンズ11が共に所定の位置に収まり、二次レンズ11が太陽電池セル16に対して所定の位置・距離に調整される。この状態で太陽電池1を加熱し、樹脂封止部17を熱硬化させることにより、二次レンズ11が所定の位置・距離に載置された太陽電池1を製造することができる。
このように、ダム材19の開口部側において、基板12の端部を二次レンズ11の端部より突出させることにより、この突出部を太陽電池1の製造時の位置決めの基準として利用することが可能であり、太陽電池1を正確にかつ素早く製造することが可能となる。
次に、プラス電極13とマイナス電極14の電極露出部を離間して並置して、かつ間に他の部材を挟まないように形成している効果について説明する。
図8は、複数の太陽電池1を直列に接続した様子を示した図である。図8(a)において、複数の太陽電池1は、熱拡散板27の上に接着されている。より具体的には、太陽電池1の裏面の金属板15を熱拡散板27に半田付けもしくは熱伝導性接着剤によって接着する。連結配線28は、太陽電池1間を接続している。連結配線28は、連結導体29とそれを被覆する絶縁被覆材30からなる。連結導体29は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金で形成される。
連結導体29とプラス電極13あるいはマイナス電極14の電極露出部は、例えば溶接によって接続する。この時、プラス電極13とマイナス電極14の電極露出部を離間して並置して、かつ間に他の部材を挟まないように形成していることから、同時に溶接することが可能である。従って溶接作業を素早く行うことができ、作業性が良くなる。
また、図8に示すように、各太陽電池1の溶接個所は横方向に一直線上に並ぶ。従って溶接時には、熱拡散板27または溶接装置を横方向に移動させるだけで順次溶接ができ、縦方向に動かす必要はない。従って溶接装置の構造を単純化でき、溶接の精度向上や溶接装置の信頼性向上を実現することができる。
図8(b)は、上記溶接後に、プラス電極13とマイナス電極14の電極露出部及び連結導体29を樹脂封止した様子を示した図である。プラス電極13とマイナス電極14の電極露出部及び連結導体29は活電部であり、露出したままでは水滴付着によりショートが発生するなど、耐候性・信頼性に問題がある。そこで、活電部封止部31によりこれらを封止する。この時、プラス電極13とマイナス電極14の電極露出部を離間して並置して、かつ間に他の部材を挟まないように形成していることから、2つの電極を同時に封止できる。従って封止作業を素早く行うことができ、作業性が良くなる。また、封止に用いる樹脂が少量で済む。
図9は、連結配線の別の例を示した図である。図9(a)、(b)は、連結配線28aを示した図であり、図9(a)は上面図、図9(b)は側面図である。連結配線28aは、連結導体29aとそれを被覆する絶縁被覆材30aからなる。連結導体29aは、絶縁被覆材30a内部に存在する部分は、点線で示している。絶縁被覆材30aは、複数の連結導体29aを被覆しており、一つながりになっている。また、絶縁被覆材30aには上面及び下面に被覆開口部32があり、連結導体29aの一部である導体露出部33が上面及び下面に露出している。導体露出部33の間には、導体露出部33の無い導体間開口部34が存在する。導体露出部33は、連結導体29aを太陽電池1のプラス電極13及びマイナス電極14の電極露出部に溶接するために用いる。このような連結配線28aは、コイル状に巻いておくことが可能である。
図9(c)は、連結配線28aを太陽電池1の上に載置した状態を示している。導体間開口部34からプラス電極13あるいはマイナス電極14の一部が見えている。導体露出部33とプラス電極13あるいはマイナス電極14の電極露出部は、例えば溶接によって接続されている。連結配線28aは、絶縁被覆材30aにより複数の連結導体29aが繋がっているため、一本の連結配線28aを載置することで複数の連結導体29aが所定の位置に載置される。従って、図8に示した連結導体29に比べて太陽電池1に載置する際の作業性が向上する。
なお、このように絶縁被覆材30aにより複数の連結導体29aが繋がった連結配線28aを用いることができるのは、太陽電池1のプラス電極13とマイナス電極14の電極露出部を離間して並置して、かつ間に他の部材を挟まないように形成しているためである。
以上、本実施形態の太陽電池1の構造及び各構成部材の作製方法を説明した。この太陽電池1全体の製造方法の概略をまとめると以下の通りである。
まず、両面に金属板を貼り付けた基板を所定の寸法に切断し、エッチングによりプラス電極13及びマイナス電極14を形成し、基板12を作製する。
次に、プラス電極13の上の所定領域に太陽電池セル16およびダイオード22載置用のパッドを形成する。
次に、太陽電池セル16とダイオード22を、リフロー炉を用いて半田付けする。
次に、太陽電池セル16及びダイオード22をマイナス電極14に、配線21及び配線23で接続する。
次に、上記部材が載置された基板12の上に熱硬化前のダム材19を所定の形状になるよう載置し、さらに二次レンズ11を載置した後、基板12、熱硬化前のダム材19及び二次レンズ11で囲まれた空洞部分に熱硬化前のポッティング材20を注入する。
次に、上記部材が載置された基板12を冶具26に挿入し、上から押圧して形状を整えた後、熱処理してダム材19及びポッティング材20を熱硬化させる。以上により太陽電池1を作製できる。
<実施形態2>
図10は、本発明の実施形態2にかかる太陽電池101を示した図である。図10(a)は側面図である。図10(b)は上面図であって、二次レンズ111及び樹脂封止部117を取り外した状態を示している。また、図10(b)は、二次レンズ111の死角領域118及びダム材119が載置される領域を重ねて示している。
実施形態2にかかる太陽電池101が実施形態1にかかる太陽電池1と相違する点は、以下の通りである。まず、二次レンズ111と樹脂封止部117がより基板の中央に寄っている。また、マイナス電極114の電極露出部は、基板112上で、太陽電池セル116を挟んでプラス電極113の反対側へと移動しており、プラス電極113とマイナス電極114の形状自体も変わっている。また、ダム材119は、プラス電極113及びマイナス電極114の露出部の存在しない方向に開口部を有する。基板112はダム材119の開口部の方向に拡大されている。また、ダイオード122の位置が移動しており、これに伴って配線123と溝部124も移動している。なお、図10(b)では、ダム材119の開口部は図面の下方向にあるが、上方向でも構わない。
一方、太陽電池セル116、配線121は、実施形態1にかかる太陽電池1と同様である。
このような太陽電池101は、実施形態1にかかる太陽電池1と同様に、ダム材119及びダイオード122は死角領域118に形成されている。従って太陽電池1と同様に、集光された太陽光の位置ずれが発生しても、ダム材119やダイオード122のように太陽の熱によって破損の恐れがある部品に太陽光が当たることが無く、破損を防止することができる。また、ダム材119及びダイオード122をコンパクトに配置することができる。
また、太陽電池101は実施形態1にかかる太陽電池1と同様に、溝部124が設けられている。従って太陽電池1と同様に、配線123がプラス電極113に接触して短絡することを防止できる。
また、太陽電池101は実施形態1にかかる太陽電池1と同様に、配線123の両端の付け根部分がダム材119によって封止されている。従って太陽電池1と同様に、配線123がダイオード122やマイナス電極114から剥離することを防止でき、信頼性が高くなる。配線121のマイナス電極114側の付け根部分についても同様である。
また、太陽電池101は実施形態1にかかる太陽電池1と同様に、ダム材119の開口部側の基板112の端部は、二次レンズ111の外縁部より、基板112の面に平行な方向で外側に突出している。また、ダム材119の開口部側において、プラス電極113の端部は、二次レンズ111の外縁部より内側に位置している。従って太陽電池1と同様に、ダム材119の開口部からポッティング材(図示せず)を注入する際に中空パイプを挿入する作業が容易に行える。また、ポッティング材の注入速度を増加させることができる。また、基板112の突出部を太陽電池101の製造時の位置決めの基準として利用することが可能である。
従って、以上の点については、太陽電池101は、実施形態1にかかる太陽電池1と同様の効果を有する。
ポッティング材は、透明度が特に高いシリコーン樹脂が好ましく、厚さが薄いほうが好ましい。ポッティング材での太陽光の吸収による損失を減らすと共に、太陽光の吸収による温度上昇を抑えるためである。例えば、ポッティング材の全光線透過率が95%以上であることが好ましく、ポッティング材の厚さが最薄部で1.0mm以下であることが好ましい。本実施形態では、0.7mmとしている。デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることが好ましい。ポッティング材のデュロメータタイプA硬さが55以下であると、長期間の使用で太陽光の熱による劣化が生じても割れが生じないためである。
ダム材119は、上記の通り太陽光が照射されることは無いため、太陽光の熱による劣化は少ない。それでも長期間の使用では徐々に劣化が進むため、ポッティング材と同様にデュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることがより好ましい。つまり、樹脂封止部117全体として、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることがより好ましい。
<実施形態3>
図11は、本発明の実施形態3にかかる太陽電池201を示した図である。図11(a)は側面図である。本実施形態は、実施形態1にかかる太陽電池1における二次レンズ11の代わりに、平面状の透明部材である被覆板232を用いている。その他の部材は実施形態1と同様である。
被覆板232は集光機能を有しておらず、太陽電池セル216の受光面を保護し耐候性を持たせることを主な目的としている。被覆板232の材料としては、二次レンズ11と同様に、太陽電池セル216の感度波長領域において高い透過率を有し、耐候性や耐熱性を有するものが好ましい。例えば、ガラスや、アクリル、ポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これら材料の複数層からなるものでもよい。
図11(b)は上面図であって、被覆板232を取り外した状態を示している。樹脂被覆部217は、実施形態1と同様にダム材219およびポッティング材220からなる。
ポッティング材220は、実施形態1のポッティング材20と同様、透明度が特に高いシリコーン樹脂が好ましく、厚さが薄いほうが好ましい。ポッティング材220での太陽光の吸収による損失を減らすと共に、太陽光の吸収による温度上昇を抑えるためである。例えば、ポッティング材220の全光線透過率が95%以上であることが好ましく、ポッティング材220の厚さが最薄部で1.0mm以下であることが好ましい。本実施形態では、0.7mmとしている。また、ポッティング材220は、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることが好ましい。ポッティング材220のデュロメータタイプA硬さが55以下であると、長期間の使用で太陽光の熱による劣化が生じても割れが生じないためである。
一方、ダム材219に関しては、本実施形態では実施形態1と違って二次レンズを用いていないことから、集光された太陽光の位置ずれが発生した場合、ダム材219に太陽光が照射される場合がある。このことからダム材219もポッティング材220と同様、透明度が特に高いシリコーン樹脂を用いることが好ましい。太陽光の吸収による温度上昇を抑えるためである。また、ダム材219もポッティング材220と同様、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることが好ましい。ダム材219でもポッティング材220と同様の劣化が生じるためである。
図11(c)は上面図であって、被覆板232および樹脂封止部217を取り外した状態を示している。また、図11(c)は、被覆板232の外形を点線で示し、ダム材219が載置される領域を重ねて示している。ここで、本実施形態では二次レンズを用いていないことから、集光された太陽光の位置ずれが発生した場合、ダイオード222に太陽光が照射される場合がある。従って、ダイオード222の上部に太陽光を反射させる反射部を設ける等の対策を行うことが好ましい。
なお、基板212、プラス電極213、マイナス電極214、金属板215、太陽電池セル216、配線221、ダイオード222、配線223、溝部224については、実施形態1と同様である。
このような太陽電池201は、実施形態1にかかる太陽電池1と同様に、溝部224が設けられている。従って太陽電池1と同様に、配線223がプラス電極213に接触して短絡することを防止できる。
また、太陽電池201は実施形態1にかかる太陽電池1と同様に、配線223の両端の付け根部分がダム材219によって封止されている。従って太陽電池1と同様に、配線223がダイオード222やマイナス電極214から剥離することを防止でき、信頼性が高くなる。配線221のマイナス電極214側の付け根部分についても同様である。
また、太陽電池201は実施形態1にかかる太陽電池1と同様に、ダム材219の開口部側の基板212の端部は、被覆板232の外縁部より、基板212の面に平行な方向で外側に突出している。また、ダム材219の開口部側において、プラス電極213の端部は、被覆板232の外縁部より内側に位置している。従って太陽電池1と同様に、ダム材219の開口部からポッティング材を注入する際に中空パイプを挿入する作業が容易に行える。また、ポッティング材の注入速度を増加させることができる。また、基板212の突出部を太陽電池201の製造時の位置決めの基準として利用することが可能である。
また、太陽電池201は実施形態1にかかる太陽電池1と同様に、プラス電極213とマイナス電極214の電極露出部は、離間して並置され、かつ間に他の部材を挟まないように形成されている。従って太陽電池1と同様に、溶接作業を素早く行うことができ、作業性が良くなる。また、溶接装置の構造を単純化でき、溶接の精度向上や溶接装置の信頼性向上を実現することができる。さらに、2つの電極を同時に封止できることから、封止作業を素早く行うことができ、作業性が良くなる。また、封止に用いる樹脂が少量で済む。
従って、以上の点については、太陽電池201は、実施形態1にかかる太陽電池1と同様の効果を有する。
<実施例および比較例>
上記では、少なくともポッティング材は、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂を用いることが好ましく、長期間の使用で太陽光の熱による劣化が生じても割れが生じないことを述べた。この効果を確認するため、本発明の発明者は以下の試験を行った。
実施例1、2および比較例として、デュロメータタイプA硬さの異なる3種類のシリコーン樹脂を用いたサンプルを作製した。サンプルは、実施例1、2および比較例についてそれぞれ2種類作製した。
一つはシリコーン樹脂の硬度を調べるためのサンプルであり、各シリコーン樹脂のみを厚さ0.7mmの円盤状に硬化させたものを3個作製した。
もう一つはシリコーン樹脂の割れを調べるためのサンプルであり、上記の実施形態1に記載の太陽電池1において、ポッティング材20に各シリコーン樹脂を用いた太陽電池1を実際に作製した。ポッティング材20の厚さは、最薄部で製造公差も考慮し0.5mmとした。このサンプルを6個作製した。
作製したサンプルの試験は以下のように行った。
シリコーン樹脂の硬度を測定するためのサンプルについては、作製後および加速劣化試験後にサンプルのデュロメータタイプA硬さを測定し、それぞれについて3個の平均値を求めた。
シリコーン樹脂の割れを調べるためのサンプルについては、3個は作製後の初期状態で信頼性評価試験を実施し、サンプルのポッティング材20の信頼性、すなわち割れが発生しているかを調べた。残りの3個は、加速劣化試験を行った後に信頼性評価試験を実施し、サンプルのポッティング材20の信頼性、すなわち割れが発生しているかを調べた。
信頼性評価試験は、温度サイクル試験であって、1時間で−40℃から+125℃の温度変化を1サイクルとし、これを1250サイクル行った。加速劣化試験は、180℃で2000時間の条件で行った。この加速劣化試験は、30年の屋外使用に相当する。
表1に、実施例1、2および比較例の試験結果を示す。
「デュロメータタイプA硬さ」の欄は、実施例1、2および比較例のそれぞれについて、3個のサンプルのデュロメータタイプA硬さの平均値を示している。「信頼性評価試験結果」の欄は、3個のサンプルのうち、一つもシリコーン樹脂の割れが発生していなければ「○」、一つでもシリコーン樹脂の割れが発生していれば「×」と記載している。
「デュロメータタイプA硬さ」の欄を見ると、実施例1、2および比較例のいずれも、初期状態より加速劣化試験後の方が、デュロメータタイプA硬さが上昇していた。すなわち、熱によりシリコーン樹脂が硬化していた。
「信頼性評価試験結果」の欄を見ると、実施例1および実施例2は初期状態および加速劣化試験後のいずれでも信頼性に問題は無かった。これに対し、比較例は、初期状態では信頼性に問題が無いものの、加速劣化試験後には信頼性に問題が生じていた。なお、比較例は試験に用いた3個の太陽電池1全てに割れが発生していた。
また、図12は、実施例1、2および比較例の、サンプルの初期状態のシリコーン樹脂のデュロメータタイプA硬さと、加速劣化試験後のシリコーン樹脂のデュロメータタイプA硬さの関係を図示したものである。横軸が初期状態のデュロメータタイプA硬さ、縦軸が加速劣化試験後のデュロメータタイプA硬さである。図12によれば、実施例1、2および比較例の試験結果はほぼ直線上に並んでおり、これらの関係は直線によってよく近似できるものと考えられる。
以上の試験結果より、ポッティング材20に用いるシリコーン樹脂は、加速劣化試験、言い換えれば30年の屋外使用による劣化で硬さが上昇し、硬くなりすぎると比較例のように割れが発生するようになり、信頼性に問題が生じることが分かった。このことから、30年の屋外使用によってシリコーン樹脂の硬さが上昇した後でも割れの発生しない硬さに止まるよう、初期状態でのシリコーン樹脂の硬さを選択すれば、上記の信頼性の問題を防ぐことができると考えられる。
表1に示した試験結果を見ると、少なくともデュロメータタイプA硬さが65のシリコーン樹脂は、信頼性に問題ないことがわかる。従って、30年の屋外使用後のシリコーン樹脂のデュロメータタイプA硬さが少なくとも65以下であれば良いと考えられる。ここで、図12において点線H及び点線Iで示したように、加速劣化試験後のデュロメータタイプA硬さが65のシリコーン樹脂は、初期状態でのデュロメータタイプA硬さが55であると考えられる。
すなわち、ポッティング材20として、初期状態でのデュロメータタイプA硬さが55以下のシリコーン樹脂を用いれば、加速劣化試験後、言い換えれば30年の屋外使用後のポッティング材20のデュロメータタイプA硬さは65以下であり、割れは発生しないものと考えられる。従って、ポッティング材20として、初期状態でのデュロメータタイプA硬さが55以下のシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
さらに、実施例2の結果によれば、ポッティング材20として、初期状態でのデュロメータタイプA硬さが48のシリコーン樹脂を用いれば、加速劣化試験後、言い換えれば30年の屋外使用後のデュロメータタイプA硬さは55であり、ポッティング材20に割れは発生しなかった。従って、ポッティング材20として、初期状態でのデュロメータタイプA硬さが48以下のシリコーン樹脂を用いることがより好ましい。
なお、上記の実施形態1及び2に記載の太陽電池は、ダイオードを二次レンズの死角領域内に配置することにより、太陽光の熱による破損を防止していた。この効果は、樹脂封止部がダム材とポッティング材の2種類の樹脂から形成されておらず、1種類の樹脂により形成されていても、同じ効果を得ることができる。
また、上記の実施形態1〜3に記載の太陽電池は、プラス電極の上に太陽電池セルとダイオードを載置したが、マイナス電極の上に太陽電池セルとダイオードを載置しても良い。また、プラス電極の上に太陽電池セルを載置し、マイナス電極の上にダイオードを載置してもよい。逆に、マイナス電極の上に太陽電池セルを載置し、プラス電極の上にダイオードを載置してもよい。
以上、本発明の実施形態1〜3について具体的に説明を行ったが、本発明はそれらに限定されるものではない。上述した3つの実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1、101、201:太陽電池
2:集光レンズ
11:二次レンズ
12、112、212:基板
13、113、213:プラス電極
14、114、214:マイナス電極
15、115、215:金属板
16、116、216:太陽電池セル
17、117、217:樹脂封止部
18、118:死角領域
19、119、219:ダム材
20、220:ポッティング材
21、121、221:配線
22、122、222:ダイオード
23、123、223:配線
24、124、224:溝部
25:中空パイプ
26:冶具
27:熱拡散板
28、28a:連結配線
29、29a:連結導体
30、30a:絶縁被覆材
31:活電部封止部
32:被覆開口部
33:導体露出部
34:導体間開口部
232:被覆板

Claims (4)

  1. 基板及び前記基板に載置された太陽電池セルを備え、前記太陽電池セルを第1の封止樹脂によって封止した集光型太陽発電用の太陽電池であって、
    前記第1の封止樹脂は、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂である
    ことを特徴とする太陽電池。
  2. 前記第1の封止樹脂は、少なくとも3方が第2の封止樹脂に囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記第2の封止樹脂は、デュロメータタイプA硬さが55以下の樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
  4. 前記第1の封止樹脂は、デュロメータタイプA硬さが48以下の樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池。
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